(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】半導体レーザ装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02345 20210101AFI20241205BHJP
H01S 5/023 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
H01S5/02345
H01S5/023
(21)【出願番号】P 2021553546
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2020039828
(87)【国際公開番号】W WO2021079969
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2019193503
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】馬場 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 透
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/116654(WO,A1)
【文献】特開2019-047072(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039291(WO,A1)
【文献】特開2017-162976(JP,A)
【文献】特開2017-069387(JP,A)
【文献】特開2005-026333(JP,A)
【文献】米国特許第09088135(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属膜が形成された主面を有する基体と、
前記主面に配置され、前記主面の面内方向の第1方向に沿って延びる共振器を有する半導体レーザ素子と、
複数の第1ワイヤグループ、及び複数の第2ワイヤグループとを備え、
前記複数の第1ワイヤグループの各々は、前記半導体レーザ素子の天面の第1接合領域に接合される第1ワイヤ、及び、第1マーク部を有し、
前記第1マーク部は、前記主面に形成される第1マークを含み、
前記天面は、前記半導体レーザ素子の前記基体と接合される面の裏側の面であり、
前記複数の第2ワイヤグループの各々は、前記主面の第2接合領域に接合される第2ワイヤを有し、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、前記半導体レーザ素子への電流供給用の導電性ワイヤであり、
前記複数の第1ワイヤグループが有する複数の前記第1ワイヤは、前記第1方向に沿って配列され、
前記複数の第2ワイヤグループが有する複数の前記第2ワイヤは、前記第1方向に沿って配列され、
前記主面の形状は、前記第1方向に沿って延びる第1辺と、前記半導体レーザ素子を挟んで前記第1辺と反対側に配置され前記第1方向に沿って延びる第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺に垂直な第3辺とを有する矩形状であり、
前記第2接合領域は、前記半導体レーザ素子と前記第2辺との間に配置され、
前記主面の上面視において、前記第1ワイヤは、前記第1辺と交差し、
前記主面の上面視において、前記第2ワイヤは、前記第2辺と交差し、
前記主面の上面視において、前記第1ワイヤは、前記第1マークと重なる位置に配置される
半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記主面の上面視において、前記第1マークは、前記第1ワイヤの直下に位置する
請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
金属膜が形成された主面を有する基体と、
前記主面に配置され、前記主面の面内方向の第1方向に沿って延びる共振器を有する半導体レーザ素子と、
複数の第1ワイヤグループ、及び複数の第2ワイヤグループとを備え、
前記複数の第1ワイヤグループの各々は、前記半導体レーザ素子の天面の第1接合領域に接合される第1ワイヤ、及び、第1マーク部を有し、
前記第1マーク部は、互いに離間して前記主面に形成される二つの第1マークと、前記主面の上面視において二つの前記第1マークを結んだ線分とを含み、
前記天面は、前記半導体レーザ素子の前記基体と接合される面の裏側の面であり、
前記複数の第2ワイヤグループの各々は、前記主面の第2接合領域に接合される第2ワイヤを有し、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、前記半導体レーザ素子への電流供給用の導電性ワイヤであり、
前記複数の第1ワイヤグループが有する複数の前記第1ワイヤは、前記第1方向に沿って配列され、
前記複数の第2ワイヤグループが有する複数の前記第2ワイヤは、前記第1方向に沿って配列され、
前記主面の形状は、前記第1方向に沿って延びる第1辺と、前記半導体レーザ素子を挟んで前記第1辺と反対側に配置され前記第1方向に沿って延びる第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺に垂直な第3辺とを有する矩形状であり、
前記第2接合領域は、前記半導体レーザ素子と前記第2辺との間に配置され、
前記主面の上面視において、前記第1ワイヤは、前記第1辺と交差し、
前記主面の上面視において、前記第2ワイヤは、前記第2辺と交差し、
前記主面の上面視において、前記第1ワイヤは、二つの前記第1マークを結んだ線分と重なる位置に配置される
半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記第1マークは、前記金属膜に形成される
請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記第1マークは、前記金属膜の前記第1辺側の外縁に接する
請求項4に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記複数の第1ワイヤグループの各々の前記第1接合領域は、前記第1方向に沿って千鳥配列されている
請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
前記半導体レーザ素子は、前記天面に配置される電極を有し、
前記電極は、複数の接合部と、1以上の中間部とを含み、
前記第1接合領域は、前記複数の接合部のいずれかに位置し、
前記1以上の中間部の各々は、前記複数の接合部のうち隣り合う二つの接合部の間に配置され、
前記複数の接合部の各々の前記第1方向と垂直な第2方向における幅は、前記1以上の中間部の各々の前記第2方向における幅より広い
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項8】
前記複数の接合部のうち、前記半導体レーザ素子のフロント側端面に最も近い接合部から前記フロント側端面までの距離は、前記複数の接合部のうち、前記半導体レーザ素子のリア側端面に最も近い接合部から前記リア側端面までの距離より小さい
請求項7に記載の半導体レーザ装置。
【請求項9】
前記半導体レーザ素子は、前記電極の前記フロント側端面より、前記リア側端面に近い領域に配置されるチップ識別用マークを有する
請求項8に記載の半導体レーザ装置。
【請求項10】
金属膜が形成された主面を有する基体と、
前記主面に配置され、前記主面の面内方向の第1方向に沿って延びる共振器を有する半導体レーザ素子と、
複数の第1ワイヤグループ、及び複数の第2ワイヤグループとを備え、
前記複数の第1ワイヤグループの各々は、前記半導体レーザ素子の天面の第1接合領域に接合される第1ワイヤを有し、
前記天面は、前記半導体レーザ素子の前記基体と接合される面の裏側の面であり、
前記複数の第2ワイヤグループの各々は、前記主面の第2接合領域に接合される第2ワイヤ、及び、第2マーク部を有し、
前記第2マーク部は、前記主面に形成される第2マークを含み、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、前記半導体レーザ素子への電流供給用の導電性ワイヤであり、
前記複数の第1ワイヤグループが有する複数の前記第1ワイヤは、前記第1方向に沿って配列され、
前記複数の第2ワイヤグループが有する複数の前記第2ワイヤは、前記第1方向に沿って配列され、
前記主面の形状は、前記第1方向に沿って延びる第1辺と、前記半導体レーザ素子を挟んで前記第1辺と反対側に配置され前記第1方向に沿って延びる第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺に垂直な第3辺とを有する矩形状であり、
前記第2接合領域は、前記半導体レーザ素子と前記第2辺との間に配置され、
前記主面の上面視において、前記第1ワイヤは、前記第1辺と交差し、
前記主面の上面視において、前記第2ワイヤは、前記第2辺と交差し、
前記主面の上面視において
、前記第2ワイ
ヤは、前記第2マークと重なる位置に配置される
半導体レーザ装置。
【請求項11】
金属膜が形成された主面を有する基体と、
前記主面に配置され、前記主面の面内方向の第1方向に沿って延びる共振器を有する半導体レーザ素子と、
複数の第1ワイヤグループ、及び複数の第2ワイヤグループとを備え、
前記複数の第1ワイヤグループの各々は、前記半導体レーザ素子の天面の第1接合領域に接合される第1ワイヤを有し、
前記天面は、前記半導体レーザ素子の前記基体と接合される面の裏側の面であり、
前記複数の第2ワイヤグループの各々は、前記主面の第2接合領域に接合される第2ワイヤ、及び、第2マーク部を有し、
前記第2マーク部は、互いに離間して前記主面に形成される二つの第2マークと、前記主面の上面視において二つの前記第2マークを結んだ線分とを含み、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、前記半導体レーザ素子への電流供給用の導電性ワイヤであり、
前記複数の第1ワイヤグループが有する複数の前記第1ワイヤは、前記第1方向に沿って配列され、
前記複数の第2ワイヤグループが有する複数の前記第2ワイヤは、前記第1方向に沿って配列され、
前記主面の形状は、前記第1方向に沿って延びる第1辺と、前記半導体レーザ素子を挟
んで前記第1辺と反対側に配置され前記第1方向に沿って延びる第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺に垂直な第3辺とを有する矩形状であり、
前記第2接合領域は、前記半導体レーザ素子と前記第2辺との間に配置され、
前記主面の上面視において、前記第1ワイヤは、前記第1辺と交差し、
前記主面の上面視において、前記第2ワイヤは、前記第2辺と交差し、
前記主面の上面視において、前記第2接合領域及び前記第2ワイヤの少なくとも一方は、二つの前記第2マークを結んだ線分と重なる位置に配置される
半導体レーザ装置。
【請求項12】
前記複数の第2ワイヤグループの各々は、第2マーク部をさらに有し、
前記第2マーク部は、前記主面に形成される第2マークを含み、
前記主面の上面視において
、前記第2ワイ
ヤは、前記第2マークと重なる位置に配置される
請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項13】
前記主面の上面視において、前記第2マークは、前記第2ワイヤの直下に位置する
請求項10又は12に記載の半導体レーザ装置。
【請求項14】
前記複数の第2ワイヤグループの各々は、第2マーク部をさらに有し、
前記第2マーク部は、互いに離間して前記主面に形成される二つの第2マークと、前記主面の上面視において二つの前記第2マークを結んだ線分とを含み、
前記主面の上面視において、前記第2接合領域及び前記第2ワイヤの少なくとも一方は、二つの前記第2マークを結んだ線分と重なる位置に配置される
請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項15】
前記複数の第2ワイヤグループの個数は、前記複数の第1ワイヤグループの個数より多い
請求項12又は14に記載の半導体レーザ装置。
【請求項16】
前記主面に形成される第3マークをさらに備え、
前記主面の上面視において、前記第3マークは、前記半導体レーザ素子のフロント側端面を通り、かつ、前記フロント側端面に平行な直線と重なり、
前記第3マークは、前記第1マーク部及び前記第2マーク部よりも前記第3辺側に配置される
請求項12又は14に記載の半導体レーザ装置。
【請求項17】
前記第2マークは、前記金属膜に形成される
請求項10~16のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項18】
前記第2マークは、前記金属膜の前記第2辺側の外縁に接する
請求項17に記載の半導体レーザ装置。
【請求項19】
前記主面に形成される第3マークをさらに備え、
前記主面の上面視において、前記第3マークは、前記半導体レーザ素子のフロント側端面を通り、かつ、前記フロント側端面に平行な直線と重なる
請求項1~7、10~15のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項20】
前記主面に形成される第4マークをさらに備え、
前記主面の上面視において、前記第4マークは、前記半導体レーザ素子のリア側端面を通り、かつ、前記リア側端面に平行な直線と重なる
請求項19に記載の半導体レーザ装置。
【請求項21】
前記主面に形成される第3マークをさらに備え、
前記主面の上面視において、前記第3マークは、前記半導体レーザ素子のフロント側端面を通り、かつ、前記フロント側端面に平行な直線と重なり、
前記主面に形成される第4マークをさらに備え、
前記主面の上面視において、前記第4マークは、前記半導体レーザ素子のリア側端面を通り、かつ、前記リア側端面に平行な直線と重なり、
前記第2接合領域は、前記第3マークと前記第4マークとを結ぶ直線上に配置される
請求項10~15のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項22】
前記複数の第2ワイヤグループの各々の前記第2接合領域は、前記第1方向に沿って千鳥配列されている
請求項1~18、21のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項23】
前記複数の第2ワイヤグループ
が有する複数の前記第2マークは、前記第1方向に沿って千鳥配列されている
請求項
10~17、21のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項24】
前記主面と前記半導体レーザ素子とを接合する接合部材をさらに備える
請求項1~23のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項25】
前記主面と前記半導体レーザ素子とを接合する接合部材をさらに備え、
前記第2接合領域から前記接合部材までの距離は、前記第2接合領域から前記第2辺までの距離より小さい
請求項1~23のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項26】
前記接合部材から前記第1辺までの距離は、前記接合部材から前記第2辺までの距離より小さい
請求項24又は25に記載の半導体レーザ装置。
【請求項27】
前記半導体レーザ素子から前記第1辺までの距離は、前記半導体レーザ素子から前記第2辺までの距離より小さい
請求項1~26のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体レーザ素子は、高出力化が進められており、レーザ加工用の高効率なレーザ光源として注目されている。半導体レーザ素子の高出力化に伴い、半導体レーザ素子への供給電流が増大している。供給電流の増大に伴う発熱を低減するために、電流供給用のワイヤの低抵抗化が求められる。ワイヤの低抵抗化のための一つの手段として、ワイヤの太線化が考えられるが、半導体レーザ素子の電極のサイズは限られているため、ワイヤの太線化には限界がある。
【0003】
そこで、複数のワイヤを用いて電流を供給する技術が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載された発明においては、等間隔で配置された複数のワイヤによって、サブマウントと半導体レーザ素子の電極とを接続している。これにより、1本のワイヤだけを用いる場合より、サブマウントから半導体レーザ素子の電極までの電気抵抗を低減しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された半導体レーザ素子では、複数のワイヤが適切な位置に配置されない場合がある。例えば、複数のワイヤが、半導体レーザ素子の電極上において偏って配置された場合には、半導体レーザ素子の活性層に電流が均一に供給されない。なお、複数のワイヤが偏って配置された場合でも半導体レーザ素子の活性層に均一な電流を供給するために、例えば、電極において、電流を拡散させることができればよいが、電流を十分に拡散させられる程度には、電極の膜厚は大きくない。
【0006】
このように、活性層に電流が均一に供給されない場合、レーザ光の出力が低下するなどの問題が発生し得る。また、複数のワイヤがサブマウント上の一部の領域に偏って配置された場合にも、半導体レーザ素子に電流が均一に供給されない原因となり得る。また、この場合、ワイヤを介して伝導する熱が、サブマウント上の一部の領域に集中するため、サブマウントによる放熱効率が低下する。
【0007】
本開示は、このような課題を解決するものであり、複数のワイヤを用いて半導体レーザ素子に電流を供給する半導体レーザ装置において、複数のワイヤを適切な位置に配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様は、金属膜が形成された主面を有する基体と、前記主面に配置され、前記主面の面内方向の第1方向に沿って延びる共振器を有する半導体レーザ素子と、前記第1方向に沿って配列される、複数の第1ワイヤグループ及び複数の第2ワイヤグループとを備え、前記複数の第1ワイヤグループの各々は、前記半導体レーザ素子の天面の第1接合領域に接合される第1ワイヤ、及び、前記主面に形成される第1マーク部を有し、前記複数の第2ワイヤグループの各々は、前記主面の第2接合領域に接合される第2ワイヤ、及び、前記主面に形成される第2マーク部を有し、前記主面の形状は、前記第1方向に沿って延びる第1辺と、前記半導体レーザ素子を挟んで前記第1辺と反対側に配置され前記第1方向に沿って延びる第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺に垂直な第3辺とを有する矩形状であり、前記第2接合領域は、前記半導体レーザ素子と前記第2辺との間に配置され、前記主面の上面視において、前記第1ワイヤは、前記第1辺と交差し、前記第2ワイヤは、前記第2辺と交差し、前記第1ワイヤは、前記第1マーク部と重なる位置に配置され、前記第2接合領域及び前記第2ワイヤの少なくとも一方は、前記第2マーク部と重なる位置に配置される。
【0009】
これにより、主面の上面視において、各第1ワイヤの適切な配置位置に、各第1マーク部を配置することで、複数の第1ワイヤを適切な位置に配置できる。また、主面の上面視において、各第1ワイヤが、各第1マーク部と重なっているか否かを検査することで、複数の第1ワイヤの位置の良否を判定できる。さらに、主面の上面視において、各第2ワイヤの適切な配置位置に、各第2マーク部を配置することで、複数の第2ワイヤを適切な位置に配置できる。また、主面の上面視において、各第2ワイヤが、各第2マーク部と重なっているか否かを検査することで、複数の第2ワイヤの位置の良否を判定できる。また、複数の第1ワイヤ及び複数の第2ワイヤを第1方向に沿って均等に配置することで、半導体レーザ素子に電流を均一に供給することができる。
【0010】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記主面の上面視において、前記第1マーク部は、前記第1ワイヤの直下に配置される1以上の第1マークを含んでもよい。
【0011】
これにより、第1ワイヤと第1マークとが重なっているか否かを検査するだけで、第1ワイヤの位置の良否を容易に判定できる。また、ワイヤボンディングの際、第1マークを認識することで、第1ワイヤを適切な位置に配置することが容易となる。
【0012】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記主面の上面視において、前記第1マーク部は、1以上の第1マークと、前記1以上の第1マークのうち離間して配置された二つの第1マークを結んだ線分とを含み、前記第1ワイヤは、前記二つの第1マークを結んだ線分と重なってもよい。
【0013】
これにより、二つの第1マークで、二つの第1マークの各々より大きい第1マーク部を形成できる。このため、例えば、主面の金属膜を除去することによって第1マークを形成する場合、金属膜が除去される領域を抑制しつつ、第1マーク部のサイズを拡大できる。したがって、金属膜が除去されることによる電流の不均一化を抑制しつつ、第1マーク部のサイズを拡大できる。
【0014】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記1以上の第1マークは、前記金属膜に形成されてもよい。
【0015】
このように、金属膜に第1マークを形成することで、他の部材を追加することなく、第1マークを形成できる。例えば、金属膜の一部を除去することによって、第1マークを形成できる。
【0016】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記1以上の第1マークの少なくとも一つは、前記金属膜の前記第1辺側の外縁に接してもよい。
【0017】
これにより、金属膜が除去されることによって、金属膜が除去されることによる電流の不均一化を抑制することができる。
【0018】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記主面の上面視において、前記第2マーク部は、離間して配置される二つの第2マークと、前記二つの第2マークを結んだ線分とを含み、前記第2ワイヤは、前記二つの第2マークを結んだ線分と重なってもよい。
【0019】
これにより、二つの第2マークで、二つの第2マークの各々より大きい第2マーク部を形成できる。このため、例えば、主面の金属膜を除去することによって第2マークを形成する場合、金属膜が除去される領域を抑制しつつ、第2マーク部のサイズを拡大できる。したがって、金属膜が除去されることによる電流の不均一化を抑制しつつ、第2マーク部のサイズを拡大できる。
【0020】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記主面の上面視において、前記第2マーク部は、離間して配置される二つの第2マークを含み、前記第2接合領域は、前記二つの第2マークを結んだ線分と重なってもよい。
【0021】
これにより、二つの第2マークで、二つの第2マークの各々より大きい第2マーク部を形成できる。このため、例えば、主面の金属膜を除去することによって第2マークを形成する場合、金属膜が除去される領域を抑制しつつ、第2マーク部のサイズを拡大できる。したがって、金属膜が除去されることによる電流の不均一化を抑制しつつ、第2マーク部のサイズを拡大できる。
【0022】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記二つの第2マークは、前記金属膜に形成されてもよい。
【0023】
このように、金属膜に第2マークを形成することで、他の部材を追加することなく、第2マークを形成できる。例えば、金属膜の一部を除去することによって、第2マークを形成できる。
【0024】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記二つの第2マークは、前記金属膜の前記第2辺側の外縁に接してもよい。
【0025】
このように、第2マークが、金属膜の外縁に配置されることで、第2マークが第2接合領域と干渉することを抑制できる。また、第2マークが、金属膜の外縁に配置されることで、第2マークを第2接合領域から比較的大きく離間させることができるため、第2マークを形成することによる、金属膜に流れる電流への影響を低減できる。
【0026】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記主面に形成される第3マークをさらに備え、前記主面の上面視において、前記第3マークは、前記半導体レーザ素子のフロント側端面を通り、かつ、前記フロント側端面に平行な直線と重なってもよい。
【0027】
これにより、第3マークに基づいて、半導体レーザ素子のフロント側端面をアライメントできる。
【0028】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記第3マークは、前記第1マーク部及び前記第2マーク部よりも前記第3辺側に配置されてもよい。
【0029】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記主面に形成される第4マークをさらに備え、前記主面の上面視において、前記第4マークは、前記半導体レーザ素子のリア側端面を通り、かつ、前記リア側端面に平行な直線と重なってもよい。
【0030】
これにより、第4マークに基づいて、半導体レーザ素子のリア側端面をアライメントできる。
【0031】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記第2接合領域は、前記第3マークと前記第4マークとを結ぶ直線上に配置されてもよい。
【0032】
これにより、第2接合領域の適切な配置位置を通る直線上に、第3マーク及び第4マークを配置することで、第2接合領域を適切な位置に配置できる。また、主面の上面視において、第2接合領域が第3マークと第4マークとを結ぶ直線上に配置されているか否かを検査することで、第2接合領域の位置の良否を判定できる。
【0033】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記半導体レーザ素子は、前記天面に配置される電極を有し、前記電極は、複数の接合部と、1以上の中間部とを含み、前記1以上の中間部の各々は、前記複数の接合部のうち隣り合う二つの接合部の間に配置され、前記複数の接合部の各々の前記第1方向と垂直な第2方向における幅は、前記1以上の中間部の各々の前記第2方向における幅より広くてもよい。
【0034】
このように、接合部における第2方向の幅を、中間部における第2方向の幅より広くすることで、接合部へのワイヤのボンディングを容易化できる。また、接合部及び中間部の第2方向の幅を異ならせることで、接合部を容易に識別できるため、ワイヤが接合部に接合されているか否かを容易に判定できる。また、ワイヤボンディングの際、接合部及び中間部の幅の差をパターン認識に利用することにより、ワイヤが接合部からはみ出ることを防止できる。
【0035】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記複数の接合部のうち、前記半導体レーザ素子のフロント側端面に最も近い接合部から前記フロント側端面までの距離は、前記複数の接合部のうち、前記半導体レーザ素子のリア側端面に最も近い接合部から前記リア側端面までの距離より小さくてもよい。
【0036】
これにより、半導体レーザ素子において最も電流の消費量が大きくなり得るフロント側端面に近い位置に接合部を配置できるため、フロント側端面に近い領域に効率よく電流を供給できる。
【0037】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記半導体レーザ素子は、前記電極の前記フロント側端面より、前記リア側端面に近い領域に配置されるチップ識別用マークを有してもよい。
【0038】
これにより、半導体レーザ素子の識別が可能となる。また、半導体レーザ素子のリア側端面近傍は、フロント側端面近傍より、電流の消費量が大きくない。このため、リア側端面近傍にチップ識別用マークを配置することによって、フロント側端面近傍にチップ識別用マークを配置する場合より、半導体レーザ素子の出力への影響を低減できる。
【0039】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記複数の第1ワイヤグループの各々の前記第1接合領域は、前記第1方向に沿って千鳥配列されていてもよい。
【0040】
このように第1接合領域を配列することで、各第1接合領域(つまり、各第1ワイヤ)が互いに干渉することを抑制しながら、より多くの第1接合領域を半導体レーザ素子の電極上に設けることができる。したがって、半導体レーザ素子から、より多くの第1接合領域及び第1ワイヤを介して放熱することができるため、半導体レーザ装置の放熱効率を高めることができる。
【0041】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記複数の第2ワイヤグループの各々の前記第2接合領域は、前記第1方向に沿って千鳥配列されていてもよい。
【0042】
このように第2接合領域を配列することで、各第2接合領域(つまり、各第2ワイヤ)が互いに干渉することを抑制しながら、より多くの第2接合領域を基体の主面上に設けることができる。したがって、基体から、より多くの第2接合領域及び第2ワイヤを介して放熱することができるため、半導体レーザ装置の放熱効率を高めることができる。
【0043】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記複数の第2ワイヤグループの各々は、1以上の第2マークを含み、前記複数の第2ワイヤグループの各々の前記1以上の第2マークは、前記第1方向に沿って千鳥配列されていてもよい。
【0044】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記複数の第2ワイヤグループの個数は、前記複数の第1ワイヤグループの個数より多くてもよい。
【0045】
これにより、各第2ワイヤに供給される電流を低減することができる。
【0046】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様は、前記主面と前記半導体レーザ素子とを接合する接合部材をさらに備えてもよい。
【0047】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記第2接合領域から前記接合部材までの距離は、前記第2接合領域から前記第2辺までの距離より小さくてもよい。
【0048】
これにより、各第2接合領域を発熱源である半導体レーザ素子に近づけることができるため、各第2ワイヤを介して効率よく放熱できる。また、各第2接合領域を半導体レーザ素子に近づけることで、各第2接合領域と半導体レーザ素子との間の抵抗成分を低減できる。したがって、半導体レーザ装置の電力変換効率を高めることができる。
【0049】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記接合部材から前記第1辺までの距離は、前記接合部材から前記第2辺までの距離より小さくてもよい。
【0050】
これにより、半導体レーザ素子から第1辺までの距離を、半導体レーザ素子から第2辺までの距離より小さくすることができる。この場合、半導体レーザ素子から第1辺及び第2辺までの距離が等しい場合より、主面における半導体レーザ素子から第2辺までの領域の面積が大きくなる。したがって、主面における半導体レーザ素子から第2辺までの領域に、より多くの第2ワイヤ(つまり、第2接合領域)を配置することが可能となる。
【0051】
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記半導体レーザ素子から前記第1辺までの距離は、前記半導体レーザ素子から前記第2辺までの距離より小さくてもよい。
【0052】
これにより、半導体レーザ素子から第1辺及び第2辺までの距離が等しい場合より、主面における半導体レーザ素子から第2辺までの領域の面積が大きくなる。したがって、主面における半導体レーザ素子から第2辺までの領域に、より多くの第2ワイヤ(つまり、第2接合領域)を配置することが可能となる。
【発明の効果】
【0053】
本開示によれば、複数のワイヤを用いて半導体レーザ素子に電流を供給する半導体レーザ装置において、複数のワイヤを適切な位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の全体構成を示す模式的な正面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の全体構成を示す模式的な上面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子及び基体の構成を示す模式的な上面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の複数の第1ワイヤグループ及び複数の第2ワイヤグループの構成を示す模式的な上面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る第2マーク部が示す領域を説明する模式図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子の基体に接合する前の構成を示す模式的な断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子の基体に接合した状態における構成を示す模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の製造方法の第1工程を示す模式的な正面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の製造方法の第2工程を示す模式的な正面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の製造方法の第3工程を示す模式的な正面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置の製造方法の第4工程を示す模式的な正面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の全体構成を示す模式的な正面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の全体構成を示す模式的な上面図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2に係る半導体レーザ素子及び基体の構成を示す模式的な上面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の複数の第1ワイヤグループ及び複数の第2ワイヤグループの構成を示す模式的な上面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態2に係る半導体レーザ素子の電極の構造を示す模式的な上面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態2に係る半導体レーザ素子の基体に接合する前の構成を示す模式的な断面図である。
【
図18】
図18は、実施の形態2に係る半導体レーザ素子の基体に接合した状態における構成を示す模式的な断面図である。
【
図19】
図19は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の製造方法の第1工程を示す模式的な正面図である。
【
図20】
図20は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の製造方法の第2工程を示す模式的な正面図である。
【
図21】
図21は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の製造方法の第3工程を示す模式的な正面図である。
【
図22】
図22は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の製造方法の第4工程を示す模式的な正面図である。
【
図23】
図23は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置の製造方法の第5工程を示す模式的な正面図である。
【
図24】
図24は、実施の形態3に係る半導体レーザ装置の構成を示す模式的な上面図である。
【
図25】
図25は、実施の形態3に係る半導体レーザ装置の複数の第1マーク部及び複数の第2マーク部の構成を示す模式的な上面図である。
【
図26】
図26は、実施の形態3に係る複数の第1ワイヤグループ及び複数の第2ワイヤグループの構成を示す模式的な上面図である。
【
図27】
図27は、実施の形態4に係る半導体レーザ装置の構成を示す模式的な上面図である。
【
図28】
図28は、実施の形態4に係る半導体レーザ装置の複数の第1マーク部及び複数の第2マーク部の構成を示す模式的な上面図である。
【
図29】
図29は、実施の形態4に係る複数の第1ワイヤグループ及び複数の第2ワイヤグループの構成を示す模式的な上面図である。
【
図30】
図30は、実施の形態3に係る半導体レーザ装置の複数の第2マーク部の変形例を示す模式的な上面図である。
【
図31】
図31は、実施の形態3の変形例に係る半導体レーザ装置の複数の第2マーク部を示す模式的な上面図である。
【
図32】
図32は、実施の形態2の変形例に係る半導体レーザ装置の複数の第1マーク部及び複数の第2マーク部を示す模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、及び、構成要素の配置位置や接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。
【0056】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0057】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
【0058】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る半導体レーザ装置について説明する。
【0059】
[1-1.全体構成]
まず、本実施の形態に係る半導体レーザ装置の全体構成について
図1~
図3を用いて説明する。
図1及び
図2は、それぞれ、本実施の形態に係る半導体レーザ装置10の全体構成を示す模式的な正面図及び上面図である。
図3は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子20及び基体80の構成を示す模式的な上面図である。なお、
図1~
図3において、半導体レーザ装置10のレーザ光の出射方向をY軸方向とし、Y軸方向と垂直な方向のうち、基体80の半導体レーザ素子20が載置される面に垂直な方向をZ軸方向とし、Y軸方向及びZ軸方向と垂直な方向をX軸方向としている。また、各図において、X軸、Y軸、及びZ軸の正の方向は、右手系座標系となるように描かれている。以下に示す図についても同様である。
【0060】
半導体レーザ装置10は、レーザ光を出射する装置であり、
図1及び
図2に示されるように、基体80と、半導体レーザ素子20とを備える。半導体レーザ装置10は、
図2に示されるように、第1ワイヤ61~64と、第2ワイヤ71~74と、リードピン91、92及び95と、ステム93と、ベース94とをさらに備える。なお、
図1~
図3には示されないが、半導体レーザ装置10は、半導体レーザ素子20、基体80及びステム93の周囲を覆うキャップを備えてもよい。
【0061】
ベース94は、半導体レーザ装置10の基台である。本実施の形態では、ベース94は、円板状の形状を有する導電性部材である。
【0062】
リードピン91、92及び95は、半導体レーザ素子20に電流を供給するための端子である。本実施の形態では、リードピン91には、高電位が印加され、リードピン92及び95には、低電位が印加される。リードピン91、92及び95は、円柱状の形状を有する導電体である。リードピン91及び92は、ベース94を貫通する。リードピン95は、ベース94のステム93が配置された面の裏側面に立設される。
【0063】
リードピン91は、ベース94と電気的に絶縁されている。具体的には、リードピン91は、絶縁部材(図示せず)を介してベース94に固定されている。リードピン92及び95は、ベース94と導通した状態でベース94に固定されている。
【0064】
ステム93は、ベース94に立設された板状部材である。本実施の形態では、ステム93は、半導体レーザ素子20のヒートシンクとしても機能する。
【0065】
ベース94、リードピン91、92及び95、並びにステム93を形成する導電性材料は特に限定されないが、例えば、アルミニウム合金、Cuなどである。
【0066】
半導体レーザ素子20は、レーザ光を生成する半導体素子である。半導体レーザ素子20は、
図3に示されるように、基体80の主面80aに配置され、主面80aの面内方向の第1方向に沿って延びる共振器を有する。本実施の形態では、半導体レーザ素子20の共振器は、フロント側端面20F及びリア側端面20Rで形成される。フロント側端面20Fは、半導体レーザ素子20のレーザ光を出射する側の端面であり、リア側端面20Rよりレーザ光に対する反射率が低い。リア側端面20Rは、半導体レーザ素子20のレーザ光を反射する高反射端面である。第1方向は、レーザ光が共振する方向、つまり、レーザ光が出射する方向であり、各図のY軸方向と平行である。
【0067】
半導体レーザ素子20の天面(つまり、基体80と接合される面の裏側の面)には電極28が形成されている。半導体レーザ素子20の天面は、第1ワイヤ61~64がそれぞれ接合される第1接合領域B11~B14を有する。本実施の形態に係る半導体レーザ素子20は、基体80の主面80a上にジャンクションアップ実装されている。つまり、半導体レーザ素子20は、その基板側の表面において、主面80aに実装されており、半導体レーザ素子20の天面の直下に光導波路が配置される。この場合、各第1接合領域には、各第1ワイヤがボンディングされるため、各第1ワイヤのボンディング時の衝撃によって、半導体レーザ素子20の光導波路を形成するリッジ部23Rがダメージを受けるおそれがある。このようなダメージを抑制するために、各第1接合領域は、リッジ部23Rの直上以外の領域に配置される。また、リッジ部23Rの直上以外の領域に各第1接合領域を配置しようとすると、各第1接合領域の幅(つまり、各図のX軸方向の長さ)を十分に確保できない場合がある。このため、本実施の形態では、リッジ部23Rは、第1方向と垂直な方向であって、かつ、天面に平行な第2方向(各図のX軸方向)に偏位されている。
図3に示される例では、リッジ部23Rは、半導体レーザ素子20の中央より、基体80の主面80aの第2辺82に近い位置に配置されている。これにより、各第1接合領域の幅を拡大できる。また、以上のように、半導体レーザ素子20を主面80a上にジャンクションアップ実装する場合には、ジャンクションダウン実装する場合より、各第1接合領域の幅が、制限されるため、各第1ワイヤの直径も制限される。したがって、ジャンクションアップ実装された半導体レーザ素子20への供給電流を増大させるためには、ジャンクションダウン実装される場合より、第1ワイヤの本数を増大させることによって、複数の第1ワイヤにおける合成抵抗を低減することがより一層必要とされる。
【0068】
本実施の形態では、第1接合領域B11~B14は、第1方向に平行に配列されている。半導体レーザ素子20のフロント側端面20Fから第1接合領域B11~B14の各中心までの距離は、それぞれ、0.14mm、0.29mm、0.49mm、及び0.64mmである。
【0069】
半導体レーザ素子20は、接合部材88によって、基体80の主面80aの金属膜86に接合される。接合部材88の構成は特に限定されない。本実施の形態では、接合部材88は、金属膜86側から順に、厚さ0.32μmのPt膜、及び、厚さ2.5μmのAuSnからなる半田膜を有する。接合部材88の第2方向における長さは、0.25mm程度である。
【0070】
半導体レーザ素子20のサイズ及び構造は特に限定されない。本実施の形態では、半導体レーザ素子20の共振器長は、800μmであり、第2方向の幅は、150μmであり、厚さ(Z軸方向の長さ)は、85μmである。
【0071】
なお、半導体レーザ素子20の積層構造については、後述する。
【0072】
基体80は、半導体レーザ素子20が載置されるサブマウントである。基体80は、半導体レーザ素子20のヒートシンクとしても機能する。基体80を形成する材料は、熱伝導率が高い材料であれば特に限定されないが、本実施の形態では、SiCである。
【0073】
基体80は、
図3に示されるように、金属膜86が形成された主面80aを有する。基体80のサイズ及び形状は特に限定されないが、本実施の形態では、基体80は、長さ(つまり、Y軸方向の長さ)が0.93mm、幅(つまり、X軸方向の長さ)が0.55mm、厚さ(つまり、Z軸方向の長さ)が0.19mmの直方体状の形状を有する。
【0074】
主面80aの形状は、第1方向に沿って延びる第1辺81と、半導体レーザ素子20を挟んで第1辺81と反対側に配置され第1方向に沿って延びる第2辺82と、第1辺81及び第2辺82に垂直な第3辺83及び第4辺84とを有する矩形状である。
【0075】
主面80aは、第2ワイヤ71~74がそれぞれ接合される第2接合領域B21~B24を有する。各第2接合領域は、半導体レーザ素子20と主面80aの第2辺82との間に配置される。本実施の形態では、第2接合領域B21~B24は、第1方向に平行に等間隔で配列されている。第2接合領域B21~B24の間隔は、0.15mmである。また、主面80aの第3辺83から第2接合領域B21の中心までの距離は、0.23mmであり、第4辺84から第2接合領域B24の中心までの距離は、0.25mmである。また、主面80aの第2辺82から各第2接合領域までの距離は、0.07mmである。
【0076】
金属膜86は、半導体レーザ素子20の一方の電極と接続される導電性膜である。金属膜86は、導電性膜であれば特に限定されない。本実施の形態では、金属膜86は、基体80の主面80aから順に、厚さ0.1μmのTi膜、厚さ0.2μmのPt膜、及び厚さ0.5μmのAu膜を有する。金属膜86は、主面80a上の周縁の幅0.01mmの領域には形成されない。
【0077】
金属膜86には、第1マーク41~44、第2マーク51~55、第3マーク31、32、及び、第4マーク33が形成されている。このように、金属膜86に各マークを形成することで、他の部材を追加することなく、各マークを形成できる。各マークは、主面80a上において視認可能な構成を有する。本実施の形態では、各マークは、金属膜86の一部の領域をAu膜からTi膜まで除去し、主面80aを金属膜86から露出することによって形成されている。これにより、主面80a上の各マーク部とそれ以外の部分との明暗(つまり、可視光に対する反射率の差)により、各マークを視認できる。なお、各マークの構成は、視認可能であれば特に限定されない。例えば、金属膜86と反射率が異なる他の膜を金属膜86上に配置することによって、各マークを形成してもよい。なお、各マークの最小サイズは、各マークを容易に形成でき、かつ、視認できるサイズに設定される。なお、各マークは、肉眼で視認できなくてもよい。例えば、各マークは、顕微鏡などで視認できてもよい。また、各マークの最大サイズは、各ワイヤを接合するための領域などを確保できるように設定される。
【0078】
各第1マークは、半導体レーザ素子20と、主面80aの第1辺81との間に配置される。本実施の形態では、各第1マークは、四角形状の形状を有する。各第1マークの第1方向における幅は、20μm以上70μm以下程度である。また、各第1マークの第1方向と垂直な第2方向における長さは、20μm以上140μm以下程度である。各第1マークは、四角形状の形状を有し、金属膜86の主面80aの第1辺81側の(言い換えると、第1辺81に最も近い)外縁に接する。言い換えると、各第1マークは、金属膜86の第1辺81側の端部から内側に向かって形成された切り欠き部である。
【0079】
第1マーク41~44は、それぞれ、主面80aの上面視において、第1ワイヤ61~64の直下に配置される。本実施の形態では、主面80aの第3辺83から第1マーク41~44の第1方向の中央までの距離は、それぞれ、0.205mm、0.355mm、0.555mm、及び0.705mmである。主面80aの第4辺84から第1マーク44までの距離は、0.225mmである。
【0080】
各第2マークは、半導体レーザ素子20と、主面80aの第2辺82との間に配置される。本実施の形態では、各第2マークは、三角形状の形状を有する。より詳しくは、各第2マークは、直角二等辺三角形状の形状を有し、各第2マークの斜辺が主面80aの第2辺82に平行となる角度で形成されている。各第2マークの等辺の長さは、25μm以上100μm以下程度である。各第2マークは、三角形状の形状を有し、金属膜86の主面80aの第2辺82側の外縁に接する。言い換えると、各第2マークは、金属膜86の第2辺82側の端部から内側に向かって形成された切り欠き部である。このように、各第2マークが、金属膜86の外縁に配置されることで、各第2マークが各第2接合領域と干渉することを抑制できる。また、各第2マークが、金属膜86の外縁に配置されることで、各第2マークを各第2接合領域から比較的大きく離間させることができるため、各第2マークを形成することによる、金属膜86に流れる電流への影響を低減できる。
【0081】
本実施の形態では、主面80aの第3辺83から第2マーク51~55の第1方向の中央までの距離は、それぞれ、0.15mm、0.30mm、0.45mm、0.60mm、及び0.75mmである。このように、第2マーク51~55は、等間隔で配置されている。主面80aの第4辺84から第2マーク55までの距離は、0.17mmである。
【0082】
各第3マークは、主面80aに形成されたマークであり、主面80aの上面視において、各第3マークは、半導体レーザ素子20のフロント側端面20Fを通り、かつ、フロント側端面20Fに平行な直線と重なる。これにより、各第3マークに基づいて、半導体レーザ素子20のフロント側端面20Fをアライメントできる。本実施の形態では、主面80aの第3辺83から各第3マークの中心までの距離は、0.065mmである。また、主面80aの第1辺81から第3マーク31の中心までの距離、及び、第2辺82から第3マーク32の中心までの距離は、ともに0.07mmである。このように、各第3マークは、各第1マーク及び各第2マークよりも主面80aの第3辺83側に配置される。
【0083】
各第3マークの形状は、特に限定されないが、本実施の形態では、正方形状の形状を有し、正方形の各辺が主面80aの各辺に対して45度傾斜している。各第3マークの一辺の長さは、30μm以上70μm以下程度である。なお、本実施の形態では、二つの第3マーク31及び32が形成されているが、第3マークの個数は一つでもよいし、第3マーク31及び32は、形成されなくてもよい。
【0084】
第4マーク33は、主面80aに形成されたマークであり、主面80aの上面視において、第4マーク33は、半導体レーザ素子20のリア側端面20Rを通り、かつ、リア側端面20Rに平行な直線と重なる。これにより、第4マーク33に基づいて、半導体レーザ素子20のリア側端面20Rをアライメントできる。本実施の形態では、主面80aの第4辺84から第4マーク33の中心までの距離は、0.065mmである。また、主面80aの第2辺82から第4マーク33の中心までの距離は、0.07mmである。
【0085】
第4マーク33の形状は、特に限定されないが、本実施の形態では、正方形状の形状を有し、正方形の各辺が主面80aの各辺に対して45度傾斜している。第4マーク33の一辺の長さは、30μm以上70μm以下程度である。
【0086】
なお、本実施の形態では、一つの第4マーク33が形成されているが、第4マークの個数は二つでもよいし、第4マーク33は、形成されなくてもよい。
【0087】
本実施の形態では、各第2接合領域は、第3マーク32と第4マーク33とを結ぶ直線上に配置される。これにより、各第2接合領域の適切な配置位置を通る直線上に、第3マーク32及び第4マーク33を配置することで、各第2接合領域を適切な位置に配置できる。また、主面80aの上面視において、各第2接合領域が第3マーク32と第4マーク33とを結ぶ直線上に配置されているか否かを検査することで、第2接合領域の位置の良否を判定できる。
【0088】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置10は、
図3に示されるように、複数の第1マーク部M11~M14と、複数の第2マーク部M21~M24とを備える。第1マーク部M11~M14は、それぞれ、第1マーク41~44を含む。つまり、第1マーク部M11は、第1マーク41を含み、第1マーク部M12は、第1マーク42を含み、第1マーク部M13は、第1マーク43を含み、第1マーク部M14は、第1マーク44を含む。第2マーク部M21は、第2マーク51及び52を含み、第2マーク部M22は、第2マーク52及び53を含み、第2マーク部M23は、第2マーク53及び54を含み、第2マーク部M24は、第2マーク54及び55を含む。
【0089】
第1マーク部M11~M14は、互いに異なる。言い換えると、第1マーク部M11~M14の各々が含む1以上の第1マークの少なくとも一部は異なる。また、第2マーク部M21~M24は、互いに異なる。言い換えると、第2マーク部M21~M24の各々が含む1以上の第2マークの少なくとも一部は異なる。
【0090】
なお、図示しないが、基体80の主面80aの裏側の主面にも、金属膜が形成されている。本実施の形態では、基体80側から順に、厚さ0.1μmのTi膜、厚さ0.2μmのPt膜、厚さ0.5μmのAu膜が形成されている。
【0091】
基体80は、接合部材87によって、ステム93の一面に接合される。接合部材87の構成は特に限定されない。本実施の形態では、接合部材87は、厚さ4.0μmのAuSnからなる半田膜を含む。
【0092】
第1ワイヤ61~64は、
図2に示されるように、リードピン91と、半導体レーザ素子20との間を接続する電流供給用の導電性ワイヤである。第1ワイヤ61~64は、
図3に示されるように、それぞれ、半導体レーザ素子20の天面の第1接合領域B11~B14に接合される。第1ワイヤ61~64は、それぞれ、半導体レーザ素子20側の端部に半球状の形状を有する第1ボール部61B~64Bを有する。第1ボール部61B~64Bは、それぞれ、第1接合領域B11~B14において半導体レーザ素子20の天面と接合される。主面80aの上面視において、各第1ワイヤは、主面80aの第1辺81と交差する。
【0093】
各第1ワイヤの材質及び構造は特に限定されない。本実施の形態では、各第1ワイヤは、Auからなる直径20μmのワイヤである。また、各第1ボール部の直径は、55±15μm程度である。なお、各第1ワイヤの直径は、15μm以上50μmであってもよい。各第1ボール部の直径は、30μm以上100μmであってもよい。
【0094】
第2ワイヤ71~74は、
図2に示されるように、リードピン92と、基体80の主面80aとの間を接続する電流供給用のワイヤである。第2ワイヤ71~74は、
図3に示されるように、それぞれ、基体80の主面80aの第2接合領域B21~B24に接合される。第2ワイヤ71~74は、それぞれ、主面80a側の端部に半球状の形状を有する第2ボール部71B~74Bを有する。第2ボール部71B~74Bは、それぞれ、第2接合領域B21~B24において主面80aと接合される。主面80aの上面視において、各第2ワイヤは、主面80aの第2辺82と交差する。
【0095】
各第2ワイヤの材質及び構造は特に限定されない。本実施の形態では、各第2ワイヤは、Auからなる直径20μmのワイヤである。また、各第2ボール部の直径は、55±15μm程度である。なお、各第2ワイヤの直径は、15μm以上50μmであってもよい。各第2ボール部の直径は、30μm以上100μmであってもよい。
【0096】
[1-2.第1ワイヤグループ及び第2ワイヤグループの構成]
本実施の形態に係る半導体レーザ装置10は、複数の第1ワイヤグループ及び複数の第2ワイヤグループを備える。以下、本実施の形態に係る複数の第1ワイヤグループ及び複数の第2ワイヤグループの各構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置10の複数の第1ワイヤグループG11~G14及び複数の第2ワイヤグループG21~G24の構成を示す模式的な上面図である。
【0097】
図4に示されるように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置10は、複数の第1ワイヤグループG11~G14及び複数の第2ワイヤグループG21~G24を備える。
【0098】
第1ワイヤグループG11は、第1ワイヤ61及び第1マーク部M11(つまり、第1マーク41)を有する。第1ワイヤグループG12は、第1ワイヤ62及び第1マーク部M12(つまり、第1マーク42)を有する。第1ワイヤグループG13は、第1ワイヤ63及び第1マーク部M13(つまり、第1マーク43)を有する。第1ワイヤグループG14は、第1ワイヤ64及び第1マーク部M14(つまり、第1マーク44)を有する。
【0099】
第1ワイヤ61~64は、基体80の主面80aの上面視において、それぞれ、第1マーク部M11~M14と重なる位置に配置される。言い換えると、第1ワイヤ61~64は、主面80aの上面視において、それぞれ、第1マーク41~44と重なる。本実施の形態では、第1マーク41~44は、主面80aの上面視において、それぞれ、第1ワイヤ61~64の直下に配置される。
【0100】
これにより、主面80aの上面視において、各第1ワイヤの適切な配置位置に、各第1マーク部を配置することで、複数の第1ワイヤを適切な位置に配置できる。また、主面80aの上面視において、各第1ワイヤが、各第1マーク部と重なっているか否かを検査することで、複数の第1ワイヤ61~64の各々の位置の良否を判定できる。
【0101】
また、本実施の形態では、複数の第1マーク部M11~M14は、互いに異なる。したがって、複数の第1ワイヤ61~64が、互いに異なる複数の第1マーク部の位置に合わせて配置される。また、複数の第1マーク部の各々には、1本の第1ワイヤだけが重なる。これにより、複数の第1ワイヤが集中して配置されたり、接触したりすることを低減できる。
【0102】
第2ワイヤグループG21は、第2ワイヤ71及び第2マーク部M21(つまり、第2マーク51及び52)を有する。第2ワイヤグループG22は、第2ワイヤ72及び第2マーク部M22(つまり、第2マーク52及び53)を有する。第2ワイヤグループG23は、第2ワイヤ73及び第2マーク部M23(つまり、第2マーク53及び54)を有する。第2ワイヤグループG24は、第2ワイヤ74及び第2マーク部M24(つまり、第2マーク54及び55)を有する。
【0103】
第2ワイヤ71~74は、主面80aの上面視において、それぞれ、第2マーク部M21~M24と重なる位置に配置される。ここで、各第2マーク部が二つの第2マークを含む場合の各第2ワイヤと各第2マークとの位置関係について
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係る第2マーク部M21が示す領域を説明する模式図である。
図5には、主面80aの上面視における第2マーク部M21が示されている。
【0104】
図5に示されるように、主面80aの上面視において、第2マーク部M21は、離間して配置された二つの第2マーク51及び52と、二つの第2マーク51及び52を結んだ線分とを含む。言い換えると、第2マーク部M21は、第2マーク51及び52の各領域と、第2マーク51及び第2マーク52を繋ぐ線分の集合である領域MRとを含む。さらに言い換えると、第2マーク部M21は、第2マーク51と第2マーク52とを囲む包絡線とその内部に含まれる領域とを含む。第2マーク部M22~M24の各々が含む領域についても、第2マーク部M21と同様に定義される。本実施の形態では、
図4に示されるように、各第2マーク部において、二つの第2マークが、各第2ワイヤを挟んで離間して配置される。
【0105】
これにより、主面80aの上面視において、各第2ワイヤの適切な配置位置に、各第2マーク部を配置することで、複数の第2ワイヤ71~74を適切な位置に配置できる。また、主面80aの上面視において、各第2ワイヤが、各第2マーク部と重なっているか否かを検査することで、複数の第2ワイヤ71~74の各々の位置の良否を判定できる。
【0106】
また、本実施の形態では、複数の第2マーク部M21~M24は、互いに異なる。したがって、複数の第2ワイヤ71~74が、互いに異なる複数の第2マーク部の位置に合わせて配置される。また、複数の第2マーク部の各々には、1本の第2ワイヤだけが重なる。これにより、複数の第2ワイヤが集中して配置されたり、接触したりすることを低減できる。
【0107】
[1-3.半導体レーザ素子の積層構造]
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ素子20の積層構造について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子20の基体80に接合する前の構成を示す模式的な断面図である。
図6には、リア側端面20R側から見た場合の半導体レーザ素子20の第1方向(つまり、共振器長方向)に垂直な断面が示されている。したがって、
図3に示されるように半導体レーザ素子20を基体80に接合した場合、
図6において、半導体レーザ素子20の右側は、基体80の第1辺81側に配置され、半導体レーザ素子20の左側は、基体80の第2辺82側に配置される。
【0108】
半導体レーザ素子20は、例えば、窒化物系半導体レーザ素子であり、基体80に接合される前には、
図6に示されるように、基板26と、第1半導体層21と、活性層22と、第2半導体層23と、電流ブロック層240と、p側オーミック電極250と、電極27及び28とを備える。
【0109】
基板26は、例えば、GaNからなるGaN基板である。本実施の形態では、基板26として、六方晶のn型GaN基板を用いている。
【0110】
第1半導体層21は、例えば、n型のAlGaNからなるn型クラッド層211と、n型クラッド層211の上に形成されたGaNからなるn側ガイド層212とを有する。
【0111】
活性層22は、アンドープの量子井戸活性層であり、例えば、InGaNからなる量子井戸層とInGaNからなる量子障壁層とが交互に積層された量子井戸構造の活性層である。
【0112】
第2半導体層23は、例えば、InGaNからなるp側ガイド層231と、p側ガイド層231の上に形成されたp型電子障壁層(オーバーフロー抑制層)232と、p型電子障壁層232の上に形成されたp型のAlGaNからなるp型クラッド層233と、p型クラッド層233の上に形成されたp型のGaNからなるp型コンタクト層234とを有する。
【0113】
図6に示されるように、半導体レーザ素子20は、共振器長方向(つまり、Y軸方向)に延在するリッジ部23Rを有する。リッジ部23Rは、半導体レーザ素子20における電流注入領域及び光導波路としての機能を有する。
図6に示されるように、リッジ部23Rは、第2半導体層23に形成されている。
【0114】
具体的には、リッジ部23Rは、共振器長方向に延在する2本の開口部202を第2半導体層23に掘り込むことで形成されている。つまり、リッジ部23Rは、第2半導体層23に形成された2つの開口部202によって挟まれている。本実施の形態において、リッジ部23Rは、p型クラッド層233とp型コンタクト層234とを掘り込むことで形成されている。
【0115】
また、
図6に示されるように、リッジ部23R上の一部を除き、第2半導体層23の上(本実施の形態ではp型コンタクト層234の上)は、SiO
2からなる電流ブロック層240で覆われている。つまり、電流ブロック層240は、p型コンタクト層234の上に開口部を有するように形成されている。
【0116】
第2半導体層23の上方には、p側オーミック電極250及び電極28が形成されている。p側オーミック電極250は、電流ブロック層240の開口部に形成されている。電極28は、p側オーミック電極250の上に形成される。p側オーミック電極250は、例えば、Pd及びPtによって構成され、電極28は、例えば、Auによって構成される。
【0117】
また、基板26の下方の面(つまり、電極28側の面とは反対側の面)には、電極27が形成されている。電極27は、例えば、Auによって構成される。
【0118】
本実施の形態における半導体レーザ素子20では、
図6に示されるように、リッジ部23Rの中心線は、半導体レーザ素子20の幅方向の中心から、第2方向(X軸方向)にずれた位置に存在している。つまり、リッジ部23Rは、第2方向(X軸方向)にオフセットされた位置に配置されている。
【0119】
本実施の形態において、リッジ部23Rの位置は、X軸のマイナス方向(基体80に接合した場合は、基体80の第2辺82側(
図3参照))にオフセットされている。このため、リッジ部23Rの直上以外の領域に、各第1ワイヤがボンディングされる各第1接合領域を配置する際に、リッジ部23RがX軸方向の中央に配置される場合より、各第1接合領域のX軸方向における幅を拡大できる。なお、各第1接合領域は、半導体レーザ素子20のX軸方向の中心より、X軸のプラス方向(基体80に接合した場合は、基体80の第1辺81側(
図3参照))にオフセットされている。
【0120】
半導体レーザ素子20のX軸方向端部の側面部分には、溝262が形成されている。溝262は、半導体レーザ素子20を個片化する際に用いられる素子分離用の溝である。溝262は、半導体積層体側から、基板26にまで到達する。
【0121】
半導体レーザ素子20の半導体積層体には、第2半導体層23から第1半導体層21まで到達する溝263及び264が形成されている。溝263及び264は、溝262を形成する際に使用されるガイド溝である。
【0122】
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ素子20の基体80に接合した状態における構成について、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子20の基体80に接合した状態における構成を示す模式的な断面図である。
図7には、半導体レーザ素子20の第1方向(つまり、共振器長方向)に垂直な断面が示されている。
【0123】
図7に示されるように、基体80の主面80aには、金属膜86が形成されている。半導体レーザ素子20は、接合部材88によって、基体80の主面80aの金属膜86に接合される。本実施の形態では、接合部材88は、Pt膜88a及び半田膜88bを有する。半導体レーザ素子20を接合部材88によって主面80aに接合する際に、半導体レーザ素子20のAuからなる電極27と、AuSnからなる半田膜とが加熱されることによって溶融する。これらの層が冷却されて凝固する際に一体化されて共晶合金である半田膜88bが生成される。
【0124】
[1-4.半導体レーザ装置の製造方法]
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ装置10の製造方法について
図8~
図11を用いて説明する。
図8~
図11は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置10の製造方法の各工程を示す模式的な正面図である。
【0125】
まず、
図8に示されるように、ステム93を準備する。なお、図示されないが、ステム93は、ベース94に立設されている。また、ベース94には、リードピン91、92及び95が立設されている。
【0126】
続いて、
図9に示されるように、ステム93の上面に、接合部材87を用いて基体80を接合する。ここで、基体80の主面80aには、接合部材88Aが配置されている。半導体レーザ素子20を接合する前の接合部材88Aは、主面80a側から順に積層されたPt膜と、AuSnからなる半田膜との2層を有する。
【0127】
続いて、
図10に示されるように、基体80の主面80aに、半導体レーザ素子20を接合する。具体的には、主面80aの上面視において、半導体レーザ素子20のフロント側端面20Fを通り、かつ、フロント側端面20Fに平行な直線が、主面80aに形成された第3マーク31及び32と重なるように半導体レーザ素子20を主面80a上に配置する(
図3参照)。その後、半導体レーザ素子20及び基体80を加熱することにより、半導体レーザ素子20のAuからなる電極27と、接合部材88AのAuSnからなる半田膜とを溶融し、続いて冷却することにより、接合部材88の共晶合金である半田膜88bを生成し(
図7参照)、基体80と半導体レーザ素子20を接合する。ここで、半導体レーザ素子20は、ジャンクションアップ実装される。
【0128】
続いて、
図11に示されるように、リードピン91と、半導体レーザ素子20とが第1ワイヤ61によって接続される。なお、
図11には示されないが、リードピン91と、半導体レーザ素子20とは、第1ワイヤ62~64によっても接続される。より詳しくは、第1ワイヤ61~64は、それぞれ、リードピン91と、半導体レーザ素子20の第1接合領域B11~B14とに接続される(
図3参照)。また、リードピン92と、基体80の主面80aとが、第2ワイヤ71によって接続される。なお、
図11には示されないが、リードピン92と、主面80aとは、第2ワイヤ72~74によっても接続される。より詳しくは、第2ワイヤ71~74は、それぞれ、リードピン92と、主面80aの第2接合領域B21~B24とに接続される(
図3参照)。ここで、各ワイヤを各接合領域に接続する際に、各マークを基準として各ワイヤの接続位置を調整してもよい。例えば、
図3に示されるように、第1接合領域B11~B14に接続された第1ワイヤ61~64は、基体80の主面80aの上面視において、それぞれ、第1マーク部M11~M14と重なる位置、具体的には第1マーク41~44の直上を通ってリードピン91と接続する。また、第2接合領域B21~B24に接続された第2ワイヤ71~74は、基体80の主面80aの上面視において、それぞれ、第2マーク部M21~M24と重なる位置、具体的には離間して配置された第2マーク51と52、第2マーク52と53、第2マーク53と54、第2マーク54と55を結んだ領域の直上を通ってリードピン92と接続する。
【0129】
以上のように、半導体レーザ装置10が製造される。
【0130】
なお、半導体レーザ装置10には、キャップが設けられてもよい。キャップは、ステム93、基体80、半導体レーザ素子20、並びに、リードピン91及び92のステム93側の部分を覆うカバーである。
【0131】
[1-5.半導体レーザ装置の検査方法]
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ装置10の検査方法について説明する。
【0132】
製造された半導体レーザ装置10は、主面80aの上面視において、半導体レーザ素子20が、半導体レーザ素子20のフロント側端面20Fを通り、かつ、フロント側端面20Fに平行な直線と、第3マークとが重なるように配置されているか否かを検査され、重なって配置されているものが良品と判断される。
【0133】
製造された半導体レーザ装置10は、主面80aの上面視において、各第1ワイヤが各第1マーク部に重なって配置されているか否か、各第2ワイヤが各第2マーク部に重なって配置されているか否かを検査され、すべてのワイヤが、各々に対応するマーク部に重なって配置されているものが良品と判断される。
【0134】
加えて各第2接合部が第3マーク32と第4マーク33とを結ぶ線分上に配置されるものを良品と判断することもできる。
【0135】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る半導体レーザ装置について説明する。本実施の形態に係る半導体レーザ装置は、主に、半導体レーザ素子の構成、及び、半導体レーザ素子の実装構成において、実施の形態1に係る半導体レーザ装置10と相違する。以下、本実施の形態に係る半導体レーザ装置について、実施の形態1に係る半導体レーザ装置10との相違点を中心に説明する。
【0136】
[2-1.全体構成]
まず、本実施の形態に係る半導体レーザ装置110の全体構成について、
図12~
図14を用いて説明する。
図12及び
図13は、それぞれ、本実施の形態に係る半導体レーザ装置110の全体構成を示す模式的な正面図及び上面図である。
図14は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子120及び基体180の構成を示す模式的な上面図である。
【0137】
半導体レーザ装置110は、レーザ光を出射する装置であり、
図12及び
図13に示されるように、基体180と、半導体レーザ素子120とを備える。半導体レーザ装置110は、
図13に示されるように、第1ワイヤ61~65と、第2ワイヤ71~75と、リードピン91、92及び95と、ステム93と、ベース94とをさらに備える。なお、
図12~
図14には示されないが、半導体レーザ装置110は、半導体レーザ素子120、基体180及びステム93の周囲を覆うキャップを備えてもよい。
【0138】
半導体レーザ素子120は、
図14に示されるように、基体180の主面180aに配置され、主面180aの面内方向の第1方向に沿って延びる共振器を有する。本実施の形態では、半導体レーザ素子120の共振器は、フロント側端面120F及びリア側端面120Rで形成される。フロント側端面120Fは、半導体レーザ素子120のレーザ光を出射する側の端面であり、リア側端面120Rよりレーザ光に対する反射率が低い。リア側端面120Rは、半導体レーザ素子120のレーザ光を反射する高反射端面である。第1方向は、レーザ光が共振する方向、つまり、レーザ光が出射する方向であり、各図のY軸方向と平行である。フロント側端面120Fは、基体180を上面視したときに基体180の外縁の外側に配置される。
【0139】
半導体レーザ素子120の、天面(つまり、基体180と接合される面の裏側の面)には電極129が形成されている。半導体レーザ素子120の天面は、第1ワイヤ61~65がそれぞれ接合される第1接合領域B11~B15を有する。本実施の形態に係る半導体レーザ素子120は、基体180の主面180a上にジャンクションダウン実装されている。つまり、半導体レーザ素子120の基板側でなく、半導体積層体側において、主面180aに実装されている。この場合、実施の形態1に係る半導体レーザ装置10と異なり、各第1接合領域として、電極129の幅方向(つまり、X軸方向)全体を使用し得る。
【0140】
本実施の形態では、第1接合領域B11~B15は、第1方向に平行に配列されている。半導体レーザ素子120のフロント側端面120Fから第1接合領域B11~B15の各中心までの距離は、それぞれ、0.12mm、0.29mm、0.46mm、0.63mm、及び0.80mmである。このように、第1接合領域B11~B15は、中心間距離0.17mmで等間隔で配置されている。
【0141】
半導体レーザ素子120は、接合部材188によって、基体180の主面180aの金属膜186に接合される。接合部材188の構成は特に限定されない。本実施の形態では、接合部材188は、金属膜186側から順に、厚さ0.32μmのPt膜、及び、厚さ2.5μmのAuSnからなる半田膜を有する。接合部材188の第2方向(つまり、X軸方向)における長さは、0.5mm程度である。
【0142】
半導体レーザ素子120のサイズ及び構造は特に限定されない。本実施の形態では、半導体レーザ素子120の共振器長は、1200μmであり、第2方向の幅は、150μmであり、厚さ(Z軸方向の長さ)は、85μmである。
【0143】
なお、半導体レーザ素子120の積層構造については、後述する。
【0144】
基体180は、半導体レーザ素子120が載置されるサブマウントである。基体180を形成する材料は、熱伝導率が高い材料であれば特に限定されないが、本実施の形態では、SiCである。
【0145】
基体180は、
図14に示されるように、金属膜186が形成された主面180aを有する。基体180のサイズ及び形状は特に限定されないが、本実施の形態では、基体180は、長さ(つまり、Y軸方向の長さ)が1.3mm、幅(つまり、X軸方向の長さ)が1.0mm、厚さ(つまり、Z軸方向の長さ)が0.20mmの直方体状の形状を有する。
【0146】
主面180aの形状は、第1方向に沿って延びる第1辺181と、半導体レーザ素子120を挟んで第1辺181と反対側に配置され第1方向に沿って延びる第2辺182と、第1辺181及び第2辺182に垂直な第3辺183及び第4辺184とを有する矩形状である。
【0147】
主面180aは、第2ワイヤ71~75がそれぞれ接合される第2接合領域B21~B25を有する。各第2接合領域は、半導体レーザ素子120と主面180aの第2辺182との間に配置される。本実施の形態では、第2接合領域B21~B25は、第1方向に平行に等間隔で配列されている。第2接合領域B21~B25の間隔は、0.15mmである。また、主面180aの第3辺183から第2接合領域B21の中心までの距離は、0.13mmであり、第4辺184から第2接合領域B25の中心までの距離は、0.57mmである。また、主面180aの第2辺から各第2接合領域までの距離は、0.10mmである。
【0148】
金属膜186は、半導体レーザ素子120の一方の電極と接続される導電性膜である。金属膜186は、導電性膜であれば特に限定されない。本実施の形態では、金属膜186は、基体180の主面180aから順に、厚さ0.1μmのTi膜、厚さ0.2μmのPt膜、及び厚さ0.5μmのAu膜を有する。金属膜186は、主面180a上の周縁の幅0.02mmの領域には形成されない。
【0149】
金属膜186には、第1マーク141~146、第2マーク151~156、及び第4マーク133及び134が形成されている。各マークは、主面180a上において視認可能な構成を有する。本実施の形態では、各マークは、金属膜186の一部の領域をAu膜からTi膜まで除去し、主面180aを金属膜186から露出することによって形成されている。なお、各マークの構成は、視認可能であれば特に限定されない。例えば、金属膜186と反射率が異なる他の膜を金属膜186上に配置することによって、各マークを形成してもよい。
【0150】
各第1マークは、半導体レーザ素子120と、主面180aの第1辺181との間に配置される。本実施の形態では、各第1マークは、正方形状の形状を有し、正方形の各辺が主面180aの各辺に対して45度傾斜している。各第1マークの1辺の長さは、30μm以上100μm以下程度である。
【0151】
本実施の形態では、主面180aの第3辺183から第1マーク141~146の中心までの距離は、それぞれ、0.05mm、0.20mm、0.35mm、0.50mm、0.65mm、及び0.80mmである。主面180aの第4辺184から第1マーク146までの距離は、0.50mmである。また、主面180aの第1辺181から第1マーク141、143及び145の中心までの距離は、0.05mmであり、第1辺181から第1マーク142、144及び146の中心までの距離は、0.20mmである。つまり、第1マーク141~146は、第1方向に千鳥配列(つまり、ジグザグに配列)されている。
【0152】
各第2マークは、半導体レーザ素子120と、主面180aの第2辺182との間に配置される。本実施の形態では、各第2マークは、正方形状の形状を有し、正方形の各辺が主面180aの各辺に対して45度傾斜している。各第2マークの1辺の長さは、30μm以上100μm以下程度である。
【0153】
本実施の形態では、主面180aの第3辺183から第2マーク151~156の中心までの距離は、それぞれ、0.05mm、0.20mm、0.35mm、0.50mm、0.65mm、及び0.80mmである。主面180aの第4辺184から第2マーク156までの距離は、0.50mmである。また、主面180aの第2辺182から第2マーク151、153及び155の中心までの距離は、0.05mmであり、第2辺182から第2マーク152、154及び156の中心までの距離は、0.20mmである。つまり、第2マーク151~156は、第1方向に千鳥配列されている。
【0154】
各第4マークは、主面180aに形成されたマークであり、主面180aの上面視において、各第4マークは、半導体レーザ素子120のリア側端面120Rを通り、かつ、リア側端面120Rに平行な直線と重なる。これにより、各第4マークに基づいて、半導体レーザ素子120のリア側端面120Rをアライメントできる。本実施の形態では、主面180aの第4辺184から各第4マークの中心までの距離は、0.05mmである。また、主面180aの第1辺181から第4マーク133の中心までの距離、及び、第2辺182から第4マーク134の中心までの距離は、ともに0.05mmである。このように、各第4マークは、各第1マーク及び各第2マークよりも主面180aの第4辺184側に配置される。
【0155】
各第4マークの形状は、特に限定されないが、本実施の形態では、正方形状の形状を有し、正方形の各辺が主面180aの各辺に対して45度傾斜している。各第4マークの一辺の長さは、30μm以上70μm以下程度である。なお、本実施の形態では、二つの第4マーク133及び134が形成されているが、第4マークの個数は一つでもよいし、第4マーク133及び134は、形成されなくてもよい。
【0156】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置110は、
図14に示されるように、複数の第1マーク部M11~M15と、複数の第2マーク部M21~M25とを備える。第1マーク部M11は、第1マーク141及び142を含み、第1マーク部M12は、第1マーク142及び143を含み、第1マーク部M13は、第1マーク143及び144を含み、第1マーク部M14は、第1マーク144及び145を含み、第1マーク部M15は、第1マーク145及び146を含む。
【0157】
第2マーク部M21は、第2マーク151及び152を含み、第2マーク部M22は、第2マーク152及び153を含み、第2マーク部M23は、第2マーク153及び154を含み、第2マーク部M24は、第2マーク154及び155を含み、第2マーク部M25は、第2マーク155及び156を含む。
【0158】
第1マーク部M11~M15は、互いに異なる。言い換えると、第1マーク部M11~M15の各々が含む1以上の第1マークの少なくとも一部は異なる。また、第2マーク部M21~M25は、互いに異なる。言い換えると、第2マーク部M21~M25の各々が含む1以上の第2マークの少なくとも一部は異なる。
【0159】
なお、図示しないが、基体180の主面180aの裏側の主面にも、金属膜が形成されている。本実施の形態では、基体180側から順に、厚さ0.1μmのTi膜、厚さ0.2μmのPt膜、厚さ0.5μmのAu膜が形成されている。
【0160】
基体180は、接合部材187によって、ステム93の一面に接合される。接合部材187の構成は特に限定されない。本実施の形態では、接合部材187は、厚さ4.0μmのAuSnからなる半田膜を含む。
【0161】
第1ワイヤ61~65は、
図13に示されるように、リードピン92と、半導体レーザ素子120との間を接続する電流供給用の導電性ワイヤである。第1ワイヤ61~65は、
図14に示されるように、それぞれ、半導体レーザ素子120の天面の第1接合領域B11~B15に接合される。第1ワイヤ61~65は、それぞれ、半導体レーザ素子120側の端部に半球状の形状を有する第1ボール部61B~65Bを有する。第1ボール部61B~65Bは、それぞれ、第1接合領域B11~B15において半導体レーザ素子120の天面と接合される。主面180aの上面視において、各第1ワイヤは、主面180aの第1辺181と交差する。
【0162】
各第1ワイヤの材質及び構造は特に限定されない。本実施の形態では、各第1ワイヤは、Auからなる直径38μmのワイヤである。また、各第1ボール部の直径は、85±15μm程度である。なお、各第1ワイヤの直径は、15μm以上50μmであってもよい。各第1ボール部の直径は、30μm以上100μmであってもよい。
【0163】
第2ワイヤ71~75は、
図13に示されるように、リードピン91と、基体80の主面80aとの間を接続する電流供給用のワイヤである。第2ワイヤ71~75は、
図14に示されるように、それぞれ、基体180の主面180aの第2接合領域B21~B25に接合される。第2ワイヤ71~75は、それぞれ、主面180a側の端部に半球状の形状を有する第2ボール部71B~75Bを有する。第2ボール部71B~75Bは、それぞれ、第2接合領域B21~B25において主面180aと接合される。主面180aの上面視において、各第2ワイヤは、主面180aの第2辺182と交差する。
【0164】
各第2ワイヤの材質及び構造は特に限定されない。本実施の形態では、各第2ワイヤは、Auからなる直径38μmのワイヤである。また、各第2ボール部の直径は、85±15μm程度である。なお、各第2ワイヤの直径は、15μm以上50μmであってもよい。各第2ボール部の直径は、30μm以上100μmであってもよい。
【0165】
[2-2.第1ワイヤグループ及び第2ワイヤグループの構成]
本実施の形態に係る半導体レーザ装置110も、実施の形態1に係る半導体レーザ装置10と同様に、複数の第1ワイヤグループ及び複数の第2ワイヤグループを備える。以下、本実施の形態に係る複数の第1ワイヤグループ及び複数の第2ワイヤグループの各構成について、
図15を用いて説明する。
図15は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置110の複数の第1ワイヤグループG11~G15及び複数の第2ワイヤグループG21~G25の構成を示す模式的な上面図である。
【0166】
図15に示されるように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置110は、複数の第1ワイヤグループG11~G15及び複数の第2ワイヤグループG21~G25を備える。
【0167】
第1ワイヤグループG11は、第1ワイヤ61及び第1マーク部M11(つまり、第1マーク141及び142)を有する。第1ワイヤグループG12は、第1ワイヤ62及び第1マーク部M12(つまり、第1マーク142及び143)を有する。第1ワイヤグループG13は、第1ワイヤ63及び第1マーク部M13(つまり、第1マーク143及び144)を有する。第1ワイヤグループG14は、第1ワイヤ64及び第1マーク部M14(つまり、第1マーク144及び145)を有する。第1ワイヤグループG15は、第1ワイヤ65及び第1マーク部M15(つまり、第1マーク145及び146)を有する。
【0168】
第1ワイヤ61~65は、基体180の主面180aの上面視において、それぞれ、第1マーク部M11~M15と重なる位置に配置される。本実施の形態においては、各第1マーク部は、主面180aの上面視において、二つの第1マークと、離間して配置された二つの第1マークを結んだ線分とを含み、各第1ワイヤは、二つの第1マークを結んだ線分と重なる。
【0169】
これにより、主面180aの上面視において、各第1ワイヤの適切な配置位置に、各第1マーク部を配置することで、複数の第1ワイヤ61~65を適切な位置に配置できる。また、主面180aの上面視において、各第1ワイヤが、各第1マーク部と重なっているか否かを検査することで、複数の第1ワイヤ61~65の各々の位置の良否を判定できる。
【0170】
また、本実施の形態では、複数の第1マーク部M11~M15は、互いに異なる。したがって、複数の第1ワイヤ61~65が、互いに異なる複数の第1マーク部の位置に合わせて配置される。また、複数の第1マーク部の各々には、1本の第1ワイヤだけが重なる。これにより、複数の第1ワイヤが集中して配置されたり、接触したりすることを低減できる。
【0171】
第2ワイヤグループG21は、第2ワイヤ71及び第2マーク部M21(つまり、第2マーク151及び152)を有する。第2ワイヤグループG22は、第2ワイヤ72及び第2マーク部M22(つまり、第2マーク152及び153)を有する。第2ワイヤグループG23は、第2ワイヤ73及び第2マーク部M23(つまり、第2マーク153及び154)を有する。第2ワイヤグループG24は、第2ワイヤ74及び第2マーク部M24(つまり、第2マーク154及び155)を有する。第2ワイヤグループG25は、第2ワイヤ75及び第2マーク部M25(つまり、第2マーク155及び156)を有する。
【0172】
第2ワイヤ71~75は、主面180aの上面視において、それぞれ、第2マーク部M21~M25と重なる位置に配置される。本実施の形態においては、各第2マーク部は、主面180aの上面視において、二つの第2マークと、離間して配置された二つの第2マークを結んだ線分とを含み、各第2ワイヤの第2ボール部は、二つの第2マークを結んだ線分と重なる。言い換えると、主面180aの上面視において、各第2接合領域は、二つの第2マークを結んだ線分と重なる。
【0173】
これにより、主面180aの上面視において、各第2ワイヤの適切な配置位置に、各第2マーク部を配置することで、複数の第2ワイヤ71~75及び複数の第2ボール部71B~75Bを適切な位置に配置できる。また、主面180aの上面視において、各第2ワイヤが、各第2マーク部と重なっているか否かを検査することで、複数の第2ワイヤ71~75の各々の位置の良否を判定できる。
【0174】
また、本実施の形態では、複数の第2マーク部M21~M25は、互いに異なる。したがって、複数の第2ワイヤ71~75が、互いに異なる複数の第2マーク部の位置に合わせて配置される。また、複数の第2マーク部の各々には、1本の第2ワイヤだけが重なる。これにより、複数の第2ワイヤが集中して配置されたり、接触したりすることを低減できる。
【0175】
[2-3.半導体レーザ素子の電極の構造]
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ素子120の電極129の構造について
図16を用いて説明する。
図16は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子120の電極129の構造を示す模式的な上面図である。
【0176】
図16に示されるように、半導体レーザ素子120は、天面に配置される電極129を有する。電極129は、複数の接合部Br1~Br5と、1以上の中間部Ir1~Ir4とを含む。1以上の中間部Ir1~Ir4の各々は、複数の接合部Br1~Br5のうち隣り合う二つの接合部の間に配置される。具体的には、中間部Ir1は、隣り合う二つの接合部Br1及びBr2の間に配置され、中間部Ir2は、隣り合う二つの接合部Br2及びBr3の間に配置され、中間部Ir3は、隣り合う二つの接合部Br3及びBr4の間に配置され、中間部Ir4は、隣り合う二つの接合部Br4及びBr5の間に配置される。複数の接合部Br1~Br5の各々の第1方向と垂直な第2方向(つまり、X軸方向)における幅は、1以上の中間部Ir1~Ir4の各々の第2方向における幅より広い。
【0177】
このように、各接合部における第2方向の幅を、各中間部における第2方向の幅より広くすることで、各接合部へのワイヤのボンディングを容易化できる。また、各接合部及び各中間部の第2方向の幅を異ならせることで、各接合部を容易に識別できるため、ワイヤが各接合部に接合されているか否かを容易に判定できる。
【0178】
本実施の形態では、各接合部及び各中間部の第2方向における幅は、それぞれ、120μm及び80μmである。また、各接合部及び各中間部の第1方向における長さは、それぞれ、90μm及び80μmである。
【0179】
また、複数の接合部Br1~Br5のうち、半導体レーザ素子120のフロント側端面120Fに最も近い接合部Br1からフロント側端面120Fまでの距離Dfは、複数の接合部Br1~Br5のうち、半導体レーザ素子120のリア側端面120Rに最も近い接合部Br5からリア側端面120Rまでの距離Drより小さい。
【0180】
これにより、半導体レーザ素子120において最も電流の消費量が大きくなり得るフロント側端面120Fに近い位置に接合部Br1を配置できるため、フロント側端面120Fに近い領域に効率よく電流を供給できる。本実施の形態では、距離Dfは、75μm程度であり、距離Drは、355μm程度である。
【0181】
また、本実施の形態では、半導体レーザ素子120の共振器長Lcにわたる天面のうち、フロント側端面120Fに近い領域(つまり、フロント側端面120Fから距離Lc/2までの領域)に配置される接合部の個数は、リア側端面120Rに近い領域(つまり、リア側端面120Rから距離Lc/2までの領域)に配置される接合部の個数より多い。言い換えると、半導体レーザ素子120の天面のうち、フロント側端面120Fに近い領域に配置される接合部の面積は、リア側端面120Rに近い領域に配置される接合部の面積より大きい。これにより、半導体レーザ素子120において最も電流の消費量が大きくなり得るフロント側端面120Fに近い領域により多くの接合部を配置できるため、フロント側端面120Fに近い領域に効率よく電流を供給できる。
【0182】
本実施の形態では、
図16に示されるように、電極129は、接合部Br1よりフロント側端面120Fに近い領域に、接合部Br1より第2方向における幅が狭い電極部分を有する。一方、電極129は、接合部Br5よりリア側端面120Rに近い領域に、接合部Br1より第2方向における幅が狭い部分と、第2方向における幅が接合部Br5と同等の部分とを有する。
【0183】
本実施の形態では、半導体レーザ素子120は、電極129のフロント側端面より、リア側端面120Rに近い領域に配置されるチップ識別用マークLbを有する。チップ識別用マークLbは、電極129の接合部Br5よりリア側端面120Rに近い領域の第2方向における幅が接合部Br5と同等の部分に配置される。
【0184】
このようなチップ識別用マークLbにより、半導体レーザ素子120の識別が可能となる。また、半導体レーザ素子120のリア側端面120R近傍は、フロント側端面120F近傍より、電流の消費量が大きくない。このため、リア側端面120R近傍にチップ識別用マークを配置することによって、フロント側端面120F近傍にチップ識別用マークLbを配置する場合より、半導体レーザ素子120の出力への影響を低減できる。
【0185】
チップ識別用マークLbには、チップの型番、ロット番号などを示す文字が示されていてもよいし、バーコードなどの模様が示されていてもよい。また、チップ識別用マークLbは、電極129とは異なる材量で形成されたプレートで形成されてもよいし、電極129に刻印するなどの方法によって電極129に直接形成されてもよい。
【0186】
[2-4.半導体レーザ素子の積層構造]
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ素子120の積層構造について、
図17を用いて説明する。
図17は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子120の基体180に接合する前の構成を示す模式的な断面図である。
図17には、半導体レーザ素子120の第1方向(つまり、共振器長方向)に垂直な断面が示されている。なお、半導体レーザ素子120は、ジャンクションダウン実装されるため、基板26が上側に、半導体積層体が下側に示されている。
【0187】
半導体レーザ素子120は、実施の形態1に係る半導体レーザ素子20と同様に、基板26と、第1半導体層21と、活性層22と、第2半導体層23と、電流ブロック層240と、p側オーミック電極250と、電極129及び28とを備える。
【0188】
本実施の形態に係る半導体レーザ素子120は、電極129の構成、リッジ部23Rの配置、側面の形状、及び、溝263及び264が形成されていない点において、実施の形態1に係る半導体レーザ素子20と相違する。以下、半導体レーザ素子120と、実施の形態1に係る半導体レーザ素子20との相違点のみを説明する。
【0189】
電極129の構造は、上述した通りである。また、電極129は、例えばAuによって構成される。
【0190】
また、実施の形態1では、リッジ部23Rは、幅方向(つまり、X軸方向)の中央から偏位されたが、本実施の形態では、リッジ部23Rは、幅方向の中央に配置される。
【0191】
本実施の形態では、半導体レーザ素子120のX軸方向端部の側面部分には、溝261が形成されている。溝261は、半導体レーザ素子120を個片化する際に用いられる素子分離用の溝である。溝261は、基板26の半導体積層体が形成されていない主面から基板26の厚さ方向に形成されている。
【0192】
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ素子120の基体180に接合した状態における構成について、
図18を用いて説明する。
図18は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子120の基体180に接合した状態における構成を示す模式的な断面図である。
図18には、半導体レーザ素子120の第1方向(つまり、共振器長方向)に垂直な断面が示されている。
【0193】
図18に示されるように、基体180の主面180aには、金属膜186が形成されている。半導体レーザ素子120は、接合部材188によって、基体180の主面180aの金属膜186に接合される。本実施の形態では、接合部材188は、Pt膜188a及び半田膜188bを有する。半導体レーザ素子120を接合部材188によって主面180aに接合する際に、半導体レーザ素子120のAuからなる電極28と、AuSnからなる半田膜とが加熱されることによって溶融する。これらの層が冷却されて凝固する際に一体化されて共晶合金である半田膜188bが生成される。
【0194】
[2-5.半導体レーザ装置の製造方法]
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ装置110の製造方法について
図19~
図23を用いて説明する。
図19~
図23は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置110の製造方法の各工程を示す模式的な正面図である。
【0195】
まず、
図19に示されるように、主面180aに接合部材188Aが配置された基体180を準備する。半導体レーザ素子120を接合する前の接合部材188Aは、主面180a側から順に積層されたPt膜と、AuSnからなる半田膜との2層を有する。
【0196】
続いて、
図20に示されるように、接合部材188を用いて、基体180の主面180aに半導体レーザ素子120を接合する。具体的には、主面180aの上面視において、半導体レーザ素子120のリア側端面120Rを通り、かつ、リア側端面120Rに平行な直線が第4マーク133及び134と重なるように、半導体レーザ素子120を主面180a上に配置する(
図14参照)。その後、半導体レーザ素子120及び基体180を加熱することにより、半導体レーザ素子120のAuからなる電極28と、接合部材188AのAuSnからなる半田膜とを溶融し、続いて冷却することにより、接合部材188の共晶合金である半田膜188bを生成し(
図18参照)、基体180と半導体レーザ素子120とを接合する。このように、主面180aには、半導体レーザ素子120が接合される。
【0197】
続いて、
図21に示されるように、ステム93を準備し、ステム93の上面に接合部材187を配置する。なお、図示されないが、ステム93は、ベース94に立設されている。また、ベース94には、リードピン91、92及び95が立設されている。
【0198】
続いて、
図22に示されるように、ステム93の上面に、接合部材187を用いて基体180を接合する。
【0199】
続いて、
図23に示されるように、リードピン92と、半導体レーザ素子120とが第1ワイヤ61によって接続される。なお、
図23には示されないが、リードピン92と、半導体レーザ素子120とは、第1ワイヤ62~65によっても接続される。より詳しくは、第1ワイヤ61~65は、それぞれ、リードピン92と、半導体レーザ素子120の第1接合領域B11~B15とに接続される(
図14参照)。また、リードピン91と、基体180の主面180aとが、第2ワイヤ71によって接続される。なお、
図23には示されないが、リードピン91と、主面180aとは、第2ワイヤ72~75によっても接続される。より詳しくは、第2ワイヤ71~75は、それぞれ、リードピン91と、主面180aの第2接合領域B21~B25とに接続される(
図14参照)。ここで、各ワイヤを各接合領域に接続する際に、各マークを基準として各ワイヤの接続位置を調整してもよい。例えば、
図14に示されるように、第1接合領域B11~B15に接続された第1ワイヤ61~65は、基体180の主面180aの上面視において、それぞれ、第1マーク部M11~M15と重なる位置、具体的には離間して配置された第1マーク141と142、第1マーク142と143、第1マーク143と144、第1マーク144と145、第1マーク145と146を結んだ領域の直上を通ってリードピン92と接続する。また、第2ワイヤ71~75は、それぞれ、第2マーク部M21~M25と重なる位置、具体的には離間して配置された第2マーク151と152、第2マーク152と153、第2マーク153と154、第2マーク154と155、第2マーク155と156を結んだ領域に配置された第2接合領域B21~B25で基体180と接続し、第2ワイヤ71~75の他方の端部はリードピン91と接続する。
【0200】
以上のように、半導体レーザ装置110が製造される。
【0201】
なお、実施の形態1に係る半導体レーザ装置10と同様に、半導体レーザ装置110に、キャップが設けられてもよい。
【0202】
[2-6.半導体レーザ装置の検査方法]
製造された半導体レーザ装置110は、主面180aの上面視において、半導体レーザ素子120のリア側端面120Rを通り、リア側端面120Rに平行な直線が第4マーク133及び134と重なるか否かを検査され、重なって配置されているものが良品と判断される。
【0203】
製造された半導体レーザ装置110は、主面180aの上面視において、各第1ワイヤが各第1マーク部に重なって配置されているか否かを検査され、すべての第1ワイヤが、各々に対応する第1マーク部に重なって配置されているものが良品と判断される。また、各第2ワイヤが、各第2マーク部に重なって配置された第2接合領域において基体180と接合されているか否かを検査され、すべての第2ワイヤが、各々に対応する第2マーク部に重なって配置された第2接合領域で基体180と接合しているものが良品と判断される。
【0204】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る半導体レーザ装置について説明する。本実施の形態に係る半導体レーザ装置は、主に、第2ワイヤグループの構成、及び、半導体レーザ素子120の配置において、実施の形態2に係る半導体レーザ装置110と相違する。以下、本実施の形態に係る半導体レーザ装置について、実施の形態2に係る半導体レーザ装置110との相違点を中心に説明する。
【0205】
[3-1.全体構成]
まず、本実施の形態に係る半導体レーザ装置の全体構成について
図24及び
図25を用いて説明する。
図24は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置310の構成を示す模式的な上面図である。
図25は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置310の複数の第1マーク部M11~M15及び複数の第2マーク部M20~M29の構成を示す模式的な上面図である。
【0206】
図24及び
図25に示されるように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置310は、基体380と、半導体レーザ素子120と、接合部材188と、第1ワイヤ61~65と、第2ワイヤ70~79とを備える。半導体レーザ装置310は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置110と同様に、リードピン91、92及び95と、ステム93と、ベース94とをさらに備えてもよい。
【0207】
基体380は、半導体レーザ素子120が載置されるサブマウントである。基体380は、
図24に示されるように、金属膜386が形成された主面380aを有する。本実施の形態に係る基体380は、金属膜386の構成において、実施の形態2に係る基体180と相違し、その他の構成において一致する。
【0208】
主面380aの形状は、第1方向に沿って延びる第1辺381と、半導体レーザ素子120を挟んで第1辺381と反対側に配置され第1方向に沿って延びる第2辺382と、第1辺381及び第2辺382に垂直な第3辺383及び第4辺384とを有する矩形状である。主面380aは、第2ワイヤ70~79がそれぞれ接合される第2接合領域B20~B29を有する。各第2接合領域は、半導体レーザ素子120と、主面380aの第2辺382との間に配置される。より具体的には、各第2接合領域は、接合部材188と主面380aの第2辺382との間に配置される。接合部材188は、基体380の主面380aと半導体レーザ素子120とを接合する部材である。本実施の形態では、接合部材188は、主面380aに形成された金属膜386と半導体レーザ素子120とを接合する。接合部材188は、主面380aの上面視において、第1方向に延びる長方形状の形状を有する。接合部材188は、例えば、実施の形態2に係る接合部材188と同様の材料で形成される。
【0209】
本実施の形態では、各第2接合領域から接合部材188までの距離は、各第2接合領域から第2辺382までの距離より小さい。これにより、各第2接合領域を発熱源である半導体レーザ素子120に近づけることができるため、各第2ワイヤを介して効率よく放熱できる。また、各第2接合領域を半導体レーザ素子120に近づけることで、各第2接合領域と半導体レーザ素子120との間の抵抗成分を低減できる。したがって、半導体レーザ装置310の電力変換効率を高めることができる。
【0210】
本実施の形態では、第2接合領域B20~B29は、第1方向に沿って千鳥配列されている。具体的には、第2接合領域B20、B22、B24、B26及びB28は、この順で第1方向に平行に等間隔で配列されている。また、第2接合領域B21、B23、B25、B27及びB29は、この順で第1方向に平行に等間隔で配列され、かつ、第2接合領域B20、B22、B24、B26及びB28と、主面380aの第2辺382との間に配置されている。また、第2接合領域B20~B29の第1方向における位置は互いに異なる。第2接合領域B21の第1方向における位置は、第2接合領域B20の第1方向における位置と、第2接合領域B22の第1方向における位置との間にある。第2接合領域B23の第1方向における位置は、第2接合領域B22の第1方向における位置と、第2接合領域B24の第1方向における位置との間にある。第2接合領域B25の第1方向における位置は、第2接合領域B24の第1方向における位置と、第2接合領域B26の第1方向における位置との間にある。第2接合領域B27の第1方向における位置は、第2接合領域B26の第1方向における位置と、第2接合領域B28の第1方向における位置との間にある。第2接合領域B29は、第2接合領域B28と主面380aの第4辺384との間に配置されている。
【0211】
このように第2接合領域B20~B29を配列することで、各第2接合領域(つまり、各第2ワイヤ)が互いに干渉することを抑制しながら、より多くの第2接合領域を主面380a上に設けることができる。したがって、基体380から、より多くの第2接合領域及び第2ワイヤを介して放熱することができるため、半導体レーザ装置310の放熱効率を高めることができる。本実施の形態では、例えば、実施の形態2に係る半導体レーザ装置110のように、第2接合領域B21~B25を一列に配列する場合より、第2接合領域の個数及び面積を2倍とすることができる。したがって、半導体レーザ装置310の放熱効率を、実施の形態2に係る半導体レーザ装置110の放熱効率の2倍程度に高めることができる。
【0212】
第2接合領域B20、B22、B24、B26及びB28の間隔は、0.15mmである。第2接合領域B21、B23、B25、B27及びB29の間隔は、0.15mmである。また、主面380aの第3辺383から第2接合領域B20及びB21の中心までの距離は、それぞれ0.13mm及び0.205mm(=0.13+0.15/2)であり、第4辺384から第2接合領域B28及びB29の中心までの距離は、それぞれ0.57mm及び0.495mmである。また、主面380aの第2辺382から第2接合領域B20、B22、B24、B26及びB28の各々の中心までの距離は、0.30mmであり、第2辺382から第2接合領域B21、B23、B25、B27及びB29の各々の中心までの距離は、0.18mmである。
【0213】
金属膜386は、半導体レーザ素子120の一方の電極と接続される導電性膜である。金属膜386は、導電性膜であれば特に限定されない。本実施の形態では、金属膜386は、基体380の主面380aから順に、厚さ0.1μmのTi膜、厚さ0.2μmのPt膜、及び厚さ0.5μmのAu膜を有する。金属膜386は、主面380a上の周縁の幅0.02mmの領域には形成されない。
【0214】
金属膜386には、第1マーク341~346、第2マーク350~361、及び第5マーク331、333、334及び335が形成されている。各マークは、主面380a上において視認可能な構成を有する。
【0215】
各第1マーク341~346は、半導体レーザ素子120と、主面380aの第1辺381との間に配置される。より詳しくは、各第1マークは、金属膜386の第1辺381側の端縁と、接合部材188との間に配置される。第1マーク341~346は、第1方向に平行に等間隔で配列されている。本実施の形態では、第1マーク341~346の間隔は、0.17mmである。第1マーク341の形状は、十字型であり、第1マーク342~346の各々の形状は、正方形である。第1マーク342~346の正方形の各辺は、主面380aの各辺に対して45度傾斜している。
【0216】
各第2マークは、半導体レーザ素子120と、主面380aの第2辺382との間に配置される。より詳しくは、各第2マークは、金属膜386の第2辺382側の端縁と、接合部材188との間に配置される。第2マーク350~361は、第1方向に沿って千鳥配列されている。具体的には、第2マーク350、352、354、356、358及び360は、この順で第1方向に平行に等間隔で配列されている。また、第2マーク351、353、355、357、359及び361は、この順で第1方向に平行に等間隔で配列され、かつ、第2マーク350、352、354、356、358及び360と、第2辺382との間に配置されている。また、第2マーク350~361の第1方向における位置は互いに異なる。例えば、第2マーク351の第1方向における位置は、第2マーク350の第1方向における位置と、第2マーク352の第1方向における位置との間にある。第2マーク350、352、354、356、358及び360の間隔は、0.15mmである。第2マーク351、353、355、357、359及び361の間隔は、0.15mmである。また、各第2マークから接合部材188までの距離は、各第2マークから第2辺までの距離より小さい。
【0217】
本実施の形態では、第2マーク350及び352の間に第2接合領域B20が配置される。同様に、第2マーク351及び353の間に第2接合領域B21が配置され、第2マーク352及び354の間に第2接合領域B22が配置され、第2マーク353及び355の間に第2接合領域B23が配置され、第2マーク354及び356の間に第2接合領域B24が配置され、第2マーク355及び357の間に第2接合領域B25が配置され、第2マーク356及び358の間に第2接合領域B26が配置され、第2マーク357及び359の間に第2接合領域B27が配置され、第2マーク358及び360の間に第2接合領域B28が配置され、第2マーク359及び361の間に第2接合領域B29が配置される。
【0218】
本実施の形態では、第2マーク350~361の形状は、正方形である。第2マーク350~361の正方形の各辺は、主面380aの各辺に対して平行又は垂直である。
【0219】
第5マーク331、333及び334は、主面380aの各頂点の位置を示すためのマークである。第5マーク331、333及び334は、主面380aの各頂点付近に配置される。第5マーク331は、主面380aの第2辺382と第3辺383との交点に対応する頂点付近に配置される。第5マーク333は、主面380aの第1辺381と第4辺384との交点に対応する頂点付近に配置される。第5マーク334は、主面380aの第2辺382と第4辺384との交点に対応する頂点付近に配置される。なお、第1マーク341を、主面380aの第1辺381と第3辺383との交点に対応する頂点の位置を示すマークとして利用してもよい。第5マーク335は、第2マーク351と、主面380aの第3辺383との間に配置されるマークであり、第2マーク351、353、355、357、359及び361の第2方向における位置を示す。第5マーク335の第2方向における位置は、第2マーク351、353、355、357、359及び361の第2方向における位置と等しい。
【0220】
本実施の形態では、第5マーク331、333及び334の形状は十字型であり、第5マーク335の形状は正方形である。第5マーク335の正方形の各辺は、主面380aの各辺に対して45度傾斜している。
【0221】
本実施の形態でも、実施の形態2と同様に、各マークは、金属膜386の一部の領域をAu膜からTi膜まで除去し、主面380aを金属膜386から露出することによって形成されている。なお、各マークの構成は、視認可能であれば特に限定されない。
【0222】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置310は、
図25に示されるように、複数の第1マーク部M11~M15と、複数の第2マーク部M20~M29とを備える。第1マーク部M11は、第1マーク341及び342を含み、第1マーク部M12は、第1マーク342及び343を含み、第1マーク部M13は、第1マーク343及び344を含み、第1マーク部M14は、第1マーク344及び345を含み、第1マーク部M15は、第1マーク345及び346を含む。
【0223】
第2マーク部M20は、第2マーク350及び352を含み、第2マーク部M21は、第2マーク351及び353を含み、第2マーク部M22は、第2マーク352及び354を含み、第2マーク部M23は、第2マーク353及び355を含み、第2マーク部M24は、第2マーク354及び356を含み、第2マーク部M25は、第2マーク355及び357を含み、第2マーク部M26は、第2マーク356及び358を含み、第2マーク部M27は、第2マーク357及び359を含み、第2マーク部M28は、第2マーク358及び360を含み、第2マーク部M29は、第2マーク359及び361を含む。
【0224】
第1マーク部M11~M15は、互いに異なる。言い換えると、第1マーク部M11~M15の各々が含む1以上の第1マークの少なくとも一部は異なる。また、第2マーク部M20~M29は、互いに異なる。言い換えると、第2マーク部M20~M29の各々が含む1以上の第2マークの少なくとも一部は異なる。
【0225】
半導体レーザ素子120は、実施の形態2と同様に、基体380の主面380aに配置される。本実施の形態では、
図24に示されるように、半導体レーザ素子120から第1辺381までの距離は、半導体レーザ素子120から第2辺382までの距離より小さい。これにより、半導体レーザ素子120から第1辺381及び第2辺382までの距離が等しい場合より、主面380aにおける半導体レーザ素子120から第2辺382までの領域の面積が大きくなる。したがって、主面380aにおける半導体レーザ素子120から第2辺382までの領域に、より多くの第2ワイヤ(つまり、第2接合領域)を配置することが可能となる。なお、半導体レーザ素子120の配置と同様に、接合部材188から第1辺381までの距離は、接合部材188から第2辺382までの距離より小さい。半導体レーザ素子120は、接合部材188の第2方向におけるほぼ中央に配置される。実施の形態2と同様に、半導体レーザ素子120の天面には、第1接合領域B11~B15が配置される。
【0226】
本実施の形態に係る複数の第1ワイヤ61~65は、それぞれ、実施の形態2に係る複数の第1ワイヤ61~65と同様の構成を有する。複数の第1ワイヤ61~65は、
図24に示されるように、それぞれ、半導体レーザ素子120の天面の第1接合領域B11~B15に接合される。
【0227】
第2ワイヤ70~79は、基体380の主面380aに接続する電流供給用のワイヤである。第2ワイヤ70~79は、
図24に示されるように、それぞれ、基体380の主面380aの第2接合領域B20~B29に接合される。第2ワイヤ70~79は、それぞれ、主面380a側の端部に半球状の形状を有する第2ボール部70B~79Bを有する。第2ボール部70B~79Bは、それぞれ、第2接合領域B20~B29において主面380aと接合される。主面380aの上面視において、各第2ワイヤは、主面380aの第2辺382と交差する。
【0228】
各第2ワイヤの材質及び構造は特に限定されない。本実施の形態では、各第2ワイヤの材質及び構造は、実施の形態2に係る各第2ワイヤの材質及び構造と同様である。
【0229】
本実施の形態では、実施の形態2より、第2ワイヤの本数を増大することができるため、第2ワイヤ1本当たりに流れる電流を低減できる。これにより、各第2ワイヤにおける発熱量を低減できるため、各第2ワイヤの溶断を抑制でき、かつ、各第2ワイヤで発生した熱の基体380への伝導を抑制できる。また、各第2ワイヤの温度上昇を抑制することができるため、基体380から各第2ワイヤを介した放熱を促進することができる。
【0230】
例えば、各第2ワイヤの直径が38μmで、長さが2mmの場合、溶断電流(つまり、第2ワイヤが溶断される最小電流)は、4.86A程度である。この場合、各第2ワイヤの定格電流は、例えば、溶断電流の1/2程度である2.43Aに設定される。実施の形態2に係る半導体レーザ装置110において、5本の第2ワイヤの各々として上記寸法のワイヤを用いる場合、半導体レーザ素子120へ供給される定格電流は、12.2Aとなる。一方、本実施の形態では、12.2Aの電流を半導体レーザ素子120に供給するには、10本の第2ワイヤの各々に供給される電流を、1.22Aに低減できる。したがって、本実施の形態では、各第2ワイヤとして上記寸法のワイヤを用いる場合、各第2ワイヤに溶断電流より十分低い電流(1.22A以下)が供給されるため、各第2ワイヤにおける発熱を低減でき、かつ、各第2ワイヤの溶断を抑制できる。また、本実施の形態では、各第2ワイヤに定格電流2.43Aを供給することで半導体レーザ素子120に最大24.3Aの電流を供給することも可能となる。
【0231】
なお、各第2ワイヤの寸法は、上記寸法に限定されない。各第2ワイヤの寸法は、半導体レーザ装置310に適用できる寸法であればよく、例えば、直径25μmで、長さが1.72mmであってもよい。この場合、各第2ワイヤの溶断電流は、2.43A程度であるため、定格電流は、1.22A程度となる。
【0232】
[3-2.第1ワイヤグループ及び第2ワイヤグループの構成]
次に、本実施の形態に係る第1ワイヤグループ及び第2ワイヤグループについて
図26を用いて説明する。
図26は、本実施の形態に係る複数の第1ワイヤグループG11~G15及び複数の第2ワイヤグループG20~G29の構成を示す模式的な上面図である。
【0233】
図26に示されるように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置310は、複数の第1ワイヤグループG11~G15及び複数の第2ワイヤグループG20~G29を備える。複数の第2ワイヤグループG20~G29の個数は、複数の第1ワイヤグループG11~G15の個数より多い。これにより、各第2ワイヤに供給される電流を低減することができる。
【0234】
各第1ワイヤグループは、1以上の第1マークを含む。本実施の形態では、第1ワイヤグループG11は、第1ワイヤ61及び第1マーク部M11(つまり、第1マーク341及び342)を有する。第1ワイヤグループG12は、第1ワイヤ62及び第1マーク部M12(つまり、第1マーク342及び343)を有する。第1ワイヤグループG13は、第1ワイヤ63及び第1マーク部M13(つまり、第1マーク343及び344)を有する。第1ワイヤグループG14は、第1ワイヤ64及び第1マーク部M14(つまり、第1マーク344及び345)を有する。第1ワイヤグループG15は、第1ワイヤ65及び第1マーク部M15(つまり、第1マーク345及び346)を有する。
【0235】
第1ワイヤ61~65は、基体380の主面380aの上面視において、それぞれ、第1マーク部M11~M15と重なる位置に配置される。本実施の形態においては、各第1マーク部は、主面380aの上面視において、二つの第1マークと、離間して配置された二つの第1マークを結んだ線分とを含み、各第1ワイヤは、二つの第1マークを結んだ線分と重なる。
【0236】
これにより、主面380aの上面視において、各第1ワイヤの適切な配置位置に、各第1マーク部を配置することで、複数の第1ワイヤ61~65を適切な位置に配置できる。また、主面380aの上面視において、各第1ワイヤが、各第1マーク部と重なっているか否かを検査することで、複数の第1ワイヤ61~65の各々の位置の良否を判定できる。
【0237】
また、本実施の形態では、複数の第1マーク部M11~M15は、互いに異なる。したがって、複数の第1ワイヤ61~65が、互いに異なる複数の第1マーク部の位置に合わせて配置される。また、複数の第1マーク部の各々には、1本の第1ワイヤだけが重なる。これにより、複数の第1ワイヤが集中して配置されたり、接触したりすることを低減できる。
【0238】
各第2ワイヤグループは、1以上の第2マークを含む。第2ワイヤグループG20は、第2ワイヤ70及び第2マーク部M20(つまり、第2マーク350及び352)を有する。第2ワイヤグループG21は、第2ワイヤ71及び第2マーク部M21(つまり、第2マーク351及び353)を有する。第2ワイヤグループG22は、第2ワイヤ72及び第2マーク部M22(つまり、第2マーク352及び354)を有する。第2ワイヤグループG23は、第2ワイヤ73及び第2マーク部M23(つまり、第2マーク353及び355)を有する。第2ワイヤグループG24は、第2ワイヤ74及び第2マーク部M24(つまり、第2マーク354及び356)を有する。第2ワイヤグループG25は、第2ワイヤ75及び第2マーク部M25(つまり、第2マーク355及び357)を有する。第2ワイヤグループG26は、第2ワイヤ76及び第2マーク部M26(つまり、第2マーク356及び358)を有する。第2ワイヤグループG27は、第2ワイヤ77及び第2マーク部M27(つまり、第2マーク357及び359)を有する。第2ワイヤグループG28は、第2ワイヤ78及び第2マーク部M28(つまり、第2マーク358及び360)を有する。第2ワイヤグループG29は、第2ワイヤ79及び第2マーク部M29(つまり、第2マーク359及び361)を有する。
【0239】
第2ワイヤ70~79は、主面380aの上面視において、それぞれ、第2マーク部M20~M29と重なる位置に配置される。本実施の形態においては、各第2マーク部は、主面380aの上面視において、二つの第2マークと、離間して配置された二つの第2マークを結んだ線分とを含み、各第2ワイヤの第2ボール部は、二つの第2マークを結んだ線分と重なる。言い換えると、主面380aの上面視において、各第2接合領域は、二つの第2マークを結んだ線分と重なる。
【0240】
これにより、主面380aの上面視において、各第2ワイヤの適切な配置位置に、各第2マーク部を配置することで、複数の第2ワイヤ70~79及び複数の第2ボール部70B~79Bを適切な位置に配置できる。また、主面380aの上面視において、各第2ワイヤが、各第2マーク部と重なっているか否かを検査することで、複数の第2ワイヤ70~79の各々の位置の良否を判定できる。
【0241】
また、本実施の形態では、複数の第2マーク部M20~M29は、互いに異なる。したがって、複数の第2ワイヤ70~79が、互いに異なる複数の第2マーク部の位置に合わせて配置される。これにより、複数の第2ワイヤが集中して配置されたり、接触したりすることを低減できる。
【0242】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る半導体レーザ装置について説明する。本実施の形態に係る半導体レーザ装置は、主に、第1ワイヤグループの構成、及び、半導体レーザ素子の構成において、実施の形態3に係る半導体レーザ装置310と相違する。以下、本実施の形態に係る半導体レーザ装置について、実施の形態3に係る半導体レーザ装置310との相違点を中心に説明する。
【0243】
[4-1.全体構成]
まず、本実施の形態に係る半導体レーザ装置の全体構成について
図27及び
図28を用いて説明する。
図27は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置410の構成を示す模式的な上面図である。
図28は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置410の複数の第1マーク部M10~M19及び複数の第2マーク部M20~M29の構成を示す模式的な上面図である。
【0244】
図27及び
図28に示されるように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置410は、基体480と、半導体レーザ素子420と、接合部材188と、第1ワイヤ60~69と、第2ワイヤ70~79とを備える。半導体レーザ装置410は、実施の形態2に係る半導体レーザ装置110と同様に、リードピン91、92及び95と、ステム93と、ベース94とをさらに備えてもよい。
【0245】
基体480は、半導体レーザ素子420が載置されるサブマウントである。基体480は、
図27に示されるように、金属膜486が形成された主面480aを有する。本実施の形態に係る基体480は、金属膜486の構成において、実施の形態3に係る基体380と相違し、その他の構成において一致する。
【0246】
主面480aの形状は、第1方向に沿って延びる第1辺481と、半導体レーザ素子420を挟んで第1辺481と反対側に配置され第1方向に沿って延びる第2辺482と、第1辺481及び第2辺482に垂直な第3辺483及び第4辺484とを有する矩形状である。主面480aは、第2ワイヤ70~79がそれぞれ接合される第2接合領域B20~B29を有する。各第2接合領域は、半導体レーザ素子420と、主面480aの第2辺482との間に配置される。より具体的には、各第2接合領域は、接合部材188と主面480aの第2辺482との間に配置される。接合部材188は、基体480の主面480aと半導体レーザ素子420とを接合する部材である。本実施の形態では、接合部材188は、主面480aに形成された金属膜486と半導体レーザ素子420とを接合する。接合部材188は、主面480aの上面視において、第1方向に延びる長方形状の形状を有する。接合部材188は、例えば、実施の形態2及び実施の形態3に係る接合部材188と同様の材料で形成される。
【0247】
本実施の形態に係る第2接合領域B20~B29は、実施の形態3に係る第2接合領域B20~B29と同様の構成を有する。
【0248】
金属膜486は、半導体レーザ素子420の一方の電極と接続される導電性膜である。金属膜486は、導電性膜であれば特に限定されない。本実施の形態では、金属膜486は、基体480の主面480aから順に、厚さ0.1μmのTi膜、厚さ0.2μmのPt膜、及び厚さ0.5μmのAu膜を有する。金属膜386は、主面380a上の周縁の幅0.02mmの領域には形成されない。
【0249】
金属膜486には、第1マーク440~449、第2マーク350~361、及び第5マーク431、432、433、434及び335が形成されている。各マークは、主面480a上において視認可能な構成を有する。
【0250】
各第1マークは、半導体レーザ素子420と、主面480aの第1辺481との間に配置される。本実施の形態に係る各第1マークの形状及び寸法は、実施の形態1に係る各第1マークと同様である。第1マークは、四角形状の形状を有し、金属膜486の主面480aの第1辺481側の外縁に接する。言い換えると、各第1マークは、金属膜486の第1辺481側の端部から内側に向かって形成された切り欠き部である。
【0251】
第1マーク440~449は、それぞれ、主面480aの上面視において、第1ワイヤ60~69の直下に配置される。本実施の形態では、主面480aの第3辺483から第1マーク440の第1方向の中央までの距離は、0.12mmである。第1マーク440~449は、中心間距離0.085mmで等間隔で配列されている。
【0252】
各第2マークは、半導体レーザ素子420と、主面480aの第2辺482との間に配置される。より詳しくは、各第2マークは、金属膜486の第2辺482側の端縁と、接合部材188との間に配置される。第2マーク350~361は、実施の形態3に係る第2マーク350~361と同様に配置されている。
【0253】
第5マーク431~434は、主面480aの各頂点の位置を示すためのマークである。第5マーク431~434は、主面480aの各頂点付近に配置される。第5マーク431は、主面480aの第2辺482と第3辺483との交点に対応する頂点付近に配置される。第5マーク432は、主面480aの第1辺481と第3辺483との交点に対応する頂点付近に配置される。第5マーク433は、主面480aの第1辺481と第4辺484との交点に対応する頂点付近に配置される。第5マーク434は、主面480aの第2辺482と第4辺384との交点に対応する頂点付近に配置される。第5マーク335は、第2マーク351と、主面480aの第3辺483との間に配置されるマークであり、第2マーク351、353、355、357、359及び361の第2方向における位置を示す。第5マーク335の第2方向における位置は、第2マーク351、353、355、357、359及び361の第2方向における位置と等しい。
【0254】
本実施の形態では、第5マーク431~434の形状は十字型であり、第5マーク335の形状は正方形である。第5マーク335の正方形の各辺は、主面480aの各辺に対して45度傾斜している。
【0255】
本実施の形態でも、実施の形態2と同様に、各マークは、金属膜486の一部の領域をAu膜からTi膜まで除去し、主面480aを金属膜486から露出することによって形成されている。なお、各マークの構成は、視認可能であれば特に限定されない。
【0256】
本実施の形態に係る半導体レーザ装置410は、
図28に示されるように、複数の第1マーク部M10~M19と、複数の第2マーク部M20~M29とを備える。第1マーク部M10~M19は、それぞれ、第1マーク440~449を含む。
【0257】
第2マーク部M20~M29の構成は、実施の形態3に係る第2マーク部M20~M29と同様である。
【0258】
各第1マーク部は、互いに異なる。言い換えると、各第1マーク部が含む一つの第1マークは異なる。また、第2マーク部M20~M29は、互いに異なる。
【0259】
本実施の形態に係る半導体レーザ素子420は、
図27及び
図28に示されるように、基体480の主面480aに配置され、主面480aの面内方向の第1方向に沿って延びる共振器を有する。本実施の形態では、半導体レーザ素子420の共振器は、フロント側端面420F及びリア側端面420Rで形成される。フロント側端面420Fは、半導体レーザ素子420のレーザ光を出射する側の端面であり、リア側端面420Rよりレーザ光に対する反射率が低い。リア側端面420Rは、半導体レーザ素子420のレーザ光を反射する高反射端面である。第1方向は、レーザ光が共振する方向、つまり、レーザ光が出射する方向であり、各図のY軸方向と平行である。フロント側端面420Fは、基体480を上面視したときに基体480の外縁の外側に配置される。
【0260】
半導体レーザ素子420の、天面(つまり、基体480と接合される面の裏側の面)には電極429が形成されている。本実施の形態では、基体480の主面480aの上面視において、電極429の形状は長方形である。半導体レーザ素子420の天面は、第1ワイヤ60~69がそれぞれ接合される第1接合領域B10~B19を有する。本実施の形態に係る半導体レーザ素子420は、基体480の主面480a上にジャンクションダウン実装されている。つまり、半導体レーザ素子420の基板側でなく、半導体積層体側において、主面480aに実装されている。
【0261】
本実施の形態では、第1接合領域B10~B19は、第1方向に沿って千鳥配列されている。具体的には、第1接合領域B10、B12、B14、B16及びB18は、この順で第1方向に平行に等間隔で配列されている。また、第1接合領域B11、B13、B15、B17及びB19は、この順で第1方向に平行に等間隔で配列され、かつ、第1接合領域B10、B12、B14、B16及びB18と、主面480aの第2辺482との間に配置されている。また、第1接合領域B10~B19の第1方向における位置は互いに異なる。第1接合領域B11の第1方向における位置は、第1接合領域B10の第1方向における位置と、第1接合領域B12の第1方向における位置との間にある。第1接合領域B13の第1方向における位置は、第1接合領域B12の第1方向における位置と、第1接合領域B14の第1方向における位置との間にある。第1接合領域B15の第1方向における位置は、第1接合領域B14の第1方向における位置と、第1接合領域B16の第1方向における位置との間にある。第1接合領域B17の第1方向における位置は、第1接合領域B16の第1方向における位置と、第1接合領域B18の第1方向における位置との間にある。第1接合領域B19は、第1接合領域B18と主面480aの第4辺484との間に配置される。
【0262】
半導体レーザ素子420のフロント側端面420Fから第1接合領域B10及びB11の各中心までの距離は、0.12mm、及び、0.205mmである。第1接合領域B10、B12、B14、B16及びB18は、中心間距離0.17mmで等間隔で配置されており、第1接合領域B11、B13、B15、B17及びB19は、中心間距離0.17mmで等間隔で配置されている。
【0263】
このように第1接合領域B10~B19を配列することで、各第1接合領域(つまり、各第1ワイヤ)が互いに干渉することを抑制しながら、より多くの第1接合領域を半導体レーザ素子420の電極429上に設けることができる。したがって、半導体レーザ素子420から、より多くの第1接合領域及び第1ワイヤを介して放熱することができるため、半導体レーザ装置410の放熱効率を高めることができる。本実施の形態では、例えば、実施の形態3に係る半導体レーザ装置310のように、第1接合領域B10~B14を一列に配列する場合より、第1接合領域の個数及び面積を2倍とすることができる。したがって、半導体レーザ装置410の放熱効率を、実施の形態3に係る半導体レーザ装置310の放熱効率の2倍程度に高めることができる。
【0264】
また、第1接合領域B10~B19を千鳥配列することで、第1接合領域B10~B19を介して半導体レーザ素子420へ、より均一に電流を供給できる。つまり、第1方向の位置に対する半導体レーザ素子120に供給される電流量の分布を均一化できる。
【0265】
半導体レーザ素子420のサイズ及び構造は特に限定されない。本実施の形態では、半導体レーザ素子420の共振器長は、1200μmであり、第2方向の幅は、225μmであり、厚さ(Z軸方向の長さ)は、85μmである。半導体レーザ素子420の積層構造は、実施の形態2に係る半導体レーザ素子120の積層構造と同様である。
【0266】
図27及び
図28に示されるように、本実施の形態においても実施の形態3と同様に、半導体レーザ素子420から、基体480の主面480aの第1辺481までの距離は、半導体レーザ素子420から第2辺482までの距離より小さい。したがって、主面480aにおける半導体レーザ素子420から第2辺482までの領域に、より多くの第2ワイヤ(つまり、第2接合領域)を配置することが可能となる。なお、半導体レーザ素子420の配置と同様に、接合部材188から第1辺481までの距離は、接合部材188から第2辺482までの距離より小さい。半導体レーザ素子420は、接合部材188の第2方向におけるほぼ中央に配置される。
【0267】
本実施の形態に係る複数の第1ワイヤ60~69の各々は、実施の形態2に係る複数の第1ワイヤ61~65の各々と同様の構成を有する。複数の第1ワイヤ60~69は、
図27に示されるように、それぞれ、半導体レーザ素子420の天面の第1接合領域B10~B19に接合される。第1ワイヤ60~69は、それぞれ、半導体レーザ素子420側の端部に半球状の形状を有する第1ボール部60B~69Bを有する。第1ボール部60B~69Bは、それぞれ、第1接合領域B10~B19において半導体レーザ素子420と接合される。主面380aの上面視において、各第1ワイヤは、主面380aの第1辺481と交差する。
【0268】
第2ワイヤ70~79は、実施の形態3に係る第2ワイヤ70~79と同様の構成を有する。
【0269】
本実施の形態では、実施の形態3より、第1ワイヤの本数を増大することができるため、第1ワイヤ1本当たりに流れる電流を低減できる。これにより、各第1ワイヤにおける発熱量を低減できるため、各第1ワイヤの溶断を抑制でき、かつ、各第1ワイヤで発生した熱の半導体レーザ素子420への伝導を抑制できる。また、各第1ワイヤの温度上昇を抑制することができるため、半導体レーザ素子420から各第1ワイヤを介した放熱を促進することができる。
【0270】
例えば、各第1ワイヤの直径が38μmで、長さが2mmの場合、溶断電流は、4.86A程度である。この場合、各第1ワイヤの定格電流は、例えば、溶断電流の1/2程度である2.43Aに設定される。実施の形態3に係る半導体レーザ装置310において、5本の第1ワイヤの各々として上記寸法のワイヤを用いる場合、半導体レーザ素子120へ供給される定格電流は、12.2Aとなる。一方、本実施の形態では、12.2Aの電流を半導体レーザ素子420に供給するには、10本の第1ワイヤの各々に供給される電流を、1.22Aに低減できる。したがって、本実施の形態では、各第1ワイヤとして上記寸法のワイヤを用いる場合、各第1ワイヤに溶断電流より十分低い電流(1.22A以下)が供給されるため、各第1ワイヤにおける発熱を低減でき、かつ、各第1ワイヤの溶断を抑制できる。また、本実施の形態では、各第1ワイヤに定格電流2.43を供給することで、半導体レーザ素子420に最大24.3Aの電流を供給することも可能となる。
【0271】
なお、各第1ワイヤの寸法は、上記寸法に限定されない。各第1ワイヤの寸法は、半導体レーザ装置410に適用できる寸法であればよく、例えば、直径50μmで、長さが3.46mmであってもよい。
【0272】
[4-2.第1ワイヤグループ及び第2ワイヤグループの構成]
次に、本実施の形態に係る第1ワイヤグループ及び第2ワイヤグループについて
図29を用いて説明する。
図29は、本実施の形態に係る複数の第1ワイヤグループG10~G19及び複数の第2ワイヤグループG20~G29の構成を示す模式的な上面図である。
【0273】
図29に示されるように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置410は、複数の第1ワイヤグループG10~G19及び複数の第2ワイヤグループG20~G29を備える。
【0274】
各第1ワイヤグループは、1以上の第1マークを含む。本実施の形態では、第1ワイヤグループG10は、第1ワイヤ60及び第1マーク部M10(つまり、第1マーク440)を有する。第1ワイヤグループG11は、第1ワイヤ61及び第1マーク部M11(つまり、第1マーク441)を有する。第1ワイヤグループG12は、第1ワイヤ62及び第1マーク部M12(つまり、第1マーク442)を有する。第1ワイヤグループG13は、第1ワイヤ63及び第1マーク部M13(つまり、第1マーク443)を有する。第1ワイヤグループG14は、第1ワイヤ64及び第1マーク部M14(つまり、第1マーク444)を有する。第1ワイヤグループG15は、第1ワイヤ65及び第1マーク部M15(つまり、第1マーク445)を有する。第1ワイヤグループG16は、第1ワイヤ66及び第1マーク部M16(つまり、第1マーク446)を有する。第1ワイヤグループG17は、第1ワイヤ67及び第1マーク部M17(つまり、第1マーク447)を有する。第1ワイヤグループG18は、第1ワイヤ68及び第1マーク部M18(つまり、第1マーク448)を有する。第1ワイヤグループG19は、第1ワイヤ69及び第1マーク部M19(つまり、第1マーク449)を有する。
【0275】
第1ワイヤ60~69は、基体480の主面480aの上面視において、それぞれ、第1マーク部M10~M19と重なる位置に配置される。これにより、主面480aの上面視において、各第1ワイヤの適切な配置位置に、各第1マーク部を配置することで、複数の第1ワイヤ60~69を適切な位置に配置できる。また、主面480aの上面視において、各第1ワイヤが、各第1マーク部と重なっているか否かを検査することで、複数の第1ワイヤ60~69の各々の位置の良否を判定できる。
【0276】
また、本実施の形態では、複数の第1マーク部M10~M19は、互いに異なる。したがって、複数の第1ワイヤ60~69が、互いに異なる複数の第1マーク部の位置に合わせて配置される。また、複数の第1マーク部の各々には、1本の第1ワイヤだけが重なる。これにより、複数の第1ワイヤが集中して配置されたり、接触したりすることを低減できる。
【0277】
各第2ワイヤグループは、1以上の第2マークを含む。本実施の形態に係る第2ワイヤグループG20~G29は、それぞれ、実施の形態3に係る第2ワイヤグループG20~G29と同様の構成を有する。これにより、本実施の形態に係る各第2ワイヤグループは、実施の形態3に係る各ワイヤグループと同様の効果を奏する。
【0278】
(変形例など)
以上、本開示に係る半導体レーザ装置について、各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0279】
例えば、上記各実施の形態においては、各マークの形状として正方形などが採用されたが、各マークの形状は特に限定されない。例えば、各マークの形状は、多角形、円形、楕円形、長円形、星形などであってもよい。
【0280】
また、上記各実施の形態において、各マーク部は、一つ又は二つのマークを含んだが、三つ以上のマークを含んでもよい。つまり、第1マーク部は、1以上の第1マークを含めばよく、第2マーク部は、1以上の第2マークを含めばよい。
【0281】
また、マーク部が、三つ以上のマークを含む場合、三つ以上のマークのすべてを囲む包絡線及び当該包絡線の内部の領域をマーク部と定義してもよい。また、三つ以上のマークのうち二つのマークの全組み合わせに対して、
図5を用いて説明したように、マーク部を決定し、全組み合わせに対するマーク部を足し合わせたものを、三つ以上のマークを含むマーク部と定義してもよい。
【0282】
ここで、各マーク部に含まれるマークが三つ以上である例として、実施の形態3に係る各第2マーク部の変形例について、
図30を用いて説明する。
図30は、実施の形態3に係る半導体レーザ装置310の複数の第2マーク部M20~M29の変形例を示す模式的な上面図である。
【0283】
図30に示されるように、各第2マーク部は、三つの第2マークを含む。つまり、第2マーク部M20は、第2マーク350~352を含み、第2マーク部M21は、第2マーク351~353を含み、第2マーク部M22は、第2マーク352~354を含み、第2マーク部M23は、第2マーク353~355を含み、第2マーク部M24は、第2マーク354~356を含み、第2マーク部M25は、第2マーク355~357を含み、第2マーク部M26は、第2マーク356~358を含み、第2マーク部M27は、第2マーク357~359を含み、第2マーク部M28は、第2マーク358~360を含み、第2マーク部M29は、第2マーク359~361を含む。
【0284】
このように、実施の形態3に係る半導体レーザ装置310において、各第2マーク部が三つの第2マークを含んでもよい。これにより、例えば、第2ワイヤ70の第1方向における位置決め、及び、第1方向における配置位置の検査において、第2マーク351を用いることができる。つまり、基体380の主面380aの上面視において、第2ワイヤ70が第2マーク351と重なるように、第2ワイヤ70の第1方向における位置を決定することができる。また、第2ワイヤ70の配置位置を検査する際に、主面380aの上面視において、第2ワイヤ70が第2マーク351と重なっているか否かによって、第2ワイヤ70の第1方向における配置位置の良否を判定できる。他の第2ワイヤ71~79についても同様に、それぞれ第2マーク352~360を用いて第1方向における位置決め、及び、配置位置の検査を行うことができる。
【0285】
また、各マーク部に含まれるマークが三つ以上である例として、各マーク部に含まれるマークが四つである例について、
図31及び
図32を用いて説明する。
図31は、実施の形態3の変形例に係る半導体レーザ装置310aの複数の第2マーク部M20~M29を示す模式的な上面図である。
図32は、実施の形態2の変形例に係る半導体レーザ装置110aの複数の第1マーク部M11~M15及び複数の第2マーク部M21~M25を示す模式的な上面図である。
【0286】
図31に示される実施の形態3の変形例に係る半導体レーザ装置310aは、金属膜386aの構成において、実施の形態3に係る半導体レーザ装置310と相違する。金属膜386aには、第2マーク350~361に加えて、第2マーク350a~359aが形成されている。
【0287】
第2マーク350a~359aは、半導体レーザ素子120と、主面380aの第2辺382との間に配置される。本変形例に係る第2マーク350a~359aの形状及び寸法は、実施の形態1に係る各第1マークと同様である。第2マーク350a~359aは、四角形状の形状を有し、金属膜386aの主面380aの第2辺382側の外縁に接する。言い換えると、第2マーク350a~359aは、金属膜386aの第2辺382側の端部から内側に向かって形成された切り欠き部である。
【0288】
本変形例に係る第2マーク部M20~30の各々は、四つの第2マークを含む。第2マーク部M20は、第2マーク350~352、及び350aを含み、第2マーク部M21は、第2マーク351~353、及び351aを含み、第2マーク部M22は、第2マーク352~354、及び352aを含み、第2マーク部M23は、第2マーク353~355、及び353aを含み、第2マーク部M24は、第2マーク354~356、及び354aを含み、第2マーク部M25は、第2マーク355~357、及び355aを含み、第2マーク部M26は、第2マーク356~358、及び356aを含み、第2マーク部M27は、第2マーク357~359、及び357aを含み、第2マーク部M28は、第2マーク358~360、及び358aを含み、第2マーク部M29は、第2マーク359~361、及び359aを含む。
【0289】
このように、各第2マーク部が四つの第2マークを含んでもよい。これにより、例えば、第2ワイヤ70の第1方向における位置決め、及び、第1方向における配置位置の検査において、第2マーク350aを用いることができる。つまり、基体380の主面380aの上面視において、第2ワイヤ70が第2マーク350aと重なるように、第2ワイヤ70の第1方向における位置を決定することができる。また、第2ワイヤ70の配置位置を検査する際に、主面380aの上面視において、第2ワイヤ70が第2マーク350aと重なっているか否かによって、第2ワイヤ70の第1方向における配置位置の良否を判定できる。他の第2ワイヤ71~79についても同様に、それぞれ第2マーク351a~359aを用いて第1方向における位置決め、及び、配置位置の検査を行うことができる。
【0290】
図32に示される実施の形態2の変形例に係る半導体レーザ装置110aは、金属膜186aの構成において、実施の形態1に係る半導体レーザ装置110と相違する。金属膜186aには、第1マーク141~146及び第2マーク151~156に加えて、第1マーク141a~146a及び第2マーク151a~156aが形成されている。
【0291】
第1マーク141a~146aは、半導体レーザ素子120と、主面180aの第1辺181との間に配置される。本変形例に係る第1マーク141a~146aの形状及び寸法は、第1マーク141~146と同様である。第1マーク141a~146aは、第1方向に沿って千鳥配列されている。第1マーク141a~146aの第1方向における位置は、それぞれ、第1マーク141~146の第1方向における位置と等しい。第1マーク141、142a、143、144a、145及び146aは第1方向に等間隔で一列に配列される。また、第1マーク141a、142、143a、144、145a及び146は第1方向に等間隔で一列に配列される。また、第1マーク141、142a、143、144a、145及び146aは、第1マーク141a、142、143a、144、145a及び146と、第1辺181との間に配置される。
【0292】
第2マーク151a~156aは、半導体レーザ素子120と、主面180aの第2辺182との間に配置される。本変形例に係る第2マーク151a~156aの形状及び寸法は、第2マーク151~156と同様である。第2マーク151a~156aは、第1方向に沿って千鳥配列されている。第2マーク151a~156aの第1方向における位置は、それぞれ、第2マーク151~156の第1方向における位置と等しい。第2マーク151、152a、153、154a、155及び156aは第1方向に等間隔で一列に配列される。また、第2マーク151a、152、153a、154、155a及び156は第1方向に等間隔で一列に配列される。また、第2マーク151、152a、153、154a、155及び156aは、第2マーク151a、152、153a、154、155a及び156と、第2辺182との間に配置される。
【0293】
本変形例に係る第1マーク部M11~15の各々は、四つの第1マークを含む。第1マーク部M11は、第1マーク141、141a、142及び142aを含み、第1マーク部M12は、第1マーク142、142a、143及び143aを含み、第1マーク部M13は、第1マーク143、143a、144及び144aを含み、第1マーク部M14は、第1マーク144、144a、145及び145aを含み、第1マーク部M15は、第1マーク145、145a、146及び146aを含む。
【0294】
本変形例に係る第2マーク部M21~25の各々は、四つの第2マークを含む。第2マーク部M21は、第2マーク151、151a、152及び152aを含み、第2マーク部M22は、第2マーク152、152a、153及び153aを含み、第2マーク部M23は、第2マーク153、153a、154及び154aを含み、第2マーク部M24は、第2マーク154、154a、155及び155aを含み、第2マーク部M25は、第2マーク155、155a、156及び156aを含む。
【0295】
以上のように、各マーク部は、四つの第2マークを含んでもよい。
【0296】
また、上記各実施の形態においては、半導体レーザ素子として、窒化物系半導体材料を用いた半導体レーザ素子を使用したが、半導体レーザ素子の構成はこれに限定されない。半導体レーザ素子は、他の半導体材料を用いたものであってもよい。例えば、半導体レーザ素子として、GaAs系半導体レーザ素子を使用してもよい。
【0297】
また、上記各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0298】
本開示の半導体レーザ装置は、例えば、高出力かつ高効率な光源としてレーザ加工などに適用できる。
【符号の説明】
【0299】
10、110、110a、310、310a、410 半導体レーザ装置
20、120、420 半導体レーザ素子
20F、120F、420F フロント側端面
20R、120R、420R リア側端面
21 第1半導体層
22 活性層
23 第2半導体層
23R リッジ部
26 基板
27、28、129、429 電極
31、32 第3マーク
33、133、134 第4マーク
41、42、43、44、141、141a、142、142a、143、143a、144、144a、145、145a、146、146a、341、342、343、344、345、346、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449 第1マーク
51、52、53、54、55、151、151a、152、152a、153、153a、154、154a、155、155a、156、156a、350、350a、351、351a、352、352a、353、353a、354、354a、355、355a、356、356a、357、357a、358、358a、359、359a、360、361 第2マーク
60、61、62、63、64、65、66、67、68、69 第1ワイヤ
60B、61B、62B、63B、64B、65B、66B、67B、68B、69B 第1ボール部
70、71、72、73、74、75、76、77、78、79 第2ワイヤ
70B、71B、72B、73B、74B、75B、76B、77B、78B、79B 第2ボール部
80、180、380、480 基体
80a、180a、380a、480a 主面
81、181、381、481 第1辺
82、182、382、482 第2辺
83、183、383、483 第3辺
84、184、384、484 第4辺
86、186、186a、386、386a、486 金属膜
87、88、88A、187、188、188A 接合部材
88a、188a Pt膜
88b、188b 半田膜
91、92、95 リードピン
93 ステム
94 ベース
261、262、263、264 溝
331、333、334、335、431、432、433、434 第5マーク
B10、B11、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B19 第1接合領域
B20、B21、B22、B23、B24、B25、B26、B27、B28、B29 第2接合領域
Br1、Br2、Br3、Br4、Br5 接合部
G10、G11、G12、G13、G14、G15、G16、G17、G18、G19 第1ワイヤグループ
G20、G21、G22、G23、G24、G25、G26、G27、G28、G29 第2ワイヤグループ
Ir1、Ir2、Ir3、Ir4 中間部
Lb チップ識別用マーク
M10、M11、M12、M13、M14、M15、M16、M17、M18、M19 第1マーク部
M20、M21、M22、M23、M24、M25、M26、M27、M28、M29 第2マーク部