(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】逆流反応器におけるCO2回収による酸素燃焼
(51)【国際特許分類】
C01B 3/38 20060101AFI20241205BHJP
B01D 53/047 20060101ALI20241205BHJP
C01B 3/48 20060101ALI20241205BHJP
F24V 30/00 20180101ALI20241205BHJP
【FI】
C01B3/38
B01D53/047
C01B3/48
F24V30/00 301
(21)【出願番号】P 2021559068
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2020026424
(87)【国際公開番号】W WO2020206145
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523025539
【氏名又は名称】エクソンモービル テクノロジー アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】オニール,エベレット ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワイス,ブライアン エム
(72)【発明者】
【氏名】スコウリダス,アナスタシオス アイ
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第00947164(GB,A)
【文献】米国特許第04200682(US,A)
【文献】特表2013-504421(JP,A)
【文献】特表2005-530673(JP,A)
【文献】特表2007-524556(JP,A)
【文献】特表2008-544943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/38
B01D 53/047
C01B 3/48
F24V 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸熱反応を実行する方法であって、
逆流反応器を含む反応器内の燃焼領域において、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル又はその組合せを含む金属酸化物系、及び酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム又はその組合せを含むバインダーを含む酸素貯蔵成分に酸素含有流を暴露し、酸化された酸素貯蔵成分を形成すること;
燃焼条件下で、燃料流及び作業流体を含み、20体積%以上のCO
2を含む燃料混合物を、前記酸化された酸素貯蔵成分と反応させて、燃焼ガスを形成し、反応領域中の1つ又はそれ以上の表面を600℃以上の再生された表面温度まで加熱すること;
前記燃焼ガスの少なくとも一部分をリサイクルして、前記作業流体の少なくとも一部分を形成すること;並びに
前記再生された表面温度において、吸熱試薬流を前記反応領域の1つ又はそれ以上の表面に暴露して、吸熱生成物流を形成すること
を含み、前記反応領域中の前記吸熱試薬流の流れ方向が前記燃料混合物の流れ方向に対して逆である方法。
【請求項2】
前記酸素貯蔵成分が、前記酸素貯蔵成分の重量に対して20重量%~80重量%の前記バインダーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸熱試薬流がH
2Oを含み、且つ前記吸熱生成物流が、前記吸熱試薬流の温度より高温のH
2Oを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記吸熱生成物流が吸熱反応生成物流を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又はそれ以上の表面が触媒組成物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ又はそれ以上の表面の少なくとも一部分が前記燃焼領域にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記吸熱試薬流が炭化水素を含み、前記吸熱生成物流が改質流出物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記改質流出物を水性ガスシフト反応条件に暴露して、シフトされた合成ガス生成物流を形成すること;及び圧力のスイング吸着によって前記シフトされた合成ガス生成物流を分離して、H
2含有流及びCO
2を含む流れを形成することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記燃料混合物は、前記CO
2を含む流れの少なくとも一部分を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記燃焼ガスの少なくとも一部分をリサイクルして、前記作業流体の少なくとも一部分を形成することが、前記燃焼ガスを分離して、少なくともCO
2含有流及び前記作業流体の少なくとも一部分を形成することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記燃焼条件が0.5MPa-g~7.0MPa-gの燃焼圧力を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
酸素貯蔵条件は、酸素貯蔵圧力を含み、前記燃焼圧力との差が3.0MPa以下である、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記燃料混合物を反応させた後、及び前記1つ又はそれ以上の表面を前記吸熱試薬に暴露する前に、前記酸素貯蔵成分を補足酸素含有流に暴露することをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記酸素含有流を前記酸素貯蔵成分に暴露することが、空気を前記酸素貯蔵成分に暴露して、欠乏空気流を形成することを含み、前記方法が、前記欠乏空気流をタービンの燃焼領域に通過させることをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記欠乏空気流は、12体積%~16体積%のO
2を含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記作業流体が25体積%以上のCO
2を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
反応器入口端部と、再生器入口端部と、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル又はその組合せを含む金属酸化物系、及び酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム又はその組合せを含むバインダーを含む酸素貯蔵成分を含む再生領域とを含む反応器;並びに前記反応器入口端部と前記再生器入口との間で断続的な流体連通を提供するリサイクルループを含む逆流反応器システムであって、前記リサイクルループが、リサイクル圧縮器、燃料源入口、酸素含有ガス入口及びCO
2含有ガス出口を含む、逆流反応器システム。
【請求項18】
前記酸素貯蔵成分が、前記酸素貯蔵成分の重量に対して20重量%~80重量%の前記バインダーを含む、請求項17に記載の逆流反応器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆流反応器の作動の間に生じるCO2の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
逆流反応器は、サイクル反応条件のプロセスにおいて使用するために有益である反応器の種類の一例である。例えば、改質反応の吸熱性のため、一貫した基準上で改質反応環境に追加的な熱を導入する必要がある。逆流反応器は、反応環境に熱を導入するための効率的な様式を提供することが可能である。改質又は別の吸熱反応のために使用される反応サイクルの一部分の後に、次の改質ステップに備えて反応環境に熱を加えるための燃焼又は別の発熱反応のための反応サイクルの第2の部分を使用することが可能である。特許文献1及び特許文献2は、サイクル反応環境において種々の吸熱プロセスを実行するための逆流反応器を使用することの例を提供する。
【0003】
吸熱反応のために逆流反応器を使用することのいくつかの利点は、高温での作動の間の逆流反応器の効率に関連する。作動の間、逆流反応器の伝熱表面は、反応器内で燃焼を実行することによって加熱され、次いで、作業流体を使用して、反応器伝熱表面に熱を分布させる。伝熱表面のこの直接的な加熱によって、800℃以上などの比較的高い温度までの効率的な加熱が可能になる。
【0004】
多くの種類の吸熱反応を実行することに関する問題点の1つは、吸熱反応のために熱を提供するために、実質的な量のCO2も生じることである。そのような反応の熱必要条件は、望ましい反応率を達成するために高温環境で吸熱反応を実行することの必要性によって、しばしば増加する。反応環境に熱を提供するために生じるCO2は、吸熱反応自体によって生じる任意のCO2に加えて、炭化水素改質の一部として生じるCO2などでもある。このCO2生成を減少、最小化及び/又は緩和することができる逆流反応器を作動させるシステム及び/又は方法を有することが望ましい。
【0005】
発電環境において、従来の燃料の燃焼の代わりに化学ループ反応器が提供する。特許文献3には、化学ループ燃焼発電プラントシステムが記載される。このシステムは、酸素の供給源として空気を使用することとは対照的に、酸素のための燃焼供給源として金属酸化物を使用して燃料を燃焼することが可能であるものとして記載される。燃料の燃焼によって、金属酸化物の一部分が金属に変換される。次いで、金属を第2の反応器に移すことが可能であり、そこで、金属は空気と接触し、金属酸化物が再生される。蒸気の形態などで、燃焼反応及び再生反応の両方からの熱放出を回復することができる。
【0006】
特許文献4には、別の種類の化学ループ反応器システムが記載される。酸素のみを使用して金属を再生する代わりに、金属の少なくとも一部分は、水を使用して金属酸化物に変換される。これによって、H2の生成がもたらされる。金属から金属酸化物への変換の間に生じるH2は、次いで、燃料電池の燃料として使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第7,815,873号明細書
【文献】米国特許第8,754,276号明細書
【文献】米国特許第5,447,024号明細書
【文献】米国特許第7,767,191号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一態様において、吸熱反応を実行する方法が提供される。本方法は、逆流反応器などの反応器内の燃焼領域において酸素含有流を酸素貯蔵成分に暴露し、酸化された酸素貯蔵成分を形成することを含む。酸素貯蔵成分は、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル又はその組合せを含む金属酸化物系を含むことができる。酸素貯蔵成分は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム又はその組合せを含むバインダーをさらに含むことができる。任意選択的に、バインダーは、酸素貯蔵成分の重量に対して、酸素貯蔵成分の20重量%~80重量%に相当することができる。本方法は、燃焼条件下で、燃料流及び作業流体を含む燃料混合物を、酸化された酸素貯蔵成分と反応させて、燃焼ガスを形成し、反応領域中の1つ又はそれ以上の表面を600℃以上の再生された表面温度まで加熱することをさらに含むことができる。燃料混合物は、20体積%以上のCO2を含むことができる。本方法は、燃焼ガスの少なくとも一部分をリサイクルして、作業流体の少なくとも一部分を形成することをさらに含むことができる。その上、本方法は、再生された表面温度において、吸熱試薬流を反応領域の1つ又はそれ以上の表面に暴露して、吸熱生成物流を形成することを含むことができる。この時、反応領域中の吸熱試薬流の流れ方向が燃料混合物の流れ方向に対して逆である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
吸熱試薬流の一例は、H2Oであることが可能である。そのような態様において、吸熱生成物流は、より高温においてH2Oに相当することが可能である。別の例としては、吸熱試薬流は、メタンなどの炭化水素に相当することが可能であり、そして吸熱生成物流は改質流出物に相当することが可能である。
【0010】
別の態様において、逆流反応器システムが提供される。逆流反応器システムは、反応器入口端部と、再生器入口端部と、酸素貯蔵成分を含む再生領域とを含む反応器を含むことが可能である。酸素貯蔵成分は、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル又はその組合せを含む金属酸化物系、及び酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム又はその組合せを含むバインダーを含むことができる。任意選択的に、バインダーは、酸素貯蔵成分の重量に対して、酸素貯蔵成分の20重量%~80重量%に相当することが可能である。反応器システムは、反応器入口端部と再生器入口との間で断続的な流体連通を提供するリサイクルループをさらに含むことが可能であり、リサイクルループは、リサイクル圧縮器、燃料源入口、酸素含有ガス入口及びCO2含有ガス出口を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】酸素燃焼を使用して、逆流反応器に熱を提供するための構成の一例を示す。
【
図2】酸素燃焼を使用して、逆流反応器に熱を提供するための構成の別の例を示す。
【
図3】補足的酸素貯蔵ステップによって作動される場合の反応サイクル内での種々の段階における反応器内の温度プロファイルを示す。
【
図4】逆流反応器中での蒸気改質のための反応サイクルの間の再生ガス流速及び相当する温度プロファイルを示す。
【
図5】再生の間の種々の希釈ガス組成物による逆流反応器中での蒸気改質の間のサイクル時間に対するメタン変換を示す。
【
図7】酸素燃焼サイクルによって少なくとも部分的に加熱される逆流反応器の温度プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書中の詳細な説明及び請求の範囲内の全ての数値は、示された値が「約(about)」又は「およそ(approximately)」によって修飾され、当業者によって予期される実験誤差及び変動が考慮される。
【0013】
概要
種々の態様において、逆流反応器環境内で熱を提供するために酸素燃焼を使用するためのシステム及び方法が提供される。酸素燃焼のための酸素は、反応器中の酸素貯蔵成分に貯蔵される酸素によって提供されることが可能である。再生ステップの間に燃焼のための酸素を提供するために、酸素貯蔵成分を使用することによって、希釈剤の追加を減少又は最小化しながら、そして空気分離ユニットの必要性を回避しながら、逆流反応器に熱を加えることができる。その結果として、(空気分離ユニットを使用することなどによって)実質的に純粋な酸素含有ガス流を作成することの追加的な費用を必要とすることなく、CO2及び/又はH2Oから実質的に構成される再生燃焼ガスを形成することができる。
【0014】
いくつかの態様において、逆流反応器は、600℃以上又は800℃以上などの高温で反応を実行するために適切な反応環境を提供することができる。予想外であることに、限定数の酸化物系が、逆流反応器環境において酸素燃焼を実行するために適切であるということが発見された。いずれかの特定の理論に束縛されることなく、これは、酸素貯蔵材料として使用される金属酸化物の種類、並びに反応環境において酸素貯蔵材料を安定させるために使用されるいずれかの任意選択的なバインダーの両方に関する制限によると考えられている。逆流反応器中の反応環境の性質に基づき、適切な酸素貯蔵材料は酸化マンガンを含むことができ、適切なバインダー材料は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム及び酸化イットリウムを含むことができる。
【0015】
逆流反応器の再生ステップの従来の作動の間、燃料は、燃焼領域内で酸素含有流の存在下で燃焼される。燃焼領域から反応器の他の部分まで熱を輸送するために、ガスの十分な体積を持っているために、希釈剤又は作業流体が反応環境に含まれることが可能である。従来は、窒素の実質的な部分が燃焼ガス中に含まれるように、希釈剤は酸素含有流として空気を使用することによって提供された。これによって、再生環境に希釈剤を添加する都合のよい方法が提供されるが、再生の間に生じる燃焼ガスは窒素の実質的な部分を含む。これは、燃焼ガス中のCO2が相対的に希薄であり、したがって、使用可能な流れ及び/又は分離のために適切な流れに燃焼ガス中のCO2を変換するための費用が増加することを意味する。
【0016】
種々の態様において、逆流反応器の従来の作動に関する上記の課題の1つ以上は、再生ステップの間に熱を提供するために酸素燃焼を使用することによって減少、最小化、又は緩和することができる。酸素燃焼を使用して熱を提供するために、逆流反応器内の1つ又はそれ以上の表面は、適切なバインダーと一緒に酸化マンガンなどの酸素貯蔵材料を含むことができる。酸素燃焼を実行する前に、酸素貯蔵材料に酸素を装填するために、酸素貯蔵ステップの間に、空気又は別の酸素含有流のフローを反応器に通過させることができる。これによって窒素が逆流反応器に導入されるが、酸素貯蔵材料の装填の間にCO2は実質的に形成されない。したがって、窒素は、空気から構成される他のいずれの流れとも類似の様式で、反応器から排出させることができる。酸素貯蔵材料を装填した後、次いで、熱輸送のための作業流体と一緒に燃料を反応器に導入することができる。貯蔵された酸素に燃料を暴露することによって、燃焼が生じる。CO2及び/又はH2Oを実質的に含有する作業流体を選択することによって、再生の間に生じる燃焼生成物と作業流体との組合せは、CO2及びH2Oの比較的高純度の燃焼ガスに相当することが可能である。H2OをCO2から分離することによって、プロセスインプットとしてCO2を含む種々の適用のために貯蔵及び/又は使用可能な高純度CO2含有流を形成することができる。
【0017】
再生の間に熱を提供するために酸素燃焼を使用することによって、逆流反応器の作動に他の変化をもたらすことを促進することができる。例えば、CO2及びH2Oは、比較的高い熱容量を有するガスである。再生の間に作業流体などの高熱容量のガスを使用することによって、必要とされる作業流体の体積を実質的に減少することができる。これによって、1000psig以上又は2000psig以上の圧力などのより高い圧力で再生を実行することが可能となる。これによって、その後のCO2の回収及び使用を促進することが可能である。さらに別の変化は、改質の間に生じる酸化炭素が、高圧、CO2エンリッチド流にも組み込まれるように、再生のための燃料の一部として改質生成物から分離されるテールガスを使用することを含むことが可能である。
【0018】
いくつかの態様において、逆流反応器に熱を提供するために酸素燃焼を使用することによって、インプットフローとして空気を使用する他のプロセスとの集積化のための機会を提供することもできる。例えば、ガスタービンは、空気によって提供されるよりも少ない酸素をしばしば必要とする。その代わりに、タービンでの燃焼は、過度の熱がいずれの位置においても生じないように制限される。逆流反応器のための酸素貯蔵ステップからの排ガスフローは、典型的に空気中で見られる約21体積%の代わりに、約15体積%のO2を含有する部分的に欠乏(depleted)空気流に相当する。この部分的に欠乏空気流は、ガスタービン燃焼環境のための酸素含有ガスとして使用するために適切であるために十分な酸素を有する。
【0019】
この議論において、特に明記されない限り、反応領域内の温度の説明は、再生ステップの終了時に反応領域において最大温度が生じる位置で測定される温度に相当する。再生ステップの終了時の反応領域における最大温度の位置は、典型的に反応領域と復熱領域との間の境界又はその付近である。反応領域と復熱領域との間の境界は、吸熱反応のための触媒が反応器中で開始する位置として定義される。
【0020】
この議論において、特に明記されない限り、全ての体積比は、比率の量が標準温度及び圧力(20℃、100kPa)における体積に基づいて示される体積比に相当する。これによって、比較される2つの燃焼ガス体積が異なる温度及び圧力で存在し得るとしても、体積比率を一貫して明示することが可能となる。反応器中に供給される燃焼ガスに関して体積比が示される場合、標準条件下の単位時間の間のガスの相当する流速を比較のために使用することが可能である。
【0021】
逆流反応器中の酸素貯蔵
逆流反応器の再生の間に熱を提供するために酸素燃焼を実行することは、一般に複数の反応器を必要とする。1つの反応器(又は第1の複数の反応器)は、酸素貯蔵成分(金属酸化物)がアノード排気ガス流のH2及びCOなどの燃料の酸化(燃焼)のための酸化体として使用される再生ステップ中の反応器に相当することが可能である。第2の反応器(又は第2の複数の反応器)は、欠乏した酸素貯蔵成分(還元された金属酸化物)が酸素に暴露され、金属酸化物のより高い酸化状態の形態に戻って酸素貯蔵成分の酸化/変換を可能にする酸素貯蔵ステップ中の反応器に相当することが可能である。第3の反応器(又は第3の複数の反応器)は、酸素燃焼/再生ステップの間に反応器に添加される熱を使用する吸熱反応が生じる反応器に相当することが可能である。
【0022】
酸素貯蔵成分は、反応器の燃焼領域において、逆流反応器中に組み込まれることが可能である。いくつかの態様において、酸素貯蔵成分及び吸熱反応のための触媒が反応器の同一領域又は部分内に存在するように、燃焼領域の少なくとも一部分は反応領域と重なり合うことが可能である。作業流体は、燃焼領域で生じる熱を、酸素貯蔵成分を含まない反応領域のいずれかの追加的な部分などの反応器の他の部分に伝達することを援助するために使用される。
【0023】
酸素貯蔵成分は、金属酸化物系及びバインダーを含むことができる。酸素貯蔵成分として使用される金属酸化物系は、従来から酸素貯蔵性能を有する、いずれの都合のよい酸化物系にも相当することが可能である。金属酸化物系は、金属酸化物の酸化状態の還元(酸素の放出)、続いて、金属酸化物の初期状態を再生するための金属酸化物の酸化(酸素添加)によって燃料の酸化を促進することができる、いずれの都合のよい金属酸化物にも相当することが可能である。酸素貯蔵性能を有する金属酸化物系の例としては、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、及び酸化ニッケルを含むが、これに限定されるものではない。
【0024】
逆流反応器環境において、酸素貯蔵成分を使用することによる問題点のその1つは、金属酸化物系の構造安定性の維持であることが分かっている。構造安定性を改善するために、バインダーと一緒に粒子中に金属酸化物系を配合することなどによって、酸素貯蔵成分はバインダーをさらに含むことができる。適切なバインダーは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム又は酸化イットリウムを含有するバインダーに相当することができる。これは、酸素貯蔵成分として作用する金属酸化物系の能力を減少又は最小化する可能性のある他の耐火性バインダーとは対照的である。酸素貯蔵成分の貯蔵容量を減少又は最小化する他の耐火性バインダーとしては、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化チタン又は酸化ジルコニウムを含有するバインダーが含まれる。2種以上の酸化物がバインダー中に含まれる態様において、バインダーの50重量%以上は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム又は酸化イットリウムに相当することが可能である。バインダーは、酸素貯蔵成分の重量に対して、酸素貯蔵成分の20重量%~80重量%に相当することが可能である。
【0025】
いずれかの特定の理論に束縛されることはなく、逆流反応器環境において生じる高温と、温度における大きな変動との組合せは、酸素貯蔵成分の構造安定性を維持することの問題点に寄与する可能性があると考えられる。特に、高温における温度のより大きい変動によって、酸素貯蔵成分の酸化物が熱伸長及び収縮の多数のサイクルを受けることになる可能性がある。反応器の所望の燃焼領域中に酸素貯蔵成分を配置するために、酸素貯蔵成分は、(モノリスの1つ又はそれ以上の表面などの)反応器中の1つ又はそれ以上の表面上に堆積される。これによって、表面上に堆積された酸素貯蔵成分が剥離するか、又は他の様式で表面から分離することになる可能性がある。次いで、反応器を通過する周期的なガスフローによって、分離した酸素貯蔵成分粒子は、系から、又は少なくとも所望の燃焼領域から押し出される可能性がある。適切なバインダーの使用によって、熱伸長及び収縮が生じる量を減少又は最小化することができ、したがって、反応器内の表面からの結合した酸素貯蔵成分の剥離/分離を最小化又は回避することができると考えられる。
【0026】
なお、従来から、より広範囲の材料を酸素貯蔵成分として使用することができる。例えば、化学ループ反応器環境において、酸素貯蔵成分として有効であることが知られている。しかしながら、逆流反応器作動環境において、(バインダーの有無にかかわらず)酸化スズが、サイクルの初期の間だけ酸素貯蔵成分として機能することが可能であることが発見された。酸素燃焼サイクルを実行した数日後、酸化スズは揮発し、したがって、酸素貯蔵成分としてのさらなる使用は不可能である。
【0027】
酸素貯蔵成分は、少なくとも2つの酸化状態で存在することができる。第1の酸化状態は追加的な酸素が存在する酸化状態に相当することが可能であり、第2の酸化状態は還元状態に相当することが可能である。酸素貯蔵温度及び酸素貯蔵圧力を含む条件などの酸素貯蔵条件下で(空気からのO2などの)O2に金属酸化物を暴露することによって、還元状態を酸化状態に変換することが可能である。次いで、例えば、酸素燃焼条件下で酸素貯蔵成分に燃料を暴露することによって、酸化状態を還元状態に変換することができる。酸素貯蔵温度は約400℃~1200℃又は400℃~800℃であることが可能である。酸素貯蔵圧力に関しては、様々な圧力が適切となることが可能である。一般に、酸素貯蔵のために、0.1MPa-a~30MPa-aのいずれの都合のよい圧力でも使用可能である。いくつかの態様において、酸素貯蔵圧力は、再生ステップの間の圧力と5.0MPa以下、又は3.0MPa以下で異なることが可能である。いくつかの態様において、酸素貯蔵圧力は、5.0MPa-a~30MPa-a、又は5.0MPa-a~22MPa-a、又は5.0MPa-a~16MPa-a、又は10MPa-a~30MPa-a、又は10MPa-a~22MPa-a、又は10MPa-a~16MPa-aであることが可能である。
【0028】
典型的に、酸素貯蔵ステップは、再生ステップを実行する前に実行される。再生の間に実行される燃焼により、酸素貯蔵成分中の反応のために利用可能な酸素の量は、再生後に減少又は最小化することが可能である。これによって、酸素貯蔵成分中の貯蔵酸素と、吸熱反応ステップにおける試薬との間の相互作用の量を減少又は最小化することが可能である。例えば、吸熱反応ステップが炭化水素改質に相当する場合、利用可能な酸素が酸素貯蔵成分中に存在するならば、改質のための炭化水素は燃焼に影響されやすい。
【0029】
いくつかの態様において、貯蔵された酸素と、吸熱反応のための試薬との間の相互作用の懸念が減少する。例えば、吸熱反応が蒸気生成に相当する場合、蒸気は燃焼に影響されにくい。そのような態様において、補足的な酸素貯蔵ステップを使用して、吸熱反応の前に反応器中の温度プロファイルをさらに変更することができる。
【0030】
酸素貯蔵ステップの間の酸素貯蔵成分への酸素の添加は、発熱反応に相当する。したがって、酸素貯蔵ステップの間に熱が生じる。これは、反応器の端部付近に酸素貯蔵成分を含むことによって、(典型的に反応器の中央付近の)燃焼領域から反応器の端部へと熱を伝達するために、過剰量の作業流体を使用することを必要とせずに、追加的な熱を反応器の端部に追加することができることを意味する。これによって、吸熱反応ステップの前に、より平坦な温度プロファイルを作成することが可能になる。
【0031】
一例として、再生ステップ後、反応器内の温度プロファイルは中央付近でピークを有することが可能である。そのような温度プロファイルは、
図3中、曲線301によって示される。このプロファイルのため、試薬が吸熱性反応のために導入される反応器の端部付近の温度は、反応器の中央付近の温度より低くなることが可能である。なお、吸熱反応の間のフローの方向は、典型的に再生の間のフローの方向とは反対である。吸熱性反応のための反応物が導入される反応器の端部付近にいくらかの酸素貯蔵成分を含ませることによって、この温度プロファイルを変更することが可能である。再生後、吸熱反応のための試薬が導入される同一端部で酸素含有流が導入されるように、再生フローとは反対のフロー方向で酸素含有流を導入することができる。これによって、反応器の端部付近の酸素貯蔵成分が酸素を添加することが可能となり、そしてそれは発熱反応である。曲線302に示すように、これによって反応器の端部付近で反応器の温度を増加させることができる。したがって、反応器の中央付近の温度を実質的に増加させることを必要とすることなく、及び/又は再生の間に反応器を通過する作業流体の量を増加させることを必要とすることなく、吸熱性反応が起こる反応領域のための温度プロファイルを変更することができる。
【0032】
逆流反応器の再生のための酸素燃焼
逆流反応器及び/又は反応サイクルの異なる段階において反対方向のフローを有する他の反応器は、600℃以上又は800℃以上の温度などの高温で吸熱反応を実行する場合、有用となることが可能である。従来から、逆流反応器(又は反対方向のフローを有する他の反応器)は、反応器内の反応領域の1つ又はそれ以上の表面を所望の温度まで加熱するために使用される(燃料、酸素及び作業流体を含む)再生又は燃焼フローを有することが可能である。次いで、反対方向のフローを使用して、所望の吸熱反応のための試薬を通すことができる。再生ステップの間に反応器内に貯蔵される熱を使用して、所望の吸熱反応に熱を提供する。
【0033】
逆流反応器を作動させることの問題の1つは、再生ステップの間の熱の導入の管理である。再生ステップの間により大きい熱量を反応器に導入することによって、反応ステップの間の相当する吸熱反応の量を増加させることを可能にすることが可能である。しかしながら、導入可能な熱量は、局所的領域における過度の温度スパイクを避けるための要求によって制限される。例えば、単一位置で非常に多くの燃焼を実行することは、構造材料及び/又は反応器の内部構成部分に関する最大温度を超える結果をもたらすおそれがある。
【0034】
この問題を克服するために、作業流体を、燃料混合物の一部として再生ステップの間に導入することが可能である。単位体積あたりの作業流体の量を増加させるために、再生の間に反応器を加圧することも可能である。作業流体は燃焼の間に生じる熱の一部を吸収し、そして(再生ステップの流れの方向に対して)反応器内の下流の位置へ熱を伝達する。これによって、任意の位置において最大温度を減少させながら、反応器に追加的な熱を導入させることが可能となる。したがって、逆流反応器の再生の間のインプットフローは、燃料、酸素含有流及び作業流体の組合せに相当することが可能である。種々の態様において、燃料、酸素含有流及び作業流体の1つ又はそれ以上は、高圧CO2含有ガスの生成を可能にするために変更することが可能である。
【0035】
逆流反応器中で熱を提供するために酸素燃焼が使用される場合、追加的な独立したフローは、反応器内の表面の間で熱を伝達するために潜在的に利用可能となる。従来の操作の間、燃焼又は再生フローは、燃焼のために必要とされる全ての成分を含むフローである。これは、燃料、酸素含有流、及び反応器内で燃焼領域から他の表面まで熱を運搬するための作業流体を含む。対照的に、再生の間に熱を提供するために使酸素燃焼が使用される場合、反応器への酸素の導入は、燃料及び作業流体の導入とは別のフローを使用して提供される。反応器中への酸素の導入の間、酸素貯蔵成分は、酸素含有フローに暴露される。これによって、酸化マンガンが酸素を添加し、この酸素は、その後、燃焼のために使用することが可能である。これによって、酸素含有流からいくらかの酸素が消費されるが、酸素含有流の組成は他の点では実質的に変化しない。例えば、空気が酸素含有流として使用される場合、酸素導入ステップからのアウトプットフローは、わずかにより低い含有量のO2を有する空気である。酸素導入ステップを完成させた後、燃料及び作業流体を反応器中に入ることができる。燃料は貯蔵された酸素と反応して、熱が生じ、これは作業流体によって反応器内で分布させることが可能である。
【0036】
酸素導入ステップによって空気と類似の排気ガス流が生じるため、酸素導入ステップからの排気ガスは、いずれかの都合のよい様式で取り扱うことができる。燃焼反応を実行するために十分な酸素が酸素貯蔵成分に添加される限り、酸素導入ステップを実行する時に、これによって可撓性をもたらすことができる。例えば、所望の温度プロファイル次第で、燃料及び作業流体フローと同一方向、又はその後の吸熱反応のためのフローと同一方向のフローで酸素導入ステップを実行することができる。その上、酸素含有流を反応器に通すための条件は、酸素導入ステップの間のより大きいか、又はより小さい熱輸送量が可能となるように変更することができる。酸素貯蔵成分によって酸素含有流から消費される酸素の量は変動可能であるが、それは典型的に酸素含有流中に存在する酸素の約20%~30%である。例えば、空気の酸素含有量は、(空気の全体積に対して)約20体積%から約15体積%まで減少可能であり、これは空気中に存在する酸素の約25%を消費することに相当する。必要に応じて、酸素導入ステップの間に空気のより大きいか又はより小さい体積が反応器を通るように、酸素含有流の空間速度は変動可能である。空間速度、酸素導入の間に反応器を通過する流体の体積を変更することによって、反応器内のより大きいか又はより小さい熱伝達の量を可能にすることができる。なお、より高い空間速度が酸素のより大きい体積への酸素貯蔵成分の曝露を導くことができるが、酸素のより低い割合が酸素貯蔵成分によって貯蔵されるため、空間速度のそのような変化によって、消費される酸素の量が変更することも可能である。
【0037】
酸素燃焼の間の酸素導入及び燃焼のために別々のフローを有することの別の利点は、酸素含有流の選択が作業流体の組成に影響を及ぼさないということである。従来からの逆流反応器再生ステップにおいて使用される作業流体の実質的な部分は、比較的低熱容量ガスである窒素に相当する。燃焼のための酸素源として空気も使用されるが、そのような作業流体は、作業流体としてリサイクルされた燃焼ガスを使用することによって形成されることが可能である。そのような構成において、窒素は再生ステップの間に反応器に入るフローの50体積%以上に相当することが可能であり、そして窒素の体積は、熱を生じるために導入される燃料の量よりも潜在的に1桁(又はそれ以上)大きくなることが可能である(体積基準)。作業流体のこのより大きい体積は、反応器内の実質的な圧力低下をもたらす可能性があり、そして、圧縮のための実質的な作業費用を導く。より大きい反応器サイズによって圧力低下を緩和することが可能であるが、反応器サイズのそのような増加は、他の加工問題点を生じる可能性がある。さらに、精製所内で反応器フットプリントを増加させることは、典型的により望ましくない結果である。
【0038】
再生のための熱を提供するために従来の燃焼の代わりに酸素燃焼を使用することにより、空気流(酸素含有流)は、燃料及び作業流体と異はなる時間で、反応器に入ることができる。したがって、窒素以外の作業流体は、窒素が減少又は最小化された酸素含有流を提供するための空気分離ユニットの使用を必要とすることなく、使用可能となる。種々の態様において、作業流体は、CO2、H2O又はその組合せを含有するリサイクルされた燃焼ガスに相当することができる。
【0039】
そのような態様において、作業流体は、20体積%以上、又は25体積%以上、又は30体積%以上、又は40体積%以上、例えば最高100体積%までのCO2を含むことが可能である。いくつかの態様において、作業流体は、20体積%~60体積%、又は25体積%~60体積%、又は30体積%~60体積%、又は20体積%~50体積%、又は25体積%~70体積%のCO2を含むことが可能である。任意選択的に、作業流体は、10体積%以上、又は20体積%以上、又は40体積%以上、例えば最高70体積%まで、又はなお高い体積%のH2Oを含むことが可能である。いくつかの態様において、作業流体は、95体積%~100体積%、又は98体積%~100体積%のCO2及びH2Oを含むことが可能である。なお、作業流体がメタンの化学量論的燃焼から形成される燃焼生成物に完全に相当する場合、作業流体は約33体積%のCO2及び67体積%のH2Oの組成物を有するであろう。態様次第で、作業流体は、15体積%以下、又は10体積%以下、又は5.0体積%以下、又は2.0体積%以下、例えば実質的に0のN2含有量を有するまで(0.1体積%以下)のN2を含有することが可能である。
【0040】
いくつかの態様において、再生ステップのための燃料は、メタン又は天然ガスなどの従来の炭化水素燃料に相当することが可能である。他の態様において、燃料は、メタンなどの炭化水素燃料と、改質流出物の分離からリサイクルされたテールガスとの混合物に相当することが可能である。リサイクルされたテールガスが燃料の一部として含まれる場合、得られる燃料混合物(燃料+作業流体+酸素含有ガス)は、2.0体積%以上、又は5.0体積%以上、又は8.0体積%以上、例えば15体積%以上、又はなお高い体積%のCOを含むことが可能である。リサイクルのためのテールガスは、例えば、スイング吸着器を使用して、改質流出物から水素を分離することによって形成されることが可能である。
【0041】
再生器へのインプットフローの窒素含有量を減少又は最小化することによって、実質的により高い圧力で再生を実行することを促進することが可能である。従来からの逆流反応器中での再生は、相当する吸熱性反応を実行するために、所望の圧力と類似の圧力で実行される。逆流反応器が改質のために使用される場合、これは0.5MPa-a~3.0MPa-aの圧力で再生を実行することに相当することが可能である。N2の実質的な量を含有する従来のリサイクルされた燃焼ガスの場合、より高い圧力で再生を作動することは、圧縮費用の好ましくない増加を必要とする。これは、N2の低い熱容量を補正するために必要とされるN2のより大きい体積による。
【0042】
種々の態様において、酸素貯蔵成分の使用によって、再生のためにリサイクルされる燃焼ガス内のN2の存在を減少又は最小化又は除去さえすることができる。これによって、再生の間の圧力の選択における柔軟性が可能となる。いくつかの態様において、0.5MPa-a~7.0MPa-aなどの、相当する吸熱反応のための圧力と類似の圧力で燃焼条件を使用して再生を実行することが可能である。他の態様において、再生ステップは、0.5MPa-a~15MPa-a、又は7.5MPa-a~15MPa-aなどのより高圧の燃焼条件で実行可能である。例えば、その後、燃焼の間に生じた任意のCO2を分離すること、又は他の様式で使用することが望ましい場合、そのようなより高い圧力は有益となることが可能である。酸素燃焼の開始時の温度は、吸熱反応の性質次第で変動可能である。態様次第で、酸素燃焼の開始温度は、400℃~800℃であることが可能である。酸素燃焼の間及び/又はその後の反応器内のピーク温度は変動可能である。酸素燃焼の間及び/又はその後の反応器内のピーク温度は、800℃~1400℃、又は800℃~1200℃であることが可能である。
【0043】
高圧で再生器を作動することによって、いくつかの利点を提供することができる。第1に、高圧作動は、逆流反応器内での熱伝熱を促進することができ、結果として、再生後のより均一に分布する熱プロファイルが得られる。第2に、主にCO2及びH2Oを含有する高圧燃焼ガスを形成することによって、最小の追加加工後、分離又は他の使用のためにCO2流として燃焼ガスの一部分を使用することが可能である。
【0044】
反応器を通過した後、再生のための作業流体として使用するための圧力まで燃焼ガスを戻すために、再生器からの燃焼ガスを圧縮することが可能である。圧縮の前又は後、燃焼ガスの一部分を、CO2含有生成物流として分離することが可能である。CO2含有生成物流中の水は、例えば熱交換によって、CO2含有生成物流を冷却することによって除去することが可能である。連続フロー作動において、CO2含有流の圧力をほぼ維持しながら、これを実行することが可能である。これによって、80体積%以上、又は90体積%以上、又は95体積%以上、例えば実質的にCO2のみを含有する体積%まで(0.1体積%未満の他成分又は99.9%以上のCO2)のCO2含有量を有するCO2含有流を得ることが可能である。次いで、分離プロセスにCO2含有流を通過させる。或いは、ドライアイス製造又は炭化水素抽出部位への注入などのCO2を使用するプロセスのためのインプットとして、CO2含有流を使用することが可能である。一般に、CO2の分離及び/又は使用は、約20MPa-a以上の圧力で実行される。したがって、高圧で逆流反応器の再生ステップを作動することによって、さらなる使用のために望ましい圧力であるCO2含有流を生産しながらも、高圧作動の伝熱利益を実現することを可能にすることが可能である。
【0045】
上記の利点に加えて、再生ステップの間に希釈剤としてより高熱容量のガスを使用することによって、600℃以上の温度での燃焼反応の層流火炎速度の予想外の減少を提供することが可能であるということが発見された。高い層流火炎速度は、より急速な燃焼に相当する。再生ステップの間の燃焼反応の層流火炎速度を減少させることは、燃焼反応が生じる反応器内の距離を拡大することが可能である。燃焼領域のこの拡大は、燃焼が600℃以上、又は700℃以上、又は800℃以上、例えば1500℃以上、又はなお高い温度で実行される場合、最大温度のさらなる予想外の減少を提供することが可能である。いくつかの態様において、希釈剤への高熱容量ガスの追加によって、600℃以上、又は700℃以上、又は800℃以上の温度における層流火炎速度を100cm/秒以下、又は75cm/秒以下に減少することが可能である。なお、層流火炎速度の減少は、一部において、より高い熱容量ガスによる改善されたラジカルクエンチによるものであり得る。
【0046】
逆流反応器構成の例
炭化水素改質などの高温で作動される吸熱反応に関して、逆流反応器は、吸熱反応に熱を提供するために適切な反応環境を提供することが可能である。
【0047】
逆流反応器において、吸熱反応のために必要とされる熱は、反応器の中央で高温熱バブルを作成することによって提供され得る。次いで、(a)酸素が反応器中の酸素貯蔵成分内に貯蔵され、(b)酸素貯蔵成分中に貯蔵された酸素による燃料のその場での燃焼を介して、熱が反応器層又はモノリスに加えられ、次いで(c)改質、熱分解、蒸気生成又は蒸気分解などの吸熱プロセスによって、熱がその場で層から除去される、スリーステッププロセスを使用することが可能である。この種の構成は、そのような条件に長期間耐えることが可能である反応器領域中で一貫して高温バブルを管理して、閉じ込める能力を提供することが可能である。逆流反応器システムは、実質的に連続的な様式で実行される一次吸熱及び再生プロセスを可能にすることができる。熱が酸素燃焼を介して反応器に加えられる態様において、反応器中の酸素貯蔵成分は、燃焼のための反応領域に位置することが可能である。
【0048】
一例として、逆流反応器システムは、共通のフロー経路に対して、そして任意選択的に、しかし好ましくは共通の軸に沿って、互いに直列関係で配置された第1及び第2の反応器を含むことが可能である。共通の軸は水平、垂直、又は他の様式であり得る。他の例において、逆流反応器システムは、反応領域及び復熱領域を含む単一反応器に相当することが可能である。
【0049】
スリーステップ手続きにおける第1のステップは、酸素貯蔵ステップであることが可能である。酸素貯蔵ステップの間、酸素含有ガス(例えば空気)は反応器に入り、酸素貯蔵成分が酸素を取り込むことを可能にする。これによって、再生ステップのための酸素貯蔵成分を調製することができる。
【0050】
再生ステップの間、燃料及び作業流体の混合物は、その中でその場で燃焼するために燃焼領域中の酸素貯蔵成分に暴露され、そして反応器系の中央部分に高温領域、又は熱バブルを作成する。熱バブルは、少なくとも吸熱反応のためのほぼ初期温度である温度に相当することが可能である。典型的に、反応器の中央部分の熱バブルから反応器の端部の方へ熱が伝達すると、温度が減少するため、熱バブルの温度は吸熱反応のための初期温度より高いことが可能である。第1の反応器を通る作業流体のフローが、反応によって生じる熱(例えば熱バブル)の(所望の)実質的な部分を置き換えるために有用である長く十分な期間で燃焼プロセスが生じることが可能であるが、好ましくは第2の反応器を通る全てが廃熱及び第2の反応器の過熱を回避するわけではない。この熱は、例えば、第2の反応器及び/又は反応器の吸熱反応のための反応領域の1つ又はそれ以上の表面に伝達される。燃焼ガスは第2の反応器によって排出され得るが、好ましくは大部分の熱は第2の反応器内に維持される。再生ステップの間に第2の反応器に移動される熱量は、炭化水素供給ガスが吸熱反応環境で有する所望の曝露時間又は空間速度によって限定又は決定されることも可能である。単一反応器が使用される態様において、反応によって生じる熱は、反応器の反応領域中に及び/又は少なくとも部分的にそれを通して移動することが可能であるが、好ましくは、移動は、反応器からの加熱されたガスの排出のために、廃熱を減少又は最小化することも可能である。
【0051】
(吸熱反応のための触媒を含む1つ又はそれ以上の表面を含むこと及び/又は相当することが可能である)第2の反応器媒体の再生又は加熱の後、次の/逆ステップ又はサイクルにおいて、加熱ステップの間のフロー方向の反対方向から、第2の反応器を通して吸熱反応のための反応物を供給又は流すことが可能である。例えば、改質プロセスでは、第2の反応器を通してメタン(及び/又は天然ガス及び/又は別の炭化水素)を供給又は流すことが可能である。反応エネルギーのための熱をメタンへ伝達するために、熱バブル領域において、メタンは、加熱された第2の反応器及び混合機媒体と接触することが可能である。
【0052】
いくつかの態様に関して、逆流再生層反応器システムの非対称サイクルの再生ステップ及び吸熱反応ステップを、2つの領域/反応器;第1の又は復熱器/クエンチ消失領域(7)及び第2の又は反応領域(1)を有する反応器システムに関して、
図6の
図6A及び6Bに示す。反応領域(1)及び復熱領域(7)の両方は、ドープされたセラミック組成物から形成される再生モノリス及び/又は他の再生構造を含むことが可能である。再生モノリス又は他の再生構造は、本明細書で使用される場合、熱を貯蔵及び伝達するために有効であり、並びに化学反応を実行するために有効である材料を含む。その上、酸素燃焼を容易にするために、再生モノリス又は再生構造は、ウォッシュコートとして、構造上で堆積された結合触媒として、又は別の都合のよい様式で酸素貯蔵成分を含むことができる。再生モノリス及び/又は他の構造は、熱を貯蔵して、熱を伝達して、そして反応を引き起こすために適切であるいずれの都合のよい種類の材料にも相当することが可能である。構造の例には、層状又は充填材料セラミックビーズ又は球体、セラミックハニカム材料、セラミックチューブ、押出成形モノリスなどが含まれるが、ただし、それらが、完全性、機能性を維持して、且ついくらかの作動マージンを可能にすることができる1200℃を超える、又は1400℃を超える、又は1600℃を超える温度への長期曝露に耐える能力があることが条件である。いくつかの態様において、触媒セラミックモノリス及び/又は他の触媒セラミック構造は、追加的なウォッシュコートが存在しなくても使用可能である。
【0053】
図6に示される基本的なサイクルは、燃料が燃焼する(
図6A)、及び吸熱性反応が実行される(
図6B)、サイクルの一部分に相当する。従来の作動とは対照的に、熱を提供するために酸素燃焼を使用することによって、基本的なサイクルに第3のステップが加えられて、これは、酸素貯蔵成分中に酸素を貯蔵するためのステップに相当する。この酸素貯蔵ステップは、燃料が導入される時の燃焼のために酸素が存在するように、
図6A及び
図6Bに示されるステップの間で起こる。酸素貯蔵ステップのためのフロー方向は、どちらの方向であることも可能である。フロー方向の選択は、例えば、酸素貯蔵ステップの間に実行されることが望ましい任意の追加の熱伝達次第であることが可能である。
【0054】
図6の説明を容易にするために、本明細書中で、反応器は改質反応に関して記載される。
図6の
図6Aに示すように、サイクルの「反応」ステップの開始において、(本明細書中で第2の反応器とも記載される)反応領域1の第2の端部5は、反応領域1の主要端部3と比較して、高温であることが可能であり、そして(本明細書中で第1の反応器とも記載される)復熱又はクエンチ領域7の(第1の端部9を含む)少なくとも一部は、得られる生成物にクエンチ効果を提供するために、反応領域1より低温であることが可能である。反応器が逆流改質を実行するために使用される態様において、メタンを含有する反応物供給(又は他の炭化水素を含有する反応物供給)を導管15によって改質又は反応領域1の主要端部3に導入することが可能である。種々の態様において、炭化水素を含有する反応物供給は、H
2O、CO
2又はその組合せを含むことも可能である。
【0055】
入口15からの供給流は、反応領域1から熱を吸収することができ、吸熱反応して所望の合成ガス生成物を生産することが可能である。このステップが進行すると、矢印によって示される温度プロファイル2のシフトが、システムの伝熱特性に基づいて作成されることが可能である。セラミック触媒モノリス/他の触媒構造が適切な伝熱性能で設計される場合、このプロファイルは比較的鋭い温度勾配を有することが可能であり、この勾配は、改質ステップが進行すると、反応領域1を横切って移動することが可能である。いくつかの態様において、より鋭い温度勾配プロファイルが、反応条件の改善された制御を提供することが可能である。別の種類の吸熱プロセスが実行される態様において、反応ステップが進行すると、温度勾配が反応領域1を横切って移動するように、温度プロファイルの類似のシフトが起こることが可能である。
【0056】
未反応の供給成分(炭化水素、H2O、CO2)並びに合成ガス成分を含むことが可能である改質反応からの流出物は、高温で第2の端部5を通って反応領域1を出て、復熱反応器7を通過することが可能であり、そして第2の端部11を通って入り、第1の端部9に出る。復熱器7は、最初は反応領域1より低温であることが可能である。改質反応からの生成物(及び任意選択的に未反応の供給物)は復熱器領域7を通過すると、ガスは実質的に第1の端部9において復熱器領域の温度に近い温度までクエンチ又は冷却されることが可能であり、それは、いくつかの実施形態において、サイクルの第2のステップ及び第3のステップの間に酸素含有流及び/又は再生供給物が導入された時と同じ温度であることが可能である。改質流出物が復熱器領域7において冷却されると、領域再生層で温度勾配4が生じることが可能であり、そしてこれは、このステップの間、横切って復熱器領域7を横切って移動することが可能である。クエンチによって復熱器7を加熱することが可能であり、これは、第2のステップにおいて、後に別のクエンチ機能を提供するため、そして熱バブルのサイズ及び位置がクエンチ反応器7を通して進行的に成長することを防ぐために、再び冷却されることが可能である。クエンチ後、反応ガスは導管17を通して9において復熱器を出ることが可能であり、種々の成分の分離及び改修のために加工されることが可能である。
【0057】
次いで、酸素貯蔵ステップと呼ばれる、サイクルの第2のステップは、空気などの酸素含有流の導入によって、導管15、導管19、又は他の都合のよい様式で開始することが可能である。
図6に示される構成実施例において、酸素貯蔵成分は、インターフェース13に近位の領域に位置することが可能である。燃焼反応は、酸素貯蔵成分からの酸素が利用可能である位置と同じ位置に燃料が到達するまで生じないため、これによって、インターフェース13に近位の領域において燃焼反応が生じるであろう。酸素含有流のフローの方向は、必要に応じて、温度プロファイルの所望の変化に基づいて選択することが可能である。例えば、酸素貯蔵成分中の金属酸化物の酸化は発熱プロセスを表すので、小量の追加的な熱が酸素貯蔵ステップの間に利用可能となるであろう。一方向で温度プロファイルに熱を優先的に加えることが望ましい場合、流れが所望の方向で酸化から熱を輸送するように酸素含有流を導入することができる。別の選択肢として、燃焼を実行する前に、燃焼領域の方へ反応領域から熱をさらに輸送するために、酸素含有流を改質フローと同一方向で導入することができる。
【0058】
次いで、再生ステップと呼ばれるサイクルにおける第3のステップを、導管19を通しての燃料及び作業流体の再導入によって開始することができる。燃料及び作業流体は、復熱器7の第2の端部11の方向へ、加熱された復熱器7を通過することができる。
【0059】
再生ステップの例を
図6の
図6Bに示す。再生は、その後の反応サイクルのために反応層1を熱的に再生するために、回収されたかなりの熱を復熱器領域7から反応領域1へと伝達することを伴うことが可能である。燃料及び作業流体は、例えば導管19を通して復熱器領域7に入り、復熱器領域7を通って、そして反応領域1中まで流れることができる。その際、
図6の
図6A中の反応サイクルの間に発達する温度勾配のグラフとは反対方向であるが、それに類似して、
図6B中の例示的なグラフ上で矢印によって示されるように、温度勾配6及び8は層を横切って移動し得る。燃料及び酸素貯蔵成分からの酸素は、復熱器領域7及び反応領域1のインターフェース13付近の領域で燃焼してもよい。燃焼の熱と一緒に復熱器領域から回収される熱を反応領域へ伝達することが可能であり(作業流体の移動により)、そしてその中に配置される再生反応モノリス及び/又は層1を熱的に再生する。
【0060】
なお、酸素源として酸素貯蔵成分を使用することによって、燃焼が生じる逆流反応器の領域を選択することにおける問題点の少なくともいくつかが回避される。従来は、燃料及び酸素が所望の燃焼領域又はその付近の位置に到達するまで、燃料及び酸素の少なくとも一部分は別々のフローチャネルで分離される。対照的に、酸素貯蔵成分を使用することによって、所望の燃焼領域又はその付近で酸素が貯蔵されることが可能であり、燃料及び酸素は単に反応器を通して燃料を流すことによって所望の位置で互いに暴露される。
【0061】
反応器システムの第1及び第2の反応器が別々に区別できる反応器として特定されているが、第1及び第2の反応器が、共通の単一反応器層へと製造、提供、又は他の様式で組み合わされてもよく、それによって、反応器システムは、単に反応器内で両サイクルを集積化する単一反応器のみを含むと記載されてもよいことは理解される。「第1の反応器」及び「第2の反応器」という用語は、それによって再生、改質、クエンチなどのそれぞれのステップが生じ、且つ2つの反応器のために別の構成要素が利用されることが要求されない反応器システム内のそれぞれの領域を単に指すことができる。
【0062】
いくつかの態様において、上記の通り、復熱器は、1つ又はそれ以上の押出成形されたハニカムモノリスから構成されることが可能である。それぞれのモノリスは、燃料及び作業流体のためのフローチャネル(例えばフロー経路)を提供し得る。そのような態様において、酸素貯蔵成分は、ウォッシュコートとしてモノリスの少なくとも一部分に適用されることが可能である。これによって、燃料が通過する全体積に対して、酸素貯蔵成分の利用可能な表面積を増加させることができる。他の態様において、酸素貯蔵成分は、適切なバインダーによって結合された酸化マンガンの配合された粒子に相当することが可能である。そのような粒子は、モノリス上に堆積させることが可能であり、且つ/又は反応器の所望の燃焼領域内のいずれかの都合のよい表面上に堆積させることができる。
【0063】
モノリスが使用される態様において、モノリスは、触媒表面として使用するために適切な任意の都合のよい形状を有し得る。モノリスの例は、押出成形されたハニカムモノリスであることが可能である。ハニカムモノリスは、間に薄壁を有する状態で平行に配置される、多くの(例えば2以上を意味する複数)小さいガスフロー経路又は導管を含む、押出成形された構造であることが可能である。小型反応器は単一モノリスを含み得るが、大型反応器は多数のモノリスを含むことができ、そしてなおより大きい反応器は、多くのハニカムモノリスの配列によって実質的に充填され得る。それぞれのモノリスは、形成(例えば正方形又は六角形の)断面、並びにブロックが互いの上に、後ろに、及び横にあるように2次元又は3次元の積み重ねを有するモノリスブロックを押出成形することによって形成され得る。それらは最小圧力低下で高い伝熱容量を提供するので、モノリスは反応器内部構造として魅力的となることが可能である。
【0064】
いくつかの態様において、ハニカムモノリスは、25%~55%の開口正面領域(又は幾何学的空隙体積)を有すること、及び1平方インチあたり50~2000の細孔若しくはセル(CPSI)、又は1平方インチあたり100~900のセル、又は1平方インチあたり100のセル~1平方インチあたり600のセルの導管密度を有することを特徴とすることが可能である。例えば、一実施形態において、導管は、約1ミリメートル程度などの数ミリメートルのみの直径/特徴セル側面長さを有し得る。モノリス又は別の層媒体などの反応器媒体構成要素は、反応物を運搬するために使用される第1の反応器の体積に基づき、50フィート
-1~3000フィート
-1(約0.16km
-1~約10km
-1)、又は100フィート
-1~2500フィート
-1(約0.32km
-1~約8.2km
-1)、又は200フィート
-1~2000フィート
-1(約0.65km
-1~約6.5km
-1)の範囲の単位体積あたりの平均湿潤表面積を有するパッキングを含むチャネルを提供することができる。単位体積値あたりのこれらの比較的高い表面積は、
図6に示される例示的な温度勾配プロファイルグラフ中の比較的急な勾配によって一般に示されるものなどの反応器中の温度の比較的速い変化を達成することを助けることができる。
【0065】
反応器媒体構成要素は、高い体積熱伝達率(例えば、0.02cal/cm
3秒℃以上、又は0.05cal/cm
3秒℃以上、又は0.10cal/cal/cm
3秒℃以上)を含むパッキングを含み;フローに対する低い抵抗(低い圧力低下)を有し;再生の間に生じる最高温度と一致する作動温度範囲を有し;熱ショックに対する高い抵抗を有し;且つ/或いは高いバルク熱容量(例えば、0.10cal/cm
3秒℃以上、又は0.20cal/cm
3秒℃以上)を有するチャネルを提供することもできる。高い表面積値と同様に、これらの比較的高い体積熱伝達率値及び/又は他の特性は、
図6の
図6A及び6B中のものなどの例示的な温度勾配プロファイルグラフ中で比較的急な勾配によって一般に示されるものなどの反応器を通しての温度の比較的速い変化を達成することを助けることができる。記載された値は、反応物の運搬のために使用される反応器の体積に基づく平均である。
【0066】
種々の態様において、適切な熱伝達率は、500℃未満、又は100℃未満、又は50℃未満の熱伝達パラメーター(ΔTHT)によって特徴づけることができる。パラメーターΔTHTは、本明細書で使用される場合、層の体積熱伝達率(hv)に対する、復熱のために必要とされる層平均体積熱伝達率の比率である。復熱のために十分である体積熱伝達率(例えば、cal/cm3秒)は、ガス熱容量(例えば、cal/g℃)及び所望のエンドツーエンドの温度変化(任意の反応を除く、例えば、℃)とのガス流速(例えば、g/秒)の積として算出することができ、次いで、この量を、ガスが横断する反応器(又は反応器の一部分)の体積(例えば、cm3)によって割ることができる。層の体積熱伝達率(hv)は、典型的に、面積ベースの係数(例えば、cal/cm2秒℃)と、しばしばパッキングの湿潤面積と記載される熱伝達のための特定の表面積(av、例えば、cm2/cm3)との積として算出することができる。
【0067】
いくつかの態様において、形成された焼結セラミック組成物にウォッシュコートを添加することができる。ウォッシュコートによって、焼結セラミック組成物が追加的な触媒金属で含浸されることを可能にすることができる。
【0068】
追加的な触媒金属をウォッシュコートに組み込むための1つの選択肢は、初期湿り度による飽和によってなど、追加的な触媒金属によって触媒支持体を含浸することであることが可能である。含浸は、硝酸テトラアンミン白金又は硝酸ロジウム水和物などの適切な金属塩又は他の触媒金属前駆体の水性溶液を用いて実行することができる。次いで、含浸させた支持体を、乾燥及び/又は触媒金属前駆体の分解のために焼成することが可能である。加熱ステップのための様々な温度プロファイルは潜在的に使用可能である。支持体を乾燥させるために、100℃~200℃の温度で、30分間~24時間の加熱などの1つ又はそれ以上の初期乾燥ステップを使用することができる。触媒金属前駆体化合物を分解する焼成は、含浸された触媒金属化合物の性質次第で、200℃~800℃の温度、30分間~24時間であることが可能である。乾燥ステップ及び/又は分解焼成ステップは、触媒金属のための前駆体次第で任意選択的であることが可能である。追加的な触媒金属の例としては、Ni、Co、Fe、Pd、Rh、Ru、Pt、Ir、Cu、Ag、Au、Zr、Cr、Ti、V及びその組合せが含まれるが、これに限定されない。
【0069】
別の実施形態は、モノリス以外の反応媒体を使用してもよく、それによって、チャネル導管/フロー経路は、限定されないが、反応器の一部分を通過するチャネルを有する入り組んだ、変化に富むフロー経路、導管、チューブ、スロット及び/又は細孔構造を含む、より屈曲した経路(例えば、回旋状、複合型、螺旋状及び/又はねじれ状であるが、線形又は管状)を含み得る。そのような他の種類の反応器媒体は、そのような媒体の少なくとも一部分が、本明細書に記載のセラミック触媒組成物を焼結し、続いて触媒を活性化するために還元条件にそのような媒体を暴露することによって形成可能である限り、適切であることが可能である。そのような実施形態に関して、複合フロー経路は、有効フロー経路の延長、表面積の増加、熱伝達の改善をもたらし得る。そのような設計は、反応器を通過する比較的短い軸の長さを有する反応器実施形態に関して好ましくなり得る。軸方向がより長い反応器の長さは、反応器を通しての圧力低下の増加を経験し得る。しかしながらそのような実施形態に関して、多孔質及び/又は浸透性媒体は、例えば、充填層、タイルの配列、浸透性固体媒体、実質的にハニカム型の構造、繊維配列及びメッシュ型格子構造の少なくとも1つを含み得る。
【0070】
再び簡単に
図6を参照して、反応器システムは、第1の端部9及び第2の端部11を含有する第1の反応器7と、第1の端部3及び第2の端部5を含有する第2の反応器1とを含むことができる。
図6中に示される実施形態は、説明的な目的のために提供される例証であり、包括的な実施形態を表すように意図されない。反応器の「端部」に対する参照は、単に反応器の軸中間点に関する反応器の末端部分を指すだけである。したがって、ガスが端部9などの反応器の「端部」に入る、又は出ると言うことは、反応器のそれぞれの端部表面と反応器の中間点との間の軸に沿って、しかし、好ましくは中間点よりも、端部により近く、ガスが種々の点のいずれかにおいて実質的に入ってよいか、又は出てよいことを単に意味する。それによって、第1及び第2の反応ガスの一方又は両方がそれぞれの端部表面から入ることができるが、他は、反応器のそれぞれの端部の円周又は周辺部外面のスロット又はポートから反応器のそのそれぞれの端部に供給される。
【0071】
構成例-改質及び蒸気生成
図1は、逆流反応器を含む反応システムにおいて炭素回収を炭化水素改質と集積化するために適切な反応系の例を示す。
図1に示される例において、反応システムは、複数の逆流反応器を含む。合計5つの反応器が
図1に示されるが、いずれかの都合のよい数の反応器が使用可能であることは理解される。複数の反応器を使用することにより、反応生成物の連続又は実質的に連続な流れを、精製所、化学工場又は他の施設の下流部分へのインプットとして提供することが可能である。
【0072】
図1中、反応器110は、反応サイクルの再生部分における反応器に相当する。反応器120は、反応サイクルの酸素貯蔵部分の反応器に相当する。反応器130は、反応サイクルの吸熱反応(改質)部分における反応器に相当する。例えば反応器130は蒸気改質を実行することができ、そこで吸熱試薬流、又は蒸気及びメタン(及び/又は他の改質可能な炭化水素)のインプット流132が吸熱反応生成物流又は改質流出物135に変換される。反応器140は、サイクルの再生及び反応部分の中間である反応器に相当する。態様次第で、反応器140は、サイクルの吸熱反応、酸素貯蔵又は再生部分に入る反応器に相当することが可能である。
図1中に表されるものは、所与の時点のシステムの断片に相当するものと理解される。反応サイクルが続くと、個々の反応器は反応から再生へ、そして再び反応へと進行する。
【0073】
再生の間、燃料及び作業流体混合物102は、反応器110などの再生ステップの反応器に入る。作業流体は、例えば、燃焼ガスのリサイクルされた部分であることが可能である。反応器110に入る前に、燃料及び作業流体混合物102を所望の圧力まで加圧することが可能である。
図1に示される構成において、反応器110からの燃焼ガス115の第1の部分162は、廃熱ボイラー160などの熱回収段階を通過し、続いて、流れを組み合わせる前に燃料及び酸化体供給混合物102と同じ圧力までリサイクルされた燃焼ガスを増加させるために圧縮163が行われる。反応システム中のガスの所望のレベルを維持するために、燃焼ガス流115の残りの部分165を反応システムから排除する。任意選択的に、残りの部分は、分離及び/又は試薬若しくはプロセスガスとしての使用に適切である高純度、高圧力CO
2流を形成するためにさらに加工されることが可能である。例えば、燃焼ガス流115が10MPa-a以上の圧力にある場合、残りの部分の圧力を実質的に維持しながら、水を除去するために、残りの部分は分離段階に入ることが可能である。
【0074】
図1中、燃焼ガス115に相当するフロー経路;第1の部分162;及び第1の部分162が燃料102と組み合わせられる線が、リサイクルループに相当する。リサイクルループは、反応器110の反応器入口端部と反応器110の再生器入口端部との間で流体連通を提供する。流体連通が再生ステップの間にのみ提供されるため、流体連通は断続的である。これは、例えば、バルブの適切な使用によって制御することが可能である。
【0075】
酸素貯蔵ステップの間に反応器中に貯蔵される酸素に燃料102を暴露することによって、燃料102を燃焼することができる。メタン又は天然ガスなどの任意の都合のよい種類の炭化水素及び/又は水素を燃料として使用することができる。任意選択的に、燃料の一部分は、改質流出物中の残留成分からH2を分離することから誘導されるテールガス157に相当することが可能である。
【0076】
酸素貯蔵ステップの間、空気122(又は別の酸素含有流)は反応器120に入ることができる。反応器120中に酸素を貯蔵することに加えて、これによって、空気122の酸素含有量より低い酸素含有量を有する、欠乏空気流125が生じる。例えば、空気122の酸素含有量は約21体積%であることが可能であるが、欠乏空気流125の酸素含有量は15体積%であることが可能である。次いで、任意選択的に、欠乏空気125を、欠乏空気によって作動可能であるプロセスのための酸素源として使用することができる。例えば、欠乏空気を、ガス発電タービン180のための酸素源185として使用することができる。タービンによるなおさらなる集積化は、反応器120のための空気122としてタービン180からの作業流体182を使用することによって達成可能である。次いで、欠乏空気125を、タービン180のための酸素源として使用することができる。
【0077】
図1に示される構成において、反応器130から出た後、改質流出物135は水性ガスシフト反応器140に入り、シフトされた合成ガス生成物145を生成する。水性ガスシフト反応器140は、シフトされた合成ガス生成物145中のCOに対するH
2のモル比を増加させるために使用されることが可能である。改質流出物135のH
2対COモル比は、典型的に約3:1である。いくつかの態様において、水性ガスシフト反応器140を使用して、5.0体積%以下、又は3.0体積%以下、又は1.5体積%以下のCO含有量を有する、例えば実質的にCO含有量を有さない(0.1体積%以下)などの減少又は最小化されたCO含有量を有するシフトされた合成ガス生成物145を生成することが可能である。これは8:1以上又は10:1以上のH
2対CO比を有することに相当することが可能である。他の態様において、より少量のCO減少を実行することが可能である。そのような態様において、シフトされた合成ガス生成物中のCOに対するH
2の比率は、4.0~10、又は4.0~8.0であることが可能である。これによって、再生反応器110の燃料の一部として使用されるテールガス流157の燃料価を増加させることが可能である。
【0078】
次いで、シフトされた合成ガス生成物145を、1つ又はそれ以上のスイング吸着反応器150を使用して分離して、水素エンリッチド流155及びテールガス157を生成することが可能である。
【0079】
図2は、再生の間に熱を提供するために酸素燃焼が使用される構成の別の例を示す。
図2に示される例において、吸熱「反応」ステップは、蒸気の発生に相当する。したがって、
図2に示される構成に関して、吸熱プロセスのための吸熱試薬流は第1の温度の水又は蒸気であり、そして吸熱生成物流は、インプットフローの水又は蒸気より高温の蒸気である。なお、吸熱生成物は反応生成物でないが、吸熱試薬流に対する相変化を含んでもよい。
図2の構成は、様々な利点を提供する。反応器に熱を提供するために酸素燃焼を使用することによって、蒸気を発生させることが可能であるが、蒸気を発生させるために使用される燃焼から高純度、高濃度CO
2流も生成される。その上、高純度、高濃度CO
2流は、空気分離ユニットの使用を必要とすることなく、生成することができる。これによって、空気分離と関連する実質的な作動費用が回避される。
【0080】
図2において、反応器210は、反応サイクルの再生部分の反応器に相当する。反応器220は、反応サイクルの酸素貯蔵部分の反応器に相当する。反応器230は、反応サイクルの吸熱反応(蒸気生成)部分の反応器に相当する。反応器240は、サイクルの再生及び反応の中間の反応器に相当する。態様次第で、反応器240は、サイクルの吸熱反応、酸素貯蔵又は再生部分に入る反応器に相当することが可能である。
図2中に表されるものは、所与の時点のシステムの断片に相当するものと理解される。反応サイクルが続くと、個々の反応器は反応から再生へ、そして再び反応へと進行する。
【0081】
再生の間、燃料及び作業流体混合物202は、反応器210などの再生ステップの反応器に入る。作業流体は、例えば、燃焼ガスのリサイクルされた部分であることが可能である。反応器210に入る前に、燃料及び作業流体混合物202を所望の圧力まで加圧することが可能である。
図2に示される構成において、反応器210からの燃焼ガス215の第1の部分262は、廃熱ボイラー260などの熱回収段階を通過し、続いて、流れを組み合わせる前に燃料及び酸化体供給混合物202と同じ圧力までリサイクルされた燃焼ガスを増加させるために圧縮263が行われる。反応システム中のガスの所望のレベルを維持するために、燃焼ガス流215の残りの部分265を反応システムから排除する。任意選択的に、残りの部分は、分離及び/又は試薬若しくはプロセスガスとしての使用に適切である高純度、高圧力CO
2流を形成するためにさらに加工されることが可能である。例えば、燃焼ガス流215が10MPa-a以上の圧力にある場合、残りの部分の圧力を実質的に維持しながら、水を除去するために、残りの部分は分離段階に入ることが可能である。
【0082】
酸素貯蔵ステップの間に反応器中に貯蔵される酸素に燃料202を暴露することによって、燃料202を燃焼することができる。メタン又は天然ガスなどの任意の都合のよい種類の炭化水素及び/又は水素を燃料として使用することができる。
【0083】
酸素貯蔵ステップの間、空気222(又は別の酸素含有流)は反応器220に入ることができる。反応器220中に酸素を貯蔵することに加えて、これによって、空気222の酸素含有量より低い酸素含有量を有する、欠乏空気流225が生じる。例えば、空気222の酸素含有量は約21体積%であることが可能であるが、欠乏空気流225の酸素含有量は15体積%であることが可能である。次いで、任意選択的に、欠乏空気225を、欠乏空気によって作動可能であるプロセスのための酸素源として使用することができる。
【0084】
図2に示される構成において、水272は反応器230に入る。水272は、液体水供給、蒸気を含有するガス流、又はその組合せに相当することが可能である。次いで、反応器230内での伝熱によって、より高温の蒸気が作成される。反応器230から出た後に、蒸気275は、いずれの都合のよい様式で使用可能である。
図2に示される例において、蒸気275は、タービン280に電力を供給するために蒸気275を使用することによって、発電のために使用される。他の態様において、蒸気は加熱のために直接使用されることが可能であるか、蒸気は試薬として使用されることが可能であるか、又は蒸気は別の従来の目的のために使用されることが可能である。
【0085】
プロセス例-逆流改質及び再生
逆流反応器システム中で実行可能な反応の例は、H2Oの存在下の蒸気改質条件下、CO2の存在下の乾燥改質条件下、又は反応環境中にH2O及びCO2の両方が存在する条件下での炭化水素の改質である。逆流反応器などのスイング反応器中での改質の間の作動の一般概要として、反応サイクルの再生ステップ又は部分を使用して反応器のための熱を提供することができる。次いで、改質はサイクルの改質ステップ又は部分の間に生じることが可能であり、改質反応によって、反応器再生ステップの間に提供された熱が消費される。
【0086】
再生の開始前に、酸素貯蔵ステップを実行することができる。酸素貯蔵成分が、燃料の燃焼でその後使用するための酸素を貯蔵することが可能となるように、空気(又は別の酸素含有ガス)を反応器に入れることができる。
【0087】
反応器再生の間、反応器の再生端部から燃料及び作業流体を反応器に導入する。反応器の再生部分は、燃料を燃焼させるための酸化体を提供する酸素貯蔵成分を含むことができる。態様次第で、反応器の再生部分の一部又は全ては、吸熱反応領域と重なり合うことができる。例えば、結合酸素貯蔵成分がモノリス又は反応器の他の表面にウォッシュコートとして適用される場合、ウォッシュコートは、結合酸素貯蔵成分及び(存在する場合)吸熱反応のために使用される吸熱触媒の両方を含むことができる。燃料が再生部分で燃焼すると、熱は再生部分から燃料及び作業流体へ伝達される。燃料及び作業流体のフローは再生ステップの間に続き、燃焼から生じられる熱の反応器の改質端部への追加的な伝達が導かれる。
【0088】
十分な時間の後、燃焼反応は停止される。いずれの残留燃焼生成物及び/又は反応物も、任意選択的に除去が可能である。次いで、反応サイクルの改質ステップ又は部分を開始することができる。改質のための反応物は、反応器の改質端部中に導入可能であり、したがって、再生の間のフローに対して反対方向で有効に流動することができる。反応器の改質部分中の層及び/又はモノリスは、改質のための触媒を含むことができる。種々の態様において、触媒の少なくとも一部分は、本明細書中に記載されるセラミック組成物から形成される触媒に相当することが可能である。改質が生じると、燃焼の間に改質領域に導入される熱は、吸熱改質反応によって消費されることが可能である。改質領域を出た後、改質生成物(及び未反応反応物)は、改質触媒にもはや暴露されない。改質生成物が再生領域を通り抜けた後、生成物から再生領域へ熱を伝達することができる。十分な時間の後、改質プロセスは停止可能であり、残りの改質生成物は、任意選択的に反応器から回収又は除去されることが可能であり、そしてサイクルを再び再生ステップによって開始することができる。
【0089】
反応器内で実行される改質反応は、H2Oの存在下、蒸気改質を使用して、CO2の存在下、乾燥改質を使用して、又はH2O及びCO2の両方の存在下、「バイ(bi)」改質を使用して、メタン及び/又は他の炭化水素を改質することに相当すること可能である。メタンの蒸気、乾燥及び「バイ」改質に関する化学量論の例は方程式(1)~(3)に示される。
(1)乾燥改質:CH4+CO2=2CO+2H2
(2)蒸気改質:CH4+H2O=CO+3H2
(3)バイ改質:3CH4+2H2O+CO2=4CO+8H2。
【0090】
方程式(1)~(3)に示すように、乾燥改質は、蒸気改質よりも低いCOに対するH2の比率を生じることが可能である。蒸気のみで実行される改質反応は、2.5~3.5などの約3のCOに対するH2の比率を一般に生じることが可能である。対照的に、CO2の存在下で実行される改質反応は、COに対するH2のより低い比率、おそらく約1.0以下の比率を生じることが可能である。改質の間にCO2及びH2Oの組合せを使用することにより、改質反応は、得られる合成ガス中で広範囲のCOに対するH2の比率を生じるように潜在的に制御可能である。
【0091】
なお、合成ガス中のCOに対するH2の比率は、水性ガスシフト平衡次第となる可能性がある。上記の化学量論は乾燥改質及び蒸気改質に関して約1又は約3の比率をそれぞれ示すが、合成ガス中のH2及びCOの平衡量は反応化学量論とは異なる可能性がある。平衡量は、水性ガスシフト平衡に基づいて決定することができる。
【0092】
ロジウム及び/又はニッケルなどの多くの改質触媒も、水性ガスシフト触媒として有用となることが可能である。したがって、H2及びCOを生成するための反応環境がH2O及び/又はCO2も含む場合、改質反応からの初期化学量論は水性ガスシフト平衡に基づいて変更されてもよい。この平衡は温度依存性でもあり、CO及びH2Oの生成にはより高い温度が好ましい。なお、より高い温度では、平衡に到達するための速度も改善することができる。その結果、高温で改質反応を実行する能力は、いくつかの利益を潜在的に提供することができる。例えば、過剰量のH2Oを有する環境で蒸気改質を実行する代わりに、CO2を反応環境に添加することができる。これは、乾燥改質化学量論に基づいて生成されるCOに対するH2の比率の減少、並びに水性ガスシフト平衡に基づいて生成されるCOに対するH2の比率の減少の両方とも可能にする。代わりに、より高いCOに対するH2の比率が所望である場合、CO2を環境から除去することが可能であり、そして望ましい種類の合成ガスを生成するために、CH4(又は他の炭化水素)に対するH2Oの比率を制御することができる。このことから、供給成分の適切な量を選択することによって、0.1~15、又は0.1~3.0、0.5~5.0、又は1.0~10のCOに対するH2の比率を有する合成ガスの生成を潜在的に可能にすることができる。
【0093】
方程式(1)~(3)に示される改質反応は吸熱反応である。商業規模の改質での課題の1つは、所望の合成ガス生成物中への追加成分の導入を減少又は最小化しながら、効率的な様式で改質反応を実行するために熱を提供することである可能性がある。逆流反応器システムなどの周期的反応システムは、改質ステップ及び再生ステップを含むサイクルを有することによって、望ましい様式で熱を提供することができる。再生ステップの間、燃焼は反応器の選択された領域内で実行可能である。再生の間のガスフローは、この熱を燃焼領域から反応器中の改質領域の追加的な部分の方へ伝達することを補助することができる。燃焼からの生成物を反応物及び/又は改質からの生成物中に組み込むことを減少又は最小化することができるように、サイクル内での改質ステップは別々のステップであることが可能である。改質ステップは熱を消費することが可能であり、そして、それによって改質領域の温度を減少することができる。改質からの生成物が反応器を通ると、改質生成物を、改質又は水性ガスシフト触媒が不足する第2の領域に通過させることができる。これによって、反応器を出る前に反応生成物を冷却することが可能となる。次いで、改質生成物から反応器へ伝達した熱は、次の燃焼又は再生ステップのために、反応物の温度を増加させるために使用されることができる。
【0094】
メタンのための1つの共通供給源は、天然ガスである。いくつかの用途において、関連する炭化水素及び不純物ガスを含む天然ガスは、改質反応のための供給として使用されてもよい。供給される天然ガスは、スイートイングされ、且つ/又は脱水された天然ガスであってもよい。天然ガスは、一般に、好ましくはメタンより低い濃度で、種々の濃度のエタン及び他のアルカンなどの関連ガスを含む。供給される天然ガスは、H2S及び窒素などの不純物を含み得る。より一般に、改質のための炭化水素供給は、メタン及び/又は他の炭化水素のいずれかの都合のよい組合を含むことができる。任意選択的に、改質供給物は、アルコール又はメルカプタンなどのいくつかの炭化水素系化合物を含んでもよい。炭化水素系化合物は、炭化水素と類似であるが、炭素及び水素とは異なる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む。いくつかの態様において、供給物中に存在する追加的な成分は、改質サイクルなどの還元サイクルの間に触媒モノリスに吸着可能な硫黄などの不純物に相当することができる。そのような不純物は、その後のサイクルで酸化されて、硫黄酸化物を形成することが可能であり、これは、次いで、反応環境中に追加的な硫黄含有成分(又は他の不純物含有成分)を放出するために、還元することが可能である。
【0095】
いくつかの態様において、改質のための供給物は、改質のための供給物中の炭化水素の全重量と比較して、5重量%以上、又は10重量%以上、又は15重量%以上、又は20重量%以上、例えば最高50重量%まで、又は可能であればさらに高い重量%のエタン又はプロパンなどのC2+化合物を含むことができる。なお、H2O及びCO2などの燃焼環境中で非反応性である窒素及び/又は他のガスも改質のための供給物中に存在してもよい。改質器がオンボード改質環境に相当する態様において、そのような非反応性生成物は、例えば改質器中への排気ガスのリサイクルに基づき、供給物に任意選択的に導入可能である。その上、又は代わりに、改質のための供給物は、40重量%以上、又は60重量%以上、又は80重量%以上又は95重量%以上のメタンを含むことが可能であり、例えば供給物はメタンから実質的に構成される(98重量%以上)ことができる。改質が蒸気改質に相当する態様において、供給物中の炭素原子に対する蒸気分子のモル比は0.3~4.0であることが可能である。なお、エタンは1分子あたり2個の炭素原子を有するが、メタンは1分子あたり1個の炭素原子を有する。改質が乾燥改質に相当する態様において、供給物中の炭素原子に対するCO2分子のモル比は、0.05~3.0であることが可能である。
【0096】
逆流反応器の改質領域内で、温度は、熱がどのように反応器に加えられるかという性質、及び/又は改質反応の動力学のために、領域を越えて異なることが可能である。領域の最高温度部分は、典型的に反応器の中央部分の付近に見ることができる。この中央部分を、再生の間に燃焼が開始する混合領域と記載することができる。混合領域の少なくとも一部分は、改質触媒を有するモノリスが混合領域に延在する場合、改質領域の部分に相当することができる。その結果として、再生の間に燃焼が開始する位置は、典型的に反応器内の改質領域の端部に近くなることが可能である。なお、反応器のいくつかの部分が燃焼領域及び反応領域の両方に相当することが可能であるように、反応器内の燃焼触媒の位置が反応器内で改質触媒の位置と重なり合うことが可能である。反応器の中心から反応器の端部へと温度が減少することができる。その結果として、(反応器の端部の)改質領域の開始における温度は、(反応器の中央部分の)改質領域の端部における温度より冷たくなることが可能である。
【0097】
改質反応が起こると、改質領域内の温度は減少することが可能である。温度の減少速度は、改質するために利用可能な炭化水素の量及び/又は改質領域の所与の位置における温度の動力学因子に関連することが可能である。改質供給物が改質領域を端部まで移動すると、供給物の反応物を消費することが可能であり、それによって、下流位置で生じる改質の量を減少させることができる。しかしながら、反応物が改質領域を横切って移動する時の改質領域の温度の増加によって、反応速度の増加を導くことができる。
【0098】
約500℃において、改質のための反応速度を十分に減少させることが可能であり、追加的な改質がほとんど生じないか、生じないであろう。その結果として、いくつかの態様において、改質反応が進行すると、改質領域の開始部分は十分に冷却することが可能であり、改質領域の一部分の範囲内で改質反応を有効に停止させる。これによって、反応器内での改質が開始する位置を、改質領域の開始に対してさらに下流である位置に移動させることが可能である。改質領域の十分な部分が500℃未満、又は600℃未満の温度を有する場合、反応サイクル中の改質ステップを停止させて、再生を実行することが可能となる。代わりに、再生の間に反応器に導入される熱量に基づいて、改質の間に消費される熱(及び環境への熱損失)量は、再生の間に加えられる熱量とほぼバランスがもたらされるように、反応時間の量に基づき、反応サイクルの改質部分を停止させることができる。改質プロセスが停止された後、まだ反応器中にあるいずれの残留する合成ガス生成物も反応サイクルの再生ステップを開始する前に任意選択的に回収することができる。
【0099】
合成ガスの任意選択的な回収の後、酸素貯蔵成分中の酸素を補充するために、酸素貯蔵ステップを実行することができる。次いで、再生プロセスを開始することができる。再生の間、メタン、天然ガス又はH2などの燃料を反応器に導入して、燃焼することができる。燃料が燃焼する位置は、反応器の範囲内で酸素貯蔵成分の位置に基づいて制御することができる。例えば、酸素貯蔵成分は、反応器の中央部分に位置することができる。これによって、反応器の中央部分で温度ピークを得ることができる。温度ピークは、改質触媒も含む反応器の一部分の範囲内にあることができる。再生サイクルの間、サイクルの改質部分の間に改質が可能となるために十分に、改質反応器内の温度を増加させることができる。これによって、800℃以上、又は1000℃以上、又は1200℃以上、或いは潜在的にさらにより高い温度の反応器内ピークの温度を得ることができる。
【0100】
プロセスサイクルの改質及び再生部分に関する相対的な時間の長さ及び反応物流速は、再生の間に提供される熱と、改質の間に消費される熱との間でバランスがもたらされるように選択可能である。例えば、1つの選択肢は、再生ステップと類似の長さを有する改質ステップを選択することであることが可能である。改質ステップの間の炭化水素、H2O及び/又はCO2の流速に基づき、改質反応に関する吸熱性の熱需要を決定することができる。次いで、この熱需要を使用して、再生ステップの間の燃焼反応物に関する流速を算出することができる。任意選択的に、熱の一部分は、再生ステップを実行する前の発熱酸素貯蔵ステップの間に生じる熱に基づいて提供することもできる。もちろん、他の態様において、改質及び再生の間の熱のバランスを、反応物の所望の流速を決定して、次いで、再生によって提供される熱と改質の間に消費される熱とのバランスがもたらされるようにサイクル長さを選択することによってなどの他の様式で決定することができる。
【0101】
熱を提供することに加えて、反応サイクルの間の酸素貯蔵ステップは、改質領域中で触媒からのコーク除去を可能にすることもできる。種々の態様において、再生ステップの間、1つ又はそれ以上の種類の触媒再生が潜在的に起こることが可能である。触媒再生の1種は、触媒からのコークの除去に相当することが可能である。改質の間、改質領域に導入される炭化水素の一部分は、CO又はCO2を形成する代わりにコークを形成することができる。このコークは、触媒の触媒部位(金属部位など)へのアクセスを潜在的に妨害する可能性がある。いくつかの態様において、形成速度は、800℃以上、又は900℃以上、又は1000℃以上の温度まで暴露される改質領域の部分などの、より高い温度に暴露される改質領域の部分において増加することが可能である。酸素貯蔵ステップの間、改質領域の温度が酸素貯蔵プロセスの発熱性のために増加すると、酸素含有流からの酸素が存在することができる。これによって、改質の間に生じるコークの少なくとも一部分がCO又はCO2として除去されることが可能となる。
【0102】
反応器内での温度の変動のため、反応器内、及び/又は反応器の改質領域内の温度を特徴づけるために、いくつかの選択肢を使用することができる。温度を特徴づけるための1つの選択肢は、改質領域内の平均的層又は平均モノリス温度に基づくものであることが可能である。実際的な設定において、反応器内の温度の決定は、熱電対などの測定デバイスの存在を必要とする。改質領域内の温度を測定することを試みるよりは、むしろ、改質領域内の平均(層又はモノリス)温度は、改質領域の開始における温度及び改質領域の端部における温度の平均に基づいて定義することができる。別の選択肢は、反応サイクルの再生ステップ後の改質領域内のピーク温度を特徴づけることであることが可能である。一般に、ピーク温度は、改質領域の端部又はその付近で生じることが可能であり、燃焼が反応器中で開始する位置次第であり得る。さらに別の選択肢は、反応サイクル内の異なる時間における反応領域内の所与の位置における温度差を特徴づけることであることが可能である。例えば、温度差は再生ステップの端部における温度と改質ステップの端部における温度との間で決定することができる。そのような温度差は、反応器内のピークの温度の位置、改質領域への入口、改質領域からの出口、又は他のいずれかの都合のよい位置で特徴づけることができる。
【0103】
種々の態様において、炭化水素改質のための反応条件は、400℃~1200°(又はそれ以上)の範囲の平均改質領域温度;800℃~1500℃の改質領域内のピークの温度;25℃以上、又は50℃以上、又は100℃以上、又は200℃以上、例えば最高800℃、又は可能であればさらにより高い温度の再生ステップの端部とその後の改質ステップの端部との間のピーク温度の位置における温度差;25℃以上、又は50℃以上、又は100℃以上、又は200℃以上、例えば最高800℃、又は可能であればさらにより高い温度の再生ステップの端部とその後の改質ステップの端部との間の改質領域への入口における温度差;及び/又は25℃以上、又は50℃以上、又は100℃以上、又は200℃以上、例えば最高800℃、又は可能であればさらにより高い温度の再生ステップの端部とその後の改質ステップの端部との間の改質領域からの出口における温度差の1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0104】
平均改質領域温度に関して、種々の態様において、改質領域のための平均温度は、500℃~1500℃、又は400℃~1200℃、又は800℃~1200℃、又は400℃~900℃、又は600℃~1100℃、又は500℃~1000℃であることが可能である。その上、又は代わりに、(おそらく再生反応物の燃焼のための位置に近い改質領域における位置に相当する)改質領域のピークの温度に関して、ピークの温度は、800℃~1500℃、又は1000℃~1400℃、又は1200℃~1500℃、又は1200℃~1400℃であることが可能である。
【0105】
その上、又は代わりに、炭化水素改質の反応条件は、0psig~1500psig(10.3MPa)、又は0psig~1000psig(6.9MPa)、又は0psig~550psig(3.8MPa)の圧力;及び1000時間-1~50,000時間-1の改質反応物の気体空間速度を含むことができる。空間速度は、単位時間あたりのモノリスの体積に対する反応物の体積に相当する。モノリスの体積は、固体円柱である場合のモノリスの体積として定義される。
【0106】
いくつかの態様において、高温で改質反応を作動することの利点は、改質供給物中のメタン及び/又は他の炭化水素の実質的に全てを変換する能力であることが可能である。例えば、水が改質反応環境中に存在する改質プロセス(すなわち、蒸気改質又はバイ改質)に関して、反応条件は、改質供給物中のメタンの10重量%~100重量%、又は20重量%~80重量%、又は50重量%~100重量%、又は80重量%~100重量%、又は10重量%~98重量%、又は50重量%~98重量%の変換のために適切であることが可能である。その上、又は代わりに、反応条件は、改質供給物中の炭化水素の10重量%~100重量%、又は20重量%~80重量%、又は50重量%~100重量%、又は80重量%~100重量%、又は10重量%~98重量%、又は50重量%~98重量%の変換のために適切であることが可能である。
【0107】
他の態様において、二酸化炭素が改質反応環境中に存在する改質プロセス(すなわち、乾燥改質又はバイ改質)に関して、反応条件は、改質供給物中のメタンの10重量%~100重量%、又は20重量%~80重量%、又は50重量%~100重量%、又は80重量%~100重量%、又は10重量%~98重量%、又は50重量%~98重量%の変換のために適切であることが可能である。その上、又は代わりに、反応条件は、改質供給物中の炭化水素の10重量%~100重量%、又は20重量%~80重量%、又は50重量%~100重量%、又は80重量%~100重量%、又は10重量%~98重量%、又は50重量%~98重量%の変換のために適切であることが可能である。
【0108】
いくつかの別の態様において、改質反応は、試薬としてCO2を用いて改質が実行されるが、反応環境中のH2Oの量が減少又は最小化される乾燥改質条件下で実行可能である。そのような別の態様において、改質反応のゴールは、1.0以下のCOに対するH2の比率を有する合成ガスを生成することであることが可能である。いくつかの態様において、改質の間の温度は、蒸気改質に関して記載された温度範囲に相当することができる。任意選択的に、いくつかの態様において、乾燥改質反応は、500℃~700℃、又は500℃~600℃の間の低温で実行可能である。そのような態様において、COに対するH2の比率は、0.3~1.0、又は0.3~0.7又は0.5~1.0であることが可能である。これらの条件下で乾燥改質反応を実行することによって、実質的なコーク生成を導く可能性がある。これは、触媒活性を維持するために再生の間に除去を必要とする可能性がある。
【0109】
流出物の改質加工-水性ガスシフト及びスイング吸着
いくつかの態様において、再生ステップのための燃料混合物への変更の1つは、炭化水素改質流出物からのH2の分離からのテールガスなどの、吸熱反応からの生成物の分離からのテールガスを添加することによって燃料を変性することであることが可能である。そのような態様において、改質流出物の加工及び分離を、CO含有が増加したテールガスを提供するように変更することも可能である。
【0110】
水素は炭化水素改質の望ましいアウトプットであることが多いが、炭化水素改質反応の性質は、酸化炭素の生成ももたらす。酸化炭素は、典型的に、CO対CO2の比率が、適切な条件下で改質流出物を水性ガスシフト触媒にその後暴露することによって少なくとも部分的に選択される、CO及びCO2の混合物である。水素が改質からの望ましいアウトプットである場合、流出物は、典型的に、H2生成を増加させるか、又は最大化するようにシフトされる。このことからも、CO2生成増加がもたらされる。次いで、高純度H2流、及びCO2を含む1つ又はそれ以上の残留部分を提供するために分離が実行される。燃焼生成物からのCO2は希薄であるため、燃焼生成物による改質からの追加的なCO2を組み合わせることは、一般に望ましくない。H2を酸化炭素及び水から分離するために適切である分離のいずれの都合のよい種類も使用することができる。圧力スイング吸着は、H2を酸化炭素及び水から分離することができる分離方法の一例である。
【0111】
従来の方法とは対照的に、種々の態様において、改質流出物からの酸化炭素を、燃料に添加されるテールガスの一部として、再生のためにインプットフローに添加することが可能である。テールガスは、例えば圧力スイング吸着などのスイング吸着を使用して改質流出水から水素を分離することによって形成することが可能である。
【0112】
改質後、改質流出物中のH2対COの比率を変更するために、改質流出物を水性ガスシフト触媒に最初に暴露することが可能である。水性ガスシフト反応は、急速平衡反応である。水性ガスシフト反応の化学量論は、方程式(4)で示される。
(4)H2O+CO⇔H2+CO2
【0113】
一般に、250℃以上の温度で水性ガスシフト反応を実行することが可能である。水性ガスシフト反応活性を提供する様々な触媒は利用可能である。ニッケル又はロジウムベースの触媒などの改質活性を有する触媒も典型的に水性ガスシフト反応に対する活性を有する。鉄及び銅などの他の遷移金属も水性ガスシフト反応に対する活性を有する可能性がある。
【0114】
従来のH2生成の間、水性ガスシフト反応の条件は、改質流出物中のCO濃度を典型的に約90%まで減少するように選択される。例えば、改質流出物を水性ガスシフト触媒に暴露する時、改質の間に過剰量の蒸気を含むこと及び/又は過剰量の蒸気を使用することによって、COを代償にしてH2及びCO2の生成の方に平衡を移動させることが可能である。これは、典型的に改質流出物中のH2の量を最大化するために実行される。いくつかの態様において、改質流出物のH2含有量を増加させて、シフトされた合成ガス生成物を形成するために、そのような従来の水性ガスシフト反応条件を使用することが可能である。そのような態様において、シフトされた合成ガス生成物は、5.0体積%以下、又は3.0の体積%以下、又は1.5体積%以下、例えば実質的にCO含有量を有さない体積%まで(0.1体積%以下)のCO含有量を含むことが可能である。これは、8:1以上、又は10:1以上のH2対CO比を有することに相当することが可能である。
【0115】
他の態様において、圧力スイング吸着前の水性ガスシフト反応は、シフトされた合成ガス生成物中のCOの濃度を40%~80%、又は50%~80%、又は50%~70%まで減少するために作動されることが可能である。そのような態様において、水性ガスシフトの後にシフトされた合成ガス生成物中に残るCOは、スイング吸着の間にCO2と分離させることが可能である。これはスイング吸着後のテールガス中の炭素の正味量を実質的に変化させないが、それはより大きい量のCOを含むことによって燃料価を増加させる。テールガス中のCOの量の増加のため、再生ステップで使用される他の燃料の量を相当する量まで減少させることが可能となる。そのような態様において、シフトされた合成ガス生成物中のH2対COの比率は、4.0~10、又は4.0~8.0であることが可能である。
【0116】
圧力スイング吸着(PSA)は、値の範囲を通して、吸着剤層上で圧力をスイング又はサイクルすることによる。PSAプロセスにおいて、気体混合物から除去されるべき、通常、汚染物質と考えられる1つ又はそれ以上の成分に対して選択的又は比較的選択的である固体吸収剤の第1の層上に一定期間、圧力下で気体混合物を導入する。例えば、供給圧力でPSA装置中に供給物を導入することが可能である。供給圧力において、1つ又はそれ以上の他の成分(気体)はより低いか、又は最小の吸着力によって通過することが可能であるが、供給物中の1つ又はそれ以上の成分(気体)を選択的に(又は比較的選択的に)(吸着)吸収させることが可能である。選択的に(吸着)吸収される成分(気体)を供給物の「重」成分と呼ぶことができ、一方、選択的に(吸着)吸収されない成分(気体)を供給物の「軽」成分と呼ぶことが可能である。便宜上、供給物の「重」成分という記載は、特に明記されない限り、選択的に(吸着)吸収される全ての成分(気体)を指すことが可能である。同様に、「軽」成分という記載は、特に明記されない限り、選択的に(吸着)吸収されない全ての成分(気体)を指すことが可能である。一定期間後、PSA装置への供給フローを停止することが可能である。供給フローは、予め定められた予定に基づくか、又は1つ若しくはそれ以上の重成分のブレークスルーの検出に基づくか、又は少なくとも(吸着)吸収剤の全容量の閾値百分率に相当する重成分の(吸着)吸収に基づくか、又は他の任意の都合のよい基準に基づき、停止することが可能である。次いで、反応器の圧力を、(吸着)吸収剤から(吸着)吸収された成分(気体)が選択的に放出可能である脱着圧力まで減少させることが可能である。任意選択的に、圧力減少の前、間及び/又は後に1つ又はそれ以上のパージガスを使用して、選択的に(吸着)吸収された成分(気体)の放出を可能にすることができる。性質次第で、任意選択的に完全PSAサイクルをほぼ一定の温度で実行することが可能である。PSAは通常、少なくとも吸着によって可能になり、且つ通常、気体成分上で生じるため、「吸着」/「吸着剤」及び「気体」という用語は、「吸着」/「吸着剤」/「吸収剤」/「吸収」及び「成分」がより一般に適用可能であるとしても、範囲に限定することを意図せずに、本明細書及び請求の範囲における記述として使用される。
【0117】
種々の態様において、改質流出物は、圧力スイング吸着プロセスの間のインプットフローとして使用可能である。合成ガスは、H2、H2O、CO及びCO2を含むことが可能である。そのような態様において、H2は軽成分に相当することが可能であるが、H2O、CO及びCO2は重成分に相当することが可能である。これは、Air Products and Chemicals of Allentown,PAから入手可能な吸着剤などのスイング吸着器で商業的に入手可能な吸着剤を使用して達成することが可能である。軽成分(H2)は、主要な生成物流として吸着器を通過することが可能である。圧力スイングプロセスを使用して、吸着された成分を脱着し、以前に吸着された成分を含有するテールガスを形成することが可能である。態様次第で、次の吸着サイクルのための吸着剤を調製するために、脱着の間、いくつかのH2をスイープガスの一部として使用することが可能である。任意選択的に、CO及び/又はCO2の追加的な除去が望ましい場合、圧力スイング吸着の前及び/又はその後、CO及び/又はCO2の補足的な吸着を実行することが可能である。補足的な吸着によって除去される任意の成分を、スイング吸着プロセスからテールガスに任意選択的に添加することが可能である。
【0118】
完全圧力スイング吸着サイクルは、最小限で、(インプットフローから1つ又はそれ以上の成分を吸着するための)吸着段階、及び(吸着された成分を除去することによって吸着剤を再生させるための)脱着段階を含む。連続又は半連続アウトプットフローを提供するために、複数の吸着剤層を使用することが可能である。完全サイクルを可能にするために複数の層を使用することが可能であり、そこで、典型的に、全ての層は順番に同一サイクルを通過する。第1のPSA反応器が、反応器中の吸着剤が十分に飽和するなどの条件を満たす場合、供給フローを第2の反応器に切り替えることが可能である。次いで、吸着された気体を放出することによって、第1のPSA反応器を再生することが可能である。連続供給フローを可能にするために、第1のPSA反応器が、反応器を切り替えるための条件を満たす少なくとも1つの他のPSA反応器の前の仕上げ再生であるように、十分な数のPSA反応器及び/又は吸着剤層を使用することが可能である。
【0119】
分離を実行するために、改質流出物の少なくとも一部分をPSA反応器に導入することが可能である。重成分の吸着を促進するために、流出物をPSA反応器に導入する前に改質流出物を冷却することが可能である。実行される冷却の量次第で、改質流出物は、それがPSA反応器に入る時に、10℃~150℃、又は10℃~100℃、又は20℃~150℃、又は20℃~100℃の温度を有することが可能である。改質流出物の圧力は、それがPSA反応器に入る時に、10bar-a(約1.0MPa-a)~60bar-a(約6.0MPa-a)、又は15bar-a(約1.5MPa-a)~50bar-a(約5.0MPa-a)、又は20bar-a(約2.0MPa-a)~60bar-a(約5.0MPa-a)、又は10bar-a(約1.0MPa-a)~40bar-a(約4.0MPa-a)、又は10bar-a(約1.0MPa-a)~30bar-a(約3.0MPa-a)であることが可能である。
【0120】
供給を別のPSA反応器へと切り替えるため、又は供給ガスの流れを他の様式で停止するための1つ又はそれ以上の予め定義された基準が満たされるまで、供給物をPSA反応器中に通過させることが可能である。いずれの都合のよい、予め定義された基準も使用することが可能である。例えば、指定された時間で供給を反応器に通すことが可能である。その上、又は代わりに、CO、CO2及び/又はH2Oのブレークスルー量が生成物H2流中で検出されるまで、供給を反応器中に通すことが可能である。さらにその上、又は代わりに、反応器に入ったCO2及び/又はH2Oの量が反応器の吸着性容量の閾値値とほぼ等しくなるまで、供給を反応器中に通過させることが可能である。そのような状況において、例えば、反応器に入ったH2O及び/又CO2の量が反応器中の吸着性材料の吸着性容量の75%以上、又は80%以上、又は85%以上、又は90%以上、例えば最高100%まで、又は可能であればさらに高い割合に等しくなるまで、供給を反応器中に通過させることが可能である。典型的なPSAサイクルは、約30秒~約300秒間、例えば約60秒~約120秒間、供給を反応器中に導入することを含む。
【0121】
1つ又はそれ以上のパージガスフローは、吸着されたCO2、H2O及びCOを反応器か除去するために使用されることが可能である。1つの選択肢は、吸着された成分を脱着させることを補助するための水素含有パージを使用することを含むことが可能である。
【0122】
吸着剤は、いずれの都合のよい形態で圧力スイング反応器中含まれることが可能である。いくつかの態様において、吸着剤は、充填層中の吸着剤の粒子に相当することが可能である。別の態様において、吸着剤粒子は、モノリスなどの規則的な構造に組み立てることが可能である。従来のモノリス吸着剤は、特徴的な利点及び不利な点を有し、その1つは、コーティング溶液が細孔入口を詰まらせ、さらなるコーティング材料の進入を妨げ得る場合、特にモノリスが比較的小さい直径の細孔を有する場合、支持体上で吸着剤の薄く且つ確実に均一な洗浄コーティングを形成することが困難であることである。この場合、モノリスの吸着特徴は、おそらく予測不可能であり、最適未満である。その低いねじれ及び予測可能な空隙体積を含むモノリスの利点をある程度維持しながら、この欠点を解決するために、粒子の表面上に吸着性材料の層を配置し、次いで吸着剤層に粒子を組み立てることによって、例えば、密充填層中の吸収容器中に直接充填することによって、又はより好ましくは、その後モノリスのブロックと同様にブロックの形態で容器中に充填することが可能である形成構造にコーティングされた構造化吸着剤粒子を形成することによって、粒子吸着剤を好ましくは疑似モノリスに形成することが可能である。実際に、モノリス製造の従来方法を逆転することが可能であり、そして支持体粒子及びモノリス様構造の外側にコーティングされた吸着剤をコーティングされた粒子から組み立てることが可能である。このように、本質的な吸着剤のより均一なコーティングを達成することが可能であるのみならず、異なる形状及び表面粗さの粒子を使用することによって疑似モノリスの細孔構造を制御することが可能である。このように作動させる場合、吸着剤粒子は、少なくとも2:1、好ましくは少なくとも5:1の長さ対最大断面寸法の比率を有するべきであり、最大断面寸法は典型的に5mm以下、例えば1mm以下である。粒子が、縦方向に広く、実質的に一直線に配列されたガスチャネルで規則的な構成で配置された後、次いで、粒子を全体的に一緒に束にして/接着して、密着した自立体を形成することが可能である。次いで、その全体を、規則的な吸着剤層を形成するために所望の配向で一直線に配置されたガス通路を有する容器中に配置することが可能である。吸着剤内の空隙率、すなわち、吸着剤を含有する容器の体積に対する、(ミクロ細孔及びマクロ細孔を含む)固体吸着剤の多孔性のための空隙体積及びガスフローチャネル又は割れ目のための空隙体積の比率は、0.5未満、又は0.3未満でなければならない。
【実施例】
【0123】
実施例1-酸素貯蔵とそれに続く酸素燃焼を使用する逆流反応器の加熱
酸素貯蔵とそれに続く酸素燃焼を使用する逆流反応器の加熱は、ウォッシュコートとしてモノリスに適用された酸素貯蔵成分と一緒にモノリスを含む逆流反応器中で実行された。本実施例において、25グラムの酸化マンガンを次の仕様でアルミナ基材上にウォッシュコートした:1平方インチあたり100セル(cpsi)、55%の開口前面面積(OFA)、2.35インチの直径(D)及び6インチの長さ(L)。マンガンがコーティングされた基材をそれぞれ次の仕様でアルミナ基材(未コーティング)の2つの断片の間に積み重ねた:100cpsi、55%OFA、2.35のD、3インチのL。このアセンブリを垂直に配置された逆流反応器中に装填した。反応器は長さ12インチであった。
【0124】
次いで、以下の手順を使用して、酸素を貯蔵し、次いで酸素燃焼を実行するために、周期的フローを反応器中に導入した。初期加熱手順は、反応器容器の温度を、逆流反応器に関して典型的な作動温度にするために使用された。初期加熱手順は、電気ヒーターによって容器を約300℃まで最初に加熱することによって実行された。次いで、容器中に加熱された空気及び水素の混合物を流すことによって、この容器を約650℃までさらに加熱した。ここで、フローの手順を表1に従って確立した。
【0125】
【0126】
表1中、ステップ1は燃焼ステップに相当する。ステップ1のガスフロー中の水素は、酸素貯蔵成分中に以前に貯蔵された酸素と反応し、熱を生じる。燃焼ステップのための流速は、1分あたり20標準リットルで相対的に低い。ステップ2は、1分あたり80標準リットルのより高い流速で、窒素に相当する。ステップ2の窒素も反応器を通して流れるように導入されるが、他のステップのフローとは異なり、反応器を通して下方へ移動する。ステップ2の向流性質は、反応器の長さに関して対称性の温度プロファイルを提供することを補助することができる。態様次第で、非対称の温度プロファイルが望ましくなり得る。ステップ2は、反応器からのいずれの残留H2もパージする。ステップ3は、酸素貯蔵ステップに相当する。ステップ3において、1分あたり50標準リットルの空気が反応器に導入される。これは、酸素貯蔵成分中の酸素を補充する。ステップ4は、次のサイクルのステップ1が開始する時に、ガス相酸素が反応器内に存在しないように、窒素パージステップに相当する。
【0127】
約2時間後に、容器は、
図7に示される温度に達した。このデータは、このプロセスによって、水素と、マンガン基材上に貯蔵された酸素との燃焼から熱が生じたことを示す。
【0128】
なお、上記の実施例において、酸化マンガンは、バインダーを使用することなく、酸化アルミニウム表面へのウォッシュコートとして添加された。この試験の相対的に短い性質のため、酸化マンガンは、モノリスを加熱するために有効であった。しかしながら、2時間後、モノリスの検査をしたところ、酸化マンガンがモノリス表面から剥離したことが分かった。したがって、適切なバインダーを使用しない場合、酸化マンガンは、表面上に堆積したままであるために十分な構造安定性を有さなかった。
【0129】
実施例2-30%の高い熱容量ガスを含む再生希釈剤
パイロットスケール反応器(約12インチ/約30cmの長さ)を使用して、逆流反応器システムの作動に及ぼす燃焼ガス出口温度の変更の影響及び利益を調査した。本明細書に提供される例は単一反応器からの結果に相当するが、当業者は複数の逆流反応器を含む反応システムへの以下の結果の適用を容易に理解するであろう。
【0130】
パイロット反応器を使用して、種々の種類の希釈剤ガスを使用し、逆流反応器中で蒸気改質を実行した。蒸気改質は、2scf/分のメタン供給速度で実行された。再生ステップの間の流速は約18scf/分(約510リットル/分)であった。これは、約16.1scf/分(約455リットル/分)の希釈剤及び燃料として1.9scf/分(約55リットル/分)のH2を含んだ。反応ステップ及び再生ステップの両方に関する反応器の圧力は150psig(約1000kPa-g)であった。
【0131】
図4Aは、燃料及び希釈剤の組成物が反応器の再生ステップの間に経時的にどのように変わったのかを示す。最初に、再生の間の反応器へのフローの10.6体積%は、燃料としてのH
2に相当した。初期の期間に、N
2は実質的に全ての希釈剤として使用されたが、燃焼反応のために酸化体を提供するために空気を使用することのために、空気中に典型的に存在する他のガスのいくらかのより少ない量が含まれた。これらの他のガスは、希釈剤の15体積%未満に相当した。
【0132】
反応器を特徴づけるために、再生ガスが入る反応器の端部から4インチ(約10cm)において温度をサンプリングした。この位置は、反応器内の温度プロファイルの最大の位置にほぼ相当する。
図4Bは、時間の関数としてのこの位置における温度を示す。
図4Bに示すように、初期の期間に測定された位置反応器の温度は、1200℃よりわずかに高かった。
図4Bは、温度が再生ステップの端部での約1220℃の最大及びメタン改質ステップの端部での約800℃の最小の間でサイクルされたことも示す。これは、約420℃の再生ステップと反応ステップとの間の温度差を表す。
【0133】
約500秒の作動後、
図4Aは、5.0標準立方フィート/分(約140リットル/分)のN
2希釈剤が、5.0標準立方フィート/分(約140リットル/分)のCO
2と置き換わることを示す。これは、約30体積%の希釈剤をCO
2と置き換えることに相当した。他のインプットフローの温度、圧力及び体積を同一に維持した。
図4Bに示すように、これによって、1200℃より高い温度から1100℃未満の温度への最大温度の減少が得られた。次に、燃料組成物は、1200Cより高い温度までピークの温度を戻すために増加させる。このように、より高い燃料組成物を使用して、反応器内で同一温度プロファイルを作成した。これは、全希釈剤を約15%減少することによって達成される。再生の間の再生体積フローが減少して、反応ステップの間に実行される改質の量は実質的に同一のままだった。これは、まだ類似の反応性を達成しながら、反応器内の再生体積フローを減少するための希釈剤としてのN
2を置き換えるためにCO
2を使用することができることを実証する。反応ステップの間、同一又は類似の活性レベルを維持しながらも、作動温度の減少を維持することができたことを確認するために、約2000秒間、反応器を作動させた。
【0134】
2500秒において、追加的なN
2を希釈剤から除去した。N
2を他の希釈剤と置き換える代わりに、
図4Aは、H
2の量がインプットフローの10.6体積%から約12.2体積%まで増加したことを示す。再生の間に生じる追加的な熱によって、反応ステップの間に追加的な改質が実行されることが可能となるため、このような燃料の量の増加はプロセス強化を表す。
図4Bに示すように、これによって、反応器の最大温度は1200℃よりわずかに高い温度まで増加した。したがって、再生の間に希釈剤の約10体積%をCO
2に置き換えることによって、約1.5体積%の再生の間に使用される燃料の量の増加(又は開始量に対して約15%の増加)が可能となり、したがって、反応ステップの間の追加的なメタンのH
2への変換が可能となった。
【0135】
図5は、
図4A及び
図4Bにおける条件と類似の条件下で実行される改質のためのサイクルに対するメタン変換時間を示す。
図5に示すように、30体積%のCO
2を含むように希釈剤を変性することによって、希釈剤としてN
2のみを用いて再生ステップを作動する場合と実質的に同じ変換が得られた。
【0136】
追加的な実施形態
実施形態1.吸熱反応を実行する方法であって、逆流反応器を任意選択的に含む反応器内の燃焼領域において、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル又はその組合せを含む金属酸化物系、及び酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム又はその組合せを含むバインダーを含む酸素貯蔵成分に酸素含有流を暴露し、酸化された酸素貯蔵成分を形成すること;燃焼条件下で、燃料流及び作業流体を含み、20体積%以上のCO2を含む燃料混合物を、酸化された酸素貯蔵成分と反応させて、燃焼ガスを形成し、反応領域中の1つ又はそれ以上の表面を600℃以上の再生された表面温度まで加熱すること;燃焼ガスの少なくとも一部分をリサイクルして、作業流体の少なくとも一部分を形成すること;並びに再生された表面温度において、吸熱試薬流を反応領域の1つ又はそれ以上の表面に暴露して、吸熱生成物流を形成することを含み、反応領域中の吸熱試薬流の流れ方向が燃料混合物の流れ方向に対して逆である方法。
【0137】
実施形態2.酸素貯蔵成分が、酸素貯蔵成分の重量に対して20重量%~80重量%のバインダーを含む、実施形態1に記載の方法。
【0138】
実施形態3.吸熱試薬流がH2Oを含み、且つ吸熱生成物流が、吸熱試薬流の温度より高温のH2Oを含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0139】
実施形態4.吸熱生成物流が吸熱反応生成物流を含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0140】
実施形態5.1つ又はそれ以上の表面が触媒組成物を含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0141】
実施形態6.1つ又はそれ以上の表面の少なくとも一部分が燃焼領域にある、上記実施形態のいずれかの方法。
【0142】
実施形態7.吸熱試薬流が炭化水素を含み、吸熱生成物流が改質流出物を含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0143】
実施形態8.改質流出物を水性ガスシフト反応条件に暴露して、シフトされた合成ガス生成物流を形成すること;及び圧力のスイング吸着によってシフトされた合成ガス生成物流を分離して、H2含有流及びCO2を含む流れを形成することをさらに含み、燃料混合物が、任意選択的にCO2を含む流れの少なくとも一部分を含む、実施形態7の方法。
【0144】
実施形態9.燃焼ガスの少なくとも一部分をリサイクルして、作業流体の少なくとも一部分を形成することが、燃焼ガスを分離して、少なくともCO2含有流及び作業流体の少なくとも一部分を形成することを含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0145】
実施形態10.燃焼条件が0.5MPa-g~7.0MPa-gの燃焼圧力を含み、酸素貯蔵条件が、任意選択的に、酸素貯蔵圧力を含み、燃焼圧力との差が3.0MPa以下である、上記実施形態のいずれかの方法。
【0146】
実施形態11.燃料混合物を反応させた後、及び1つ又はそれ以上の表面を吸熱試薬に暴露する前に、酸素貯蔵成分を補足酸素含有流に暴露することをさらに含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0147】
実施形態12.酸素含有流を酸素貯蔵成分に暴露することが、空気を酸素貯蔵成分に暴露して、欠乏空気流を形成することを含み、方法が、欠乏空気流をタービンの燃焼領域に通過させることをさらに含み、欠乏空気流が、任意選択的に12体積%~16体積%のO2を含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0148】
実施形態13.作業流体が25体積%以上のCO2を含む、上記実施形態のいずれかの方法。
【0149】
実施形態14.反応器入口端部と、再生器入口端部と、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル又はその組合せを含む金属酸化物系、及び酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化イットリウム又はその組合せを含むバインダーを含む酸素貯蔵成分を含む再生領域とを含む反応器;並びに反応器入口端部と再生器入口との間で断続的な流体連通を提供するリサイクルループを含む逆流反応器システムであって、リサイクルループが、リサイクル圧縮器、燃料源入口、酸素含有ガス入口及びCO2含有ガス出口を含む、逆流反応器システム。
【0150】
実施形態15.酸素貯蔵成分が、酸素貯蔵成分の重量に対して20重量%~80重量%のバインダーを含む、実施形態14の逆流反応器システム。
【0151】
本発明が特定の実施形態を参照することによって説明されて、示されるが、当業者は、本発明が本明細書中に必ずしも示されていない変形に関することを認識する。この理由から、本発明の真の範囲を決定する目的のために、添付の請求の範囲のみが単に参照されるべきである。