(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】物体識別システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/24 20060101AFI20241205BHJP
G01N 29/04 20060101ALI20241205BHJP
G01N 29/46 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01N29/24
G01N29/04
G01N29/46
(21)【出願番号】P 2022536488
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2020064225
(87)【国際公開番号】W WO2021119262
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-09
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522232846
【氏名又は名称】プロヴナンス ラボラトリーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ-モーザー ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】アブゴフ アントン
(72)【発明者】
【氏名】クラチン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゴールディン アニア
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0292355(US,A1)
【文献】特表2008-545123(JP,A)
【文献】特開2011-257163(JP,A)
【文献】米国特許第05982482(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の面を改質することなく該物体のバルク材料に熱弾性励起を誘起するためにパルス駆動されるレーザビームを該物体の該面の上に向ける段階と、
前記熱弾性励起によって引き起こされた前記物体の前記面での表面超音波を検出する段階と、
前記検出された表面超音波を使用して検出信号を発生させる段階と、
前記検出信号を使用してデジタルデータを発生させる段階と、
前記デジタルデータを基準データとしてデータベースに格納する段階と、
前記物体のバルク材料に第2の熱弾性励起を誘起するためにパルス駆動される第2のレーザビームを該物体の面の上に向ける段階と、
前記第2の熱弾性励起によって引き起こされた前記物体の前記面での第2の表面超音波を検出する段階と、
前記検出された第2の表面超音波を使用して第2の検出信号を発生させる段階と、
前記第2の検出信号を使用して第2のデジタルデータを発生させる段階と、
前記第2のデジタルデータと前記基準データとを比較することによって前記物体の真偽を決定する段階であって、前記物体が真正であると決定する段階を含む、前記物体の真偽を決定する段階と、
20Mhzよりも高い予め決められた周波数範囲に関連付けられた前記第2の検出信号又は前記第2のデジタルデータの1又は2以上の部分を識別するために該第2の検出信号又は該第2のデジタルデータに対してスペクトル分解を実行する段階であって、前記物体の真偽を前記決定する段階が該1又は2以上の部分に基いている前記実行する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2のデジタルデータを前記データベースに格納する段階、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のレーザビームを前記向ける段階は、前記レーザビームを前記物体の前記面上の複数の異なる場所に向ける段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の表面超音波を前記検出する段階は、前記第2の表面超音波を前記物体の前記面上の複数の異なる場所で検出する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記表面超音波を前記検出する段階は、該表面超音波を前記物体の前記面上の複数の離散場所で検出する段階を更に備え、
前記第2の表面超音波を前記検出する段階は、該第2の表面超音波を前記物体の前記面上の前記複数の離散場所の全てではないがその一部で検出する段階を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の表面超音波を検出する段階は、
前記物体の前記面上に衝突するための検出レーザビームを発生させる段階と、
前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームからの光を検出する段階と、
を更に備え、
前記第2の表面超音波を前記検出する段階は、前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームからの前記検出された光を使用する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
物体の面を改質することなく該物体のバルク材料に熱弾性励起を誘起するためにパルス駆動されるレーザビームを該物体の該面の上に向ける段階と、
前記熱弾性励起によって引き起こされた前記物体の前記面での表面超音波を検出する段階と、
前記検出された表面超音波を使用して検出信号を発生させる段階と、
前記検出信号を使用してデジタルデータを発生させる段階と、
前記デジタルデータを基準データとしてデータベースに格納する段階と、
前記物体のバルク材料に第2の熱弾性励起を誘起するためにパルス駆動される第2のレーザビームを該物体の面の上に向ける段階と、
前記第2の熱弾性励起によって引き起こされた前記物体の前記面での第2の表面超音波を検出する段階と、
前記検出された第2の表面超音波を使用して第2の検出信号を発生させる段階と、
前記第2の検出信号を使用して第2のデジタルデータを発生させる段階と、
前記第2のデジタルデータと前記基準データとを比較することによって前記物体の真偽を決定する段階であって、前記物体が真正であると決定する段階を含む、前記物体の真偽を決定する段階と、
を備え、
前記第2の表面超音波を検出する段階は、
前記物体の前記面上に衝突するための検出レーザビームを発生させる段階と、
前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームからの光を検出する段階と、
を更に備え、
前記第2の表面超音波を前記検出する段階は、前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームからの前記検出された光を使用し、
前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームからの光を前記検出する段階は、該物体の該面から跳ね返る該検出レーザビームからの光を該物体の該面に対する2又は3以上の離散角度で検出する段階を更に備えることを特徴とする
方法。
【請求項8】
前記2又は3以上の離散角度に関連付けられた前記第2の検出信号又は前記第2のデジタルデータの部分を解析する段階、
を更に備えることを特徴とする請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
物体の面を改質することなく該物体のバルク材料に熱弾性励起を誘起するためにパルス駆動されるレーザビームを該物体の該面の上に向ける段階と、
前記熱弾性励起によって引き起こされた前記物体の前記面での表面超音波を検出する段階と、
前記検出された表面超音波を使用して検出信号を発生させる段階と、
前記検出信号を使用してデジタルデータを発生させる段階と、
前記デジタルデータを基準データとしてデータベースに格納する段階と、
前記物体のバルク材料に第2の熱弾性励起を誘起するためにパルス駆動される第2のレーザビームを該物体の面の上に向ける段階と、
前記第2の熱弾性励起によって引き起こされた前記物体の前記面での第2の表面超音波を検出する段階と、
前記検出された第2の表面超音波を使用して第2の検出信号を発生させる段階と、
前記第2の検出信号を使用して第2のデジタルデータを発生させる段階と、
前記第2のデジタルデータと前記基準データとを比較することによって前記物体の真偽を決定する段階であって、前記物体が真正であると決定する段階を含む、前記物体の真偽を決定する段階と、
を備え、
前記第2の表面超音波を検出する段階は、
前記物体の前記面上に衝突するための検出レーザビームを発生させる段階と、
前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームからの光を検出する段階と、
を更に備え、
前記第2の表面超音波を前記検出する段階は、前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームからの前記検出された光を使用し、
前記検出レーザビームを前記発生させる段階は、該検出レーザビームを前記物体の前記面上の複数の離散場所に向ける段階を更に備え、
前記検出レーザビームからの光を前記検出する段階は、前記物体の前記面上の前記複数の離散場所から跳ね返る該検出レーザビームからの光を検出する段階を更に備える、
ことを特徴とする
方法。
【請求項10】
前記複数の離散場所に関連付けられた前記第2の検出信号又は前記第2のデジタルデータの部分を解析する段階、
を更に備えることを特徴とする請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記物体の前記面上の前記複数の離散場所から跳ね返る前記検出レーザビームから検出された前記光を使用して該複数の離散場所の各々で前記第2の表面超音波の速度を決定する段階、
を更に備えることを特徴とする請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームからの光を前記検出する段階は、サグナック干渉計を使用する段階を備えることを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の表面超音波を前記検出する段階は、
トランスデューサを使用して前記第2の表面超音波を検出する段階であって、前記第2の検出信号を前記発生させる段階が、該トランスデューサを使用してかつ前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームから前記検出された光を使用して実行される前記検出する段階、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の表面超音波を前記検出する段階は、
トランスデューサを使用して前記第2の表面超音波を検出する段階、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
バルク材料と面とを有する物体を分析するための装置であって、
前記物体の前記面を改質することなく該物体の該面への衝突時に前記バルク材料に熱弾性励起を誘起するためのパルス駆動されたレーザビームを発生するように構成されたレーザと、
前記熱弾性励起によって引き起こされた前記物体の前記面での表面超音波を検出し、かつ該検出された表面超音波を使用して検出信号を発生するように構成された検出器と、
前記検出信号を使用してデジタルデータを発生するように構成されたプロセッサと、
前記デジタルデータとデータベースに格納された基準データとを比較することによって前記物体の真偽を決定するように構成された該データベースと、
を備え、
前記基準データは、
前記物体のバルク材料に第2の熱弾性励起を誘起するためにパルス駆動される第2のレーザビームを該物体の面の上に向け、
前記第2の熱弾性励起によって引き起こされた前記物体の前記面での第2の表面超音波を検出し、
前記検出された第2の表面超音波を使用して第2の検出信号を発生させ、
前記第2の検出信号を使用して第2のデジタルデータを発生させ、
前記デジタルデータを前記基準データとして前記データベースに格納することによって、
生成され、
前記物体の真偽を決定することは、前記物体が真正であるとの決定を含
み、
20Mhzよりも高い予め決められた周波数範囲に関連付けられた前記第2の検出信号又は前記第2のデジタルデータの1又は2以上の部分を識別するために該第2の検出信号又は該第2のデジタルデータに対してスペクトル分解が実行され、前記物体の真偽を前記決定することが該1又は2以上の部分に基いていることを特徴とする装置。
【請求項16】
前記データベースは、更に、前記デジタルデータを格納するように構成されることを特徴とする請求項
15に記載の装置。
【請求項17】
前記検出器は、更に、
前記物体の前記面上に衝突するための検出レーザビームを発生し、かつ
前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームからの光を検出する、
ように構成され、
前記検出器は、前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームから前記検出された光を使用して前記表面超音波を検出する、
ことを特徴とする請求項
15に記載の装置。
【請求項18】
前記検出器は、更に、
前記表面超音波を検出するように構成されたトランスデューサ、
を備え、
前記検出器は、更に、前記トランスデューサと前記物体の前記面から跳ね返る前記検出レーザビームから前記検出された光とを使用して前記検出信号を発生するように構成される、
ことを特徴とする請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
前記検出器は、更に、
前記表面超音波を検出するように構成されたトランスデューサ、
を備える、
ことを特徴とする請求項
15に記載の装置。
【請求項20】
前記検出器は、サグナック干渉計を備えることを特徴とする請求項
15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願〕
この出願は、2019年12月12日出願の米国仮特許出願第62/947,230号及び2020年12月9日出願の米国特許出願第17/116,434号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、物理的物体の認証、贋作検出、及び偽造検出に関する。より具体的には、それは、各物体の固有の微細構造の非破壊評価に基づくそのような認証及び検出に関する。
【背景技術】
【0003】
認証を提供すること、贋作を検出すること、偽造を検出すること、及び/又は物体の明確な識別を保証することの全ては、物体が最初に生成されたものと正確に同じであることを証明することに依存する。この課題は、収集品、美術品、医薬品、製造品、工芸品、宝石、及び多くの他の部門にわたる分野に適用される。これらの部門の多くでは、検出方法は、元の物体が検査プロセスで損傷、改質、又は破壊されないように好ましくは非破壊である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
認証を提供する、贋作を検出する、偽造を検出する、及び/又は物体の明確な識別を保証する既存の方法は、物体の特性がデータベースに格納されたものと適合する又は適合しないことを実質的な確実性と共に保証することができる非破壊方法を提供するそれらの能力を欠いている。本発明は、これらの課題を克服するソリューションを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の問題及び必要性は、パルス駆動されるレーザビームを物体の面の上に向けて物体の面を改質することなく物体のバルク材料に熱弾性励起を誘起する段階と、熱弾性励起によって引き起こされた物体の面での表面超音波を検出する段階と、検出された表面超音波を使用して検出信号を発生させる段階と、検出信号を使用してデジタルデータを発生させる段階と、デジタルデータとデータベースに格納された基準データとを比較することによって物体の真偽を決定する段階とを含む認証方法によって対処される。
【0006】
バルク材料と面とを有する物体を分析する装置は、物体の面を改質することなく物体の面に衝突する時にバルク材料に熱弾性励起を誘起するためのパルス駆動されたレーザビームを発生させるように構成されたレーザと、熱弾性励起によって引き起こされた物体の面での表面超音波を検出し、かつ検出された表面超音波を使用して検出信号を発生させるように構成された検出器と、検出信号を使用してデジタルデータを発生させるように構成されたプロセッサと、デジタルデータとデータベースに格納された基準データとを比較することによって物体の真偽を決定するように構成されたデータベースとを含む。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、本明細書、特許請求の範囲、及び添付図面の精査によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】基準データの発生及び問い合わせデータのその後の発生を示す概略図である。
【
図3】本発明の識別システムの代替実施形態の概略図である。
【
図4】本発明の識別システムの別の代替実施形態の概略図である。
【
図5】本発明の識別システムの別の代替実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、物体を形成する材料の微細構造の唯一性を利用する。殆どの微細構造に関して、粒子が非常に少ないもの以外は、微細構造をクローン化、複製、再現、又は再生する公知の方法はない。物体の面の微細構造及び元素組成は、環境効果、摩滅、酸化、及び他の影響に起因して変化する場合があるが、内部構造は安定したままである。安定性及び複製不能性のこの組合せは、物体の真偽を決定する(すなわち、物体が、それが以前に問い合わせされたものと同じ物体であるように真正であると決定する、又は物体が、それが異なる物体又は更に贋作であるように真正ではないと決定する)のに使用される識別に対する理想的な基盤を提供する。
【0010】
少なくともある一定のサイズの物体に関して、超音波は、物体の面の下の微細構造を十分に詳細に問い合わせる理想的な方法である。これは、理想的な問い合わせ方法としての超音波の使用に至っている。しかし、従来のソノグラム技術は、面へのプローブの物理的接触が検査に対して制限される場合があり、かつ物体への損傷のリスクがあるので理想的ではない。これに加えて、従来のソノグラム技術は、面の特に複雑な面上の正確な位置を励起する際に困難に至る。ある一定の面形状は、従来のソノグラム技術の助けにならない。更に、従来のソノグラム技術は、周波数スペクトルにわたる同時広帯域励起を生成するその能力に限界がある。
【0011】
レーザ誘導式超音波は、従来の識別技術のものを超える信頼性の高い性能を提供することが見出されている。レーザ誘導式超音波は、レーザパルスを使用して物体の急速局所加熱を発生し、これが物体の面に沿ってかつ物体のバルク材料を通って伝播する熱弾性衝撃波を生成する。熱弾性バルク波は、物体の面の下の材料の微細構造によって変質された超音波応答を発生する。衝撃波は、広帯域であり、ある範囲の周波数にわたって励起を発生し、すなわち、深く浸透する低周波励起からより小さい特徴サイズを問い合わせる高周波励起までのスペクトルを用いて物体の広範囲の問い合わせを可能にする。レーザビームの電力、波長、スポットサイズ、及びパルス持続時間は、材料を除去することなく(すなわち、物体の面を改質することなく)熱弾性励起を発生するように構成され、すなわち、非破壊問い合わせを提供する。更に、レーザ励起及び検出の非接触性質は、物体の面上でのプローブの物理的接触に起因する損傷が起きないことを保証する。更に、必ずしも接触プローブを必要とすることなく広範囲の面形状を問い合わせることができる。
【0012】
図1は、物体を分析する識別システム1の構成要素を示している。レーザ源10(例えば、ナノ秒パルスファイバレーザ、ピコ秒パルスファイバレーザ、又はフェムト秒パルスファイバレーザ)は、パルスレーザ(励起)ビーム12を生成する。パルスレーザビーム12は、物体16の面14に向けられ、パルスレーザビーム12は、物体16に衝突してそれと相互作用し、物体の材料の微細構造16aを通って進行してそれと相互作用する熱弾性バルク波18を生成する。それらの相互作用は、物体16の面14に進行して戻る超音波反射波20を発生する。
図1は、単一微細構造境界16aからの単一超音波反射波20を示すが、物体の材料内の異なる深さ及び場所から多くのそのような反射が生成されて物体の面に戻って到達することを認めなければならない。これは、物体の面14上のいずれの点でも全体的超音波波形(本明細書では表面超音波22と呼ぶ)の振幅が、物体の面14上のその点に到達する物体内の全ての超音波反射波20の組合せ(総和)であることを意味する。
【0013】
表面超音波22の振幅は、1又は2以上の離散した場所で検出器24によって測定される。検出器24は、好ましくは、サグナック効果を使用して高輝度ダイオードによって照明される干渉計である。干渉計からの検出レーザビーム26は、物体16の面14に向けられ、表面超音波22の振動振幅及び周波数は、面の運動に起因して跳ね返る(すなわち、反射によって及び/又は散乱によって)検出レーザビーム26からの光28の周波数の干渉から抽出される。具体的には、リング干渉計を使用して、ループの周りで各方向に進行する光の相対位相を比較する干渉縞を生成することができる。面の非接触振動測定を行うのに使用される公知の科学計器であるレーザドップラー振動計(LDV)も検出器24として使用することができる。LDVからの検出レーザビーム26は、物体16の面14に向けられ、振動振幅及び周波数は、面の運動に起因して跳ね返る(すなわち、反射によって及び/又は散乱によって)検出レーザビーム26からの光28の周波数のドップラーシフトから抽出される。具体的には、振動計は、一般的に、内部基準ビームと物体の面14から跳ね返る光28との間の周波数(又は位相)差を測定する2ビームレーザ干渉計である。LDV内の最も一般的なタイプのレーザは、ヘリウム-ネオンレーザであるが、レーザダイオード、ファイバレーザ、及びNd:YAGレーザも使用される。検出レーザビーム26は、物体面14に向けられ、物体面14からの跳ね返り光28は、検出器24によって収集され、光検出器、典型的にフォトダイオード上で基準ビームと干渉する。光検出器の出力は、搬送波周波数としてブラッグセル周波数及び変調周波数としてドップラーシフトを用いる標準的な周波数変調(FM)信号である。この信号は、振動ターゲットの速度対時間を導出するために復調することができる。検出器の出力は、一般的に検出レーザビーム26の方向に沿った表面超音波22の速度成分に比例する連続アナログ電圧信号である検出信号30である。
図1は、単一レーザ源10及び単一検出器24を示すが、1又は2以上のレーザ源10は、1又は2以上の検出器24と共に同時に使用することができる。面14に対する1又は2以上のレーザ源10の位置は、静止又は移動とすることができる面14に対する1又は2以上の検出器24の位置と組み合わせて静止又は移動とすることができ、測定は、面14上の1又は2以上の離散した場所で行われる。
【0014】
検出信号30は、検出信号30をデジタル処理及び格納に適したデジタルデータにデジタル化する及び/又は他に処理し、それによってデジタルデータが次に好ましくは問い合わせのデータ36として(その真偽を決定するための物体16のその後の問い合わせのための)又はデータベース34内の基準データ38(物体16の初期問い合わせのための)として格納される信号プロセッサ32に提供される。認証又は贋作検出は、次に、同じ物体が面14から離れる同じ内部微細構造を有することになり、すなわち、超音波を使用する上述のような問い合わせが検出信号の観点から実質的に類似の応答を生成するので可能にされる。この応答は、検出信号30内で反射された時の表面超音波22の空間変動に見られる。メソスケール亀裂、空隙、多孔性、組成変動、及び含有物のような他の非微細構造特性も、いずれの所与の物体16に対しても検出信号30の唯一性に寄与する可能性がある。粒子構造及び境界に対する熱弾性波の超音波応答は、物体16が、基準データ38が最初にそこから生成されたものと同じであるかを決定するのに特に重要である。
【0015】
データベース34内の基準データ38は、その後の問い合わせよりも早期の時間に実行されたあらゆる問い合わせから発生させることができる。このより早期の時間は、直前の問い合わせとすることができ、又は2よりも多い問い合わせが実行された時に、いずれかのより早期の問い合わせ又はより早期の問い合わせの組合せが使用される場合がある。
図2は、基準データ38が生成及び格納される初期化問い合わせを左に、及び認証を決定するために問い合わせデータ36が生成されて基準データ38と比較される直後の認証問い合わせを右に概念的に示している。図示のように、基準データを生成するのに使用される識別システム1は、いずれの問い合わせデータ36も格納している必要はない。基準データ38を生成するのに使用される認証システム1は、問い合わせデータ36を生成するのに使用される認証システム1と物理的に同じか又は物理的に異なるとすることができる。それらが物理的に異なるシステムである場合に、一方のデータベース34の基準データ38は、直後の問い合わせを実行する他方のシステムのデータベース34に転送することができる。これに代えて、単一データベース34は、基準データ38及び問い合わせデータ36を収集するのに使用される異なるレーザ源10、検出器24、及びプロセッサ32とは物理的に別々とすることができる。
【0016】
認証は、次に、問い合わせデータ36と基準データ38の間の差が1又は2以上の閾値未満であるかを決定し、それによってデータベース34は、差が閾値未満である時に認証が確認されるという決定及び差が閾値よりも大きい時に認証が確認されないという決定を提供するように構成される。具体的には、物体16の同一性の決定は、閾値、走査パラメータに依存する可変閾値、深層学習又は機械学習解釈、人的解釈、統計的相関法、又はこれらの方法のあらゆる組合せ及び他の類似の分析技術を使用することができる。問い合わせ及び基準データ36/38は、グラフィックに表示して比較することができる。分析及び/又は比較の方法の例は、主成分分析、重回帰、ビン式ヒストグラム、スケール不変特徴変換、高速ロバスト特徴技術、ロバスト独立基本特徴、回転ロバスト独立基本特徴、局所エネルギベースの形状ヒストグラム、勾配場所及び方位ヒストグラム、構造類似度指数、方位勾配のヒストグラム、ハール状特徴、固有値分析、ウェーブレットベースの分析、スペクトル分解、及び/又は平均二乗誤差を含む。これらの例は、例示として提示されており、単独で又は組合せで使用することができる技術の包括的な集合を表すものではない。
【0017】
粒子境界及びそれらのそれぞれの場所は、超音波反射波20をもたらす熱弾性バルク波18とのそれらの相互作用を通して直接又は間接に使用され、その合計は、問い合わせ及び基準データ36/38を発生させるのに使用される表面超音波22として検出される。従って、正確な粒子境界の場所、粒子境界の方位、粒子境界の形状、粒子格子の方位、粒子構造の場所、及びこれらの属性のあらゆる組合せは、正確には決定されない場合があるが、それらは、物体16の固有のマーカとして問い合わせ及び基準データ36/38に反映されるような再現可能な効果を確かに提供する。粒子構造に関するデータは、認証又は贋作検出に対する十分なデータを提供するのに完全である必要はない。
【0018】
粒子境界と超音波に及ぼす粒子構造の影響とは、レーザ超音波レーザビーム12及び検出器ビーム26に対するピッチ-キャッチ構成(又は、以下に説明するトランスデューサ46)を使用して決定することができる。内部粒子境界だけに関連する検出信号30又は問い合わせ/基準データ36/38の部分は、粒子境界特徴サイズに対応する周波数だけを選択するためにデータを分析することによって表面波22から抽出することができる。粒子境界を確実に検出するための範囲は、約20MHz又はそれよりも高い。スペクトル分解及びスペクトルブラケット化を使用して、望ましいスペクトル範囲に関連付けられた検出信号30又は問い合わせ/基準データ36/38の各部分を抽出することができる。指定の閾値(例えば、20Mhz)よりも高いことに関連付けられた検出信号30又は問い合わせ/基準データ36/38の部分を保つフィルタ(例えば、ハイパスフィルタ)の適用を使用することができる。検出器24が静止励起源に対して移動される時に複数の記録を収集してこれらの記録を解析することは、粒子境界情報の分解能及び/又は再現性を改善する。検出器24が面14に対する角度を変更される時に複数の記録を収集して(すなわち、面14に対する2又は3以上の離散角度で面から跳ね返る光28を収集して)これらの多角度記録を解析することも、粒子境界情報の分解能及び/又は再現性を改善する。材料を通る波の速度の急速な変化は、粒子境界を示している。エッジ検出、クラスター化、及び多くの他の技術を適用して、速度のこれらの急速な変化を識別することができる。
【0019】
レーザベースの超音波問い合わせは、単一パルス、複数パルス、又は設定された又は可変の周波数でのパルスの連続印加を用いて実行することができる。これらのパルスモードのいずれの置換も使用することができる。レーザ源10は、Qスイッチ式、モードロック式、パルスポンプ式である場合があり、又はパルス出力を生成する他の手段を使用する場合がある。レーザビーム12は、単一波長、広帯域である場合があり、又は選択波長範囲又は範囲の集合を有する場合がある。これらのパルスは、特定の点上に固定され、線にわたって走査され、範囲にわたって走査され、又は複数の点、線、又は領域にわたって走査される場合があり、これらの場所は、互いから離散している。これらの場所のいずれの置換も使用することができる。認証及び贋作検出に関して、物体上で走査される場所のデータベース内の記録及び格納(例えば、基準/問い合わせデータ38/36の一部としての)は、物体の同じ領域の正確な統合を可能にするための有用な情報を提供する。点の選択は、完全に確率論的、部分的に確率論的、又は決定論的である場合がある。
【0020】
材料弾性による音速と密度の間の関係を使用して、超音波反射から材料特性を理解することができる。これに加えて、音響散乱による音響減衰と吸収の間の関係を使用して、超音波反射から材料特性を理解することができる。表面超音波22の波形の特徴の場所及び時間を使用して、面に沿った場所及び材料特徴の深さを決定することができる。これらの波形は、B走査及びC走査と呼ばれることもある物体の面に平行又は垂直である平面に沿って組み合わせることができる。励起場所、検出場所、検出角度、音速、音響減衰、材料特性、及び音響進行時間のうちの1又は2以上の特性の組合せを使用して、微細構造、材料特性、及び/又は問い合わせ特性に対する問い合わせを解釈することができる。
【0021】
本発明の1つの現れは、認証決定に対してチャレンジ-レスポンスプロトコルを使用することである。点、線、又は領域の集合は、問い合わせされ、それらの応答は、基準データ38として記録される。次に、これらの点、線、又は領域の部分集合は、超音波応答の類似性を決定するためにその後の問い合わせに対して使用される。問い合わせされる部分集合は、点、線、又は領域の単に一部又は集合全体を含むことができる。点の選択は、完全に確率論的、部分的に確率論的、又は決定論的である場合がある。これに加えて、調査された各領域の部分集合は、チャレンジとして使用することができる。問い合わせから得られたデジタルデータは、チャレンジ-レスポンス認証プロトコルでの応答を提供する。応答は、その後の問い合わせを受けた物体が真正であるという決定を行うために類似性の1又は2以上の閾値内でなければならない。
【0022】
物体の面は、多くの場合に、環境経年変化、摩損、ほこり及び汚れ収集、化学的損傷、及び物体の面の材料構造、組成、又は場所を改質する多くの他の因子を受ける。本発明により面の下方を問い合わせることは、面改質因子によって影響を受けない範囲へのアクセスを可能にする。初期問い合わせ又は分析からの実際の面14からの寄与の一部又は全てを検出信号30から除外することは、異なる時点で同じ領域の問い合わせを比較する能力の改善を提供することができる。面影響の深さは、材料、環境、及び物体特性に基づいて変化するが、多くの場合に、少数の原子から1000ミクロンまでの範囲にある。
【0023】
問い合わせに対する非融除レーザ誘起超音波の使用は、分解能強化、追加情報、又は状況情報を提供するためにあらゆる他の方法と組み合わせることができる。1又は2以上の他の方法は、同時に又は異なる時点で組み合わせて使用することができる。これらの方法は、非融除レーザ誘起超音波と同じ点、線、又は領域、又は異なる点、線、又は領域、又はその組合せを問い合わせることができる。これらの追加の方法は、本質的に破壊的、又は非破壊的、又はその組合せとすることができる。本方法は、1又は2以上の位相配列トランスデューサの潜在的な使用を含むプローブベースの超音波との組合せを含む。融除レーザ超音波は、非融除レーザ超音波と、破壊方式で使用される融除レーザ超音波と、又は融除される犠牲層と組み合わせることができる。非融除レーザ誘起超音波と組み合わせることができる追加の方法は、コンピュータ断層写真撮影法、x線回折コンピュータ断層写真撮影法、x線撮影法、x線回折撮影法、テラヘルツx線撮影法、高調波試験、エコー減衰、渦流検査、面共振音響分光法、白色光干渉法、立体視測距、及びレーザ検出及び測距を含む。光学的、電気的、及び電磁物理的に複製不能な機能を含む物理的複製不能機能含有要素の統合のような破壊的方法も使用することができる。
【0024】
暗号化は、データベース34からのいずれかのデバイスへのデータの送信を含む認証プロセスでの、デバイス内での、データベース34へのデータ送信での多くの段階で、プロセッサ32内での及び/又はデータベース34からのデータを比較するのに使用されるあらゆる他のプロセッサでの全てのデータ処理段階で、及び上述の段階のあらゆる置換で使用することができる。暗号化された情報は、直接に比較することができ、又は比較を可能にするために復号することができる。
【0025】
基準データ及び問い合わせデータは、物体16の固有の要素を捕捉するデジタルサインに変換することができる。このデジタルサインは、暗号化することができ、それは、物体の問い合わせの時間及び場所のような追加の情報を組み込むことができる。デジタルサインは、贋作を検出する又は物体を認証するための比較に使用することができる。
【0026】
データベース34内のデータは、ブロック鎖ブロックに接続することができる。それはまた、分散型台帳に記録することができる。それは、デジタル検証方法への物体データの接続を可能にする。問い合わせデータ36を認証又は贋作検出に使用することができることを保証するように、それは、データを後で認証照合に使用するためにそれを物体16に割り当てる方式でデータベース34に記録することができる。
【0027】
レーザ源10の波長は、物体内のある一定の材料のみをターゲットにするように選択することができる。一例は、ポリマーよりも主として金属によって吸収される波長を選択することである。別の例では、波長は、顔料によって主として吸収されるように選択することができる。別の例では、波長は、顔料によって最小限に吸収されるように選択することができる。測定値は、基準/問い合わせデータ38/36のロバスト性を補足するために1よりも多い波長で収集することができる。
【0028】
追加の利益は、問い合わせ中に超音波応答のSN比を記録することから導出することができる。これは、問い合わせの品質を決定するのに又は認証に対する閾値を決定する際に支援するのに使用することができる。音響信号を集中させる、増幅する、又はフィルタリングする様々な方法を使用して、本発明の分解能、速度、又は非破壊性を改善することができる。音響レンズを使用して、超音波放出を集中させることができる。帯域通過フィルタ、共振器、ホイートストンブリッジ、及び高速フーリエ変換モジュールのような機械的、電気的、及び/又は演算フィルタを実施して、音響信号及び/又は得られる波形を修正することができる。静的及び/又は動的反射器を使用して、音響放出を向ける、修正する、及び/又は増幅することができる。
【0029】
望ましい超音波伝播を生成する様々な方法を使用して、検出信号の品質を改善することができる。プロファイル付きレーザビーム12を使用して、点、リング、線、又は望ましい振幅プロファイルを有する領域のような望ましいパターンの励起及び/又は波面を生成することができる。空間的及び/又は時間的なレーザビーム12の位相シフトを使用して、望ましい形態を有する励起及び/又は波面を提供することができる。レーザビーム12の焦点を空間的及び/又は時間的に変化させて、望ましい形態を有する励起及び/又は波面を提供することができる。回折、微細構造、光学拡散、音響反射、音響減衰、又はあらゆる他のプロセス又は材料特性に関するフィードバックは、励起ビーム成形及び透過率の決定に対する因子として使用することができる。
【0030】
本発明は、美術品(例えば、彫刻、絵画、及びスケッチ)、宝石、及び金属、粘土、セラミック、エポキシ、ポリマー、木材、顔料、結合剤、及び/又はその組合せを含有するあらゆる物体を認証するのに理想的である。
【0031】
図3は、表面超音波22を1又は2以上の電気信号に変換するために1又は2以上のトランスデューサ46を好ましくは面14の近くで又は更にそれと接触して使用する検出器24の代替実施形態を示している。複数のトランスデューサ46が使用される場合に、トランスデューサ46は、異なる方向からの超音波反射を検出するために面14に対して様々な角度で構成することができる。トランスデューサ46は、平面配列、半球配列、放物配列、双曲配列、線、円、又はあらゆる他の望ましい形状とすることができる。
【0032】
図4は、表面超音波22の異なる態様を測定してそこから適した検出信号30を発生させるために光検出(例えば、LDVベースの散乱光収集)及びトランスデューサ46のうちの1又は2以上の両方を使用する検出器24の別の代替実施形態を示している。
【0033】
上述のように、1つのオプションは、認証に使用するデータに物体16の面14からの寄与を排除させることである。面から発する波は、物体のより深くから発するバルク波とは対照的に表面波であるレイリー波と呼ぶことができる。これらの表面波からの寄与を除外することは、基準/問い合わせデータ38/36のファイルサイズを低減し、かつ問い合わせ間の比較を強化することができる。光学的又は物理的接触トランスデューサの配列を使用して、表面波とバルク波の間で区別することができ、すなわち、検出信号からの表面波寄与のフィルタリングを可能にする。波の周波数も、機械的、電気的、及び/又は演算フィルタを使用して表面波をフィルタリングするのに使用することができる。選択した周波数を用いた励起及び/又は主として表面波を励起する電力も、表面波をバルク波から区別するのに使用することができる。
【0034】
図5は、検出器24から物理的に遠隔であるデータベース50が、認証を決定するために問い合わせデータ36と基準データ38の間の比較を実行している別の代替実施形態を示している。具体的には、データベース34は、ネットワーク52(例えば、インターネット、セルネットワークなど)を通じてデータベース50に接続することができる。データベース50は、データベース34から受信した時に問い合わせデータ36及び基準データ38を格納する。データベース50は、認証を決定するために問い合わせデータ36と基準データ38の間の比較を実行する。認証結果は、次に、ネットワーク50を通じてデータベース34に搬送して戻すことができる。
図5は、データベース34及びデータベース50の両方に格納された問い合わせデータ36及び基準データ38を示すが、問い合わせシステム1は、これに代えて、問い合わせデータ36及び基準データ38をデータベース34にそれを格納することなくデータベース50に送るように構成することができると考えられる。
【0035】
本発明は、上述して本明細書に図示した実施形態に限定されず、むしろ、いずれかの特許請求の範囲に該当するいずれかの及び全ての変形を包含することは理解されるものとする。例えば、本明細書での本発明への参照は、いずれかの特許請求の範囲又は特許請求の範囲条項の範囲を制限するように意図しておらず、むしろ、それに代えて、特許請求の範囲のうちの1又は2以上によって網羅することができる1又は2以上の特徴を単に参照するものである。上述の材料、プロセス、及び数値例は、単に例示であり、かつ特許請求の範囲を制限するように捉えるべきではない。例えば、単一検出信号30が示されているが、それは、問い合わせ又は基準データ36/38を発生させる/格納するのに集合的に使用される多くの別々の信号とすることができると考えられる。更に、その後の問い合わせ中に検出信号から発生されるデジタルデータは、データベース34に格納する必要はなく、むしろ、問い合わせデータがデータベース34に一度も格納されることなく基準データに対して問い合わせデータとして直接に比較することができると考えられる。最後に、いずれの装置請求項の前文も、先行詞を提供するように意図しているが、他に制限であることを意図していない。
【符号の説明】
【0036】
1 物体を分析する識別システム
12 パルスレーザ(励起)ビーム
16a 物体の材料の微細構造
18 熱弾性バルク波
20 超音波反射波