(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ドア開閉判定装置、電子錠及びドア開閉判定方法
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20241205BHJP
G01V 3/08 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E05B47/00 H
E05B47/00 U
G01V3/08 Z
(21)【出願番号】P 2022000717
(22)【出願日】2022-01-05
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】518135412
【氏名又は名称】株式会社リクルート
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 健翁
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111140092(CN,A)
【文献】特開2019-49927(JP,A)
【文献】特開2015-169636(JP,A)
【文献】特開2015-215179(JP,A)
【文献】特開2004-44109(JP,A)
【文献】特開2004-309228(JP,A)
【文献】特開平4-262205(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003487(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0162012(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0140782(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113062658(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05F 1/00-17/00
G01V 1/00-99/00
G08B 23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子錠が装備されるドアに設置するドア開閉判定装置であって、
地磁気を検出する地磁気センサと、
前記地磁気センサから所定回数分の測定値を取得する取得部と、
取得された所定回数分の測定値を用いて代表値を算出する算出部と、
前記ドアが閉まった状態であるときに前記取得部により取得された所定回数分の測定値を用いて前記算出部により算出された代表値を、基準測定値として記憶する記憶部と、
前記地磁気センサから出力される所定回数分の測定値に基づいて前記ドアの開閉状態を判定する判定部と、
判定された前記ドアの開閉状態を含むドア開閉情報を前記電子錠に送信する送信部と、
を備え
、
前記ドアの開閉状態を判定するときに、
前記取得部が、前記地磁気センサから所定回数分の測定値をさらに取得し、
前記算出部が、前記取得部によりさらに取得された所定回数分の測定値を用いて代表値をさらに算出し、
前記判定部が、前記算出部によりさらに算出された代表値及び前記基準測定値に基づいて、前記ドアの開閉状態を判定する、
ドア開閉判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記算出部によりさらに算出された
、前記地磁気センサのX軸の値を横軸とし、前記地磁気センサのY軸の値を縦軸とするグラフにおける代表値と前記基準測定値との間の距離が、閾値以下である場合に、前記ドアが閉まっていると判定する一方、前記算出部によりさらに算出された代表値と前記基準測定値との間の距離が、前記閾値よりも大きい場合に、前記ドアが開いていると判定する、
請求項
1記載のドア開閉判定装置。
【請求項3】
前記閾値は、前記基準測定値を算出する際に取得された所定回数分の測定値のうち、前記基準測定値から最も離れた測定値と前記基準測定値との間の距離である、
請求項
2記載のドア開閉判定装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載のドア開閉判定装置を同一筐体内に備える電子錠であって、
前記ドア開閉情報を受信する受信部と、
受信された前記ドア開閉情報に基づいて前記ドアの開閉ステータスを更新するステータス更新部と、
をさらに備える、
電子錠。
【請求項5】
電子錠が装備されるドアに設置するドア開閉判定装置により実行される方法であって、
地磁気を検出する地磁気センサから所定回数分の測定値を取得するステップと、
取得された所定回数分の測定値を用いて代表値を算出するステップと、
前記ドアが閉まった状態であるときに前記取得するステップにおいて取得された所定回数分の測定値を用いて前記算出するステップにおいて算出された代表値を、基準測定値として記憶するステップと、
前記地磁気センサから出力される所定回数分の測定値に基づいて前記ドアの開閉状態を判定するステップと、
判定された前記ドアの開閉状態を含むドア開閉情報を前記電子錠に送信するステップと、
を含
み、
前記ドアの開閉状態を判定するときに、
前記取得するステップにおいて、前記地磁気センサから所定回数分の測定値をさらに取得し、
前記算出するステップにおいて、前記取得するステップにおいてさらに取得された所定回数分の測定値を用いて代表値をさらに算出し、
前記判定するステップにおいて、前記算出するステップにおいてさらに算出された代表値及び前記基準測定値に基づいて、前記ドアの開閉状態を判定する、
ドア開閉判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉判定装置、電子錠及びドア開閉判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、自動スイング式のドア本体に取り付けられるドアセンサが開示されている。このドアセンサは、ドアのアプローチ側から人が近づいて来ると、人の存在を検知し、ドア本体の開放側へのスイング動作を開始させる。そして、ドア本体の開放側のスイング領域内に人が存在することを検知すると、スイング動作を停止させるかスイング速度を減速させる。
【0003】
このドアセンサは、赤外線発光ダイオードによる光を床面に向けて投射し、その光の反射光に基づいて、人の存在を検知し、ドア本体のスイング動作を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、ドアに電子錠を取り付ける場合、ドアが閉まっていて鍵が開いたままになっているときに自動で施錠する機能があると便利である。このような機能をドアに付加する場合、特許文献1のように人の存在を検知することではなく、ドアの開閉状態を検知することが重要になる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ドアの開閉状態を的確に判定することができるドア開閉判定装置、電子錠及びドア開閉判定方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様であるドア開閉判定装置は、電子錠が装備されるドアに設置するドア開閉判定装置であって、地磁気を検出する地磁気センサと、前記地磁気センサから出力される所定回数分の測定値に基づいて前記ドアの開閉状態を判定する判定部と、判定された前記ドアの開閉状態を含むドア開閉情報を前記電子錠に送信する送信部と、を備える。
【0008】
上記地磁気センサから所定回数分の測定値を取得する取得部と、取得された所定回数分の測定値を用いて代表値を算出する算出部と、前記ドアが閉まった状態であるときに前記取得部により取得された所定回数分の測定値を用いて前記算出部により算出された代表値を、基準測定値として記憶する記憶部と、をさらに備え、前記ドアの開閉状態を判定するときに、前記取得部が、前記地磁気センサから所定回数分の測定値をさらに取得し、前記算出部が、前記取得部によりさらに取得された所定回数分の測定値を用いて代表値をさらに算出し、前記判定部が、前記算出部によりさらに算出された代表値及び前記基準測定値に基づいて、前記ドアの開閉状態を判定してもよい。
【0009】
上記判定部は、前記算出部によりさらに算出された代表値と前記基準測定値との間の距離が、閾値以下である場合に、前記ドアが閉まっていると判定する一方、前記算出部によりさらに算出された代表値と前記基準測定値との間の距離が、前記閾値よりも大きい場合に、前記ドアが開いていると判定してもよい。
【0010】
上記閾値は、前記基準測定値を算出する際に取得された所定回数分の測定値のうち、前記基準測定値から最も離れた測定値と前記基準測定値との間の距離であってもよい。
【0011】
本発明の他の態様である電子錠は、上記のドア開閉判定装置を同一筐体内に備える電子錠であって、前記ドア開閉情報を受信する受信部と、受信された前記ドア開閉情報に基づいて前記ドアの開閉ステータスを更新するステータス更新部と、をさらに備える。
【0012】
本発明の他の態様であるドア開閉判定方法は、電子錠が装備されるドアに設置するドア開閉判定装置により実行される方法であって、地磁気を検出する地磁気センサから出力される所定回数分の測定値に基づいて前記ドアの開閉状態を判定するステップと、判定された前記ドアの開閉状態を含むドア開閉情報を前記電子錠に送信するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドアの開閉状態を的確に判定することができるドア開閉判定装置、電子錠及びドア開閉判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る電子錠の使用例を示す模式図である。
【
図3】
図3(A)は、初期設定時のドアの状態と方位との関係を表す模式図であり、
図3(B)は、初期設定時に地磁気センサから取得した所定回数分の測定値をグラフ上にプロットした状態を表す模式図である。
【
図4】
図4(A)は、開閉判定時のドアの状態と方位との関係を表す模式図であり、
図4(B)は、
図3(B)と同じグラフ上に、開閉判定時に地磁気センサから取得した所定回数分の測定値に基づいて算出した代表値を表した模式図である。
【
図5】
図5(A)は、開閉判定時のドアの状態と方位との関係を表す模式図であり、
図5(B)は、
図3(B)と同じグラフ上に、開閉判定時に地磁気センサから取得した所定回数分の測定値に基づいて算出した代表値を表した模式図である。
【
図6】実施形態に係る電子錠の動作を例示するフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る電子錠の動作を例示するフローチャートである。
【
図8】変形例に係るドア開閉判定装置及び電子錠の構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。また、図面は模式的なものであるため、各構成要素の寸法や比率は実際のものとは相違する。
【0016】
図1は、変形例に係る電子錠の使用例を示す模式図である。同図に示すように、電子錠2は、例えば、玄関のドア1の内側にあるレバーハンドル3の上方に取り付けられる。ユーザは、屋内又は屋外で図示しない操作端末を操作して電子錠2を作動させることができる。端末装置には、電子錠2を操作するためのアプリケーションがインストールされ、電子錠2は、端末装置から送信される操作命令に従って施錠又は解錠する。
【0017】
図2に示すように、電子錠2は、例えば、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、地磁気センサ24と、錠前機構25とを備える。
【0018】
制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されているプログラム221を実行することにより、電子錠2の各種機能を実現する。
【0019】
記憶部22は、例えば半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。記憶部22には、例えば、電子錠2の各種機能を実現するためのプログラム221や、そのプログラム221で使われる各種のデータ等が格納される。
【0020】
各種のデータには、例えば、基準値情報222やステータス情報223が含まれる。基準値情報222の詳細は後述するが、例えば、ドア1が閉まっているときに測定された値の代表値である基準測定値を含むことができる。ステータス情報223は、例えば、ドア1の開閉状態を含むことができる。ドア1の開閉状態には、例えば、ドア1が開いている状態及びドア1が閉まっている状態の他、ドア1がどの程度開いているのかを示す情報を含むことができる。
【0021】
通信部23は、ネットワークに接続し、ネットワーク上の他の端末と通信するためのインタフェースであり、受信部や送信部として機能する。通信は無線通信の他、有線通信に対応してもよい。
【0022】
地磁気センサ24は、地磁気を検出するセンサである。地磁気センサとして、2軸タイプと3軸タイプのいずれを用いてもよい。
【0023】
錠前機構25は、錠前により構成され、制御部21からの指示に従って施錠又は解錠を行う機構である。
【0024】
なお、本実施形態では、電子錠2が錠前機構25を備える場合について説明するが、錠前機構25を備えずに、ドア1に内蔵されている錠前の部分に後付けする電子錠にも本発明を適用することができる。この場合の電子錠は、錠前機構25の替りに、錠前を作動させるサムターンのつまみ部を回転させる機構を備えることとすればよい。
【0025】
ここで、地磁気センサ24の替りに、磁気センサを用いることも考えられる。しかしながら、磁気センサを用いると、磁気センサに加え、磁石をさらに備える必要がある。この場合、ドアの周縁部に磁石を取り付け、ドアを閉めたときに磁石の近傍に位置するように磁気センサをドア開口側の壁に取り付けることになる。したがって、磁気センサと磁石は、電子錠と別筐体にして取り付ける必要があり、さらに磁気センサ及び磁石の取り付け位置が限定されることになる。
【0026】
また、磁気センサと電子錠とを別筐体にする場合、電力の使用量を極力節約するために、一般的に、低消費電力の無線通信技術を適用することになる。この場合、電子錠が受信専用に設定され、その電子錠に対して複数のメッセージが同時に送信されると、最初のメッセージ以外は受信できないことが起こり得る。受信できないメッセージがあると、そのメッセージに対する動作が抜け落ちてしまい、誤作動の要因になる。
【0027】
これに対し、地磁気センサ24を用いると、取り付け位置に対する自由度が増し、ドアのどの位置にでも取り付けることが可能になる上、電子錠と同一筐体内に地磁気センサ24を設けることも可能になる。同一筐体内に設ける場合、地磁気センサ24と電子錠とを同一基板上に設けることも可能となる。その場合、地磁気センサ24側と電子錠との間で有線を用いた双方向通信を容易に実現できるようになるため、誤作動の要因を低減することができる。
【0028】
制御部21により実現される電子錠2の各種機能には、例えば、取得部211、算出部212、判定部213及び更新部214が含まれる。各機能について以下に説明する。
【0029】
取得部211は、地磁気センサ24から所定回数分の測定値を取得する。測定値を取得するタイミングには、例えば、初期設定するとき(以下、「初期設定時」ともいう。)と、ドア1の開閉状態を判定するとき(以下、「開閉判定時」ともいう。)と、が含まれる。初期設定は、ドア1が閉まった状態で行うことが好ましい。
【0030】
所定回数は、測定後の各測定値の誤差などを考慮して、適宜好適な回数を設定することができる。本実施形態では、例示的に、所定回数を50回に設定した場合について説明する。
【0031】
算出部212は、取得部211により取得された50回分の測定値を用いて代表値を算出する。代表値として、例えば、最頻値(最多測定値)、平均値、中央値のいずれかを用いることができる。代表値を算出するタイミングには、例えば、初期設定時と開閉判定時とが含まれる。
【0032】
上述した基準値情報222には、例えば、初期設定時に、ドア1を閉めた状態で取得部211により取得された50回分の測定値を用いて算出部212により算出された代表値が、基準測定値として格納されることになる。
【0033】
図3を参照して基準測定値について説明する。
図3(A)は、初期設定時のドア1の状態と方位Pとの関係を模式的に表した図である。同図は、初期設定時に、ドア1が閉まった状態であり、南北の方向がドア1の長軸方向と略垂直に交わる状態になっていることを例示している。
【0034】
図3(B)は、初期設定時に地磁気センサ24から取得した所定回数分の測定値をグラフ上にプロットした状態を表している。グラフの横軸が地磁気センサ24のX軸の値を示し、縦軸が地磁気センサ24のY軸の値を示す。
【0035】
同図のグラフ上のa点が、各測定値の代表値として算出され、基準測定値として表されている。グラフ上のb点が、a点から最も離れた位置にある測定値として表されている。a点とb点とを結ぶ線分abの長さが、後述する閾値となる。この閾値は、判定部213がドア1の開閉状態を判定する際に用いる基準値となる。a点を中心とし、線分abを半径とする円がグラフ上に仮想的に表示されている。
【0036】
地磁気センサ24から取得した所定回数分の測定値、b点の測定値、及び線分abの長さである閾値を、基準値情報222にさらに含めて記憶することが好ましい。
【0037】
図2に示す判定部213は、ドアの開閉判定時に算出部212により算出された代表値と、記憶部22に記憶されている基準値情報222と、に基づいて、ドアの開閉状態を判定する。以下において、詳細に説明する。
【0038】
判定部213は、開閉判定時に算出部212により算出された代表値と、基準値情報222に含まれる基準測定値との間の距離が、基準値情報222に含まれる閾値以下である場合に、ドア1が閉まっていると判定する。他方、判定部213は、開閉判定時に算出部212により算出された代表値と、基準測定値との間の距離が、閾値よりも大きい場合に、ドア1が開いていると判定する。
図4及び
図5を参照して具体的に説明する。
【0039】
図4(A)は、開閉判定時のドア1の状態と方位Pとの関係を模式的に表した図である。同図は、開閉判定時に、ドア1が閉まった状態であり、南北の方向がドア1の長軸方向と略垂直に交わる状態になっていることを例示している。
【0040】
図4(B)では、基準値情報222に基づく
図3(B)と同じグラフ上に、開閉判定時に地磁気センサ24から取得した所定回数分の測定値に基づいて算出された代表値が、c点として表されていることを例示している。
【0041】
図4(B)では、基準測定値であるa点と今回算出した代表値であるc点とを結ぶ線分acの長さが、閾値である線分abの長さ以下となっている。したがって、判定部213は、ドア1が閉まっていると判定する。
【0042】
図5(A)は、開閉判定時のドア1の状態と方位Pとの関係を模式的に表した図である。同図は、開閉判定時に、ドア1が開いた状態であり、南北の方向がドア1の長軸方向と短軸方向との間に位置する状態になっていることを例示している。
【0043】
図5(B)では、基準値情報222に基づく
図3(B)と同じグラフ上に、開閉判定時に地磁気センサ24から取得した所定回数分の測定値に基づいて算出された代表値が、c点として表されていることを例示している。
【0044】
図5(B)では、基準測定値であるa点と今回算出した代表値であるc点とを結ぶ線分acの長さが、閾値である線分abの長さよりも長くなっている。したがって、判定部213は、ドア1が開いていると判定する。
【0045】
なお、
図4(B)及び
図5(B)では、
図3(B)と同じグラフを表示しているが、これに限定されない。例えば、グラフに表示する所定回数分の測定値として、開閉判定時に取得した所定回数分の測定値をさらに表示してもよいし、開閉判定時に取得した所定回数分の測定値とa点及びb点とを表示することとしてもよい。
【0046】
図2に示す更新部214は、判定部213により判定されたドアの開閉状態に基づいてドアのステータス情報223を更新する。
【0047】
次に、
図6及び
図7を参照して実施形態に係る電子錠2の動作の一例について説明する。まず、
図6を参照して、初期設定時における電子錠2の動作例について説明する。
【0048】
最初に、取得部211は、地磁気センサ24から50回分の測定値を取得する(ステップS101)。
【0049】
続いて、算出部212は、上記ステップS101で取得された50回分の測定値を用いて代表値を算出し、この代表値を基準測定値と定める(ステップS102)。
【0050】
続いて、算出部212は、上記ステップS102で算定した基準測定値から最も離れた位置にある測定値を特定する(ステップS103)。
【0051】
続いて、算出部212は、上記ステップS103で特定した測定値と上記ステップS102で算定した基準測定値との間の距離を算出し、この距離を開閉判定時に用いる閾値と定める(ステップS104)。
【0052】
続いて、記憶部22は、例えば、上記ステップS102で算定された基準測定値及び上記ステップS104で算定された閾値を含む各値を、基準値情報222として記憶する(ステップS105)。そして、本動作を終了する。
【0053】
次に、
図7を参照して、ドアの開閉判定時における電子錠2の動作例について説明する。
【0054】
最初に、取得部211は、地磁気センサ24から50回分の測定値を取得する(ステップS201)。
【0055】
続いて、算出部212は、上記ステップS201で取得された50回分の測定値を用いて代表値を算出する(ステップS202)。
【0056】
続いて、算出部212は、上記ステップS202で算出した代表値と、基準値情報222に含まれる基準測定値との間の距離を算出し、この距離を判定対象距離と定める(ステップS203)。
【0057】
続いて、判定部213は、上記ステップS203で算定された判定対象距離が、基準値情報222に含まれる閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS204)。この判定がYESである場合(ステップS204;YES)に、判定部213は、ドアが開いていると判定する(ステップS205)。そして、処理を後述するステップS207に移行する。
【0058】
上記ステップS204で判定対象距離が、基準値情報222に含まれる閾値以下であると判定された場合(ステップS204;NO)に、判定部213は、ドアが閉まっていると判定する(ステップS206)。
【0059】
続いて、更新部214は、上記ステップS205又はステップS206で判定されたドアの開閉状態に基づいてドアのステータス情報223を更新する(ステップS207)。そして、本動作を終了する。
【0060】
上述したように、実施形態に係る電子錠2によれば、地磁気センサ24から出力される所定回数分の測定値に基づいてドアの開閉状態を判定することができ、その判定したドアの開閉状態に基づいて施錠や解錠などを制御することが可能となる。
【0061】
具体的に、初期設定時に取得した所定回数分の測定値に基づいて算定した基準測定値及び閾値と、開閉判定時に取得した所定回数分の測定値及び基準測定値に基づいて算定した判定対象距離とを用いて、ドアの開閉状態を判定することできる。これにより、例えば、ドアが閉まっていて鍵が開いたままになっているときに自動で施錠することが可能となる。
【0062】
それゆえ、実施形態に係る電子錠2によれば、ドアの開閉状態を的確に判定することが可能となる。
【0063】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理(ステップ)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【0064】
また、上述した実施形態では、電子錠2がドア1の開閉状態を判定しているが、これに限定されない。例えば、ドア1の開閉状態を判定するドア開閉判定装置を、電子錠とは別に備えることとしてもよい。以下において、ドア開閉判定装置と電子錠とを別に備える場合の構成例について説明する。
【0065】
図8に、本変形例に係るドア開閉判定装置及び電子錠の構成を例示する。基本的には、上述した実施形態で説明した各機能を二つに分散したものとなり、実施形態の機能に対応する機能には同一の符号を付している。以下においては、上述した実施形態で説明した機能と異なる部分を中心にして補足的に説明を加える。
【0066】
図8に示すように、ドア開閉判定装置2aは、例えば、制御部21aと、記憶部22aと、通信部23aと、地磁気センサ24とを備える。制御部21aは、例えば、取得部211、算出部212、判定部213としての各機能を有する。
【0067】
記憶部22aは、各種のデータとして、例えば、基準値情報222を記憶する。通信部23aは、判定部213により判定されたドアの開閉状態を含むドア開閉情報を電子錠2に送信する送信部としての機能を含む。
【0068】
図8に示すように、電子錠2bは、例えば、制御部21bと、記憶部22bと、通信部23bと、錠前機構25とを備える。記憶部22bは、各種のデータとして、例えば、ステータス情報223を記憶する。制御部21bは、例えば、更新部214としての機能を有する。
【0069】
通信部23bは、ドア開閉情報を受信する受信部としての機能を含む。更新部214は、受信されたドア開閉情報に基づいてドアのステータス情報223を更新する。
【符号の説明】
【0070】
1…ドア、2…電子錠、2a…ドア開閉判定装置、2b…電子錠、3…レバーハンドル、21、21a、21b…制御部、22、22a、22b…記憶部、23、23a、23b…通信部、24…地磁気センサ、25…錠前機構、211…取得部、212…算出部、213…判定部、214…更新部、221、221a、221b…プログラム、222…基準値情報、223…ステータス情報