IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧 ▶ 日立オートモティブシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-駆動ユニット 図1
  • 特許-駆動ユニット 図2
  • 特許-駆動ユニット 図3
  • 特許-駆動ユニット 図4
  • 特許-駆動ユニット 図5
  • 特許-駆動ユニット 図6
  • 特許-駆動ユニット 図7
  • 特許-駆動ユニット 図8
  • 特許-駆動ユニット 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20241205BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20241205BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
H02K11/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021530018
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2020025541
(87)【国際公開番号】W WO2021002328
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2019123958
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 平典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智幸
(72)【発明者】
【氏名】星野谷 武
(72)【発明者】
【氏名】錦見 総徳
(72)【発明者】
【氏名】石田 祐貴
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/109714(WO,A1)
【文献】特開2015-123890(JP,A)
【文献】特開2005-033985(JP,A)
【文献】特開2015-228795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/10
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びる回転軸を有する回転電機と、
前記回転電機を収容する回転電機収容部を有する回転電機ケースを備える回転電機ユニットと、
前記回転電機と電気的に接続され、前記回転電機に供給する電力及び前記回転電機から供給される電力を変換する電力変換装置と、を備え、
前記電力変換装置は、電力変換装置ケースを有し、前記回転軸方向と上下方向との両方に直交する直交方向において前記回転電機ケースの一方側に配置されており、
前記電力変換装置ケースは、前記直交方向において前記回転電機ケースに対向するように前記回転電機ケースに固定されている、駆動ユニットであって、
前記回転電機と前記電力変換装置とが電気的に接続する接続部を備え、
前記接続部は、前記回転軸よりも下方、且つ前記直交方向において前記回転電機と前記電力変換装置との間に配置され、
前記電力変換装置ケース及び前記回転電機ケースのいずれか一方には、前記接続部の上方に、前記直交方向に突出して前記回転軸方向に延びるガイド部が形成されており、
前記ガイド部は、前記直交方向における前記電力変換装置ケースと前記回転電機ケースとの間の空間であって、上下方向において前記電力変換装置ケースの上端及び前記回転電機ケースの上端よりも前記回転軸に近い位置に形成されている、駆動ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動ユニットであって、
前記ガイド部は、前記電力変換装置ケースに形成されている、駆動ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動ユニットであって、
前記ガイド部は、前記回転軸方向において前記接続部から離れるにしたがって、前記直交方向への突出長さが短くなる先細部を有する、駆動ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動ユニットであって、
前記ガイド部の上面は、前記回転軸方向において前記接続部から離れるにしたがって、下方へ傾斜する傾斜面を有する、駆動ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の駆動ユニットであって、
前記ガイド部は、上下方向に並んで複数形成されている、駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両などに搭載される駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源として回転電機を利用したハイブリッド車両、電動車両等の車両が知られている。このような車両では、回転電機とともに、回転電機と電気的に接続され、回転電機に供給する電力及び回転電機から供給される電力を変換する電力変換装置が搭載されている。従来、回転電機と電力変換装置とを三相線を用いて電気的に接続していたが、近年では、回転電機及び電力変換装置を直接固定してユニット化することが試みられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、駆動ユニットとして電力変換装置を回転電機の上方に直接固定することが提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の構成では、駆動ユニットの高さ寸法が大きくなり、レイアウトの自由度が低下してしまう。一方、特許文献2では、駆動ユニットとして、電力変換装置を、回転軸方向と上下方向との両方に直交する直交方向において回転電機の一方側に直接固定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/121032号
【文献】米国特許出願公開第2018/0262089号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のように、電力変換装置が、回転軸方向と上下方向との両方に直交する直交方向において回転電機の一方側に固定されている駆動ユニットにおいては、駆動ユニットの上方から水等の異物が進入した場合、電力変換装置ケースと回転電機ケースとの間から、回転電機と電力変換装置とが電気的に接続する接続部に異物が進入してしまい、漏電等が生じる虞があった。
【0006】
本発明は、駆動ユニットの上方から電力変換装置ケースと回転電機ケースとの間に水等の異物が進入した場合であっても、回転電機と電力変換装置とが電気的に接続する接続部に異物が進入することを抑制できる駆動ユニット提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
水平方向に延びる回転軸を有する回転電機と、
前記回転電機を収容する回転電機収容部を有する回転電機ケースを備える回転電機ユニットと、
前記回転電機と電気的に接続され、前記回転電機に供給する電力及び前記回転電機から供給される電力を変換する電力変換装置と、を備え、
前記電力変換装置は、電力変換装置ケースを有し、前記回転軸方向と上下方向との両方に直交する直交方向において前記回転電機ケースの一方側に配置されており、
前記電力変換装置ケースは、前記直交方向において前記回転電機ケースに対向するように前記回転電機ケースに固定されている、駆動ユニットであって、
前記回転電機と前記電力変換装置とが電気的に接続する接続部を備え、
前記接続部は、前記回転軸よりも下方、且つ前記直交方向において前記回転電機と前記電力変換装置との間に配置され、
前記電力変換装置ケース及び前記回転電機ケースのいずれか一方には、前記接続部の上方に、前記直交方向に突出して前記回転軸方向に延びるガイド部が形成されており、
前記ガイド部は、前記直交方向における前記電力変換装置ケースと前記回転電機ケースとの間の空間であって、上下方向において前記電力変換装置ケースの上端及び前記回転電機ケースの上端よりも前記回転軸に近い位置に形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力変換装置ケース及び回転電機ケースのいずれか一方には、接続部の上方に、直交方向に突出して回転軸方向に延びるガイド部が形成されているので、駆動ユニットの上方から電力変換装置ケースと回転電機ケースとの間に水等の異物が進入した場合であっても、接続部の上方から進入した異物は、ガイド部に沿って回転軸方向に導かれる。これにより、接続部の上方から進入した異物が、接続部に進入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の駆動ユニットを搭載可能な車両の全体構造を示す概略側面図である。
図2図1の車両の床下構造を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態の駆動ユニットの全体斜視図である。
図4図3の駆動ユニットの電動機収容部及び電力変換装置を右側から見た、要部断面図である。
図5図3の駆動ユニットの電力変換装置を後方から見た図である。
図6図3の駆動ユニットを前方から見た図である。
図7図3の駆動ユニットを上方から見た要部拡大図である。
図8】本発明の一実施形態の駆動ユニットのガイド部周辺を拡大した斜視図である。
図9】本発明の一実施形態の駆動ユニットの変形例の電力変換装置を後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態の駆動ユニット及び駆動ユニットを搭載した一実施形態の車両を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、前後、左右、上下は、車両の操縦者から見た方向に従い記載し、また、図面に車両の前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0011】
[車両]
図1及び図2に示すように、車両1は、フロアパネル2とダッシュパネル3とにより車室4及び荷室5と、その前方のフロントルーム6と、に区画形成されている。車室4には、前部座席7及び後部座席8が設けられている。フロントルーム6には、左右の前輪FWを駆動する駆動源としてのエンジンENGが設けられ、荷室5の下方には、左右の後輪RWを駆動する駆動源としての電動機MOTを収容した駆動ユニット30が設けられている。即ち、車両1は、エンジンENG及び電動機MOTの両方を駆動源とする、いわゆるハイブリッド車両である。
【0012】
車室4の下方には、バッテリBAT及び燃料タンク9が配置される。バッテリBATと駆動ユニット30とがDC線31を介して接続され、エンジンENGと燃料タンク9が不図示の燃料配管を介して接続される。
【0013】
車体フレーム10は、前後方向に延設される左右一対のサイドフレーム11、12と、車幅方向(以下、左右方向とも呼ぶ。)に延設されサイドフレーム11、12間を連結する複数のクロスメンバ13と、駆動ユニット30を支持する平面視で略矩形形状のサブフレーム14と、を備える。
【0014】
[駆動ユニット]
図3に示すように、駆動ユニット30は、電動機MOTと、電動機MOTと電気的に接続され、電動機MOTに供給する電力及び電動機MOTから供給される電力を変換する電力変換装置PDUと、電動機MOTの動力を後輪RWに伝達する動力伝達機構TMと、を備える。電力変換装置PDUは、例えばインバータである。
【0015】
電動機MOTは、略円筒形状を有し、回転軸CLが車幅方向に略水平に延びている。回転軸CLは、電動機MOTの回転軸心である。動力伝達機構TMは、出力軸の軸心が電動機MOTの回転軸CLと同軸となるように、電動機MOTと車幅方向に並んで配置されている。本実施形態では、電動機MOT及び動力伝達機構TMは、車幅方向において、電動機MOTが左側、動力伝達機構TMが右側となるように、並んで配置されている。
【0016】
電動機MOT及び動力伝達機構TMは、電動機ケース40に収容されている。電動機ケース40は、電動機収容部41と、動力伝達機構収容部42と、を有する。電動機MOTは、電動機収容部41に収容されており、動力伝達機構TMは、動力伝達機構収容部42に収容されている。
【0017】
電力変換装置PDUは、車両1の前後方向において、電動機MOT及び動力伝達機構TMの前方に隣接して配置されている。電力変換装置PDUは、電動機MOT及び動力伝達機構TMと車室4との間に位置している(図1参照)。すなわち、本実施形態では、電力変換装置PDUは、電動機MOT及び動力伝達機構TMの前方に位置している。したがって、車両1の後突時、駆動ユニット30において、衝撃は、電力変換装置PDUよりも後方に位置する電動機MOT及び動力伝達機構TMに入力される。これにより、車両1の後突時による衝撃が、電力変換装置PDUに直接入力されることを回避できる。
【0018】
電力変換装置PDUは、電力変換装置ケース50を有する。電力変換装置ケース50は、略直方体形状を有し、前面50F、後面50B、左側面50L、右側面50R、上面50U、及び下面50Dを有する。電力変換装置ケース50は、電力変換装置ケース50の後面50Bが電動機ケース40の前面40Fと対向するように電動機ケース40に固定されている。
【0019】
電力変換装置ケース50の右側面50Rには、上方にDCコネクタ51が設けられており、下方に低電圧コネクタ52が設けられている。
【0020】
DCコネクタ51には、DC線31が接続され(図7参照)、DC線31を介して、電力変換装置PDUとバッテリBATとが電気的に接続されている。
【0021】
低電圧コネクタ52には、低電圧線32が接続され(図7参照)、電力変換装置PDUに、電力変換装置PDUを駆動するための電力が供給される。低電圧線32は、バッテリBATに接続されていてもよいし、バッテリBATとは別に設けられた不図示の低電圧バッテリに接続されていてもよい。
【0022】
図4及び図5に示すように、駆動ユニット30は、電動機MOTと電力変換装置PDUとを電気的に接続する電動機接続部70を備える。電動機MOTと電力変換装置PDUとを電気的に接続するとは、電動機MOTと電力変換装置PDUとの間で電力を授受可能に接続されることを意味する。電動機接続部70は、電動機MOTから延出するU相、V相、W相の3本のコイル引き出し線71と、電力変換装置ケース50の後面50Bから電動機ケース40の電動機収容部41内に突出する電力変換装置側電力コネクタ72と、を有する。電力変換装置側電力コネクタ72には、電力変換装置PDUの基板に接続される3本のバスバーの端子部73が設けられ、この3本バスバーの端子部73に3本のコイル引き出し線71が接続される。
【0023】
これにより、電動機MOTの力行駆動時にはバッテリBATからの直流電力が電力変換装置PDUによって交流電力に変換されて電動機MOTに供給され、また、電動機MOTの回生駆動時には電動機MOTからの交流電力が電力変換装置PDUによって直流電力に変換されてバッテリBATに供給される。
【0024】
図4に示すように、電動機接続部70は、回転軸CLよりも下方、且つ車両1の前後方向において電動機MOTと電力変換装置PDUとの間に配置されている。これにより、駆動ユニット30において、電動機MOTと電力変換装置PDUとの間の空間を有効に利用することができ、駆動ユニット30を小型化できる。より具体的に説明すると、電動機MOTは略円筒形状を有し、電力変換装置PDUは略直方体形状を有するので、回転軸方向から見て、電動機MOTの前端部400Fを電力変換装置PDU側に最大限近づけたとしても、電動機MOTの前端部400Fから下端部400Dへと延びる前下側円筒面401と、電力変換装置ケース50の後面50Bとの間には空間S1が生じる。この空間S1に電動機接続部70を配置することによって、空間S1を有効に利用することができ、また、電動機MOTを電力変換装置PDU側により近づけて配置することができるので、駆動ユニット30の上下方向の寸法を大きくすることなく前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0025】
電動機ケース40の電動機収容部41の下方には、潤滑油LBが貯留している。電動機接続部70のコイル引き出し線71及び電力変換装置側電力コネクタ72の少なくとも一部は、電動機収容部41の下方に貯留した潤滑油LBに浸漬している。これにより、潤滑油LBによって、電動機接続部70を冷却することができる。
【0026】
図5に示すように、電動機接続部70は、左右方向において、電力変換装置PDUの中央よりも右側に配置されている。
【0027】
図3に示すように、駆動ユニット30は、電動機MOTに設けられたセンサと電力変換装置PDUとを電気的に接続するセンサ接続部60を備える。センサと電力変換装置PDUとを電気的に接続するとは、センサからの信号が電力変換装置PDUに入力可能に接続されることを意味する。センサ接続部60は、電動機ケース40に設けられた電動機側センサコネクタ61と、電力変換装置ケース50に設けられた装置側センサコネクタ62と、電動機側センサコネクタ61と装置側センサコネクタ62とを電気的に接続する信号線63と、を有する。電動機側センサコネクタ61は、電動機MOTに設けられたセンサ(不図示)と電気的に接続されている。このセンサは、電動機MOTの状態を検出可能なセンサであれば特に限定されず、例えば、電動機MOTの回転状態を検出するレゾルバ、電動機MOTの温度を検出するサーミスタである。
【0028】
センサ接続部60は、回転軸CLよりも上方、且つ車両1の前後方向において電動機MOTと電力変換装置PDUとの間に配置されている。これにより、駆動ユニット30において、電動機MOTと電力変換装置PDUとの間の空間を有効に利用することができ、駆動ユニット30を小型化できる。より具体的に説明すると、電動機MOTは略円筒形状を有し、電力変換装置PDUは略直方体形状を有するので、回転軸方向から見て、電動機MOTの前端部400Fを電力変換装置PDU側に最大限近づけたとしても、電動機MOTの前端部400Fから上端部400Uへと延びる前上側円筒面402と、電力変換装置ケース50の後面50Bとの間には空間S2が生じる。この空間S2にセンサ接続部60を配置することによって、空間S2を有効に利用することができ、また、電動機MOTを電力変換装置PDU側により近づけて配置することができるので、駆動ユニット30の上下方向の寸法を大きくすることなく前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0029】
センサ接続部60は、左右方向において、任意の位置に配置されていてよい。本実施形態では、左右方向において、電動機側センサコネクタ61は、電動機ケース40の中央付近に配置され、装置側センサコネクタ62は、電力変換装置ケース50の中央付近に配置されている。電動機側センサコネクタ61と装置側センサコネクタ62とは、近くに配置されていることが好ましい。これにより、信号線63を短くすることができる。
【0030】
図6に示すように、電力変換装置PDUの電力変換装置ケース50は、前後方向から見て、左右方向において、右下端部501よりも右上端部502が左側に位置している。そして、電力変換装置ケース50の右側面50Rには、電力変換装置ケース50の右下端部501から上方に延びる右下側側面503と、電力変換装置ケース50の右上端部502から下方に延び、左右方向において右下側側面503よりも左側に位置する右上側側面504と、右下側側面503の上端部と右上側側面504の下端部とを左右方向に連結する段差面505と、が設けられている。
【0031】
そして、右上側側面504にDCコネクタ51が配置されており、右下側側面503に低電圧コネクタ52が配置されている。
【0032】
DCコネクタ51は、上下方向において回転軸CLよりも上方且つ電力変換装置PDUの上面よりも下方、左右方向において右下側側面503よりも左側に位置している。DCコネクタ51が、回転軸CLよりも上方に位置していることによって、車両1の下方から異物が進入した場合でも、DCコネクタ51が損傷したり漏電したりすることを抑制できる。また、DCコネクタ51は、電力変換装置PDUの上面よりも下方、且つ左右方向において右下側側面503よりも左側に位置しているので、DCコネクタ51が、上下方向及び左右方向(回転軸方向)において電力変換装置PDUよりも外側に露出することを防止できる。さらに、DCコネクタ51が、左右方向において右下側側面503よりも左側に位置しているので、駆動ユニット30の上方から、右下側側面503を容易に視認することができる(図7参照)。そして、駆動ユニット30の上方から容易に視認することができる右下側側面503に、低電圧コネクタ52が配置されているので、電力変換装置PDUの右下側側面503のスペースを有効利用しつつ、メンテナンス性に優れる。
【0033】
図7に示すように、右上側側面504に配置されたDCコネクタ51は、上方から見て、電力変換装置PDUから右斜め前方に突出するように配置されている。すなわち、DCコネクタ51は、左右方向(回転軸方向)において電力変換装置PDUから離れる方向に向かうにしたがって、前後方向において電動機MOTから離れる方向に所定角度傾斜して電力変換装置PDUから突出するように配置されている。これにより、DCコネクタ51にDC線31を接続する際、前後方向において、DCコネクタ51の先端と電動機ケース40との間のスペースを大きくとることができるので、作業スペースが確保しやすく、メンテナンス性が向上する。
【0034】
また、DCコネクタ51は、前後方向において、電力変換装置PDUの前側の端部よりも後方、すなわち電動機MOT側に配置されている。これにより、DCコネクタ51が前後方向において電力変換装置PDUよりも外側に露出することを防止できる。
【0035】
一方、右下側側面503に配置された低電圧コネクタ52は、上方から見て、電力変換装置PDUから右方向に突出するように配置されている。すなわち、低電圧コネクタ52は、電力変換装置PDUから左右方向(回転軸方向)に突出するように配置されている。
【0036】
したがって、上方から見て、DCコネクタ51は、電力変換装置PDUから右斜め前方に突出するように配置されているのに対し、低電圧コネクタ52は、電力変換装置PDUから右方向に突出するように配置されているので、DCコネクタ51に接続されたDC線31と低電圧コネクタ52に接続された低電圧線32とを前後方向にずらして配置することができ、DC線31と低電圧線32の位置が干渉することを防止できる。
【0037】
図8に示すように、電力変換装置ケース50の段差面505は、電力変換装置ケース50の前面50Fから後方に略水平に延びる第1段差面505aと、第1段差面505aの後側で、第1段差面505aよりも下方で後方に略水平に延びる第2段差面505bと、を有する。さらに、第1段差面505aの後端から第2段差面505bの前端へと上下方向に延びる第1壁面531とを有する。さらに、第2段差面の後端から下方に延び、電力変換装置ケース50の後面50Bの一部を構成する第2壁面532が形成されている。
【0038】
第1壁面531は、電力変換装置ケース50の右端から左方向に延びる右壁面531aと、右壁面531aの左端から後方に延びる湾曲壁面531bと、湾曲壁面531bの後端から左方向に延びる左壁面531cと、を有する。
【0039】
第2壁面532は、電力変換装置ケース50の右端から左方向に延びる右端壁面532aと、右端壁面532aの左端から後方に延びる第1湾曲壁面532bと、第1湾曲壁面532bの後端から左方向に延びる右壁面532cと、右壁面532cの左端から後方に延びる第2湾曲壁面532dと、第2湾曲壁面532dの後端から左方向に延びる左壁面532eと、を有する。
【0040】
図5及び図8に示すように、電動機接続部70の上方、且つ段差面505の下方に位置し後面50Bの一部を構成する第2壁面532には、ガイド部54が形成されている。本実施形態では、ガイド部54は、第2壁面532の第2湾曲壁面532dの後端から右壁面532cの右端に向かって延びている。したがって、ガイド部54は、第2壁面532から電動機ケース40に向かって後方に突出して回転軸方向に延びている。さらに、ガイド部54は、第2壁面532の第2湾曲壁面532dの後端から右壁面532cの右端に向かって延びており、右方に向かうにしたがって、後方の突出長さが短くなる先細部54Aを有する形状となっている。すなわち、ガイド部54の先細部54Aは、回転軸方向において電動機接続部70から離れるにしたがって、後方への突出長さが短くなっている。
【0041】
したがって、駆動ユニット30の上方から電力変換装置ケース50と回転電機ケース40との間に水等の異物が進入した場合、電動機接続部70の上方に進入した異物は、ガイド部54の上面54Uに当たり、その後、ガイド部54の上面54Uに沿って右方向に導かれ、電力変換装置ケース50の右方へと排出される。これにより、電動機接続部70の上方に進入した異物が、電動機接続部70に進入することを抑制できる。
【0042】
また、ガイド部54が電力変換装置ケース50の後面50Bに形成されており、ガイド部54は、前後方向に突出して回転軸方向に延びるので、電力変換装置ケース50の後面50Bの断面二次モーメント及び断面係数が大きくなる。これにより、ガイド部54が剛性や強度を向上させるためのリブとしても機能し、電力変換装置ケース50の剛性及び強度が向上する。
【0043】
また、ガイド部54は、第2壁面532の第2湾曲壁面532dの後端から右壁面532cの右端に向かって延びており、右方に向かうにしたがって、後方の突出長さが短くなる先細部54Aを有する形状となっているので、電動機接続部70に異物が進入することを抑制しつつ、駆動ユニット30の軽量化を図ることができ、駆動ユニット30の設計自由度を高めることができる。例えば、先細部54Aの右端の後方、すなわち、第2壁面532の右壁面532cの右端の後方に、ボルト等を配置することが可能となる。
【0044】
(変形例)
図9に示すように、ガイド部54は、上下方向に並んで第2壁面532に複数形成されていてもよい。さらに、ガイド部54の上面54Uは、右方に向かうにしたがって下方へ傾斜する傾斜面54Bを有していてもよい。すなわち、傾斜面54Bは、回転軸方向において電動機接続部70から離れるにしたがって、下方へ傾斜している。
【0045】
ガイド部54が、回転軸方向において電動機接続部70から離れるにしたがって、下方へ傾斜する傾斜面54Bを有することによって、電動機接続部70の上方に進入した異物を、より確実にガイド部54に沿って右方に導くことができる。
【0046】
また、ガイド部54が、上下方向に並んで第2壁面532に複数形成されることによって、電動機接続部70の上方に進入した異物を、より確実に右方に導くことができ、さらに、電力変換装置ケース50の剛性及び強度がより向上する。
【0047】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0048】
例えば、上記実施形態では、エンジンENG及び電動機MOTを駆動源とするハイブリッド車両を例示したが、電動機MOTのみを駆動源とする電動車両であってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、電動機MOTを収容した駆動ユニット30を車両1の後部に配置したが、駆動ユニット30をフロントルーム6に配置し、電動機MOTを左右の前輪FWを駆動する駆動源として用いてもよい。この場合、電力変換装置PDUが、前後方向において電動機MOTと車室4との間に位置するように、即ち、電力変換装置PDUが後方を向くように配置することが好ましい。
【0050】
また、上記実施形態では、ガイド部54は、電力変換装置ケース50に形成されているものとしたが、ガイド部54は、電動機ケース40に形成されていてもよいし、電力変換装置ケース50及び電動機ケース40の双方に形成されていてもよい。
【0051】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0052】
(1) 水平方向に延びる回転軸(回転軸CL)を有する回転電機(電動機MOT)と、
前記回転電機を収容する回転電機収容部(電動機収容部41)を有する回転電機ケース(電動機ケース40)と、
前記回転電機と電気的に接続され、前記回転電機に供給する電力及び前記回転電機から供給される電力を変換する電力変換装置(電力変換装置PDU)と、を備え、
前記電力変換装置は、電力変換装置ケース(電力変換装置ケース50)を有し、前記回転軸方向と上下方向との両方に直交する直交方向(前後方向)において前記回転電機の一方側に配置されており、
前記電力変換装置ケースは、前記回転電機ケースに固定されている、駆動ユニット(駆動ユニット30)であって、
前記回転電機と前記電力変換装置とが電気的に接続する接続部(電動機接続部70)を備え、
前記電力変換装置ケース及び前記回転電機ケースのいずれか一方には、前記接続部の上方に、前記直交方向に突出して前記回転軸方向に延びるガイド部(ガイド部54)が形成されている、駆動ユニット。
【0053】
(1)によれば、電力変換装置ケース及び回転電機ケースのいずれか一方には、接続部の上方に、直交方向に突出して回転軸方向に延びるガイド部が形成されているので、駆動ユニットの上方から電力変換装置ケースと回転電機ケースとの間に水等の異物が進入した場合であっても、接続部の上方から進入した異物は、ガイド部に沿って回転軸方向に導かれる。これにより、接続部の上方から進入した異物が、接続部に進入することを抑制できる。
【0054】
(2) (1)に記載の駆動ユニットであって、
前記ガイド部は、前記電力変換装置ケースに形成されている、駆動ユニット。
【0055】
(2)によれば、ガイド部が電力変換装置ケースに形成されているので、直交方向に突出して回転軸方向に延びるガイド部によって、電力変換装置ケースの剛性及び強度が向上する。
【0056】
(3) (1)または(2)に記載の駆動ユニットであって、
前記ガイド部は、前記回転軸方向において前記接続部から離れるにしたがって、前記直交方向への突出長さが短くなる先細部(先細部54A)を有する、駆動ユニット。
【0057】
(3)によれば、ガイド部は、回転軸方向において接続部から離れるにしたがって、直交方向への突出長さが短くなる先細部を有するので、接続部に異物が進入することを抑制しつつ、駆動ユニットの軽量化を図ることができ、駆動ユニットの設計自由度を高めることができる。
【0058】
(4) (1)~(3)のいずれかに記載の駆動ユニットであって、
前記ガイド部の上面(上面54U)は、前記回転軸方向において前記接続部から離れるにしたがって、下方へ傾斜する傾斜面(傾斜面54B)を有する、駆動ユニット。
【0059】
(4)によれば、ガイド部は、回転軸方向において接続部から離れるにしたがって、下方へ傾斜する傾斜面を有するので、接続部の上方に進入した異物を、より確実にガイド部に沿って回転軸方向に導くことができる。
【0060】
(5) (1)~(4)のいずれかに記載の駆動ユニットであって、
前記ガイド部は、上下方向に並んで複数形成されている、駆動ユニット。
【0061】
(5)によれば、ガイド部は、上下方向に並んで複数形成されているので、接続部の上方に進入した異物を、より確実に回転軸方向に導くことができ、さらに、電力変換装置ケースの剛性及び強度がより向上する。
【0062】
なお、本出願は、2019年7月2日出願の日本特許出願(特願2019-123958)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0063】
30 駆動ユニット
40 電動機ケース(回転電機ケース)
41 電動機収容部(回転電機収容部)
50 電力変換装置ケース
54 ガイド部
54U 上面
54A 先細部
54B 傾斜面
70 電動機接続部(接続部)
MOT 電動機(回転電機)
PDU 電力変換装置
CL 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9