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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】診断装置、診断方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20241205BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241205BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20241205BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/00 Q
G01R31/385
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022576260
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2021001760
(87)【国際公開番号】W WO2022157840
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】518134356
【氏名又は名称】InsuRTAP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】小杉 伸一郎
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-173370(JP,A)
【文献】国際公開第2010/026930(WO,A1)
【文献】特許第6788768(JP,B2)
【文献】特開2019-113558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02K 24/00-99/00
H02N 1/00-99/00
G01R 31/00-31/01
G01R 31/24-31/25
G01R 31/36-31/396
G01R 31/40-31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断部を有し、
前記診断部は、
前記電力貯蔵装置の正極の充電状態と前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位との関係を示す正極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位を算出し、
前記電力貯蔵装置の負極の充電状態と前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位との関係を示す負極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を算出し、
前記算出した結果に基づき、前記参照値を算出し、
前記電力貯蔵装置の正負極ずれと、正極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の正極の充電状態を算出し、
セルiの正負極ずれをB(i)、セルiの正極容量をCc(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)とした場合、下記式(1)に基づき前記電力貯蔵装置の正極の充電状態Scを算出する、
【数1】
診断装置。
【請求項2】
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断部を有し、
前記診断部は、
前記電力貯蔵装置の正極の充電状態と前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位との関係を示す正極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位を算出し、
前記電力貯蔵装置の負極の充電状態と前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位との関係を示す負極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を算出し、
前記算出した結果に基づき、前記参照値を算出し、
前記電力貯蔵装置の正負極ずれと、正極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の正極の充電状態を算出し、
前記開回路電圧の測定は、前記電力貯蔵装置のSOC(state of charge)が互いに異なる条件下で複数回行われ、
前記診断部は、
セルiの正負極ずれをB(i)、セルiの正極容量をCc(i)、セルiの負極容量をCa(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)、正極の充電状態がScの時の正極の開回路電位をVc(Sc)、負極の充電状態がSaの時の負極の開回路電位をVa(Sa)、測定番号Nの測定時のセルiの開回路電圧をV(i,N)とした場合、下記式(1)乃至式(4)で定義される誤差の分散J(i)が最小になる時の、正負極ずれと、正極容量と、負極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する、
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
診断装置。
【請求項3】
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断部を有し、
前記開回路電圧の測定は、前記電力貯蔵装置のSOCが互いに異なる条件下でセルごとに複数回行われ、
前記診断部は、
セルごとに、複数回の測定各々の前記項目値の二乗の和をセル毎評価値として算出し、
複数のセル各々のセル毎評価値の和に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断装置。
【請求項4】
前記診断部は、
前記電力貯蔵装置の負極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の負極の充電状態を算出する請求項からのいずれか1項に記載の診断装置。
【請求項5】
前記診断部は、
セルiの負極容量をCa(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)とした場合、下記式(2)に基づき前記電力貯蔵装置の負極の充電状態Saを算出する、
【数6】
請求項に記載の診断装置。
【請求項6】
コンピュータが、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断し、
前記診断において、前記コンピュータは、
前記電力貯蔵装置の正極の充電状態と前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位との関係を示す正極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位を算出し、
前記電力貯蔵装置の負極の充電状態と前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位との関係を示す負極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を算出し、
前記算出した結果に基づき、前記参照値を算出し、
前記電力貯蔵装置の正負極ずれと、正極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の正極の充電状態を算出し、
セルiの正負極ずれをB(i)、セルiの正極容量をCc(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)とした場合、下記式(1)に基づき前記電力貯蔵装置の正極の充電状態Scを算出する、
【数7】
診断方法。
【請求項7】
コンピュータが、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断し、
前記診断において、前記コンピュータは、
前記電力貯蔵装置の正極の充電状態と前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位との関係を示す正極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位を算出し、
前記電力貯蔵装置の負極の充電状態と前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位との関係を示す負極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を算出し、
前記算出した結果に基づき、前記参照値を算出し、
前記電力貯蔵装置の正負極ずれと、正極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の正極の充電状態を算出し、
前記開回路電圧の測定は、前記電力貯蔵装置のSOC(state of charge)が互いに異なる条件下で複数回行われ、
前記診断において、前記コンピュータは、
セルiの正負極ずれをB(i)、セルiの正極容量をCc(i)、セルiの負極容量をCa(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)、正極の充電状態がScの時の正極の開回路電位をVc(Sc)、負極の充電状態がSaの時の負極の開回路電位をVa(Sa)、測定番号Nの測定時のセルiの開回路電圧をV(i,N)とした場合、下記式(1)乃至式(4)で定義される誤差の分散J(i)が最小になる時の、正負極ずれと、正極容量と、負極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する、
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
診断方法。
【請求項8】
コンピュータが、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断し、
前記開回路電圧の測定は、前記電力貯蔵装置のSOCが互いに異なる条件下でセルごとに複数回行われ、
前記診断において、前記コンピュータは、
セルごとに、複数回の測定各々の前記項目値の二乗の和をセル毎評価値として算出し、
複数のセル各々のセル毎評価値の和に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断方法。
【請求項9】
コンピュータを、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断手段として機能させ
前記診断手段は、
前記電力貯蔵装置の正極の充電状態と前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位との関係を示す正極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位を算出し、
前記電力貯蔵装置の負極の充電状態と前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位との関係を示す負極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を算出し、
前記算出した結果に基づき、前記参照値を算出し、
前記電力貯蔵装置の正負極ずれと、正極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の正極の充電状態を算出し、
セルiの正負極ずれをB(i)、セルiの正極容量をCc(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)とした場合、下記式(1)に基づき前記電力貯蔵装置の正極の充電状態Scを算出する、
【数12】
プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断手段として機能させ
前記診断手段は、
前記電力貯蔵装置の正極の充電状態と前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位との関係を示す正極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位を算出し、
前記電力貯蔵装置の負極の充電状態と前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位との関係を示す負極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を算出し、
前記算出した結果に基づき、前記参照値を算出し、
前記電力貯蔵装置の正負極ずれと、正極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の正極の充電状態を算出し、
前記開回路電圧の測定は、前記電力貯蔵装置のSOC(state of charge)が互いに異なる条件下で複数回行われ、
前記診断手段は、
セルiの正負極ずれをB(i)、セルiの正極容量をCc(i)、セルiの負極容量をCa(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)、正極の充電状態がScの時の正極の開回路電位をVc(Sc)、負極の充電状態がSaの時の負極の開回路電位をVa(Sa)、測定番号Nの測定時のセルiの開回路電圧をV(i,N)とした場合、下記式(1)乃至式(4)で定義される誤差の分散J(i)が最小になる時の、正負極ずれと、正極容量と、負極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する、
【数13】
【数14】
【数15】
【数16】
プログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断手段として機能させ
前記開回路電圧の測定は、前記電力貯蔵装置のSOCが互いに異なる条件下でセルごとに複数回行われ、
前記診断手段は、
セルごとに、複数回の測定各々の前記項目値の二乗の和をセル毎評価値として算出し、
複数のセル各々のセル毎評価値の和に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置、診断方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、充電時の挙動から電池の健全性を把握する技術を開示している。また、非特許文献1は、各セルの正極容量、負極容量、不活化Liイオン量、負極の充電状態を求める方法を開示している。非特許文献2及び3は、電圧ヒステリシスについて開示している。特許文献1は、リチウムイオン電池の劣化状態を判定する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5537236号
【非特許文献】
【0004】
【文献】森田朋和、外2名。"内部状態の推定により電池の健全性を可視化する充電曲線解析法"、[online]、[2019年10月8日検索]、インターネット<URL: https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2013/10/68_10pdf/f07.pdf>
【文献】Rashid, M, Pathan, T, McGordon, A, Kendrick, E & Widanage, "Investigation of hysteresis and relaxation behaviour in graphite and LiNi Mn Co O electrodes", Journal of Power Sources, vol. 440, 227153, 2019
【文献】F. Baronti, W. Zamboni, N. Femia, R. Roncella, and R. Saletti, "Experimental Analysis of Open-Circuit Voltage Hysteresis in Lithium-Iron-Phosphate Batteries", IECON 2013 -39th Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society, 978-1-4799-0224-8/13, 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力貯蔵装置は、熱暴走すると激しく火炎を噴出して燃え上がる等の大災害を引き起こし得る。このため、様々な手法で、多角的に電力貯蔵装置の健全性を診断することが望まれる。
【0006】
本発明は、電力貯蔵装置の健全性を診断する新たな手法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断部を有する診断装置が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断手段として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電力貯蔵装置の健全性を診断する新たな手法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
上述した目的、および、その他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、および、それに付随する以下の図面によって、さらに明らかになる。
【0012】
図1】本実施形態の認証システムの全体構成を説明するための図である。
図2】本実施形態の認証システムのデータの流れを説明するための図である。
図3】本実施形態の装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図4】本実施形態の監視サーバの機能ブロック図の一例である。
図5】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
図6】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
図7】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
図8】本実施形態の認証システムの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図9】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
図10】本実施形態の診断装置の機能ブロック図の一例である。
図11】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
図12】本実施形態の正負極ずれを説明するための図である。
図13】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
図14】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
図15】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
図16】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
図17】本実施形態の診断部の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
「認証システムの全体構成」
まず、図1を用いて本実施形態の認証システムの全体構成を説明する。認証システムは、監視サーバ10と認証サーバ20とを有する。認証システムは、監視データベース30、認証データベース40及び電力貯蔵システム50の中の少なくとも1つをさらに有してもよい。監視サーバ10と認証サーバ20とは、有線及び/又は無線で通信可能に接続されている。また、監視サーバ10と電力貯蔵システム50とは、有線及び/又は無線で通信可能に接続されている。
【0014】
監視サーバ10は、1つ又は複数の電力貯蔵システム50(電力貯蔵装置51、出力装置52及びエッジデバイス53)を監視・制御する機能を有する。認証サーバ20は、電力貯蔵装置51が健全であることを認証する機能を有する。監視データベース30は、監視サーバ10が処理する各種情報を記憶する。認証データベース40は、認証サーバ20が処理する各種情報を記憶する。
【0015】
電力貯蔵装置51は、電力を貯蔵する機能を有する装置であり、例えば蓄電池等である。出力装置52は、各種情報を出力する機能を有する装置であり、例えばディスプレイ、スピーカ、ランプ等である。エッジデバイス53は、電力貯蔵システム50に関する情報を収集し、外部装置に送信する機能を有する。
【0016】
「認証システムの処理の概要」
次に、認証システムが行う処理の概要を説明する。なお、各処理の詳細は後述する。
【0017】
電力貯蔵システム50は所定のタイミングで診断運転を行い、その結果として得られる電力貯蔵装置51に関する測定データを監視サーバ10に送信する。
【0018】
監視サーバ10は、エッジデバイス53から、電力貯蔵装置51に関する測定データを取得し、監視データベース30に記憶させる。監視データベース30には、測定データに加えて、電力貯蔵装置51に関するその他の各種情報(例えば、出荷時のセル容量、出荷時の正極容量、出荷時の負極容量、出荷時の正負極ずれ等)が記憶されていてもよい。そして、監視サーバ10は、測定データ等に基づき、電力貯蔵装置51の健全性を診断する。
【0019】
監視サーバ10は、電力貯蔵装置51の健全性の診断結果(以下、単に「診断結果」という場合がある)と、電力貯蔵装置51が健全であることの認証の申請(認証申請)とを認証サーバ20に送信する。監視サーバ10は、電力貯蔵装置51に関する測定データ等、その他の情報をさらに認証サーバ20に送信してもよい。
【0020】
認証サーバ20は、監視サーバ10から受信した各種情報を認証データベース40に記憶させる。そして、認証サーバ20は、診断結果に基づき、電力貯蔵装置51が健全であることを認証するか否か決定し、決定した認証結果を監視サーバ10に送信する。なお、認証サーバ20は、決定した認証結果を認証データベース40に記憶してもよい。
【0021】
監視サーバ10は、認証サーバ20から受信した認証結果に基づき、出力装置52の出力内容を制御する。具体的には、認証結果が「電力貯蔵装置51が健全であることを認証する内容」である場合、それに応じた出力処理を出力装置52に実行させ、認証結果が「電力貯蔵装置51が健全であることを認証しない内容」である場合、それに応じた出力処理を出力装置52に実行させる。例えば、認証結果の内容に応じて、ディスプレイに表示される認証マークの表示/非表示を切り替えたり、ランプの点灯状態を切り替えたりする。なお、監視サーバ10は、受信した認証結果を監視データベース30に記憶してもよい。
【0022】
「認証システムのデータの流れ」
図2に、認証システムのデータの流れを示す。図示するように、電力貯蔵システム50から監視サーバ10に測定データが送信される。測定データは、電力貯蔵装置51に関するデータであり、装置ID(identifier)、測定時の運転モード(診断中又は通常運転)、測定時のSOC(state of charge)、測定時の充電電流積算値、測定時の放電電流積算値、電流、セル電圧及び温度の中の少なくとも1つを含む。なお、測定データはその他の項目値を含んでもよい。
【0023】
監視サーバ10は受信した測定データを監視データベース30に記憶させることができる。また、監視サーバ10は受信した測定データに基づき電力貯蔵装置51の健全性を診断し、診断結果を監視データベース30に記憶させることができる。監視データベース30は、最新のこれらデータ(診断結果、測定データ)のみならず、過去のこれらデータを記憶してもよい。
【0024】
監視サーバ10は、最新の診断結果と認証申請を認証サーバ20に送信する。また、監視サーバ10は、測定データをさらに認証サーバ20に送信してもよい。
【0025】
認証サーバ20は、受信した情報を認証データベース40に記憶させる。また、認証サーバ20は、受信した診断結果に基づき電力貯蔵装置51が健全であることを認証するか否か決定し、決定した認証結果を認証データベース40に記憶させるとともに、認証結果を監視サーバ10に送信する。認証データベース40は、最新のこれらデータ(診断結果、測定データ、認証結果)のみならず、過去のこれらデータ(計算で得られたパラメータを含む)を記憶してもよい。
【0026】
監視サーバ10は認証サーバ20から受信した認証結果を監視データベース30に記憶させる。監視データベース30は、最新のデータ(認証結果)のみならず、過去のデータを記憶してもよい。そして監視サーバ10は認証結果に基づき出力装置52における出力内容を決定し、出力装置52の出力内容を制御する信号を電力貯蔵システム50に送信する。
【0027】
「監視サーバ10の構成」
次に、監視サーバ10の構成を詳細に説明する。まず、監視サーバ10のハードウエア構成の一例を説明する。監視サーバ10が備える各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0028】
図3は、監視サーバ10のハードウエア構成を例示するブロック図である。図3に示すように、監視サーバ10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。監視サーバ10は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、監視サーバ10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。監視サーバ10が物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0029】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサー、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0030】
次に、監視サーバ10の機能構成を説明する。図4に、監視サーバ10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、監視サーバ10は、取得部11と、診断部12と、認証結果受信部13と、出力内容制御部14とを有する。
【0031】
取得部11は、電力貯蔵装置51に関する測定データをエッジデバイス53から取得する。電力貯蔵装置51に関する測定データは、電力貯蔵装置51を識別する装置ID、測定時の運転モード(診断中又は通常運転)、測定時のSOC、測定時の充電電流積算値、測定時の放電電流積算値、電流、セル電圧及び温度の中の少なくとも1つを含む。なお、測定データはその他の項目値を含んでもよい。
【0032】
電力貯蔵システム50は所定のタイミングで診断運転を行い、その結果として得られる上記測定データを監視サーバ10に送信する。取得部11は、このようにして電力貯蔵システム50から送信された上記測定データを取得する。所定のタイミングは、1年に1度、半年に1度、1カ月に1度等、予め定められた時間間隔の予め定められたタイミングであってもよいし、ユーザなどから実行指示が入力されたタイミングでもよい。
【0033】
診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき、電力貯蔵装置51の健全性を診断するための各種項目値を算出する。そして、診断部12は、算出した各種項目値に基づき電力貯蔵装置51の健全性を診断し、診断結果を生成する。
【0034】
診断部12は、以下で説明する第1乃至第11の診断方法の中のいずれかを用いて、電力貯蔵装置51の健全性を診断することができる。
【0035】
-第1の診断方法-
通常、「正極の開回路電位から負極の開回路電位を引いた値」と「開回路電圧」は等しくなることが知られている。これが一致しない場合、BMS(battery management service)の測定センサーに異常があることや、電力貯蔵装置51自体に異常があることが疑われる。
【0036】
第1の診断方法では、診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき、「参照値(正極の開回路電位から負極の開回路電位を引いた値)と開回路電圧の測定値との差」を算出し、その算出結果に基づき電力貯蔵装置51の健全性を判断する。以下、図5を参照しながら詳細を説明する。
【0037】
なお、図中の「システム利用範囲」は電力貯蔵装置51の設計上利用可能な範囲であり、この範囲は安全性等を考慮して電力貯蔵装置51のメーカが決定する。電力貯蔵装置51はシステム上限SOCを超えて充電したり、システム下限SOCを下回って放電したりできないようになっている。
【0038】
まず、当該方法では、電力貯蔵装置51のSOCが互いに異なる条件下で複数回の測定が行われる。測定を実行するSOCは予め定められていてもよいし(例:0、25、50,75、100等)、任意の手法によるコンピュータ処理で決定してもよい。各回の測定では電力貯蔵装置51が備える複数のセル各々に対する測定が行われる。電力貯蔵装置51が備える複数のセルの全てに対して測定が行われてもよいし、一部に対して測定が行われてもよい。
【0039】
図中、〇で各回の測定タイミングを示している。そして、各回の測定に(X(N)、V(i,N))が紐付けられている。Nは測定番号(測定点を示すインデックス)である。iはセル番号である。V(i,N)はセル番号iのセルで測定したセルOCV(開回路電圧)である。セルOCVは、所定のSOCまで充電もしくは放電した後、一定時間充放電を休止して測定する(すなわち充電電流を0にして測定する)。電流が0になると、セル電圧はセルOCVに向かって漸近していくので、セル電圧の変化がなくなるまで休止すればよい。休止時間はセルの容量や温度によって異なるが、概ね30分から2時間程度休止すれば、十分な精度でセルOCVを測定することができる。この説明から明らかなように、実際にはセルOCVを連続的に測定することは困難であり、SOC0%から100%までの全体のセルOCVを測定するためには長時間を要する。
【0040】
X(N)はセル番号iのセルが所属するバッテリーバンクにおける測定番号Nの測定時の積算電流(電流の時間積分値)である。X(N)は例えばクーロンカウンターなどで測定されてもよいし、電流の測定値を時間積分して求めてもよい。
【0041】
ここで、X(N)の時の各セルの負極の充電量をA(i,N)とする。A(i,N)はX(N)からX0(i)を引いた値と定義できる(A(i,N)=X(N)-X0(i))。X0(i)は、各セルの負極充電量が0の時の積算電流である。
【0042】
セルiの正負極ずれをB(i)、正極容量をCc(i)、負極容量をCa(i)とすると、セル番号iのセルにおける「参照値(正極の開回路電位から負極の開回路電位を引いた値)と開回路電圧の測定値との差(Ri,N)」は、以下の式(1)乃至(3)で示すように定義できる。
【0043】
【数1】
【0044】
【数2】
【0045】
【数3】
【0046】
セルiの正負極ずれB(i)は、SOC0%の時の正極の充電状態(充電量Ah)と、SOC0%の時の負極の充電状態(充電量Ah)の差である。図12に示すように、製造時(劣化前)におけるSOC0%の時の正極の充電状態と、SOC0%の時の負極の充電状態は一致し、その差は0となる。しかし、図示するように、劣化すると、SOC0%の時の正極及び負極の充電状態は、正極及び負極各々の容量劣化やLiイオンの不活化(析出したり化合物となったりすることで減少)により一致しなくなる。
【0047】
Vc(Sc)は、正極の充電状態がScの時の正極の開回路電位を返す関数(正極開回路電位情報)である。なお、正極の充電状態Scは、式(1)に示すように、正負極ずれB(i)と、正極容量Cc(i)と、負極の充電量A(i,N)とに基づき算出される。当該関数は、正極を構成する物質に固有のものであり、基本的に不変である。例えば事前の測定実験等で当該関数を求めておくことができる。
【0048】
Va(Sa)は、負極の充電状態がSaの時の負極の開回路電位を返す関数(負極開回路電位情報)である。なお、負極の充電状態Saは、式(2)に示すように、負極容量Ca(i)と、負極の充電量A(i,N)とに基づき算出される。当該関数は、負極を構成する物質に固有のものであり、基本的に不変である。例えば事前の測定実験等で当該関数を求めておくことができる。事前の測定実験は、一般的には、Li金属電極と電極材料とでハーフセルと呼ばれる実験用電池を作成し、充放電を行うことで行われる。電極材料によっては、正負極の開回路電圧は温度によって若干の変化がある場合がある。その場合には、温度による影響を予め実験室で調べておいて、関数Vc(Sc)及びVa(Sa)に温度影響を含めればよい。
【0049】
V(i,N)は、各セルの各測定回の開回路電圧である。測定データから求めることができる。
【0050】
そして、複数回の測定における誤差の分散J(i)は、以下の式(4)で示すように定義できる。nは、測定の回数である。
【0051】
【数4】
【0052】
以上の式、及び「A(i,N)=X(N)-X0(i)」の定義より、誤差の分散J(i)はX0(i)、B(i)、Cc(i)及びCa(i)が未知数の関数となる。診断部12は、当該関数と、少なくとも4回の測定の測定データとに基づき、誤差の分散J(i)が最小となるX0(i)、B(i)、Cc(i)及びCa(i)の値を求める。そして、この時(誤差の分散J(i)が最小となる時)の誤差の分散J(i)の値を、セル毎評価値とする。セル毎評価値は、セル毎の複数回の測定各々の項目値(R(i,N))の二乗の和である。
【0053】
また、診断部12は、以下の式(5)に基づき、複数のセル各々のセル毎評価値の和を電力貯蔵装置51の評価値SRとして算出することができる。mは処理対象のセルの数である。
【0054】
【数5】
【0055】
そして、診断部12は、セル毎評価値及び電力貯蔵装置51の評価値の少なくとも一方に基づき、電力貯蔵装置51の健全性を診断する。また、測定結果から計算されたセル毎のJ(i)において統計的な外れ値がないことでも健全性を判定できる。外れ値があることは、システム中に数個の異常セルが存在することを意味する。当該情報に基づき、メンテナンスの要否などを判定できる。なお、外れ値がないことは、例えばスミルノフ・グラブス検定を行うことで判定できる。
【0056】
例えば、診断部12は、「全てのセル毎評価値が第1の基準値以下」、「所定割合以上のセル毎評価値が第1の基準値以下」及び「電力貯蔵装置51の評価値が第2の基準値以下」の中の1つである条件、又はこの中の複数を論理演算子で繋いだ条件を満たす場合に、電力貯蔵装置51は健全と判断してもよい。
【0057】
当該診断方法は、例えば正極がNMCであり、負極が黒鉛又はHCである場合等に利用可能である。なお、この例示はあくまで一例であり、これに限定されない。当該診断方法では物質の充電状態に対する物質固有の電圧を使うので、正極及び負極の組み合わせがここで例示したもの以外にも適用できる。
【0058】
-第2の診断方法-
第2の診断方法では、第1の診断方法と同様に、診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき「参照値(正極の開回路電位から負極の開回路電位を引いた値)と開回路電圧の測定値との差」を算出し、その算出結果に基づき電力貯蔵装置51の健全性を判断する。
【0059】
ところで、正極としてLiFePOを用いた場合、図6に示すように電圧がフラットな範囲でしか電力貯蔵装置51が利用されないため、正極(LiFePO)の図の横軸方向の位置を測定範囲のOCVから知ることができない。そこで、当該方法では、正極電圧は一定であることを前提として、第1の診断方法と同じ手法で診断を行う。具体的には、式(3)のScは固定値となる。その結果、誤差の分散J(i)はX0(i)及びCa(i)が未知数の関数となる。未知数は2点なので、少なくとも3回の測定の測定データに基づき、誤差の分散J(i)を計算し、評価値SRを求めて診断する。また、ここでも上記と同様に、セル毎のJ(i)において統計的な外れ値がないことでも健全性を判断できる。
【0060】
当該診断方法は、例えば正極がLiFePOであり、負極が黒鉛又はHCである場合等に利用可能である。なお、この例示はあくまで一例であり、これに限定されない。
【0061】
-第3の診断方法-
LiFePO4とグラファイトの組み合わせのセルではOCVに相対的に電圧ヒステリシスがきく、診断精度を悪化させる可能性がある。ここでいうOCVの電圧ヒステリシスとは、充電中に充電を一旦停止して電圧が定になるまで放置した後に測定したOCV(充電方向のOCV)と、放電中に放電を旦停止して電圧が定になるまで放置した後に測定したOCV(放電方向のOCV)との値が致しないことをさす。この充電方向のOCVと放電方向のOCVの不致をOCVの電圧ヒステリシスと呼んでいる。この電圧ヒステリシスは、グラファイトの場合、最大で20mV程度ある。LiFePO4が正極の場合には正極電圧がほぼ定であるため、電圧ヒステリシスを考慮しない場合、診断誤差が拡する。
【0062】
この電圧ヒステリシスは、基準となる充放電状態から所定量だけ放電もしくは充電した後、電圧が変化しなくなるまで放置したときの電圧を測定することで求めることができる。電極材料のOCP、電池電圧のOCVは充電中または放電中に適宜停止して電圧変化がなくなるまで放置することで、あらかじめ測定することができる。そして、正極OCP、負極OCVと電池電圧OCVにはそれぞれ充電方向の値と放電方向の値が別々に存在する。(非特許文献2及び3参照)。
【0063】
また、放電が完了しない時点(例えばSOC25%)で充電を始めた直後、例えばSOC30%で充電を停止して電圧が変化しなくなるまで放置してOCVを測定した場合、測定されたOCVは、放電が完了した時点で充電を始めた直後に測定したSOC30%における放電方向OCVと充電方向OCVの中間的な値になる(非特許文献3参照)。そのため、放電が完了しない時点(例えばSOC25%)で充電を始めた直後に測定されたSOC30%でのOCVをそのまま使用して上記第1の診断方法を実施すると、大きな診断誤差を生じる恐れがある。第3の診断方法は、当該問題を解決する構成を備える。
【0064】
第3の診断方法では、第1の診断方法で説明したように、電力貯蔵装置51のSOCが互いに異なる条件下で複数回の測定が行われる。そして、第3の診断方法では、各回の測定が充電方向の測定及び放電方向の測定のいずれに該当するかが特定される。例えば、測定タイミングのSOCの遷移が「10%→90%→75%→65%→30%→10%」となったとする。この場合、SOC10%の時、30%の時、65%の時、及び75%の時の測定は放電方向の測定となり、この時に測定されたOCVが放電時OCVになる。そして、SOC90%の時の測定は充電方向の測定となり、この時に測定されたOCVが充電時OCVになる。
【0065】
そして、第3の診断方法では、ヒステリシスがある電極材料においては、予め充電方向の測定時の正極OCP・負極OCP、及び放電方向の測定時の正極OCP・負極OCPの各々を求めておく。これらは、例えばLi電極と電極材料とで制作したハーフセルを用いて予め測定することができる。そして、第3の診断方法では、上記式(3)を用いたR(i,N)の算出において、充電方向の測定回においては上記予め測定した「充電方向の測定時の正極OCP・負極OCP」を利用し、放電方向の測定回においては上記予め測定した「放電方向の測定時の正極OCP・負極OCP」を利用する。すなわち、充電方向の測定回か放電方向の測定回かに応じて、R(i,N)の算出に用いる正極OCP及び負極OCPの値を異ならせる。第3の診断方法のその他の構成は、第1の診断方法と同様である。
【0066】
なお、ヒステリシスの大きい電池の測定タイミング(SOCの遷移)の詳細は、以下のように決定されてもよい。あらかじめSOC0%から例えば5%刻みで充電方向OCVを測定し、次にSOC100%から例えば5%刻みで放電方向OCVを測定しておく。次に、例えば実際に運転可能なSOCが20%から80%だった場合に、20%から5%刻みでOCV測定を実行し、上記予め測定した充電方向OCV値と比較し、両者が十分な精度で致し始めるSOC(例えば、互いの差が電圧測定ICの測定精度+α以下となるSOC)を求める(例えばこの値が70%だったとする)。放電方向もSOC80%まで充電した後に放電を開始して同様にOCV測定を実行し、上記予め測定した放電方向OCV値と比較し、両者が十分な精度で致し始めるSOC(例えば、互いの差が電圧測定ICの測定精度+α以下となるSOC)を求める(例えばこの値が60%だったとする)。この結果に基づき、測定タイミング(SOCの遷移)を、SOC20%→70%→80%→60%→30%→20%と決定することができる。
【0067】
また、正負極の充電状態(SOC)に対する電圧傾きの大きい点を選定して測定することが好ましい。図13に、正負極のOCP、正負極のOCPの充電状態に対する電圧傾きdV/dSOC、及び電池OCVを示す。数点の測定で精度良く正極容量、負極容量を測定するには、正負極の電圧の充電状態に対する傾きが大きい点で測定するのが良い。電圧傾きの小さい領域で測定すると、正負極の容量の誤差は大きくなる。セル電圧測定の分解能Vres、精度Vacuとすると、正負極OCPの傾きdV/dSOCに対する、式(1)乃至(3)のSc、Saの分解能はVres/((dV/dSOC))であり、同様にSc、Saの精度はVacu/((dV/dSOC))になる。例えば、電池システムで使われているセル電圧測定ICの測定分解能を1mV、測定精度をプラスマイナス1mV、OCVの傾きを2mV/%の点で測定すると、Sa、Scの分解能はセル容量に対して0.5%、精度プラスマイナス0.5%となり、実用上十分な測定精度が得られる。
【0068】
例えば、測定点として、正負極のOCPカーブのdV/dSOCの大きい点をそれぞれ2点以上選ぶ。図14の例では、(1)、(3)は負極のdV/dSOCが大きい領域から選ばれており、(2)、(4)は正極のdV/dSOCが大きい領域から選ばれている。監視を始める前にセルレベルで実験室で新品状態のセルの正負極ずれB、セル容量Ccell、正負極容量Cc、Caを測定し、例えば図14に示す条件に基づき、測定点(1)乃至(4)のSOCを決定することができる。蓄電システムはSOCによってバッテリシステムを管理しており、目標SOCを与えることでシステムSOCが目標値になるように充放電させることができる。
【0069】
なお、2回目以降の診断時には直前の診断におけるB、Ccell、Cc、Caの測定値を用い、例えば図14に示す条件に基づき、測定点(1)乃至(4)のSOCを決定してもよい。実際のシステムでは大量のセルが使用されるので、B、Ccell、Cc、Caは各システムの複数のセルの測定値の統計値(平均値、最大値、最小値、最頻値、中央値等)を利用することができる。
【0070】
また、バッテリーが劣化して正負極容量、正負極ずれが変化しても計算によりセルの測定点を計算するように構成することで、劣化後も正確な診断を実施することができる。もし、実験室のデータがない場合にも電極材料が既知であれば、材料のOCは既知なので、正負極の目標とする測定SOCをその既知の値に基づき決定することができ、何回か診断を繰り返すうちに診断精度を改善することができる。
【0071】
ところで、電池の電極材料や電極設計によってはSOC0%の基準状態から充電中に適宜測定したOCVカーブ(例えば、SOC:0、10、20、、、90、100%でのOCV測定値)と、例えばSOC20%まで放電して次にSOC20%から充電中に測定したOCVカーブ(例えば、SOC:20、、、90、100%でのOCV測定値)が十分な精度で致しないことがある。このような場合には放電時OCVから充電時OCVへの遷移状態の電圧(またはその逆)を使って診断を行うことが好ましい。このような場合には、正負極OCPの計算関数に放電から充電に切り替えた時の正負極の充電状態Sct、Satを引数として渡し、すなわちVc(Sct,Sc)、Va(Sat,Sc)として下記のように計算すれば良い。
【0072】
例えば、診断運転のセルOCV測定をSOC10%、20%、60%、90%で実施するとする。このとき診断運転を例えばSOC10%にてX(0)を測定(OCVは測定しなくてもよい)、その後SOC90%にて(X(4),V(i,4))を測定、その後SOC60%にて(X(3),V(i,3))を測定、その後SOC20%にて(X(2),V(i,2))を測定、その後SOC10%にて(X(1),V(i,1))を測定したとする。測定は、SOC10%→90%→60%→20%→10%の順で行われたので、SOC90%での測定の(X(4),V(i,4))は充電方向の測定値となり、SOC60%、20%、10%での測定の(X(3),V(i,3))、(X(2),V(i,2))、(X(1),V(i,1))は放電方向の測定値となる。
【0073】
測定された値に対し、図15に示すように、上記式(3)の演算を行う。関数Vc、Vaは、実験室等で予め測定して近似関数を得ておいてもよいし、非特許文献3に示されいる方法で予め求めておいてもよい。
【0074】
ところで、OCVは充電または放電の電流停止後、電圧が変わらなくなるまで待って測定することで得られる電圧であるが、電池の種類によっては待ち時間が2時間近くかかるものがある。また、電池電圧が収束したかどうかを判定するのも電圧変化が非常にゆっくりと長時間続く場合があり(例えば、1mV/10分が1時間継続)、判定に困難を伴う。バッテリーの電圧の過渡的変化は図16のような回路で表現できることがわかっている。図中、VocvはセルのOCV、Vは測定電圧、ΔVは過渡電圧変化、R1及びR2は抵抗値、IR1及びIR2は抵抗を流れる電流、C1及びC2はコンデンサー容量、IC1及びIC2はコンデンサーを流れる電流、V1及びV2は抵抗とコンデンサーにかかる電圧である。
【0075】
そこで、例えば充放電電流をゼロにした後の電圧は図17に示す式を使って計算してもよい。この場合、現実的な測定時間(例えば30分程度)でOCVを求めることができる。図17の関係式において、完全に電圧が収束する前に測定された電圧Vの変化に合うようにV1及びV2の初期値V1,ini、V2,ini、R1、R2、C1、C2、Vocvを求めることができる。独立変数が7個あるので7点以上の測定点から計算できる。フィッティングの精度を上げるより複雑な回路モデルが論文等に発表されているが実用上は図16に示した回路で十分である。
【0076】
-第4の診断方法-
第4の診断方法では、第1の診断方法と同様に、診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき「参照値(正極の開回路電位から負極の開回路電位を引いた値)と開回路電圧の測定値との差」を算出し、その算出結果に基づき電力貯蔵装置51の健全性を判断する。しかし、第4の診断方法は、X0(i)、B(i)、Cc(i)及びCa(i)の求め方が第1の診断方法と異なる。
【0077】
具体的には、当該診断方法では、図7に示すように、システム利用範囲の下限SOCで測定し、その後、上限SOCまで充電して再度測定を行う。そして、その間の充電時の充電電流・電圧を測定する。なお、測定範囲は必ずしも下限SOCと上限SOCの間である必要はないが、このようにすることで精度が高くなる。
【0078】
診断部12は、上記充電時の充電電流・電圧の測定データに基づき、非特許文献1に開示されている手法で、X0(i)、B(i)、Cc(i)及びCa(i)を求める。そして、診断部12は、求めた値と上記式(1)乃至(5)に基づき、正極の充電状態Sc、負極の充電状態Sa、参照値と開回路電圧の測定値との差R(i,N)、セル毎評価値(誤差の分散J(i))、電力貯蔵装置51の評価値SR等を算出することができる。また、上記と同様に、セル毎のX0(i)、B(i)、Cc(i)及びCa(i)において統計的な外れ値がないことでも健全性を判断できる。
【0079】
当該診断方法は、正極及び負極の材料の限定はなく、あらゆる材料で構成された正極及び負極に対して利用可能である。
【0080】
-第5の診断方法-
第5の診断方法では、診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき「正極容量Cc(i)及び負極容量Ca(i)」を算出し、その算出結果に基づき電力貯蔵装置51の健全性を判断する。以下、詳細を説明する。
【0081】
診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき、セルi毎に「正極容量Cc(i)及び負極容量Ca(i)」を算出し、この値をセル毎評価値とする。正極容量Cc(i)及び負極容量Ca(i)の算出は、例えば第1乃至第4の診断方法で説明した方法で実現することができる。
【0082】
また、診断部12は、以下の式(6)及び(7)に基づき、電力貯蔵装置51の正極の評価値SRc及び負極の評価値SRaを算出することができる。Ccaveは、システムに含まれるセルのCc(i)の平均値である。Caaveは、システムに含まれる複数のセルのCa(i)の平均値である。
【0083】
【数6】
【0084】
【数7】
【0085】
そして、診断部12は、セル毎評価値、電力貯蔵装置51の正極の評価値及び電力貯蔵装置51の負極の評価値の少なくとも1つに基づき、電力貯蔵装置51の健全性を診断する。
【0086】
例えば、診断部12は、「全てのセル毎評価値が第3の基準値以下」、「所定割合以上のセル毎評価値が第3の基準値以下」、「電力貯蔵装置51の正極の評価値が第4の基準値以下」及び「電力貯蔵装置51の負極の評価値が第5の基準値以下」の中の1つである条件、又はこの中の複数を論理演算子で繋いだ条件を満たす場合に、電力貯蔵装置51は健全と判断してもよい。また、上記と同様に、セル毎のCc(i)及びCa(i)において統計的な外れ値がないことでも健全性を判断できる。
【0087】
-第6の診断方法-
第6の診断方法では、診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき「正負極ずれB(i)」を算出し、その算出結果に基づき電力貯蔵装置51の健全性を判断する。以下、詳細を説明する。
【0088】
診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき、セルi毎に「正負極ずれB(i)」を算出し、この値をセル毎評価値とする。正負極ずれB(i)の算出は、例えば第1乃至第4の診断方法で説明した方法で実現することができる。
【0089】
また、診断部12は、以下の式(8)に基づき、電力貯蔵装置51の評価値RBを算出することができる。Baveは、システムに含まれる複数のセルのB(i)の平均値である。
【0090】
【数8】
【0091】
そして、診断部12は、セル毎評価値、電力貯蔵装置51の評価値の少なくとも一方に基づき、電力貯蔵装置51の健全性を診断する。
【0092】
例えば、診断部12は、「全てのセル毎評価値が第6の基準値以下」、「所定割合以上のセル毎評価値が第6の基準値以下」及び「電力貯蔵装置51の評価値が第7の基準値以下」の中の1つである条件、又はこの中の複数を論理演算子で繋いだ条件を満たす場合に、電力貯蔵装置51は健全と判断してもよい。
【0093】
-第7の診断方法-
第7の診断方法では、診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき「負極利用率Aar(i)」を算出し、その算出結果に基づき電力貯蔵装置51の健全性を判断する。以下、詳細を説明する。
【0094】
診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき、セルi毎に「負極利用率Aar(i)」を算出し、この値をセル毎評価値とする。負極利用率Aar(i)は、以下の式(9)及び(10)で定義される。
【0095】
【数9】
【0096】
【数10】
【0097】
Socmaxは、システム利用範囲上限のSOCである。Socminは、システム利用範囲下限のSOCである。X(i,socmax)はセル番号iのセルが所属するバッテリーバンクにおけるSOCがシステム利用範囲上限の状態での測定時の積算電流であり、システムを上限SOCまで充電することで測定できる。X(i,socmin)はセル番号iのセルが所属するバッテリーバンクにおけるSOCがシステム利用範囲下限の状態での測定時の積算電流であり、システムを下限SOCまで放電することで測定できる。
【0098】
また、診断部12は、以下の式(11)に基づき、電力貯蔵装置51の評価値SRAarを算出することができる。Aaraveは、システムに含まれる複数のセルのAr(i)の平均値である。
【0099】
【数11】
【0100】
そして、診断部12は、セル毎評価値、電力貯蔵装置51の評価値の少なくとも一方に基づき、電力貯蔵装置51の健全性を診断する。
【0101】
例えば、診断部12は、「全てのセル毎評価値が第8の基準値以下」、「所定割合以上のセル毎評価値が第8の基準値以下」及び「電力貯蔵装置51の評価値が第9の基準値以下」の中の1つである条件、又はこの中の複数を論理演算子で繋いだ条件を満たす場合に、電力貯蔵装置51は健全と判断してもよい。なお、負極利用率が低いほど、リチウム析出の可能性が低く安全である。
【0102】
-第8の診断方法-
第8の診断方法では、診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき「上限SOCでの負極SOC(Soca(i))」を算出し、その算出結果に基づき電力貯蔵装置51の健全性を判断する。以下、詳細を説明する。
【0103】
上限SOCはシステム利用範囲上限のSOCである。診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき、セルi毎に「上限SOCでの負極SOC(Soca(i))」を算出し、この値をセル毎評価値とする。上限SOCでの負極SOC(Soca(i))は、以下の式(12)で定義される。A(i,socmax)はX(i,socmax)からX0(i)を引いた値である。X(i,socmax)は、測定時にシステムの上限SOCまで充電して測定してもよい。または、システムが表示するSOCや容量の情報とX0(i)に基づき計算で求めてもよい。
【0104】
【数12】
【0105】
また、診断部12は、以下の式(13)に基づき、電力貯蔵装置51の評価値SRSocaを算出することができる。Socaaveは、システムに含まれる複数のセルのSoca(i)の平均値である。
【0106】
【数13】
【0107】
そして、診断部12は、セル毎評価値、電力貯蔵装置51の評価値の少なくとも一方に基づき、電力貯蔵装置51の健全性を診断する。
【0108】
例えば、診断部12は、「全てのセル毎評価値が第10の基準値以下」、「所定割合以上のセル毎評価値が第10の基準値以下」及び「電力貯蔵装置51の評価値が第11の基準値以下」の中の1つである条件、又はこの中の複数を論理演算子で繋いだ条件を満たす場合に、電力貯蔵装置51は健全と判断してもよい。
【0109】
-第9の診断方法-
第9の診断方法では、診断部12は、取得部11が取得した測定データに基づき「リチウムイオンの不活化量LiLi(i)」を算出し、その算出結果に基づき電力貯蔵装置51の健全性を判断する。以下、詳細を説明する。
【0110】
リチウムイオンの不活化量LiLi(i)は、セルiの正負極ずれB(i)と、正極の製造時からの劣化量Lca(i)とを用い、以下の式(14)のように定義できる。
【0111】
【数14】
【0112】
出荷時の正極容量をCaimiとすると、Lca(i)は以下の式(15)のように定義できる。
【0113】
【数15】
【0114】
そして、式(14)と式(15)より、リチウムイオンの不活化量LiLi(i)は以下のように定義できる。当該式を用いて、リチウムイオンの不活化量LiLi(i)を求めることができる。
【0115】
【数16】
【0116】
そして、以下の式(17)で評価値を算出し、健全性を評価してもよいLLiaveは、システムに含まれる複数のセルのLiLi(i)の平均値である。また、上記と同様に、セル毎のLiLi(i)において統計的な外れ値がないことでも健全性を判断できる。
【0117】
【数17】
【0118】
-第10の診断方法-
LiFePOと黒鉛との組み合わせでは、製造時のセルOCVカーブと経年運転した場合のセルOCVカーブの差は、セルが正常である場合には非常に小さい。逆に言うと正極や負極に材料異常が出た時にだけセルOCVカーブに異常が現れる。そのため、図11に示すように、正極と負極を分離して計算せずに直接測定値と製造時のセルOCVカーブとを比較する方法でも判定を行うことができる。
【0119】
診断部12は、下記の式(18)乃至(20)で定義されるJ(i)が最小になるようにセル毎に、X0(i)とCcell(i)を求める。
【0120】
【数18】
【0121】
【数19】
【0122】
【数20】
【0123】
ここで、Nは測定番号(測定点を示すインデックス)である。Ccell(i)はセル毎の容量、Vcell(SOC)は製造時の与えられたSOCに対する電圧を返す関数である。上記の値J(i)から電池システムにおける評価値SRを求め、判定することができる。また、上記と同様に、セル毎のJ(i)において統計的な外れ値がないことでも健全性を判断できる。
【0124】
-第11の診断方法-
第11の診断方法は、第1乃至第10の診断方法中の少なくとも2つを採用する。そして、診断部12は、採用した全ての診断方法において健全であると判断され場合、電力貯蔵装置51は健全であると診断する。
【0125】
以上説明したように、診断部12は、「参照値(正極の開回路電位から負極の開回路電位を引いた値)と開回路電圧の測定値との差」、「正極容量」、「負極容量」、「正負極ずれ」、「不活化Liイオン量」、「負極利用率」及び「上限SOCでの負極SOC」の中の少なくとも1つである項目値に基づき、電力貯蔵装置51の健全性を診断することができる。
【0126】
また、診断部12は、電力貯蔵装置51が備える複数のセル(電力貯蔵装置51が備える全てのセルでもよいし、一部のセルでもよい)各々について「参照値と開回路電圧の測定値との差」、「正極容量」、「負極容量」、「正負極ずれ」、「不活化Liイオン量」、「負極利用率」及び「上限SOCでの負極SOC」の中の少なくとも1つの項目値を算出することができる。そして、診断部12は、「複数のセル各々における項目値と第1の基準値との比較結果」、及び「複数のセルにおける項目値の分散と第2の基準値との比較結果」の少なくとも一方に基づき、電力貯蔵装置51の健全性を診断することができる。
【0127】
また、診断部12は、セル毎に測定したパラメータに外れ値の有無に基づき、健全性を診断することができる。
【0128】
図4に戻り、認証結果受信部13は、認証サーバ20に診断部12の診断結果及び認証申請を送信する。そして、認証結果受信部13は、その返信として、その診断結果に基づく認証結果を認証サーバ20から受信する。認証結果は、「電力貯蔵装置51が健全であることを認証するか否か」を示す。
【0129】
出力内容制御部14は、出力装置52により出力される認証情報の出力内容を、認証結果受信部13が受信した認証結果に基づき制御する。
【0130】
例えば、出力装置52はディスプレイであり、認証情報は認証マークであってもよい。そして、出力内容制御部14は、認証結果に応じて認証マークの表示/非表示を切り替えてもよい。例えば、出力内容制御部14は、認証結果が「電力貯蔵装置51が健全であることを認証する内容」である場合、ディスプレイに認証マークを表示させ、認証結果が「電力貯蔵装置51が健全であることを認証しない内容」である場合、ディスプレイにおける認証マークを非表示にしてもよい。
【0131】
その他、出力装置52はランプであり、認証情報はランプの点灯状態であってもよい。そして、出力内容制御部14は、認証結果に応じてランプの点灯状態を切り替えてもよい。例えば、出力内容制御部14は、認証結果が「電力貯蔵装置51が健全であることを認証する内容」である場合にランプを点灯させ、「電力貯蔵装置51が健全であることを認証しない内容」である場合にランプを非点灯にしてもよいし、その逆にしてもよい。その他、出力内容制御部14は、認証結果に応じて、ランプの色を異ならせたり、点灯の態様(点滅、常時点灯等)を異ならせたりしてもよい。
【0132】
その他、出力装置52はスピーカであり、認証情報はスピーカから出力される警告音や警告情報であってもよい。そして、出力内容制御部14は、認証結果に応じて警告音や警告情報の出力状態を切り替えてもよい。例えば、出力内容制御部14は、認証結果が「電力貯蔵装置51が健全であることを認証する内容」である場合、警告音や警告情報を出力させず、「電力貯蔵装置51が健全であることを認証しない内容」である場合、警告音や警告情報を出力させてもよい。
【0133】
「認証サーバ20の構成」
認証サーバ20のハードウエア構成の例は、監視サーバ10と同様に図3で示される。図3に示すように、認証サーバ20は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。認証サーバ20は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、認証サーバ20は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。認証サーバ20が物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。なお、図3の詳細な説明は上述したので、ここでの説明は省略する。
【0134】
次に、認証サーバ20の機能構成を説明する。認証サーバ20は、監視サーバ10から診断結果及び認証申請を受信すると、受信した診断結果に基づき電力貯蔵装置51が健全であることを認証するか否か決定する。そして、認証サーバ20は、決定した認証結果を監視サーバ10に送信する。
【0135】
健全であることを認証するか否か決定する処理の内容は設計的事項であるが、例えば認証サーバ20は所定の認証条件を満たした場合に、健全であることを認証すると決定してもよい。所定の認証条件は、「監視サーバ10による診断結果で健全であることが示されていること」、「監視サーバ10から受信した診断結果及び認証申請が正当なものであること」等であるが、これらに限定されない。監視サーバ10から受信した診断結果及び認証申請の正当性の判断方法は、従来のあらゆる技術を採用できる。
【0136】
「認証システムの処理の流れ」
次に、図8のシーケンス図を用いて、認証システムの処理の流れの一例を説明する。
【0137】
まず、予め定められたタイミングで、又はユーザからのリクエストに応じて、電力貯蔵システム50は診断運転を実行し、電力貯蔵装置51に関する測定データを生成する(S10)。そして、電力貯蔵システム50は生成した測定データを監視サーバ10に送信する(S11)。監視サーバ10は受信した測定データに基づき電力貯蔵装置51の健全性を診断し(S12)、診断結果及び認証申請を認証サーバ20に送信する(S13)。認証サーバ20は、受信した診断結果に基づき電力貯蔵装置51が健全であることを認証するか否か決定し(S14)、決定した認証結果を監視サーバ10に送信する(S15)。
【0138】
監視サーバ10は、受信した認証結果に基づき出力装置52の出力内容を決定し(S16)、決定した出力内容で出力させるための出力内容制御信号を電力貯蔵システム50に送信する(S17)。電力貯蔵システム50の出力装置52は、出力内容制御信号に従った出力処理を実行する(S18)。
【0139】
このように、監視サーバ10の取得部11は、予め定められたタイミングで、又はユーザからのリクエストに応じて、そのタイミングで生成された測定データを電力貯蔵システム50から取得する。そして診断部12は、取得部11による測定データの取得に応じて、電力貯蔵装置51の健全性を診断する。そして認証結果受信部13は、診断部12による電力貯蔵装置の健全性の診断に応じて、診断結果を認証サーバ20に送信し、認証結果を認証サーバ20から受信する。そして出力内容制御部14は、認証結果受信部13による認証結果の受信に応じて、出力装置52における認証情報の出力内容を制御する。
【0140】
「変形例」
ここで、本実施形態の認証システムの変形例を説明する。
【0141】
-変形例1-
当該変形例では、S15において認証結果が認証サーバ20から電力貯蔵システム50に(監視サーバ10を介さずに)送信される。そして、電力貯蔵システム50は、受信した認証結果に基づき出力装置52における認証情報の出力内容を制御する。
【0142】
-変形例2-
当該変形例では、診断部12は、S12において、各種項目値の算出まで行い、各種項目値と参照値との比較は行わない。そして、認証結果受信部13は各種項目値を診断結果として認証サーバ20に送信する(S13)。認証サーバ20は、各種項目値と参照値との比較を行い、比較の結果に基づき、電力貯蔵装置51が健全であることを認証するか否か決定する(S14)。
【0143】
「作用効果」
以上説明したように、本実施形態の認証システムによれば、電力貯蔵装置51の健全性を診断し、診断結果に基づき電力貯蔵装置51が健全であることを認証するか否か判断し、判断結果に応じた出力を出力装置52にさせることができる。ユーザは、出力装置52の出力内容に基づき、容易に、電力貯蔵装置51の状態が健全であるか否かを判断することができる。結果、ユーザによる電力貯蔵装置51の健全性への配慮の負担を軽減することができる。
【0144】
また、認証システムは、特徴的な様々な新たな手法で、電力貯蔵装置51の健全性を判断することができる。このような新たな手法を利用することで、多角的に電力貯蔵装置51の健全性を診断することが可能となる。例えば、上述した第1乃至第4、第9の診断方法によれば、電力貯蔵システムによる電流・電圧測定機能の正常性を確認したり、セルの正負極材料の異常を検出したりできる。また、上述した第5乃至第9の診断方法によれば、セル内部状態の健全性を確認したり、内部異常を起こしているセルを故障発生前に検出することができる。
【0145】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、電力貯蔵システム50は所定のタイミング(1年に1度、半年に1度、1カ月に1度、ユーザなどから実行指示が入力されたタイミング等)で診断運転を行い、認証の判定が行われた。本実施形態の監視サーバ10は、このタイミングの間において、診断運転の必要性を判断し、必要と判断した場合に診断運転を実行させる機能を有する。以下、詳細に説明する。
【0146】
電力貯蔵システム50は、診断運転でなく通常運転を行っている時にも、常時又は定期的に測定を行い、その結果として得られる測定データを監視サーバ10に送信する。通常運転時の測定で得られる測定データは、診断運転時の測定で得られる測定データと同種のデータである。しかし、通常運転中の測定においては、測定よりも電力貯蔵装置51の利用が優先される。このため、例えば「システム利用範囲の下限SOCで測定した後、上限SOCまで充電して再度測定を行い、さらにその間の所定のSOCの時に測定を行う。」といった制御、すなわち「所定のSOCの時に測定する」という制御は困難である。このため、通常運転時の測定で得られる測定データは、「所定のSOCの時の測定」が実現されていない可能性がある点で、診断運転の測定で得られる測定データと異なる。
【0147】
そして、監視サーバ10の取得部11は、このようにして電力貯蔵システム50から送信された通常運転時の測定で得られる測定データを取得する。
【0148】
診断部12は、通常運転時の測定で得られる測定データに基づき、診断運転の必要性を検出する。そして、診断部12は、診断運転が必要と判断した場合、診断運転を実行する指示信号を電力貯蔵システム50に送信する。電力貯蔵システム50は、当該診断運転を実行する指示信号を受信すると、それに応じて診断運転を実行し、診断運転の測定で得られる測定データを監視サーバ10に送信する。そして、監視サーバ10は、第1の実施形態で説明した処理を実行する。
【0149】
ここで、診断部12による診断運転の必要性を検出する処理を詳細に説明する。診断部12は、以下の第1及び第2の検出方法のいずれかに基づき、当該検出を実現することができる。
【0150】
-第1の検出方法-
診断部12は、直近の診断運転時に算出されたB(i)、Cc(i)及びCa(i)と、通常運転時の少なくとも2回の測定で得られた測定データとに基づき、X0(i)を求める。具体的には、B(i)、Cc(i)及びCa(i)の値が求まっている場合、上述した式(1)乃至(4)で定義される誤差の分散J(i)は、X0(i)が未知数の関数となる。診断部12は、当該関数と、通常運転時の測定で得られた測定データとに基づき、誤差の分散J(i)が最小となるX0(i)の値を求める。そして、この時(誤差の分散J(i)が最小となる時)の誤差の分散J(i)と、直近の診断運転時の誤差の分散J(i)との差を、セル毎中間評価値とする。すなわち、直近の診断運転時に算出されたB(i)、Cc(i)及びCa(i)を使って新たに求めた分散をJ(i)とし、直近の分散をJ(i)とすると、セル毎中間評価値はJ(i)からJ(i)を引いた値となる。この値を使って診断する。
【0151】
また、診断部12は、複数のセル各々のセル毎中間評価値の和を電力貯蔵装置51の中間評価値として算出することができる。
【0152】
そして、診断部12は、セル毎中間評価値、電力貯蔵装置51の中間評価値の少なくとも一方に基づき、診断運転の必要性を判断する。
【0153】
例えば、診断部12は、「全てのセル毎中間評価値が第12の基準値以上」、「所定割合以上のセル毎中間評価値が第12の基準値以上」及び「電力貯蔵装置51の中間評価値が第13の基準値以上」の中の1つである条件、又はこの中の複数を論理演算子で繋いだ条件を満たす場合に、診断運転が必要と判断する。
【0154】
-第2の検出方法-
正極としてLiFePOを用いた場合、図9に示すように電圧がフラットな範囲でしか電力貯蔵装置51が利用されない。正極電圧は一定であることを前提とし、Scを固定値とした場合、誤差の分散J(i)はX0(i)及びCa(i)が未知数の関数となる。未知数は2点なので、少なくとも2回の測定の測定データに基づき、誤差の分散J(i)が最小となるX0(i)及びCa(i)の値を求めることができる。
【0155】
通常運転中であっても、常時充電/放電が行われるわけではないので、充放電が停止している間に少なくとも2回の測定を実行することができる。そして、その測定データに基づき、第1の実施形態で説明した手法で、X0(i)及びCa(i)を求めることができる。なお、図9に示すように負極の電圧もほぼ一定となる範囲があるが(図中、無効とした範囲)、たまたま少なくとも2回の測定がこの範囲に入った場合、当該検出処理は実行せず、次の測定データを待つことができる。
【0156】
X0(i)及びCa(i)を求めた後は、診断部12は、第1の検出方法と同様の手法で、診断運転の必要性を判断する。
【0157】
本実施形態の認証システムによれば、第1の実施形態と同様の作用効果が実現される。また、診断運転の間においても診断運転の必要性を検出する処理を実行し、検出に応じて診断運転を実行することができる。このため、電力貯蔵システム50の異常を早期に検出することができる。
【0158】
<第3の実施形態>
図10に本実施形態の診断装置60の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、診断装置60は診断部61を有する。診断部61は、電力貯蔵装置51に関する測定データに基づき電力貯蔵装置51の健全性を診断する。診断部61の構成は、監視サーバ10の診断部12の構成と同じである。
【0159】
診断装置60のハードウエア構成の例は、監視サーバ10及び認証サーバ20と同様に図3で示される。図3に示すように、診断装置60は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。診断装置60は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、診断装置60は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。診断装置60が物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。なお、図3の詳細な説明は上述したので、ここでの説明は省略する。
【0160】
本実施形態の診断装置60によれば、第1及び第2の実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0161】
なお、本明細書において、「取得」とは、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータを取りに行くこと(能動的な取得)」、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置に他の装置から出力されるデータを入力すること(受動的な取得)」、たとえば、配信(または、送信、プッシュ通知等)されるデータを受信すること、また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、及び、「データを編集(テキスト化、データの並び替え、一部データの抽出、ファイル形式の変更等)などして新たなデータを生成し、当該新たなデータを取得すること」の少なくともいずれか一方を含む。
【0162】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0163】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
1. 電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断部を有する診断装置。
2. 前記診断部は、
前記電力貯蔵装置の正極の充電状態と前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位との関係を示す正極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の正極の開回路電位を算出し、
前記電力貯蔵装置の負極の充電状態と前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位との関係を示す負極開回路電位情報に基づき、前記開回路電圧を測定したときの前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を算出し、
前記算出した結果に基づき、前記参照値を算出する1に記載の診断装置。
3. 前記診断部は、
前記電力貯蔵装置の正負極ずれと、正極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の正極の充電状態を算出する2に記載の診断装置。
4. 前記診断部は、
セルiの正負極ずれをB(i)、セルiの正極容量をCc(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)とした場合、上記式(1)に基づき前記電力貯蔵装置の正極の充電状態Scを算出する3に記載の診断装置。
5. 前記診断部は、
前記電力貯蔵装置の負極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の負極の充電状態を算出する2から4のいずれかに記載の診断装置。
6. 前記診断部は、
セルiの負極容量をCa(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)とした場合、上記式(2)に基づき前記電力貯蔵装置の負極の充電状態Saを算出する5に記載の診断装置。
7. 前記開回路電圧の測定は、前記電力貯蔵装置のSOC(state of charge)が互いに異なる条件下で複数回行われ、
前記診断部は、
セルiの正負極ずれをB(i)、セルiの正極容量をCc(i)、セルiの負極容量をCa(i)、測定番号Nの測定時のセルiの負極の充電量をA(i,N)、正極の充電状態がScの時の正極の開回路電位をVc(Sc)、負極の充電状態がSaの時の負極の開回路電位をVa(Sa)、測定番号Nの測定時のセルiの開回路電圧をV(i,N)とした場合、上記式(1)乃至式(4)で定義される誤差の分散J(i)が最小になる時の、正負極ずれと、正極容量と、負極容量と、負極の充電量とに基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する3から6のいずれかに記載の診断装置。
8. 前記開回路電圧の測定は、前記電力貯蔵装置のSOCが互いに異なる条件下でセルごとに複数回行われ、
前記診断部は、セルごとかつ各回の測定ごとの前記項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する1から7のいずれかに記載の診断装置。
9. 前記診断部は、
セルごとに、複数回の測定各々の前記項目値の二乗の和をセル毎評価値として算出し、
複数のセル各々のセル毎評価値の和に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する8に記載の診断装置。
10. コンピュータが、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断方法。
11. コンピュータを、
電力貯蔵装置の正極の開回路電位から前記電力貯蔵装置の負極の開回路電位を引いた参照値と、開回路電圧との差である項目値に基づき、前記電力貯蔵装置の健全性を診断する診断手段として機能させるプログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17