(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】装飾用パネル、および当該パネルからなる装飾用床カバー材
(51)【国際特許分類】
E04F 15/10 20060101AFI20241205BHJP
E04F 13/18 20060101ALI20241205BHJP
E04B 9/04 20060101ALI20241205BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241205BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20241205BHJP
C08K 5/092 20060101ALI20241205BHJP
C08L 29/14 20060101ALI20241205BHJP
C04B 26/02 20060101ALI20241205BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241205BHJP
B32B 27/22 20060101ALI20241205BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241205BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20241205BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20241205BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20241205BHJP
C08L 27/06 20060101ALI20241205BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20241205BHJP
C08L 59/00 20060101ALI20241205BHJP
C08L 23/02 20060101ALI20241205BHJP
C08L 25/06 20060101ALI20241205BHJP
C08L 1/32 20060101ALI20241205BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20241205BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20241205BHJP
C08L 3/08 20060101ALI20241205BHJP
C08K 5/521 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E04F15/10 104A
E04F15/10 104F
E04F13/18 A
E04F13/18 D
E04B9/04 B
E04B9/04 F
C08L101/00
C08K5/10
C08K5/092
C08L29/14
C04B26/02 Z
B32B27/00 E
B32B27/22
B32B27/30 101
B32B27/40
B32B27/30 102
B32B27/32 Z
B32B27/30 B
B32B27/20 Z
C08L27/06
C08L75/04
C08L59/00
C08L23/02
C08L25/06
C08L1/32
C08K7/02
C08L91/00
C08L3/08
C08K5/521
(21)【出願番号】P 2021531663
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2019076444
(87)【国際公開番号】W WO2020114642
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520250741
【氏名又は名称】アイ4エフ・ライセンシング・エヌヴィ
【氏名又は名称原語表記】I4F LICENSING NV
【住所又は居所原語表記】INDUSTRIEDIJK 19, 2300 TURNHOUT, BELGIUM
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブーケ,エディ・アルベリック
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/046693(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0038115(US,A1)
【文献】国際公開第2018/073645(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/133804(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾用パネルであって、
上側部および下側部を備えるコアと、
前記コアの前記上側部に張り付けられた装飾用頂部構造と、
第1連結外形を含む第1パネル辺、および、水平方向と垂直方向の両方において、隣接するパネルの前記第1連結外形と相互にロックするように係合するように設計された第2連結外形を含む第2パネル辺と、を含み、
前記コアは、
少なくとも一つのポリマーと、可塑剤と、を含み、該可塑剤は
、
シクロヘキサノエートと、
クエン酸エステルと、
アジピン酸エステルと、
リン酸エステルと、
アゼライン酸エステルと、
トリメリット酸エステルと、
ジ安息香酸エステルと、
1,2‐ベンゼンジカルボン酸と、
PVB(ポリビニルブチラール)と、からなる群(A)から選択される複数の異なる可塑剤を含む、パネル。
【請求項2】
前記コアにおいて使用される少なくとも一つのポリマーおよび/または少なくとも一つの可塑剤は再生材料である、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記コアの少なくとも一つのポリマーはPVC(ポリ塩化ビニル)、PUR(ポリウレタン)、ポリオレフィン、及びポリスチレンからなる群より選択される、請求項1又は2に記載のパネル。
【請求項4】
前記コアの少なくとも一つのポリマーはPVB(ポリビニルブチラール)によって形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項5】
前記コアは、DOTP、DINP、DIDPからなる群(B)から選択される一つのさらなる可塑剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項6】
前記コアは、100部のポリ塩化ビニルと、20部から200部の合計可塑剤とを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項7】
前記パネルは、前記コアの背面に直接的または間接的に設けられたバッキング層を含み、該バッキング層は、少なくとも一つのポリマーと、前記群(A)から選択される少なくとも一つの可塑剤とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項8】
バッキング層の少なくとも一つのポリマーはPVB(ポリビニルブチラール)によって形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項9】
前記コアおよび/またはバッキング層は、鉱物、顔料、改質剤、繊維からなる群(C)から選択される少なくとも一つの充填剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項10】
前記コアはセルロース系粒子を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項11】
前記コアは、鋼、ガラス、ポリプロピレン、木材、アクリル、アルミナ、クラワ、炭素、セルロース、ココナッツ、ケブラー、ナイロン、ペルロン、ポリエチレン、PVA、岩綿、サイザル、およびフィキューからなる群(D)から選択される少なくとも一つのさらなる充填剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項12】
前記コアは、少なくとも部分的に発泡している、請求項1~11のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項13】
前記パネルは、少なくとも一つの補強層を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項14】
前記パネルは複数の補強層を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項15】
前記第1連結外形は、
上向き舌部と、
前記上向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの上向きフランクと、
前記上向き舌部と前記上向きフランクの間に形成された上向き溝であって、隣接するパネルの第2連結外形の下向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された上向き溝と、
少なくとも一つの第1ロック要素と、を含み、前記第2連結外形は、
第1下向き舌部と、
前記下向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第1下向きフランクと、
前記下向き舌部と前記下向きフランクの間に形成された第1下向き溝であって、隣接するパネルの第1連結外形の上向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された下向き溝と、
隣接するパネルの第1ロック要素と共作用するように適合された少なくとも一つの第2ロック要素と、を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項16】
前記パネルは、第3パネル辺および第4パネル辺にそれぞれ位置する少なくとも一つの第3連結外形および少なくとも一つの第4連結外形を含み、前記第3連結外形は、
前記コアの前記上側部に実質的に平行な方向に延在する横向き舌部と、
前記横向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第2下向きフランクと、
前記横向き舌部と前記第2下向きフランクの間に形成された第2下向き溝と、を含み、前記第4連結外形は、
隣接するパネルの前記第3連結外形の前記横向き舌部の少なくとも一部を収容するように構成された第3溝であって、上唇部および下唇部によって画定される第3溝において、前記下唇部が上向きロック要素を備える、第3溝、を含み、
前記第3連結外形および前記第4連結外形は、二つの前記パネルが、回す動きによって互いに連結されることができるように構成され、結合状態において、第1パネルの前記横向き舌部の少なくとも一部が、隣接する第2パネルの前記第3溝に挿入され、前記第2パネルの前記上向きロック要素の少なくとも一部が、前記第1パネルの前記第2下向き溝に挿入される、請求項1~15のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項17】
前記コアは、油を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項18】
前記コアは、シリカフューム、酸化鉄、脂肪酸、およびアルカリ金属硫酸塩からなる群から選択される少なくとも一つの添加剤を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のパネル。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の複数の相互に連結した装飾用パネルを含む装飾用カバー材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル、特に装飾用パネル、床パネル、天井パネルまたは壁パネルに関する。また、本発明は、複数の相互に連結したパネルからなる床カバー材に関する。
【背景技術】
【0002】
フタル酸エステルは、ポリ塩化ビニルの可塑剤として広く使用されている。可塑剤エステルが作られるアルコールは、概して、オレフィンオリゴマー化とそれに続くヒドロホルミル化によって、またはオレフィンのヒドロホルミル化によってアルデヒドを形成し、続いて、アルデヒドの二量化によって、概してアルドール反応によって、得られる。したがって、前記エステルのアルキル基は、前記アルコールを生成するのに使用されるプロセスおよび原材料によって、大きさおよび構造が異なる。前記アルキル基の大きさおよび構造は、前記可塑剤の揮発性およびゲル化温度の決定に役立つため、可塑化したポリ塩化ビニルが使用される用途に応じて選択される。性質を向上させたポリ塩化ビニル組成物を提供するために可塑剤の性質を向上させるという一定の必要性がある。代替的な可塑剤の必要性もある。また、可塑剤の性質を向上させる必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一つの目的は、上述の必要性のうちの少なくとも一つを満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記目的は、請求項1に記載のパネルの提供によって達成される。群(A)の一部をなす可塑剤は、床パネルに使用される古典的な可塑剤に対して、前記請求する可塑剤が相対的に安全に使用できかつ/または毒性が低いという利益を有し、これにより、これらの可塑剤は、前記装飾用パネル、特に前記装飾用パネルのコア(および/または別の層)に組み込むのに十分に適している。ここで、驚くべきことに、バックボーンに七個(C7)以上の炭素原子、特に七個(C7)から十個(C10)の炭素原子をもつアルキル鎖を有する高分子量(HMW)オルトフタル酸エステルは、バックボーンに三個から六個の炭素原子を有する低分子量オルトフタル酸エステルよりも大幅に安全であるいうことが分かっている。この良い技術的効果の原因の一つは、古典的な可塑剤と比べて大幅に遅い拡散速度である。
【0005】
本発明に係る前記パネルの前記コア(および/または別の層)は、前記群(A)から選択される複数の異なる可塑剤を含むことが十分に考えられる。前記パネルの前記コアおよび/または別の層が、群(A)から選択される少なくとも一つの(一次)可塑剤と、少なくとも一つの他の(二次)可塑剤、特に、DOTP、DINP、およびDIDPからなる群(B)から選択される少なくとも一つのさらなる可塑剤とを含むことも考えられる。好ましくは、前記可塑化層、特に前記コアは、100部のポリ塩化ビニルと、20部から200部の合計可塑剤とを含む。前記可塑化層、特に前記コアは、好ましくは、少なくとも一つのポリマーと前記少なくとも一つの可塑剤の間の相容性を向上させるために少なくとも一つの相容剤を含む。
【0006】
好ましくは、前記コアは、少なくとも一つのポリマーによって少なくとも部分的に構成される。このポリマーは、再生可能資源を主成分とするもの(「バイオベースプラスチック」とも呼ばれる)でよく、かつ/または生分解性ポリマーおよび/または再生ポリマーによって形成されてもよい。適した―典型的には非生分解性の―バイオベースプラスチックの例は、バイオベースポリエチレン(バイオPE)、バイオベースポリエチレンテレフタレート(バイオPET)、またはポリトリメチレンテレフタレート(PTT)である。適した―典型的には生分解性の―バイオベースプラスチックの例は、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、およびデンプンである。好ましくは、前記ポリマーは、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルブチラール(PVB)、アイソタクチックポリプロピレン、ポリブチレン、および/またはコポリマー、好ましくはエチレン‐プロピレンコポリマーのような、ポリオレフィンおよび/または少なくとも一つの熱可塑性物質である。これらのポリマー材料は、典型的には、相対的に容易に溶融し、例えば押出成形による加工が容易である。
【0007】
前記コアは、ポリマーマトリックスと当該マトリックスに分散させた弾性粒子のアロイを含み、前記弾性粒子が、共有結合によって前記ポリマーマトリックスに結合することが好ましい可能性がある。前記コア材料は、したがって、機械的に実現したブレンドではなく、むしろ、互いに化学的に結合した、少なくとも二つの化合物、特にポリマーマトリックス材料と弾性材料の、化学的に実現したアロイである。この化学(共有(原子))結合は、典型的には、前記コア組成物の生成プロセス中に実現する。このようにして、ブロックコポリマーが形成され、これは熱的に安定しており、耐久性があり、さらに、前記コアに所望の可撓性(弾性)および耐衝撃性を与える。さらに、前記実現したブレンドは、典型的には主に前記弾性粒子によって決まる機能性と、典型的には主に前記マトリックス材料によって決まる加工性との間のバランスを見つける。前記マトリックス材料は、前記コアの硬質相とも呼ばれ、前記分散した弾性粒子は、前記コアの軟質相と呼ばれることが多い。
【0008】
前記弾性粒子は、前記マトリックス材料よりも大きな弾性を有する。典型的には、前記弾性粒子は少なくとも一つのエラストマーを含む。エラストマーは相対的に可撓性のポリマーである。さらに具体的には、エラストマーは、典型的には、粘弾性(すなわち、粘性と弾性の両方)をもつポリマーであり、一般的に、他の材料と比べて相対的に弱い分子間力、概して低いヤング率および高い破壊ひずみを有する。前記エラストマーは架橋ポリマーでよい。架橋ポリマーでは、別々のポリマー鎖が互いに結び付き(架橋され)、典型的には、単一のマクロ分子に至る。これらの化学架橋は、共有結合性の、通常の架橋でよく、前記ポリマー鎖同士を化学結合して一つの分子にする。しかしながら、前記化学架橋は、可逆架橋でもよく、好ましくは可逆架橋によって形成され、可逆架橋は、前記ポリマー鎖間の非共有結合性の相互作用、すなわち二次的な相互作用を用いて、これらを結合する。これらの相互作用は、水素結合およびイオン結合を含む。非共有結合性の相互作用を用いて架橋を形成する利点は、前記材料が加熱されたとき、前記架橋が破壊されることである。これにより、前記材料は加工されることができ、最も重要なのは、再生されることができることであり、前記溶融材料が再冷却されると、前記架橋が再形成される。適したポリマーの例は、ポリイソプレン、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、およびポリウレタンである。好ましくは、前記弾性粒子は、エチレン‐プロピレンゴムおよび/またはエチレン‐オクテンゴムおよび/またはエチレン‐プロピレン‐ジエンターポリマー(EPDM)を含む。これらの材料は、相対的に良好な弾性および加工性を有する。
【0009】
好ましくは、約0.001g/10分から約500g/10分のメルトフローレート(MFR)(230°C、2160g荷重、ASTM D 1238による)を有するポリプロピレンインパクトブレンドの調製において従来採用されるアイソタクチックポリプロピレン(i‐PP)はいずれも、前記ポリマーマトリックスを形成するために本発明に係る前記パネルの前記コア組成に使用することができる。好ましくは、前記アイソタクチックポリプロピレンは、約0.01g/10分から約200g/10分のMFR、より好ましくは約20g/10分から約200g/10分のMFR、さらに好ましくは約80g/10分から約200g/10分のMFRを有することになる。本明細書で使用する場合、別段の指示がない限り、「約」という用語は、指示値が厳密であることを必要とせず、当該指示値が、示した値よりも10%大きくてもよいし、10%小さくてもよいことを意味する。通常、固体のアイソタクチックポリプロピレン、すなわち、高温ヘプタン不溶部が90%を超えるポリプロピレンが、好ましくは本発明の前記インパクトポリプロピレン組成に採用される。前記ポリプロピレンの具体的な密度は重要ではない。好ましいアイソタクチックポリプロピレンは、通常、結晶であり、約0.90g/ccから約0.94g/ccに及ぶ密度を有する。さらに、アロイとも呼ぶ、前記コアの前記複合材料は、所望の機械性特性を有するポリプロピレンインパクトブレンドを提供するために異なるメルトフローレートを有するいくつかのポリプロピレンを含むことができる。本書で使用する場合、「アイソタクチックポリプロピレン」という用語は、ホモポリプロピレンと、最大で8重量パーセントの重合エチレンまたはその他のアルファ‐オレフィンを含有するプロピレンとエチレンのコポリマーとを含むものとする。
【0010】
エチレン‐プロピレンゴム(EPR)を使用して、前記弾性粒子の少なくとも一部を構成してよい。EPRは、前記ポリマーマトリックス材料を構成する、例えばポリプロピレン組成物と混合および共有結合させるのに適している。「エラストマー」という用語およびその派生語は、「ゴム」という用語およびその対応する派生語と交換可能に使用する。
【0011】
本発明において特に有用なエチレン‐プロピレンゴム(EPR)の例としては、飽和エチレン‐プロピレン二成分コポリマーゴム(EPM)と、上述の特性を有し、5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン、5‐メチレン‐2‐ノルボルネン、1,4‐ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)などのジエンを約1重量パーセントから約5重量パーセント含有するエチレン‐プロピレン非共役ジエンターポリマーゴム(EPDM)とが挙げられる。本特許明細書および添付の請求項で使用する場合、「エチレン‐プロピレンゴム」(「EPR」と略する)という用語は、上述のゴムタイプのすべて、すなわち、EPR、EPM、またはEPDM、およびそれらの混合物を包含することを意図している。
【0012】
上述のEPRはいずれも本発明に有利に採用し得るが、より低いTg(ガラス転移温度)のEPRが好ましい。これは、より低いTgのEPRが、i‐PPとEPRの単純な二成分混合物においてより良好に働くからである。例えば、80重量%のi‐PPと20重量%のEPRからなるICPのアイゾット衝撃性およびガードナー衝撃性は、前記EPRの前記Tgを低くすることによって大幅に向上する。i‐PPとEPRのこのような二成分ブレンドの前記Tgが約-37°Cから約-50°Cに低下すると、-29°Cで測定される前記ガードナー衝撃が増大する。同時に、熱変形温度(HDT)および曲げ弾性率によって測定される場合の硬さは本質的に変化しないままである。したがって、本発明の最も好ましいEPRは、所与のEPRに関して達成可能な最も低いTgを有することになる。
【0013】
ポリマーの前記Tgは、技術的に周知の方法によって、例えば、示差走査熱量測定(DSC)技術または動的機械的熱分析(DMT A)技術によって便利に測定することができる。本書で使用する場合、Tgは、技術的に周知である、前記DMTA法に基づくtanδピークを使用して得られたTgに関する値を指すと理解されるだろう。
【0014】
EPRの前記Tgは、そのエチレン含有量を変えることによって容易に制御することができる。商業的に生産されたEPRに関して最も低いTg、すなわち、約-50°Cは、約35重量パーセントから約70重量パーセントのエチレンの範囲内で生じる。この範囲より上では、Tgは、ポリエチレン結晶性の発現により上昇する。同様に、Tgは、エチレン含有量がこの範囲を下回っても、ポリプロピレン結晶性の発現により上昇する。当業者は、Tgとエチレン含有量の間の関係が容易に測定可能であり、連続的な滑らかな曲線の関数であることを理解するだろう。したがって、エチレン含有量が変化すると前記Tgが急激に変化する上又は下に明確に定まった点は存在しない。また、前記EPRを生成するのに使用される触媒によって、最も低いTg値を与えるのに必要な前記エチレン含有量が決まることになる。例えば、バナジウム系またはメタロセン系のシングルサイト触媒が使用される場合、最も低いTgを有する前記EPRは、約45重量パーセントから約55重量パーセントのエチレン含有量を有することになり、前記Tgは、この場合、約-50°Cである。一方、大抵はマルチサイト型である、伝統的なチーグラー‐ナッタチタン系触媒を用いる場合は、最も低いTgを有する前記EPRは、約65重量パーセントから約68重量パーセントのエチレン含有量および約-47°CのTgを有することになる。
【0015】
したがって、好ましい一実施形態では、本発明の前記EPRは、約35重量パーセントから約70重量パーセントの重合エチレン含有量を有することになるが、「約」という用語は、前記EPRの前記Tgが、採用されている前記触媒によって得ることができる最小値の5度以内であれば、70重量パーセントを上回るまたは35重量パーセントを下回るバリエーションが許容可能であることを示すために使用されている。
【0016】
伝統的には「HDPE」として知られる高密度ポリエチレンは、ここでは、密度が0.940g/cc以上であるポリエチレンを含むものと定義する。本発明における高密度ポリエチレン(以下、HDPE)マトリックス材料として使用可能な前記高密度ポリエチレンは、好ましくは、0.940g/cc以上、好ましくは0.945g/cc以上、より好ましくは0.950g/cc以上、最も好ましくは0.955g/cc以上の密度を有するものを含む。このようなHDPEは、概して、エチレンホモポリマーと、アルファ‐オレフィンとのエチレンのコポリマー(好ましくは3個から12個の炭素原子、より好ましくは3個から8個の炭素原子を有する)とを含む。好ましいアルファ‐オレフィンは、プロピレン、ブテン‐1、ヘキセン‐1、4‐メチルペンテン‐1、およびオクテン‐1である。このようなポリマーを作るためのプロセスは技術的に周知であり、例えば、ガス相重合プロセス、スラリー重合プロセス、および溶液重合プロセスを含む。ASTM D 1238法による条件E下で決定する前記HDPEのメルトインデックスは、概して、0.10g/10分から300g/10分、好ましくは0.1g/10分から100g/10分、より好ましくは0.1g/10分から10g/10分である。前記HDPEの分子量分布(MWD)は重要ではないが、前記HDPEの前記メルトインデックスが特に低い場合、溶融混合を容易にするために押出成形条件下でよりシアシニングでより低い粘性の、より広いMWDのHDPEを使用することがより望ましい可能性がある。適することが分かっているこのタイプのHDPEは、Exxon HDZ‐126であり、これは、約0.35g/10分の上記で定める場合のメルトインデックス、および0.957g/ccの密度を有する。
【0017】
上述のように、エチレン‐プロピレンコポリマー(以下、「エチレン‐プロピレンコポリマー」または「EPC」のいずれかで呼ぶ)は、本発明に係る前記パネルにおけるマトリックス材料として使用してよい。このEPCは、好ましくは、約10重量パーセントから約30重量パーセントの重合エチレンと、約90重量パーセントから約70重量パーセントの重合プロピレンとを含む。好ましくは、前記エチレン‐プロピレンコポリマーは、約14重量%から約27重量%、より好ましくは約14重量%から約20重量%の重合エチレン含有量を有することになる。前記エチレン‐プロピレンコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、約50,000から約500,000の範囲内、より好ましくは約75,000から約300,000の範囲内、最も好ましくは約100,000から約200,000の範囲内である。
【0018】
本発明の前記エチレン‐プロピレンコポリマー(EPC)は、メタロセンまたは従来のチーグラー‐ナッタ型触媒を用いて調製してよい。いずれの場合も、前記重合は、ガス相重合プロセス、溶液重合プロセス、またはスラリー重合プロセスで行われてよい。例えば、前記エチレン‐プロピレンコポリマーを調製するための満足のいくプロセスは、約80パーセントよりも大きな立体規則性を有するアイソタクチックポリプロピレンを生じるメタロセン触媒によって、重合条件下でかつ所望の重合組成を与えるような比率で、エチレンモノマーとプロピレンモノマーを接触させることを含む。メタロセン触媒の一例は、活性化ジメチルシラニルビス(インデニル)ハフニウムジメチルである。
【0019】
あるいは、本発明のEPCは、類似のアイソタクチックポリプロピレンを生じることができる従来のチーグラー‐ナッタ触媒を使用して調製してもよい。
【0020】
前記コアは、好ましくは、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩化カルシウム(CaCl2)、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)、および水酸化カルシウムCa(OH)2からなる群から選択される少なくとも一つの鉱化剤を含む。本発明の前記パネル、特に前記コアは、セルロース系粒子、特にリグノセルロース系粒子、特に繊維を含んでよい。好ましくは、前記セルロース系粒子は、木材、藁、および/またはヘンプを含む。以前の研究によって、木材およびヘンプは化学的に異種であり、その成分は、高分子量の構造成分―主要な細胞壁成分である天然ポリマー物質(セルロース、ヘミセルロースおよびリグニン)と、低分子量の非構造成分(抽出物および無機成分)という二つの群に分けることができるということが示されている。木材と木質繊維は両方とも多くの化学成分を含むが、コア水和の主な抑制物質は糖であることが分かった。木質繊維またはヘンプ繊維などの天然繊維には、好ましくは、これらを前記(最初は流体の)ポリマーと混合する前に、いくつかの化学処理が行われる。前記処理済みの木質繊維複合物の圧縮強度およびその他の機械的性質は、前記未処理の繊維のものよりも高い。鉱化作用物質(鉱化剤)と呼ばれることもある、水酸化ナトリウム(NaOH)、塩化カルシウム(CaCl2)、および硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)などの化学物質は、典型的には、コアと植物由来の骨材との相容性を向上させる。Al2(SO4)3+Ca(OH)2などの複合鉱化剤を適用してもよい。鉱化剤としてAl2(SO4)3が使用されるときは、Al2(SO4)3は、有機骨材からの糖の放出を妨げ、吸湿性および吸水性を低下させる。水和物の形をしたAl2(SO4)3は、水中での酸性反応の特性であり、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]は水中でのアルカリ性反応の特徴である。前記鉱化は、Al2(SO4)3の効率性を高め、Al2(SO4)3によって引き起こされる酸性環境を少なくとも部分的に中和し、前記混合物の作業性を向上させることによって達成される。木質骨材鉱化は、前記木質粒子と前記ポリマーの間の接着の向上にもつながり、その結果、より安定した、緊密なポリマーを実現することができる。
【0021】
上述のように、前記セルロース系粒子の少なくとも一部は繊維によって形成される。前記セルロース系粒子の少なくとも一部は、粉末、(木材の)削り屑、ウール(木毛)、および/または(木材)チップによって形成されることも想像できる。木材の代わりに、ヘンプなどのその他の天然繊維を使用してもよい。ヘンプを多く含むポリマーも、相対的に良好な断熱材、極めて良好な水分特性、多大な音響能力、および良好な耐火性を示す。ここで、典型的には、ヘンプの結束繊維が粗骨材(基本成分)として使用される。木材を用いる場合のように、前記ヘンプの結束繊維は、好ましくは、Al2(SO4)3によって鉱化され、Ca(OH)2で中和され、前記(最初は流体/液体の)ポリマーと混合される。
【0022】
好ましくは、前記コアおよび/または前記バッキング層は、鉱物、好ましくは炭酸カルシウム、顔料、改質剤、ガラス繊維などの繊維、木材、藁、および/またはヘンプからなる群(C)から選択される少なくとも一つの充填剤を含む。前記繊維は、結果的に織層または不織層になるばら繊維および/または相互に接続した繊維でよい。
【0023】
前記コアは、好ましくは、鋼、ガラス、ポリプロピレン、木材、アクリル、アルミナ、クラワ、炭素、セルロース、ココナッツ、ケブラー、ナイロン、ペルロン、ポリエチレン、PVA、岩綿、サイザル、およびフィキューからなる群から選択される少なくとも一つのさらなる充填剤を含む。これにより、前記パネルの前記強度および/または水抵抗性および/または前記パネル自体の防火性がさらに高まる可能性がある。
【0024】
好ましくは、前記コアは、カルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC)を含む。前記コアへのCMCの添加(生成中)により、アルカリ水溶液環境中および昇温(200°C以上)において、前記ポリマー系コア、特にポリマーの自己分解が容易になり、さらには促進されることが分かった。したがって、これにより、前記パネルの生分解性が向上することになる。この昇温では、CMCは、二つの主要な揮発性化合物、すなわち、CO2および酢酸を放出し、コアに多孔質構造を創出した。また、CMCは、ケイ酸ナトリウムが適用される場合にはケイ酸ナトリウムからのNaOHと反応して、三つの非感水性固体反応生成物、すなわち、グリコール酸ジナトリウム塩、ナトリウムグルコシド塩(sodium glucosidic salt)、および重炭酸ナトリウムを形成した。ポリケイ酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどのその他の感水性固体反応生成物が、ケイ酸ナトリウムの加水分解物から生じた。
【0025】
好ましくは、前記コアはシリカフュームを含む。マイクロシリカとしても知られるシリカフュームは、二酸化ケイ素、すなわちシリカの、アモルファス(非晶質)多形である。シリカフュームは、ケイ素とフェロシリコンの合金製品の副産物として収集される超微粉であり、典型的には、150nmの平均粒径をもつ球状粒子からなる。前記コア、特に前記ポリマーにシリカフュームを組み込むことによって、水抵抗性および防火性を大幅に向上させることができる。前記シリカフュームは、前記コアの圧縮強度に影響を及ぼし得るため、シリカフュームの量は、好ましくは、10重量%以下の量に制限しておく。
【0026】
前記コアは、酸化鉄(Fe2O3)を、好ましくは6重量%未満の量で含んでよい。酸化鉄はコアに色を付ける。さらに、非常に高い温度では、酸化鉄は、同様に前記コア中に存在し得るカルシウムおよびアルミニウムと化学的に反応してトリカルシウムアルミノフェライトを形成し、当該物質(トリカルシウムアルミノフェライト)は、前記コアの硬度および強度を向上させる。好ましくは、前記コア中のアルミナ(Al2O3)の量は、3重量%と8重量%の間にある。好ましくは、上述の反応に必要な硫酸カルシウムの量は、典型的には、最大で0.5重量%(0.5重量%を含む)になるだろう。
【0027】
前記コアは、好ましくは、脂肪酸を含む。脂肪酸は、粉砕前の原鉱(適用される場合)のチャネル(細孔)を貫通することができ、鉱物系コア粉末を生成する粉砕工程(の効率)を容易にするだろう。
【0028】
前記コアは、硫酸マグネシウムなどの少なくとも一つのアルカリ金属硫酸塩を含んでよい。これにより、一般的に、前記コアの生成工程が加速されるだろう。
【0029】
好ましくは、前記コアは、パーライト、好ましくは拡張(発泡)パーライトを含む。パーライトは、典型的には黒曜石の水和によって形成される、相対的に高い含水率を有するアモルファス火山ガラスである。パーライトは、十分に加熱されると大きく膨張するという珍しい性質を有し、前記コアの前記密度を大幅に減少させ、したがって前記パネル自体の密度を大幅に減少させる可能性がある。コアは、さらに、異なる粒度値の発泡パーライトを含むことが好ましい。独立気泡の発泡パーライトは、30%から40%の(パーライトの)気孔率の達成につながる可能性がある。前記パーライトは、ケイ素溶液、すなわち、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、およびケイ酸リチウムによって予め処理することができる。
【0030】
前記コアは、さらに、前記混合物のレオロジーを向上させるための、メチルセルロースなどの界面活性物質(SAS)、「Badimol」可塑化材料およびその他のカチオン活性SASを含む、一つまたは複数の添加材料を含んでよい。前記コアは、レオロジーおよび前記パネル自体の防水特性を増大させるように適合された、細かく粉砕された天然産物であるベントナイトを含んでもよい。
【0031】
前記コアは、少なくとも一つの難燃添加剤を含んでもよい。この難燃添加剤は、好ましくは、有機ハロゲン化合物によって形成される。このような化合物は、火災中に反応性のHラジカルとOHラジカルを除去することができる。前記有機ハロゲン化合物は、好ましくは、臭素および/または塩素を含む。PCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有機塩素化合物に対する難燃性の観点から推奨されるのは、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)などの有機臭素化合物である。適用可能な臭素化化合物のその他の例は、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル(デカ)、オクタブロモジフェニルエーテル、テトラブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、トリブロモフェノール、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー(TBBAまたはTBBPA)、テトラブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー(TBBAまたはTBBPA)、およびテトラブロモフタル酸無水物である。適用可能な塩素化化合物のその他の例は、塩素化パラフィン、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン、ドデカクロリドペンタシクロデカン(デクロラン)、および1,2,3,4,7,8,9,10,13,13,14,14‐ドデカクロロ‐1,4,4a,5,6,6a,7,10,10a,11,12,12a‐ドデカヒドロ‐1,4,7,10‐ジメタノジベンゾ[a,e]シクロオクテン(デクロランプラス)である。ハロゲン化難燃剤は特に効果的だが、ハロゲン化難燃剤は、概して、火災の際に有毒な煙が生じかねないという短所を有する。したがって、膨張性(発泡)物質を含む、一つまたは複数の代替的な、より毒性の低い難燃添加剤を適用することを想定することもできる。これらの代替的な添加剤の作用原理は、酸素バリアとして機能し、したがって難燃効果も有する発泡層の形成に基づく。このような膨張性の添加剤は、概して、メラミン又はメラミン由来の塩を含む。その一例は、メラミン(発泡剤)と共作用するポリリン酸塩(酸供与体)と、ジペンタエリスリトール、デンプンまたはペンタエリスリトールなどの炭素供与体との混合物である。ここでは、火災の際に、二酸化炭素およびアンモニアガスなどのガス生成物が形成される。前記形成された発泡層は、加硫の場合と同様に、架橋結合によって安定化する。適用可能な、相対的に環境に優しいメラミン系の添加剤のその他の例は、シアヌル酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミンである。
【0032】
重量を削減し、したがってコストを削減するために、前記コアは、少なくとも部分的に発泡していると有利である可能性がある。前記発泡構造は、連続気孔(気泡)および/または独立気孔(気泡)を含んでよい。
【0033】
前記少なくとも一つの補強層は、好ましくは、不織層または織層、特に、例えばガラス繊維および/またはテキスタイルによって作られる、布である。前記少なくとも一つの補強層は、0.2mmから0.4mmの厚みを有してよい。各タイルは、互いに積み重なった複数の前記(一般的により薄い)ベース層を含み、少なくとも一つの補強層が二つの隣接するベース層間に位置していることも考えられる。好ましくは、前記補強層の密度は、好ましくは、1,000kg/m3と2,000kg/m3の間、好ましくは1,400kg/m3と1,900kg/m3の間、より好ましくは1,400kg/m3と1,700kg/m3の間にある。少なくとも一つの補強層はジュートなどの天然繊維を含んでよい。少なくとも一つの補強層は、合成繊維、特に、ナイロン繊維などのポリマー繊維を含む。
【0034】
好ましくは、前記コアは、少なくとも50重量%、好ましくは50重量%と90重量%の間のポリマーを含む。好ましくは、前記コアは、1重量%と15重量%の間のセルロース系繊維を含む。好ましくは、前記コアは、0重量%と3重量%の間のパーライトを含む。好ましくは、前記コアは、1重量%と8重量%の間の補強層を含む。
【0035】
好ましい一実施形態では、少なくとも一つのコアが1kg/m3よりも大きな密度を有する。この相対的に高い密度は、一般的に、強固かつ剛性のパネルにつながるだろう。しかしながら、少なくとも一つのコアが1kg/m3よりも低い密度を有し、重量の削減、したがって輸送コストおよび取扱コストの削減につながることも想像できる。前記より低い密度は、例えば、発泡パーライト、発泡ポリスチレンなどの一つまたは複数の発泡成分を適用することによって得ることができる。
【0036】
前記コアは、前記少なくとも一つのコアを実質的に被覆する防水コーティングを備えることが想像できる。これにより、前記パネル自体の前記防水性がさらに向上する可能性がある。この目的で、前記防水コーティングは、少なくとも一つのコア(少なくとも一つのコアの少なくとも一つの外表面)に液体として塗布するための二成分液塗布型の防水配合でよい。典型的には、このコーティングは別々の成分Iおよび成分IIを含み、当該成分Iおよび成分IIは、別々の容器で輸送可能で、ブレンドを形成するように組み合わせ可能であり、当該ブレンドでは、加硫が開始され、前記成分を凝固させて膜にするが、成分Iは、天然ゴムまたは合成ゴムの水性ラテックスを含み、成分IIは、成分I中の前記ゴムを硬化させるように働く加硫剤と、成分I中の水と化学結合するように働く吸湿剤とを分散させたオイルキャリアを含む。成分Iは、好ましくは、前記ラテックス成分の初期pHを制御することによって前記ラテックスの可使時間を増加するように働くラテックス安定剤を含む。成分I中に最小量で溶解された水酸化カリウム(KOH)の添加により、凝結時間を長くすることができるが、過度な量だと不安定化し、前記ラテックスが早くゲル化してしまう可能性があることも判明している。したがって、好ましい添加割合は、ゴム100部に対して最大で1.5部である。アンモニアまたは水酸化ナトリウム(NaOH)などのその他の高pH添加剤を使用してもよいと思われる。
【0037】
したがって、本発明の例示的な成分Iは、0phr(per hundred parts rubber)から2.5phr含んでよい。成分IIは、とりわけ、前記加硫剤および吸湿剤のためのオイルキャリア流体を含有する。好ましい実施形態では、前記オイルキャリア流体は、芳香族組成物とパラフィン系組成物の両方のブレンドなどの、炭化水素油のブレンドである。前記ゴム粒子を選択的に膨張させる前記芳香族油は、概してより粘性である。流動性は、前記組成物の凝結時間を調整する働きもあるより低い粘度のパラフィン系油の添加によって制御することができる。その他の例示的実施形態では、フタル酸エステル、アジピン酸エステルなどの合成液状可塑剤、またはその他の一般的に使用されるゴム可塑剤を使用することができる。前記キャリア流体は、酸化ビチューメンまたは浸透グレードビチューメンのいずれかを部分的に含んでもよい。芳香族油のレベルは、前記オイルキャリア流体の50%未満になる可能性は低く、前記ビチューメンは30%以下である。しかしながら、前記ビチューメンの存在は本発明に不可欠ではない。同様に任意選択的であるのは、硬質の合成樹脂または天然樹脂の使用である。前記オイルキャリア流体は、前記配合(成分Iおよび成分IIが組み合わされたとき)の20合計重量%から60合計重量%含むことになる。成分IIは、典型的には、加硫剤または加硫パッケージを含有する。好ましくは、前記加硫パッケージは、前記系のための硫黄供与体としての硫黄元素、加硫活性剤としての酸化亜鉛、および促進剤としてのイソプロピルキサントゲン酸亜鉛(ZIX)とジブチルジチオカルバミン酸亜鉛ジブチルアミン錯体(ZDBCX)との混合物とを含む。これらは、それぞれ、0.5phr(ゴム100部に基づく硫黄部)から15.0phr、0.5phrから20.0phr(ZnO)、0.1phrから5.0phr(ZIX)、および0.1phrから5.0phr(ZDBCX)という好ましい範囲で使用してよい。その他の既知の加硫剤および/または加硫パッケージも本発明での使用に適すると思われる。成分Bは、成分Iの水と化学結合するための吸湿剤または乾燥剤を含んでもよい。前記好ましい吸湿剤は酸化カルシウムである。その他の吸湿剤としては、水と反応して水酸化物を形成するその他の金属酸化物、例えば、マグネシウム、バリウムなどを挙げることができる。ポルトランドコア、または高アルミナコア、硫酸カルシウムコア(焼き石膏)、酸化マグネシウム、またはオキシ塩化マグネシウムコアなどの水硬コアを使用してもよい。前記吸湿剤は、ホウ砂などの、自重の相当な割合(25%以上)の水を吸収する無水塩を含んでもよい。前記吸湿剤の重量は、前記ラテックスを効果的に脱水するように選択され、好ましくは、前記水が完全に結合されることを保証するために少し過剰にする。しかしながら、前記ラテックスの部分的な乾燥を使用すること、すなわち、理論量未満の吸湿剤を使用することも可能である。前記吸湿剤は、選択される吸湿剤にもよるが、合計配合系の10%から50%含むことができる。成分Bは、一つまたは複数のレオロジー改質剤を含んでもよい。好ましくは、モンモリロナイト粘土(化学活性剤によって活性化される)とステアリン酸でコーティングした炭酸カルシウムとの組み合わせを使用してレオロジー性の望ましいバランスを得るが、有機処理されたベントナイト粘土、フュームドシリカ、ポリマー繊維、粉砕ゴム、微粉砕フライアッシュ、中空ガラスマイクロスフェア、および水素添加ひまし油などのその他の任意選択肢を採用し得る。レオロジー改質剤の量は、選択される材料に応じて、前記配合系(成分Iおよび成分IIを組み合わせたもの)における全固形分の0.5重量%から25.0重量%含む。
【0038】
前記コアと前記頂部構造の間に防水層があることも考えられる。これにより、前記パネル自体の前記防水性がさらに向上し得る。前記防水層は、上述した前記防水コーティングの前記組成と同じ組成を有してよいが、PVC層などのポリマー層によって形成されてもよい。
【0039】
コアが複数の補強層を含む可能性もなくはない。例えば、少なくとも一つの第1補強層が前記コアの頂部に位置し、少なくとも一つの第2補強層が前記コアの底部に位置してもよい。
【0040】
前記コアは、直接的かつ/または間接的に互いに積み重ねられたコアの積層体を含むことが想像できる。前記コア同士は同一の組成を有してよいが、互いに異なる組成を有してもよく、それにより、コアごとの性質を、微調整すること、および各コアの主要機能(例えば、音を減衰させる、強度を与える、可撓性を与える、など)に適合させることが可能になる。
【0041】
前記頂部構造は、好ましくは、防水接着剤によって前記コアに接着される。これにより、前記頂部構造にかかった水から前記(一つまたは複数の)コアが保護され、前記パネル自体の防水性が高まる。さらに、これにより、前記頂部構造が前記コアから容易に剥離することが防止される。
【0042】
前記(装飾用)頂部構造は、好ましくは、少なくとも一つの装飾層と、当該装飾層を被覆する少なくとも一つの透明な摩耗層を含む。前記摩耗層の上にはラッカー層またはその他の保護層が塗布されてよい。前記装飾層と前記摩耗層の間には仕上げ層が塗布されてよい。前記装飾層は可視になり、前記パネルに魅力的な外観を与えるために使用されることになる。この目的で、前記装飾層はデザイン模様を有してよく、当該デザイン模様は、いくつかのデザイン例を挙げれば、例えば、木目調のデザイン、大理石、花崗岩またはその他の天然石粒子に似た鉱物粒子デザイン、または色模様、混色または単色であり得る。前記パネル生産工程中にデジタル印刷によって実現される場合が多い、カスタマイズされた外観も考えられる。前記装飾用頂部構造は、単層によって形成されてもよい。代替的な一実施形態では、前記装飾用頂部構造は、本発明に係る前記パネルにおいて、省略される、つまり、適用されない。この後者の実施形態では、前記装飾用パネル、特に床パネル、天井パネルまたは壁パネルは、上側部および下側部を備えるコアと、第1連結外形を含む第1パネル辺、および、水平方向と垂直方向の両方に、隣接するパネルの前記第1連結外形と相互にロックするように係合するように設計された第2連結外形を含む第2パネル辺とを含み、前記コアは、少なくとも一つのコアを含み、当該コアは、少なくとも一つのポリマーと、当該ポリマーに分散されたセルロース系粒子と、前記コアに埋め込まれた少なくとも一つの補強層とを含む。
【0043】
好ましくは、前記パネルは、前記コアの後側部に直接的または間接的に取り付けられたバッキング層を含む。前記少なくとも一つのバッキング層は、好ましくは、可撓性材料、好ましくはエラストマーから少なくとも部分的に作られる。前記バッキング層の厚みは、典型的には、約0.1mmから約2.5mmまで様々である。前記バッキング層を作ることができる材料の非限定的な例としては、ポリエチレン、コルク、ポリウレタンおよびエチレン酢酸ビニルがある。ポリエチレンバッキング層の厚みは、例えば、典型的には、2mm以下である。前記バッキング層は、一般的に、前記パネル自体にさらなるロバスト性、寸法安定性、および/または耐衝撃性を与え、前記パネルの耐久性を増大させる。さらに、前記(可撓性の)バッキング層は、前記パネルの音響的(音を減衰させる)性質を増大し得る。
【0044】
前記バッキング層は、好ましくは、少なくとも一つのポリマーと、前記群(A)から選択される少なくとも一つの可塑剤とを含む。前記バッキング層は、前記群(A)から選択される複数の異なる可塑剤を含んでもよい。前記バッキング層に使用される少なくとも一つのポリマーおよび/または少なくとも一つの可塑剤は、再生材料および/またはバイオベース材料であることが想像できる。好ましくは、前記バッキング層の少なくとも一つのポリマーは、PVC(ポリ塩化ビニル)、PUR(ポリウレタン)、PVB(ポリビニルブチラール)、ポリオレフィン、特にPEまたはPPからなる群から選択されるポリマーによって形成される。前記バッキング層は、DOTP、DINP、DIDPからなる前記群(B)から選択される一つのさらなる可塑剤を含んでよい。好ましくは、前記バッキング層は、100部のポリ塩化ビニルと、20部から200部の合計可塑剤とを含む。
【0045】
好ましくは、少なくとも一つの補強層は、前記第1連結外形および前記第2連結外形のうちの一方の連結外形にのみ延在する。これは、典型的には上側外形および下側外形を使用することによって、垂直方向に延出する舌部と溝の(倒す)接続が形成されるように前記第1連結外形および前記第2連結外形を設計することによって実現することができるが、この好ましい一例は下記に示す。典型的には上述の下側外形である一方の連結外形にのみ前記補強層を適用し、したがって、典型的には上述の上側外形である相補的な連結外形に前記補強層を適用しないことの利点は、一方の連結外形(上側外形)の可撓性が他方の連結外形(下側外形)の可撓性よりも大きくなることである。これは、典型的には、前記上側外形が、前記下側外形よりも容易に変形することを意味し、これは、前記連結外形間の連結を実現するのに変形が必要とされる場合に特に有利である。
【0046】
好ましくは、前記第1連結外形は、
上向き舌部と、
前記上向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの上向きフランクと、
前記上向き舌部と前記上向きフランクの間に形成された上向き溝であって、隣接するパネルの第2連結外形の下向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された上向き溝と、
好ましくは前記上向きフランクとは反対側を向く前記上向き舌部の遠位の側部に設けられた、少なくとも一つの第1ロック要素とを含み、好ましくは、前記(相補的な)第2の連結外形が、
第1下向き舌部と、
前記下向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第1下向きフランクと、
前記下向き舌部と前記下向きフランクの間に形成された第1下向き溝であって、隣接するパネルの第1連結外形の上向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された下向き溝と、
隣接するパネルの第1ロック要素との共作用のために適合された少なくとも一つの第2ロック要素であって、好ましくは前記下向きフランクに設けられた前記第2ロック要素とを含む。
【0047】
好ましくは、前記第1ロック要素は、膨らみおよび/または凹部を含み、前記第2ロック要素は、膨らみおよび/または凹部を含む。前記膨らみは、一般的に、ロックされた連結、好ましくは垂直方向にロックされた連結を実現するという目的のために、隣接する連結パネルの前記凹部に少なくとも部分的に受けられるように適合される。前記第1ロック要素および前記第2ロック要素は、膨らみと凹部の組み合わせによってではなく、共作用する外形を持つ表面同士および/または高摩擦接触表面同士という別の組み合わせによって形成されることも考えられる。この後者の実施形態では、前記第1ロック要素および前記第2ロック要素のうちの前記少なくとも一方のロック要素は、係合(連結)状態の別のパネルの前記他方のロック要素と摩擦を生じるように構成された、任意選択的には別体の、プラスチック材料から構成される(平らまたはそれ以外の形状をもつ)接触表面によって形成されてよい。摩擦を生じるのに適したプラスチックの例としては、次のものが挙げられる。
【0048】
アセタール(POM)、良好な耐クリープ性をもち剛性で強固である。アセタールは、低い摩擦係数を有し、高温で安定した状態を保ち、温水に対する良好な耐性をもたらす。
【0049】
ナイロン(PA)、大多数のポリマーよりも多くの水分を吸収し、水分を吸収するため、衝撃強度および一般的なエネルギー吸収品質が実際に向上する。ナイロンは、低い摩擦係数、良好な電気的性質、および良好な耐薬品性も有する。
【0050】
ポリフタラミド(PPA)。この高性能ナイロンは、耐温度性が向上し、より低い吸湿性を有する。ポリフタラミド(PA)は良好な耐薬品性も有する。
【0051】
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、高い強度を兼ね備えた、良好な耐薬品性および耐火性をもつ高温熱可塑性物質である。PEEKは、航空宇宙産業でよく用いられるものである。
【0052】
ポリフェニレンスルファイド(PPS)、耐薬品性と耐高温性、難燃性、流動性、寸法安定性、および良好な電気的性質を含む性質のバランスをもたらす。
【0053】
ポリブチレンテレフタレート(PBT)、寸法的に安定しており、良好な電気的性質とともに高い耐熱性および耐薬品性を有する。
【0054】
熱可塑性ポリイミド(TPI)、良好な物理的性質、化学的性質、および耐摩耗性をもち本質的に難燃性である。
【0055】
ポリカーボネート(PC)、良好な衝撃強度、高い耐熱性、および良好な寸法安定性を有する。PCは、良好な電気的性質も有し、水中および鉱酸中または有機酸中で安定している。
【0056】
ポリエーテルイミド(PEI)、昇温で強度および剛性を維持する。ポリエーテルイミド(PEI)は、良好な長期耐熱性、寸法安定性、本質的な難燃性、および炭化水素、アルコール、およびハロゲン化溶剤に対する耐性も有する。
【0057】
前記第1連結外形と前記第2連結外形は、連結状態において、連結したパネルをそれぞれの辺にて互いに向かって押圧する予張力が存在しているように構成されることが想像でき、これは、好ましくは、前記第1連結外形および前記第2連結外形の重なり合う輪郭、特に下向き舌部および前記上向き溝の重なり合う輪郭および/または前記上向き舌部および前記下向き溝の重なり合う輪郭を適用することによって行われ、前記第1連結外形および前記第2連結外形は、上記のようなパネルの二つが、連結状態において、倒す動きおよび/または垂直方向の動きによって互いに連結されることができるように構成され、連結状態において、連結状態において、前記第2連結部の前記下向き舌部の少なくとも一部が前記第1連結部の前記上向き溝に挿入され、前記下向き舌部が、前記第1連結部によって挟持され、かつ/または前記上向き舌部が、前記第2連結部によって挟持されるようにしてある。
【0058】
好ましい一実施形態において、前記パネルは、第3パネル辺および第4パネル辺にそれぞれ存在する少なくとも一つの第3連結外形および少なくとも一つの第4連結外形を含み、前記第3連結外形は、
前記コアの前記上側部に実質的に平行な方向に延在する横向き舌部と、
前記横向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第2下向きフランクと、
前記横向き舌部と前記第2下向きフランクの間に形成された第2下向き溝とを含み、前記第4連結外形は、
隣接するパネルの前記第3連結外形の前記横向き舌部の少なくとも一部を収容するように構成された第3溝であって、上唇部および下唇部によって画定される第3溝において、前記下唇部が上向きロック要素を備える、第3溝を含み、
前記第3連結外形および前記第4連結外形は、上記のようなパネルの二つが回す動きによって互いに連結されることができるように構成され、連結状態において、第1パネルの前記横向き舌部の少なくとも一部が、隣接する第2パネルの前記第3溝に挿入され、前記第2パネルの前記上向きロック要素の少なくとも一部が、前記第1パネルの前記第2下向き溝に挿入される。
【0059】
前記パネル、典型的には前記コア、特に少なくとも一つのコアは、好ましくは、再生材料を含む。再生材料は、典型的には、以前の(パネル)生産工程から生じた残材を再利用することに関する。
【0060】
前記コアは、好ましくは、少なくとも3mm、好ましくは少なくとも4mm、およびさらに好ましくは少なくとも5mmの厚みを有する。前記パネル厚みは、典型的には、3mmと10mmの間、好ましくは4mmと8mmの間である。
【0061】
また、本発明は、本発明に係る複数の相互に連結した装飾用パネルを含む装飾用カバー材、特に装飾用床カバー材、装飾用天井カバー材、または装飾用壁カバー材に関する。前記カバー材は、入口通路などの、交差する壁の入隅、家具の入隅、および出隅などの、垂直方向の隅に設置してもよい。
【0062】
「第1」、「第2」、および「第3」のような本書で使用される序数は、識別目的で使用されているに過ぎない。したがって、「第3ロック要素」および「第2ロック要素」という表現の使用は、したがって、「第1ロック要素」が共に存在することを必ずしも必要としない。
【0063】
本発明に係る前記装飾用パネルは、装飾用タイルと呼んでもよい。「相補的な」連結外形とは、これらの連結外形が互いに協働することができるということを意味する。しかしながら、この目的のために、前記相補的な連結外形は、必ずしも相補的な形状を有しなくてもよい。「垂直方向」にロックするとは、前記パネルの平面に垂直な方向にロックすることを意味する。「水平方向」にロックするとは、二つのパネルのそれぞれの連結した辺に垂直かつ前記パネルによって画定される平面に平行または一致する方向にロックすることを意味する。
【0064】
本発明の様々な実施形態を、次に提示する非制限的な項において記述する。
【0065】
1.装飾用パネル、特に床パネル、天井パネルまたは壁パネルであって、
上側部および下側部を備えるコアと、
前記コアの前記上側部に張り付けられた装飾用頂部構造と、
第1連結外形を含む第1パネル辺、および、水平方向と垂直方向の両方において、隣接するパネルの前記第1連結外形と相互にロックするように係合するように設計された第2連結外形を含む第2パネル辺と、を含み、
前記パネル、特に前記コアおよび/または少なくとも一つの他のパネル層は、
少なくとも七個の炭素原子を有するアルキル鎖バックボーンをもつオルトフタル酸エステル、特にDPHP(ビス(2-プロピルヘプチル)フタル酸エステル)、DIUP(フタル酸ジイソウンデシル)、またはDTDP(フタル酸ジイソトリデシル)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)と、
テレフタル酸エステル、好ましくは(DOTP(テレフタル酸ジオクチル)と、
シクロヘキサノエート、好ましくはDC9CH(シクロヘキサノエートジエステル)と、
クエン酸エステル、好ましくはATBC(アセチルクエン酸トリブチルを含む)アセチルクエン酸トリペンチル(ATPC)、アセチルクエン酸トリヘキシル(ATHC)、アセチルクエン酸トリヘプチル(ATHC)、アセチルクエン酸トリオクチル(ATOC)、アセチルクエン酸トリノニル(ATNC)と、
アジピン酸エステル、好ましくはDOA(アジピン酸ジオクチル)またはアジピン酸ビス(2‐エチルヘキシル)と、
リン酸エステル、好ましくはTPP(リン酸トリフェニル)と、
アゼライン酸エステル、好ましくはDiDA(アジピン酸ジイソデシル)またはアゼライン酸ジオクチルまたはアゼライン酸ジ(2‐エチルヘキシル)と、
トリメリット酸エステル、好ましくはTOTM(トリメリット酸トリス(2‐エチルヘキシル))、トリメリット酸トリブチル(TBTM)、トリメリット酸トリイソブチル(TiBTM)、トリメリット酸トリエチルヘキシル(TEHTM)、トリメリット酸トリイソノニル(TINTM)と、
ジ安息香酸エステル、好ましくはODEDB(ジ安息香酸オキシジエチレン)またはOXPDB(安息香酸オキシジプロピル)と、
1,2‐ベンゼンジカルボン酸と、
PVB(ポリビニルブチラール)と、からなる群(A)から選択される少なくとも一つの可塑剤を含む、パネル。
【0066】
2.前記コアは、前記群(A)から選択される複数の異なる可塑剤を含む、項1に記載のパネル。
【0067】
3.前記コアにおいて使用される少なくとも一つのポリマーおよび/または少なくとも一つの可塑剤は再生材料である、項1または2に記載のパネル。
【0068】
4.前記コアにおいて使用される少なくとも一つのポリマーおよび/または少なくとも一つの可塑剤はバイオベース材料である、先行項の一つに記載のパネル。
【0069】
5.前記コアの少なくとも一つのポリマーはPVC(ポリ塩化ビニル)によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0070】
6.前記コアの少なくとも一つのポリマーはPUR(ポリウレタン)によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0071】
7.前記コアの少なくとも一つのポリマーはPVB(ポリビニルブチラール)によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0072】
8.前記コアの少なくとも一つのポリマーは、ポリオレフィン、特にPEまたはPPによって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0073】
9.前記コアの少なくとも一つのポリマーは、ポリスチレン、好ましくは発泡ポリスチレンによって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0074】
10.前記コアは、DOTP、DINP、DIDPからなる群(B)から選択される一つのさらなる可塑剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0075】
11.前記コアは、100部のポリ塩化ビニルと、20部から200部の合計可塑剤とを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0076】
12.前記コアは、前記少なくとも一つのポリマーと前記少なくとも一つの可塑剤の間の相容性を向上させるために少なくとも一つの相容化剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0077】
13.前記パネルは、前記コアの背面に直接的または間接的に設けられたバッキング層を含み、当該バッキング層は、少なくとも一つのポリマーと、前記群(A)から選択される少なくとも一つの可塑剤とを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0078】
14.前記バッキング層は、前記群(A)から選択される複数の異なる可塑剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0079】
15.前記バッキング層に使用される少なくとも一つのポリマーおよび/または少なくとも一つの可塑剤は再生材料である、先行項の一つに記載のパネル。
【0080】
16.前記バッキング層に使用される少なくとも一つのポリマーおよび/または少なくとも一つの可塑剤はバイオベース材料である、先行項の一つに記載のパネル。
【0081】
17.前記バッキング層の少なくとも一つのポリマーはPVC(ポリ塩化ビニル)によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0082】
18.前記バッキング層の少なくとも一つのポリマーはPUR(ポリウレタン)によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0083】
19.前記バッキング層の少なくとも一つのポリマーはPVB(ポリビニルブチラール)によって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0084】
20.前記バッキング層の少なくとも一つのポリマーは、ポリオレフィン、特にPEまたはPPによって形成される、先行項の一つに記載のパネル。
【0085】
21.前記バッキング層は、DOTP、DINP、DIDPからなる前記群(B)から選択される一つのさらなる可塑剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0086】
22.前記バッキング層は、100部のポリ塩化ビニルと、20部から200部の合計可塑剤とを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0087】
23.前記コアは、前記少なくとも一つのポリマーと前記少なくとも一つの可塑剤の間の相容性を向上させるために少なくとも一つの相容化剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0088】
24.前記コアおよび/または前記バッキング層は、鉱物、好ましくは炭酸カルシウム、顔料、改質剤、繊維からなる群(C)から選択される少なくとも一つの充填剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0089】
25.前記コアおよび/または前記バッキング層はセルロース系粒子を含み、当該セルロース系粒子は、好ましくは、木材またはヘンプなどのリグノセルロースを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0090】
26.前記コアは、鋼、ガラス、ポリプロピレン、木材、アクリル、アルミナ、クラワ、炭素、セルロース、ココナッツ、ケブラー、ナイロン、ペルロン、ポリエチレン、PVA、岩綿、サイザル、およびフィキューからなる群(D)から選択される少なくとも一つのさらなる充填剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0091】
27.前記コアの少なくとも一つのポリマーは発泡している、先行項の一つに記載のパネル。
【0092】
28.前記コアは、パーライト、好ましくは発泡パーライトを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0093】
29.前記コアは、少なくとも一つの難燃添加剤を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0094】
30.前記パネルは、少なくとも一つの補強層、好ましくは不織層または織層、特に布を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0095】
31.前記補強層はガラス繊維を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0096】
32.前記補強層は、ジュートなどの天然繊維を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0097】
33.前記補強層は、合成繊維、特にポリマー繊維を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0098】
34.前記少なくとも一つの補強層は前記コアに埋め込まれている、先行項の一つに記載のパネル。
【0099】
35.前記コアは、1重量%と15重量%の間のセルロース系繊維を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0100】
36.前記コアは、0重量%と3重量%の間のパーライトを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0101】
37.前記コアは、1重量%と8重量%の間の補強層を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0102】
38.少なくとも一つのコアが1kg/m3よりも大きい密度を有する、先行項の一つに記載のパネル。
【0103】
39.少なくとも一つのコアが1kg/m3よりも低い密度を有する、先行項の一つに記載のパネル。
【0104】
40.前記コアは、前記少なくとも一つのコアを実質的に被覆する防水コーティングを備える、先行項の一つに記載のパネル。
【0105】
41.前記コアの頂表面が、前記コアに使用される少なくとも一つの可塑剤に対して実質的に不浸透性であるバリア層によって被覆される、先行項の一つに記載のパネル。
【0106】
42.防水層が前記コアと前記頂部構造の間に位置している、先行項の一つに記載のパネル。
【0107】
43.前記パネルは複数の補強層を含み、好ましくは、少なくとも一つの第1補強層が前記コアの頂部に位置し、少なくとも一つの第2補強層が前記コアの底部に位置する、先行項の一つに記載のパネル。
【0108】
44.前記コアはコアの積層体を含み、当該コア同士は互いに直接的かつ/または間接的に積み重なっている、先行項の一つに記載のパネル。
【0109】
45.前記コアはコアの積層体を含み、少なくとも二つのコアの組成は互いに異なる、先行項の一つに記載のパネル。
【0110】
46.前記頂部構造は、防水接着剤によって前記コアに接着される、先行項の一つに記載のパネル。
【0111】
47.前記頂部構造は、少なくとも一つの装飾層と、当該装飾層を被覆する少なくとも一つの透明な摩耗層とを含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0112】
48.前記摩耗層は、100セルシウス度を超える溶融温度を有し、前記摩耗層は、好ましくはポリウレタンから作られる、項47に記載のパネル。
【0113】
49.少なくとも一つの補強層が、前記第1連結外形および前記第2連結外形のうちの一方の連結外形にのみ延在している、先行項の一つに記載のパネル。
【0114】
50.前記パネルの厚みは、2mmと10mmの間、好ましくは3mmと10mmの間にある、先行項の一つに記載のパネル。
【0115】
51.前記第1連結外形は、
上向き舌部と、
前記上向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの上向きフランクと、
前記上向き舌部と前記上向きフランクの間に形成された上向き溝であって、隣接するパネルの第2連結外形の下向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された上向き溝と、
好ましくは前記上向きフランクとは反対側を向く前記上向き舌部の遠位の側部に設けられた、少なくとも一つの第1ロック要素と、を含み、前記第2連結外形は、
第1下向き舌部と、
前記下向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第1下向きフランクと、
前記下向き舌部と前記下向きフランクの間に形成された第1下向き溝であって、隣接するパネルの第1連結外形の上向き舌部の少なくとも一部を受けるように適合された下向き溝と、
隣接するパネルの第1ロック要素と共作用するように適合された少なくとも一つの第2ロック要素であって、好ましくは前記下向きフランクに設けられる第2ロック要素と、
を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0116】
52.前記パネルは、第3パネル辺および第4パネル辺にそれぞれ位置する少なくとも一つの第3連結外形および少なくとも一つの第4連結外形を含み、前記第3連結外形は、
前記コアの前記上側部に実質的に平行な方向に延在する横向き舌部と、
前記横向き舌部から離れて設けられた少なくとも一つの第2下向きフランクと、
前記横向き舌部と前記第2下向きフランクの間に形成された第2下向き溝と、を含み、前記第4連結外形は、
隣接するパネルの前記第3連結外形の前記横向き舌部の少なくとも一部を収容するように構成された第3溝であって、上唇部および下唇部によって画定される第3溝において、前記下唇部が上向きロック要素を備える、第3溝、を含み、
前記第3連結外形および前記第4連結外形は、二つの前記パネルが、回す動きによって互いに連結されることができるように構成され、結合状態において、第1パネルの前記横向き舌部の少なくとも一部が、隣接する第2パネルの前記第3溝に挿入され、前記第2パネルの前記上向きロック要素の少なくとも一部が、前記第1パネルの前記第2下向き溝に挿入される、先行項のいずれかに記載のパネル。
【0117】
53.前記パネルは可撓性または半可撓性である、先行項の一つに記載のパネル。
【0118】
54.前記コアは、三種類のテレフタル酸エステル系材料の混合物と、エポキシ化油とを含み、前記テレフタル酸エステル系材料と前記エポキシ化油の重量比は、好ましくは99:1から1:99である、先行項の一つに記載のパネル。
【0119】
55.前記コアは、油、好ましくはエポキシ化油、より好ましくは、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化パーム油、エポキシ化ステアリン酸、エポキシ化オレイン酸、エポキシ化トール油、エポキシ化リノール酸、またはそれらの混合物からなる群(E)から選択される少なくとも一つのエポキシ化油を含む、先行項の一つに記載のパネル。
【0120】
56.項1から項55のいずれかに記載の複数の相互に連結した装飾用パネルを含む装飾用カバー材、特に装飾用床カバー材、装飾用天井カバー材、または装飾用壁カバー材。
【0121】
本発明を、次の図面に示す非制限的な例示的実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【
図1a】
図1aは、本発明に係る多目的パネルシステムに使用するための多目的パネルの概略図を示す。
【
図1b】
図1bは、
図1aに示すような複数の多目的パネルを含む多目的パネルシステムの概略図を示す。
【
図2a】
図2aは、本発明に係る多目的パネルシステムの別の実施形態に使用するための二つの異なるタイプの多目的パネルの概略図を示す。
【
図2b】
図2bは、
図2aに示すような複数の多目的パネルを含む多目的パネルシステムの概略図を示す。
【
図3a】
図3aは、本発明に係る多目的パネルシステムのさらに別の実施形態に使用するための多目的パネルの概略図を示す。
【
図3b】
図3bは、
図3aに示すような複数の多目的パネルを含む多目的パネルシステムの概略図を示す。
【
図5a】
図5aから
図5cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図5b】
図5aから
図5cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図5c】
図5aから
図5cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図6a】
図6aから
図6cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図6b】
図6aから
図6cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図6c】
図6aから
図6cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図7a】
図7aから
図7cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態におけるさらなる代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図7b】
図7aから
図7cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態におけるさらなる代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【
図7c】
図7aから
図7cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態におけるさらなる代替的な連結外形をもつ二つの多目的パネルの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0123】
図1aは、本発明に係る多目的パネルシステム(110)に使用される多目的装飾用パネル(100)の概略図を示す。当該図は、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる第1対の対向辺と、第2辺(102)および(別の)対向する第3辺(103)からなる第2対の対向辺とを含むパネル(100)を示す。前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺(101、102、103)は、それぞれ、第1連結外形、第2連結外形および第3連結外形(104、105、106)を備える。前記第1連結外形(104)および前記第3連結外形(106)は、二つのそのようなパネル(100)が、回す動きによって前記第1辺および前記第3辺(101、103)にて互いに連結されることができるように構成される。さらに、前記第2連結外形(105)および前記第3連結外形(106)は、前記二つのそのようなパネル(100)が、倒す動きおよび/または垂直方向の動きによって前記第2辺および前記第3辺(102、103)にて互いに連結されることができるように構成される。前記パネル(100)の幅と長さの間の比例関係は随意に選択してよい。
図1aは、多くの可能性のうちの一つを示しているに過ぎず、前記パネルは矩形の外形(108)をもつ上側部(107)を有している。しかしながら、前記パネル(100)の前記幅および前記長さが同じで、前記パネル(100)が正方形の外形をもつ上側部(107)を有するようにすることも可能である。
【0124】
図1bは、
図1aに示すような複数の多目的パネル(100)を含む多目的パネルシステム(110)の概略図を示す。前記パネル(100)の各々は均等であり、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる第1対の対向辺と、第2辺(102)および対向する第3辺(103)からなる第2対の対向辺とを有するが、前記パネル(100)同士は、前記第1辺と前記第2辺(101、102)の両方の前記連結外形と前記第3辺(103)の前記連結外形との適合性により、異なる仕方で結合してよく、その結果、一つの多目的パネルシステム(110)内で異なるパネルパターン(111、112)が生じる。前記個別のパネル(110)が矩形の外形(108)をもつ上側部(107)を有する前記描写した多目的パネルシステム(110)では、前記パネル(100)は、各々、長辺(113)および短辺(114)を有する。前記異なるパネルパターン(111、112)は、これにより、隣接するパネル(100)の前記長辺(113)に各自の長辺(113)が接続された、相互に接続されたパネル(100)の第1パネルパターン(111)を、隣接するパネル(100)の前記長辺(113)に各自の長辺(113)が接続されかつ別の隣接するパネル(100)の前記短辺(114)に各自の短辺(114)が接続された、相互に接続されたパネル(100)の第2パネルパターン(112)に連結することによって創出される。前記第1パネルパターンおよび前記第2パネルパターン(111、112)は、これにより、前記第1パネルパターン(111)の前記パネル(100)の前記長辺(113)が、前記第2パネルパターン(112)の前記パネル(100)の前記長辺(113)に対して90度の角度で設けられるように、互いに対して回転されている。前記異なるパネルパターン(111、112)間のこの連結は、前記第2パネルパターン(112)の前記パネル(100)の前記長辺(113)に対する前記第1パネルパターン(111)の前記パネル(100)の前記短辺(114)の接続を通して可能になる。前記パネルシステム(110)の設置は、設置しようとするパネル(100)の前記第1辺(101)を、設置済みのパネル(100)の第3辺(103)に対して角度を付けて倒すことによって実現でき、これにより、通常、垂直と水平の両方向に前記パネル(100)が相互にロックされることになる。前記設置済みのパネル(100)に対する前記設置しようとするパネル(100)のこの角度を付ける動きまたは回す動きの間、前記設置しようとするパネル(100)の前記第2辺(102)は、別の設置済みのパネル(100)の前記第3辺(103)に(同時に)接続されることになり、これは、典型的には、前記別の設置済みのパネル(100)に対して前記設置しようとするパネル(100)を下ろすまたは倒すことによって実現され、この間、前記設置しようとするパネル(100)の前記第2辺(102)と前記別の設置済みのパネル(100)の前記第3辺(103)は、互いに対してはさみを閉じるように(ジッパーを閉じるように)入り込むことになる。この結果、前記別の設置済みのパネル(100)に対して前記設置しようとするパネル(100)が水平と垂直の両方向にロックされる。
【0125】
図2aは、本発明に係る多目的パネルシステムの別の実施形態(200)に使用される二つの異なるタイプの多目的パネル(201、202)の概略図を示す。ちょうど
図1aに示す前記多目的パネル(100)のように、これらのパネル(201、202)の各々は、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる第1対の対向辺と、第2辺(102)および対向する第3辺(103)からなる第2対の対向辺とを含む。この場合も同様に、前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺(101、102、103)は、それぞれ、第1連結外形、第2連結外形および第3連結外形(104、105、106)を備え、前記第1連結外形(104)および前記第3連結外形(106)は、二つのパネル(201、202)が、回す動きによって前記第1辺および前記第3辺(101、103)にて互いに連結されることができるように構成され、前記第2連結外形(105)および前記第3連結外形(106)は、前記二つのパネル(201、202)が、倒す動きおよび/または垂直方向の動きによって前記第2辺および前記第3辺(102、103)にて互いに連結されることができるように構成される。しかしながら、今回は、二つの異なるタイプのパネル(201、202)が存在し、前記第1タイプのパネル(201)上の一対の対向辺(102、103)の前記連結外形(105、106)は、前記第2タイプのパネル(202)上の対応する一対の対向辺(102、103)の前記連結外形(105、106)に対して鏡面反転したように配置される。なお、鏡面反転した前記異なるタイプのパネル(201、202)の前記描写した辺対は、第2辺および第3辺(102、103)によって形成されている。しかしながら、前記鏡面反転した辺対は、第1辺および第3辺(101、103)によって形成されることも同様に可能である。さらに、この多目的パネルシステム(200)に使用される前記多目的パネル(201、202)は、平行四辺形の外形(208)をもつ上側部(107)を有する。この点に関して、これらのパネル(201、202)の二つの隣接する辺(101、102、103)は、鋭角(203)または鈍角(204)のいずれかを囲む。この特定の実施形態において、前記第1辺と前記第2辺(101、102)および前記第3辺(103)同士が、同じ大きさの鈍角(204)を囲む一方で、前記第1辺と前記第3辺(101、103)および前記第2辺と前記第3辺(102、103)は、同じ大きさの鋭角(203)を囲んでいる。前記パネル構成の違いおよび各パネルの上側部(107)の平行四辺形の外形(208)により、これらのパネル(201、202)は、結合状態で山形のパターン(205)を形成することができる。
【0126】
図2bは、
図2aに示すような複数の多目的パネル(201、202)を含む多目的パネルシステム(200)の概略図を示す。先に既に述べたように、この多目的パネルシステム(200)の一部を形成する前記多目的パネル(201、202)は、二つの異なる(鏡映)タイプ/構成で提供される。前記パネル構成の違いおよび各パネルの頂表面(107)の平行四辺形の形状により、これらのパネル(201、202)は、結合状態で山形のパターン(205)を形成することができるが、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる第1対の対向辺と、第2辺(102)および対向する第3辺(103)からなる第2対の対向辺とを有し、前記第3辺(103)の前記連結外形(106)が前記第1辺と前記第2辺(101、102)の両方の前記連結外形(104、105)に適合することにより、前記パネル(201、202)同士は異なる仕方でも結合されることができ、その結果、一つの相互に接続された多目的パネルシステム(200)内で異なるパネルパターン(206、207)が生じる。
図1bに示す前記多目的パネルシステム(110)におけるように、前記異なるパネルパターン(206、207)は、相互に接続されたパネル(201、202)の第1パネルパターン(206)を相互に接続されたパネル(201、202)の第2パネルパターン(207)に連結することによって創出される。これらの別々のパネルパターン(206、207)内では、各パネル(201、202)は、隣接するパネル(201、202)の前記辺(101、102、103)に接続された各パネルの対向辺の各対(101と103、102と103)が、前記隣接するパネル(201、202)の対応する一対の対向辺(101と103、102と103)の一部になっている。しかしながら、前記第1パネルパターンおよび前記第2パネルパターン(206、207)の前記連結は、一方の対向辺(101、103)の対の一部を形成する辺(101、103)をもつ第1パネルパターン(206)のパネル(201、202)の、他方の、対応しない対向辺(102、103)の対の一部を形成する辺(102、103)をもつ第2パネルパターン(207)のパネル(201、202)との接続を通して実現される。その結果が、互いに対して90度回転させた二つの異なるパネルパターン(206、207)を含む相互に接続された多目的パネルシステム(200)である。
図2bに示す前記パネルシステム(200)の設置は、典型的には、
図1bに示す前記パネルシステム(110)の前記設置と類似である。
【0127】
図3aは、本発明に係る多目的パネルシステムのさらに別の実施形態(300)で使用される多目的パネル(301)の概略図を示す。
図1aおよび
図2aに示す前記多目的パネル(100、201、202)の他に、これらのパネル(301)の各々は、三対の対向辺を含み、正六角形の外形(302)をもつ上側部(107)を有する。前記第1対の対向辺は、第1辺(101)および対向する第3辺(103)からなる。前記第2対の対向辺および前記第3対の対向辺は、第2辺(102)および対向する第3辺(103)からなる。前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺(101、102、103)は、これにより、前記第3辺(103)同士が互いに直接隣接するように設けられ、前記第2辺(102)が前記第1辺(101)に隣接する両辺に設けられるように配置される。前記第2辺(102)は、結果として、互いに隣接して設けられない。しかしながら、これらの多目的パネル(301)と
図1aおよび
図2aに示す前記多目的パネル(100、201、202)との間の共通性は、前記第1辺、前記第2辺および前記第3辺(101、102、103)が、それぞれ、第1連結外形、第2連結外形および第3連結外形(104、105、106)を備え、前記第1連結外形(104)および前記第3連結外形(106)が、二つのパネル(301)が回す動きによって前記第1辺および前記第3辺(101、103)にて互いに連結されることができるように構成され、前記第2連結外形(105)および前記第3連結外形(106)が、前記二つのパネル(301)が倒す動きおよび/または垂直方向の動きによって前記第2辺および前記第3辺(102、103)にて互いに連結されることができるように構成されるということである。
【0128】
図3bは、
図3aに示すような複数の多目的パネル(301)を含む多目的パネルシステム(300)の概略図を示す。前記描写したパネル編成では、前記パネル(301)は全て同じ向きである。前記パネルシステム(300)の設置は、
図1bおよび
図2bの前記パネルシステム(110、200)と類似の仕方で実現されることができる。設置しようとするパネル(301)の前記第1辺(101)を設置済みのパネル(301)の第3辺(103)に対して角度を付けて倒すことによって、前記パネル(301)は、一般に、垂直と水平の両方向に相互にロックすることになる。前記設置済みのパネル(301)に対して前記設置しようとするパネル(301)のこの角度を付ける動きまたは回す動きの間、前記設置しようとするパネル(300)の一つまたは複数の第2辺(102)は、一つまたは複数の他の設置済みの隣接するパネル(301)の第3辺(103)に(同時に)接続されることになり、これは、典型的には、前記一つまたは複数の他の設置済みのパネル(301)に対して前記設置しようとするパネル(301)を下ろすまたは倒すことによって実現され、その間、前記設置しようとするパネル(301)の前記第2辺(102)と前記一つまたは複数の他の設置済みのパネル(301)の前記第3辺(103)は、互いに対してはさみを閉じるように(ジッパーを閉じるように)入り込むことになる。この結果、水平と垂直の両方向に前記一つまたは複数の他の設置済みのパネル(301)に対して前記設置しようとするパネル(301)がロックされる。
【0129】
図4aは、
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような多目的パネル(100、201、202、301)のA-A線に沿う断面を示す。当該図では、前記パネル(100、201、202、301)の前記第1辺(101)および対向する第3辺(103)を見ることができ、それぞれ、第1連結外形(104)および第3連結外形(106)を有する。前記第1連結外形(104)は、前記パネル(100、201、202、301)の前記上側部(107)に実質的に平行な方向に延在する横向き舌部(400)と、前記横向き舌部(400)から離れて設けられた少なくとも一つの第1下向きフランク(401)と、前記横向き舌部(400)と前記第1下向きフランク(401)との間に形成された第1下向き凹部(402)とを含む。前記第1下向き凹部(402)に面する、前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の近位の側部(403)は、これにより、前記第1下向きフランク(401)とは反対側の方向に下向きに傾斜している。しかしながら、前記横向き舌部(400)の前記近位の側部(403)は、前記第1下向きフランク(401)に向かう方向に下向きに傾斜していることも同様に可能である。前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の前記近位の側部(403)と前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の下側部(405)との間には第1遷移区画(404)が画定されることができ、当該第1遷移区画(404)は、この例では湾曲している。前記第1下向き凹部(402)の上側部(406)は、前記描写したパネル(100、201、202、301)では、前記第1下向きフランク(401)に向かって下向きに傾斜している。前記第1連結外形(104)は、さらに、連結位置で、隣接するパネル(100、201、202、301)の第3連結外形(106)の第3ロック要素(440)と共作用し得る第1ロック要素(407)を含んでよい。この第1ロック要素(407)は、前記第1連結外形(104)の前記第1下向きフランク(401)に設けられてよい。現在描写しているパネル(100、201、202、301)では、前記第1ロック要素(407)は、少なくとも一つの第1ロック溝(408)を含む。
【0130】
前記第3連結外形(106)は、さらなるパネル(100、201、202、301)の前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の少なくとも一部を収容するように構成された第3凹部(430)を含み、当該第3凹部(430)は、上唇部(431)および下唇部(432)によって画定され、当該下唇部(432)は、上向きロック要素(433)を備える。前記第3凹部(430)に面する前記第3連結外形(106)の前記上向きロック要素(433)の近位の側部(434)は、前記上唇部(431)とは反対側の方向に上向きに傾斜している。しかしながら、代替的に、前記上向きロック要素(433)の前記近位の側部(434)は、前記上唇部(431)に向かう方向に上向きに傾斜していることも可能であり得る。前記上向きロック要素(433)の前記近位の側部(434)と前記上向きロック要素(433)の上側部(436)との間には第3遷移区画(435)が画定されることができ、当該第3遷移区画(435)も、この例では、前記湾曲した第1遷移区画(404)に倣うように湾曲している。前記上向きロック要素(433)の前記上側部(436)は、前記描写したパネル(100、201、202、301)では、前記第3連結外形(106)の前記上唇部(431)とは反対側の方向に下向きに傾斜している。前記第3連結外形(106)の前記下唇部(432)の下側部(437)には凹部(438)が存在し、当該凹部(438)は、前記下唇部(432)の遠位端(439)まで延在している。この凹部(438)により、下向きの方向への前記下唇部(432)の曲げが可能になる。既に述べたように、前記第3連結外形(106)は、さらに、前記連結したパネル(100、201、202、301)間の垂直方向のロックをなすために隣接するパネル(100、201、202,301)の前記第1連結外形(104)の前記第1ロック要素(407)と共作用し得る第3ロック要素(440)を含んでよい。前記第3ロック要素(440)は、これに関して、前記第3凹部(430)とは反対側を向く前記下唇部(432)の遠位の側部(441)に、かつ/または前記第3凹部(430)とは反対側を向く前記上向きロック要素(433)の遠位の側部(442)に設けられてよい。前記第3ロック要素(440)は、ここで描写するように、具体的には、前記下唇部(432)の下側部(437)と前記上向きロック要素(433)の上側部(436)との両方から離れて配置されてよい。現在描写しているパネルでは、前記第3ロック要素(440)は、少なくとも一つの外向きの膨らみ(443)を含み、当該外向きの膨らみ(433)は、(垂直方向に)ロックされた連結を実現するために、隣接する連結パネル(100、201、202、301)の前記第1ロック溝(408)または第2ロック溝(423)に少なくとも部分的に受けられるように適合される。コア(452)は、当該コア(452)に組み込まれた(埋め込まれた)、ガラス繊維層(布)などの少なくとも一つの補強層(454)を備える。より具体的には、前記コアは、少なくとも一つのポリマーと、少なくとも一つの可塑剤とを含み、当該少なくとも一つの可塑剤は、
少なくとも七個の炭素原子を有するアルキル鎖バックボーンをもつオルトフタル酸エステル、特にDPHP(ビス(2-プロピルヘプチル)フタル酸エステル)、DIUP(フタル酸ジイソウンデシル)、またはDTDP(フタル酸ジイソトリデシル)と、
テレフタル酸エステル、好ましくは(DOTP(テレフタル酸ジオクチル)と、
シクロヘキサノエート、好ましくはDC9CH(シクロヘキサノエートジエステル)と、
クエン酸エステル、好ましくはATBC(アセチルクエン酸トリブチルを含む)アセチルクエン酸トリペンチル(ATPC)、アセチルクエン酸トリヘキシル(ATHC)、アセチルクエン酸トリヘプチル(ATHC)、アセチルクエン酸トリオクチル(ATOC)、アセチルクエン酸トリノニル(ATNC)と、
アジピン酸エステル、好ましくはDOA(アジピン酸ジオクチル)またはアジピン酸ビス(2‐エチルヘキシル)と、
リン酸エステル、好ましくはTPP(リン酸トリフェニル)と、
アゼライン酸エステル、好ましくはDiDA(アジピン酸ジイソデシル)またはアゼライン酸ジオクチルまたはアゼライン酸ジ(2‐エチルヘキシル)と、
トリメリット酸エステル、好ましくはTOTM(トリメリット酸トリス(2‐エチルヘキシル))、トリメリット酸トリブチル(TBTM)、トリメリット酸トリイソブチル(TiBTM)、トリメリット酸トリエチルヘキシル(TEHTM)、トリメリット酸トリイソノニル(TINTM)と、
ジ安息香酸エステル、好ましくはODEDB(ジ安息香酸オキシジエチレン)またはOXPDB(安息香酸オキシジプロピル)と、
1,2‐ベンゼンジカルボン酸と、
PVB(ポリビニルブチラール)と、からなる群(A)から選択される。
【0131】
前記コアは、炭酸カルシウムおよび/または前記ポリマー(マトリックス)に分散されたセルロース系粒子などのさらなる添加剤と、この実施形態では、前記コアに埋め込まれた少なくとも一つの補強層(454)とを含んでよい。前記図示のコアは単一層とみなしてよいが、前記補強層(454)の上に位置する部分もあれば、前記補強層(454)の下に位置する部分もあり、両部分とも、前記補強層の細孔に存在する複合材料によって相互に(一体的に)接続される。詳細な組成および添加剤の例は、上記で既に包括的に記載している。
【0132】
図4bは、
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような多目的パネル(100、201、202、301)のB‐B線に沿う断面を示す。当該図では、前記パネル(100、201、202、301)の前記第2辺(102)および別の対向する第3辺(103)を見ることができ、それぞれ、第2連結外形(105)および第3連結外形(106)を有する。当該第3連結外形(106)が、前記多目的パネル(100、201、202、301)のA‐A線に沿う前記断面の説明においてその特徴が上述された前記パネル(101、201、202、301)の前記隣接する第3辺(103)上に設けられた前記第3連結外形(106)と一致する場合、前記第2連結外形(105)は、前記パネル(100、201、202、301)の前記上側部(107)に実質的に垂直な方向に延在する下向き舌部(410)と、前記下向き舌部(410)から離れて設けられた少なくとも一つの第2下向きフランク(411)と、前記下向き舌部(410)と前記第2下向きフランク(411)の間に形成された第2下向き凹部(412)とを含む。前記第2下向き凹部(412)に面する、前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の近位の側部(413)は、これにより、前記第2下向きフランク(411)とは反対側の方向に下向きに傾斜している。しかしながら、前記下向き舌部(410)の前記近位の側部(413)は、前記第2下向きフランク(411)に向かう方向に下向きに傾斜していることも可能である。前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の前記近位の側部(413)と前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の下側部(415)との間には第2遷移区画(414)が画定されることができ、当該第2遷移区画(414)は、この例では湾曲している。前記第2下向き凹部(412)とは反対側を向く、前記下向き舌部(410)の遠位の側部(416)は、前記パネル(100、201、202、301)の前記上側部(107)に隣接する少なくとも一つの垂直な上側壁部(417)と、当該垂直な上側壁部(417)に隣接してその下に位置して、前記下向き舌部(410)の前記遠位の側部(416)の面取りされかつ/または湾曲した下側壁部(419)の方へ内向きに曲がる角度付き壁部(418)とを含む。これにより、前記角度付き壁部(418)と前記面取りされかつ/または湾曲した下側壁部(419)との間には中間垂直壁部(420)が存在し得る。前記下向き舌部(410)の遠位側の側部(416)の前記下側壁部(419)は、さらに、前記下向き舌部(410)の前記下側部(415)に接続されてよい。前記第2下向き凹部(412)の前記上側部(421)は、前記描写したパネル(100、201、202、301)では、前記第2下向きフランク(411)の方へ下向きに傾斜している。前記第2連結外形(105)は、さらに、連結位置において、前記パネル(100、201、202、301)間の垂直方向のロックをなすために隣接するパネル(100、201、202,301)の第3連結外形(106)の第3ロック要素(440)と共作用し得る少なくとも一つの第2ロック要素(422)を含んでよい。前記第2ロック要素(422)は、これに関して、前記第2連結外形(105)の前記第2下向きフランク(411)に設けられてよい。現在描写しているパネル(100、201、202、301)では、前記第2ロック要素(422)は、(垂直方向に)ロックされた連結を実現するために、隣接する連結パネル(100、201、202、301)の前記第3ロック要素(440)の前記外向きの膨らみ(443)を少なくとも部分的に受けるように適合された少なくとも一つの第2ロック溝(423)を含む。
【0133】
図4aおよび
図4bに示す前記多目的パネル(100、201、202、301)の各々の前記連結外形(104,105、106)は、前記パネル(100、201、202、301)の前記上側部(107)に、またはその近くに、面取り部(斜角部)(450)を備える。前記パネル(100、201、202、301)は、前記第1連結外形、前記第2連結外形および前記第3連結外形(104、105、106)が一体的に接続されたコア(452)の上側部(453)に張り付けられた上側基材(451)を含む。前記コア(452)に埋め込まれるような、ガラス繊維層(布)などの前記少なくとも一つの補強層(454)が今回も同様に可視化されている。
図4aおよび
図4bは両方とも、この補強層(454)が、二つの相補的な連結外形のうちの一方にのみ存在していることを示している。前記上側基材(451)は、装飾層(455)と、当該装飾層(455)を被覆する耐摩耗性の摩耗層(456)と、前記装飾層(455)と前記摩耗層(456)の間に位置する透明な仕上げ層(457)とを含む。前記パネル(100、201、202、301)は、さらに、前記コア(452)の底側部(459)に張り付けられたバッキング層(458)を含む。
【0134】
図5aから
図5cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態の
図1a、
図2aまたは
図3aに示すような二つの多目的パネル(100、201、202、301)の断面を示す。これらの図では、連結状態において、パネル(100、201、202、301)の前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の少なくとも一部が、隣接するパネル(100、201、202、301)の前記第3連結外形(106)の前記第3凹部(430)に挿入され、前記第3連結外形(106)の前記上向きロック要素(433)の少なくとも一部が、前記第1連結外形(104)の前記第1下向き凹部(402)に挿入されることが分かる。前記第1連結外形(104)と前記第3連結外形(106)の互いの位置で固定をなすために、前記第1連結外形(104)の前記横向き舌部(400)の下側部(405)は、これにより、前記第3連結外形(106)の前記第3凹部(430)の下側表面(500)によって支持されてよい。前記第1辺(101)および前記第3辺(103)は、連結状態において、前記連結したパネル(100、201、202、301)の上側辺(503)を通る第1垂直面(502)として画定される第1閉じ表面(501)を画定する。前記横向き舌部(400)および前記第3凹部(430)の各々は、これにより、前記第1垂直面(502)を通って延在する。前記図示の実施形態では、前記第1連結外形および前記第3連結外形(104、106)は、それぞれ、第1ロック要素および第3ロック要素(407、440)を含む。前記第1ロック要素および前記第3ロック要素(407、440)は、これにより、当該第1ロック要素(407)が、前記第3連結外形(106)の前記第3ロック要素(440)に面して、当該第3ロック要素(440)と共作用して垂直方向のロック効果を実現するように配置される。
【0135】
図5aから
図5cは、さらに、連結状態において、前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の少なくとも一部が、前記第3連結外形(106)の前記第3凹部(430)に挿入され、前記第3連結外形(106)の前記上向きロック要素(433)の少なくとも一部が、前記第2連結外形(105)の前記第2下向き凹部(412)に挿入されることを示す。前記第2連結外形(105)および前記第3連結外形(106)の互いの位置での固定をなすために、前記第2連結外形(105)の前記下向き舌部(410)の下側部(415)は、これにより、前記第3連結外形(106)の前記第3凹部(430)の下側表面(500)によって支持されてよい。前記第2辺(102)および前記第3辺(103)は、連結状態において、前記連結したパネル(100、201、202、301)の前記上側辺(503)を通る第2垂直面(505)を画定する第2閉じ表面(504)を画定する。前記下向き舌部(410)は、これにより、前記第2垂直面(505)の一方の側に配置され、前記第3凹部(430)は、前記第2垂直面(505)を通って延在する。前記図示の実施形態では、前記第2連結外形(105)は、さらに、第2ロック要素(422)を含む。前記第2ロック要素(422)は、前記第3連結外形(106)の前記第3ロック要素(440)に面して、当該第3ロック要素(440)と共作用して垂直方向のロック効果を実現する。
【0136】
図6aから
図6cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態における代替的な連結外形(601、602、603)をもつ二つの多目的パネル(600)の断面を示す。
図5aから
図5cに示す前記パネル(100、201、202、301)の前記連結外形(104、105、106)は、連結状態において、前記連結外形(104,105、106)間に予張力が(実質的に)存在しないように構成されているが、
図6aから
図6cに示す前記パネル(600)の前記連結外形(601、602、603)は、連結状態において予張力が存在するように構成され、当該予張力は、前記それぞれのパネル(600)を各自の辺(604)にて互いの方へ押圧する。前記連結外形(601、602、603)の前記図示の実施形態では、前記予張力は、前記連結外形(601、602、603)の(局所的な)変形の結果である。
【0137】
図7aから
図7cは、それぞれ、第1連結状態、第2連結状態および第3連結状態におけるさらなる代替的な連結外形(701、702、703)をもつ二つの多目的パネル(700)の断面を示す。前記第3連結外形(703)のこの実施形態では、当該第3連結外形(703)の下唇部(704)の下側部(705)に凹部が存在しない。前記描写した多目的パネル(700)では、前記第1連結外形(701)は、さらに、当該第1連結外形(701)の遠位の側部(707)に設けられ、横向き舌部(708)の少なくとも一部の上方に位置する、別の第1ロック要素(706)を含む。また、前記第2連結外形(702)は、第2下向き凹部(712)とは反対側を向く下向き舌部(710)の遠位の側部(711)に設けられた、別の第2ロック要素(709)を含む。前記第3連結外形(703)も、上唇部(714)の側部(715)に設けられた、別の第3ロック要素(713)を含む。
図7aおよび
図7bに示す前記連結状態では、前記さらなる第3ロック要素(713)は、前記隣接するパネル(700)の前記第1連結外形(701)の前記遠位の側部(707)に面し、
図7cに示す前記連結状態では、前記さらなる第3ロック要素(713)は、隣接するパネル(700)の前記第2連結外形(702)の前記下向き舌部(710)の前記遠位の側部(711)に面する。
図7aから
図7cにさらに描写されているのは、二つのパネル(700)の連結状態において垂直方向のロック効果を創出するための前記さらなる第1ロック要素または前記さらなる第2ロック要素(706、709)と前記さらなる第3ロック要素(713)との間の共作用であり、当該共作用は、前記パネル(700)によって画定される平面(718)とともに角A1(717)を囲む接線T1(716)を画定し、前記角度A1(717)は、前記パネル(700)によって画定される前記平面(718)と接線T2(720)とによって囲まれた角度A2(719)よりも小さく、前記接線T2(720)は、前記第3凹部(723)の方を向く前記上向きロック要素(721)の近位の側部(722)の傾斜部と、第2下向きフランク(725)の方を向く前記下向き舌部(710)の近位の側部(724)の傾斜部との間または第1下向きフランク(727)の方を向く前記横向き舌部(708)の近位の側部(726)の傾斜部との間の共作用によって画定される。
【0138】
図7aから
図7cに示す前記連結外形(701、702、703)の前記実施形態では、前記第1連結外形(701)と前記第3連結外形(703)、または前記第2連結外形(702)と前記第3連結外形(703)は、連結状態において、複数の離れた接触区画(728)が存在するように構成され、各対の隣接する接触区画(728)間には空間(729)が残る。具体的には、
図7aおよび
図7bは、前記第1連結外形(701)の前記第1下向きフランク(727)と、当該第1下向きフランク(727)に面する、前記第3連結外形(703)の前記上向きロック要素(721)および前記下唇部(704)の遠位の側部(730)とが、互いから離れて配置されることを示す。さらに、前記第3連結外形(703)の前記上向きロック要素(721)の上側部(731)は、前記第1連結外形(701)の第1下向き凹部(732)の上側部(733)から離れて配置される。
図7cでは、前記第2連結外形(702)の前記第2下向きフランク(725)と、当該第2下向きフランク(725)に面する、前記第3連結外形(703)の前記上向きロック要素(721)および前記下唇部(704)の遠位の側部(730)とが、互いから離れて配置されることが分かる。また、前記第3連結外形(703)の前記上向きロック要素(721)の前記上側部(731)は、前記第2連結外形(702)の前記第2下向き凹部(712)の上側部(734)から離れて配置される。
【0139】
図5aから
図7cに係る前記実施形態では、前記コア材料は、前記コアは、
少なくとも一つのポリマーと、
少なくとも一つの可塑剤と、を含み、当該少なくとも一つの可塑剤は、
少なくとも七個の炭素原子を有するアルキル鎖バックボーンをもつオルトフタル酸エステル、特にDPHP(ビス(2-プロピルヘプチル)フタル酸エステル)、DIUP(フタル酸ジイソウンデシル)、またはDTDP(フタル酸ジイソトリデシル)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)と、
テレフタル酸エステル、好ましくは(DOTP(テレフタル酸ジオクチル)と、
シクロヘキサノエート、好ましくはDC9CH(シクロヘキサノエートジエステル)と、
クエン酸エステル、好ましくはATBC(アセチルクエン酸トリブチルを含む)アセチルクエン酸トリペンチル(ATPC)、アセチルクエン酸トリヘキシル(ATHC)、アセチルクエン酸トリヘプチル(ATHC)、アセチルクエン酸トリオクチル(ATOC)、アセチルクエン酸トリノニル(ATNC)と、
アジピン酸エステル、好ましくはDOA(アジピン酸ジオクチル)またはアジピン酸ビス(2‐エチルヘキシル)と、
リン酸エステル、好ましくはTPP(リン酸トリフェニル)と、
アゼライン酸エステル、好ましくはDiDA(アジピン酸ジイソデシル)またはアゼライン酸ジオクチルまたはアゼライン酸ジ(2‐エチルヘキシル)と、
トリメリット酸エステル、好ましくはTOTM(トリメリット酸トリス(2‐エチルヘキシル))、トリメリット酸トリブチル(TBTM)、トリメリット酸トリイソブチル(TiBTM)、トリメリット酸トリエチルヘキシル(TEHTM)、トリメリット酸トリイソノニル(TINTM)と、
ジ安息香酸エステル、好ましくはODEDB(ジ安息香酸オキシジエチレン)またはOXPDB(安息香酸オキシジプロピル)と、
1,2‐ベンゼンジカルボン酸と、
PVB(ポリビニルブチラール)と、からなる群(A)から選択される。
【0140】
前記コアのさらに可能かつ/または有利な組成は、上記に包括的に説明した。
上述の発明の概念は、いくつかの例示的な実施形態によって例示されている。個別の発明の概念が適用される際は、前記説明した例のその他の詳細を適用しなくても当該個別の発明の概念が適用される可能性があると考えられる。当業者は、具体的な用途に想到するために数多の発明の概念を組み合わせる(組み換える)ことができるということを理解することになるため、上述の発明の概念の全ての考え得る組み合わせの例を詳述する必要はない。
【0141】
本発明は、ここに図示および説明した実施例に限定されるのではなく、当業者に明らかになる添付の請求項の範囲内で数多の変形が可能であることが明らかになるだろう。
【0142】
本特許公報で使用される「を含む」という動詞およびその活用形は、「を含む」を意味するだけでなく、「を含有する」、「から実質的になる」、「によって形成される」というフレーズおよびそれらの活用形も意味すると理解される。