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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】収納棚
(51)【国際特許分類】
   A47B 81/04 20060101AFI20241205BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20241205BHJP
   A47B 77/10 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A47B81/04 A
A47B55/00
A47B77/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021001058
(22)【出願日】2021-01-06
(65)【公開番号】P2022106207
(43)【公開日】2022-07-19
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】高久 秀之
(72)【発明者】
【氏名】穴沢 信寛
(72)【発明者】
【氏名】川原 明里彩
(72)【発明者】
【氏名】田中 章博
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-189828(JP,A)
【文献】特開平04-288103(JP,A)
【文献】実開昭60-058036(JP,U)
【文献】特開平02-005905(JP,A)
【文献】実開昭61-192742(JP,U)
【文献】特開昭63-119703(JP,A)
【文献】特開昭61-064205(JP,A)
【文献】実開昭60-018171(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 81/04
A47B 55/00
A47B 77/10
A47B 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、一対の側板と、前面に形成される開口部を開閉する扉と、を備える収納棚であって、
前記扉の内側の収納空間に配置される複数の棚板と、
前記収納空間に配置され、使用者が作業可能な作業用天板と、を備え
前記作業用天板は、前記扉の裏面との間に作業空間を形成するように切り欠かれている、収納棚。
【請求項2】
前記作業用天板を支持するとともに、物品を収納可能なキャビネットを有する請求項1に記載の収納棚。
【請求項3】
前記作業用天板は、前記収納空間の前記開口部から内側へ挿入可能な寸法を有し、着脱可能な板材である、請求項1又は2に記載の収納棚。
【請求項4】
蒸気を噴出する蒸気製品を配置可能な蒸気製品配置部と、
前記蒸気製品配置部の上方に配置される蒸気排出ユニットと、
前記扉に設けられ、閉じた状態で前記蒸気排出ユニットの前面に位置する扉側蒸気排出口と、を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の収納棚。
【請求項5】
前記棚板には、照明装置が設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の収納棚。
【請求項6】
前記作業用天板は前端が前記扉を閉じた状態の前記扉の裏面の近傍に位置する部分を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の収納棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台所や書斎等に大型の収納棚が設けられることが知られている。調理等の、関連する用途の家具や小棚を内部に収容し、周囲を囲んで扉を設けた収納棚が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2020-514591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品を収納したり載置したりするだけではなく、収納棚の内部で作業を行うことができ、来客時等の必要な場合に扉を閉めることができる作業空間があることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、天板と、一対の側板と、前面に形成される開口部を開閉する扉と、を備える収納棚であって、前記扉の内側の収納空間に配置される複数の棚板と、前記収納空間に配置され、使用者が作業可能な作業用天板と、を備える、収納棚に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の収納棚を右側から視た状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の収納棚を左側から視た状態を示す斜視図である。
図3】第1実施形態の収納棚の部分縦断面図である。
図4A】第1実施形態の指挟み防止機構を示し、折戸を閉めた状態を示す。
図4B】第1実施形態の指挟み防止機構を示し、折戸を開いた状態を示す。
図5】第1実施形態の収納棚を上から視た部分斜視図である。
図6A】第1実施形態の下部軸部の斜視図である。
図6B】第1実施形態の収納棚を下から視た部分斜視図である。
図7A】第1実施形態の左右方向調整板の平面図である。
図7B】第1実施形態の前後方向調整板の平面図である。
図7C】第1実施形態の面段差調整機構の側面図である。
図8】第2実施形態における照明装置を示す図である。
図9】第3実施形態における作業用天板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、収納棚100は、台所の壁面等に設置される大型の棚である。収納棚100は、来客時等、内部を隠したいときに扉10を閉めて、収納棚100の開口部103を全閉可能に構成されている。本明細書において、左右方向とは、収納棚100を正面から視た場合の左右を言い、前後方向とは、左右方向に直交し、収納棚の前面と後ろ側の背面を結ぶ方向と言う。前後については、前を手前、後ろを奥と言う場合もある。
【0008】
収納棚100は、一対の側板101と、天板102と、開口部103と、戸枠としての上桟104と、収納部105と、扉10と、を有し、背面は台所等の居室の壁に面して配置される。収納棚100は、天板102と一対の側板101で囲まれる空間内に、棚板110と、作業用天板120と、キャビネット130と、蒸気製品配置部140と、蒸気排出ユニット150と、を有する。
【0009】
一対の側板101は、収納棚100の正面視における左右方向に配置される略長方形の板である。一対の側板101は、収納棚100の左右方向の一方及び他方に配置される。
側板101は、短手方向が収納棚100の前後方向に延び、長手方向が上下に延びるように配置される。
【0010】
天板102は、一対の側板101の間の上端に配置される略長方形の板である。天板102は長手方向が収納棚100の左右方向に、短手方向が収納棚100の前後方向に延びるように配置される。
【0011】
上桟104は、開口部103の上方で天板102の前端に配置され、左右方向に延びる長尺の型材である。上桟104と、一対の側板101で囲まれた空間の上面に天板102が配置される。
【0012】
開口部103は、収納棚100の前面に形成され、一対の側板101及び上桟104で形成される三方の戸枠と、台所の床等の底面によって囲まれた開放部により構成される。開口部103は、扉10によって開閉される。開口部103は、収納棚100の内部と、台所との隣接する二つの空間の境界に設けられている。
【0013】
収納部105は、収納棚100の左右方向の両側に位置する、物品を収納可能な棚である。収納部105は、左側収納部1051と、右側収納部1052とを有する。左側収納部1051は、図1中左側に配置され、収納棚100内の他の空間と仕切られている。独立した収納部105は、図中左側の側板101aに対向して配置される収納部側板105a、105bを有する。収納部側板105a、105bは、二重になっていて、内側の収納部側板105aには、後述する扉10の下端部が接続されており、外側の収納部側板105bは、側板101bと対向して内部に収納空間106を形成している。
【0014】
図2は、扉10の一部を省略して示している。図2に示すように、右側収納部1052は、前面側は閉じていて開閉されない。右側収納部1052の内部は、右側の側板101bの内側に向かって開放されている。右側収納部1052は、上下方向に空間を仕切る複数の棚板1052aを有し、棚板1052aの一つが、後述する作業用天板120の幅方向の側面と面一になるように配置されている。
【0015】
棚板110は、その上に食料品や調理器具等の物を配置可能な板である。棚板110は、一対の側板101及び扉10の内側の収納空間106に配置され、左右方向に沿って延びるように配置される長方形の板材である。棚板110の用途、上に載せる物の種類等によって棚板110の寸法や配置は適宜変更されてよい。棚板110は、前後方向の長さが異なっていてもよく、左右方向の幅が異なっていてもよい。棚板110の背面には、背板111が配置される。図2に示すように、棚板110は、背板111に位置を自由に変更可能な支持材112を取付け、その上に載せるようにして配置されてよい。
【0016】
作業用天板120は、収納棚100の上下方向における中央よりも下方に配置され、略長方形の板材である。作業用天板120は、収納棚100内の収納空間106に配置され、床等の底面から所定高さの位置で略水平方向に延びる。作業用天板120は、収納棚100の前面から背面まで延びる前後方向の長さを有する。作業用天板120は、左側収納部1051及び右側収納部1052の間に延びる左右方向の長さを有する。図1に示すように、作業用天板120は、左側収納部1051の外側の収納部側板105bと、右側収納部1052の棚板1052aの内側の端部の間に、収納棚100の開口部103の前方から内側へ挿入可能な左右方向の寸法を有する。
【0017】
作業用天板120の前端は、後述する扉10を閉じた状態で、扉10の裏面の近傍に位置する。すなわち、扉10の裏面のすぐ後ろに、作業用天板120の前端が位置する。近傍とは、扉10の裏面が作業用天板120の前端に対向し、前端に対して近接していること、及び、前端と扉10の裏面との間には、閉じた際に接触して衝撃が生じない程度の間隔があることを意味する。作業用天板120は、一対の側板101や後述するキャビネット130に対して着脱可能な板材であり、交換可能である。図1及び図2に示すように、作業用天板120は、収納棚100の使用者が、調理等の作業可能な台として使用可能であり、例えば調理途中の食材を置いたり、調理を行ったりすることができる。作業用天板120の上部は開放されたスペースとなっている。作業用天板120の上には、電子レンジ95等の家電製品を置いてもよい。
【0018】
キャビネット130は、作業用天板120の下に配置される物品を収納可能な棚である。キャビネット130は、一対の側板131と、天板132と、底面部133と、棚板134と、引出135とを有する。図1及び図2に示すように、一対の側板131、天板132、底面部133で区画された開口の内部に幅方向に複数の棚板134が設けられ、棚板134と棚板134の間に前後に引出可能な箱状の引出135が配置されている。キャビネット130の天板132の上に、作業用天板120が載せられている。キャビネット130の天板132によって、作業用天板120が支持されている。キャビネット130の数や形状、大きさ等は、適宜変更してよい。
【0019】
蒸気製品配置部140は、キャビネット130に隣接して、作業用天板120の下に配置される棚である。蒸気製品配置部140は、キャビネット130と同じ高さを有する。蒸気製品配置部140は、蒸気製品9を配置可能な棚である。蒸気製品9とは、例えば電気ポット91や炊飯器92等の、作動中に蒸気を噴出する家電製品である。蒸気製品配置部140は、キャビネット130とともに作業用天板120を支持する。図3は、収納棚100の部分縦断面図であり、扉10は省略して示されている。図3に示すように、蒸気製品配置部140は、一対の側板141と、天板142と、底面部143と、棚板144と、を有する。天板142には、後述する蒸気排出ユニット150が設けられる。蒸気製品配置部140は、一対の側板141、天板142及び底面部143で区画された開口の内部に幅方向に一枚の棚板144が設けられ、前方は開放されている。
【0020】
蒸気排出ユニット150は、蒸気製品配置部140の上方に配置され、蒸気製品配置部140に配置された蒸気製品9から排出される蒸気を収納棚100の内部から外部へ排出するユニットである。蒸気排出ユニット150は、蒸気吸入部151と、蒸気吸入口152と、ファン153と、蒸気排出口154と、検知部155と、制御部156と、を有する。
【0021】
蒸気吸入部151は、蒸気製品配置部140の天板142の下方に設けられた薄い箱状に区切られた空間である。蒸気吸入部151は、蒸気製品配置部140の天板142の下面と、一対の側板141の上部側と、底面部151aと、前面部151bと、背面部151cと、により区画される。蒸気吸入部151は、蒸気製品配置部140の天板142に対向する板状の底面部151aが天板142から間を空けて配置されることにより形成された空間である。底面部151aは、蒸気がかかっても劣化しにくい素材で構成される。前面部151b及び背面部151cは、底面部151aと天板142との間を塞ぐ板であり、その一部に後述する蒸気排出口154が配置される。背面部151cは、前面部151bに対向する面である。
【0022】
蒸気吸入口152は、蒸気吸入部151の底面部151aに形成された複数の貫通孔である。蒸気吸入口152より、蒸気製品9から排出された蒸気が蒸気吸入部151内へ入る。
【0023】
ファン153は、蒸気吸入部151に配置され、羽根を回転されることで蒸気を吸引するとともに排出する送風機である。ファン153は、図示を省略するモータによって回転される。
【0024】
蒸気排出口154は、蒸気吸入部151の前面部151bに形成される開口部である。蒸気排出口154は、ファン153が回転することで送られる蒸気の流れの下流側に配置される。
【0025】
検知部155は、蒸気吸入部151内に配置されるセンサであり、収納棚100に流れる電流を検出する電流検出器である。検知部155は、予め設定された閾値を越えた電流を検知した場合に、信号を制御部156へ送るように構成されている。すなわち、蒸気製品9を可動させると、電流が急激に増加する。この急激な増加を検知することで、電気ポット91や炊飯器92等が作動したことを検知する。
【0026】
制御部156は、検知部155からの信号を受信して、ファン153を回転させる。制御部156は、ファン153の起動後、予め定められた一定時間回転させる。
【0027】
扉10は、開口部103に設けられる複数の戸板11を有する。戸板11は、上下方向が開口部103の上下方向を塞ぐに足る長さを有し、左右方向に短い板材により構成される。扉10全体の軽量化を図るため、各戸板11は、例えばMDF合板のような軽量な板材にアルミ等の補強の桟を短手方向に渡して形成されている。図1に示すように、戸板11は、収納棚100の左側では、左側収納部1051を開閉するように左側の側板101aに吊り込まれている。開口部103の左右方向の中央寄りでは、複数の戸板11が連結された折戸2が配置される。折戸2は、複数の戸板11と、複数の戸板11を折れ畳み可能に連結する開閉機構20と、を有する。本明細書において、複数の戸板11のうち、折戸2を開閉する開閉機構20が、隣接する戸板11同士の面のずれを調整する面段差調整機構3を有する装置を折戸装置1とする。折戸装置1については、後述する。
【0028】
図1及び図2に示すように、折戸2を構成する戸板11には、扉側蒸気排出口157を含む通気口12と、指挟み防止機構4が設けられている。
【0029】
通気口12は、戸板11の上下方向の略中央部から下方寄りに、戸板11の幅方向に沿って配置される。通気口12は、戸板11の外側と、収納棚100の内側との間の空気の流通を可能にする貫通孔である。通気口12には、戸板11の幅方向に沿って長く、戸板11の前後方向に延びる幅の細い板が複数配置される。通気口12のうち、蒸気排出ユニット150における蒸気排出口154の前面に位置する通気口12が、扉側蒸気排出口157を構成する。すなわち、通気口12のうちの扉側蒸気排出口157は、扉10に設けられ、扉10を閉じた状態で蒸気排出口154の前に位置するように配置される。そして、蒸気製品9が作動して蒸気を排出すると、ファン153が回転して蒸気排出口154から蒸気が排出される。排出された蒸気は、扉側蒸気排出口157を通って収納棚100の外側へ排出される。
【0030】
指挟み防止機構4は、指挟み防止側板40を有する。指挟み防止側板40は、折戸2を構成する複数の戸板11のうちの一方の戸板11と、この一方の戸板11に隣接する他方の戸板11との対向する側部に設けられる。指挟み防止側板40は、戸板11の幅方向の両端で、上下方向に延びるように設けられる。指挟み防止側板40は、側面視で略L字形状を有し、戸板保持部41と、延出部42と、突出部43と、を有する。
【0031】
戸板保持部41は、略L字形状の短い辺の部分であり、戸板11の厚さ方向に設けられる。戸板保持部41は、戸板11を挟持するように戸板11の側部に取り付けられる。延出部42は、戸板保持部41における戸板11の厚さ方向の背面側(収納棚100の内部側)から延出し、戸板11の左右方向に延びる部分である。図4Aに示すように、指挟み防止側板40は、折戸2が閉じられた状態で、隣接する戸板11同士の奥側で、隣接する一方の戸板11の延出部42と、他方の戸板11の延出部42とが隣接するように取り付けられる。
【0032】
延出部42が戸板11の背面側で隣接し、前面側には形成されていない。図2のように折戸2が折り畳まれた状態では、隣接する戸板11は重なっている。戸板11が重なって折戸2が開いた状態から閉じる状態へ移動する際、図4Bに示すように、隣接する戸板11同士の側部の隙間が狭くなっていく。折戸2が開ききったとき、図4Aに示すように、戸板11の背面側で隣接する戸板11の延出部42同士が繋がり、手前に空間Sが形成される。延出部42の手前の空間Sにより、使用者の指が挟まれることが防止される。このように、指挟み防止機構4は、指挟み防止側板40の戸板保持部41及び延出部42により構成される。
【0033】
突出部43は、戸板保持部41の前面側(収納棚100の外側)の端部から、折戸2を閉じた状態で隣接する戸板11に向かって突出する突起である。突出部43は、指挟み防止側板40の上下方向に沿って形成される。突出部43は、折戸2の開閉の際に指を掛ける指掛け部となり、指を挟むことなく戸板11の側部に力をかけることができる。
【0034】
次に、折戸装置1について説明する。図1及び図2において、図中の左側にのみ本実施形態の折戸装置1が設けられているが、右側にも設けられてよい。折戸装置1は、上桟104に設けられて折戸2を有する。
【0035】
折戸2は、上桟104及び一対の側板101内に形成される開口部103を開閉する。折戸2は、図5に示すように、第1戸板21と、第2戸板22と、第1戸板接続部23と、第2戸板接続部24と、連結部25と、アーム26と、リンク部材27と、軸部28と、面段差調整機構3と、を有する。
【0036】
第1戸板21は、複数の戸板11のうち、折戸2を構成する戸板11の一部である。第1戸板21は折戸2の吊元側に位置する戸板11である。第1戸板21は、収納棚100の左側収納部1051を開閉する戸板11に隣接する位置に配置される。
【0037】
第2戸板22は、複数の戸板11のうち、折戸2を構成する戸板11の一部である。第2戸板22は第1戸板21に隣接し、第1戸板21に連結される戸板11である。
【0038】
第1戸板接続部23は、図5及び図6Bに示すように、第1戸板21に取り付けられる金具である。第1戸板接続部23は、第1戸板21の上面及び下面に取り付けられる薄い板状の形状を有し、第1戸板21の厚さ方向の寸法と略同じ幅を有する。第1戸板接続部23は、第1戸板21を上桟104及び第2戸板22に接続するための部材である。第1戸板接続部23は、吊元側第1戸板接続部231と、第2戸板側第1戸板接続部232と、を有する。
【0039】
吊元側第1戸板接続部231は、第1戸板21の吊元側の端部の上面及び下面に取り付けられる。図5に示すように、戸板11の上面側に取り付けられる吊元側第1戸板接続部231aは、後述する軸部28に接続されるとともに、上桟104に接続される。図6Bに示すように、戸板11の下面側に取り付けられる吊元側第1戸板接続部231bは、後述する軸部28に接続されるとともに左側収納部1051の収納部側板105aの下端に接続される。
【0040】
第2戸板側第1戸板接続部232は、図5に示すように、第1戸板21における吊元側第1戸板接続部231と反対側の端部の上面及び下面に取り付けられる。第2戸板側第1戸板接続部232は、後述する第2戸板接続部24と連結される。
【0041】
第2戸板接続部24は、第2戸板22に取り付けられる金具である。第2戸板接続部24は、第2戸板22の上面及び下面に取り付けられる薄い板状の形状を有し、第2戸板22の厚さ方向の寸法と略同じ幅を有する。第2戸板接続部24は、第1戸板側第2戸板接続部241と、アーム取付部242と、を有する。第1戸板側第2戸板接続部241は、第2戸板22における第1戸板21側の端部の上面及び下面に取り付けられる。第1戸板側第2戸板接続部241は、第2戸板側第1戸板接続部232と端部が合わさるように重ねられ、第1戸板接続部23と接続される。アーム取付部242は、第2戸板22の上面で第1戸板側第2戸板接続部241から離間した位置に取り付けられる。アーム取付部242は、後述するアーム26を回転可能に連結する金具である。
【0042】
連結部25は、第1戸板接続部23及び第2戸板接続部24を連結する円柱状のピンにより構成される。連結部25は、回転可能なピボットヒンジであり、第2戸板側第1戸板接続部232と第1戸板側第2戸板接続部241とを重ね合わせた部分を貫通するように配置される。連結部25は、第1戸板21の端部と第2戸板22の端部とを、2枚の戸板11が折り畳み可能となるように連結する。
【0043】
アーム26は、細長い板状部材である。アーム26は、一端が第2戸板接続部24のアーム取付部242に回転可能に接続される。アーム26の他端は、吊元側第1戸板接続部231から離間した位置で、上桟104に回転可能に接続される。アーム26は、第2戸板22を上桟104に接続する。アーム26は、第1戸板21の上面と略平行に取り付けられる。第1戸板21及び第2戸板22が180度開いた状態のときに、アーム26は、第2戸板22の上面に重なるように移動する。アーム26は、第1戸板21と第2戸板22の開閉移動の姿勢を安定させるために取り付けられる。
【0044】
リンク部材27は、第1戸板21の上面と、アーム26とを連結する細長い板状の金具である。リンク部材27は、第1リンク部材271と、第2リンク部材272と、を有する。第1リンク部材271は、吊元側第1戸板接続部231と、アーム26の上桟104側とを回転可能に接続する。第2リンク部材272は、第1戸板21の上面で第1リンク部材271から離して配置される。第2リンク部材272は、第2戸板側第1戸板接続部232と、アーム26の第2戸板22側とを回転可能に接続する。リンク部材27が第1戸板21と第2戸板22に連結されたアーム26とを接続することで、折り畳みの動作をする際に、安定して第2戸板22が手前側に向かって山となるように折り畳まれるようになる。
【0045】
軸部28は、収納棚100の上端側及び下端側に取り付けられ、第1戸板21を上桟104に接続し、第1戸板21を回転可能に支持する。軸部28は、上部軸部281と、下部軸部282と、アーム軸部283と、を有する。
【0046】
上部軸部281は、上桟104に接続される。詳細には、上部軸部281は、後述する面段差調整機構3に設けられており(図7C参照)、面段差調整機構3が上桟104に固定されることで、面段差調整機構3を介して上桟104に接続される。上部軸部281は、吊元側第1戸板接続部231を貫通して第1戸板21の上面に接続される。
【0047】
下部軸部282は、収納部105の収納部側板105aにおける前端部に取り付けられる。下部軸部282は、上部軸部281とともに、第1戸板21を回転可能に支持するほか、第1戸板21及び第2戸板22の荷重を受けて支持する部材である。図6Aに示すように、下部軸部282は、取付面2821と、支持面2822と、軸2823とを有する。
【0048】
取付面2821は、収納部側板105aの下端における前面に取り付けられる略四角形状の板面である。取付面2821の下端は、床等の設置面に接する。
【0049】
支持面2822は、取付面2821に対して直交する略水平方向に延びる平たい板材であり、第1戸板21の荷重を受けている。支持面2822は、左部分2822aと、右部分2822bと、三角部分2822cと、を有する。左部分2822aは、収納棚100の正面視で左に延び、左側収納部1051の底板の裏に固定されている。右部分2822bは、第1戸板21が開かれている間は、床から浮いた状態である。第1戸板21を閉じると、右部分2822bは、第1戸板21に接続された吊元側第1戸板接続部231bの下面に当接する。三角部分2822cは、左部分2822aと右部分2822bの間に位置して手前側へ突出する突出端2822dを有する三角形状に形成される。
【0050】
軸2823は、三角部分2822cの突出端2822dの上に配置される。軸2823は、上方に突出する円柱部である。軸2823は、第1戸板21の下面及び吊元側第1戸板接続部231bを貫通するように取り付けられる。
【0051】
アーム軸部283は、図5に示すように、アーム26の第1戸板21側の端部を上桟104に回転可能に取り付ける金具である。アーム軸部283は、円柱状のピンであり、後述する面段差調整機構3の前後方向調整板32に形成された貫通孔322bに挿通される。アーム軸部283によって、アーム26が、面段差調整機構3に連結されている。
【0052】
面段差調整機構3は、第1戸板21及び第2戸板22が連結されて開閉される際に、折戸2を閉じた状態における第1戸板21の面及び第2戸板22の面の間の位置を調整する機構である。より具体的には、面段差調整機構3は、第1戸板21の面及び第2戸板22の面の位置ずれを緩和するように調整する。面段差調整機構3は、左右方向調整板31と、前後方向調整板32と、を有する。
【0053】
左右方向調整板31は、図7Aに示すように、長方形の薄い板材である。左右方向調整板31は、長手方向が収納棚100の左右方向に沿うように配置され、上桟104の下面に固定される。左右方向調整板31は、長孔310を有する。長孔310は、左右方向調整板31が上桟104に固定された状態で開口部103の左右方向に長く延びる。長孔310は、左右方向調整板31の長手方向の両端部において一方側に2つ、他方側に2つ、それぞれ取り付けられた状態で収納棚100の前方と後方に間を空けて配置される。
【0054】
前後方向調整板32は、図7Bに示すように、略長方形の薄い板材である。前後方向調整板32は、長手方向が収納棚100の左右方向に沿うように配置され、左右方向調整板31の下面に取り付けられる。前後方向調整板32は、左右方向調整板31を介して上桟104の下面に固定される。前後方向調整板32は、面段差調整機構3を構成する長孔320と、上部軸部配置部321と、アーム軸部配置部322と、を有する。
【0055】
長孔320は、前後方向調整板32が上桟104に固定された状態で開口部103の前後方向に長く延びる。長孔320は、前後方向調整板32の長手方向の両端部において一方側に2つ、他方側に2つ、また、長手方向の一方側の端部から、後述する上部軸部配置部321を挟んだ位置に2つ、計6つ配置される。それぞれ、取り付けられた状態で収納棚100の前方と後方に間を空けて配置される。
【0056】
上部軸部配置部321は、図7Cに示すように、前後方向調整板32の一方側の端部から内側で、下方に向かって突出するように屈曲した部分である。上部軸部配置部321は、下方に向かって突出した最も低い位置に平坦な底面部321aが形成され、底面部321aの裏面から上部軸部281が下方に突出するように設けられている。
【0057】
アーム軸部配置部322は、前後方向調整板32の他方側の端部に配置され、図7Cに示すように、下方に向かって突出するように屈曲した部分である。アーム軸部配置部322は、図7Bに示すように、前方に向かって前後方向調整板32から突出する突出部322aを有し、突出部322aには、貫通孔322bが形成される。突出部322aとアーム26の端部とを重ね、貫通孔322bにアーム軸部283を挿通させることでアーム26が回転可能に取り付けられる。
【0058】
第1戸板21は上部軸部281に連結され、第2戸板22はアーム軸部283に連結されて、上部軸部281及びアーム軸部283が上桟104に取り付けられる。上部軸部281は前後方向調整板32の上部軸部配置部321に配置され、アーム軸部283は、前後方向調整板32のアーム軸部配置部322に配置されている。
【0059】
面段差調整機構3による第1戸板21と第2戸板22の面の調整方法について説明する。前後方向調整板32は、左右方向調整板31を介して上桟104に固定されている。ここで、左右方向調整板31及び前後方向調整板32を上桟104に固定する際に、左右方向調整板31では、左右に長い長孔310の中で、上桟104に固定するためのビスの位置を調整する。長孔310は、左右方向調整板31の左側及び右側に配置されているので、図中、左側の長孔310内でビスの位置を調整すれば、上部軸部281の左右方向の位置が調整され、右側の長孔310内でビスの位置を調整すれば、アーム軸部283の左右方向の位置が調整される。同様に、前後方向調整板32では、前後に長い長孔320の中で固定するビスの位置を調整する。図中、左側の長孔320内でビスの位置を調整すれば、上部軸部281の前後方向の位置が調整され、右側の長孔320内でビスの位置を調整すれば、アーム軸部283の前後方向の位置が調整される。調整は、ビスを緩めてちょうどよい位置にずらして、再度固定することで行われる。このような微調整を行うことにより、上部軸部281及びアーム軸部283の位置を変更することができる。上部軸部281及びアーム軸部283の位置を調整することにより、これに伴って第1戸板21及び第2戸板22の位置が調整される。こうして扉10を閉じた状態における第1戸板21及び第2戸板22表面の前後方向の段差が小さくなるように調整する。
【0060】
これらの第1戸板接続部23、第2戸板接続部24、連結部25、アーム26、リンク部材27、軸部28及び面段差調整機構3により、第1戸板21及び第2戸板22の上面を略平行四辺形の形状に繋ぎ、第1戸板21及び第2戸板を開閉可能な開閉機構20が構成される。
【0061】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。収納棚100を、天板102と、一対の側板101と、前面に形成される開口部103を開閉する扉10と、を含んで構成した。収納棚100を、扉10の内側の収納空間に配置される複数の棚板110と、収納空間に配置され、使用者が作業可能な作業用天板120と、を含んで構成した。収納棚100の内部に作業用天板120が配置されているので、作業用天板120の上で調理等の作業ができる。作業の途中であっても扉を閉めることで収納棚の内部が隠蔽されるので、収納棚100の周囲の空間の美観を向上させることができる。
【0062】
本実施形態によれば、作業用天板120を支持するとともに、物品を収納可能なキャビネット130を含んで構成した。作業用天板120の下にキャビネット130を配置することで、作業用天板120の上に重い家電製品を載せたり、例えば体重をかけて調理したりする等を行っても、十分に荷重に耐えることができる。
【0063】
本実施形態によれば、作業用天板120を、収納空間の開口部103から内側へ挿入可能な寸法を有し、着脱可能な板材で構成した。作業用天板120が開口部103から内側へ挿入可能な寸法を有していることで、交換や設置が容易になる。
【0064】
本実施形態によれば、蒸気を噴出する蒸気製品9を配置可能な蒸気製品配置部140と、蒸気製品配置部140の上方に配置される蒸気排出ユニット150と、扉10に設けられ、閉じた状態で蒸気排出ユニット150の前面に位置する扉側蒸気排出口157と、を有含んで構成した。収納棚100の扉10に、閉じた状態で蒸気排出ユニット150の前面に扉側蒸気排出口157が位置している。扉側蒸気排出口157は通気口であるので、扉10を閉じた状態でも蒸気製品配置部140に配置した蒸気製品9を使用することができる。
【0065】
本実施形態によれば、作業用天板120の前端を、扉10を閉じた状態の扉10の裏面の近傍に位置させた。これにより、扉10を閉じた状態で、作業用天板120の前端に扉10を当てることができ、扉10が収納棚100の内側へ動くことを抑制できる。
【0066】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0067】
図8は、第2実施形態における収納棚100Aの部分斜視図である。図8に示すように、収納棚100Aの棚板110の前端には、照明装置6が設けられていてもよい。照明装置6の形状は限定されないが、LED電球61を収納した細長いケース62を、棚板110の前端側に配置してもよい。棚板110に照明装置6を配置することで、収納棚100A内部での作業をする際、手元を明るく照らすことができ、作業が容易になる。
【0068】
図9は、第3実施形態における収納棚100Bの模式図である。上記の実施形態では、作業用天板120が戸板11のすぐ裏面に位置している。しかし、作業用天板120Bは、前端が扉10を閉じた状態の扉10の裏面よりも開口部103の内側に位置していてもよい。これにより、戸板11の裏面と作業用天板120Bとの間に作業空間が形成され、使用者がより収納棚の奥へ進んで作業を行うことが可能になる。収納棚100の周囲での作業スペースをコンパクトにすることが可能になる。図9では、作業用天板120Bが略L字状に形成され、作業用天板120Bの右側の端部が右側収納部1052の棚板1052aと連続して略コ字状の作業台が形成されている。作業用天板の形状は限定されず、作業用天板自体が略コ字状の形状をしていてもよく、湾曲していてもよい。
【0069】
他の実施形態として、折戸装置1Cは、ソフトクローズ機構を備えてもよい。図示を省略するが、ソフトクローズ機構は、戸板を開口部側へ引き寄せるばね等の付勢部材と、折戸が上桟に当たる際の戸板の勢いを減衰するダンパと、ダンパを押圧するダンパ押圧部を含んでよい。
【0070】
折戸が開ききる際、閉じる直前に、ダンパ押圧部がダンパを押圧するように構成することで、折戸の開け閉めの際に、戸体が上桟等に金具が当たる衝撃音が発することを防止することができる。ソフトクローズ機構を有することにより、折戸装置1Cの開閉による衝撃音の発生や振動を防止することができる。
【0071】
例えば、収納棚100は、台所に配置される棚を例に説明した。しかし、収納棚は、書斎やリビングに配置されていてもよい。
【0072】
作業用天板120は、左側収納部1051の収納部側板105bと、右側収納部1052の棚板1052aの間に挿入可能な寸法を有するものを例に説明した。しかし、作業用天板120は、収納空間106内に配置可能であれば、寸法や形状は変更可能である。
【0073】
本明細書において戸枠とは、一対の側板101及び上桟104で構成される枠を言い、折戸2を取り付ける枠として特に上桟104を例に説明した。しかし、戸枠は、折戸を取り付ける開口部に形成される枠状のものであれば、特に限定されない。例えば、台所の調理空間とリビングの間の開口部等、用途の異なる空間同士の境界の開口部に設けられてもよい。三方が型材で囲まれたものであってもよく、部屋と部屋の間の壁や仕切りで構成されていてもよい。
【0074】
上記実施形態において、キャビネット130は、底面部133を有するものとして説明した。しかし、底面部133を有さずに、床等の設置面が露出し、下方に向かって開放した下向きのコの字型のキャビネットであってもよい。キャビネットの詳細な構成は限定されない。
【符号の説明】
【0075】
6 照明装置、 10 扉、 100 収納棚、 101 一対の側板、 102 天板、 103 開口部、 106 収納空間、 110 棚板、 120 作業用天板、 130 キャビネット、 140 蒸気製品配置部、 150 蒸気排出ユニット、 157 扉側蒸気排出口
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9