IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本メクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-温度測定用装置 図1
  • 特許-温度測定用装置 図2
  • 特許-温度測定用装置 図3
  • 特許-温度測定用装置 図4
  • 特許-温度測定用装置 図5
  • 特許-温度測定用装置 図6
  • 特許-温度測定用装置 図7
  • 特許-温度測定用装置 図8
  • 特許-温度測定用装置 図9
  • 特許-温度測定用装置 図10
  • 特許-温度測定用装置 図11
  • 特許-温度測定用装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】温度測定用装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20241205BHJP
【FI】
G01K1/14 E
G01K1/14 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021102656
(22)【出願日】2021-06-21
(65)【公開番号】P2023001743
(43)【公開日】2023-01-06
【審査請求日】2024-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】メクテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】金山 知樹
(72)【発明者】
【氏名】小室 雄輝
(72)【発明者】
【氏名】橋本 侑亮
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-87691(JP,A)
【文献】特開2010-66052(JP,A)
【文献】特開2015-78851(JP,A)
【文献】特開2013-97894(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0237817(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象品に固定されるケースと、
前記ケースに取り付けられるフレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線に電気的に接続されるサーミスタ素子を有するサーミスタ素子実装部と、
を備え、
前記ケースは、前記サーミスタ素子実装部を保持する保持部と、前記保持部を支持する支持部と、を有し、前記保持部は前記支持部が設けられたケース本体とヒンジ部により接続されており、前記ヒンジ部を屈曲させるように前記保持部が折り返されることで前記保持部が前記支持部に支持されることを特徴とする温度測定用装置。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント配線板は複数の配線を有しており、前記サーミスタ素子に接続される配線とは別に、前記被測定対象品の電圧を測定するための配線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の温度測定用装置。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント配線板は両面にそれぞれ配線が設けられており、一方の面に設けられた配線が電圧を測定するために用いられ、他方の面に設けられた配線に前記サーミスタ素子が接続されており、
前記フレキシブルプリント配線板のうち前記サーミスタ素子が設けられた部分の裏側に熱収集板が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の温度測定用装置。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント配線板は片面に複数の配線が設けられており、前記片面に設けられた複数の配線の一部が電圧を測定するために用いられ、電圧を測定するための配線とは別の配線に前記サーミスタ素子が接続されており、
前記フレキシブルプリント配線板には、前記被測定対象品と前記サーミスタ素子との間に隙間を形成するためのスペーサが前記サーミスタ素子を取り囲むように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の温度測定用装置。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント配線板は片面に複数の配線が設けられており、前記片面に設けられた複数の配線の一部が電圧を測定するために用いられ、電圧を測定するための配線とは別の配線に前記サーミスタ素子が接続されると共に、
電圧を測定するための配線が設けられたフレキシブルプリント配線板本体から分岐する分岐部に設けられる配線に前記サーミスタ素子が接続されており、
前記分岐部が折り返された状態で前記サーミスタ素子を有する前記サーミスタ素子実装部が前記保持部に保持されており、前記フレキシブルプリント配線板の前記分岐部のうち前記サーミスタ素子が設けられた部分の裏側に熱収集板が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の温度測定用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定対象品の温度を測定するための温度測定用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド車などに搭載される複数のセルを備えるバッテリにおいては、バッテリの温度を測定するための装置が設けられている。一般的に、複数のセルの電圧が正常か否かを監視するための電圧監視用の装置に、温度を測定する機能を兼備させている。このような装置においては、フレキシブルプリント配線板に備えられる複数の配線を、電圧監視用途と温度測定用途に使い分けている。そして、バッテリの上部に取り付けられるケースの上面側に、フレキシブルプリント配線板のうち少なくとも電圧監視用の配線が設けられている領域の一部が固定される。これに対して、フレキシブルプリント配線板に固定される温度測定用の素子(サーミスタ素子)はセルの真上に配する必要がある。そのため、サーミスタ素子を有するサーミスタ素子実装部は、ケースの下面側に固定する必要がある。サーミスタ素子実装部はサイズが小さく、フレキシブルプリント配線板が取り付けられたケースを裏返した上で、所定の箇所にサーミスタ素子実装部を取り付ける作業が面倒な作業になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-87691号公報
【文献】特許第6642301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、取付作業性の向上を図ることのできる温度測定用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0006】
すなわち、本発明の温度測定用装置は、
被測定対象品に固定されるケースと、
前記ケースに取り付けられるフレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線に電気的に接続されるサーミスタ素子を有するサーミスタ素子実装部と、
を備え、
前記ケースは、前記サーミスタ素子実装部を保持する保持部と、前記保持部を支持する支持部と、を有し、前記保持部は前記支持部が設けられたケース本体とヒンジ部により接続されており、前記ヒンジ部を屈曲させるように前記保持部が折り返されることで前記保持部が前記支持部に支持されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、保持部にサーミスタ素子実装部を保持させた状態で、ヒンジ部を屈曲させるように保持部を折り返すことで、保持部が支持部に支持される。従って、サーミスタ素子実装部の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0008】
前記フレキシブルプリント配線板は複数の配線を有しており、前記サーミスタ素子に接続される配線とは別に、前記被測定対象品の電圧を測定するための配線が設けられている
とよい。
【0009】
前記フレキシブルプリント配線板は両面にそれぞれ配線が設けられており、一方の面に設けられた配線が電圧を測定するために用いられ、他方の面に設けられた配線に前記サーミスタ素子が接続されており、
前記フレキシブルプリント配線板のうち前記サーミスタ素子が設けられた部分の裏側に熱収集板が設けられているとよい。
【0010】
また、前記フレキシブルプリント配線板は片面に複数の配線が設けられており、前記片面に設けられた複数の配線の一部が電圧を測定するために用いられ、電圧を測定するための配線とは別の配線に前記サーミスタ素子が接続されており、
前記フレキシブルプリント配線板には、前記被測定対象品と前記サーミスタ素子との間に隙間を形成するためのスペーサが前記サーミスタ素子を取り囲むように設けられていることも好適である。
【0011】
更に、前記フレキシブルプリント配線板は片面に複数の配線が設けられており、前記片面に設けられた複数の配線の一部が電圧を測定するために用いられ、電圧を測定するための配線とは別の配線に前記サーミスタ素子が接続されると共に、
電圧を測定するための配線が設けられたフレキシブルプリント配線板本体から分岐する分岐部に設けられる配線に前記サーミスタ素子が接続されており、
前記分岐部が折り返された状態で前記サーミスタ素子を有する前記サーミスタ素子実装部が前記保持部に保持されており、前記フレキシブルプリント配線板の前記分岐部のうち前記サーミスタ素子が設けられた部分の裏側に熱収集板が設けられていることも好適である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、取付作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の実施例1に係る温度測定用装置のバッテリへの取付作業説明図である。
図2図2は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図3図3は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図4図4は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の模式的断面図である。
図5図5は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図6図6は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図7図7は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の模式的断面図である。
図8図8は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の模式的断面図である。
図9図9は本発明の実施例3に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図10図10は本発明の実施例3に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図11図11は本発明の実施例3に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図12図12は本発明の実施例3に係る温度測定用装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。以下の実施例においては、温度測定用装置としての機能が、電気自動車などに搭載されるバッテリに装着される電圧監視用装置に兼ね備えられる場合を例にして説明する。ただし、本発明に係る温度測定用装置は、様々な被測定対象品の温度
を測定する用途に適用され得る。
【0015】
(実施例1)
図1図4を参照して、本発明の実施例1に係る温度測定用装置について説明する。図1は本発明の実施例1に係る温度測定用装置のバッテリへの取付作業説明図であり、同図(a)は取付途中の状態、同図(b)は取付後の状態を、それぞれ模式的断面図で示している。図2は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の概略構成図であり、保持部を支持部に支持させる前の状態について、同図(a)は平面図の一部を示し、同図(b)は背面図の一部を示している。図3は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の概略構成図であり、保持部を支持部に支持させた状態について、同図(a)は平面図の一部を示し、同図(b)は背面図の一部を示している。図4は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の模式的断面図であり、同図(a)は図2中のA1-A1断面に相当し、図4(b)は図3中のA2-A2断面に相当する。
【0016】
<バッテリ及び電圧監視用装置の概略>
本実施例に係る温度測定用装置の詳細な説明に先立って、バッテリ及び温度測定用装置としての機能を兼ね備える電圧監視用装置の概略について、図1を参照して説明する。
【0017】
バッテリ200は、複数のセル210により構成される。図1においては、一つのセル210についてのみ示している。セル210の上部にはケース120の台座220と、電極230が設けられている。バッテリについては公知技術であるので、詳細な説明は省略するが、セル210の上部の両端にそれぞれ電極230(一方が正極で他方が負極)が設けられている。そして、複数のセル210は、正極と負極が隣り合うように配列される。そして、複数のセル210においては、隣り合う正極と負極が、温度測定用装置(電圧監視用装置)100に備えられるバスバ130によって、それぞれ電気的に接続されることで直列に接続されるように構成される。
【0018】
温度測定用装置100は、被測定対象品(本実施例においてはバッテリ200)に固定される樹脂製のケース120と、ケース120に取り付けられるフレキシブルプリント配線板(以下、FPCと称する)110と、上記のバスバ130とを備えている。また、温度測定用装置100は、更に、サーミスタ素子実装部を備えている。本実施例に係るサーミスタ素子実装部は、FPC110に備えられる配線に電気的に接続されるサーミスタ素子140と、弾性体150と、熱収集板160とから構成される。また、FPC110の先端にはコネクタ(不図示)が取り付けられる。このコネクタは、バッテリ200を構成するセル210の電圧及び温度を測定し、かつ各種制御を行うための装置(不図示)に接続される。
【0019】
ケース120と、FPC110と、バスバ130には、それぞれ貫通孔121,110a,130aが設けられている。これらの貫通孔121,110a,130aに電極230が挿通されるように、温度測定用装置100はバッテリ200に取り付けられる。これにより、サーミスタ素子実装部における熱収集板160はセル210の上面に接した状態となる。なお、バッテリ200においては、全てのセル210についての電圧が監視されるのに対して、温度については、全てのセル210の温度を監視する必要はない。従って、バッテリ200に備えられるセル210の個数や使用環境に応じた個数のサーミスタ素子実装部が設けられる。
【0020】
<温度測定用装置>
温度測定用装置100について、より詳細に説明する。上記の通り、温度測定用装置100は、ケース120と、FPC110と、サーミスタ素子実装部とを備えている。FPC110の構造については、公知技術であるので、その詳細な説明は省略するが、一般的
に、ベースフィルムと、ベースフィルム上に設けられ、銅箔がエッチングされることで形成される複数の配線と、複数の配線を覆うカバーフィルム等により構成される。本実施例に係るFPC110は両面にそれぞれ配線が設けられている。すなわち、一般的に両面銅張積層板と呼ばれる素材を用いて、ベースフィルムの両面に備えられる金属箔(銅箔)をエッチングすることで、FPC110の両面に配線が形成されている。
【0021】
そして、FPC110の一方の面110Sに設けられた複数の配線が電圧を測定するために用いられ、他方の面110Tに設けられた少なくとも一つの配線にサーミスタ素子140が接続されている。より具体的には、本実施例に係るFPC110は、電圧を測定するための複数の配線が設けられたFPC本体(フレキシブルプリント配線板本体)から分岐する分岐部111が設けられており、この分岐部111にサーミスタ素子140を接続する配線が配されている。FPC110におけるFPC本体の一方の面110Sに設けられた複数の配線は、これらの端部においてカバーフィルムから露出した部分がそれぞれバスバ130と電気的に接することで、各セル210の電極230と各々電気的に接続される。そして、分岐部111の他方の面110Tに設けられた配線は、その端部においてカバーフィルムから露出した部分がサーミスタ素子140と電気的に接続される。
【0022】
分岐部111のサーミスタ素子140が設けられた部分には、サーミスタ素子140を覆うように、弾性体150が取り付けられている。この弾性体150は、発泡ゴム系や発泡ウレタン系のフォーム材料などにより構成することができ、両面テープなどを用いて分岐部111に取り付けることができる。また、分岐部111のうちサーミスタ素子140が設けられた部分の裏側(一方の面110S側)に熱収集板160が設けられている。この熱収集板160は、アルミニウムなどの板材により構成される。また、この熱収集板160は、FPC110の分岐部111に対して両面テープなどにより接着することができる。
【0023】
ケース120は、サーミスタ素子実装部を保持する保持部122と、保持部122を支持する支持部123とを有している。このケース120においては、FPC110のFPC本体が取り付けられるケース本体に支持部123が設けられている。そして、このケース本体と保持部122がヒンジ部124によって接続されている。ケース120は樹脂成形品であり、支持部123を有するケース本体と、ヒンジ部124と、保持部122は一体に設けられている。上記のサーミスタ素子140と弾性体150と熱収集板160とから構成されるサーミスタ素子実装部は、保持部122により保持される。弾性体150における熱収集板160とは反対側の端部を保持部122に嵌合することで、保持部122にサーミスタ素子実装部を保持させることができる。この時、両面テープなどを用いて弾性体150を保持部122に接着してもよい。
【0024】
以上のように構成される温度測定用装置100においては、図2中、一点鎖線L1を折り曲げ線として、ヒンジ部124と分岐部111を屈曲させるように保持部122が折り返されることで、保持部122は支持部123に支持される(図3及び図4(b)参照)。なお、図2(a)においては保持部122を紙面奥側に、同図(b)においては保持部122を紙面手前側に折り返せばよい。
【0025】
本実施例においては、保持部122に係合突起125が設けられ、支持部123に被係合部123aが設けられている。これにより、保持部122を折り返すと、係合突起125が被係合部123aに係合された状態となり、保持部122は支持部123に対してより確実に支持される。なお、保持部122が支持部123に支持された後は、ヒンジ部124を切断して除去しても構わない。
【0026】
以上のように、保持部122が支持部123に支持された状態で、図1に示すように、
温度測定用装置100はバッテリ200に取り付けられる。温度測定用装置100がバッテリ200に取り付けられると、弾性体150は弾性的に圧縮された状態となる。従って、各種部材の寸法誤差などがあっても、熱収集板160をセル210の上面に対して適切に接した状態とすることができる。
【0027】
<本実施例に係る温度測定用装置の優れた点>
本実施例に係る温度測定用装置100によれば、保持部122にサーミスタ素子実装部を保持させた状態で、ヒンジ部124を屈曲させるように保持部122を折り返すことで、保持部122が支持部123に支持される。従って、サーミスタ素子実装部の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0028】
また、本実施例においては、FPC110(分岐部111)を介してサーミスタ素子140とは反対側に設けられた熱収集板160から被測定用対象品の測温部の熱がサーミスタ素子140に伝わるため、温度の測定精度を高めることができる。
【0029】
(実施例2)
図5図8を参照して、本発明の実施例2に係る温度測定用装置について説明する。図5は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の概略構成図であり、保持部を支持部に支持させる前の状態について、同図(a)は平面図の一部を示し、同図(b)は背面図の一部を示している。図6は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の概略構成図であり、保持部を支持部に支持させた状態について、同図(a)は平面図の一部を示し、同図(b)は背面図の一部を示している。図7は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の模式的断面図であり、同図(a)は図5中のA3-A3断面に相当し、図7(b)は図5中のA4-A4断面に相当する。図8は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の模式的断面図であり、同図(a)は図6中のA5-A5断面に相当し、図8(b)は図6中のA6-A6断面に相当する。
【0030】
バッテリ及び温度測定用装置としての機能を兼ね備える電圧監視用装置の概略については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0031】
本実施例に係る温度測定用装置100Xにおいても、被測定対象品(本実施例においてはバッテリ200)に固定される樹脂製のケース120Xと、ケース120Xに取り付けられるFPC110Xと、バスバとを備えている。なお、バスバ及びバスバが取り付けられる部位の構成については、上記実施例1と同様である。
【0032】
また、温度測定用装置100Xは、更に、サーミスタ素子実装部を備えている。本実施例に係るサーミスタ素子実装部は、FPC110Xに備えられる配線に電気的に接続されるサーミスタ素子140Xと、スペーサ170と、封止部180と、充填部190とから構成される。FPC110Xの先端にコネクタ(不図示)が取り付けられる点については、実施例1で説明した通りである。温度測定用装置100Xのバッテリへの取り付け方についても実施例1で説明した通りである。
【0033】
<温度測定用装置>
温度測定用装置100Xについて、より詳細に説明する。上記の通り、温度測定用装置100Xは、ケース120Xと、FPC110Xと、サーミスタ素子実装部とを備えている。FPC110Xの基本的な構造については、実施例1で説明した通りである。本実施例に係るFPC110Xは片面に複数の配線が設けられている。すなわち、一般的に片面銅張積層板と呼ばれる素材を用いて、ベースフィルムの片面に備えられる金属箔(銅箔)をエッチングすることで、FPC110Xの片面に複数の配線が形成されている。
【0034】
そして、FPC110Xの片面に設けられた複数の配線の一部が電圧を測定するために用いられ、電圧を測定するための配線とは別の配線にサーミスタ素子140Xが接続される。より具体的には、本実施例に係るFPC110Xは、電圧を測定するための複数の配線が設けられたFPC本体から分岐する分岐部111Xが設けられており、この分岐部111Xにサーミスタ素子140Xを接続する配線が配されている。FPC110XにおけるFPC本体の一方の面110XSに設けられた複数の配線は、これらの端部においてカバーフィルムから露出した部分がそれぞれバスバと電気的に接することで、各セルの電極と各々電気的に接続される。そして、分岐部111Xの一方の面110XSに設けられた配線は、その端部においてカバーフィルムから露出した部分がサーミスタ素子140Xと電気的に接続される。
【0035】
分岐部111Xのサーミスタ素子140Xが設けられた部分には、サーミスタ素子140Xを取り囲むようにスペーサ170が設けられている。このスペーサ170はアルミニウムなどの材料により構成され、被測定対象品とサーミスタ素子140Xとの間に隙間を形成するために設けられる。また、サーミスタ素子140Xは封止部180に埋設されている。例えば、サーミスタ素子XをFPC110Xに取り付け、かつスペーサ170もFPC110Xに両面テープなどにより取り付けた後に、エポキシなどのポッティング材料をスペーサ170の内側に流し込むことで、封止部180を設けることができる。また、FPC110Xを介してサーミスタ素子140Xと反対側には充填部190が設けられている。この充填部190はFPC110Xに両面テープなどにより接着される。
【0036】
ケース120Xは、サーミスタ素子実装部を保持する保持部122Xと、保持部122Xを支持する支持部123Xとを有している。このケース120Xにおいては、FPC110XのFPC本体が取り付けられるケース本体に支持部123Xが設けられている。そして、このケース本体と保持部122Xがヒンジ部124Xによって接続されている。ケース120Xは樹脂成形品であり、支持部123Xを有するケース本体と、ヒンジ部124Xと、保持部122Xは一体に設けられている。上記のサーミスタ素子140Xとスペーサ170と封止部180と充填部190とから構成されるサーミスタ素子実装部は、保持部122Xにより保持される。保持部122Xのうちサーミスタ素子実装部を保持する箱状の内部に充填部190が充填されるようにして、サーミスタ実装部が保持部122Xに保持される。この時、両面テープなどを用いて充填部190を保持部122Xに接着してもよい。
【0037】
以上のように構成される温度測定用装置100Xにおいては、図5中、一点鎖線L2を折り曲げ線として、ヒンジ部124Xと分岐部111Xを屈曲させるように保持部122Xが折り返されることで、保持部122Xは支持部123Xに支持される(図6及び図8参照)。なお、図5(a)においては保持部122Xを紙面奥側に、同図(b)においては保持部122Xを紙面手前側に折り返せばよい。
【0038】
本実施例においては、保持部122Xに係合突起125Xが設けられ、支持部123Xに被係合部123aXが設けられている。これにより、保持部122Xを折り返すと、係合突起125Xが被係合部123aXに係合された状態となり、保持部122Xは支持部123Xに対してより確実に支持される。なお、保持部122Xが支持部123Xに支持された後は、ヒンジ部124Xを切断して除去しても構わない。
【0039】
以上のように、保持部122Xが支持部123Xに支持された状態で、実施例1と同様に、温度測定用装置100Xはバッテリ200に取り付けられる。本実施例においては、温度測定用装置100Xがバッテリ200に取り付けられると、スペーサ170がセル210の上面に接した状態となり、サーミスタ素子140Xとセル210の上面との間には空間(空気の層)が設けられた状態となる。
【0040】
<本実施例に係る温度測定用装置の優れた点>
本実施例に係る温度測定用装置100Xにおいても、実施例1と同様に、保持部122Xにサーミスタ素子実装部を保持させた状態で、ヒンジ部124Xを屈曲させるように保持部122Xを折り返すことで、保持部122Xが支持部123Xに支持される。従って、サーミスタ素子実装部の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0041】
また、本実施例においては、被測定用対象品の測温部の熱が空気層などを介してサーミスタ素子140Xに伝わるため、実施例1に比べると温度の測定精度が低くなる恐れがあるものの、FPC110Xの片面にのみ配線を設ければよい。つまり、FPC110Xの素材として、片面銅張積層板を用いることができるため、両面銅張積層板を用いる場合に比べてコストを削減することができる。
【0042】
(実施例3)
図9図12を参照して、本発明の実施例3に係る温度測定用装置について説明する。図9は本発明の実施例3に係る温度測定用装置の概略構成図であり、サーミスタ素子実装部を保持部に保持させる前の状態について、同図(a)は平面図の一部を示し、同図(b)は背面図の一部を示している。図10は本発明の実施例3に係る温度測定用装置の概略構成図であり、サーミスタ素子実装部を保持部に保持させ、かつ保持部を支持部に支持させる前の状態について、同図(a)は平面図の一部を示し、同図(b)は背面図の一部を示している。図11は本発明の実施例3に係る温度測定用装置の概略構成図であり、保持部を支持部に支持させた状態について、同図(a)は平面図の一部を示し、同図(b)は背面図の一部を示している。図12は本発明の実施例3に係る温度測定用装置の模式的断面図であり、同図(a)は図10中のA7-A7断面に相当し、図12(b)は図11中のA8-A8断面に相当する。
【0043】
バッテリ及び温度測定用装置としての機能を兼ね備える電圧監視用装置の概略については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0044】
本実施例に係る温度測定用装置100Yにおいても、被測定対象品(本実施例においてはバッテリ200)に固定される樹脂製のケース120Yと、ケース120Yに取り付けられるFPC110Yと、バスバとを備えている。なお、バスバ及びバスバが取り付けられる部位の構成については、上記実施例1と同様である。
【0045】
また、温度測定用装置100Yは、更に、サーミスタ素子実装部を備えている。本実施例に係るサーミスタ素子実装部の構成は、実施例1と同様であるので、その説明は省略する。FPC110Yの先端にコネクタ(不図示)が取り付けられる点についても、実施例1で説明した通りである。温度測定用装置100Yのバッテリへの取り付け方についても実施例1で説明した通りである。
【0046】
<温度測定用装置>
温度測定用装置100Yについて、より詳細に説明する。上記の通り、温度測定用装置100Yは、ケース120Yと、FPC110Yと、サーミスタ素子実装部とを備えている。FPC110Yの基本的な構造については、実施例1で説明した通りである。本実施例に係るFPC110Yは片面に複数の配線が設けられている。すなわち、一般的に片面銅張積層板と呼ばれる素材を用いて、ベースフィルムの片面に備えられる金属箔(銅箔)をエッチングすることで、FPC110Yの片面に配線が形成されている。
【0047】
そして、FPC110Yの片面に設けられた複数の配線の一部が電圧を測定するために用いられ、電圧を測定するための配線とは別の配線にサーミスタ素子140Yが接続され
る。より具体的には、本実施例に係るFPC110Yは、電圧を測定するための複数の配線が設けられたFPC本体から分岐する分岐部111Yが設けられており、この分岐部111Yにサーミスタ素子140Yを接続する配線が配されている。FPC110YにおけるFPC本体の一方の面110YSに設けられた複数の配線は、これらの端部においてカバーフィルムから露出した部分がそれぞれバスバと電気的に接することで、各セルの電極と各々電気的に接続される。そして、分岐部111Yの一方の面110YSに設けられた配線は、その端部においてカバーフィルムから露出した部分がサーミスタ素子140Yと電気的に接続される。
【0048】
分岐部111Yのサーミスタ素子140Yが設けられた部分には、サーミスタ素子140Yを覆うように、弾性体150Yが取り付けられている。弾性体150Yについては、上記実施例1で説明した通りである。また、分岐部111Yのうちサーミスタ素子140Yが設けられた部分の裏側(他方の面110YT側)に熱収集板160Yが設けられている。この熱収集板160Yについては、実施例1で説明した通りである。
【0049】
ケース120Yは、サーミスタ素子実装部を保持する保持部122Yと、保持部122Yを支持する支持部123Yとを有している。このケース120Yにおいては、FPC110YのFPC本体が取り付けられるケース本体に支持部123Yが設けられている。そして、このケース本体と保持部122Yがヒンジ部124Yによって接続されている。ケース120Yは樹脂成形品であり、支持部123Yを有するケース本体と、ヒンジ部124Yと、保持部122Yは一体に設けられている。
【0050】
以上のように構成される温度測定用装置100Yにおいては、図9中、一点鎖線L3を折り曲げ線として、分岐部111Yを屈曲させるようにサーミスタ素子実装部(サーミスタ素子140Yと弾性体150Yと熱収集板160Y)が折り返されることで、サーミスタ素子実装部が保持部122Yに保持される。なお、図9(a)においては、サーミスタ素子実装部を紙面手前側に、同図(b)においてはサーミスタ素子実装部を紙面奥側に折り返せばよい。これにより、弾性体150Yにおける熱収集板160Yとは反対側の端部が保持部122Yに嵌合され、保持部122Yにサーミスタ素子実装部を保持させることができる。この時、両面テープなどを用いて弾性体150Yを保持部122Yに接着してもよい。
【0051】
次に、図10中、一点鎖線L4を折り曲げ線として、ヒンジ部124Yと分岐部111Yを屈曲させるように保持部122Yが折り返されることで、保持部122Yは支持部123Yに支持される(図11及び図12(b)参照)。なお、図10(a)においては保持部122Yを紙面奥側に、同図(b)においては保持部122Yを紙面手前側に折り返せばよい。
【0052】
本実施例においては、保持部122Yに係合突起125Yが設けられ、支持部123Yに被係合部123aYが設けられている。これにより、保持部122Yを折り返すと、係合突起125Yが被係合部123aYに係合された状態となり、保持部122Yは支持部123Yに対してより確実に支持される。なお、保持部122Yが支持部123Yに支持された後は、ヒンジ部124Yを切断して除去しても構わない。
【0053】
以上のように、保持部122Yが支持部123Yに支持された状態で、実施例1と同様に、温度測定用装置100Yはバッテリ200に取り付けられる。温度測定用装置100Yがバッテリ200に取り付けられると、弾性体150Yは弾性的に圧縮された状態となる。従って、各種部材の寸法誤差などがあっても、熱収集板160Yをセル210の上面に対して適切に接した状態とすることができる。
【0054】
<本実施例に係る温度測定用装置の優れた点>
本実施例に係る温度測定用装置100Yにおいても、実施例1と同様に、保持部122Yにサーミスタ素子実装部を保持させた状態で、ヒンジ部124Yを屈曲させるように保持部122Yを折り返すことで、保持部122Yが支持部123Yに支持される。本実施例の場合には、サーミスタ素子実装部を保持部122Yに取り付けるために、折り返し作業が実施例1に比べて1工程増えるものの、サーミスタ素子実装部の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0055】
また、本実施例においては、実施例1と同様に、FPC110Y(分岐部111Y)を介してサーミスタ素子140Yとは反対側に設けられた熱収集板160Yから被測定用対象品の測温部の熱がサーミスタ素子140Yに伝わるため、温度の測定精度を高めることができる。
【0056】
更に、本実施例においては、FPC110Yの片面にのみ配線を設ければよく、FPC110Yの素材として、片面銅張積層板を用いることができるため、両面銅張積層板を用いる場合に比べてコストを削減することができる。
【符号の説明】
【0057】
100,100X,100Y 温度測定用装置
110 フレキシブルプリント配線板(FPC)
111,111X,111Y 分岐部
120,120X,120Y ケース
121,110a,130a 貫通孔
122,122X,122Y 保持部
123,123X,123Y 支持部
123a,123aX,123aY 被係合部
124,124X,124Y ヒンジ部
125,125X,125Y 係合突起
130 バスバ
140,140X,140Y サーミスタ素子
150,150Y 弾性体
160,160Y 熱収集板
170 スペーサ
180 封止部
190 充填部
200 バッテリ
210 セル
220 台座
230 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12