(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】暗騒音発生装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/013 20060101AFI20241205BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F24F7/013 101M
F24F13/02 H
F24F13/02 D
(21)【出願番号】P 2021053472
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】大脇 雅直
(72)【発明者】
【氏名】黒木 拓
(72)【発明者】
【氏名】中牟田 篤
(72)【発明者】
【氏名】西野 嘉一
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/013
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外部から空気を建物内の部屋に導くダクトと、
ダクトの部屋に近い側の端部側の内側に設けられてダクトの内側に空気が通過する際の抵抗となる抵抗装置とを備え
、
抵抗装置は、
ダクトの部屋に近い側の端部側の内側に設けられた風上側抵抗装置と、
ダクトの部屋に近い側の端部側の内側において風上側抵抗装置よりも部屋に近い位置に設置された風下側抵抗装置とを備え、
風上側抵抗装置は、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法に形成された円筒体と、円筒体の一端開口側を塞ぐように設けられた円形板の中央側に当該円形板の中心を孔の中心とした中央円形貫通孔が形成された孔付き円形板とを備え、
風下側抵抗装置は、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法に形成された円筒体と、円筒体の一端開口側を塞ぐように設けられた円形板に複数のスリットが形成されたスリット付き円形板とを備え、複数のスリットは、円形板の中心を中心とした同心状の複数の円弧状のスリット、又は、円形板の中心側から径方向に沿って当該円形板の外周側に延長する複数のスリットであることを特徴とする暗騒音発生装置。
【請求項2】
スリット付き円形板は、円形板の中心から四方に延長した4つの各半径長さ対応板部により形成された十字状板部を備え、円形板の周方向に沿って互いに90°隔てて隣り合う半径長さ対応板部と半径長さ対応板部との間で形成された4つの扇状の板部には、それぞれ、円形板の中心を中心とした同心状の複数の円弧状のスリットが当該円形板の径方向に沿って所定の間隔を隔てて形成されたことを特徴とする請求項1に記載の暗騒音発生装置。
【請求項3】
スリット付き円形板は、円形板の外周面の一部を除去して形成された複数の溝を備えたことを特徴とする請求項2に記載の暗騒音発生装置。
【請求項4】
円形板の中心側から径方向に沿って当該円形板の外周側に延長する複数のスリットは、円形板の中心を中心として当該円形板の周方向に所定の角度を隔てて設けられた複数の細幅のスリットであることを特徴とする請求項
1に記載の暗騒音発生装置。
【請求項5】
円形板の中心側から径方向に沿って当該円形板の外周側に延長する複数のスリットは、円形板の中心を中心として当該円形板の周方向に所定の角度を隔てて設けられた複数の扇形のスリットであることを特徴とする請求項
1に記載の暗騒音発生装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外からの生活音に対する暗騒音を室内に発生させる暗騒音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のマンション等の共同住宅においては、高断熱高気密化に伴い、建物外部から建物内部に入射する音のレベルが小さくなっており、住宅地では室内が夜間にA特性音圧レベルが20dB台前半になることもある。
このように、建物外部から建物内部に入射する音のレベルが小さい環境の場合、室内において、室外からの生活音が聞こえてきて気になるという問題が生じている。尚、「室外からの生活音」とは、マンションにおける上層階や隣りの他住居からの生活音、一戸建ての建物における隣接する住宅からの生活音等のことを言う。
そこで、建物の外壁に形成された給気孔の内側に抵抗装置を設け、給気孔を介して室内に流入する音の大きさを大きくするようにした暗騒音(対象とする騒音の周辺環境に発生している対象騒音以外の総体的騒音)を発生させることにより、室外からの生活音が聞こえ難い室内環境を実現できるようにした方法が知られている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した方法は、建物の外壁に形成された給気孔の内側に抵抗装置を設けて暗騒音を発生させる方法であるので、外壁に面して給気孔がない部屋には採用できないという課題があった。
本発明は、外壁に面して給気孔がない部屋であっても室外からの生活音が聞こえ難い室内環境を実現できるようにした暗騒音発生装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る暗騒音発生装置は、建物の外部から空気を建物内の部屋に導くダクトと、ダクトの部屋に近い側の端部側の内側に設けられてダクトの内側に空気が通過する際の抵抗となる抵抗装置とを備え、抵抗装置は、ダクトの部屋に近い側の端部側の内側に設けられた風上側抵抗装置と、ダクトの部屋に近い側の端部側の内側において風上側抵抗装置よりも部屋に近い位置に設置された風下側抵抗装置とを備え、風上側抵抗装置は、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法に形成された円筒体と、円筒体の一端開口側を塞ぐように設けられた円形板の中央側に当該円形板の中心を孔の中心とした中央円形貫通孔が形成された孔付き円形板とを備え、風下側抵抗装置は、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法に形成された円筒体と、円筒体の一端開口側を塞ぐように設けられた円形板に複数のスリットが形成されたスリット付き円形板とを備え、複数のスリットは、円形板の中心を中心とした同心状の複数の円弧状のスリット、又は、円形板の中心側から径方向に沿って当該円形板の外周側に延長する複数のスリットであることを特徴とする。
また、スリット付き円形板は、円形板の中心から四方に延長した4つの各半径長さ対応板部により形成された十字状板部を備え、円形板の周方向に沿って互いに90°隔てて隣り合う半径長さ対応板部と半径長さ対応板部との間で形成された4つの扇状の板部には、それぞれ、円形板の中心を中心とした同心状の複数の円弧状のスリットが当該円形板の径方向に沿って所定の間隔を隔てて形成されたことを特徴とする。
また、スリット付き円形板は、円形板の外周面の一部を除去して形成された複数の溝を備えたことを特徴とする。
また、円形板の中心側から径方向に沿って当該円形板の外周側に延長する複数のスリットは、円形板の中心を中心として当該円形板の周方向に所定の角度を隔てて設けられた複数の細幅のスリットであることを特徴とする。
また、円形板の中心側から径方向に沿って当該円形板の外周側に延長する複数のスリットは、円形板の中心を中心として当該円形板の周方向に所定の角度を隔てて設けられた複数の扇形のスリットであることを特徴とする。
本発明に係る暗騒音発生装置によれば、外壁に面して給気孔がない部屋であっても室外からの生活音が聞こえ難い室内環境を実現できるようになる。
特に、風上側抵抗装置が円形板に形成された中央円形貫通孔を備えたことで、ダクト内の空気の流速を速くでき、かつ、風下側抵抗装置が円形板に形成された複数のスリットを備えたことで、速くなった空気を複数のスリットを介して分散させて部屋に送ることができるので、効率的に音を発生させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】暗騒音発生装置を採用した建物の例を示す断面図。
【
図2】暗騒音発生装置を採用した建物の例を示す平面図。
【
図4】風上側抵抗装置を示す図であり、(a)は正面図、(b),(c)は斜視図。
【
図5】風下側抵抗装置を示す図であり、(a)は正面図、(b),(c)は斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
実施形態1の暗騒音発生装置は、
図1に示すように、建物10の外部から建物10内に取り込んだ空気を天井裏空間11Sを介して建物10内の部屋12に給気するように構成された建物、例えば、24時間換気システムとして、建物10の外部から外気を建物10の内部に強制給気するとともに建物10の内部から建物10の外部に強制排気を行う第1種換気方式を採用している建物10に設けられる。
当該暗騒音発生装置は、建物10の外部から空気を建物10内の部屋12に導くダクト16Cと、当該ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側に設けられてダクト16Cの内側に空気が通過する際の抵抗となる抵抗装置1Xとを備えて構成される。
即ち、当該暗騒音発生装置は、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側に空気が通過する際の抵抗となる抵抗装置1Xを設けることにより、ダクト16C、ダクト16C内の抵抗装置1X、部屋12の天井板11に設けられた給気孔1を介して空気が部屋12に流入する際の音の大きさを大きくして、建物10の外壁9に面して給気孔1がない部屋12であっても室外からの生活音が聞こえ難い室内環境を実現できるようにした暗騒音発生装置である。
尚、ダクト16Cの内側に空気が通過する際の抵抗となる抵抗装置1Xを設けない場合に当該ダクト16C、給気孔1を介して空気が部屋12に流入する際に発生する音も暗騒音であり、本願発明では、厳密には、当該暗騒音に、抵抗装置1Xを通過する際に発生する音(無意味音)を付加していることになるが、本明細書においては、当該ダクト16Cの内側に設置された抵抗装置1Xを空気が通過する際に発生して部屋12内で聞こえる音を暗騒音と定義して説明するものとする。
【0008】
図1,
図2に示すように、24時間換気システムの第1種換気方式を採用する共同住宅(マンション)などの建物10においては、建物10の外部から建物10の内部に強制的に取り込んだ空気を建物10の内部の各部屋12,12…に分配し、かつ、特定の場所から建物10の外部に空気を強制排気するように構成されている。
そこで、実施形態1の暗騒音発生装置では、建物10の外部から建物10の内部に取り込んだ空気を建物10内の複数の各部屋12,12…に分配するために複数の各部屋12,12…の天井板11,11…に給気孔1,1…を設け、各給気孔1,1…に接続されるダクト16C,16C…の内側において給気孔1,1…から近い位置にそれぞれ抵抗装置1X,1X…を設けるようにした。
【0009】
例えば、建物10は、
図1,
図2に示すように、建物10の外部から外気を建物10の内部に取り込む給気手段13と、熱交換システム14と、特定の部屋(例えば寝室)の天井板11に設けられた内気取込孔17と、各部屋12,12…の各天井板11,11…に設けられた各給気孔1,1…と、建物10の内部の空気を建物10の外部に排気する排気手段15とを備える。
そして、給気手段13の外気送出口(後述する円筒体の他端開口)13aと熱交換システム14の外気取込口14aとがダクト16Aにより繋がれている。
また、
図2に示すように、熱交換システム14の内気取込口14bと特定の部屋12(例えば寝室)の天井板11に設けられた内気取込孔17の天井裏側開口とがダクト16Bにより繋がれている。尚、特定の部屋は1つ以上であればよく、内気取込孔17も1つ以上であればよい。
さらに、熱交換システム14の処理済み空気送出口14cと各部屋12,12…の各天井板11,11…に設けられた各給気孔1,1…の各天井裏側開口(後述する円筒状部品1Aにおける一端開口側円筒部1Bの他端開口(上端開口)1b)とがダクト16C,16C…により繋がれている。
これらダクト16A,16B,16Cとしては、例えば断面円形の流路を備えた円管ダクトが使用される。
尚、
図2の建物10の平面図(間取図)において、Eは玄関、Cdは廊下、BRは寝室、UBはトイレ付浴室、Wは洗面室、Kは台所、WRは洋室、Cはクローゼット、JRは和室、LDはリビングダイニングルームである。
【0010】
給気手段13は、例えば図示しないが、建物10の外壁9に形成された貫通孔と、当該貫通孔内に装着されて外気取込孔を形成する円筒体と、当該円筒体における熱交換システム14に近い他端開口側に設けられた給気ファン等の強制給気手段とを備えて、外気を天井裏空間11Sに取込む手段である。
【0011】
図2に示すように、熱交換システム14は、給気手段13により建物10の外部から取込まれた外気と特定の部屋(例えば寝室)から取込まれた内気とで熱交換処理を行った後、この熱交換処理後の空気(処理済み空気)を各部屋(各室内)12,12…に分配供給する装置である。
熱交換システム14としては、熱交換機能の他、空気洗浄機能を備えたものを用いてもよい。
【0012】
図3に示すように、給気孔1は、一端開口1aが、天井を形成する天井板11に形成された貫通孔11aを介して部屋12に連通するとともに、他端開口1bが、建物10の外部から空気を取込むためのダクト16Cに連通するように設けられた筒部品としての円筒状部品1Aにより形成される。
そして、当該円筒状部品1Aにより形成された給気孔1に接続されるダクト16Cの内側において当該給気孔1から近い位置に抵抗装置1Xが設けられる。
【0013】
図3に示すように、給気孔1を形成する円筒状部品1Aは、円筒部により形成された一端開口側円筒部1Bと、当該一端開口側円筒部1Bの径よりも小さい径の円筒部により形成された他端開口側円筒部1Cと、一端開口側円筒部1Bの他端開口縁と他端開口側円筒部1Cの一端開口縁との間を塞ぐ円環板状の塞板1Dとを備えて構成される。
即ち、円筒状部品1Aは、一端開口側円筒部1Bと当該一端開口側円筒部1Bよりも小径の他端開口側円筒部1Cとを備えた、2つの異なる径の円筒部が組み合わされた段差付きの円筒部品である。言い換えれば、中心軸に沿った断面形状が凸状の段差付きの円筒部品である。
【0014】
具体的には、給気孔1は、貫通孔11aを貫通するように取付けられた円筒状部品1Aの内側貫通孔1Hにより形成される。
そして、当該内側貫通孔1Hは、一端開口側円筒部1Bの内面である内側貫通孔1HBと、他端開口側筒部1Cの内面である内側貫通孔1HCと、塞板1Dの内面とで区画されて構成された段差付き内側貫通孔により形成される。
【0015】
尚、円筒状部品1Aにおける一端開口側円筒部1Bの一端開口(下端開口)1aの開口縁側には取付フランジ1Fが設けられている。当該円筒状部品1Aを他端開口側筒部1Cの他端開口(上端開口)1b側から貫通孔11aに貫通させて取付フランジ1Fの上面と天井板11の下面とを近接させた状態で、例えばビスやねじ等を取付フランジ1F及び天井板11に貫通させて図外の天井下地に締結することにより、当該円筒状部品1Aが天井板11に取付けられ、天井板11に部屋12と天井裏空間11Sとを連通させる給気孔1が形成されることになる。
また、円筒状部品1Aの一端開口1a側には、当該円筒状部品1Aの一端開口(給気孔1の部屋側開口)1aを開閉する例えばルーバー開閉部等の開閉体1Rを備えた蓋1Eが着脱自在に取付けられることが好ましい。
【0016】
排気手段15は、例えば図示しないが、特定の部屋12(例えば浴室や洗面室)の天井等に形成された貫通孔と、当該貫通孔内に装着されて内気排出孔を形成する円筒体と、当該筒体の天井裏空間等に位置される開口側に設けられた排気ファン等の強制排気手段とを備えて、建物内の空気を外部に排出するように構成された手段である。
【0017】
尚、熱交換システム14の外気取込口14a及び内気取込口14bの近傍には給気ファンが設けられ、かつ、熱交換システム14の処理済み空気送出口14cの近傍には排気ファンが設けられている。
【0018】
従って、給気手段13により建物10の外部から建物10の内部に取込まれた外気が天井裏空間11Sに配置されたダクト16A、外気取込口14aを経由して熱交換システム14に取り込まれる。また、特定の部屋12(例えば寝室)の内気が天井板11に設けられた各内気取込孔17、天井裏空間11Sに配置されたダクト16B、内気取込口14bを経由して熱交換システム14に取り込まれる。そして、熱交換システム14により、外気と内気との熱交換処理が行われ、この熱交換処理後の空気が、処理済み空気送出口14c、ダクト16C,16C…、各ダクト16C,16C…内に設けられた抵抗装置1X,1X…、各部屋12,12…の各天井板11,11…に設けられた各給気孔1,1…を経由して各部屋12,12…に分配されて供給されることになる。
【0019】
また、24時間換気システムの第1種換気方式では、給気手段13により建物10の外部から建物10の内部に取込む空気量と、排気手段15により建物10の内部から建物10の外部に排気される空気量が等しくなるように調整される。
【0020】
実施形態1に係る暗騒音発生装置は、
図3に示すように、部屋12の天井に設けられて天井裏空間11S側から部屋12に空気を供給するための給気孔1を形成する円筒状部品1Aに接続されるダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側、言い換えれば、ダクト16Cと円筒状部品1Aとの接続部近傍におけるダクト16Cの内側に、空気が通過する際の抵抗となる抵抗装置1Xを備えた構成である。
例えば、円筒状部品1Aに接続されるダクト16Cの部屋12に近い側の端部開口から抵抗装置1Xを挿入して当該抵抗装置1Xをダクト16Cの内側に設置する作業を行う場合に、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部開口から作業者の手の届く範囲に当該抵抗装置1Xが設けられる。
【0021】
図3に示すように、抵抗装置1Xは、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側に設けられた風上側抵抗装置2と、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側において風上側抵抗装置2よりも部屋12に近い位置に設置された風下側抵抗装置3とを備えて構成される。
換言すれば、抵抗装置1Xは、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側において、部屋12に近い位置に設置された風下側抵抗装置3と、風下側抵抗装置3よりも部屋12から遠い位置に設置された風上側抵抗装置2とを備えて構成される。
【0022】
図4に示すように、風上側抵抗装置2は、例えば断面円形の流路(空気流通路)を有した円管ダクトにより構成されたダクト16Cの流路径を縮小させる流路径縮小手段を備えた構成である。
即ち、風上側抵抗装置2は、ダクト16Cの内径寸法に対応した外径寸法の円形板の中央側に中央円形貫通孔21が形成された抵抗板としての孔付き円形板22と、当該孔付き円形板22の外周縁より延長するように形成された円筒体23とを備えて構成され、当該円筒体23の外周面がダクト16Cの内周面16Uと接触又は近接するようにダクト16Cの内側に固定状態に設置されたことによって、中央円形貫通孔21が流路径縮小手段として機能するように構成されたものである。
【0023】
換言すれば、風上側抵抗装置2は、ダクト16Cの内径寸法に対応した外径寸法に形成された円筒体23と、円筒体23の一端開口側を塞ぐように設けられた円形板の中央側に流路径縮小手段として機能する中央円形貫通孔21が形成された孔付き円形板22とを備えた構成である。
中央円形貫通孔21は、孔付き円形板22の元となる円形板の中心2Cを孔の中心とした円形貫通孔である。
当該中央円形貫通孔21は、孔付き円形板22の元となる円形板の直径寸法よりも小さい直径寸法の円形貫通孔であればよく、例えば、孔付き円形板22の元となる円形板の直径寸法の80%~20%程度の直径寸法の円形貫通孔により構成される。
また、円筒体23は、孔付き円形板22の元となる円形板の中心2Cを通って当該孔付き円形板22の板面(平板面)と直交する軸を中心軸とする円筒体である。
【0024】
尚、風上側抵抗装置2は、例えば、孔付き円形板22の外周面と円筒体23の一端側の内周面とが繋がって一体となるように形成されて円筒体23の一端面と孔付き円形板22の板面とが同一平面上に位置されるように構成されるか、あるいは、円筒体23の一端面と孔付き円形板22の外周縁側板面(円筒体23側の外周縁側板面)とが繋がって一体となるように形成されて構成される。
【0025】
そして、風上側抵抗装置2は、円筒体23の外周面がダクト16Cの内周面16Uに直接密着して接触するように設置されるか、あるいは、円筒体23の外周面にダクト16Cの内周面16Uとの間の隙間を埋めて当該円筒体23の外周面とダクト16Cの内周面16Uとの密着性を高めるための密着性促進シート材を設けて、円筒体23の外周面が当該密着性促進シート材を介してダクト16Cの内周面16Uに近接するよう設置された状態で、接着剤や接着テープあるいは溶接等の固定手段を用いて、ダクト16Cの内周面16Uに固定されたことによって、中央円形貫通孔21が流路径縮小手段として機能するように構成される。
尚、密着性促進シート材としては、ウレタン系、ゴム系の材料で形成されたシート材を用いればよい。
即ち、円筒体23の外周面とダクト16Cの内周面16Uとが接触又は近接するように、風上側抵抗装置2が、ダクト16Cの内側に固定状態に設置されたことにより、ダクト16C内に、流路径縮小手段として機能する中央円形貫通孔21が設けられることになる。
【0026】
図5に示すように、風下側抵抗装置3は、ダクト16Cの流路を細分化させる流路細分化手段を備えた構成である。
即ち、風下側抵抗装置3は、ダクト16Cの内径寸法に対応した外径寸法の円形板に複数のスリット31,31…及び複数の溝36,36…が形成されて構成された抵抗板としてのスリット付き円形板32と、スリット付き円形板32の外周縁より延長するように形成された円筒体33とを備えて構成され、当該円筒体33の外周面がダクト16Cの内周面16Uと接触又は近接するようにダクト16Cの内側に固定状態に設置されたことによって、複数のスリット31,31…及び後述する外周側スリット39,39…が流路細分化手段として機能するように構成されたものである。
【0027】
換言すれば、風下側抵抗装置3は、ダクト16Cの内径寸法に対応した外径寸法に形成された円筒体33と、円筒体33の一端開口側を塞ぐように設けられた円形板に流路径縮小手段として機能する複数のスリット31,31…及び複数の溝36,36…が形成されたスリット付き円形板32とを備えた構成である。
円筒体33は、スリット付き円形板32の元となる円形板の中心3Cを通って当該スリット付き円形板32の板面(平板面)と直交する軸を中心軸とする円筒体である。
【0028】
スリット付き円形板32は、スリット付き円形板32の元となる円形板の外周面の一部を除去して形成された複数の溝36,36…と、円形板の中心3Cを交差して両端が当該円形板の外周縁に至るように残された細幅の2つの真っすぐに延長する直径長さ対応板部34により構成された十字状板部35と、複数のスリット31,31…とを備えて構成される。
言い換えれば、スリット付き円形板32は、円形板の中心3Cから四方に延長した4つの各半径長さ対応板部37,37…により形成された十字状板部35を備え、円形板の周方向に沿って互いに90°隔てて隣り合う半径長さ対応板部37と半径長さ対応板部37との間で形成された4つの扇状の板部38,38…に、それぞれ、円形板の中心3Cを中心とした同心状の複数の円弧状のスリット31,31…が当該円形板の径方向に沿って所定の間隔を隔てて形成されている。
さらに、4つの扇状の各板部38,38…の外周部が除去されて、それぞれ円形板の外周に沿った円弧状の溝36,36…に形成されている。
即ち、スリット付き円形板32の元となる円形板の周方向に隣り合うように形成された溝36と溝36との間の部分が各半径長さ対応板部37,37…の端部として残され、当該4つの端部と円筒体23の一端側とが繋がって一体となるように形成されたことにより、スリット付き円形板32と円筒体23とが一体となった風下側抵抗装置3が構成される。
【0029】
即ち、風下側抵抗装置3は、スリット付き円形板32の外周面となる各半径長さ対応板部37,37…の端面と円筒体33の一端側の内周面とが繋がって一体となるように形成されて円筒体23の一端面とスリット付き円形板32の板面とが同一平面上に位置されるように構成されるか、あるいは、円筒体33の一端面とスリット付き円形板32の各半径長さ対応板部37,37…の外周縁側板面(円筒体33側の外周縁側板面)とが繋がって一体となるように形成されて構成される。
【0030】
風下側抵抗装置3は、円筒体33の外周面がダクト16Cの内周面16Uに直接密着して接触するように設置されるか、あるいは、円筒体33の外周面にダクト16Cの内周面16Uとの間の隙間を埋めて当該円筒体33の外周面とダクト16Cの内周面16Uとの密着性を高めるための上述した密着性促進シート材を設けて、円筒体33の外周面が当該密着性促進シート材を介してダクト16Cの内周面16Uに近接するように設置される。
そして、風下側抵抗装置3がダクト16Cの内周面16Uに接着剤や接着テープあるいは溶接等の固定手段により固定されることによって、スリット付き円形板32の外周側に形成された溝36の溝底面とダクト16の内周面16Uとの間や当該溝36の溝底面と円筒体33の内周面との間で形成されるスリット、即ち、流路細分化手段として機能する外周側スリット39,39…が形成されることになる(
図3参照)。
この場合、複数の円弧状のスリット31,31…、及び、外周側スリット39,39…は、スリット付き円形板32の元となる円形板の中心3Cを中心とした同心状の複数の円弧状のスリットにより形成されることになる。
【0031】
即ち、円筒体33の外周面とダクト16Cの内周面16Uとが接触又は近接するように、風下側抵抗装置3が、ダクト16Cの内側に固定状態に設置されたことにより、ダクト16C内に、流路細分化手段として機能する複数の円弧状のスリット31,31…、及び、流路細分化手段として機能する複数の円弧状の外周側スリット39,39…が設けられることになる。
【0032】
また、複数の円弧状のスリット31,31…、及び、円弧状の外周側スリット39,39…を形成する複数の溝36,36…は、スリット付き円形板32の元となる円形板の中心軸(即ち、円筒体33の中心軸)を対称軸とした回転対称、及び、当該円形板の中心軸と直交する直交線X又は直交線Y(
図5(a)参照)を対称軸とした線対称に設けられる。
【0033】
尚、円弧状のスリット31、及び、円弧状の外周側スリット39は、長手方向と短手方向とを有した円弧状の貫通孔であり、短手方向の開口寸法(スリット幅の寸法)が長手方向の開口寸法(円弧の長さ寸法)に比べて短い例えば数mm程度の細幅寸法に形成された細幅貫通孔のことである。
複数の円弧状のスリット31,31…は、例えばスリット幅の寸法が同じ寸法に形成される。尚、スリット幅とは、スリットの短手方向の開口寸法(細幅方向の開口寸法)のことである。
また、例えば各外周側スリット39,39…の各スリット幅の寸法が同じ寸法となるように各溝36,36…が形成される。
また、円弧状のスリット31及び外周側スリット39は、例えばスリット幅の寸法がほぼ同じ寸法に形成される。
また、風上側抵抗装置2の孔付き円形板22及び円筒体23の板厚寸法、及び、風下側抵抗装置3のスリット付き円形板32及び円筒体33の板厚寸法は、例えば、板厚0.1mm~2mm程度である。
【0034】
以上により、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側に、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3とで形成された抵抗装置1Xを備えた暗騒音発生装置が構成される。
即ち、部屋12の天井側に暗騒音発生装置が設置されることになる。
尚、例えば
図3に示すように、風上側抵抗装置2は、円筒体23が部屋12に近い側に位置して孔付き円形板22が風上側(部屋12から遠い側)に位置するようにダクト16C内に設置され、かつ、風下側抵抗装置3は、円筒体33が部屋12に近い側に位置してスリット付き円形板32が風上側(部屋12から遠い側)に位置するようにダクト16C内に設置される。
【0035】
実施形態1に係る暗騒音発生装置によれば、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側において抵抗装置1Xを備えた構成とした。
即ち、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側において部屋12から見て風上となる位置(部屋12から遠い側)に、ダクト16C内を流れる風(空気)の速度を上げるための流路径縮小手段を有した風上側抵抗装置2を備えたとともに、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側において部屋12から見て風下となる位置(風上側抵抗装置2よりも部屋12に近い側)に、ダクト16C内を流れる風(空気)の流路を細分化するための流路細分化手段を有した風下側抵抗装置3とを備えた構成とした。
このように、風上側抵抗装置2が流路径縮小手段を備えたことで、ダクト16内の空気の流速を速くでき、かつ、風下側抵抗装置3が流路細分化手段を備えたことで、速くなった空気を流路細分化手段を介して分散させて部屋12に送ることができるので、効率的に音を発生させることができるようになった。
即ち、熱交換システム14から送られてダクト16C内を流れる空気が風上側抵抗装置2の流路径縮小手段としての中央円形貫通孔21を通過する際に空気の流速が速くなり、その速くなった空気の流れである風を、風下側抵抗装置3のスリット付き円形板32の板面に衝突させたり、あるいは、風下側抵抗装置3のスリット付き円形板32に形成された流路細分化手段としての細い通流路となる複数の円弧状のスリット31,31…、及び、スリット付き円形板32の外周側に形成された流路細分化手段としての細い通流路となる外周側スリット39,39…を介して分散させて通すことによって、無意味音を効率的に発生させることができるようになった。
つまり、ダクト16C内に設けられた抵抗装置1X、及び、給気孔1を形成する円筒状部品1Aを介して空気が部屋12に流入する際の音の大きさが大きくなり、外壁9に面して給気孔1がない部屋12であっても室外からの生活音が聞こえ難い室内環境を実現できるようになった。
また、実施形態1に係る暗騒音発生装置によれば、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側において風上となる位置に、ダクト16C内を流れる空気(風)の速度を上げるための流路径縮小手段を有した風上側抵抗装置2を設けるようにしたので、ダクト16Cの内径寸法が大きい場合に、特に効果的である。
【0036】
また、実施形態1に係る暗騒音発生装置によれば、孔付き円形板22の元となる円形板の中心2Cを孔の中心とした中央円形貫通孔21を備えた風上側抵抗装置2を使用したとともに、複数の円弧状のスリット31,31…、及び、複数の溝36,36…が、スリット付き円形板32の元となる円形板の中心軸を対称軸とした回転対称、及び、当該円形板の中心軸と直交する直交線X又は直交線Yを対称軸とした線対称に設けられた構成のスリット付き円形板32を備えた風下側抵抗装置3を使用した構成とした。
このように構成したことにより、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側の風上側において中央円形貫通孔21により風をダクト16Cの中央側に効率的に集めることができて風の流速を効率的に速めることができるようになるとともに、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側の風下側において複数の円弧状のスリット31,31…及び複数の円弧状の外周側スリット39,39…により風を均等に分散させてこれらスリット(細い通流路)に通すことができるようになるため、無意味音を効率的に発生させることができるようになった。
【0037】
また、実施形態1の暗騒音発生装置によれば、熱交換システム14から、空気が、ダクト16C,16C…、各部屋12,12…の各天井板11,11…に設けられた各給気孔1,1…を介して各部屋12,12…に分配されて供給される場合において、空気が、各ダクト16C,16C…内に設けられた抵抗装置1Xを通過する際に抵抗等によって音が発生する。
従って、建物10の外壁9に面して給気孔1が無い複数の部屋12,12…毎に、室外からの生活音が聞こえ難い室内環境を実現できる。
また、建物の換気方式を、第1種換気方式としたことにより、換気をスムーズにできるとともに、部屋12において、室外からの生活音が聞こえ難い室内環境を実現できる。
【0038】
実施形態2.
また、風下側抵抗装置3は、
図6(a)に示すように、板部38Aに、スリットとして、複数の円弧状のスリット31,31…を備えずに、板部38Aの外周面に、外周側スリット39を形成する1つ以上の溝36が形成されたスリット付き円形板32を備えた構成であってもよい。尚、外周側スリット39を複数備える場合、これら各外周側スリット39,39…のスリット幅は、全て同じでなくても構わない。
即ち、風下側抵抗装置3は、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法の板の外周面の一部を除去して形成された溝36を有した抵抗板としてのスリット付き円形板32を備え、当該スリット付き円形板32がダクトの内側に設置されたことにより、当該スリット付き円形板32の溝36の溝底面とダクトの内周面との間で形成されて流路細分化手段として機能する外周側スリット39を1つ又は複数備えた構成であればよい。
【0039】
実施形態3.
図示しないが、風下側抵抗装置3は、スリットとして、外周側スリット39,39…を形成する複数の溝36,36…を備えずに、1つ以上のスリット31が形成されたスリット付き円形板を備えた構成であってもよい。尚、スリット31を複数備える場合、これら各スリット31,31…のスリット幅は、全て同じでなくても構わない。
即ち、風下側抵抗装置3は、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法の板を貫通して形成されて流路細分化手段として機能するスリット31を1つ又は複数有した抵抗板としてのスリット付き円形板を備えた構成であればよい。
【0040】
実施形態4.
実施形態1においては、風下側抵抗装置3として、スリット付き円形板32の元となる円形板の中心3Cを中心とした円弧状の複数のスリット31,31…、及び、円弧状の複数の外周側スリット39,39…を形成する溝36,36…が形成されたスリット付き円形板32を備えた風下側抵抗装置3を例示したが、風下側抵抗装置3は、
図6(b),
図6(c)に示すように、スリット付き円形板32の元となる円形板の中心3C側から径方向に沿って当該円形板の外周側に延長する複数のスリット31,31…が、当該円形板の中心軸を対称軸とした回転対称、及び、当該円形板の中心3Cと直交する直交線X又は直交線Yを対称軸とした線対称に設けられた構成の風下側抵抗装置3であってもよい。
図6(b)に示した風下側抵抗装置3は、スリット付き円形板32の元となる円形板の中心3Cを中心として当該円形板の周方向に所定の角度α°を隔てて複数の細幅のスリット31,31…が設けられたスリット付き円形板32を備えた構成である。
図6(b)では、所定の角度α°が30°に設定されたものを図示した。
図6(c)に示した風下側抵抗装置3は、スリット付き円形板32の元となる円形板の中心3Cを中心として周方向に当該円形板の所定の角度α°を隔てて複数の扇形のスリット31,31…が設けられたスリット付き円形板32を備えた構成である。
図6(c)では、所定の角度α°が90°に設定され、かつ、扇形のスリット31の扇の中心角βが30°に設定されたものを図示した。
当該実施形態3の風下側抵抗装置3を備えた暗騒音発生装置であっても、実施形態1と同様な効果が得られる。
【0041】
尚、本発明による暗騒音発生装置の効果を確認するため、以下のような実験装置及び実験方法に基づいて以下の実験1~実験7を行った。
・実験装置及び実験方法
無響室内に天井を模擬した天井模型を設置し、天井模型に円筒状部品1Aを貫通させて給気孔1を形成するとともに、給気孔1を形成する当該円筒状部品1Aの他端開口側に接続されるダクトの一端側の内側に抵抗装置1Xの試験体を設置した後に、ダクトの一端と円筒状部品1Aの他端開口側とを接続し、さらに、ダクトの他端開口側に送風ファンを設置し、送風ファンを駆動して、ダクト内に送風する実験装置を作製した。
当該実験装置を用いて、抵抗装置1Xの試験体の違いによる効果の違いを検証した。
尚、実験では、約20mの円管ダクトを用い、ダクトの途中に消音ボックスを設置した構成として、送風ファンから発生する音が測定されないように、送風ファンからダクト内の抵抗装置1Xの試験体に送風するようにした。
1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルの測定では、マイクロフォンのヘッドケースの中心位置を、円筒状部品1Aの一端開口の中心位置から1m離れた位置に固定した。尚、マイクロフォンのヘッドケースの中心位置及び円筒状部品1Aの一端開口の中心位置は、無響室の床から1.4mの高さに設定した。
そして、送風ファンを駆動して風が抵抗装置1Xの試験体を通過する際に発生する音の音圧レベルを測定した。
尚、稼働音は定常的な音であるため、20秒間の等価音圧レベルを求めた。
換気量は、風量計を用いて測定した。
【0042】
・実験1
実施形態1で説明した抵抗装置1Xが無い場合、及び、実施形態1で説明した抵抗装置1Xを構成する風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を異ならせた各試験体1~7を用い、送風ファンから送風される風量を50.0m
3/hとした場合において、抵抗装置1Xが無い場合、及び、各試験体1~7の違いにより、1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルがどのようになるかを検証する実験。
即ち、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔の違いによって、1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルがどのようになるかを検証した実験である。
当該実験1による実験結果を
図7に示す。尚、
図7(a)の数値表において、「風上」とは風上側抵抗装置2のことであり、「中60φ」とは中央円形貫通孔21の孔径寸法が60mmのこと、「風下」とは風下側抵抗装置3のことであり、「外10mm」とはスリット付き円形板の外周側スリット39のスリット幅寸法(実験に使用した風下側抵抗装置3の溝36の溝底面と円筒体33の内周面との間の間隔寸法)が10mmのこと、「間隔」とは風上側抵抗装置2の孔付き円形板22と風下側抵抗装置3のスリット付き円形板32との間の間隔のことである。尚、実験4以外の実験では、風上側抵抗装置2、風下側抵抗装置3は、
図3に示すように、孔付き円形板22、スリット付き円形板32が風上側に位置されるように設置した。
尚、実験1乃至実験4においては、風下側抵抗装置3は、スリット付き円形板32として、外周側スリット39を形成する溝36だけを有して、円弧状のスリット31が形成されてない構成のスリット付き円形板32、即ち、
図6(a)に示した構成のスリット付き円形板32を備えた風下側抵抗装置3を使用して実験を行った。
【0043】
・実験2
実施形態1で説明した抵抗装置1Xが無い場合、及び、実施形態1で説明した抵抗装置1Xを構成する風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を異ならせた各試験体1~7を用い、送風ファンから送風される風量を75.0m
3/hとした場合において、抵抗装置1Xが無い場合、及び、各試験体1~7の違いにより、1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルがどのようになるかを検証する実験。
即ち、実験1よりも風量を多くした場合に、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔の違いによって、1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルがどのようになるかを検証した実験である。
実験2による実験結果を
図8に示す。尚、
図8(a)の数値表において、「風上」、「中60φ」、「風下」、「外10mm」、「間隔」の意味は、実験1と同じである。
【0044】
・実験3
実施形態2で説明した風下側抵抗装置3(スリット付き円形板32の溝36により形成される外周側スリット39のスリット幅寸法を大きくした風下側抵抗装置3)を用いるとともに、抵抗装置1Xを構成する風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を異ならせた各試験体を用い1~7を用い、送風ファンから送風される風量を75.0m
3/hとした場合において、各試験体1~7の違いにより、1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルがどのようになるかを検証する実験。
即ち、外周側スリット39のスリット幅寸法の違いによる影響を検証したものである。
実験3による実験結果を
図9に示す。尚、
図9(a)の数値表において、「風上」、「中60φ」、「風下」、「間隔」の意味は、実験1と同じである。「外20mm」とは外周側スリット39のスリット幅寸法(実験に使用した風下側抵抗装置3の溝36の溝底面と円筒体33の内周面との間の間隔寸法)が20mmのことである。
即ち、実験3は、実験1で用いた風下側抵抗装置3と比べて、スリット幅寸法が大きい外周側スリット39を備えた風下側抵抗装置3を用いた実験である。
【0045】
・実験4
実施形態1で説明した抵抗装置1Xの
図3に示した風下側抵抗装置3を上下に反転させて設置するとともに、抵抗装置1Xを構成する風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を異ならせた各試験体を用い1~7を用い、送風ファンから送風される風量を75.0m
3/hとした場合において、各試験体1~7の違いにより、1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルがどのようになるかを検証する実験。
即ち、風下側抵抗装置3の円筒体33をスリット付き円形板32よりも風上に位置させたことにより、円筒体33の板厚により形成されるダクト16Cの内周面16Uと円筒体33の内周面との間の段差の影響を検証したものである。
実験4による実験結果を
図10に示す。尚、
図10(a)の数値表において、「風上」、「中60φ」、「風下」、「外10mm」、「間隔」の意味は、実験1と同じである。
「段有」とは上述した段差のことである。
【0046】
・実験5
実施形態1で説明した抵抗装置1Xを構成する風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を一定にし、風下側抵抗装置3として、円弧状のスリット31のスリット幅寸法がそれぞれ異なる風下側抵抗装置3を用いた各試験体1~5を用い、送風ファンから送風される風量を75.0m
3/hとした場合において、各試験体1~5の違いにより、1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルがどのようになるかを検証する実験。
即ち、風下側抵抗装置3の外周側スリット39及びスリット31のスリット幅寸法の違いによる影響を検証したものである。
実験5による実験結果を
図11に示す。尚、
図11(a)の数値表において、「風上」、「中60φ」、「風下」、「間隔」の意味は、実験1と同じである。また、スリット1mm、スリット2mm、スリット3mm、スリット4mm、スリット5mmとは、外周側スリット39及びスリット31のスリット幅寸法のことである。
即ち、実験5の風下側抵抗装置3の各試験体1乃至5においては、外周側スリット39及びスリット31のスリット幅寸法は、試験体1が1mm、試験体2が2mm、試験体3が3mm、試験体4が4mm、試験体5が5mmである。
また、実験5においては、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔は50mmに固定して実験を行った。
また、実験5において使用した風下側抵抗装置3は、1つ1つの扇状の板部38に形成された円弧状のスリット31の数は、試験体1が11個、試験体2が9個、試験体3が8個、試験体4が7個、試験体5が6個である。
また、スリット付き円形板32の径方向に沿って隣り合う円弧状のスリット31と円弧状のスリット31の間の間隔(所定間隔)は、すべての試験体で5mmとした。
【0047】
・実験6
実施形態1で説明した抵抗装置1Xを構成する風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を一定にし、風下側抵抗装置3として、スリット31のスリット幅寸法がそれぞれ異なる風下側抵抗装置3を用いた各試験体1~5を用い、送風ファンから送風される風量を75.0m
3/hとした場合において、各試験体1~5の違いにより、1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルがどのようになるかを検証する実験。
即ち、実験5においては、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を50mmに固定して実験を行ったのに対して、実験6では、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を30mmに固定して実験を行った。従って、当該間隔以外の条件は、実験5と同じである。
実験6による実験結果を
図12に示す。
【0048】
・実験7
実施形態1で説明した抵抗装置1Xを構成する風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を一定にし、風下側抵抗装置3として、円弧状のスリット31のスリット幅寸法、及び、1つ1つの扇状の板部38に形成された円弧状のスリット31の数が、それぞれ異なる風下側抵抗装置3を用いた各試験体1~8を用い、送風ファンから送風される風量を75.0m
3/hとした場合において、各試験体1~8の違いにより、1/3オクターブバンド音圧レベル及びA特性音圧レベルがどのようになるかを検証する実験。
即ち、円弧状のスリット31のスリット幅寸法の違い、1つ1つの扇状の板部38に形成された円弧状のスリット31の数の違いによる影響を検証したものである。
実験7による実験結果を
図13に示す。尚、
図13(a)の数値表において、「風上」、「中60φ」、「風下」、「外10mm」、「間隔」の意味は、実験1と同じである。
また、
図13(a)の数値表における表記、スリット「A」mm×「B」において、「A」の数値は、円弧状のスリット31のスリット幅寸法のこと、「B」の数値は、1つ1つの扇状の板部38に形成された円弧状のスリット31の数のことである。
また、実験7では、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を30mmに固定して実験を行った。
また、実験7で使用した風下側抵抗装置3の各試験体において、スリット付き円形板32の径方向に沿って隣り合う円弧状のスリット31と円弧状のスリット31の間の間隔(所定間隔)は、すべての試験体で5mmとした。
【0049】
尚、実験1乃至実験7において使用した円筒状部品1A、ダクトの諸元は以下のとおりである。
また、実験1乃至実験7において使用した抵抗装置1Xに共通する諸元は以下のとおりである。
(1)ダクト
・ダクト内径寸法 154mm、ダクト外径寸法 165mm。
(2)風上側抵抗装置2
・円筒体23の外径寸法 156mm、円筒体23の内径寸法 154.4mm。
・中央円形貫通孔21の孔径寸法 60mm。
・孔付き円形板22及び円筒体23の板厚寸法 0.8mm。
(3)風下側抵抗装置3
・円筒体33の外径寸法 156mm、円筒体33の内径寸法 154.4mm。
・スリット付き円形板32及び円筒体33の板厚寸法 0.8mm。
尚、実験1乃至実験7においては、円筒状部品1Aは使用していない。
【0050】
図7に示す実験1及び
図8に示す実験2の実験結果から以下の傾向が判明した。
(1)ダクト16Cの内側に抵抗装置1Xを設置した各試験体1乃至7では、ダクト16Cの内側に抵抗装置1Xが無い場合と比べて、発生する音(A特性音圧レベル)が大きくなることがわかる。従って、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側に抵抗装置1Xを備えた本発明の暗騒音発生装置によれば、外壁9に面して給気孔1がない部屋12であっても室外からの生活音が聞こえ難い室内環境を実現できるようになることが実証された。
(2)風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を広くした場合、特に、低周波数帯の音が大きくなる傾向があることがわかった。
(3)風量を多くした場合、発生する音(A特性音圧レベル)が大きくなることがわかった。特に、250~315Hz帯域の音が大きくなる傾向があることがわかった。
【0051】
図9に示す実験3の実験結果から以下の傾向が判明した。
(1)
図8に示す実験2の実験結果と比較して、全体的に音圧レベルが低くなっている。即ち、外周側スリット39のスリット幅寸法を大きくした場合、音が出にくくなる傾向があることがわかった。
(2)また、外周側スリット39のスリット幅寸法を大きくした場合においても、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を広くした場合には、特に、低周波数帯の音が大きくなる傾向があることがわかった。
【0052】
図10に示す実験4の実験結果から以下の傾向が判明した。
(1)風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を広くすると、
図8に示す実験2の実験結果と比較して明らかなように、低周波数帯の音が大きくなる傾向がある。
(2)即ち、風下側抵抗装置3の風上側に段差が有る場合、段差が無い場合と比べて、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔が広くなると、低い音が出やすい傾向があることがわかった。
【0053】
図11に示す実験5の実験結果から以下の傾向が判明した。
(1)風下側抵抗装置3のスリット31,39のスリット幅寸法を1mmとした場合、特に、160Hz帯以上の周波数帯において、音が出にくくなる傾向があることがわかった。
(2)尚、風下側抵抗装置3のスリット31,39のスリット幅寸法がある程度大きくなれば(例えば2mm以上になれば)、スリット幅寸法を1mmとした場合と比べて、発生する音(A特性音圧レベル)が大きくなる傾向があることがわかった。
【0054】
図12に示す実験6(間隔30mm)の実験結果から以下の傾向が判明した。
(1)実験5の実験結果と同様に、風下側抵抗装置3の円弧状のスリット31のスリット幅寸法がある程度大きくなるほど、発生する音(A特性音圧レベル)が大きくなる傾向があることがわかった。
(2)また、
図11に示す実験5(間隔50mm)の実験結果と比較してわかるように、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を狭くした場合、若干ではあるが、音圧レベルが高くなる傾向があることが見て取れる。即ち、スリット31,39のスリット幅寸法の大小にかかわらず、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を狭くすると、若干ではあるが、音が出やすくなる傾向があることがわかった。
【0055】
図13に示す実験7の実験結果から以下の傾向が判明した。
(1)実験5,6の実験結果と同様に、風下側抵抗装置3の円弧状のスリット31のスリット幅寸法がある程度大きくなるほど、A特性音圧レベルが大きくなる傾向があることがわかる。
(2)また、スリット31のスリット幅寸法が小さくなるほど、スリット31の数が多くなるに従ってA特性音圧レベルが小さくなる傾向があり、逆に、スリット31のスリット幅寸法が大きくなるほど、スリット31の数が多くなるに従ってA特性音圧レベルが大きくなる傾向があることがわかった。
即ち、スリット31のスリット幅寸法を小さくしてA特性音圧レベルを大きくしたい場合には、スリット31の数を少なくすればよいことがわかった。
また、スリット31のスリット幅寸法を大きくしてA特性音圧レベルを大きくしたい場合には、スリット31の数を多くすればよいことがわかった。
【0056】
実施形態5.
実施形態1では、円筒体23を備えた風上側抵抗装置2、円筒体33を備えた風下側抵抗装置3を例示したが、円筒体23を備えない風上側抵抗装置2、円筒体33を備えない風下側抵抗装置3であってもよい。
この場合、孔付き円形板22の外周面とダクト16Cの内周面16Uと接触又は近接するようにダクト16Cの内側に固定状態に設置された風上側抵抗装置2とすればよい。
また、スリット付き円形板32の外周面となる各半径長さ対応板部37,37…の端面とダクト16Cの内周面16Uとが接触又は近接するようにダクト16Cの内側に固定状態に設置された風下側抵抗装置3とすればよい。
即ち、風上側抵抗装置2は、少なくとも孔付き板を備えた構成であればよく、また、風下側抵抗装置3は、少なくともスリット付き板を備えた構成であればよい。
また、実施形態では、円筒体23を備えた風上側抵抗装置2を例示したが、風上側抵抗装置2は、少なくとも、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法の板に流路径縮小手段としての孔が形成された孔付き板を有し、当該孔付き板がダクトの内側に設置されたことにより、孔が流路細分化手段として機能するように構成されたものであればよい。
また、実施形態では、円筒体33を備えた風下側抵抗装置3を例示したが、風下側抵抗装置は、少なくとも、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法の板に流路細分化手段としての複数のスリットが形成されたスリット付き板を有し、当該スリット付き板がダクトの内側に設置されたことにより、複数のスリットが流路細分化手段として機能するように構成されたものであればよい。
即ち、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法の板に流路径縮小手段としての貫通孔が形成された抵抗板(例えば、上述した孔付き円形板22)そのものをダクトの内面に取付けた構成の風上側抵抗装置としてもよい。
同様に、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法の板の外周面の一部を除去して形成された溝を有してダクトの内周面との間で路細分化手段として機能する1つ又は複数の外周側スリットを形成する抵抗板(例えば、実施形態2で説明したスリット付き円形板32)そのものをダクトの内面に取付けた構成の風下側抵抗装置3としてもよい。
また、ダクトの内径寸法に対応した外径寸法の板を貫通して形成されて流路細分化手段として機能する1つ又は複数のスリットを有した抵抗板(例えば、実施形態3で説明したスリット付き円形板)そのものをダクトの内面に取付けた構成の風下側抵抗装置3としてもよい。
つまり、風上側抵抗装置2、風下側抵抗装置3は、例えば、円形板22や円形板23等の抵抗板の外周側にダクトの内面に対する図外の取付部(爪等)を設けて、当該取付部を介して当該抵抗板をダクトの内面に直接取り付けるような構成としてもよい。
【0057】
実施形態6.
上述した実験結果を考慮して、風下側抵抗装置3により形成されるスリット39のスリット幅を変更可能な暗騒音発生装置としてもよい。即ち、風下側抵抗装置3により形成されるスリット39のスリット幅を変更可能とするため、溝36の深さが異なるように形成された複数種の風下側抵抗装置3を用意して、これら風下側抵抗装置3をダクト16C内に着脱可能となるよう構成された暗騒音発生装置とすれば、風下側抵抗装置3によるスリット39のスリット幅を調整することで、発生させる暗騒音の大きさや音の高低を調整可能な暗騒音発生装置を提供できるようになる。
【0058】
実施形態7.
上述した実験結果を考慮して、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3とが連結されて、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔が変更可能に構成された抵抗装置1Xを用いれば、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3との間の間隔を調整することで、発生させる暗騒音の大きさや音の高低を調整可能な暗騒音発生装置を提供できるようになる。
【0059】
尚、実施形態では、暗騒音発生装置や内気取込孔を天井に設けた例を示したが、暗騒音発生装置や内気取込孔17を床に設けるようにしてもよい。この場合、給気手段、熱交換システム、ダクト等は、床下空間に設け、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側に抵抗装置1Xを設置すればよい。
即ち、本発明の暗騒音発生装置は、床下空間に設けることも可能であり、当該暗騒音発生装置を介して空気が部屋12に流入する際の音の大きさを大きくできる。
【0060】
また、暗騒音発生装置や内気取込孔17を、壁内空間を有した間仕切り壁に設けるようにしてもよい。この場合、ダクト等は、壁内空間に設け、ダクト16Cの部屋12に近い側の端部側の内側に抵抗装置1Xを設置すればよい。
即ち、本発明の暗騒音発生装置は、壁内空間に設けることも可能であり、当該暗騒音発生装置を介して空気が部屋12に流入する際の音の大きさを大きくできる。
【0061】
また、内気取込孔17に接続されるダクト16B内に抵抗装置1Xを設けて暗騒音発生装置を構成してもよい。
【0062】
熱交換システムを備えない構成としてもよい。
この場合、強制給気手段、及び、強制排気手段のいずれか一方、又は、両方を備えない構成としてもよい。
このような場合、建物外部から、天井裏空間、床下空間、壁内空間を経由する空気を部屋内に給気するために、給気孔1に給気ファンを設ければよい。
【0063】
また、各実施形態では、建物の外部から建物の内部に取り込んだ空気を建物内の複数の各部屋に分配するために複数の各部屋の天井に暗騒音発生装置を設けた例を示したが、必ずしも、建物内の複数の各部屋に分配する構成とする必要はない。即ち、建物内の特定の1つの部屋の天井、又は、床、あるいは、間仕切り壁に暗騒音発生装置を設けることにより、当該暗騒音発生装置を介して空気が部屋に流入する際の音の大きさを大きくするようにすればよい。
【0064】
上述した給気手段13の円筒体、給気孔1を形成する筒部品としての円筒状部品1A、排気手段15の円筒体は、必ずしも円筒体でなくともよく、例えば角筒体などの筒体であってもよい。
また、実施形態では、給気孔1を形成する筒部品として、一端開口側円筒部と一端開口側円筒部の径よりも小さい他端開口側円筒部とを備えた段差付きの円筒状部品1Aを例示したが、給気孔1を形成する筒部品は段差のない筒部品であってもよい。
【0065】
実施形態では、風上側抵抗装置2として、ダクト16Cの内径寸法に対応した外径寸法の円形板の中央側に円形板の中心2Cを孔の中心とした中央円形貫通孔21を有した孔付き円形板22を備えた風上側抵抗装置2を例示したが、流路径縮小手段として機能させる貫通孔は、中央円形貫通孔21でなくともよい。例えば、風上側抵抗装置2の孔付き円形板に形成される流路径縮小手段としての貫通孔は、ダクト16Cの内径寸法に対応した外径寸法の円形板の中央側に形成された、四角形状、三角形状、多角形状、異形形状等の貫通孔であってもかまわない。
また、風上側抵抗装置2の孔付き円形板22に形成される流路径縮小手段としての貫通孔は、円形板の中心2Cを含まない貫通孔、即ち、円形板の中心2Cからずれた位置に設けられた貫通孔であっても構わない。
また、流路径縮小手段としての貫通孔が複数個形成された孔付き円形板22を備えた風上側抵抗装置2であってもかまわない。
【0066】
また、風上側抵抗装置2は、ダクトの流路径を縮小させる流路径縮小手段を備えた構成であればよく、流路径縮小手段は、例えば筒状の貫通路等により形成されたものであってもよい。
この場合、流路径縮小手段は、複数の貫通路により形成されたものであってもよい。
また、この場合、貫通路の断面形状は、円形以外、例えば、四角形状、三角形状、異形形状等であってもよい。
【0067】
実施形態では、風下側抵抗装置3として、複数の円弧状のスリット31,31…が、円形板の中心軸を対称軸とした回転対称、及び、円形板の中心3Cと直交する直交線X又は直交線Yを対称軸とした線対称に設けられた構成のものを例示したが、複数のスリットが、円形板の中心軸を対称軸とした回転対称に設けられた構成の風下側抵抗装置3、あるいは、複数のスリットが、円形板の中心3Cと直交する直交線X又は直交線Yを対称軸とした線対称に設けられた構成の風下側抵抗装置3であってもよい。
【0068】
また、風下側抵抗装置3のスリット付き板に設けられるスリットは、板の中心軸を対称軸とした回転対称、及び、板の中心と直交する直交線を対称軸とした線対称に設けられた構成でなくとも構わない。
即ち、スリット付き板は、流路細分化手段としてのスリットが1つ以上設けられていればよく、スリットの形状はどのような形状であってもかまわない。
また、流路細分化手段としてのスリットが複数設けられている場合には、各スリットの形状、大きさなどは、同じでなくともかまわない。
【0069】
また、風上側抵抗装置2と風下側抵抗装置3とで構成された抵抗装置1Xを例示したが、抵抗装置は、風上側抵抗装置2及び風下側抵抗装置3のうちのいずれか一方のみで構成してもよい。
即ち、抵抗装置は、ダクトの部屋12に近い側の端部側の内側に設けられて、ダクトの内側に空気が通過する際の抵抗となって、空気が部屋12に流入する際の音の大きさを大きくするものであれば、どのような構成であってもかまわない。
【0070】
ダクトは、断面円形以外の断面形状に形成されたダクトを用いてもよい。例えば、断面四角形状、あるいは、断面三角形状等の断面形状のダクトを用いても構わない。
【0071】
また、ダクトの材質、抵抗装置の材質は、特に限定されない。例えば、金属、合成樹脂等によりダクトや抵抗装置を形成すればよい。
【0072】
また、抵抗装置は、3D(立体)プリンター等を用いて一体成形されたものを用いても構わない。
【0073】
また、実施形態では、建物としてマンション等の共同住宅を例示したが、本発明は、一戸建て、ホテル、事務所、その他の建物にも適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 給気孔、1X 抵抗装置、2 風上側抵抗装置、3 風下側抵抗装置、
10 建物、12 部屋、16C ダクト、16U ダクトの内周面、
21 中央円形貫通孔(流路径縮小手段)、22 孔付き円形板(抵抗板)、
31 スリット(流路細分化手段)、32 スリット付き円形板(抵抗板)、36 溝、
39 外周側スリット(流路細分化手段)。