(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】スピーカボックス
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20241205BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04R1/02 101Z
H04R9/02 102Z
(21)【出願番号】P 2022578856
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 CN2022120175
(87)【国際公開番号】W WO2024036692
(87)【国際公開日】2024-02-22
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】202210975595.7
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518131698
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】恵 燿
(72)【発明者】
【氏名】儲 宇芬
(72)【発明者】
【氏名】劉 久健
(72)【発明者】
【氏名】陳 衛敏
【審査官】稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-50141(JP,A)
【文献】特開平3-171896(JP,A)
【文献】特開2010-178006(JP,A)
【文献】特開2009-135572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/46
H04R 9/00-9/18、31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカボックスであって、ハウジングと、前記ハウジング内に固定収容された発音単体を含み、前記発音単体は、フレームと、それぞれ前記フレームに固定された振動システム及び磁気ギャップを有する磁気回路システムとを含み、前記磁気回路システムは、磁気ヨークと、前記磁気ヨークに固定された主磁性鋼と、前記主磁性鋼と間隔を隔てて前記磁気ギャップを形成する副磁性鋼とを含み、
前記ハウジングは、前記フレームに固定された下カバーを含み、前記下カバー、前記フレーム及び前記磁気回路システムは、共に囲んでバックチャンバを形成し、前記下カバーは、それを貫通する1つ又は複数のリーク孔を含み、前記バックチャンバは、前記リーク孔を介して外部と連通し、
前記スピーカボックスは、前記バックチャンバ内に収容された磁気回路結合バルブをさらに含み、前記磁気回路結合バルブは、前記フレーム又は前記磁気ヨークに固定されたブラケットと、前記ブラケットに固定された負剛性振動膜と、前記負剛性振動膜の前記副磁性鋼に近い側に固定されかつ前記副磁性鋼と間隔を隔てるコイルとを含み、前記負剛性振動膜は、前記リーク孔に正対しかつ間隔を隔てて設置され、前記コイルは、外部制御信号を受信しかつ前記副磁性鋼と共に電磁界を生成することにより、前記負剛性振動膜が前記リーク孔に当接して、前記リーク孔を封止して閉鎖状態とするか、又は前記リーク孔から離れて前記リーク孔を開放状態とするか、又は部分的に前記リーク孔に当接して、前記リーク孔を部分的な開閉状態とするように駆動することを特徴とするスピーカボックス。
【請求項2】
前記副磁性鋼は、2つありかつそれぞれ前記主磁性鋼の対向する両側に設置され、前記下カバーは、前記磁気ヨークと正対して間隔を隔てて設置された下カバープレートと、前記下カバープレートの周縁から前記発音単体の外側に沿って折り曲げて延在しかつ前記フレームに固定接続された下カバー側壁とを含み、前記リーク孔は、前記下カバー側壁に位置し、前記磁気回路結合バルブは、1つの前記副磁性鋼の前記主磁性鋼から離れる側に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカボックス。
【請求項3】
前記負剛性振動膜は、前記リーク孔を封止するための封止部材と、弾性膜とを含み、前記封止部材は、前記リーク孔に正対して設置され、前記弾性膜は、第1固定部と、前記第1固定部の外周から折り曲げて延在する弾性折曲部と、前記弾性折曲部の前記第1固定部から離れる側から延在しかつ前記ブラケットの前記副磁性鋼から離れる側に固定された第2固定部とを含み、前記コイルは、前記第1固定部の前記副磁性鋼に近い側に固定され、前記封止部材は、前記第1固定部の前記副磁性鋼から離れる側に固定され、前記コイルが通電されない場合、前記第2固定部と前記封止部材の前記コイルの移動方向に沿った距離は、前記第2固定部と前記リーク孔が設置された側の前記下カバー側壁の前記コイルの移動方向に沿った距離よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のスピーカボックス。
【請求項4】
前記負剛性振動膜は、対称構造又は非対称構造であることを特徴とする請求項3に記載のスピーカボックス。
【請求項5】
前記負剛性振動膜は、両側対称又は四辺対称の矩形又は4つの角が非対称な矩形を呈し、あるいは、一辺がヒンジ固定され、他辺が負剛性の湾曲形態を呈することを特徴とする請求項4に記載のスピーカボックス。
【請求項6】
前記磁気回路システムは、前記副磁性鋼の前記磁気ヨークから離れる側に固定された副導磁板をさらに含み、前記コイルは、トラック形を呈し、前記副導磁板は、少なくとも部分的に前記コイル内に延在することを特徴とする請求項2に記載のスピーカボックス。
【請求項7】
前記スピーカボックスは、前記バックチャンバ内に収容されたガスケットをさらに含み、前記ガスケットは、前記リーク孔が設置された前記下カバー側壁の内側に固定されていることを特徴とする請求項2に記載のスピーカボックス。
【請求項8】
前記ガスケットは、ゴムシート、フレキシブルフォーム、高分子ゲル又は高粘度油脂であることを特徴とする請求項7に記載のスピーカボックス。
【請求項9】
前記振動システムは、前記フレームに固定された振動膜と、前記振動膜に固定されかつ前記磁気ギャップに挿設されて前記振動膜が振動して発音するように駆動するボイスコイルとを含み、前記発音単体は、上カバーをさらに含み、前記上カバーは、前記振動膜に圧設されかつ前記振動膜と共に囲んでフロントチャンバを形成し、前記上カバーには、発音孔が設けられ、前記フロントチャンバは、前記発音孔を介して外部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカボックス。
【請求項10】
前記振動システムは、前記フレームに固定されかつ前記ボイスコイルの前記振動膜から離れる一端に接続された弾性支持アセンブリをさらに含み、前記弾性支持アセンブリには、4つのパッドが設けられ、4つの前記パッドは、それぞれ前記弾性支持アセンブリの4つの角に位置し、前記ボイスコイルの2本のリード線は、2つの前記パッドに溶接され、前記コイルの2本のリード線は、他の2つの前記パッドに溶接され、又は前記コイルの1本のリード線は、2つの前記パッドのうちの1つに溶接されることにより負極である1つの前記パッドを前記ボイスコイルと共用することを実現することを特徴とする請求項9に記載のスピーカボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響電気の分野に関し、特に携帯型電子製品に応用されるスピーカボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルインターネット時代の到来に伴い、スマートモバイルデバイスの数は絶えず増加している。多くのモバイルデバイスにおいて、携帯電話は、明らかに最も一般的で、最も携帯可能なモバイル端末装置である。音声を再生するスピーカボックスは、現在の携帯電話などのスマートモバイルデバイスの中に大量に応用されている。スピーカボックスに適用されたバックチャンバ体積は、スピーカボックスの音質の良否に直結する。
【0003】
関連技術におけるスピーカボックスの振動システムは、ハウジングと、発音単体とを含み、発音単体は、前記ハウジングをフロントチャンバとバックチャンバに仕切り、前記バックチャンバ内の気圧バランスと放熱を実現するために、前記ハウジングには、前記バックチャンバと外部とを連通する通気孔が設置され、かつ前記通気孔には、バルブを設置して前記バックチャンバと外部との連通を制御する。
【0004】
しかしながら、関連技術の前記スピーカボックスにおいて、前記バルブと、前記バルブの開閉を制御するスイッチ部材の具体的なデバイス化が開示されておらず、前記バルブの開閉を制御する制御能力、応答速度及び安定性は解決手段において解決及び反映されていない。さらに、関連技術における技術的解決手段は、主に前記バックチャンバ内の気圧調整を解決し、音漏れ制御の面で解決手段を提供せず、それにより前記スピーカボックスの音響性能を制限する。どのように前記スピーカボックスが発音面で振動して理想的なアコースティック・ダイポールを形成し、通話モードの受話器とする時に音漏れ制御を最適化し、かつ音分離度を向上させ、それによって前記スピーカボックスの音響性能を向上させるかということは解決すべき技術的問題である。
【0005】
したがって、上記技術的問題を解決するために、新たなスピーカボックスを提供することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、バックチャンバと外部との連通を正確に制御することができかつ音響性能に優れたスピーカボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、スピーカボックスを提供し、当該スピーカボックスは、ハウジングと、前記ハウジング内に固定収容された発音単体とを含み、前記発音単体は、フレームと、それぞれ前記フレームに固定された振動システム及び磁気ギャップを有する磁気回路システムとを含み、前記磁気回路システムは、磁気ヨークと、前記磁気ヨークに固定された主磁性鋼と、前記主磁性鋼と間隔を隔てて前記磁気ギャップを形成する副磁性鋼とを含み、前記ハウジングは、前記フレームに固定された下カバーを含み、前記下カバー、前記フレーム及び前記磁気回路システムは、共に囲んでバックチャンバを形成し、前記下カバーは、それを貫通する1つ又は複数のリーク孔を含み、前記バックチャンバは、前記リーク孔を介して外部と連通し、前記スピーカボックスは、前記バックチャンバ内に収容された磁気回路結合バルブをさらに含み、前記磁気回路結合バルブは、前記フレーム又は前記磁気ヨークに固定されたブラケットと、前記ブラケットに固定された負剛性振動膜と、前記負剛性振動膜の前記副磁性鋼に近い側に固定されかつ前記副磁性鋼と間隔を隔てるコイルとを含み、前記負剛性振動膜は、前記リーク孔に正対しかつ間隔を隔てて設置され、前記コイルは、外部制御信号を受信しかつ前記副磁性鋼と共に電磁界を生成することにより、前記負剛性振動膜が前記リーク孔に当接して、前記リーク孔を封止して閉鎖状態とするか、又は前記リーク孔から離れて前記リーク孔を開放状態とするか、又は部分的に前記リーク孔に当接して、前記リーク孔を部分的な開閉状態とするように駆動する。
【0008】
好ましくは、前記副磁性鋼は、2つありかつそれぞれ前記主磁性鋼の対向する両側に設置され、前記下カバーは、前記磁気ヨークと対向して間隔を隔てて設置された下カバープレートと、前記下カバープレートの周縁から前記発音単体の外側に沿って折り曲げて延在しかつ前記フレームに固定接続された下カバー側壁とを含み、前記リーク孔は、前記下カバー側壁に位置し、前記磁気回路結合バルブは、1つの前記副磁性鋼の前記主磁性鋼から離れる側に設置されている。
【0009】
好ましくは、前記負剛性振動膜は、前記リーク孔を封止するための封止部材と、弾性膜とを含み、前記封止部材は、前記リーク孔に正対して設置され、前記弾性膜は、第1固定部と、前記第1固定部の外周から折り曲げて延在する弾性折曲部と、前記弾性折曲部の前記第1固定部から離れる側から延在しかつ前記ブラケットの前記副磁性鋼から離れる側に固定された第2固定部とを含み、前記コイルは、前記第1固定部の前記副磁性鋼に近い側に固定され、前記封止部材は、前記第1固定部の前記副磁性鋼から離れる側に固定され、前記コイルが通電されない場合、前記第2固定部と前記封止部材の前記コイルの移動方向に沿った距離は、前記第2固定部と前記リーク孔が設置された側の前記下カバー側壁の前記コイルの移動方向に沿った距離よりも大きい。
【0010】
好ましくは、前記負剛性振動膜は、対称構造又は非対称構造である。
【0011】
好ましくは、前記負剛性振動膜は、両側対称又は四辺対称の矩形又は4つの角が非対称な矩形を呈し、あるいは、一辺がヒンジ固定され、他辺が負剛性の湾曲形態を呈する。
【0012】
好ましくは、前記磁気回路システムは、前記副磁性鋼の前記磁気ヨークから離れる側に固定された副導磁板をさらに含み、前記コイルは、トラック形を呈し、前記副導磁板は、少なくとも部分的に前記コイル内に延在する。
【0013】
好ましくは、前記スピーカボックスは、前記バックチャンバ内に収容されたガスケットをさらに含み、前記ガスケットは、前記リーク孔が設置された前記下カバー側壁の内側に固定されている。
【0014】
好ましくは、前記ガスケットは、ゴムシート、フレキシブルフォーム、高分子ゲル又は高粘度油脂である。
【0015】
好ましくは、前記振動システムは、前記フレームに固定された振動膜と、前記振動膜に固定されかつ前記磁気ギャップに挿設されて前記振動膜を振動して発音するように駆動するボイスコイルとを含み、前記発音単体は、上カバーをさらに含み、前記上カバーは、前記振動膜に圧設されかつ前記振動膜と共に囲んでフロントチャンバを形成し、前記上カバーには、発音孔が設けられ、前記フロントチャンバは、前記発音孔を介して外部に接続されている。
【0016】
好ましくは、前記振動システムは、前記フレームに固定されかつ前記ボイスコイルの前記振動膜から離れる一端に接続された弾性支持アセンブリをさらに含み、前記弾性支持アセンブリには、4つのパッドが設けられ、4つの前記パッドは、それぞれ前記弾性支持アセンブリの4つの角に位置し、前記ボイスコイルの2本のリード線は、2つの前記パッドに溶接され、前記コイルの2本のリード線は、他の2つの前記パッドに溶接され、又は前記コイルの1本のリード線は、2つの前記パッドのうちの1つに溶接されることにより負極である1つの前記パッドを前記ボイスコイルと共用することを実現する。
【発明の効果】
【0017】
関連技術に比べて、本発明のスピーカボックスは、前記バックチャンバ内に磁気回路結合バルブが設置され、前記磁気回路結合バルブは、ブラケットと、コイルと、負剛性振動膜とを含み、前記ハウジングの下カバーには、複数のリーク孔が設置される。ここで、前記ブラケットは、前記フレーム又は前記磁気ヨークに固定され、前記負剛性振動膜は、前記ブラケットに固定され、前記コイルは、前記負剛性振動膜の前記副磁性鋼に近い側に固定されかつ前記副磁性鋼と間隔を隔て、前記負剛性振動膜は、前記リーク孔に正対しかつ間隔を隔てて設置される。該構造により前記負剛性振動膜が動作する時、前記コイルは、外部制御信号を受信しかつ前記副磁性鋼と共に電磁界を生成することにより、前記負剛性振動膜が前記リーク孔に当接して、前記リーク孔を封止して閉鎖状態とするか、又は前記リーク孔から離れて前記リーク孔を開放状態とするか、又は部分的に前記リーク孔に当接して、前記リーク孔を部分的な開閉状態とするように駆動する。具体的には、前記負剛性振動膜は、前記リーク孔を封止することができ、前記負剛性振動膜の使用により、音漏れ制御を最適化し、かつ音分離度を向上させることができ、それにより前記スピーカボックスの音響性能を向上させる。一方、上記構造により前記バックチャンバと外部との連通は、前記磁気回路結合バルブにより前記リーク孔を正確に制御することで、実現することができ、前記磁気回路結合バルブの開閉動作は、外部線形電圧の入力制御信号を1回の短時間でロードするだけで、安定した開閉状態の双安定性を実現することができる。前記磁気回路結合バルブが前記リーク孔の部分の開閉状態を制御する時、小さい短時間で外部線形電圧をロードする入力制御信号を入力し続けて正確に制御を実現すればよく、該信号は、前記負剛性振動膜のばね定数と前記コイルの駆動力により決定され、それにより前記スピーカボックスは、バックチャンバと外部空気との連通状態を正確に制御できかつ音響性能が優れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下に実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本発明に係るスピーカボックスの立体構造概略図である。
【
図2】本発明に係るスピーカボックスの部分立体構造分解図である。
【
図3】
図1におけるA-A線に沿った断面図である。
【
図4】本発明に係るスピーカボックスの実施例における発音単体及び磁気回路結合バルブ構造の組立図である。
【
図5】本発明に係るスピーカボックスの他の実施例における発音単体及び磁気回路結合バルブ構造の組立図である。
【
図6】本発明に係るスピーカボックスの磁気回路結合バルブの立体構造概略図である。
【
図8】本発明に係るスピーカボックスの磁気回路結合バルブの動作原理構造概略図である。
【
図9】
図8の負剛性振動膜の変位時間関係の概略図である。
【
図10】
図8の負剛性振動膜の作用力の時間関係の概略図である。
【
図11】
図8の負剛性振動膜の薄膜内側押え屈曲の実現方法の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明し、明らかなように、記述される実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0020】
図1~4に示すとおり、本発明は、スピーカボックス100を提供し、前記スピーカボックス100は、発音単体10と、ハウジング20と、磁気回路結合バルブ4とを含む。
【0021】
前記発音単体10は、前記ハウジング20内に固定収容される。具体的には、前記発音単体10は、フレーム1と、それぞれ前記フレーム1に固定された振動システム2及び磁気ギャップ30を有する磁気回路システム3とを含む。
【0022】
前記振動システム2は、振動膜21と、ボイスコイル22と、弾性支持アセンブリ23とを含む。
【0023】
前記振動膜21は、前記フレーム1に固定される。
【0024】
前記ボイスコイル22は、前記振動膜21に固定される。前記ボイスコイル22は、前記磁気ギャップ30に挿設されて前記振動膜21が振動発音するように駆動する。
【0025】
前記弾性支持アセンブリ23は、前記フレーム1に固定されかつ前記ボイスコイル22の前記振動膜21から離れた一端に接続される。具体的には、前記弾性支持アセンブリ23は、一端が前記フレーム1に固定され、他端が前記ボイスコイル22の前記振動膜21から離れる一端に固定された弾性部材231と、前記弾性部材231の前記振動膜21から離れる側に接続された補助振動膜232とを含む。これにより、前記振動膜21の振動効果を強化し、前記スピーカボックス100の音響性能を改善し、一方で、前記振動システム2の揺動をバランスさせ、前記スピーカボックス100の安定性を向上させる。
【0026】
好ましくは、前記弾性部材231は、フレキシブル回路板であり、前記ボイスコイル22は、前記弾性部材231に電気的に接続される。これにより、前記振動システム2の振動強度及びバランスを向上させ、揺動を抑制し、一方で、前記ボイスコイル22が外部電源に接続されるまで引き出され、ボイスコイルのリード線構造が電源を引き出す時にボイスコイルのリード線が破断しやすいというリスクを回避する。
【0027】
前記磁気回路システム3は、前記振動システム2が振動発音するように駆動するために用いられる。具体的には、前記磁気回路システム3は、磁気ヨーク31と、前記磁気ヨーク31に固定された主磁性鋼32と、前記主磁性鋼32と間隔を隔てて前記磁気ギャップ30を形成する副磁性鋼33と、前記副磁性鋼33の前記磁気ヨーク31から離れる側に固定された副導磁板34とを含む。
【0028】
本実施形態では、前記磁気ヨーク31は、前記フレーム1に固定される。
【0029】
本実施形態では、前記主磁性鋼32は、矩形を呈する。前記副磁性鋼33は、2つあり、2つの前記副磁性鋼33は、それぞれ前記主磁性鋼32の対向する両側に位置する。具体的には、2つの前記副磁性鋼33は、それぞれ前記主磁性鋼32の長軸の対向する両側に位置する。前記弾性支持アセンブリ23は、2つありかつそれぞれ前記主磁性鋼32の短軸の対向する両側に位置する。
【0030】
ハウジング20は、上カバー203と、下カバー201とを含む。
【0031】
前記上カバー203は、前記振動膜21に圧設される。前記上カバー203は、前記振動膜21と共に囲んでフロントチャンバ204を形成する。前記フロントチャンバ204は、前記スピーカボックス100の高周波音響性能を改善するために用いられる。前記上カバー203には、発音孔2030が設けられている。前記フロントチャンバ204は、前記発音孔2030を介して外部に接続される。該構造により前記フロントチャンバ204は、前記発音孔2030により高周波音の前方発音構造を形成する。
【0032】
前記下カバー201は、前記フレーム1に固定される。前記下カバー201、前記フレーム1及び前記磁気回路システム3は、共に囲んでバックチャンバ202を形成する。前記バックチャンバ202は、前記スピーカボックス100の低周波音響性能を改善するために用いられる。
【0033】
具体的には、前記下カバー201は、前記磁気ヨーク31と対向して間隔を隔てて設置された下カバープレート2011と、前記下カバープレート2011の周縁から前記発音単体10の外側に沿って折り曲げて延在しかつ前記フレーム1に固定接続された下カバー側壁2012と、それを貫通する1つ又は複数のリーク孔2010とを含む。前記バックチャンバ202は、前記リーク孔2010を介して外部と連通する。
【0034】
複数の前記リーク孔2010は、アレイ方形、円形などの薄壁孔であってもよい。本実施形態において、複数の前記リーク孔2010の総面積は、前記発音孔2030の面積と同じ又は近い。このような構成により、複数のリーク孔2010の面積を、受話器としてのイヤピースの面積に近づけることができる。本実施形態において、複数の前記リーク孔2010の総面積は、前記発音孔2030の面積と同じに設定され、それにより前記スピーカボックス100の音響性能を良好にする。
【0035】
本実施形態において、前記リーク孔2010は、前記下カバー側壁2012を貫通して設置される。すなわち、前記リーク孔は、前記下カバー側壁に位置する。該構造により前記バックチャンバ202は、前記リーク孔2010を介して低周波音の側面発音構造を形成する。
【0036】
前記磁気回路結合バルブ4は、前記バックチャンバ202内に収容される。本実施形態では、前記磁気回路結合バルブ4は、1つの前記副磁性鋼33の前記主磁性鋼32から離れる側に設置される。
【0037】
具体的には、前記磁気回路結合バルブ4は、ブラケット43と、負剛性振動膜42と、コイル41とを含む。ここで、前記ブラケット43は、前記フレーム1又は前記磁気ヨーク31に固定される。前記ブラケット43は、前記発音単体10と一体に構成された後に前記スピーカボックス100に取り付けられる。本実施形態において、前記ブラケット43は、前記フレーム1に固定される。
【0038】
前記負剛性振動膜42は、前記ブラケット43に固定される。前記負剛性振動膜42と前記リーク孔2010に正対しかつ間隔を隔てて設置される。
【0039】
前記コイル41は、前記負剛性振動膜42の前記副磁性鋼33に近い側に固定されかつ前記副磁性鋼33と間隔を隔てる。
【0040】
本実施形態では、前記コイル41は、トラック形を呈する。前記副導磁板34は、少なくとも部分的に前記コイル41内に延在している。この構造により、磁気回路結合バルブ4の磁路性能が向上する。
【0041】
前記磁気回路結合バルブ4は、前記磁気回路システム3の前記副磁性鋼33を駆動磁界として利用した上で、前記コイル41を利用して前記負剛性振動膜42を駆動して前記リーク孔2010の開閉制御を実現する。当然のことながら、これに限定されず、
図5に示すように、別の実施例において、前記磁気回路結合バルブ4aは、前記磁気ヨーク31aの同じ側に設置され、コイル41aは、前記副磁性鋼33aに積層設置され、前記負剛性振動膜42aは、前記磁気ヨーク31aと同じ側に位置する。
【0042】
前記コイル41は、外部制御信号を受信しかつ前記副磁性鋼33と電磁界を生成することにより、前記負剛性振動膜42が前記リーク孔2010に当接して、前記リーク孔2010を封止して閉鎖状態とするか、又は前記リーク孔2010から離れて前記リーク孔2010を開放状態とするか、又は部分的に前記リーク孔2010に当接して前記リーク孔2010を部分的な開閉状態とするように駆動する。前記磁気回路結合バルブ4の動作原理は、前記発音単体10と同じであり、具体的には、前記コイル41が通電された後に前記副磁性鋼33と電磁界を生成し、前記コイル41は、ローレンツ力を受けて運動し、前記コイル41の電流の正逆位相を変更することにより、前記コイル41の受力方向も変化し、それによりリーク孔2010に近接するか又はリーク孔2010から離れることができる。前記負剛性振動膜42は、前記リーク孔2010を封止することができ、前記負剛性振動膜42の使用により、音漏れ制御を最適化し、かつ音分離度を向上させることができ、それにより前記スピーカボックス100の音響性能を向上させる。上記構造により前記バックチャンバ202と外部との連通は、前記磁気回路結合バルブ42により前記リーク孔2010を正確に制御することで実現することができ、前記磁気回路結合バルブ42の開閉動作は、外部の線形電圧の入力制御信号を1回の短時間でロードするだけで、安定した開閉状態の双安定性を実現することができる。双安定性の前記磁気回路結合バルブ42は、前記スピーカボックス100のエネルギー消費を節約することができかつ性能が安定する。前記負剛性振動膜42は、高分子薄膜であり、前記スピーカボックス100は、電磁励起及び高分子薄膜を採用して運動構造を実現して信頼性を向上させる。好ましくは、前記磁気回路結合バルブ42が前記リーク孔2010の部分的な開閉状態を制御する時、小さい短時間で外部線形電圧をロードする入力制御信号を入力し続けて正確に制御を実現すればよく、該信号は、前記負剛性振動膜42のばね定数と前記コイル41の駆動力により決定され、外部線形電圧の大きさにより、前記リーク孔2010の開孔の大きさを高精度に制御し、インテリジェント化されたスピーカボックスのバックチャンバ制御を実現した。これにより、より多くの音声モード及びより良い低音効果を提供し、それにより前記スピーカボックス100は、バックチャンバ202と外部空気との連通状態を正確に制御できかつ音響性能が優れる。
【0043】
同時に
図6~7に示すように、前記負剛性振動膜42は、前記リーク孔2010を封止するための封止部材421及び弾性膜422を含む。
【0044】
前記封止部材421は、前記リーク孔2010に正対して設けられている。前記封止部材421の予圧設計により、前記スピーカボックス100の前記バックチャンバ202が5000Pa以上の気圧下でその閉鎖状態を変更しないことを保証する。
【0045】
前記弾性膜422は、第1固定部4223と、前記第1固定部4223の外周から折り曲げて延在する弾性折曲部と、前記弾性折曲部の前記第1固定部4223から離れる側から延在しかつ前記ブラケット43の前記副磁性鋼から離れる側に固定された第2固定部4221とを含む。前記コイル41は、前記第1固定部4223の前記副磁性鋼33に近い側に固定されている。前記封止部材421は、前記第1固定部4223の前記副磁性鋼33から離れる側に固定される。
【0046】
前記弾性膜422は、前記ブラケット43の前記副磁性鋼33から離れる側に固定された第1固定部4223、前記第1固定部4223から折り曲げて延在する弾性折曲部4222及び前記弾性折曲部4222から延在しかつ前記封止部材421に固定された第2固定部4221を含む。前記バックチャンバ202は、前記リーク孔2010を介して外部と連通する。
【0047】
前記コイル41が通電されない場合、前記第2固定部4221と前記封止部材421との前記コイル41の移動方向に沿った距離は、前記第2固定部4221と前記リーク孔2010が設置された側の前記下カバー側壁2012との前記コイル41の移動方向に沿った距離よりも大きい。
図8に示すように、前記負剛性振動膜42における前記封止部材421は、前記弾性膜422により支持され、かつ前記下カバー側壁2012に圧着される。ここで、前記第2固定部4221の位置bと第1固定部4223の位置c(該位置cが前記負剛性振動膜42の非封止時の位置である)との距離は、前記第2固定部4221の位置bと第1固定部4223の位置c´(該位置c´が前記負剛性振動膜42の非封止時の位置である)との距離より大きく、この設置により前記負剛性振動膜42に負の剛性を生じさせ、前記封止部材421と前記下カバー側壁2012との封止を実現する。同時に
図9~10に示すとおり、前記第1固定部4223の位置cがc´に移動する変位と、前記下カバー側壁2012の弾性反力は、
図9~10から分かるように、時間が1.6秒を経過した後に剛性及び変位が同じように負になった状況が発生し、これが負剛性区間と呼ばれる。
【0048】
本実施形態において、前記負剛性振動膜42の実現方法の一つは、薄膜のプレ延長であり、前記薄膜のプレ延長は、位置bから前記下カバー側壁2012の位置dまでの寸法h1に基づき、一定のプレ圧力の対応する弾性振幅を重畳し、位置bから位置cまでの距離h2を得て、次に曲率積分を利用して両側の薄膜の長さを取得する。
【0049】
もう1つの前記負剛性振動膜42の実現方法は、薄膜内側押え屈曲である。
図11に示すとおり、前記薄膜内側押え屈曲は、u型の前記弾性膜422の両側を中間に向かって押圧することによりプレストレスを生成して、負の剛性を実現する。まず、打ち抜いて平坦化部品を取得し、組み立てる時、前記弾性膜422の位置i、位置j、位置kという3つの位置を位置制限することで、プレストレスを実現する。
【0050】
本実施形態において、前記負剛性振動膜42は、対称構造又は非対称構造である。ここで、対称構造については、前記負剛性振動膜42は、両側対称又は四辺対称の矩形を呈する。非対称構造については、前記負剛性振動膜42は、4つの角が非対称な矩形を採用することができ、あるいは、一辺がヒンジ固定され、他辺が負剛性の湾曲形態を呈し、又は前記封止部材421は、三角形を呈する。三角形を呈する場合に、封止部材421の3つの辺にヒンジ構造を有する負剛性膜を形成し、ここで該三角形の底辺を予圧力膜とし、該三角形の頂点をヒンジ膜とする。
【0051】
本実施形態では、前記弾性支持アセンブリ23に4つのパッド230が設けられる。4つの前記パッド230は、それぞれ前記弾性支持アセンブリ23の4つの角に位置する。具体的には、前記パッド230は、前記弾性部材231に位置する。前記弾性部材231は、それぞれ前記ボイスコイル22と前記コイル41に電気的に接続される。前記ボイスコイル22の2本のリード線は、そのうちの2つの前記パッド230に溶接される。前記コイル41の2本のリード線は、別の2つの前記パッド230に溶接され、又は前記コイル41の1本のリード線は、そのうちの2つの前記パッド230のうちの1つに溶接されることにより、前記ボイスコイル22と負極である1つの前記パッド230を共用することを実現する。該構造により、前記コイル41のリード線が前記弾性支持アセンブリ23において空いている2つの前記パッド230を独立に使用するか、又は負極である1つの前記パッド230を共用することができる。これにより、前記スピーカボックス100の回路接続構造が簡単でかつ接続しやすい。
【0052】
本実施形態では、前記負剛性振動膜42の封止性能をよりよく向上させるために、前記スピーカボックス100は、前記バックチャンバ202内に収容されたガスケット5をさらに含む。前記ガスケット5は、前記負剛性振動膜42と前記下カバー側壁2012との間の気密性を向上させる。前記ガスケット5は、前記リーク孔2010が設けられた前記下カバー側壁2012の内側に固定されている。前記負剛性振動膜42の封止性能をよりよく向上させるために、前記ガスケット5の形状は、前記下カバー側壁2012にマッチングする。前記ガスケット5は、ゴムシート、ゴム層付きのフレキシブルフォーム、高分子ゲル及び高粘度油脂のうちのいずれかである。
【0053】
関連技術に比べて、本発明のスピーカボックスは、前記バックチャンバ内に磁気回路結合バルブが設置され、前記磁気回路結合バルブは、ブラケットと、コイルと、負剛性振動膜とを含み、前記ハウジングの下カバーには、複数のリーク孔が設置される。ここで、前記ブラケットは、前記フレーム又は前記磁気ヨークに固定され、前記負剛性振動膜は、前記ブラケットに固定され、前記コイルは、前記負剛性振動膜の前記副磁性鋼に近い側に固定されかつ前記副磁性鋼と間隔を隔て、前記負剛性振動膜は、前記リーク孔に正対しかつ間隔を隔てて設置されている。該構造により、前記負剛性振動膜が作動する時、前記コイルは、外部制御信号を受信しかつ前記副磁性鋼と共に電磁界を生成することにより、前記負剛性振動膜が前記リーク孔に当接して、前記リーク孔を封止して閉鎖状態とするか、又は前記リーク孔から離れてそれを開放状態とするか、又は部分的に前記リーク孔に当接して前記リーク孔を部分的な開閉状態とするように駆動する。具体的には、前記負剛性振動膜は、前記リーク孔を封止することができ、前記負剛性振動膜の使用により、音漏れ制御を最適化し、かつ音分離度を向上させることができる。これにより、前記スピーカボックスの音響性能を向上させる。一方、上記構造により前記バックチャンバと外部との連通は、前記磁気回路結合バルブにより前記リーク孔を正確に制御して実現することができ、前記磁気回路結合バルブの開閉動作は、外部線形電圧の入力制御信号を1回の短時間でロードするだけで、安定した開閉状態の双安定性を実現することができる。前記磁気回路結合バルブが前記リーク孔部分の開閉状態を制御する時、小さい短時間で外部線形電圧をロードする入力制御信号を入力し続けて正確に制御を実現すればよく、該信号は、前記負剛性振動膜のばね定数と前記コイルの駆動力により決定され、それにより前記スピーカボックスは、バックチャンバと外部空気との連通状態を正確に制御できかつ音響性能が優れる。
【0054】
前記のようなことは本発明の実施例だけであり、当業者にとって、本発明の創造的構想から逸脱することなく、さらに改善することができるが、これらはいずれも本発明の保護範囲に属するものとする。