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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】食品用包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 30/28 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D30/28 L
B65D30/28 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021079716
(22)【出願日】2021-05-10
(65)【公開番号】P2022173795
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】白井 直人
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-100488(JP,A)
【文献】特開2013-230864(JP,A)
【文献】特開2001-294265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0228549(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 30/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側部の側部接合部とにより三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備え、両側面が三角形状で所定の幅を有する立体形状の食品を包装する食品用包装袋であって、
一対のシートの、食品が袋本体内に収容された状態で開口部側の余分なシート片となる領域のうち、食品の底面の両側縁に対応する2つの谷折り線で挟まれる領域に接合され、各谷折り線に一致する又は沿う側縁を有する補強シートを備える
食品用包装袋。
【請求項2】
一対のシートのうち、補強シートが接合されるシートには、少なくとも開口部側の端部領域が区画され、
端部領域には、プラスチックシートが用いられ、
補強シートが接合されるシートの余分なシート片は、先端部が端部領域のプラスチックシートで構成される
請求項1に記載の食品用包装袋。
【請求項3】
一対のシートのうち、補強シートが接合されるシートには、少なくとも開口部側の端部領域及び端部領域に隣接する隣接領域が区画され、
端部領域には、プラスチックシートが用いられ、隣接領域には、プラスチックシートよりも剛性が高いシートが用いられ、
補強シートが接合されるシートの余分なシート片は、基部が隣接領域のシート、先端部が端部領域のプラスチックシートで構成される
請求項1に記載の食品用包装袋。
【請求項4】
一対のシートのうち、補強シートが接合されるシートは、上段部と、中段部と、下段部とに区画され、
中段部には、紙シート又はセロハンシートが用いられ、下段部には、プラスチックシートが用いられ、
補強シートが接合されるシートの余分なシート片は、基部が中段部の紙シート又はセロハンシート、先端部が下段部のプラスチックシートで構成される
請求項1に記載の食品用包装袋。
【請求項5】
補強シートは、シートの外面に接合される
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の食品用包装袋。
【請求項6】
補強シートは、食品の底面の後縁又は前縁に対応するシートの山折り線に一致する又は沿う第1端縁を有する
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の食品用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を包装するための食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
側面が三角形状(主として直角三角形状)で所定の幅を有する立体形状(三角柱を横に倒した形状)に仕上げられたサンドイッチ等の食品がある。この食品を包装するための食品用包装袋は、図24に示すものが一般的であり、新しいものでは、特許文献1に記載されたものが公知である。
【0003】
食品用包装袋1’は、袋本体10’と、ヘッダ部15’とを備える。袋本体10’は、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシート2’,3’が重ね合わせられ、一端側の頂部接合部11’と両側縁の側部接合部12’,12’により三方が封止され、他端側が開口部13’となるものである。ヘッダ部15’は、頂部接合部11’から突出する各シート2’,3’の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。
【0004】
ヘッダ部15’における第2のシート3’には、たとえば逆U字状の切込線32’が形成されるとともに、切込線32’を外形線とする開封片33’が形成される。第2のシート3’の内面には、開封片33’から第2のシート3’の他端側にかけて、カットテープ等の開封用条体34’が接合される。
【0005】
食品の包装方法は、たとえば特許文献2や特許文献3に記載されている。概略は次のとおりである。まず、図25(a)に示すように、ブロワ(図示しない)で開口部13’から袋本体10’内に所定圧の空気を吹き込み、あるいは、吸引ヘッド(図示しない)で第1のシート2’の開口部13’側を吸引して持ち上げる等して、開口部13’が開かれる。そして、この状態で食品6’が頂角側から袋本体10’内に収容される。
【0006】
食品6’が袋本体10’内に収容されると、同図(b)に示すように、開口部13’の開口形状は、長方形状となる。第1のシート2’及び第2のシート3’の各側部接合部12’に跨った部分は、一対の対向する三角形状の側面部となる。第1のシート2’の中間部分は、長方形状の正面部となる。第2のシート3’の中間部分は、長方形状の背面部となる。
【0007】
食品6’が袋本体10’内に収容された後、同図(c)に示すように、まず始めに、食品6’の底面60’の外縁から角筒状に延出する開口部13’側の余分なシート片のうち、第2のシート3’のシート片(背面部のシート片)が、食品6’の底面60’に沿うように折り畳まれる。次に、図26(a)に示すように、左右のいずれか一方のシート片(一方の側面部のシート片)が、先に折り畳まれたシート片に重なるように折り畳まれる。次に、同図(b)に示すように、左右のいずれか他方のシート片(他方の側面部のシート片)が、先に折り畳まれたシート片に重なるように折り畳まれる。次に、同図(c)に示すように、残った第1のシート2’のシート片(正面部のシート片)が、先に折り畳まれたシート片に重なるように折り畳まれる。これにより、食品用包装袋1’の開口部13’は、閉塞される。そして、開口部13’が閉塞されると、テープ8’が貼着されて開口部13’が封止される。あるいは、ラベルが貼着されたり、シート片の折り畳んで重なり合った所定箇所が溶着等で接合されて、開口部13’が封止される。以上の工程を経て、食品包装体が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-171326号公報
【文献】特開2003-226307号公報
【文献】特開2002-179173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、第2のシート3’として、剛性が高い(硬い)シートが用いられる場合、食品6’を包装するに際し、第2のシート3’の余分なシート片を折り畳んでも、第2のシート3’の余分なシート片が、剛性により反発し、食品6’の底面60’に正しく沿わない場合がある。また、第2のシート3’として、異素材の積層シートであること等を理由としてカールしやすいシートが用いられる場合、第2のシート3’の余分なシート片が、内側又は外側にカールして平面性を喪失し、食品6’の底面60’に正しく沿わない場合がある。そして、これらの場合、食品包装体の底部を綺麗に仕上げることが困難となる。食品包装体の底部が綺麗でないと、食品包装体の外観が悪くなり、商品価値が損なわれる。これを防止するためには、手作業での修正が必要となり、手間がかかる。あるいは、修正が困難な場合、廃棄処分となることもあり得る。
【0010】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、食品を包装するに際し、食品が袋本体内に収容された後の開口部側の余分なシート片を綺麗に折り畳んで開口部を閉鎖、封止することができる食品用包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る食品用包装袋は、
第1方向の一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する一対のシートが重ね合わせられ、一端側の頂部接合部と両側部の側部接合部とにより三方が封止されて他端側が開口部となる袋本体を備え、両側面が三角形状で所定の幅を有する立体形状の食品を包装する食品用包装袋であって、
一対のシートの、食品が袋本体内に収容された状態で開口部側の余分なシート片となる領域のうち、食品の底面の両側縁に対応する2つの谷折り線で挟まれる領域に接合され、各谷折り線に一致する又は沿う側縁を有する補強シートを備える
食品用包装袋である。
【0012】
ここで、本発明に係る食品用包装袋の一態様として、
一対のシートのうち、補強シートが接合されるシートには、少なくとも開口部側の端部領域が区画され、
端部領域には、プラスチックシートが用いられ、
補強シートが接合されるシートの余分なシート片は、先端部が端部領域のプラスチックシートで構成される
との構成を採用することができる。
【0013】
また、本発明に係る食品用包装袋の他態様として、
一対のシートのうち、補強シートが接合されるシートには、少なくとも開口部側の端部領域及び端部領域に隣接する隣接領域が区画され、
端部領域には、プラスチックシートが用いられ、隣接領域には、プラスチックシートよりも剛性が高いシートが用いられ、
補強シートが接合されるシートの余分なシート片は、基部が隣接領域のシート、先端部が端部領域のプラスチックシートで構成される
との構成を採用することができる。
【0014】
また、本発明に係る食品用包装袋の別の態様として、
一対のシートのうち、補強シートが接合されるシートは、上段部と、中段部と、下段部とに区画され、
中段部には、紙シート又はセロハンシートが用いられ、下段部には、プラスチックシートが用いられ、
補強シートが接合されるシートの余分なシート片は、基部が中段部の紙シート又はセロハンシート、先端部が下段部のプラスチックシートで構成される
との構成を採用することができる。
【0015】
また、本発明に係る食品用包装袋のさらに別の態様として、
補強シートは、シートの外面に接合される
との構成を採用することができる。
【0016】
また、本発明に係る食品用包装袋の他態様として、
補強シートは、食品の底面の後縁又は前縁に対応するシートの山折り線に一致する又は沿う第1端縁を有する
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、食品を包装するに際し、食品が袋本体内に収容された後、食品の底面の外縁から延出する開口部側の余分なシート片が適宜折り畳まれるが、食品の底面に沿うように最初に折り畳まれるシート片のうち、食品の底面に対応する領域には、補強シートが付加され、補強シートの両側縁は、最初に折り畳まれるシート片のうち、食品の底面の両側縁に対応する2つの谷折り線に一致する又は沿うものである。これにより、当該部分は、他の部分に比べて剛性が高くなる。この結果、最初に折り畳まれるシート片は、食品の底面に正しく沿うように折り畳まれる。このため、本発明によれば、食品を包装するに際し、食品が袋本体内に収容された後の開口部側の余分なシート片を綺麗に折り畳んで開口部を閉鎖、封止することができ、食品包装体の底部を綺麗に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態1-1に係る食品用包装袋の分解斜視図である。
図2図2は、実施形態1-1に係る食品用包装袋の正面図である。
図3図3は、実施形態1-1に係る食品用包装袋の背面図である。
図4図4(a)は、実施形態1-1に係る食品用包装袋の第1のシートの正面図である。図4(b)は、図4(a)のA-A線断面図である。
図5図5(a)は、実施形態1-1に係る食品用包装袋の第2のシートの正面図である。図5(b)は、図5(a)のB-B線断面図である。
図6図6(a)は、実施形態1-1に係る食品用包装袋により食品を包装した食品包装体の正面側から見た斜視図である。図6(b)は、背面側から見た斜視図である。
図7図7は、実施形態1-1に係る食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第1のシート原反(及び第2のシート原反)の製造工程の説明図である。
図8図8は、実施形態1-1に係る食品用包装袋の製造工程の説明図であって、第1のシート原反及び第2のシート原反を重ね合わせてから最終的に食品用包装袋が完成するまでの各工程の説明図である。
図9図9(a)及び(b)は、実施形態1-1に係る食品用包装袋に食品が収容された後の開口部を閉鎖、封止する過程の説明図である。
図10図10は、実施形態1-2に係る食品用包装袋の背面図である。
図11図11は、実施形態1-3に係る食品用包装袋の背面図である。
図12図12は、実施形態1-4に係る食品用包装袋の背面図である。
図13図13は、実施形態1-5に係る食品用包装袋の背面図である。
図14図14は、実施形態1-6に係る食品用包装袋の背面図である。
図15図15(a)は、実施形態1-5に係る食品用包装袋に食品が収容された後の開口部を閉鎖、封止する過程の説明図である。図15(b)は、実施形態1-6に係る食品用包装袋に食品が収容された後の開口部を閉鎖、封止する過程の説明図である。
図16図16(a)ないし(h)は、食品用包装袋の補強シートの各種変形例の正面図である。
図17図17は、実施形態2-1に係る食品用包装袋の背面図である。
図18図18(a)は、実施形態2-1に係る食品用包装袋の第2のシートの正面図である。図18(b)は、図18(a)のC-C線断面図である。
図19図19は、実施形態2-2に係る食品用包装袋の背面図である。
図20図20(a)は、実施形態2-2に係る食品用包装袋の第2のシートの正面図である。図20(b)は、図20(a)のD-D線断面図である。
図21図21は、実施形態2-3に係る食品用包装袋の背面図である。
図22図22(a)は、他実施形態1に係る食品用包装袋に食品が収容された後の開口部を閉鎖、封止する過程の説明図である。図22(b)は、他実施形態2に係る食品用包装袋に食品が収容された後の開口部を閉鎖、封止する過程の説明図である。
図23図23(a)は、他実施形態3に係る食品用包装袋に食品が収容された後の開口部を閉鎖、封止する過程の説明図である。図23(b)は、他実施形態4に係る食品用包装袋に食品が収容された後の開口部を閉鎖、封止する過程の説明図である。
図24図24は、従来の食品用包装袋の背面図である。
図25図25(a)ないし(c)は、食品用包装袋を用いて食品を包装する過程の説明図である。
図26図26(a)ないし(d)は、図25の続きの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<食品用包装袋の概要>
以下、食品をサンドイッチとする食品用包装袋の各種実施形態について説明するが、まずは、各実施形態に共通する事項について説明する。
【0020】
図1ないし図3に示すように、食品用包装袋1は、袋本体10と、ヘッダ部15とを備える。袋本体10は、一対のシート(第1のシート2、第2のシート3)が重ね合わせられ、接合されるものである。第1のシート2は、表シートともいい、第2のシート3は、裏シートともいう。一対のシートは、互いに直交する方向の一方が他方よりも長い形状を有し、かつ、一端側よりも他端側が幅広となる形状を有する。袋本体10は、一端側の頂部接合部11と、両側部の側部接合部12,12とにより、三方が接合、封止され、他端側が開口部13となるものである。ヘッダ部15は、頂部接合部11から突出する各シート2,3の突出片が適宜の箇所で互いに接合され、一体化されるものである。なお、以下では、上記一方(図2及び図3では、上下方向)を「長手方向」又は「第1方向」といい、上記他方(図2及び図3では、左右方向)を「幅方向」又は「第2方向」という。
【0021】
第1のシート2は、胴部20と、先端部21(上記突出片)とを備える。胴部20は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部21は、胴部20の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0022】
第2のシート3は、胴部30と、先端部31(上記突出片)とを備える。胴部30は、一端側から他端側に向かって次第に幅広となっていく形状を有する。先端部31は、胴部30の一端から延びる幅狭の形状を有する。
【0023】
胴部20,30は、台形状である。このため、胴部20,30の一端(及びこれに一致する先端部21,31の他端)は、長手方向に対して直交する直線状である。言い換えれば、胴部20,30の一端は、幅方向と平行な直線状である。胴部20,30の両側縁は、長手方向に対して傾斜する直線状である。ただし、胴部20,30の両側縁の他端側は、切欠部14により欠如している。これにより、胴部20,30の他端側は、切欠部14の分だけ幅狭とされる。
【0024】
図4にも示すように、第1のシート2は、長手方向において複数の領域に区画される。具体的には、第1のシート2は、上段部22A、中段部22B、下段部22Cの3つの領域に区画される。上段部22Aは、胴部20の上部及び先端部21に区画される。下段部22Cは、胴部20の下部に区画される。中段部22Bは、上段部22A及び下段部22C間、すなわち、胴部20の中間部に区画される。上段部22A及び下段部22Cは、同一高さ寸法である。
【0025】
第1のシート2は、3つのシート(中間の分割シート23及び上下端部の分割シート23,23)が、縁部同士が重ね合わせられ(重ね合わせ部24)、重ね合わせ部24が第1のシート2の幅方向に沿って接合され(接合部25)、1枚のシートにされたものである。本例においては、接合部25は、加熱バーや加熱ローラを用いた溶着により形成され、所定の幅を有する帯状のシールである。重ね合わせ部24において、端部の分割シート23の縁部は、中間の分割シート23の縁部の外面側に配置され、中間の分割シート23の縁部と端部の分割シート23の縁部とは、中間の分割シート23の縁部の外面と端部の分割シート23の縁部の内面とが対向するように、重ね合わせられる。
【0026】
中間の分割シート23は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(フィルム)である。一例として、シートは、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)シート(フィルム)又は無延伸ポリプロピレン(CPP)シート(フィルム)である。あるいは、シートは、積層シート(フィルム)である。積層シート(フィルム)の一形態として、シートは、外面側から順に、基材層、接着層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。接着層として、ドライラミネート、押出しラミネート等が用いられる。樹脂層として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。なお、ポリプロピレンシート(フィルム)とは、純度100%のポリプロピレンシート(フィルム)はもちろんのこと、ポリプロピレンを主成分として、他の成分(たとえばポリエチレンといった他の樹脂成分)を含有するシート(フィルム)も含む概念である。なお、「シート」は、厚みによって定められるものではなく、フィルムを含む概念である(以下、同様)。
【0027】
これに対し、上下端部の分割シート23,23は、紙、未晒しクラフト紙、和紙、混抄紙、合成紙、グラシン紙、紙質又は紙様(これらをまとめて「紙」という。)の、又は、これらを主とするシート(フィルム)である(これらをまとめて「紙シート」(フィルム)という。)。紙は、バイオベースポリエチレンテレフタレート(バイオベースPET、いわゆるバイオPET)を含む紙であってもよい。シートは、必要に応じて、内面側又は外面側の少なくとも一方側に全面的に又は必要箇所の部分的に熱溶着性を有する。たとえば、シートは、紙を外層とし、プラスチックシート(フィルム)を内層としてラミネートした積層シート(フィルム)である。積層シート(フィルム)の一形態として、シートは、外面側から順に、基材層、接着層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、紙が用いられる。接着層として、ドライラミネート、押出しラミネート等が用いられる。樹脂層として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。一例として、基材層は、坪量が12g/m程度又は15g/m程度の紙であり、接着層は、ドライラミネートであり、樹脂層は、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)である。
【0028】
あるいは、上下端部の分割シート23,23は、普通セロハン、防湿セロハン、セロハン質又はセロハン様(これらをまとめて「セロハン」という。)の、又は、これらを主とするシート(フィルム)である(これらをまとめて「セロハンシート」(フィルム)という。)。シートは、必要に応じて、内面側又は外面側の少なくとも一方側に全面的に又は必要箇所の部分的に熱溶着性を有する。たとえば、シートは、セロハンを外層とし、プラスチックシート(フィルム)を内層としてラミネートした積層シート(フィルム)である。積層シート(フィルム)の一形態として、シートは、外面側から順に、基材層、接着層及び樹脂層を積層して形成される。基材層として、セロハンが用いられる。接着層として、ドライラミネート、押出しラミネート等が用いられる。樹脂層として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂が用いられる。一例として、基材層は、普通セロハン又は防湿セロハンであり、接着層は、ドライラミネートであり、樹脂層は、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)である。
【0029】
上段部22Aは、上端部の分割シート23に相当する。中段部22Bは、中間の分割シート23のうち、上下の重ね合わせ部24,24を除いた部分に相当する。下段部22Cは、下端部の分割シート23に相当する。これにより、第1のシート2において、上段部22A及び下段部22Cは、不透明(ないし半透明)な部分となり、中段部22Bは、内部を視認可能な透明な部分となる。
【0030】
図5にも示すように、第2のシート3は、長手方向において複数の領域に区画される。具体的には、第2のシート3は、上段部35A、中段部35B、下段部35Cの3つの領域に区画される。上段部35Aは、先端部31に区画される。下段部35Cは、胴部30の下部に区画される。中段部35Bは、上段部35A及び下段部35C間、すなわち、胴部30の下部を除く部分に区画される。中段部35Bは、第1のシート2の中段部22Bよりも大きい高さ寸法である。上段部35A及び下段部35Cは、同一高さ寸法である。上段部35A及び下段部35Cは、第1のシート2の上段部22A及び下段部22Cよりも小さい高さ寸法である。
【0031】
第2のシート3は、3つのシート(中間の分割シート36及び上下端部の分割シート36,36)が、縁部同士が重ね合わせられ(重ね合わせ部37)、重ね合わせ部37が第2のシート3の幅方向に沿って接合され(接合部38)、1枚のシートにされたものである。本例においては、接合部38は、加熱バーや加熱ローラを用いた溶着により形成され、所定の幅を有する帯状のシールである。重ね合わせ部37において、端部の分割シート36の縁部は、中間の分割シート36の縁部の内面側に配置され、中間の分割シート36の縁部と端部の分割シート36の縁部とは、中間の分割シート36の縁部の内面と端部の分割シート36の縁部の外面とが対向するように、重ね合わせられる。
【0032】
中間の分割シート36は、紙シート又はセロハンシートである。これに対し、上下端部の分割シート36,36は、プラスチックシートである。
【0033】
上段部35Aは、上端部の分割シート36のうち、重ね合わせ部37を除いた部分に相当する。中段部35Bは、中間の分割シート36に相当する。下段部35Cは、下端部の分割シート36のうち、重ね合わせ部37を除いた部分に相当する。これにより、第2のシート3において、上段部35A及び下段部35Cは、透明な部分となり、中段部35Bは、不透明(ないし半透明)な部分となる。
【0034】
頂部接合部11は、胴部20,30の一端に沿ってシート2,3を溶着することにより形成される。本例においては、頂部接合部11は、加熱バーを用いた溶着により形成され、所定の幅を有する帯状のシールである。
【0035】
側部接合部12は、胴部20,30の側縁(斜辺)及び先端部21,31の側縁(斜辺)に沿ってシート2,3を溶着することにより形成される。本例においては、側部接合部12は、加熱バーを用いた溶着により形成され、所定の幅を有する帯状のシールである。側部接合部12の幅は、頂部接合部11の幅より小さい。具体的には、側部接合部12は、2mm以上、より好ましくは、3mm以上であって、5mm以下、より好ましくは、4mm以下の幅を有する。
【0036】
このようにして構成された袋本体10の内部が食品の収容部となる。袋本体10における第1のシート2の内面には、内シート4が貼着される。内シート4は、たとえば他端部が二箇所でポイントシール等により接合され(接合部40)、一端側が自由端となっている。これにより、収容部内で食品が動いたとしても、内シート4が食品の表面に密着し、その動きに追従する。このため、第1のシート2は、汚れず、外観は損なわれない。
【0037】
ヘッダ部15における第2のシート3には、切込線32が形成される。切込線32は、全切線、半切線(ハーフカット)、ミシン目等により形成される。切込線32は、中間の分割シート36の縁部まで延びて形成される。このため、切込線32のうち、中間の分割シート36の縁部に形成された部分は、中間の分割シート36の易破断部として機能する。そして、ヘッダ部15における第2のシート3には、切込線32の形成により、開封片33が形成される。開封片33は、切込線32を外形線とし、両端点間を固定端とし、一端側を自由端とするものである。本例においては、切込線32は、逆U字状に形成される。これにより、開封片33は、上向きの舌片となる。
【0038】
第2のシート3は、開封手段として、開封用条体34を備える。開封用条体34は、第2のシート3の内面に、開封片33から第2のシート3の他端側にかけて設けられる。開封用条体34は、たとえば、第2のシート3の幅方向中央部にて長手方向に沿って設けられる。開封用条体34は、第2のシート3の内面に、溶着、接着等により接合される。一例として、開封用条体34は、この内面(第2のシート3との対向面)にコート剤を塗布した上で、熱接着や自己粘着により、第2のシート3の内面に接合される。開封用条体34は、第2のシート3を破断することができる強度を有するたとえばカットテープや糸等である。本例においては、開封用条体34は、幅が5mm以上、又は10mm以上の帯状のカットテープである。カットテープは、二軸延伸ポリエステル又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等の熱溶着性を有するプラスチックシートを細くカットしたものである。
【0039】
食品用包装袋1による食品の包装方法は、背景技術欄で説明したとおりである。まず、開口部13が開かれ、食品が頂角側から袋本体10内に収容された後、食品の底面の外縁から角筒状に延出する開口部13側の余分なシート片が適宜折り畳まれ、開口部13が閉塞、封止される。これにより、図6に示すように、食品包装体7が完成する。食品包装体7は、頂部接合部11、側部接合部12,12及び開口部13の封止により、気密状態に維持される。このため、外気等が内部に侵入することはなく、包装された食品6は、所期の品質が維持される。
【0040】
食品6を食する際には、開封片33を摘んで引き下ろす。開封片33は、開封用条体34の一端部と接合されている。このため、開封片33を摘んで引き下ろすと、開封用条体34が引っ張られ、開封用条体34の両側縁に沿って第2のシート3が破断され、第2のシート3に分断開放部が形成される。食品6は、この分断開放部から取り出すことができる。
【0041】
食品用包装袋1の製造方法は、次のとおりである。食品用包装袋1は、図7に示す、第1のシート2が連続する第1のシート原反2Xを製造する工程(第1工程)、図7に示す、第2のシート3が連続する第2のシート原反3Xを製造する工程(第2工程)、図8に示す、第1のシート原反2X及び第2のシート原反3Xから食品用包装袋1を製造する工程(第3工程)、を経て製造される。
【0042】
図7に示すように、第1工程において、中間の分割シート23が連続する分割シート原反23Xがロール状に巻回されたシート原反ロールと、端部の分割シート23が連続する分割シート原反23Xがロール状に巻回されたシート原反ロールが2つ、それぞれ回転自在に保持される。一対の端部の分割シート原反23X,23Xは、同一幅である。中間の分割シート原反23X及び一対の端部の分割シート原反23X,23Xは、各シート原反ロールから繰り出し供給される。一対の端部の分割シート原反23X,23Xは、中間の分割シート原反23Xを挟むようにして供給され、中間の分割シート原反23Xの各側縁部と端部の分割シート原反23Xの側縁部とが重ね合わせられ(重ね合わせ部24)、重ね合わせ部24が接合され、1枚のシート原反となる。
【0043】
図7に示すように、第2工程において、中間の分割シート36が連続する分割シート原反36Xがロール状に巻回されたシート原反ロールと、端部の分割が連続する分割シート原反36Xがロール状に巻回されたシート原反ロールが2つ、それぞれ回転自在に保持される。一対の端部の分割シート原反36X,36Xは、同一幅である。中間の分割シート原反36X及び一対の端部の分割シート原反36X,36Xは、各シート原反ロールから繰り出し供給される。一対の端部の分割シート原反36X,36Xは、中間の分割シート原反36Xを挟むようにして供給され、中間の分割シート原反36Xの各側縁部と端部の分割シート原反36Xの側縁部とが重ね合わせられ(重ね合わせ部37)、重ね合わせ部37が接合され、1枚のシート原反となる。
【0044】
シート原反2X,3Xは、このようにして製造される。そして、一旦ロール状に巻回された後、製袋装置にロールがセットされるか、あるいは、シート原反2X,3Xは、製袋装置によって製造されることで、引き続き搬送されて、次に、第3工程に移行する。
【0045】
図8に示すように、第3工程は、内シート4が接合された第1のシート原反2Xと、切込線32が形成されるとともに、開封用条体34が接合された第2のシート原反3Xとを、内面同士が対向するように重ね合わせ、この状態で間欠的に搬送しつつ、i)頂部接合部11を形成する工程(第3-1工程)、ii)側部接合部12を形成する工程(第3-2工程、これは、第3-1工程と同時に行ってもよい。)、iii)側部接合部12の中間線に沿って側部接合部12を切断、分割するように、食品用包装袋1を個別に分離する工程(第3-3工程)、及び、iv)切欠部14を形成する工程(第3-4工程)を備える。
【0046】
なお、台形状を有するこの種の食品用包装袋1は、その形状から、シート原反2X,3Xの搬送方向に対し、横向きでかつ向きが交互に反対となるように製造される。すなわち、シート原反2X,3Xの搬送方向(MD)と直交する幅方向(TD)の一方側に開口部13が形成されるとともに、幅方向の他方側にヘッダ部15が形成される食品用包装袋1と、幅方向の他方側に開口部13が形成されるとともに、幅方向の一方側にヘッダ部15が形成される食品用包装袋1とが、交互に製造される。図8において、前者の食品用包装袋1に係る構成には、符号の後に「A」を付し、後者の食品用包装袋1に係る構成には、符号の後に「B」を付している。
【0047】
このため、隣り合う食品用包装袋1,1において、i)一方の食品用包装袋1の第1のシート2の中段部22Bに係る中間の分割シート23と、他方の食品用包装袋1の第1のシート2の中段部22Bに係る中間の分割シート23は、同じシート(中間の分割シート原反23X)で構成され、ii)一方の食品用包装袋1の第1のシート2の上段部22Aに係る端部の分割シート23と、他方の食品用包装袋1の第1のシート2の下段部22Cに係る端部の分割シート23は、同じシート(端部の分割シート原反23X)で構成され、iii)一方の食品用包装袋1の第2のシート3の中段部35Bに係る中間の分割シート36と、他方の食品用包装袋1の第2のシート3の中段部35Bに係る中間の分割シート36は、同じシート(中間の分割シート原反36X)で構成され、iv)一方の食品用包装袋1の第2のシート3の上段部35Aに係る端部の分割シート36と、他方の食品用包装袋1の第2のシート3の下段部35Cに係る端部の分割シート36は、同じシート(端部の分割シート原反36X)で構成される。
【0048】
第3工程の全体的な流れは、特開2005-219319号公報に記載されたものとおおむね同じである。ただし、この特許文献に記載されたものにおいて、側部接合部は、溶断により形成される。これに対し、本例においては、側部接合部12は、溶着及び切断により形成される。溶着には、隣り合う食品用包装袋1,1の側部接合部12,12の幅、すなわち、側部接合部12の幅の2倍の幅を有する加熱バーが用いられる。切断には、トムソン刃が用いられる。なお、全周トムソン刃を用い、食品用包装袋1を打ち抜くことにより、第3-3工程及び第3-4工程を同時に行うようにしてもよい。
【0049】
以上のとおり、本例に係る食品用包装袋1によれば、シート2,3の一部に紙シート又はセロハンシートが用いられる。紙シート及びセロハンシートは、プラスチックシートに比べ、折り癖が付きやすい。このため、食品包装体7の各辺において、シート2,3は、鮮鋭に折れ曲がり、食品包装体7は、鮮鋭な外観形状を呈する。したがって、本例に係る食品用包装袋1によれば、食品包装体7となった状態において、外観に優れ、かつ、安定性、ひいては自立性に優れるという効果がある。
【0050】
また、紙シート及びセロハンシートは、プラスチックシートに比べ、剛性が高い(硬い)。これにより、シート2,3に腰が付与され、食品包装体7となった状態において、自立性が向上するという効果がある。また、シート2,3の腰により、食品包装体6の剛性が向上する。したがって、本例に係る食品用包装袋1によれば、食品6の型崩れ防止効果が高い。
【0051】
また、本例に係る食品用包装袋1によれば、紙シート又はセロハンシートを用いることにより、プラスチックの使用量を削減することができる。近年は、廃棄プラスチックが全世界的な環境問題となっているが、本例に係る食品用包装袋1によれば、この環境問題に対し、有効な対策となる。
【0052】
また、本例に係る食品用包装袋1によれば、第1のシート2の上段部22Aは、袋本体10の上部及びヘッダ部15に区画され、下段部22Cは、袋本体10の下部に区画される。これにより、食品包装体7となった状態において、起立した状態の食品5の上部及び下部は、不透明な上段部22A及び下段部22Cによって隠され、食品5の中央部のみが透明な中段部22Bから視認可能となる。すなわち、食品5のうち、一番おいしく見える中央部のみが視認可能となって強調されることとなる。したがって、本例に係る食品用包装袋1によれば、食品包装体7となった状態において、購買者の購買意欲を喚起することができる。
【0053】
また、本例に係る食品用包装袋1によれば、側部接合部12は、袋本体10の側縁及びヘッダ部15の側縁に沿って所定の幅で帯状に形成される。これにより、食品包装体7となった状態において、側部接合部12は、図6に示すように、後に倒れた状態となる。そうすると、ヘッダ部15は、両側に柱ができるため、起立状態となる。しかも、ヘッダ部15は、袋本体10の正面部から真っすぐに延びたフラットな状態となる。したがって、本例に係る食品用包装袋1によれば、食品包装体7となった状態において、見栄えをよくすることができるとともに、コンビニエンスストア等の店舗で陳列されている状態において、ヘッダ部15における表示を視認しやすくすることができる。
【0054】
<実施形態1-1>
図3及び図9に示すように、食品用包装袋1は、補強シート5を備える。補強シート5は、第2のシート3の、食品6が袋本体10内に収容された状態で開口部13側の余分なシート片となる領域のうち、食品6の底面60の両側縁60b,60bに対応する2つの谷折り線L3,L3で挟まれる領域に付加される。本例においては、補強シート5は、内面側に粘着性ないし接着性を有し、第2のシート3の(中段部35Bの)外面に貼着される。あるいは、補強シート5は、内面側に熱溶着性を有するのであれば、第2のシート3の外面に溶着により接合されるようにしてもよい。
【0055】
補強シート5は、紙シート又はプラスチックシートである。ただし、補強シート5は、シート2,3を構成する薄いシートではなく、厚みがあり、シート2,3よりも剛性が高い(硬い)シートである。シート2,3の紙シートの厚みは、25ないし60μmであり、シート2,3のプラスチックシートの厚みは、15ないし40μmであるのに対し、補強シート5の厚みは、50ないし150μmである。一例として、補強シート5は、ラベルに用いられるラベル基材が用いられる。
【0056】
補強シート5は、第1端縁5a、左右の側縁5b,5b及び第2端縁5cを有する矩形状である。より具体的には、第2端縁5cは、第1端縁5aよりも長く、これに伴い、左右の側縁5b,5bは、第1端縁5aから第2端縁5cに向かうにつれて間隔が幅広となる斜辺である。このことから、補強シート5は、等脚台形状である。
【0057】
第1端縁5aは、食品6の底面60の後縁60aに対応する第2のシート3の山折り線L2よりも内側であって、山折り線L2に沿うものである。側縁5bは、食品6の底面60の側縁60bに対応する第2のシート3の谷折り線L3よりも内側であって、谷折り線L3に沿うものである。第2端縁5cは、第2のシート3の中段部35Bと下段部35Cとの境界線35bcよりも内側であって、境界線35bcに沿うものである。山折り線L2及び第1端縁5a間の距離Da及び谷折り線L3及び側縁5b間の距離Dbは、それぞれ、15mm以下、より好ましくは、12mm以下、さらに好ましくは、8mm以下である。
【0058】
なお、2つの谷折り線L3,L3の幅が中間部で膨らみ、これに対応して側縁5b,5bが斜辺となるのは、食品6の具材に厚みがあるために食品6の底面60の幅が中間部で膨らむ形状となることに対応したものである。
【0059】
補強シート5の内面側には、開封用条体34が介在している。このため、補強シート5の第1端縁5aに係る縁部には、易破断部50が形成される。易破断部50は、縁部に沿って並列する複数の切込線である。あるいは、易破断部50は、開封用条体34を挟む位置で第1端縁5aから第2端縁5cに向かって所定長さで切り込まれる一対の切込線や一対のノッチであってもよい。あるいは、易破断部50は、縁部に沿って形成される細かい傷群等であってもよい。
【0060】
図9(a)に示すように、補強シート5は、食品6を包装するに際し、第2のシート3の余分なシート片(食品6の底面60に沿うように最初に折り畳まれるシート片)のうち、食品6の底面60に対応する領域に配置される。これにより、当該部分は、他の部分に比べて剛性が高くなる。そして、補強シート5の第1端縁5aは、第2のシート3の山折り線L2に沿うものであるとともに、補強シート5の両側縁5b,5bは、第2のシート3の2つの谷折り線L3,L3に沿うものである。これらのエッジ作用により、第2のシート3の余分なシート片は、山折り線L2及び2つの谷折り線L3,L3にて折られやすくなる。この結果、第2のシート3の余分なシート片は、食品6の底面60に正しく沿うように折り畳まれる。
【0061】
そして、このため、図9(b)に示すように、第2のシート3の余分なシート片が折り畳まれた後、折り畳まれたシート片とまだ折り畳まれていないシート片との重ね合わせ部のうち、第2のシート3の2つの谷折り線L3,L3に沿った部分と、食品6の底面60の前縁60cに対応する第2のシート3の谷折り線L4に沿った部分とを円滑かつ確実に接合することができる(接合部16,16,17)。なお、接合部16,16,17の形成により、この段階で、開口部13は、十分に封止された状態となる。
【0062】
ところで、補強シート5は、第2のシート3の下段部35Cに進出して、第2端縁5cが第2のシート3の谷折り線L4に一致又は沿うまでの大きさにはなっていない。補強シート5が下段部35Cに対して設けられないのは、i)下段部35Cは、プラスチックシートであるが、プラスチックシートは、紙シートやセロハンシートに比べて剛性が低く(軟らかく)、補強シート5のエッジ作用を利用せずとも、谷折りされやすい、ii)プラスチックシートは、カールしにくく、補強シート5による矯正の必要性が少ない、という理由からである。
【0063】
図8に示すように、補強シート5は、食品用包装袋1の製造方法の第3工程において、付加される。すなわち、第3工程は、補強シート5を第2のシート2Xの外面に貼着する工程(第3-0工程)を追加的に備える。第3-0工程は、第3-1工程や第3-2工程よりも先に行われるか、第3-1工程又は第3-2工程と同時に行われるか、又は、第3-1工程や第3-2工程の後に行われる。あるいは、第3-0工程は、第3-4工程の後に行ってもよい。
【0064】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によれば、食品6を包装するに際し、食品6が袋本体10内に収容された後の開口部13側の余分なシート片を綺麗に折り畳んで開口部13を閉鎖、封止することができ、食品包装体7の底部を綺麗に仕上げることができる。
【0065】
<実施形態1-2>
本実施形態が実施形態1-1と異なる点は、補強シート5の大きさに関する点である。この点以外については、両実施形態は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1-1についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0066】
図10に示すように、補強シート5の第1端縁5aは、第2のシート3の山折り線L2に一致するものである。補強シート5の側縁5bは、第2のシート3の谷折り線L3に一致するものである。
【0067】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によっても、実施形態1-1に係る食品用包装袋1と同様の作用効果を奏する。
【0068】
<実施形態1-3>
本実施形態が実施形態1-1と異なる点は、補強シート5が付加される箇所に関する点である。この点以外については、両実施形態は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1-1についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0069】
図11に示すように、補強シート5は、第2シート3の内面に付加される。本例においては、補強シート5は、内面側に粘着性ないし接着性を有し、第2のシート3の(中段部35Bの)内面に貼着される。あるいは、補強シート5は、内面側に熱溶着性を有するのであれば、第2のシート3の内面に溶着により接合されるようにしてもよい。
【0070】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によっても、実施形態1-1に係る食品用包装袋1と同様の作用効果を奏する。
【0071】
<実施形態1-4>
本実施形態が実施形態1-1と異なる点は、補強シート5の形状に関する点である。この点以外については、両実施形態は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1-1についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0072】
図12に示すように、補強シート5の両側縁5b,5bが縦辺であることから、補強シート5は、矩形状である。食品6の具材に厚みがあまりない場合、食品6の底面60は、矩形状である。このため、第2のシート3の2つの谷折り線L3,L3が平行線となり、これに対応して両側縁5b,5bが縦辺となる。
【0073】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によっても、実施形態1-1に係る食品用包装袋1と同様の作用効果を奏する。
【0074】
<実施形態1-5>
本実施形態が実施形態1-1と異なる点は、補強シート5の大きさ及び形状に関する点である。この点以外については、両実施形態は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1-1についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0075】
図13及び図15(a)に示すように、補強シート5は、第2のシート3の下段部35Cに進出して、第2端縁5cが第2のシート3の谷折り線L4に沿うまでの大きさになっている。また、第2のシート3の2つの谷折り線L3,L3の幅が中間部で膨らむことに対応して、補強シート5の両側縁5b,5bは、幅が中央部で膨らむように屈曲又は湾曲した曲線である。
【0076】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によっても、実施形態1-1に係る食品用包装袋1と同様の作用効果を奏する。
【0077】
<実施形態1-6>
本実施形態が実施形態1-4と異なる点は、補強シート5の大きさに関する点である。この点以外については、両実施形態は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1-1及び実施形態1-4についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0078】
図14及び図15(b)に示すように、補強シート5は、第2のシート3の下段部35Cに進出して、第2端縁5cが第2のシート3の谷折り線L4に沿うまでの大きさになっている。また、第2のシート3の2つの谷折り線L3,L3が平行線となることに対応して、補強シート5の両側縁5b,5bは、直線である。
【0079】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によっても、実施形態1-1に係る食品用包装袋1と同様の作用効果を奏する。
【0080】
<補強シート5の各種変形例>
図16に示すように、補強シート5は、開封用条体34を挟む位置で第1端縁5aから第2端縁にかけて一対の破断誘導線51,51を備える。図16(a)及び(b)に示す破断誘導線51は、ミシン目である。図16(e)及び(f)に示す破断誘導線51は、V字状の全切線又は半切線(ハーフカット)が直線状に一定間隔で並ぶものである。図16(g)及び(h)に示す破断誘導線51は、Y字状の全切線又は半切線(ハーフカット)が直線状に一定間隔で並ぶものである。図16(a)、(b)、(e)ないし(h)に示すように、補強シート5は、易破断部50及び破断誘導線51,51を併用するものであってもよい。あるいは、図16(c)及び(d)に示すように、補強シート5は、破断誘導線51,51だけを備えるものであってもよい。
【0081】
<実施形態2-1>
本実施形態が実施形態1-4と異なる点は、補強シート5の大きさ及び補強シート5が付加される箇所に関する点である。この点以外については、両実施形態は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1-1及び実施形態1-4についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0082】
図17及び図18に示すように、補強シート5は、頂部接合部11にまで延び、第1端縁5aが切込線32と交差するまでの大きさになっている。また、第2のシート3の2つの谷折り線L3,L3及びこれに続く第2のシート3の2つの山折り線L1,L1が平行線となることに対応して、補強シート5の両側縁5b,5bは、直線である。このため、補強シート5は、第2のシート3の長手方向に沿って長尺な長方形状である。
【0083】
補強シート5は、第2シート3の内面に付加される。補強シート5は、第2のシート3の内面に接合される(接合部52)。本例においては、補強シート5は、熱溶着性を有し、接合部52は、加熱バーや加熱ローラを用いた溶着により形成され、補強シート5の第1端縁5aから第2端縁5cにかけて所定の幅を有する帯状のシールである。たとえば、接合部52は、補強シート5の両側部及び中央部の3箇所に形成される。あるいは、補強シート5は、内面側に粘着性ないし接着性を有し、第2のシート3の内面に貼着されるようにしてもよい。
【0084】
切込線32は、補強シート5の第1端縁5aに係る縁部まで延びて形成される。このため、切込線32のうち、補強シート5の縁部に形成された部分は、補強シート5の易破断部として機能する。そして、補強シート5は、切込線32の両端点から第2端縁5cに向かって補強シート5の長手方向に沿って延びる一対の破断誘導線53,53を備える。本例では、破断誘導線53は、ミシン目である。
【0085】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によっても、実施形態1-1に係る食品用包装袋1と同様の作用効果を奏する。
【0086】
<実施形態2-2>
本実施形態が実施形態2-1と異なる点は、開封手段に関する点である。この点以外については、両実施形態は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1-1及び実施形態2-1についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0087】
図19及び図20に示すように、開封手段は、開封用条体34である。開封用条体34は、補強シート5の内面に、溶着、接着等により接合される。開封時、開封用条体34は、第2のシート3及び補強シート5を同時に破断する。
【0088】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によっても、実施形態1-1に係る食品用包装袋1と同様の作用効果を奏する。
【0089】
<実施形態2-3>
本実施形態が実施形態2-1と異なる点は、開封手段に関する点である。この点以外については、両実施形態は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1-1及び実施形態2-1についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0090】
図21に示すように、開封手段は、補強シート5の方向性を利用する。補強シート5は、長手方向に引き裂き方向性(直線カット性)を有する。このため、補強シート5には、破断誘導線も開封用条体も設けられていない。
【0091】
以上のとおり、本実施形態に係る食品用包装袋1によっても、実施形態1-1に係る食品用包装袋1と同様の作用効果を奏する。
【0092】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0093】
上記実施形態においては、第2のシート3の余分なシート片(食品6の底面60に沿うように最初に折り畳まれるシート片)は、食品6の底面60を完全に覆う大きさを有する。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、図22に示すように、第2のシート3の余分なシート片は、食品6の底面60の一部(前端60c側の部分)に掛からない大きさを有するものであってもよい。
【0094】
また、上記実施形態においては、第2のシート3の余分なシート片の先端部(第2のシート3の下段部35Cに相当)は、プラスチックシートである。これにより、上述したとおり、シート片の先端部がカールしにくいという効果が得られる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、図23に示すように、シート片の先端部は、紙シート又はセロハンシートであってもよい。一例として、第2のシートが単一の紙シート又はセロハンシートで構成される場合、シート片の先端部は、当然に紙シート又はセロハンシートである。
【0095】
また、上記実施形態においては、一対のシート2,3の少なくとも一方のシートは、第1方向において複数の領域に区画され、各領域及び複数の領域に区画されない場合の他方のシートには、プラスチックシート、紙シート又はセロハンシートのいずれかが選択的に用いられる。しかし、シートとして、不織布を用いるようにしてもよい。
【0096】
また、上記実施形態においては、食品6の底面60に沿うように最初に折り畳まれるシート片は、第2のシート3の余分なシート片である。しかし、最初に折り畳まれるシート片は、第1のシート2の余分なシート片であってもよい。この場合、補強シート5は、第1のシート2に付加される。
【0097】
また、食品用包装袋において、ヘッダ部は必須ではない。たとえば、ヘッダ部がなく、袋本体のみで構成される食品用包装袋であってもよい。
【0098】
また、「三角形状」、「直角三角形状」、「長方形状」、「角筒状」、「台形状」、「等脚台形状」、「直線」、「中央部」、「端部」、「側部」、「一致」、「同一」、「平行」、「直交」といった形状、部位又は状態を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【0099】
また、上記実施形態においては、食品は、サンドイッチである。しかし、包装対象の食品は、食品用包装袋に収容することができる形であれば、ケーキ等の洋菓子、カステラ等の和菓子、パン、おにぎり等の米飯加工食品であってもよく、食品の種類は、特に限定されるものではない。
【0100】
また、物理的に干渉するものでない限り、以上に記載した技術要素を他の実施形態ないし例に適用すること、以上に記載した技術要素を他の実施形態ないし例に係る技術要素と置換すること、以上に記載した技術要素同士を組み合わせること等は、当然に可能であり、これは、本発明が当然に意図するところである。
【符号の説明】
【0101】
1…食品用包装袋、10…袋本体、11…頂部接合部、12…側部接合部、13…開口部、14…切欠部、15…ヘッダ部、16…接合部、17…接合部、2…第1のシート、2X…第1のシート原反、20…胴部、21…先端部、22A…上段部、22B…中段部、22C…下段部、23…分割シート、23X…分割シート原反、24…重ね合わせ部、25…接合部、3…第2のシート、3X…第2のシート原反、3a…開口端縁、30…胴部、31…先端部、32…切込線、33…開封片、34…開封用条体、35A…上段部、35B…中段部、35C…下段部、35bc…境界線、36…分割シート、36X…分割シート原反、37…重ね合わせ部、38…接合部、4…内シート、40…接合部、5…補強シート、5a…第1端縁、5b…側縁、5c…第2端縁、50…易破断部、51…破断誘導線、52…接合部、53…破断誘導線、6…食品(サンドイッチ)、60…底面、60a…後縁、60b…側縁、60c…前縁、7…食品包装体、8…テープ、L1…食品6の背面と側面との交差線に対応する第2のシート3の山折り線、L2…食品6の底面60の後縁60aに対応する第2のシート3の山折り線、L3…食品6の底面60の側縁60bに対応する第2のシート3の谷折り線、L4…食品6の底面60の前縁60cに対応する第2のシート3の谷折り線、L5…折り返される第2のシート3の山折り線、Da…山折り線L2及び第1端縁5a間の距離、Db…谷折り線L3及び側縁5b間の距離
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