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特許7598928不飽和フッ素化炭化水素を回収及び分離するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】不飽和フッ素化炭化水素を回収及び分離するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20241205BHJP
   C07C 17/38 20060101ALI20241205BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20241205BHJP
   C08J 11/22 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B29B17/02
C07C17/38
C07C21/18
C08J11/22
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022514684
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2020074783
(87)【国際公開番号】W WO2021043991
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】1909815
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デュボワ, ジャン-リュック
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-143464(JP,A)
【文献】特開平11-199702(JP,A)
【文献】特開2014-028801(JP,A)
【文献】特開2001-170935(JP,A)
【文献】特表2018-528223(JP,A)
【文献】特開2017-122063(JP,A)
【文献】特開2016-216477(JP,A)
【文献】特開2019-048853(JP,A)
【文献】特開2004-002519(JP,A)
【文献】特開平02-294341(JP,A)
【文献】国際公開第2012/119910(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/02
C07C 17/38
C07C 21/18
C08J 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和フッ素化炭化水素を回収及びアップグレードするための方法であって、
a) 少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む組成物C1を含有する細孔からなる発泡体M1を提供する工程;
b1) 任意選択的に、工程a)で提供された前記発泡体M1を粉砕又は圧縮して、粉砕された発泡体又は圧縮された発泡体を形成する工程;
b2) 任意選択的に、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む、工程b1)の間に放出された前記組成物C1の少なくとも一部を回収する工程;
c) 工程a)で提供された前記発泡体M1又は工程b1)で得られた前記粉砕若しくは圧縮された発泡体を解重合又は溶解させる工程;
d) 少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む、工程c)の間に放出された前記組成物C1の少なくとも一部を回収し、任意選択的に、それを工程b2)で回収された組成物の前記少なくとも一部と混合して、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む流Aを形成する工程;
e) 工程d)で形成された前記流Aを回収及び分離して、少なくとも1つの流B1が前記少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む複数の流にする工程
を含む、方法。
【請求項2】
不飽和フッ素化炭化水素が、3個又は4個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不飽和フッ素化炭化水素が、単一の炭素-炭素二重結合を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記発泡体M1が、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、ポリイミド、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(メタクリルイミド)、ポリカーボネート若しくはポリスチレン、又はそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーからなり、好ましくは、前記発泡体が、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ(メチルメタクリレート)、又はポリスチレンからなることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程a)で提供された前記発泡体M1がポリスチレンからなり;工程c)が、ポリスチレンを溶解させることができる有機溶媒の存在下で実施されるか、又は工程c)を、ポリスチレンの熱解重合によって実施されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程a)で提供された前記発泡体M1がポリウレタンからなり、工程c)が、アルコール分解、又は加水分解、又はアンモノリシス、又はアミノリシス反応によって実施されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
工程c)によってポリオール化合物の形成が起こり、ポリオール化合物を、回収、精製、及びリサイクルして、ポリウレタンを製造するための方法に送ることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記流を分離する工程e)が、蒸留、共沸蒸留、加圧蒸留、抽出蒸留、低温分離、溶媒への吸収、又はそれらの組み合わせによって実施されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記流Aを、工程e)の前に吸着工程に供するか、又は前記流B1を、工程e)の後に吸着工程に供することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物C1に含まれる前記少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素が、3,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、(E/Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、2,4,4,4-テトラフルオロブト-1-エン、並びにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物C1がまた、前記少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素以外のハイドロフルオロカーボン、アルカン、ギ酸メチル、不活性ガス、アルコール、エーテル、フッ素化エーテル、不飽和フッ素化エーテル、ケトン、フルオロケトン、クロロフルオロカーボン若しくは水、又はそれらの混合物も含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素以外の前記ハイドロフルオロカーボンが、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記クロロフルオロカーボンが、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、及びクロロペンタフルオロエタンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記流Aが、前記流Aの総体積に基づいて、50体積%~99体積%の前記少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の含有量を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程a)が、
- ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択されるハイドロフルオロカーボンを含む組成物C2を含有する細孔からなる発泡体M2を提供すること、又は
- トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンからなる群から選択されるクロロフルオロカーボンを含む組成物C3を含有する細孔からなる発泡体M3を提供すること、又は
- 前記発泡体M2とM3との混合物を提供すること
も含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
発泡体M2及び発泡体M3が、前記発泡体M1のポリマーと同一のポリマーからなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組成物C2及び組成物C3が、不飽和フッ素化炭化水素を欠いていることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
この方法が、
b1) 任意選択的に、工程a)で提供された、前記発泡体M1、前記発泡体M2、及び/又は前記発泡体M3を粉砕又は圧縮して、粉砕された発泡体又は圧縮された発泡体を形成する工程;
b2) 任意選択的に、工程b1)の間に放出された、前記組成物C1の少なくとも一部、及び前記組成物C2の少なくとも一部、及び/又は前記組成物C3の少なくとも一部を回収する工程;
c) 工程a)で提供された、前記発泡体M1、及び前記発泡体M2、及び/若しくは前記発泡体M3、又は工程b1)で得られた前記粉砕若しくは圧縮された発泡体を解重合又は溶解させる工程;
d) 工程c)の間に放出された、前記組成物C1の少なくとも一部、及び前記組成物C2の少なくとも一部、及び/又は前記組成物C3の少なくとも一部を回収し、任意選択的に、これらを工程b2)で回収されたものと混合して、流Aを形成する工程;
e) 前記流Aを回収及び分離して、少なくとも1つの流B1が前記少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む複数の流にする工程
を含むことを特徴とする、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記流Aが、前記流Aの総体積に基づいて、0.1体積%~50体積%の前記少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の含有量を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和フッ素化炭化水素を回収及び分離するための方法に関する。特に、本発明は、断熱発泡体中に存在する不飽和フッ素化炭化水素を回収及び分離するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の廃棄又はリサイクルには、かさ高な廃棄物の除去及び特定の再処理工場へのその配送が伴う。このタイプのデバイスのスクラップ化は、特にDE2850130から公知である。これには、特に、様々な要素を粉砕し、これらを分離し、次いで、可能であれば様々な材料をリサイクルすることが伴う。
【0003】
特に、冷蔵庫は、一般にポリウレタンベースのポリマーから作製される断熱発泡体を含む。これらの発泡体は、発泡剤も含有する。使用される発泡剤組成物は、特にハロ炭化水素を含む。
【0004】
ハロ炭化水素誘導体に関する法律は、時の流れとともに発展してきたため、断熱発泡体を含むデバイスは、CFC(クロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、又はHFO(ハイドロフルオロオレフィン)を含む場合がある。実際に、ハイドロフルオロオレフィンは、低い地球温暖化係数で有望な挙動を呈するため、注目を集めている。したがって、新世代の発泡剤を含有する断熱発泡体を含むデバイスを処理及びリサイクルする必要があるが、使用される発泡剤の世代に関係なく、断熱発泡体を含有するデバイスを処理及びリサイクルする必要もある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、不飽和フッ素化炭化水素を回収及びアップグレードするための方法であって、
a) 少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む組成物C1を含有する細孔からなる発泡体M1を提供する工程;
b1) 任意選択的に、工程a)で提供された該発泡体M1を粉砕又は圧縮して、粉砕された発泡体又は圧縮された発泡体を形成する工程;
b2) 任意選択的に、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む、工程b1)の間に放出された該組成物C1の少なくとも一部を回収する工程;
c) 工程a)で提供された該発泡体M1又は工程b1)で得られた該粉砕若しくは圧縮された発泡体を解重合又は溶解させる工程;
d) 少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む、工程c)の間に放出された該組成物C1の少なくとも一部を回収し、任意選択的に、それを工程b2)で回収された組成物の該少なくとも一部と混合して、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む流Aを形成する工程;
e) 工程d)で形成された該流Aを回収及び分離して、少なくとも1つの流B1が該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む複数の流にする工程
を含む、方法に関する。
【0006】
好ましい実施形態によると、不飽和フッ素化炭化水素は、3又は4個の炭素原子を含む。
【0007】
好ましい実施形態によると、該不飽和フッ素化炭化水素は、単一の炭素-炭素二重結合を含む。
【0008】
好ましい実施形態によると、該発泡体M1は、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、ポリイミド、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(メタクリルイミド)、ポリカーボネート若しくはポリスチレン、又はそれらの混合物からなり、好ましくは、発泡体は、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ(メチルメタクリレート)、又はポリスチレンからなる。
【0009】
別の好ましい実施形態によると、工程a)で提供された該発泡体M1はポリスチレンからなり;工程c)を、ポリスチレンを溶解させることができる有機溶媒の存在下で実施するか、又は工程c)を、ポリスチレンの熱解重合によって実施する。
【0010】
好ましい実施形態によると、工程a)で提供された該発泡体M1はポリウレタンからなり、工程c)を、アルコール分解、又は加水分解、又はアンモノリシス、又はアミノリシス反応によって実施する。
【0011】
本発明の文脈において、「アンモノリシス反応」とは、ポリウレタンとNHとの反応を指す。「アミノリシス反応」とは、ポリウレタンと第一級アミン又は第二級アミンとの反応を指す。
【0012】
好ましい実施形態によると、工程c)によってポリオール化合物の形成が起こり、ポリオール化合物を、回収、精製、及びリサイクルして、ポリウレタンを製造するための方法に送る。
【0013】
好ましい実施形態によると、該流を分離する工程e)を、蒸留、共沸蒸留、加圧蒸留、抽出蒸留、低温分離、溶媒への吸収、又はそれらの組み合わせによって実施する。
【0014】
好ましい実施形態によると、該流Aを、工程e)の前に吸着工程に供するか、又は該流B1を、工程e)の後に吸着工程に供する。
【0015】
好ましい実施形態によると、該組成物C1に含まれる該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素は、3,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、(E/Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、2,4,4,4-テトラフルオロブト-1-エン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
好ましい実施形態によると、該組成物C1はまた、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素以外のハイドロフルオロカーボン、アルカン、ギ酸メチル、不活性ガス、アルコール、エーテル、フッ素化エーテル、不飽和フッ素化エーテル、ケトン、フルオロケトン、クロロフルオロカーボン若しくは水、又はそれらの混合物も含む。
【0017】
好ましい実施形態によると、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンは、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される。
【0018】
好ましい実施形態によると、該クロロフルオロカーボンは、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンからなる群から選択される。
【0019】
好ましい実施形態によると、該流Aは、該流Aの総体積に基づいて、50体積%~99体積%の該少なくとも1つのフッ素化炭化水素の含有量を含む。
【0020】
別の好ましい実施形態によると、工程a)はまた、
- ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択されるハイドロフルオロカーボンを含む組成物C2を含有する細孔からなる発泡体M2を提供すること、又は
- トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンからなる群から選択されるクロロフルオロカーボンを含む組成物C3を含有する細孔からなる発泡体M3を提供すること、又は
- 該発泡体M2とM3との混合物を提供すること
を含む。
【0021】
好ましい実施形態によると、発泡体M2及び発泡体M3は、該発泡体M1のポリマーと同一のポリマーからなる。
【0022】
好ましい実施形態によると、組成物C2及び組成物C3は、不飽和フッ素化炭化水素を欠いている。
【0023】
この他の好ましい実施形態によると、該方法は、
b1) 任意選択的に、工程a)で提供された、該発泡体M1、該発泡体M2、及び/又は該発泡体M3を粉砕又は圧縮して、粉砕された発泡体又は圧縮された発泡体を形成する工程;
b2) 任意選択的に、工程b1)の間に放出された、該組成物C1の少なくとも一部、及び該組成物C2の少なくとも一部、及び/又は該組成物C3の少なくとも一部を回収する工程;
c) 工程a)で提供された、該発泡体M1、及び該発泡体M2、及び/若しくは該発泡体M3、又は工程b1)で得られた該粉砕若しくは圧縮された発泡体を解重合又は溶解させる工程;
d) 工程c)の間に放出された、該組成物C1の少なくとも一部、及び該組成物C2の少なくとも一部、及び/又は該組成物C3の少なくとも一部を回収し、任意選択的に、これらを工程b2)で回収されたものと混合して、流Aを形成する工程;
e) 該流Aを回収及び分離して、少なくとも1つの流B1が該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む複数の流にする工程
を含む。
【0024】
この他の好ましい実施形態によると、該流Aは、該流Aの総体積に基づいて、0.1体積%~50体積%の該少なくとも1つのフッ素化炭化水素の含有量を含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、フッ素化炭化水素を回収及びアップグレードするための方法に関する。「不飽和フッ素化炭化水素」という用語は、その炭素鎖上の少なくとも1個のフッ素原子と少なくとも1個の炭素-炭素二重結合とを含む、炭化水素化合物を示す。不飽和フッ素化炭化水素は、2、3、又は4個の炭素原子を含み得る。好ましくは、不飽和フッ素化炭化水素は、3又は4個の炭素原子及び1個の炭素-炭素二重結合を含む。
【0026】
好ましくは、本方法は、特に、
a) 少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む組成物C1を含有する細孔からなる発泡体M1を提供する工程を含む。該発泡体は、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、低温貯蔵デバイス、LNGタンカー(液化ガスの輸送)などのデバイスから得られる。先行技術に記載されているように、発泡体を含むデバイスは、異なる構成要素を分類するために、該デバイスを分解する第1の工程を介してリサイクルされる。例えば、冷蔵デバイスでは、冷却回路に含まれる冷却剤組成物が吸引されて、並行してリサイクルされる。モータ、冷蔵ユニット、スイッチ、鉄又は非鉄の重金属、アルミニウムなどの様々な成分が取り除かれ、特定の選別システムに送られるか、又は輸送される。様々な要素が分類されたら、発泡体は回収され、本方法に記載されている工程に従って処理される。該発泡体は、多孔質材料である。発泡体中に存在する該細孔は、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む組成物C1を含有する。しかしながら、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含有する組成物は、経時的にそれ自体が発泡体によって吸収されたままである。本発明は、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含有する該組成物の回収を最大化することを可能にする。
【0027】
好ましい実施形態によると、該組成物C1に含まれる該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素は、3,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、(E/Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、2,4,4,4-テトラフルオロブト-1-エン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。特に、該不飽和フッ素化炭化水素は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンである。
【0028】
好ましい実施形態によると、該組成物C1はまた、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外のハイドロフルオロカーボン、アルカン、二酸化炭素、ギ酸メチル、不活性ガス、アルコール、エーテル、フッ素化エーテル、不飽和フッ素化エーテル、ケトン、フルオロケトン、クロロフルオロカーボン若しくは水、又はそれらの混合物も含み得る。
【0029】
該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンは、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択され得る。
【0030】
好ましくは、該クロロフルオロカーボンは、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、及びクロロペンタフルオロエタンからなる群から選択される。
【0031】
特定の実施形態によると、本方法は、
b1) 任意選択的に、工程a)で提供された該発泡体M1を粉砕又は圧縮して、粉砕又は圧縮された発泡体を形成する工程;
b2) 任意選択的に、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む、工程b1)の間に放出された該組成物C1の少なくとも一部を回収する工程
を含み得る。
【0032】
該工程b1)は、当業者に公知の好適な粉砕機又は圧縮機を使用して実施され得る。該粉砕は、粉砕された発泡体を得るために実施される。該圧縮は、圧縮及び緻密化された発泡体を得るために実施される。発泡体を粉砕又は圧縮すると、少なくとも1つのフッ素化炭化水素を含む該組成物の少なくとも一部が放出される。粉砕された発泡体は、様々な形状及び寸法のものであり得る。好ましい実施形態によると、粉砕された発泡体は、0.05cm~15cmの寸法を有する。ここに表されている該寸法は、該粉砕された発泡体の最大寸法である。0.05cm未満では、該発泡体は劣化し得て、場合によっては軟化又は溶融し得る。15cm超では、該組成物の放出は最適ではない。好ましくは、粉砕された発泡体は、0.1cm~14cmの寸法を有し、有利には、粉砕された発泡体は、0.1cm~13cmの寸法を有し、好ましくは、粉砕された発泡体は、0.5cm~12cmの寸法を有し、より優先的には、粉砕された発泡体は、1cm~11cmの寸法を有し、特に、粉砕された発泡体は、1~5cmの寸法を有する。
【0033】
前述のように、この粉砕又は圧縮の工程b1)の間に、該発泡体M1中に含有される少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む該組成物C1は、少なくとも部分的に放出されるであろう。したがって、工程b2)の間に、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む、工程b1)の間に放出された該組成物C1の少なくとも一部が回収される。該組成物C1の該少なくとも一部は、吸引デバイスによって回収することができる。好ましくは、工程b1)及びb2)は、該吸引デバイスを備える密閉された処理チャンバ内で実施される。吸引デバイスは、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む、粉砕又は圧縮工程b1)の間に放出された該組成物C1の少なくとも一部を回収することができる少なくとも1つ以上の吸引ノズルを備える。
【0034】
特定の実施形態によると、該発泡体M1は、工程b1)を実施する前に部分真空下に置かれる。これによって、その周りの空気を排出することが可能になる。好ましくは、該発泡体は、0.9bar(相対値)未満かつ0.1bar(相対値)超の圧力下に、好ましくは0.8bar(相対値)未満かつ0.2bar(相対値)超の圧力下に置かれる。
【0035】
工程b2)で回収された少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む該組成物C1の該少なくとも一部は、精製され得る。該精製は、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む該組成物C1の該少なくとも一部をダストフィルタに通すことによって実施され得る。該ダストフィルタは、0.5μm~10μmで変化するサイズを有する細孔を有し得る。この精製工程によって、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む該組成物C1の該少なくとも一部と一緒に吸い上げられた粒子を除去することが可能になる。この精製工程に続いて、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む該組成物C1の該少なくとも一部は、本出願において工程d)及びe)に記載されるように、貯蔵されてから、続いて、処理され得る。
【0036】
工程a)で提供された発泡体、並びに工程b1)及びb2)が実施された場合には工程b1)の粉砕又は圧縮された発泡体は、本方法の工程c)に従って処理するために一緒に収集され得る。
【0037】
したがって、該方法は、工程c):
c) 工程a)で提供された発泡体M1及び/又は工程b1)で得られた該粉砕若しくは圧縮された発泡体を解重合又は溶解させる工程
を含む。
【0038】
解重合と溶解との間の選択は、処理すべき発泡体の種類に応じる。当業者であれば、彼らの一般的な知識によって、最も好適な技法を特定する手法を知っているであろう。例えば、ポリウレタン発泡体を工程c)で処理すべき場合、解重合が好まれるであろう。対照的に、ポリスチレン発泡体を工程c)で処理すべき場合、溶解及び解重合が考慮され得る。
【0039】
好ましい実施形態によると、該発泡体M1は、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ乳酸、ポリイミド、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(メタクリルイミド)、ポリカーボネート若しくはポリスチレン、又はそれらの混合物からなり、好ましくは、発泡体は、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ(メチルメタクリレート)、又はポリスチレンからなる。
【0040】
好ましくは、該発泡体は、ポリウレタンからなる。本明細書に記載されているポリウレタン発泡体は、ポリウレタン単位のみを含むポリマー、及び同様にポリウレタン単位を含む共重合体も包含する。好ましくは、該ポリウレタン発泡体は、該発泡体の総重量に基づいて少なくとも20重量%のポリウレタン単位を含む。好ましい実施形態によると、該ポリウレタン発泡体は、該発泡体の総重量に基づいて少なくとも30重量%のポリウレタン単位、有利には、該発泡体の総重量に基づいて少なくとも40重量%のポリウレタン単位、好ましくは、該発泡体の総重量に基づいて少なくとも50重量%のポリウレタン単位、より優先的には、該発泡体の総重量に基づいて少なくとも60重量%のポリウレタン単位、特に、該発泡体の総重量に基づいて少なくとも70重量%のポリウレタン単位、より具体的には、該発泡体の総重量に基づいて少なくとも80重量%のポリウレタン単位を含む。
【0041】
本発明によると、「ポリウレタン単位」という用語は、単位-[R-NH-CO-O-R]n[式中、置換基R及びRは、C~C30アルキル、C~C30アルケニル、C~C30アリールからなる群から選択され得て;nは、3より大きく、好ましくは10より大きく、特に50より大きい]を含む、化合物を指す。「アルキル」という用語は、少なくとも1個かつ最大30個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アルキル基を意味する。アルキル基は、無置換アリール基、OH、C~C10アルコキシ、又はカルボニル若しくはカルボキシル基で置換されていてもよい。「アルケニル」という用語は、少なくとも2個かつ最大30個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アルケニル基を意味する。アルケニル基は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む。アルケニル基は、2又は3個の炭素-炭素二重結合を含み得る。アルケニル基は、無置換アリール基、OH、C~C10アルコキシ、又はカルボニル若しくはカルボキシル基で置換されていてもよい。「アリール」という用語は、特定の数の炭素原子を含む、無置換であるか又は無置換C~C10アルキル、カルボニル、カルボキシル、OH若しくはC~C10アルコキシ基で置換されている、芳香族炭化水素環を指す。
【0042】
この方法で用いられる発泡体がポリウレタン発泡体である場合、工程c)では、好ましくは解重合工程が実行される。該解重合は、アルコール分解、加水分解、アンモノリシス、又はアミノリシス反応によって実施され得る。
【0043】
アルコール分解反応は、任意選択的に粉砕又は圧縮された、しかし好ましくは粉砕又は圧縮されたポリウレタン発泡体をアルコールと接触させることを含む。好ましくは、アルコールは、30℃~350℃、有利には50℃~325℃、好ましくは60℃~300℃の沸点を有する。好ましくは、アルコールは、グリセロール、メタノール、又はグリコール化合物から選択される。好ましくは、該グリコール化合物は、1000g/mol未満、特に500g/mol未満の分子量を有する。好ましい実施形態によると、グリコール化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジ-、トリ-、テトラ-1,2-プロピレングリコール、ブタンジオール、及びヘキサンジオールからなる群から選択される。アルコールと単位-[R-NH-CO-O-R]-とのモル比は、1/1~5/1、有利には1/1~4/1、好ましくは1/1~3/1、特に1/1~2/1である。該アルコール分解反応は、式R NH3-n[式中、Rは、1個以上のOH基又は1個以上のNH基で置換されていてもよい、1~10個の炭素原子を含むアルキルラジカルであり;nは、1又は2である]のアミンの存在下で実施され得る。アミンが先で定義されているようないくつかの基Rを含む場合、これらは、同一であっても異なっていても、又は一緒に連結して複素環を形成していてもよい。好ましくは、該アミンは、式R NH3-n[式中、Rは、1~4個の炭素原子を含む、1個以上のOH基又は1個以上のNH基で置換されている、アルキルラジカルであり;nは、先に定義されている通りである]のものである。特に、該アミンは、200g/mol未満、好ましくは150g/mol未満の分子量を有する化合物であり得る。より具体的には、該アミンは、メタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン及びトリエタノールアミン、並びにそれらの組み合わせから選択され得る。あるいは、該アミンは、HMTA(すなわち、ヘキサメチレンテトラミン)であり得る。アルコール分解反応はまた、触媒の存在下で実施され得る。該触媒は、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、又は酢酸カリウムなどのアルカリ金属の酢酸塩であり得る。触媒の量は、ポリウレタン発泡体の重量に対して、0.01重量%~5重量%、有利には0.1重量%~5重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%、より優先的には1重量%~5重量%であり得る。アルコール分解による解重合を実施すると、ポリオール化合物、場合によってはウレタン化合物の形成が起こる。
【0044】
加水分解反応は、任意選択的に粉砕又は圧縮された、しかし好ましくは粉砕又は圧縮されたポリウレタン発泡体を水と接触させることを含む。加水分解によるポリウレタン発泡体の解重合の工程は、好ましくは高圧で、有利には2bar(絶対圧)超、好ましくは5bar(絶対圧)超、特に10bar(絶対圧)超の圧力で実施される。加水分解によるポリウレタン発泡体の解重合の工程は、100℃~300℃、好ましくは150℃~300℃の温度で実施されることが好ましい。したがって、水は、少なくとも部分的に水蒸気の形態にある。この加水分解工程の反応時間は、1分~5時間、好ましくは5分~2時間、特に10分~1時間である。加水分解による解重合を実施すると、ポリオール化合物、アミン化合物、及びCOの形成が起こる。
【0045】
ポリウレタン発泡体の解重合の工程は、NH(アンモニア分解反応)、又は第一級アミン若しくは第二級アミン(アミノリシス反応)の存在下での分解によって実施され得る。第一級又は第二級アミンは、好ましくは、式RN[式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、H、無置換であるか又はNH基で置換されているC~C10アルキル、及び無置換であるか又はNH基で置換されているC~C10アルケニル、好ましくは、H、無置換であるか又はNH基で置換されているC~Cアルキル、及び無置換であるか又はNH基で置換されているC~Cアルケニルから選択され;ただし、基R、R、及びRのうちの少なくとも1つは水素を表し、R、R、及びRは同時に水素ではない]のものである。特に、アミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンであり得る。この工程は、50℃~300℃、好ましくは100℃~250℃の温度で実施され得る。アミンとの反応による解重合の工程によって、ポリオール化合物及びアミンの形成が起こる。
【0046】
ポリウレタン発泡体の解重合の工程に使用される方法に関わらず、本方法は、工程c)の間に形成されたポリオール化合物の回収及び精製の工程を含み得る。ポリオール化合物の精製は、蒸留、遠心分離、又は溶媒の存在下での抽出によって実施され得る。精製後に、精製されたポリオール化合物は、好ましくは、ポリウレタンを製造するための方法に使用される。
【0047】
別の好ましい実施形態によると、該発泡体は、ポリスチレンからなる。この場合、工程c)は、該ポリスチレン発泡体を、該発泡体を溶解させることができる有機溶媒と接触させることによって実施される。本発明では、「ポリスチレン」という用語は、式-[CHCH(C )]n-[式中、C は、Rが独立してH又はC~Cアルキルである芳香族炭素環を表し;nは、3より大きく、好ましくは10より大きく、特に50より大きい]の少なくとも1つの単位を含むポリマー又は共重合体を指す。好ましくは、この溶解工程は、10℃~150℃、好ましくは20℃~100℃の範囲の温度で実施され得る。好ましい実施形態によると、該有機溶媒は、n-オクタン、n-ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、スチレン、o-キシレン、エチルベンゼン、p-ジエチルベンゼン、p-シメン、クロロメタン、1,1-ジクロロエチレン、二塩化エチレン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジベンジルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルケトン、アセトフェノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、イソホロン、ジ(イソブチル)ケトン、酢酸メチル、ギ酸エチル、1,2-プロピレンカーボネート、酢酸エチル、炭酸ジエチル、酢酸n-ブチル、酢酸2-エトキシエチル、酢酸イソアミル、2-ニトロプロパン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、モルホリン、アニリン、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキシルアミン、キノリン、N,N-ジメチルホルムアミド、二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、エタンジオール、エタノール、アリルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-デカノール、安息香酸、ステアリン酸、フェノール、レゾルシノール、m-クレゾール、サリチル酸メチル、エチレングリコール、グリセロール、及びプロピレングリコール、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0048】
有機溶媒とポリスチレン発泡体とを接触させると、該有機溶媒と溶解したポリスチレンとを含有する液相Lの形成が起こる。該液相Lは、その中にポリスチレンが溶解される;(すなわち、液相Lのポリスチレンが濃縮される)ことに起因して経時的に変化するため、前述のような2つ以上の有機溶媒の混合物が考慮され得る。したがって、1つの溶媒では、液相が高濃度のポリスチレンを有さない場合にはポリスチレンを溶解させることができ得るが、液相のポリスチレンがより濃縮されると、もはやポリスチレンを溶解させることができなくなり得る。したがって、溶媒の混合物を使用することが有用であり得て、それらの溶媒のうちの1つは、ポリスチレンを低濃度の液相に溶解させることを可能にし、それらの他の溶媒は、ポリスチレンをより濃縮された液相に溶解させることを可能にする。したがって、有機溶媒の混合物は、液相L中のポリスチレン濃度が何であれポリスチレンの溶解を可能にするように選択され得る。この液相Lは、その後、精製され得る。この液相Lの精製は、例えば、蒸留、濾過、及び/又は非溶媒との接触による沈殿の工程を含む。有機溶媒の混合物が使用される場合、特に有機溶媒が共沸混合物を形成する場合、蒸留が使用され得る。有機溶媒は、ポリスチレンと再び接触させるために、回収及びリサイクルされ得る。濾過によって、該有機溶媒に非可溶型の残留物を除去することが可能になる。精製は、後続の工程である沈殿及び洗浄も含み得る。したがって、液相Lは、好ましくは、液相L中に含有されるポリスチレンを沈殿することができる非溶媒と接触させられる。有機溶媒(複数可)及び非溶媒は、回収、分離、及びリサイクルされる。好ましくは、有機溶媒(複数可)及び非溶媒は同一であり、圧力及び温度条件に応じてポリスチレンを溶解又は沈殿することができる。したがって、ポリスチレンを沈殿して有機溶媒(複数可)を回収するためには、圧力及び温度の条件を変えれば十分であろう。次いで、このようにして沈殿したポリスチレンは、該非溶媒で洗浄する1つ以上の工程にかけられる。非溶媒と液相Lとの体積比は、2:1~4:1である。該非溶媒は、好ましくは、直鎖状又は分岐状C~C10アルカン、特に直鎖状又は分岐状C~Cアルカンである。洗浄工程(複数可)の後には、一般に、100℃~130℃、好ましくは115℃~125℃の温度で該沈殿したポリスチレンを乾燥させる工程が続く。
【0049】
別の実施形態によると、ポリスチレンからなる該発泡体は、工程c)で解重合され得る。ポリスチレンの解重合は、好ましくは熱によって実施される。したがって、ポリスチレンからなる該発泡体は、好ましくは、200℃~500℃の温度に加熱される。そのような温度では、ポリスチレンは、溶融状態にあり、次いで、解重合される。特定の実施形態によると、解重合は、ラジカル開始剤、有利には過酸化物型ラジカル開始剤の存在下で実施され得る。好ましくは、ラジカル開始剤は、有機過酸化物、無機過酸化物、又は超酸化物、例えば、過酸化バリウム(BaO)、超酸化カリウム(KO)、超酸化セシウム(CsO)、過炭酸塩、過酸化水和物化合物、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。言及され得る解重合開始触媒としては、過酸化水素(H)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、炭酸ナトリウム(又はカリウム又はマグネシウム又はカルシウム)過酸化水和物(2NaCO.3H)、炭酸アンモニウム過酸化水和物((NHCO.H)、過酸化尿素(CO(NH.H)、硫酸ナトリウム過酸化水和物(2NaSO.H.2HO)、Hと無機塩との複合体、ポリ(ビニルピロリドン)ポリマーの過酸化水和物(PVP.H)、過硫酸塩、過マンガン酸塩、過ホウ酸塩、及びリン酸塩過酸化水和物が挙げられる。
【0050】
別の実施形態によると、該発泡体は、ポリ(メチルメタクリレート)からなる。「ポリ(メチルメタクリレート)」という用語は、式-[CH-CH(CH)(C(O)-O-CH)]n[式中、nは、3より大きく、好ましくは10より大きく、特に50より大きい]の単位を含む、ポリマーを指す。工程c)は、好ましくは200℃~500℃の温度で、熱解重合によって実施され得る。そのような温度のとき、ポリ(メチルメタクリレート)は、固体又は溶融状態にある。特定の実施形態によると、解重合は、ラジカル開始剤、有利には過酸化物型ラジカル開始剤の存在下で実施され得る。好ましくは、ラジカル開始剤は、有機過酸化物、無機過酸化物、又は超酸化物、例えば、過酸化バリウム(BaO)、超酸化カリウム(KO)、超酸化セシウム(CsO)、過炭酸塩、過酸化水和物化合物、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。言及され得る解重合開始触媒としては、過酸化水素(H)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、炭酸ナトリウム(又はカリウム又はマグネシウム又はカルシウム)過酸化水和物(2NaCO.3H)、炭酸アンモニウム過酸化水和物((NHCO3.)、過酸化尿素(CO(NH.H)、硫酸ナトリウム過酸化水和物(2NaSO.H.2HO)、Hと無機塩との複合体、ポリ(ビニルピロリドン)ポリマーの過酸化水和物(PVP.H)、過硫酸塩、過マンガン酸塩、過ホウ酸塩、及びリン酸塩過酸化水和物が挙げられる。
【0051】
あるいは、該発泡体がポリ(メチルメタクリレート)からなる場合、工程c)は、ポリ(メチルメタクリレート)を溶解させることができる有機溶媒にポリ(メチルメタクリレート)を溶解させることによって実施され得る。好ましくは、該有機溶媒は、メチルメタクリレートである。ポリ(メチルメタクリレート)を溶解させるためのメチルメタクリレートの使用は、このようにして形成された液相を、任意選択的な濾過工程の後に、ポリ(メチルメタクリレート)を製造するための方法で使用することができるため、有利である。あるいは、該有機溶媒は、トルエン、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン、ニトロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼン、クロロベンゼン、キシレン、メトキシベンゼン、フタル酸ジエチル、酢酸メトキシプロピル、酢酸エチル、乳酸エチル、ギ酸からなる群から選択され得る。
【0052】
好ましくは、ポリ(メチルメタクリレート)発泡体の溶解は、20℃~200℃、好ましくは25℃~100℃、好ましくは30~80℃の温度で実施される。溶解は、圧力下で実施され得る。
【0053】
別の実施形態によると、該発泡体は、ポリヒドロキシアルカノエート(すなわち、PHA)、好ましくはポリプロピオラクトン又はポリ-3-ヒドロキシプロピオネートからなる。この場合、工程c)は、解重合によって実施される。好ましくは、解重合は、加水分解又は熱によって実施される。熱解重合は、100℃超、有利には150℃超、好ましくは200℃超;かつ400℃未満、好ましくは300℃未満の温度で実施される。好ましくは、熱解重合は、窒素、CO、又はアルゴンなどの不活性ガスの存在下で実施される。好ましくは、熱解重合は、1bar(絶対圧)未満の圧力で実施される。あるいは、熱解重合は、部分真空下で実施され得る。好ましくは、熱解重合は、解重合触媒の存在下で実施される。好ましくは、該解重合触媒は、元素P、S、W、B、Nb、Taのうちの1つ以上がドープされた、混合酸化物、ゼオライト、アルミナ、チタン、又はジルコニウム酸化物などの酸触媒からなる群から選択される。
【0054】
あるいは、工程c)は、加水分解によって実施され得る。この場合、工程c)は、水の存在下で、20℃~100℃の温度で実施され得る。
【0055】
ポリプロピオラクトンタイプの発泡体を用いて工程c)を実施すると、3-ヒドロキシプロピオン酸を形成することが可能になり、その後、これを特定の方法でアクリル酸にアップグレードすることができる。
【0056】
別の実施形態によると、該発泡体は、ポリ乳酸からなり、すなわち、これは、式-[CH(CH)-C(O)O-]n[式中、nは、3より大きく、好ましくは10より大きく、特に50より大きい]の単位を含む。工程c)は、溶解又は解重合によって実施され得る。ポリ乳酸の溶解は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、m-クレゾール、ピリジン、N-メチルピロリドン、ブチロラクトン、酢酸エチル、プロピレンカーボネート、アセトン、アセトニトリル、ニトロベンゼン、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、クロロホルムから選択される有機溶媒の存在下で実施され得る。あるいは、ポリ乳酸の溶解は、乳酸エステルなどの有機溶媒の存在下で実施され得る。乳酸エステルは、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸ヘキシルであり得る。有機溶媒に可溶型ではない粒子を除去するために、溶解工程の後に濾過工程が続き得る。
【0057】
ポリ乳酸の解重合は、80℃~180℃、好ましくは100℃~150℃、特に120℃~140℃の温度で加水分解によって実施され得る。加水分解による解重合は、1bara未満の圧力又は1bara~10baraの圧力で実施され得る。加水分解による解重合は、水の存在下で、又はNaOH若しくはKOHのアルカリ性溶液の存在下で実施され得る。加水分解による解重合は、任意選択的に、オクタン酸スズ、乳酸スズ、オクタン酸アンチモン、オクタン酸亜鉛、APTS、又はトリアザビシクロデセンから選択されるルイス酸などの触媒の存在下で実施され得る。加水分解による解重合は、任意選択的に、ブレンステッド酸などの触媒の存在下で実施され得る。
【0058】
ポリ乳酸の加水分解による解重合によって、乳酸の形成が起こり、これは、ポリ乳酸を製造するための方法におけるその後の使用によって、あるいはアクリル酸への脱水又はエステルへの変換によってアップグレードされ得る。
【0059】
別の実施形態によると、該発泡体は、ポリオレフィンであり得る。好ましくは、ポリオレフィンは、ポリエチレン又はポリプロピレンである。この場合、工程c)は、有機溶媒への溶解によって実施される。工程c)は、100℃~300℃の温度で実施され得る。該有機溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、テトラリン、デカリン、又は1,2,4-トリクロロベンゼンであり得る。溶解後に、有機溶媒に溶解したポリオレフィンによって形成された液相は、非可溶型の粒子を除去するために濾過され得る。濾過後に、液相に溶解したポリオレフィンは、当業者に公知の技法によって沈殿され得る。
【0060】
別の実施形態によると、該発泡体は、ポリイミド、ポリカーボネート、又はポリ(エーテルイミド)であり得る。この場合、発泡体は、ポリウレタンについて先に記載されているように、解重合によって処理される。
【0061】
別の実施形態によると、該発泡体は、ポリ(メタクリルイミド)であり得る。この場合、発泡体は、ポリ(メチルメタクリレート)について先に記載されているように処理される。ポリ(メタクリルイミド)を解重合させると、メタクリロニトリルの製造が可能になり、これは、メチルメタクリレートの手法と同等の手法でアップグレードすることができる。
【0062】
別の実施形態によると、該発泡体は、ポリ(塩化ビニル)又はポリ(エチレン/酢酸ビニル)であり得る。この場合、発泡体は、ポリオレフィンについて先に記載されているように処理される。ポリ(塩化ビニル)の場合、これは、蒸気の注入で沈殿によって回収することができ、それによって、溶媒のエバポレーションが生じる。
【0063】
代替的な実施形態によると、該発泡体が、ポリオレフィン、ポリスチレン、又はポリ(塩化ビニル)若しくはポリ(エチレン/酢酸ビニル)からなる場合、工程c)は、脱揮によって実施され得る。該発泡体は、該発泡体が溶融状態であるような温度に加熱される。したがって、該発泡体の細孔に含まれる該組成物C1は、気体状態で放出され、本方法の工程d)で使用するために回収される。
【0064】
工程c)の間に、発泡体の解重合又は溶解によって、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む該組成物C1が放出される。したがって、本方法は、
d) 少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む、工程c)の間に放出された該組成物C1の少なくとも一部を回収し、任意選択的に、それを工程b2)で回収された組成物の該少なくとも一部と混合して、少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む流Aを形成する工程
を含む。
【0065】
該組成物C1の該少なくとも一部は、吸引デバイスによって回収することができる。好ましくは、該工程c)及びd)は、空気のガスによって組成物のガスの汚染を制限するために、該吸引デバイスを備える密閉された処理チャンバ内で実施される。吸引デバイスは、少なくとも1つのフッ素化炭化水素を含む、工程c)の間に放出された該組成物の少なくとも一部を回収することができる少なくとも1つ以上の吸引ノズルを備える。工程d)で回収された少なくとも1つのフッ素化炭化水素を含む該組成物C1の該少なくとも一部を、工程b2)で回収された組成物C1の該少なくとも一部と混合して、少なくとも1つのフッ素化炭化水素を含む流Aを形成することができる。該流Aは、1つ以上のダストフィルタに通すことによって精製され得る。該ダストフィルタは、0.5μm~10μmで変化するサイズを有する細孔を有し得る。この精製工程によって、該流Aと一緒に吸い上げられた粒子を除去することが可能になる。
【0066】
工程d)で形成された該流Aは、その中に含まれる構成要素を分離するために回収及び精製される。
【0067】
したがって、本方法は、
e) 工程d)で形成された該流Aを回収及び分離して、少なくとも1つの流B1が該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む複数の流にする工程
を含む。
【0068】
したがって、該流Aは、3,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、(E/Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、2,4,4,4-テトラフルオロブト-1-エン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む。
【0069】
該組成物C1の構成要素に応じて、該流Aはまた、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素以外のハイドロフルオロカーボン、アルカン、ギ酸メチル、不活性ガス、アルコール、エーテル、フッ素化エーテル、不飽和フッ素化エーテル、ケトン、フルオロケトン、クロロフルオロカーボン若しくは水、又はそれらの混合物も含み得る。
【0070】
好ましくは、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンは、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される。
【0071】
好ましくは、不活性ガスは、窒素、アルゴン若しくはCO、又はそれらの混合物である。
【0072】
好ましくは、クロロフルオロカーボンは、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、及びクロロペンタフルオロエタンからなる群から選択される。
【0073】
好ましい実施形態によると、該流Aは、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンと、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素以外のハイドロフルオロカーボンとを含む。あるいは、該流Aは、先に記載されているように、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び不活性ガスを含む。
【0074】
あるいは、該流A中の該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の含有量は、該流Aの総体積に基づいて、50体積%~99体積%である。該流A中の該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の含有量は、51体積%~99体積%、52体積%~99体積%、53体積%~99体積%、54体積%~99体積%、55体積%~99体積%、56体積%~99体積%、57体積%~99体積%、58体積%~99体積%、59体積%~99体積%、60体積%~99体積%、61体積%~99体積%、62体積%~99体積%、63体積%~99体積%、64体積%~99体積%、65体積%~99体積%、66体積%~99体積%、67体積%~99体積%、68体積%~99体積%、69体積%~99体積%、70体積%~99体積%、71体積%~99体積%、72体積%~99体積%、73体積%~99体積%、74体積%~99体積%、又は75体積%~99体積%であり得る。該流A中の該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の含有量はまた、該流Aの総体積に基づいて、75体積%~98体積%、75体積%~97体積%、75体積%~96体積%、75体積%~95体積%、75体積%~94体積%、75体積%~93体積%、75体積%~92体積%、75体積%~91体積%、又は75体積%~90体積%であり得る。前述の含有量を有する該流Aは、細孔が該組成物C1を含有する発泡体M1から出発してこの方法が実施される場合に得ることができる。
【0075】
本出願で言及されるように、本方法はまた、前世代の発泡剤を含有する発泡体を処理及びリサイクルすることを可能にし、これは、新世代の発泡剤を含む発泡体M1の処理と同時に行われる。したがって、本方法では、工程a)はまた、
- ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択されるハイドロフルオロカーボンを含む組成物C2を含有する細孔からなる発泡体M2を提供すること、又は
- トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンからなる群から選択されるクロロフルオロカーボンを含む組成物C3を含有する細孔からなる発泡体M3を提供すること、又は
- 該発泡体M2とM3との混合物を提供すること
を含み得る。
【0076】
工程a)が、発泡体M1に加えて発泡体M2及び/又はM3を提供する場合、発泡体M2及び発泡体M3は、該発泡体M1のポリマーと同一のポリマーからなる。したがって、工程c)は、発泡体M1の場合のように、発泡体M2及び/又はM3の存在下で同じ手法で実施される。
【0077】
好ましくは、発泡体M2及びM3は、より古い世代の発泡剤を含有する。したがって、組成物C2及び組成物C3は、本出願(新世代の発泡剤を表す)に定義されているような不飽和フッ素化炭化水素を欠いている。好ましくは、組成物C2及び組成物C3は、1個の炭素-炭素二重結合を含む不飽和フッ素化炭化水素を欠いており;特に、組成物C2及び組成物C3は、3又は4個の炭素原子と1個の炭素-炭素二重結合とを含む不飽和フッ素化炭化水素を欠いている。より具体的には、組成物C2及び組成物C3は、3,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、(E/Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、2,4,4,4-テトラフルオロブト-1-エン、並びにそれらの混合物からなる群から選択される不飽和フッ素化炭化水素を欠いている。好適には、組成物C2及び組成物C3は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを欠いている。
【0078】
発泡体M2及び/又はM3が工程a)で提供された場合、この方法は、以下の工程b)~e):
b1) 任意選択的に、工程a)で提供された、該発泡体M1、該発泡体M2、及び/又は該発泡体M3を粉砕又は圧縮して、粉砕された発泡体又は圧縮された発泡体を形成する工程;
b2) 任意選択的に、工程b1)の間に放出された、該組成物C1の少なくとも一部、及び該組成物C2の少なくとも一部、及び/又は該組成物C3の少なくとも一部を回収する工程;
c) 工程a)で提供された、該発泡体M1、及び該発泡体M2、及び/若しくは該発泡体M3、又は工程b1)で得られた該粉砕若しくは圧縮された発泡体を解重合又は溶解させる工程;
d) 工程c)の間に放出された、該組成物C1の少なくとも一部、及び該組成物C2の少なくとも一部、及び/又は該組成物C3の少なくとも一部を回収し、任意選択的に、これらを工程b2)で回収されたものと混合して、流Aを形成する工程;
e) 該流Aを回収及び分離して、少なくとも1つの流B1が該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む複数の流にする工程
を含む。
【0079】
したがって、特定の実施形態によると、本方法は、
a) 少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む組成物C1を含有する細孔からなる発泡体M1を提供する工程;及び
- ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択されるハイドロフルオロカーボンを含む組成物C2を含有する細孔からなる発泡体M2を提供する工程、又は
- トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタンからなる群から選択されるクロロフルオロカーボンを含む組成物C3を含有する細孔からなる発泡体M3を提供する工程、又は
- 該発泡体M2とM3との混合物を提供する工程;
b1) 任意選択的に、工程a)で提供された、該発泡体M1、該発泡体M2、及び/又は該発泡体M3を粉砕又は圧縮して、粉砕された発泡体又は圧縮された発泡体を形成する工程;
b2) 任意選択的に、工程b1)の間に放出された、該組成物C1の少なくとも一部、及び該組成物C2の少なくとも一部、及び/又は該組成物C3の少なくとも一部を回収する工程;
c) 工程a)で提供された、該発泡体M1、及び該発泡体M2、及び/若しくは該発泡体M3、又は工程b1)で得られた該粉砕若しくは圧縮された発泡体を解重合又は溶解させる工程;
d) 工程c)の間に放出された、該組成物C1の少なくとも一部、及び該組成物C2の少なくとも一部、及び/又は該組成物C3の少なくとも一部を回収し、任意選択的に、これらを工程b2)で回収されたものと混合して、流Aを形成する工程;
e) 該流Aを回収及び分離して、少なくとも1つの流B1が該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む複数の流にする工程
を含む。
【0080】
この実施形態では、好ましくは、該流Aは、該流Aの総体積に基づいて、0.1体積%~50体積%の該少なくとも1つのフッ素化炭化水素の含有量を含む。特に、該流A中の該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の含有量は、該流Aの総体積に基づいて、0.1体積%~50体積%である。該流A中の該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の含有量は、0.5体積%~50体積%、1体積%~50体積%、2体積%~50体積%、3体積%~50体積%、4体積%~50体積%、5体積%~50体積%、6体積%~50体積%、7体積%~50体積%、8体積%~50体積%、9体積%~50体積%、10体積%~50体積%、11体積%~50体積%、12体積%~50体積%、13体積%~50体積%、14体積%~50体積%、15体積%~50体積%、16体積%~50体積%、17体積%~50体積%、18体積%~50体積%、19体積%~50体積%、20体積%~50体積%、21体積%~50体積%、22体積%~50体積%、23体積%~50体積%、24体積%~50体積%、又は25体積%~50体積%であり得る。該流A中の該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の含有量はまた、該流Aの総体積に基づいて、0.1体積%~49体積%、0.1体積%~48体積%、0.1体積%~47体積%、0.1体積%~46体積%、0.1体積%~45体積%、0.1体積%~44体積%、0.1体積%~43体積%、0.1体積%~42体積%、0.1体積%~41体積%、0.1体積%~40体積%、0.1体積%~39体積%、0.1体積%~38体積%、0.1体積%~37体積%、0.1体積%~36体積%、0.1体積%~35体積%、0.1体積%~34体積%、0.1体積%~33体積%、0.1体積%~32体積%、0.1体積%~31体積%、0.1体積%~30体積%、0.1体積%~29体積%、0.1体積%~28体積%、0.1体積%~27体積%、0.1体積%~26体積%、0.1体積%~25体積%、0.1体積%~24体積%、0.1体積%~23体積%、0.1体積%~22体積%、0.1体積%~21体積%、又は0.1体積%~20体積%であり得る。前述の含有量を有する該流Aは、この方法が、発泡体の混合物から出発して実施される場合に得ることができ、これらの発泡体の一部は、該不飽和フッ素化炭化水素以外の化合物、例えば、本発明に定義されているような該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボン、又はクロロフルオロカーボンを含有する。
【0081】
該流Aは、好ましくは、蒸留、共沸蒸留、加圧蒸留、抽出蒸留、低温分離、溶媒への吸収、又はそれらの組み合わせによって分離される。先の技法のいずれか1つによる該流Aの分離によって、複数の流Bの形成が起こり、そのうちの少なくとも1つの流B1は、好ましくは1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(すなわち、HCFO-1233zd)を含む該不飽和フッ素化炭化水素を含む。
【0082】
この流B1において、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素、好ましくはHCFO-1233zdのモル含有量は、該流A中の該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素、好ましくはHCFO-1233zdのモル含有量よりも大きい。これらの蒸留に適用される温度及び圧力の条件は、該流B1中の少なくとも1つの該不飽和フッ素化炭化水素、好ましくはHCFO-1233zdのモル含有量が80%超、有利には85%超、好ましくは90%超、特に95%超となるような条件である。
【0083】
蒸留による分離の工程は、好ましくは、少なくとも2つの蒸留塔を含む。第1の蒸留塔は、例えば、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の沸点よりも低い、好ましくは1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)の沸点よりも低い沸点を有する生成物の一部を除去することを可能にする。第2の蒸留塔は、例えば、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の沸点よりも大きな、好ましくは1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの沸点よりも大きな沸点を有する生成物の一部を除去することを可能にする。あるいは、第1の蒸留塔は、例えば、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の沸点よりも大きな、好ましくは1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)の沸点よりも大きな沸点を有する生成物の一部を除去することを可能にする。第2の蒸留塔は、例えば、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の沸点よりも低い、好ましくは1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの沸点よりも低い沸点を有する生成物の一部を除去することを可能にする。
【0084】
該流B1は、該少なくとも2回目の蒸留後に得られる流である。
【0085】
先に示したように、複数の流が工程e)で得られる。流B1に加えて、組成物C2及び/又はC3の全て又は一部を含む流B2も得ることができる。組成物C2及び/又はC3中に含有されている、流B2において回収された化合物は、アップグレードされ、医薬化合物、植物検疫化合物、フッ素化ポリマーを製造するための、又は冷凍、伝熱流体若しくは発泡剤の用途の他のフッ素化ガスを製造するための合成前駆体又は中間体として使用され得る(例えば、HFC-152a又はHFC-143aは、1,1-ジフルオロエチレンを調製するために使用され得る)。
【0086】
前述のように、抽出蒸留を使用して、該流A中に存在する構成要素を分離することができる。この場合、該流Aを有機抽出剤と混合し、得られた混合物を蒸留して、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素を含む該流B1を形成する。
【0087】
抽出蒸留は、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンから該フッ素化炭化水素を分離するのに特に有利である。したがって、少なくとも1つのフッ素化炭化水素と該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンとを含む該流Aは、該有機抽出剤と混合される。得られた混合物は蒸留されて、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素を含む該流B1、及び該有機抽出剤と該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンとを含む流B2が形成される。
【0088】
好ましくは、該有機抽出剤は、10℃~200℃の沸点を有する。
【0089】
好ましい実施形態によると、該有機抽出剤は、1.1以上の分離係数S1,2を有し、該分離係数は、式S1,2=(γ1,S P1)/(γ2,S P2)[式中、
γ1,Sは、無限希釈時の、該有機抽出剤中での該少なくとも1つのフッ素化炭化水素の活量係数を表し、
P1は、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素の飽和蒸気圧を表し、
γ2,Sは、無限希釈時の、該有機抽出剤中での、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンの活量係数を表し、
P2は、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンの飽和蒸気圧を表す]
によって計算され;有利には、分離係数S1,2は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より優先的には1.5以上、特に1.8以上、より具体的には1.9以上であり得る。
【0090】
好ましい実施形態によると、該有機抽出剤は、1.1以上の分離係数S1,2を有し、該分離係数は、式S1,2=(γ1,S P1)/(γ2,S P2)[式中、
γ1,Sは、無限希釈時の、該有機抽出剤中での、3,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、(E/Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、2,4,4,4-テトラフルオロブト-1-エンからなる群から選択されるフッ素化炭化水素のうちの1つの活量係数を表し、
P1は、3,3,3-トリフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、(E/Z)-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン及び1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、(E/Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン、2,4,4,4-テトラフルオロブト-1-エンからなる群から選択されるフッ素化炭化水素のうちの1つの飽和蒸気圧を表し、
γ2,Sは、無限希釈時の、該有機抽出剤中での、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンの活量係数を表し、
P2は、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンの飽和蒸気圧を表す]
によって計算され;有利には、分離係数S1,2は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より優先的には1.5以上、特に1.8以上、より具体的には1.9以上であり得る。
【0091】
γ1,S、及びP1の値についても、同じ化合物を考慮する必要がある。したがって、γ1,Sについて考慮される活量係数が3,3,3-トリフルオロプロペンの活量係数である場合、P1は、3,3,3-トリフルオロプロペンの飽和蒸気圧を表す。γ2,S、及びP2の値についても、同じ化合物を考慮する必要がある。したがって、γ2,Sがジフルオロメタンの活量係数を表す場合、P2は、ジフルオロメタンの飽和蒸気圧を表す。
【0092】
好ましい実施形態によると、該有機抽出剤は、1.1以上の分離係数S1,2を有し、該分離係数は、式S1,2=(γ1,S P1)/(γ2,S P2)[式中、
γ1,Sは、無限希釈時の、該有機抽出剤中での1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの活量係数を表し、
P1は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの飽和蒸気圧を表し、
γ2,Sは、無限希釈時の、該有機抽出剤中での、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンの活量係数を表し、
P2は、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンの飽和蒸気圧を表す]
によって計算され;有利には、分離係数S1,2は、1.2以上、好ましくは1.4以上、より優先的には1.5以上、特に1.8以上、より具体的には1.9以上であり得る。
【0093】
本出願では、飽和蒸気圧は、25℃の温度で考慮される。
【0094】
好ましい実施形態によると、該有機抽出剤は、0.20以上の吸収容量C2,Sを有し、該吸収容量は、式C2,S=1/(γ2,S)[式中、γ2,Sは、無限希釈時の、該有機抽出剤中での、ジフルオロメタン(HFC-32)、フルオロエタン(HFC-161)、1,2-ジフルオロエタン(HFC-152)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC-143)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)からなる群から選択される、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素以外の該ハイドロフルオロカーボンの活量係数を表す]によって計算され;有利には、吸収容量C2,Sは、0.40以上、好ましくは0.60以上、より優先的には0.80以上、特に0.90以上、より具体的には1.0以上、好適には1.05以上である。
【0095】
好ましい実施形態によると、該有機抽出剤は、炭化水素、ハロ炭化水素、アルコール、ケトン、アミン、エステル、エーテル、アルデヒド、ニトリル、カーボネート、チオアルキル、アミド、及び複素環からなる群から選択される溶媒である。有利には、該有機抽出剤は、アルコール、ケトン、アミン、エステル、及び複素環からなる群から選択される溶媒である。
【0096】
抽出蒸留の文脈において、本明細書で使用される「炭化水素」という用語は、直鎖状又は分岐状のC~C20アルカン、C~C20シクロアルカン、C~C20アルケン、C~C20シクロアルケン、又はC~C18アレーン化合物を指す。例えば、「アルカン」という用語は、式C2n+2[式中、nは、1~20である]の化合物を指す。「C~C20アルカン」という用語は、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、及びデカン、又はそれらの異性体を含む。「C~C20アルケン」という用語は、1個以上の炭素-炭素二重結合を含み、かつ5~20個の炭素原子を含む、炭化水素系化合物を指す。「C~C20シクロアルカン」という用語は、3~20個の炭素原子を含む飽和炭化水素系の環を指す。「C~C18アリール」という用語は、6~18個の炭素原子を含む環状及び芳香族炭化水素系化合物を指す。「C~C20シクロアルケン」という用語は、5~20個の炭素原子を含み、かつ1個以上の炭素-炭素二重結合を含む、環状炭化水素系化合物を指す。「アルキル」という用語は、1~20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アルカンから生じる一価ラジカルを示す。「シクロアルキル」という用語は、3~20個の炭素原子を含むシクロアルカンから生じる一価ラジカルを示す。「アリール」という用語は、6~18個の炭素原子を含むアレーンから生じる一価ラジカルを示す。「アルケニル」という用語は、2~20個の炭素原子と少なくとも1個の炭素-炭素二重結合との一価ラジカルを示す。「アルキニル」という用語は、2~20個の炭素原子と少なくとも1個の炭素-炭素三重結合との一価ラジカルを示す。「ハロゲン」という用語は、-F、-Cl、-Br、又は-I基を指す。「シクロアルケニル」という用語は、3~20個の炭素原子を含むシクロアルケンから生じる一価ラジカルを指す。C~C20アルキル、C~C20アルケニル、C~C20アルキニル、C~C20シクロアルキル、C~C20シクロアルケニル、及びC~C18アリール置換基は、無置換であっても又は1個以上の-OH、ハロゲン、-NRC(O)R、-C(O)NR-CN、-NO、-NR、-OR、-SR、-CO、-OC(O)OR、-OC(O)R、-C(O)H、若しくは-C(O)R置換基[式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素、無置換C~C20アルキル、無置換C~C20アルケニル、無置換C~C20アルキニル、無置換C~C20シクロアルキル、無置換C~C20シクロアルケニル、又は無置換C~C18アリールである]で置換されていてもよい。-NR置換基では、R及びRは、それらが結合している窒素原子とともに、飽和又は不飽和の、芳香族又は非芳香族の5~10員複素環を形成し得る。
【0097】
「ハロ炭化水素」という用語は、式RX[式中、Rは、C~C20アルキル、C~C20アルケニル、C~C20アルキニル、C~C20シクロアルキル、C~C20シクロアルケニル、及びC~C18アリールから選択され、Xは、塩素、フッ素、臭素、又はヨウ素原子を表す]の化合物を指す。C~C20アルキル、C~C20アルケニル、C~C20アルキニル、C~C20シクロアルキル、C~C20シクロアルケニル、及びC~C18アリール置換基は、無置換であっても又は1つ以上の-OH、ハロゲン、-NRC(O)R、-C(O)NR-CN、-NO、-NR、-OR、-SR、-CO、-OC(O)OR、-OC(O)R、-C(O)H、-C(O)R置換基[式中、R及びRは、先に定義されている通りである]で置換されていてもよい。
【0098】
「アルコール」という用語は、少なくとも1個の水素原子がヒドロキシル基-OHで置き換えられた、先に定義されている通りの炭化水素又はハロ炭化水素を指す。
【0099】
「ケトン」という用語は、少なくとも1個以上のカルボニル官能基R-C(O)-R[式中、R及びRは、それぞれ独立して、C~C20アルキル、C~C20アルケニル、C~C20アルキニル、C~C20シクロアルキル、C~C20シクロアルケニル、又はC~C18アリールであり、無置換であっても又は1個以上の-OH、ハロゲン、-NRC(O)R、-C(O)NR-CN、-NO、-NR、-OR、-SR、-CO、-OC(O)OR、-OC(O)R、-C(O)H、-C(O)R置換基[式中、R及びRは、先に定義されている通りである]で置換されていてもよく、R及びRは、場合によって一緒に連結して、それらが結合しているカルボニル基とともに、4~10員、好ましくは4~7員の環状ケトンを形成する]を含む、炭化水素を指す。環状ケトンはまた、1個以上の炭素-炭素二重結合も含み得る。環状ケトンはまた、無置換であっても又は先に定義されている通りの1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0100】
「アミン」という用語は、少なくとも1個以上のアミン官能基-NR[式中、R及びRは、先に定義されている通りであり、R及びRは、場合によって一緒に連結して、それらが結合している窒素原子とともに、4~10員の芳香族又は非芳香族複素環を形成する]を含む、炭化水素を指す。
【0101】
「エステル」という用語は、式R-C(O)-O-R[式中、R及びRは、先に定義されている通りであり、R及びRは、場合によって一緒に連結して、エステル基とともに、4~20個の炭素原子を含む環を形成する]の化合物を指す。
【0102】
「エーテル」という用語は、式R-O-R[式中、R及びRは、先に定義されている通りであり、R及びRは、場合によって一緒に連結して、それらが結合している酸素原子とともに、4~20個の炭素原子を含む複素環を形成する]の化合物を指す。
【0103】
「アルデヒド」という用語は、少なくとも1個以上の-C(O)-H官能基を含む化合物を指す。
【0104】
「ニトリル」という用語は、少なくとも1個以上の-CN官能基を含む化合物を指す。
【0105】
「カーボネート」という用語は、式R-O-C(O)-O-R[式中、R及びRは、先に定義されている通りである]の化合物を指す。
【0106】
「チオアルキル」という用語は、式RSR[式中、R及びRは、先に定義されている通りである]の化合物を指す。
【0107】
「アミド」という用語は、式RC(O)NR[式中、R及びRは、先に定義されている通りであり、Rは、Rと同じ定義を有し、R及びRは、場合によって一緒に連結して、それらが結合しているアミド基-C(O)N-とともに、4~10員、好ましくは4~7員の環状アミドを形成する]の化合物に関する。環状アミドはまた、1個以上の炭素-炭素二重結合も含み得る。環状アミドはまた、無置換であっても又は先に定義されている通りの1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0108】
「複素環」という用語は、4~10員の炭素系の環を示し、その環員のうちの少なくとも1つは、O、S、P、及びNからなる群から選択されるヘテロ原子である。複素環は、1個以上の炭素-炭素二重結合、又は1個以上の炭素-ヘテロ原子二重結合、又は1個以上のヘテロ原子-ヘテロ原子二重結合を含み得る。好ましくは、複素環は、先に定義されているように、1、2、3、4、又は5個のヘテロ原子を含み得る。特に、複素環は、酸素、窒素、及び硫黄から選択される、1、2、又は3個のヘテロ原子を含み得る。好ましくは、複素環は、4~6員の炭素ベースの環であり得て、その1、2、又は3環員は、O及びNから選択されるヘテロ原子である。複素環は、無置換であっても又は-OH、ハロゲン、-NRC(O)R、-C(O)NR-CN、-NO、-NR、-OR、-SR、-CO、-OC(O)OR、-OC(O)R、-C(O)H、及び-C(O)R[式中、R及びRは、先に定義されている通りである]から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0109】
好ましくは、炭化水素は、シクロヘキセン、1,3,5-トリエチルベンゼン、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、1-メチルシクロヘキセン、1,4-ジメチルベンゼン、スチレン、1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、及び1,3-ジエテニルベンゼンからなる群から選択される。
【0110】
好ましくは、ハロ炭化水素は、ヨードメタン、ブロモエタン、クロロブロモメタン、ヨードエタン、2-ブロモプロパン、ジクロロブロモメタン、2-クロロプロパン、2-ヨードプロパン、ブロモトリクロロメタン、トリクロロアセトアルデヒド、1,2-ジブロモプロパン、2-ブロモブタン、1,2-ジクロロプロパン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2,3-トリクロロプロペン、1,2-ジブロモエタン、1-ブロモプロパン、3-ブロモプロペン、1-ブロモ-2-クロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1-ヨードプロパン、2-ブロモペンタン、1-ブロモ-3-メチルブタン、トリブロモメタン、1-ブロモブタン、1-クロロ-3-ブロモプロパン、1-ブロモペンタン、1,3-ジクロロプロパン、1-ブロモ-3-フルオロプロパン、1,2-ジブロモ-1-フルオロエタン、1-ブロモ-1,2-ジフルオロエチレン、ブロモフルオロメタン、1,1,1-トリフルオロ-2-ブロモエタン、1-クロロ-3-フルオロプロパン、1-クロロ-4-フルオロブタン、2-ブロモ-2-メチルプロパン、2-クロロ-2-メチルプロパン、2-ブロモ-2-メチルブタン、2,3-ジクロロ-2-メチルブタン、1-ヨードブタン、1,1,2-トリクロロプロパン、1,3-ジクロロブタン、2,3-ジクロロブタン、1,2,2-トリクロロプロパン、cis-1,3-ジクロロプロペン、トランス-1,3-ジクロロプロペン、1,3-ジクロロ-トランス-2-ブテン、1,2-ジクロロ-2-ブテン、及び2-クロロ-2-メチルブタンからなる群から選択される。
【0111】
好ましくは、アルコールは、メタノール、エタノール、2-プロパノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、tert-ブタノール、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール、プロパノール、2-アリルオキシエタノール、2-ブタノール、2-アミノフェノール、2-メチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、イソブタノール、3-ペンタノール、1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-(ジメチルアミノ)-2-プロパノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-メトキシ-1-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-クロロエタノール、1,2-オクタンジオール、2-(ジメチルアミノ)エタノール、3-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-エトキシ-1-プロパノール、1-ペンタノール、2-プロポキシエタノール、1-プロポキシ-2-プロパノール、2,2-ジフルオロエタノール、1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノール、4,4,4-トリフルオロブタノール、3-フルオロプロパノール、2,3-ジメチルブタノール、及び1-クロロ-2-メチル-2-プロパノールからなる群から選択される。
【0112】
好ましくは、ケトンは、プロパノン、ブタノン、3-ペンタノン、2-ペンタノン、3,3-ジメチル-2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、2-ヘキサノン、5-ヘキセン-2-オン、4-メチル-2-ヘキサノン、及び1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノンからなる群から選択される。
【0113】
好ましくは、アミンは、エチルアミン、イソプロピルアミン、エチルメチルアミン、2-アミノ-2-メチルプロパン、N-プロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジエチルアミン、2-ブタンアミン、N-メチルプロピルアミン、1-ブチルアミン、ジイソプロピルアミン、3-メチル-2-ブタンアミン、3-ペンチルアミン、N-メチルブチルアミン、1-メトキシ-2-プロパンアミン、2-メトキシエタンアミン、2-メトキシ-1-プロパンアミン、N-ペンチルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン、ジプロピルアミン、2-エトキシエタンアミン、N-メチル-1,2-エタンジアミン、ピリジン、1,2-ジアミノエタン、1,2-プロパンジアミン、2-エチルブチルアミン、N-エチルエチレンジアミン、2-メチルピリジン、4-メチル-2-ヘキサンアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、N-エチル-2-ジメチルアミノエチルアミン、1,3-プロパンジアミン、2-ヘプタンアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、2,6-ジメチルピリジン、4-メチルピリジン、N,N’-ジエチル-1,2-エタンジアミン、ジメチルエタノールアミン、及び1,1-ジエトキシ-N,N-ジメチルメタンアミンからなる群から選択される。
【0114】
好ましくは、エステルは、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸N-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸エチル、酢酸sec-ブチル、炭酸ジエチル、酢酸N-ブチル、ブロモ酢酸メチルエステル、ギ酸メチル、ヘキサン酸メチル、及びギ酸イソプロピルからなる群から選択される。
【0115】
好ましくは、エーテルは、ジエチルエーテル、2-エトキシプロパン、メチルt-ブチルエーテル、2,2-ジメトキシプロパン、1-エトキシ-2-メチルプロパン、1,2-ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、1-エトキシブタン、1-メトキシペンタン、1,2-ジメトキシプロパン、1,1-ジエトキシエタン、トリメトキシメタン、2-クロロ-1,1-ジメトキシエタン、2,2-ジエトキシプロパン、1,1-ジエトキシプロパン、2-メトキシエタノール、メトキシシクロヘキサン、クロロメトキシメタン、エトキシエタノール、ジ-N-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1-エトキシヘキサン、1,1,1-トリエトキシエタン、1-メトキシ-2-アセトキシプロパン、ジメトキシメタン、エトキシエテン、ジ-N-プロピルエーテル、2-メトキシ-1-プロペン、2,2,2-トリフルオロエチルメチルエーテル、メチルシクロプロピルエーテル、2-エトキシ-2-メチルプロパン、2-エトキシブタン、sec-ブチルtert-ブチルエーテル、イソブチルtert-ブチルエーテル、1-メトキシ-2-メチルブタン、及びイソプロピルイソブチルエーテルからなる群から選択される。
【0116】
好ましくは、アルデヒドは、アセトアルデヒド、イソブタナール、メチルグリオキサール、2-メチルブタナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、ヘキサナール、及びエタンジアールからなる群から選択される。
【0117】
好ましくは、ニトリルは、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、及び(メチレンアミノ)アセトニトリルからなる群から選択される。
【0118】
好ましくは、カーボネートは炭酸ジエチルである。
【0119】
好ましくは、アミドはエタンチオアミドを含む。
【0120】
好ましくは、チオアルキルは、エタンチオール、硫化ジメチル、2-プロパンチオール、tert-ブチルチオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、1-プロパンチオール、ブタンチオール、テトラヒドロチオフェン、1-ペンタンチオール、硫化ジエチル、2-ブタンチオール、2-メチル-1-プロパンチオール、及び4-メトキシ-2-メチル-2-ブタンチオールからなる群から選択される。
【0121】
好ましくは、複素環は、N-エチルモルホリン、1-メチルピペラジン、N-メチルモルホリン、2-メチルピラジン、テトラヒドロフラン、1,3,5-トリオキサン、ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、及び2,6-ジメチルモルホリンからなる群から選択される。ジオキサンは、1,4-ジオキサンを指す。
【0122】
本方法はまた、該流A又は該流B1を吸着剤と接触させる工程を含み得る。該吸着剤は、3オングストローム~11オングストローム、有利には4オングストローム~10オングストローム、好ましくは5オングストローム~10オングストロームの平均直径の細孔開口部を有するゼオライト又はモレキュラーシーブであり得る。吸着剤は、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、又はロジウム;好ましくは銀などの貴金属も含有し得る。吸着剤はまた、ポリマーであってもよく、これらの金属、特に銀を含有し得る。したがって、この工程は、工程d)の後かつ工程e)の前、又は工程e)の後に実施され得る。吸着工程によって、例えば、該ハイドロフルオロカーボンのうちの1つ以上を除去することが可能になり得るか、又は少量で存在する水を除去することが可能になり得る。
【0123】
別の実施形態によると、工程e)は、低温分離によって実施される。この場合、該流Aは、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素が液体形態にあるような、したがって形成される該流B1中にあるような温度に冷却される。したがって、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素の沸点よりも低い沸点を有する流Aの他の構成要素は、ガス形態にあり、脱気によって除去される。これは、流A中に存在し得る、酸素、窒素、又は二酸化炭素などのガスを除去するのに有用であり得る。次いで、該流B1は、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素がガス形態にあり、その一方で、該流B1中に存在し得る他の構成要素が液体形態で保たれるような温度に再加熱され得る。したがって、該少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素は、高純度で回収される。
【0124】
別の実施形態によると、工程e)は、少なくとも1つ以上の回転充填層を含む加圧蒸留デバイス内で実施され得る。この場合、該流Aは、圧縮され、かつ任意選択的に、該少なくとも1つのフッ素化炭化水素が液体形態にあるような温度に冷却される。このように圧縮されかつ任意選択的に冷却された該流Aは、本出願に定義されているような流B1を形成及び回収するために、1つ以上の回転充填層を含む加圧蒸留デバイス内で蒸留される。該少なくとも1つの回転充填層の速度は、好ましくは100~3000rpm、有利には200~2500rpm、好ましくは500~2000rpmである。この場合、工程e)は、2~200bar(絶対圧)、好ましくは5~100bar(絶対圧)の圧力で実施されることが好ましい。