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特許7598861分析物監視システムの食事および治療インタフェースを改善するためのシステム、デバイス、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】分析物監視システムの食事および治療インタフェースを改善するためのシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20241205BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2021532232
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 US2020012134
(87)【国際公開番号】W WO2020142655
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】62/788,310
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ヘイター,ゲイリー エー
(72)【発明者】
【氏名】ブディマン,アーウィン エス
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0275910(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0012511(US,A1)
【文献】特表2014-524294(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0197628(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0323174(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0174675(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食事の摂取に伴って投与するための薬剤用量を決定するためのコンピュータ実施方法であって、前記方法が、
処理回路によって、前記食事に関連するユーザ入力されたエントリを受信するステップと、
前記処理回路によって、第1のデータベースを参照して、前記ユーザ入力されたエントリに基づき、前記食事に関連する複数の栄養パラメータを決定するステップと、
前記処理回路によって、第2のデータベースに記憶される食事履歴記録に含まれる複数の栄養パラメータと、前記食事に関連する前記複数の栄養パラメータとの差分合計の最小値であると、最も一致度の高い食事を識別するステップと、
前記処理回路によって、前記第2のデータベースにおいて、前記最も一致度の高い食事に関連する薬剤用量を決定するステップと、
前記薬剤用量を電子デバイスに出力するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記ユーザ入力されたエントリおよび決定された前記薬剤用量を前記第2のデータベースに記憶するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数の栄養パラメータが、炭水化物パラメータ、脂肪パラメータ、およびタンパク質パラメータを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
各食事履歴記録が、記憶された複数の栄養パラメータと、記憶された薬剤用量とを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記最も一致度の高い食事を識別するステップが、各食事履歴記録について記憶された前記複数の栄養パラメータと、前記食事に関連する前記複数の栄養パラメータとの間の差分合計の最小値を決定するステップを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記差分合計の最小値を決定するステップが、各食事履歴記録について、記憶された前記複数の栄養パラメータのそれぞれと、前記食事に関連する前記複数の栄養パラメータのそれぞれとの間の絶対的な百分率差分を計算するステップを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記差分合計の最小値を決定するステップが、1つ以上の重み付け係数を前記絶対的な百分率差分に適用するステップをさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記複数の栄養パラメータが、炭水化物パラメータ、脂肪パラメータ、およびタンパク質パラメータを含み、前記炭水化物パラメータの重み付け係数が、前記脂肪パラメータの重み付け係数および前記タンパク質パラメータの重み付け係数のそれぞれ以上である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、ウェブインタフェースを介して前記食事に関連する前記ユーザ入力されたエントリを入力するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、モバイルアプリのインタフェースを介して前記食事に関連する前記ユーザ入力されたエントリを入力するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記電子デバイスがスマートフォンである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記第1のデータベースの少なくとも一部を前記電子デバイスにダウンロードするステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記第2のデータベースが、前記電子デバイスに記憶されている、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記第2のデータベースが、場所に依存しないサーバに記憶されている、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記処理回路によって、前記第2のデータベースにおいて、前記最も一致度の高い食事と前記ユーザ入力されたエントリとの間のリンクを作成するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤用量が、インスリン用量を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
食事の摂取に伴って投与するための薬剤用量を決定するように構成された電子システムであって、前記システムが、
処理回路と、
複数の命令を含む非一時的なメモリと、
を備え、前記複数の命令は、実行される際に、前記処理回路に、
前記食事に関連するユーザ入力されたエントリを受信させ、
第1のデータベースを参照して、前記ユーザ入力されたエントリに基づき、前記食事に関連する複数の栄養パラメータを決定させ、
第2のデータベースに記憶される食事履歴記録に含まれる複数の栄養パラメータと、前記食事に関連する前記複数の栄養パラメータとの差分合計の最小値であると、最も一致度の高い食事を識別させ、
前記第2のデータベースにおいて、前記最も一致度の高い食事に関連する薬剤用量を決定させ、
前記薬剤用量を出力させる、
電子システム。
【請求項18】
前記複数の命令は、実行される際に、前記処理回路にさらに、前記ユーザ入力されたエントリおよび決定された前記薬剤用量を前記第2のデータベースに記憶させる、請求項17記載の電子システム。
【請求項19】
前記複数の栄養パラメータが、炭水化物パラメータ、脂肪パラメータ、およびタンパク質パラメータを含む、請求項17記載の電子システム。
【請求項20】
各食事履歴記録が、記憶された複数の栄養パラメータと、記憶された薬剤用量とを含む、請求項17記載の電子システム。
【請求項21】
前記複数の命令は、実行される際に、前記処理回路にさらに、各食事履歴記録について記憶された前記複数の栄養パラメータと、前記食事に関連する前記複数の栄養パラメータとの間の差分合計の最小値を決定させる、請求項20記載の電子システム。
【請求項22】
前記複数の命令は、実行される際に、前記処理回路にさらに、各履歴記録について、記憶された前記複数の栄養パラメータのそれぞれと、前記食事に関連する前記複数の栄養パラメータのそれぞれとの間の絶対的な百分率差分を計算させる、請求項21記載の電子システム。
【請求項23】
前記複数の命令は、実行される際に、前記処理回路にさらに、前記絶対的な百分率差分に1つ以上の重み付け係数を適用させる、請求項22記載の電子システム。
【請求項24】
前記複数の栄養パラメータが、炭水化物パラメータ、脂肪パラメータ、およびタンパク質パラメータを含み、前記炭水化物パラメータの重み付け係数が、前記脂肪パラメータの重み付け係数および前記タンパク質パラメータの重み付け係数のそれぞれ以上である、請求項23記載の電子システム。
【請求項25】
前記電子システムが、前記食事に関連する前記ユーザ入力されたエントリを受信するように構成されたウェブインタフェースをさらに備える、請求項17記載の電子システム。
【請求項26】
前記電子システムが、前記食事に関連する前記ユーザ入力されたエントリを受信するように構成されたモバイルアプリインタフェースをさらに備える、請求項17記載の電子システム。
【請求項27】
前記電子システムが、スマートフォンをさらに備える、請求項26記載の電子システム。
【請求項28】
前記複数の命令は、実行される際に、前記処理回路にさらに、前記第1のデータベースの少なくとも一部を非一時的なメモリにダウンロードさせる、請求項17記載の電子システム。
【請求項29】
前記第2のデータベースが、前記非一時的なメモリに記憶されている、請求項17記載の電子システム。
【請求項30】
前記第2のデータベースが、場所に依存しないサーバに記憶されている、請求項17記載の電子システム。
【請求項31】
前記複数の命令は、実行される際に、前記処理回路にさらに、前記第2のデータベースにおいて、前記最も一致度の高い食事と、前記ユーザ入力されたエントリとの間のリンクを作成させる、請求項17記載の電子システム。
【請求項32】
前記薬剤用量が、インスリン用量を含む、請求項17記載の電子システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する主題は、概して、分析物監視システムの食事および治療インタフェースを改善するためのシステム、デバイス、および方法に関する。特に、食事の摂取に伴って投与される薬剤用量を決定するための、食事開始および食事ピーク反応候補を識別するための、またユーザ主導分析物検査の助言を行うための実施形態が提供される。
【背景技術】
【0002】
過去数十年にわたる2型糖尿病およびメタボリック症候群の有症率の増加は、食生活および活動レベルの変化に起因しうる。例えば、より入手しやすい高血糖指数の食物を摂取すると、体重増加および肥満との正の関連性を有する食後の血糖およびインスリンレベルが急激に上昇する可能性がある。これらの状況は、上記の疾患および他の疾患の発症リスクを高めることにさらにつながる可能性がある。
【0003】
多くの人々は、一般に食生活の重要性を理解している。しかし、実際には、この一般的な認識を食物の具体的な選択につなげることに、多くの個人が苦慮している。これらの問題は主に、人々が自らの選択の影響を直接知ることができないために生じる。これにより、食事の量に関する思い違い、どの食物が比較的健康的であるかに関する誤解、健康の良好な維持に必要な活動の継続時間および強度に関する一般的な認識の欠如などが起きる。これらの問題は、広告、習慣、同調圧力、食物の好み、および過度な一般化に基づく助言などにより、さらに悪化する。
【0004】
これらの問題に対処するために、分析物監視システムによって個人の生理的反応を追跡して理解を深めることができる。高いグルコースレベルは、食物の摂取によって主に引き起こされるため、食後のグルコースレベルは、個人が摂取した炭水化物または他の食事成分の量、および食事に対する個人の生理的反応に関連する。しかし、このデータの流入を分析するには、効果的な行動を可能にする有意な形でデータを表現することが課題となる。食事の選択およびその後の影響に関するデータは、高血糖の発現などのグルコース変動を理解して緩和するために、臨床ベースでも、個人、食事管理者、および/または医療従事者にとっての個人ベースでも、理解される必要がある。
【0005】
個人の分析物データを食事の摂取ならびに食前および食後の反応と関連付けるための従来の解決策には、多くの欠陥がある。例えば、いくつかのシステムでは、個人が多数の不便かつ不快な個別の血糖測定(例えば、フィンガースティック血糖テスト)を行う必要がある。これらの解決策には、食事に対する血糖反応を適切に判断するためのデータポイントの数が不十分となる可能性もある。例えば、個人は、個人の血糖反応がピークに達する前または後の時間に個別の血糖測定を行う場合があり、血糖反応を正確に把握して、血糖反応に基づき食事を有意義に比較することが困難になる。データポイントが不足すると、個人の分析物データにおいて食事イベントの開始を自動的に検出することも困難になる。
【0006】
その上、従来のいくつかの既存システムでは、個人が手動で食事を記録することに大きく依存しており、これは信頼性に欠ける可能性がある。食前および食後の食事反応を決定する別のアプローチは、予め定められた時刻窓内で密なグルコース測定値を収集することを含み、窓内のグルコース値が、例えば、朝食前および/または朝食後の時間を表すものと仮定される。しかし、このアプローチに関して、推定値の信頼性は、患者の食事タイミングのルーチンの一貫性に大きく依存し、これも信頼性に欠ける可能性がある。
【0007】
他の従来システムは、特許文献1に記載されているように、単にグルコースレベルの上昇の有無に基づいて食事イベントを検出しようとするものである。しかし、これらのシステムは、個人の従来の食事履歴を考慮していないため、不適切となる可能性があり、個人が摂取した食事の回数を過大評価する可能性がある。
【0008】
関連する課題として、糖尿病患者個人が食事を摂取した後に起こる想定される血糖上昇を補償するための薬剤用量(例えば、インスリン用量)を決定することが挙げられる。この用量は、食事ボーラスと称されることが多い。投与される適当なインスリン量を決定するのは困難となる可能性があり、典型的には、個人のインスリン効果、個人のインスリンオンボード、および食事中の炭水化物の量などのパラメータに依存する、先行技術のボーラス計算器を使用することが必要となる。例えば、家庭で調理した食事の炭水化物含有量は、レシピに含まれる個々の成分の量に基づくことが多く、様々な回の食事の重量に基づいて推定することをユーザに要求する場合があるため、決定が困難となる可能性がある。食事の各回についての炭水化物の決定も要求される。例えば、肉、鍋料理、野菜を含む夕食の場合には、各成分について炭水化物含有量を個別に決定した後に、ボーラス計算器に入力するために合計しなければならない。そのような計算をするための時間および労力は、糖尿病患者にとって特に負担が大きく、糖尿病患者が炭水化物含有量を推測することも多くある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第2003/0208113号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの理由および他の理由から、分析物監視システム用の食事および治療インタフェースの改善が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
生体内分析物監視システムにおいて使用する改善された食事および治療インタフェースのためのシステム、デバイス、および方法の例示的な実施形態について、本明細書に記載する。これらの実施形態は、食事の摂取に伴って投与される薬剤用量を決定するための、食事開始および食事ピーク反応候補を識別するための、またユーザ主導分析物検査の助言を行うためのシステム、デバイス、および方法を提供することができる。
【0012】
一実施形態によれば、例えば、食事の摂取に伴って投与するための薬剤用量を決定するためのコンピュータ実施方法が、食事に関連するユーザ入力されたエントリを受信するステップと、第1のデータベースを参照して、食事に関連する1つ以上の栄養パラメータを決定するステップと、第2のデータベースにおいて、栄養パラメータに基づき、最も一致度の高い食事を識別するステップと、最も一致度の高い食事に関連する薬剤用量を決定するステップと、を含む。
【0013】
別の実施形態によれば、食事開始候補および食事ピーク反応候補のセットを識別するためのコンピュータ実施方法が、監視される分析物レベルに対応するデータポイントの時間微分を決定するステップと、時間微分に基づいて加速度の最適値を決定することにより、食事開始候補および食事ピーク反応候補のセットを作成するステップと、複数のユーザ主導検査を取得し、検査を時間クラスタにグループ化するステップと、各時間クラスタについて、時間クラスタ開始点、時間クラスタ終了点、および時間クラスタ中心傾向点を決定するステップと、食事開始候補のサブセットをセットから除去するステップであって、サブセットが、時間クラスタ開始点または時間クラスタ終了点のいずれかの所定の時間範囲内にない1つ以上の食事開始候補を含む、ステップとを含む。
【0014】
また別の実施形態によれば、ユーザ主導分析物検査の助言を行うためのコンピュータ実施方法が、ユーザによる記録された行動を受信するステップと、記録された行動が血糖リスクに関連するユーザ履歴行動に対応するかを判定するために履歴ログを評価するステップと、記録された行動が血糖リスクに関連するユーザ履歴行動に対応するとの判定に応じて、血糖リスクに関連する行動可能時間に達するまでの経過時間を計算するステップと、ユーザ主導分析物検査を実行するためのユーザへの通知を経過時間の後に出力するステップと、を含む。
【0015】
これらの検出メカニズムの一方または両方の組み合わせおよび/または変形例を実行するためのアルゴリズムおよび方法の多数の例が提供され、また、同じことを実行するためのシステムおよびデバイスの例示的な実施形態も提供される。
【0016】
以下の図および詳細な説明を検討すれば、本明細書に記載する主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴および利点が、当業者にとって明らかになるであろう。このような追加のシステム、方法、特徴および利点は全て、本説明に含まれ、本明細書に記載する主題の範囲内であり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。例示的な実施形態の特徴は、これらの特徴を特許請求の範囲に明示的に記載していない限り、いかなる方法でも添付の特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書に記載する主題の詳細は、その構造と動作の両方に関して、同様の参照数字が同様の部分を指す添付の図の検討によって明らかになるであろう。図中のコンポーネントは必ずしも縮尺に従っておらず、代わりに主題の原理を例示することに重点が置かれている。その上、全ての図は、考え方を伝えることを意図しており、相対的なサイズ、形状、および他の詳細な属性が、文字通りにまたは正確にではなく、模式的に図示されている場合がある。
図1】生体内分析物監視システムの例示的な実施形態を示す説明図である。
図2】リーダデバイスの例示的な実施形態のブロック図である。
図3】センサ制御デバイスの例示的な実施形態のブロック図である。
図4】食事の摂取に伴って投与される薬剤用量を決定するように構成されたシステムアーキテクチャの例示的な実施形態のブロック図である。
図5】食事の摂取に伴って投与される薬剤用量を決定するための方法の例示的な実施形態を示すフロー図である。
図6A】ユーザ主導分析物検査の分布を示すグラフである。
図6B】ユーザ主導分析物検査の分布を示すグラフである。
図6C】ユーザ主導分析物検査の分布を示すグラフである。
図7A】様々な分析物の測定値およびその特性を示すグラフである。
図7B】様々な分析物の測定値およびその特性を示すグラフである。
図8】食事開始および食事ピーク反応候補のセットを決定するための方法の例示的な実施形態を示すフロー図である。
図9A】食事開始および食事ピーク反応候補のセットを決定するための方法の例示的な別の実施形態を示すフロー図である。
図9B】食事開始および食事ピーク反応候補のセットを決定するための方法の例示的な別の実施形態を示すフロー図である。
図9C】食事開始および食事ピーク反応候補のセットを決定するための方法の例示的な別の実施形態を示すフロー図である。
図10】ユーザ主導分析物検査の助言を行うための方法の例示的な実施形態を示すフロー図である。
図11】ユーザ主導分析物検査の助言を行うための方法の例示的な別の実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本主題について詳細に説明する前に、本開示は、記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、当然ながら変化しうることを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本開示の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0019】
本明細書で説明する刊行物は、本出願の出願日以前の開示についてのみ提供される。本明細書のいかなる部分も、本開示が以前の開示によってそのような刊行物に先行する権利を有していないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提示される刊行日は、個々に確認される必要がありうる実際の刊行日とは異なる場合がある。
【0020】
一般に、本開示の実施形態は、体液中(例えば、皮下の間質液(「ISF;interstitial fluid」)中または血液中、真皮層の真皮液中など)の、グルコースなどの少なくとも1つの分析物を検出するためのシステム、デバイス、および方法によって使用する。したがって、多くの実施形態は、生体内分析物センサであって、身体の少なくとも1つの分析物に関する情報を得るために、センサの少なくとも一部がユーザの身体内に配置されるか、または配置できるように構造的に構成された生体内分析物センサを含む。しかし、本明細書に開示する実施形態は、試験管内能力を組み込んだ生体内分析物監視システムだけでなく、純粋に試験管内または生体外の分析物監視システム(完全に非侵襲的なこれらのシステムを含む)によっても使用することができる。
【0021】
さらに、本明細書に開示する方法の各実施形態について、本開示の範囲内には、これらの各実施形態を実行できるシステムおよびデバイスが含まれる。例えば、電子システムの実施形態が開示され、これらの電子システムは、任意および全ての方法ステップを実行できるか、または任意および全ての方法ステップの実行を促進できる、(例えば、命令を記憶するための)非一時的なメモリ、(例えば、命令を実行するための)処理回路、電源、通信回路、送信器、受信器、および/またはコントローラを含むことができる。
【0022】
本開示の多数の実施形態は、食事および治療インタフェースに関して、分析物監視システムのコンピュータ実施能力を向上させるように設計される。いくつかの実施形態では、例えば、食事の摂取に伴って投与するための薬剤用量を、データベースにおいて、特定の栄養パラメータに基づいて最も一致度の高い食事を識別することにより、決定することができる。これらの実施形態は、例えば、食事の栄養素含有量に関する個人の推測に依存する代わりに、個人自身の血糖反応および薬剤用量の履歴を参照することにより、用量決定ソフトウェアの精度を向上させることができる。
【0023】
他の実施形態によれば、監視される分析物レベルを示すデータを分析物センサから受信し、食事開始時間および食事ピーク反応候補のセットを識別するために処理回路によって使用することができる。これらの実施形態は、ユーザの推定または毎日の食事ルーチンの厳密な遵守に依存する必要なしに、食事開始時間および食事ピーク反応時間を決定するためのソフトウェアの精度を向上させることができる。さらに、これらの実施形態は、食事開始および食事ピーク反応候補の限定されたより正確なセットを、グラフィカルインタフェースを介して提示することができ、これにより、ユーザは、分析物監視システムによって収集された分析物データをより効率的に閲覧することができる。
【0024】
また他の実施形態によれば、ユーザによる現在の記録された行動が関連する血糖リスクを有すると判定した場合には、ユーザ主導分析物検査(例えば、センサスキャン)を実行する旨の助言を経過時間の後にユーザに出力することができる。これらの実施形態は、ユーザの過去の行動および関連する血糖リスクの履歴ログを評価して、将来のユーザ主導分析物検査の理由になるかどうかを判定する。この点に関して、これらの実施形態は、受動的なインタフェースを有する既知のシステムと比較して、インタラクティブなユーザインタフェースを介してシステムのユーザ関与を増大および/または維持することにより、分析物監視システムを改善する。
【0025】
したがって、本明細書に記載する実施形態は、多くの点で、従来の分析物監視システムおよびこれに対応するユーザインタフェースに対する様々なコンピュータ実施の改良を示す。特に、これらの実施形態は、薬剤用量の決定、食事開始および食事ピーク反応の検出、ならびに血糖リスクの判断に関して、分析物監視システムの精度を向上させる。さらに、本明細書に記載する実施形態は、特定の種類のデータ(例えば、ユーザ主導分析物検査の情報)を従来とは異なる方法で利用する。開示する実施形態の他の特徴および利点については、以下でさらに説明する。
【0026】
しかし、実施形態について詳細に説明する前に、例えば生体内分析物監視システム内に存在できるデバイスの例、およびその動作例について最初に説明することが望ましく、これらは全て、本明細書に記載する実施形態によって使用することができる。
【0027】
分析物監視システムの例示的な実施形態
分析物監視システムには、様々な種類がある。「持続的分析物監視」システム(または「持続的グルコース監視」システム)は、例えば、センサ制御デバイスからリーダデバイスに、プロンプティングなしに、例えばスケジュールに従って自動的に、データを繰り返しまたは連続的に送信できる生体内システムである。別の例として、「フラッシュ分析物監視」システム(または「フラッシュグルコース監視」システム、または単に「フラッシュ」システム)は、近距離無線通信(NFC;near field communication)または無線周波数認識(RFID;radio frequency identification)プロトコルを用いるなどして、リーダデバイスによるスキャンまたはデータ要求に応じて、センサ制御デバイスからデータを転送できる生体内システムである。生体内分析物監視システムは、フィンガースティックの較正を必要とせずに動作することもできる。
【0028】
生体内監視システムは、生体内に配置された状態でユーザの体液と接触し、その中に含まれる1つ以上の分析物レベルを検出するセンサを含むことができる。センサは、ユーザの身体上に存在し、分析物の検知を可能にし、制御する電子機器および電源を含む、センサ制御デバイスの一部とすることができる。センサ制御デバイスおよびその変形例については、いくつかの例を挙げると、「センサ制御ユニット」、「オンボディ電子機器」デバイスもしくはユニット、「オンボディ」デバイスもしくはユニット、または「センサデータ通信」デバイスもしくはユニットなどと称することもできる。本明細書で使用する場合に、これらの用語は、分析物センサを有するデバイスに限定されず、生体的であるか、または非生体的であるかにかかわらず、他の種類のセンサを有するデバイスを包含する。用語「オンボディ」は、ウェアラブルデバイス(例えば、眼鏡、腕時計、リストバンドまたはブレスレット、ネックバンドまたはネックレスなど)のように、身体上に直接または身体に近接して存在するあらゆるデバイスを指す。
【0029】
生体内監視システムは、検知された分析物データをセンサ制御デバイスから受信する1つ以上のリーダデバイスを含むこともできる。これらのリーダデバイスは、検知された分析物データ、すなわちセンサデータを処理し、かつ/または任意の数の形式でユーザに表示することができる。これらのデバイスおよびその変形例については、いくつかの例を挙げると、「ハンドヘルドリーダデバイス」、「リーダデバイス」(もしくは単に「リーダ」)、「ハンドヘルド電子機器」(もしくはハンドヘルド)、「ポータブルデータ処理」デバイスもしくはユニット、「データ受信器」、「受信器」デバイスもしくはユニット(もしくは単に受信器)、「リレー」デバイスもしくはユニット、または「リモート」デバイスもしくはユニットと称することができる。パーソナルコンピュータのような他のデバイスも、生体内および試験管内監視システムによって利用されたり、これらに組み込まれたりしている。
【0030】
生体内分析物監視システムは、「試験管内」(むしろ「生体外」)システムであって、身体の外側の生物学的サンプルに接触し、典型的にユーザの分析物レベルを決定するために分析されうるユーザの体液を運ぶ、分析物テストストリップを受けるためのポートを有するメーターデバイスを含むシステムと区別することができる。言及したように、本明細書に記載する実施形態は、生体内システム、試験管内システム、およびこれらの組み合わせによって使用することができる。
【0031】
本明細書に記載する実施形態は、任意の数の1つ以上の異なる分析物に関する情報を監視および/または処理するために使用することができる。監視されうる分析物としては、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、糖化ヘモグロビン(HbAlc)、クレアチンキナーゼ(例えば、CK-MB)、クレアチン、クレアチニン、DNA、フルクトサミン、グルコース、グルコース誘導体、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、ケトン体、乳酸、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、トロポニンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、抗生物質(ゲンタマイシン、バンコマイシンなど)、ジギトキシン、ジゴキシン、依存性薬物、テオフィリン、ワルファリンなどの薬物の濃度も監視してもよい。2つ以上の分析物を監視する実施形態では、分析物を同じ時間または異なる時間に監視してもよい。
【0032】
図1は、有線または無線であってよく、一方向または双方向でありうるローカル通信経路(またはリンク)140を介して互いに通信するセンサ制御デバイス102およびリーダデバイス120を有する生体内分析物監視システム100の例示的な実施形態を示す説明図である。いくつかの実施形態によれば、生体内監視システム100は、通信経路(またはリンク)144を介してセンサ制御デバイス102と通信できかつ/または通信経路(またはリンク)145を介してリーダデバイス120と通信できる、スマートウォッチなどのウェアラブル電子機器120Bも含むことができる。通信経路144および145は、有線または無線であってよく、一方向または双方向であってよい。経路140,144および145が無線である実施形態では、近距離無線通信(NFC)プロトコル、RFIDプロトコル、BluetoothまたはBluetooth Low Energyプロトコル、Wi-Fiプロトコル、独自プロトコル(本出願の日付の時点で存在するもの、または後に開発されたその変形例を含む)などを使用することができる。
【0033】
リーダデバイス120は、通信経路(またはリンク)141を介してコンピュータシステム170(例えば、ローカルまたはリモートのコンピュータシステム)と、また通信経路(またはリンク)142を介してインターネットまたはクラウドなどのネットワーク190と、有線、無線、または複合通信を行うこともできる。ネットワーク190との通信は、ネットワーク190内の信頼性を有するコンピュータシステム180との通信、または通信リンク(または経路)143を介したコンピュータシステム170へのネットワーク190を介した通信を含むことができる。通信経路141,142および143は、無線、有線、またはこれらの両方であることができ、一方向または双方向であることができ、Wi-Fiネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN;local area network)、ワイドエリアネットワーク(WAN;wide area network)、インターネット、または他のデータネットワークなどの電気通信ネットワークの一部であることができる。場合によっては、通信経路141および142は同じ経路であることができる。経路140,141および142を介した通信は全て暗号化することができ、センサ制御デバイス102、リーダデバイス120、コンピュータシステム170、および信頼性を有するコンピュータシステム180はそれぞれ、送受信されるこれらの通信を暗号化および復号するように構成することができる。
【0034】
デバイス102および120の変形例、ならびに本明細書に記載するシステム、デバイス、および方法の実施形態によって使用するのに適した生体内ベースの分析物監視システムの他のコンポーネントについては、米国特許出願公開第2011/0213225号(’225公報)に記載されており、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
センサ制御デバイス102は、生体内分析物監視回路および電源を収容するハウジング103を含むことができる。本実施形態では、生体内分析物監視回路は、粘着パッチ105を貫通してハウジング103から離れるように突出する分析物センサ104と電気的に結合される。粘着パッチ105は、ユーザの身体の皮膚表面に取り付けるための粘着層(図示せず)を含む。粘着に加えて、または粘着の代わりに、身体への他の形式の身体取り付けを使用してもよい。
【0036】
センサ104は、ユーザの身体に少なくとも部分的に挿入されるように適合されており、そのユーザの体液(例えば、皮下(真皮下)液、皮膚液、または血液)と流体的に接触し、生体内分析物監視回路とともにユーザの分析物関連データを測定するために使用することができる。センサ104および任意の関連するセンサ制御電子機器は、任意の所望の方法で身体に適用することができる。例えば、挿入デバイス(図示せず)を使用して、分析物センサ104の全体または一部を、ユーザの皮膚の外面を通して、ユーザの体液と接触するように配置することができる。その際、挿入デバイスは、粘着パッチ105によってセンサ制御デバイス102を皮膚上に配置することもできる。他の実施形態では、挿入デバイスは、最初にセンサ104を配置し、関連するセンサ制御電子機器をその後に手動でまたは機械的デバイスの助けを借りるかのいずれかでセンサ104と結合することができる。挿入デバイスの例については、米国特許出願公開第2008/0009692号、同第2011/0319729号、同第2015/0018639号、同第2015/0025345号、および同第2015/0173661号に記載されており、これらは全て、その全体があらゆる目的で参照によって本明細書に組み込まれる。
【0037】
ユーザの身体から生データを収集した後に、センサ制御デバイス102は、データにアナログ信号調整を施し、データをデジタル形式の調整された生データに変換することができる。いくつかの実施形態では、センサ制御デバイス102は、次いで、デジタル生データをアルゴリズム的に処理して、ユーザの測定された生体情報(例えば、分析物レベル)および/またはこれに基づく1つ以上の分析物メトリックを表す形式にすることができる。例えば、センサ制御デバイス102は、分析物メトリックを計算し、本明細書に記載する方法ステップのいずれかをアルゴリズム的に実行する、処理回路を含むことができる。センサ制御デバイス102は、次いで、計算された分析物メトリック、処理されたセンサデータ、通知、または任意の他のデータを符号化して、リーダデバイス120および/またはウェアラブル電子機器120Bに無線通信することができ、リーダデバイスおよび/またはウェアラブル電子機器は、ユーザへのデジタル表示のために受信されたデータを形式化またはグラフィック処理することができる。他の実施形態では、センサデータを別のデバイス(例えば、リーダデバイス120および/またはウェアラブル電子機器120B)に無線通信するのに加えて、またはこれに代えて、センサ制御デバイス102は、最終形式のデータを表示できる状態にグラフィック処理し、そのデータをセンサ制御デバイス102のディスプレイに表示することができる。いくつかの実施形態では、(グラフィック処理の前の)最終形式の生体データは、ユーザへの表示のための処理なしに、システムによって使用される(例えば、糖尿病監視計画に統合される)。
【0038】
また他の実施形態では、調整された生のデジタルデータは、別のデバイス、例えば、リーダデバイス120および/またはウェアラブル電子機器120Bに送信するために符号化することができ、別のデバイスは、次いで、そのデジタル生データをアルゴリズム的に処理して、ユーザの測定された生体情報および/またはこれに基づく1つ以上の分析物メトリックを表す形式(例えば、ユーザへの表示に適するように直ちに成しうる形式)にする。リーダデバイス120および/またはウェアラブル電子機器120Bは、分析物メトリックを計算し、本明細書に記載する方法ステップのいずれかをアルゴリズム的に実行する、処理回路を含むことができる。このアルゴリズム的に処理されたデータは、次いで、ユーザへのデジタル表示のために形式化またはグラフィック処理することができる。
【0039】
他の実施形態では、センサ制御デバイス102およびリーダデバイス120は、アルゴリズム処理および表示のために、デジタル生データを別のコンピュータシステムに送信する。
【0040】
リーダデバイス120は、ユーザに情報を出力する、かつ/またはユーザからの入力を受け入れるためのディスプレイ122と、データ、コマンドを入力するか、またはリーダデバイス120の動作を制御するための、ボタン、アクチュエータ、タッチ検知スイッチ、静電容量スイッチ、感圧スイッチ、ジョグホイールなどの任意選択的な(1つ以上の)入力コンポーネント121とを含むことができる。特定の実施形態では、ディスプレイ122および入力コンポーネント121は、単一のコンポーネントに統合されてもよく、例えば、ディスプレイは、タッチスクリーンユーザインタフェースのように、ディスプレイ上での物理的な接触タッチの存在および位置を検出することができる。特定の実施形態では、リーダデバイス120の入力コンポーネント121は、マイクを含んでもよく、リーダデバイス120は、リーダデバイス120の機能および動作を音声コマンドによって制御できるように、マイクから受信された音声入力を分析するように構成されたソフトウェアを含んでもよい。特定の実施形態では、リーダデバイス120の出力コンポーネントが、情報を可聴信号として出力するためのスピーカ(図示せず)を含む。スピーカ、マイク、および音声駆動信号を生成、処理、および記憶するソフトウェアルーチンなどの同様の音声応答コンポーネントが、センサ制御デバイス102に含まれてもよい。いくつかの実施形態によれば、ウェアラブル電子機器120Bは、リーダデバイス120の同様のコンポーネントと同様の方法で機能する、(タッチスクリーンユーザインタフェースを有しうる)ディスプレイ122Bおよび任意選択的な入力コンポーネント121Bを含む、コンポーネントを含むことができる。
【0041】
リーダデバイス120は、コンピュータシステム170またはセンサ制御デバイス102などの外部デバイスと有線でデータ通信するための1つ以上のデータ通信ポート123を含むこともできる。例示的なデータ通信ポートとしては、USBポート、mini USBポート、USB Type-Cポート、USB micro-Aおよび/またはmicro-Bポート、RS-232ポート、Ethernetポート、Firewireポート、または互換性のあるデータケーブルに接続するように構成された他の同様のデータ通信ポートが挙げられる。リーダデバイス120は、試験管内血糖測定を実行するための試験管内血糖テストストリップを受け入れる試験管内テストストリップポート(図示せず)を含む、統合されたまたは装着可能な試験管内グルコース計も含んでもよい。
【0042】
リーダデバイス120および/またはウェアラブル電子機器120Bは、センサ制御デバイス102から無線で受信された測定された生体データを表示することができ、視覚的、聴覚的、触覚的、またはこれらの任意の組み合わせであるアラーム、アラート通知、グルコース値などを出力するように構成することもできる。更なる詳細および他のディスプレイの実施形態については、例えば、米国特許出願公開第2011/0193704号明細書に見出すことができ、同文献は、その全体が全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
リーダデバイス120は、測定されたデータおよび/または分析物メトリックをセンサ制御デバイス102からコンピュータシステム170または信頼性を有するコンピュータシステム180に転送するデータ管路として機能することができる。特定の実施形態では、センサ制御デバイス102から受信されたデータは、システム170,180またはネットワーク190にアップロードする前に、リーダデバイス120の1つ以上のメモリに(永久的または一時的に)記憶されてもよい。
【0044】
コンピュータシステム170は、パーソナルコンピュータ、サーバ端末、ラップトップコンピュータ、タブレット、または他の適切なデータ処理デバイスであってもよい。コンピュータシステム170は、データ管理および分析、ならびに分析物監視システム100内のコンポーネントとの通信のためのソフトウェアであることができる(または同ソフトウェアを含むことができる)。コンピュータシステム170は、センサ制御デバイス102によって測定された生体データを表示および/または分析するために、ユーザまたは医療専門家によって使用することができる。いくつかの実施形態では、センサ制御デバイス102は、生体データをリーダデバイス120などの仲介なしに、コンピュータシステム170に直接通信することができ、または(任意選択的に、最初にリーダデバイス120にも送信せずに)インターネット接続を使用してコンピュータシステムに間接的に通信することができる。コンピュータシステム170の動作および使用については、本明細書に組み込まれた’225公報にさらに記載されている。分析物監視システム100は、組み込まれた’225公報にも記載されているように、データ処理モジュール(図示せず)によって動作するように構成することもできる。
【0045】
信頼性を有するコンピュータシステム180は、物理的に、または安全な接続を介して仮想的にのいずれかで、センサ制御デバイス102の製造業者または販売業者の所有のうちにあることができ、センサ制御デバイス102の認証を実行してユーザの生体データを安全に記憶するために、および/またはユーザの測定データに関する分析を実行するための(例えば、ウェブブラウザを介してアクセス可能な)データ分析プログラムを提供するサーバとして、使用することができる。
【0046】
リーダデバイスの例示的な実施形態
リーダデバイス120は、モバイル通信デバイス、例えば、(センサ制御デバイス102および任意選択的にはコンピュータシステム170と通信するように構成されるが、携帯電話通信能力を有していない)専用のリーダデバイス、またはWi-Fiもしくはインターネットに対応可能なスマートフォン、タブレット、もしくは携帯情報端末(PDA;personal digital assistant)を含むが、これらに限定されない携帯電話などとすることができる。スマートフォンの例としては、Windows(登録商標)オペレーティングシステム、Android(商標)オペレーティングシステム、iPhone(登録商標)オペレーティングシステム、Palm(登録商標) WebOS(商標)、Blackberry(登録商標)オペレーティングシステム、またはSymbian(登録商標)オペレーティングシステムをベースとし、インターネット接続および/またはローカルエリアネットワーク(LAN)を介したデータ通信のためのデータネットワーク接続機能を有する携帯電話を挙げることができる。
【0047】
リーダデバイス120は、ユーザの目の上または隣に装着される光学アセンブリ(例えば、モバイル通信デバイスである、Googleグラスなどの1つ以上のスマートグラス)などの、携帯型のスマートウェアラブル電子機器アセンブリとして構成することもできる。この光学アセンブリは、(本明細書に記載しているような)ユーザの分析物レベルに関する情報をユーザに表示すると同時に、ユーザの視界全体の妨げが最小限となるようにユーザがディスプレイを通して見ることができる、透明なディスプレイを有することができる。光学アセンブリは、スマートフォンと同様の無線通信を行うことができてもよい。ウェアラブル電子機器の他の例としては、ユーザの手首(例えば、腕時計など)、首(例えば、ネックレスなど)、頭(例えば、ヘッドバンド、帽子など)、胸などの周りに、またはこれらの近くに装着されるデバイスが挙げられる。いくつかの実施形態によれば、例えば、ウェアラブル電子機器は、図1に示すように、通信経路144を介してセンサ制御デバイス102に対して、かつ/または通信経路145を介してリーダデバイス120に対して、直接データを送受信できるスマートウォッチ120Bを含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、ウェアラブル電子機器120Bは、ウェアラブル電子機器120Bの処理回路によって実行される際に、検知された分析物レベルを示すデータをウェアラブル電子機器のディスプレイ122B上のユーザインタフェースに表示したり、聴覚もしくは振動アラートを出力したりするなど、出力を生成するためのプログラムを処理回路に実行させる、命令を記憶するためのメモリに結合された処理回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、検知された分析物レベルを示すデータは、センサ制御デバイス102またはリーダデバイス120のいずれかまたは両方からウェアラブル電子機器120Bによって受信することができる。
【0048】
図2は、スマートフォンとして構成されたリーダデバイス120の例示的な実施形態のブロック図である。ここで、リーダデバイス120は、入力コンポーネント121、ディスプレイ122、および処理回路206を含み、処理回路は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、および/またはマイクロコントローラを含むことができ、これらはそれぞれ、個別のチップであるか、または多数の異なるチップ(およびその一部)に分散することができる。ここで、処理回路206は、オンボードメモリ203を有する通信プロセッサ202と、オンボードメモリ205を有するアプリケーションプロセッサ204とを含む。リーダデバイス120は、RFアンテナ209と結合されたRF通信回路208、メモリ210、関連する1つ以上のアンテナ214を有する多機能回路212、電源216、電力管理回路218、およびクロック219をさらに含む。図2は、スマートフォン内に存在する典型的なハードウェアおよび機能性の略図であり、当業者は、他のハードウェアおよび機能性(例えば、コーデック、ドライバ、グルーロジック)も含まれうることを容易に認識するであろう。
【0049】
通信プロセッサ202は、RF通信回路208とインタフェースし、音声、ビデオ、およびデータ信号を、RF通信回路208への提供に適した(例えば、同相および直交)形式に変換することを促進する、アナログ-デジタル変換、符号化および復号、デジタル信号処理、ならびに他の機能を実行することができ、RF通信回路は、次いで、信号を無線で送信することができる。通信プロセッサ202は、RF通信回路208とインタフェースして、無線送信を受信してデジタルデータ、音声、およびビデオに変換するのに必要な逆の機能を実行することもできる。RF通信回路208は、(例えば、送受信器として統合された)送信器と受信器、および関連するエンコーダロジックを含むことができる。
【0050】
アプリケーションプロセッサ204は、オペレーティングシステムおよびリーダデバイス120に常駐する任意のソフトウェアアプリケーションを実行し、ビデオおよびグラフィックスを処理し、RFアンテナ209を介して送受信される通信の処理に関連しないその他の機能を実行するように適合させることができる。スマートフォンのオペレーティングシステムは、リーダデバイス120上の多数のアプリケーションと連携して動作する。任意の数の(「ユーザインタフェースアプリケーション」としても知られる)アプリケーションをリーダデバイス120上で一度に実行することができ、これらは、糖尿病監視計画に関連する1つ以上のアプリケーションを、そのような計画に関係しない他の一般的に使用されるアプリケーション、例えば、電子メール、カレンダ、天気、スポーツ、ゲームなどに加えて含んでもよい。例えば、リーダデバイスによって受信された検知された分析物レベルおよび試験管内血液分析物測定値を示すデータを、リーダデバイス120のメモリ210に常駐するユーザインタフェースアプリケーションに安全に通信することができる。そのような通信は、例えば、モバイルアプリケーションのコンテナ化またはラッピング技術の使用によって、安全に実行することができる。加えて、いくつかの実施形態によれば、リーダデバイス120は、検知された分析物レベルを示すデータをウェアラブル電子機器120Bと通信するためのアプリケーションを含むこともできる。
【0051】
メモリ210は、リーダデバイス120内に存在する様々な機能ユニットの1つ以上によって共有することができ、または2つ以上の機能ユニットに(例えば、異なるチップ内に存在する別個のメモリとして)分散させることができる。メモリ210は、それ自体の別個のチップとすることもできる。メモリ203,205および210は、非一時的なものであり、揮発性メモリ(例えば、RAMなど)および/または不揮発性メモリ(例えば、ROM、フラッシュメモリ、F-RAMなど)とすることができる。
【0052】
多機能回路212は、例えば、適当なプロトコル(例えば、Wi-Fi、Bluetooth、Bluetooth Low Energy、近距離無線通信(NFC)、無線周波数認識(RFID)、独自プロトコルその他)の下でのセンサ制御デバイス102とのローカル無線通信、リーダデバイス120の地理的位置の決定(例えば、全地球測位システム(GPS;global positioning system)ハードウェア)などの他の機能を実行する1つ以上のチップおよび/またはコンポーネント(例えば、送信器、受信器、送受信器、および/または他の通信回路)として実装することができる。1つ以上の他のアンテナ214は、様々なプロトコルおよび回路によって動作するために必要に応じて、機能回路212と関連付けられる。
【0053】
電源216は、1つ以上の電池を含むことができ、電池は、充電可能な電池または単回使用の使い捨て電池とすることができる。電力管理回路218は、電池充電および電源監視の調整、電力の昇圧、DC変換などを行うことができる。
【0054】
リーダデバイス120は、例えば、共通のハウジングを共有するように、薬物(例えば、インスリンなど)送達デバイスを含むか、またはこれらと統合することもできる。そのような薬物送達デバイスの例としては、数時間または数日間にわたる注入ができるように身体内に留まるカニューレを有する薬剤ポンプ(例えば、ベーサルおよびボーラスインスリンを送達するためのウェアラブルポンプ)を挙げることができる。リーダデバイス120は、薬剤ポンプと組み合わされる場合には、薬物を貯蔵するリザーバ、移送チューブに接続可能なポンプ、および注入カニューレを含むことができる。ポンプは、糖尿病患者の身体に挿入されたカニューレを介して、薬物をリザーバからチューブを介して身体内に送り込むことができる。リーダデバイス120と一緒に(または統合して)含めることができる薬物送達デバイスの他の例としては、各送達のためだけに皮膚に穴を開け、その後に取り外される、携帯型注射デバイス(例えば、インスリンペン)が挙げられる。リーダデバイス120は、携帯型注射デバイスと組み合わされる場合には、注射針、薬物を運ぶためのカートリッジ、送達される薬物の量を制御するためのインタフェース、および注射を行うためのアクチュエータを含むことができる。デバイスを薬物がなくなるまで繰り返し使用することができ、その時点で、組み合わされたデバイスを廃棄することができ、またはカートリッジを新しいものと交換することができ、その時点で、組み合わされたデバイスを繰り返し使用することができる。針は、各注射の後に交換することができる。
【0055】
組み合わされたデバイスは、閉ループシステム(例えば、動作にユーザの介入を必要としない人工膵臓システム)または半閉ループシステム(例えば、投与量の変更を確認するなどの動作にユーザの介入をほとんど必要としないインスリンループシステム)の一部として機能することができる。例えば、糖尿病患者の分析物レベルは、センサ制御デバイス102によって繰り返し自動的に監視することができ、センサ制御デバイスは、次いで、その監視される分析物レベルをリーダデバイス120に通信することができ、糖尿病患者の分析物レベルを制御するための適当な薬物用量を自動的に決定し、その後に糖尿病患者の身体に送達することができる。ポンプおよびインスリンの送達量を制御するためのソフトウェア命令を、リーダデバイス120のメモリに記憶し、リーダデバイスの処理回路によって実行することができる。これらの命令は、センサ制御デバイス102から直接または間接的に得られた分析物レベルの測定値に基づいて、薬物送達量および継続時間(例えば、ボーラス注入および/またはベーサル注入プロファイル)を計算させることもできる。いくつかの実施形態では、センサ制御デバイス102は、薬物用量を決定し、これをリーダデバイス120に通信することができる。
【0056】
センサ制御デバイスの例示的な実施形態
図3は、分析物センサ104と、ユーザへの表示に適するように最終結果データをレンダリングするための処理能力の大部分を有しうる(分析物監視回路を含む)センサ電子機器250と、を有するセンサ制御デバイス102の例示的な実施形態を示すブロック図である。図3では、カスタム特定用途向け集積回路(ASIC;application specific integrated circuit)でありうる単一の半導体チップ251が示されている。ASIC251内には、アナログフロントエンド(AFE;analog front end)252、電力管理(または制御)回路254、処理回路256、および(送信器、受信器、送受信器、受動回路として、または通信プロトコルに従って実装されうる)通信回路258を含む、特定の高レベル機能ユニットが示されている。本実施形態では、AFE252と処理回路256の両方が分析物監視回路として使用されるが、他の実施形態では、いずれかの回路が分析物監視機能を実行することができる。処理回路256は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、および/またはマイクロコントローラを含むことができ、これらはそれぞれ、個別のチップであるか、または複数の異なるチップ(およびその一部)に分散することができる。
【0057】
メモリ253が、ASIC251内にも含まれ、ASIC251内に存在する様々な機能ユニットによって共有することができ、また、2つ以上の機能ユニットに分散することができる。メモリ253は、別個のチップとすることもできる。メモリ253は、非一時的なものであり、揮発性および/または不揮発性のメモリとすることができる。本実施形態では、ASIC251は、コイン形電池などでありうる電源260と結合される。AFE252は、生体内分析物センサ104とインタフェースし、そこから測定データを受信し、データをデジタル形式で処理回路256に出力し、処理回路は、いくつかの実施形態では、本明細書の他の箇所に記載した任意の態様で処理することができる。このデータは、例えば、データを表示するために常駐するソフトウェアアプリケーションによって最小限の更なる処理が必要とされる場合に、次いで、アンテナ261を介してリーダデバイス120(図示せず)に送信するために、通信回路258に提供することができる。アンテナ261は、アプリケーションおよび通信プロトコルの必要性に応じて構成することができる。アンテナ261は、例えば、プリント回路基板(PCB;printed circuit board)トレースアンテナ、セラミックアンテナ、または別個の金属アンテナとすることができる。アンテナ261は、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、F型アンテナ、ループアンテナその他として構成することができる。
【0058】
情報は、センサ制御デバイス102またはリーダデバイス120の主導で、センサ制御デバイス102から第2のデバイス(例えば、リーダデバイス120)に通信されてもよい。例えば、情報は、分析物情報を利用できる場合には、センサ制御デバイス102によって自動的にかつ/もしくは繰り返し(例えば、連続的に)通信することができ、またはスケジュール(例えば、約1分ごと、約5分ごと、約10分ごとなど)に従って通信することができ、この場合、情報は、後の通信のためにセンサ制御デバイス102のメモリに記憶または記録することができる。情報は、第2のデバイスによる要求の受信に応じて、センサ制御デバイス102から送信することができる。この要求は、自動化された要求、例えば、スケジュールに従って第2のデバイスによって送信される要求とすることができ、または、ユーザの主導で生成される要求(例えば、アドホックなもしくは手動の要求、すなわち「ユーザ主導分析物検査」)とすることができる。いくつかの実施形態では、データの手動要求が、センサ制御デバイス102の「スキャン」またはデバイス102からの「オンデマンド」データ転送と称される。いくつかの実施形態では、第2のデバイスは、ポーリング信号またはデータパケットをセンサ制御デバイス102に送信することができ、デバイス102は、各ポーリング(または一定の時間間隔で発生するポーリング)をデータの要求として取り扱うことができ、データを利用できる場合に、そのようなデータを第2のデバイスに送信することができる。多くの実施形態では、センサ制御デバイス102と第2のデバイスとの間の通信は安全である(例えば、暗号化される、および/または認証されたデバイス間である)が、いくつかの実施形態では、データは、安全でない方法で、例えば、範囲内の全ての受信デバイスへのブロードキャストとして、センサ制御デバイス102から送信することができる。
【0059】
現在のセンサ測定値(例えば、読み取りが開始された時間と時間的に対応する直近に取得された分析物レベル情報)、所定の時間にわたる測定メトリックの変化速度、メトリックの変化速度の速度(変化速度の加速度)、または所与の読み取りの前に取得され、センサ制御デバイス102のメモリに記憶されたメトリック情報に対応するメトリック履歴情報のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない、異なる種類および/または形式および/または量の情報を、各通信の一部として送信してもよい。
【0060】
リアルタイム、履歴、変化速度、変化速度の速度(加速度または減速度など)の情報の一部または全部を、所与の通信または送信でリーダデバイス120に送信してもよい。特定の実施形態では、リーダデバイス120に送信される情報の種類および/または形式および/または量は、予めプログラムされていてもよく、かつ/もしくは(例えば、製造時にプリセットされ)変更不能であってもよく、または、現場で1回以上(例えば、システムのスイッチを作動させるなどして)選択可能および/もしくは変更可能となるように、予めプログラムされていなくてもよく、かつ/もしくは変更不能でなくてもよい。したがって、特定の実施形態では、リーダデバイス120は、センサから得た(例えば、数値形式の)現在の(リアルタイムの)分析物値、(例えば、現在の速度を示す方向を向いた矢印などの分析物速度インジケータの形式の)分析物の現在の変化速度、およびセンサ制御デバイス102によって取得され、そのメモリに記憶されたセンサ読取値に基づく(例えば、グラフィカルトレースの形式の)分析物トレンド履歴データを出力することができる。加えて、任意選択的な温度センサ257によって、皮膚上またはセンサの温度の読取値または測定値を収集してもよい。これらの読取値または測定値は、センサ制御デバイス102から別のデバイス(例えば、リーダ120)に(個々に、または経時的に集約された測定値として)通信することができる。しかし、温度の読取値または測定値は、温度測定値をユーザに実際に表示する代わりに、またはこれに加えて、ユーザに出力される分析物測定値を補正または補償するために、リーダデバイス120によって実行されるソフトウェアルーチンと連携して使用されてもよい。
【0061】
食事に伴って投与される薬剤用量を決定するための例示的な実施形態
次いで、食事の摂取に伴って投与される薬剤用量を決定するためのシステム、デバイス、および方法の例示的な実施形態について説明する。前述したように、糖尿病患者などの特定の個人は、食事の摂取後に発生する予想される血糖上昇をインスリンなどの薬の投与によって補償する必要がある。薬剤用量は、食事に関する補償を目的とする薬剤注入であるため、食事ボーラスと称されることが多い。
【0062】
食事の摂取に伴って投与される薬剤用量を決定するための従来のいくつかのシステムおよび方法では、個人が炭水化物を手動で計数または推定する必要がある。これらのシステムでは、個人が食物に含まれる炭水化物および他の栄養成分の量を正確に推定することが困難となりうるため、不正確で一貫性のない薬剤用量をもたらす可能性がある。加えて、栄養素に対する血糖反応は、異なる個人が全て同じ栄養素に対して同じように反応するとは想定されないため、個人によって異なる可能性がある。
【0063】
この課題に対処するために、他のシステムおよび方法では、食事摂取の繰り返しインスタンスを、食事の説明および関連する薬剤用量とともに、データベースに記録することが試みられてきた。生体内分析物監視システムなどの分析物監視システムからの対応する分析物データ(例えば、食後のグルコースデータ)を、食事の摂取に対応する時間に基づいてデータベース内の記録に関連付けることもできる。食事と、薬剤用量が投与された従来のインスタンスからの分析物データとを関連付けることで、個人または医療提供者(HCP;health care provider)は、将来の血糖反応を改善するための有益な薬剤用量設定を容易に識別することができる。これらのシステムおよび方法については、米国特許出願第15/863279号(米国特許出願公開第2018/0197628号)にさらに記載されており、その全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
本明細書に記載する実施形態は、上述したシステムおよび方法に対する改善を示す。例えば、本明細書に記載する実施形態は、個人が前に摂取したことがない食事の摂取に伴って投与される薬剤用量を決定することができる。一般的なレベルで、例示的な実施形態は、個人が食事情報をインタフェースに入力することができ、食事に関連する様々な栄養パラメータに基づいて、食事のための適切なボーラス量が決定される。より具体的に、本明細書に記載する例示的な実施形態の方法は、新たな食事に関連するユーザ入力されたエントリを受信するステップと、第1のデータベースを参照して新たな食事の栄養素含有量を決定するステップと、第2のデータベースにおいて、栄養素含有量に基づいて最も一致度の高い食事に新たな食事を関連付けるステップと、最も一致度の高い食事に関連する薬剤用量を決定するステップとを含む。
【0065】
本実施形態は、個人の典型的な経験に部分的に基づくため、本明細書では「経験的な」なツールと称することができる。説明を容易にするために、例示的な実施形態は、インスリンボーラス用量を決定する文脈で説明され、一般に、「経験的ボーラス支援(experiential bolus assistant)」、略して「EBA」と称される。しかし、これらの例示的な実施形態を全ての種類のインスリン(例えば、長時間型インスリン、中間型、短時間型インスリンなど)、およびインスリン以外の他の種類の糖尿病薬によって使用できることが強調される。例示的な実施形態は、ボーラス用量以外の種類の用量、例えば、ベーサル用量またはベーサル時間変動用量プロファイルなどを決定するために使用することもできる。
【0066】
実施形態について詳細に説明する前に、本明細書に記載する例示的な方法のステップのいずれか1つ以上を、図1に関して説明したようなリーダデバイス、リモートコンピューティングデバイス、信頼性を有するコンピュータシステム、または薬物送達デバイスの非一時的なメモリにソフトウェア命令として記憶できることが、当業者には理解されるであろう。記憶された命令は、実行される際に、関連するデバイスまたはコンピューティングシステムの処理回路に、本明細書に記載する例示的な方法のステップのいずれか1つ以上を実行させることができる。いくつかの実施形態では、記憶された命令は、携帯電話やスマートフォンなどのリーダデバイス上の1つ以上のダウンロード可能なソフトウェアアプリケーション(「アプリ」)として実装することができ、ソフトウェアは、リーダデバイスからリモートサーバ(例えば、クラウドベースのサーバ)と通信することができ、リモートサーバは、同じまたは第2のコンピューティングデバイス上で個人がアクセスできる、より包括的で強固な分析を提供することができる。他の実施形態では、記憶された命令は、リーダデバイスまたはコンピューティングシステム上で、標準的なウェブブラウザによってアクセス可能なウェブインタフェースとして実装することができる。
【0067】
分析物監視システム100によって使用する場合に、これらの実施形態は、食事および(食事を補償するために投与される)食事時インスリン用量に対する血糖反応を取り込み、分類し、インデクス化することができ、それゆえ、ユーザのインスリン用量を改良または「微調整」しうる追加データをユーザに提供することができる。加えて、時間に伴って、例示的な実施形態は、各食事のためのボーラス量の用量設定に関する助言を提供することができる。
【0068】
図4は、モジュール形式のEBAによって動作するように構成されたシステム100の例示的な実施形態を示すブロック図である。ここで、EBA402は、(例えば、「アプリストア」または同等のものを通じて)ダウンロードされてスマートフォン120にインストールされたダウンロード可能なアプリの形式である。いくつかの実施形態によれば、第2のアプリ404をダウンロードしてスマートフォン120にインストールすることもでき、第2のアプリ404は、センサ制御デバイス102(図示せず)とインタフェースし、そこから受信された分析物データを処理し、そのデータをユーザへの表示のために構成することを担当する。いくつかの実施形態の一態様によれば、アプリ404は、市販のスマートフォンがリーダデバイス120として機能することを可能にすることができる。アプリ402および404は、別個のアプリとして図4に示しているが、組み合わせて、リーダデバイス120上に単一のアクセスアイコンを有するダウンロード可能な単一のアプリ(またはモジュール)とすることもできる。
【0069】
実施形態の別の態様によれば、EBA402は、常駐するアプリケーションプログラミングインタフェース(API;application programming interface)を介して、ユーザから最近収集されたグルコースデータに関する要求をアプリ404に送信する。アプリ404は、図4に示したループが示すように、要求を処理し、照会されたデータをEBA402に返す。EBA402は、グルコースデータを最近摂取された食事の説明と時間的に関連付けることができ、任意選択的に、食事およびグルコースデータを、ネットワーク190を介して、ここでは中央クラウドベースデータベースとして表す信頼性を有するコンピュータシステム180にアップロードすることができる。薬剤用量および/または食後のグルコースデータも、信頼性を有するコンピュータシステム180にアップロードすることができる。グルコース、食事、および薬剤用量のデータを分類し、インデクス化し、中央クラウドシステム180のデータベースに履歴記録として長期間記憶し、かつ/またはリーダデバイス120もしくはコンピューティングシステム170にダウンロードし、長期間記憶することができる。食事に関連する栄養パラメータも、各履歴記録について中央クラウドベースデータベース180に記憶することができる。
【0070】
ユーザは、例えば、図4に示すように、スマートフォン120上で動作するウェブブラウザを使用して、またはパーソナルコンピュータシステム170などの別個のコンピューティングデバイスを介して、このデータにアクセスすることができる。いくつかの実施形態によれば、中央クラウドシステム180は、ユーザのウェブインタフェース406を介してデータ分析ツールを提供することもでき、ユーザは、ユーザ固有の情報を入力し、EBAの設定を調節し、摂取した食事に対する血糖反応を分析し、インスリン用量の調節および/または修正に関して情報に基づいた決定を行うために、データ分析ツールを使用することができる。さらに、このデータには、ユーザのインスリン治療の有効性を調査し、その調節を行うために、ユーザのHCPが、単独で、または訪問中にユーザと共同でのいずれかで、直接アクセスすることができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス170は、ユーザによる食事情報の入力にも使用することができる。全体として、分析ツール406は、長期的な糖尿病管理および他の治療決定またはユーザ関与システムとの統合において、ユーザを支援することができる。
【0071】
また図4を参照すると、中央クラウドシステム180は、実施形態の一態様によれば、様々な食事および食事成分に関連する栄養パラメータを含む栄養データベースシステム185にアクセスすることができる。中央クラウドシステム180および栄養データベースシステム185は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット、または任意の同様の通信ネットワークを介しうるネットワーク190を介して通信することができる。実施形態の一態様によれば、中央クラウドシステム180および栄養データベースシステム185は、同じ地理的位置(すなわち、両方のシステムが同じ主体によって管理されうる場合)、または異なる地理的位置(すなわち、栄養データベースシステム185が第三者によって管理される場合)でホストされうる。当業者は、中央クラウドシステム180および栄養データベースシステム185を別個の物理的サーバまたは同じ物理的サーバ上の仮想マシンの別個のインスタンスとして実装できることも理解するであろう。加えて、図4は、ネットワーク190内の栄養データベースシステム185を示しているが、いくつかの実施形態によれば、栄養データベースシステム185は、信頼性を有するコンピュータシステム170上に常駐することができ、任意選択的に、アプリ402および404は、更新、データ、および報告を通信および送受信するために、信頼性を有するコンピュータシステム170と直接通信することができる。
【0072】
実施形態の一態様によれば、栄養データベースシステム185は、食事情報を入力として受信し、入力された食事情報に関連する栄養パラメータを出力する、インタフェースを含むことができる。いくつかの実施形態では、栄養パラメータは、炭水化物パラメータ、脂肪パラメータ、および/またはタンパク質パラメータを含むことができ、栄養パラメータはそれぞれ、入力された食事の栄養素含有量に関連付けられる。当業者は、他の栄養パラメータが、利用可能であり、完全に本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0073】
図5は、食事の摂取に伴って投与される薬剤用量を決定するための方法の例示的な実施形態であって、例えば図4のシステム100によって方法を実施できる、実施形態を示すフローチャートである。ステップ505によって始まり、食事に関連するユーザ入力されたエントリをシステム100によって受信する。いくつかの実施形態によれば、食事エントリは、スマートフォンなどのリーダデバイス120上のアプリ402またはウェブインタフェースによって(例えば、ウェブブラウザを介して)入力することができる。他の実施形態では、食事エントリは、パーソナルデスクトップまたはラップトップコンピュータなどのコンピューティングデバイス170によって入力することができる。いくつかの実施形態によれば、ユーザ入力されたエントリは、例えば、「自然言語」形式で提供される、摂取される食事の説明でありうるテキストエントリとすることができる。また他の実施形態では、ユーザ入力されたエントリは、摂取される食事の写真の形式とすることができる。当業者は、他の同様のユーザ入力方法(例えば、ドロップダウンメニュー、選択可能なフィールド、チェックボックス、ラジオボタン、音声入力など)が、利用可能であり、本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0074】
ステップ510では、第1のデータベースを参照して、ユーザ入力された食事エントリに基づき、食事に関連する複数の栄養パラメータを決定する。実施形態の一態様によれば、第1のデータベースは、(図4に示したように)栄養データベースシステム185とすることができ、複数の栄養パラメータは、例えば、ユーザ入力されたエントリに関連する食事についての炭水化物パラメータ、脂肪パラメータ、および/またはタンパク質パラメータを含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、第1のデータベースを参照する前に、ユーザ入力されたエントリをリーダデバイス120またはコンピューティングデバイス170から中央クラウドシステム180に送信することができる。中央クラウドシステム180は、次いで、ユーザ入力されたエントリを使用して、第1のデータベース185を参照して、関連する栄養パラメータを受信することができる。他の実施形態では、ユーザ入力されたエントリは、リーダデバイス120またはコンピューティングデバイス170によって第1のデータベース185に直接送信することができ、その後に、第1のデータベース185は、関連する栄養パラメータを中央クラウドシステム180に送信することができる。任意選択的に、ユーザ入力された食事エントリに関連する栄養パラメータを含みうる第1のデータベースの少なくとも一部を、中央クラウドシステム180、リーダデバイス120、および/またはコンピューティングデバイス170のいずれかにダウンロードし、ユーザ入力された食事エントリに関連付けて記憶することができる。また他の実施形態では、第1のデータベース185は、信頼性を有するコンピューティングデバイス170上に常駐することができ、このステップで中央クラウドシステム180と通信せずに、ユーザ入力されたエントリを、リーダデバイス120から信頼性を有するコンピューティングデバイス170に送信するか、または第1のデータベース185が常駐する同じ信頼性を有するコンピューティングデバイス170に直接入力することができる。
【0075】
また図5を参照すると、ステップ515では、第2のデータベースにおいて、食事に関連する栄養パラメータを使用して、最も一致度の高い食事を識別する。多くの実施形態では、第2のデータベースは、中央クラウドシステム180上でホストすることができる。他の実施形態では、第2のデータベースは、リーダデバイス120および/またはコンピューティングデバイス170上に配置することができる。
【0076】
実施形態の一態様によれば、最も一致度の高い食事は、ユーザ入力された食事に関連する栄養パラメータに最も似通った関連する栄養パラメータのセットを有する、第2のデータベース内の食事履歴記録でありうる。これは、例えば、各食事履歴記録の栄養パラメータと、ユーザ入力された食事エントリの栄養パラメータとの間の差分の重み付けされたセットを計算し、差分合計が最小となる食事履歴記録を選択することによって決定することができる。例示するために、例示的な一実施形態では、以下の式から得られる差分合計の最小値を計算することによって、最も一致度の高い食事を決定することができる。0.5*(炭水化物の絶対的な%差分)+0.25*(脂肪の絶対的な%差分)+0.25*(タンパク質の絶対的な%差分)。ここで、「絶対的な%差分」は、食事履歴記録の栄養パラメータとユーザ入力された食事エントリの栄養パラメータとの間の百分率差分の絶対値とすることができる。当業者は、各栄養パラメータについて他の重み付け係数を使用できることを認識するであろう。同様に、差分合計の最小値は、重み付け係数を使用せずに計算することもできる。いくつかの実施形態では、第2のデータベースにおいて最も一致度の高い食事を識別した後に、ユーザ入力された食事エントリについて第2のデータベースにおいて新たな食事履歴記録を作成し、その後に、最も一致度の高い食事にリンクすることができる。
【0077】
ステップ520では、第2のデータベースにおいて最も一致度の高い食事に関連する薬剤用量を決定する。いくつかの実施形態では、薬剤用量は、例えば、(第2のデータベースに記録された)最も一致度の高い食事の摂取に伴って投与された最新のインスリン用量とすることができる。他の実施形態では、薬剤用量は、最も一致度の高い食事が摂取された過去の全てまたは所定数のインスタンスについて投与された従来のインスリン用量の平均値とすることができる。また他の実施形態では、薬剤用量は、第2のデータベースにおいて最も一致度の高い食事について最適な薬剤用量としてフラグが立てられているインスリン用量とすることができる。任意選択的に、決定された薬剤用量および/または関連する栄養パラメータは、ユーザ入力された食事エントリに関連する履歴記録とともに第2のデータベースに記憶することができる。最後に、ステップ525では、決定された薬剤用量を、例えば、リーダデバイス120のディスプレイおよび/またはコンピューティングデバイス170のディスプレイに視覚的に出力することができる。
【0078】
食事開始候補および食事ピーク反応候補のセットを識別するための例示的な実施形態
ユーザ主導分析物検査の例示的な特徴
本明細書に開示する実施形態のいくつかは、図1に関して説明したような分析物監視システムからの分析物データを、ユーザ主導分析物検査に関する情報と組み合わせて利用して、食事開始候補および食事ピーク反応候補のセットを決定する。前述したように、分析物監視システムに関する課題の1つは、個人の分析物データを、個人の食前および食後の反応だけでなく、個人の食事摂取と正確に相関させることを可能にすることである。この相関は、例えば、薬剤用量の用量設定のためのガイダンスなど、多くの用途で有用となる可能性がある。従来のシステムとは異なり、本明細書に記載する実施形態は、個人が継続するには、いずれも非現実的かつ困難である、手動による血糖測定または個人の手動による食事記録のみに依存しない。しかし、実施形態について詳細に説明する前に、本明細書に記載する実施形態にいずれも関連する、ユーザ主導分析物検査および食事開始時間に関する特定の態様について説明することが望ましい。
【0079】
図6Aは、ある種類のユーザ主導分析物検査の時刻(TOD;time of day)分布を示すグラフ600である。特に、グラフ600は、インスリン使用患者に関するセンサ研究の様々な部分母集団からの血糖自己測定(SMBG;self-monitoring blood glucose)測定値を示す。ここで、SMBG測定値は、フィンガースティック血糖テストからなる。グラフ600の一態様によれば、SMBG測定値の分布は、2つのデータクラスタ610,620によって特徴付けることができる。第1のクラスタ610は、朝食前および昼食前のSMBG測定値を含む2つの弱い最頻値で構成される。加えて、第2のクラスタ620は、夕食前および就寝前の測定値を含む少しだけより目立つ2つの最頻値で構成される。このデータから、食事の開始時間が大半のSMBGインスタンスに対応するという合理的な推論を導き出すことができる。
【0080】
図6Bおよび図6Cはそれぞれ、グラフ630および650であり、両方とも、別の種類のユーザ主導分析物検査の分布を示す。特に、グラフ630および650は、分析物リーダデバイスのユーザの大規模な匿名化された母集団データベースについての分析物リーダデバイスからのセンサスキャンインスタンスの分布を示す。グラフ630および650の一態様によれば、センサスキャンインスタンスの分布は、時刻および1日あたりの平均スキャン数に応じてプロットされている。図6AのSMBG分布と同様に、図6Bおよび図6Cのセンサスキャンインスタンスの分布は、1日あたりの平均スキャン数が少ない範囲では、センサスキャンインスタンスの分布が図6AのSMBG測定分布と同様のピークによって特徴付けられることを示している。すなわち、食事開始時間は、大半のセンサスキャンインスタンスにも対応する。
【0081】
図6A図6Cは、特定の種類のユーザ主導分析物検査の分布を示しているが、当業者は、スマートフォン上でのセンサビューア使用インスタンスや、持続的グルコース監視(CGM;continuous glucose monitoring)システムにおける受信器ディスプレイの活性化インスタンスなど、他の種類のユーザ主導分析物検査でも同様の分布が生じることを合理的に推測することができる。
【0082】
時間微分および加速特性を決定するための例
本明細書に記載する実施形態に従って、分析物監視システムの分析物データの特定の特性について説明することも望ましく、これは、実施形態によって、食事開始候補および食事ピーク反応候補のセットを識別するために利用することができる。
【0083】
図7Aは、3つのグラフ700、710、および720を示しており、グラフはそれぞれ、分析物監視システムからの分析物データ、例えば、血糖濃度データなどのサンプルセットに関する特定の特性を示している。上段のグラフ700を最初に参照すると、y軸で示すように、データポイント702(白丸)は、x軸で示すように数日間にわたる分析物濃度、例えば、血糖濃度に対応する。データポイント702は、分析物センサから受信された生データとすることができ、生データは、不規則な間隔のデータポイントおよび/または疑わしい読取値を含みうる。特定の実施形態では、分析物センサから受信された後に、データポイント702は、疑わしい読取値を除去し、データを平滑化するために調整され、調整されたデータポイント704(黒丸)をもたらすことができる。調整されたデータポイント704は、規則的な間隔のグルコース値によって特徴付けられることができる。いくつかの実施形態によれば、データ調整は、サンプリングされたグルコースデータが、時間的に近接するサンプリングされた他のグルコースデータと比較したときの異常値となりうるかを判定することを含むことができる。データ調整および修復の実行に関する更なる詳細については、2014年3月13日に出願された「Noise Rejection Methods and Apparatus for Sparsely Sampled Analyte Sensor Data」と題する米国特許出願第14/210312号に記載されており、その開示内容は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
また図7Aを参照すると、中段のグラフ710および下段のグラフ720はそれぞれ、グラフ700の分析物データの追加の特性を示す。より具体的に、中段のグラフ710は、グラフ700の分析物データの時間微分、すなわち傾きの複数の折れ線グラフを示す。実施形態の一態様によれば、各時間インスタンスkについて、食事ピーク反応候補に関連する時間微分の対を計算することができ、同様に、食事開始候補に関連する時間微分の対を計算することができる。特に、時間微分の対は、前方時間窓における分析物データの変化速度および後方時間窓における分析物データの変化速度を演算することによって計算することができる。例えば、上段のグラフ700に見られるように、丸で囲んだデータ点706が時間インスタンスkで発生する場合に、前方時間窓は、データ点706の右側の双方向矢印によって示され、後方時間窓は、データ点706の左側の双方向矢印によって示される。前方時間窓は、インスタンスkでの現在の測定から、その近い将来、例えば、2~3時間後までの時間インスタンスとすることができる。同様に、後方時間窓は、後方時間窓において、すなわち、インスタンスkでの現在の測定から、その近い過去、例えば、1~2時間前までの時間インスタンスにサンプリングされたグルコースデータを使用することを含む。いくつかの実施形態によれば、最小二乗誤差適合法を用いて、対応する各時間窓内の分析物測定値を通るように直線を適合させることにより、時間微分すなわち傾きを決定することができる。
【0085】
本実施形態の一態様によれば、食事開始候補に関連する前方時間窓は、食事ピーク反応候補に関連する前方時間窓と同じ幅を有するとは限らない。同様に、食事開始候補に関連する後方時間窓は、食事ピーク反応候補に関連する後方時間窓と同じ幅を有するとは限らない。
【0086】
図7Aのグラフ710に戻ると、時間微分からなる複数の折れ線グラフを示しており、これらはそれぞれ、上述した方法に従って計算することができる。特に、食事ピーク反応候補に関連する前方変化速度の時間微分のグラフをv_peak_fwd(k)として示す。食事ピーク反応候補に関連する後方変化速度の時間微分のグラフをv_peak_bck(k)として示す。同様に、食事開始候補に関連する前方変化速度の時間微分のグラフをv_start_fwd(k)として示す。食事開始候補に関連する後方変化速度の時間微分のグラフをv_start_bck(k)として示す。
【0087】
また図7Aを参照すると、下段のグラフ720は、中段のグラフ710に示す時間微分から導き出された加速度についての複数の折れ線グラフを示す。特に、下段のグラフ720は、食事ピーク反応候補に関連する加速度a_peak(k)を示しており、ここで、a_peak(k)は、(v_peak_fwd(k)-v_peak_bck(k))/T_peakとして計算され、T_peakは、関連する食事ピーク反応候補について予め決定されたサンプル期間スケール係数(例えば、1~3時間)である。同様に、下段のグラフ720は、食事開始候補に関連する加速度a_start(k)を示しており、ここで、a_start(k)は、(v_start_fwd(k)-v_start_bck(k))/T_startとして計算され、T_startは、関連する食事開始候補について予め決定されたサンプル期間スケール係数(例えば、1~3時間)である。
【0088】
また図7Aの下段のグラフ720を参照すると、加速度折れ線グラフから加速度の局所最適値を決定することにより、食事開始候補および食事ピーク反応候補の初期セットを識別することができる。実施形態によれば、加速度の局所最適値は、最大屈曲点を識別するための信号分析に基づいて識別することができる。例えば、各時間インスタンスkで、時間インスタンスkでの値a_peak(k)を除いて、前方時間窓または後方時間窓のいずれかに入る任意のa_peak値を識別する。a_peak(k)の値が、上述した2つの時間窓内の最小a_peak値以下である場合には、現在の時間インスタンスkが、食事ピーク反応候補として決定される。同様に、各時間インスタンスkで、時間インスタンスkでの値a_start(k)を除いて、前方時間窓または後方時間窓のいずれかに入る任意のa_start値を識別する。a_start(k)の値が、上述した2つの時間窓内の最大a_start値以上である場合には、現在の時間インスタンスkが食事開始候補として決定される。
【0089】
実施形態の別の態様によれば、時間インスタンスkを、食事ピーク反応候補として先に識別しており、食事開始候補としても識別する場合には、食事開始候補タグを次のインスタンスk+1に移す。グラフ720は、加速度の局所最適値、すなわち「上向き」三角形722および「下向き」三角形724でそれぞれ示されている食事開始候補および食事ピーク反応候補の識別を示す。
【0090】
時間微分および加速度の局所最適値の決定を含む、上記の計算に関する更なる詳細については、米国特許出願公開第2017/0185748号(「’748号公報」)に記載されており、その開示内容は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
分析物データおよびユーザ主導分析物検査を利用して、食事開始候補および食事ピーク反応候補を識別する例示的な実施形態
次いで、ユーザ主導分析物検査および分析物監視システムからの分析物データに基づいて、食事開始候補および食事ピーク反応候補のセットを決定するためのシステム、デバイス、および方法の例示的な実施形態について説明する。
【0092】
本明細書に記載する例示的な方法のステップのいずれか1つ以上を、図1に関して説明したような、センサ制御デバイス、リーダデバイス、リモートコンピュータ、または信頼性を有するコンピュータシステムの非一時的なメモリにソフトウェア命令として記憶できることが、当業者には理解されるであろう。記憶された命令は、実行される際に、関連するデバイスまたはコンピューティングシステムの処理回路に、本明細書に記載する例示的な方法のステップのいずれか1つ以上を実行させることができる。多くの実施形態において、時間微分、加速度、またはその局所最適値の計算を含む、本明細書に記載する方法のステップのいずれか1つ以上を、リアルタイムまたはほぼリアルタイムのセンサデータを使用して実行できることも、当業者には理解されるであろう。他の実施形態では、方法ステップのいずれか1つ以上を、記憶されたセンサデータに関して遡及的に実行することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法ステップは、定期的に、所定のスケジュールに従って、かつ/または遡及的な処理のバッチで実行することができる。
【0093】
命令は、単一のデバイス(例えば、センサ制御デバイスまたはリーダデバイス)上の非一時的なメモリに記憶でき、代替的に、地理的に分散した場所(例えば、クラウドプラットフォーム)に配置しうる複数の別個のデバイスに分散できることも、当業者には理解されるであろう。同様に、当業者は、図1に示したような、本明細書に開示する実施形態におけるコンピューティングデバイスの表現が、物理的デバイスと仮想的デバイス(または「仮想マシン」)の両方をカバーすることを意図していることを認識するであろう。
【0094】
図8は、食事ピーク反応候補および食事開始候補のセットを識別するための方法800の例示的な実施形態を示すフロー図である。ステップ805によって始まり、監視される分析物レベルに対応する複数のデータポイントを受信する。いくつかの実施形態によれば、監視される分析物レベルは、監視される血糖濃度とすることができる。しかし、当業者は、他の分析物、例えば、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、HbAlc、クレアチンキナーゼ(例えば、CK-MB)、クレアチン、クレアチニン、DNA、フルクトサミン、グルコース誘導体、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、ケトン体、乳酸、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、トロポニン、ならびに、例えば、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、バンコマイシンなど)、ジギトキシン、ジゴキシン、依存性薬物、テオフィリン、およびワルファリンなどの薬物も監視してもよく、完全に本開示の範囲内であることを認識するであろう。いくつかの実施形態によれば、複数のデータポイントは、疑わしい読取値を除去し、複数のデータポイントを平滑化し、かつ/または規則的な間隔の分析物値を作成するために、上で先述したように、受信の前または後のいずれかに調整されてもよい。
【0095】
次いで、ステップ810では、監視される分析物レベルに対応する複数のデータポイントの時間微分を決定する。複数のデータポイントの時間微分は、図7Aのグラフ700および710に関して先述した計算に従って決定することができる。その後に、ステップ815では、ステップ810で決定された時間微分に基づいて複数のデータポイントの加速度の局所最適値を決定することにより、食事開始候補および食事ピーク反応候補の初期セットを作成する。加速度の局所最適値は、図7Aのグラフ720に関して先述した計算に従って決定することができる。
【0096】
ステップ820では、複数のユーザ主導分析物検査を取得し、複数の時間クラスタにグループ化する。ユーザ主導分析物検査は、フィンガースティック血糖テスト、分析物リーダデバイスからのセンサスキャンインスタンス、スマートフォン上でのセンサビューアの使用インスタンス、または持続的グルコース監視(CGM)システムにおける受信器ディスプレイの活性化インスタンスのうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、複数の時間クラスタは、所定の数分間以内のユーザ主導分析物検査のサブセットを含むことができる。
【0097】
ステップ825では、各時間クラスタについて、時間クラスタ開始点、時間クラスタ終了点、および時間クラスタ中心傾向点を決定する。いくつかの実施形態では、時間クラスタ中心傾向点は、平均値、中央値、または最頻値とすることができる。
【0098】
ステップ830では、食事開始候補のサブセットを、食事開始候補および食事ピーク反応候補の初期セットから除去する。実施形態の一態様によれば、食事開始候補のサブセットは、時間クラスタ開始点または時間クラスタ終了点のいずれかの所定の時間範囲内にない1つ以上の食事開始候補を含むことができる。
【0099】
ステップ835では、食事開始候補および食事ピーク反応候補の修正されたセットを個々のユーザに出力する。いくつかの実施形態では、出力は、スマートフォンなどのリーダデバイスのディスプレイ上のグラフィカルユーザインタフェースの形式とすることができる。他の実施形態では、出力は、センサ制御デバイス、リーダデバイス、ローカルコンピュータ、または信頼性を有するコンピュータシステムに出力される聴覚または振動信号とすることができる。
【0100】
方法800は、ステップ820および825でユーザ主導分析物検査の取得、グループ化、および時間クラスタ分析を示しているが、これらのステップを、方法800の他のステップのいずれかの前に、または同時に実行できることが、当業者には理解されるであろう。
【0101】
図9A図9B、および図9Cは、食事ピーク反応候補および食事開始候補のセットを識別するための方法900の例示的な別の実施形態を示すフロー図である。先の方法800と同様に、方法900も、ユーザ主導分析物検査および分析物監視システムからの分析物データに基づくが、食事開始候補および食事ピーク反応候補の複数のサブセットをセットから除去し、セットをさらに精密化する追加ステップをさらに含む。食事開始候補および食事ピーク反応候補の複数のサブセットを除去するこれらの追加ステップに関する更なる詳細については、’748公報に記載されており、その開示内容は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
最初に図9Aを参照すると、方法900のステップ905~925は、方法800のステップ805~825と同じであり、複数のデータポイントを受信するステップと、時間微分を決定するステップと、加速度の局所最適値を決定することにより、食事開始候補および食事ピーク反応候補の初期セットを作成するステップと、複数のユーザ主導分析物検査を取得して時間クラスタにグループ化するステップと、各時間クラスタについて、時間クラスタ開始点、終了点、および中心傾向点を決定するステップとを含む。
【0103】
図9Bに転じると、ステップ930では、食事開始候補および食事ピーク反応候補のサブセットであって、同じ種類の候補に隣接する1つ以上の食事開始候補および/または食事ピーク反応候補を含むサブセットを初期セットから除去する。食事開始イベントが別の開始イベントと時間的に隣接できず、同様に、食事ピーク反応イベントが別のピーク反応イベントと時間的に隣接できないため、同じ種類の隣接する候補を識別し、検討中のセットから除去する。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、例えば、以下の基準に基づいて、食事ピーク反応候補を初期セットから除去する。(1)セット内の次のインスタンスも食事ピーク反応候補であり、(2)セット内の次のインスタンスが、現在のインスタンスよりも大きな分析物値を有し、(3)現在のインスタンスの前方ピーク計算による速度が、非負のノイズフロアv_min_rise(例えば、0.5mg/dL/分)よりも大きい。絶対数がゼロに近い計算された速度には、多くのノイズが含まれる傾向がある。加えて、特定の実施形態では、食事ピーク反応候補を、セット内の前のインスタンスも、食事ピーク反応候補であり、セット内の前のインスタンスが、現在のインスタンスよりも大きな分析物値を有する場合にも除去する。
【0105】
同様に、特定の実施形態では、食事開始候補を、隣接する食事開始候補の前のインスタンスが、より小さな分析物値を有するため、除去する。すなわち、以下の基準に基づいて、食事開始候補を除去する。(1)セット内の前のインスタンスも食事開始候補であり、(2)セット内の前のインスタンスが、現在のインスタンスよりも小さな分析物値を有し、(3)値a_start(m-1)がa_start(m)よりも小さい(ここで、mは現在のインスタンスである)。加えて、特定の実施形態では、食事開始候補を、セット内の次のインスタンスも食事開始候補であり、次のインスタンスが、現在のインスタンスの分析物値以下の分析物値を有する場合にも除去する。
【0106】
再び図9Bを参照すると、方法900のステップ935は、方法800のステップ830と同じであり、食事開始候補のサブセットであって、時間クラスタ開始点または時間クラスタ終了点のいずれかの所定の時間範囲内にない1つ以上の食事開始候補からなるサブセットをセットから除去することを含む。
【0107】
ステップ940では、食事開始候補および食事ピーク反応候補の別のサブセットであって、食事開始候補および食事ピーク反応候補の対を含み、各対が、所定のレベルを超えない振幅差を有する、サブセットをセットから除去する。より具体的に、特定の実施形態では、セット内の食事ピーク反応候補を、食事開始候補となりうる前のインスタンスから現在の食事ピーク反応候補までの分析物値の変化が十分に大きいかを判定するために分析する。すなわち、以下の基準を満たす場合に、現在の食事ピーク反応候補をセットから除去する。(1)セット内の前のインスタンスm-1が食事開始候補であり、(2)現在のインスタンスmが食事ピーク反応候補であり、(3)mの振幅とm-1の振幅との差が所定の最小振幅以下である。その上、特定の実施形態では、これらの条件で食事ピーク反応候補を除去する場合に、対応する食事開始候補m-1も除去する。
【0108】
ステップ945では、食事開始候補および食事ピーク反応候補の別のサブセットであって、食事開始候補および食事ピーク反応候補の対を含み、各対が近接閾値および分析物レベル低下閾値を超えない、サブセットをセットから除去する。すなわち、特定の実施形態では、前の食事ピーク反応候補に時間的に近すぎる食事開始候補であって、その値が前の食事ピーク反応候補の値よりも大幅に小さくない食事開始候補をセットから除去する。より具体的に、特定の実施形態では、以下の基準を満たす場合に、インスタンスmの食事開始候補を除去する。(1)前のインスタンスm-1が食事ピーク反応候補であり、(2)現在のインスタンスmが食事開始候補であり、(3)次のインスタンスm+1が食事ピーク反応候補であり、(4)v_start_bck(m)およびv_peak_fwd(m-1)の平均値が、食後の回復下降速度の最大値v_max_descent(例えば、1/4mg/dL/分)よりも大きく、(5)現在のインスタンスmと前のインスタンスm-1との値の差が、前のピークからの必要最小限の降下量g_min_drop(例えば、5~10mg/dL)以下である。その上、これらの基準を満たし、食事開始候補を除去する場合に、前のインスタンスm-1の食事ピーク反応候補も除去する。
【0109】
図9Cに転じると、ステップ950では、食事開始候補および食事ピーク反応候補の別のサブセットであって、対をなしていない食事開始候補もしくは食事ピーク反応候補、または食事開始候補もしくは食事ピーク反応候補のいずれかとして誤って識別された信号アーチファクトを含む、サブセットをセットから除去する。実施形態の一態様によれば、例えば、データ調整によって全てのアーチファクトが完全に除去されない場合に、残りのスパイクアーチファクトが発生する場合がある。特定の実施形態では、食事開始候補および食事ピーク反応候補の対として誤って識別された残りのスパイクアーチファクトをセットから除去する。より具体的に、特定の実施形態では、以下の場合に、インスタンスmでの現在の食事開始候補をセットから除去する。(1)現在のインスタンスmが食事開始候補であり、(2)次のインスタンスm+1が食事ピーク反応候補であり、(3)g(m+1)-g(m)を2つのインスタンスm+1とmとの間の時間間隔で割って計算された変化速度の集計値が、最大許容食後初期変化速度v_max_initialSpike(例えば、2つの候補点間で持続できないと想定される変化速度である6mg/dL/min)よりも大きい。
【0110】
ステップ955では、食事開始候補および食事ピーク反応候補の得られたセットをさらに精密化することができる。場合によっては、時間微分を計算するために使用される前方および後方の時間窓の大きさおよび非対称性のため、また、いくつかの食後反応では、元の食後反応がベースラインに戻る十分な時間なしに、後続の食後反応が続く場合があるため、食事開始候補および食事ピーク反応候補の識別が、想定されるインスタンスの前または後でわずかに偏る場合がある。これらの状況に対処するために、上述したサブセットを除去した後に、セットの更なる精密化を行うことができる。
【0111】
実施形態の一態様によれば、インスタンスkでサンプリングされた各分析物データg(k)について、kの30分前にできるだけ近い利用可能なサンプルg_prev(k)を識別する。また、インスタンスkでサンプリングされた各分析物データg(k)について、kの30分後にできるだけ近い利用可能なサンプルg_after(k)を識別する。次いで、差g_after(k)-g(k)を取って時間間隔(例えば30分)で割ることにより、前方および後方の傾きv_fwd(k)およびv_bck(k)を決定する。同様に、差g(k)-g_prev(k)を取って時間間隔で割ることにより、後方の傾きv_bck(k)を決定する。差v_fwd(k)-v_bck(k)を取ることにより、傾きの差dv(k)を決定する。当業者は、30分以外の異なる継続時間(例えば、15分、60分、90分など)の分析物データサンプルが利用可能であり、完全に本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0112】
その後に、以下のステップに従って、セットから食事開始および食事ピーク反応候補の対を分析する。各開始およびピークの対について、開始候補の90分前までかつ開始候補の60分後までの分析物時系列g_array_startを定義する。定義された分析物時系列g_array_startは、食事開始候補を含む。同様に、ピーク候補の60分前まで、かつピーク候補の180分後までのグルコース時系列g_array_peakを定義する。分析物時系列g_array_peakは、ピーク候補を含む。次に、タイムスタンプが次の対の開始時間と重なるサンプリングされた分析物データのg_array_peakを「トリミング」する。g_array_startおよびg_array_peakの各値について、対応する傾き値の差分dvを決定し、これらの値の配列dv_array_startおよびdv_array_peakを定義する。当業者は、g_array_startおよびg_array_peakの他の継続時間(例えば、30分前、30分後、45分前、45分後など)が、利用可能であり、本開示の範囲内に完全に含まれることを認識するであろう。
【0113】
その後に、特定の実施形態では、(1)これらのインスタンスで測定された分析物値がg_array_peakの75番目の百分位数以上となり、(2)これらのインスタンスのdv値がdv_array_peakの25番目の百分位数以下となるように、時間インスタンスのサブセットを決定する。そのようなサブセットにデータが含まれる場合には、このサブセット内で最大の分析物値g_maxと、これに対応するインスタンスを記憶する。同様に、(1)これらのインスタンスで測定された分析物値がg_array_startの25番目の百分位数以下となり、(2)これらのインスタンスのdv値がdv_array_startの75番目の百分位数以上となるように、時間インスタンスの別のサブセットを決定する。そのようなサブセットにデータが含まれる場合には、このサブセット内で最小のグルコース値g_minと、これに対応するインスタンスを記憶する。実施形態によれば、以下の基準を満たす場合には、この対の対応するピーク候補および開始候補をそれぞれ、g_maxおよびg_minで置き換える。(1)g_minおよびg_maxが存在し、有限であり、(2)g_minがg_maxの前に発生し、(3)g_minがg_max未満である。当業者は、g_maxおよびg_minをそれぞれ決定するために利用される75番目および25番目の百分位数が、限定を意味するものではなく、他の百分位数(例えば、80番目の百分位数、20番目の百分位数)が本開示の範囲内に完全に含まれることも、理解するであろう。
【0114】
食事開始候補および食事ピーク反応候補のセットの精密化に関する更なる詳細については、’748公報に記載されており、その開示内容は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
再び図9Cを参照すると、食事開始候補および食事ピーク反応候補のセットを精密化した後に、ステップ960で、セット内の各食事開始候補を食事開始候補および最も近い時間クラスタ開始点の平均値に置き換えることができる。ステップ965では、食事開始候補および食事ピーク反応候補の修正されたセットをユーザに出力する。いくつかの実施形態では、出力は、スマートフォンなどのリーダデバイスのディスプレイ上のグラフィカルユーザインタフェースの形式とすることができる。他の実施形態では、出力は、センサ制御デバイス、リーダデバイス、ローカルコンピュータ、または信頼性を有するコンピュータシステムに出力される聴覚または振動信号とすることができる。
【0116】
図9A図9Cは、食事開始候補および食事ピーク反応候補の初期セットに関して実行される別個のステップを示しているが、当業者は、方法900が1つ以上のステップを除外できることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、例えば、方法900は、ステップ960を除外することができる。すなわち、ステップ955で精密化ステップを実行した後に、ステップ965で食事開始候補および食事ピーク反応候補のセットをユーザに出力する。他の実施形態では、方法900は、ステップ935を除外することができ、この場合には、ステップ930で隣接する候補のサブセットを除去した後に、次に実行されるステップは、所定のレベルを超えない振幅差を有する候補のサブセットの除去となる。当業者は、方法900が、説明したステップのいずれかを任意の順序または組み合わせで含むことができ、そのようなステップの任意の組み合わせまたは置き換えが、本開示の範囲内に完全に含まれることも認識するであろう。同様に、方法900が、ステップ920および925で、ユーザ主導分析物検査の取得、グループ化、および時間クラスタ分析を示しているが、当業者は、これらのステップを、方法900の他のステップのいずれかの前に、または同時に実行できることを理解するであろう。
【0117】
ユーザ主導分析物検査の助言を行うための例示的な実施形態
本明細書に記載する実施形態のいくつかは、現在の記録された行動に基づいて、記録された行動が血糖リスクに関連するユーザ履歴行動に対応する場合に、将来のユーザ主導分析物検査の助言を行うことができる。先述したように、分析物監視システムは、個人の生理学的反応を追跡するより強固で便利な方法を提供することができる。例えば、分析物監視システムは、個人の身体に装着され、分析物測定値を継続的に収集し、リーダデバイスによるスキャンに応じてデータを(近距離無線通信(NFC)または無線周波数認識(RFID)プロトコルの使用などによって)転送する、センサ制御デバイスを含むことができる。しかし、分析物監視システムに伴う1つの課題として、データの流入が増えると、ユーザの不関与が生じ、個々の患者による使用頻度が最終的に低下する場合がある。本明細書に記載する実施形態は、ユーザ主導分析物検査(例えば、スキャン)を実行するための有用なインスタンスを提案することにより、個人の関与を高めることができる。このようにして、実施形態は、例えば、低血糖症または高血糖症などの特定の血糖リスクを軽減するのに役立ちうる。
【0118】
実施形態について説明する前に、先の実施形態の多くと同様に、本明細書に記載する例示的な方法のステップのいずれか1つ以上を、図1に関して説明したような、センサ制御デバイス、リーダデバイス、リモートコンピュータ、または信頼性を有するコンピュータシステムの非一時的なメモリにソフトウェア命令として記憶できることが、当業者には理解されるであろう。記憶された命令は、実行される際に、関連するデバイスまたはコンピューティングシステムの処理回路に、本明細書に記載する例示的な方法のステップのいずれか1つ以上を実行させることができる。実施形態の多くでは、本明細書に記載する方法ステップのいずれか1つ以上を、リアルタイムまたはほぼリアルタイムのセンサデータを使用して実行できることも、当業者には理解されるであろう。他の実施形態では、方法ステップのいずれか1つ以上を、記憶されたセンサデータに関して遡及的に実行することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する方法ステップは、定期的に、所定のスケジュールに従って、かつ/または遡及的な処理のバッチで実行することができる。
【0119】
命令は、単一のデバイス(例えば、リーダデバイス)上の非一時的なメモリに記憶でき、代替的に、地理的に分散した場所(例えば、クラウドプラットフォーム)に配置されうる複数の個別のデバイスに分散できることも、当業者には理解されるであろう。同様に、当業者は、図1に示したような、本明細書に開示する実施形態におけるコンピューティングデバイスの表現が、物理的デバイスと仮想的デバイス(または「仮想マシン」)の両方をカバーすることを意図していることを認識するであろう。
【0120】
図10は、ユーザ主導分析物検査の助言を行うための方法1000の例示的な実施形態を示すフロー図である。実施形態の一態様によれば、ユーザ主導分析物検査は、フィンガースティック血糖テスト、リーダデバイスからのセンサスキャンインスタンス、スマートフォン上でのセンサビューア使用インスタンス、または持続的グルコース監視(CGM)システムにおける受信器ディスプレイの活性化インスタンスのうちの1つ以上でありうる。ステップ1005によって始まり、ユーザによる記録された行動を受信する。いくつかの実施形態によれば、ユーザによる記録された行動は、炭水化物量の入力、薬の適用、または、例えば、グルコースを目標グルコース値に補正するためのボーラス計算器の使用とすることができる。ステップ1010では、現在の記録された行動が、例えば低血糖リスクまたは高血糖リスクなどの血糖リスクに関連するユーザ履歴行動に対応するかを判定するために履歴ログを評価する。いくつかの実施形態によれば、例えば、履歴ログの評価は、記録された行動の時刻と、血糖リスクに関連するユーザ履歴行動の時刻とを比較することを含むことができる。他の実施形態では、履歴ログの評価は、過去の記録から同様の時刻の同様の入力を評価すること、および過去の同様の入力の血糖影響を評価することを含むことができる。
【0121】
例示として、記録された行動は、例えば、血糖レベルを目標グルコース値または範囲に補正するために、ユーザがリーダデバイス上のボーラス計算器を利用することであり、リーダデバイスのメモリには、インスリン効果値が記憶されている。患者によって適用された現在のインスリンボーラス目標補正値が、当日の同じ食事期間(例えば、昼食)にて先に使用された補正値よりも、大幅に大きいかまたは小さいインスリン効果値に相当する場合には、低血糖または高血糖のリスクが高いと判断される。
【0122】
別の例示として、いくつかの実施形態では、トレンドに基づくインスリン補正の助言が低血糖または高血糖をもたらす可能性が高いかを判定するために、トレンド不確実性推定値を使用することができる。トレンド推定値の不確実性が所定の閾値を超える場合、またはトレンド不確実性に基づくリスク計算が所定の閾値を超える場合には、血糖リスクが判断され、ユーザ主導分析物検査を実行するためのリマインダを将来の適当な時期に生成することができる。リスク計算は、一般に、1つ以上のグルコース読取値に依存する場合があり、トレンド推定値に明示的に依存しない場合がある。
【0123】
また別の例として、記録された別の行動は、ユーザによる異常に多い炭水化物量の入力とすることができる。これらの状況では、患者は、余分な多量栄養素(例えば、タンパク質および/または脂肪)を考慮して、または通常よりも多い食事を考慮して、炭水化物量を調節している可能性がある。食後のグルコース変動が通常とは異なりうるため、より高い血糖リスクが判断されうる。別の例として、記録された別の行動は、過去のログとは大幅に異なる時刻でのユーザによるボーラスインスリン情報または食事情報のボーラス計算器または食事/薬剤ログアプリケーションへの入力とすることができる。例えば、不測の状況により、患者が遅い昼食を摂ったり、少量の昼食を早く摂ったりするなどである。これらの状況では、食事またはインスリンのタイミングによって、より高い血糖リスクが判断される可能性がありうる。
【0124】
記録された動作が血糖リスクに関連するユーザ履歴行動に対応するかを判定するために履歴ログを評価する上記の例は、単なる例示であり、いかなる方法でも実施形態の範囲を制限することを意図していないことに留意すべきであり、当業者には明らかであろう。
【0125】
より具体的に、いくつかの実施形態では、履歴ログの評価は、メモリに記憶されたインスリン効果値を取得すること、分析物トレンドの不確実性推定値が所定の分析物トレンドの閾値を超えるかを判定すること、または血糖リスクの程度が所定のリスク閾値を超えるかを判定することを含むことができる。
【0126】
ステップ1015で、記録された行動が血糖リスクに関連するユーザ行動に対応しないと判定された場合に、方法1000はステップ1005に戻る。しかし、記録された行動が血糖リスクに関連するユーザ行動に対応する場合には、ステップ1020で、血糖リスクに関連する行動可能時間に達するまでの想定される経過時間を計算する。実施形態の一態様によれば、経過時間は、近い将来の単一のインスタンス(例えば、今から65分)、または一連のインスタンス(例えば、今から65分、90分、および100分)とすることができる。いくつかの実施形態では、経過時間を計算した後に、経過時間の後の通知の出力を確認することをユーザに促すことができる。
【0127】
また図10を参照すると、ステップ1025では、ユーザ主導分析物検査を実行するためのユーザへの通知を経過時間の後に出力する。いくつかの実施形態によれば、ユーザ主導分析物検査を実行するためのユーザへの通知の出力は、所定の間隔で複数回、通知を出力することを含むことができる。他の実施形態では、通知を単一のインスタンスでユーザに出力することができる。加えて、いくつかの実施形態では、出力は、センサ制御ユニットのスキャンをユーザに想起させる、スマートフォンなどのリーダデバイスのディスプレイ上のグラフィカルユーザインタフェースの形式とすることができる。他の実施形態では、出力は、センサ制御デバイス、リーダデバイス、ローカルコンピュータ、または信頼性を有するコンピュータシステムに出力される聴覚または振動信号とすることができる。
【0128】
図11は、ユーザ主導分析物検査の助言を行うための方法1100の例示的な別の実施形態を示すフロー図である。いくつかの点で、方法1100は方法1000に類似する。例えば、方法1100の最初の部分(例えば、ステップ1105,1110,1115および1120)は、先述した方法1000の最初の部分(例えば、ステップ1005,1010,1015および1125)と同じとすることができる。加えて、図11の方法1100に関して、血糖リスクに関連する行動可能時間に達するまでの経過時間を計算した後に、ステップ1125で、方法1100は、経過時間の前のユーザ主導分析物検査の指標(indication)を監視する。指標を受信しなかった場合に、方法1100はステップ1140に進み、ユーザ主導分析物検査を実行するための通知を経過時間の後にユーザに出力する。方法1000(図10)のステップ1025と同様に、いくつかの実施形態では、出力は、センサ制御ユニットをスキャンすることをユーザに想起させる、リーダデバイスのディスプレイ上のグラフィカルユーザインタフェースの形式とすることができる。他の実施形態では、出力は、センサ制御デバイス、リーダデバイス、ローカルコンピュータ、または信頼性を有するコンピュータシステムに出力される聴覚または振動信号とすることができる。
【0129】
ユーザ主導分析物検査(例えば、センサスキャン)の指標を経過時間の前に受信した場合には、ステップ1130で、血糖リスクがまだ存在するかを判定するために、ユーザ主導分析物検査に関連するデータを評価する。実施形態の一態様によれば、ユーザ主導分析物検査に関連するデータは、監視される分析物レベル、例えば血糖レベルを示すデータとすることができる。
【0130】
血糖リスクがもはや存在しない場合に、方法1100は最初に、すなわちステップ1105に戻る。一方、血糖リスクがまだ存在するとステップ1130で判定された場合には、ステップ1135で、必要に応じて、行動可能時間に達するまでの経過時間を更新する。いくつかの実施形態では、例えば、血糖リスクに関連する第2の行動可能時間に達するまでの第2の経過時間を算出することができる。経過時間(または第2の経過時間)に達した後に、ステップ1140では、ユーザ主導分析物検査(または第2のユーザ主導分析物検査)を実行するための通知をユーザに出力する。先述した実施形態と同様に、ユーザ主導分析物検査を実行するためのユーザへの通知の出力は、所定の間隔で複数回、または単一のインスタンスで通知を出力することを含むことができる。いくつかの実施形態では、出力は、センサ制御ユニットのスキャンをユーザに想起させる、スマートフォンなどのリーダデバイスのディスプレイ上のグラフィカルユーザインタフェースの形式とすることができる。他の実施形態では、出力は、センサ制御デバイス、リーダデバイス、ローカルコンピュータ、または信頼性を有するコンピュータシステムに出力される聴覚または振動信号とすることができる。
【0131】
実施形態については、監視されるグルコースレベルおよび血糖リスクの観点から説明しているが、当業者は、これらの実施形態が、他の分析物、例えば、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、HbAlc、クレアチンキナーゼ(例えば、CK-MB)、クレアチン、クレアチニン、DNA、フルクトサミン、グルコース誘導体、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、ケトン体、乳酸、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、トロポニン、ならびに、例えば、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、バンコマイシンなど)、ジギトキシン、ジゴキシン、依存性薬物、テオフィリン、およびワルファリンなどの薬物について利用されることができ、また、これらを監視してもよく、完全に本開示の範囲内であることを認識するであろう。
【0132】
本明細書に開示する方法の各実施形態について、本開示の範囲内には、これらの各実施形態を実行できるシステムおよびデバイスが含まれる。例えば、センサ制御デバイスの実施形態が開示され、これらのデバイスは、任意および全ての方法ステップを実行できるか、または任意および全ての方法ステップの実行を促進できる、1つ以上の分析物センサ、分析物監視回路(例えば、アナログ回路)、(例えば、命令を記憶するための)メモリ、電源、通信回路、送信器、受信器、クロック、カウンタ、タイマー、温度センサ、(例えば、命令を実行するための)プロセッサを有することができる。これらのセンサ制御デバイスの実施形態は、本明細書に記載する任意および全ての方法のセンサ制御デバイスによって実行されるこれらのステップを実装するために使用することができ、また使用可能とすることができる。同様に、リーダデバイスの実施形態が開示され、これらのデバイスは、任意および全ての方法ステップを実行できるか、または任意および全ての方法ステップの実行を促進できる、(例えば、命令を記憶するための)1つ以上のメモリ、電源、通信回路、送信器、受信器、クロック、カウンタ、タイマー、および(例えば、命令を実行するための)プロセッサを有することができる。これらのリーダデバイスの実施形態は、本明細書に記載する任意および全ての方法のリーダデバイスによって実行されるこれらのステップを実装するために使用することができ、また使用可能とすることができる。コンピュータデバイスおよびサーバの実施形態が開示され、これらのデバイスは、任意および全ての方法ステップを実行できるか、または任意および全ての方法ステップの実行を促進できる、(例えば、命令を記憶するための)1つ以上のメモリ、電源、通信回路、送信器、受信器、クロック、カウンタ、タイマー、および(例えば、命令を実行するための)プロセッサを有することができる。これらのリーダデバイスの実施形態は、本明細書に記載する任意および全ての方法のリーダデバイスによって実行されるこれらのステップを実装するために使用することができ、また使用可能とすることができる。
【0133】
説明している主題に従って動作を実行するためのコンピュータプログラム命令を、Java、JavaScript、Smalltalk、C++、C#、Transact-SQL、XML、PHPなどのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述してもよい。プログラム命令は、ユーザのコンピューティングデバイス上で完全に実行しても、ユーザのコンピューティングデバイス上で一部を実行しても、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行しても、ユーザのコンピューティングデバイス上で一部を、リモートコンピューティングデバイス上で一部を実行しても、またはリモートコンピューティングデバイスもしくはサーバ上で完全に実行してもよい。後者の場合に、リモートコンピューティングデバイスは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピューティングデバイスに接続されてもよく、または(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)外部のコンピュータに接続されてもよい。
【0134】
本明細書に提示する任意の実施形態に関して記載した全ての特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップを、他の任意の実施形態のものと自由に組み合わせたり、置き換えたりすることが意図されていることに留意されたい。ある特徴、要素、コンポーネント、機能、またはステップについて1つの実施形態のみに関して説明している場合にも、その特徴、要素、コンポーネント、機能、またはステップは、他に明示的に記載していない限り、本明細書に記載する他の全ての実施形態によって使用できることを理解されたい。したがって、この段落は、異なる実施形態による特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップを組み合わせるか、または1つの実施形態による特徴、要素、コンポーネント、機能、およびステップを別の実施形態のものと置き換える請求項を、前述した説明が、そのような組み合わせもしくは置き換えが可能であることを特定の事例で明示的に述べていない場合でも、いつでも導入するための先行的な根拠および書面によるサポートとしての役割を果たす。全ての可能な組み合わせおよび置き換えを明示的に記載することが、特に、そのような組み合わせおよび置き換えのそれぞれおよび全ての許容性が当業者によって容易に認識されることを前提とすれば、過度な負担であることが明白に認められる。
【0135】
本明細書に開示する実施形態が、メモリ、ストレージ、および/またはコンピュータ可読媒体を含むか、またはこれらと連携して動作する限り、そのメモリ、ストレージ、および/またはコンピュータ可読媒体は、非一時的なものである。したがって、メモリ、ストレージ、および/またはコンピュータ可読媒体が1つ以上の請求項に含まれる限り、そのメモリ、ストレージ、および/またはコンピュータ可読媒体は、非一時的のものにすぎない。
【0136】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合に、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別のことを明らかに示していない限り、複数の参照を含む。
【0137】
本実施形態には、様々な変更および代替形態の余地があるが、その具体例を図面に示し、本明細書で詳細に説明してきた。しかし、これらの実施形態が、開示する特定の形態に限定されるものではなく、むしろ、これらの実施形態が、本開示の趣旨に含まれる全ての変更、等価物、および代替物を含むものであることを理解されたい。さらに、本実施形態の任意の特徴、機能、ステップもしくは要素を特許請求の範囲に記載または追加してもよいし、またその範囲内にない特徴、機能、ステップもしくは要素によって特許請求の範囲の発明的範囲を定義する否定的な限定を行ってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11