(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】容器及び重炭酸塩を含有する水性液体を含む医薬品
(51)【国際特許分類】
A61J 1/10 20060101AFI20241205BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241205BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241205BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241205BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20241205BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241205BHJP
A61P 3/00 20060101ALN20241205BHJP
A61K 33/10 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
A61J1/10 331C
B65D65/40 D
A61J1/10 333C
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/04
A61K47/26
A61P3/00
A61K33/10
(21)【出願番号】P 2021558951
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2020060669
(87)【国際公開番号】W WO2020212471
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-13
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508240177
【氏名又は名称】ビー.ブラウン メルズンゲン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AG
【住所又は居所原語表記】Carl-Braun-Str. 1, 34212 Melsungen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント アダモ
(72)【発明者】
【氏名】エルヴェ ジャン シュウェーベル
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-105905(JP,A)
【文献】特開平05-261141(JP,A)
【文献】特開平11-004872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/10
B65D 65/40
A61K 9/08
A61K 47/12
A61K 47/04
A61K 47/26
A61P 3/00
A61K 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品(10)であって、
可撓性のモノチャンバ容器(14)と、複数チャンバ容器の異なる成分の混合を必要としないで、重炭酸塩を含有し、6.5以上7.8以下のpHを有する、即時注入可能な水性液体(12)と、を備え、
前記モノチャンバ容器(14)は、第1の側壁(15a)及び第2の側壁(15b)を含み、前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)は、バリア材料を含み、
前記バリア材料は、前記即時注入可能な水性液体(12)のpH値が、医薬品(10)の室温での保存期間中に少なくとも12ヶ月間最大でもpH値の変動が0.8以内となるように、前記モノチャンバ容器(14)からの二酸化炭素の漏出及び/又は前記モノチャンバ容器(14)への二酸化炭素の取り込みを防止又は遅延させることができることを特徴とし、
前記モノチャンバ容器(14)は外側モノチャンバ容器の形態であり、前記医薬品(10)はさらに、前記外側モノチャンバ容器(14)によって包まれる内側モノチャンバ容器(17)を備え、前記即時注入可能な水性液体(12)が前記内側モノチャンバ容器(17)に収容されており、
前記内側モノチャンバ容器(17)は、前記外側モノチャンバ容器(14)の前記バリア材料とは異なるか、又は前記外側モノチャンバ容器(14)の前記バリア材料と同じ材料である壁材料を含
む壁(18)を有し、前記壁材料は、前記内側モノチャンバ容器(17)からの二酸化炭素の漏出および/または前記内側モノチャンバ容器(17)への二酸化炭素の取り込みを防止または遅延することができる、医薬品(10)。
【請求項2】
前記即時注入可能な水性液体のpH値が、前記医薬品(10)の室温で24ヶ月、30ヶ月又は36ヶ月間の保存期間中pH値の変動が0.8以内となるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の医薬品(10)。
【請求項3】
前記即時注入可能な水性液体(12)のpH値が、前記医薬品(10)の室温での前記保存期間中、6.8以上7.6以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医薬品(10)。
【請求項4】
前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)は、互いに対向して配置され、縁部において接続され、それによって貯蔵容積(13)を形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の医薬品(10)。
【請求項5】
前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)が、同じ前記バリア材料を含むことを特徴とする、又は、
前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)は、異なる前記バリア材料を含む、請求項1~4のいずれかに記載の医薬品(10)。
【請求項6】
前記バリア材料が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン、プラスチック材料、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノキシ型の熱可塑性材料、フェノキシポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、変性セルロース及びそれらの少なくとも2つの組合せからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の医薬品(10)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の医薬品(10)であって、
前記第1の側壁(15a)の前記バリア材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の側壁(15b)の前記バリア材料はアルミニウムである、
前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方の前記バリア材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及びそれらの組合せからなる群から選択される、
前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方の前記バリア材料はダイヤモンドライクカーボンである、
前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方の前記バリア材料が酸化ケイ素であり、前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方がポリオレフィンをさらに含む、
前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方の前記バリア材料は酸化アルミニウムであり、前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方はポリオレフィンをさらに含む、
前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方の前記バリア材料はアルミニウムであり、前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方は、ポリオレフィンをさらに含む、又は
前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方の前記バリア材料はエチレンビニルアルコールであり、前記第1の側壁(15a)及び前記第2の側壁(15b)の双方はポリオレフィン、をさらに含む、ことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の医薬品(10)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の医薬品(10)であって、
前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)は、単層又は多層の構造を有し、前記構造の上層又は上層及び前記構造の下層又は最下層は、異なる前記バリア材料を含む、
前記第1の側壁(15a)は、単層又は多層の構造を有し、前記構造の上層又は上層は酸化アルミニウムを含み、及び/又は前記構造の下層又は最下層は酸化ケイ素を含み、又はその逆であり、前記第2の側壁(15b)はアルミニウムを含む、
前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有し、さらに酸化ケイ素を含むか又はそれらからなる層を有する、
前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有し、さらに、酸化アルミニウムを含むか又はそれらからなる層を有する、又は
前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有し、さらにアルミニウムを含むか又はそれらからなる層を有する、ことを特徴とする、医薬品(10)。
【請求項9】
前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)が、500μm未満の厚さを有することを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の医薬品(10)。
【請求項10】
前記内側モノチャンバ容器の前記壁材料及び前記外側モノチャンバ容器の前記バリア材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボンを含む炭素、エチレンビニルアルコール、ポリビニリデンアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノキシ型の熱可塑性材料、フェノキシポリオレフィン、ポリアミド、ポリオレフィン、修飾セルロース及びそれらの少なくとも2つの組合せからなる群から独立して選択されることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の医薬品(10)。
【請求項11】
請求項10に記載の医薬品(10)であって、
前記内側モノチャンバ容器(17)は、多層の前記壁(18)を有し、前記壁(18)の上層又は最上層及び前記壁(18)の下層又は最下層は、前記壁材料に関して異なり、前記上層又は前記最上層は、ポリオレフィンを含み、前記下層又は前記最下層は、ポリエチレンテレフタレートを含み、又はその逆であり、又は、前記上層又は前記最上層は、酸化アルミニウムを含み、前記下層又は前記最下層は、酸化ケイ素を含み、又はその逆である、
前記内側モノチャンバ容器(17)の前記壁(18)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有し、前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)は、ポリオレフィン及び酸化ケイ素を含むか又はそれらからなる層を含むか又はそれらからなる、
前記内側モノチャンバ容器(17)の前記壁(18)は、ポリオレフィン含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有し、前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)は、エチレンビニルアルコールを含むか又はエチレンビニルアルコールからなる、
前記内側モノチャンバ容器(17)の前記壁(18)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有し、前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)は、ポリオレフィン及び酸化アルミニウムを含むか又はそれらからなる層を含むか又はそれらからなる、
前記内側モノチャンバ容器(17)の前記壁(18)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有するとともに、さらに層を有し、前記層は、酸化ケイ素を含むか又はそれらからなり、前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有するとともに、さらに層を有し、前記層は、酸化ケイ素を含むか又はそれらからなる、
前記内側モノチャンバ容器(17)の前記壁(18)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有し、前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第1の側壁(15a)は、ポリオレフィンを含み、さらに、酸化アルミニウムを含むか又はそれらからなる層を有し、前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第2の側壁(15b)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有し、さらに、アルミニウムの層を有する、又は
前記内側モノチャンバ容器(17)の前記壁(18)は、ポリオレフィンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有し、前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第1の側壁(15a)及び/又は前記第2の側壁(15b)は、ダイヤモンドライクカーボンを含むか又はそれらからなる単層又は多層の構造を有する、
ことを特徴とする、請求項10に記載の医薬品(10)。
【請求項12】
前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第1の側壁(15a)がアルミニウムを含むか、又はそれからなり、前記外側モノチャンバ容器(14)の前記第2の側壁(15b)が酸化アルミニウム又は酸化シリコーンを含むか、又はそれらからなり、又はその逆であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の医薬品(10)。
【請求項13】
前記即時注入可能な水性液体(12)が、130mmol/l以上150mmol/l以下のナトリウム、0mmol/l以上5mmol/l以下のカリウム、0mmol/l以上2mmol/l以下のカルシウム、0mmol/l以上2mmol/l以下のマグネシウム、90mmol/l以上150mmol/l以下の塩化物、10mmol/l以上40mmol/l以下の重炭酸塩、0mmol/l以上30mmol/l以下のグルコネート、0mmol/l以上10mmol/l以下のクエン酸塩及び0mmol/l以上60mmol/l以下のグルコースを含有することを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の医薬品(10)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の医薬品(10)であって、
前記外側モノチャンバ容器(14)、その壁又はその壁部分及び/又は前記内側モノチャンバ容器(17)、前記壁(18)又はその壁部分が、透明及び/又は熱成形可能及び/又はレトルト処理可能である、
及び/又は
前記医薬品(10)は、オートクレーブ及び/又は加熱によって、最終的又は熱的に滅菌される、ことを特徴とする、医薬品(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器と、重炭酸塩を含有する水性液体とを含む医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸水素ナトリウム溶液は、アシドーシスの適応又は透析治療のいずれかのために、既に製剤として存在する。
【0003】
例えば、血液透析又は腹膜透析のための重炭酸塩溶液は、DE 199 12 850 A1から公知である。重炭酸塩溶液は、合計3つの個々の溶液からなる溶液系の一部を形成する。溶液システムは、マルチチャンババッグ内に貯蔵される。重炭酸塩溶液は、10mmol/lの最大濃度で重炭酸塩を含有する。したがって、重炭酸塩溶液を収容するチャンバ内の二酸化炭素圧力を最小限に抑えることができる。
【0004】
アルカリ性反応重炭酸塩成分及び酸反応成分を含む透析又は注入溶液を含有するマルチチャンバ容器は、US 6,673,376 B1から公知である。酸反応成分としては、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸等を用いられてもよい。
【0005】
EP 2 322 236 A1から二液透析溶液が知られている。透析溶液は、重炭酸塩濃縮物を含む第1の成分と、電解質濃縮物を含む第2の成分とを含む。この溶液の別々の成分を収容するために、マルチチャンバ容器を使用することができる。
【0006】
WO 01/17534 A1は、約8.6~10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含む二液型重炭酸塩溶液を開示している。
【0007】
WO 2014/177143 A1は、血漿増量剤として使用するための注入溶液に言及している。この溶液は、もっぱら135mmol/l~145mmol/lのナトリウムイオン及びもっぱら100mmol/l以下の塩化物イオンを含み、カチオン含有量を補償するために必要なアニオンは、重炭酸イオンによって補充される。
【0008】
従来の重炭酸塩溶液は、しばしば、非生理学的に高いpH値を有するという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
重大な問題は、プラスチックバッグのような半透過性容器に貯蔵されたときの二酸化炭素の損失による水溶液中の重炭酸塩の安定性の欠如から生じる。水溶液中の重炭酸塩平衡から生じる二酸化炭素が容器から漏れうる場合、化学平衡は、非生理学的値に向かって溶液のpHを増加させ、溶液中に存在する任意のカチオンと沈殿を形成する炭酸塩化合物側に向かって移動する。例えば、カルシウムイオンが溶液中に存在する場合、以下の化学平衡が適用される:
【化1】
【0010】
この安定性の問題に対処するために、重炭酸塩の代わりに酢酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、リンゴ酸塩などの代謝可能なアニオンを含有する電解質注入溶液が開発されている。代謝可能なアニオンは肝臓で酸化され、最終的に重炭酸塩化合物を生成する。しかしながら、これらの溶液は、重炭酸塩が処理剤として直接利用できないという欠点を有する。
【0011】
したがって、本発明の基礎をなす目的は、重炭酸塩を含有する水性液体を含む医薬製品を利用可能にすることであり、この医薬製品は、従来の製品の回収を少なくとも部分的に回避し、特に、長期間にわたって安定ですぐに使用できる、又はすぐに注入できる重炭酸塩を含有する液体を収容又は貯蔵することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、独立のクレーム1に係る医薬品によって達成される。上記医薬品の好ましい実施形態は、従属クレーム及び本明細書において規定される。すべてのクレームの主題及び用語は、それぞれ、明示的な参照によって本明細書に組み込まれる。
【0013】
本発明による医薬品は、特に無菌医薬品である。
【0014】
医薬品は、容器、特に可撓性の、すなわち曲げやすい又は柔軟な容器と、水性液体、特に水溶液とを含む。特に、上記容器は、バッグ又はパウチであってもよい。好ましくは、容器は、モノチャンバ容器、特にモノチャンババッグ又はパウチである。より好ましくは、容器は、可撓性のモノチャンバ容器、特に可撓性のモノチャンババッグ又はパウチである。
【0015】
水性液体、特に水溶液は、重炭酸塩を含有し、生理学的pH値(pHレベル)を有する。
【0016】
容器は、第1の側壁及び第2の側壁を含み、上記第1の側壁は、バリア材料を含むか、又はバリア材料からなり、及び/又は第2の側壁は、バリア材料を含むか、又はバリア材料からなる。
【0017】
好ましくは、上記バリア材料は、容器からの二酸化炭素の漏出及び/又は容器への二酸化炭素の取り込みを防止又は遅延させることができ、その結果、水性液体のpH値は、少なくとも12ヶ月間、医薬品の室温での保存期間、すなわち貯蔵時間の間、維持又は実質的に維持される。
【0018】
本発明に従って使用される「医薬品」という用語は、先行する段落で定義されるように、容器及び水性液体、特に水溶液を含む、医薬の組合せ又は医薬システムとして理解することができる。医薬品及び特に水溶液などの水性液体の双方の好ましい実施形態に関して、以下の説明全体を参照されたい。
【0019】
本発明で使用される「重炭酸塩を含有する水性液体」という用語は、好ましくは、以下の説明で開示されるように、水及び重炭酸塩のほか任意の追加の電解質及び/又はイオンを含有する液体を表す。したがって、本発明で使用される「重炭酸塩を含有する水性溶液」という用語は、好ましくは以下の説明で開示されるように、水及び重炭酸塩及び任意の追加の電解質及び/又はイオンを含有する溶液を表す。
【0020】
本発明に従って使用される「モノチャンバ容器」又は「モノコンパートメント容器」という用語は、1つのチャンバ又はコンパートメントのみを含む容器を表す。モノチャンバ容器及びモノコンパートメント容器は、それぞれ、特に、モノチャンバ(モノコンパートメント)バッグ又はパウチ、特に、可撓性の、すなわち曲げやすい又は柔軟な、モノチャンバ(モノコンパートメント)バッグ又はパウチの形態であってもよい。
【0021】
本発明に従って使用される「バリア材料」という用語は、医薬品及び/又はその一部、特に容器からの二酸化炭素の拡散又は漏出を遅らせる及び/又は防止することができ、及び/又は医薬品及び/又はその一部、特に容器への二酸化炭素の拡散又は取込みを遅らせる及び/又は防止することができる材料を指す。
【0022】
さらに、本発明に従って使用される「バリア材料」という用語は、1つの、すなわち単一のタイプのバリア材料、又は異なるバリア材料の組合せ、特に混合物を表すことができる。有用なバリア材料に関しては、以下の説明全体を参照されたい。
【0023】
水性液体、特に水溶液の文脈における用語「生理学的pH値」は、6.5以上7.8以下、特に6.8以上7.6以下、好ましくは7.0以上7.5以下のpH値を意味する。
【0024】
本発明に従って使用される水性液体、特に水溶液のpH値の文脈において「実質的に維持される」という用語は、好ましくは、医薬品の室温での保存寿命の間の、多くとも0.8pH単位(pH値の単位)、特に0.1pH単位から0.6pH単位、好ましくは0.1pH単位から0.5pH単位のpH値変動、特にpH値増加を意味する。
【0025】
本発明に従って使用される「室温」という用語は、10℃以上30℃以下、好ましくは15℃以上30℃以下、より好ましくは15℃以上25℃以下の温度を表す。
【0026】
「重炭酸塩」とは、炭酸水素イオン、すなわち、式HCO3
-を有する陰イオンを表す。
【0027】
「ナトリウム」という用語は、一価のナトリウムイオン、すなわち、式Na+を有する陽イオンを表す。
【0028】
ここで、「カリウム」とは、一価のカリウムイオン、すなわち、K+を有する陽イオンを表す。
【0029】
「カルシウム」とは、二価のカルシウムイオン、すなわち、式Ca2+を有する陽イオンを表す。
【0030】
「マグネシウム」とは、二価のマグネシウムイオン、すなわち、式Mg2+を有する陽イオンを意味する。
【0031】
本発明に従って使用される「水蒸気透過率」(「WVTR」とも略される)は、ASTM F1249又はISO 15106によって決定されてもよい。
【0032】
本発明に従って使用される「OTR」とも略される「酸素透過率」は、ASTM D3985又はISO 15105によって決定されてもよい。本発明は、特に、以下の利点を特徴とする:
【0033】
バリア材料のために、容器から、したがって医薬品からの二酸化炭素の拡散又は漏出、及び/又は容器内への、したがって医薬品内への二酸化炭素の拡散又は取り込みは、防止され得るか、又は少なくとも有意に遅延又は低減され得る。この結果、水性液体、特に水溶液中に、炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウム及び/又は(他の)可視粒子などの沈殿物が形成されないか、少なくともかなり遅延されるか、又は形成が低減される。したがって、水性液体、特に水溶液の化学的及び物理的安定性は、注目に値する程度まで増加させることができる。従って、医薬製品、従って重炭酸塩を含有する水性液体、特に水溶液の、室温での、特に少なくとも2年間のかなり延長された保存期間が、有利に達成され得る。
【0034】
さらに、二酸化炭素の拡散又は容器からの漏出、及び/又は二酸化炭素の拡散又は容器への取り込みの防止又は遅延のために、水性液体、特に水溶液の非生理学的値へのpHシフトを回避することができる。
【0035】
さらに、沈殿の防止又は遅延及び/又は水性液体、特に水溶液中の(他の)可視粒子の形成のために、医薬品はまた、有利に規制要件に従う。
【0036】
全体として、本発明による医薬製品は、安定で直接的に利用可能な、すなわちすぐに使用できる、又はすぐに注入できる、重炭酸塩を含有する水性液体、特に水溶液を提供し、これはヒト血漿によく適合し、生理学的pH値を呈示する。
【0037】
さらに、本発明による医薬製品は、例えば、米国特許第6,673,376号明細書に記載されているように、マルチチャンババッグの異なる成分の混合を必要としない、すぐに利用できる水性液体、特に水溶液を提供する。
【0038】
さらに、医薬品は、特にオートクレーブ処理によって有利に滅菌可能であってもよい。
【0039】
好ましくは、バリア材料は、水蒸気透過率(WVTR)が≦3.0gm-2日-1、特に<3.0gm-2日-1を有する。より好ましくは、バリア材料は、3gm-2日-1から0g-2日-1、特に、2gm-2日-1から0gm-2日-1、好ましくは1gm-2日-1から0gm-2日-1の水蒸気透過率を有する。この段落に開示されるような水蒸気透過率は、容器からの、したがって医薬品からの、及び/又は容器への、したがって医薬品への二酸化炭素の拡散又は取り込みを低減/遅延又は防止するために、及び/又は防止するために特に有用である。
【0040】
あるいは、又は組合せて、バリア材料の酸素透過率(OTR)は、好ましくは、≦0.5gm-2 日-1であり、特に<0.5gm-2 日-1である。より好ましくは、バリア材料は、0.5gm-2 日-1から0gm-2 日-1まで、特に、0.2gm-2 日-1から0gm-2 日-1まで、好ましくは、0.1gm-2 日-1から0gm-2 日-1までの酸素透過率を有する。この段落に開示されるような酸素透過率は、医薬品からの二酸化炭素の拡散又は漏出を低減/遅延又は防止するために特に有用である。
【0041】
特に、容器は、二酸化炭素に対して完全に不透過性であってもよい。
【0042】
本発明の一実施携帯において、水性液体、特に水溶液のpH値は、少なくとも24ヶ月間、特に少なくとも30ヶ月間、好ましくは少なくとも36ヶ月間、医薬製品の室温で保存期間の間、維持又は実質的に維持される。特に、水性液体、特に水溶液のpH値は、医薬製品の室温で24、30又は36ヶ月の保存期間の間、有利に維持することができるか、又は実質的に維持することができる。
【0043】
本発明のさらなる一実施形態では、水性液体、特に水溶液のpH値は、7.8、特に7.6、好ましくは7.5のpH値を超えない。好ましくは、水性液体、特に水溶液は、医薬品の室温での保存期間の間、6.5以上7.8以下、特に6.8以上7.6以下、より好ましくは7.0以上7.5以下のpH値を有する。
【0044】
本発明のさらなる一実施形態では、容器の第1の側壁及び第2の側壁は、特に壁厚方向において互いに対向して配置される。好ましくは、第1の側壁と第2の側壁とは、縁部で接続され、より好ましくは、結合され、例えば接合され(bonded)、接着され(glued)、又は溶着され、それによって貯蔵容積又は貯蔵キャビティを形成する。貯蔵容積及び貯蔵キャビティは、それぞれ、好ましくは、水性液体、特に水溶液を直接的に、すなわち直ちに、取り囲むか、又は包むさらなる容器(いわゆる、内部容器)を貯蔵するように適合されるか、又は水性液体、特に水溶液を直接的に、すなわち直ちに貯蔵するように適合されてもよい。したがって、好ましくは、貯蔵容積及び貯蔵キャビティは、それぞれ、本発明の範囲内でリザーバ容積と呼ぶこともできる。医薬品の任意のさらなる容器(内部容器)のさらなる特徴及び利点に関して、以下の説明が全体として参照される。
【0045】
本発明のさらなる一実施形態では、容器の第1の側壁及び第2の側壁は、同じバリア材料を含むか、又は同じバリア材料からなる。有用なバリア材料に関しては、以下の説明が全体として参照される。
【0046】
本発明のさらなる一実施形態では、容器の第1の側壁及び第2の側壁は、異なるバリア材料を含むか、又は異なるバリア材料からなる。有用なバリア材料に関しては、以下の説明を参照されたい。
【0047】
バリア材料が透明材料又は少なくとも部分的に透明な材料であってもよいことは、本発明の範囲内であることが好ましい。本発明で使用される「透明材料」という用語は、可視光、すなわち、400nm以上700nm以下の範囲の波長を有する光に対して透明である材料を指し、したがって、本発明で使用される「部分的に透明な材料」という用語は、可視光、すなわち、400nm以上700nm以下の範囲の波長を有する光に対して部分的にのみ透明である材料を指す。透明又は少なくとも部分的に透明なバリア材料は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び/又は(他の)可視粒子などの不溶性又は難溶性化合物に関して、水性液体、特に水溶液の検査を有利に可能にする。したがって、水性液体、特に水溶液の品質を損なう可能性のある不安定化処理に関する効率的な制御が可能である。有用な透明又は部分的に透明なバリア材料に関しては、以下に記載するバリア材料を参照されたい。
【0048】
さらに、バリア材料は、熱成形可能な材料であってもよい。このような材料は、容器の製造、したがって医薬品の製造を容易にすることができる。有用な熱成形可能なバリア材料に関しては、以下に記載するバリア材料を参照されたい。
【0049】
さらに、バリア材料は、溶着可能な材料であってもよい。このような材料は、特に、周辺表面領域に沿って配置された第1の側壁及び第2の側壁を溶着することによって、容器、したがって医薬品の製造を容易にすることもできる。有用な溶着可能なバリア材料に関しては、以下に記載するバリア材料を参照されたい。
【0050】
さらに、バリア材料はレトルト可能な材料であってもよい。このような材料は、有利には、医薬製品、特に水性液体、特に水溶液の滅菌を可能にする。有用なレトルト処理可能なバリア材料に関しては、以下に記載するバリア材料を参照されたい。
【0051】
さらに、バリア材料は、化学蒸着(CVD)、特にプラズマ援用又はプラズマ励起化学蒸着(PECVD)によって生成又は生成されてもよい。こうして製造されたバリア材料は、有利には、薄い厚さを有する壁に貢献するか、又はそれをもたらすことができ、それによって、容器の可撓性を容易にするか、又は改善することができる。化学蒸着によって製造可能なバリア材料に関しては、以下に説明するバリア材料を参照されたい。
【0052】
プラズマ援用又はプラズマ励起化学蒸着の利点は、基質への熱負荷が低く、バリア材料の薄い層を生成するためのプロセス時間が比較的短いことである。
【0053】
プラズマ援用又はプラズマ励起化学蒸着は、例えば、空の容器を真空チャンバ内に配置し、チャンバを真空にすることによって行うことができる。その後、容器内に原料ガスを供給して容器内に電磁波を印加し、原料ガスをプラズマ状態に分解してもよい。その後、プラズマは、容器の内壁表面上に薄膜、すなわち薄層を形成することができる。最後に、チャンバを大気圧に解放し、コーティングされた容器を真空チャンバから取り出す。
【0054】
本発明のさらなる一実施形態では、バリア材料は、金属酸化物、酸化ケイ素、金属、ダイヤモンドライクカーボンなどの炭素、金属窒化物、プラスチック材料、及び前記バリア材料のうちの少なくとも2つの組み合わせ、特にブレンド、複合体又は積層体からなる群から選択される。
【0055】
好ましくは、金属酸化物は酸化アルミニウムである。より好ましくは、酸化アルミニウムは、式AlOxを有する。
【0056】
酸化ケイ素は、好ましくは式SiOxを有し、ここでxは好ましくは1.9~2.0である。
【0057】
驚くべきことに、酸化ケイ素は、安定化されすぐに利用できる、又はすぐに注入できる水性液体、特に安定化されすぐに利用できる、又はすぐに注入できる炭酸水素塩を含有する水性溶液を提供するための特に有用なバリア材料であることが判明した。さらに、酸化ケイ素は、有利に、容器の透明な壁の形成を可能にする。酸化ケイ素は、特に、化学蒸着、好ましくはプラズマ援用又はプラズマ励起化学蒸着によって、特にヘキサメチルジシロキサン及び/又はヘキサメチルジシラザンなどの前駆体化合物を使用することによって生成又は製造することができる。化学蒸着のさらなる特徴及び利点に関しては、先行する説明が全体として参照される。
【0058】
さらに、可能なバリア材料として言及される金属は、好ましくはアルミニウム、すなわち元素又は非酸化アルミニウムである。バリア材料としてのアルミニウムは、熱成形可能な容器壁の形成を容易にするという利点を有する。
【0059】
さらに、驚くべきことに、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は、安定化されすぐに利用できる、又はすぐに注入できる水性液体、特に安定化されすぐに利用できる、又はすぐに注入できる炭酸水素塩を含有する水性溶液を提供するためのさらなる適切なバリア材料であることが判明した。加えて、ダイヤモンドライクカーボンは、有利には、容器の透明で熱成形可能な壁の形成を可能にする。
【0060】
ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は、ダイヤモンドの典型的な特性のいくつかを示すアモルファスカーボン材料である。ダイヤモンドライクカーボンは、かなりの量のsp3 混成炭素原子を含む。特に、ダイヤモンドライクカーボンは、炭素原子が立方格子又は六方格子に配列された形態を有していてもよい。さらに、ダイヤモンドライクカーボンは、ダイヤモンドライクカーボンの前述の形態(ポリタイプ)を混合した結果である四面体非晶質炭素の形態であってもよい。主に、ダイヤモンドライクカーボンは、高エネルギー前駆炭素が比較的冷たい表面上で急速に冷却又は急冷されるプロセスによって製造することができる。例えば、ダイヤモンドライクカーボンは、プラズマ中で、フィルター陰極アーク蒸着において、スパッタ蒸着又はイオンビーム蒸着において生成されてもよい。これらのプロセスでは、原子が材料内の適所に「凍結」される前に、結晶幾何学の一方が他方を犠牲にして成長するのに利用可能な時間がないので、立方格子及び六方格子を原子層ごとに生成し、ランダムに混合することができる。非晶質ダイヤモンドライクカーボンコーティングは、長距離結晶秩序を有さない材料をもたらすことができる。長距離秩序がなければ、脆性破壊面は存在しないので、そのような被覆は可撓性であり、被覆されている下層の形状に対して追従するが、それでもダイヤモンドと同様に硬質である。
【0061】
特に、ダイヤモンドライクカーボンは、化学蒸着、好ましくはプラズマ援用又はプラズマ励起化学蒸着によって、特にアセチレン(C2H2)などの前駆物質化合物を使用することによって生成又は製造することができる。化学蒸着のさらなる特徴及び利点に関しては、先行する説明が全体として参照される。
【0062】
さらに、可能なバリア材料として言及されるプラスチック材料は、特に、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノキシ型の熱可塑性材料、フェノキシポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ヒドロキシルプロピルセルロースなどの変性セルロース、及び前記プラスチック材料の少なくとも2つの組み合わせ、特にブレンド、複合体又は積層体からなる群から選択される。
【0063】
本発明に従って使用される用語「エチレンビニルアルコール」(EVOH)は、エチレンとビニルアルコールとのコポリマー、すなわち、エチレンとビニルアルコールのモノマーの重合によって入手可能なコポリマーを表す。
【0064】
ポリアミドは、好ましくは、m-キシレンジアミンとアジピン酸との重縮合によって入手可能なポリアミドである。このようなポリアミドは、「ナイロン-MXD6」の表記で市販されている。
【0065】
従って、バリア材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノキシ型の熱可塑性材料、フェノキシポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ヒドロキシルプロピルセルロースなどの変性セルロース、及び前記バリア材料の少なくとも2つの組み合わせ、特にブレンド、複合体又は積層体からなる群から選択されることが特に好ましい。
【0066】
すでに述べたように、容器の第1の側壁及び第2の側壁は、好ましくは、異なるバリア材料を含むか、又は異なるバリア材料からなってもよい。より好ましくは、第1の側壁のバリア材料及び第2の側壁のバリア材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノキシ型の熱可塑性材料、フェノキシポリオレフィン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ヒドロキシルプロピルセルロースなどの変性セルロース及び前記バリア材料の少なくとも2つの組み合わせ、特にブレンド、複合体又は積層体からなる群から独立して選択される。さらなる有用なバリア材料に関しては、先行する説明が全体において参照される。
【0067】
さらに、既に述べたように、容器の第1の側壁及び第2の側壁は、好ましくは、同じバリア材料を含むか、又は同じバリア材料からなることができる。より好ましくは、バリア材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ダイヤモンドライクカーボン、及びそれらの組み合わせ、特に複合体又は積層体からなる群から選択される。特に好ましくは、バリア材料は、酸化アルミニウム及び/又は酸化ケイ素である。
【0068】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁のバリア材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及びそれらの組み合わせ、特に複合体又は積層体からなる群から選択され、第2の側壁のバリア材料はアルミニウムである。
【0069】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁のバリア材料及び第2の側壁のバリア材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及びそれらの組合せ、特に複合体又は積層体からなる群から選択される。
【0070】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁のバリア材料及び第2の側壁のバリア材料は、ダイヤモンドライクカーボンである。
【0071】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁及び第2の側壁の双方のバリア材料は、酸化ケイ素であり、第1の側壁及び第2の側壁の双方は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンをさらに含む。好ましくは、酸化ケイ素はコーティングの形態である。
【0072】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁及び第2の側壁の双方のバリア材料は、酸化アルミニウムであり、第1の側壁及び第2の側壁の双方は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンをさらに含む。好ましくは、酸化アルミニウムはコーティングの形態である。
【0073】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁及び第2の側壁の双方のバリア材料は、アルミニウム(すなわち、元素又は金属アルミニウム)であり、第1の側壁及び第2の側壁の双方は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンをさらに含む。好ましくは、アルミニウムは箔の形態である。
【0074】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁及び第2の側壁の双方のバリア材料は、エチレンビニルアルコールであり、第1の側壁及び第2の側壁の双方は、追加的に、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレン、例えば低密度ポリエチレンを含む。
【0075】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁及び/又は第2の側壁は、単層又は多層構造、特に二層構造、三層構造、又は四層構造を有する。より具体的には、多層構造、特に二層構造、三層構造又は四層構造の上層又は最上層、及び多層構造、特に二層構造、三層構造又は四層構造の下層又は最下層は、好ましくは、異なるバリア材料を含むか、又はそれからなってもよい。あるいは、多層構造、特に二層構造、三層構造又は四層構造の上層又は上層、及び多層構造、特に二層構造、三層構造又は四層構造の下層又は最下層は、好ましくは、同じバリア材料を含むか、又はそれからなってもよい。主に、構造の上層又は上層のバリア材料及び構造の下層又は最下層のバリア材料は、前の説明に開示されたようなバリア材料から独立して選択されてもよい。
【0076】
本発明に従って使用される容器の多層の第1側壁及び/又は多層の第2側壁の文脈における「上層」又は「最上層」という用語は、容器の外側に配置される層を表す。特に、上層又は上層は、コーティング又はフィルムの形態であり得る。
【0077】
本発明に従って使用される多層の第1の側壁及び/又は多層の第2の側壁の文脈における「下層」又は「最下層」という用語は、容器の内側に配置される層を指す。特に、下層又は最下層は、コーティング又はフィルムの形態であり得る。
【0078】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁及び/又は第2の側壁は、多層構造、特に二層構造、三層構造、又は四層構造を有し、構造の上層又は上層は、酸化アルミニウムを含むか、又はそれからなり、構造の下層又は最下層は、酸化ケイ素を含むか、又はそれからなり、又はその逆であり、すなわち、構造の上層又は上層は、酸化ケイ素を含むか、又はそれからなり、構造の下層又は最下層は、酸化アルミニウムを含むか、又はそれからなる。
【0079】
本発明のさらなる一実施形態では、第1の側壁は、多層構造、特に二層構造、三層構造又は四層構造を有し、構造の上層又は上層は、酸化アルミニウムを含むか、それからなり、及び/又は構造の下層又は最下層は、酸化ケイ素を含むか、それからなり、又はその逆であり、すなわち、構造の上層又は上層は、酸ケイ素を含むか、それからなり、構造の下層又は最下層は、酸化アルミニウムを含むか、又はそれからなり、第2の側壁は、特に単層構造を有するか、アルミニウムを含むか、又はそれからなる。
【0080】
本発明のさらなる一実施形態では、容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか又はそれらからなる単層又は多層、特に二層、三層又は四層構造を有し、さらに、酸化ケイ素を含むか又はそれらからなる層、特にコーティングを有する。
【0081】
本発明のさらなる一実施形態では、容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか又はそれらからなる単層又は多層、特に二層、三層又は四層構造を有し、さらに、酸化アルミニウムを含むか又はそれらからなる層、特にコーティングを有する。
【0082】
本発明のさらなる一実施形態では、容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか又はそれらからなる単層又は多層、特に二層、三層又は四層構造を有し、さらにアルミニウム(すなわち元素又は金属アルミニウム)を含むか又はそれらからなる層、特に箔を有する。
【0083】
本発明のさらなる一実施形態では、容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、500μm未満、特に25μm以上300μm以下、好ましくは25μm以上50μm以下又は50μm以上300μm以下の厚さを有する。この段落に開示される壁厚は、容器の可撓性及び最適化されたバリア特性の点で特に有利である。さらに、この段落に開示されるような厚さを有する壁はまた、本発明によるフィルムとして示され得る。
【0084】
もっぱら、医薬品がさらなる容器を含まないことは、本発明の範囲内であり得る。言い換えれば、医薬品は、単一の容器、すなわち、先行する説明で開示されたような容器のみを含むことができる。その場合、水性液体、特に水溶液は、好ましくは、(単一の)容器内に、特に完全に及び/又は直接に、すなわち直ちに、含有され、すなわち貯蔵され、又は収容される。
【0085】
本発明のさらなる、特に好ましい一実施形態では、容器は、外側容器であり、すなわち、外側容器の形態であり、医薬品は、内側容器、特に、可撓性の、すなわち曲がりやすい又は柔軟な、内側容器をさらに含み、内側容器は、外側容器によって、特に、完全に及び/又は直接に、すなわち、即座に、包まれるか、又は取り囲まれる。特に、内側容器は、バッグ又はパウチであってもよい。好ましくは、内側容器は、モノチャンバ容器、特にモノチャンババッグ又はパウチである。より好ましくは、内側容器は、可撓性のモノチャンバ容器、特に可撓性のモノチャンババッグ又はパウチである。
【0086】
本発明によれば、内側容器は、一次容器、特に一次バッグ又はパウチとして示されてもよく、一方、外側容器は、二次容器、特に二次バッグ又はパウチとして示されてもよい。さらに、内側容器及び外側容器は、また、本発明による容器システムとして示されてもよい。
【0087】
好ましくは、水性液体、特に水溶液は、内側容器内に含まれる、すなわち貯蔵又は収容され、特に完全に及び/又は直接に、すなわち直ちに、内側容器内に含まれる、すなわち貯蔵又は収容される。言い換えれば、好ましくは、水性液体、特に水溶液は、特に、完全に及び/又は直接的に、すなわち、直ちに、内部容器によって、取り囲まれているか又は包まれている。
【0088】
さらに、内部容器は、25μm以上300μm以下の壁厚を有してもよい。
【0089】
本発明のさらなる一実施形態では、内側容器は、壁材料、特に、内側容器からの二酸化炭素の漏出及び/又は内側容器への二酸化炭素の取り込みを防止又は遅延させることができるバリア材料を含むか又はそれからなる壁を有し、特に、水性液体のpH値が、少なくとも12ヶ月間、特に少なくとも24ヶ月間、特に少なくとも30ヶ月間、好ましくは少なくとも36ヶ月間、医薬品の室温での保存期間の間、維持又は実質的に維持される。
【0090】
好ましくは、壁材料は、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、酸化ケイ素、アルミニウムなどの金属、ダイヤモンドライクカーボンなどの炭素、ポリオレフィン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノキシタイプの熱可塑性材料、フェノキシポリオレフィン、ポリアミドなどのプラスチック材料、ヒドロキシプロピルセルロースなどの変性セルロース、及び前記バリア材料の少なくとも2つの組合せ、特にブレンド、複合体又は積層体からなる群から選択される。
【0091】
内側容器の壁材料は、外側容器のバリア材料と異なっていてもよい。あるいは、内側容器の壁材料は、外側容器のバリア材料と同じ材料であってもよい。
【0092】
特に、内側容器の壁材料及び外側容器のバリア材料は、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、酸化ケイ素、アルミニウムなどの金属、ダイヤモンドライクカーボンなどの炭素、ポリオレフィン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、フェノキシタイプの熱可塑性材料、フェノキシポリオレフィン、ポリアミドなどのプラスチック材料、ヒドロキシプロピルセルロースなどの変性セルロース、及び前記バリア材料の少なくとも2つの組合せ、特にブレンド、複合体又は積層体からなる群から独立して選択することができる。
【0093】
好ましくは、内側容器は、単層又は多層、特に二層、三層又は四層の壁を有する。より好ましくは、壁の上層又は最上層及び壁の下層又は最下層は、異なる壁材料を含むか、又は異なる壁材料からなる。あるいは、壁の上層又は上層及び壁の下層又は最下層は、同じ壁材料を含んでもよく、又は同じ壁材料からなってもよい。主として、上層又は上層の壁材料及び下層又は最下層の壁材料は、前の段落に開示されるような壁材料から独立して選択されてもよい。より好ましくは、内側容器の壁の上層又は上層は、ポリエチレンなどのポリオレフィンを含むか、又はポリオレフィンからなり、内側容器の壁の下層又は最下層は、ポリエチレンテレフタレートを含むか、又はポリエチレンテレフタレートからなり、又はその逆である。あるいは、内側容器の壁の上層又は上層は、好ましくは、酸化アルミニウムを含むか、又は酸化アルミニウムからなり得、内側容器の壁の下層又は最下層は、好ましくは、酸化ケイ素を含むか、又は酸化ケイ素からなり得るか、又はその逆であり得る。
【0094】
本発明に従って使用されるような内側容器の多層壁の文脈における用語「上層」又は「最上層」は、内側容器の外側に配置される層を指し、特に、上層又は最上層は、コーティング又はフィルムの形態であり得る。本発明に従って使用されるような内側容器の多層壁の文脈における用語「下層」又は「最下層」は、内側容器の内側に配置される層を指す。特に、下層又は最下層は、コーティング又はフィルムの形態であり得る。
【0095】
好ましくは、内側容器の壁材料は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか、又はそれらからなり、外側容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、酸化ケイ素、又はポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンと酸化ケイ素との組み合わせを含むか、又はそれらからなる。
【0096】
さらに、内側容器の壁材料は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか、又はからなり、外側容器のバリア材料は、エチレンビニルアルコールを含むか、又はからなることが好ましい場合がある。
【0097】
さらに、内側容器の壁材料及び外側容器のバリア材料は、酸化ケイ素を含むか、又は酸化ケイ素からなることが好ましい場合がある。
【0098】
さらに、内側容器の壁材料は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレン、ならびに酸化ケイ素を含むか、又はそれらからなり、外側容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁もまた、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレン、及び酸化ケイ素を含むか、又はそれらからなることが好ましい場合がある。
【0099】
さらに、内側容器の壁材料は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか、又はそれらからなり、外側容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、ポリオレフィン、特にポリエチレンテレフタレート及び/又はポリプロピレン、アルミニウム(すなわち元素又は金属アルミニウム)及び酸化アルミニウムを含むか、又はそれらからなることが好ましい場合がある。
【0100】
さらに、内側容器の壁材料はポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンであり、外側容器のバリア材料はダイヤモンドライクカーボンであることが好ましい。
【0101】
本発明のさらなる一実施形態では、内側容器の壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか、又はそれらからなる単層又は多層、特に二層、三層又は四層構造を有し、外側容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレン、ならびに酸化ケイ素を含むか、又はそれらからなる層、特にコーティングを含むか、又はそれらからなる。
【0102】
本発明のさらなる一実施形態では、内側容器の壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか、又はそれらからなる単層又は多層、特に二層、三層又は四層構造を有し、外側容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、エチレンビニルアルコールを含むか、又はエチレンビニルアルコールからなるか、又はそれらからなる。
【0103】
本発明のさらなる一実施形態では、内側容器の壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか又はそれらからなる単層又は多層、特に二層、三層又は四層構造を有し、外側容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレン、及び酸化アルミニウムを含むか又はそれらからなる層、特にコーティングを含むか又はそれらからなる。
【0104】
本発明のさらなる一実施形態では、内側容器の壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか、又はこれらからなる単層又は多層、特に二層又は四層構造を有し、さらに層、特にコーティングを有し、層は、特に酸化ケイ素を含むか、又はこれらからなり、外側容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか、又はこれらからなる単層又は多層、特に二層、三層又は四層構造を有し、層は、さらに、特にコーティングを有し、層は、特にコーティングを有し、層は、特にコーティングは、特に酸化ケイ素を含むか、又はこれらからなる。
【0105】
本発明のさらなる一実施形態では、内側容器の壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか、又はそれからなる単一層又は多層、特に二重層、三層又は四層構造を有し、外側容器の第1側壁は、ポリオレフィン、特にポリエチレンテレフタレート及び/又はポリプロピレンを含み、さらに層を有し、外側容器の第2側壁は、酸化アルミニウムを含むか、又はそれからなる層を有し、特にコーティングは、単一層又は多層、特に二重層、三層又は四層構造を有し、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか、又はそれからなり、さらにアルミニウム(すなわち元素又は金属アルミニウム)の層、特にコーティング又は箔を有する。
【0106】
本発明のさらなる一実施形態では、内側容器の壁は、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含むか又はそれらからなる単層又は多層、特に二層、三層又は四層構造を有し、外側容器の第1の側壁及び/又は第2の側壁は、ダイヤモンドライクカーボンを含むか又はそれらからなる単層又は多層、特に二層、三層又は四層構造を有する。
【0107】
本発明のさらなる一実施形態では、外側容器の第1の側壁は、アルミニウムを含むか、又はそれからなり、外側容器の第2の側壁は、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含むか、又はそれからなり、又はその逆であり、すなわち、外側容器の第1の側壁は、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含むか、又はそれからなり、外側容器の第2の側壁は、アルミニウムを含むか、又はそれからなる。
【0108】
言い換えれば、本発明のさらなる一実施形態によれば、医薬品は、外側容器、好ましくは、モノチャンバ外側容器と、外側容器、好ましくは、モノチャンバ外側容器によって包まれるか又は取り囲まれる内側容器、好ましくは、モノチャンバ内側容器とを含み、外側容器の第1の側壁、好ましくは、モノチャンバ外側容器は、アルミニウムを含むか又はそれからなり、外側容器の第2の側壁、好ましくは、モノチャンバ外側容器は、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含むか又はそれからなり、又はその逆であり、すなわち、外側容器の第1の側壁、好ましくは、モノチャンバ外側容器は、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含むか又はそれからなり、又はそれからなり、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含むか又はそれからなり、外側容器の第2の側壁、好ましくは、モノチャンバ外側容器は、アルミニウムを含むか又はそれからなる。
【0109】
さらに、医薬製品、特に外側容器又は内側容器、好ましくは、内側容器は、水性液体、特に水溶液を空にするための適切な出口、特にポートを有することができる。
【0110】
医薬品の水性液体、特に水溶液は、好ましくは、体液損失、特に細胞外液損失、好ましくは等張脱水の治療に使用するためのものであり、好ましくはアシドーシスが存在するか又は切迫している場合、及び/又は透析治療に使用するためのものである。より好ましくは、医薬品の水性液体、特に水溶液は、ヒトの体液損失の治療に使用するため、及び/又はヒトの透析治療に使用するためのものである。
【0111】
さらに、医薬品の水性液体、特に水溶液は、好ましくは、非経口、特に静脈内投与のために適合又はカスタマイズされる。換言すれば、医薬製品の水性液体、特に水溶液は、好ましくは非経口的に、特に静脈内に投与される。
【0112】
水性液体、特に水溶液は、10mmol/l以上40mmol/l以下、特に20mmol/l以上35mmol/l以下、好ましくは24mmol/l以上35mmol/l以下の重炭酸塩を含有し得る。より好ましくは、水性液体、特に水溶液は、28mmol/lの重炭酸塩を含有する。
【0113】
さらに、水性液体、特に水溶液は、130mmol/l以上150mmol/l以下、特に135mmol/l以上145mmol/l以下を追加的に含有してもよい。
【0114】
さらに、水性液体、特に水溶液は、0mmol/l以上5mmol/l以下、特に0mmol/l以上4mmol/l以下、好ましくは4mmol/lのカリウムを追加的に含有してもよい。
【0115】
さらに、水性液体、特に水溶液は、0mmol/l以上2mmol/l以下、特に0mmol/l以上1.5mmol/l以下のカルシウムを追加的に含有してもよい。特に、水性液体、特に水溶液は、カルシウムを含まなくてもよい。
【0116】
さらに、水性液体、特に水溶液は、付加的に0mmol/l以上2mmol/l以下、特に0mmol/l以上1.5mmol/l以下、好ましくは0.5mmol/l以上1.0mmol/l以下のマグネシウムを含有することができる。
【0117】
さらに、水性液体、特に水溶液は、さらに、90mmol/l以上150mmol/l以下、特に95mmol/l以上125mmol/l以下、好ましくは100mmol/l以上120mmol/l以下の塩化物を含有してもよい。
【0118】
さらに、水性液体、特に水溶液は、好ましくは、酢酸塩及び/又は乳酸塩を含まなくてもよい。
【0119】
さらに、水性液体、特に水溶液は、好ましくはリンゴ酸塩を含まなくてもよい。
【0120】
さらに、水性液体、特に水溶液は、0mmol/l以上30mmol/l以下、特に10mmol/l以上25mmol/l以下、好ましくは15mmol/l以上20mmol/l以下のグルコン酸塩を追加的に含有してもよい。
【0121】
さらに、水性液体、特に水溶液は、0mmol/l以上10mmol/l以下、特に0.0mmol/l以上5mmol/l以下のクエン酸塩を追加的に含有してもよい。特に、水性液体、特に水溶液は、クエン酸塩を含まなくてもよい。
【0122】
さらに、水性液体、特に水溶液は、2mmol/l以下、特に0.1mmol/l以上2mmol/l以下のリン酸塩をさらに含有してもよい。好ましくは、水性液体、特に水溶液は、リン酸塩を含まない。
【0123】
さらに、水性液体、特に水溶液は、0mmol/l以上60mmol/l以下のグルコースをさらに含有してもよい。特に、水性液体、特に水溶液は、グルコースを含まなくてもよい。
【0124】
さらに、水性液体、特に水溶液は、好ましくは、カルシウム、酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、リン酸塩及びグルコースを含まなくてもよい。
【0125】
さらなる実施形態において、水性液体、特に水溶液は、100mmol/l以上150mmol/l以下のナトリウム、0mmol/l以上5mmol/l以下のカリウム、0mmol/l以上2mmol/l以下のカルシウム、0mmol/l以上2mmol/l以下のマグネシウム、90mmol/l以上150mmol/l以下の塩化物、10mmol/l以上40mmol/l以下の重炭酸塩、0mmol/l以上30mmol/l以下のグルコネート、0mmol/l以上10mmol/l以下のクエン酸塩、及び0mmol/l以上60mmol/l以下のグルコースを含有する。
【0126】
好ましくは、水性液体、特に水溶液は、135mmol/l以上145mmol/l以下のナトリウム、0mmol/l以上4mmol/l以下のカリウム、0mmol/l以上1.5mmol/l以下のカルシウム、0mmol/l以上1.5mmol/l以下のマグネシウム、95mmol/l以上125mmol/l以下の塩化物、20mmol/l以上35mmol/l以下の重炭酸塩、10mmol/l以上25mmol/l以下のグルコネート、0mmol/l以上10mmol/l以下のクエン酸塩、及び0mmol/l以上60mmol/l以下のグルコースを含有する。
【0127】
より好ましくは、水性液体、特に水溶液は、135mmol/l以上145mmol/l以下のナトリウム、4mmol/lのカリウム、0.5mmol/l以上1mmol/l以下のカルシウム、0mmol/l以上1.5mmol/l以下のマグネシウム、100mmol/l以上120mmol/l以下の塩化物、24mmol/l以上35mmol/l以下の重炭酸塩、10mmol/l以上25mmol/l以下のグルコネート、0mmol/l以上5mmol/l以下のクエン酸塩、及び0mmol/l以上60mmol/l以下のグルコースを含有する。さらに、水性液体、特に水溶液は、280mmol/l以上310mmol/l以下、特に285mmol/l以上305mmol/l以下、好ましくは290mmol/l以上300mmol/l以下の実験的浸透圧を有し得る。水性液体、特に水溶液の実験的浸透圧は、浸透圧計を用いて凝固点降下によって測定することができる。
【0128】
本発明のさらなる実施形態では、容器、特に外側容器、又はその壁もしくは壁部分、好ましくはその第1の側壁及び/又は第2の側壁、特にその第1の側壁及び/又は第2の側壁のみ、及び/又はその内側容器もしくはその壁もしくは壁部分は、透明及び/又は熱成形可能及び/又はレトルト処理可能である。
【0129】
本発明のさらなる実施形態では、医薬品は、特にオートクレーブ処理によって、最終的又は熱的に滅菌される。
【0130】
本発明のさらなる特徴及び利点は、従属請求項の主題と併せて、図面、図の説明及び実施例の形態での好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。個々の特徴は、本発明の一実施形態において、単独で、又は組み合わせて個別に実現することができる。好ましい実施形態は、単に、本発明の例示及びより良好な理解のために役立つにすぎず、いかなる形でも本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0131】
図面は、以下を概略的に示す:
【
図1】本発明による医薬品の実施形態の上面図である。
【
図3】本発明による医薬品のさらなる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0132】
図1は、本発明による医薬品10の実施形態の上面図を概略的に示す。
【0133】
医薬品10は、外側容器14及び内側容器17を含む。内側容器17は、外側容器14によって、特に完全に、かつ直ちに、包まれるか、又は取り囲まれる。内側容器17は、重炭酸塩を含有する水性液体、特に水溶液12を含有する。
【0134】
さらに、外側容器14及び内側容器17の双方は、好ましくは、モノチャンバ容器、特に、可撓性モノチャンバ容器の形態である。
【0135】
外側容器14は、第1の側壁15a及び第2の側壁15bを備える(
図2も参照されたい。)。好ましくは、第1の側壁15a及び第2の側壁15bの双方は、バリア材料を含むか、又はバリア材料からなる。より好ましくは、第1の側壁15a及び第2の側壁15bは、異なるバリア材料を含んでもよく、又は異なるバリア材料からなってもよい。あるいは、第1の側壁15a及び第2の側壁15bは、同じバリア材料を含んでもよく、又は同じバリア材料からなってもよい。
【0136】
容器14の第1の側壁15a及び第2の側壁15bは、好ましくは、互いに対向して、特に壁厚方向に配置される。より好ましくは、第1の側壁15a及び第2の側壁15bは、縁部で接続され、特に好ましくは凝集的に接続され、例えば接合され、接着され、又は溶着され、それによって貯蔵容積又は貯蔵キャビティ13を形成する。貯蔵容積及び貯蔵キャビティ13は、それぞれ、内部容器17を貯蔵するように適合されている。
【0137】
好ましくは、バリア材料は、水気透過率≦3.0gm-2日-1及び/又は酸素透過率≦0.5gm-2日-1を有する。
【0138】
さらに、第1の側壁15a及び/又は第2の側壁15bは、多層構造、特に二層構造、三層構造、又は四層構造を有することができ、構造の上層又は上層及び構造の下層又は最下層は、好ましくは、バリア材料に関して互いに異なることができる。
【0139】
内側容器17は壁18を有する。壁18は、バリア材料とは異なる壁材料を含んでもよく、又は壁材料からなってもよい。あるいは、壁材料は、(本発明の範囲内で)バリア材料を含んでもよく、又はバリア材料からなってもよい。さらに、内側容器17の壁18も、上層又は上層及び下層又は最下層を含む多層構造、特に二層構造、三層構造又は四層構造を有することができる。好ましくは、構造の上層又は最上層及び構造の下層又は最下層は、壁材料の点で互いに異なる。
【0140】
より好ましくは、外側容器14の多層、特に二層、三層又は四層の第1の側壁15aの場合、第1の側壁15aの上層又は上層は、酸化アルミニウムを含むか又はそれからなり、第1の側壁15aの下層又は最下層は、酸化ケイ素を含むか又はそれからなり、あるいはその逆である。さらに、外側容器14の第2の側壁15bは、アルミニウムを含むか、又はアルミニウムからなることが好ましい。内側容器17の壁18は、好ましくは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又はそれらの組み合わせ、特にブレンド、複合体又は積層体などのポリオレフィンを含むか、又はそれらからなる。好ましくは、内部容器17の多層壁、特に二層壁、三層壁又は四層壁18の場合、壁18の上層又は頂層はポリエチレンのようなポリオレフィンを含むか又はそれからなり、壁18の下層又は最下層はポリエチレンテレフタレートを含むか又はそれからなり、又はその逆である。あるいは、壁18の上層又は上層が酸化アルミニウムを含むか、又は酸化アルミニウムからなり、壁18の下層又は最下層が酸化ケイ素を含むか、又は酸化ケイ素からなるか、又はその逆であることが好ましい場合がある。
【0141】
あるいは、外側容器14の第1の側壁15a及び第2の側壁15bの双方が、酸化アルミニウム及び/又は酸化ケイ素を含むか、又はそれらからなってもよい。特に、多層、特に2層、3層又は4層の第1の側壁15a及び多層、特に2層、3層又は4層の第2の側壁15bの場合、第1の側壁15a及び第2の側壁15bの双方の上層又は上層は、酸化アルミニウムを含むか、又は酸化アルミニウムからなり、第1の壁15a及び第2の壁15bの双方の下層又は最下層は、酸化ケイ素を含むか、又は酸化ケイ素からなり、又はその逆であってもよい。内側容器17の壁18は、好ましくは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又はそれらの組み合わせ、特にブレンド、複合体又は積層体などのポリオレフィンを含むか、又はそれらからなる。好ましくは、内部容器17の多層壁、特に二層壁、三層壁又は四層壁18の場合、壁18の上層又は頂層はポリエチレンのようなポリオレフィンを含むか又はそれからなり、壁18の下層又は最下層はポリエチレンテレフタレートを含むか又はそれからなり、又はその逆である。あるいは、壁18の上層又は上層が酸化アルミニウムを含むか、又は酸化アルミニウムからなり、壁18の下層又は最下層が酸化ケイ素を含むか、又は酸化ケイ素からなるか、又はその逆であることが好ましい場合がある。
【0142】
あるいは、外側容器14の第1の側壁15a及び第2の側壁15bの双方は、好ましくは、ダイヤモンドライクカーボンを含むか、又はダイヤモンドライクカーボンからなる。内側容器17の壁18は、好ましくは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又はそれらの組み合わせ、特にブレンド、複合体又は積層体などのポリオレフィンを含むか、又はそれらからなる。好ましくは、内部容器17の多層壁、特に二層壁、三層壁又は四層壁18の場合、壁18の上層又は頂層はポリエチレンのようなポリオレフィンを含むか又はそれからなり、壁18の下層又は最下層はポリエチレンテレフタレートを含むか又はそれからなり、又はその逆である。
【0143】
さらに、内側容器17は、水性液体、特に水溶液12を容器17から排出するためのポート16を備えることができる。
【0144】
好ましくは、水性液体、特に水溶液12は、100mmol/l以上150mmol/l以下のナトリウム、0mmol/l以上5mmol/l以下のカリウム、0mmol/l以上2mmol/l以下のカルシウム、0mmol/l以上2mmol/l以下のマグネシウム、90mmol/l以上150mmol/l以下の塩化物、25mmol/l以上32mmol/l以下の重炭酸塩、0mmol/l以上30mmol/l以下のグルコネート、0mmol/l以上10mmol/l以下のクエン酸塩、0mmol/l以上2mmol/l以下のリン酸塩及び0mmol/l以上60mmol/l以下のグルコースを含有する。
【0145】
さらに、水性液体、特に水溶液12は、6.5以上7.8以下、特に6.8以上7.6以下、好ましくは7.0以上7.5以下のpH値を有することができる。これらのpH値は、血漿の生理的pH値を表すという利点を有する。
【0146】
医薬品10は、特に内側容器17のポート16の二酸化炭素透過性材料によって引き起こされる、外側容器14からの、したがって医薬品10からの二酸化炭素の拡散又は漏出、及び/又は外側容器14内への、したがって医薬品10内への二酸化炭素の取り込みが、有利に回避され得るか、又は少なくとも遅延され得るという利点を有する。これは、水性流体、特に水溶液12の安定性をさらに増大させる。
【0147】
図3は、本発明による医薬品10のさらなる実施例を概略的に示す。
【0148】
医薬品10は、単一の、すなわちただ1つの容器14と、水性液体、特に重炭酸塩を含有する水溶液12とを含む。容器14は、第1の側壁15a及び第2の側壁15bを含む。第1の側壁15a及び第2の側壁15bの双方は、バリア材料を含む。より具体的には、第1の側壁15a及び第2の側壁15bは、同じバリア材料を含んでもよく、又はそれからなってもよく、又は異なるバリア材料を含んでもよく、又はそれからなってもよい。
【0149】
このバリア材料は、好ましくは、3.0gm-2日-1以下の水気透過率及び/又は0.5gm-2日-1以下の酸素透過率を有する。
【0150】
容器14は、水性液体、特に水溶液12が、第1の側壁15a及び第2の側壁15bによって、特に完全に、かつ直ちに取り囲まれるか、又は包まれる、モノチャンバ容器として成形又は形成される。
【0151】
バリア材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ダイヤモンドライクカーボンなどの炭素、アルミニウム、又はエチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、又はポリアミドなどの適切なプラスチック材料、特に「ナイロン-MXD6」の表記で市販されているポリアミドであることが好ましい。
【0152】
さらに、容器14は、容器14の中から水性液体、特に水溶液12を空にするためのポート16を含むことができる。
【0153】
バリア材料により、容器14からの二酸化炭素の拡散又は漏出、及び/又は容器14への二酸化炭素の取り込みを回避することができる。従って、水性液体、特に水溶液12中の沈殿及び/又は(他の)目に見える粒子の形成を回避することができ、そうでなければその安定性を損なう可能性がある。
【0154】
図3に示すような医薬品10のさらなる特徴及び利点に関して、
図1及び
図2の説明を参照されたい。
【0155】
【実施例1】
【0156】
式1によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルターを通して濾過し、次いで、多層ポリオレフィン材料(Sealed Air製のCryovac(登録商標))から構成される一次プラスチック容器中に充填し、この後者を、二次容器中に挿入し、そして密封し、ここで、両側壁のプラスチックフィルムは、酸化ケイ素コーティングを含むポリプロピレンベースの材料である。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0157】
【0158】
【0159】
【実施例2】
【0160】
式1によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物を、Sartorius製の.2μmフィルター上で濾過し、次いで、多層ポリオレフィン材料(Sealed Air製のCryovac(登録商標))から構成される一次プラスチック容器中に充填し、この後者を、二次容器中に挿入し、そして密封し、ここで、両側壁のプラスチックフィルムは、EVOHベースの材料である。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0161】
【0162】
【実施例3】
【0163】
式1によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルターを通して濾過し、次いで、多層ポリオレフィン材料(Sealed Air製のCryovac(登録商標))から構成される一次プラスチック容器中に充填し、この後者を、二次容器中に挿入し、そして密封し、ここで、両側壁のプラスチックフィルムは、酸化アルミニウムコーティング(APP127 PolyCine GmbH)を含むポリプロピレンベースの材料である。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0164】
【0165】
【実施例4】
【0166】
(比較例)
式1によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルターを通して濾過し、次いで、多層ポリオレフィン材料から構成される一次プラスチック容器に充填し、この後者を、両壁面のプラスチックフィルムが多層ポリプロピレンベース材料である、予め熱成形された二次フィルムに挿入し、密封する。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0167】
【実施例5】
【0168】
式2によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製し、混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルターを通して濾過し、次いで、多層ポリオレフィン材料(Sealed Air製のCryovac(登録商標))から構成される一次プラスチック容器中に充填し、この後者を、二次容器中に挿入し、そして密封し、ここで、両側壁のプラスチックフィルムは、酸化ケイ素コーティングを含むポリプロピレンベースの材料である。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0169】
【実施例6】
【0170】
式2によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。この混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルターを通して濾過し、次いで、酸化ケイ素コーティングを含む多層ポリプロピレンベースの材料から構成される一次プラスチック容器に充填する。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0171】
【実施例7】
【0172】
式2によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルターを通して濾過し、次いで、酸化ケイ素コーティングを含む多層ポリプロピレンベースの材料から構成される一次プラスチック容器に充填し、この後者を、二次容器に挿入し、そして密封し、ここで、両側壁のプラスチックフィルムは、酸化ケイ素コーティングを含む多層ポリプロピレンベースの材料である。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0173】
【実施例8】
【0174】
式3に従うバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルターを通して濾過し、次いで、多層ポリオレフィン材料(Sealed Air製のCryovac(登録商標))から構成される一次プラスチック容器中に充填し、この後者を、二次容器中に挿入し、そして密封し、ここで、両側壁のプラスチックフィルムは、酸化ケイ素コーティングを含むポリプロピレンベースの材料である。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0175】
【実施例9】
【0176】
式4によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルターを通して濾過し、次いで、多層ポリオレフィン材料(Sealed Air製のCryovac(登録商標))から構成される一次プラスチック容器中に充填し、この後者を、二次容器中に挿入し、そして密封し、ここで、両側壁のプラスチックフィルムは、酸化ケイ素コーティングを含むポリプロピレンベースの材料である。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0177】
【実施例10】
【0178】
(比較例)
式1によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルターを通して濾過し、次いで、ポリエチレン材料の単層から構成される一次プラスチック容器に充填する。システム全体を、少なくとも8分間、111℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0179】
【実施例11】
【0180】
式1によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルター上で濾過し、次いで、低密度ポリエチレン及びRommelag(登録商標)製のEVOH中間層を含有する多層層材料から構成される一次プラスチック容器に充填する。システム全体を、少なくとも8分間、111℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0181】
【実施例12】
【0182】
式1によるバルク溶液を、二酸化炭素を添加することによって行われるpH調整を伴う容器中で25℃で調製する。混合物をSartorius製の0.2μmフィルター上で濾過し、次いで多層ポリオレフィン材料(Sealed Air製のCryovac(登録商標))から構成される一次プラスチック容器中に充填し、この後者を二次容器中に挿入し、そして密封し、ここで、第1の壁側は、酸化アルミニウムコーティングを有するポリエチレンテレフタレート及びポリプロピレン材料であり、そして第2の壁側は、アルミニウム箔を含む多層ポリプロピレン材料である。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0183】
【実施例13】
【0184】
式1によるバルク溶液を、25℃で、二酸化炭素を添加することによって行われる容器中で調製し、この混合物を、Sartorius製の0.2μmフィルター上で濾過し、次いで、多層ポリオレフィン材料(Sealed Air製のCryovac(登録商標))から構成される一次プラスチック容器中に充填し、この後者を、二次容器中に挿入し、そして密封し、ここで、両壁面のプラスチックフィルムは、多層ダイヤモンドライクカーボンベース材料である。システム全体を、少なくとも15分間、121℃でオートクレーブすることによって滅菌する。
【0185】