(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】チャネル制御支援方法及びチャネル制御支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2022034048
(22)【出願日】2022-03-07
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 達哉
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-118664(JP,A)
【文献】特開2019-114063(JP,A)
【文献】特開2017-040986(JP,A)
【文献】特開2007-257496(JP,A)
【文献】特開2007-241359(JP,A)
【文献】特開2013-206285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
金融取引に際し、顧客である取引主体による、取引目的または取引相手へのメッセージの指定を、所定の端末で事前に受け付ける処理と、
前記取引主体及び前記取引相手の顧客属性情報を、勘定系の取引DBまたは顧客管理システムでの検索、或いは前記顧客による入力受付により取得する処理と、
前記メッセージまたは取引目的を、前記取引相手の操作端末へ通知する処理と、
前記取引主体と前記取引相手それぞれの前記顧客属性情報に基づき、両者の間の関係性を特定し、
前記メッセージまたは取引目的及び前記関係性に基づいて、前記取引主体に対する警告
となる提示情報を生成する処理と、
を実行するチャネル制御支援方法。
【請求項2】
前記情報処理装置が、
前記取引主体と前記取引相手それぞれの前記顧客属性情報に基づき、両者の間の関係性を特定し、前記関係性に基づき、前記取引主体に対して提案すべき商品
の情報を含む提示情報を生成する処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のチャネル制御支援方法。
【請求項3】
前記情報処理装置が、
ATMにおいて前記取引主体の端末から読み取った、前記金融取引の識別情報を、前記ATMから取得し、
前記識別情報をキーに、前記金融取引の情報を所定DBから取得し、当該情報を前記ATMに配信する処理と、
前記提示情報を前記ATMにて出力する処理と、
を実行することを特徴とする請求項1に記載のチャネル制御支援方法。
【請求項4】
端末との通信を行う通信装置と、
金融取引に際し、顧客である取引主体による、取引目的または取引相手へのメッセージの指定を、所定の端末で事前に受け付ける処理と、前記取引主体及び前記取引相手の顧客属性情報を、勘定系の取引DBまたは顧客管理システムでの検索、或いは前記顧客による入力受付により取得する処理と、前記メッセージまたは取引目的を、前記取引相手の操作端末へ通知する処理と、前記取引主体と前記取引相手それぞれの前記顧客属性情報に基づき、両者の間の関係性を特定し、
前記メッセージまたは取引目的及び前記関係性に基づいて、前記取引主体に対する警告
となる提示情報を生成する処理と、を実行する演算装置と、
を備えるチャネル制御支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネル制御支援方法及びチャネル制御支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関の顧客取引において、顧客の行動データを取得したいというニーズが存在する。そうした観点の技術として、これまでに構想、実装されてきたものとしては、例えば、金融商品の申込履歴やインターネットバンキングでの操作履歴などを取得し、これを更なる商品提案に活用するといったものが存在する。
そうした顧客の行動データ等を取得して利活用する従来技術としては、振込人が容易に振込処理が行なえ、受取人については振込有の通知が直ちに行なわれ、金融機関係員の負担軽減を可能とする。更に、振込と同時にメッセージを送信できるというサービスを提供するシステム(特許文献1参照)などが提案されている。
【0003】
この技術は、取引誘導画面の表示及び取引指示入力可能な接客部からの操作により各種取引を行なう自動入出金取引装置と、少なくとも第1、第2の顧客の口座番号や預金残高等の預金残高情報を記憶し管理する金融機関ホストコンピュータと、顧客の所有する入出力機器とを備え、前記自動入出金取引装置と金融機関ホストコンピュータと入出力機器とを回線接続し、前記自動入出金取引装置よりの指示により取引が行なわれると、金融機関ホストコンピュータにより該当する預金残高情報を更新する自動取引システムにおいて、前記自動入出金取引装置からの取引指示により、第1の顧客の預金残高情報から入力された金額分を減じ、第2の顧客には該当金額分を加算する振込処理機能と、前記第2の顧客に入金通知情報を出力する出力手段と、前記第1の顧客により入力されるメッセージを記憶するメッセージ記憶手段と、 該メッセージを第2の顧客に入金通知情報と共に出力す
るメッセージ管理手段と、上記各手段を制御する制御手段を有する自動取引システムに係る。
【0004】
また、 顧客の資金ニーズを高精度で推測するEBM(Event Based Mar
keting)のシステムを提供する技術(特許文献2参照)なども提案されている。
【0005】
この技術は、金融口座を管理するコンピュータ・システムにおいて、過去の振込履歴を基に、所定の継続的な振込を受けているまたは所定の継続的な振込をしている主口座と、所定の継続的な振込がない副口座とに分類する手段と、前記主口座に振り込まれた大口入金が、前記主口座の属性データを基に、所定の目的を持った入金であると判定する手段と、前記副口座に入金された大口入金が、所定の目的を持った入金である可能性がある候補入金であることを判定する手段と、前記副口座に振り込まれた候補入金の振込元と振込日が、前記主口座に振り込まれた大口入金の振込元と振込日と一致する場合に、前記副口座に入金された前記入金候補が、前記副口座の属性データを基に、前記主口座に振り込まれた大口入金と同じ目的の入金であることを判定する手段と、を備えるシステムに係る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-62901号公報
【文献】特開2017-16291公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、取引主体が提示する取引の目的や取引相手へのメッセージを適宜に取得
し、これを利活用する概念は提案されていない。こうした取引の目的やメッセージの情報は、取引主体/相手の属性を踏まえるなどすれば、より精度の高い顧客対応や商品提案活動の材料となりうるが、そうした対応はこれまでなされていないのが現実であった。
そこで本発明の目的は、取引の目的や取引に伴い送受信されるメッセージに基づく、精度良好な顧客対応や商品提案活動を支援可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明のチャネル制御支援方法は、情報処理装置が、金融取引に際し、顧客である取引主体による、取引目的または取引相手へのメッセージの指定を、所定の端末で事前に受け付ける処理と、前記取引主体及び前記取引相手の顧客属性情報を、勘定系の取引DBまたは顧客管理システムでの検索、或いは前記顧客による入力受付により取得する処理と、前記メッセージまたは取引目的を、前記取引相手の操作端末へ通知する処理と、前記取引主体と前記取引相手それぞれの前記顧客属性情報に基づき、両者の間の関係性を特定し、前記メッセージまたは取引目的及び前記関係性に基づいて、前記取引主体に対する警告となる提示情報を生成する処理と、を実行することを特徴とする。
また、本発明のチャネル制御支援システムは、端末との通信を行う通信装置と、金融取引に際し、顧客である取引主体による、取引目的または取引相手へのメッセージの指定を、所定の端末で事前に受け付ける処理と、前記取引主体及び前記取引相手の顧客属性情報を、勘定系の取引DBまたは顧客管理システムでの検索、或いは前記顧客による入力受付により取得する処理と、前記メッセージまたは取引目的を、前記取引相手の操作端末へ通知する処理と、前記取引主体と前記取引相手それぞれの前記顧客属性情報に基づき、両者の間の関係性を特定し、前記メッセージまたは取引目的及び前記関係性に基づいて、前記取引主体に対する警告となる提示情報を生成する処理と、を実行する演算装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取引の目的や取引に伴い送受信されるメッセージに基づく、精度良好な顧客対応や商品提案活動が支援可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態におけるチャネル制御支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態におけるWebAPIサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態におけるDBサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態におけるAPI管理DBの構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態における案件管理DBの構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態における顧客管理DBの構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態におけるチャネル制御支援方法のフロー例を示す図である。
【
図10】本実施形態における画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<ネットワーク構成>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるチャネル制御支援システム10の構成例を示す図である。
図1に示すチャネル制御支援システム10は、取引の目的や取引に伴い送受信されるメッセージに基づく、精度良好な顧客対応や商品提案活動を支援可能とするコンピュータシステムである。
【0012】
本実施形態のチャネル制御支援システム10は、
図1で示すように、ネットワーク1を介して、WebAPIサーバ100とDBサーバ200とが通信可能に接続され、構成さ
れている。
【0013】
また、本実施形態のチャネル制御支援システム10を主として構成するWebAPIサーバ100は、ネットワーク1を介して、顧客が操作するユーザ端末300や、金融機関等が管理するATM400と通信可能に接続されている。よって、これらユーザ端末300やATM400をも含めて、チャネル制御支援システム10を構成するものとしてもよい。
【0014】
WebAPIサーバ100は、API管理DB125にて管理するAPI群に基づき適宜なサービスを顧客に提供し、本実施形態のチャネル制御支援の機能を実装するサーバ装置である。
【0015】
このためWebAPIサーバ100は、顧客が操作するユーザ端末300からの取引要求を受けて対応するAPIを呼び出し、DBサーバ200での案件情報の管理や、適宜なメールサーバ等でのメール送信等を行いつつ、顧客所望の金融取引を行うこととなる。
【0016】
この時、WebAPIサーバ100は、金融取引に関して顧客による事前エントリ時に、その処理の目的や対象(例:振込先)に対するメッセージも(ユーザ端末300から)受け付けて管理し、これらを金融機関のATM付近での顧客対応や、商品提案活動に活用する。
【0017】
一方、DBサーバ200は、上述のWebAPIサーバ100と連携するデータベースサーバであり、各顧客に関して発生した案件それぞれの情報を管理し、必要に応じてWebAPIサーバ100と連携する。
【0018】
また、ユーザ端末300は、WebAPIサーバ100が提供するサービスを利用する際に、金融機関の顧客が使用する端末である。このユーザ端末300は、当該顧客が金融取引に際して取引相手に送りたいメッセージ、または当該金融取引の目的を、WebAPIサーバ100に対して入力する端末となる。
【0019】
なお、ユーザ端末300は、具体的には、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどを想定できる。
【0020】
一方、WebAPIサーバ100は、こうしてユーザ端末300で入力されたメッセージや取引目的の情報と、当該金融取引の主体たる上述の顧客または取引相手の属性情報とに基づき、取引主体と取引相手の関係性等を踏まえ、取引主体に向けた提示情報を生成することとなる。
【0021】
また、ATM(Automatic Teller Machine)400は、上述の金融機関が管理するATMであるが、旧来のATMとは異なり機能も有している。
【0022】
このATM400は、上述の顧客のユーザ端末300が画面表示している二次元コード(金融取引の識別情報をコード化したもの)を撮影するデジタルカメラユニットと、撮影した二次元コードから、当該金融取引の識別情報を復号化する復号化ユニットを有し、ここで得た識別情報をキーに、WebAPIサーバ100に対して案件照会要求を行う機能を有する。また、WebAPIサーバ100が解析、生成した、取引主体とその取引相手との関係性等に基づく提示情報を本ATMの画面にて出力する。
<ハードウェア構成>
また、本実施形態のチャネル制御支援システム10を構成する各装置のうち、例えば、WebAPIサーバ100のハードウェア構成は、
図2に示すものとなる。
【0023】
本実施形態におけるWebAPIサーバ100は、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、および通信装置105、を備える。
【0024】
このうち記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0025】
また、メモリ103は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0026】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0027】
また、通信装置105は、ネットワーク1と接続して、DBサーバ200、ユーザ端末300、及びATM400との通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等を想定する。
【0028】
なお、WebAPIサーバ100は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける入力装置、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置、を更に備えるとすれば好適である。
【0029】
また、記憶装置101内には、本実施形態のチャネル制御支援システム10を主として構成するWebAPIサーバ100として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、API管理DB125が少なくとも記憶されている。ただし、このAPI管理DB125についての詳細は後述する。
【0030】
また、
図3にて例示するように、本実施形態のDBサーバ200は、記憶装置201、メモリ203、演算装置204、および通信装置205を備える。
【0031】
このうち記憶装置201は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0032】
また、メモリ203は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0033】
また、演算装置204は、記憶装置201に保持されるプログラム202をメモリ203に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0034】
また、通信装置205は、ネットワーク1と接続してWebAPIサーバ100との通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等を想定する。
【0035】
なお、DBサーバ200は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付ける入力装置、処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置、を更に備えるとすれば好適である。
【0036】
また、記憶装置201内には、本実施形態のチャネル制御支援システム10を構成するDBサーバ200として必要な機能を実装する為のプログラム202に加えて、案件管理DB225、顧客管理DB226、及びATM管理DB227が少なくとも記憶されている。ただし、これらのデータベースについての詳細は後述する。
<データ構造例>
続いて、本実施形態のチャネル制御支援システム10が用いる各種情報について説明す
る。
図4に、本実施形態におけるAPI管理DB125の構成例を示す。
【0037】
本実施形態のAPI管理DB125は、WebAPIサーバ100が管理するAPI群の情報を格納したデータベースである。具体的には、例えば、APIを一意に特定するAPIのIDをキーとして、当該APIの種類、エンドポイント、プロトコル、文字コード、及びタイムアウトといった値を紐付けレコードの集合体となっている。こうしたAPI管理DB125の構成自体は従来のものと同様である。
【0038】
図5に、本実施形態の案件管理DB225の構成例を示す。本実施形態の案件管理DB225は、金融機関で管理している各顧客の金融取引案件の情報を格納、管理するデータベースである。
【0039】
こうした案件管理DB225は、案件を一意に特定する案件IDをキーに、当該案件の受付日時、取引主体、対象業務、処理状況、取引相手、取引相手アドレス(例:メールアドレス)、メッセージ、目的、といったデータを紐付けたレコードの集合体となっている。こうした案件管理DB225は、例えば、金融機関の業務システム等で管理する案件の情報を取得し、適宜に更新したもの等を想定できる。
【0040】
図6に、本実施形態の顧客管理DB226の構成例を示す。本実施形態の顧客管理DB226は、金融機関で管理している各顧客の情報を格納、管理するデータベースである。
【0041】
こうした顧客管理DB226は、顧客を一意に特定する顧客IDをキーに、当該顧客の氏名、住所、年齢、家族構成、資産、年金受給、定期預金、財形、及び投資信託、といったデータを紐付けたレコードの集合体となっている。こうした顧客管理DB226は、例えば、金融機関の顧客管理システム等で管理する情報を取得し、適宜に更新したもの等を想定できる。
<フロー例>
以下、本実施形態におけるチャネル制御支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明するチャネル制御支援方法に対応する各種動作は、チャネル制御支援システム10がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0042】
図7は、本実施形態におけるチャネル制御支援方法のフロー例を示す図である。ここで、一例として、金融機関のある顧客が、孫の高校入学に際して入学祝いを現金振込で送金しようとしている状況を想定する。この場合の金融取引が「現金振込」であるため、最寄りのATM400など現金を取り扱えるチャネルが取引チャネルとなる。
【0043】
また、この場合の当該顧客は、自身のユーザ端末300を操作して、当該金融機関の運用するWebAPIサーバ100のWEBサイトを閲覧したとする。なお、このWEBサイトは、金融取引の事前エントリを受け付けるための専用サイトである。
【0044】
そして上述の顧客は、WEBサイト上で表示される入力欄に対し、所望の取引種別、取引金額、取引相手の情報(口座情報など)、及びメッセージや取引目的の入力(ないし選択)の操作を行う。ユーザ端末300は、当該操作に応じて入力/選択された、取引種別、取引金額、取引相手の情報(口座情報など)、及びメッセージや取引目的等の値を取得し、これをWebAPIサーバ100に送信する。
【0045】
一方、WebAPIサーバ100は、上述の顧客(取引主体)による、取引種別、取引金額、取引相手の情報(口座情報など)の他、メッセージや取引目的、及びメッセージ送付先といった情報(
図8の画面1000参照)を受付け(s10)、これらの情報をDB
サーバ200の案件管理DB225に格納する。
【0046】
この時、WebAPIサーバ100は、案件管理DB225に格納した情報、すなわち1つの案件に関して付与された案件IDを少なくとも含む二次元コードのデータを生成し、これを取引主体のユーザ端末300に通知するものとする。
【0047】
ユーザ端末300は、WebAPIサーバ100から通知された二次元コードのデータを受信し、これを顧客(取引主体)の指示に応じて画面表示させ、例えば、ATM400のデジタルカメラユニットによる撮影対象とする。
【0048】
また、ユーザ端末300から受け付ける上述の取引主体によるメッセージは、取引主体が取引相手に伝えたいメッセージであり、例えば、入学や出産、成人、結婚、などお祝い金を送る際のお祝いメッセージ等を想定できる。また取引目的の情報は、「入学祝い」、「出産祝い」、「成人祝い」、「結婚祝い」、「ローン残債精算」、「商品代金決済」、「税公金納付」、など様々なものを想定出来る。
【0049】
また、WebAPIサーバ100は、取引主体または取引相手の顧客属性情報を、金融機関における勘定系の取引DBまたは顧客管理システムでの検索、或いは取引主体(顧客)による入力受付により取得し(s11)、これらを顧客管理DB226に格納する。
図6で既に例示した顧客管理DB226は、こうして外部から情報を得て、適宜更新されている。
【0050】
また、WebAPIサーバ100は、上述のs10で取得したメッセージまたは取引目的の情報を、取引相手のユーザ端末300へ通知する(s12)。この通知の方法としては、例えば、上述の事前エントリで取引主体からの入力で得ているメールアドレスや携帯電話番号に宛てて送る電子メールやショートメールを想定出来る。
【0051】
続いて、WebAPIサーバ100は、取引主体と取引相手それぞれの顧客属性情報に基づき、両者の間の関係性を特定する(s13)。
【0052】
例えば、取引主体は年金受給者(例:顧客管理DB226または勘定系に問合せた入金履歴から判定)で、取引目的が「合格祝い」、メッセージが「○○君、大学合格おめでとう!! おじいちゃんもがんばります」、であった場合、取引主体からみた取引相手は、「今度大学生になる孫のいる自分の子供」、などと特定できる。
【0053】
この時、取引目的とメッセージが示す、「出産祝い」と「孫」というキーワードの同時出現が意味する関係性を「孫の生まれた親子」、などと学習し、以後の判定のモデルとして活用することも可能である。
【0054】
また、WebAPIサーバ100は、上述のs10で得ているメッセージまたは取引目的、s11で得ている顧客属性情報、およびs13で特定している関係性に基づき、取引主体に向けた提示情報を生成する(s14)。
【0055】
この場合、WebAPIサーバ100は、s11で判明している取引主体や取引相手の属性、またはs13で判明/推定した関係性、に基づき、(ATM400で操作を行っている/行おうとしている)取引主体(顧客)に対して提案すべき情報(商品やサービス、又は警告)を判定することになる。
【0056】
このタイミング(より前)において、取引主体の顧客は、自身のユーザ端末300を持って、例えば最寄りのATM400を訪れ、ある取引相手に対して現金振込を実行しよう
としているものとする。
【0057】
また既に述べたように、このユーザ端末300は、WebAPIサーバ100から二次元コードのデータを受信し、これを顧客(取引主体)の指示に応じて画面表示させる。一方、ATM400は、その画面表示(すなわち二次元コード)をデジタルカメラユニットによる撮影対象とする。
【0058】
そのためATM400は、顧客のユーザ端末300の画面上で表示されている二次元コードを撮影し、その撮影データから案件IDを復号化する。また、ATM400は、当該案件IDをキーに、WebAPIサーバ100に対して案件照会要求を行う。
【0059】
WebAPIサーバ100は、この案件照会要求に応じて案件管理DB225で該当案件IDをキーに含むレコードを検索し、確かに該当案件IDを含むレコードを特定できた場合、正しい案件に関して、確かな情報を保持するユーザ端末300を持参した顧客の存在、を確認し、処理を進める。
【0060】
この場合、WebAPIサーバ100は、s14までに生成した提示情報を、上述のATM400にて表示し(s15)、処理を終了する。
【0061】
この提示情報は、取引主体とその取引相手それぞれの属性情報に基づき、両者の間の関係性を、例えば、取引主体(78歳)からみた取引相手(38歳)は高校入学の孫がいる高齢者である、などと特定できた場合、これに応じた「学資保険」の情報(
図9の画面1100)が提示情報となる。こうした提示情報の特定手法は、例えば、取引主体と取引相手の年齢層および年齢差の組合せパターンごとに、両者の関係性や推奨商品を規定する判定テーブル(WebAPIサーバ100が保持し利用可能とする)を用いることを想定できる。
【0062】
また、上述の提示情報としては、取引主体の年代ステージ(例:高齢)や、その家族構成(例:単身者で子供無し)、金融資産の規模(例:資産家)など、特定の属性を有する顧客による、特定メッセージ(例:出産祝い)を伴う特定取引(例:高額振込)に対し、注意を要する旨の警告(
図10の画面1020)などを行うことも可能となる。こうした提示情報の特定手法は、例えば、取引主体と取引相手の、年齢層(80代と10代)、家族構成(例:取引主体は単身者で子供無し)、及び資産規模(例:1億円以上)の組合せパターンごとに、メッセージや取引目的の内容別に、両者の関係性(例:血縁関係無し)や警告内容(例:詐欺に遭っている可能性あり)を規定する判定テーブル(WebAPIサーバ100が保持し利用可能)を用いることを想定できる。
【0063】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0064】
こうした本実施形態によれば、取引の目的や取引に伴い送受信されるメッセージに基づく、精度良好な顧客対応や商品提案活動が支援可能となる。
【0065】
本明細書の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。すなわち、本実施形態のチャネル制御支援方法において、前記情報処理装置が、前記取引主体と前記取引相手それぞれの前記顧客属性情報に基づき、両者の間の関係性を特定する処理をさらに実行し、前記関係性に基づいて前記提示情報を生成する、としてもよい。
【0066】
これによれば、金融取引(例:振込)に際し、顧客である取引主体(例:振込元)による、取引目的(例:出産祝い、入学祝い、贈与)や取引相手へのメッセージの指定を、所
定の端末で事前に受け付け、これら取引主体とその取引相手それぞれの属性情報に基づき、両者の間の関係性を、例えば、取引主体からみた取引相手は孫をもうけた自分の子供、などと特定し、これに応じた適宜な提案活動が可能となる。
【0067】
また、本実施形態のチャネル制御支援方法において、前記情報処理装置が、前記提示情報として、前記取引主体に対して提案すべき商品を特定する、としてもよい。
【0068】
これによれば、上述の関係性に応じた金融商品(例:学資保険など)を特定し、有意義な提案活動につなげることができる。
【0069】
また、本実施形態のチャネル制御支援方法において、前記情報処理装置が、前記提示情報として、前記取引主体に対して警告すべき情報を特定する、としてもよい。
【0070】
これによれば、年代ステージ(例:高齢)や家族構成(例:子供無し)、金融資産の規模(例:資産家)など、特定の属性を有する顧客による、特定メッセージ(例:出産祝い)を伴う特定取引(例:高額振込)に対し、注意を要する旨の警告などを行うことが可能となる。
【0071】
また、本実施形態のチャネル制御支援方法において、前記情報処理装置が、ATMにおいて前記取引主体の端末から読み取った、前記金融取引の識別情報を、前記ATMから取得し、前記識別情報をキーに、前記金融取引の情報を所定DBから取得し、当該情報を前記ATMに配信する処理と、前記提示情報を前記ATMにて出力する処理と、を実行するとしてもよい。
【0072】
これによれば、ATMを通じた適宜な案件確認と、これに伴う金融取引を実行するとともに、当該ATMでの金融商品の提案や所定の警告等を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 ネットワーク
10 チャネル制御支援システム
100 WebAPIサーバ
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 通信装置
125 API管理DB
200 DBサーバ
201 記憶装置
202 プログラム
203 メッセージ
204 演算装置
205 通信装置
225 案件管理DB
226 顧客管理DB
227 ATM管理DB
300 ユーザ端末
400 ATM