(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】無線タグ読取装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20241205BHJP
G06K 17/00 20060101ALI20241205BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06K7/10 184
G06K7/10 144
G06K17/00 022
G07G1/00 311D
(21)【出願番号】P 2021049830
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室伏 信男
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 渉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂晃
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】木村 真樹
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-129040(JP,A)
【文献】特開2014-089587(JP,A)
【文献】特開2014-127150(JP,A)
【文献】特開2014-139753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0122581(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 17/00
G07G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信部のうち、外部装置と通信している前記通信部を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記通信部に応じて、無線タグの読み取りに使用する電波の電力を変更する変更部と、
前記変更部により変更された電力により前記電波を放射することで前記無線タグの読み取りを実行する読取部と、
を備える無線タグ読取装置。
【請求項2】
前記特定部は、有線により接続する通信部と、無線により接続する通信部とのうち、前記外部装置と接続している前記通信部を特定し、
前記変更部は、前記特定部により特定された前記通信部に応じて、前記無線タグの読み取りに使用する電波の電力を変更する、
請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記外部装置と接続している前記通信部として、有線により接続する前記通信部を特定し、
前記変更部は、有線により接続する前記通信部が前記特定部により特定された場合に、
無線により接続する前記通信部が前記特定部により特定された場合よりも前記無線タグの読み取りに使用する電波の電力を小さくする、
請求項2に記載の無線タグ読取装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記外部装置と接続している前記通信部として、無線により接続する前記通信部を特定し、
前記変更部は、無線により接続する前記通信部が前記特定部により特定された場合に、
有線により接続する前記通信部が前記特定部により特定された場合よりも前記無線タグの読み取りに使用する電波の電力を大きくする、
請求項2に記載の無線タグ読取装置。
【請求項5】
前記無線タグの読み取りに使用する電波の電力を前記通信部ごとに設定する設定部を更に備え、
前記変更部は、前記特定部により特定された前記通信部に応じて、前記設定部により設定された電力に変更する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の無線タグ読取装置。
【請求項6】
無線タグ読取装置を、
複数の通信部のうち、外部装置と接続している前記通信部を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記通信部に応じて、無線タグの読み取りに使用する電波の電力を変更する変更部と、
前記無線タグの読み取りを実行する読取部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線タグ読取装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線タグから識別情報を読み取る無線タグ読取装置が知られている。このような、無線タグ読取装置は、商品の識別情報を読み取ることで販売対象の商品を登録する商品登録に使用されたり、物品の識別情報を読み取ることで倉庫から在庫を管理する在庫管理に使用されたりする。
【0003】
このように、無線タグ読取装置は、使用用途に応じて無線タグの読取範囲が特定される。そのため、操作者は、使用用途に応じて無線タグの読取範囲を変更する必要がある。しかしながら、操作者は、読取範囲の設定を失念してしまったり、読取範囲の設定を間違えてしまったりする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、誤った読取範囲で無線タグの読み取りを実行してしまう可能性を低減することができる無線タグ読取装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の無線タグ読取装置は、特定部と、変更部と、読取部とを備える。前記特定部は、複数の通信部のうち、外部装置と通信している前記通信部を特定する。前記変更部は、前記特定部により特定された前記通信部に応じて、無線タグの読み取りに使用する電波の電力を変更する。前記読取部は、前記変更部により変更された電力により前記電波を放射することで前記無線タグの読み取りを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る読取システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る無線タグ読取装置のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る無線タグ読取装置が有する機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る無線タグ読取装置が実行する読取処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、変形例1に係る無線タグ読取装置が実行する読取処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、無線タグ読取装置及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、無線タグ読取装置及びプログラムの一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る読取システム1の一例を示す図である。読取システム1は、無線タグ読取装置10と、無線タグ20と、POS(Point Of Sales)端末30と、管理サーバ40とを備える。無線タグ読取装置10は、POS端末30、又は管理サーバ40の何れか一方と排他的に接続される。POS端末30、及び管理サーバ40は、無線タグ読取装置10に接続される外部装置の一例である。
【0009】
無線タグ20は、例えば電子タグやICタグやRFタグ等のタグである。無線タグ20は、近距離無線通信により無線タグ20の記憶媒体に記憶されている情報を送受信する。例えば、無線タグ20は、識別情報を記憶媒体に記憶している。識別情報は、例えば、無線タグ20が付されている物品を識別するための情報である。
【0010】
無線タグ読取装置10は、無線タグ20の記憶媒体を読み取る読取装置である。更に詳しくは、無線タグ読取装置10は、無線タグ20の記憶媒体に記憶されている識別情報を読み出す電波を放射する。無線タグ読取装置10は、無線タグ20から電波が送信された場合に、無線タグ20から受信した電波を復号することにより識別情報を抽出する。
【0011】
また、無線タグ読取装置10は、POS端末30と、管理サーバ40との何れか一方と接続される。例えば、無線タグ読取装置10は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルや、LAN(Local Area Network)ケーブルなどの有線接続によりPOS端末30と接続される。また、無線タグ読取装置10は、Bluetooth(登録商標)や、無線LANなどの無線接続により管理サーバ40と接続される。そして、無線タグ読取装置10は、POS端末30と、管理サーバ40との接続先に応じて、無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を変更する。
【0012】
POS端末30は、販売対象の商品を登録する商品登録処理や、商品登録処理により登録された商品の代金を支払う会計処理を実行する販売データ処理装置である。POS端末30は、無線タグ読取装置10が読み取った識別情報により特定される商品を販売対象の商品として登録する。ここで、無線タグ読取装置10は、商品登録処理において、販売対象の商品以外の商品に付されている無線タグ20を読み取ってしまうことを防止する必要がある。そのため、無線タグ読取装置10は、狭い範囲を読取領域にする。例えば、無線タグ読取装置10は、無線タグ読取装置10のアンテナ107(
図2参照)から数10センチメートルの範囲を読取領域にする。
【0013】
管理サーバ40は、在庫管理などを実行するサーバ装置である。管理サーバ40は、無線タグ読取装置10が読み取った識別情報により倉庫等に保管されている物品を記録する。ここで、無線タグ読取装置10は、在庫管理などにおいて、一度の無線タグ20の読み取りで広い範囲を読み取ることにより短時間で倉庫全体の読み取りを完了することができる。そのため、無線タグ読取装置10は、広い範囲を読取領域にする。例えば、無線タグ読取装置10は、無線タグ読取装置10のアンテナ107(
図2参照)から数メートルの範囲を読取領域にする。
【0014】
このように、無線タグ読取装置10は、有線接続によりPOS端末30と接続された場合には狭い範囲を読取範囲にし、無線接続により管理サーバ40と接続された場合には広い範囲を読取領域にする。そこで、無線タグ読取装置10は、POS端末30や管理サーバ40などの外部装置との接続方法に応じて読取範囲の広さを変更する。
【0015】
次に、無線タグ読取装置10のハードウェア構成について説明する。
【0016】
図2は、本実施形態に係る無線タグ読取装置10のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。無線タグ読取装置10は、制御部101、記憶部102、有線通信部103、無線通信部104、変調部105、可変増幅部106、アンテナ107、及び復調部108を備える。
【0017】
制御部101は、無線タグ読取装置10の全体の動作を制御し、無線タグ読取装置10が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、無線タグ読取装置10の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部102等に格納されたプログラムを実行する。
【0018】
記憶部102は、フラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部102は、制御プログラム109を記憶する。制御プログラム109は、オペレーティングシステムや、無線タグ読取装置10が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム109には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0019】
なお、無線タグ読取装置10は、記憶部102を備えていなくてもよい。この場合、制御プログラム109は、制御部101のROMに記憶される。また、制御部101のRAMは、情報を記憶しておくためのバッテリーを備えている。そして、制御部101のRAMは、各種設定や情報を記憶する。
【0020】
有線通信部103は、有線接続により外部装置との通信を実行する通信部である。更に詳しくは、有線通信部103は、POS端末30との通信を実行する。例えば、有線通信部103は、USBコントローラやネットワークカードなどの装置である。
【0021】
無線通信部104は、無線接続により外部装置との通信を実行する通信部である。更に詳しくは、無線通信部104は、例えば管理サーバ40との通信を実行する。例えば、無線通信部104は、Bluetooth(登録商標)アダプタや無線LANカードなどの装置である。
【0022】
変調部105は、制御部101から出力された情報を変調し、高周波信号を出力する。変調部105は、制御部101から情報が出力されない場合に、搬送波のみを出力することもある。
【0023】
可変増幅部106は、変調部105から入力された高周波信号を増幅して出力する。可変増幅部106は、制御部101による制御により、高周波信号の増幅率を変える。これにより、可変増幅部106は、高周波信号の出力に使用する電力を変える。すなわち、可変増幅部106は、アンテナ107が放射する電波の電波強度を変更する。
【0024】
アンテナ107は、可変増幅部106から出力された高周波信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ107は、空間から取得した電波を高周波信号に変換する。そして、アンテナ107は、高周波信号を復調部108へ出力する。アンテナ107は、電波を特定の方向へ強く放射する特性を有している。例えば、アンテナ107は、平面パッチアンテナである。
【0025】
復調部108は、アンテナ107から出力された高周波信号を復調する。これにより、復調部108は、無線タグ20から受信した情報を抽出する。そして、復調部108は、抽出した情報を制御部101へ出力する。
【0026】
次に、無線タグ読取装置10が有する機能について説明する。
図3は、本実施形態に係る無線タグ読取装置10が有する機能構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
無線タグ読取装置10の制御部101が有するCPUは、記憶部102に記憶された制御プログラム109をRAMに展開し、制御プログラム109に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。これにより、無線タグ読取装置10の制御部101は、機能部として、通信制御部1001、接続特定部1002、電波変更部1003、電力設定部1004、及び読取制御部1005を備える。
【0028】
通信制御部1001は、有線通信部103又は無線通信部104を制御して外部装置との通信を実行する。ここで、無線タグ読取装置10は、複数の外部装置と同時に接続することはできない。通信制御部1001は、有線通信部103と、無線通信部104とのうち、通信が確立された方を制御することで外部装置との通信を実行する。
【0029】
通信制御部1001は、POS端末30と有線通信部103との通信が確立された場合には、有線通信部103とPOS端末30とを接続する。そして、通信制御部1001は、有線通信部103を制御してPOS端末30との通信を実行する。一方、通信制御部1001は、管理サーバ40と無線通信部104との通信が確立された場合には、無線通信部104と管理サーバ40とを接続する。そして、通信制御部1001は、無線通信部104を制御して管理サーバ40との通信を実行する。
【0030】
接続特定部1002は、複数の通信部のうち、外部装置と接続している通信部を特定する。接続特定部1002は、特定部の一例である。有線通信部103及び無線通信部104は、通信部の一例である。POS端末30及び管理サーバ40は、外部装置の一例である。すなわち、接続特定部1002は、有線により接続する有線通信部103と、無線により接続する無線通信部104とのうち、外部装置と接続している通信部を特定する。
【0031】
例えば、有線通信部103とPOS端末30とが接続されている場合に、接続特定部1002は、外部装置と接続している通信部として、有線により接続する有線通信部103を特定する。また、無線通信部104と管理サーバ40とが接続されている場合に、接続特定部1002は、外部装置と接続している通信部として、無線により接続する無線通信部104を特定する。
【0032】
電波変更部1003は、接続特定部1002により特定された通信部に応じて、無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を変更する。電波変更部1003は、変更部の一例である。すなわち、電波変更部1003は、接続特定部1002による特定結果に基づいて、電波の電力の設定を変更することにより無線タグ20を読み取る読取範囲を変更する。
【0033】
ここで、電波の電力の設定には、大電力設定と、小電力設定とがある。大電力設定は、電波を大きい電力で放射する設定である。すなわち、高電力設定は、広い範囲を読取範囲にする設定である。小電力設定は、電波を小さい電力で放射する設定である。すなわち、小電力設定は、狭い範囲を読取範囲にする設定である。
【0034】
電波変更部1003は、有線により接続する有線通信部103が接続特定部1002により特定された場合に、無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を小さくする。言い換えると、電波変更部1003は、無線タグ20を読み取る電波の強度を弱くして、読取範囲を狭くする。
【0035】
電波変更部1003は、無線により接続する無線通信部104が接続特定部1002により特定された場合に、無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を大きくする。言い換えると、電波変更部1003は、無線タグ20を読み取る電波の強度を強くして、読取範囲を広くする。
【0036】
電力設定部1004は、無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を通信部ごとに設定する。電力設定部1004は、設定部の一例である。更に詳しくは、電力設定部1004は、POS端末30と有線通信部103とが接続されている場合に、無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を設定する。また、電力設定部1004は、管理サーバ40と無線通信部104とが接続されている場合に、無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を設定する。これにより、電波変更部1003は、接続特定部1002により特定された通信部に応じて、電力設定部1004により設定された電力に変更する。
【0037】
読取制御部1005は、電波変更部1003により変更された電力により無線タグ20を読み取る電波を放射することで無線タグ20の読み取りを実行する。読取制御部1005は、読取部の一例である。すなわち、読取制御部1005は、電波の電力の設定に応じた電力により、無線タグ20を読み取る電波を放射する。更に詳しくは、読取制御部1005は、電波の電力の設定が大電力設定の場合、無線タグ20を読み取る電波を大きい電力で放射させる。また、読取制御部1005は、電波の電力の設定が小電力設定の場合、無線タグ20を読み取る電波を小さい電力で放射させる。
【0038】
また、読取制御部1005は、復調部108によりアンテナ107から出力された高周波信号を復調することで抽出された無線タグ20から受信した情報を取得する。そして、読取制御部1005は、接続特定部1002により特定された通信部に、無線タグ20から受信した情報を出力する。
【0039】
読取制御部1005は、POS端末30が有線通信部103に接続されている場合に、無線タグ20から受信した情報を有線通信部103に出力する。これにより、有線通信部103は、無線タグ20から受信した情報をPOS端末30に出力する。一方、読取制御部1005は、管理サーバ40が無線通信部104に接続されている場合に、無線タグ20から受信した情報を無線通信部104に出力する。これにより、無線通信部104は、無線タグ20から受信した情報を管理サーバ40に出力する。
【0040】
次に、無線タグ読取装置10が実行する読取処理について説明する。ここで、
図4は、本実施形態に係る無線タグ読取装置10が実行する読取処理の一例を示すフローチャートである。
【0041】
接続特定部1002は、有線通信部103にPOS端末30が接続されているか否かを判定する(ステップS1)。有線通信部103にPOS端末30が接続されている場合に(ステップS1;Yes)、電波変更部1003は、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を小電力設定にする(ステップS2)。
【0042】
有線通信部103にPOS端末30が接続されていない場合に(ステップS1;No)、接続特定部1002は、無線通信部104に管理サーバ40が接続されているか否かを判定する(ステップS3)。無線通信部104に管理サーバ40が接続されていない場合に(ステップS3;No)、無線タグ読取装置10は、ステップS1に移行する。
【0043】
無線通信部104に管理サーバ40が接続されている場合に(ステップS3;Yes)、電波変更部1003は、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を大電力設定にする(ステップS4)。
【0044】
読取制御部1005は、電波変更部1003により変更された電力により、無線タグ20を読み取る電波を放射することで無線タグ20の読み取りを実行する(ステップS5)。すなわち、読取制御部1005は、ステップS2又はステップS4での設定に基づいた電波を放射することにより無線タグ20の読み取りを実行する。
【0045】
以上により、無線タグ読取装置10は、読取処理を終了する。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る無線タグ読取装置10は、有線通信部103や無線通信部104等の複数の通信部のうち、何れの通信部が外部装置に接続されているのかを特定する。また、無線タグ読取装置10は、特定された通信部に応じて無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を変更する。そして、無線タグ読取装置10は、変更した電力で、無線タグ20の読み取りに使用する電波を放射することにより無線タグ20の読み取りを実行する。これにより、無線タグ読取装置10は、接続先の使用用途により読取範囲を変更する。よって、無線タグ読取装置10は、誤った読取範囲で無線タグ20の読み取りを実行してしまう可能性を低減することができる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0048】
(変形例1)
上記実施形態に係る無線タグ読取装置10は、有線通信部103にPOS端末30等の外部装置が接続されている場合に、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を小電力設定に設定する。一方、無線タグ読取装置10は、無線通信部104に管理サーバ40等の外部装置が接続されている場合に、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を大電力設定に設定する。
【0049】
しかしながら、大電力設定と小電力設定とは逆であってもよい。上記実施形態の変形例1に係る無線タグ読取装置10は、有線通信部103にPOS端末30等の外部装置が接続されている場合に、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を大電力設定に設定する。一方、無線タグ読取装置10は、無線通信部104に管理サーバ40等の外部装置が接続されている場合に、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を小電力設定に設定する。
【0050】
例えば、倉庫などに指定された商品を採集する採集作業においては、無線タグ読取装置10は、近距離無線通信等によりタブレット端末と接続される。無線タグ読取装置10は、ユーザが棚から取り出した商品に付せられた無線タグ20を読み取る。そして、タブレット端末は、無線タグ読取装置10が無線タグ20から読み取った情報を表示させる。ここで、倉庫の棚には無線タグ20が付せられた多数の商品がある。そのため、採集作業においては、無線タグ読取装置10は、棚にある商品に付せられた無線タグ20を読み取ってしまうことを抑制するために、無線タグ20を読み取る電波の電力の小さくして読取範囲を狭くする。
【0051】
また、入庫するためにコンテナ等に収納された商品に過不足が無いかを確認する検品作業においては、無線タグ読取装置10は、有線接続によりパーソナルコンピュータと接続される。無線タグ読取装置10は、ユーザが棚から取り出した商品に付せられた無線タグ20を読み取る。そして、パーソナルコンピュータは、無線タグ読取装置10が無線タグ20から読み取った情報と、入庫予定の商品のリストとの比較結果を表示する。ここで、コンテナは多数の商品が入れられる大きさを有している。そのため、検品作業においては、無線タグ読取装置10は、コンテナに入れられた多数の商品に付せられた無線タグ20を一度で読み取るために、無線タグ20を読み取る電波の電力の大きくして読取範囲を広くする。
【0052】
このように、有線通信部103に外部装置が接続された場合に、無線タグ20を読み取る電波の電力の小さくするか大きくするかは、無線タグ読取装置10の用途に応じて決定される。同様に、無線通信部104に外部装置が接続された場合に、無線タグ20を読み取る電波の電力の小さくするか大きくするかは、無線タグ読取装置10の用途に応じて決定される。そこで、有線通信部103又は無線通信部104に外部装置が接続された場合に、無線タグ20を読み取る電波の電力の小さくするか大きくするかは任意に変更される。
【0053】
ここで、電力設定部1004は、有線通信部103又は無線通信部104等の通信部ごとに、無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を設定する。これにより、ユーザは、無線タグ読取装置10の用途に応じて無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を電力設定部1004により設定することができる。
【0054】
次に、変形例1に係る無線タグ読取装置10が実行する読取処理について説明する。ここで、
図5は、変形例1に係る無線タグ読取装置10が実行する読取処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
接続特定部1002は、有線通信部103にパーソナルコンピュータが接続されているか否かを判定する(ステップS11)。有線通信部103にパーソナルコンピュータが接続されている場合に(ステップS11;Yes)、電波変更部1003は、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を大電力設定にする(ステップS12)。
【0056】
有線通信部103にパーソナルコンピュータが接続されていない場合に(ステップS11;No)、接続特定部1002は、無線通信部104にタブレット端末が接続されているか否かを判定する(ステップS13)。無線通信部104にタブレット端末が接続されていない場合に(ステップS13;No)、無線タグ読取装置10は、ステップS11に移行する。
【0057】
無線通信部104にタブレット端末が接続されている場合に(ステップS13;Yes)、電波変更部1003は、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を小電力設定にする(ステップS14)。
【0058】
読取制御部1005は、電波変更部1003により変更された電力により、無線タグ20を読み取る電波を放射することで無線タグ20の読み取りを実行する(ステップS15)。すなわち、読取制御部1005は、ステップS12又はステップS14での設定に基づいた電波を放射することにより無線タグ20の読み取りを実行する。
【0059】
以上により、無線タグ読取装置10は、読取処理を終了する。
【0060】
以上のように、変形例1に係る無線タグ読取装置10は、有線通信部103にパーソナルコンピュータが接続されている場合に、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を大電力設定にする。一方、無線タグ読取装置10は、無線通信部104にタブレット端末が接続されている場合に、無線タグ20を読み取る電波の電力の設定を小電力設定にする。そして、無線タグ読取装置10は、変更した電力で、無線タグ20の読み取りに使用する電波を放射することにより無線タグ20の読み取りを実行する。これにより、無線タグ読取装置10は、接続先の使用用途により読取範囲を変更する。よって、変形例1においても、無線タグ読取装置10は、誤った読取範囲で無線タグ20の読み取りを実行してしまう可能性を低減することができる。
【0061】
また、上記実施形態に係る無線タグ読取装置10は、有線通信部103と無線通信部104との2つの通信部を有している。しかしながら、無線タグ読取装置10は、通信部を3つ以上有していてもよい。
【0062】
また、上記実施形態に係る無線タグ読取装置10は、有線通信により接続する有線通信部103と、無線通信により接続する無線通信部104とに分類分けしたが、各通信部の通信方式は如何なるものであってもよい。例えば、無線タグ読取装置10は、USBにより接続するインタフェースを有する第1通信部と、有線LANにより接続するインタフェースを有する第2通信部とを備えていてもよい。この場合に、無線タグ読取装置10は、第1通信部と、第2通信部との何れに接続されるかにより無線タグ20の読み取りに使用する電波の電力を変更してもよい。さらに、無線タグ読取装置10は、有線接続の方式に限らず、無線接続の方式ごとに通信部を備えていてもよい。または、無線タグ読取装置10は、有線接続の方式と無線接続の方式とが混在していてもよい。
【0063】
上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らないものとする。例えば、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0064】
また、上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 読取システム
10 無線タグ読取装置
20 無線タグ
30 POS(Point Of Sales)端末
40 管理サーバ
101 制御部
102 記憶部
103 有線通信部
104 無線通信部
105 変調部
106 可変増幅部
107 アンテナ
108 復調部
109 制御プログラム
1001 通信制御部
1002 接続特定部
1003 電波変更部
1004 電力設定部
1005 読取制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】