(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】塗布処理方法および塗布処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241205BHJP
B05C 11/08 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/30 564D
H01L21/30 564C
B05C11/08
(21)【出願番号】P 2021085564
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】熊田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】徐 飛
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092392(JP,A)
【文献】特開2009-224622(JP,A)
【文献】特開平10-189509(JP,A)
【文献】特開2019-046850(JP,A)
【文献】特開昭63-313160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B05C 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板に塗布膜を形成する塗布処理方法であって、
前記基板は、互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有し、
前記第1の面には、当該第1の面に直交する方向に突出しかつ前記外周部に沿って延びる円環状の凸部が形成され、
前記塗布処理方法は、
前記第1の面が上方を向くように前記基板を水平姿勢で保持するステップと、
前記第1の面に塗布液を供給し、塗布液の供給中または供給後に水平姿勢で保持された前記基板を鉛直軸の周りで回転させることにより当該第1の面全体に塗布液を広げるステップと、
前記塗布液を広げるステップの後、水平姿勢で保持された前記基板を鉛直軸の周りで回転させることにより前記基板を乾燥させるステップとを含み、
前記基板を乾燥させるステップは、
第1の時点から前記第1の時点よりも後の第2の時点までの間、第1の回転速度で前記基板を回転させることと、
前記第2の時点から前記第2の時点よりも後の第3の時点までの間、前記第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で前記基板を回転させることとを含
み、
前記第2の時点は、前記第1の面上に広げられた塗布液のうち前記第1の面の中央領域に存在する部分が乾燥しかつ前記第1の面の前記中央領域を取り囲む領域上に存在する部分が流動する状態にある期間内となるように定められる、塗布処理方法。
【請求項2】
前記基板を乾燥させるステップの後、前記第1の回転速度よりも低い第3の回転速度で前記基板を回転させつつ、前記第2の面にリンス液を供給するステップをさらに含む、請求項1記載の塗布処理方法。
【請求項3】
前記第2の時点は、前記第1の時点経過後前記第1の面に供給された塗布液の表面に発生する干渉縞が消滅するよりも前の時点に定められる、請求項
1または2記載の塗布処理方法。
【請求項4】
前記第2の回転速度は、前記第1の回転速度の2倍の回転速度よりも高い、請求項1~
3のいずれか一項に記載の塗布処理方法。
【請求項5】
少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板に塗布膜を形成する塗布処理装置であって、
前記基板は、互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有し、
前記第1の面には、当該第1の面に直交する方向に突出しかつ前記外周部に沿って延びる円環状の凸部が形成され、
前記塗布処理装置は、
前記第1の面が上方を向くように前記基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させる回転保持部と、
前記第1の面に塗布液を供給する塗布液供給部と、
前記第1の面に塗布液が供給されるように前記塗布液供給部を制御し、塗布液の供給中または供給後に水平姿勢で保持された前記基板が前記鉛直軸の周りで回転することにより当該第1の面全体に塗布液が広がるように前記回転保持部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1の面全体に塗布液が広げられた後、第1の時点から前記第1の時点よりも後の第2の時点までの間、水平姿勢で保持された前記基板が第1の回転速度で回転し、前記第2の時点から前記第2の時点よりも後の第3の時点までの間、水平姿勢で保持された前記基板が前記第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転することにより前記基板が乾燥するように前記回転保持部をさらに制御
し、
前記第2の時点は、前記第1の面上に広げられた塗布液のうち前記第1の面の中央領域に存在する部分が乾燥しかつ前記第1の面の前記中央領域を取り囲む領域上に存在する部分が流動する状態にある期間内となるように定められる、塗布処理装置。
【請求項6】
前記第2の面にリンス液を供給するリンス液供給部をさらに備え、
前記制御部は、前記基板が前記第2の回転速度で回転することにより乾燥した後、前記第1の回転速度よりも低い第3の回転速度で前記基板が回転するように前記回転保持部をさらに制御するとともに、前記第3の回転速度で回転する前記基板の前記第2の面にリンス液が供給されるように前記リンス液供給部をさらに制御する、請求項
5記載の塗布処理装置。
【請求項7】
前記第2の時点は、前記第1の時点経過後前記第1の面に供給された塗布液の表面に発生する干渉縞が消滅するよりも前の時点に定められる、請求項
5または6記載の塗布処理装置。
【請求項8】
前記第2の回転速度は、前記第1の回転速度の2倍の回転速度よりも高い、請求項
5~7のいずれか一項に記載の塗布処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に塗布膜を形成する塗布処理方法および塗布処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられる。
【0003】
基板処理装置の一例として、基板の上面にレジスト膜または反射防止膜等の塗布膜を形成する塗布処理装置がある。塗布処理装置においては、例えば一枚の基板がスピンチャックにより水平姿勢で保持される。また、スピンチャックにより保持された基板が回転する。回転する基板の上面に対して、形成されるべき塗布膜の種類に応じた塗布液が供給される。基板上に供給された塗布液は、遠心力により基板の上面全体に広がる。基板上の塗布液が乾燥することにより塗布膜が形成される。
【0004】
塗布処理に要するコストを低減するために、一枚の基板当たりに用いられる塗布液の量を低減することが望まれる。また、一枚の基板当たりに用いられる塗布液の量が少ない場合でも、基板の一面には均一に塗布膜を形成することが望まれる。これらの点を考慮して、例えば特許文献1に記載されたレジスト塗布方法では、基板へのレジスト液の供給が開始された後、基板の回転速度が時間の経過とともに複数のレベルに変更される。基板上にレジスト液が塗り広げられた後、レジスト液を乾燥させるために、所定期間一定の回転速度で基板が回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-212658号公報
【文献】特開2012-146889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、半導体デバイスの小型化および軽量化を実現するために、基板の薄型化が進められている。著しく薄型化された基板の取り扱いは難しい。これに対して、略円形状を有する基板の一面に、当該基板の外周端部に沿う円環状の凸部を有する基板が知られている(例えば、特許文献2参照)。この基板は、円環状の凸部が補強部として機能することにより、取り扱い性が向上している。
【0007】
上記の基板の一面においては、円環状の凸部の内側に段差が形成される。そのため、基板の一面上に塗布膜を形成する塗布処理において、円環状の凸部の内周端部に塗布液が残留すると、残留した塗布液に起因して基板の処理不良が発生する可能性がある。あるいは、残留した塗布液に起因してパーティクルが発生する可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、不要な塗布液が基板上に残留することに起因して発生する基板の処理不良および基板の汚染を防止することが可能な塗布処理方法および塗布処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第1の発明に係る塗布処理方法は、少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板に塗布膜を形成する塗布処理方法であって、基板は、互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有し、第1の面には、当該第1の面に直交する方向に突出しかつ外周部に沿って延びる円環状の凸部が形成され、塗布処理方法は、第1の面が上方を向くように基板を水平姿勢で保持するステップと、第1の面に塗布液を供給し、塗布液の供給中または供給後に水平姿勢で保持された基板を鉛直軸の周りで回転させることにより当該第1の面全体に塗布液を広げるステップと、塗布液を広げるステップの後、水平姿勢で保持された基板を鉛直軸の周りで回転させることにより基板を乾燥させるステップとを含み、基板を乾燥させるステップは、第1の時点から第1の時点よりも後の第2の時点までの間、第1の回転速度で基板を回転させることと、第2の時点から第2の時点よりも後の第3の時点までの間、第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で基板を回転させることとを含み、第2の時点は、第1の面上に広げられた塗布液のうち第1の面の中央領域に存在する部分が乾燥しかつ第1の面の中央領域を取り囲む領域上に存在する部分が流動する状態にある期間内となるように定められる。
【0010】
その塗布処理方法においては、第1の面が上方を向くように基板が水平姿勢で保持される。また、第1の面に塗布液が供給される。さらに、塗布液の供給中または供給後に基板が回転され、第1の面全体に塗布液が広げられる。第1の面全体に塗布液が広がった後、基板を乾燥させるために、第1の時点から第2の時点にかけて基板が第1の回転速度で回転する。それにより、基板の中央部分に位置しかつ流動性を有する塗布液が基板の外周部に向かって移動する。したがって、基板の第1の面における中央部分が乾燥する。
【0011】
続いて、第2の時点から第3の時点にかけて基板が第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転する。この場合、基板の外周部およびその近傍で流動する塗布液に、より大きい遠心力が作用する。また、基板を取り囲む空間に、より大きな気流が発生する。それにより、第1の面上で基板の中心から外周部に向かって流動する塗布液の大部分が円環状の凸部の内側の領域から基板の外方に向かって飛散する。換言すれば、第1の面上で円環状の凸部の内縁に導かれる不要な塗布液が、基板の外方に振り切られる。
【0012】
その結果、塗布処理時に不要な塗布液が基板上に残留することに起因して基板の処理不良および基板の汚染が発生することを防止することができる。
第2の時点は、第1の面上に広げられた塗布液のうち第1の面の中央領域に存在する部分が乾燥しかつ第1の面の中央領域を取り囲む領域上に存在する部分が流動する状態にある期間内となるように定められる。この場合、基板を乾燥させる際に、第2の時点から第3の時点にかけて第1の面の中央領域を取り囲む領域に存在する塗布液が円滑に振り切られる。
【0013】
(2)塗布処理方法は、基板を乾燥させるステップの後、第1の回転速度よりも低い第3の回転速度で基板を回転させつつ、第2の面にリンス液を供給するステップをさらに含んでもよい。
【0014】
この場合、第1の回転速度で回転する基板にリンス液を供給する場合に比べて、基板から飛散するリンス液の量を低減することができる。それにより、第1の面にリンス液が付着することにより処理不良が発生することを防止することができる。
【0017】
(3)第2の時点は、第1の時点経過後第1の面に供給された塗布液の表面に発生する干渉縞が消滅するよりも前の時点に定められてもよい。
【0018】
この場合、干渉縞が消滅するよりも前に第2の回転速度による基板の回転が開始される。それにより、基板の外周部およびその近傍に存在しかつ流動性を有する塗布液が円滑に振り切られる。
【0019】
(4)第2の回転速度は、第1の回転速度の2倍の回転速度よりも高くてもよい。
【0020】
この場合、第1の面上で円環状の凸部の内縁に導かれる不要な塗布液に、より大きな遠心力が作用する。また、基板を取り囲む空間にさらに大きな気流が発生する。それにより、円環状の凸部の内側の不要な塗布液が、より円滑に基板の外方に振り切られる。
【0021】
(5)第2の発明に係る塗布処理装置は、少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板に塗布膜を形成する塗布処理装置であって、基板は、互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有し、第1の面には、当該第1の面に直交する方向に突出しかつ外周部に沿って延びる円環状の凸部が形成され、塗布処理装置は、第1の面が上方を向くように基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させる回転保持部と、第1の面に塗布液を供給する塗布液供給部と、第1の面に塗布液が供給されるように塗布液供給部を制御し、塗布液の供給中または供給後に水平姿勢で保持された基板が鉛直軸の周りで回転することにより当該第1の面全体に塗布液が広がるように回転保持部を制御する制御部とを備え、制御部は、第1の面全体に塗布液が広げられた後、第1の時点から第1の時点よりも後の第2の時点までの間、水平姿勢で保持された基板が第1の回転速度で回転し、第2の時点から第2の時点よりも後の第3の時点までの間、水平姿勢で保持された基板が第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転することにより基板が乾燥するように回転保持部をさらに制御し、第2の時点は、第1の面上に広げられた塗布液のうち第1の面の中央領域に存在する部分が乾燥しかつ第1の面の中央領域を取り囲む領域上に存在する部分が流動する状態にある期間内となるように定められる。
【0022】
その塗布処理装置においては、第1の面が上方を向くように基板が水平姿勢で保持される。また、第1の面に塗布液が供給される。さらに、塗布液の供給中または供給後に基板が回転され、第1の面全体に塗布液が広げられる。第1の面全体に塗布液が広がった後、基板を乾燥させるために、第1の時点から第2の時点にかけて基板が第1の回転速度で回転する。それにより、基板の中央部分に位置しかつ流動性を有する塗布液が基板の外周部に向かって移動する。したがって、基板の第1の面における中央部分が乾燥する。
【0023】
続いて、第2の時点から第3の時点にかけて基板が第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転する。この場合、基板の外周部およびその近傍で流動する塗布液に、より大きい遠心力が作用する。また、基板を取り囲む空間に、より大きな気流が発生する。それにより、第1の面上で基板の中心から外周部に向かって流動する塗布液の大部分が円環状の凸部の内側の領域から基板の外方に向かって飛散する。換言すれば、第1の面上で円環状の凸部の内縁に導かれる不要な塗布液が、基板の外方に振り切られる。
【0024】
その結果、塗布処理時に不要な塗布液が基板上に残留することに起因して基板の処理不良および基板の汚染が発生することを防止することができる。
第2の時点は、第1の面上に広げられた塗布液のうち第1の面の中央領域に存在する部分が乾燥しかつ第1の面の中央領域を取り囲む領域上に存在する部分が流動する状態にある期間内となるように定められる。この場合、基板を乾燥させる際に、第2の時点から第3の時点にかけて第1の面の中央領域を取り囲む領域に存在する塗布液が円滑に振り切られる。
【0025】
(6)塗布処理装置は、第2の面にリンス液を供給するリンス液供給部をさらに備え、制御部は、基板が第2の回転速度で回転することにより乾燥した後、第1の回転速度よりも低い第3の回転速度で基板が回転するように回転保持部をさらに制御するとともに、第3の回転速度で回転する基板の第2の面にリンス液が供給されるようにリンス液供給部をさらに制御してもよい。
【0026】
この場合、第1の回転速度で回転する基板にリンス液を供給する場合に比べて、基板から飛散するリンス液の量を低減することができる。それにより、第1の面にリンス液が付着することにより発生する処理不良を防止することができる。
【0029】
(7)第2の時点は、第1の時点経過後第1の面に供給された塗布液の表面に発生する干渉縞が消滅するよりも前の時点に定められてもよい。
【0030】
この場合、干渉縞が消滅するよりも前に第2の回転速度による基板の回転が開始される。それにより、基板の外周部およびその近傍に存在しかつ流動性を有する塗布液が円滑に振り切られる。
【0031】
(8)第2の回転速度は、第1の回転速度の2倍の回転速度よりも高くてもよい。
【0032】
この場合、第1の面上で円環状の凸部の内縁に導かれる不要な塗布液に、より大きな遠心力が作用する。また、基板を取り囲む空間にさらに大きな気流が発生する。それにより、円環状の凸部の内側の不要な塗布液が、より円滑に基板の外方に振り切られる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、不要な塗布液が基板上に残留することに起因して発生する基板の処理不良および基板の汚染を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る塗布処理装置の模式的断面図である。
【
図3】
図1の塗布処理装置の処理対象となる基板の平面図である。
【
図5】液膜乾燥工程において基板Wのリム部と内側領域との境界の段差にレジスト液が滞留する例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係る塗布処理中の基板の回転速度の制御例を示す図である。
【
図7】
図6の液膜乾燥工程において基板のリム部およびその周辺部に存在するレジスト液またはレジスト膜の状態の変化を示す図である。
【
図8】実施例基板および比較例基板のレジスト膜の膜厚分布の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一実施の形態に係る塗布処理方法および塗布処理装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態では、基板の上面が回路形成面(表面)であり、基板の下面が回路形成面と反対側の面(裏面)である。さらに、本実施の形態では、基板は、平面視でノッチの形成部分を除いて円形状を有する。基板の形状の詳細は後述する。
【0036】
[1]塗布処理装置の全体構成
図1は本発明の一実施の形態に係る塗布処理装置の模式的断面図であり、
図2は
図1の塗布処理装置1の模式的平面図である。
図2では、
図1の塗布処理装置1の複数の構成要素のうち一部の構成要素の図示が省略されている。また、
図1の基板Wが一点鎖線で示される。
【0037】
図1に示すように、本実施の形態に係る塗布処理装置1は、主として回転保持装置10、液供給装置20および制御部30を備える。回転保持装置10は、基板Wの下面中央部を吸着保持しつつ回転させることが可能に構成される。
【0038】
液供給装置20は、レジストノズル21、塗布液供給系22、溶剤ノズル23および溶剤供給系24を含む。塗布液供給系22は、レジストノズル21にレジスト液を供給する。レジストノズル21は、供給されたレジスト液を回転保持装置10により吸着保持されて回転する基板Wの上面に吐出する。溶剤供給系24は、溶剤ノズル23に溶剤を供給する。溶剤ノズル23は、供給された溶剤を回転保持装置10により吸着保持される基板Wの上面に吐出する。ここで、溶剤ノズル23に供給される溶剤としては、後述する塗布処理により基板W上に形成されるレジスト膜を溶解可能な溶剤が用いられる。制御部30は、CPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、回転保持装置10および液供給装置20の動作を制御する。
【0039】
回転保持装置10の具体的な構成について説明する。回転保持装置10は、吸着保持部11、回転軸12、回転駆動部13、吸引装置14、カップ15、排液案内管16、下面ノズル17およびリンス液供給系18を含む。
【0040】
吸着保持部11は、基板Wの下面中央部を吸着保持する上面11uを有し、上下方向に延びる回転軸12の上端部に取り付けられている。吸着保持部11の上面11uには、多数の吸引孔h(
図2)が形成されている。回転駆動部13は、回転軸12をその軸心の周りで回転させる。
【0041】
図1に太い点線で示すように、吸着保持部11および回転軸12の内部には、吸気経路vpが形成されている。吸気経路vpは、吸引装置14に接続されている。吸引装置14は、例えばアスピレータ等の吸引機構を含み、吸気経路vpおよび多数の吸引孔hを通して吸着保持部11の上面11u上の空間の雰囲気を吸引し、塗布処理装置1の外部に排出する。
【0042】
図2に示すように、カップ15は、平面視で吸着保持部11の周囲を取り囲むように設けられるとともに、図示しない昇降機構により上下方向における複数の位置に移動可能に構成される。
図1に示すように、カップ15は、底部15xおよび外周壁部15yを含む。底部15xは、略円環形状を有する。底部15xの内周端部は所定高さ分上方に向かって屈曲している。外周壁部15yは、底部15xの外周端部から所定高さ分上方に延び、屈曲し、さらに吸着保持部11に向かって斜め上方に延びるように形成されている。
【0043】
カップ15の底部15xには、ドレイン15dが形成されている。底部15xにおけるドレイン15dの形成部分には、排液案内管16が取り付けられている。排液案内管16の下端部は図示しない排液系に接続されている。
【0044】
図2に示すように、平面視でカップ15の外周壁部15yの内周端部と吸着保持部11の外周端部との間には、複数(本例では4つ)の下面ノズル17が設けられている。複数の下面ノズル17は、平面視で吸着保持部11を取り囲むように吸着保持部11の中心を基準として等角度間隔で配置されている。各下面ノズル17の上端部には、上方に向く液吐出口17bが設けられている。
【0045】
図1に示すように、各下面ノズル17の液吐出口17bは、吸着保持部11の外周端部近傍の位置で、吸着保持部11により吸着保持される基板Wの下面に対向する。なお、塗布処理装置1は、図示しない筐体内に回転保持装置10および液供給装置20が収容された構成を有する。下面ノズル17は、例えば塗布処理装置1の筐体に固定される。下面ノズル17は、リンス液供給系18から供給されるリンス液を、液吐出口17bから基板Wの下面に吐出する。
【0046】
上記の構成を有する塗布処理装置1について、塗布処理時の動作の概要を説明する。基板Wの塗布処理が開始される際には、まず吸着保持部11により基板Wが水平姿勢で保持される。また、水平方向において外周壁部15yの内周面が基板Wの外周端部に対向するように、カップ15が上下方向に位置決めされる。この状態で、溶剤ノズル23が図示しないノズル移動装置により基板Wの上方に移動する。溶剤ノズル23から基板Wの上面に所定量の溶剤が吐出される。その後、溶剤ノズル23が基板Wの上方の位置から基板Wの側方の位置に移動する。また、回転駆動部13が動作することにより基板Wが回転される。それにより、基板Wの上面が溶剤により湿潤する。
【0047】
続いて、レジストノズル21が図示しないノズル移動装置により基板Wの上方に移動する。この状態で、レジストノズル21から基板Wの上面に所定量のレジスト液が吐出される。それにより、回転する基板Wの上面にレジスト液が塗布される。回転する基板Wから外方に飛散するレジスト液は、カップ15の外周壁部15yの内周面により受け止められる。受け止められたレジスト液は、カップ15の底部15xに収集され、ドレイン15dから排液案内管16を通して図示しない排液系に導かれる。上記のように、基板Wの塗布処理のうち基板Wの上面全体にレジスト液を塗布する工程、すなわち基板Wの上面全体にレジスト液の液膜を形成する工程を液膜形成工程と呼ぶ。
【0048】
次に、レジストノズル21から基板Wへのレジスト液の吐出が停止された状態で、基板Wの回転が継続されることにより、基板Wの上面に塗布されたレジスト液のうち余分なレジスト液が振り切られる。また、基板W上に残留するレジスト液の液膜が乾燥する。それにより、基板Wの上面にレジスト膜が形成される。上記のように、基板Wの塗布処理のうち基板Wの上面に塗布されたレジスト液の液膜を乾燥させる工程を液膜乾燥工程と呼ぶ。
【0049】
基板Wの上面にレジスト膜が形成された後、基板Wの下面に付着したレジスト液またはレジスト膜を除去するために、下面ノズル17から基板Wの下面に向けてリンス液が吐出される。リンス液としては、上記の溶剤ノズル23から基板Wの上面に供給される溶剤と同様に、レジスト膜を溶解可能な溶剤が用いられる。
【0050】
その後、下面ノズル17から基板Wへのリンス液の吐出が停止される。この状態で、基板Wの回転が継続されることにより、基板Wの下面に塗布されたリンス液が乾燥する。それにより、基板Wの下面に付着したレジスト液またはレジストの固形物が除去される。塗布処理装置1の上記の一連の動作によりレジスト膜が形成された基板Wは、塗布処理装置1から搬出され、図示しない露光装置により露光処理が施される。
【0051】
[2]液膜乾燥工程で基板Wに残留するレジスト液
図3は、
図1の塗布処理装置1の処理対象となる基板Wの平面図である。
図4は、
図3の基板WのA-A線断面図である。本実施の形態に係る基板Wは、約300mmの直径を有する円形基板であり、
図3および
図4に示すように、上面S1および下面S2を有する。その基板Wの外周端部には、ノッチNが形成されている(
図3)。
【0052】
基板Wの上面S1においては、基板Wの外周端部から一定幅の部分に、上方に向かって突出しかつその基板Wの外周端部に沿って延びる円環状の凸部が形成されている。基板Wにおける凸部の形成部分をリム部(Outer support ring)SRと呼ぶ。その基板Wにおいて、リム部SRの内側に位置する部分の厚み(基板の厚み)は、100μm以下であり、リム部SRの厚みよりも小さい。なお、リム部SRの厚みは、100μmよりも大きく775μm以下であり、例えば0.8mmに近い。
【0053】
以下の説明では、基板Wの上面S1のうちリム部RPの内側の領域を内側領域IAと呼ぶ。
図4では、基板W全体の断面図のうちリム部SRおよびその周辺部の拡大断面図が吹き出し内に示される。
【0054】
図4の吹き出し内に示すように、本実施の形態に係る基板Wにおいては、リム部SRと内側領域IAとの境界に段差STが形成されている。このように、リム部SRの内周端部に位置する段差STには、基板Wの塗布処理中の液膜乾燥工程でレジスト液が滞留しやすい。滞留したレジスト液が乾燥すると、上記の段差STおよびその近傍に存在するレジスト膜の厚みが局所的に大きくなる。このようなレジスト膜の厚みの不均一は、露光不良およびパーティクルの発生の要因となる。
【0055】
図5は、液膜乾燥工程において基板Wのリム部SRと内側領域IAとの境界の段差STにレジスト液が滞留する例を示す図である。
図5では、上段、中段および下段に、液膜乾燥工程において基板Wのリム部SRおよびその周辺部に存在するレジスト液R1またはレジスト膜R2の状態が時系列順に拡大断面図で示される。
【0056】
図5の上段の断面図に示すように、液膜乾燥工程の開始時点では、基板Wの上面S1に流動性を有するレジスト液R1の液膜が形成されている。基板Wが回転することにより、レジスト液R1には基板Wの中心から外周端部に向かう遠心力が作用する。また、基板Wを取り囲む空間内に気流が発生する。それにより、
図5の中段の断面図に太い実線の矢印で示すように、液膜の上層部分で流動するレジスト液R1の一部が基板Wの外方に振り切られる。
【0057】
流動する余分なレジスト液R1が振り切られることにより、基板Wの上面S1においては、レジスト液R1の液膜が基板Wの中心から外周端部に向かって薄膜化されつつ連続的に乾燥する。このとき、
図5の中段の断面図に白抜きの矢印で示すように、段差STに滞留したレジスト液R1が乾燥すると、
図5の下段の断面図に示すように、段差STおよびその周辺部に形成されるレジスト膜R2の厚みが他の部分に比べて厚くなる。
【0058】
上記のように、段差STでレジスト液が滞留することを防止するために、液膜乾燥工程の期間中基板Wの回転速度を著しく高くする方法が考えられる。この場合、液膜乾燥工程で液膜の上層部分を流れるレジスト液R1により大きい遠心力が作用する。また、基板Wを取り囲む空間内により強い気流が発生する。しかしながら、液膜乾燥工程の初期段階で基板Wの回転速度を著しく高くすると、基板W上に形成されるレジスト膜R2の全体に渡って斑が発生する。
【0059】
そこで、本実施の形態では、液膜乾燥工程における基板Wの回転速度が時間の経過とともに2段階に変更される。具体的には、液膜乾燥工程の開始時点から液膜乾燥工程の終了時点よりも前の中間時点までの間、基板Wの回転速度が第1の回転速度に調整される。その後、中間時点から終了時点までの間、基板Wの回転速度が第1の回転速度よりも高い第2の回転速度に調整される。
【0060】
ここで、基板Wの内側領域IAのうち基板Wの中心を含みかつ基板Wの中心に対して同心となる円形の領域を中央領域と呼ぶ。また、基板Wの内側領域IAのうち中央領域を取り囲みかつ基板Wの外周端部を含む領域を円環領域と呼ぶ。なお、中央領域の直径は、例えば基板Wの直径の半分程度である。
【0061】
この場合、第1の回転速度は、例えばシミュレーションまたは実験等により、中央領域に形成されるレジスト膜R2に斑が生じない程度の速度に定められる。一方、第2の回転速度は、例えばシミュレーションまたは実験等により、流動性を有するレジスト液R1が段差STに滞留しない程度の速度に定められる。さらに、中間時点は、液膜乾燥工程が開始された後、基板Wの中央領域上のレジスト液R1が乾燥しかつ円環領域上に存在するレジスト液R1が流動する状態にある期間内となるように定められる。
【0062】
上記のように基板Wの回転速度を調整することにより、液膜乾燥工程の開始時点から中間時点にかけては、斑を発生させることなく中央領域上のレジスト液R1を乾燥させることができる。一方、液膜乾燥工程の中間時点から終了時点にかけては、円環領域上を流れるレジスト液R1により大きな遠心力が作用する。また、基板Wを取り囲む空間内により強い気流が発生する。それにより、レジスト液R1が段差STに滞留することが防止される。したがって、段差STおよびその周辺部におけるレジスト膜R2の厚みが局部的に大きくなることが防止される。
【0063】
[3]塗布処理中の基板Wの回転速度の制御例
図6は、本発明の一実施の形態に係る塗布処理中の基板Wの回転速度の制御例を示す図である。
図6の上段には、
図1の塗布処理装置1による塗布処理中の基板Wの回転速度の変化がグラフによって示される。
図6の上段のグラフにおいて、縦軸は基板Wの回転速度を表し、横軸は時間を表す。
図6の下段の複数の吹き出しには、塗布処理中の複数の時点で基板W上に存在するレジスト液R1またはレジスト膜R2の状態が平面図および縦断面図により示される。
【0064】
図7は、
図6の液膜乾燥工程において基板Wのリム部SRおよびその周辺部に存在するレジスト液R1またはレジスト膜R2の状態の変化を示す図である。
図7では、液膜乾燥工程における基板Wのリム部SRおよびその周辺部に存在するレジスト液R1またはレジスト膜R2の状態が上から下へ4段階の時系列順に拡大断面図で示される。
【0065】
なお、基板Wの回転速度は、制御部30が
図1の回転駆動部13を制御することにより調整される。また、基板Wの上面S1に対する溶剤の供給および停止は、制御部30が
図1の溶剤供給系24を制御することにより行われる。また、基板Wの上面S1に対するレジスト液R1の供給および停止は、制御部30が
図1の塗布液供給系22を制御することにより行われる。さらに、基板Wの下面S2に対するリンス液の供給および停止は、制御部30が
図1のリンス液供給系18を制御することにより行われる。
【0066】
塗布処理装置1による塗布処理の初期状態においては、
図3および
図4の構成を有する未処理の基板Wが、
図1の吸着保持部11により水平姿勢で吸着保持される。このとき、基板Wの回転速度は0に維持される。さらに、カップ15の外周壁部15yの内周面が基板Wの外周端部に対向するように、カップ15が上下方向に位置決めされる。
【0067】
図6に示すように、まず液膜形成工程が開始される。時点t1から時点t2までの期間p1で、
図1の溶剤ノズル23から基板Wの上面S1に所定量の溶剤が供給される。それにより、時点t2に対応する吹き出し内に示すように、基板Wの上面S1上で所定量の溶剤が保持される。
【0068】
次に、時点t3から時点t4にかけて基板Wの回転速度が0からs1まで上昇し、基板Wの上面S1に保持された溶剤が基板Wの中心から基板Wの外周端部に向かって広がる。回転速度s1は、例えば500rpm以上1500rpm以下の範囲内に設定される。
【0069】
上記のように、未処理の基板Wの上面S1に溶剤が供給されることにより、基板Wの上面S1が改質され、レジスト液R1が基板Wの上面S1で広がりやすくなる。このように、レジスト液R1の塗布前に基板Wの上面S1を改質させる処理は、プリウェットと呼ばれる。なお、プリウェット中、基板Wは回転してもよい。この場合、基板Wの回転速度は、例えば0rpmよりも大きく1000rpm以下の範囲内に設定される。
【0070】
次に、時点t4から時点t6までの期間p2で、
図1のレジストノズル21から基板Wの上面S1に所定量のレジスト液R1が供給される。このとき、時点t4から時点t6よりも前の時点t5にかけて基板Wの回転速度がs1よりも高いs2まで上昇する。また、時点t5から一定期間基板Wの回転速度がs2で維持される。回転速度s2は、例えば1000rpm以上3000rpm以下の範囲内に設定される。それにより、時点t5に対応する吹き出し内に示すように、基板Wの上面S1の中央部にレジスト液R1の塊(コア)が形成される。また、時点t5から時点t6にかけてレジスト液R1のコアが整形される。
【0071】
時点t5から一定期間基板Wの回転速度がs2で維持された後、時点t6にかけて基板Wの回転速度がs1およびs2よりも低いs3まで下降する。時点t6から一定期間基板Wの回転速度がs3で維持される。回転速度s3は、例えば0rpm以上500rpm以下の範囲内に設定される。
【0072】
時点t6から一定期間経過後、時点t7にかけて基板Wの回転速度がs2よりも高いs4まで上昇し、一定期間基板Wの回転速度がs4で維持される。回転速度s4は、例えば0rpm以上3000rpm以下の範囲内に設定される。また、時点t7から一定期間経過後、時点t8にかけて基板Wの回転速度がs4よりも低いs5まで下降する。回転速度s5は、例えば500rpm以上1500rpm以下の範囲内に設定される。上記の時点t6から時点t8にかけて基板Wの中心から外周端部に向けてレジスト液R1が広がる。それにより、時点t8に対応する吹き出し内に示すように、基板Wの上面S1全体にレジスト液R1の液膜が形成され、液膜形成工程が終了する。
【0073】
次に、液膜乾燥工程が開始される。液膜乾燥工程では、時点t8から時点t9にかけて基板Wの回転速度がs5で維持される。時点t8は、上記の液膜乾燥工程の開始時点に相当する。回転速度s5は、上記の第1の回転速度に相当する。
【0074】
時点t8では、
図7の上から1段目の断面図に示すように、基板Wの上面S1に流動性を有するレジスト液R1の液膜が形成されている。時点t8から時点t9の間では、基板Wの回転速度がs5(第1の回転速度)で維持されることにより、
図7の上から2段目の断面図に太い実線の矢印で示すように、液膜の上層部分で流動するレジスト液R1の一部が基板Wの外方に振り切られる。このとき、基板Wの中央領域においては、基板Wの中心から外周端部に向けてレジスト液R1が順次乾燥してゆく。
【0075】
時点t9は上記の液膜乾燥工程の中間時点に相当する。時点t9では、
図6の時点t9に対応する吹き出し内に示すように、基板Wの上面S1の中央領域にレジスト膜R2が形成されている。一方、基板Wの上面S1の円環領域では、流動性を有するレジスト液R1が基板Wの中央から基板Wの外周端部に向かって流れる。
【0076】
その後、時点t9で基板Wの回転速度がs5よりも高いs6まで上昇する。回転速度s6は、例えば1500rpm以上3500rpm以下の範囲内に設定される。時点t9から時点t10にかけて基板Wの回転速度がs6で維持される。回転速度s6は、上記の第2の回転速度に相当する。時点t10で液膜乾燥工程が終了する。それにより、時点t10では、
図6の時点t10に対応する吹き出し内に示すように、基板Wの上面S1の全体にレジスト膜R2が形成される。時点t10は上記の液膜乾燥工程の終了時点に相当する。
【0077】
時点t9から時点t10の間では、基板Wの回転速度がs6(第2の回転速度)で維持されることにより、
図7の上から3段目の断面図に太い実線の矢印で示すように、液膜の上層部分で流動するレジスト液R1が基板Wの外方により強く振り切られる。それにより、段差STおよびその周辺部でレジスト液R1が滞留することが防止されつつ、基板Wの円環領域に存在するレジスト液R1が乾燥する。したがって、時点t10では、
図7の上から4段目の断面図に示すように、段差STおよびその周辺部に形成されるレジスト膜R2の厚みが他の部分とほぼ等しくなる。これらの結果、液膜乾燥工程の終了時には、段差STを含む基板Wの上面S1全体に、均一な厚みでレジスト膜R2が形成される。
【0078】
時点t10の経過後、一定期間基板Wの回転速度がs5で維持される。その後、時点t11で回転速度がs5およびs6よりも低いs8まで低下する。この状態で、一定期間
図1の複数の下面ノズル17から基板Wの下面S2にリンス液が供給される。それにより、基板Wの下面S2に付着したレジスト液R1またはレジストの固形物がリンス液により除去される。
【0079】
このように、基板Wの下面を洗浄する工程(いわゆるバックリンス工程)では、基板Wの回転速度が液膜乾燥工程で設定された回転速度よりも低く設定されている。そのため、バックリンス工程では、液膜乾燥工程中の回転速度で基板Wを回転させる場合に比べて、基板Wから飛散するリンス液の量を低減することができる。それにより、基板Wの下面S2から飛散するリンス液が基板Wの上面S1上に形成されたレジスト膜R2上に付着することが防止される。その結果、基板Wの処理不良が発生することを防止することができる。上記のバックリンス工程が終了することにより、基板Wの塗布処理が終了する。
【0080】
上記の
図6の例において、時点t8から時点t10までの時間の長さ(液膜乾燥工程の開始から終了までの時間)は、例えば15秒以上30秒以下である。また、時点t8から時点t9までの時間の長さは、例えば10秒以上20秒以下である。
【0081】
[4]液膜乾燥工程の中間時点
上記のように、液膜乾燥工程の中間時点は、液膜乾燥工程が開始された後、基板Wの中央領域上のレジスト液R1が乾燥しかつ円環領域上に存在するレジスト液R1が流動する状態にある期間内となるように定められる。
【0082】
ここで、例えば
図6の例において、液膜乾燥工程中基板Wの回転速度をs5で一定に維持する場合には、基板W上のレジスト液R1の全体が乾燥する前に、液膜の上層部分を流動するレジスト液R1により干渉縞が発生する。この干渉縞は、基板Wの回転速度およびレジスト液R1の種類によって視認することが可能である。
【0083】
したがって、上記の干渉縞を確認することが可能である場合、中間時点は、液膜乾燥工程が開始された後、基板Wの上面S1に供給されたレジスト液R1の表面に発生する干渉縞が消滅するよりも前の時点に定めることが好ましい。それにより、液膜乾燥工程の中間時点で基板Wの回転速度を上昇させることにより、基板Wの外周部およびその近傍に存在しかつ流動性を有するレジスト液R1を円滑に振り切ることができる。
【0084】
[5]効果
(1)上記の塗布処理装置1においては、リム部SRを有する基板Wに塗布処理が施される。その塗布処理は、液膜形成工程および液膜乾燥工程を含む。まず、液膜形成工程において、プリウェット後に回転する基板Wの上面S1にレジスト液R1が供給される。それにより、基板Wの上面S1全体にレジスト液が広げられ、液膜形成工程が終了する。
【0085】
次に、液膜乾燥工程では、基板Wを乾燥させるために、開始時点から中間時点にかけて基板が第1の回転速度で回転する。それにより、基板Wの中央領域に位置しかつ流動性を有するレジスト液が基板Wの外周部に向かって移動する。したがって、基板Wの上面S1における中央領域が乾燥する。
【0086】
続いて、液膜乾燥工程の中間時点から終了時点にかけて基板Wが第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転する。この場合、基板Wの外周部およびその近傍で流動するレジスト液R1に、より大きい遠心力が作用する。また、基板Wを取り囲む空間に、より大きな気流が発生する。それにより、基板Wの上面S1上で基板Wの中心から外周部に向かって流動するレジスト液R1の大部分が基板Wの中央領域からリム部SRを超えて基板Wの外方に飛散する。換言すれば、基板Wの上面S1上でリム部SRと内側領域IAとの境界の段差STに導かれる不要なレジスト液R1が、基板Wの外方に振り切られる。
【0087】
その結果、塗布処理時に不要なレジスト液R1が基板W上に残留することに起因して基板Wの処理不良および基板Wの汚染が発生することを防止することができる。
【0088】
(2)
図6の例においては、第2の回転速度であるs
6は、第1の回転速度であるs
5の2倍の回転速度よりも高く設定されている。この場合、リム部SRの内縁に位置する段差STに導かれる不要なレジスト液R1に、より大きな遠心力が作用する。また、基板Wを取り囲む空間にさらに大きな気流が発生する。それにより、リム部SRの内側の不要なレジスト液R1が、より円滑に基板Wの外方に振り切られる。
【0089】
[6]確認試験
本発明者らは、上記の塗布処理による効果を確認するために、以下の確認試験を行った。まず、本発明者らは、
図6の例に従って塗布処理を行うことにより実施例に係る基板Wを作製した。以下の説明では、この基板Wを実施例基板W1と呼ぶ。また、本発明者らは、液膜乾燥工程の期間中で基板Wの回転速度を第1の回転速度(s5)で一定に維持する点を除いて
図6の例に従って塗布処理を行うことにより比較例に係る基板Wを作製した。以下の説明では、この基板Wを比較例基板W2と呼ぶ。なお、実施例基板W1および比較例基板W2の作製時には、レジスト膜R2の形成後に、リム部SRを含む基板周縁部に存在するレジスト膜R2の部分を除去した。
【0090】
本発明者らは、作製した実施例基板W1および比較例基板W2について、各基板の中心を通る直線上のレジスト膜R2の膜厚分布を測定した。
図8は、実施例基板W1および比較例基板W2のレジスト膜R2の膜厚分布の一部を示す図である。
図8では、実施例基板W1および比較例基板W2の模式的平面図とともに、模式的平面図のうち点線で取り囲まれた2つの部分の膜厚分布が、拡大されたグラフにより示される。
【0091】
図8のグラフにおいては、縦軸がレジスト膜R2の膜厚を表し、横軸が基板の中心を通る直線L上の位置を表す。実施例基板W1および比較例基板W2の直径は、共に300mmである。横軸においては、「147.0」は、直線L上で基板Wの中心から一方向(
図8の例では右方向)に147mm離間した位置を表す。また、「-147.0」は、直線L上で基板Wの中心から逆方向(
図8の例では左方向)に147mm離間した位置を表す。また、横軸においては、直線L上の段差STの位置が白抜きの矢印で示される。さらに、
図8のグラフにおいては、実線が実施例基板W1に対応する膜厚分布を示し、一点鎖線が比較例基板W2に対応する膜厚分布を示す。
【0092】
図8に示すように、実施例基板W1の段差STおよびその近傍に形成されるレジスト膜R2の膜厚は、比較例基板W2の段差STおよびその近傍に形成されるレジスト膜R2の膜厚に比べて十分に小さい。これにより、実施例基板W1に形成されたレジスト膜R2の膜厚分布は、比較例基板W2に形成されたレジスト膜R2の膜厚分布に比べて均一化されていることが確認できた。
【0093】
[7]他の実施の形態
(1)上記実施の形態に係る
図4の基板Wにおいて、リム部SRと内側領域IAとの境界に形成される段差STは、2つの段差を含むが、本発明はこれに限定されない。処理対象となる基板Wにおいて、段差STは、1つの段差のみを含んでもよい。また、段差STは、基板Wの縦断面において、リム部SRの内周面と内側領域IAとが曲線でつながるように形成されていてもよい。
【0094】
(2)上記実施の形態の
図6の例では、液膜形成工程で設定される基板Wの回転速度s3,s1,s2,s4がこの順で高くなるように設定されているが、回転速度s1~s4の関係は上記の例に限定されない。回転速度s1~s4の各々は、上記実施の形態で例示された速度の範囲内に設定されていればよい。
【0095】
(3)上記実施の形態の
図6の例では、液膜形成工程でプリウェットが行われるが、本発明はこれに限定されない。液膜形成工程においてプリウェットは行われなくてもよい。
【0096】
(4)上記実施の形態の
図6の例では、液膜形成工程で、回転する基板Wの上面S1にレジスト液R1が供給されるが、本発明はこれに限定されない。液膜形成工程においては、回転を停止している基板Wに所定量のレジスト液R1を供給した後、レジスト液R1の供給が停止された状態で基板Wを回転させることにより基板Wの上面S1全体にレジスト液R1を塗布してもよい。
【0097】
(5)上記実施の形態に係る塗布処理装置1においては、基板Wの下面S2にリンス液を供給するために4つの下面ノズル17が設けられるが、本発明はこれに限定されない。基板Wの下面S2にリンス液を供給する下面ノズル17は、1つであってもよいし、2つであってもよいし、3つであってもよい。あるいは、下面ノズル17の数は5以上であってもよい。
【0098】
(6)上記実施の形態に係る塗布処理装置1においては、塗布液として基板Wにレジスト液R1が供給されるが、本発明はこれに限定されない。塗布処理装置1においては、反射防止膜用の塗布液が基板Wに供給されてもよい。あるいは、塗布処理装置1においては、SOC(Spin On Glass)膜、SOG(Spin On Glass)膜またはSiARC(Si-rich Anti Reflective Coating)膜用の塗布液が基板Wに供給されてもよい。
【0099】
(7)上記実施の形態では、液膜乾燥工程の中間時点は、液膜乾燥工程の開始時点よりも後で、基板Wの中央領域上のレジスト液R1が乾燥しかつ円環領域上に存在するレジスト液R1が流動する状態にある期間内となるように定められるが、本発明はこれに限定されない。液膜乾燥工程の中間時点は、上記の期間に限らず、液膜乾燥工程の開始時点以降でかつ終了時点よりも前に定められればよい。
【0100】
[8]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、レジスト膜R2が塗布膜の例であり、塗布処理装置1が塗布処理装置の例であり、上面S1が第1の面の例であり、下面S2が第2の面の例であり、リム部SRが凸部の例であり、回転保持装置10が回転保持部の例であり、レジスト液R1が塗布液の例であり、液供給装置20が塗布液供給部の例であり、制御部30が制御部の例であり、下面ノズル17およびリンス液供給系18がリンス液供給部の例である。
【0101】
また、液膜乾燥工程の開始時点(
図6の時点t8)が第1の時点の例であり、液膜乾燥工程の中間時点(
図6の時点t9)が第2の時点の例であり、液膜乾燥工程の終了時点(
図6の時点t10)が第3の時点の例であり、液膜乾燥工程における基板Wの回転速度s5が第1の回転速度の例であり、液膜乾燥工程における基板Wの回転速度s6が第2の回転速度の例であり、バックリンス工程における基板Wの回転速度s8が第3の回転速度の例である。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
[9]参考形態
(1)第1の参考形態に係る塗布処理方法は、少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板に塗布膜を形成する塗布処理方法であって、基板は、互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有し、第1の面には、当該第1の面に直交する方向に突出しかつ外周部に沿って延びる円環状の凸部が形成され、塗布処理方法は、第1の面が上方を向くように基板を水平姿勢で保持するステップと、第1の面に塗布液を供給し、塗布液の供給中または供給後に水平姿勢で保持された基板を鉛直軸の周りで回転させることにより当該第1の面全体に塗布液を広げるステップと、塗布液を広げるステップの後、水平姿勢で保持された基板を鉛直軸の周りで回転させることにより基板を乾燥させるステップとを含み、基板を乾燥させるステップは、第1の時点から第1の時点よりも後の第2の時点までの間、第1の回転速度で基板を回転させることと、第2の時点から第2の時点よりも後の第3の時点までの間、第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で基板を回転させることとを含む。
その塗布処理方法においては、第1の面が上方を向くように基板が水平姿勢で保持される。また、第1の面に塗布液が供給される。さらに、塗布液の供給中または供給後に基板が回転され、第1の面全体に塗布液が広げられる。第1の面全体に塗布液が広がった後、基板を乾燥させるために、第1の時点から第2の時点にかけて基板が第1の回転速度で回転する。それにより、基板の中央部分に位置しかつ流動性を有する塗布液が基板の外周部に向かって移動する。したがって、基板の第1の面における中央部分が乾燥する。
続いて、第2の時点から第3の時点にかけて基板が第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転する。この場合、基板の外周部およびその近傍で流動する塗布液に、より大きい遠心力が作用する。また、基板を取り囲む空間に、より大きな気流が発生する。それにより、第1の面上で基板の中心から外周部に向かって流動する塗布液の大部分が円環状の凸部の内側の領域から基板の外方に向かって飛散する。換言すれば、第1の面上で円環状の凸部の内縁に導かれる不要な塗布液が、基板の外方に振り切られる。
その結果、塗布処理時に不要な塗布液が基板上に残留することに起因して基板の処理不良および基板の汚染が発生することを防止することができる。
(2)塗布処理方法は、基板を乾燥させるステップの後、第1の回転速度よりも低い第3の回転速度で基板を回転させつつ、第2の面にリンス液を供給するステップをさらに含んでもよい。
この場合、第1の回転速度で回転する基板にリンス液を供給する場合に比べて、基板から飛散するリンス液の量を低減することができる。それにより、第1の面にリンス液が付着することにより処理不良が発生することを防止することができる。
(3)第2の時点は、第1の面上に広げられた塗布液のうち第1の面の中央領域に存在する部分が乾燥しかつ第1の面の中央領域を取り囲む領域上に存在する部分が流動する状態にある期間内となるように定められてもよい。
この場合、基板を乾燥させる際に、第2の時点から第3の時点にかけて第1の面の中央領域を取り囲む領域に存在する塗布液が円滑に振り切られる。
(4)第2の時点は、第1の時点経過後第1の面に供給された塗布液の表面に発生する干渉縞が消滅するよりも前の時点に定められてもよい。
この場合、干渉縞が消滅するよりも前に第2の回転速度による基板の回転が開始される。それにより、基板の外周部およびその近傍に存在しかつ流動性を有する塗布液が円滑に振り切られる。
(5)第2の回転速度は、第1の回転速度の2倍の回転速度よりも高くてもよい。
この場合、第1の面上で円環状の凸部の内縁に導かれる不要な塗布液に、より大きな遠心力が作用する。また、基板を取り囲む空間にさらに大きな気流が発生する。それにより、円環状の凸部の内側の不要な塗布液が、より円滑に基板の外方に振り切られる。
(6)第2の参考形態に係る塗布処理装置は、少なくとも一部が円形状の外周部を有する基板に塗布膜を形成する塗布処理装置であって、基板は、互いに逆方向を向く第1の面および第2の面を有し、第1の面には、当該第1の面に直交する方向に突出しかつ外周部に沿って延びる円環状の凸部が形成され、塗布処理装置は、第1の面が上方を向くように基板を水平姿勢で保持しつつ鉛直軸の周りで回転させる回転保持部と、第1の面に塗布液を供給する塗布液供給部と、第1の面に塗布液が供給されるように塗布液供給部を制御し、塗布液の供給中または供給後に水平姿勢で保持された基板が鉛直軸の周りで回転することにより当該第1の面全体に塗布液が広がるように回転保持部を制御する制御部とを備え、制御部は、第1の面全体に塗布液が広げられた後、第1の時点から第1の時点よりも後の第2の時点までの間、水平姿勢で保持された基板が第1の回転速度で回転し、第2の時点から第2の時点よりも後の第3の時点までの間、水平姿勢で保持された基板が第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転することにより基板が乾燥するように回転保持部をさらに制御する。
その塗布処理装置においては、第1の面が上方を向くように基板が水平姿勢で保持される。また、第1の面に塗布液が供給される。さらに、塗布液の供給中または供給後に基板が回転され、第1の面全体に塗布液が広げられる。第1の面全体に塗布液が広がった後、基板を乾燥させるために、第1の時点から第2の時点にかけて基板が第1の回転速度で回転する。それにより、基板の中央部分に位置しかつ流動性を有する塗布液が基板の外周部に向かって移動する。したがって、基板の第1の面における中央部分が乾燥する。
続いて、第2の時点から第3の時点にかけて基板が第1の回転速度よりも高い第2の回転速度で回転する。この場合、基板の外周部およびその近傍で流動する塗布液に、より大きい遠心力が作用する。また、基板を取り囲む空間に、より大きな気流が発生する。それにより、第1の面上で基板の中心から外周部に向かって流動する塗布液の大部分が円環状の凸部の内側の領域から基板の外方に向かって飛散する。換言すれば、第1の面上で円環状の凸部の内縁に導かれる不要な塗布液が、基板の外方に振り切られる。
その結果、塗布処理時に不要な塗布液が基板上に残留することに起因して基板の処理不良および基板の汚染が発生することを防止することができる。
(7)塗布処理装置は、第2の面にリンス液を供給するリンス液供給部をさらに備え、制御部は、基板が第2の回転速度で回転することにより乾燥した後、第1の回転速度よりも低い第3の回転速度で基板が回転するように回転保持部をさらに制御するとともに、第3の回転速度で回転する基板の第2の面にリンス液が供給されるようにリンス液供給部をさらに制御してもよい。
この場合、第1の回転速度で回転する基板にリンス液を供給する場合に比べて、基板から飛散するリンス液の量を低減することができる。それにより、第1の面にリンス液が付着することにより発生する処理不良を防止することができる。
(8)第2の時点は、第1の面上に広げられた塗布液のうち第1の面の中央領域に存在する部分が乾燥しかつ第1の面の中央領域を取り囲む領域上に存在する部分が流動する状態にある期間内となるように定められてもよい。
この場合、基板を乾燥させる際に、第2の時点から第3の時点にかけて第1の面の中央領域を取り囲む領域に存在する塗布液が円滑に振り切られる。
(9)第2の時点は、第1の時点経過後第1の面に供給された塗布液の表面に発生する干渉縞が消滅するよりも前の時点に定められてもよい。
この場合、干渉縞が消滅するよりも前に第2の回転速度による基板の回転が開始される。それにより、基板の外周部およびその近傍に存在しかつ流動性を有する塗布液が円滑に振り切られる。
(10)第2の回転速度は、第1の回転速度の2倍の回転速度よりも高くてもよい。
この場合、第1の面上で円環状の凸部の内縁に導かれる不要な塗布液に、より大きな遠心力が作用する。また、基板を取り囲む空間にさらに大きな気流が発生する。それにより、円環状の凸部の内側の不要な塗布液が、より円滑に基板の外方に振り切られる。
【符号の説明】
【0102】
1…塗布処理装置,10…回転保持装置,11…吸着保持部,11u,S1…上面,12…回転軸,13…回転駆動部,14…吸引装置,15…カップ,15d…ドレイン,15x…底部,15y…外周壁部,16…排液案内管,17…下面ノズル,17b…液吐出口,18…リンス液供給系,20…液供給装置,21…レジストノズル,22…塗布液供給系,23…溶剤ノズル,24…溶剤供給系,30…制御部,h…吸引孔,IA…内側領域,p1,p2…期間,R1…レジスト液,R2…レジスト膜,S2…下面,SR…リム部,ST…段差,vp…吸気経路,W…基板,W1…実施例基板,W2…比較例基板