(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】食品用包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20241205BHJP
B65D 65/10 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B65D85/50 140
B65D65/10 A
(21)【出願番号】P 2021046790
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2024-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-008298(JP,A)
【文献】特開2018-033400(JP,A)
【文献】特開2009-083927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 65/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向と交差する第2方向に分離可能な外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、第1方向に沿って内側部同士の重ね合わせ部を有しかつ外シートと同方向に分離可能な一対の内シート片で構成される内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される食品用包装材であって、
重ね合わせ部は、
接合されず、内側部の内面又は外面の同一面同士が対向しかつ一方の内シート片に沿うように設けられ、
内シートは、一方の内シート片
に外側部側にて接合されて重ね合わせ部を覆う被覆片
であって、一対の内シート片の内側部が被覆片の内側において接合部による被覆片の閉止側を向くように、かつ、一対の内シート片の内側縁が被覆片の内側縁から被覆片の遊離片部分の幅の15%の位置の線よりも被覆片の閉止側に位置するように設けられる被覆片を備える
食品用包装材。
【請求項2】
被覆片は、一対の内シート片の内側縁が被覆片の内側縁から被覆片の遊離片部分の幅の30%の位置の線よりも被覆片の閉止側に位置するように設けられる
請求項1に記載の食品用包装材。
【請求項3】
被覆片は、一対の内シート片の内側縁が被覆片の内側縁から被覆片の遊離片部分の幅の50%の位置の線よりも被覆片の閉止側に位置するように設けられる
請求項1に記載の食品用包装材。
【請求項4】
被覆片は、内側縁が一方の内シート片の折返し縁よりも外方に位置するように設けられる
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の食品用包装材。
【請求項5】
被覆片は、内側縁が一方の内シート片の折返し縁と一致するように設けられる
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の食品用包装材。
【請求項6】
外シートは、第1方向の一端から他端にかけて波形でかつ互いに交差する一対の開封用条体を備え、
一対の開封用条体は、重ね合わせ部と配置が重なるとともに、二箇所で交差することで、外シートの第1方向の一端から他端側に、第1幅広部と、第1幅広部よりも第1方向における長さが長くかつ第1幅広部よりも幅が広い第2幅広部とを備え、
重ね合わせ部は、一方の内シート片に沿う状態で、第2幅広部の最大幅内に位置する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の食品用包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を包装するための食品用包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
正面形状が三角形状(主として正三角形状)で、所定の厚みを有する立体形状に仕上げられた三角おにぎり等の米飯加工食品等の食品を包装するための食品用包装材は、長手方向の一端から他端にかけて開封用条体を有して開封用条体により一対の外シート片に分断される外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、長手方向に沿って内側部同士の重ね合わせ部を有する一対の内シート片で構成される内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される形態が一般的である。
【0003】
この種の食品用包装材においては、食品の水分が内シート片の重ね合わせ部の間を通ってシート状食品に影響を及ぼすという懸念(シート状食品が海苔の場合は、海苔が湿気るという懸念)がある。このため、この種の食品用包装材においては、包装に供された状態において、内シート片の重ね合わせ部の気密性を向上させることを目的として、重ね合わせ部を覆う被覆片を設け、重ね合わせ部において、一方の内シート片の内側部を他方の内シート片の内側部と被覆片とで挟み込む構成を採用することがある(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-345695号公報
【文献】特開2005-021155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら特許文献に記載された食品用包装材においては、一方の内シート片の内側部は、食品用包装材の幅方向の一方を向き、他方の内シート片の内側部は、食品用包装材の幅方向の他方を向き、一対の内シート片の内側部は、向きが逆となるように重ね合わせられる。このため、これら特許文献に記載された食品用包装材においては、食品を包装するにあたり、食品を挟んで食品用包装材を長手方向に二つ折りにする際、内シート片の重ね合わせ部においてシワが発生しやすいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、折り曲げても一対の内シート片の重ね合わせ部においてシワが発生しにくく、かつ、重ね合わせ部を高気密に保つことができる食品用包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る食品用包装材は、
第1方向と交差する第2方向に分離可能な外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、第1方向に沿って内側部同士の重ね合わせ部を有しかつ外シートと同方向に分離可能な一対の内シート片で構成される内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される食品用包装材であって、
重ね合わせ部は、接合されず、内側部の内面又は外面の同一面同士が対向しかつ一方の内シート片に沿うように設けられ、
内シートは、一方の内シート片に外側部側にて接合されて重ね合わせ部を覆う被覆片であって、一対の内シート片の内側部が被覆片の内側において接合部による被覆片の閉止側を向くように、かつ、一対の内シート片の内側縁が被覆片の内側縁から被覆片の遊離片部分の幅の15%の位置の線よりも被覆片の閉止側に位置するように設けられる被覆片を備える
食品用包装材である。
【0008】
ここで、本発明に係る食品用包装材の一態様として、
被覆片は、一対の内シート片の内側縁が被覆片の内側縁から被覆片の遊離片部分の幅の30%の位置の線よりも被覆片の閉止側に位置するように設けられる
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る食品用包装材の一態様として、
被覆片は、一対の内シート片の内側縁が被覆片の内側縁から被覆片の遊離片部分の幅の50%の位置の線よりも被覆片の閉止側に位置するように設けられる
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る食品用包装材の一態様として、
被覆片は、内側縁が一方の内シート片の折返し縁よりも外方に位置するように設けられる
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る食品用包装材の一態様として、
被覆片は、内側縁が一方の内シート片の折返し縁と一致するように設けられる
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る食品用包装材の一態様として、
外シートは、第1方向の一端から他端にかけて波形でかつ互いに交差する一対の開封用条体を備え、
一対の開封用条体は、重ね合わせ部と配置が重なるとともに、二箇所で交差することで、外シートの第1方向の一端から他端側に、第1幅広部と、第1幅広部よりも第1方向における長さが長くかつ第1幅広部よりも幅が広い第2幅広部とを備え、
重ね合わせ部は、一方の内シート片に沿う状態で、第2幅広部の最大幅内に位置する
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明に係る食品用包装材によれば、一対の内シート片の内側部は、同じ方向を向き、同じ向きに重ね合わせられる。このため、本発明に係る食品用包装材によれば、折り曲げても一対の内シート片の重ね合わせ部においてシワが発生しにくい。
【0010】
また、本発明に係る食品用包装材によれば、重ね合わせ部は、被覆片により覆われる。このため、本発明に係る食品用包装材によれば、重ね合わせ部を高気密に保つことができる。しかも、重ね合わせ部においてシワが発生しないことにより、重ね合わせ部をさらに高気密に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る食品用包装材の分解斜視図である。
【
図5】
図5(a)ないし(c)は、食品用包装材を用いて食品を包装する過程の斜視図である。
【
図6】
図6(a)ないし(c)は、
図5の続きの斜視図である。
【
図7】
図7(a)は、食品用包装材により包装された食品包装体の正面図であり、
図7(b)は、食品包装体の背面図である。
【
図8】
図8(a)ないし(d)は、食品包装体を開封する過程の要部拡大断面図である。
【
図9】
図9(a)は、他実施形態1に係る食品用包装材の、
図2のB-B線に相当する断面図であり、
図9(b)は、
図9(a)のD部拡大図である。
【
図10】
図10(a)は、他実施形態2に係る食品用包装材の、
図2のB-B線に相当する断面図であり、
図10(b)は、
図10(a)のE部拡大図である。
【
図11】
図11は、他実施形態3に係る食品用包装材の外面図である。
【
図12】
図12は、他実施形態3に係る食品用包装材の内面図である。
【
図13】
図13は、他実施形態3に係る食品用包装材により包装された食品包装体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態として、三角おにぎりを挟んで長手方向に二つ折りにすること及び両側の余分なシート片を中心側に折ることにより、三角おにぎりを三角形状に包装する、いわゆる三角包装に用いられる食品用包装材について、
図1ないし
図8を参酌して説明する。
【0013】
図1ないし
図3に示すように、食品用包装材1は、本体10を備える。本体10は、一対のシート(外シート2、内シート3)が、シート状食品4を挟んで重ね合わせられ、シート状食品4を囲むように接合されるものである。一対のシートは、互いに直交する方向の一方が他方よりも長い形状を有する。シート状食品4は、三角おにぎりに巻く海苔等である。一対のシートは、一端10a側及び他端10b側の端部接合部11,11と、両側部の側部接合部12,12とにより、四方が接合、封止される。なお、以下では、上記一方(
図2及び
図3では、上下方向)を「長手方向」又は「第1方向」といい、上記他方(
図2及び
図3では、左右方向)を「幅方向」又は「第2方向」という。
【0014】
外シート2は、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの長方形状(矩形状)を有する。外シート2には、以下に列挙するシートの中からいずれかが選択的に用いられる。
【0015】
シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(フィルム)である。一例として、シートは、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)シート(フィルム)又は無延伸ポリプロピレン(CPP)シート(フィルム)である。あるいは、シートは、積層シート(フィルム)である。積層シート(フィルム)の一形態として、シートは、外面側から順に、基材層、接着層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。接着層として、ドライラミネート、押出しラミネート等が用いられる。樹脂層として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。なお、ポリプロピレンシート(フィルム)とは、純度100%のポリプロピレンシート(フィルム)はもちろんのこと、ポリプロピレンを主成分として、他の成分(たとえばポリエチレンといった他の樹脂成分)を含有するシート(フィルム)も含む概念である。なお、「シート」は、厚みによって定められるものではなく、フィルムを含む概念である(以下、同様)。
【0016】
シートは、紙、未晒しクラフト紙、和紙、混抄紙、合成紙、グラシン紙、紙質又は紙様(これらをまとめて「紙」という。)の、又は、これらを主とするシート(フィルム)である(これらをまとめて「紙シート」(フィルム)という。)。紙は、バイオベースポリエチレンテレフタレート(バイオベースPET、いわゆるバイオPET)を含む紙であってもよい。シートは、必要に応じて、内面側に全面的に又は必要箇所の部分的に熱溶着性を有する。たとえば、シートは、紙を外層とし、プラスチックシート(フィルム)を内層としてラミネートした積層シート(フィルム)である。積層シート(フィルム)の一形態として、シートは、外面側から順に、基材層、接着層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、紙が用いられる。接着層として、ドライラミネート、押出しラミネート等が用いられる。樹脂層として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。一例として、基材層は、坪量が12g/m2程度又は15g/m2程度の紙であり、接着層は、ドライラミネートであり、樹脂層は、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)である。
【0017】
シートは、普通セロハン、防湿セロハン、セロハン質又はセロハン様(これらをまとめて「セロハン」という。)の、又は、これらを主とするシート(フィルム)である(これらをまとめて「セロハンシート」(フィルム)という。)。シートは、必要に応じて、内面側に全面的に又は必要箇所の部分的に熱溶着性を有する。たとえば、シートは、セロハンを外層とし、プラスチックシート(フィルム)を内層としてラミネートした積層シート(フィルム)である。積層シート(フィルム)の一形態として、シートは、外面側から順に、基材層、接着層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、セロハンが用いられる。接着層として、ドライラミネート、押出しラミネート等が用いられる。樹脂層として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。一例として、基材層は、普通セロハン又は防湿セロハンであり、接着層は、ドライラミネートであり、樹脂層は、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)である。
【0018】
外シート2の一端10aには、切込線20が形成される。切込線20は、一対設けられ、幅方向に所定間隔を有して離間する。切込線20は、全切線、半切線(ハーフカット)、ミシン目等により形成される。そして、外シート2の一端10aには、切込線20の形成により、開封起点としての摘み部21が形成される。
【0019】
摘み部21から外シート2の他端10bにかけて、外シート2の内面には、開封用条体22が設けられる。開封用条体22は、細幅の帯状又は線状である。摘み部21を引き下ろすことにより、開封用条体22が所定の幅で外シート2を破断し、外シート2が幅方向(左右)に分離(分割)可能となる。本実施形態においては、開封用条体22は、外シート2の幅方向の中央部に配置される。
【0020】
開封用条体22は、一対設けられる。一対の開封用条体22,22は、外シート2の一端10aから他端10bにかけて、二つの波が形成されるよう、長手方向(本実施形態においては、外シート2の幅方向の中心線)に対して蛇行した形で、外シート2に全長に亘って貼着される。一対の開封用条体22,22は、長手方向に対して線対称に設けられる。これにより、外シート2の一端10aから他端10bにかけて、第1交点22a及び第2交点22bが形成される。一端10aと第1交点22aとの間には、第1幅広部22cが形成される。第1交点22aと第2交点22bとの間には、第2幅広部22dが形成される。本実施形態においては、一対の開封用条体22,22は、外シート2の一端10aから他端10bにかけて、小さい波と大きい波の二つの波が形成されるように、外シート2に貼着される。これにより、第1幅広部22cよりも第2幅広部22dの方が、幅が広く、長手方向における長さが長い。
【0021】
開封用条体22は、外シート2を破断することができる強度を有するたとえばカットテープや糸等である。本実施形態においては、開封用条体22は、カットテープである。カットテープ22は、二軸延伸ポリエステルないしポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(フィルム)を細くカットしたものである。
【0022】
図4(a)は、第1幅広部22cの最大幅を横切る
図2のA-A線における断面図であり、
図4(b)は、第2幅広部22dの最大幅を横切る
図2のB-B線における断面図であり、
図4(c)は、
図4(b)のC部拡大図である。
図4にも示すように、内シート3は、外シート2と同様、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの長方形状(矩形状)を有する。内シート3は、外シート2と同様、上記各種のシートの中からいずれかが選択的に用いられる。一例として、内シート3は、マット処理が施された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)シート(フィルム)である。
【0023】
内シート3は、一対の内シート片(第1内シート片30及び第2内シート片31)を備える。第1内シート片30は、長手方向に長い長方形状(矩形状)を有する。第1内シート片30は、外シート2の幅方向の一方側(本実施形態においては、食品用包装材1の一端10aを上、他端10bを下にして食品用包装材1を正面(外面)から見た場合の右側)に配置される。第2内シート片31は、長手方向に長い長方形状(矩形状)を有する。第2内シート片31は、外シート2の幅方向の他方側(本実施形態においては、食品用包装材1を正面(外面)から見た場合の左側)に配置される。
【0024】
第1内シート片30の内側部30aと第2内シート片31の内側部31aとの重ね合わせにより、重ね合わせ部32が構成される。内シート片30,31の内側部30a,31aは、内面同士が合掌状に重ね合わせられ、内シート3の外側に突出する凸条となり、第2内シート片31の外面に沿うように折り曲げられる。重ね合わせ部32は、内シート3の一端10aから他端10bの全域にわたって形成される。重ね合わせ部32の幅H1は、たとえば、5mm以上、又は10mm以上であって、25mm以下、又は20mm以下である。本実施形態においては、重ね合わせ部32は、内シート3の幅方向の中央部に配置され、開封用条体22,22と配置が重なる。
【0025】
内シート3は、第1内シート片30の内側部30aを覆う被覆片33をさらに備える。被覆片33は、内シート3の幅方向に所定の幅を有して内シート3の長手方向に沿って長尺な帯状である。被覆片33は、内シート片30,31と同様、上記各種のシートの中からいずれかが選択的に用いられる。一例として、被覆片33は、マット処理が施された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)シート(フィルム)又はエンボス加工が施された無延伸ポリプロピレン(CPP)シート(フィルム)である。
【0026】
被覆片33は、内シート3の一端10aから他端10bの全域にわたる長さを有する。被覆片33は、内側部33aが内シート3の一端10aから他端10bの全域にわたって重ね合わせ部32を覆うように、配置される。
【0027】
被覆片33の外側部33bの側縁(すなわち、重ね合わせ部32側の側縁とは反対側の側縁)は、シート状食品4の幅の50%幅のラインL1(すなわち、シート状食品4の幅方向の中心線(食品用包装材1の中心線CLと一致)とシート状食品4の側縁との中間線)よりも内シート3の側縁側に位置する。さらには、被覆片33の外側部33bの側縁は、シート状食品4の幅の65%幅のラインL2よりも内シート3の側縁側に位置する。これにより、被覆片33は、シート状食品4の側縁の近傍に位置する程度に幅広である。
【0028】
被覆片33は、外側部33b側にて第2内シート片31の外面に接合される(接合部34)。被覆片33は、第2内シート片31よりは幅狭である。これにより、被覆片33は、第2内シート片31のうち、側部接合部12よりも内側(すなわち、シート状食品4の収容部に対応する領域)に接合される。接合部34は、被覆片33の外側部33bの側縁に沿って第2内シート片31及び被覆片33を溶着することにより形成される。
【0029】
接合部34は、被覆片33の外側部33bの側縁に沿って形成される。しかし、接合部34は、被覆片33の外側部33bの側縁よりも内側の位置に形成される。これにより、被覆片33の外側部33bの側縁から接合部34までは、非接合部である極細の遊離片33cとなる。
【0030】
ここで、上述のとおり、内シート片30,31の重ね合わせ部32は、第2内シート片31の外面に沿うように折り曲げられ、そして、被覆片33は、第2内シート片31に接合される。このため、内シート片30,31の内側部30a,31aは、同じ方向を向き、同じ向きに重ね合わせられ、しかも、被覆片33の内側において被覆片33の開放側ではなく接合部34による被覆片33の閉止側を向く。
【0031】
内側部30a,31aの内側縁30a1,31a1は、被覆片33の遊離片部分の幅H2の15%幅のラインL3(被覆片33の内側縁33a1から0.15H2の位置を通る線)よりも被覆片33の閉止側に位置する。さらには、内側部30a,31aの内側縁30a1,31a1は、幅H2の30%幅のラインL4(被覆片33の内側縁33a1から0.3H2の位置を通る線)よりも被覆片33の閉止側に位置する。さらには、内側部30a,31aの内側縁30a1,31a1は、幅H2の50%幅のラインL5(被覆片33の内側縁33a1から0.5H2の位置を通る線)よりも被覆片33の閉止側に位置する。
【0032】
図2及び
図3に示すように、端部接合部11は、内シート片30,31の重ね合わせ部32を除き、外シート2及び内シート3の一端10a及び他端10bに沿って外シート2及び内シート3を溶着することにより形成される。側部接合部12は、外シート2及び内シート3の側縁に沿って外シート2及び内シート3を溶着することにより形成される。このようにして構成された本体10の内部がシート状食品4の収容部となる。本実施形態においては、端部接合部11は、それぞれが一端10a及び他端10bに沿って延び、互いに外シート2及び内シート3の長手方向に所定間隔を有して平行する複数の線状ないし細幅の帯状(複数条)の接合部で構成される。また、本実施形態においては、側部接合部12は、帯状の接合部で構成される。そして、本実施形態においては、側部接合部12は、連通部12aを備える。連通部12aは、幅方向に通気可能とするためのもので、長手方向に適宜間隔で複数設けられる。
【0033】
食品用包装材1(本体10)の両側部のうち、長手方向の両端部、すなわち、四隅の角部には、切欠部13が形成される。切欠部13は、食品用包装材1により食品を包装する際の、両側の余分なシート片の一部を切欠部13により無くすことにより、両側の余分なシート片を中心側に折って三角形状にするにあたり、シート片の重なりを少なくするためのものである。
【0034】
切欠部13と食品用包装材1の側縁とが交わる部分から食品用包装材1の側縁の所定範囲にかけて、食品用包装材1の側縁に沿って、易破断部14が形成される。すなわち、食品用包装材1の一端10a側の両側部には、切欠部13と隣接して、易破断部14が形成される。易破断部14は、三角形状の凸部が連続して並ぶ鋸歯状の外縁形状を有する。易破断部14は、各開封用条体22に対応して設けられ、易破断部14から幅方向に食品用包装材1を破断しやすくするためのものである。
【0035】
食品用包装材1は、以上の構成からなる。次に、この食品用包装材1を用いた食品の包装方法について説明する。
【0036】
まず、
図5(a)に示すように、食品用包装材1の内シート3の上に三角おにぎり5が載せられる。このとき、三角おにぎり5が内シート片30,31上に左右均等に載り、かつ、三角おにぎり5の一つの角部(頂角部)が食品用包装材1の一端10a側の摘み部21に向くように、三角おにぎり5が配置される。なお、三角おにぎり5の幅は、シート状食品4の幅とほぼ同じである。
【0037】
次に、同図(b)に示すように、食品用包装材1が、一端10a側とこれに対向する他端10b側を合わせるように長手方向に二つ折りにされ、折った側の部分は、三角おにぎり5の側面(三角形状の斜面)にも沿うように折られる。これにより、食品用包装材1の長手方向の一端10a側半分が三角おにぎり5の正面を覆い、他端10b側半分が三角おにぎり5の背面を覆うとともに、食品用包装材1の両側(左右)のシート片15,15が食品用包装材1の一端10aと他端10bの位置がずれた状態となって余る。
【0038】
そこで、同図(c)に示すように、両側のいずれか一方の余分なシート片15が、折られて、食品用包装材1の、三角おにぎり5の背面を覆っている部分の上に重ねられ、この上に、
図6(a)に示すように、他方の余分なシート片15が、折られて、食品用包装材1の、三角おにぎり5の背面を覆っている部分の上に重ねられる。
【0039】
このとき、三角形状のそれぞれ角部には、食品用包装材1の余分なシート(複数枚のシート2,30,31で構成される)が重なって扁平状となった耳片16が形成される。
【0040】
そして、同図(b)に示すように、両側の余分なシート片15,15の、切欠部13によって互いに重なっていないそれぞれの部分が、食品用包装材1の、三角おにぎり5の背面を覆っている部分にポイントシール等により接合され(接合部17)、食品用包装材1が、三角おにぎり5を包み込んだ状態に固定される。そして、同図(c)に示すように、この上に、ラベル6が貼着される。
【0041】
以上の工程を経て、
図7に示すように、食品包装体が完成する。この状態において、開封用条体22,22の第1交点22aは、食品包装体の正面に配置され、開封用条体22,22の第2交点22bは、食品包装体の背面のうち、開封用条体22,22による開封終点領域に配置される。すなわち、第1幅広部22cは、開封用条体22,22による開封起点(食品用包装材1の一端10a)から食品包装体の正面の中央領域まで配置され、第2幅広部22dは、食品包装体の正面の中央領域から食品包装体の背面の長手方向に亘って開封用条体22,22による開封終点(食品用包装材1の他端10b)領域まで配置され、第2幅広部22dの最大幅の部分は、三角形状の底辺に相当する食品包装体の底部ないし底部の近傍に配置される。
【0042】
かかる構成によれば、開封起点としての摘み部21は、広すぎず狭すぎない第1幅広部22cにより、適正な幅となり、摘まみやすいものとなる。また、かかる構成によれば、第2幅広部22dは、食品包装体の、底部に向かうほど広がっていき、底部から離れるほど狭まっていく形状に対応した配置となる。このため、食品包装体の三角形状に対応した好適な幅広開封(ワイド開封)を実現することができる。
【0043】
三角おにぎり5を食する際には、摘み部21を摘み、摘み部21を引っ張って開封用条体22,22を縦回りに引き回し、外シート2を長手方向に分断する(
図8(b)参照)。この際、開封用条体22,22は、互いに間隔を有する一対からなるので、分断開口23は、幅広となる。また、外シート2は、分断された結果、右側の第1外シート片24と左側の第2外シート片25とに分断される。第1外シート片24は、第1内シート片30に対応したシート片である。第1外シート片24及び第1内シート片30は、端部接合部11及び側部接合部12を介して一体化されていて、第1分断包装体片18を構成する。第2外シート片25は、第2内シート片31に対応したシート片である。第2外シート片25及び第2内シート片31は、端部接合部11及び側部接合部12を介して一体化されていて、第2分断包装体片19を構成する。
【0044】
そこで、まず、
図8(c)に示すように、第1分断包装体片18を右側に引っ張り、第1分断包装体片18を三角おにぎり5及びシート状食品4から分離する。そして次に、同図(d)に示すように、第2分断包装体片19を左側に引っ張り、第2分断包装体片19を三角おにぎり5及びシート状食品4から分離する。これにより、三角おにぎり5をシート状食品4と一体化させた状態で取り出すことができる。
【0045】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、内シート片30,31の内側部30a,31aは、同じ方向を向き、同じ向きに重ね合わせられる。このため、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、折り曲げても内シート片30,31の重ね合わせ部32においてシワが発生しにくい。
【0046】
また、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、重ね合わせ部32は、被覆片33により覆われる。このため、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、重ね合わせ部32を高気密に保つことができる。しかも、重ね合わせ部32においてシワが発生しないことにより、重ね合わせ部32をさらに高気密に保つことができる。
【0047】
また、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、内シート片30,31の内側部30a,31aは、被覆片33の内側において被覆片33の開放側ではなく接合部34による被覆片33の閉止側を向く。このため、本実施形態に係る食品用包装材1によれば、重ね合わせ部32をさらに高気密に保つことができる。
【0048】
なお、本発明に係る食品用包装材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
たとえば、上記実施形態においては、内シート片30,31の内側部30a,31aは、内面同士が合掌状に重ね合わせられ、内シート3の外側に突出する凸条となり、第2内シート片31の外面に沿うように折り曲げられ、そして、被覆片33は、第2内シート片31の外面に接合される。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
図9に示すように、内シート片30,31の内側部30a,31aは、外面同士が合掌状に重ね合わせられ、内シート3の内側に突出する凸条となり、第2内シート片31の内面に沿うように折り曲げられ、そして、被覆片33は、内シート3の内側に配置されて、第2内シート片31の内面に接合されるようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、被覆片33の接合部34の内縁から被覆片33の内側縁33a1までの長さ(幅H2)及び接合部34の内縁から第2内シート片31の内側縁31a1までの長さ(幅)は、同一になるように形成される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、
図10に示すように、第2内シート片31の内側部31aの折返し縁と被覆片33の内側縁33a1とが一致するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、被覆片33は、第2内シート片31、すなわち、重ね合わせ部32が折り曲げられて沿う側の内シート片に接合される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。被覆片は、反対側の内シート片に接合されるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、開封操作順序が先の第1分断包装体片18は、食品包装体を正面から見て右側、開封操作順序が後の第2分断包装体片19は、食品包装体を正面から見て左側になるように構成される。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。左右逆となり、開封操作順序が先の第1分断包装体片18は、食品包装体を正面から見て左側、開封操作順序が後の第2分断包装体片19は、食品包装体を正面から見て右側になるように構成されてもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、開封操作順序は、被覆片33が設けられない側の分断包装体片である第1分断包装体片18が先、被覆片33が設けられる側の分断包装体片である第2分断包装体片19が後である。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。開封操作順序は、第2分断包装体片19が先、第1分断包装体片18が後であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態においては、食品用包装材1は、上述のとおり、より優れた効果が得られるということで、食品を緊密に包装する三角包装に用いられるものである。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、
図11及び
図12に示す食品用包装材1を用い、
図13に示すように、食品5を挟んで長手方向に二つ折りにすること、両側の余分なシート片を折り重ねて袋状にすること及び開口を封止することにより、食品5を包装する四角包装に用いるようにしてもよい。あるいは、特開2006-264758号に記載されている、食品を挟んで長手方向に二つ折りにすること、両側の余分なシート片を重ねて袋状にすること及び開口を封止することにより、食品を包装する四角包装に用いるようにしてもよい。なお、四角包装用の食品用包装材1では、切欠部13はなくなり、また、袋状体の開口を形成する長さが必要であることから、三角包装用の食品用包装材1よりも長手方向の一端10a側及び他端10b側が長く形成される。
【0055】
また、上記実施形態においては、開封用条体22は、一対の波形で互いに交差するものである。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。開封用条体は、一対の波形で互いに交差しないものや、一本の直線状のものや、二本の平行な直線状のものや、幅広な帯状のもの等、種々の形態のものを採用することができる。
【0056】
また、「三角形状」、「長方形状」、「矩形状」、「中央部」、「端部」、「側部」、「均等」、「一致」、「同一」、「平行」、「直交」といった形状、部位又は状態を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【0057】
また、上記実施形態においては、食品は、三角おにぎり(米飯加工食品)であり、シート状食品は、海苔である。しかし、包装対象の食品は、食品用包装材で包むことができる形であれば、おにぎり以外の米飯加工食品(たとえば、ピラフ、チャーハン、寿司等)や、米飯加工食品以外の食品(たとえば、饅頭等の和菓子、ケーキ等の洋菓子、パン、サンドイッチ、ハンバーガー等)であってもよく、食品の種類は、特に限定されるものではない。シート状食品も、食品用包装材の平面状の収容部に収容できる形であれば、シート状の昆布、畳鰯等であってもよく、シート状食品の種類は、特に限定されるものではない。
【0058】
また、包装対象の食品の形状も、特に限定されるものではない。たとえば、正面が三角形状ではなく、正面が円形状や四角形状の偏平な柱状であってもよい。また、ブロック状であってもよい。また、球状等、全面が連続した曲面状のものであってもよい。これらは一例にすぎず、要は、食品用包装材で包むことができる形であれば、どのような形状であってもよい。
【0059】
また、食品用包装材に用いられるシートは、単一のシートに限定されない。たとえば、シートは、二枚のシート(フィルム)を端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシート(フィルム)を順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシート(フィルム)を用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シートの材質は、異なるものであってもよい。たとえば、シートは、第1方向又は第2方向において複数の領域に区画され、各領域には、プラスチックシート、紙シート又はセロハンシートのいずれかが選択的に用いられる。
【符号の説明】
【0060】
1…食品用包装材、10…本体、10a…一端、10b…他端、11…端部接合部、12…側部接合部、12a…連通部、13…切欠部、14…易破断部、15…余分なシート片、16…耳片、17…接合部、18…第1分断包装体片、19…第2分断包装体片、2…外シート、20…切込線、21…摘み部、22…開封用条体、22a…第1交点(第1幅広部22cの終端、第2幅広部22dの始端)、22b…第2交点(第2幅広部22dの終端)、22c…第1幅広部、22d…第2幅広部、23…分断開口、24…第1外シート片、25…第2外シート片、3…内シート、30…第1内シート片、30a…内側部、30a1…内側縁、31…第2内シート片、31a…内側部、31a1…内側縁、32…重ね合わせ部、33…被覆片、33a…内側部、33a1…内側縁、33b…外側部、33c…遊離片、34…接合部、4…シート状食品、5…三角おにぎり、6…ラベル、CL…中心線、L1…シート状食品4の幅の50%幅のライン、L2…シート状食品4の幅の65%幅のライン、L3…幅H2の15%幅のライン、L4…幅H2の30%幅のライン、L5…幅H2の50%幅のライン、H1…重ね合わせ部32の幅、H2…被覆片33の遊離片部分の幅