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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】生物製造のための合成遺伝子要素
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/54 20060101AFI20241205BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241205BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20241205BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20241205BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241205BHJP
   C12N 15/90 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
C12N15/54 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N5/10
C12N15/90 Z
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022503956
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 US2020042854
(87)【国際公開番号】W WO2021016227
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】62/877,516
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/877,561
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/877,524
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/877,508
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/877,532
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/877,577
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/877,540
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/877,551
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,ウィリアム ロイド ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】トムコウィッツ,ブライアン
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-528056(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158141(WO,A1)
【文献】J Virol,2002年,vol. 76,pp. 13015-13027
【文献】Methods Mol Biol,2015年,vol. 1239,pp. 29-38
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2のアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含み、
前記ヌクレオチド配列が、配列番号3のヌクレオチド配列と同一であるか、またはそのコドン最適化バリアントである、非自然発生の核酸分子。
【請求項2】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号3のヌクレオチド配列と同一である、請求項1に記載の非自然発生の核酸分子。
【請求項3】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号3のヌクレオチド配列のコドン最適化バリアントである、請求項1に記載の非自然発生の核酸分子。
【請求項4】
前記ヌクレオチド配列が、哺乳動物細胞にコドン最適化されたものである、請求項3に記載の非自然発生の核酸分子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の非自然発生の核酸分子を含むベクター。
【請求項6】
前記核酸分子に作動可能に連結されたプロモータを更に含む、請求項に記載のベクター。
【請求項7】
前記プロモータが、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、シミアンウイルス40(SV40)プロモータ、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモータ、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモータ、モロニーウイルスプロモータ、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモータ、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモータ、又はラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモータである、請求項に記載のベクター。
【請求項8】
前記プロモータが、組織特異的プロモータである、請求項に記載のベクター。
【請求項9】
前記核酸分子に作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルを更に含む、請求項5~8のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項10】
前記ポリアデニル化シグナルが、シミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、又はヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルである、請求項に記載のベクター。
【請求項11】
前記ベクターが、DNAプラスミド又はウイルスベクターである、請求項5~10のいずれか一項のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項12】
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、腸溶性ウイルスベクター、ベネズエラ馬脳炎ウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、タバコモザイクウイルスベクター、又はレンチウイルスベクターである、請求項11に記載のベクター。
【請求項13】
前記ベクターが、組換えアデノウイルスベクターである、請求項11に記載のベクター。
【請求項14】
請求項1~4のいずれか一項に記載の非自然発生の核酸分子、又は請求項5~13のいずれか一項に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項15】
前記細胞が、911細胞、pTG6559細胞、GH329細胞、N52.E6細胞、HeLa-E1細胞、UR細胞、VLI-293細胞、HEK293細胞、及びPER.C6細胞からなる群から選択される、請求項14に記載の細胞。
【請求項16】
前記細胞が、アデノウイルスE1A及びE1B遺伝子をさらに含む、請求項14又は15に記載の細胞。
【請求項17】
前記細胞が、attP部位を含む核酸分子をさらに含み、該attP部位が、配列番号7のヌクレオチド配列を含む、請求項14~16いずれか一項に記載の細胞。
【請求項18】
前記細胞が、attB部位を含む核酸分子をさらに含み、該attB部位が、配列番号8又は9のヌクレオチド配列を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項19】
細胞内で部位特異的組換えを実施する方法であって、
(a)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、及び配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位を有する核酸分子を含む、培養された哺乳動物細胞を得ることと、
(b)配列番号2のアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む非自然発生の核酸分子を、前記培養された哺乳動物細胞に導入することと(ここで、前記ヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド配列と同一であるか、またはそのコドン最適化バリアントである。)、
(c)前記セリンリコンビナーゼが、前記attP部位とattB部位との間の前記部位特異的組換えを触媒することを可能にする条件下で、前記培養された哺乳動物細胞を成長させることとを含む、前記方法。
【請求項20】
前記セリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列が、配列番号3のヌクレオチド配列と同一である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記セリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列が、配列番号3のヌクレオチド配列のコドン最適化バリアントである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ヌクレオチド配列が、哺乳動物細胞にコドン最適化されたものである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
細胞内で部位特異的組換えを実施する方法に使用される、請求項14~18のいずれか一項に記載の細胞を含む、組成物。
【請求項24】
培養された哺乳動物細胞内で部位特異的組換えを実施するための、請求項1~4のいずれか一項に記載の非自然発生の核酸分子または請求項5~13のいずれか一項に記載のベクターの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2019年7月23日に出願された米国特許仮出願第62/877,508号、2019年7月23日に出願された米国特許仮出願第62/877,516号、2019年7月23日に出願された米国特許仮出願第62/877,524号、2019年7月23日に出願された米国特許仮出願第62/877,532号、2019年7月23日に出願された米国特許仮出願第62/877,540号、2019年7月23日に出願された米国特許仮出願第62/877,551号、2019年7月23日に出願された米国特許仮出願第62/877,561号、及び2019年7月23日に出願された米国特許仮出願第62/877,577号の利益を主張するものであり、それらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、ファイル名「14620-192-228_SEQ_LISTING」及び2020年7月16日の作成日で、152,403バイトのサイズを有するASCII形式の配列表として、EFS-Webを介して電子的に提出された、配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
アデノ随伴ウイルス(Adeno-Associated Virus、AAV)は、末端に2つの逆位末端反復配列(inverted terminal repeat、ITR)を有する直鎖状一本鎖DNA(single-stranded DNA、ssDNA)ゲノムを有する。ITRには、2つのウイルス遺伝子、rep(replication、複製)及びcap(capsid、キャプシド)が隣接し、これらは、それぞれ、非構造タンパク質及び構造タンパク質をコードする。rep遺伝子は、2つのプロモータ及び選択的スプライシングの使用を通して、4つの調節タンパク質Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40をコードする。より具体的には、Rep78及びRep68は、P5プロモータから転写され、Rep40及びRep52は、P19プロモータから転写される(これは、Rep78及びRep68リーディングフレーム内に埋め込まれている)。P5及びP19プロモータは、アデノウイルスE1A遺伝子によって活性化され、アデノウイルスE1遺伝子を使用して形質転換されたHEK293などの細胞において活性である。これらのRepタンパク質は、AAVゲノム複製に関与している。cap遺伝子は、選択的スプライシング及び翻訳の開始を通して、3つのキャプシドタンパク質、VP1(virion protein 1、ビリオンタンパク質1)、VP2、及びVP3を生じさせ、これらは、集合してウイルスの球形に近いタンパク質シェルになる。AAVウイルスは、ポリメラーゼをコードしないため、ゲノム複製のための細胞ポリメラーゼに依存する。
【0004】
AAV rep及びcap遺伝子が、細胞に安定して組み込まれ得るか、又は細胞内に維持され得、後に高密度培養物中でAAVを産生するために誘導され得る場合、哺乳動物細胞内のAAVの大規模産生が可能であり得る。しかしながら、Repタンパク質の発現は、宿主細胞に対して細胞傷害性又は細胞増殖抑制性であり得、HEK293細胞などのアデノウイルスE1遺伝子を発現するものなどのrep遺伝子が発現される宿主において、安定した細胞株を開発することを困難にする。AAVは、2つのプロモータ及び交互スプライシングの使用から生じる重複するリーディングフレームで4つのRepタンパク質をコードするため、rep遺伝子発現を制御するための誘導性プロモータの使用は、容易ではない。
【0005】
4つのRepタンパク質の細胞傷害性又は細胞増殖抑制性の性質は、天然のrep/capプロモータを使用して高力価のAAVを産生することができる安定した細胞株の開発を妨げている(Clark et al.(1995)Hum.Gene Ther.6:1329-1341、Chadeuf et al.(2000)J.Gene med.2:260-268)。いくつかのグループが、Rep発現を組換えで調節しようと試みている。Yangは、P5プロモータをマウスメタロチオネインプロモータで置き換えた。HEK293における安定したクローンが金属誘導性rep78発現を示したが、rep50及びrep42発現(内部P19プロモータによって駆動される)は、低レベルでのみ検出され、細胞の成長速度は、実質的に低下した(Yang et al.(1994)J.Virol 68:4847-4856)。Ogasawaraは、P5プロモータを、Creリコンビナーゼによって活性化され得るloxP隣接スタッファを含有する遍在性プロモータで置き換えた。rep52、rep40、又はcap遺伝子のいずれも、アデノウイルス-Creに感染した安定したクローンにおいて誘導されず、これは、構成的なrep52/rep40発現も細胞にとって有害であったことを示唆した(Ogasawara et al.(1999)J.Gen.Virol.80:2477-2480)。
【0006】
調節されたrep発現のための別のアプローチは、Xiao及び共同研究者によって記載されている。(Qiao et al.(2002)J.Virol.76:13015-13027、Yuan et al.(2011)Hum.Gene Ther.22:613-624)。Xiaoは、4つ全てのRepタンパク質が共有するコード領域内のrep遺伝子に、人工イントロンを挿入し、イントロンに、ポリ(A)配列を含有するloxP隣接停止カセットを単独で、又はピューロマイシン耐性遺伝子であるpuroと組み合わせて挿入した。全てのRepタンパク質の発現が阻害され、HEK293細胞内の安定した細胞株が生成されることを可能にする。細胞へのCreリコンビナーゼの送達(アデノウイルス感染による)は、loxP部位を組み換えることによって停止カセットを切除し、完全長プレmRNAが転写されることを可能にする。次いで、残りのイントロン配列がRNAスプライシングによって正確に除去され、4つ全てのRepタンパク質のコード配列を回復させ、したがって、組み込まれたITR隣接導入遺伝子からのAAVの産生を開始する。しかしながら、Creリコンビナーゼは、2つの同一のloxP部位を認識するため、loxP部位は、組換え後に同一のままであり、したがって、Creが結合反応及び切除反応の両方を触媒するため、追加の組換えが可能であり得る。
【0007】
AAV rep遺伝子は、アデノウイルスE1(初期領域1)遺伝子も発現する細胞内でのみ発現される。いくつかの安定したrep/cap細胞株は、HeLa(Clark et al(1995)Hum.Gen.Therap.6:1329-1341、Yang et al.(1994)J.Virol.68:4847-4856、Gao et.Al(1998)Hu,Gen.Ther.9:2353-2362)、A549(Gao et al.(2002)Mol Ther.5:644-659)、及びVero(Beal et al.(2007)10th Annual Meeting of American Society of Gene Therapy,Seattle,WA,May30-June 3,2007)を含む、E1遺伝子を発現しない宿主内で構築されている。これらの細胞株に対する最大の欠点は、E1インタクトな(通常、複製可能な)アデノウイルスがAAV産生に必要であり、これが、AAVウイルス調製物の汚染物質として、安全性リスクの増加をもたらし得ることである。
【0008】
ヘルパー機能を提供し、ヒト細胞に組換え導入遺伝子及び/又はAAV遺伝子を送達するための、ヘルペス(Thomas et al.(2009)Hum Gene Ther.20:861-70、Clement et al.(2009)Hum Gene Ther.20:796-806)、ワクシニアウイルス(Wang et al.(2017)Mol.Ther.Methods Clin Devel.7:146-155)、及びアデノウイルス(Fisher et al.(1996)Hum gene Ther.7:2079-2087、Gao et al.(1998)Hum Gene Ther.2353-2362.Liu et al.(1999)Gene Ther 6:293-299)を含む、いくつかの異なるウイルスを使用する、AAV産生系が記載されている。これらのアプローチは、いくつかの異なるウイルス(及び場合によっては、組換え宿主細胞株)の産生を必要とする。AAVは、バキュロウイルスを使用して昆虫細胞でも産生されている(Mietzsch et al.(2014)Hum Gene Ther.25:212-22、Aslanidi et al.(2009)Proc Natl Acad Sci USA.106:5059-5064、Cecchini et al.(2011)Hum Gene Ther.22:1021-1030)。昆虫細胞対ヒト細胞内で産生されたAAVが機能的に同等であるかどうかは、依然として未解決の問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
組換え構築物及び細胞を用いたAAVの産生の改善が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、4つのRepタンパク質、Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40をコードするAAV rep遺伝子を有する、修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)rep遺伝子と、4つのRepタンパク質によって共有されるrep遺伝子のコード配列に挿入された人工イントロンと、を含む、非自然発生の核酸分子が本明細書に提供され、人工イントロンは、人工イントロンの5’スプライス部位の下流及び分岐部位の上流に挿入された停止カセットを含み、停止カセットは、5’から3’の順序で、(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位と、(b)スプライスアクセプタと、(c)ターミネータと、(d)配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位と、を含む。
【0011】
一実施形態では、スプライスアクセプタは、配列番号17のヌクレオチド配列を含む。
【0012】
一実施形態では、ターミネータは、ポリアデニル化シグナルを含む。一実施形態では、ターミネータは、配列番号19のヌクレオチド配列を更に含む。
【0013】
一実施形態では、停止カセットは、選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセットを含む。
【0014】
一実施形態では、人工イントロンは、5’から3’の順序で、配列番号14のヌクレオチド配列、停止カセット、及び配列番号15のヌクレオチド配列を含む。
【0015】
一実施形態では、AAV rep遺伝子は、AAV1~AAV8のうちの1つのrep遺伝子、又はそのハイブリッドを含む。一実施形態では、AAV rep遺伝子は、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号190~2202を有するヒトAAV2のrep遺伝子を含む。一実施形態では、人工イントロンは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号996~1905の間に挿入されている。一実施形態では、人工イントロンは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号1052、1061、1712、1906、1022、1112、1475、1514、1700、1742、1784、又は1340、好ましくはヌクレオチド番号1052のすぐ下流に挿入されている。
【0016】
一態様では、修飾AAV rep遺伝子を含む非自然発生の核酸分子が本明細書に提供され、修飾AAV rep遺伝子は、5’から3’の順序で、(a)配列番号55のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の5’部分と、(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(i)配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、(ii)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(2)配列番号17のヌクレオチド配列を有するスプライスアクセプタ、(3)配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(4)配列番号19のヌクレオチド配列を有するターミネータ、及び(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(iii)配列番号15のヌクレオチド配列を有する3’イントロン断片、を含む、人工イントロンと、(c)配列番号56のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の3’部分と、を含む。
【0017】
一態様では、修飾AAV rep遺伝子を含む非自然発生の核酸分子が本明細書に提供され、修飾AAV rep遺伝子は、5’から3’の順序で、(a)配列番号73のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の5’部分と、(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(i)配列番号14のヌクレオチド配列を有する5’イントロン断片、(ii)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(2)配列番号17のヌクレオチド配列を有するスプライスアクセプタ、(3)配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(4)配列番号19のヌクレオチド配列を有するターミネータ、及び(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(iii)配列番号66のヌクレオチド配列を有する3’イントロン断片、を含む、人工イントロンと、(c)配列番号56のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の3’部分と、を含む。一実施形態では、停止カセットは、配列番号16のヌクレオチド配列を含む。
【0018】
一実施形態では、非自然発生の核酸分子は、3つのキャプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3をコードするAAV cap遺伝子を更に含む。一実施形態では、AAV cap遺伝子は、AAV1~AAV9及びAAVDJのうちの1つのcap遺伝子、又はそのハイブリッドを含む。一実施形態では、AAV cap遺伝子は、GenBankアクセッション番号AY530579.1のヌクレオチド配列を有するヒトAAV9のcap遺伝子を含む。一実施形態では、AAV cap遺伝子は、ポリアデニル化シグナル、好ましくは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号4411~4466を有するAAV2のポリアデニル化シグナルと、エンハンサ、好ましくは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号190~313を有するAAV2 rep P5プロモータと、を更に含み、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサは、両方ともcap遺伝子のコード配列の下流にある。一実施形態では、非自然発生の核酸分子は、AAV cap遺伝子の下流の一対のAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する導入遺伝子を更に含む。
【0019】
一実施形態では、非自然発生の核酸分子は、修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータ、及び任意選択的に、ITRが隣接する導入遺伝子の下流に第2のインシュレータをなお更に含み、好ましくは、第1のインシュレータ及び第2のインシュレータは、独立して、(a)配列番号24のヌクレオチド配列を有するヒト抗リプレッサ要素40、(b)配列番号25のヌクレオチド配列を有するマウス抗リプレッサ要素40、(c)GenBankアクセッション番号AY190749.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素04、(d)GenBankアクセッション番号AY190750.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素06、(e)GenBankアクセッション番号AY190751.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素07、(f)GenBankアクセッション番号AY190752.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素12、(g)GenBankアクセッション番号AY190753.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素13、(h)GenBankアクセッション番号AY190754.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素35、(i)GenBankアクセッション番号AY190755.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素36、(j)GenBankアクセッション番号AY190757.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素52、(k)GenBankアクセッション番号AY190758.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素53、及び(l)2つ又は3つ以上のコピーにおいてAY040835.1のヌクレオチド配列を有するグロビン遺伝子座からのニワトリHS4インシュレータからなる群から選択され、より好ましくは、第1のインシュレータ及び第2のインシュレータは、それぞれ、配列番号24及び配列番号25のヌクレオチド配列を有する。一実施形態では、非自然発生の核酸分子は、修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータを含み、導入遺伝子の上流及び下流にそれぞれ、第1のスペーサ配列及び第2のスペーサ配列を更に含み、第1のスペーサ配列及び第2のスペーサ配列は、独立して、(a)配列番号67のヌクレオチド配列及び(b)配列番号68のヌクレオチド配列からなる群から選択される。一実施形態では、ITRは、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、導入遺伝子は、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、コード配列は、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、好ましくは、プロモータは、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、ポリアデニル化シグナルは、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する。
【0020】
一態様では、非自然発生の核酸分子が本明細書に提供され、非自然発生の核酸分子は、5’から3’の順序で、(A)第1のインシュレータであって、好ましくは、配列番号24のヌクレオチド配列を有する、第1のインシュレータ、(B)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、(i)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号55のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、(ii)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(a)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、(b)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(2)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、(3)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(4)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(c)3’イントロン断片であって、好ましくは配列番号15のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、(iii)AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子と、(C)AAV cap遺伝子であって、好ましくは、配列番号57のヌクレオチド配列を含む、AAV cap遺伝子と、(D)一対のAAV ITRが隣接する導入遺伝子であって、好ましくは、AAV ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、導入遺伝子と、(E)第2のインシュレータであって、好ましくは、配列番号25のヌクレオチド配列を有する、第2のインシュレータと、を含む。
【0021】
一態様では、非自然発生の核酸分子が本明細書に提供され、非自然発生の核酸分子は、5’から3’の順序で、(A)第1のインシュレータであって、好ましくは、配列番号24のヌクレオチド配列を有する、第1のインシュレータ、(B)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、(i)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号73のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、(ii)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(a)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、(b)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(2)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、(3)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(4)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(c)3’イントロン断片であって、好ましくは配列番号66のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、(iii)AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子と、(C)AAV cap遺伝子と、(D)(1)一対のAAV ITRであって、好ましくは、AAV ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、一対のAAV ITR、及び(2)一対のスペーサ配列であって、好ましくは、スペーサ配列が、配列番号67及び配列番号68のヌクレオチド配列を有する、一対のスペーサ配列、が隣接する、導入遺伝子と、を含む。
【0022】
一態様では、上記の非自然発生の核酸分子を含むベクターが本明細書に提供され、好ましくは、ベクターは、プラスミドであり、より好ましくは、プラスミドは、配列番号12のヌクレオチド配列を含む。
【0023】
一態様では、上記の非自然発生の核酸分子を含むベクターが本明細書に提供され、好ましくは、ベクターは、プラスミドであり、より好ましくは、プラスミドは、配列番号70のヌクレオチド配列を含む。
【0024】
一態様では、上記の非自然発生の核酸分子を作製する方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、上記の非自然発生の核酸分子を含むベクターを作製する方法が本明細書に提供され、好ましくは、ベクターは、プラスミドであり、より好ましくは、プラスミドは、配列番号12のヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、上記の非自然発生の核酸分子を含むベクターを作製する方法が本明細書に提供され、好ましくは、ベクターは、プラスミドであり、より好ましくは、プラスミドは、配列番号70のヌクレオチド配列を含む。
【0025】
一態様では、4つのRepタンパク質、Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40をコードするAAV rep遺伝子を有する、修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)rep遺伝子と、4つのRepタンパク質によって共有されるrep遺伝子のコード配列に挿入された人工イントロンと、を含む、非自然発生の核酸分子を含む細胞が本明細書に提供され、人工イントロンは、人工イントロンの5’スプライス部位の下流及び分岐部位の上流に挿入された停止カセットを含み、停止カセットは、5’から3’の順序で、(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位と、(b)スプライスアクセプタと、(c)ターミネータと、(d)配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位と、を含む。
【0026】
一実施形態では、スプライスアクセプタは、配列番号17のヌクレオチド配列を含む。
【0027】
一実施形態では、ターミネータは、ポリアデニル化シグナルを含む。一実施形態では、ターミネータは、配列番号19のヌクレオチド配列を更に含む。
【0028】
一実施形態では、停止カセットは、選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセットを含む。
【0029】
一実施形態では、人工イントロンは、5’から3’の順序で、配列番号14のヌクレオチド配列、停止カセット、及び配列番号15のヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、人工イントロンは、5’から3’の順序で、配列番号14のヌクレオチド配列、停止カセット、及び配列番号66のヌクレオチド配列を含む。
【0030】
一実施形態では、AAV rep遺伝子は、AAV1~AAV8のうちの1つのrep遺伝子、又はそのハイブリッドを含む。一実施形態では、AAV rep遺伝子は、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号190~2202を有するヒトAAV2のrep遺伝子を含む。一実施形態では、人工イントロンは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号996~1905の間に挿入されている。一実施形態では、人工イントロンは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号1052、1061、1712、1906、1022、1112、1475、1514、1700、1742、1784、又は1340、好ましくはヌクレオチド番号1052のすぐ下流に挿入されている。
【0031】
一態様では、修飾AAV rep遺伝子を含む、非自然発生の核酸分子を含む細胞が本明細書に提供され、修飾AAV rep遺伝子は、5’から3’の順序で、(a)配列番号55のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の5’部分と、(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(i)配列番号14のヌクレオチド配列を有する5’イントロン断片、(ii)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(2)配列番号17のヌクレオチド配列を有するスプライスアクセプタ、(3)配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(4)配列番号19のヌクレオチド配列を有するターミネータ、及び(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(iii)配列番号15のヌクレオチド配列を有する3’イントロン断片、を含む、人工イントロンと、(c)配列番号56のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の3’部分と、を含む。
【0032】
一態様では、修飾AAV rep遺伝子を含む、非自然発生の核酸分子を含む細胞が本明細書に提供され、修飾AAV rep遺伝子は、5’から3’の順序で、(a)配列番号73のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の5’部分と、(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(i)配列番号14のヌクレオチド配列を有する5’イントロン断片、(ii)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(2)配列番号17のヌクレオチド配列を有するスプライスアクセプタ、(3)配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(4)配列番号19のヌクレオチド配列を有するターミネータ、及び(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(iii)配列番号66のヌクレオチド配列を有する3’イントロン断片、を含む、人工イントロンと、(c)配列番号56のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の3’部分と、を含む。
【0033】
一実施形態では、停止カセットは、配列番号16のヌクレオチド配列を含む。
【0034】
一実施形態では、上記の細胞は、3つのキャプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3をコードするAAV cap遺伝子を更に含む。一実施形態では、AAV cap遺伝子は、AAV1~AAV9及びAAVDJのうちの1つのcap遺伝子、又はそのハイブリッドを含む。一実施形態では、AAV cap遺伝子は、GenBankアクセッション番号AY530579.1のヌクレオチド配列を有するヒトAAV9のcap遺伝子を含む。一実施形態では、AAV cap遺伝子は、AAV9のハイブリッドのcap遺伝子を含む。
【0035】
一実施形態では、AAV cap遺伝子は、ポリアデニル化シグナル、好ましくは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号4411~4466を有するAAV2のポリアデニル化シグナルと、エンハンサ、好ましくは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号190~313を有するAAV2 rep P5プロモータと、を更に含み、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサは両方、cap遺伝子のコード配列の下流にある。
【0036】
一実施形態では、cap遺伝子を含む細胞は、AAV cap遺伝子の下流の一対のAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する導入遺伝子を更に含む。一実施形態では、細胞は、修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータ、及び任意選択的に、ITRが隣接する導入遺伝子の下流に第2のインシュレータを更に含み、好ましくは、第1のインシュレータ及び第2のインシュレータは、独立して、(a)配列番号24のヌクレオチド配列を有するヒト抗リプレッサ要素40、(b)配列番号25のヌクレオチド配列を有するマウス抗リプレッサ要素40、(c)GenBankアクセッション番号AY190749.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素04、(d)GenBankアクセッション番号AY190750.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素06、(e)GenBankアクセッション番号AY190751.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素07、(f)GenBankアクセッション番号AY190752.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素12、(g)GenBankアクセッション番号AY190753.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素13、(h)GenBankアクセッション番号AY190754.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素35、(i)GenBankアクセッション番号AY190755.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素36、(j)GenBankアクセッション番号AY190757.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素52、(k)GenBankアクセッション番号AY190758.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素53、及び(l)2つ又は3つ以上のコピーにおいてAY040835.1のヌクレオチド配列を有するグロビン遺伝子座からのニワトリHS4インシュレータからなる群から選択され、より好ましくは、第1のインシュレータ及び第2のインシュレータは、それぞれ、配列番号24及び配列番号25のヌクレオチド配列を有する。一実施形態では、細胞は、修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータを含み、導入遺伝子の上流及び下流にそれぞれ、第1のスペーサ配列及び第2のスペーサ配列を更に含み、第1のスペーサ配列及び第2のスペーサ配列は、独立して、(a)配列番号67のヌクレオチド配列及び(b)配列番号68のヌクレオチド配列からなる群から選択される。
【0037】
一実施形態では、ITRは、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、導入遺伝子は、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、コード配列は、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、好ましくは、プロモータは、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、ポリアデニル化シグナルは、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する。
【0038】
一態様では、非自然発生の核酸分子を含む細胞が本明細書に提供され、非自然発生の核酸分子は、5’から3’の順序で、(A)第1のインシュレータであって、好ましくは、配列番号24のヌクレオチド配列を有する、第1のインシュレータ、(B)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、(i)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号55のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、(ii)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(a)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、(b)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(2)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、(3)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(4)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(c)3’イントロン断片であって、好ましくは配列番号15のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、(iii)AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子と、(C)AAV cap遺伝子であって、好ましくは、配列番号57のヌクレオチド配列を含む、AAV cap遺伝子と、(D)一対のAAV ITRが隣接する導入遺伝子であって、好ましくは、AAV ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、導入遺伝子と、(E)第2のインシュレータであって、好ましくは、配列番号25のヌクレオチド配列を有する、第2のインシュレータと、を含む。
【0039】
一態様では、非自然発生の核酸分子を含む細胞が本明細書に提供され、非自然発生の核酸分子は、5’から3’の順序で、(A)第1のインシュレータであって、好ましくは、配列番号24のヌクレオチド配列を有する、第1のインシュレータ、(B)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、(i)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号73のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、(ii)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(a)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、(b)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(2)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、(3)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(4)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(c)3’イントロン断片であって、好ましくは配列番号66のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、(iii)AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子と、(C)AAV cap遺伝子と、(D)(i)一対のAAV ITRであって、好ましくは、AAV ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、一対のAAV ITR、及び(ii)一対のスペーサ配列であって、好ましくは、スペーサ配列が、配列番号67及び配列番号68のヌクレオチド配列を有する、一対のスペーサ配列、が隣接する、導入遺伝子と、を含む。
【0040】
一実施形態では、非自然発生の核酸分子は、配列番号12のヌクレオチド配列を有し、エピソーム性である。別の実施形態では、非自然発生の核酸分子は、配列番号70のヌクレオチド配列を有し、エピソーム性である。
【0041】
一実施形態では、細胞は、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼをコードする、核酸分子を更に含み、好ましくは、核酸は、配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも85%、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を含み、より好ましくは、細胞は、配列番号2のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼをコードする、組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスを含む。
【0042】
一実施形態では、細胞は、アデノウイルスE1A及びE1B遺伝子を更に含み、好ましくは、細胞は、911細胞、pTG6559細胞、GH329細胞、N52.E6細胞、HeLa-E1細胞、UR細胞、VLI-293細胞、HEK293細胞、又はPER.C6細胞である。
【0043】
一態様では、導入遺伝子を含む組換えAAVを産生する方法が本明細書に提供され、方法は、(A)第1の宿主細胞を得ることであって、第1の宿主細胞が、(i)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、(a)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号55のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(1)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、(2)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(aa)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(bb)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、(cc)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(dd)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び(ee)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(3)3’イントロン断片であって、好ましくは配列番号15のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、(c)AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子、(ii)AAV cap遺伝子であって、好ましくは、配列番号57のヌクレオチド配列を含む、AAV cap遺伝子、並びに(iii)一対のAAV ITRが隣接する導入遺伝子であって、好ましくは、ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、導入遺伝子、を含む、第1の宿主細胞を得ることと、(B)第1の宿主細胞を、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するリコンビナーゼをコードするリコンビナーゼ遺伝子を含む組換えアデノウイルスに感染させて、リコンビナーゼ遺伝子を更に含有する第2の宿主細胞を得ることと、(C)導入遺伝子を含む組換えAAVが産生される条件下で、第2の宿主細胞を成長させることと、(D)任意選択的に、組換えAAVを採取することと、を含む。
【0044】
一態様では、導入遺伝子を含む組換えAAVを産生する方法が本明細書に提供され、方法は、(A)第1の宿主細胞を得ることであって、第1の宿主細胞が、(i)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、(a)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号73のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、(1)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、(2)停止カセットであって、5’から3’の順序で、(aa)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、(bb)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、(cc)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、(dd)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び(ee)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに(3)3’イントロン断片であって、好ましくは配列番号66のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、(c)AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号66のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子、(ii)AAV cap遺伝子、並びに(iii)(a)一対のAAV ITRであって、好ましくは、ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、一対のAAV ITR、及び(b)一対のスペーサ配列であって、好ましくは、スペーサ配列が、配列番号67及び配列番号68のヌクレオチド配列を有する、一対のスペーサ配列、が隣接する、導入遺伝子、を含む、第1の宿主細胞を得ることと、(B)第1の宿主細胞を、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するリコンビナーゼをコードするリコンビナーゼ遺伝子を含む組換えアデノウイルスに感染させて、リコンビナーゼ遺伝子を更に含有する第2の宿主細胞を得ることと、(C)導入遺伝子を含む組換えAAVが産生される条件下で、第2の宿主細胞を成長させることと、(D)任意選択的に、組換えAAVを採取することと、を含む。
【0045】
一実施形態では、第1の宿主細胞は、修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータ、及び任意選択的に、ITRが隣接する導入遺伝子の下流に第2のインシュレータを更に含み、好ましくは、第1のインシュレータ及び第2のインシュレータは、独立して、(a)配列番号24のヌクレオチド配列を有するヒト抗リプレッサ要素40、(b)配列番号25のヌクレオチド配列を有するマウス抗リプレッサ要素40、(c)GenBankアクセッション番号AY190749.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素04、(d)GenBankアクセッション番号AY190750.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素06、(e)GenBankアクセッション番号AY190751.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素07、(f)GenBankアクセッション番号AY190752.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素12、(g)GenBankアクセッション番号AY190753.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素13、(h)GenBankアクセッション番号AY190754.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素35、(i)GenBankアクセッション番号AY190755.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素36、(j)GenBankアクセッション番号AY190757.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素52、(k)GenBankアクセッション番号AY190758.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素53、及び(l)2つ又は3つ以上のコピーにおいてAY040835.1のヌクレオチド配列を有するグロビン遺伝子座からのニワトリHS4インシュレータからなる群から選択され、より好ましくは、第1のインシュレータ及び第2のインシュレータは、それぞれ、配列番号24及び配列番号25のヌクレオチド配列を有する。
【0046】
一実施形態では、第1の宿主細胞は、修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータを含み、導入遺伝子の上流及び下流にそれぞれ、第1のスペーサ配列及び第2のスペーサ配列を更に含み、第1のスペーサ配列及び第2のスペーサ配列は、独立して、(a)配列番号67のヌクレオチド配列及び(b)配列番号68のヌクレオチド配列からなる群から選択される。
【0047】
一実施形態では、第1の宿主細胞は、修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、ITRが隣接する導入遺伝子、第1のインシュレータ、及び第2のインシュレータを含む、1つ又は2つ以上の核酸分子を細胞に導入することによって得られる。一実施形態では、第1の宿主細胞は、5’から3’の順序で、第1のインシュレータ、修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、ITRが隣接する導入遺伝子、第1のインシュレータ、及び第2のインシュレータを含む核酸分子、好ましくは、配列番号12のヌクレオチド配列を含むプラスミドを、細胞に導入することによって得られる。
【0048】
一実施形態では、第1の宿主細胞は、修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、ITRが隣接する導入遺伝子、第1のインシュレータ、第1のスペーサ配列、及び第2のスペーサ配列を含む、1つ又は2つ以上の核酸分子を細胞に導入することによって得られる。一実施形態では、第1の宿主細胞は、修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、ITRが隣接する導入遺伝子、第1のインシュレータ、第1のスペーサ配列、及び第2のスペーサシーケンサを含む、1つ又は2つ以上の核酸分子、好ましくは、配列番号70のヌクレオチド配列を含むプラスミドを細胞に導入することによって得られる。
【0049】
一実施形態では、組換えアデノウイルスは、配列番号3のヌクレオチド配列を含む組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスである。
【0050】
一実施形態では、宿主細胞は、アデノウイルスE1A及びE1B遺伝子を含み、好ましくは、宿主細胞は、911細胞、pTG6559細胞、GH329細胞、N52.E6細胞、HeLa-E1細胞、UR細胞、VLI-293細胞、HEK293細胞、又はPER.C6細胞である。
【0051】
一実施形態では、第2の宿主細胞を成長させるための条件は、2-アミノプリンで第2の細胞を培養することを含む。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約1.25mM未満である。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約1μM~約1.25mMである。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約10μM~約1.25mMである。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約100μM~約1.25mMである。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約1.25mMである。
【0052】
一実施形態では、2-アミノプリンで第2の細胞を培養することは、組換えアデノウイルスによる第1の宿主細胞の感染の約24時間後に開始される。
【0053】
一態様では、上記のようにリコンビナーゼをコードする核酸分子を含む細胞と、2-アミノプリンとを含む組成物が本明細書に提供される。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約1.25mM未満である。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約1μM~約1.25mMである。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約10μM~約1.25mMである。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約100μM~約1.25mMである。一実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約1.25mMである。
【0054】
一態様では、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、非自然発生の核酸分子が本明細書に提供される。一実施形態では、非自然発生の核酸分子は、配列番号3のヌクレオチド配列に対して少なくとも有する少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0055】
一態様では、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、非自然発生の核酸分子を含むベクターが本明細書に提供される。
【0056】
一態様では、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、非自然発生の核酸分子を含むベクターが本明細書に提供される。
【0057】
一実施形態では、ベクターは、プロモータ、好ましくは、セリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたサイトメガロウイルス(cytomegalovirus、CMV)プロモータを更に含む。
【0058】
一実施形態では、ベクターは、セリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された、シミアンウイルス40(simian virus 40、SV40)ポリアデニル化シグナルなどのポリアデニル化シグナルを更に含む。
【0059】
一実施形態では、ベクターは、DNAプラスミドである。一実施形態では、ベクターは、組換えアデノウイルスベクターである。
【0060】
一実施形態では、ベクターは、CMVプロモータの制御下で、配列番号2のアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスであり、ヌクレオチド配列は、SV40ポリアデニル化シグナル(NC_001669.1、nt2550~2774)に更に作動可能に連結されている。
【0061】
一態様では、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、非自然発生の核酸分子を含む細胞が本明細書に提供される。一実施形態では、細胞は、配列番号3のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0062】
一態様では、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、非自然発生の核酸分子を含むベクターを含む細胞が本明細書に提供される。別の態様では、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、非自然発生の核酸分子を含むベクターを含む細胞が本明細書に提供される。
【0063】
一実施形態では、細胞は、プロモータ、好ましくは、セリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたサイトメガロウイルス(CMV)プロモータを更に含む。
【0064】
一実施形態では、細胞は、セリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された、シミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化シグナルなどのポリアデニル化シグナルを更に含む。
【0065】
一実施形態では、ベクターは、DNAプラスミドである。一実施形態では、ベクターは、組換えアデノウイルスベクターである。
【0066】
一実施形態では、組換えアデノウイルスベクターは、CMVプロモータの制御下で、配列番号2のアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスを含み、ヌクレオチド配列は、SV40ポリアデニル化シグナル(NC_001669.1、nt2550~2774)に更に作動可能に連結されている。
【0067】
一実施形態では、細胞は、アデノウイルスE1A及びE1B遺伝子を含み、好ましくは、細胞は、911細胞、pTG6559細胞、GH329細胞、N52.E6細胞、HeLa-E1細胞、UR細胞、VLI-293細胞、HEK293細胞、又はPER.C6細胞である。
【0068】
一態様では、細胞内で部位特異的組換えを実施する方法が本明細書に提供され、方法は、(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、及び配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位を有する核酸分子を含む、細胞を得ることと、(b)配列番号2に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するセリンリコンビナーゼをコードする非自然発生の核酸分子を、細胞に導入することと、(c)セリンリコンビナーゼが、attP部位とattB部位との間の部位特異的組換えを触媒することを可能にする条件下で、細胞を成長させることと、を含む。
【0069】
一態様では、細胞内で部位特異的組換えを実施するプロセスによって産生される生成物が本明細書に提供され、プロセスは、(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、及び配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位を有する核酸分子を含む、細胞を得ることと、(b)配列番号2に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するセリンリコンビナーゼをコードする非自然発生の核酸分子を、細胞に導入することと、(c)セリンリコンビナーゼが、attP部位とattB部位との間の部位特異的組換えを触媒することを可能にする条件下で、細胞を成長させることと、を含む。
【0070】
一態様では、細胞から生成物を得るためのプロセスが本明細書に提供され、プロセスは、(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、及び配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位を有する核酸分子を含む、細胞を得ることと、(b)配列番号2に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するセリンリコンビナーゼをコードする非自然発生の核酸分子を、細胞に導入することと、(c)セリンリコンビナーゼが、attP部位とattB部位との間の部位特異的組換えを触媒することを可能にする条件下で、細胞を成長させることと、(d)細胞から生成物を産生及び回収することと、を含む。
【0071】
一態様では、非自然発生の系が本明細書に提供され、非自然発生の系は、AAV媒介組換えのための手段を含み、手段は、任意選択的に、トランスジェニック要素を含む。一態様では、非自然発生の系を移すための手段が本明細書に提供され、手段は、AAV媒介組換えのための手段を含み、手段は、任意選択的に、トランスジェニック要素を含む。
【0072】
一態様では、非自然発生の系が本明細書に提供され、非自然発生の系は、AAV媒介組換えのための手段を含む、系を組み換えるための組換え手段を含み、手段は、任意選択的に、トランスジェニック要素を含み、組換え手段は、触媒中に少なくとも1つのセリン残基を使用することを含む。一態様では、非自然発生の系を移すための手段が本明細書に提供され、手段は、AAV媒介組換えのための手段を含む、系を組み換えるための組換え手段を含み、手段は、任意選択的に、トランスジェニック要素を含み、組換え手段は、触媒中に少なくとも1つのセリン残基を使用することを含む。
【0073】
一態様では、分子を製造するための手段が本明細書に提供され、分子を製造するための手段は、上記の手段のうちのいずれかを含み、複製することが可能である。
【0074】
一態様では、AAV媒介部位特異的組換えのためのプロセスが本明細書に提供され、プロセスは、(a)AAV媒介組換えのための手段を含む細胞を得る機能を実行するための工程であって、手段が、任意選択的に、トランスジェニック要素を含む、工程と、(b)触媒中に少なくとも1つのセリン残基を使用する部位特異的組換えを可能にする条件下で、細胞を成長させる機能を実行するための工程と、を含む。一実施形態では、プロセスは、生成物を得ることを含み、任意選択的に、生成物は、治療用生成物である。
【0075】
本発明の他の態様、特徴、及び利点は、発明の詳細な説明、並びにその好ましい実施形態及び添付の特許請求の範囲を含む以下の開示より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
上記の概要、及び本出願の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでより良く理解されるであろう。しかしながら、本出願は、図面に示される実施形態そのものに限定されないことを理解するべきである。
図1】535個のアミノ酸の長さを有するBacillus safensis株CCMA-560(配列番号2、Sbjct)のゲノム、配列ID:WP_029708089.1において同定された推定セリンリコンビナーゼと、SPBetac2インテグラーゼタンパク質(配列番号1、クエリ)とのアライメント統計及び配列アライメントを示す。2つのタンパク質は、アミノ酸1~529の範囲のタンパク質レベルで64%の配列同一性を有する。この推定セリンリコンビナーゼは、本明細書においてSR21(セリンリコンビナーゼ21)と呼ばれる。
図2】挿入前遺伝子座を表す株の同定:568093個のヌクレオチドの長さを有するBacillus safensis株Fairview contig56_1(Sbjct)の全ゲノムショットガン配列、配列ID:NZ_JFBY01000018.1のヌクレオチド464352~464839と、CCMA-560 DNA配列(クエリ)とのアライメント統計及び配列アライメントを示す。
図3】SR21リコンビナーゼattP及びattB部位を示す。attP及びattB部位は、中央ジヌクレオチド組換え交差部位(下線付き)の周囲の二回転対称から構成される。半分の部位が番号付けされている。以前の研究(Rutherford et al.(2013)Nucleic Acids Res.41:8341-8356)から外挿する亜鉛リボンドメイン(zinc ribbon domain、ZD)及びリコンビナーゼドメイン(recombinase domain、RD)によって結合されると予測される配列のアライメントを示すために、スペースをattB配列に導入した。ZD又はRDドメインのうちの3つ又は4つにおいて同一である残基は、太字である。2つの交互のattB配列(配列番号8)及び(配列番号9)に対するattP(配列番号7)アライメントを示す。
図4】レポータ遺伝子のリコンビナーゼ活性化を示す。プラスミドP41は、2つのレポータ遺伝子転写物をコードする。EF1αプロモータによって駆動される最初のものは、構成的に活性であり、自己切断F2Aペプチドリンカーによって連結された緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein、GFP)とレニラルシフェラーゼとの間の融合タンパク質をコードする。CMVによって駆動される第2の転写物は、SR21リコンビナーゼattB部位(配列番号9)、続いて、P2A自己切断ペプチドリンカーによって連結されたmCherry及びホタルルシフェラーゼをコードする逆位融合タンパク質コード領域、並びにSR21 attP部位を含む。ルシフェラーゼもmCherryも、プロモータに対して反対の配向にあるため、発現されない。SR21リコンビナーゼが発現する場合、attB及びattP配列は組み換えられ、これは、レポータ遺伝子の逆位並びにホタルルシフェラーゼ及びmCherryの発現をもたらす。
図5】本出願の一実施形態に従って産生された精製組換えAAV試料中のAAVキャプシドタンパク質を示す。プラスミドP439で安定してトランスフェクトし、20 MOI(A)及び40 MOI(B)においてHyperflask容器内で成長及び感染させた細胞から試料を精製し、PAGE及び銀染色に供した。
図6】本出願の一実施形態に従った、内部に停止カセットが挿入された人工イントロンを有するrep/cap発現カセットを示す。
図7】本出願の一実施形態に従ったベクター(プラスミドP439)を示す。
図8】RT-PCRによってP439で同定されたRNAスプライス部位の位置及び配列を示す。上の図面は、停止カセット切除後のREP遺伝子の構造を表す。REPの5’及び3’半分は、ベータ-アクチンイントロン(配列番号14)の上流半分、SR21AttL要素(配列番号35)、及びベータ-アクチンイントロンの下流半分(配列番号15)によって分離される。(2)ベータ-アクチンスプライスドナー(配列番号71)と、(3)ベータ-アクチンスプライスアクセプタ(配列番号72)との間のスプライシングを実線によって示す。(1)5’REP配列中の上流スプライスドナー(配列番号64)と、(3)3’ベータ-アクチンアクセプタ(配列番号72)との間のスプライシングを点線で示す。スプライスドナー及びアクセプタの配列を下に示す。小文字の配列は、イントロン配列を示す。
図9】本出願の一実施形態に従ったベクター(プラスミドP600)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
背景技術において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載し、これら参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0078】
特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。本明細書に引用する全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によってあたかもその全体が本明細書に記載されているように組み込まれる。
【0079】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示対象物を含むことに留意する必要がある。
【0080】
別途記載のない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、一連の全ての要素を指すと理解されるべきである。当業者であれば、単なる通常の実験手順を使用するだけで、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に対して多くの同等物を認識するか、又は確認することができよう。かかる均等物は、本発明によって包含されることが意図される。
【0081】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上必要としない限り、用語「含む(comprise)」並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、指定の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を含むが、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外するものではないことを意味すると理解されるであろう。本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」は、用語「含有する(containing)」又は「含む(including)」に置き換えることができ、又はときに本明細書で使用するとき、用語「有する(having)」に置き換えることもできる。
【0082】
本明細書で使用するとき、「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素において指定されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する。本明細書で使用するとき、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない材料又は工程は除外しない。本出願の態様又は実施形態に関連して本明細書で使用するとき、本開示の範囲を変化させるために、「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、及び「有する」という上記用語のいずれかを、用語「からなる」又は「から本質的になる」に置き換えることができる。
【0083】
本明細書で使用するとき、複数の列挙された要素間の接続的な用語「及び/又は」は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用するとき、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。
【0084】
特に断らない限り、本明細書に記載される濃度又は濃度範囲などのあらゆる数値は、全ての場合において、「約」なる語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、数値は、典型的には、記載される値の±10%を含む。例えば、1mg/mLの濃度は0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。同様に、1mg/mL~10mg/mLの濃度範囲は、0.9mg/mL~11mg/mLを含む。本明細書で使用するとき、数値範囲の使用は、文脈上そうでない旨が明確に示されない限り、その範囲内の整数及び値の分数を含む、全ての可能な部分範囲、その範囲内の全ての個々の数値を明示的に含む。
【0085】
アミノ酸配列に関して使用するとき、「配列同一性パーセント(%)」又は「同一性%」又は「%同一」という語句は、アミノ酸配列の全長を構成するアミノ酸残基の数と比較した、2つ又は3つ以上のアラインされたアミノ酸配列の同一のアミノ酸の一致数(「ヒット」)を記載する。2つ又は3つ以上の配列についてアライメントを使用した他の用語において、配列が、当該技術分野で既知の配列比較アルゴリズムを使用して測定した場合の、又は手動でアライン及び目視検査したときの、最大一致性について比較及びアラインされたとき、同じであるアミノ酸残基のパーセンテージ(例えば、アミノ酸配列の全長にわたって90%、91%、92%、93%、94%、95%、97%、98%、99%、又は100%の同一性)が決定され得る。したがって、配列同一性を決定するために比較される配列は、アミノ酸の置換、付加、又は欠失によって異なり得る。タンパク質配列をアラインするための好適なプログラムは、当業者に既知である。タンパク質配列の配列同一性のパーセンテージは、例えば、CLUSTALW、Clustal Omega、FASTA、又はBLASTなどのプログラムを用いて、例えば、NCBI BLASTアルゴリズムを使用して決定され得る(Altschul SF,et al(1997),Nucleic Acids Res.25:3389-3402)。
【0086】
本明細書で使用するとき、「非自然発生の」核酸又はポリペプチドは、自然界で発生しない核酸又はポリペプチドを指す。「非自然発生の」核酸又はポリペプチドは、実験室及び/又は製造現場で合成、処理、製造、及び/又は他の方法で操作され得る。場合によっては、非自然発生の核酸又はポリペプチドは、処理前に自然発生の核酸又はポリペプチド中に存在しなかった特性を示すように処理、加工、又は操作される自然発生の核酸又はポリペプチドを含み得る。本明細書で使用するとき、「非自然発生の」核酸又はポリペプチドは、それが発見された天然源から単離又は分離された核酸又はポリペプチドであり得、それが天然源において関連した配列への共有結合を欠いている。「非自然発生の」核酸又はポリペプチドは、組換えで、又は化学合成などの他の方法を介して作製され得る。
【0087】
本明細書で使用するとき、「ハイブリッド」という用語は、AAV cap遺伝子に関連して使用される場合、異なる血清型キャプシドの一部分と組み合わせた1つの血清型キャプシドの部分を含むcap遺伝子を意味するよう意図される。この用語はまた、自然発生のAAV血清型配列が1つ又は2つ以上の非自然発生の変異を含有する、AAV cap遺伝子バリアントを含む。
【0088】
本明細書で使用するとき、「スペーサ配列」という用語は、他の遺伝子要素の分離を除いて、明らかな機能を有しない非コード化ヌクレオチドの領域を意味するよう意図される。
【0089】
本明細書で使用するとき、「作動可能に連結された」という用語は、連結又は並列を指し、そのように記載される構成成分は、それらがそれらの意図された様式で機能することを可能にする関係にある。例えば、プロモータは、それがコード配列の転写に影響を与える場合、又は対象となるアミノ酸配列に作動可能に連結されたシグナル配列が、膜上で対象となるアミノ酸配列を分泌する若しくは移動させることが可能である場合、コード配列に作動可能に連結されている。
【0090】
本出願の読者を助けるため、明細書の記載は、様々な段落若しくはセクションに分けられているか、又は本出願の様々な実施形態に向けられている。これらの分離は、段落又はセクション又は実施形態の実体を別の段落又はセクション又は実施形態の実体から切り離すものとみなされるべきではない。反対に、当業者であれば、本明細書の記載が広範な用途を有し、想到され得る様々な段落、パラグラフ、及び文章の全ての組み合わせを包含することを理解するであろう。任意の実施形態の考察は、単なる例示であることを意味するものであり、特許請求の範囲を含む本開示の範囲がこれらの実施例に限定されることを示唆することを意図するものではない。例えば、本明細書に記載の用途(例えば、プラスミドDNA又はウイルスベクター)の非自然発生の核酸又は組換えベクターの実施形態は、特定の順序で配置された、特定のプロモータ配列、エンハンサ又は調節配列、イントロン、AAV Rep及び/又はCapのコード配列、ポリアデニル化シグナル配列などが挙げられるがこれらに限定されない、特定の構成成分を含有し得るが、当業者は、本明細書に開示される概念が、本出願の核酸又はベクターで使用され得る他の順序で配置された他の構成成分に等しく適用され得ることを理解するであろう。本出願は、特定の組み合わせが明示的に記載されているかどうかにかかわらず、本出願の核酸又はベクターで使用され得る任意の配列を有する任意の組み合わせにおける適用可能な構成成分のいずれかの使用を企図する。
【0091】
本明細書で使用するとき、「ベクター」は、遺伝物質を細胞に運ぶために使用される核酸分子であり、そこで複製及び/又は発現され得る。本開示を考慮して当業者に知られている任意のベクターが使用され得る。ベクターの例としては、プラスミド、ウイルスベクター(バクテリオファージ、動物ウイルス、及び植物ウイルス)、コスミド、並びに人工染色体(例えば、YAC)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ベクターは、DNAプラスミドである。当業者は、本開示を考慮して、標準的な組換え技術を通して、本出願のベクターを構築することができる。
【0092】
本出願のベクターは、発現ベクターであり得る。本明細書で使用するとき、「発現ベクター」という用語は、転写可能であるRNAをコードする核酸を含む任意のタイプの遺伝子構築物を指す。発現ベクターとしては、DNAプラスミド又はウイルスベクターなどの、組換えタンパク質を発現させるためのベクター、及びDNAプラスミド又はウイルスベクターなどの、対象の体内に核酸を送達させて対象の組織で発現させるためのベクターなどが挙げられるが、これらに限定されない。発現ベクター設計は、形質転換される宿主細胞の選択、望ましいタンパク質の発現レベルなどの要素に依存し得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0093】
本出願のいくつかの実施形態では、ベクターは、非ウイルスベクターである。非ウイルスベクターの例としては、DNAプラスミド、細菌人工染色体、酵母人工染色体、バクテリオファージなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、非ウイルスベクターは、DNAプラスミドである。「DNAプラスミドベクター」、「プラスミドDNA」、又は「プラスミドDNAベクター」と互換的に使用される「DNAプラスミド」は、好適な宿主細胞内で自律複製が可能である二本鎖かつ概して環状のDNA配列を指す。コードされたポリヌクレオチドの発現に使用されるDNAプラスミドは、典型的には、複製起点、多重クローニング部位、及び例えば、抗生物質耐性遺伝子であり得る選択可能なマーカーを含む。使用され得る好適なDNAプラスミドの例としては、周知の発現系で使用するための市販の発現ベクター(原核細胞系及び真核細胞系の両方を含む)、例えば、Escherichia coliにおけるタンパク質の産生及び/又は発現に使用され得るpSE420(Invitrogen、San Diego,Calif.)、酵母のSaccharomyces cerevisiae株における産生及び/又は発現に使用され得るpYES2(Invitrogen、Thermo Fisher Scientific)、昆虫細胞内の産生及び/又は発現に使用され得るMAXBAC(登録商標)完全バキュロウイルス発現系(Thermo Fisher Scientific)、哺乳動物細胞内の高レベルの構成的タンパク質発現に使用され得るpcDNA(商標)又はpcDNA3(商標)(Life Technologies、Thermo Fisher Scientific)、並びにほとんどの哺乳動物細胞内の対象となるタンパク質の高レベル一過性発現に使用され得るpVAX又はpVAX-1(Life Technologies、Thermo Fisher Scientific)が挙げられるが、これらに限定されない。任意の市販のDNAプラスミドの骨格は、宿主細胞内のタンパク質発現を最適化するように、例えば、日常的な技術及び容易に入手可能な出発物質を使用することによって、特定の要素(例えば、複製起点及び/若しくは抗生物質耐性カセット)の配向を逆転させるように、プラスミドに内因性のプロモータ(例えば、抗生物質耐性カセット中のプロモータ)を置き換えるように、並びに/又は転写されたタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子のコード配列)を置き換えるように修飾され得る。(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい)。
【0094】
好ましくは、DNAプラスミドは、哺乳動物宿主細胞内のタンパク質発現に好適な発現ベクターである。哺乳動物宿主細胞内のタンパク質発現に好適な発現ベクターとしては、pUC、pcDNATM、pcDNA3TM、pVAX、pVAX-1、ADVAX、NTC8454などが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ベクターは、pUCの複製起点及びアンピシリン耐性遺伝子(配列番号30)を含有するpUC57に基づくことができる。それは、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子プロモータ(配列番号26)、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼコード領域(配列番号27)、及びウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化シグナル(配列番号28)から構築された、哺乳動物ピューロマイシン耐性遺伝子カセットを更に含むことができる。ベクターはまた、エプスタインバーウイルス(Epstein Barr Virus、EBV)OriP複製起点断片(配列番号29)を含むことができ、これは、EBVの「二回転対称」領域及び「反復配列のファミリー」領域の複合体を表す。
【0095】
本出願のベクターはまた、ウイルスベクターであり得る。一般に、ウイルスベクターは、非感染性の状態にされているが、なおもウイルスプロモータ及び導入遺伝子を含有し、したがって、ウイルスプロモータを通した導入遺伝子の翻訳を可能にする、修飾ウイルスDNA又はRNAを担持する遺伝子操作されたウイルスである。ウイルスベクターは、頻繁に感染性配列を欠くため、それらは、大規模トランスフェクションのためのヘルパーウイルス又はパッケージングラインを必要とする。使用され得るウイルスベクターの例としては、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、腸溶性ウイルスベクター、ベネズエラ馬脳炎ウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、タバコモザイクウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに限定されない。ベクターはまた、非ウイルスベクターであり得る。
【0096】
好ましくは、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、例えば、組換えアデノウイルスベクターである。本明細書で使用するとき、「組換えアデノウイルスベクター(recombinant adenovirus vector)」、及び「組換えアデノウイルスベクター(recombinant adenoviral vector)」、及び「組換えアデノウイルス粒子」という用語は、互換的に使用され、対象となるポリヌクレオチドを真核細胞に挿入し、ポリヌクレオチドがその後に発現されるように設計された、遺伝子操作されたアデノウイルスを指す。本発明のウイルスベクターとして使用され得るアデノウイルスの例としては、血清型Ad2、Ad5、Ad11、Ad12、Ad24、Ad26、Ad34、Ad35、Ad40、Ad48、Ad49、Ad50、Ad52(例えば、RhAd52)、及びPan9(AdC68としても既知)を有するか、又はそれらに由来するものが挙げられ、これらのベクターは、例えば、ヒト、チンパンジー(例えば、ChAd1、ChAd3、ChAd7、ChAd8、ChAd21、ChAd22、ChAd23、ChAd24、ChAd25、ChAd26、ChAd27.1、ChAd28.1、ChAd29、ChAd30、ChAd31.1、ChAd32、ChAd33、ChAd34、ChAd35.1、ChAd36、ChAd37.2、ChAd39、ChAd40.1、ChAd41.1、ChAd42.1、ChAd43、ChAd44、ChAd45、ChAd46、ChAd48、ChAd49、ChAd49、ChAd50、ChAd67、若しくはSA7P)、又はアカゲザルアデノウイルス(例えば、rhAd51、rhAd52、若しくはrhAd53)に由来し得る。例えば、組換えアデノウイルスベクターは、ヒトアデノウイルス(HAdV、若しくはAdHu)、あるいはシミアアデノウイルス、例えば、チンパンジー若しくはゴリラアデノウイルス(ChAd、AdCh、若しくはSAdV)、又はアカゲザルアデノウイルス(rhAd)に由来し得る。
【0097】
好ましくは、アデノウイルスベクターは、組換えヒトアデノウイルスベクター、例えば、組換えヒトアデノウイルス血清型5、又は組換えヒトアデノウイルス血清型26、4、35、7、48などのいずれか1つである。本出願に有用な組換えウイルスベクターは、本開示を考慮して当該技術分野で既知の方法を使用して調製され得る。例えば、遺伝暗号の縮重を考慮して、同じポリペプチドをコードするいくつかの核酸配列が設計され得る。対象となるタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、宿主細胞(例えば、細菌又は哺乳動物細胞)における適切な発現を確実にするために、任意選択的にコドン最適化され得る。コドン最適化は、当該技術分野で広く適用されている技術であり、コドン最適化ポリヌクレオチドを得るための方法は、本開示を考慮して当業者に周知であろう。
【0098】
非自然発生の核酸分子又はベクターは、1つ又は2つ以上の発現カセットを含み得る。「発現カセット」は、RNA及びタンパク質を作製するために細胞機構を方向付ける核酸分子又はベクターの一部である。発現カセットは、プロモータ配列、オープンリーディングフレーム、3’非翻訳領域(untranslated region、UTR)を含み得、任意選択的にポリアデニル化シグナルを含む。オープンリーディングフレーム(open reading frame、ORF)は、開始コドンから停止コドンに、対象となるタンパク質(例えば、対象となるRep、Cap、リコンビナーゼ、又は組換えタンパク質)のコード配列を含有するリーディングフレームである。発現カセットの調節要素は、対象となるタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。
【0099】
本出願の非自然発生の核酸分子又はベクターは、様々な調節配列を含有し得る。本明細書で使用するとき、「調節配列」という用語は、宿主細胞又は生物への、核酸又はその誘導体のうちの1つ(即ち、mRNA)の複製、重複、転写、スプライシング、翻訳、安定性、及び/又は輸送を含む、核酸分子の機能的調節を可能にするか、それに寄与するか、又はそれを調整する任意の配列を指す。調節要素としては、プロモータ、エンハンサ、ポリアデニル化シグナル、翻訳停止コドン、リボソーム結合要素、転写ターミネータ、選択マーカー、複製起点などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
非自然発生の核酸分子又はベクターは、対象となるタンパク質の発現を制御するために、好ましくは発現カセット内にプロモータ配列を含み得る。「プロモータ」という用語は、その従来の意味で使用され、作動可能に連結されたヌクレオチド配列の転写を開始するヌクレオチド配列を指す。プロモータは、それが転写するヌクレオチド配列の近くの同じ鎖上に位置する。プロモータは、構成的、誘導性、又は抑制性であり得る。プロモータは、自然発生又は合成であり得る。プロモータは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び動物を含む源に由来し得る。プロモータは、相同プロモータ(即ち、ベクターと同じ遺伝子源に由来)又は異種プロモータ(即ち、異なるベクター若しくは遺伝子源に由来)であり得る。例えば、用いられるベクターがDNAプラスミドである場合、プロモータは、プラスミドに内因性(相同)であり得るか、又は他の源由来(異種)であり得る。好ましくは、プロモータは、発現カセット内の対象となるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの上流に位置する。
【0101】
使用され得る実施例のプロモータとしては、シミアンウイルス40(SV40)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(mouse mammary tumor virus、MMTV)プロモータ、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)プロモータ、例えば、ウシ免疫不全ウイルス(bovine immunodeficiency virus、BIV)の長い末端反復配列(long terminal repeat、LTR)プロモータ、モロニーウイルスプロモータ、トリ白血病ウイルス(avian leukosis virus、ALV)プロモータ、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、例えば、CMV即時初期プロモータ(CMV immediate early、CMV-IE)、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモータ、又はラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus、RSV)プロモータが挙げられるが、これらに限定されない。プロモータはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、又はヒトメタロチオネインなどのヒト遺伝子からのプロモータであり得る。プロモータはまた、天然又は合成の、筋肉又は皮膚特異的プロモータなどの組織特異的プロモータであり得る。好ましくは、プロモータは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ(nt-672~+15)、EF1-アルファプロモータ、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子プロモータ(配列番号26)などの強い真核細胞プロモータである。
【0102】
非自然発生の核酸分子又はベクターは、発現された転写物を安定化し、RNA転写物の核外輸送を増強し、かつ/又は転写-翻訳カップリングを改善する追加のポリヌクレオチド配列を含み得る。そのような配列の例としては、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサ配列が挙げられる。ポリアデニル化シグナルは、典型的には、ベクターの発現カセット内の対象となるタンパク質(例えば、Rep、Cap、リコンビナーゼ)のコード配列の下流に位置する。エンハンサ配列は、転写因子によって結合されたときに関連する遺伝子の転写を増強する調節DNA配列である。エンハンサ配列は、好ましくは、プロモータ配列の下流にあり、ベクターの発現カセット内のコード配列の下流又は上流にあり得る。
【0103】
本開示を考慮して当業者に既知の任意のポリアデニル化シグナルが使用され得る。例えば、ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル(例えば、配列番号60)、AAV2ポリアデニル化シグナル(bp4411~4466、NC_001401.2)、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子からのポリアデニル化シグナル(配列番号23)、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、又はヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。好ましくは、ポリアデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル(配列番号28)、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号4411~4466を有するAAV2のポリアデニル化シグナル、又はSV40ポリアデニル化シグナル(配列番号60)である。
【0104】
本開示を考慮して当業者に既知の任意のエンハンサ配列が使用され得る。例えば、エンハンサ配列は、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、又はCMV、HA、RSV、若しくはEBVからのものなどのウイルスエンハンサであり得る。特定のエンハンサの例としては、ウッドチャックHBV転写後調節要素(Woodchuck HBV Post-transcriptional regulatory element、WPRE)、ヒトアポリポタンパク質A1前駆体(apolipoprotein A1、ApoAI)に由来するイントロン/エクソン配列、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1、HTLV-1)の長い末端反復配列(LTR)の非翻訳R-U5ドメイン、スプライシングエンハンサ、合成ウサギβ-グロビンイントロン、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
好ましくは、エンハンサ配列は、AAVのP5プロモータを含む。P5プロモータは、rep遺伝子のコード配列内のシス作用性Rep依存性要素(cis-acting Rep-dependent element、CARE)の一部である。CAREは、cisで存在する場合、複製及びキャプシド形成を増大することが示された。CAREはまた、いくつかのAAV産生細胞株におけるような、染色体に組み込まれたrep遺伝子の増幅に重要である(AAV ITRが存在しない場合)。理論によって束縛されることを望まないが、capコード配列の下流に配置されたP5プロモータが、潜在的に、Cap発現、したがってAAV収率を増加させるためのエンハンサとして作用すること、及びP5プロモータが、染色体に組み込まれた遺伝子を増幅するためのエンハンサ活性も提供することが考えられる。
【0106】
非自然発生の核酸分子又はベクター、例えば、DNAプラスミドはまた、細菌細胞、例えば、E.coliにおけるプラスミドの選択及び維持のための細菌の複製起点及び抗生物質耐性発現カセットを含み得る。複製起点(origin of replication、ORI)は、複製が開始される配列であり、プラスミドが細胞内で再生及び生存することを可能にする。本出願での使用に好適なORIの例としては、ColE1、pMB1、pUC、pSC101、R6K、及び15A、好ましくは、pUCが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
細菌細胞における選択及び維持のためのベクターは、典型的には、抗生物質耐性遺伝子に作動可能に連結されたプロモータ配列を含む。好ましくは、抗生物質耐性遺伝子に作動可能に連結されたプロモータ配列は、対象となるタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモータ配列とは異なる。抗生物質耐性遺伝子はコドン最適化され得、抗生物質耐性遺伝子の配列組成は、通常、細菌、例えば、E.coliコドン使用に調整される。カナマイシン耐性遺伝子(kanamycin resistance gene、Kan)、アンピシリン耐性遺伝子(ampicillin resistance gene、Amp)、及びテトラサイクリン耐性遺伝子(tetracycline resistance gene、Tet)、並びにクロラムフェニコール、ブレオマイシン、スペクチノマイシン、カルベニシリンなどに対する耐性を付与する遺伝子などが挙げられるがこれらに限定されない、本開示を考慮して当業者に既知の任意の抗生物質耐性遺伝子が使用され得る。
【0108】
哺乳動物細胞における選択及び維持のためのベクターは、典型的には、選択可能なマーカーを付与するタンパク質をコードする遺伝子に作動可能に連結されたプロモータを含む。好ましくは、遺伝子は、ポリアデニル化シグナルを更に含む。例えば、哺乳動物ピューロマイシン耐性遺伝子カセットは、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子プロモータ(配列番号26)、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼコード領域(配列番号27)、及びウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化シグナル(配列番号28)を含むことができる。
【0109】
ヒト細胞における組換えAAVの製造は、AAV複製(rep)及びキャプシド(cap)遺伝子、アデノウイルス遺伝子、並びにAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する発現カセットからなるAAVパッケージング可能な導入遺伝子の発現を必要とする。3つ全ての構成成分が、AAV産生のために別々のプラスミド上の細胞に送達され得るが、既存のトランスフェクション方法は、大規模培養物に拡大することが困難である。これらの要素のうちのいくつかを宿主細胞株に組み込むことは、AAV産生をより効率的にすることができるが、AAV及びアデノウイルス遺伝子のうちのいくつかは、細胞増殖抑制性又は細胞傷害性であり、このアプローチを制限する。
【0110】
本出願は、AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、及びパッケージング可能な導入遺伝子が、好適な宿主細胞に維持され、かつ/又は組み込まれ、かつ増殖され得るように、AAV rep遺伝子を可逆的に不活性化するための非自然発生の核酸分子、ベクター、細胞、及び方法を記載する。リコンビナーゼを発現する組換えアデノウイルスによるこれらの細胞の感染は、rep遺伝子を再活性化し、AAV複製及びパッケージングを誘導する。Xiao及び共同研究者によって記載されるアプローチ(Qiao et al.(2002)J.Virol.76:13015-13027、Yuan et al.(2011)Hum.Gene Ther.22:613-624)(これは、2つの同一のloxP部位を認識するチロシンリコンビナーゼであるCreを使用し、結合反応及び切除反応の両方を触媒する)とは異なり、本発明は、このアプローチの発明者によって新たに特徴付けられたセリンリコンビナーゼであるセリンリコンビナーゼ21(SR21)を使用する。Creとは異なり、SR21は、異なる配列を有するattP及びattB部位を認識する。SR21によって触媒された結合反応後、attP及びattB部位は、組み換えられ、更なる組換えが可能ではないように破壊される。したがって、本出願の方法は、Creによって触媒されるものよりも効率的であり得る。本出願の特定の実施形態は、異なる人工イントロン、エンハンサ、インシュレータなどに挿入された異なる停止カセットなどの追加の特徴を含み、これらは、従来技術におけるアプローチを更に改善する。本出願の可逆的不活性化/再活性化系は、AAV rep遺伝子がパッケージング細胞成長中に厳密に制御されて、したがって宿主細胞に対するRepタンパク質の細胞増殖抑制性/細胞傷害性の効果を回避することを可能にする。これはまた、ベクターの産生中のAAV rep遺伝子の強い誘導及びAAVベクターの高い収率をもたらす。
【0111】
セリンリコンビナーゼ
大きいセリンリコンビナーゼファミリーのメンバー(SR21など)によって触媒される部位特異的組換えは、相同組換えのための細胞機構を必要としない。典型的には、これは、部位を認識し、DNAを破壊及び結合する特殊なリコンビナーゼを必要とする。アミノ酸配列相同性及び機構的関連性に基づいて、ほとんどの部位特異的リコンビナーゼは、2つのファミリー:チロシンリコンビナーゼファミリー又はセリンリコンビナーゼファミリーのうちの1つに分類される。それらの名前は、それらがDNAを攻撃するために使用し、かつ鎖交換中にそれに共有結合するようになる保存された求核性アミノ酸残基に由来する。
【0112】
セリンリコンビナーゼは、「付着部位」として既知の別々の組換え認識部位:attP、「付着ファージ」及びattB、「付着細菌」染色体に結合し、それを組み換える。attP及びattB部位は、中央ジヌクレオチド組換え交差部位の周囲の二回転対称から構成される。attP部位及びattB部位の左半分及び右半分は、亜鉛リボン(ZD)及びリコンビナーゼ(RD)ドメインによって、リコンビナーゼモノマーによって結合されている(Rutherford et al.(2013)Nucleic Acids Res.41:8341-8356)。
【0113】
以下の実施例により詳細に記載されるように、本明細書において「セリンリコンビナーゼ21」又は「SR21」と称されるセリンリコンビナーゼは、本発明において、Bacillus safensis株CCMA-560のゲノムで新たに同定された。SR21によって認識されたattP及びattB部位もまた、本発明において特徴付けられた。
【0114】
1つの一般的な態様では、本出願は、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、非自然発生の核酸分子に関する。好ましくは、非自然発生の核酸分子は、配列番号2のアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、非自然発生の核酸分子は、配列番号3のヌクレオチド配列に対して少なくとも有する少なくとも85%、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0115】
特定の実施形態では、本出願は、非自然発生の核酸を含むベクターに関する。ベクターは、対象となる細胞、例えば、細菌細胞又は哺乳動物細胞内でセリンリコンビナーゼを発現する発現ベクターであり得る。一実施形態では、ベクターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ又は本明細書に記載の、若しくは当該技術分野で既知の任意の他の好適なプロモータの制御下で、哺乳動物細胞においてセリンリコンビナーゼを発現する。特定の実施形態では、ベクターは、シミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化シグナルなどのポリアデニル化シグナル又は本明細書に記載の、若しくは当該技術分野で既知の任意の他の好適なポリアデニル化シグナルを更に含むことができる。
【0116】
一実施形態では、ベクターは、配列番号10のヌクレオチド配列を有するプラスミドP175などのDNAプラスミドである。
【0117】
別の実施形態では、ベクターは、組換えアデノウイルスベクターなどのウイルスベクターである。
【0118】
一実施形態では、ベクターは、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスであり、コード配列は、哺乳動物細胞内で機能的なプロモータの制御下にある。好ましくは、プロモータは、CMVプロモータである。より好ましくは、組換えAd5ベクターは、5’から3’の順序で、配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたCMVプロモータを含み、これは、SV40ポリアデニル化シグナル(NC_001669.1、nt2550~2774)に作動可能に連結されている。一実施形態では、配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、細菌翻訳開始コドン「TTG」が「ATG」によって置き換えられ、3つの点変異が配列番号3内の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を破壊するために導入されたことを除いて、配列番号3と同じである。これらの制限エンドヌクレアーゼ認識部位は、Xba I部位(TCTAGA)、Sac I部位(GAGCTC)、EcoRI部位(GAATTC)である。
【0119】
本開示を考慮して当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、本出願のセリンリコンビナーゼをコードするベクターが作製され得る。
【0120】
以下の実施例により詳細に記載されるように、本出願のセリンリコンビナーゼのattP及びattB部位が、本発明において同定される。特定の実施形態では、本出願のセリンリコンビナーゼは、配列番号7のヌクレオチド配列を含むattP部位又はそのバリアントを含む。特定の実施形態では、本出願のセリンリコンビナーゼは、配列番号7と少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を含むattP部位を認識する。
【0121】
特定の実施形態では、本出願のセリンリコンビナーゼは、配列番号8若しくは配列番号9のヌクレオチド配列を含むattB部位、又はそのバリアントを含む。特定の実施形態では、本出願のセリンリコンビナーゼは、配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を含むattB部位を認識する。
【0122】
一実施形態では、本出願は、細胞内で部位特異的組換えを実施する方法に関する。本方法は、
1)配列番号7と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、及び配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位を有する、核酸分子を含む細胞を得ることと、
2)配列番号2に対して少なくとも85%、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するセリンリコンビナーゼをコードする非自然発生の核酸分子を、細胞に導入することと、
3)セリンリコンビナーゼが、attP部位とattB部位との間の部位特異的組換えを触媒することを可能にする条件下で、細胞を成長させることと、を含む。
【0123】
好ましい実施形態では、本出願は、細胞内で部位特異的組換えを実施する方法に関する。本方法は、
1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、及び配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位を有する、核酸分子を含む細胞を得ることと、
2)配列番号2のアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードする非自然発生の核酸分子を、細胞に導入することと、
3)セリンリコンビナーゼが、attP部位とattB部位との間の部位特異的組換えを触媒することを可能にする条件下で、細胞を成長させることと、を含む。
【0124】
組換えAAVの産生のための構築物、細胞、及び方法
以下の実施例に示されるように、新たに同定された本出願のセリンリコンビナーゼを使用して、組換えAAVの産生を改善することができる。
【0125】
修飾AAV rep遺伝子構築物
1つの一般的な態様では、本出願は、修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)rep遺伝子を含む非自然発生の核酸分子に関し、修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)rep遺伝子は、4つのRepタンパク質Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40をコードするAAV rep遺伝子と、4つのRepタンパク質によって共有されるrep遺伝子のコード配列に挿入された人工イントロンと、を有する。人工イントロンは、人工イントロンの5’スプライス部位の下流及び分岐部位の上流に挿入された停止カセットを含み、停止カセットは、5’から3’の順序で、(i)配列番号7と少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位と、(ii)スプライスアクセプタと、(iii)ターミネータと、(iv)配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位と、を含む。好ましくは、attP部位は、配列番号7のヌクレオチド配列を有し、attB部位は、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有する。
【0126】
本明細書で使用するとき、「イントロン」は、RNAスプライシングによって除去可能であるヌクレオチドの配列として広く定義される。「RNAスプライシング」は、成熟mRNAを形成するためのプレmRNAからのイントロンの切除を意味する。本明細書で使用するとき、「人工イントロン」は、遺伝子の自然発生のイントロンではないが、それにもかかわらずRNAスプライシングによって除去可能であるヌクレオチドの配列を指す。例えば、「人工イントロン」は、挿入された停止カセットを有する自然発生のイントロンであり得る。
【0127】
人工イントロンを含むイントロンは、5’スプライス部位又は接合部、スプライスアクセプタ又は分岐点、並びに3’スプライス部位又はスプライス接合部を含有する。「5’スプライス部位」又は「5’スプライス接合部」という用語は、接合部が、遺伝子又は核酸断片の5’断片の3’末端とイントロンの5’末端との間にあり、RNAスプライシングに必要とされるイントロンの5’末端にコンセンサス配列を含む、エクソン-イントロン接合部の位置を意味する。「スプライスアクセプタ」又は「分岐点」という用語は、RNAスプライシング中の最初のエステル交換反応中に投げ縄構造を形成するのに役立つ、3’スプライス部位から約20~50bpに位置するヌクレオチド、通常はアデノシンを指す。「3’スプライス部位」又は「3’スプライス接合部」という用語は、接合部が、遺伝子又は核酸断片の3’断片の5’末端とイントロンの3’末端との間にあり、RNAスプライシングに必要とされるイントロンの3’末端にコンセンサス配列も含む、エクソン-イントロン接合部の位置を意味する。「コンセンサス配列」という用語は、RNAスプライシングに必要とされる5’又は3’スプライス接合部のいずれかの中にある/又はそれに隣接しているヌクレオチドを意味し、これらの配列は通常、不変であるか又は高度に保存されているかのいずれかである。
【0128】
多数のmRNAの分析により、特定のヌクレオチドが典型的なイントロン及びスプライス接合部で保存されていることが明らかになった。例えば、イントロンのほぼ不変の塩基は、5’-GU及び3’-AGである。これらの5’及び3’保存領域に隣接する特定の塩基は、多くの場合、異常な(非ランダムな)頻度で見られる。分岐点アデノシン、通常、3’スプライス部位から20~50個の塩基も保存されている。例えば、エクソンとの関連でイントロンの一般的なコンセンサスを示すGao et al(2008)Nucleic Acids Research 36:2257-2267の図4を参照されたく、Gao et al(2008)の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、40~50,000個の塩基の長さの範囲であり得るイントロンの中央領域は、概して、スプライシングが生じるのに不要である。イントロンは、スプライセオソームによる投げ縄構造としてRNA又はプレmRNAから除去される。エクソンのスプライシングは、2つの連続的なエステル交換反応を介して進行する。
【0129】
発現配列へのイントロンの挿入は、当該技術分野で既知の任意の方法によって達成され得る。隣接するエクソンの状況、並びに使用される実際のイントロン配列は、新しい「イントロン」が効果的にスプライシングで切り出されるかどうかにおいて役割を果たす。本発明に好適なイントロンは、インシリコで複合配列を作製し、オンラインスプライス予測プログラムを使用して、効率的なRNAスプライシングについて十分高いスコアを与えるrep遺伝子配列及びイントロン配列の組み合わせを見つけることによって試験され得る。ゲノム又は合成配列中のイントロンのいずれも、本開示を考慮して、本発明の構築物で使用するために試験及び最適化され得る。
【0130】
Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40の4つ全てのrepオープンリーディングフレームの発現を破壊するために、人工イントロンは、好ましくは、4つのRepタンパク質によって共有されるrep遺伝子のコード配列に挿入されている。したがって、特定の実施形態では、4つの全てのORFを破壊するために、人工イントロンが、AAV2のヌクレオチド996及び最大1905(NC_001401.2)又は別のAAV rep遺伝子内の対応する位置の後に挿入されている。しかし、停止カセットが人工イントロンに挿入されたときに作用するために、イントロンが可能な限りはるか上流でrep遺伝子に挿入されていることが好ましい。
【0131】
更に、イントロン挿入部位のすぐ上流及び下流のエクソンの状況は、可能な挿入部位として作用するもの、例えば、上で考察されたエクソンに関連したイントロンの一般的なコンセンサスを定義するために重要である。一実施形態では、コンセンサス配列CAG^G(式中、^は、挿入が行われる場所を示す)は、以下のようなAAV2におけるrep遺伝子の関連領域内で生じ、番号は、挿入前のAAVの最後のヌクレオチドを示す:1052、1061、1712、及び1906。別の実施形態では、コンセンサス配列AAG^Gは、AAV2の位置1022(Qiaoによって使用される)、1112、1475、1514、1700、1742、及び1784で生じる。AAG^Aなどの他のコンセンサス部位は、例えば、AAV2のヌクレオチド1340で生じる。好ましい挿入部位もまた、本開示を考慮して、他のAAVのrep遺伝子で同定され得る。
【0132】
本発明に有用な人工イントロンは、ゲノムライブラリなどの任意の源に由来し得る。イントロンは、以下に記載されるように、プライマーを使用してヒトDNAからのポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)によって得られ得る。細胞におけるRNAスプライシングが可能な任意のイントロンが、本発明の方法で使用され得る。以下の実施例では、イントロンは、ヒトβ-アクチン遺伝子のイントロンである。
【0133】
本出願の実施形態によれば、人工イントロンを介したRNAスプライシングに加えて、Repタンパク質の発現も、人工イントロンに挿入された停止カセットを介したDNAスプライシングによって調節される。停止カセットは、本発明によって特徴付けられるものなど、セリンリコンビナーゼによって特異的に認識されたattP及びattB部位が隣接する転写ターミネータを含む。一実施形態では、ターミネータは、1つ又は2つ以上のポリアデニル化シグナルを含む。別の実施形態では、ターミネータは、好ましくは配列番号19のヌクレオチド配列を有する、自己切断RNAモチーフをコードするポリアデニル化シグナルの下流のヒトβ-グロビン遺伝子からの配列などの、効率的な転写終結のための別の配列を含む。それ自体のRNAを切断するハンマーヘッドリボザイムなどの他のターミネータも、本発明で使用され得る。ベータグロビン要素に取って代わる他のリボザイムの使用については、West(2008)Molecular Cell 29:600-610を、リボザイムの設計の説明については、Kharma(2016)Nucleic Acids Res.44:e39を参照されたく、両方の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
一実施形態では、停止カセットは、選択可能なマーカーをコードする遺伝子を更に含む。一実施形態では、選択可能なマーカー遺伝子は、哺乳動物プロモータ(例えば、マウスホスホグリセリン酸キナーゼ1)及び細菌(例えば、Lac zya)プロモータ、続いてSV40からのものなどのポリアデニル化シグナルによって駆動される、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット(neo)(配列番号18)を含む。この遺伝子は、哺乳動物細胞及び細菌細胞において、それぞれ、ネオマイシン及びカナマイシンに対する耐性を付与する。理論によって束縛されることを望まないが、細胞株の発生のために選択可能なマーカーを提供することに加えて、選択可能なマーカー遺伝子は、rep遺伝子の転写を更に遮断して、それによって修飾rep遺伝子を含有する宿主細胞の安定性を高めることができると考えられている。本発明で使用され得る他の選択可能なマーカー遺伝子としては、抗生物質選択遺伝子(ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ブレオマイシン)、代謝遺伝子(例えば、グルタミンシンターゼ若しくはヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(hypoxanthine-guanine phosphoribosyltransferase、HPRT))、mCherryなどの視覚マーカー、ベータ-グラクトシダーゼなどの酵素、分泌アルカリホスファターゼ、又は任意の他の好適なマーカー遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
別の実施形態では、停止カセットは、停止カセットが一次mRNA転写物からスプライシングで切り出されることを防止するために、スプライスアクセプタを含む。スプライスアクセプタがスキップされないという条件で、任意の自然発生のスプライスアクセプタ部位又は合成配列が使用され得る。本出願の実施形態によれば、スプライスアクセプタは、コンセンサス(yTnAynn)(式中、yは、C又はTであり、nは、任意のヌクレオチドである)に一致する分岐点配列、ポリピリミジントラクト(4~24nt)、「AG」ジヌクレオチド、及び20~80bpの真核細胞遺伝子エクソン配列(又はイントロン配列の隣に配置されたときにエクソンのように作用する合成配列)を含有する。配列は、0.4以上の信頼度スコアで、NetGene2スプライス予測ソフトウェア(www.cbs.dtu.dk/services/NetGene2/、Brunak,S.,Engelbrecht,J.,and Knudsen,S.:Prediction of Human mRNA Donor and Acceptor Sites from the DNA Sequence,Journal of Molecular Biology,1991,220,49-65)によって(又は同様のスプライス予測ソフトウェアを用いて)、スプライスアクセプタ部位として認識されるべきであり、1.0により近いスコアがより良好である。一実施形態では、スプライスアクセプタは、配列番号17のヌクレオチド配列((NC_000086.7、マウスHPRT遺伝子からのヌクレオチド53001998~53002138、及びヒトアグーチシグナル伝達タンパク質からの29nt領域(NC_000020.11、ヌクレオチド34262765~34262793)を含む。
【0136】
本出願の実施形態によれば、停止カセットは、人工イントロンの5’スプライスドナー部位の下流及びスプライスアクセプタ「分岐点」の上流に挿入されている。停止カセットは、挿入が部位の機能を損傷しないという条件で、2つの部位間の任意の位置に挿入され得る。一実施形態では、停止カセットは、2つの部位の中央に挿入されている。以下の実施例に記載の1つの例示的な実施形態では、停止カセットは、5’イントロン断片が、配列番号14のヌクレオチド配列を有し、3’イントロン断片が、配列番号15のヌクレオチド配列を有するように、ヒトβ-アクチン遺伝子のイントロンに挿入されている。
【0137】
本明細書に提供されるように、いくつかの実施形態では、3’イントロン断片は、REP/CAP遺伝子をAAVにパッケージングするには大きすぎるものにするスペーサ配列を含み得る。例えば、AAVパッケージング限界は、約5.0kbである。したがって、REP/CAP遺伝子を約5.0kbを超えるものにするスペーサ配列は、本明細書に提供される本開示に従って生成され得る。いくつかの実施形態では、スペーサ配列は、3’イントロン断片に挿入された2kbランダムスペーサである。したがって、以下の実施例に記載の例示的な実施形態では、停止カセットは、5’イントロン断片が、配列番号14のヌクレオチド配列を有し、3’イントロン断片が、配列番号66のヌクレオチド配列を有するように、ヒトβ-アクチン遺伝子のイントロンに挿入されている。しかしながら、スペーサ配列は、2kbである必要はなく、約5.0kbよりも大きいREP/CAP遺伝子をもたらす任意の長さであり得ることが理解される。
【0138】
任意のAAV rep遺伝子が、本発明の修飾rep遺伝子に含まれ得る。例えば、AAV rep遺伝子は、AAV1~AAV8のうちの1つのrep遺伝子、又はそのハイブリッドを含むことができる。AAV rep遺伝子の配列は、例えば、GenBankから入手可能であり、様々なAAV遺伝子について以下のGenBankアクセッション番号を有する:AAV1、GenBankアクセッション番号NC_002077.1;AAV2、GenBankアクセッション番号NC_001401.2;AAV3、GenBankアクセッション番号NC_001729.1;AAV4、GenBankアクセッション番号NC_001829.1;AAV5、GenBankアクセッション番号NC_006152.1;AAV6、GenBankアクセッション番号AF028704.1;AAV7、GenBankアクセッション番号NC_006260.1;及びAAV8、GenBankアクセッション番号NC_006261.1。
【0139】
以下の実施例では、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号190~2202を有するヒトAAV2のrep遺伝子が使用される。
【0140】
いくつかの実施形態では、rep遺伝子における潜在的スプライス部位の修飾が、この部位でのスプライシングを排除するために行われ得る。例えば、DNA配列が変異しているが、変異がコードされたアミノ酸を変化させない、DNA配列の同義変異が行われ得る。
【0141】
修飾AAV rep遺伝子及びAAV cap遺伝子を有する構築物
別の一般的な態様では、本出願は、本出願の修飾AAV rep遺伝子、及びAAV cap遺伝子、又はそのハイブリッドを含む、非自然発生の核酸分子に関する。好ましくは、AAV cap遺伝子は、修飾AAV rep遺伝子の下流にある。
【0142】
一実施形態では、AAV cap遺伝子は、遺伝子のコード配列に作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルを更に含む。以下の実施例に記載の例示的な実施形態では、AAV2ポリアデニル化シグナル(bp4411~4466、NC_001401.2)が、AAV9 capコード配列の下流に含まれる。
【0143】
別の実施形態では、AAV cap遺伝子は、エンハンサを更に含む。以下の実施例では、AAV2 rep P5プロモータ(bp190~313、NC_001401.2)が、AAV2ポリアデニル化シグナルの下流に含まれる。
【0144】
特定の実施形態では、AAV cap遺伝子は、キャプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3の3つ全てをコードする。
【0145】
他の実施形態では、AAV cap遺伝子は、キャプシドタンパク質の3つ未満をコードする。例えば、AAV血清型1~5は、VP2なしで細胞を成功裏にパッケージングし、細胞内で複製し、かつ細胞を形質導入することが報告された(Grieger et al.,J Virol.2005 Aug;79(15):9933-9944)。したがって、一実施形態では、AAV cap遺伝子は、AAV1~AAV5のいずれか、又はそのハイブリッドのVP1及びVP3をコードするが、VP2はコードしない。
【0146】
任意のAAV cap遺伝子が本発明で使用され得る。例えば、AAV cap遺伝子は、AAV1~AAV8、AAV9、AAVDJのうちの1つのcap遺伝子、又はそのハイブリッドを含むことができる。一実施形態では、cap遺伝子は、AAV9バリアントである。AAV cap遺伝子の配列は、例えば、GenBankから入手可能である。AAV1~AAV8ゲノムについて、上記のGenBankアクセッション番号を参照されたい。AAV9ゲノムは、GenBankアクセッション番号AY530579.1を有し、AAVDJは、GenBankタンパク質アクセッション番号3J1Q_Aを有する。
【0147】
以下の実施例に記載される一実施形態では、GenBankアクセッション番号AY530579.1のヌクレオチド配列を有するヒトAAV9のcapオープンリーディングフレームが使用される。
【0148】
修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、及び導入遺伝子を有する構築物
別の一般的な態様では、本出願は、本出願の修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、及びAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する導入遺伝子を含む、非自然発生の核酸分子に関する。
【0149】
ITRは、AAVの生物学において重要なシス活性配列である。ITRの重要な役割は、AAV DNA複製にある。ITRはまた、AAV複製におけるその役割に加えて、AAVゲノムパッケージング、転写、非許容条件下での負の調節、及び部位特異的組み込みにとって必須である。
【0150】
一実施形態では、130bp ITRは、3’AAV2 ITRに由来する配列番号20のヌクレオチド配列(ヌクレオチド4535~4664、NC_001401.2)を含み、導入遺伝子に隣接するために使用される。別の実施形態では、より短い変異ITRが使用される。例えば、より短い遺伝子について、ITRは、より短くなるように変異しており、遺伝子は、二本鎖形態に折り畳まれて、発現を増加させ、かつ感染後の発現を加速させることができる。McCarty 2008 Mol Ther.2008;16(10):1648-56を参照されたい。
【0151】
別の実施形態では、導入遺伝子は、プロモータ、好ましくは、哺乳動物細胞内で機能するプロモータを含む。以下に記載の実施例では、ヒトEF1-アルファプロモータ(エクソン1、イントロン1、及びエクソン2の一部を含む)(配列番号21)が、導入遺伝子に含まれる。
【0152】
別の実施形態では、導入遺伝子は、ポリアデニル化シグナルを含む。以下に記載の実施例では、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子からのポリアデニル化シグナル(配列番号23)が、導入遺伝子に含まれる。
【0153】
更に別の実施形態では、非自然発生の核酸分子は、修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、及びITRが隣接する導入遺伝子に隣接する一対のインシュレータを含む。別の実施形態では、非自然発生の核酸分子は、修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、及びITRが隣接する導入遺伝子の上流に単一のインシュレータを含む。一実施形態では、インシュレータは、遺伝子発現のクロマチン関連抑制を遮断するゲノム要素を含む(Kwaks et al.(2003)Nature Biotechnology 21:554-558、Kwaks et al.(2003)Nature Biotechnology 21:822)。
【0154】
本明細書に記載されるものなどの任意の好適なインシュレータが本発明で使用され得る。一実施形態では、インシュレータは、配列番号24のヌクレオチド配列を有するヒト抗リプレッサ要素40である。別の実施形態では、インシュレータは、配列番号25のヌクレオチド配列を有するマウス抗リプレッサ要素40である。別の実施形態では、別の実施形態では、インシュレータは、GenBankアクセッション番号AY190749.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素04である。別の実施形態では、インシュレータは、GenBankアクセッション番号AY190750.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ06である。別の実施形態では、インシュレータは、GenBankアクセッション番号AY190751.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ07である。別の実施形態では、インシュレータは、GenBankアクセッション番号AY190752.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ12である。別の実施形態では、インシュレータは、GenBankアクセッション番号AY190753.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ13である。別の実施形態では、インシュレータは、GenBankアクセッション番号AY190754.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ35である。別の実施形態では、インシュレータは、GenBankアクセッション番号AY190755.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ36である。別の実施形態では、インシュレータは、GenBankアクセッション番号AY190757.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ52である。別の実施形態では、インシュレータは、GenBankアクセッション番号AY190758.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ53である。別の実施形態では、インシュレータは、2つ又は3つ以上のコピーにおいてAY040835.1のヌクレオチド配列を有するグロビン遺伝子座からのニワトリHS4インシュレータである。
【0155】
一対のインシュレータを含む非自然発生の核酸分子は、対象となる遺伝子セグメントに隣接する対として、同じ又は異なるインシュレータを有することができる。好ましくは、異なるインシュレータは、対象となる遺伝子セグメントに隣接する対として使用される。以下の実施例に記載の1つの例示的な実施形態では、ヒト抗リプレッサ要素40(AY190756.1、配列番号24)及びマウス抗リプレッサ要素40(配列番号25)が、インシュレータとして使用される。以下の実施例に記載の別の例示的な実施形態では、ヒト抗リプレッサ要素40(AY190756.1、配列番号24)が、インシュレータとして使用される。
【0156】
本明細書に提供されるように、本開示の構築物はまた、他のベクター構成成分をミスパッケージングするリスクを低下させるために、AAV導入遺伝子の両側にスペーサ配列を含み得る。一実施形態では、非自然発生の核酸分子は、導入遺伝子の上流及び下流にそれぞれ、第1及び第2のスペーサ配列を含む。特定の実施形態では、スペーサ配列は、2kbスペーサ配列である。特定の実施形態では、非自然発生の核酸分子は、修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータを含み、導入遺伝子の上流及び下流にそれぞれ、第1及び第2のスペーサ配列を更に含み、第1のインシュレータ及び第2のスペーサ配列は、独立して、(a)配列番号67のヌクレオチド配列及び(b)配列番号68のヌクレオチド配列からなる群から選択される。
【0157】
組換えAAVの産生のための細胞及び方法
本出願の修飾AAV rep遺伝子からのRepタンパク質の発現は、DNAスプライシング及びRNAスプライシングの機構の両方による厳密な制御下にあり、したがって、修飾rep遺伝子を含有する安定した宿主細胞がバイオリアクタにおいて生成され、多数まで成長することを可能にする。AAV産生について、修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、及びITRが隣接する導入遺伝子を含有する安定した宿主細胞は、最初に多数まで成長し、次いで、修飾AAV rep遺伝子におけるattP及びattB部位を認識するセリンリコンビナーゼを発現する複製欠損性アデノウイルスに感染する。セリンリコンビナーゼによって触媒されたattP部位とattB部位との間の部位特異的組換え部位は、停止カセットをスプライシングで切り出し、機能的イントロンによって分離された5’及び3’コード配列の両方を含むプレmRNAの産生をもたらす。次いで、イントロンは、遍在性細胞機構(スプライセオソーム)によって切除され、4つのRepタンパク質をコードするmRNAをもたらし、高力価でのAVVの産生を可能にする。
【0158】
修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、及びITRが隣接する導入遺伝子を含有する安定した宿主細胞は、遺伝子をコードする1つ又は2つ以上の核酸分子で細胞を形質導入することによって得られ得る。一実施形態では、安定した宿主細胞は、修飾AAV rep遺伝子及びAAV cap遺伝子をコードする第1の核酸分子で細胞を形質導入して、修飾AAV rep遺伝子及びAAV cap遺伝子を含む第1の宿主細胞を得ること、及びITRが隣接する導入遺伝子をコードする第2の核酸分子で第1の宿主細胞を更に形質導入することによって得られる。一実施形態では、修飾AAV rep遺伝子及びAAV cap遺伝子は、第1の宿主細胞の染色体に安定して組み込まれる。別の実施形態では、修飾AAV rep遺伝子及びAAV cap遺伝子は、第1の宿主細胞内でエピソーム性のままである。ITRが隣接する導入遺伝子はまた、宿主細胞に安定して組み込まれ得るか、又はエピソーム性のままであり得る。
【0159】
別の実施形態では、安定した宿主細胞は、修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、及びITRが隣接する導入遺伝子をコードする核酸分子で細胞を形質導入することによって得られる。修飾AAV rep遺伝子、AAV cap遺伝子、及びITRが隣接する導入遺伝子は、宿主細胞に安定して組み込まれ得るか、又はエピソーム性のままであり得る。
【0160】
安定した宿主細胞は、セリンリコンビナーゼを発現するアデノウイルスに感染する前に、高い細胞密度まで成長することができる。
【0161】
本開示を考慮して、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、本出願のセリンリコンビナーゼを発現する複製欠損性アデノウイルスが安定した宿主細胞に導入される。一実施形態では、複製欠損性アデノウイルスは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%同一、好ましくは、配列番号2と100%同一のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスである。例えば、アデノウイルスは、配列番号3と少なくとも85%同一、好ましくは、配列番号3と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を含み得る。
【0162】
本明細書に開示されるように、本開示はまた、本明細書に記載の細胞を2アミノプリン(2-AP)と接触させることによって、AAV産生を増加させるための方法及び組成物を含む。アデノウイルスのライフサイクルの後期段階では、ウイルスは、宿主タンパク質合成を阻害する。これは、部分的に、cap開始複合体eIF4FからMnk1キナーゼを移動させ、eIF4Eの脱リン酸化及びcap依存性mRNA翻訳の阻害をもたらす、後期アデノウイルス100-キロダルトン(kDa)タンパク質の作用に起因する(例えば、Cuesta(2004),J.Virology 78:7707-7716を参照されたい)。アデノウイルス後期遺伝子転写物は、リボソームシャンティングと呼ばれる機構による翻訳を促進する、それらの5’末端における三分節リーダ配列を含む(例えば、Yueh(2000)Genes Dev 14:414-421を参照されたい)。AAV産生細胞株との関連で、cap依存的翻訳の阻害は、AAV REP及びCAP遺伝子の発現、並びにAAV複製及びパッケージングに必要な初期アデノウイルスタンパク質を遮断すると予測される。したがって、いくつかの実施形態では、細胞は、アデノウイルスインデューサを使用してAAV産生細胞株の効率を高めるために、宿主タンパク質翻訳停止を遮断する化学物質と共に培養される。
【0163】
特定の実施形態では、宿主タンパク質翻訳停止を遮断する化学物質は、2-アミノプリン(2-AP)である。2-APは、アデノウイルスによって誘導される宿主タンパク質合成の停止を遮断することが示されている(例えば、Zhang and Schneider(1994)J.Virology 68:2544-2555、Huang and Schneider(1990)PNAS 87:7115-7119を参照されたい)。2-APを用いたAAV産生細胞の処理は、通常は後期感染によって分解されるサイトケラチンネットワークの回復を含む、感染の細胞変性効果を低減することが可能であった(Zhang and Schneider(1994)J.Virology 68:2544-2555)。2-APは、RNA依存性タンパク質キナーゼPKR(真核生物翻訳開始因子2アルファキナーゼ2(eukaryotic translation initiation factor 2 alpha kinase 2)、EIF2AK2としても既知)を含む、インビトロでのキナーゼの数を阻害するが(DeBenedetti(1983)J Biol Che,258:14556-14562)、細胞内のPKR活性化及びアデノウイルス感染後に生じるeIF-2αのリン酸化を遮断することはできなかった(Huang and Schneider(1990)PNAS 87:7115-7119)。2-APは、mRNAレベルを上昇させることなく、初期アデノウイルスDNA結合タンパク質(DNA-binding protein、DBP)レベルを10~20倍上昇させ(Huang and Schneider(1990)PNAS 87:7115-7119)、cap依存的翻訳に対する効果と一致している。
【0164】
したがって、いくつかの実施形態では、導入遺伝子を含む組換えAAVを産生する方法は、本開示の細胞を2-アミノプリンと共に培養することを含む。いくつかの実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約10mM未満である。いくつかの実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約5mM未満である。いくつかの実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約2.25mM未満である。いくつかの実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約1.25mM未満である。いくつかの実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約1μM~約1.25mMである。いくつかの実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約10μM~約1.25mMである。いくつかの実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約100μM~約1.25mMである。いくつかの実施形態では、2-アミノプリン濃度は、約1.25mMである。
【0165】
特定の実施形態では、本開示の細胞は、組換えアデノウイルスによる感染の約24時間後に2-アミノプリンと接触する。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、組換えアデノウイルスによる感染の約20時間後に2-アミノプリンと接触する。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、組換えアデノウイルスによる感染の約12時間後に2-アミノプリンと接触する。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、組換えアデノウイルスによる感染の約30時間後に2-アミノプリンと接触する。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、組換えアデノウイルスによる感染の約36時間後に2-アミノプリンと接触する。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、組換えアデノウイルスによる感染の約48時間後に2-アミノプリンと接触する。
【実施例
【0166】
本出願の以下の実施例は、本出願の本質を更に説明するためのものである。当業者は、広い発明概念から逸脱することなく前述の実施形態に変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されず、本説明によって定義されるように本発明の趣旨及び範囲内の修正を包含することを意図するものと理解される。
【0167】
材料
細胞:HEK293細胞(American Type Culture Collection(ATCC)、Manassas,VA、カタログ番号CRL-1573);PEAK-rapid(ATCC、Manassas,VA、カタログ番号CRL2828)。
【0168】
組織培養培地及び試薬:OptiMEM培地(Thermo-fisher、Waltham,MA;カタログ番号31985-062);DMEM、高グルコース(Thermo-fisher、カタログ番号10569-010);DMEM、フェノールレッドなし(Thermo-fisher;カタログ番号A14430-01);Hyclone透析ウシ胎児血清(Thermo fisher;カタログ番号SH30079.03);96ウェルTCプレート(Corning、Corning NY;カタログ番号3596);6ウェル組織培養プレート、透明(Corningカタログ番号3516);培養プレート96、乳白色(PerkinElmer、Waltham,MA;カタログ番号6005680);TrypLEセレクト細胞解離試薬(Thermo-fisher、カタログ番号12563-011);ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、カルシウムなし、マグネシウムなし、D-PBS(Thermo-fisher、カタログ番号14190-144);Geneticin(G418)50mg/mL(Thermo-fisher、カタログ番号10131-027);Streptomyces alboniger由来のピューロマイシン二塩酸塩(Sigma Aldrich P9620);T150組織培養フラスコ150mm2(Corning、カタログ番号CLS430825);GlutaMax 100x(Thermo-Fisher、カタログ番号35050-061);非組織培養処理6ウェル培養プレート(Corning、カタログ番号351146);Hyperflask M容器(Corning、カタログ番号10030);DMEM中の2.5% ClonaCellメチルセルロース(L-グルタミンなしで、グルコース、ピルビン酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムを含有する)(StemCell Technologies、Vancouver,British Columbia,Canada、カタログ番号03899-DI)。
【0169】
トランスフェクション試薬:Fugene-HDトランスフェクション試薬(Promega、Madison WI、カタログ番号E2311);Lipofectamine 3000トランスフェクション試薬(Thermo-fisherカタログ番号L3000008);デオキシヌクレオチド(Millipore-Sigma、St.Louis,MO、カタログ番号D7295-2ML)。
【0170】
チューブ:15mLコニカルチューブ(Corning、カタログ番号430053);1.5mLスクリューキャップチューブ(Sarstedt AG & Co.、KG,Germany、カタログ番号72.692.005)。
【0171】
精製キット及びアッセイ試薬:Plasmid Spin Miniprepキット(Qiagen、Hilden,Germany、カタログ番号27106);CHROMA SPIN(商標)+TE-1000カラム(Takara Bio USA、Mountainview CA、カタログ番号636079);Dual-Glo Luciferase Assay System(Promega、Madison WI、カタログ番号E2940);銀染色キット(Thermo-fisherカタログ番号24600);Phase-makerチューブを伴うTrizol Plus RNA精製キット(Thermo-fisherカタログ番号A33254);DNA-Free Kit(Thermo-fisherカタログ番号AM1906);Nucleospin Gel and PCR Cleanup Kit(Takara Bio USA、カタログ番号740609.5)。
【0172】
酵素:Spe I-HF(New England Biolabs,Ipswich,MA、カタログ番号(R3133S);ウシ膵臓由来のDNAse IグレードII(Sigma-Aldrich、カタログ番号10104159001);NEXT Ultra II Q5 Master Mix(New England Biolabs、カタログ番号M05445S)。
【0173】
緩衝液及び化学物質:CutSmart(登録商標)緩衝液(1×緩衝液構成成分:50mMの酢酸カリウム、20mMのトリス-酢酸塩、10mMの酢酸マグネシウム、100μg/mLのBSA、pH7.9、25℃で)(New England Biolabs、カタログ番号B7204S);Benzonase Nuclease(Sigma-Aldrich、カタログ番号E1014-25K);1.5mMのMgCl2を含有する10×GeneAmp PCR Buffer I(Thermo-fisherカタログ番号N8080006);デオキシコール酸ナトリウム(Sigma-Aldrich、カタログ番号D6750-25g);1M TRIS-HCL PH8.5(Thermo-fisher、カタログ番号T1085);10×GeneAmp PCR Buffer I(Thermo-Fisherカタログ番号N8080006)[100mMのトリス-HCl、pH8.3(25℃で);500mMのKCl;15mMのMgCl2;オートクレーブ処理、脱イオン化、限外濾過された水中の0.01%ゼラチン];10% Pluronic F-68(Thermo-Fisherカタログ番号24040-032);剪断サケ精子DNA(10mg/mL)(Thermo-Fisherカタログ番号AM9680);ウイルス希釈緩衝液(Virus Dilution Buffer、VDB)[1×GeneAmp PCR Buffer I、2μg/mLの剪断サケ精子DNA、及び0.05% Pluronic F-68);β-メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich、カタログ番号M3148);アデノウイルス製剤緩衝液(10mMのトリス(pH7.4)、1mMのMgCl2、75mMのNaCl、5%スクロース、0.02%ポリソルベート80、0.1mMのEDTA、10mMのヒスチジン、0.5% EtOH);2-アミノプリン、DMEM+2% FBS中で100mMに溶解した硝酸塩(Sigma-Aldrich、カタログ番号A2380)。
【0174】
RT-PCR試薬:SuperScript III First-Strand Synthesis System(Thermo-fisherカタログ番号188080-051);Q5 Hot Start High-Fidelity 2×Master Mix(New England Biolabs、カタログ番号M0494S);臭化エチジウムを伴う1% TAE Mini ReadyAgarose Gel(Bio-RAD、カタログ番号1613016);Dark Reader Blue Light Transilluminator(Clare Chemicals、Dolores,CO、カタログ番号DR46B)
【0175】
デジタル液滴PCR:2×SuperMix for Probes(Bio-Radカタログ番号186-3026);DG32 AutoDG Cartridges(Bio-Radカタログ番号1864108);Auto Droplet Generator Oil in PBS(Bio-Radカタログ番号1864110);液滴リーダオイル(Bio-Radカタログ番号1863004);Eppendorf twin.tec 96-Well PCR Plates(カタログ番号951020346);Automated Droplet Generator(Bio-Radカタログ番号186-4101);QX200 Droplet Reader(Bio-Radカタログ番号186-4003);C1000Touch Thermal Cycler with Deep Well Reaction Module(Bio-Radカタログ番号185-1197)。
【0176】
PrimeTime qPCRアッセイ:これらのアッセイの20倍ストックは、順方向及び逆方向PCRプライマー(18μM)と、蛍光消光剤ZEN及びBlack Hole Quencher 1(3IABkFQ)並びにFAM又はHEXのいずれかの蛍光レポータ色素を含有する5’ヌクレアーゼプローブ(5μM)とからなる。アッセイは、Integrated DNA Technologies,Inc.、Coralville IAによって合成された。qPCRアッセイのためのプライマー及びプローブ配列は、以下のとおりである。
mCherry:プライマー1(配列番号36、5’-CTGTTCCACGATGGTGTAGTC-3’);プライマー2(配列番号37、5’-TGAGGTCAAGACCACCTACA-3’);プローブ(配列番号38、5’-FAM-TTGGACATC-ZEN-ACCTCCCACAACGAG-3IABkFQ-3’);
アデノウイルスエクソン2(Ad5E2):プライマー1(配列番号39、5’-GGGTGATGCAGTAGAAGGTAAG-3’);プライマー2(配列番号40、5’-ATGAAGTTCGGCGGAGATG-3’);プローブ(配列番号41、5’-HEX-TC TTGTTCC-Zen-CAGCGGTCCCATC-3IABkFQ-3’);
P5(AAVのP5プロモータ領域):プライマー1(配列番号42、5’-GTGGTCACGCTGGGTATTTA-3’);プライマー2(配列番号43、5’-GGGACCTTAATCACAATCTCGT-3’);プローブ(配列番号44、5’-FAM-TTTGAAGCG-ZEN-GGAGGTTTGAACGC-31ABkFQ-3’);
AAV REP遺伝子:プライマー1(配列番号45、5’-GTCCGTGAGTGAAGCAGATATT-3’);プライマー2(配列番号46、5’-TTCGATCAACTACGCAGACAG-3’);プローブ(配列番号47、5’-FAM-TCTGATGCT-ZEN-GTTTCCCTGCAGACA-3IABkFQ-3’);
AAV9 CAP遺伝子:プライマー1(配列番号48、5’-CCGGGTCCAAGGTATTTGTAA-3’);プライマー2(配列番号49、5’-CTCAACCCAAGGCAAATCAAC-3’);プローブ(配列番号50、5’-FAM-ACATCAAGA-ZEN-CAACGCTCGAGGTCT-3IABkFQ-3’);及び
ベータラクタマーゼ(アンピシリン耐性)遺伝子:プライマー1(配列番号51、5’-CCAGAAACGCTGGTGAAAGTA-3’);プライマー2(配列番号52、5’-CTCAAGGATCTTACCGCTGTTG-3’);プローブ(配列番号53、5’-FAM-TGCACGAGT-ZEN-GGGTTACATCGAACT-3IABkFQ-3’)。
【0177】
PAGE電気泳動:4×NuPAGE LDS試料緩衝液(Thermo-Fisher、カタログ番号NP0007);1×MOPS泳動緩衝液中の4~12%ビス-トリスPAGEゲル(Thermo-Fisher、カタログ番号NP0322PK2);20×NuPAGE MOPS SDS Running Buffer(Thermo-Fisher、カタログ番号NP0001)。
【0178】
AAV精製緩衝液及び供給品:0.2μmのPES膜フィルター(Thermo-Fisherカタログ番号567-0020);POROS CaptureSelect AAVX樹脂で予め充填された0.5×5cm POROS GoPureクロマトグラフィカラム(Thermo-fisherカタログ番号A36652);Amicon 15 100kDa MWCO Filter(Millipore-Sigmaカタログ番号UFC910024);CIM QA Disk 0.34mL容積(BIA Separations、Slovenia);緩衝液A(20mMのトリス、pH7.5、400mMのNaCl);緩衝液B(25mMのトリス、pH7.5、40mMのNaCl、及び1.5mMのMgCl2);緩衝液C(20mMのクエン酸ナトリウム、pH2.5、400mMのNaCl);緩衝液D(100mMのクエン酸ナトリウム、10mMのトリス、pH8.0);緩衝液E(20mMのBTP、pH10.0、0.001% Pluronic F68、10mMのNaCl);緩衝液F(20mMのビス-トリスプロパンpH10.0、0.001% Pluronic F68、400mMのNaCl);ビス-トリスプロパン(Bis-TRIS Propane、BTP)(Millipore Sigmaカタログ番号B4679)。
【0179】
他の機器:AKTA Explorer FPLCシステム(GE Healthcare Life Sciences、Marlborough,MA);AKTA Purifierシステム(GE Healthcare Life Sciences);EnvisionマルチラベルリーダModel 2104(PerkinElmer、Waltham,MA)。
【0180】
SR21リコンビナーゼの同定及び組換え発現
クエリとして、SPBeta c2インテグラーゼタンパク質(クエリ、配列番号1)を有するNCBIでの非冗長タンパク質データベースのBLAST検索を使用して、推定セリンリコンビナーゼ(Sbjct、配列番号2)を、タンパク質レベルで64%の配列同一性を有するBacillus safensis株CCMA-560のゲノムにおいて同定した(図1)。推定セリンリコンビナーゼ又はインテグラーゼは、推定プロファージ挿入の一部である。このリコンビナーゼをSR21(セリンリコンビナーゼ21)と命名した。SR21をコードするDNA配列を配列番号3に示す。
【0181】
プロファージ挿入を含有しないCCMA-560に密接に関連する細菌株(「Fairview」株)は、クエリ(配列番号58)として、リコンビナーゼコード領域の3’末端及びそれ以降からのCCMA-560 DNA配列を使用したNCBIでの配列データベースのBLAST検索によって同定された(図2)。CCMA-560における推定プロファージ挿入部位の上流及び下流配列に対応するFairview株のDNA配列は、本明細書では「挿入前配列」と称され、配列番号4に示される。この配列(配列番号4)を、CCMA-560株のゲノム配列をBLASTするためのクエリとして使用することによって、94kb上流に他のプロファージ-宿主DNA接合部が同定された。Bacillus safensis株CCMA-560の右及び左プロプロファージ-宿主DNA接合部の配列は、それぞれ、配列番号5及び配列番号6に示される。
【0182】
中央同一領域(「ACTGACAAAGCGGT」)の上流の配列(配列番号54)を交換し、中央ジヌクレオチド及び二回転対称を最大化したatt部位境界:attP(配列番号7);attB-CCMA-560(配列番号8)を選ぶことによって、SR21リコンビナーゼattP及びattB配列を、それぞれ、宿主DNA接合部(配列番号5)及び(配列番号6)から再構成した。Bacillus safensisのFairview株の宿主DNA接合部(配列番号4)に由来するattB配列(配列番号9)は、株CCMA-560(配列番号8)からの再構成されたattB配列に対して2つのミスマッチを含有する。図3は、これら2つの交互のattB配列とのattPのアラインメントを示し、二回転対称の位置を強調する。
【0183】
哺乳動物細胞におけるリコンビナーゼ活性の測定
CMVプロモータ、続いてSV40ポリアデニル化シグナルの制御下で、哺乳動物細胞内でSR21リコンビナーゼを発現させるために、ベクター(P175)(配列番号10)を遺伝子合成(GENEWIZ、Plainfield,NJ)によって構築した。SR21リコンビナーゼオープンリーディングフレームは、細菌翻訳開始コドン「TTG」が「ATG」によって置き換えられ、3つの点変異が制限エンドヌクレアーゼ認識部位を破壊するために導入されたことを除いて、配列番号3と同じである。オープンリーディングフレームにおけるこれらの変化は、コードされたSR21リコンビナーゼアミノ酸配列におけるいかなる変化ももたらさない。
【0184】
リコンビナーゼレポータプラスミド(P41)もまた、遺伝子合成(GENEWIZ、Plainfield,NJ)によって構築した(配列番号11;図4)。それは、EF1αプロモータによって駆動される、構成的に発現された緑色蛍光タンパク質(GFP)-自己切断F2A-レニラルシフェラーゼ(Renilla luciferase、rLUC)融合タンパク質をコードする。それはまた、CMVプロモータに対してアンチセンス配向のSR21 attP(配列番号7)及びattB(配列番号9)シグナルが隣接する、リコンビナーゼ活性化-mCherry-自己切断P2A-ホタルルシフェラーゼ(firefly luciferase、fLUC)レポータ遺伝子をコードする。SR21リコンビナーゼがattP及びattBシグナルを組み換えると、コード領域は、センス配向に反転し、mCherry-P2A-fLUCタンパク質が発現される(図4を参照されたい)。
【0185】
ヒト細胞内のSR21リコンビナーゼ活性を測定するために、75,000個のHEK293細胞を、100μLの高グルコースDMEM+10%ウシ胎児血清中の96ウェル組織培養プレートの各ウェルに播種した。リコンビナーゼレポータプラスミド(P041)±SR21リコンビナーゼ発現プラスミド(P175)+デオキシヌクレオチド(DNA量を正規化するため)を、表1に示すように、OptiMEM培地中のFugene-HDトランスフェクション試薬と、室温で15分間複合体化し、播種された細胞の3連ウェルにトランスフェクトした。プレートを37℃で48時間インキュベートした。
【0186】
【表1】
【0187】
ホタルルシフェラーゼ(fLUC)及びレニラルシフェラーゼ(rLUC)を、Promega製のDual Gloアッセイキットを使用して、トランスフェクトされたウェルにおいて順次アッセイした。培地を組織培養プレートのトランスフェクトされたウェルから除去し、100μLのDMEM培地(フェノールレッドなし)及びDual Gloルシフェラーゼ+fLUC基質の1:1の混合物を添加した。プレートを室温で10分間インキュベートした。溶解物を乳白色96ウェルプレートに移した。fLUC活性を、Envisionマルチラベルリーダを使用して測定した。次に、1ウェル当たり50μLのStop-and-Glo緩衝液+レニラ基質を添加し、プレートを穏やかに振盪しながら10分間インキュベートした。レニラルシフェラーゼシグナルを、同じEnvisionリーダで読み取った。
【0188】
結果:リコンビナーゼレポータは、リコンビナーゼ発現プラスミドと同時トランスフェクトされた場合に、代わりにデオキシヌクレオチドで同時トランスフェクトされた場合よりも1535倍多いホタルルシフェラーゼを産生した(表2)。この差は、レニラルシフェラーゼ(rLUC)活性が、レポータ単独のトランスフェクションにおいて5倍高かったため、異なるトランスフェクション効率によって説明されない。このデータは、SR21リコンビナーゼがヒト細胞において非常に活性であり、この結果が3つの独立した実験を表すことを実証している。
【0189】
【表2】
【0190】
REP/CAP+導入遺伝子プラスミドの構築
AAV複製(REP)及びキャプシド(CAP)遺伝子が、細胞に安定して組み込まれ得、後に高密度培養物中でAAVを産生するために誘導され得る場合、哺乳動物細胞内のAAVの大規模産生が可能であり得る。しかしながら、REPタンパク質の発現は、毒性であり得、HEK293細胞などのアデノウイルスE1遺伝子を発現するものなどのREP遺伝子が発現される宿主において、安定した細胞株を開発することを困難にする。野生型AAVは、2つのプロモータ及び交互スプライシングの使用から生じる、重複するリーディングフレームで4つのREPタンパク質をコードする。したがって、REP発現を制御するための誘導性プロモータの使用は、容易ではない。以前の研究は、人工イントロン内のREPコード領域に挿入された「停止カセット」が、安定した細胞株がHEK293細胞内で生成されることを可能にしたことを実証した(Qiao et al.(2002)J.Virol.76:13015、Yuan et al.(2011)Hum Gene Therap.22:613-624)。アデノウイルス感染によって送達されたCreリコンビナーゼを使用した停止カセットの切除は、REP発現を回復し、ITRが隣接する導入遺伝子のAAV複製を開始した。この例では、ITRが隣接する導入遺伝子を含有したプラスミド中のREP/CAP発現カセットとの関連で、リコンビナーゼ活性化REP遺伝子の改善されたバージョンが構成された。
【0191】
AAV2 REP遺伝子(ヒトAAV2のbp190~2202、NC_001401.2)、続いてAAV9 CAPオープンリーディングフレーム(AY530579.1)、AAV2ポリアデニル化シグナル(bp4411~4466、NC_001401.2)、及びAAV2 REP P5プロモータの第2のコピー(bp190~313、NC_001401.2)を使用して、AAV REP/CAP9発現カセット(配列番号13)を構築した。
【0192】
スプライス部位予測ソフトウェア(www.cbs.dtu.dk/services/NetGene2/のNetGene2;Brunak,S.,Engelbrecht,J.,and Knudsen,S.:Prediction of Human mRNA Donor and Acceptor Sites from the DNA Sequence,Journal of Molecular Biology,1991,220,49-65)を使用して、ヒトβ-アクチン遺伝子からのイントロンをREPコード領域に挿入するための好適な位置を選んだ。4つ全てのREP転写物に共通する領域において、AAV2(NC_001401.2)のヌクレオチド番号1052の下流にイントロンを挿入した。イントロン及び挿入位置の両方が、Qiao et al.(2002)J.Virol.76:13015)によって使用されたものとは異なる。その後、このβ-アクチンイントロンの上流半分と下流半分と(それぞれ、配列番号14と15)の間に、停止カセット(以下)を挿入した。
【0193】
停止カセット
転写停止カセット(配列番号16)は、以下の要素から構成された。
・SR21 attP(配列番号7)
・強いスプライスアクセプタ(配列番号17)(NC_000086.7、マウスHPRT遺伝子からのヌクレオチド53001998~53002138、及びヒトアグーチシグナル伝達タンパク質からの29nt領域(NC_000020.11、ヌクレオチド34262765~34262793)。これは、停止カセットが一次mRNA転写物からスプライシングで切り出されることを防止するために含まれた。
・ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット(配列番号18)は、哺乳動物プロモータ(マウスホスホグリセリン酸キナーゼ1)及び細菌(Lac zya)プロモータ、続いてSV40からのポリアデニル化シグナルによって駆動された。この遺伝子は、哺乳動物細胞及び細菌細胞において、それぞれ、ネオマイシン及びカナマイシンに対する耐性を付与する。
・効率的な転写終結に重要である自己切断RNAモチーフをコードするポリアデニル化シグナルの下流のヒトβ-グロビン遺伝子からの配列(Teixeira et al.(2004)Nature 432:526-30;配列番号19)。
・SR21 attB(配列番号8)。
【0194】
AAV導入遺伝子
AAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する導入遺伝子を、AAV REP/CAP領域の下流のP439ベクター(配列番号12)にコードした。130bp ITR(配列番号20)は、3’AAV2 ITR(ヌクレオチド4535~4664、NC_001401.2)に由来し、HPRT-E2A-mCherry導入遺伝子の上流及び導入遺伝子の逆方向3’に挿入した。
【0195】
導入遺伝子は、ヒトEF1-アルファプロモータ(エクソン1、イントロン1、及びエクソン2の一部を含む)(配列番号21)、mCherry-自己スプライシングE2Aリンカー-ヒトHPRT融合遺伝子をコードする配列(配列番号22)、及び単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子からのポリアデニル化シグナル(配列番号23)からなった。
【0196】
インシュレータ
REP/CAP及びITR-導入遺伝子要素には、遺伝子発現のクロマチン関連抑制を遮断するゲノム要素(Kwaks et al.(2003)Nature Biotechnology 21:554-558、Kwaks et al.(2003)Nature Biotechnology 21:822):ヒト抗リプレッサ要素40(AY190756.1、配列番号24)及びマウス抗リプレッサ要素40(配列番号25)が隣接した。
【0197】
プラスミド骨格
プラスミド骨格は、以下の要素を含有する。
・ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子プロモータ(配列番号26)、ピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼコード領域(配列番号27)、及びウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化シグナル(配列番号28)から構築された、哺乳動物ピューロマイシン耐性遺伝子カセット。
・エプスタインバーウイルス(Epstein Barr Virus、EBV)OriP複製起点断片(配列番号29)(これは、EBVの「二回転対称」領域及び「反復配列のファミリー」領域の複合体を表す)。
・プラスミド複製起点及びアンピシリン耐性遺伝子をコードするpUC57ベクター配列(配列番号30)。
【0198】
完全プラスミドP439の配列は、配列番号12に示される。
【0199】
SR21リコンビナーゼによる停止カセット除去の試験効率
停止カセットがヒト細胞内でSR21リコンビナーゼによって正確に除去され得るかどうかを試験するために、ベクターP439(配列番号12)及びSR21リコンビナーゼ発現ベクターP175(配列番号10)を、Lipofectamine 3000を使用して、製造業者の指示に従ってPEAK-Rapid細胞に同時トランスフェクトし、5% CO2中37℃において3日間、DMEM及び10% FBSを含有する培地中で培養した。培地を除去し、細胞をD-PBSで1回洗浄し、次いで、37℃で5分間TrypLEとインキュベートした。細胞を滅菌マイクロフュージチューブに移し、遠心分離によってペレット化し、1mLのD-PBSで1回洗浄し、再びペレット化した。細菌からプラスミドを単離するために設計されたQiagen Spin Miniprepキットを使用したアルカリ溶解によって、エピソームプラスミドを回収した。
【0200】
組み換えられていないプラスミドDNAを破壊するために、回収されたDNAのアリコートを、1×CutSmart Buffer中の酵素Spe I-HFで、37℃において1時間及び80℃において20分消化した。回収されたDNAを、以下のサイクル条件を用いて、NEXT Ultra II Q5 Master Mixを使用して、プライマーP349F3(配列番号32)及びP349R9(配列番号33)を用いたPCR増幅に供した:98℃1分;35x(98℃10秒、72℃10秒);5分72℃。1%アガロースゲル上の電気泳動に供したときに、予測サイズの単一PCR生成物が観察された。CHROMA SPIN(商標)TE-1000カラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィによって、PCR生成物を精製した。PCR生成物を、PCRに使用した同じプライマー(GeneWiz)を使用して配列決定した。得られた配列(配列番号34)は、停止カセットが、attP(配列番号7)及びattB(配列番号8)配列を組み換え、attL組換え配列(配列番号35)を産生することによって、SR21リコンビナーゼによってプラスミドP439から正確に除去されたことを実証した。
【0201】
SR21リコンビナーゼを発現する組換えアデノウイルス血清型5の構築
組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスを、E3領域を欠く修飾コスミド(pWE/Ad5.AflII-rITRsp.ΔE3、米国特許出願公開第6340595(B1)号)が使用されたことを除いて、E1欠失ベクターの産生について以前に記載されているように(Havenga et a.(2001)J.Virol 75:3335-3342)、PER.C6細胞における相同組換え手順(Fallaux et al.(1998)Hum Gene Ther.9:1909-1917)によって、Batavia Biosciences(Leiden,the Netherlands)で生成した。このコスミド、並びに1~454のAd5配列(左ITR及びパッケージングシグナル)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータを含有する導入遺伝子発現のためのカセット(nt-672~+15)、SR21リコンビナーゼコード領域、シミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化シグナル(NC_001669.1、nt2550~2774)、及びnt3511~6095)の範囲の第2のAd5配列を含有する、プラスミドP321(配列番号31)との、PER.C6細胞の共発現。PER.C6細胞内のP321 Ad5配列(nt3511~6095)とコスミドpWE/Ad5.AflII-rITRsp.ΔE3との間の相同組換えは、組換えアデノウイルスを産生する。精製ウイルスストックを、2段階CsCl勾配バンド手順によって得て、単離されたウイルスストックを、アデノウイルス製剤緩衝液(10mMのトリス(pH7.4)、1mMのMgCl、75mMのNaCl、5%スクロース、0.02%ポリソルベート80、0.1mMのEDTA、10mMのヒスチジン、0.5% EtOH)に透析した。
【0202】
安定した細胞株の生成
プラスミドP439(配列番号12)を、Lipofectamine 3000を使用して、製造業者の指示に従って、付着PEAK-RAPID細胞にトランスフェクトし、37℃において、DMEM+10% FBS+0.05mg/mLのGeneticin中のT25フラスコで培養した。24時間後、細胞をTrypLEで処理し、DMEM+10% FBS+0.05mg/mLのGeneticin+0.5μg/mLのピューロマイシンを含むT75フラスコに移した。細胞を、同じ培地に2週間連続で毎週1:10に分割した。トランスフェクションの3週間後に、細胞を、DMEM+10% FBS+0.05mg/mLのGeneticin+5.0μg/mLのピューロマイシンを含む培地に、3週間毎週1:10に分割した。
【0203】
DMEM+30% FBS+1×GlutaMax+5μg/mLのピューロマイシン+0.05mg/mLのGeneticin中の1% ClonaCellメチルセルロースに、細胞を希釈し、非組織培養処理6ウェルプレートに播種し、37℃で3週間培養することによって、単細胞クローンを産生した。ピペッターを使用して、クローンをメチルセルロースプレートから、DMEM+10% FBS+0.05mg/mLのGeneticin+5.0μg/mLのピューロマイシンを含む96ウェルTC処理プレートに移した。クローンを、標準的な方法によって同じ培地で増殖した。
【0204】
クローンのスクリーニング
AAV産生についてクローンをスクリーニングするために、細胞を、100μLのDMEM+10% FBS中の96ウェルプレートに2連で播種し、37℃で一晩インキュベートした。SR21アデノウイルスを無血清DMEM中で1mL当たり1E8ウイルスゲノムに希釈した。播種された細胞からの培地を100μLの希釈アデノウイルスで置き換え、プレートを37℃で4日間インキュベートした。10μLの以下の混合物を添加することによって細胞を溶解した:PBS+10単位の5%Benzonase中の5%デオキシコール酸塩。プレートを37℃で2時間インキュベートした。プレートを3000rpmで5分間遠心分離して、細胞破片をペレット化し、上清中のAAVウイルスをデジタル液滴PCR(digital droplet PCR、ddPCR)によって定量化した。
【0205】
デジタル液滴PCR(ddPCR)
ddPCR定量化は、Lock et al.(2014)Human Gene Therapy methods 23:115-125によって記載される方法に基づいた。2μLの溶解物を、37℃で1時間、サーマルサイクラ内の96ウェルプレートで、1×PCR緩衝液+20mMのトリスpH8.5+8単位のDNAse Iを含有する20μLの反応物中でDNAse消化した。2μLのDNAse消化試料を98μLのウイルス希釈緩衝液(VDB)で希釈し、2μLのこの希釈物を、1×PCR SuperMix+1×PCRプライマー/mCherry導入遺伝子のためのプローブ(材料セクションを参照されたい)を含有するddPCR反応物に添加した。ddPCR液滴を、Bio-Rad自動化液滴メーカーを使用して形成した。PCRサイクルは、以下のとおりであった:95℃10分;42x(94℃30秒、60℃1分、72℃15秒、3つ全てが1秒当たり2℃のサイクル時間);98℃10分;4℃保持。FAM蛍光を、Bio-Rad液滴リーダで、製造業者の指示に従って検出した。FAM-蛍光陽性液滴として検出されるような最高のDNAse耐性粒子を産生したクローンを、増殖及び更なるスクリーニングに供した。
【0206】
クローンのスクリーニング-第2のアッセイ
スクリーニングされるクローンの1.25E6細胞を、3mLのDMEM+10% FBS中の6ウェルプレートの単一ウェルに播種し、37℃で2日間インキュベートした。成長培地を、5E8 Ad5-SR21ウイルス粒子を含有する3mLのDMEM+10% FBSで置き換えた。プレートを37℃に戻して3日間インキュベートした。細胞及び培地を15mLチューブに移し、3回の凍結融解サイクル(ドライアイス/37℃インキュベーション)に供し、続いて3000rpmで5分間遠心分離して、細胞破片をペレット化した。2μLの各試料を、上記のmCherryアッセイを用いたDNAse消化及びddPCR定量化に供した。P439C4細胞は、Ad5-SR21ウイルスによる感染時にほとんどのAAVを産生し、更なる特性評価のために選択された(表3)。
【0207】
【表3】
【0208】
時間経過実験
2つの異なる成長温度での培養培地中のAAV産生及び分泌の動態を決定するために、新たな実験を行った。2mLの非酵素的解離溶液を、T150フラスコ中のP439-C4細胞のPBS洗浄単層に添加し、フラスコを37℃で5分間インキュベートした。フラスコを8mLのDMEM+10% FBSで洗浄し、細胞を50mLの遠心チューブに移した。細胞を1500rpmで5分間遠心分離し、ペレットをDMEM+2% FBS中に再懸濁した。細胞を同じ培地で1mL当たり1.25E6細胞に希釈した。4mLの細胞を4つの6ウェルプレートの各ウェルに播種した。DMEM+2% FBS中の1mL(2E8vp)のAd5-CMV-SR21アデノウイルスをウェルに添加した。2つのプレートを37℃でインキュベートし、2つのプレートを5% CO2で32℃においてインキュベートした。8日間の各日、細胞スクレーパを使用して、細胞及び培地を回収して、付着細胞を取り除き、試料を15mLのコニカルチューブに移した。チューブを3000rpmで5分間回転させ、アリコートを1.5mLのスクリューキャップチューブに移し、ddPCRアッセイまで-20℃で凍結させた。
【0209】
試料を、上記のように2連でDNAse処理し、各DNAse処理試料に対してVDBで3つの段階希釈を行った。試料を、1×PCR Master Mix+1×mCherry-FAMアッセイ+1×Ad5E2-HEXアッセイ(材料セクションを参照されたい)を含有するddPCR反応物中で定量化した。ddPCRを上記のように実施した。
【0210】
結果:
細胞培養培地中のアデノウイルス及びAAVは、8日間の時間経過にわたって増加した(表4)。アデノウイルス複製は、32℃でより遅くなり、おそらく遅延アデノウイルス細胞変性効果の結果として、より高いAAV産生をもたらした。32℃でのAAV産生は、細胞当たり14,000ゲノムコピーを超えた。
【0211】
【表4】
【0212】
Hyperflask培養物
8.3E07 P439C4細胞を、550mLのDMEM+10% FBS+0.5μg/mLのピューロマイシン、+50.0μg/mLのG418中の2つのHyperflask M容器に播種し、37℃で3日間インキュベートした。3日間の成長後の密度は、フラスコ当たり3.6E8細胞であると推定された。550mLのDMEM+10% FBS中にウイルスを希釈し、ハイパーフラスコ中の培地を希釈ウイルスで置き換えることによって、フラスコを40 MOI(1.4E10 vp)又は20 MOI(7.2E09 vp)に感染させた。細胞を5% CO2において32℃で7日間インキュベートした。上清を7日後に感染から採取し、0.2μmのPES膜フィルターを通過させることによって浄化した。
【0213】
AAVX精製
AKTA Explorer FPLCシステムに取り付けられた、1mLの総容積までPOROS CaptureSelect AAVX樹脂で予め充填された、0.5×5cm POROS GoPureクロマトグラフィカラムを、3mL/分の流速で10カラム容積(column volume、CV)緩衝液A(20mMのトリス、pH7.5、400mMのNaCl)を用いて平衡化した。ウイルス懸濁液を4.5mL/分の流速で充填し、続いて10mLの緩衝液Aを充填して、非結合試料を洗い流した。5mLの低塩ベンゾナーゼ緩衝液、緩衝液B(25mMのトリス、pH7.5、40mのMNaCl、及び1.5mMのMgCl2)でカラムを平衡化し、次いで、250単位/mLのBenzonaseを含有する15mLの緩衝液Bでカラムを充填することによって、オンカラムDNA消化を実施した。次いで、カラムを室温で30分間インキュベートし、続いて、緩衝液Aで15CVを洗浄した。ウイルスを15CV緩衝液A(20mMのクエン酸ナトリウム、pH2.5、400mMのNaCl)を用いて0.5mL画分で溶出し、25μLの500mMビス-トリスプロパン、pH10.0で直ちに中和した。単一ピーク溶出が観察された。曲線下の全ての画分をプールし、3ラウンドの緩衝液添加/遠心分離を使用して、Amicon 15 100kDa MWCO(カタログ番号UFC910024、Fisher)を使用して、濃縮し、緩衝液D(100mMのクエン酸ナトリウム、10mMのトリス、pH8.0)に緩衝液交換した。緩衝液交換及び濃縮された親和性クロマトグラフィ生成物を、アニオン交換クロマトグラフィに供して、空のキャプシドからAAVを更に精製した。
【0214】
陰イオン交換クロマトグラフィ
親和性クロマトグラフィ生成物(ウイルス懸濁液)を、緩衝液E(20mMのBTP、pH10.0、0.001% Pluronic F68、10mMのNaCl)中で45mLに希釈し、AKTA Purifierシステム(GE Healthcare Life Sciences)で2mL/分の流速において、CIM QA Disk(BIA分離、0.34mL容量)に充填した。カラムを、10CVの滅菌濾過緩衝液E(20mMのBTP、pH10.0、0.001% Pluronic F68、10mMのNaCl)で洗浄した。ウイルスを、100%緩衝液Eから100%緩衝液F(20mMのビス-トリスプロパン、pH10.0、0.001% Pluronic F68、400mMのNaCl)の60CV勾配で溶出し、0.5mLの画分を採取した。曲線下の全ての画分をプールし、2000×gで5分間の遠心分離によって、Amicon 15 100kDa MWCO(カタログ番号UFC910024、Fisher)を使用して濃縮し、緩衝液D(100mMのクエン酸ナトリウム、10mMのトリス、pH8.0)に緩衝液交換した。
【0215】
タンパク質の可視化
2μLの濃縮溶出液を、5% β-メルカプトエタノールで補充したNuPage LDS試料緩衝液(4×)中で熱変性させ(10分間95℃)、1×MOPS泳動緩衝液中の4~12%ビス-トリスPAGEゲル上で電気泳動させた。ゲルを、製造業者の指示に従って銀染色に供した。
【0216】
ddPCR
ウイルス濃度を、上記のmCherryアッセイを使用したデジタル液滴PCRによって測定した。
【0217】
結果
Hyperflask容器内のP439C4細胞の感染及び成長は、20及び40 MOIに感染したときに、それぞれ、1.9E13及び7.0E13ゲノムコピー(genome copy、GC)を産生した。これは、20及び40 MOI感染について、それぞれ、細胞当たり5.2E4及び1.9E5GCに対応する。ウイルス試料の純度を、PAGE電気泳動及び銀染色を通して調べた。3つのAAV9キャプシドアイソフォーム(VP1、VP2、及びVP3)について予想されるサイズに対応する3つのバンドのみが目に見えた(図5)。キャプシドタンパク質(VP1(87kDa)、VP2(72kDa)、及びVP3(62kDa)は、他の組換えAAVベクターについて以前に報告されているように、約1:1:10の予想される化学量論で存在する(Daya and Berns(2008)Clin Microbiol Rev.21:583-593)。
【0218】
ミスパッケージングされたDNAのレベルの測定
産生中に使用される、AAV REP又はCAP遺伝子をコードする配列及びプラスミドベクターに由来する原核生物配列は、AAV粒子に非特異的にパッケージングされ、遺伝子療法に使用される場合に潜在的な安全性リスクを示す可能性がある(例えば、Schnodt and Buning,Hum Gene Ther Methods.,2017;28(3):101-108を参照されたい)。リスクは、相同組換えを介した複製可能なAAVの生成を含み、キャプシド遺伝子発現は、細胞傷害性Tリンパ球反応、炎症反応及び/又は遺伝子サイレンシングをもたらす原核生物配列の免疫系認識を引き起こす。それぞれ、2%、0.4%~1.0%、及び1.3%~6.3%のキャプシド形成されたrep、cap、及び原核生物配列が、三重トランスフェクションによって、又は産生細胞株から産生された精製組換えAAV調製物で報告されている(Nony et al.(2003)J.Virology 77:776-781、Gao et al.(2008)Molecular Therapy 16:S105、Chaudeuf et al.(2005)Molecular therapy 12:744-753)。
【0219】
上記の産生系と関連するミスパッケージングのレベルを決定するために、トランスフェクトされたベクターにおける(ITRが隣接する導入遺伝子の外側の)4つの配列の存在量をddPCRによって決定した:a)P5プロモータ、b)AAV REP遺伝子、c)AAV9 CAP遺伝子、及びd)ベータ-ラクタマーゼ(アンピシリン耐性)遺伝子。前述の20及び40 MOIハイパーフラスコ培養物からの精製ウイルス調製物を、3連でDNAse消化し、VDB中で段階希釈し、ddPCRに供した。これらの配列を含有するウイルス粒子の濃度を、mCherry導入遺伝子を含有するAAV粒子のパーセンテージとして表した(表5)。0.04%の最高のキャプシド形成率は、ウイルスA調製物中のP5プロモータのものであった(感染している組換えアデノウイルスの20 MOIで産生された)。しかしながら、AAV収率がはるかに高かった調製物B(40 MOI)におけるP5キャプシド形成率は、わずか0.007%であった。REP、CAP、及びアンピシリン遺伝子配列は、同じ又はそれ未満であった。CAPレベルは0.007%~0.009%であり、これは、血友病B遺伝子療法試験のために産生された組換えAAV2の4つの臨床ロットについて以前に報告された、0.016%~0.021%のcapキャプシド形成率よりも低かった(Hauck et al.(2009)Molecular Therapy 17:144-152)。したがって、組換えAAVを産生及び精製するための本明細書に記載の方法は、臨床遺伝子治療プログラムに必要とされ得るものと一致して、非常に低い割合のミスパッケージングされたDNAをもたらす。
【0220】
【表5】
【0221】
mCherry導入遺伝子含有粒子と比較した、4つのプローブについてのDNAse耐性粒子の平均パーセンテージ±標準偏差を、2つのAAVベクター調製物の分析に関して示す。
【0222】
停止カセット切除後のREP遺伝子のRNAシスティングのRT-PCR分析
停止カセットが切除されたときに、構築物P439のREP遺伝子に挿入されたイントロンが正確にスプライシングされるかどうかを決定するために、RT-PCR実験を行った。
【0223】
PEAK-RAPID細胞内のP439の安定したプールからの1000万個の細胞を遠心分離によってペレット化し、15mLのDMEM+2% FBS+1E9 Ad5-CMV-SR21ウイルス粒子中に再懸濁した。細胞をT75フラスコに播種し、37℃で48時間インキュベートした。細胞を、細胞スクレーパを使用して分離した。培地及び細胞を15mLの遠心チューブに移し、1500rpmで10分間遠心分離して、細胞をペレット化した。Phase-makerチューブを伴うTrizol Plus RNA精製キットを使用して、細胞ペレットからRNAを精製した。
【0224】
いかなる汚染DNAも除去するために、31μgのRNAを、1×消化緩衝液中のDNA-Freeキットからの1μLのDNAseで、37℃において30分間処理した。5μLのDNAse不活性化スラリーを添加し、試料を2分間のインキュベーション中に数回反転させた。RNA試料を10,000×gで5分間遠心分離し、RNAを新しい滅菌チューブに移した。
【0225】
RNAを、SuperScript III First Strand Synthesis Systemで逆転写した。80μgのRNA、1μLの50μMオリゴ-DT、及び1μLの10mM dNTPSを滅菌チューブ内で混合し、65℃で5分間及び氷上で2分間インキュベートした。10μLの2×混合物(2×RT緩衝液、10mMのMgCl2、20mMのジチオトレイトール、0.5μLのRNAse-out、及び0.5μLの逆転写酵素)を添加した。逆転写酵素を水で置き換えたことを除いて、模擬RT反応物は同一であった。反応物を50℃で50分間、及び氷上で2分間インキュベートした。1μLのRNAse Hを添加し、試料を37℃で20分間インキュベートした。
【0226】
50μLのPCR反応は、1μLの逆転写RNA、25μLのQ5 Hot Start High-Fidelity 2×Master Mix、及び0.5μMの2つのプライマーを含有した。反応を以下のように熱サイクルに供した:
98℃1分;(98℃10秒、69℃10秒、72℃36秒)の35サイクル;5分72℃。
【0227】
5μLの反応物を、1×TAE緩衝液及び臭化エチジウム中の1%アガロースゲル上で分解した。Dark Readerトランスルミネータ上の青色光照明下でバンドを可視化した。Nucleospinゲル及びPCRクリーンアップキットを使用して、切除されたバンドからDNAを回収した。DNAを、サイクル配列決定及び色素ターミネータ化学を使用して、PCRプライマーを用いて、GeneWiz(South Plainfield,NJ)で配列決定した。
【0228】
結果:
模擬RTテンプレートからのPCR反応は、検出可能な生成物を産生せず、ゲノムDNAがRNA試料から排除されていたことを示した。プライマーAAVRT-F1(配列番号62)及びP349R9(配列番号63)を使用したPCRは、停止カセットがP439から切除された後に、スプライシングされた転写物に由来する同様の蛍光強度の2つのPCR生成物を産生した。1つの生成物は、操作されたベータ-アクチンスプライスドナー及びアクセプタ部位(それぞれ、配列番号14及び配列番号15、図8)におけるスプライシングから生じた。第2の生成物は、5’REP遺伝子(配列番号64)中のドナー部位と下流のベータ-アクチンアクセプタとの間のスプライシングから生じる(図8)。このスプライシング事象は、野生型AAV2に対してREPコード配列の64bpを除去し、フレームシフトを作り、短縮REPタンパク質を産生すると予測される。これは、この上流のスプライスドナー部位を変異させることにより、活性REPタンパク質の存在量を増加させ、AAV産生をより効率的にすることができることを示唆している。
【0229】
AAV構築物の更新:P600(配列番号70)
プラスミドP439(配列番号12)にいくつかの変更を行い、構築物P600(配列番号70)を得た。最初に、停止カセットの上流のREP遺伝子のスプライスドナー部位を変異させた。簡潔に述べると、5’REP配列(配列番号64)で同定されたスプライスドナー部位のヌクレオチドGTを、AT(配列番号65)に変異させた。この変異は、REPタンパク質配列を変化させることなく、この部位におけるスプライシングを排除することが予測される。
【0230】
REP/CAP遺伝子が停止カセットの切除後にAAVキャプシドにパッケージングされ得る可能性を低減するために、2kbのランダム配列(配列番号66)を設計し、attB配列の下流及びアクチンスプライスアクセプタの上流に挿入して、操作されたイントロンのサイズを増加させた。潜在的なスプライス部位を、NetGene 2ソフトウェア(上記で引用)を使用して同定し、除去した。この挿入は、4.3kb~6.4kbにREP/CAP遺伝子のサイズを増加させ、これは、5.0kbのAAVパッケージング限界を十分に上回る。
【0231】
AAV ITRに隣接する配列も、ゲノムからの導入遺伝子レスキュー中に増幅され得、AAVキャプシドにミスパッケージングされ得るという仮説に基づいて(例えば、Schnodt and Buning,Hum Gene Ther Methods.,2017;28(3):101~108を参照されたい)、2つのランダムな2kb非コードスペーサ要素は、導入遺伝子に隣接して、ミスパッケージングされたDNAの潜在的な影響を減少させるような設計であった。1つの要素(配列番号67)を、左AAV ITRの上流に挿入し、第2(配列番号68)の置き換えられたマウス抗リプレッサ要素40(配列番号25)を、右AAV ITRの下流に挿入した。
【0232】
加えて、cap遺伝子は、AAV9バリアントであった(例えば、Hinderer et al.,Hum Gene Ther.2018;29(3):285-298を参照されたい)。
【0233】
最後に、P439のITRが隣接する導入遺伝子のコード配列を、mCherry-IRES-SEAP(分泌アルカリホスファターゼ)タンパク質をコードする配列番号69によって置き換えた。
【0234】
得られた構築物P600の完全な配列を配列番号70に開示し、プラスミドの例示を図9に示す。
【0235】
安定したプールにおけるP600からのAAV産生
構築物P600を、Peak-RAPID細胞にトランスフェクトし、本質的に上記のP439細胞について記載されるように、0.5μg/mLのピューロマイシンを用いた選択を通して、安定したプールを生成した。細胞を、AAV産生をアッセイする前に6週間1:10で継代した。
【0236】
2.5E6 P600-PEAK-Rapid p6細胞を、5mLのDMEM+10% FBS中の3つのT25フラスコに播種し、37℃で3日間インキュベートした。感染日の細胞密度を、細胞をTrypLEで回収し、トリパンブルー排除を使用してカウントしたフラスコのうちの1つにおいて、6.6E6生存細胞であると決定した。2つの残りのフラスコ中の培地を、2.6E8 Ad5-CMV-SR21ウイルス粒子を含有する11mLのDMEM+2% FBSで置き換えた。フラスコを32℃で24時間インキュベートした。DMEM+2% FBS中の1.25mMの2-アミノプリン1mLを、1つのフラスコに添加した。1mLのDMEM+2% FBSを他のフラスコに添加し、両方のフラスコを32℃で更に7日間インキュベートした。培地をフラスコから回収し、3,000rpmで5分間遠心分離して、細胞及び破片をペレット化した。2μLの各試料上清を、上記のmCherryアッセイを使用したDNAse消化及びddPCR定量化に供した。
【0237】
AAV産生レベルを表6に示す。P600の安定したプールは、Ad5-CMV-SR21による感染時にAAVを産生する際に活性である。AAVウイルス産生は、CAP依存性mRNA翻訳のアデノウイルス誘導性阻害を遮断すると報告された薬物である、2-アミノプリンの存在下で2.5倍増加した(例えば、Zhang and Schneider(1994)J.Virology 68:2544-2555、及びHuang and Schneider(1990)PNAS 87:7115-7119を参照されたい)。感染の1~2時間後の10mMの2-AP処理が、アデノウイルス感染の細胞変性効果を遮断し、少なくとも3日間は非毒性であったことが報告されているが(例えば、Zhang and Schneider(1994)J.Virology 68:2544-2555、及びHuang and Schneider(1990)PNAS 87:7115-7119を参照されたい)、我々のAAV産生細胞系においてAAV産生に対して抑制性であるために、1.25mMを超える濃度及び24時間よりも早い添加を見出した。これらのデータは、後期アデノウイルス遺伝子プログラム、特にcap依存性mRNA翻訳の停止を阻害することが、産生細胞株におけるAAV産生を増加させるための有用な戦略であることを示唆している。
【0238】
【表6】
【0239】
ヒト細胞における組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)の製造は、AAV複製(REP)及びキャプシド(CAP)遺伝子、アデノウイルス遺伝子、並びにAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する発現カセットからなるAAVパッケージング可能な導入遺伝子の発現を必要とする。3つ全ての構成成分が、AAV産生のために別々のプラスミド上の細胞に送達され得るが、既存のトランスフェクション方法は、大規模培養物に拡大することが困難である。これらの要素のうちのいくつかを宿主細胞株に組み込むことは、AAV産生をより効率的にすることができるが、AAV及びアデノウイルス遺伝子のうちのいくつかは、細胞増殖抑制性又は細胞傷害性であり、このアプローチを制限する。本発明は、AAV REP、CAP、及びパッケージング可能な導入遺伝子が好適な宿主細胞に組み込まれ、増殖することができるように、AAV REP遺伝子を可逆的に不活性化する方式を記載する。リコンビナーゼを発現する複製欠損性組換えアデノウイルス(例えば、ΔE1/ΔE3)によるこれらの細胞の感染は、REP遺伝子を再活性化し、AAV複製及びパッケージングを誘導する。

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載の発明を列挙する。
[発明1]
4つのRepタンパク質、Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40をコードするAAV rep遺伝子を有する、修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)rep遺伝子と、前記4つのRepタンパク質によって共有される前記rep遺伝子のコード配列に挿入された人工イントロンと、を含む、非自然発生の核酸分子であって、前記人工イントロンが、前記人工イントロンの5’スプライス部位の下流及び分岐部位の上流に挿入された停止カセットを含み、前記停止カセットが、5’から3’の順序で、
(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位と、
(b)スプライスアクセプタと、
(c)ターミネータと、
(d)配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位と、を含む、非自然発生の核酸分子。
[発明2]
前記スプライスアクセプタが、配列番号17のヌクレオチド配列を含む、発明1に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明3]
前記ターミネータが、ポリアデニル化シグナルを含む、発明1又は2に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明4]
前記ターミネータが、配列番号19のヌクレオチド配列を更に含む、発明3に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明5]
前記停止カセットが、選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセットを含む、発明1~4のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子。
[発明6]
前記人工イントロンが、5’から3’の順序で、配列番号14のヌクレオチド配列、前記停止カセット、及び配列番号15のヌクレオチド配列を含む、発明1~5のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子。
[発明7]
前記AAV rep遺伝子が、AAV1~AAV8のうちの1つのrep遺伝子、又はそのハイブリッドを含む、発明1~6のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子。
[発明8]
前記AAV rep遺伝子が、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号190~2202を有するヒトAAV2のrep遺伝子を含む、発明7に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明9]
前記人工イントロンが、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号996~1905の間に挿入されている、発明8に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明10]
前記人工イントロンが、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号1052、1061、1712、1906、1022、1112、1475、1514、1700、1742、1784、又は1340、好ましくはヌクレオチド番号1052のすぐ下流に挿入されている、発明9に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明11]
修飾AAV rep遺伝子を含む、非自然発生の核酸分子であって、前記修飾AAV rep遺伝子が、5’から3’の順序で、
(a)配列番号55のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の5’部分と、
(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(i)配列番号14のヌクレオチド配列を有する5’イントロン断片、
(ii)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(2)配列番号17のヌクレオチド配列を有するスプライスアクセプタ、
(3)配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(4)配列番号19のヌクレオチド配列を有するターミネータ、及び
(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(iii)配列番号15のヌクレオチド配列を有する3’イントロン断片、を含む、人工イントロンと、
(c)配列番号56のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の3’部分と、を含む、非自然発生の核酸分子。
[発明12]
修飾AAV rep遺伝子を含む、非自然発生の核酸分子であって、前記修飾AAV rep遺伝子が、5’から3’の順序で、
(a)配列番号73のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の5’部分と、
(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(i)配列番号14のヌクレオチド配列を有する5’イントロン断片、
(ii)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(2)配列番号17のヌクレオチド配列を有するスプライスアクセプタ、
(3)配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(4)配列番号19のヌクレオチド配列を有するターミネータ、及び
(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(iii)配列番号66のヌクレオチド配列を有する3’イントロン断片、を含む、人工イントロンと、
(c)配列番号56のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の3’部分と、を含む、非自然発生の核酸分子。
[発明13]
前記停止カセットが、配列番号16のヌクレオチド配列を含む、発明11又は12に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明14]
3つのキャプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3をコードするAAV cap遺伝子を更に含む、発明1~13のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子。
[発明15]
前記AAV cap遺伝子が、AAV1~AAV9及びAAVDJのうちの1つのcap遺伝子、又はそのハイブリッドを含む、発明14に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明16]
前記AAV cap遺伝子が、GenBankアクセッション番号AY530579.1のヌクレオチド配列を有するヒトAAV9のcap遺伝子を含む、発明15に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明17]
前記AAV cap遺伝子が、ポリアデニル化シグナル、好ましくは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号4411~4466を有するAAV2のポリアデニル化シグナルと、エンハンサ、好ましくは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号190~313を有するAAV2 rep P5プロモータと、を更に含み、前記ポリアデニル化シグナル及び前記エンハンサが、両方とも前記cap遺伝子のコード配列の下流にある、発明14~16のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子。
[発明18]
前記AAV cap遺伝子の下流の一対のAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する導入遺伝子を更に含む、発明14~17のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子。
[発明19]
前記修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータ、及び任意選択的に、前記ITRが隣接する前記導入遺伝子の下流に第2のインシュレータを更に含み、好ましくは、前記第1のインシュレータ及び前記第2のインシュレータが、独立して、
(a)配列番号24のヌクレオチド配列を有するヒト抗リプレッサ要素40、
(b)配列番号25のヌクレオチド配列を有するマウス抗リプレッサ要素40、
(c)GenBankアクセッション番号AY190749.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素04、
(d)GenBankアクセッション番号AY190750.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素06、
(e)GenBankアクセッション番号AY190751.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素07、
(f)GenBankアクセッション番号AY190752.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素12、
(g)GenBankアクセッション番号AY190753.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素13、
(h)GenBankアクセッション番号AY190754.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素35、
(i)GenBankアクセッション番号AY190755.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素36、
(j)GenBankアクセッション番号AY190757.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素52、
(k)GenBankアクセッション番号AY190758.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素53、及び
(l)2つ又は3つ以上のコピーにおいてAY040835.1のヌクレオチド配列を有するグロビン遺伝子座からのニワトリHS4インシュレータからなる群から選択され、
より好ましくは、前記第1のインシュレータ及び前記第2のインシュレータが、それぞれ、配列番号24及び配列番号25のヌクレオチド配列を有する、発明18に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明20]
前記非自然発生の核酸分子が、前記修飾AAV rep遺伝子の上流に前記第1のインシュレータを含み、前記導入遺伝子の上流及び下流にそれぞれ、第1のスペーサ配列及び第2のスペーサ配列を更に含み、前記第1のスペーサ配列及び前記第2のスペーサ配列が、独立して、
a)配列番号67のヌクレオチド配列、及び
b)配列番号68のヌクレオチド配列からなる群から選択される、発明19に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明21]
前記ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、前記導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、前記コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、好ましくは、前記プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、前記ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、発明18~20のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子。
[発明22]
非自然発生の核酸分子であって、5’から3’の順序で、
(A)第1のインシュレータであって、好ましくは、配列番号24のヌクレオチド配列を有する、第1のインシュレータと、
(B)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、
(i)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号55のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、
(ii)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(a)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、
(b)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(2)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、
(3)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(4)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び
(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(c)3’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号15のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、並びに
(iii)前記AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子と、
(C)AAV cap遺伝子であって、好ましくは、配列番号57のヌクレオチド配列を含む、AAV cap遺伝子と、
(D)一対のAAV ITRが隣接する導入遺伝子であって、好ましくは、前記AAV ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、前記導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、前記コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、前記プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、前記ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、導入遺伝子と、
(E)第2のインシュレータであって、好ましくは、配列番号25のヌクレオチド配列を有する、第2のインシュレータと、を含む、非自然発生の核酸分子。
[発明23]
非自然発生の核酸分子であって、5’から3’の順序で、
(A)第1のインシュレータであって、好ましくは、配列番号24のヌクレオチド配列を有する、第1のインシュレータと、
(B)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、
(i)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号73のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、
(ii)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(a)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、
(b)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(2)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、
(3)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(4)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び
(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(c)3’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号66のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、並びに
(iii)前記AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子と、
(C)AAV cap遺伝子と、
(D)導入遺伝子であって、
(1)一対のAAV ITRであって、好ましくは、前記AAV ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、前記導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、前記コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、前記プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、前記ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、一対のAAV ITR、及び
(2)一対のスペーサ配列であって、好ましくは、前記スペーサ配列が、配列番号67及び配列番号68のヌクレオチド配列を有する、一対のスペーサ配列、が隣接する、導入遺伝子と、を含む、非自然発生の核酸分子。
[発明24]
発明1~22のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子を含むベクターであって、好ましくは、前記ベクターが、プラスミドであり、より好ましくは、前記プラスミドが、配列番号12のヌクレオチド配列を含む、ベクター。
[発明25]
発明1~21又は23のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子を含むベクターであって、好ましくは、前記ベクターが、プラスミドであり、より好ましくは、前記プラスミドが、配列番号70のヌクレオチド配列を含む、ベクター。
[発明26]
発明1~23のいずれか一つに記載の非自然発生の核酸分子を作製する方法。
[発明27]
発明24又は25に記載のベクターを作製する方法。
[発明28]
4つのRepタンパク質、Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40をコードするAAV rep遺伝子を有する、修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)rep遺伝子と、前記4つのRepタンパク質によって共有される前記rep遺伝子のコード配列に挿入された人工イントロンと、を含む、非自然発生の核酸分子を含む、細胞であって、前記人工イントロンが、前記人工イントロンの5’スプライス部位の下流及び分岐部位の上流に挿入された停止カセットを含み、前記停止カセットが、5’から3’の順序で、
(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位と、
(b)スプライスアクセプタと、
(c)ターミネータと、
(d)配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位と、を含む、細胞。
[発明29]
前記スプライスアクセプタが、配列番号17のヌクレオチド配列を含む、発明28に記載の細胞。
[発明30]
前記ターミネータが、ポリアデニル化シグナルを含む、発明28又は29に記載の細胞。
[発明31]
前記ターミネータが、配列番号19のヌクレオチド配列を更に含む、発明30に記載の細胞。
[発明32]
前記停止カセットが、選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセットを含む、発明28~31のいずれか一つに記載の細胞。
[発明33]
前記人工イントロンが、5’から3’の順序で、配列番号14のヌクレオチド配列、前記停止カセット、及び配列番号15のヌクレオチド配列を含む、発明28~32のいずれか一つに記載の細胞。
[発明34]
前記人工イントロンが、5’から3’の順序で、配列番号14のヌクレオチド配列、前記停止カセット、及び配列番号66のヌクレオチド配列を含む、発明28~32のいずれか一つに記載の細胞。
[発明35]
前記AAV rep遺伝子が、AAV1~AAV8のうちの1つのrep遺伝子、又はそのハイブリッドを含む、発明28~33のいずれか一つに記載の細胞。
[発明36]
前記AAV rep遺伝子が、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号190~2202を有するヒトAAV2のrep遺伝子を含む、発明35に記載の細胞。
[発明37]
前記人工イントロンが、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号996~1905の間に挿入されている、発明36に記載の細胞。
[発明38]
前記人工イントロンが、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号1052、1061、1712、1906、1022、1112、1475、1514、1700、1742、1784、又は1340、好ましくはヌクレオチド番号1052のすぐ下流に挿入されている、発明37に記載の細胞。
[発明39]
修飾AAV rep遺伝子を含む、非自然発生の核酸分子を含む細胞であって、前記修飾AAV rep遺伝子が、5’から3’の順序で、
(a)配列番号55のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の5’部分と、
(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(i)配列番号14のヌクレオチド配列を有する5’イントロン断片、
(ii)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(2)配列番号17のヌクレオチド配列を有するスプライスアクセプタ、
(3)配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(4)配列番号19のヌクレオチド配列を有するターミネータ、及び
(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(iii)配列番号15のヌクレオチド配列を有する3’イントロン断片、を含む、人工イントロンと、
(c)配列番号56のヌクレオチド配列を有する前記AAV rep遺伝子の3’部分と、を含む、細胞。
[発明40]
修飾AAV rep遺伝子を含む、非自然発生の核酸分子を含む細胞であって、前記修飾AAV rep遺伝子が、5’から3’の順序で、
(a)配列番号73のヌクレオチド配列を有するAAV rep遺伝子の5’部分と、
(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(i)配列番号14のヌクレオチド配列を有する5’イントロン断片、
(ii)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(2)配列番号17のヌクレオチド配列を有するスプライスアクセプタ、
(3)配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(4)配列番号19のヌクレオチド配列を有するターミネータ、及び
(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(iii)配列番号66のヌクレオチド配列を有する3’イントロン断片、を含む、人工イントロンと、
(c)配列番号56のヌクレオチド配列を有する前記AAV rep遺伝子の3’部分と、を含む、細胞。
[発明41]
前記停止カセットが、配列番号16のヌクレオチド配列を含む、発明30又は40に記載の細胞。
[発明42]
3つのキャプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3をコードするAAV cap遺伝子を更に含む、発明28~41のいずれか一つに記載の細胞。
[発明43]
前記AAV cap遺伝子が、AAV1~AAV9及びAAVDJのうちの1つのcap遺伝子、又はそのハイブリッドを含む、発明42に記載の細胞。
[発明44]
前記AAV cap遺伝子が、GenBankアクセッション番号AY530579.1のヌクレオチド配列を有するヒトAAV9のcap遺伝子を含む、発明43に記載の細胞。
[発明45]
前記AAV cap遺伝子が、AAV9のハイブリッドのcap遺伝子を含む、発明43に記載の細胞。
[発明46]
前記AAV cap遺伝子が、ポリアデニル化シグナル、好ましくは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号4411~4466を有するAAV2のポリアデニル化シグナルと、エンハンサ、好ましくは、GenBankアクセッション番号NC_001401.2のヌクレオチド配列のヌクレオチド番号190~313を有するAAV2 rep P5プロモータと、を更に含み、前記ポリアデニル化シグナル及び前記エンハンサが、両方とも前記cap遺伝子のコード配列の下流にある、発明42~45のいずれか一つに記載の細胞。
[発明47]
前記AAV cap遺伝子の下流の一対のAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する導入遺伝子を更に含む、発明42~46のいずれか一つに記載の細胞。
[発明48]
前記修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータ、及び任意選択的に、前記ITRが隣接する前記導入遺伝子の下流に第2のインシュレータを更に含み、好ましくは、前記第1のインシュレータ及び前記第2のインシュレータが、独立して、
(a)配列番号24のヌクレオチド配列を有するヒト抗リプレッサ要素40、
(b)配列番号25のヌクレオチド配列を有するマウス抗リプレッサ要素40、
(c)GenBankアクセッション番号AY190749.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素04、
(d)GenBankアクセッション番号AY190750.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素06、
(e)GenBankアクセッション番号AY190751.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素07、
(f)GenBankアクセッション番号AY190752.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素12、
(g)GenBankアクセッション番号AY190753.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素13、
(h)GenBankアクセッション番号AY190754.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素35、
(i)GenBankアクセッション番号AY190755.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素36、
(j)GenBankアクセッション番号AY190757.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素52、
(k)GenBankアクセッション番号AY190758.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素53、及び
(l)2つ又は3つ以上のコピーにおいてAY040835.1のヌクレオチド配列を有するグロビン遺伝子座からのニワトリHS4インシュレータからなる群から選択され、
より好ましくは、前記第1のインシュレータ及び前記第2のインシュレータが、それぞれ、配列番号24及び配列番号25のヌクレオチド配列を有する、発明47に記載の細胞。
[発明49]
前記細胞が、前記修飾AAV rep遺伝子の上流に前記第1のインシュレータを含み、前記導入遺伝子の上流及び下流にそれぞれ、第1のスペーサ配列及び第2のスペーサ配列を更に含み、前記第1のスペーサ配列及び前記第2のスペーサ配列が、独立して、
a)配列番号67のヌクレオチド配列、及び
b)配列番号68のヌクレオチド配列からなる群から選択される、発明48に記載の細胞。
[発明50]
前記ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、前記導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、前記コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、好ましくは、前記プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、前記ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、発明47~49のいずれか一つに記載の細胞。
[発明51]
非自然発生の核酸分子を含む細胞であって、前記非自然発生の核酸分子が、5’から3’の順序で、
(A)第1のインシュレータであって、好ましくは、配列番号24のヌクレオチド配列を有する、第1のインシュレータと、
(B)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、
(i)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号55のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、
(ii)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(a)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、
(b)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(2)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、
(3)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(4)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び
(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(c)3’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号15のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、並びに
(iii)前記AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子と、
(C)AAV cap遺伝子であって、好ましくは、配列番号57のヌクレオチド配列を含む、AAV cap遺伝子と、
(D)一対のAAV ITRが隣接する導入遺伝子であって、好ましくは、前記AAV ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、前記導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、前記コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、前記プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、前記ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、導入遺伝子と、
(E)第2のインシュレータであって、好ましくは、配列番号25のヌクレオチド配列を有する、第2のインシュレータと、を含む、細胞。
[発明52]
非自然発生の核酸分子を含む細胞であって、前記非自然発生の核酸分子が、5’から3’の順序で、
(A)第1のインシュレータであって、好ましくは、配列番号24のヌクレオチド配列を有する、第1のインシュレータと、
(B)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、
(i)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号73のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、
(ii)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(a)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、
(b)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(1)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(2)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、
(3)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(4)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び
(5)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(c)3’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号66のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、並びに
(iii)前記AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子と、
(C)AAV cap遺伝子と、
(D)導入遺伝子であって、
(i)一対のAAV ITRであって、好ましくは、前記AAV ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、前記導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、前記コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、前記プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、前記ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、一対のAAV ITR、及び
(ii)一対のスペーサ配列であって、好ましくは、前記スペーサ配列が、配列番号67及び配列番号68のヌクレオチド配列を有する、一対のスペーサ配列、が隣接する、導入遺伝子と、を含む、細胞。
[発明53]
前記非自然発生の核酸分子が、エピソーム性であり、配列番号12のヌクレオチド配列を有する、発明28~51のいずれか一つに記載の細胞。
[発明54]
前記非自然発生の核酸分子が、エピソーム性であり、配列番号70のヌクレオチド配列を有する、発明28~50又は52のいずれか一つに記載の細胞。
[発明55]
配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼをコードする、核酸分子を更に含み、好ましくは、前記核酸が、配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも85%、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を含み、より好ましくは、前記細胞が、配列番号2のアミノ酸配列を有するリコンビナーゼをコードする、組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスを含む、発明52~54のいずれか一つに記載の細胞。
[発明56]
アデノウイルスE1A及びE1B遺伝子を更に含み、好ましくは、前記細胞が、911細胞、pTG6559細胞、GH329細胞、N52.E6細胞、HeLa-E1細胞、UR細胞、VLI-293細胞、HEK293細胞、又はPER.C6細胞である、発明52~55のいずれか一つに記載の細胞。
[発明57]
導入遺伝子を含む組換えAAVを産生する方法であって、
(A)第1の宿主細胞を得ることであって、前記第1の宿主細胞が、
(i)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、
(a)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号55のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、
(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(1)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、
(2)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(aa)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(bb)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、
(cc)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(dd)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び
(ee)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(3)3’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号15のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、
(c)前記AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号56のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子、
(ii)AAV cap遺伝子であって、好ましくは、配列番号57のヌクレオチド配列を含む、AAV cap遺伝子、
(iii)一対のAAV ITRが隣接する導入遺伝子であって、好ましくは、前記ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、前記導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、前記コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、前記プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、前記ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、導入遺伝子、を含む、第1の宿主細胞を得ることと、
(B)前記第1の宿主細胞を、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するリコンビナーゼをコードするリコンビナーゼ遺伝子を含む組換えアデノウイルスに感染させて、前記リコンビナーゼ遺伝子を更に含有する第2の宿主細胞を得ることと、
(C)前記導入遺伝子を含む前記組換えAAVが産生される条件下で、前記第2の宿主細胞を成長させることと、
(D)任意選択的に、前記組換えAAVを採取することと、を含む、方法。
[発明58]
導入遺伝子を含む組換えAAVを産生する方法であって、
(A)第1の宿主細胞を得ることであって、前記第1の宿主細胞が、
(i)修飾AAV rep遺伝子であって、5’から3’の順序で、
(a)AAV rep遺伝子の5’部分であって、好ましくは、配列番号73のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の5’部分、
(b)人工イントロンであって、5’から3’の順序で、
(1)5’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号14のヌクレオチド配列を有する、5’イントロン断片、
(2)停止カセットであって、5’から3’の順序で、
(aa)配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、
(bb)スプライスアクセプタであって、好ましくは、配列番号17のヌクレオチド配列を有する、スプライスアクセプタ、
(cc)選択可能なマーカーをコードする遺伝子、好ましくは、配列番号18のヌクレオチド配列を有するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセット、
(dd)ターミネータであって、好ましくは、配列番号19のヌクレオチド配列を有する、ターミネータ、及び
(ee)配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位、を含む、停止カセット、並びに
(3)3’イントロン断片であって、好ましくは、配列番号66のヌクレオチド配列を有する、3’イントロン断片、を含む、人工イントロン、
(c)前記AAV rep遺伝子の3’部分であって、好ましくは、配列番号66のヌクレオチド配列を有する、AAV rep遺伝子の3’部分、を含む、修飾AAV rep遺伝子、
(ii)AAV cap遺伝子、並びに
(iii)導入遺伝子であって、
(a)一対のAAV ITRであって、好ましくは、前記ITRが、配列番号20のヌクレオチド配列を有し、前記導入遺伝子が、コード配列に作動可能に連結されたプロモータを含み、前記コード配列が、ポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されており、より好ましくは、前記プロモータが、配列番号21のヌクレオチド配列を有し、前記ポリアデニル化シグナルが、ヌクレオチド配列の配列番号23を有する、一対のAAV ITR、及び
(b)一対のスペーサ配列であって、好ましくは、前記スペーサ配列が、配列番号67及び配列番号68のヌクレオチド配列を有する、一対のスペーサ配列、が隣接する、導入遺伝子、を含む、第1の宿主細胞を得ることと、
(B)前記第1の宿主細胞を、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有するリコンビナーゼをコードするリコンビナーゼ遺伝子を含む組換えアデノウイルスに感染させて、前記リコンビナーゼ遺伝子を更に含有する第2の宿主細胞を得ることと、
(C)前記導入遺伝子を含む前記組換えAAVが産生される条件下で、前記第2の宿主細胞を成長させることと、
(D)任意選択的に、前記組換えAAVを採取することと、を含む、方法。
[発明59]
前記第1の宿主細胞が、前記修飾AAV rep遺伝子の上流に第1のインシュレータ、及び任意選択的に、前記ITRが隣接する前記導入遺伝子の下流に第2のインシュレータを更に含み、好ましくは、前記第1のインシュレータ及び前記第2のインシュレータが、独立して、
(a)配列番号24のヌクレオチド配列を有するヒト抗リプレッサ要素40、
(b)配列番号25のヌクレオチド配列を有するマウス抗リプレッサ要素40、
(c)GenBankアクセッション番号AY190749.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素04、
(d)GenBankアクセッション番号AY190750.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素06、
(e)GenBankアクセッション番号AY190751.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素07、
(f)GenBankアクセッション番号AY190752.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素12、
(g)GenBankアクセッション番号AY190753.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素13、
(h)GenBankアクセッション番号AY190754.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素35、
(i)GenBankアクセッション番号AY190755.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素36、
(j)GenBankアクセッション番号AY190757.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素52、
(k)GenBankアクセッション番号AY190758.1のヌクレオチド配列を有する抗リプレッサ要素53、及び
(l)2つ又は3つ以上のコピーにおいてAY040835.1のヌクレオチド配列を有するグロビン遺伝子座からのニワトリHS4インシュレータからなる群から選択され、
より好ましくは、前記第1のインシュレータ及び前記第2のインシュレータが、それぞれ、配列番号24及び配列番号25のヌクレオチド配列を有する、発明57又は58に記載の方法。
[発明60]
前記第1の宿主細胞が、前記修飾AAV rep遺伝子の上流に前記第1のインシュレータを含み、前記導入遺伝子の上流及び下流にそれぞれ、第1のスペーサ配列及び第2のスペーサ配列を更に含み、前記第1のスペーサ配列及び前記第2のスペーサ配列が、独立して、
a)配列番号67のヌクレオチド配列、及び
b)配列番号68のヌクレオチド配列からなる群から選択される、発明59に記載の方法。
[発明61]
前記第1の宿主細胞が、前記修飾AAV rep遺伝子、前記AAV cap遺伝子、前記ITRが隣接する前記導入遺伝子、前記第1のインシュレータ、及び前記第2のインシュレータを含む、1つ又は2つ以上の核酸分子を細胞に導入することによって得られる、発明57~59のいずれか一つに記載の方法。
[発明62]
前記第1の宿主細胞が、5’から3’の順序で、前記第1のインシュレータ、前記修飾AAV rep遺伝子、前記AAV cap遺伝子、前記ITRが隣接する前記導入遺伝子、前記第1のインシュレータ、及び前記第2のインシュレータを含む核酸分子、好ましくは、配列番号12のヌクレオチド配列を含むプラスミドを、前記細胞に導入することによって得られる、発明61に記載の方法。
[発明63]
前記第1の宿主細胞が、前記修飾AAV rep遺伝子、前記AAV cap遺伝子、前記ITRが隣接する前記導入遺伝子、前記第1のインシュレータ、前記第1のスペーサ配列、及び前記第2のスペーサ配列を含む、1つ又は2つ以上の核酸分子を細胞に導入することによって得られる、発明57、58、又は60に記載の方法。
[発明64]
前記第1の宿主細胞が、前記修飾AAV rep遺伝子、前記AAV cap遺伝子、前記ITRが隣接する前記導入遺伝子、前記第1のインシュレータ、前記第1のスペーサ配列、及び前記第2のスペーサシーケンサを含む、1つ又は2つ以上の核酸分子、好ましくは、配列番号70のヌクレオチド配列を含むプラスミドを細胞に導入することによって得られる、発明63に記載の方法。
[発明65]
前記組換えアデノウイルスが、配列番号3のヌクレオチド配列を含む組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスである、発明57~62のいずれか一つに記載の方法。
[発明66]
前記宿主細胞が、アデノウイルスE1A及びE1B遺伝子を含み、好ましくは、前記宿主細胞が、911細胞、pTG6559細胞、GH329細胞、N52.E6細胞、HeLa-E1細胞、UR細胞、VLI-293細胞、HEK293細胞、又はPER.C6細胞である、発明57~65のいずれか一つに記載の方法。
[発明67]
前記第2の宿主細胞を成長させるための前記条件が、2-アミノプリンで前記第2の細胞を培養することを含む、発明57~66のいずれか一つに記載の方法。
[発明68]
2-アミノプリン濃度が、約1.25mM未満である、発明67に記載の方法。
[発明69]
前記2-アミノプリン濃度が、約1μM~約1.25mMである、発明67又は68に記載の方法。
[発明70]
前記2-アミノプリン濃度が、約10μM~約1.25mMである、発明67又は68に記載の方法。
[発明71]
前記2-アミノプリン濃度が、約100μM~約1.25mMである、発明67又は68に記載の方法。
[発明72]
前記2-アミノプリン濃度が、約1.25mMである、発明67又は68に記載の方法。
[発明73]
2-アミノプリンで前記第2の細胞を培養することが、組換えアデノウイルスによる前記第1の宿主細胞の感染の約24時間後に開始される、発明67~72のいずれか一つに記載の方法。
[発明74]
発明55に記載の細胞と、2-アミノプリンと、を含む組成物。
[発明75]
2-アミノプリン濃度が、約1.25mM未満である、発明74に記載の組成物。
[発明76]
前記2-アミノプリン濃度が、約1μM~約1.25mMである、発明74に記載の組成物。
[発明77]
前記2-アミノプリン濃度が、約10μM~約1.25mMである、発明74に記載の組成物。
[発明78]
前記2-アミノプリン濃度が、約100μM~約1.25mMである、発明74に記載の組成物。
[発明79]
前記2-アミノプリン濃度が、約1.25mMである、発明74に記載の組成物。
[発明80]
配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、非自然発生の核酸分子。
[発明81]
配列番号3のヌクレオチド配列に対して少なくとも有する少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、発明74に記載の非自然発生の核酸分子。
[発明82]
発明80又は81に記載の非自然発生の核酸を含むベクター。
[発明83]
プロモータ、好ましくは、前記セリンリコンビナーゼをコードする前記ヌクレオチド配列に作動可能に連結されたサイトメガロウイルス(CMV)プロモータを更に含む、発明82に記載のベクター。
[発明84]
前記セリンリコンビナーゼをコードする前記ヌクレオチド配列に作動可能に連結された、シミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化シグナルなどのポリアデニル化シグナルを更に含む、発明82又は83に記載のベクター。
[発明85]
DNAプラスミドである、発明82~84のいずれか一つに記載のベクター。
[発明86]
組換えアデノウイルスベクターである、発明82~85のいずれか一つに記載のベクター。
[発明87]
CMVプロモータの制御下で、配列番号2のアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスであり、前記ヌクレオチド配列が、SV40ポリアデニル化シグナル(NC_001669.1、nt2550~2774)に更に作動可能に連結されている、発明86に記載のベクター。
[発明88]
配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、非自然発生の核酸分子を含む細胞。
[発明89]
配列番号3のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、例えば、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、発明88に記載の細胞。
[発明90]
発明88又は89に記載の非自然発生の核酸を含むベクターを含む細胞。
[発明91]
プロモータ、好ましくは、前記セリンリコンビナーゼをコードする前記ヌクレオチド配列に作動可能に連結されたサイトメガロウイルス(CMV)プロモータを更に含む、発明90に記載の細胞。
[発明92]
前記セリンリコンビナーゼをコードする前記ヌクレオチド配列に作動可能に連結された、シミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化シグナルなどのポリアデニル化シグナルを更に含む、発明90又は91に記載の細胞。
[発明93]
前記ベクターが、DNAプラスミドである、発明90~92のいずれか一つに記載の細胞。
[発明94]
前記ベクターが、組換えアデノウイルスベクターである、発明90~93のいずれか一つに記載の細胞。
[発明95]
前記組換えアデノウイルスベクターが、CMVプロモータの制御下で、配列番号2のアミノ酸配列を有するセリンリコンビナーゼをコードするヌクレオチド配列を含む、組換えΔE1/ΔE3アデノウイルス血清型5(Ad5)ウイルスであり、前記ヌクレオチド配列が、SV40ポリアデニル化シグナル(NC_001669.1、nt2550~2774)に更に作動可能に連結されている、発明94に記載の細胞。
[発明96]
アデノウイルスE1A及びE1B遺伝子を含み、好ましくは、前記細胞が、911細胞、pTG6559細胞、GH329細胞、N52.E6細胞、HeLa-E1細胞、UR細胞、VLI-293細胞、HEK293細胞、又はPER.C6細胞である、発明88~95のいずれか一つに記載の細胞。
[発明97]
細胞内で部位特異的組換えを実施する方法であって、
(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、及び配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位を有する核酸分子を含む、細胞を得ることと、
(b)配列番号2に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するセリンリコンビナーゼをコードする非自然発生の核酸分子を、前記細胞に導入することと、
(c)前記セリンリコンビナーゼが、前記attP部位とattB部位との間の前記部位特異的組換えを触媒することを可能にする条件下で、前記細胞を成長させることと、を含む方法。
[発明98]
細胞内で部位特異的組換えを実施するプロセスによって産生される生成物であって、前記プロセスが、
(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、及び配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位を有する核酸分子を含む、細胞を得ることと、
(b)配列番号2に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するセリンリコンビナーゼをコードする非自然発生の核酸分子を、前記細胞に導入することと、
(c)前記セリンリコンビナーゼが、前記attP部位とattB部位との間の前記部位特異的組換えを触媒することを可能にする条件下で、前記細胞を成長させることと、を含む、生成物。
[発明99]
細胞から生成物を得るためのプロセスであって、
(a)配列番号7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattP部位、好ましくは、配列番号7のヌクレオチド配列を有するattP部位、及び配列番号8又は配列番号9と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のヌクレオチド配列を有するattB部位、好ましくは、配列番号8又は配列番号9のヌクレオチド配列を有するattB部位を有する核酸分子を含む、細胞を得ることと、
(b)配列番号2に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するセリンリコンビナーゼをコードする非自然発生の核酸分子を、前記細胞に導入することと、
(c)前記セリンリコンビナーゼが、前記attP部位とattB部位との間の前記部位特異的組換えを触媒することを可能にする条件下で、前記細胞を成長させることと、
(d)前記細胞から生成物を産生及び回収することと、を含む、プロセス。
[発明100]
非自然発生の系であって、
AAV媒介組換えのための手段を含み、前記手段が、任意選択的に、トランスジェニック要素を含む、非自然発生の系。
[発明101]
発明100に記載の非自然発生の系を移すための手段。
[発明102]
非自然発生の系であって、
発明100に記載の系を組み換えるための組換え手段を含み、前記組換え手段が、触媒中に少なくとも1つのセリン残基を使用することを含む、非自然発生の系。
[発明103]
発明102に記載の非自然発生の系を移すための手段。
[発明104]
分子を製造するための手段であって、発明100~103のいずれか一つに記載の手段を含み、複製することが可能である、分子を製造するための手段。
[発明105]
AAV媒介部位特異的組換えのためのプロセスであって、
(a)発明100に記載の手段を含む、細胞を得る機能を実行するための工程と、
(b)触媒中に少なくとも1つのセリン残基を使用する部位特異的組換えを可能にする条件下で、前記細胞を成長させる機能を実行するための工程と、を含む、プロセス。
[発明106]
生成物を得ることを含み、任意選択的に、前記生成物が、治療用生成物である、発明105に記載のAAV媒介部位特異的組換えのためのプロセス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
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