(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/09 20120101AFI20241205BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20241205BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20241205BHJP
B60W 10/184 20120101ALI20241205BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241205BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241205BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W40/04
B60W50/14
B60W10/184
G08G1/16 C
G01C21/26 A
B60T7/12 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022125883
(22)【出願日】2022-08-05
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】マンジュナス,アヴィナシュ ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】クリフトン,スティーブン ガイ
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-224033(JP,A)
【文献】特開2017-224064(JP,A)
【文献】特開2007-091208(JP,A)
【文献】特開2009-003538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0059558(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0126920(US,A1)
【文献】特開2018-095097(JP,A)
【文献】特開2020-147092(JP,A)
【文献】国際公開第2014/064831(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0101056(US,A1)
【文献】特開2007-264884(JP,A)
【文献】特開2012-079105(JP,A)
【文献】特開2005-238992(JP,A)
【文献】特開2007-128182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
B60W 10/18 ~ 10/198
G08G 1/00 ~ 1/16
G01C 21/26 ~ 21/36
B60T 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
第1の車両システム(600)および第2の車両システム(602)の現在の移動に基づいて、前記第1の車両システム(600)および前記第2の車両システム(602)の予想進路の今度の交差領域(1000)を予測することと、
前記第1の車両システム(600)の到達距離(1002、1006、1008)を計算することであって、前記到達距離(1002、1006、1008)が、前記第1の車両システム(600)の前縁部(1004)から前記交差領域(1000)までの距離として判定される、計算することと、
前記第1の車両システム(600)の前記到達距離(1002、1006、1008)と指定され
た距離(1014)との間の差と、前記指定され
た距離(1014)とを比較することと、
(a)前記差が、前記指定され
た距離(1014)以上であることに応答して、前記第1の車両システム(600)を自動的に減速させること、または(b)前記差が、前記指定され
た距離(1014)未満であることに応答して、前記第1の車両システム(600)を自動的に停止させること、のうちの1つ以上を行うことと、を含み、
前記指定され
た距離(1014)は、デフォルト値であり、第1の車両システムのサイズや長さのある割合や、第1の車両システムの移動速度に基づいて変更される距離である、
方法。
【請求項2】
前記第2の車両システム(602)が前記今度の交差領域(1000)に到達する前に前記第1の車両システム(600)が走行する第1の距離として、前記第1の車両システム(600)の相対到達距離(1002、1006、1008)を計算することと、
前記第1の車両システム(600)から前記交差領域(1000)の遠方縁部(1012)までの第2の距離として、前記第1の車両システム(600)のクリアリング距離(1010)を計算することと、
前記第1の車両システム(600)の前記相対到達距離(1002、1006、1008)を前記第1の車両システム(600)の前記クリアリング距離(1010)と比較することと、
前記第1の車両システム(600)の前記相対到達距離(1002、1006、1008)が、前記第1の車両システム(600)の前記クリアリング距離(1010)よりも長いことに応答して、前記第1の車両システム(600)のアラームを止めること、前記第1の車両システム(600)の自動的な減速を阻止すること、または前記第1の車両システム(600)の自動停止を阻止すること、のうちの1つ以上を行うことと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の車両システム(600)および前記第2の車両システム(602)の前記予想進路が、互いに直角である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の車両システム(600)および前記第2の車両システム(602)の前記予想進路が、互いに斜めに角度付けされるか、または鋭角である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記今度の交差領域(1000)が、前記第1の車両システム(600)および前記第2の車両システム(602)の前記予想進路の交差を中心とする円形領域(1300)を識別することによって予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の車両システム(600)および前記第2の車両システム(602)の前記予想進路が、直線進路である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の車両システム(600)および前記第2の車両システム(602)の前記予想進路が、曲線進路である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
方法であって、
移動している第1の車両システム(600)の角速度を測定することと、
測定される前記角速度を使用して、前記第1の車両システム(600)の今度の曲線進路(1400)を計算することと、
第2の車両システム(602)の移動を監視することと、
前記第2の車両システム(602)が、1つ以上の指定された期間内に、前記今度の曲線進路(1400)に沿った危険距離(1402)内に入るか、前記今度の曲線進路(1400)に沿った警告距離(1404)内に入るか、または前記今度の曲線進路(1400)に沿ったアラート距離(1406)内に入るかどうかを判定することと、
前記第2の車両システム(602)が前記1つ以上の指定された期間内に前記危険距離(1402)内に入ると判定することに応答して、前記第1の車両システム(600)を自動的に停止させること、前記第2の車両システム(602)が前記1つ以上の指定された期間内に前記警告距離(1404)内に入ると判定することに応答して、前記第1の車両システム(600)を自動的に減速させること、または、前記第2の車両システム(602)が前記1つ以上の指定された期間内に前記アラート距離(1406)内に入ると判定することに応答して、前記第1の車両システム(600)のオペレータに対するアラートを生成すること、のうちの1つ以上を行うことと、を含む、方法。
【請求項9】
前記第2の車両システム(602)の前記移動が、前記第1の車両システム(600)よりも先であり、かつ前記第1の車両システム(600)から離れて配向された方向である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の車両システム(600)の停止距離、指定され
た距離(1014)、および前記第1の車両システム(600)の移動速度と指定された反応時間との第1の積の第1の合計に基づいて、前記危険距離(1402)を計算することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記危険距離、および前記第1の車両システム(600)の前記移動速度と指定された警告時間との第2の積の第2の合計に基づいて、前記警告距離(1404)を計算することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記警告距離、および前記第1の車両システム(600)の前記移動速度と指定されたアラート時間との第3の積の第3の合計に基づいて、前記アラート距離(1406)を計算することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の車両システム(602)の前記移動が、前記第1の車両システム(600)よりも先であり、かつ前記第1の車両システム(600)に向かって配向された方向である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の車両システム(600)の停止距離、指定され
た距離(1014)、前記第1の車両システム(600)の移動速度と指定された反応時間との第1の積、および前記第2の車両システム(602)の閉鎖距離の第1の合計に基づいて、前記危険距離(1402)を計算することをさらに含
み、
前記閉鎖距離は、前記第1の車両システム(600)と前記第2の車両システム(602)との間の最短直線距離である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の車両システム(600)の移動速度を前記第1の車両システム(600)の減速度で除算することに基づいて、前記第1の車両システム(600)の前記停止距離を計算することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の車両システム(602)の移動速度と前記第1の車両システム(600)の停止時間との第2の積として、前記第2の車両システム(602)の前記閉鎖距離を計算することをさらに含
む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記危険距離(1402)、および前記第1の車両システム(600)の前記移動速度と指定された警告時間との第2の積の第2の合計に基づいて、前記警告距離(1404)を計算することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記警告距離(1404)、および前記第1の車両システム(600)の前記移動速度と指定されたアラート時間との第3の積の第3の合計に基づいて、前記アラート距離(1406)を計算することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
システムであって、
第1の車両システム(600)上に配置されて、前記第1の車両システム(600)の移動を制御するように構成された車両コントローラ(122)を備え、前記車両コントローラ(122)が、前記第1の車両システム(600)および第2の車両システム(602)の現在の移動に基づいて、前記第1の車両システム(600)および前記第2の車両システム(602)の予想進路の今度の交差領域(1000)を予測するように構成され、前記車両コントローラ(122)が、前記第1の車両システム(600)の前縁部(1004)から前記交差領域(1000)までの距離として、前記第1の車両システム(600)の到達距離(1002、1006、1008)を計算するように構成され、前記車両コントローラ(122)が、前記第1の車両システム(600)の前記到達距離(1002、1006、1008)と指定され
た距離(1014)との間の差と、前記指定され
た距離(1014)とを比較するように構成され、前記車両コントローラ(122)が、(a)前記差が、前記指定され
た距離(1014)以上であることに応答して、前記第1の車両システム(600)を自動的に減速させること、または(b)前記差が、前記指定され
た距離(1014)未満であることに応答して、前記第1の車両システム(600)を自動的に停止させること、のうちの1つ以上を行うように構成されている、システム。
【請求項20】
前記車両コントローラ(122)が、前記第2の車両システム(602)が前記今度の交差領域(1000)に到達する前に前記第1の車両システム(600)が走行する第1の距離として、前記第1の車両システム(600)の相対到達距離(1002、1006、1008)を計算するように構成され、前記車両コントローラ(122)が、前記第1の車両システム(600)から前記交差領域(1000)の遠方縁部(1012)までの第2の距離として、前記第1の車両システム(600)のクリアリング距離(1010)を計算するように構成され、前記車両コントローラ(122)が、前記第1の車両システム(600)の前記相対到達距離(1002、1006、1008)を、前記第1の車両システム(600)の前記クリアリング距離(1010)と比較するように構成され、前記第1の車両システム(600)の前記相対到達距離(1002、1006、1008)が、前記第1の車両システム(600)の前記クリアリング距離(1010)よりも長いことに応答して、前記第1の車両システム(600)のアラームを止めること、前記第1の車両システム(600)の自動的な減速を阻止すること、または前記第1の車両システム(600)の自動停止を阻止すること、のうちの1つ以上を行うように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2020年8月28日に出願された米国特許出願第17/005,947号の一部継続出願であり、これは、2018年9月12日に出願された米国特許出願第16/129,405号(現在の米国特許第10,816,986号)の一部継続出願であり、これは、2016年8月2日に出願された米国特許出願第15/226,151号(現在の米国特許第10,101,432号)の一部継続出願である。本出願はまた、2021年7月5日に出願されたインド特許出願第202111030192号に対する優先権も主張する。これらの出願のすべての開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で説明する主題は、車両の制御、ナビゲーション、および関連する方法に関する。
【0003】
技術の考察
車両の環境に対する車両の場所についての知識は、特に明瞭な視線のない領域において動作している自律型車両および/または車両にとって重要であり得る。環境内の物体を検出して、物体間の相対距離を測定するために電磁エネルギーを利用する、いくつかのシステムが存在する。例えば、従来の電磁エネルギー(「EM」)に基づく距離測定システムは、典型的には、近接検出のために受信信号強度インジケータを使用するが、EM搬送波信号は、送信機識別データによって変調することができる。EM周波数は非常に低い(例えば、数キロヘルツ程度)ため、搬送波信号上でのデータ送信に時間がかかり得る。これにより、所与の空間または環境の範囲内で、および限られた期間内で確実に識別することができる送信機の数を低減させ得る。追加的に、距離を測定するために必要な時間が非常に長くなり得、より高い速度で移動している車両には好適ではない場合がある。
【0004】
既存のEMに基づく距離監視システムと関連する別の課題は、所与の環境内または受信領域内のEM送信機が無線衝突するのを回避するために、送信スロットをリアルタイムでネゴシエートする必要があることである。送信機の数が流動的である(例えば、車道など、環境または受信領域の内外にランダムに移動する送信機の数が増加する)環境では、また、相対的に長い持続期間のEMブロードキャストを考慮すると、この問題は、すぐに管理し難くなり得る。この問題は、同時に使用することができる送信機の数を非常に少ない数に制限し得、また、距離の更新期間を数ミリ秒から数秒に増加させ得る。
【0005】
他の既知のシステムは、例えば、全地球測位システム(GPS)追跡を利用して、衝突の回避および報告に使用するための領域内の車両の位置を判定する。GPS追跡は、地上での用途には概ね好適であるが、地下では利用できず、そのようなシステムを特に地下での用途などには特に不適なものに引き裂き得る。
【0006】
以上のことを考慮して、現在利用可能であるシステムおよび方法とは異なる、位置および近接検出システムおよび方法に対する必要性が存在し得る。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、方法は、第1の車両システムおよび第2の車両システムの現在の移動に基づいて、第1の車両システムおよび第2の車両システムの予想進路の今度の交差領域を予測することと、第1の車両システムの到達距離を計算することであって、到達距離が、第1の車両システムの前縁部から交差領域までの距離として判定される、計算することと、第1の車両システムの到達距離と指定されたギャップ距離との間の差と、指定されたギャップ距離とを比較することと、(a)差が、指定されたギャップ距離以上であることに応答して、第1の車両システムを自動的に減速させること、および/または(b)差が、指定されたギャップ距離未満であることに応答して、第1の車両システムを自動的に停止させること、のうちの1つ以上を行うことと、を含む。
【0008】
別の例では、方法は、移動している第1の車両システムの角速度を測定することと、測定される角速度を使用して、第1の車両システムの今度の曲線進路を計算することと、第2の車両システムの移動を監視することと、第2の車両システムが、1つ以上の指定された期間内に、今度の曲線進路に沿った危険距離内に入るか、今度の曲線進路に沿った警告距離内に入るか、今度の曲線進路に沿ったアラート距離内に入るかどうかを判定することと、第2の車両システムが1つ以上の指定された期間内に危険距離内に入ると判定することに応答して、第1の車両システムを自動的に停止させること、第2の車両システムが1つ以上の指定された期間内に警告距離内に入ると判定することに応答して、第1の車両システムを自動的に減速させること、および/または第2の車両システムが1つ以上の指定された期間内にアラート距離内に入ると判定することに応答して、第1の車両システムのオペレータに対するアラートを生成すること、のうちの1つ以上を行うことと、を含む。
【0009】
別の例では、システムは、第1の車両システム上に配置されて、第1の車両システムの移動を制御するように構成された車両コントローラを含む。車両コントローラは、第1の車両システムおよび第2の車両システムの現在の移動に基づいて、第1の車両システムおよび第2の車両システムの予想進路の今度の交差領域を予測するように構成されている。車両コントローラは、第1の車両システムの前縁部から交差領域までの距離として、第1の車両システムの到達距離を計算するように構成されている。車両コントローラは、第1の車両システムの到達距離と指定されたギャップ距離との間の差と、指定されたギャップ距離とを比較するように構成されている。車両コントローラは、(a)差が、指定されたギャップ距離以上であることに応答して、第1の車両システムを自動的に減速させること、および/または(b)差が、指定されたギャップ距離未満であることに応答して、第1の車両システムを自動的に停止させること、のうちの1つ以上を行うように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の主題は、添付図面を参照しながら、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことから理解され得る(可能な限り、図面を通して使用される同じ参照符号は、同じまたは同様の部品を指す)。
【0011】
【
図1】一実施形態による、位置および近接検出システムを利用し得る複数の車両および要員を示す受信領域の簡略化された概略図である。
【
図2】一実施形態による、近接検出システムを備えた車両を示す、
図1の領域Aの詳細図である。
【
図3】近接検出システムによって実行される同期送信の一実施形態を例示する図である。
【
図5】車両衝突回避システムの一実施形態を例示する。
【
図7】衝突回避システムの動作の別の例を例示する。
【
図8】衝突回避システムの動作の別の例を例示する。
【
図9A】車両間の衝突を回避するための方法の一実施形態のフローチャートを例示する。
【
図9B】車両間の衝突を回避するための方法の一実施形態のフローチャートを例示する。
【
図10】上で説明した車両衝突回避システムの動作の別の実施形態を例示する。
【
図11】車両システムの予想進路が互いに斜めに角度付けされている別の例(例えば、第2の車両システムの接近角が鋭い)を例示する。
【
図12】車両システムの予想進路が互いに鋭角である(例えば、第2の車両システムの接近角が斜めである)一例を例示する。
【
図13】車両衝突回避システムの動作の別の実施形態を例示する。
【
図14】車両衝突回避システムの動作の別の実施形態を例示する。
【
図15】車両システムと少なくとも1つの他の物体との間の衝突を回避するための方法の一例のフローチャートを例示する。
【
図16】車両システムと少なくとも1つの他の物体との間の衝突を回避するための方法の別の例のフローチャートを例示する。
【
図17】車両システムと少なくとも1つの他の物体との間の衝突を回避するための方法の別の例のフローチャートを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の主題の実施形態は、車両制御システム、そのためのナビゲーションシステム、および車両に隣接した受信領域内の物体の近接を検出することに関する。特定の実施形態は、受信領域または環境内の対象車両に対する物体または車両の近接を検出するためのシステムおよび方法に関する。一実施形態では、近接検出システムは、少なくとも1つのEMパルスと同期的に高RF信号を送信/放射することができるエミッタを有する第1の車両と、第1の車両から離れて位置する受信機ユニットと、を含み、受信機ユニットは、磁場受信機と、RF送受信機と、RF送受信機および磁場受信機に結合された処理モジュールと、を含む。受信機ユニットは、第1の車両から高RF信号およびEMパルスを受信して、受信機ユニットに対する第1の車両の近接を判定することができる。一実施形態では、受信機ユニットに対する第1の車両の近接は、受信した磁場強度に依存して計算される。本明細書での説明は、車両に、または表面下もしくは地下環境において動作している車両に重点を置いているが、本発明の主題のすべての実施形態が、車両に限定されるわけではない。1つ以上の実施形態が、自動車(手動で駆動される、および/または自律型もしくは無人の自動車)、鉄道車両、採掘車両、トラック、バス、船舶、航空機、などの他のタイプの車両のための近接検出および/または衝突回避に使用され得る。任意選択的に、1つ以上の実施形態が、資源を含む開渠などの地上または地表の場所から資源を抽出する車両で使用され得る。
【0013】
図1は、一実施形態による、位置および近接検出システム100が出入りし得る受信領域または環境10を概略的に例示する。システムは、任意選択的に、車両衝突回避システムまたはモバイル機器衝突回避システムと称され得る。一例として、受信領域は、地下鉱山、駐車場、運搬場(drayage lot)、道路システム、飛行経路、航路、または車両基地、などであり得、複数の車両および要員が走行および動作するように構成/指定されているルート12を有する。一実施形態では、ルートは、車両の輸送ルートであり得る。他の実施形態では、受信領域は、水域(船舶が航行する)、車道(自動車、例えば、有人または無人自動車が走行する)、鉄道(機関車が走行する)、または他の環境などの、車両または物体が進入および退出する大まかに画定された領域であり得る。本明細書で使用されるとき、「受信領域」は、車両が進入または退出し得る本明細書に説明される近接検出ユニットを備えた車両または物体を取り囲み、かつそれに隣接している領域を意味する。
【0014】
位置および近接検出システムは、1台以上の車両(例えば、車両110、112、114、116)上に配置された1つ以上の近接検出ユニットを含み得る。
図2に例示されるように、各近接検出ユニットは、送受信機120と、該送受信機に電気的に接続された、または別様に通信可能に結合された制御ユニット122(例えば、マイクロプロセッサに基づく回路)と、を含み得る。特定の実施形態では、送受信機は、別個の送信機/エミッタおよび受信装置であり得る。送受信機を含む近接検出ユニットは、例えば車両のトランク内または車両のエンジン室内などの第1の車両112内の任意の場所に装着され得る。送受信機は、少なくとも第1および第2の出力チャンネルを含み得る。一実施形態では、第1の出力チャネルは、高周波RFチャネルであり、第2の出力チャネルは、低周波EMチャネルである。送受信機は、第1および第2のチャネルを利用して、それぞれ、高ラジオ周波数(「RF」)信号、例えばRF信号124(例えば、RF放送)およびEMパルス送信(例えば、EMパルス126)の両方を生成することができる。
【0015】
好適な近接検出ユニットは、受信領域内の車両または他の物体を検出することができる。一実施形態では、送受信機は、制御ユニットの制御下で、第1および第2のチャネルを介して、それぞれ、無変調の短EMパルス(例えば、いくつかの振動サイクル)を、変調されたRF信号と同期的に生成することができる。EMパルスおよびRF信号は、一定の持続期間である。一実施形態では、EMパルスがいかなるデータも搬送せず、また、信号強度(距離)測定のためにだけ使用され、一方で、高RF信号は、送受信機の識別情報を搬送する(すなわち、送受信機/エミッタIDまたは車両IDによって変調される)。一実施形態では、ID(例えば、アイデンティティまたは識別情報)は、チェックサムによって保護され得る。
【0016】
図1および2をさらに参照すると、システムは、例えば人またはオペレータ130、132、134などの受信領域内の物体または要員によって搬送される、またはそれと関連付けられた1つ以上の受信機ユニット136を含み得る。受信機ユニットは、各々が、交互または一定磁場受信機138と、RF送受信機140と、磁場受信機およびRF送受信機に電気的に接続された処理モジュール142(例えば、プロセッサ回路)と、を含み得る。一実施形態では、処理モジュールは、(例えば、非一時的メモリに記憶された)システムの近接検出ユニットによって放射される磁場の強度の情報、ならびに、下で詳細に考察されるように、処理モジュールが、EMパルスを生成する車両からの距離を計算し得るルックアップテーブルまたはアルゴリズムを備え得る。
【0017】
動作中に、複数の車両が受信領域の全体にわたって移動するときに、各車両上の近接検出ユニットは、エミッタ(例えば、送受信機)を介して、RF信号(送受信機/エミッタおよび/または車両のIDを搬送する)およびEMパルスを同期的に送信する。例えば、
図2に例示されるように、第1の車両上の近接検出ユニットは、RFおよびEMの送信をそれぞれ生成し、次いで、該送信が受信領域内の別の車両または物体(受信機ユニットを携持している人など)に到達するまで空間を通って伝搬する。受信機ユニットの磁場受信機は、EMパルスを受信し、一方で、RF送受信機は、RF信号を受信する。受信したRF信号の開始時間ならびに検出したEMパルスの開始時間および終了時間は、処理モジュールによって記録されて、EMパルスの持続期間、ならびにRF信号およびEMパルスを互いにリンクするためのEMパルスとRF信号との同期性を検証するために使用される。
図3を参照すると、RF信号およびEMパルスの同期開始144は、受信端部で(例えば、受容ユニットで)で検証される。同様に、EMパルス持続期間dは、受信端部で(例えば、受信ユニットで)測定される。これは、2つの異なる送信機からのどの2つのEM送信も、受信端部で互いに間違えられ得ないことを確実にする。送信は、明確に受信されて受諾されるか、またはRF信号のチェックサムに失敗した場合に、もしくは稀なRF衝突もしくはEMノイズによりEM信号の持続期間が誤って測定された場合に拒否される。
【0018】
さらに、制御ユニットは、受信領域内の他の車両に展開された送受信機などの競合する送受信機からの同時通信を調停するために、高RFチャネルにランダムなバックオフ遅延を有するリッスンビフォアトーク機構を採用し得る。制御ユニットは、競合する送受信機からの同時伝送を阻止するために、送信を生成する前に、受信領域内のラジオ環境を感知し得るか、または「リッスン」し得る。制御ユニットは、RFおよびEM送信の前に、受信領域が競合する送信を含まないことを確実にすることができる。
【0019】
受信機ユニットの処理モジュールは、RF伝送およびEMパルスを受信して、ソースを検証または確認するために送信を互いにリンクし得る。処理モジュールは、受信した磁場の強度に基づいて、受信機ユニット(人によって携持される)と、第1の車両上のエミッタとの間の距離を判定する。特定のレベルの受信信号は、特定の距離を示す。例えば、特定の実施形態では、距離測定は、生成された磁場強度に基づき得る。生成された場の電力は、較正することができ、既知であり得る。場の強度と距離との関係もまた、既知であり得、サンプリングすることができる。送信を受信する送受信機/受信機は、場の強度を測定して、場の強度と、処理モジュールのメモリに記憶されたルックアップテーブルの事前記録された距離とを一致させる。他の実施形態では、EM場の伝搬のための既知の物理式に基づくモデルを利用することができる。
【0020】
上に示したように、受信機ユニットの処理モジュールは、放射された場の強度(システム全体について一定の値であり得る)で事前構成され得る。他の実施形態では、送受信機/車両のID情報に加えて、近接検出ユニットによって放射される場の強度が、RFチャネルを介して、近接検出ユニットから受信機ユニットまで送信され得る。次いで、放射された場の強度値および受信した場の強度値を、処理モジュールによって利用して、メモリに記憶されたルックアップテーブルまたはアルゴリズムなどを介して、送信が行われた第1の車両からの距離を計算または判定し得る。受信機ユニットの処理モジュールによって場の強度が距離測定に変換された時点で、この測定値は、RFチャネルを介して、第1の車両の近接検出ユニットに(例えば、RF送受信機から発信側送受信機に)返信される。次いで、この距離測定値を、第1の車両上の制御ユニットによって使用して、行うべき車両のアクション(例えば、ルートを続ける、ルートを変更する、減速する、止まる、オペレータに通知する、など)を判定し得る。代替的に、受信ユニットに関して本明細書に説明されるように、近接検出ユニットの制御ユニットは、他の近接検出ユニットによって放射されたRF信号および/またはEMパルスを受信することができ、また、他の近接検出ユニットまでの距離を測定することができる。
【0021】
距離測定値を第1の車両の発信側送受信機に返信することに加えて、受信機ユニットおよび/または制御ユニットはまた、事前設定された「安全」距離閾値が破られた場合に、アラームまたはアラートを生成することができるものであり得る。一実施形態では、アラートは、可聴アラーム、視覚的アラート、または他の感覚的アラートであり得る。例えば、受信機ユニットおよび/または制御ユニットは、事前設定された安全閾値が破られたという事実にユーザの注意を引きつけるための1つ以上のLED、バイブレータ、スピーカ、などを含み得る。このアラートは、車両が通り過ぎるまで、オペレータ自身と車両との間の距離を増加させるように、または安全な場所を探すように、オペレータに促し得る。
【0022】
近接検出システムは、受信機ユニットを装備している物体または人に対する受信領域内で動作している車両の近接を判定すること、および(受信機ユニットまたは車両自体のいずれかまたは両方において)アラートまたは通知を生成することができる。このようにして、受信領域内の動作の安全性が高められ得、障害または渋滞が最小化されるか、または排除され得る。
【0023】
特定の実施形態では、車両上の送受信機は、車両間の距離が判定され得るように、EMまたは一定磁場受信機を含み得る。近接検出システムの好適な代替的または追加的な能力は、飛行時間型(TOF)検出器、LIDAR、およびビデオまたはカメラシステム、のうちの1つ以上を含み得る。
【0024】
高RF信号の好適なRF送信周波数は、メガヘルツ(MHz)~ギガヘルツ(GHz)の範囲内の判定された周波数を含み得る。一実施形態では、高RF信号は、少なくとも1MHzである。様々な実施形態では、RF信号周波数は、MHz~GHz範囲の下端にある。周波数が高くなるほど、信号が速くなり、これは、既存のシステムと比較して、より多くの車両が受信領域内に存在することを可能にする。したがって、車両交通量の多いことが予想される場合には、より高い周波数が利用され得る。特定の実施形態では、RF信号の周波数は、(例えば、車道上、地下鉱山内、などで)システムが使用される所与の時間および特定の用途において特定の受信領域内に存在することが予想または推定される車両の数を含む、いくつかの因子に依存して選択され得る。例えば、地下用途では、RF信号のためにより低い周波数を使用することが望ましくなり得、空間内で動作している車両間の直接的な視線は必ずしも存在しない。これは、RF波の回折(例えば、角を曲がる)および鉱山内の壁を透過する能力のため、周波数が低くなるほど、システムは、直接的な視線(しばしば、曲がりくねりの多い鉱山内では不可能)に対する依存性が低くなるからである。
【0025】
一実施形態では、EM周波数は、ゼロに近く(すなわち、一定の磁場であるが、電気的でない)なり得る。そのような場合、送受信機の検出器は、事前測定された基線に基づいて、地面の磁場の瞬間的な変化を感知して、磁場の変化から誘導ベクトルを導出する。一実施形態では、送信機と受信機との間に配置された金属性の物体内の誘導電流がより少なくなり、そのような誘導電流により、関連する場の強度の損失がより少なくなるので、EM周波数は、できる限り低く選択される。加えて、EMパルスに対して低い周波数を選択することは、受信領域内に位置する可能な電気装置および電子装置に由来する種々のEMノイズに対する非常に高い耐性を達成する。一定磁場を利用することは、交流EMノイズをフィルタ除去することを可能にする。上記に関連して、EM場がデータ記憶媒体として使用されないので、一定の磁場を利用することが可能である。EM場が典型的にデータ記憶媒体として使用されていたので、これは、これまで既存のシステムでは不可能であった。
【0026】
既存の電磁エネルギーに基づく距離測定システムと比較して、非常に短い送信時間のため、送信機と受信機との間の距離(例えば、車両間の距離)を測定するために、および送信機を一意的に識別するためにかかる時間が短縮され得る。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、いくつかの既知のシステムおよび方法と比較して、送信時間を約100倍~約500倍短縮することを可能にすることができる。さらに、いくつかの既存のシステムに存在する複数の送受信機の時間スロットの調停問題は、本明細書に説明される制御ユニットの1つ以上の実施形態によって採用されたリッスンビフォアトーク機構を使用することによって解決することができる。これにより、受信領域内で、およびより短い距離測定間の期間で、より多くの車両または物体を動作させることを可能にする。
【0027】
上で説明したシステム100は、受信機ユニットを携持または装備しているオペレータまたは要員および他の物体に対する車両の近接を判定して、要員が動作している領域内への車両の侵入を阻止するために利用され得るが、受信領域内の他の要員または物体にかかわらず、受信領域10内の1台以上の車両の絶対位置を判定することに対する必要性が依然として存在し得る。この問題に対処するために、
図1にさらに示されるように、受信領域内で動作している車両はまた、受信領域(例えば、地下鉱山、駐車場、車両基地)内の車両の位置を判定または計算することができるオンボードナビゲーションシステムも装備し得、受信領域は、車両と通信することができる複数の固定位置ビーコン210、212、214、216を有し得る。
【0028】
ビーコンは、例えばラジオ通信などを経由して、車両が範囲内にあるときに車両との通信を可能にする、それぞれの送受信ユニットを含み得る。一実施形態では、ビーコンは、受信領域10内のビーコンの位置/場所を、それぞれのビーコンの範囲内を通過する車両に送信することができる。他の実施形態では、ビーコンは、識別情報を範囲内の車両に送信することができるものであり、次いで、該識別情報が、受信したビーコンIDに基づく受信領域10内の通信ビーコンの特定の場所を示す車両上のデータベースと相互参照され得る。
【0029】
図4を参照すると、各車両(例えば、第2の車両)上のナビゲーションシステム218は、慣性プラットフォームタイプのナビゲーション装置を含み、これは、外部参照を必要とすることなく、推測航法を介して、第2の車両の位置、配向、および速度(例えば、方向および移動速度)を連続的に計算するために、例えば、運動センサ(加速度計)および回転センサ(ジャイロスコープ)を採用し得る。第2の車両は、車両が範囲内にあるときに、ビーコンと、ならびに他の車両と通信することができる。例えば、
図4に示されるように、第1の車両は、車両が最初にビーコンを通過するとき、または第2の車両に対して移動するときに、第2の車両の送受信機を介して、および任意選択的にビーコンと通信することができる。一実施形態では、上で考察されるように、送受信機および制御ユニットは、近接検出のために使用される、同じ送受信機および制御ユニットであり得る。他の実施形態では、送受信機および制御ユニットは、スタンドアロンの装置であり得る。
【0030】
動作中に、各車両(例えば、第2の車両)は、第1の車両上のナビゲーション装置を使用して、ルートに沿うなどの、所与の領域にわたる車両の正確な移動の履歴またはログを維持することができる。各第2の車両は、オンボードナビゲーション装置を使用して、かつ推測航法を介して、受信領域内の車両の位置を計算することができる。次いで、衝突が回避されることを確実にするために、第2の車両の記録された位置が、(ラジオリンクなどを通して)範囲内の他の車両に送信またはブロードキャストされ得る。しかしながら、車両の走行中に、(オンボードナビゲーション装置によって判定される)各車両の推定位置は、そのような各車両の実際の位置と異なる場合がある。本システムは、ビーコンの使用を通して、そのような蓄積されたエラーまたはドリフト(例えば、ナビゲーション装置によって判定される推定位置に対する実際の車両の位置)をゼロにすることができる。
【0031】
車両がビーコン(上で考察されるように、その正確な位置が既知であり、記録されている)の範囲内を通過したときに、そのような任意の車両の推定位置は、ビーコンから受信した正確な、既知の位置によって更新される。その結果、車両がビーコンの間を進行するときに、車両の推定位置におけるドリフトまたはエラーを蓄積することができるが、受信領域内の任意のビーコンを通過することで、制御ユニットおよびナビゲーション装置を本質的にリセットまたは再較正して、蓄積されたエラーまたはドリフトが車両の進行路全体にわたって広がることを阻止する。
【0032】
一実施形態では、インシデントの再生などのために鉱山業者がその後に使用するためのデータのブレッドクラム追跡を作成するために、位置判定システムが使用され得る。各車両の進行路(時間および場所を含む)は、オンボード制御ユニットによって記録され、そして、車両が鉱山内のWi-Fiアクセスポイントまたはリーキーフィーダシステムの範囲(例えば)にあるときに地表に返信され得る。このデータは、効率、タイヤの摩耗、使用可能時間、使用時間対アイドル時間の追跡、などのために使用することができる。
【0033】
図1は、近接検出システム(例えば、車両の近接を計算するために、RFおよびEMパルスエミッタ/送信機および物体を備えた車両、ならびに受信機ユニットを装備した要員)、および位置判定システム(例えば、オンボードナビゲーションシステムを備えており、受信領域内の静的ビーコンと通信することができる車両)を、単一の一体化されたシステムであるように示しているが、本システムは、互いに独立または連動して展開することができる別個のシステムであり得る。近接検出能力は、位置判定機能にかかわらず展開され得、逆もまた同じである。例えば、一実施形態では、本システムは、受信領域内のそれぞれの車両の位置を推定することができるナビゲーションシステムを装備した車両と、任意の蓄積されたナビゲーションエラーをゼロにすることができるように、受信領域を通過する車両に既知の(または絶対の)基準点を提供する、受信領域内の様々な場所に配置されたビーコンと、を含み得る。他の実施形態では、本システムは、RF信号およびEMパルスを放射することができる近接検出ユニットを装備した車両と、RF信号およびEMパルスを受信して、放射した車両の近接を計算することができる受信機ユニットを携持している物体または要員と、を含み得る。すなわち、近接検出および位置判定機能は、単一の総合的なシステムに一体化され得るか、または別々にかつ互いに独立して展開され得る。
【0034】
一実施形態では、車両上の近接検出ユニットの送受信機は、車両の互いに対するおよび/または他の物体に対する近接を検出するために、他の近接検出ユニットの送受信機から送られたEMパルスおよびRF信号などの信号を受信することができる。例えば、第1の車両上の第1の近接検出ユニットは、第2の車両の第2の近接検出ユニットによって受信されるEMパルスおよびRF信号を送ることができる。第2の近接検出ユニットの制御ユニットは、受信機ユニットに関して上で説明した様式で、第1の車両が第2の車両からどのくらい離れているかを判定することができる。
【0035】
任意選択的に、本システムは、機器と標的位置との近接(例えば、両者間の距離)を検出するために使用され得る。例えば、車両は、資源の採掘に使用される細長いドリルチップまたは他の機器を含み得る。本システムが、機器が他の機器または車両からどのくらい離れているかを測定するために、または別様に判定するために使用することができる。これは、車両および他の車両から遠く離れて突出し得る機器間の衝突、または異なる車両上の突出した機器間の衝突を阻止するのを補助することができる。例えば、送受信機は、車両から(例えば、ドリルチップの端部またはその近くで)突出している機器の外端部上またはその近くに配置することができる。送受信機またはビーコンは、機器が他の車両、機器、または人と衝突しないことを確実にするために、他の車両、他の機器、および/または人に配置することができる。追加的に、標的位置は、送受信機またはビーコンを備えることができ、機器は、送受信機またはビーコンを備えることができる。次いで、本システムを使用して、機器(例えば、ドリルチップ)が標的位置(採掘される資源の識別された場所)からどのくらい離れているかを追跡することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、高RF信号は、高RFブロードキャストであり得、概して領域の全体にわたって送信され、かつ特定のまたは指定された受け側を伴わない信号を指す。
【0037】
一実施形態では、車両システムが提供される。本車両システムは、少なくとも1つのEMパルスと同期的に高RF信号を放射することができるエミッタを有する第1の車両と、第1の車両から離れて配置された受信機ユニットと、を含み、受信機ユニットは、磁場受信機と、RF送受信機と、RF送受信機および磁場受信機に結合された処理モジュールと、を含む。受信機ユニットは、第1の車両から高RF信号および少なくとも1つのEMパルスを受信して、受信機ユニットに対する第1の車両の近接を判定することができる。一実施形態では、高RF信号は、エミッタ/送受信機IDおよび/または車両IDによって変調される。一実施形態では、エミッタまたは車両IDは、チェックサムによって保護される。一実施形態では、少なくとも1つのEMパルスは、いかなるデータも搬送しない。一実施形態では、受信機ユニットに対する第1の車両の近接は、受信した磁場の強さに依存して計算される。一実施形態では、受信機ユニットの処理モジュールは、第1の車両の判定された近接が、事前設定された範囲内にある場合に、アラートを生成することができる。アラートは、可聴アラート、視覚的アラート、および/または振動アラート、のうちの少なくとも1つであり得る。一実施形態では、受信機ユニットは、判定された近接を第1の車両に返信することができる。一実施形態では、第1の車両は、地下鉱山内で動作している車両である。一実施形態では、受信機ユニットは、RF信号および少なくとも1つのEMパルスが同期的に発生したことを検証することができる。
【0038】
別の実施形態では、方法が提供される。本方法は、第1の車両において、高RF信号および少なくとも1つのEMパルスを同期的に生成するステップと、受信機ユニットにおいて、高RF信号および少なくとも1つのEMパルスを受信するステップと、受信機ユニットにおいて、受信機ユニットによって受信した少なくとも1つのEMパルスの強度に依存して、第1の車両と受信機ユニットとの間の距離を判定するステップと、を含む。一実施形態では、本方法はまた、高RF信号および少なくとも1つのEMパルスを生成する前に、第2の車両からの競合する送信を確認するステップも含み得る。一実施形態では、本方法はまた、受信機ユニットにおいて、高RF信号および少なくとも1つのEMパルスの送信が同期的に発生したことを検証するステップも含み得る。一実施形態では、本方法は、受信機ユニットにおいて、少なくとも1つのEMパルスの持続期間を測定するステップも含み得る。実施形態において、本方法はまた、送受信機IDおよび/または車両IDを有する高RF信号を変調するステップも含み得る。一実施形態では、送受信機または他のIDは、チェックサムによって保護される。一実施形態では、少なくとも1つのEMパルスは、いかなるデータも搬送しない。一実施形態では、第1の車両は、自律型車両である。一実施形態では、本方法はまた、受信機ユニットにおいて、距離が所定の閾値未満である場合または事前設定された範囲内にある場合、アラートを生成することも含み得る。一実施形態では、本方法は、判定された距離を第1の車両に返信するステップをさらに含み得る。
【0039】
好適なシステムは、磁場受信機、RF送受信機、ならびにRF送受信機および磁場受信機に結合された処理モジュールを有する、受信機ユニットを含み得る。RF送受信機は、受信機ユニットから離れている車両から高RF信号を受信することができる。磁場受信機は、車両から少なくとも1つのEMパルスを受信することができる。処理モジュールは、車両からの高RF信号および少なくとも1つのEMパルスの放射が同期的に発生したことを検証することができる。処理モジュールは、放射が同期的に発生したことの確認に応答して、高RF信号または少なくとも1つのEMパルスのうちの少なくとも1つに基づいて、受信機ユニットに対する車両の近接を判定するようにさらに構成されている。処理モジュールは、放射が同期的に発生しなかったことの確認に応答して、近接を判定する際に使用するための高RF信号および少なくとも1つのEMパルスを拒否するようにさらに構成されている。
【0040】
別の実施形態では、システムは、外部参照することなく受信領域内の第1の車両の位置を判定することができるオンボードナビゲーションシステムを有する第1の車両と、第1の車両が走行するルートに沿った受信領域内の場所に位置決めされた少なくとも1つのビーコンと、を含む。少なくとも1つのビーコンは、受信領域内の少なくとも1つのビーコンの位置データを記憶している。第1の車両は、第1の車両が少なくとも1つのビーコンの範囲内を通過するときに、少なくとも1つのビーコンから位置データを無線で受信することができる。例えば、第1の車両および少なくとも1つのビーコンは、ラジオリンクを通じて通信することができるものであり得る。
【0041】
一実施形態では、システムは、外部参照することなく受信領域内の第1の車両の位置を判定することができるオンボードナビゲーションシステムを有する第1の車両と、第1の車両が走行するルートに沿った受信領域内の場所に位置決めされた少なくとも1つのビーコンと、を含む。少なくとも1つのビーコンは、受信領域内の少なくとも1つのビーコンの位置データを記憶している。第1の車両は、第1の車両が少なくとも1つのビーコンの範囲内を通過するときに、少なくとも1つのビーコンから位置データを受信することができる。第1の車両は、受信機と、受信機およびナビゲーションシステムに電気的に結合された制御ユニットと、を含む。制御ユニットは、少なくとも1つのビーコンからの位置データを利用して、ナビゲーションシステムによって判定される第1の車両の位置のエラーを除去することができる。一実施形態では、ナビゲーションシステムは、推測航法を介して、第1の車両の位置を判定することができる。
【0042】
衝突回避システムの制御ユニットは、任意選択的に、同じく衝突回避システムを含むおよび/またはそれによって動作する車両制御システム内に含むことができる。制御ユニットは、車両の推進システムおよび/またはブレーキシステムと通信可能に結合することができる。例えば、制御ユニットは、車両の移動を制御および変更するために、車両の1つ以上のエンジン、モータ、トランスミッション、ブレーキ、などと通信してそれらを制御することができる。制御ユニットは、車両に対する1つ以上の物体(例えば、機器、標的場所、人、および/または別の車両)の距離が小さ過ぎる(例えば、安全閾値距離未満である)ことに基づいて、車両の移動を制御または変更することができる。例えば、受信機ユニットは、EMパルスおよびRF信号を受信して、受信されるEMパルスおよびRF信号に基づいて、車両と受信機ユニットとの間の距離を判定することができる。次いで、受信機ユニットが、距離に基づいて、制御システムの1つ以上の送受信機デバイスに信号を通信することができる。制御ユニットは、この距離を調べて、車両の移動を変更する(例えば、他の物体との衝突を回避する)ことができる。例えば、車両と他の物体との間の距離が小さ過ぎるおよび/または減少している場合、制御ユニットは、スロットル設定を変更して、および/または車両のブレーキを適用して、車両の移動を減速または停止させることができる。別の例として、制御ユニットは、他の物体との衝突を回避するために、車両が移動している方向を変更することができる。
【0043】
車両衝突回避システムは、任意選択的に、環境内での車両対車両の衝突を回避するためのソリューションを提供するために、ポイント-象限に基づく車両対車両アラームロジックを使用することができる。このロジックは、本明細書に説明される制御ユニットおよび/または処理モジュールによって適用することができる。車両の場所および/または向きは、上で説明したEMパルスおよびRF送信を使用する、GPS受信機によって得られたデータを使用する、(レーダなどの他の物体から反射する)電磁信号の飛行時間に基づく距離を計算する、構造化光アレイ、などの様々な異なる方法のうちの1つ以上で判定することができる。別の移動中の車両の場合、処理モジュールは、他の車両の向きおよび/または他の車両の場所を判定することができる。別の静止車両の場合、処理モジュールは、(静止車両が向きを有しない)他の車両の場所を判定することができる。
【0044】
処理モジュールによって判定される場所および/または向きは、車両の制御ユニットに通信されて、車両の移動を減速または停止させるように車両のオペレータに助言するかどうか、および車両の移動を自動的に減速または停止させるかどうか(オペレータが応答しない、または提供される助言に従って車両の移動を変更しない場合)を判定することができる。任意選択的に、制御ユニットは、車両の向きを変更するようにオペレータに助言し得、および/またはオペレータが向きを変更しない場合、車両の向きを自動的に変更し得る。制御ユニットによって提供される助言および/または自動制御は、車両と他の物体(例えば、他の車両、人、機器、など)との間の衝突を阻止することができる。
【0045】
図5は、車両衝突回避システム500の一実施形態を例示する。一実施形態では、システム100は、地下領域で使用するためのものであり得るが、システム500は、開渠または地表で使用される。代替的に、システム500は、地下領域で使用することができ、上で説明したシステム100を表すことができる。システム500は、車両510上の上で説明した近接検出ユニットのうちの1つである近接感知ユニット518を含むことができる。任意選択的に、
図5に示される感知ユニット518は、上で説明した受信機ユニットを表すことができる。感知ユニット518は、他の物体が車両510に近いかどうかを判定するように動作し、それにより、車両510の移動を、物体との衝突を回避するように変化させることが必要になる。例えば、上で説明したように、感知ユニット518は、受信機ユニットによって検出されるEMパルスおよびRF信号を放射して、感知ユニット518に対する、したがって、車両510に対する他の物体の近接を判定することができる。代替的に、上で説明したように、感知ユニット518は、EMパルスおよび/またはRF信号を受信して、感知ユニット518および、したがって、車両510に対する他の物体の近接を判定することができる。代替的に、上で説明したように、感知ユニット518は、GPS、レーダなどの別の技術を使用して、他の物体の近接を感知ユニット518および、したがって、車両510に判定することができる。GPSに関して、感知ユニット518は、他の物体にオンボードのまたは携持された感知ユニット518と通信して、感知ユニット518の向きおよび/または位置を共有して、感知ユニット518および、したがって、車両510に対する他の物体の近接を判定することができる。
【0046】
感知ユニット518の制御ユニットまたは処理モジュールは、感知ユニット518の動作を制御する。感知ユニット518のこの制御ユニットまたは処理モジュールは、感知ユニット518のコントローラと称することができる。コントローラは、制御ユニットまたは処理モジュールを表すことができる。コントローラは、検出した他の物体の近接に基づいて、移動を減速させる、移動を停止させる、または車両510の移動方向を変更させるようにオペレータに警告するための出力を生成することができる。任意選択的に、制御ユニットは、検出した他の物体の近接に基づいて、自動的に、移動を減速させる、移動を停止させる、または車両510の移動方向を変更させることができる。
【0047】
感知ユニットのコントローラは、車両510の外装体に沿って保護ポイントを画定する。
図5では、これらの保護ポイントは、左前方(FL)ポイント、右前方(RF)ポイント、左後方(RL)ポイント、および右後方(RR)ポイントとしてラベル付けされている。保護ポイントは、車両510の車体の既知の外形寸法に基づいて画定することができる。例えば、コントローラは、直角(例えば、xおよびy)軸502、504に沿って、車両510の中心位置506からの指定距離を測定することによって保護ポイントを画定することができる。この中心位置は、軸に沿った車両の対向端部間の中間に、および軸に沿った車両の反対側の中間に位置することができる。例えば、前方保護ポイントFL、FRは、後方保護ポイントRL、RRと同じ距離に軸から位置することができ、右保護ポイントFR、RRは、左保護ポイントFL、RLと同じ距離に軸504から位置することができる。任意選択的に、コントローラは、中心位置からの指定された距離および角度に基づく保護ポイントを画定することができる。例えば、右前方保護ポイントFRは、軸502から反時計回り方向に第1の角度での指定された距離とすることができ、左前方保護ポイントFLは、軸から時計回り方向に同じ第1の角度での(または軸から反時計回り方向に第1の角度よりも90度大きい第2の角度での)同じまたは別の指定された距離とすることができ、左後方保護ポイントRLは、軸から反時計回り方向に第3の角度での指定された距離でとすることができ、右後方保護ポイントRRは、軸から時計回り方向に同じ第1の角度での(または軸から時計回り方向に第3の角度よりも90度大きい第4の角度での)同じまたは別の指定された距離とすることができる。
【0048】
これらの指定された距離は、より長い車両および/またはより幅の広い車両のために、軸を拡大することができる。任意選択的に、指定された角度は、より長いおよび/またはより広い車両のために変更され得る。保護ポイントは、車両の外面の外側にあるように定義することができる。
図5に示されるように、前方保護ポイントFL、FRは、車両の先頭端部の最外表面の前方にある、またはそれと交差する、二次元平面内に位置することができる。一実施形態では、後方保護ポイントRL、RRは、車両の反対側の後端部の最外表面の前方にある、またはそれと交差する、二次元平面内に位置することができる。保護ポイントは、車両の外側境界を画定することができる。この外側境界への他の物体の進入は、車両との衝突をもたらし得る。
【0049】
コントローラは、保護ポイントの場所および/または車両が移動している速度に基づいて、車両の周りに保護ゾーンを画定することができる。例示される例では、3つの異なるタイプの保護ゾーンが車両の周りに画定されている。これらの保護ゾーンは、強制アクションゾーン512と、条件付きアクションゾーン514と、アクション無変更ゾーン516と、を含む。代替的に、より少ない保護ゾーンが画定され得、より多くの保護ゾーンが画定され得、より少ない異なるタイプの保護ゾーンが画定され得、および/またはより多くの異なるタイプの保護ゾーンが画定され得る。上で説明したように、異なるタイプのゾーンは、異なるタイプの保護ゾーン内に別の物体を検出した場合に行われる(または行われない)異なる応答アクションと関連付けられている。
【0050】
図5に示されるように、コントローラは、前方保護ポイントFR、FLの間の車両の先頭端部の前に延在している表面積または三次元空間体積として、強制アクションゾーンを画定することができる。この表面積は、車両が走行しているルートの表面に配置することができ、またはルート表面と平行しているが、指定された距離(例えば、1/2メートルまたは別の距離)だけルート表面の上方に上昇させることができる。空間体積は、ルート表面(またはルート表面に平行である平面)から、ルート表面の上方の車両の高さ(または別の高さ)などの、ルート表面の上方の指定された高さまで延在することができる。コントローラは、下で説明する停止保護ライン524の外端部まで車両の前方に延在するように、強制アクションゾーンを画定することができる。
【0051】
図5に示されるように、コントローラは、(車両の進行方向522に対する)車両の反対側から横方向外向きに延在している空間の表面積または三次元体積として、無アクションゾーン516を画定することができる。これらの表面積は、車両が走行しているルートの表面に配置することができ、またはルート表面と平行しているが、指定された距離だけルート表面の上方に上昇させることができる。空間体積は、ルート表面(またはルート表面に平行である平面)から、ルート表面の上方の指定された高さまで延在することができる。コントローラは、車両の側から外向きに、下で説明する停止保護ラインの長さなどの指定された距離まで、無アクションゾーンを画定することができる。
【0052】
コントローラは、前方保護ポイントFL、FR(および無アクションゾーンの平面の前方端部)を含む平面から停止保護ラインの距離まで軸に沿って延在している表面積または三次元空間体積として、条件付きアクションゾーンを画定することができる。コントローラはまた、左保護ポイントFL、RLを含む平面から停止保護ラインの距離まで軸に沿って延在している表面積または三次元空間体積として、条件付きアクションゾーンの1つを画定することができる。コントローラは、右保護ポイントFR、RRを含む平面から停止保護ラインの距離まで軸に沿って延在している表面積または三次元空間体積として、他の条件付きアクションゾーンを画定することができる。
図5において軸の右側に配置されている条件付きアクションゾーンは、車両の第1の象限または象限1と称することができ、一方で、
図5において軸の左側に配置されている他の条件付きアクションゾーンは、車両の第2の象限または象限2と称することができる。
【0053】
図5に示されるように、保護ゾーンは、互いに重ならない。代替的に、保護ゾーンの2つ以上は、少なくとも部分的に互いに重なり得る。
【0054】
先の説明は、保護ゾーンのサイズを画定するために使用される指定された距離が停止保護ラインの長さであることに重点を置いているが、代替的に、これらの指定された距離は、下で説明する減速保護ライン520の長さとすることができる。
【0055】
コントローラは、車両の前縁部から軸と平行な方向に直線状に突出しているラインとして、および/または車両の横側から軸に平行な方向に直線状に突出しているラインとして、停止ライン524および減速保護ライン520を画定することができる。車両の前縁部は、車両が前方の方向へ移動している間、前方保護ポイントFL、FRを含む二次元平面とすることができ、または、車両が反対の方向である後方の方向へ移動している間、後方保護ポイントRL、RRを含む二次元平面とすることができる。車両の横側は、車両の両側の二次元平面とすることができ、一方の平面が、左保護ポイントFL、RLを含み、他方の平面が、右保護ポイントFR、RRを含む。
【0056】
例えば、停止保護ラインは、車両が前方へ移動している間、前方保護ポイントFR、FLから(下で説明する)停止保護ラインの距離まで、車両の移動方向と平行な方向に突出することができる。停止保護ラインは、車両が後方へ移動している間、後方保護ポイントRR、RLから(下で説明する)停止保護ラインの距離まで反対方向に突出することができる。追加的な停止保護ラインは、任意選択的に、右保護ポイントFR、RRから停止保護ラインの距離まで移動方向に対して垂直である方向に車両の一方の側に突出することができる。追加的な停止保護ラインは、任意選択的に、左保護ポイントFL、RLから停止保護ラインの距離まで移動方向に対して垂直である方向に車両の他方の側に突出することができる。
【0057】
減速保護ラインは、車両が前方へ移動している間、前方保護ポイントFR、FLから(下で説明する)減速保護ラインの距離まで、車両の移動方向と平行な方向に突出することができる。減速保護ラインは、車両が後方へ移動している間、後方保護ポイントRR、RLから(下で説明する)減速保護ラインの距離まで反対方向に突出することができる。追加的な減速保護ラインは、任意選択的に、右保護ポイントFR、RRから減速保護ラインの距離まで移動方向に対して垂直である方向に車両の一方の側に突出することができる。追加的な減速保護ラインは、任意選択的に、左保護ポイントFL、RLから減速保護ラインの距離まで移動方向に対して垂直である方向に車両の他方の側に突出することができる。
【0058】
コントローラは、車両の移動速度に少なくとも部分的に基づいて、保護ラインの長さまたは距離を画定することができる。保護ラインは、車両の移動速度がより速い場合は、より長くすることができ、車両の移動速度がより遅い場合は、より短くすることができる。一実施形態では、保護ラインの長さは、車両の停止距離に少なくとも部分的に基づく。例えば、車両の停止距離は、次式に基づいて、コントローラによって判定することができる。
【0059】
【数1】
式中、vは、車両の移動速度を表し、tは、車両を停止させるための時間を表し、gは、重力加速度を表し、(摩擦係数+勾配)は、摩擦係数および車両が走行している勾配の組み合わせ値を表し、ブレーキ率は、車両のブレーキ率(例えば、車両のブレーキ力と重量との比)である。代替的に、ブレーキ距離は、定義されて指定された値を有することができ、この値は、計算されるのではなく、車両の異なる移動速度と関連付けられたいくつかの異なる距離(例えば、異なる車両速度に対するデフォルトの停止距離)から得られる。
【0060】
一実施形態では、停止保護ラインの長さまたは距離は、停止距離の長さに等しくすることができる。代替的に、停止保護ラインの長さまたは距離は、停止距離の125%、110%、90%などの、停止距離の割合とすることができる。一実施形態では、減速保護ラインの長さは、停止距離の長さの2倍に等しくすることができる。代替的に、減速保護ラインの長さまたは距離は、停止距離の225%、210%、190%などの、停止距離の別の割合とすることができる。
図5に示されるように、減速保護ラインは、停止保護ラインよりも車両から遠くに延在している。
【0061】
他の車両上の検出ユニットのコントローラは、保護ライン524および/または保護ゾーン512、514、516を同様に識別または画定することができる。車両は、異なるサイズであり得るので、および/または異なる速度で移動し得るので、異なる車両の場合の保護ライン、524および/またはゾーン512、514、516は、異なるサイズおよび/または形状を有し得る。車両の保護ライン524および/またはゾーン512、514、516のサイズおよび/または形状は、車両の速度が変化することにより、(車両のコントローラによって)動的に変化し得る。
【0062】
コントローラによって画定される保護ラインおよび/またはゾーンは、監視されたラインまたはゾーンとすることができ、有形の物体ではない。例えば、保護ラインおよび/またはゾーンは、車両との衝突を回避するために、コントローラによって他の物体が監視される空間的位置を画定することができる。
【0063】
異なる検出ユニットのコントローラは、保護ラインおよび/またはゾーンを互いに通信することができる。例えば、異なる車両上のコントローラは、それぞれの車両の保護ラインおよび/またはゾーンを1つ以上の他の車両のコントローラに送信することができる。任意選択的に、異なる車両上のコントローラは、それぞれの車両の保護ラインおよび/またはゾーンを他の車両のコントローラにブロードキャストすることができる。別の例では、異なる車両上のコントローラは、それぞれの車両の保護ラインおよび/またはゾーンを、他の車両のコントローラによってアクセス可能である中央メモリまたはデータベースに通信することができる。
【0064】
第1の車両のコントローラは、保護ラインおよび/またはゾーンを使用して、第1の車両に対する他の車両の場所を監視することができる。第1の車両は、試験中の車両と称することができ、一方で、他の車両は、監視される車両と称することができる。例えば、監視される車両の保護ラインおよび/または保護ゾーンが試験車両の保護ラインおよび/または保護ゾーンと交差した、そこに入った、および/またはそれと重なったことを検出することに応答して、試験車両のコントローラは、監視される車両との衝突を回避するために、試験車両のオペレータに試験車両の移動を変更するように指示することができ、または試験車両の移動を自動的に変更することができる。この移動の変更は、試験車両を減速または停止させること、試験車両が移動している方向を変更すること、および/または監視される車両に移動を変更するように指示することができる。
【0065】
図6は、衝突回避システムの動作の一例を例示する。
図6には、第1の車両600、第2の車両602、および第3の車両604が示されており、各車両は、
図5に示される車両のうちの1台を表す。第1の車両600は、試験車両であり得、他の車両は、監視される車両である。第1の車両は、第1の進行方向606に移動し得、第2の車両602は、異なる第2の進行方向608に移動し得る。車両の減速および停止保護ラインが、
図6に示されている。
【0066】
第1の車両のコントローラは、保護ゾーン512、514を監視して、任意の他の車両または別の車両の保護ラインもしくはゾーンが、該ゾーンに進入しているかどうかを判定する。コントローラは、他の車両の任意の保護ゾーンまたは保護ラインが、第1の車両の第1または第2の象限と交差しているか、それを横断しているか、そこに進入しているか、またはそれと少なくとも部分的に重なっているかどうかを判定する。上で説明したように、第1の象限は、右前方の条件付き保護ゾーンであり、第2の象限は、左前方の条件付き保護ゾーンである。
【0067】
第1の車両の任意の停止保護ラインが別の車両の任意の停止保護ラインと交差している、またはそれを横断していることに応答して、第1の車両のコントローラは、第1の車両のオペレータに第1の車両の移動を停止させるように指示することができ、または第1の車両の移動を自動的に停止させることができる。しかし、第1の車両の任意の減速保護ラインが別の車両の任意の停止保護ラインまたは任意の減速保護ラインと交差している、またはそれを横断していることに応答して、第1の車両のコントローラは、第1の車両のオペレータに第1の車両の移動を減速させるように指示することができ、または第1の車両の移動を自動的に減速させることができる。コントローラが、任意の停止保護ラインが別の車両の減速保護ラインと交差している、またはそれを横断していると判定した場合、第1の車両のコントローラは、オペレータに第1の車両の移動を減速または停止させるように指示し得ず、第1の車両のコントローラは、第1の車両の移動を自動的に減速または停止させ得ない。
【0068】
例示される例では、第1の車両の右側の第1の車両の停止保護ラインは、第3の車両の右側の減速護ラインと交差している。この交差を検出することに応答して、第1の車両のコントローラは、オペレータに第1の車両の移動を停止させるように指示することができ、または第1の車両の移動を自動的に停止させることができる。あるいは、オペレータが指定された時間限界または距離限界内で第1の車両を停止させなかったことに応答して、第1の車両のコントローラは、オペレータに第1の車両の移動を停止させるように指示することができ、かつ第1の車両の移動を自動的に停止させることができる。
【0069】
追加的に、第1の車両のコントローラは、第1の車両の左側の減速保護ライン520が車両602の左側の減速保護ライン520と交差していると判定することができる。この交差を検出することに応答して、コントローラは、オペレータに第1の車両の移動を減速させるように指示することができ、または第1の車両の移動を自動的に減速させることができる。あるいは、オペレータが指定された時間限界または距離限界内で第1の車両を少なくとも指定された速度まで減速させなかったことに応答して、第1の車両のコントローラは、オペレータに第1の車両の移動を減速させるように指示することができ、かつ第1の車両の移動を自動的に減速させることができる。
【0070】
図7は、衝突回避システムの動作の別の例を例示する。第1の車両のコントローラは、第2または第3の車両のうちの1台の任意の保護ポイントFR、FL、RR、RLが第1の車両の保護ゾーンのいずれかに進入しているか、またはそれと交差しているかどうかを判定することができる。別の車両の保護ライン520、524または保護ゾーン512、514が第1の車両の保護ゾーンに進入していると判定することに応答して、コントローラは、車両間の閉鎖距離xを計算することができる。
【0071】
この閉鎖距離xは、第2および第3の車両の前方保護ポイントFR、FLのいずれかと、第1の車両の前方保護ポイントFR、FLを含む二次元垂直面との間の最短直線距離とすることができる。任意選択的に、第1の車両が第2または第3の車両の後方端部に接近している、および/あるいはその車両が後退している場合、この閉鎖距離xは、他の車両の後方保護ポイントRR、RLのいずれかと、第1の車両の前方保護ポイントFR、FLを含む二次元垂直面との間の最短直線距離とすることができる。別の例では、第1の車両が後退している、および/または第1の車両の後方端部に接近している場合、この閉鎖距離xは、車両602、604の前方保護ポイントRR、RLのいずれかと、第1の車両の後方保護ポイントRR、RLを含む二次元垂直面との間の最短直線距離とすることができる。
【0072】
コントローラは、閉鎖距離xが指定された停止制限Lstop未満であることに応答して、オペレータに第1の車両の移動を停止させるように指示することができ(およびオペレータが時間または距離限界内に応答しない場合、移動を自動的に停止させることができ)、ここで、
【0073】
【数2】
であり、式中、sd
tは、第1の試験車両の停止距離を表し、sd
mは、他の車両の停止距離を表し、相対的な向きは、第1の車両に対する他の車両の相対的な向きである。相対的な向きは、第1の車両の向きと監視されている他の車両との間の角度とすることができる。車両の停止距離sd
tおよびsd
mは、それぞれの停止保護ラインの長さとすることができる。
【0074】
コントローラは、閉鎖距離xが指定された減速制限Lslow未満であることに応答して、オペレータに第1の車両の移動を減速させるように指示すること(およびオペレータが時間または距離限界内に応答しない場合、移動を自動的に減速させること)ができ、ここで、
【0075】
【数3】
であり、式中、sld
tは、第1の試験車両の減速距離を表し、sld
mは、監視される他の車両の減速距離を表し、相対的な向きは、第1の車両に対する他の車両の相対的な向きである。車両の減速距離sld
tおよびsld
mは、それぞれの減速保護ラインの長さとすることができる。
【0076】
閉鎖距離xが減速制限Lslow未満である場合、コントローラは、第1の車両の移動の減速を指示し、および/または自動的に移動を減速させる。閉鎖距離xが停止限界Lstop未満である場合、コントローラは、第1の車両の移動の停止を指示し、および/または自動的に移動を停止させる。
【0077】
図8は、衝突回避システムの動作の別の例を例示する。第1の車両のコントローラは、第1の車両の保護ラインが別の車両の本体と交差しているかどうかを判定することができる。コントローラは、第1の車両の減速または停止保護ラインが、車両602の両方の保護ポイントを第2の車両の一方の側に含む二次元平面800を横断しているかどうかを決定することによって、この判定を行うことができる。例えば、コントローラは、第2の車両の一方の側(
図8に示される)を第2の車両の左保護ポイントFL、RLを含む垂直面として、および/または第2の車両の他方の側を第2の車両の右保護ポイントFR、RRを含む別の垂直面として識別することができる。
【0078】
第1の車両のコントローラは、第1の車両の減速または停止保護ラインが、第2の車両の一方の側の保護ポイントの間のこの平面を横断しているかどうかを判定することができる。第1の車両の減速保護ラインが第2の車両のこの平面と交差している場合、第1の車両のコントローラは、オペレータに第1の車両の移動を減速させるように指示すること(およびオペレータが時間または距離限界内に応答しない場合、移動を自動的に減速させること)ができる。第1の車両の停止保護ラインが第2の車両のこの平面と交差している場合、第1の車両のコントローラは、オペレータに第1の車両の移動を停止させるように指示すること(およびオペレータが時間または距離限界内に応答しない場合、移動を自動的に停止させること)ができる。例示される例では、コントローラは、減速保護ラインが第2の車両の側面平面800と交差していると判定する。したがって、コントローラは、オペレータに第1の車両の移動を減速させるように指示する(およびオペレータが時間または距離限界内に応答しない場合、自動的に移動を減速させる)。
【0079】
図9Aおよび9Bは、車両間の衝突を回避するための方法900の一実施形態のフローチャートを例示する。方法900は、本明細書に説明される検出ユニットによって行われる動作を表すことができる。方法900は、車両間の衝突を回避するために使用するものとして説明されているが、方法900はまた、車両と非車両物体との間などの、他のタイプの車両間の衝突を回避するために使用することもできる。追加的に、方法900は、衝突を回避するために応答アクションを実施するかどうかを判定するための一連の決定として説明されている。しかし、決定は、フローチャートに示されているシーケンス以外のシーケンスで実行され得る。別の実施形態では、決定は、順次的ではなく、並行しておよび/または同時に行われ得る。
【0080】
902において、試験車両の保護ラインおよびゾーンが判定される。コントローラは、試験車両の減速および停止保護ライン、ならびに試験車両の強制、条件付き、および/または無アクションゾーンを識別することができる。904において、1つ以上の他の車両の保護ラインおよび/またはポイントが判定される。例えば、上で説明したように、監視される車両の保護ポイントおよびラインが識別される。906において、監視される車両のうちの1台以上の近接が追跡される。検出ユニットは、保護ポイントおよび/またはラインが、試験車両の保護ラインおよび/またはゾーンからどのくらい近くにあるかを監視することができる。
【0081】
908において、試験車両の停止保護ラインが、監視される車両の停止保護ラインと交差しているかどうかに関する判定が行われる。停止保護ラインのこの交差が検出された場合、車両には、差し迫った衝突の恐れがあり得る。その結果、方法900の流れは、910へ進むことができる。そうでない場合、車両には、差し迫った衝突の恐れがあり得ず、方法900の流れは、912へ進むことができる。
【0082】
910において、試験車両を手動でまたは自動的に停止させる。コントローラは、出力デバイス(例えば、スピーカ、光、ディスプレイ、など)を介して、試験車両のオペレータに試験車両の移動を停止させるように指示することができる。代替的に、コントローラは、オペレータの介入を伴わずに、試験車両の移動を自動的に停止させることができる。別の実施形態では、コントローラは、監視される車両との衝突を回避するために、試験車両の向きを変更することなどによって、試験車両の移動を変更することができる。方法900の流れは、次いで、906に戻って他の車両の近接を追跡し続けることができ、または方法900を終了することができる。
【0083】
908において行われた決定に戻り、試験車両の停止保護ラインが、監視される車両の停止保護ラインと交差していない場合、912において、試験車両の減速保護ラインが、監視される車両の停止または減速保護ラインと交差しているかどうかに関する判定が行われる。試験車両のいずれかの減速保護ラインが、監視される車両の停止または減速保護ラインと交差している場合、試験車両および監視される車両は、最終的な衝突に向かって移動中であり得る。その結果、方法900の流れは、914へ進むことができる。そうでない場合、車両は、衝突に向かって走行し得ず、方法900の流れは、916へ進むことができる。
【0084】
914において、試験車両を手動でまたは自動的に減速させる。コントローラは、出力デバイスを介して、試験車両のオペレータに試験車両の移動を減速させるように指示することができる。代替的に、コントローラは、オペレータの介入を伴わずに、試験車両の移動を自動的に減速させることができる。別の実施形態では、コントローラは、監視される車両との衝突を回避するために、試験車両の向きを変更することなどによって、試験車両の移動を変更することができる。方法900の流れは、次いで、906に戻って他の車両の近接を追跡し続けることができ、または方法900を終了することができる。
【0085】
912において行われた決定に戻り、試験車両の減速保護ラインが、監視される車両の保護ラインと交差していない場合、916において、試験車両の停止保護ラインが、監視される車両の減速保護ラインと交差しているかどうかに関する判定が行われる。試験車両の停止保護ラインが、監視される車両の減速保護ラインと交差している場合、試験車両および監視される車両は、依然として衝突リスクをもたらすのに十分な近さにあり得ない。その結果、方法900の流れは、918へ進むことができる。そうでない場合、方法900の流れは、920(
図9B)へ進むことができる。
【0086】
918において、試験車両の移動を変更するためのいかなる応答アクションも実施しない。例えば、試験車両および監視される車両に、衝突の危険性があり得ない場合、試験車両を減速すること、試験車両を停止させること、または試験車両の向きを変更することを伴わずに、試験車両の移動を続けることができる。方法900の流れは、次いで、906に戻って他の車両の近接を追跡し続けることができ、または方法900を終了することができる。
【0087】
920において、監視される車両の任意の保護ポイントが試験車両の保護ゾーン内にあるかどうかに関する判定が行われる。例えば、試験車両のコントローラは、監視される車両の保護ポイントFR、FL、RR、RLのうちのいずれかが、試験車両の任意の強制保護ゾーン512または条件付き保護ゾーン514内にあるかどうかを判定することができる。保護ポイントがこれらの保護ゾーンのうちの1つ内にある場合、車両には、差し迫った衝突の危険性があり得る。その結果、方法900の流れは、922へ進むことができる。保護ポイントがこれらの保護ゾーンの1つ内にない場合、車両には、差し迫った衝突の危険性があり得ない。その結果、方法900の流れは、928へ進むことができる。
【0088】
922において、上で説明したように、車両の相対的な向きとともに、試験車両と監視される車両との間の閉鎖距離が判定される。924において、この閉鎖距離が試験車両の停止限界未満かどうかに関する判定が行われる。閉鎖距離が停止限界未満である場合、車両には、差し迫った衝突の危険性があり得ない。その結果、方法900の流れは、910へ進んで、上で説明したように、試験車両の移動を停止させることができる。そうでない場合、車両には、差し迫った衝突の恐れがあり得ず、方法900の流れは、926へ進むことができる。
【0089】
926において、この閉鎖距離が試験車両の減速限界未満であるかどうかに関する判定が行われる。閉鎖距離が減速限界未満である場合、車両は、最終的な衝突に向かって移動中であり得る。その結果、方法900の流れは、914へ進んで、上で説明したように、試験車両の移動を減速させることができる。そうでない場合、車両は、衝突に向かって移動し得ず、方法900の流れは、上で説明したように、918へ進むことができる。
【0090】
920で行われた決定の説明に戻り、監視される車両のいかなる保護ポイントも試験車両の保護ゾーン内にない場合、方法900の流れは、928へ進むことができる。928において、試験車両の停止保護ラインが監視される車両の本体を横断しているかどうかに関する判定が行われる。例えば、コントローラは、試験車両の停止保護ラインが、監視される車両の同じ側の前方および後方保護ポイントから延在し、かつそれらを含む平面を横断しているか、または平面と交差しているかどうかを判定することができる。停止保護ラインがこの平面を横断している、または平面と交差している場合、車両には、差し迫った衝突の危険性があり得る。その結果、方法900の流れは、910へ進んで、上で説明したように、試験車両の移動を停止させることができる。試験車両のいかなる停止保護ラインもこの平面を横断していない、または平面と交差していない場合、車両には、差し迫った衝突の危険性があり得ないが、衝突に向かって移動中であり得る。その結果、方法900の流れは、930へ流れることができる。
【0091】
930において、試験車両の減速保護ラインが、監視される車両の本体を横断しているかどうかに関する判定が行われる。例えば、コントローラは、試験車両の停止保護ラインが、監視される車両の同じ側の前方および後方保護ポイントから延在し、かつそれらを含む平面を横断しているか、または平面と交差しているかどうかを判定することができる。減速保護ラインがこの平面を横断している、または平面と交差している場合、車両は衝突に向かって移動中であり得る。その結果、方法900の流れは、914へ進んで、上で説明したように、試験車両の移動を減速させることができる。試験車両のいかなる減速保護ラインもこの平面を横断していない、または平面と交差していない場合、車両は、衝突に向かって移動中であり得ない。その結果、方法900の流れは、918へ流れることができる。
【0092】
本明細書に説明される衝突回避システムおよび方法の実施形態は、いくつかの既知の衝突回避システムと比較して、誤アラームの数を低減または除去することができる。本明細書に説明される衝突回避システムは、保護ラインを試験車両の移動の方向に画定することによって、ならびに条件付きおよび強制減速および停止保護ゾーンを車両の保護ポイントの周りに画定することによって、誤アラームを低減することができる。コントローラは、最後の手段として車両を停止させることができるが、車両の移動を停止させる前に車両を減速させるために、衝突危険の早期発見を使用することができる。コントローラは、徐行または停止ゾーンを車両の周りに画定することができ、それにより、他の車両の位置および向きに基づく不必要なアラームを低減することができる。
【0093】
一実施形態では、衝突回避システムは、静止要素のマップをさらに含むか、またはそれと通信する。これは、車両が別のモバイル物体と衝突することを阻止するように設計された機能を補完し得る。例えば、車両が人工の構造物または自然な地形特徴を有する領域内で動作する場合、物体の既知の場所を考慮したルートを設計することができる。人工の特徴としては、壁、縁石、建築物、ポスト、橋、電力線鉄塔、およびインフラを構成する他の恒久的または半恒久的な物体が挙げられ得る。自然な地形特徴としては、川、丘陵、崖、砂州、などが挙げられ得る。関連して、自動車が道をルートとして必要とし得、機関車がレールを必要とし得るという点で、ルートは、輸送媒体によって拘束され得る。停止および減速距離を判定する計算には、車両の装荷または無装荷状態、車輪の状態、ルートの状態、ルートの等級、などの情報を含み得る。
【0094】
一実施形態では、車両制御システムは、車両の移動を制御するために車両上に配置することができる制御ユニットと、車両から電磁(EM)パルスおよびラジオ周波数(RF)信号を放射することができる1つ以上の送受信機デバイスと、を含む。1つ以上の送受信機デバイスは、RF信号に含まれる車両のアイデンティティを伴うRF信号を放射することができるものである。鉱山内の車両外に配置された受信機ユニットがEMパルスおよびRF信号を受信することに応答して、制御ユニットは、受信されるEMパルスおよびRF信号に基づいて、車両と受信機ユニットとの間の距離を判定することができ、この距離に基づいて、信号を1つ以上の送受信機デバイスに通信することができる。制御ユニットはまた、距離に基づいて、車両の移動を変更することもできる。
【0095】
任意選択的に、制御ユニットは、受信機ユニットから受信した信号に基づいて、車両の移動の減速、車両の移動の停止、または車両の移動方向の変更、のうちの1つ以上を行うことができる。1つ以上の送受信機デバイスは、別の車両上に配置された受信機ユニットから信号を受信することができる。1つ以上の送受信機デバイスは、鉱山内に位置する人が携持する受信機ユニットから信号を受信することができる。
【0096】
一実施形態では、車両制御システムは、第1の車両に対する監視される車両の近接を判定することができる検出ユニットと、第1の車両から直線状に突出している第1の保護ラインおよび監視される車両から直線状に突出している第2の保護ラインを判定することができるコントローラと、を含む。第1の保護ラインは、第1の車両の移動速度に基づいて判定される。第2の保護ラインは、監視される車両の移動速度に基づいて判定される。コントローラは、第1の保護ラインのうちの1つ以上と第2の保護ラインのうちの1つ以上との交差に応答して、第1の車両に、第1の車両の移動を変更するように指示することができる。
【0097】
任意選択的に、判定される第1の保護ラインは、より長い第1の減速保護ラインと、より短い第1の停止保護ラインと、を含むことができる。判定される第2の保護ラインは、より長い第2の減速保護ラインと、より短い第2の停止保護ラインと、を含むことができる。コントローラは、第1の停止保護ラインの少なくとも1つと第2の停止保護ラインの少なくとも1つとの交差の検出に応答して、第1の車両に、第1の車両の移動を停止させるように指示することができる。コントローラは、第1の減速保護ラインの少なくとも1つと第2の減速保護ラインまたは第2の停止保護ラインのいずれかとの交差の検出に応答して、第1の車両に、第1の車両の移動を減速させるように指示することができる。
【0098】
コントローラは、第2の保護ラインが、監視される車両の本体と関連付けられた保護ポイントから離れて直線状に延在しているものとして判定することができ、コントローラは、第1の車両の外側にあり、かつ第1の保護ラインの間に延在している保護ゾーンを画定することができる。コントローラは、監視される車両の保護ポイントのうちの1つ以上が、第1の車両の保護ゾーンのうちの1つ以上に進入しているかどうかを判定することができる。コントローラは、監視される車両の1つ以上の保護ポイントが第1の車両の1つ以上の保護ゾーンに進入していると判定することに応答して、監視される車両の閉鎖距離および第1の車両と監視される車両との間の相対的な向きを判定することができる。コントローラは、試験車両の閉鎖距離、相対的な向き、および停止または減速限界のうちの1つ以上に基づいて、第1の車両に、第1の車両の移動を減速または停止させるように指示することができる。
【0099】
一実施形態では、車両間の衝突を回避するための方法が提供される。本方法は、第1の車両に対する監視される車両の近接を判定することと、第1の車両から直線状に突出している第1の保護ラインを判定することと、を含む。第1の保護ラインは、第1の車両の移動速度に基づいて判定される。本方法はまた、監視される車両から直線状に突出している第2の保護ラインを判定することも含む。第2の保護ラインは、監視される車両の移動速度に基づいて判定される。本方法はまた、第1の保護ラインのうちの1つ以上と第2の保護ラインのうちの1つ以上との交差に応答して、第1の車両の移動を変更することも含む。
【0100】
任意選択的に、第1の保護ラインを判定することは、より長い第1の減速保護ラインおよびより短い第1の停止保護ラインを判定することを含むことができる。第2の保護ラインを判定することは、より長い第2の減速保護ラインおよびより短い第2の停止保護ラインを判定することを含むことができる。第1の車両の移動を変更することは、第1の停止保護ラインのうちの少なくとも1つと第2の停止保護ラインのうちの少なくとも1つとの交差の検出に応答して、第1の車両の移動を停止させることを含むことができる。
【0101】
第1の車両の移動を変更することは、第1の減速保護ラインのうちの少なくとも1つと第2の減速保護ラインまたは第2の停止保護ラインのいずれかとの交差の検出に応答して、第1の車両の移動を減速させることを含むことができる。第2の保護ラインを判定することは、監視される車両の本体と関連付けられた保護ポイントから離れて延在している第2の保護ラインの直線状の突出を判定することを含むことができる。本方法は、任意選択的に、第1の車両の外側にあり、かつ第1の保護ラインの間に延在している保護ゾーンを判定することを含むことができる。本方法はまた、監視される車両の保護ポイントのうちの1つ以上が第1の車両の保護ゾーンのうちの1つ以上に進入しているかどうかを判定することも含むことができる。
【0102】
任意選択的に、本方法は、監視される車両の1つ以上の保護ポイントが第1の車両の1つ以上の保護ゾーンに進入していると判定することに応答して、監視される車両の閉鎖距離および第1の車両と監視される車両との間の相対的な向きを判定することを含む。第1の車両の移動を変更することは、第1の車両の閉鎖距離、相対的な向き、および停止または減速限界のうちの1つ以上に基づいて、第1の車両の移動を減速または停止させることを含むことができる。
【0103】
一実施形態では、車両制御システムは、第1の車両に対する監視される車両の近接を判定することができる検出ユニットと、第1の車両から直線状に突出している第1の保護ラインおよび監視される車両から直線状に突出している第2の保護ラインを判定することができるコントローラと、を含む。第1の保護ラインは、第1の車両の移動速度に基づいて判定される。第2の保護ラインは、監視される車両の移動速度に基づいて判定される。コントローラは、第1の保護ラインのうちの1つ以上と第2の保護ラインのうちの1つ以上との交差に応答して、第1の車両に、第1の車両の移動を変更するように指示することができる。
【0104】
一実施形態では、車両間の衝突を回避するための方法が提供される。本方法は、第1の車両に対する監視される車両の近接を判定することと、第1の車両から直線状に突出している第1の保護ラインを判定することと、を含む。第1の保護ラインは、第1の車両の移動速度に基づいて判定される。本方法は、監視される車両から直線状に突出している第2の保護ラインを判定することを含む。第2の保護ラインは、監視される車両の移動速度に基づいて判定される。方法は、第1の保護ラインのうちの1つ以上と第2の保護ラインのうちの1つ以上との交差に応答して、第1の車両の移動を変更することを含む。
【0105】
一実施形態では、システムは、少なくとも1つのEMパルスと同期的に高RF信号を放射することができるエミッタを有する車両を含む。本システムは、車両から離れて位置する受信機ユニットを含む。受信機ユニットは、磁場受信機と、RF送受信機と、RF送受信機および磁場受信機に結合された処理モジュールと、を含む。受信機ユニットは、車両から高RF信号およびEMパルスを受信して、高RF信号または少なくとも1つのEMパルスのうちの少なくとも1つに基づいて、受信機ユニットに対する車両の近接を判定することができる。
【0106】
一実施形態では、方法は、第1の車両の中のエミッタによって、少なくとも1つのEMパルスと同期的に高RF信号を放射することを含む。本方法は、第1の車両(受信機ユニットは、磁場受信機と、RF送受信機と、RF送受信機および磁場受信機に結合された処理モジュールと、を含む)から離れて位置する受信機ユニットによって、第1の車両から高RF信号および少なくとも1つのEMパルスを受信することをさらに含む。本方法は、受信機ユニットによって、高RF信号またはEMパルスのうちの少なくとも1つに基づいて、第1の車両と受信機ユニットとの間の近接を判定することをさらに含む。
【0107】
一実施形態では、システムは、磁場受信機と、RF送受信機と、RF送受信機および磁場受信機に結合された処理モジュールと、を有する受信機ユニットを含む。RF送受信機は、受信機ユニットから離れている車両から高RF信号を受信することができる。磁場受信機は、車両から少なくとも1つのEMパルスを受信することができる。処理モジュールは、車両からの高RF信号および少なくとも1つのEMパルスの放射が同期的に発生したことを検証することができる。処理モジュールは、放射が同期的に発生したことの確認に応答して、高RF信号または少なくとも1つのEMパルスのうちの少なくとも1つに基づいて、受信機ユニットに対する車両の近接を判定するようにさらに構成されている。処理モジュールは、放射が同期的に発生しなかったことの確認に応答して、近接を判定する際に使用するための高RF信号および少なくとも1つのEMパルスを拒否することができる。
【0108】
一実施形態では、システムは、外部参照することなく受信領域内の車両の位置を判定することができるオンボードナビゲーションシステムを有する車両を含む。本システムはまた、車両が走行するルートに沿った受信領域内の場所に位置決めされた少なくとも1つのビーコンも含む。少なくとも1つのビーコンは、受信領域内の少なくとも1つのビーコンの位置データを記憶している。車両は、車両が少なくとも1つのビーコンの範囲内を通過するときに、少なくとも1つのビーコンから位置データを無線で受信することができる。
【0109】
図10は、上で説明した車両衝突回避システムの動作の別の実施形態を例示する。コントローラは、第1の車両システム600(ローカル物体またはLOとも称される)上に配置され得、第1の車両システムおよび第2の車両システム602(リモート物体またはROとも称される)の予想進路の今度の交差領域1000を予測または計算することができる。今度の交差領域は、第1の車両システムおよび第2の車両システムの現在の移動および場所に基づくことができる。交差領域は、車両システムが現在の向きまたは経路を移動し続けている場合に両方の車両システムが走行する、第1および第2の車両システムが進行している表面の領域を表すことができる。交差領域のサイズは、車両システムの幅の積とすることができる。
【0110】
コントローラは、第1の車両システムの到達距離1002(
図10の「LO到達距離」)を計算することによって、交差領域が位置する場所を予測することができる。到達距離は、第1の車両システムの前縁部1004から交差領域までの距離として計算される。一実施形態では、到達距離は、第1の車両システムの保護ポイントと交差領域との間の距離(例えば、最短距離)として計算される。保護ポイントは、他の前方保護ポイントよりも第2の車両システムにより近い、前方保護ポイント(上で説明したように、右前方FRまたは左前方FL保護ポイント)とすることができる。
図10に示される例では、第2の車両システムが第1の車両システムの右側にあるときに、LO到達距離を計算するために第1の車両システムのコントローラによって使用される保護ポイントは、FR保護ポイントである。
【0111】
第1の車両システムのコントローラは、任意選択的に、第2の車両システムの到達距離1006(
図10の「RO到達距離」)を計算することができる。RO到達距離は、第2の車両システムの保護ポイントと交差領域との間の距離(例えば、最短距離)として計算または推定することができる。LO到達距離と同様に、RO到達距離は、第2の車両システムのFRまたはFL保護ポイント(例えば、第1の車両システムおよび交差領域に最も近い保護ポイント)からの最短距離として計算することができる。
【0112】
第1の車両システムのコントローラは、第1の車両システムの相対到達距離1008(
図10の「LO相対到達距離」)を計算することができる。第1の車両システムの相対到達距離は、第2の車両システムが交差領域に到達する前に第1の車両システムが走行する距離を表すことができる。一実施形態では、相対到達距離は、第1の車両システムの速度と第2の車両システムが交差領域に到達する前の時間との積として計算することができる。第2の車両システムが交差領域に到達する前の時間は、RO到達距離を第2の車両システムの速度で除算するように、コントローラによって推定または計算することができる。
【0113】
コントローラは、第2の車両システムのクリアリング距離1010(
図10の「LOクリアリング距離」)を計算することができる。LOクリアリング距離は、本明細書に説明されるように、アラームを作動させることを回避するために第2の車両システムが交差領域に到達する前に第1の車両システムが時間内に走行する必要がある、最小または閾値距離を表すことができる。LOクリアリング距離は、第1の車両システムの前縁部(または前方保護ポイントFR、FLのどちらか)から、交差領域の遠方縁部1012(例えば、第1の車両システムから最も遠い縁部)までの距離として計算または推定することができる。代替的に、LOクリアリング距離は、第1の車両システムの反対の(例えば、後)縁部から交差領域の遠方縁部1012までの距離として計算または推定することができる。
【0114】
コントローラは、上で説明した距離のうちの1つ以上に基づいて、1つ以上の応答アクションを実施または開始することができる。一例として、車両システムの両方が少なくとも部分的に交差領域を同時に占有するように、第1および第2の車両システムの両方が交差領域に向かって進行している場合、コントローラは、オペレータに第1の車両システムを減速させるように指示することができ、または第1の車両システムを自動的に減速させることができる。速度は、第1の車両システムのスロットルを絞っておよび/またはブレーキをかけて、第1の車両システムの現在の速度、LO到達距離、および指定されたギャップ距離1014に基づく量だけ減速させることによって減速させることができる。
【0115】
指定されたギャップ距離は、デフォルト値(例えば、第1の車両システムの長さの20%などの、第1の車両システムのサイズまたは長さの一部)とすることができ、または第1の車両システムの移動速度に基づいて変更する値を有することができる(例えば、ギャップ距離は、第1の車両システムが下限閾値速度よりも遅く移動している間は、第1の車両システムの長さの20%であり、第1の車両システムが下限閾値速度よりも速いが、中間閾値速度よりも遅く移動している間は、第1の車両システムの長さの50%であり、第1の車両システムが中間閾値速度よりも速いが、上限閾値速度よりも遅く移動している間は、第1の車両システムの長さの中で75%であり、第1の車両システムが上限閾値速度よりも速く移動している間は、第1の車両システムの長さの100%である、など)。
【0116】
コントローラは、第1の車両システムを、第1の車両システムの速度の二乗に比例する、および/またはLO到達距離と指定されたギャップとの間の差に反比例する率で減速させることができる。例えば、コントローラが減速する率は、次式のように計算することができる。
【0117】
【数4】
式中、Dは、第1の車両システムの減速率(例えば、第1の車両システムの減速度)を表し、vは、第1の車両システムの交差領域に向かう移動速度を表し、ギャップは、指定されたギャップを表す。Dの計算値が正の値であり得る間、コントローラは、第1の車両システムの速度を、負のD値である率で減少させることができる。
【0118】
LO到達距離と指定されたギャップとの間の差が指定されたギャップよりも短い場合、第1の車両システムは、緊急アクションが行われない限り、第2の車両システムとの衝突を回避するには交差領域に近過ぎる場合がある。例えば、コントローラは、第2の車両システムとの衝突を阻止するために、第1の車両システムの移動を自動的に停止させることができる。しかし、コントローラが、第1の車両システムのLO相対到達距離がLOクリアリング距離よりも長いと判定した場合、いかなるアクションも行うことが不要であり得る。例えば、コントローラは、第2の車両システムが交差領域に到達する前に、第1の車両システムが交差領域を通過し終わり、それにより、いかなるアラーム、停止、または他の応答アクションも不要であると判定することができる。代替的に、コントローラは、第1および第2の車両システムが交差領域に向かって進行しているときに、アラームを自動的に作動させることができ、そして、コントローラは、第1の車両システムのLO相対到達距離がLOクリアリング距離よりも長いと判定することに応答して、アラームを止めること、および/または第1の車両システムの自動的な減速もしくは停止を阻止することができる。
【0119】
図10の車両システムの予想進路は、互いに対して直角(例えば、垂直)である。代替的に、車両システムの予想進路は、互いに対して直角ではない場合がある。
図11は、車両システムの予想進路が互いに斜めに角度付けされている別の例(例えば、第2の車両システムの接近角が鋭い)を例示し、
図12は、車両システムの予想進路が互いに鋭角である(例えば、第2の車両システムの接近角が斜めである)一例を例示する。
【0120】
図11のシナリオでは、コントローラは、許容距離xを計算することができ、これは、コントローラによって計算される他の距離のいくつかを補正して、第1の車両システムを減速もしくは停止させるべきであるか、またはアラームを止めるべきかを判定するために使用される。許容距離xは、RO到達距離とsin(θ)との積として計算または推定することができ、ここで、θは、第2の車両システムの接近角である。
図11に示されるように、接近角は、第2の車両システムの向き(例えば、移動方向)と第1の車両システムの前縁部(または第1の車両システムの前縁部に平行であるライン)との間の角度とすることができる。コントローラは、第2の車両システムの接近角が90度未満である(例えば、鋭角である)ときに、許容距離xを、上で説明したように計算されるLOクリアリング距離に加えることができる。上で説明したように、LO相対到達距離がLOクリアリング距離よりも長い(許容距離xだけ増加した)場合、任意のアラームが停止またはオフにされ得、コントローラは、第1の車両システムが、停止または減速を伴わずに移動し続けることを可能にすることができる。LO到達距離と指定されたギャップとの間の差が指定されたギャップよりも短い場合、コントローラは、第1の車両システムの移動を自動的に停止させることができる。そうでない場合、上で説明したように、コントローラは、第1の車両システムを減速度Dで減速させることができる。
【0121】
図12のシナリオでは、コントローラは、
図10に関して説明される同じ距離を使用して、第1の車両システムを減速もしくは停止させるべきか、またはアラームを止めるべきかを判定することができる。例えば、LO到達距離と指定されたギャップとの間の差が指定されたギャップよりも短い場合、第1の車両システムは、緊急アクションが行われない限り、第2の車両システムとの衝突を回避するには交差領域に近過ぎる場合がある。例えば、コントローラは、第2の車両システムとの衝突を阻止するために、第1の車両システムの移動を自動的に停止させることができる。しかし、コントローラが、第1の車両システムのLO相対到達距離がLOクリアリング距離よりも長いと判定した場合、いかなるアクションも行うことが不要であり得る。例えば、コントローラは、第2の車両システムが交差領域に到達する前に、第1の車両システムが交差領域を通過し終わり、それにより、いかなるアラーム、停止、または他の応答アクションも不要であると判定することができる。代替的に、コントローラは、第1および第2の車両システムが交差領域に向かって進行しているときに、アラームを自動的に作動させることができ、そして、コントローラは、第1の車両システムのLO相対到達距離がLOクリアリング距離よりも長いと判定することに応答して、アラームを止めること、および/または第1の車両システムの自動的な減速もしくは停止を阻止することができる。
【0122】
図13は、上で説明した車両衝突回避システムの動作の別の実施形態を例示する。本システムは、車両システム600の進行方向の前方のバブル領域1300を計算して、他の車両システム602が車両システム600と同時にバブル領域内に入るかどうかを予測することができる。例えば、ローカル車両システム600上のコントローラは、バブル領域を、ローカル車両システムの前方にある領域として識別することができる。リモート車両システム602の移動が、ローカルおよびリモート車両システムの両方が少なくとも部分的にバブル領域を同時に(例えば、並行して)占有することを示した場合、コントローラは、ローカルおよびリモート車両システム間の衝突を回避するために、本明細書に記載の1つ以上の応答アクションを実施することができる。例示される例では、バブル領域は円形領域であるが、代替的に別の形状を有し得る。
【0123】
コントローラは、ローカル車両システムの進行方向(または向き)1302がリモート車両システムの進行方向(または向き)1304と交差する場所として、交点iを判定することができる。交点は、ローカルおよびリモート車両システムの両方が直線進路に沿って交点まで走行し続けると見なすことによって判定することができる。
図13に示されるように、コントローラは、交点を中心とするものとして、バブル領域の位置を識別することができる。コントローラは、領域の指定された安全半径rを使用して、バブル領域のサイズを判定することができる。この半径は、一定で不変の値とすることができ、または車両システムのうちの1つ以上の特性および/または車両システムの動作パラメータに基づいて変更することができる。
【0124】
車両システムの特性に関して、バブル領域の半径は、より大きいローカルおよび/またはリモート車両システム(例えば、より幅の広いおよび/またはより長い車両システム)の場合は増加され得、より小さいローカルおよび/またはリモート車両システム(例えば、より幅の狭いおよび/またはより短い車両システム)の場合は減少され得る。バブル領域の半径は、より重いローカルおよび/またはリモート車両システムの場合は増加され得、より軽いローカルおよび/またはリモート車両システムの場合は減少され得る。バブル領域の半径は、危険な貨物(例えば、可燃性および/または爆発性貨物)を搬送しているローカルおよび/またはリモート車両システムの場合は増加され得、危険でない貨物(例えば、鉱石、貨物無し、など)を搬送しているローカルおよび/またはリモート車両システムの場合は減少され得る。より大きいおよび/もしくはより重い車両システムならびに/または危険な貨物を搬送している車両システムの場合には、これらの車両システム間の衝突がより起こり易くおよび/または危険になり得るので、該車両システムの半径を増加させることは、車両システム間の衝突の可能性を低減させ、一方で、衝突する可能性が低い、および/または衝突が発生しても低い危険性を提示する車両システムの場合に、バブル領域が大きくなり過ぎることを回避することができる。
【0125】
車両システムの動作パラメータに関して、バブル領域の半径は、ローカルおよび/またはリモート車両システムのより速い移動速度の場合に増加され得る。より速く移動している車両システムの場合には、これらの車両システム間の衝突がより起こり易くおよび/または危険になり得るので、該車両システムの半径を増加させることは、車両システム間の衝突の可能性を低減させ、一方で、より遅く移動しており、したがって、衝突する可能性が低い、および/または衝突が発生しても低い危険性を提示する車両システムの場合に、バブル領域が大きくなり過ぎることを回避することができる。
【0126】
コントローラは、バブル領域の場所およびサイズを計算することができ、次いで、リモート車両システムの現在の位置Cおよび移動速度を調べることができる。この情報から、コントローラは、ローカル車両システムがバブル領域内に進入しているまたはその中にある時点での、リモート車両システムの予測位置Pを判定することができる。この時間は、進入または占有時間と称することができる。コントローラは、この占有時間でのリモート車両システムの予測位置Pを計算することができる。この予測位置が占有時間においてバブル領域内にある場合、コントローラは、本明細書に説明される1つ以上の応答アクションを開始することができる。
【0127】
例えば、コントローラは、リモート車両システムの現在の位置および移動している進路の交差(またはバブル領域の中心)からの距離から、バブル領域の半径を減算することによって、リモート車両システムがバブル領域の縁部からどのくらい離れているかを判定することができる。コントローラは、この距離をリモート車両システムの移動速度で除算して、いつリモート車両システムがバブル領域の縁部に到達したかを判定することができる。コントローラは、ローカル車両システムの場合を除いて、同様の計算を行うことができる。コントローラが、ローカルおよびリモート車両システムの両方が同時にバブル領域内に入るまたは進入すると判定した場合、コントローラは、1つ以上の応答アクション(例えば、アラームの作動、ローカル車両システムの移動の自動的な減速もしくは停止)を実施することができる。そうでない場合、コントローラは、応答アクションを実施することなく、ローカル車両システムが移動し続けることを可能にすることができる。
【0128】
図14は、上で説明した車両衝突回避システムの動作の別の実施形態を例示する。本システムは、車両システムが直線進路に沿って移動している(または直線進路に沿って移動していると見なされる)ときに、衝突が差し迫っているまたは発生する可能性が高いかどうかを予測するものとして
図10~13に関して説明される。追加的または代替的に、衝突回避システムは、車両システムの一方または両方が曲線進路1400に沿って移動しているときに、衝突が発生する可能性が高いか、または発生するかを判定することができる。
【0129】
ローカル車両システム600のコントローラは、曲線進路に沿ったローカル車両システムの角速度を計算または推定することができる。一例として、コントローラは、GPS受信機からローカル車両システムのサンプリングした場所を取得することができる。コントローラは、これらのサンプリングした場所からローカル車両システムの向きを計算することができる。ローカル車両システムの角速度は、これらの向きの変化率として(例えば、向きを変更している1秒当たりの度数に関して)計算することができる。次いで、計算した角速度は、曲線進路が延在する円の円周を計算するために、コントローラによって使用することができる。例えば、曲線進路が延在する円の円周は、ローカル車両システムの移動速度に、360度、ローカル車両システムの角速度を乗算することによって計算することができる。
【0130】
次いで、コントローラは、曲線進路が延在する円のこの円周を使用して、ローカル車両システムの前方の異なるゾーン1402、1404、1406を判定することができる。最も近いゾーン1402は、危険ゾーンと称することができ、より遠くのゾーン1404は、警告ゾーンと称することができ、さらに遠くのゾーン1406は、アラートゾーンと称することができる。これらのゾーンの各々は、コントローラによって計算された円に沿って、同じまたは異なる長さだけ延在し得る。円に沿った各ゾーンの長さは、ローカル車両システムが移動している速度に基づくことができる。例えば、危険ゾーンは、円に沿った端部1408までの長さだけ延在し得、この長さは、指定された停止距離、(上で説明した)指定されたギャップ距離、および指定されたオペレータ反応時間とローカル車両システムの移動速度との積、の合計である。オペレータ反応時間は、オペレータがローカル車両システムの前方の物体(例えば、リモート車両システム)を見た後にローカル車両システムのブレーキを作動させるために必要とされる、設定されたまたは可変の期間であり得る。指定された停止距離は、設定された距離であり得、またはローカル車両システムのブレーキが適用された後にローカル車両システムが移動し続ける距離として計算され得る。任意選択的に、停止距離は、ローカル車両システムの移動速度をローカル車両システムの減速度(例えば、上で説明した減速度)で除算して計算することができる。
【0131】
警告ゾーンは、危険ゾーンの端部(ローカル車両システムから最も遠方である危険ゾーンの端部)から、円に沿った他方の端部1410までの長さだけ延在することができる。警告ゾーンの長さは、円に沿って端部1408から端部1410まで延在し、この長さは、指定されたオペレータ警告時間と、ローカル車両システムの移動速度との積である。オペレータ警告時間は、反応時間よりも長い、設定されたまたは可変の期間であり得る。アラートゾーンは、警告ゾーンの端部(ローカル車両システムから最も遠方である警告ゾーンの端部)から、円に沿った他方の端部1412までの長さだけ延在することができる。アラートゾーンの長さは、円に沿って端部1410から端部1412までであり、この長さは、指定されたオペレータアラート時間と、ローカル車両システムの移動速度との積である。オペレータアラート時間は、警告時間よりも長い、設定されたまたは可変の期間であり得る。
【0132】
任意選択的に、コントローラは、曲線進路に沿った異なる距離として、ゾーンを判定することができる。危険ゾーンの距離は、ローカル車両システムの前縁部から延在することができ、停止距離、指定されたギャップ、および危険反応時間とローカル車両システムの速度との積の合計とすることができる。警告距離の距離は、ローカル車両システムの前縁部から延在することができ、危険ゾーン距離、および警告反応時間とローカル車両システムの速度との積の合計とすることができる。アラート距離の距離は、ローカル車両システムの前縁部から延在することができ、警告ゾーン距離、およびアラート反応時間とローカル車両システムの速度との積の合計とすることができる。
【0133】
コントローラは、リモート車両システムがこれらのゾーンのうちの1つ以上内にある(またはこれらのゾーンのうちの1つ以上内に入る)かどうかを判定して、1つ以上の応答アクションを実施することができる。上で説明したように、リモート車両システムが危険ゾーン内にある(または入る)と判定することに応答して、コントローラは、ローカル車両システムの移動を自動的に停止させることができる。リモート車両システムが警告ゾーン内にある(または入る)と判定することに応答して、コントローラは、アラームを作動させて、任意選択的に、ローカル車両システムの移動を(例えば、上で説明した減速度だけ)自動的に減速させることができる。リモート車両システムがアラートゾーン内にある(または入る)と判定することに応答して、コントローラは、アラームを作動させてオペレータに警告することができる(しかし、ローカル車両システムを自動的に減速または停止させない)。
【0134】
図15は、車両システムと少なくとも1つの他の物体(別の車両システムなど)との間の衝突を回避するための方法1500の一例のフローチャートを例示する。本方法は、本明細書に説明される衝突回避システムによって行われる動作を表すことができる。1502において、車両システムの予想進路の今度の交差領域が予測される。例えば、車両システムが車両システムの現在の向きに沿って移動し続ける場合に両方の車両システムが走行する領域を判定することができる。1504において、車両システムのうちの少なくとも1つの到達距離、相対到達距離、および/またはクリアリング距離が判定される。これらの距離は、ローカル車両システムについて上で説明したように計算することができる。1506において、ギャップ距離が、ギャップ距離と到達距離との間の差と比較される。このギャップ距離は、停止距離などの、ローカル車両システムの指定された距離とすることができる。
【0135】
1508において、この差がギャップ距離よりも小さい場合、車両システム間の衝突を回避するために、緊急アクションを行う必要があり得る。例えば、差がギャップ距離よりも小さい場合、これは、ローカル車両システムがギャップ距離よりも交差領域に近いことを示すことができる。これは、緊急アクションが行われない限り、リモート車両システムとの衝突を回避するには近過ぎる場合がある。その結果、本方法の流れは、1510へ進むことができる。そうでない場合、ローカル車両システムは、指定されたギャップ距離よりも交差領域から遠くにあり得、本方法の流れは、1512へ進むことができる。
【0136】
1510において、ローカル車両システムが自動的に停止され得る。例えば、コントローラは、ローカル車両システムとリモート物体(例えば、リモート車両システム)との間の衝突をできる限り早くまたは速やかに阻止するために、車両システムのブレーキをかけ得る。本方法の流れは、終了すること、または1つ以上の他の動作(例えば、1502)に戻ることができる。
【0137】
1512において、相対到達距離がクリアリング距離よりも長いかどうかに関する決定が行われる。相対到達距離がクリアリング距離よりも長い場合、ローカル車両システムは、リモート車両システムが交差領域に到達する前に交差領域を出る。その結果、ローカル車両システムは、1つ以上の応答アクションを実施する必要なく、移動し続け得る。本方法の流れは、任意選択的に、1516へ進むこと、または終了することができる。1516において、現在作動している任意のアラームを止めること、またはオフにすることができる。しかし、相対到達距離がクリアリング距離よりも長くない場合、ローカル車両システムは、リモート車両システムが交差領域に到達する前に交差領域を通過し得ない。その結果、本方法の流れは、1512から1514へ進むことができる。
【0138】
1514において、ローカル車両システムを減速させる。コントローラは、上で説明した減速度でまたは別の量だけ、車両システムの速度を自動的に減速させることができる。ローカル車両システムは、リモート車両システムが交差領域を通過してそこを出るための、または別様に車両システム間の衝突を回避するためのより多くの時間を有するように減速され得る。代替的に、コントローラは、衝突を回避するためにローカル車両システムが移動している向きまたは方向を変更することができる。本方法の流れは、終了することができ、または別の動作(例えば、1502または1504)に戻ることができる。
【0139】
図16は、車両システムと少なくとも1つの他の物体(別の車両システムなど)との間の衝突を回避するための方法1600の別の例のフローチャートを例示する。本方法は、本明細書に説明される衝突回避システムによって行われる動作を表すことができる。1602において、ローカル車両システムの前方のバブル領域の場所およびサイズが判定される。場所は、ローカルおよびリモート車両システムの向きの間の交差を識別することによって判定することができる。サイズは、上で説明したように、デフォルトサイズとすることができ、または車両特性および/もしくは動作パラメータに基づいて変化させることができる。
【0140】
1604において、リモート車両システムの場所および移動速度を判定することができる。1606において、リモート車両システムの予測された今度の場所を判定することができる。例えば、ローカル車両システムのコントローラは、ローカル車両システムの移動速度に基づいて、ローカル車両システムがバブル領域からどのくらい離れているか、およびローカル車両システムがバブル領域に到達するまでどのくらいの時間がかかるかを判定することができる。コントローラは、この時間に基づいてリモート車両システムがどのくらい移動するか、およびリモート車両システムがどのくらい速く移動しているかを判定することができる。リモート車両システムのこの判定された場所は、予測された今度の場所とすることができる。
【0141】
1608において、リモート車両システムの予測された今度の場所がバブル領域内にあるかどうかに関する決定が行われる。予測された今度の場所がバブル領域内にある場合、これは、衝突が発生する前になんらかの応答アクションが実施されない限り、車両システム間の衝突が発生し得ること、または発生することを示すことができる。その結果、本方法の流れは、1610へ進むことができる。しかし、予測された今度の場所がバブル領域内にない場合、これは、車両システムが同じ方向に、かつ同じ速度で移動し続ける限り、車両システム間の衝突が発生し得ないこと、または発生しないことを示すことができる。その結果、本方法の流れは、1612へ進むことができる。
【0142】
1610において、衝突を阻止または回避するために、1つ以上の応答アクションが実施される。例えば、ローカル車両システムは、自動的に減速または停止され得、あるいは方向が変更され得る。本方法の流れは、次いで、終了すること、または1つ以上の他の動作(例えば、1602または1604)に戻ることができる。1612において、ローカル車両システムは、減速または停止することなくバブル領域に向かって移動し続けることができる。本方法の流れは、次いで、終了すること、または1つ以上の他の動作(例えば、1602または1604)に戻ることができる。
【0143】
図17は、車両システムと少なくとも1つの他の物体(別の車両システムなど)との間の衝突を回避するための方法1700の別の例のフローチャートを例示する。本方法は、本明細書に説明される衝突回避システムによって行われる動作を表すことができる。1702において、移動している車両システムの角速度が判定される。角速度は、車両システムの向きのサンプルを取得して、向きの変化率を計算することによって判定することができる。1704において、角速度に基づいて、円形または他の曲線進路が判定される。上で説明したように、円形または他の曲線進路は、角速度から円周を計算することによって判定することができる。1706において、円形または他の曲線進路に沿った車両システムの前方のゾーンが判定される。これらのゾーンは、車両システムに最も近い危険ゾーン、車両システムから最も離れているアラートゾーン、および危険ゾーンとアラートゾーンとの間の警告ゾーンを含むことができる。上で説明したように、場所および/またはゾーンのサイズ(例えば、円形または曲線進路に沿ったゾーンの長さ)は、車両システムの停止距離、指定されたギャップ、反応時間、および車両システムの移動速度に基づいて判定することができる。
【0144】
1708において、任意の他の車両システムがゾーンのいずれか内に位置するかどうかに関する決定が行われる。別のリモート車両システムがゾーンのうちの1つ以上内にある場合、車両システム間の衝突の可能性を回避するかまたは低減させるために、応答アクションを実施する必要があり得る。その結果、方法1700の流れは、1710へ進むことができる。そうでない場合、方法1700の流れは、1712へ進むことができる。
【0145】
1710において、1つ以上の応答アクションが実施される。例えば、リモート車両システムが危険ゾーン内にある(または入る)と判定することに応答して、ローカル車両システムの移動を自動的に停止させることができる。リモート車両システムが警告ゾーン内にある(または入る)と判定することに応答して、アラームを作動させることができ、任意選択的に、ローカル車両システムの移動を減速させることができる。リモート車両システムがアラートゾーン内にある(または入る)と判定することに応答して、ローカル車両システムを自動的に減速または停止させることなく、アラームを作動させることができる。次いで、方法1700の流れを終了させること、または別の動作(例えば1702、1704、1706、または1708)に戻すことができる。
【0146】
1712において、円形または他の曲線進路に沿って、ローカル車両システムの移動が続けられ得る。例えば、他のいかなる車両システムもいずれのゾーン内にないので、ローカル車両システムは、移動を続け得る。次いで、方法1700の流れを終了させること、または別の動作(例えば1702、1704、1706、または1708)に戻すことができる。
【0147】
本明細書に開示される様々な実施形態は、移動している車両システム(例えば、ローカルおよびリモート車両システム)の間の衝突を回避することに関する。代替的に、リモート車両システムは、静止状態であり得、および/または車両以外の別の物体を表すことができる。例えば、リモート車両システムは、ローカル車両システムが衝突を回避したい、または通過したい人または他の物体(例えば、構造物、氷、または低粘着性着面、など)を表すことができる。
【0148】
一実施形態では、方法は、第1の車両システムおよび第2の車両システムの現在の移動に基づいて、第1の車両システムおよび第2の車両システムの予想進路の今度の交差領域を予測することと、第1の車両システムの到達距離を計算することであって、到達距離が、第1の車両システムの前縁部から交差領域までの距離として判定される、計算することと、第1の車両システムの到達距離と指定されたギャップ距離との間の差と、指定されたギャップ距離とを比較することと、(a)差が、指定されたギャップ距離以上であることに応答して、第1の車両システムを自動的に減速させること、および/または(b)差が、指定されたギャップ距離未満であることに応答して、第1の車両システムを自動的に停止させること、のうちの1つ以上を行うことと、を含む。
【0149】
任意選択的に、本方法はまた、第2の車両システムが今度の交差領域に到達する前に第1の車両システムが走行する第1の距離として、第1の車両システムの相対到達距離を計算することと、第1の車両システムの前縁部から交差領域の遠方縁部までの第2の距離として、第1の車両システムのクリアリング距離を計算することと、第1の車両システムの相対到達距離を、第1の車両システムのクリアリング距離と比較することと、第1の車両システムの相対到達距離が、第1の車両システムのクリアリング距離よりも長いことに応答して、第1の車両システムのアラームを止めること、第1の車両システムの自動的な減速を阻止すること、および/または第1の車両システムの自動停止を阻止すること、のうちの1つ以上を行うことと、を含むことができる。
【0150】
第1の車両システムおよび第2の車両システムの予想進路は、互いに直角であり得る。または、第1の車両システムおよび第2の車両システムの予想進路は、斜めに角度付けされ得るか、または互いに鋭角であり得る。第1の車両システムおよび第2の車両システムの予想進路は、直線進路および/または曲線進路であり得る。
【0151】
今度の交差領域は、第1の車両システムおよび第2の車両システムの予想進路の交差を中心とする円形領域を識別することによって予測することができる。
【0152】
別の例では、方法は、移動している第1の車両システムの角速度を測定することと、測定される角速度を使用して、第1の車両システムの今度の曲線進路を計算することと、第2の車両システムの移動を監視することと、第2の車両システムが、1つ以上の指定された期間内に、今度の曲線進路に沿った危険距離内に入るか、今度の曲線進路に沿った警告距離内に入るか、今度の曲線進路に沿ったアラート距離内に入るかどうかを判定することと、第2の車両システムが1つ以上の指定された期間内に危険距離内に入ると判定することに応答して、第1の車両システムを自動的に停止させること、第2の車両システムが1つ以上の指定された期間内に警告距離内に入ると判定することに応答して、第1の車両システムを自動的に減速させること、および/または第2の車両システムが1つ以上の指定された期間内にアラート距離内に入ると判定することに応答して、第1の車両システムのオペレータに対するアラートを生成すること、のうちの1つ以上を行うことと、を含む。
【0153】
第2の車両システムの移動は、第1の車両システムよりも先であり、かつ第1の車両システムから離れて配向された方向であり得る。本方法はまた、第1の車両システムの停止距離、指定されたギャップ距離、および第1の車両システムの移動速度と指定された反応時間との第1の積の第1の合計に基づいて、危険距離を計算することを含むことができる。
【0154】
本方法はまた、危険距離、および第1の車両システムの移動速度と指定された警告時間との第2の積の第2の合計に基づいて、警告距離を計算することを含むことができる。本方法は、警告距離、および第1の車両システムの移動速度と指定されたアラート時間との第3の積の第3の合計に基づいて、アラート距離を計算することを含むことができる。
【0155】
第2の車両システムの移動は、第1の車両システムよりも先であり、かつ第1の車両システムに向かって配向された方向であり得る。本方法は、任意選択的に、第1の車両システムの停止距離、指定されたギャップ距離、第1の車両システムの移動速度と指定された反応時間との第1の積、および第2の車両システムの閉鎖距離の第1の合計に基づいて、危険距離を計算することを含むことができる。
【0156】
本方法は、第1の車両システムの移動速度を第1の車両システムの減速度で除算することに基づいて、第1の車両システムの停止距離を計算することを含み得る。本方法は、第2の車両システムの移動速度と第1の車両システムの停止時間との第2の積として、第2の車両システムの閉鎖距離を計算することを含むことができる。
【0157】
本方法は、危険距離、および第1の車両システムの移動速度と指定された警告時間との第2の積の第2の合計に基づいて、警告距離を計算することを含み得る。本方法は、警告距離、および第1の車両システムの移動速度と指定されたアラート時間との第3の積の第3の合計に基づいて、アラート距離を計算することを含むことができる。
【0158】
別の例では、システムは、第1の車両システム上に配置されて、第1の車両システムの移動を制御するように構成された車両コントローラを含む。車両コントローラは、第1の車両システムおよび第2の車両システムの現在の移動に基づいて、第1の車両システムおよび第2の車両システムの予想進路の今度の交差領域を予測するように構成されている。車両コントローラは、第1の車両システムの前縁部から交差領域までの距離として、第1の車両システムの到達距離を計算するように構成されている。車両コントローラは、第1の車両システムの到達距離と指定されたギャップ距離との間の差と、指定されたギャップ距離とを比較するように構成されている。車両コントローラは、(a)差が、指定されたギャップ距離以上であることに応答して、第1の車両システムを自動的に減速させること、および/または(b)差が、指定されたギャップ距離未満であることに応答して、第1の車両システムを自動的に停止させること、のうちの1つ以上を行うように構成されている。
【0159】
任意選択的に、車両コントローラは、第2の車両システムが今度の交差領域に到達する前に第1の車両システムが走行する第1の距離として、第1の車両システムの相対到達距離を計算するように構成することができる。車両コントローラは、第1の車両システムの前縁部から交差領域の遠方縁部までの第2の距離として、第1の車両システムのクリアリング距離を計算するように構成することができる。車両コントローラは、第1の車両システムの相対到達距離を、第1の車両システムのクリアリング距離と比較するように構成することができ、第1の車両システムの相対到達距離が、第1の車両システムのクリアリング距離よりも長いことに応答して、第1の車両システムのアラームを止めること、第1の車両システムの自動的な減速を阻止すること、および/または第1の車両システムの自動停止を阻止すること、のうちの1つ以上を行うように構成することができる。
【0160】
本発明の実施形態は、モバイルおよび固定の両方の実装形態との使用に好適であるが、説明を簡単にするために、本明細書では、モバイルの実装形態を詳細に説明する。より具体的には、車両は、モバイルの実施形態の開示に関する例示を明瞭にするために選択されている。他の好適な車両としては、例えば、自動車および他の路上車両、機関車、建設車両/機器および他のオフロード車、船舶、ならびに自律型車両(例えば、無人自動車)が挙げられる。本明細書で使用されるとき、「電気通信」または「電気的に結合された」は、特定の構成要素が、直接的または間接的な電気的接続部を用いて直接的または間接的な信号伝達を通して互いに通信することができることを意味する。本明細書で使用されるとき、「機械的に結合される」は、構成要素の間でトルクを伝達するための必要な力を支持することができる任意の結合方法を指す。本明細書で使用されるとき、「動作可能に結合される」は、直接的または間接的であり得る接続を指す。接続は、必ずしも機械的な取り付けであるとは限らない。
【0161】
本明細書で使用するとき、単数形で記述され、かつ単語「a」または「an」が前に付けられた要素またはステップは、排除することが明確に記載されていない限り、複数の該要素またはステップを排除するものではないと理解すべきである。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、記述された特徴も組み込んでいる追加的な実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではない。さらに、逆の意味で明確に記述されていない限り、特定の特性を有する1つの要素または複数の要素を「備える(comprising)」、「含む(including)」、または「有する(having)」実施形態は、その特性を有しない追加的なそのような要素を含み得る。
【0162】
この書面による説明は、実施例を使用して、最良の形態を含む本発明のいくつかの実施形態を開示するために、また、当業者が、任意の装置またはシステムを製作および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を行うことを含む本発明の実施形態を実践することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、また、当業者に見出される他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉とは実質的に異ならない差を伴う均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。