(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】要素を取り扱うためのシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20241205BHJP
B25J 15/04 20060101ALI20241205BHJP
B65G 47/90 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B25J19/00 Z
B25J15/04 A
B25J15/04 C
B65G47/90 A
(21)【出願番号】P 2021567843
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2020063166
(87)【国際公開番号】W WO2020229458
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-27
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520047624
【氏名又は名称】オープン マインド ベンチャーズ エス.エル.ユー.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】バルセルズ マルカデ アントニ
(72)【発明者】
【氏名】グイメラ ペドロラ アントニ
(72)【発明者】
【氏名】カルレル ヴィーヴェス ジョセプ エム
(72)【発明者】
【氏名】バルセルズ ビベス ベルナット
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04392775(US,A)
【文献】特開2001-030028(JP,A)
【文献】特開2005-271073(JP,A)
【文献】特開平03-256686(JP,A)
【文献】実開平07-027785(JP,U)
【文献】特開昭60-123288(JP,A)
【文献】米国特許第03182808(US,A)
【文献】実開平04-131270(JP,U)
【文献】実開昭62-074989(JP,U)
【文献】特開2004-322309(JP,A)
【文献】特開平06-091573(JP,A)
【文献】特開2009-200532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0240979(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03040297(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/06-19/02
A63B 69/36
B23K 10/00
B65G 47/90-57/00
B66F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
要素を取り扱うためのシステムであって、一方の端部に少なくとも1つのツール(2)が設けられたロボットアーム(1)を備え、複数の剛毛(20)が生えている支持プレート(10)をさらに備え、支持プレート(10)から離れた剛毛(20)の端部は、前記要素を受け取ることを意図した支持面を画定
し、
前記ツール(2)は、前記ロボットアーム(1)の端部に取り付けられた少なくとも1つのアクチュエータ(3)と、前記少なくとも1つのアクチュエータ(3)に取り外し可能に取り付けられるか又は前記ロボットアーム(1)に直接接続される少なくとも1つのアダプタ(4)とを備え、
前記少なくとも1つのアダプタ(4)は、2つの別々の半部(7、8)を備え、
アダプタ(4)の各半部(7、8)は、固定部(71、81)と、交換可能部(72、82)とを備え、
前記ツール(2)は、少なくとも1つの突起を備える、要素を取り扱うためのシステム。
【請求項2】
前記突起は、前記交換可能部(72、82)の少なくとも1つに配置される、請求項
1に記載の要素を取り扱うためのシステム。
【請求項3】
前記アダプタ(4)の半部(7、8)は、互いに相対的に接近および離反するように移動可能である、請求項
1または
2に記載の要素を取り扱うためのシステム。
【請求項4】
支持プレート(10)と剛毛(20)とのセットは、単一の部品である、請求項1に記載の要素を取り扱うためのシステム。
【請求項5】
支持プレート(10)と剛毛(20)のセットは、ポリマーで作られている、請求項
4に記載の要素を取り扱うためのシステム。
【請求項6】
前記剛毛(20)は、柔軟性のある材料で作られている、請求項1または
5に記載の要素を取り扱うためのシステム。
【請求項7】
前記ツール(2)は、前記ロボットアーム(1)の端部に取り付けられた少なくとも1つのアダプタ(4)と、前記少なくとも1つのアダプタ(4)に取り外し可能に取り付けられた少なくとも1つのパンチング要素(9)とを備える、請求項1に記載の要素を取り扱うためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地、紙、野菜、生豆、電線、都市ごみ、使用済み飲料缶、テトラ・ブリックなど、層状、不規則、湿潤、柔軟などの性質の要素を取り扱うためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、機械的要素のセットに正規に固定され、支持面を形成しているブラシが知られており、この支持面は静止していても、移動可能でも、あるいはエンドレスのコンベヤベルトのようにもできる。
【0003】
前記表面は、さまざまな産業分野において、持ち上げられる必要のある要素、通常の平らな表面に接触して取り扱うことが困難な要素、または剛性のある連続した表面に接触することができない要素を輸送および/または取り扱うために使用される。
【0004】
一方、異なるツールを使って異なる作業を行うロボットシステムが知られている。これらのロボットシステムは、非常に汎用性が高く、前記ツールの特殊化により、異なる作業を行うことができる。
【0005】
重力を利用した、つまり、下部により収集され支持される理想的な取り扱い方法を有する特定の要素または製品がある。これらの要素には、織物、布、プラスチックなどの層状要素、柔軟性のある部品やケーブル、非常に不規則な物体、表面が湿っている物体、繊細な葉物野菜食品、都市ゴミ、使用済み飲料缶、テトラ・ブリックなどがある。
【0006】
通常、これらの要素は平らな面に置かれていて、適切な方法で、支持面や要素自体を傷つけることなく拾うことが困難である。
【0007】
最適な収集のためには、その特徴、不規則な形状、表面の汚れなどのために、個別または複数の収集および荷降ろしを可能にするために、完全に穴を開ける(パンチのように)必要がある要素もある。これは、ゴミや廃棄物の場合もある。
【0008】
したがって、その取り扱い、つまり、掴む、固定する、輸送する、解放することを容易にする、要素を取り扱うためのシステムが必要であることは明らかである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の欠点は、本発明の要素を取り扱うためのシステムによって解決され、以下に説明する他の利点を提示する。
【0010】
本発明による要素を取り扱うためのシステムは、一方の端部に少なくとも1つのツールが設けられた少なくとも1つのロボットアームであって、ローディングおよびアンローディング操作(マルチピッキング)におけるロボットアームの動きを最適化する、ロボットアームと、複数の剛毛が生えている(emerge)支持プレートであって、支持プレートからさらに離れた剛毛の端部は、前記要素を受け取ることを意図した支持面を定義する、支持プレートと、を備える。
【0011】
この特徴に起因して、前記支持面の剛毛がそれらの間にロボットアームのツールのために空間を定義するので、支持面上の要素の取り扱いがより簡単になる。
【0012】
好ましい実施形態によれば、前記ツールは、前記ロボットアームの端部に取り付けられ少なくとも1つのアクチュエータと、前記少なくとも1つのアクチュエータに取り外し可能に取り付けられた少なくとも1つのアダプタとを備えるか、または、例えば、アダプタが物体を集めるためのシャベルまたはパンチだけの場合には、ロボットアームに直接取り付けられたアダプタを備えるか、または、下から物体を拾って上から押す場合には、クランプのようなアクチュエータと、指のようなアダプタとを備える。ツールの部分、その必要性および配置は、可変である。この変化は、用途の要件(例えば、輸送時の移動速度)または取り扱う対象物の特徴(表面が滑りやすい、材料の一部がデリケートであるなど)に由来する。
【0013】
さらに、アクチュエータに取り付けられた前記アダプタは、有利には2つの別々の半部を備え、アダプタの各半部は、好ましくは固定部と交換可能部を備える。
【0014】
取り扱いをさらに容易にするために、前記ツールは、好ましくは前記交換可能部の少なくとも1つに配置された、少なくとも1対の突起を備える。
【0015】
さらに、前記アダプタの半部は、取り扱うべき要素の固定を容易にするために、両部の突起も互いに相対移動可能であるように、互いに相対的に接近および離間可能である。
【0016】
好ましい実施形態によれば、支持プレートと剛毛とのセットは、例えば、ポリマーで作られた単一の部品である。
【0017】
さらに、前記剛毛は、柔軟な材料で作られていて、これにより、下方領域から要素を取り扱うために、その間にロボットアームのツールを導入することが容易になる。
【0018】
これまで述べてきたことをよりよく理解するために、実用的な実施形態が単に非限定的な例として概略的に描かれているいくつかの図面が添付される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明による要素を取り扱うためのシステムのロボットアームの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明による要素を取り扱うためのシステムの支持面を形成するブラシの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明による要素を取り扱うシステムの使用中の立面図である。
【
図4】
図4は、第2の代替的な実施形態による、本発明による要素を取り扱うためのシステムのロボットアームの斜視図である。
【
図5】
図5は、第3の代替的な実施形態による、本発明による要素を取り扱うためのシステムのロボットアームの斜視図である。
【
図6】
図6は、第4の代替的な実施形態による、本発明の要素を取り扱うためのシステムの使用中の斜視図である。
【
図7】
図7は、第5の代替的な実施形態による、本発明の要素を取り扱うためのシステムの使用中の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
アダプタを交換するためのシステムは、ロボットアーム1を備え、その一方の端部には、一般に参照番号2で識別される、1つのツールが、またはマルチピッキング(
図5)の場合には複数のツールが配置されている。
【0021】
図示されている実施形態によれば、ツール2は、アクチュエータ3と、少なくとも1つのアダプタ4とを備える。前記アクチュエータ3は、例えば、クランプであり、ロボットアーム1の一方の端部に固定されている(
図1)。
【0022】
ただし、ツールは、任意のアクチュエータと1つだけのアダプタとを備えなくてもよく(
図4)、複数のアクチュエータを備えてもよく(
図5)、複数のアダプタを備えてもよいことに留意すべきである。
【0023】
前記アダプタ4は、上半部7と下半部8との2つの半部で構成される。各半部7、8は、アクチュエータ3に固定された固定部71、81と、交換可能部72、82との2つの部分で構成される。前記交換可能部72、82は、ロボットアームが取り扱うべき要素と相互作用する部分である。
【0024】
本発明による取り扱うためのシステムはまた、好ましくは複数のブラシで構成された支持面を備え、そのうちの1つは
図2に示されている。
【0025】
ブラシは、複数の可撓性のある剛毛20が延びる支持プレート10を備え、特に、剛毛20は前記支持プレート10の上面から延びている。
【0026】
好ましい実施形態によれば、支持プレート10と剛毛20とのセットは、例えば、ポリマーで作られた単一の部品である。
【0027】
前記剛毛20は、
図3に示すように、異なる要素、この場合は布や紙などの層状のもの30の支持面を規定する。
【0028】
図1および
図3に見られるように、前記交換可能部72、82は、支持面、この場合は層状要素の取り扱いを容易にするコンベアベルト、を構成するブラシの剛毛20の間に導入される突起を備える。さらに、これらは可撓性のある剛毛であるため、ロボットのツールが進入するときには複数の可撓性のある剛毛20が動くので、支持面または取り扱うべき要素を損傷することなく、前記交換部72、82を取り扱うべき部分の下方に配置することができる。
【0029】
要素30の固定を容易にするために、アダプタ4の上半部および下半部7、8は、アクチュエータの作用により、離れたり近づいたりすることができるように互いに移動可能であり、したがって、交換可能部72、82の突起をさらに遠ざけたり近づけたりすることもできる。
【0030】
図3に見られるように、剛毛20の間に規定された空間は、ツール2、特にその突起部を層状要素30の下面の下に配置することを可能にし、その取り扱いを容易にする。
【0031】
図4に示す代替的な実施形態によれば、ロボットアームは、アクチュエータ3を必要とせずに、その上に直接結合されたアダプタ4を有する。
【0032】
図5に示す別の代替的な実施形態によれば、ロボットアームは、複数の同時収集タスクを実行するために、そのそれぞれのアダプタ4と一緒に結合された複数のアクチュエータ3を有する。
【0033】
図6に示す別の代替的な実施形態によれば、ロボットアームは、そのそれぞれのアダプタ4と一緒に結合されたアクチュエータ3を有し、その設計は、例えば繊細な葉物野菜のような繊細な物体5の重力的方法での収集に有利である。
【0034】
図7に示す別の代替的な実施形態によれば、ロボットアームは、その上に結合されたアダプタ4を有し、その設計は、都市の廃棄物やゴミなど、パンチングされるのに適した物体6を収集するためのパンチング要素9を組み込んでいる。
【0035】
本発明の特定の実施形態に言及したにもかかわらず、これまで説明してきた取り扱うためのシステムは、多くの変形や変更が可能であり、添付の特許請求の範囲によって定義される保護の範囲から逸脱することなく、言及されたすべての詳細を他の技術的に同等のものと置き換えることができることは、当業者にとって明らかである。