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特許7598991航空宇宙ビークルのための前縁システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】航空宇宙ビークルのための前縁システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/58 20060101AFI20241205BHJP
   B64G 1/14 20060101ALI20241205BHJP
   B64G 1/22 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B64G1/58
B64G1/14
B64G1/22
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173753
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2022049314の分割
【原出願日】2017-07-07
(65)【公開番号】P2023175939
(43)【公開日】2023-12-12
【審査請求日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】15/215,559
(32)【優先日】2016-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シー.スタンリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エス.クルーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ディー.エンブラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー エヌ.オハラ
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08844877(US,B1)
【文献】米国特許第04124732(US,A)
【文献】米国特許第03128067(US,A)
【文献】米国特許第09297494(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0292654(US,A1)
【文献】特開平08-268397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0065687(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107521659(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/58
B64G 1/14
B64G 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空宇宙ビークルのための前縁システムであって、
少なくとも1つの構造部材と、
前記少なくとも1つの構造部材に着脱可能に取り付けられた複数の着脱可能モジュールであって、各着脱可能モジュールが、
前面、下面、後面、及び上面を含むD字形ボックス形状を有する中空ボックス基礎構造体と、
前記中空ボックス基礎構造体の第1端部に沿って設けられた少なくとも1つのフランジ部と、を含む、複数の着脱可能モジュールと、
前記中空ボックス基礎構造体の外側に連結された複数の断熱性セラミックタイルを含む熱保護システム(TPS)であって、前記複数の断熱性セラミックタイルの高温耐熱温度が、500°F(華氏)~2500°F(華氏)の範囲である熱保護システムと、
前記着脱可能モジュールの前記少なくとも1つのフランジ部を、前記少なくとも1つの構造部材の第1端部に取り付けるように構成された、複数の第1取り付け要素と、
前記中空ボックス基礎構造体における、前記少なくとも1つのフランジ部の反対側の第2端部を、前記少なくとも1つの構造部材における、前記第1端部の反対側の第2端部に取り付けるように構成された複数の第2取り付け要素と、
を具備し、
前記前面、前記下面、前記後面、及び前記上面は、翼の前縁に沿って延びる中空柱状構造を構成し、前記前面及び前記後面は平面状であり、かつ翼外板の前記後面付近の部分に対し垂直又は略垂直であり、前記前面と前記後面の間の距離は、前記後面の高さより小さく、前記前面の高さは、前記前面と前記後面の間の前記距離の半分より大きい、前縁システム。
【請求項2】
前記航空宇宙ビークルは、350,000フィート以上の高度で飛行するように構成されており、宇宙船、極超音速ビークル、再突入ビークル、及び、再使用可能打ち上げビークル(RLV)のうちの1つを含む、請求項1に記載の前縁システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの構造部材は、翼桁、リブ、ストリンガー、及び、ビームのうちの1つを含む、請求項1又は2に記載の前縁システム。
【請求項4】
前記複数の第1取り付け要素の其々は、留め具及びボルトのうちの1つを含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の前縁システム。
【請求項5】
前記複数の第2取り付け要素の其々は、ダガーピン及びダガーピンナットを含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の前縁システム。
【請求項6】
記複数の断熱性セラミックタイルは、複数の断熱性シリカセラミックタイルを含む、請求項1~のいずれか1つに記載の前縁システム。
【請求項7】
前記中空ボックス基礎構造体は、前記中空ボックス基礎構造体の内部中央部に取り付けられるとともに前記中空ボックス基礎構造体内に少なくとも2つの分離領域を形成する流れ防止バリアをさらに含む、請求項に記載の前縁システム。
【請求項8】
航空宇宙ビークルのための前縁システムであって、
少なくとも1つの構造部材と、
前記少なくとも1つの構造部材に着脱可能に取り付けられた複数の着脱可能モジュールであって、各着脱可能モジュールが、
前面、下面、後面、及び上面を含むD字形ボックス形状を有する中空ボックス基礎構造体であって、前記中空ボックス基礎構造体の内部中央部に取り付けられた流れ防止バリアを有し、前記流れ防止バリアが、前記中空ボックス基礎構造体内に少なくとも2つの分離領域を形成している、中空ボックス基礎構造体と、
前記中空ボックス基礎構造体の第1端部に沿って設けられた少なくとも1つのフランジ部と、
前記中空ボックス基礎構造体の外側に連結された複数の断熱性セラミックタイルを含む熱保護システム(TPS)であって、前記複数の断熱性セラミックタイルの高温耐熱温度が、500°F(華氏)~2500°F(華氏)の範囲である熱保護システムと、を含む、複数の着脱可能モジュールと、
前記着脱可能モジュールの前記少なくとも1つのフランジ部を、前記少なくとも1つの構造部材の第1端部に取り付けるように構成された複数の第1取り付け要素と、
前記中空ボックス基礎構造体における、前記少なくとも1つのフランジ部の反対側の第2端部を、前記少なくとも1つの構造部材における、前記第1端部の反対側の第2端部に取り付けるように構成された複数の第2取り付け要素と、
を具備し、
前記前面、前記下面、前記後面、及び前記上面は、翼の前縁に沿って延びる中空柱状構造を構成し、前記前面及び前記後面は平面状であり、かつ翼外板の前記後面付近の部分に対し垂直又は略垂直であり、前記前面と前記後面の間の距離は、前記後面の高さより小さく、前記前面の高さは、前記前面と前記後面の間の前記距離の半分より大きい、前縁システム。
【請求項9】
前記航空宇宙ビークルは、350,000フィート以上の高度で飛行するように構成されており、宇宙船、極超音速ビークル、再突入ビークル、及び、再使用可能打ち上げビークル(RLV)のうちの1つを含む、請求項に記載の前縁システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの構造部材は、翼桁、リブ、ストリンガー、及び、ビームのうちの1つを含む、請求項又はに記載の前縁システム。
【請求項11】
前記複数の第1取り付け要素の其々は、留め具及びボルトのうちの1つを含み、前記複数の第2取り付け要素の其々は、ダガーピン及びダガーピンナットを含む、請求項10のいずれか1つに記載の前縁システム。
【請求項12】
前記熱保護システム(TPS)は、前記航空宇宙ビークルの1つ又は複数の翼外板に隣接する絶縁材と、隣り合う中空ボックス基礎構造体の間に連結された第1熱バリア要素と、前記構造部材に連結された第2熱バリア要素と、前記中空ボックス基礎構造体の前記外側と前記複数の断熱性セラミックタイルとの間に連結された1つ又は複数のひずみ遮断パッドと、をさらに含む、請求項11のいずれか1つに記載の前縁システム。
【請求項13】
前記複数の断熱性セラミックタイルは、前記複数の第1取り付け要素の其々を被覆及び保護するように構成されたインサート要素によって其々が塞がれている、1つ又は複数のタイル開口を含む、請求項12のいずれか1つに記載の前縁システム。
【請求項14】
航空宇宙ビークルのための前縁システムを組み立てる方法であって、
複数の着脱可能モジュールを組み立てる工程を有しており、各着脱可能モジュールは、D字形ボックス形状を有する中空ボックス基礎構造体と、熱保護システム(TPS)とを含み、前記D字形ボックス形状は、前面と、下面と、後面と、上面と、複数のフランジ側取り付け開口を有する少なくとも1つのフランジ部を有する第1端部と、複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口を有する第2端部とを有する形状であり、前記熱保護システムは、前記中空ボックス基礎構造体の外側に連結された複数の断熱性セラミックタイルを含み、前記複数の断熱性セラミックタイルの高温耐熱温度が、500°F(華氏)~2500°F(華氏)の範囲であり
前記航空宇宙ビークル内に配置される少なくとも1つの構造部材を用意する工程を有しており、前記少なくとも1つの構造部材は、複数の第1端部側取り付け開口が設けられた第1端部と、複数の延出部取り付け開口が設けられた延出部を有する第2端部とを有しており、
複数の第1取り付け要素及び複数の第2取り付け要素を用意する工程を有しており
前記複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口の其々と整列した前記複数の延出部取り付け開口の其々に、前記複数の第2取り付け要素の其々を挿入することによって、各中空ボックス基礎構造体の前記第2端部を、前記少なくとも1つの構造部材の前記第2端部に連結する工程を有しており
前記複数の第1端部側取り付け開口の其々と整列した前記複数のフランジ側取り付け開口の其々に、前記複数の第1取り付け要素の其々を挿入することによって、各中空ボックス基礎構造体の前記第1端部を、前記少なくとも1つの構造部材の前記第1端部に締結する工程を有しており
前記複数の着脱可能モジュールの其々が個別に着脱及び交換可能である、前記航空宇宙ビークルのための前記前縁システムを得る工程を有しており
前記前面、前記下面、前記後面、及び前記上面は、翼の前縁に沿って延びる中空柱状構造を構成し、前記前面及び前記後面は平面状であり、かつ翼外板の前記後面付近の部分に対し垂直又は略垂直であり、前記前面と前記後面の間の距離は、前記後面の高さより小さく、前記前面の高さは、前記前面と前記後面の間の前記距離の半分より大きい、方法。
【請求項15】
前記複数の着脱可能モジュールを組み立てる工程は、前記D字形ボックス形状が角部を有する形状となるように前記複数の着脱可能モジュールを組み立てることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の第1取り付け要素及び前記複数の第2取り付け要素を用意するに際し、其々が留め具及びボルトのうちの1つを含む前記複数の第1取り付け要素を用意するとともに、其々がダガーピン及びダガーピンナットを含む前記複数の第2取り付け要素を用意する、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記熱保護システム(TPS)を含む前記複数の着脱可能モジュールを組み立てるに際し、前記複数の断熱性セラミックタイルに形成された1つ又は複数のタイル開口が、前記複数の第1取り付け要素の其々を被覆及び保護するように構成されたインサート要素によって塞がれる工程を含む、請求項14~16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
前記複数の着脱可能モジュールを組み立てるに際し、さらに、前記中空ボックス基礎構造体の内部中央部に流れ防止バリアを取り付け、前記中空ボックス基礎構造体内に少なくとも2つの分離領域を形成する、請求項14~17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記熱保護システム(TPS)を含む前記複数の着脱可能モジュールを組み立てるに際し、前記TPSは、前記航空宇宙ビークルの1つ又は複数の翼外板に隣接する絶縁材と、隣り合う中空ボックス基礎構造体の間に連結された第1熱バリア要素と、前記構造部材に連結された第2熱バリア要素と、前記中空ボックス基礎構造体の前記外側と前記複数の断熱性セラミックタイルとの間に連結された1つ又は複数のひずみ遮断パッドと、をさらに含む構成とされている、請求項14~18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記航空宇宙ビークルは、350,000フィート以上の高度で飛行するように構成されており、宇宙船、極超音速ビークル、再突入ビークル、及び、再使用可能打ち上げビークル(RLV)のうちの1つを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、航空宇宙ビークル部品のためのシステム及び方法に関し、より具体的には、宇宙船、航空機、極超音速ビークル、無人航空機(UAV)、ミサイルなどの航空宇宙ビークル及びその他の航空宇宙ビークルの前縁に関するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球の大気圏及び宇宙を飛行する航空宇宙ビークルは、極端な温度や環境事象に曝され、このことが、航空宇宙ビークルの翼、尾部、又は他の面の前縁に悪影響を及ぼす場合がある。例えば、宇宙船などの航空宇宙ビークルは、通常、熱保護システム(TPS)を有しており、このシステムは、宇宙船の翼及びその他の面の前縁を周囲環境から断熱し、宇宙船から熱を発散及び反射するための断熱性タイルを含んでいる。宇宙船が、極超音速(例えばマッハ5以上)及び非常に高い温度(例えば2500°F(華氏)まで)で宇宙空間から地球の大気圏に突入する際、これらの断熱性タイル同士の隙間を極超音速の気体(例えば空気)又はプラズマが通過すること、及び、極超音速の気体(例えば空気)又はプラズマとの接触によって発生する摩擦によって、断熱性タイルが損傷を受ける場合がある。加えて、例えば、航空機などの航空宇宙ビークルは、氷の衝突、落雷、及びその他の環境事象による、翼又はその他の表面の前縁に対する損傷を経験する場合がある。
【0003】
航空宇宙ビークルのための既知の前縁システムは、通常、固定取り付けされるものであり、取り外しできない。固定取り付けでは、例えば、断熱性タイル又は断熱性タイルを支持する基礎構造体などの、航空宇宙ビークルの翼又はその他の面の前縁における損傷部分の整備又は修理もしくは交換のために、航空宇宙ビークルを、必要な整備、修理又は交換の程度に応じて、数週間又は数か月といった長期にわたって駐機させることが必要となる場合がある。これによって、航空宇宙ビークルの整備、修理、保守、及び稼働の費用が増大する場合がある。
【0004】
また、固定取り付けでは、航空宇宙ビークルの翼又はその他の面の前縁における損傷部分の整備又は修理もしくは交換を行う際に、前縁システムが、個別の着脱が不可能であり、別の施設又はラボに移動させることができないため、航空宇宙ビークルに対して直接的に整備、修理、又は交換を行う必要がある。これによっても、航空宇宙ビークルの整備、修理、保守、及び稼働の費用が増大する場合がある。
【0005】
また、整備中に、航空宇宙ビークルが、整備、修理又は交換作業中で使用できない間、ミッション又はフライトのための航空宇宙ビークルの利用可能性が低下する。
【0006】
従って、当技術分野では、航空宇宙ビークルの翼及びその他の面の前縁の迅速且つ容易な整備、修理、交換、保守、及び、稼働を、低い全体コストで実現するとともに、既知のシステム及び方法に対する利点をもたらす、航空宇宙ビークルのための改良された前縁システム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の例示的な実施態様は、航空宇宙ビークルのための改良された前縁システム及び方法を提供する。以下の詳細な説明に述べるように、航空宇宙ビークルのための改良された前縁システム及び方法の実施形態は、既知のシステム及び方法に比べて大きな利点をもたらす。
【0008】
一実施形態において、航空宇宙ビークルのための前縁システムが提供される。前縁システムは、少なくとも1つの構造部材を含む。前縁システムは、前記少なくとも1つの構造部材に着脱可能に取り付けられた1つ又は複数の着脱可能モジュールをさらに含む。各着脱可能モジュールは、中空ボックス基礎構造体と、前記中空ボックス基礎構造体の第1端部に沿って設けられた少なくとも1つのフランジ部とを含む。
【0009】
前縁システムは、前記着脱可能モジュールの少なくとも1つのフランジ部を、前記少なくとも1つの構造部材の第1端部に取り付けるように構成された複数の第1取り付け要素をさらに含む。前縁システムは、前記中空ボックス基礎構造体における、前記少なくとも1つのフランジ部の反対側の第2端部を、前記少なくとも1つの構造部材における、前記第1端部の反対側の第2端部に取り付けるように構成された複数の第2取り付け要素をさらに含む。
【0010】
別の実施形態において、航空宇宙ビークルのための前縁システムが提供される。前記前縁システムは、少なくとも1つの構造部材を含む。前記前縁システムは、前記少なくとも1つの構造部材に着脱可能に取り付けられた複数の着脱可能モジュールをさらに含む。
【0011】
各着脱可能モジュールは、D字形ボックス形状を有する中空ボックス基礎構造体であって、前記中空ボックス基礎構造体の内部中央部に取り付けられた流れ防止バリアを有する中空ボックス基礎構造体を含む。前記流れ防止バリアは、前記中空ボックス基礎構造体内に少なくとも2つの分離領域を形成している。
【0012】
各着脱可能モジュールは、前記中空ボックス基礎構造体の第1端部に沿って設けられた少なくとも1つのフランジ部をさらに含む。各着脱可能モジュールは、前記中空ボックス基礎構造体の外側に連結された複数の断熱性タイルを少なくとも含む熱保護システム(TPS)をさらに含む。
【0013】
前縁システムは、前記着脱可能モジュールの前記少なくとも1つのフランジ部を、前記少なくとも1つの構造部材の第1端部に取り付けるように構成された複数の第1取り付け要素をさらに含む。前縁システムは、前記中空ボックス基礎構造体における、前記少なくとも1つのフランジ部の反対側の第2端部を、前記少なくとも1つの構造部材における、前記第1端部の反対側の第2端部に取り付けるように構成された複数の第2取り付け要素をさらに含む。
【0014】
別の実施形態において、航空宇宙ビークルのための前縁システムを組み立てる方法が提供される。当該方法は、複数の着脱可能モジュールを組み立てる工程を含む。各着脱可能モジュールは、D字形ボックス形状を有する中空ボックス基礎構造体を含み、前記D字形ボックス形状は、複数の面と、複数のフランジ側取り付け開口を有する少なくとも1つのフランジ部を有する第1端部と、複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口を有する第2端部とを含む。
【0015】
当該方法は、前記航空宇宙ビークル内に配置される少なくとも1つの構造部材を用意する工程をさらに含む。前記少なくとも1つの構造部材は、複数の第1端部側取り付け開口が設けられた第1端部と、複数の延出部取り付け開口が設けられた延出部を有する第2端部とを有する。
【0016】
当該方法は、複数の第1取り付け要素及び複数の第2取り付け要素を用意する工程をさらに含む。当該方法は、前記複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口の其々と整列した前記複数の延出部取り付け開口の其々に、前記複数の第2取り付け要素の其々を挿入することによって、各中空ボックス基礎構造体の前記第2端部を、前記少なくとも1つの構造
部材の前記第2端部に連結する工程をさらに含む。
【0017】
当該方法は、前記複数の第1端部側取り付け開口の其々と整列した前記複数のフランジ側取り付け開口の其々に、前記複数の第1取り付け要素の其々を挿入することによって、各中空ボックス基礎構造体の前記第1端部を、前記少なくとも1つの構造部材の前記第1端部に締結する工程をさらに含む。当該方法は、前記複数の着脱可能モジュールの其々が個別に着脱及び交換可能である、前記航空宇宙ビークルのための前記前縁システムを得る工程をさらに含む。
【0018】
上述の特徴、機能、利点は、種々の実施形態において個別に達成可能であり、また、さらに別の実施形態と組み合わせることも可能であり、その詳細は、以下の説明及び図面を参照することにより明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の詳細な説明を添付図面と併せて参照することにより、本開示をより理解することができるであろう。なお、添付図面は、例示的な実施形態を示すものであり、必ずしも正確な縮尺に従ったものではない。本開示に示す各図は、提示する実施形態の異なる側面を示しており、相違点についてのみ詳細に説明する。
【0020】
図1】本開示の前縁システムの例示的な実施形態を有する、例示的な航空宇宙ビークルの前方斜視図である。
図2A図1の前縁の拡大部分前方斜視図であり、本開示の前縁システムの実施形態を示す図である。
図2B】着脱可能モジュールを取り外した状態の、図2Aの前縁システムの拡大部分前方斜視図である。
図2C】取り外された図2Bの着脱可能モジュールの例示的な中空ボックス構造体の正面斜視図である。
図3A】本開示の前縁システムの例示的な実施形態の側方斜視図であり、翼外板から独立した着脱可能モジュールの取り付けを示す図である。
図3B】本開示の前縁システムの例示的な実施形態の拡大断面正面図であり、第1取り付け要素が、着脱可能モジュールを、構造部材の第1端部に締結している状態を示す図である。
図3C】本開示の前縁システムの例示的な実施形態の拡大断面側面図であり、第2取り付け要素が、着脱可能モジュールを、構造部材の第2端部に締結している状態を示す図である。
図4】本開示の前縁システムの別の例示的な実施形態を有する、別の例示的な航空宇宙ビークルの前方斜視図である。
図5A図4の前縁の拡大部分前方斜視図であり、熱保護システム(TPS)を有する、前縁システムの別の例示的な実施形態を示す図である。
図5B】着脱可能モジュールを取り外した状態の、図5Aの前縁システムの拡大部分前方斜視図である。
図5C】取り外された図5Bの着脱可能モジュールにおける、例示的な中空ボックス構造体の正面斜視図であり、流動防止バリアを示す図である。
図6A】熱保護システム(TPS)を有する、前縁システムの別の例示的な実施形態の側方斜視図であり、翼外板から独立した着脱可能モジュールの取り付けを示す図である。
図6B】熱保護システム(TPS)77を有する、本開示の前縁システムの例示的な実施形態の拡大断面正面図であり、第1取り付け要素が、着脱可能モジュールを、構造部材の第1端部に締結している状態を示す図である。
図6C】熱保護システム(TPS)を有する、本開示の前縁システムの例示的な実施形態の拡大断面側面図であり、第2取り付け要素が、着脱可能モジュールを、構造部材の第2端部に締結している状態を示す図である。
図7A】熱保護システム(TPS)を有しない、本開示の前縁システムの例示的な実施形態の後方斜視図である。
図7B】熱保護システム(TPS)を有する、本開示の前縁システムの例示的な実施形態の後方斜視図である。
図8】本開示の前縁システムの例示的な実施形態の機能ブロック図である。
図9】本開示の一実施形態による、航空宇宙ビークルのための前縁システムを組み立てる方法を示す例示的なフローチャートである。
図10】例示的な航空機の製造及び保守方法のフローチャートである。
図11】航空機の例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
開示の実施形態を、添付図面を参照しつつ、以下により詳しく述べる。添付図面には、いくつかの開示の実施形態が示されているが、これがすべてではない。実際、いくつかの異なる実施形態を提示可能であり、本明細書に記載した実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全なものとなり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えることができるように提示されたものである。
【0022】
図を参照すると、図1は、例えば航空機12aの形態である、例示的な航空宇宙ビークル12の前方斜視図であり、当該航空宇宙ビークルは、例えば前縁システム10aの形態である、本開示の例示的な一実施形態による前縁システム10を有するものである。一実施形態において、航空宇宙ビークル12(図1参照)は、350,000フィート以下、好ましくは150,000フィート以下の高度で飛行するように構成されており、航空機12a(図1参照)、無人航空機(UAV)12c(図8参照)、回転翼機12d(図8参照)、ミサイル12e(図8参照)、又は、350,000フィート以下、好ましくは150,000フィート以下で飛行するように構成された他の適当な航空宇宙ビークル12(図1参照)を含む。例えば前縁システム10aの形態である、例示的な実施形態による前縁システム10は、熱保護システム(TPS)77(図5A~6C、7B参照)を有しないものであり、図1~3C及び図7Aに示されている。
【0023】
図1に示すように、例えば前縁システム10aの形態である前縁システム10は、胴体18に連結された翼16における、前縁14aなどの前縁14に沿って、着脱可能に取り付けられている。例えば前縁システム10a(図1参照)の形態である前縁システム10(図1参照)は、尾部20(図1参照)あるいは航空宇宙ビークル12(図1参照)の他のエーロフォイル面の前縁14b(図1参照)などの前縁14(図1参照)に沿って、取り付けることもできる。
【0024】
別の実施形態において、図4及び図5A~6C、図7Bに示すとともに以下に詳しく説明するように、航空宇宙ビークル12(図4参照)は、150,000フィート以上の高度で飛行するように構成されており、熱保護システム(TPS)77(図5A~6C、7B参照)を含む。当該熱保護システムは、少なくとも、例えば約500°F(華氏)~約2500°Fの温度範囲の高温用途での使用、ならびに、高速、軌道上、及び大気圏再突入用途での使用のための、複数の断熱性タイル80(図5A~5B参照)を含んでいる。本実施形態において、航空宇宙ビークル12(図4参照)は、宇宙船12b(図4及び8参照)、極超音速ビークル12f(図8参照)、再突入ビークル12g(図8参照)、再使用可能打ち上げビークル(RLV:reusable launch vehicle)12h(図8参照)、又は、150,000フィート以上の高度で飛行するように構成された他の適当な航空宇宙ビークル12(図4、8参照)を含む。
【0025】
本明細書において、「航空宇宙ビークル」は、例えば、航空機、無人航空機(UAV)、宇宙船、回転翼機、ミサイル、グライダー、極超音速ビークル、再突入ビークル(衛星、ロケット、弾道ミサイルペイロード、第1段低軌道宇宙飛行機、及び有人カプセルを含む)、再使用可能打ち上げビークル(RLV)、及び/又は、空域を飛行する任意の他の物体を含むが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において、「極超音速ビークル」とは、約マッハ5以上の速度で大気中を飛行するビークルを意味する。本明細書において、「再突入ビークル」は、衛星、ロケット、有人及び無人カプセル、弾道ミサイルペイロード、あるいは、宇宙空間から地球の大気圏を通って戻るように構成され、且つ、地球の大気圏を通る際の非常に高い温度及び非常に速い速度に耐えるように構成され、且つ、ビークルの乗員及び/又は機器及び装置を保護するように構成された、宇宙船の他の部分を含むが、これらに限定されない。本明細書において、「再使用可能打ち上げビークル」とは、宇宙空間に2回以上打ち上げられるビークル、又は、宇宙空間にペイロードを2回以上打ち上げることが可能なビークルを意味する。
【0027】
図2A~3Cを参照すると、図2A~3Cは、例えば前縁システム10aの形態である、前縁システム10の一実施形態を示しており、当該実施形態は、350,000フィート以下、好ましくは150,000フィート以下の高度で飛行するように構成されるとともに、複数の断熱性タイル80(図5A~5B参照)を少なくとも含む熱保護システム(TPS)77(図5A~6C、7B参照)を有しない航空宇宙ビークル12(図1、8参照)に使用することが意図されたものである。
【0028】
図2Aは、例えば前縁14aの形態である、図1の前縁14の拡大部分前方斜視図であり、例えば前縁システム10aの形態である、本開示の前縁システム10の一実施形態を示している。図2Bは、図示の着脱可能モジュール40を取り外した状態の、例えば前縁システム10aの形態である、図2Aの前縁システム10の拡大部分前方斜視図である。図2Cは、取り外された図2Bの着脱可能モジュール40の例示的な中空ボックス構造体42の前方斜視図である。図3Aは、例えば前縁システム10aの形態である、本開示の前縁システム10の例示的な実施形態の側方斜視図であり、翼外板67から独立した着脱可能モジュール40の取り付けを示している。
【0029】
図2A~2B及び図3Aに示すように、例えば前縁システム10aの形態である前縁システム10は、例えば前桁などの翼桁24aの形態である、少なくとも1つの構造部材24を含む。構造部材24(図2A~2B、8参照)は、翼桁24a(図2A~2B、8参照)、リブ24b(図8参照)、ストリンガー24c(図8参照)、ビーム24d(図8参照)、又は他の適当な構造部材24(図8参照)のうちの1つを含む。構造部材24(図2A~2B、3A、8参照)は、航空宇宙ビークル12(図1参照)の内装に固定取り付け又は連結されており、着脱可能又は着脱不可のいずれであってもよい。
【0030】
図2A~2B及び図3Aに示すように、例えば翼桁24aの形態である構造部材24は、第1端部26を含む。第1端部26(図2A~2B、3A参照)は、当該第1端部26(図2A~2B、3A参照)に形成された複数の第1端部側取り付け開口28(図2B、3A参照)を有する。好ましくは、第1端部26(図2B、3A参照)は、当該第1端部26(図2B参照)の両端に互いに離間して設けられた2つの第1端部側取り付け開口28(図2B参照)を有する。ただし、第1端部側取り付け開口28(図2B参照)の数は、3個以上であってもよく、これらを、第1端部26に沿う他の適当な位置に、形成又は配置することができる。
【0031】
図2A~2B及び図3Aにさらに示すように、例えば翼桁24aの形態である構造部材
24は、延出部32と内側部分33とを有する第2端部30を含む。第2端部30(図2B、3A参照)は、複数の第2端部側取り付け開口34(図2B図3A参照)を有する。第2端部側取り付け開口34(図2B、3A参照)は、延出部32(図2B、3A参照)に形成された延出部取り付け開口34a(図2B、3A参照)と、内側部分33(図2B、3A参照)に形成された内側部分取り付け開口34b(図2B、3A参照)とを含む。
【0032】
好ましくは、第2端部30(図2B、3A参照)の延出部32(図2B、3A参照)は、当該延出部32(図2B、3A参照)の両端に互いに離間して設けられた2つの延出部取り付け開口34a(図2B、3A参照)を有する。ただし、延出部取り付け開口34a(図2B、3A参照)の数は、3個以上であってもよく、これらを、延出部32(図2B、3A参照)に沿う他の適当な位置に、形成又は配置することができる。第2端部30(図2B、3A参照)の内側部分33(図2B、3A参照)は、好ましくは、互いに近接して配置された2つ以上の内側部分取り付け開口34b(図2B、3A参照)を有する。
【0033】
図2A~2B及び図3Aにさらに示すように、例えば翼桁24aの形態である構造部材24は、第1端部26と第2端部30との間に設けられた本体部分36を含む。本体部分36(図2B、3A参照)は、外面38a(図2B、3A参照)及び内面38b(図2B、3A参照)を有する。
【0034】
好ましくは、構造部材24(図3A参照)の第1端部26(図3A参照)及び第2端部30(図3A参照)の其々は、複数の翼外板留め具76(図3A参照)によって、翼外板67(図2A、2B、3A参照)に取り付けられている。翼外板留め具76(図3A参照)は、翼外板留め具開口75(図3A参照)に挿入することができる。
【0035】
図2A~2B及び図3Aに示すように、例えば前縁システム10aの形態である前縁システム10は、少なくとも1つの構造部材24に着脱可能に取り付けられた、例えば着脱可能モジュール40aの形態である1つ又は複数の着脱可能モジュール40をさらに含む。例えば着脱可能モジュール40a(図2A~3A参照)の形態である各着脱可能モジュール40(図2A~3A参照)は、例えば中空ボックス基礎構造体42aの形態である中空ボックス基礎構造体42(図2A~3A参照)を含む。中空ボックス基礎構造体42(図2A~3A参照)は、外側44(図2A~3A参照)及び内部46(図2A~3A参照)を含む。好ましくは、内部46は、中空の内部46a(図2A~3A参照)である。
【0036】
中空ボックス基礎構造体42(図2A~3A参照)は、D字形ボックス形状50(図2A~3A参照)を有する輪郭48(図2A~3A参照)を有する。図2A~3Aに示した中空ボックス基礎構造体42の実施形態では、D字形ボックス形状50は、湾曲形状50aを含む。図5A~6Aに示した中空ボックス基礎構造体42の実施形態では、D字形ボックス形状50は、角部を有する形状50bを含む。ただし、中空ボックス基礎構造体42(図2A~3A、5A~6A参照)は、他の適当なボックス形状を有しうる。
【0037】
図2B~3Aに示すように、着脱可能モジュール40の中空ボックス基礎構造体42は、第1端部52、第2端部58、及び、複数の面62を含む。各着脱可能モジュール40(図2B~3A参照)は、中空ボックス基礎構造体42の第1端部52に沿って設けられた少なくとも1つのフランジ部54をさらに含む。フランジ部54(図2B~3A参照)は、複数のフランジ側取り付け開口56(図2B~3A参照)を含む。
【0038】
好ましくは、フランジ部54(図2B~3A参照)は、当該フランジ部54(図2A~3A参照)の両端に互いに離間して設けられた2つのフランジ側取り付け開口56(図2A~3A参照)を有する。ただし、フランジ側取り付け開口56(図2A~3A参照)の
数は、3個以上であってもよく、これらを、フランジ部54(図2B~3A参照)に沿う他の適当な位置に、形成又は配置することができる。
【0039】
図2C及び3Aに示すように、中空ボックス基礎構造体42の第2端部58は、複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口60を含む。好ましくは、中空ボックス基礎構造体42(図2C、3A参照)の第2端部58(図2C、3A参照)は、当該第2端部58(図2C、3A参照)の両端に互いに離間して設けられた2つの基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図2C、3A参照)を有する。ただし、基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図2C、3A参照)の数は、3個以上であってもよく、これらを、第2端部58(図2C、3A参照)に沿う他の適当な位置に、形成又は配置することができる。
【0040】
図2A~3Aに示すように、例えば中空ボックス基礎構造体42aの形態である中空ボックス基礎構造体42は、複数の面62を含んでおり、また、1つ又は複数の開放面部64を含んでいてもよい。図2Cに示すように、一実施形態において、中空ボックス基礎構造体42は、1個の開放面部64及び5個の閉鎖面62を有する。別の実施形態において、中空ボックス基礎構造体42は、2個の開放面部64及び4個の閉鎖面62を有していてもよい。さらに別の実施形態において、中空ボックス基礎構造体42は、6個の閉鎖面62を有し、開放面部64を有しない構造であってもよい。中空ボックス基礎構造体42(図2A、2B、3A参照)の後面62a(図2A、2B、3A参照)は、好ましくは、構造部材24(図3A参照)の本体部分36(図3A参照)の外面38a(図3A参照)に隣接している。
【0041】
中空ボックス基礎構造体42(図2A、2B、3A参照)は、任意の構成として、当該中空ボックス基礎構造体42(図2A、2B、3A参照)の内部46(図2A、2B、3A参照)に配置された1つ又は複数の基礎構造体補強材66をさらに含む。基礎構造体補強材66(図2A、2B参照)を設けることによって、中空ボックス基礎構造体42(図2A、2B、3A)の構造保全をより確実にすることができる。
【0042】
次に、図3Bを参照すると、例えば前縁システム10aの形態である前縁システム10は、例えば着脱可能モジュール40aの形態である着脱可能モジュール40の少なくとも1つのフランジ部54を、少なくとも1つの構造部材24の第1端部26に取り付けるように構成された、複数の第1取り付け要素70をさらに含む。図3Bは、例えば前縁システム10aの形態である本開示の前縁システム10の例示的な実施形態の拡大断面正面図であり、複数の第1取り付け要素70が、着脱可能モジュール40を、構造部材24の第1端部26に締結している状態を示している。
【0043】
図3Bに示すように、複数の第1取り付け要素70の其々は、ナットプレート72によって適所に固定された留め具70aを含む。各第1取り付け要素70(図3B、8参照)は、留め具70a(図3B、8参照)、ボルト70b(図8参照)、又は他の適当な取り付け要素70(図8参照)を含む。第1取り付け要素70(図3B参照)は、チタン、ステンレス鋼、又はその他の適度に硬質であり耐久性のある金属材料によって形成することができる。
【0044】
図3Bにさらに示すように、複数の第1取り付け要素70は、各中空ボックス基礎構造体42の第1端部52を、例えば翼桁24aの形態である少なくとも1つの構造部材24の第1端部26に締結するように構成されている。複数の第1取り付け要素70(図3B参照)の其々は、好ましくは、複数のフランジ側取り付け開口56(図3B参照)の其々、及び、複数の第1端部側取り付け開口28(図3B参照)の其々に挿通される。
【0045】
各フランジ側取り付け開口56(図3B参照)は、好ましくは、各第1端部側取り付け
開口28(図3B参照)と整列すなわち一列に並ぶように配置される。そのような設計によれば、例えば前縁システム10a(図3B参照)の形態である前縁システム10(図3B参照)を組み立てる際に、中空ボックス基礎構造体42(図3B参照)の複数のフランジ側取り付け開口56(図3B参照)の其々を、構造部材24(図3B参照)の第1端部26(図3B参照)の複数の第1端部側取り付け開口28(図3B参照)のうちの対応する其々と整列させることが可能である。
【0046】
例えば留め具70a(図3B参照)の形態である複数の第1取り付け要素70(図3B参照)の其々は、好ましくは、複数のフランジ側取り付け開口56(図3B参照)の其々、及び、複数の第1端部側取り付け開口28(図3B参照)の其々に挿通される。また、各フランジ側取り付け開口56(図3B参照)は、好ましくは、各第1端部側取り付け開口28(図3B参照)と整列するように配置される。そのような設計によれば、例えば前縁システム10a(図3B参照)の形態である前縁システム10(図3B参照)を組み立てる際に、中空ボックス基礎構造体42(図3B参照)の複数のフランジ側取り付け開口56(図3B参照)の其々を、構造部材24(図3B参照)の第1端部26(図3B参照)の複数の第1端部側取り付け開口28(図3B参照)のうちの対応する其々と整列させることが可能である。
【0047】
次に図3Cを参照すると、例えば前縁システム10aの形態である前縁システム10は、中空ボックス基礎構造体42における、少なくとも1つのフランジ部54(図3A参照)の反対側の第2端部58を、翼桁24aなどの少なくとも1つの構造部材24における、第1端部26(図3A参照)の反対側の第2端部30に取り付けるように構成された複数の第2取り付け要素74(図2B、3Aも参照)をさらに含む。図3Cは、例えば前縁システム10aの形態である本開示の前縁システム10の例示的な実施形態の拡大断面側面図であり、第2取り付け要素74が、例えば着脱可能モジュール40aの形態である着脱可能モジュール40を、構造部材24の第2端部30に締結している状態を示している。
【0048】
図3Cに示すように、第2取り付け要素74は、ダガーピン(dagger pin)74a、及び、ダガーピン74aを適所に固定するダガーピンナット74bを含む。第2取り付け要素74(図3C参照)は、他の適当な取り付け要素74も含みうる。ダガーピン74a(図3C参照)及びダガーピンナット74b(図3C参照)などの第2取り付け要素74(図3C参照)は、チタン、ステンレス鋼、又はその他の適度に硬質であり耐久性のある金属材料によって形成することができる。例えばダガーピン74a(図3C参照)及びダガーピンナット74b(図3C参照)の形態である第2取り付け要素74(図3C参照)は、構造部材24(図3C参照)の延出部32(図3C参照)に、組み込み及び固定することができる。着脱可能モジュール40(図2B、3A参照)の其々は、当該着脱可能モジュール40(図2B、3A参照)後面の第2端部58(図2B、2C、3A参照)に、少なくとも2つの基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図2C、3A参照)を有している。これら少なくとも2つの基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図2C、3A参照)は、構造部材24(図3C参照)に固定された少なくとも2つのダガーピン74a(図3A参照)に対し、それぞれ上方から嵌合する。
【0049】
着脱可能モジュール40(図2B、3A、3C参照)を構造部材24(図3C参照)に着脱可能に取り付けるには、既に取り付けられている2つの着脱可能モジュール40(図2A、2B参照)の間に、当該着脱可能モジュール40(図2B、3A、3C参照)を挿入する。この際に、上記少なくとも2つの基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図2C、3A参照)を上記少なくとも2つのダガーピン74a(図3A参照)にそれぞれ摺動係合させて、摺動が完了するまで着脱可能モジュール40を挿入する。これは、例えば「ダガーピンインターフェース」と称しうる。これに代えて、中空ボックス基礎構造体42
図3A参照)に設けられた接続部品(図示せず)に、少なくとも2つのダガーピン74a(図3A参照)を連結又は係合させてもよい。
【0050】
図3Cにさらに示すように、複数の第2取り付け要素74は、中空ボックス基礎構造体42の第2端部58を、例えば翼桁24aの形態である少なくとも1つの構造部材24の第2端部30に連結するように構成されている。図3Cにさらに示すように、各第2取り付け要素74は、翼外板67の翼外板クリアランス開口73に挿通され、例えば延出部取り付け開口34aの形態である第2端部側取り付け開口34に挿通され、基礎構造体第2端部側取り付け開口60に挿通される。
【0051】
各翼外板クリアランス開口73(図3C参照)は、好ましくは、各延出部取り付け開口34a(図3C参照)と整列するように配置され、好ましくはこれらの両方が、各基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図3C参照)と整列するように配置される。そのような設計によれば、例えば前縁システム10a(図3C参照)の形態である前縁システム10(図3C参照)を組み立てる際に、複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図3C参照)の其々を、構造部材24(図3C参照)の第2端部30(図3C参照)における対応する延出部取り付け開口34a(図3C参照)に対し、及び、翼外板67における対応する翼外板クリアランス開口73(図3C参照)に対し整列させることができる。
【0052】
従って、着脱可能モジュール40(図3A、3B参照)の第1端部52(図3A、3B参照)に設けられたフランジ側取り付け開口56(図3A、3B参照)は、留め具70a(図3B参照)などの第1取り付け要素70(図3B参照)によって、第1端部側取り付け開口28(図 3A、3B参照)と係合及び整列させられ、留め具70a(図3B参照)などの第1取り付け要素70(図3B参照)は、ナットプレート72(図3B参照)に締め付けられる。好ましくは固定された2つのダガーピン74a(図3A、3C参照)とダガーピンナット74b(図3A、3C参照)とが、構造部材24(図3A、3C参照)の延出部32(図3A、3C参照)に設けられた2つの基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図3A、3C参照)に係合すること、及び、留め具70a(図3B参照)などの第1取り付け要素70(図3B参照)が、着脱可能モジュール40(図3A~3C参照)の第1端部52(図3B参照)でナットプレート72(図3B参照)に締め付けられることによって、着脱可能モジュール40(図3A~3C参照)が適所に保持される。
【0053】
図3Cには、例えば翼桁24aの形態である構造部材24の下端に隣接する翼外板67も示されている。中空ボックス基礎構造体42(図3C参照)における後面62a(図3C参照)などの面62(図3C参照)は、好ましくは、例えば翼桁24aの形態である構造部材24に隣接している。
【0054】
別の実施形態において、図4~6Cに示すように、宇宙船12b(図4参照)などの航空宇宙ビークル12(図4参照)のための、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10は、熱保護システム(TPS)77(図5B、6A~6C、7B、8参照)をさらに含み、当該熱保護システムは、少なくとも、中空ボックス基礎構造体42(図5A、5B、6A、7B、8参照)の外側44(図6A参照)に連結された、セラミックタイル80a(図5A、5B、6A、7B、8参照)などの複数の断熱性タイル80を含む。
【0055】
図4を参照すると、図4は、例えば宇宙船12bの形態である、別の例示的な航空宇宙ビークル12の前方斜視図であり、当該航空宇宙ビークルは、例えば前縁システム10bの形態である、本開示の前縁システム10の別の例示的な実施形態を有するものである。図4に示すように、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10は、胴体18に連結された翼16の前縁14aなどの前縁14に沿って、着脱可能に取り付けられて
いる。例えば前縁システム10b(図4参照)の形態である前縁システム10(図4参照)は、尾部20(図4参照)あるいは航空宇宙ビークル12(図4参照)の他のエーロフォイル面の前縁14b(図4参照)などの前縁14(図4参照)に沿って、取り付けることもできる。
【0056】
上述したように、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10を有する航空宇宙ビークル12(図4参照)は、150,000フィート以上、例えば350,000フィート以上の高度で飛行するように構成されており、例えば約500°F(華氏)~約2500°Fの温度範囲の高温用途での使用、ならびに、高速(例えばマッハ5以上)、軌道上、及び大気圏再突入用途での使用のための、複数の断熱性タイル80(図5A~5B参照)を含んでいる。本実施形態において、航空宇宙ビークル12(図4参照)は、宇宙船12b(図4、8参照)、極超音速ビークル12f(図8参照)、再突入ビークル12g(図8参照)、再使用可能打ち上げロケット(RLV)12h(図8参照)、又は、150,000フィート以上の高度で飛行するように構成され、且つ、高速及び高温の用途のために構成された他の適当な航空宇宙ビークル12(図4及び8参照)を含む。
【0057】
図5Aは、図4の前縁14の拡大部分前方斜視図であり、断熱性タイル80を有する熱保護システム(TPS)77を有する、例えば前縁システム10bの形態である、前縁システム10の別の例示的な実施形態を示している。図5Bは、図示の着脱可能モジュール40を取り外した状態の、例えば前縁システム10bの形態である、図5Aの前縁システム10の拡大部分前方斜視図である。図5Cは、取り外された図5Bの着脱可能モジュール40における、例えば中空ボックス基礎構造体42bの形態である例示的な中空ボックス構造体42の前方斜視図であり、流れ防止バリア92を示している。図6Aは、例えば前縁システム10aの形態である、断熱性タイル80を有する前縁システム10の別の例示的な実施形態の側方斜視図であり、翼外板67から独立した着脱可能モジュール40の取り付けを示している。
【0058】
図5A~5B及び図6Aに示し、かつ上述したように、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10は、前桁などの翼桁24aの形態である、少なくとも1つの構造部材24を含みうる。上述したように、構造部材24(図5A~5B、8参照)は、翼桁24a(図5A~5B、8参照)、リブ24b(図8参照)、ストリンガー24c(図8参照)、ビーム24d(図8参照)、又は他の適当な構造部材24(図8参照)のうちの1つを含む。また、上述したように、そして、図5A~5B及び図6Aに示すように、例えば翼桁24aの形態である構造部材24は、複数の第1端部側取り付け開口28を有する第1端部26と、延出部32及び内側部分33を有する第2端部30と、外面38a及び内面38bを有する本体部分36とを有する。第2端部30(図5B、6A参照)は、複数の第2端部側取り付け開口34(図5B、6A参照)を有し、第2端部側取り付け開口34(図5B、6A参照)は、延出部取り付け開口34a(図5B、6A参照)と、内側部分取り付け開口34b(図5B、6A参照)とを含む。
【0059】
図5A~5B及び図6Aに示すように、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10は、少なくとも1つの構造部材24に着脱可能に取り付けられた、例えば着脱可能モジュール40bの形態である1つ又は複数の着脱可能モジュール40をさらに含む。例えば着脱可能モジュール40b(図5A~6A参照)の形態である各着脱可能モジュール40(図5A~5B参照)は、例えば中空ボックス基礎構造体42bの形態である中空ボックス基礎構造体42(図5A~6A参照)を含む。中空ボックス基礎構造体42(図5A~6A参照)は、外側44(図5A~6A参照)及び内部46(図5A~6A参照)を含む。好ましくは、内部46は、中空の内部46a(図5A~6A参照)である。
【0060】
中空ボックス基礎構造体42(図5A~6A参照)は、D字形ボックス形状50(図5
A~6A参照)を有する輪郭48(図5A~6A参照)を有する。図5A~6Aに示した中空ボックス基礎構造体42の実施形態では、D字形ボックス形状50は、角部を有する形状50bを含む。
【0061】
図5Cに示すように、着脱可能モジュール40における、例えば中空ボックス基礎構造体42bの形態である中空ボックス基礎構造体42は、当該中空ボックス基礎構造体42の内部46の内部中央部46bに取り付けられた流れ防止バリア92をさらに含む。流れ防止バリア92(図5C参照)は、気体、空気、又はプラズマなどの高温の流体が、着脱可能モジュール40(図5C参照)を流れるのを防止又は阻止するように設計された閉鎖型スパン方向ウェブ(closed span wise web)である。図5Cにさらに示すように、流れ防止バリア92は、好ましくは、バリア壁92aの形態であり、中空ボックス基礎構造体42内に、実質的に同じ大きさの2つの分離領域94を形成している。図5C示すように、各分離領域94は、中空ボックス基礎構造体42の第2端部58に、基礎構造体第2端部側取り付け開口60を有している。あるいは、流れ防止バリア92(図5C参照)を、内部中央部46b(図5C参照)ではなく、中空ボックス基礎構造体42(図5C参照)の開放面部64(図5C参照)又は端部に取り付けてもよい。
【0062】
図5B~6Aに示すように、着脱可能モジュール40の中空ボックス基礎構造体42は、第1端部52と、第2端部58と、好ましくは少なくとも1つの開放面部64を有する複数の面62と、中空ボックス基礎構造体42の第1端部52に沿って設けられるとともに複数のフランジ側取り付け開口56を有する少なくとも1つのフランジ部54とを含む。そのような設計によれば、例えば前縁システム10b(図6B参照)の形態である前縁システム10(図6B参照)を組み立てる際に、中空ボックス基礎構造体42(図6B参照)の複数のフランジ側取り付け開口56(図6B参照)の其々を、構造部材24(図6B参照)の第1端部26(図6B参照)における、対応する第1端部側取り付け開口28(図6B参照)と整列させることができる。
【0063】
図5C及び6Aに示すように、中空ボックス基礎構造体42の第2端部58は、複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口60を含む。そのような設計によれば、例えば前縁システム10b(図6C参照)の形態である前縁システム10(図6C参照)を組み立てる際に、複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図6C参照)の其々を、構造部材24(図6C参照)の第2端部30(図6C参照)における、対応する延出部取り付け開口34a(図6C参照)と整列させることができる。任意の構成として、中空ボックス基礎構造体42(図5A、5B、6A参照)は、内部46(図5A、5B、6A参照)に配置された1つ又は複数の基礎構造体補強材66をさらに含む。
【0064】
図5A、5B、6Aに示すように、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10は、中空ボックス基礎構造体42及び着脱可能モジュール40を断熱及び保護するように、着脱可能モジュール40の中空ボックス基礎構造体42の外側44に連結された、複数の断熱性タイル80をさらに含む。複数の断熱性タイル80は、好ましくは、セラミックタイル80a、シリカセラミック、又は、高熱及び高速に耐えうる他の適当な材料の形態である。図5A及び6Aに示すように、各断熱性タイル80は、外面84a、内面84b、及び、これらの間の本体部86を有する。
【0065】
図5A及び6Aに示すように、断熱性タイル80は、好ましくは、中空ボックス基礎構造体42の外側44に、互いに隣接する配置82で取り付けられている。各断熱性タイル80(図5A、6A参照)は、好ましくは、少なくとも1つの他の断熱性タイル80(図5A、6A参照)と隣接する配置82とされており、これにより、極超音速の気体、加熱空気、又はプラズマが、隣り合う断熱性タイル80(図5A、6A参照)の間を流れることが、実質的に阻止される。
【0066】
第1取り付け要素70(図6B参照)上に連結された断熱性タイル80(図6B参照)は、好ましくは、其々がタイル開口88(図6B参照)を有しており、当該開口は、インサート要素90(図5A~5C、6B参照)で塞がれている。熱保護システム(TPS)77(図5A、5B、6B参照)の一部として、インサート要素90(図5A、5B、6B参照)は、例えば留め具70a(図6B参照)の形態である複数の第1取り付け要素70(図6B参照)の其々を、被覆及び保護するように構成されている。インサート要素90(図5A~5C、6B参照)は、例えばスクリューインセラミック(screw-in ceramic)又はセメントイン(cement in)/ドリルアウト(drill out)であり、セラミック、溶
融シリカ、シリカセラミック、セメント、又は、高温及び高速用途用に設計された他の適当な材料によって形成することができる。
【0067】
複数の断熱性タイル80(図5A、5B、6A、6B参照)及びインサート要素90(図5A、5B、6A、6B参照)に加えて、熱保護システム(TPS)77(図5A、5B、6A、6B、7B、8参照)は、翼外板67(上側及び下側)のうちの1つもしくは複数、又は航空宇宙ビークル12(図4参照)の他の構造部品に、隣接配置及び/又は取り付けがなされた断熱材68(図5A、5B、6A、6B、7B、8参照)をさらに含みうる又は備えうる。断熱材68(図5A、5B、6A、6B、7B、8参照)は、好ましくは、例えば織物面シート(fabric face sheets)の間に挟まれたセラミック繊維母材複合材料によって構成されたキルトブランケットの形態などの、可撓性再利用可能断熱材(CRI)を含む。ただし、断熱材68(図5A、5B、6A、6B、7B、8参照)は、フェルト製再利用可能表面断熱材(FRSI)、高度可撓性再利用可能表面断熱材(AFRSI)、又は他の適当な断熱材も含みうる。
【0068】
熱保護システム(TPS)77(図5A、5B、6A、6B、7B、8参照)は、隣り合う中空ボックス基礎構造体42(図5B、6B参照)の間に連結された第1熱バリア要素78(図5B、5C、6A、6B、7B、8参照)、及び、構造部材24(図6C、7参照)に連結された第2熱バリア要素79(図5B、6A、6C、7B、8参照)を、さらに含みうる又は備えうる。第1熱バリア要素78(図5B、6A、6B、7、8参照)及び第2熱バリア要素79(図6C、7参照)は、其々、セラミック、溶融シリカ、シリカセラミック、アルミナ、又は他の適当な材料のうちの1つ又は複数を含む材料によって形成することができる。
【0069】
熱保護システム(TPS)77(図5A、5B、6A、6B、7B、8参照)は、中空ボックス基礎構造体42(図6A、7B参照)の外側44(図6A参照)と、複数の断熱性タイル80(図6A、6B参照)の内面84b(図6A、6B参照)との間に連結された1つ又は複数のひずみ遮断パッド96(図6A~6C、7B、8参照)を含みうる又は備えうる。各ひずみ遮断パッド96(図6A、6B参照)は、ひずみ遮断パッド開口98(図6A、6B参照)を有しており、当該開口は、第1取り付け要素70(図6B参照)の頂部を囲むように開口するとともに、タイル開口88a(図6B参照)内に挿入されるインサート要素90(図6B参照)の直径と実質的に同じサイズ及び形状となるように構成されている。上記インサート要素の一部は、当該ひずみ遮断パッド開口98(図6B参照)内に挿入されてもよい。
【0070】
1つ又は複数のひずみ遮断パッド96(図6A~6C、7B、8参照)は、好ましくは可撓性を有する、被覆ニードルフェルトメタアラミド材料(flexible coated needled-felt metamathematics-aramid material)又は他の適当な材料によって形成される。好ましくは、1つ又は複数のひずみ遮断パッド96(図6A~6C、7B、8参照)は、高温、高速、及び高ストレス用途用に設計されたシリコーン又は他の適当な接着剤を用いて、複数の断熱性タイル80(図6A、6B参照)に接着された後に、中空ボックス基礎構造体4
2(図6A、6B参照)に接着される。好ましくは、1つ又は複数のひずみ遮断パッド96(図6A~6C、7B、8参照)は、優れた熱特性を有するとともに、横方向変位に対する亀裂又は損傷を防止する材料によって構成される。
【0071】
熱保護システム(TPS)77(図8参照)は、第1熱バリア要素78(図5B、6A、6B、7B、図8参照)及び第2熱バリア要素79(図5B、6A、6C、7B、8参照)のうちのいずれか又は両方に連結された圧力シール99(図8参照)を、さらに含みうる又は備えうる。圧力シール99(図8参照)は、極超音速の気体流、加熱空気、及び/又はプラズマが、着脱可能モジュール40b(図5B、6A、8参照)などの着脱可能モジュール40(図5B、6A、8参照)内を通過するのを封止又は阻止するように設計されている。圧力シール99(図8参照)は、シリコーン、ゴム、シリコーンゴム、その他のエラストマー、又は他の適当な材料のうちの1つ又は複数の材料によって構成することができるが、これに限定されない。
【0072】
図4~6Cに示した実施形態では、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10は、少なくとも1つの断熱性タイル80(図6A、8参照)を含む熱保護システム(TPS)77(図8参照)を備えている。このような構成によれば、航空宇宙ビークル12(図4参照)の前縁14(図4参照)に対して個別に着脱可能なモジュール40(図6A、8参照)を用いることにより、修理又は整備を行いつつも、航空宇宙ビークル12の駐機時間を最小限に抑えうる熱保護システム(TPS)77(図8参照)を実現することができる。
【0073】
次に、図6Bを参照すると、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10は、例えば着脱可能モジュール40bの形態である着脱可能モジュール40の少なくとも1つのフランジ部54を、少なくとも1つの構造部材24の第1端部26に取り付けるように構成された、複数の第1取り付け要素70をさらに含む。図6Bは、例えば前縁システム10bの形態である、本開示の前縁システム10の例示的な実施形態の拡大断面正面図であり、複数の第1取り付け要素70が、着脱可能モジュール40を、構造部材24の第1端部26に締結している状態を示している。
【0074】
図6Bに示すように、複数の第1取り付け要素70の其々は、ナットプレート72によって適所に固定された留め具70aを含む。各第1取り付け要素70(図6B、8参照)は、留め具70a(図6B、8参照)、ボルト70b(図8参照)、又は他の適当な取り付け要素70(図8参照)を含む。図6Bにさらに示すように、複数の第1取り付け要素70は、各中空ボックス基礎構造体42の第1端部52を、例えば翼桁24aの形態である少なくとも1つの構造部材24の第1端部26に締結する。複数の第1取り付け要素70(図6B参照)の其々は、複数のフランジ側取り付け開口56(図6B参照)の其々、及び、複数の第1端部側取り付け開口28(図6B参照)の其々に、挿通されている。各フランジ側取り付け開口56(図6B参照)は、好ましくは、各第1端部側取り付け開口28(図6B参照)と整列している。
【0075】
図6Bは、中空ボックス基礎構造体42のフランジ部54に取り付けられた、セラミックタイル80aなどの断熱性タイル80をさらに示している。図6Bに示すように、断熱性タイル80は、外面84a、内面84b、及び、これらの間の本体部86を有する、モジュール取り付けタイル81aである。図6Bにさらに示すように、断熱性タイル80は、インサート要素90で塞がれたタイル開口88を有しており、当該インサート要素は、例えば留め具70aの形態である第1取り付け要素70の頂部を被覆している。図6Bにさらに示すように、1つ又は複数のひずみ遮断パッド96は、例えば、中空ボックス基礎構造体42のフランジ部54の上面と、断熱性タイル80の内面84bとの間に、連結される又は取り付けられる。ひずみ遮断パッド96(図6B参照)は、第1取り付け要素7
0(図6B参照)の頂部を囲んで開口するひずみ遮断パッド開口98(図6B参照)を有しており、当該ひずみ遮断パッド開口は、インサート要素90(図6B参照)と実質的に同じサイズ及び形状となるように構成されている。このため、上記インサート要素は、タイル開口88a(図6B参照)内に挿入可能であり、かつその一部は、ひずみ遮断パッド開口98(図6B参照)内に挿入可能である。
【0076】
図6Bにさらに示すように、翼外板67及び断熱材68は、断熱性タイル80に隣接している。図6Bにさらに示すように、第1熱バリア要素78は、例えば着脱可能モジュール40bの形態である、隣り合う着脱可能モジュール40の間に連結されている。
【0077】
次に図6Cを参照すると、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10は、中空ボックス基礎構造体42における、少なくとも1つのフランジ部54(図6A参照)の反対側の第2端部58を、少なくとも1つの構造部材24における、第1端部26(図6A参照)の反対側の第2端部30に取り付けるように構成された複数の第2取り付け要素74(図5B、6Aも参照)をさらに含む。図6Cは、例えば前縁システム10bの形態である、本開示の前縁システム10の例示的な実施形態の拡大断面側面図であり、第2取り付け要素74が、例えば着脱可能モジュール40bの形態である着脱可能モジュール40を、構造部材24の第2端部30に締結している状態を示している。
【0078】
図6Cに示すように、第2取り付け要素74は、ダガーピン74a及びダガーピンナット74b、又は他の適当な取り付け要素74を含む。図6Cにさらに示すように、複数の第2取り付け要素74は、中空ボックス基礎構造体42の第2端部58を、例えば翼桁24aの形態である少なくとも1つの構造部材24の第2端部30に連結するように構成されている。図6Cにさらに示すように、各第2取り付け要素74は、翼外板67の翼外板クリアランス開口73に挿通され、例えば延出部取り付け開口34aの形態である第2端部側取り付け開口34に挿通され、基礎構造体第2端部側取り付け開口60に挿通される。
【0079】
各翼外板クリアランス開口73(図6C参照)は、好ましくは、各延出部取り付け開口34a(図6C参照)と整列しており、好ましくはこれらの両方が、各基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図6C参照)と整列している。そのような設計によれば、例えば前縁システム10b(図6C参照)の形態である前縁システム10(図6C参照)を組み立てる際に、複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図6C参照)の其々を、構造部材24(図6C参照)の第2端部30(図6C参照)における対応する延出部取り付け開口34a(図6C参照)に対し、及び、翼外板67(図6C参照)における対応する翼外板クリアランス開口73(図6C参照)に対し整列させることができる。
【0080】
図6Cは、着脱可能モジュール40に取り付けられたモジュール取り付けタイル81a、及び、ひずみ遮断パッド96を介して翼外板67に取り付けられた翼取り付けタイル81bの形態である、セラミックタイル80aなどの断熱性タイル80をさらに示している。図6Cにさらに示すように、ひずみ遮断パッド96は、第2取り付け要素74の底部を囲むように開口するひずみ遮断パッド開口98を有する。図6Cにさらに示すように、中空ボックス基礎構造体42における後面62aなどの面62は、構造部材24に隣接している。図6Cにさらに示すように、第2熱バリア要素79は、構造部材24の延出部32の下端と、モジュール取り付けタイル81aと、翼取り付けタイル81bとの間に、これらに隣接して設けられている。
【0081】
次に、図7Aを参照すると、図7Aは、例えば前縁システム10aの形態である、熱保護システム(TPS)77(図6A、7B、8参照)を有しない、本開示の前縁システム10の例示的な実施形態の後方斜視図である。図7Aは、例えば翼桁24aの形態である
構造部材24の本体部分36の内面38bを示している。図7Aに示すように、好ましくは、構造部材24の第1端部26、及び、第2端部30の内側部分33は、好ましくは翼外板留め具開口75に挿通されてナットプレート72によって適所に保持された複数の翼外板留め具76によって、それぞれ別の翼外板67(上側及び下側)に取り付けられている。図7Aには、さらに、例えばモジュール40aの形態である、着脱可能モジュール40(図3A参照)の中空ボックス基礎構造体42、及び、構造部材24の第2端部30の延出部32が示されている。
【0082】
次に図7Bを参照すると、図7Bは、例えば前縁システム10bの形態である、熱保護システム(TPS)77を有する、本開示の前縁システム10の例示的な実施形態の後方斜視図である。図7Bは、例えば翼桁24aの形態である構造部材24の本体部分36の内面38bを示している。図7Bに示すように、好ましくは、構造部材24の第1端部26、及び、第2端部30の内側部分33は、翼外板留め具開口75に挿通されてナットプレート72によって適所に保持された複数の翼外板留め具76によって、それぞれ別の翼外板67(上側及び下側)に取り付けられている。
【0083】
図7Bにさらに示すように、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10の熱保護システム(TPS)77は、別々の翼外板67(上側及び下側)に其々隣接して取り付けられた断熱材68、中空ボックス基礎構造体42に隣接して連結された第1熱バリア要素78、構造部材24の第2端部30の延出部32に隣接して連結された第2熱バリア要素79、断熱性タイル80、及び、ひずみ遮断パッド96を含む。
【0084】
図7Bは、モジュール取り付けタイル81aの形態のセラミックタイル80a、及び、翼取り付けタイル81bの形態のセラミックタイル80bなどの、断熱性タイル80の切り取り部分を示しており、さらに、翼外板67(下側)、断熱材68に隣接する位置、及び、中空ボックス基礎構造体42に隣接する位置に取り付けられたひずみ遮断パッド96も示している。モジュール取り付けタイル81a(図6A、7B参照)及び翼取り付けタイル81b(図7B参照)は、好ましくは、ひずみ遮断パッド96上に設けられている。
【0085】
図8は、本開示の前縁システム10、10a、10bの例示的な実施形態を示す機能ブロック図である。図8に示すように、そして、詳述したように、前縁システム10、10a、10bは、航空宇宙ビークル12に用いるためのものであり、航空宇宙ビークルは、例えば、航空機12a、宇宙船12b、無人航空機(UAV)12c、回転翼機12d、ミサイル12e、極超音速ビークル12f、再突入ビークル12g、再使用可能打ち上げビークル(RLV)12h、又は、別の好適な航空宇宙ビークル12のうちの1つ又は複数である。
【0086】
図8にさらに示すように、前縁システム10、10a、10bの其々は、少なくとも1つの構造部材24を含む。構造部材24(図8参照)は、前桁などの翼桁24a(図8参照)、リブ24b(図8参照)、ストリンガー24c(図8参照)、ビーム24d(図8参照)又は他の適当な構造部材24(図8参照)のうちの1つを含む。各構造部材24(図8参照)は、複数の第1端部側取り付け開口28(図8参照)を有する第1端部26(図8参照)と、延出部32(図8参照)及び内側部分33(図8参照)を有する第2端部30(図8参照)と、本体部分36(図8参照)とを有する。第2端部30(図8参照)は、複数の第2端部側取り付け開口34(図8参照)を有する。
【0087】
図8にさらに示すように、前縁システム10、10a、10bの其々は、構造部材24に連結された、着脱可能モジュール40a(図3A参照)又は着脱可能モジュール40b(図5A参照)のような、複数の着脱可能モジュール40を含む。各着脱可能モジュール40(図2C、5C、8参照)は、例えば中空ボックス基礎構造体42a(図2C及び8
参照)又は中空ボックス基礎構造体42b(図5C、8参照)の形態である中空ボックス基礎構造体42(図2C、5C、8参照)を含み、当該中空ボックス基礎構造体は、D字形ボックス形状50(図2C、5C、8参照)、複数の面62(図2C、5C、8参照)、及び、任意の構成として1つ又は複数の開放面部64(図2C、5C、8参照)を有するものである。図8にさらに示すように、中空ボックス基礎構造体42は、複数のフランジ側取り付け開口56(図2C、5Cも参照)を有するフランジ部54(図2C、5Cも参照)を有する第1端部52(図2C、5Cも参照)と、複数の基礎構造体端部側取り付け開口60(図2C、5Cも参照)を有する第2端部58(図2C、5Cも参照)とを含む。
【0088】
図8に示すように、そして、詳述したように、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10の実施形態では、図4~6C及び7Bに示すように、例えば前縁システム10bの形態である前縁システム10は、熱保護システム(TPS)77をさらに含み、当該熱保護システムは、少なくとも、セラミックタイル80aなどの複数の断熱性タイル80を含むものであり、当該断熱性タイルは、其々がインサート要素90を受容するように構成されたタイル開口88を有する、モジュール取り付けタイル81a及び翼取り付けタイル81bの形態である。
【0089】
図8にさらに示すように、熱保護システム(TPS)77は、第1熱バリア要素78、第2熱バリア要素79、1つ又は複数のひずみ遮断パッド96、流れ防止バリア92、圧力シール99、及び、断熱材68を追加的に含み、当該断熱材は、例えば、可撓性再利用可能断熱材(CRI)、フェルト製再利用可能表面断熱材(FRSI)、高度可撓性再利用可能表面断熱材(AFRSI)、又は他の適当な断熱材である。
【0090】
図8にさらに示すように、各前縁システム10、10a、10bは、複数の第1取り付け要素70を含み、当該第1取り付け要素は、例えば、其々がナットプレート72によって適所に固定された、留め具70a、ボルト70b、又は他の適当な留め具要素の形態である。図8にさらに示すように、各前縁システム10、10a、10bは、例えばダガーピン74a及びダガーピンナット74bの形態である、複数の第2取り付け要素74を含む。
【0091】
次に図9を参照すると、別の実施形態において、航空宇宙ビークル12(図1及び図4)のための前縁システム10(図1~6C参照)を組み立てる方法100が提供される。図9は、本開示の実施形態による、航空宇宙ビークル12(図1及び図4)のための前縁システム10(図1~6C参照)を組み立てる方法100を示す例示的なフローチャートである。
【0092】
一実施形態において、例えば航空機12a(図1参照)、無人航空機(UAV)12c(図8参照)、回転翼機12d(図8参照)、ミサイル12e(図8参照)、又は、他の適当な航空宇宙ビークル12(図1参照)の形態の航空宇宙ビークル12(図1参照)は、350,000フィート以下、好ましくは150,000フィート以下の高度で飛行するように構成されており、熱保護システム(TPS)77(図6A~6C、7B、8参照)を含まない。
【0093】
別の実施形態において、例えば、宇宙船12b(図4、8参照)、極超音速ビークル12f(図8参照)、再突入ビークル12g(図8参照)、再使用可能打ち上げビークル(RLV)12h(図8参照)、又は、他の適当な航空宇宙ビークル12(図4、8参照)の形態である航空宇宙ビークル12(図4、8参照)は、150,000フィート以上の高度で飛行するように構成されるとともに、高速(例えばマッハ5以上)で飛行するように構成されている。
【0094】
図9に示すように、方法100は、複数の着脱可能モジュール40(図1~6C参照)を組み立てる工程102を含む。各着脱可能モジュール40(図2C、5C参照)は、複数の面62(図2C、5C参照)と、複数のフランジ側取り付け開口56(図2C、5C参照)を有する少なくとも1つのフランジ部54(図2C、5C参照)を有する第1端部52(図2C、5C参照)と、複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図2C、5C参照)を有する第2端部58とを有する、D字形ボックス形状50(図2C、5C参照)を有する中空ボックス基礎構造体42(図2C、5C参照)を含む。
【0095】
別の実施形態において、複数の着脱可能モジュール40(図5A~6A参照)を組み立てる工程102は、中空ボックス基礎構造体42(図6A参照)の外側44(図6A参照)に、複数の断熱性タイル80(図5A、6A参照)を連結することをさらに含む。複数の断熱性タイル80(図6B参照)は、1つ又は複数のタイル開口88(図6B参照)を含んでいる。1つ又は複数のタイル開口88(図6B参照)は、好ましくは、留め具70a(図6B参照)などの複数の第1取り付け要素70(図6B参照)の其々を被覆及び保護するように構成されたインサート要素90(図6B参照)で、塞がれている。
【0096】
複数の着脱可能モジュール40(図5A~6A参照)を組み立てる工程102は、中空ボックス基礎構造体42(図5C参照)の内部中央部46b(図5C参照)に、流れ防止バリア92(図5C参照)を取り付けること、及び、中空ボックス基礎構造体42(図5C参照)内に少なくとも2つの分離領域94(図5C参照)を形成することを含む。流れ防止バリア92(図5C参照)は、好ましくは、極超音速の気体、空気、プラズマ、又は他の流体又は気体の流れを阻止するように構成されたバリア壁92a(図5C参照)を含む。あるいは、流れ防止バリア92(図5C参照)は、中空ボックス基礎構造体42(図5C参照)の開放面部64(図5C参照)又はその近傍に取り付けてもよい。
【0097】
複数の着脱可能モジュール40(図5A~6A参照)を組み立てる工程102は、熱保護システム(TPS)77(図5A~6C参照)を含む複数の着脱可能モジュール40(図5A~6A参照)を組み立てることをさらに含む。TPS77(図5A~6C参照)は、航空宇宙ビークル12(図4参照)の1つ又は複数の翼外板67(図6A~6B参照)に隣接する断熱材68(図6A~6B参照)、隣り合う中空ボックス基礎構造体42(図5B参照)の間に連結された第1熱バリア要素78(図5B参照)、構造部材24(図6A、6C参照)に連結された第2熱バリア要素79(図6A、6C参照)、及び、中空ボックス基礎構造体42(図6A、6B参照)の外側44(図6A参照)と複数の断熱性タイル80(図6A、6B参照)との間に連結された1つ又は複数のひずみ遮断パッド96(図6A、6B参照)をさらに含む。任意の構成として、隣り合う中空ボックス基礎構造体42(図5B参照)の間に設けられた第1熱バリア要素78(図5B、8参照)及び第2熱バリア要素79(図6C、8参照)のうちの一方又は両方に隣接させて、圧力シール99(図8参照)が連結されている。圧力シール99(図8参照)は、シリコーン、ゴム、シリコーンゴム、その他のエラストマー、又は他の適当な材料のうちの1つ又は複数の材料によって構成することができるが、これに限定されない。第1熱バリア要素78(図5参照)及び第2熱バリア要素79(図5B参照)は、セラミック、溶融シリカ、シリカセラミック、アルミナ、又は他の適当な材料を含む1つ又は複数の材料によって構成することができるが、これに限定されない。
【0098】
図9にさらに示すように、方法100は、航空宇宙ビークル12(図1、4参照)内に配置される少なくとも1つの構造部材24(図3A、6A参照)を用意する工程104を含む。図3A、6Aに示すように、少なくとも1つの構造部材24は、複数の第1端部側取り付け開口28が設けられた第1端部26と、複数の延出部取り付け開口34aが設けられた延出部32を有する第2端部30とを有する。
【0099】
図9にさらに示すように、方法100は、複数の第1取り付け要素70(図3B、6B参照)及び複数の第2取り付け要素74(図3C、6C参照)を用意する工程106を含む。複数の第1取り付け要素70(図3B、6B参照)を用意する工程106は、好ましくは、各第1取り付け要素70(図3B、6B、8参照)が、1つ又は複数のナットプレート72(図3B、6B、8参照)と共に用いられる留め具70a(図3B、6B、8参照)、ボルト70b(図8参照)、又は他の適当な取り付け要素70を含む、複数の第1取り付け要素70(図3B、6B参照)を用意することを含む。複数の第2取り付け要素74(図3C、6C参照)を用意する工程106は、其々が、ダガーピン74a(図3C、6C参照)、ダガーピンナット74b(図3C、6C参照)、又は他の適当な取り付け要素74を含む、複数の第2取り付け要素74(図3C、6C参照)を用意することを含む。
【0100】
図9にさらに示すように、方法100は、複数の基礎構造体第2端部側取り付け開口60(図3A、3C、6A、6C参照)の其々と整列した複数の延出部取り付け開口34a(図3A、3C、6A、6C参照)の其々に、複数の第2取り付け要素74(図3A、3C、6A、6C参照)の其々を挿入することによって、各中空ボックス基礎構造体42(図3C、6C参照)の第2端部58(図3C、6C参照)を、少なくとも1つの構造部材24(図3C、6C参照)の第2端部30(図3C、6C参照)に連結する工程108を含む。
【0101】
図9にさらに示すように、方法100は、複数の第1端部側取り付け開口28(図3B、6B参照)の其々と整列した複数のフランジ側取り付け開口56(図3B、6B参照)の其々に、複数の第1取り付け要素70(図3B、6B参照)の其々を挿入することによって、各中空ボックス基礎構造体42(図3B、6B参照)の第1端部52(図3B、6B参照)を、少なくとも1つの構造部材24(図3B、6B参照)の第1端部26(図3B、6B参照)に締結する工程110を含む。
【0102】
図9にさらに示すように、方法100は、複数の着脱可能モジュール40(図2B、5B参照)の其々が個別に着脱及び交換可能である、航空宇宙ビークル12(図1、4参照)のための前縁システム10(図1~6C参照)を得る工程112を含む。
【0103】
図10は、例示的な航空機の製造及び保守方法200のフローチャートを示している。図11は、航空機216の例示的なブロック図を示している。図10~11を参照すると、本開示の実施形態は、図10に示すように航空機の製造及び保守方法200に関連させるとともに、図11に示すように航空機216に関連させて説明することができる。
【0104】
生産開始前において、例示的な航空機の製造及び保守方法200は、航空機216の仕様決定及び設計202と、材料調達204とを含む。製造中には、航空機216の部品及び小組立品の製造206及びシステムインテグレーション208が行われる。その後、航空機216は、認可及び納品210の工程を経て、使用212に入る。顧客による使用212の間、航空機216は、定期的な整備及び保守214のスケジュールに組み込まれる(これは、改良、再構成、改修、及び他の適当な保守を含みうる)。
【0105】
航空機の製造及び保守方法200の各工程は、システムインテグレーター、第三者、及び/又は、オペレーター(例えば顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレーターは、航空機メーカー及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよく、その数は特に限定されない。第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよい。オペレーターは、例えば、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織、及び他の適当なオペレーターを含む。
【0106】
図11に示すように、例示的な航空機の製造及び保守方法200によって製造された航空機216は、複数のシステム220及び内装222を有する機体218を含みうる。複数のシステム220の例としては、駆動系224、電気系226、油圧系228、及び、環境系230のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、本開示の原理は、例えば自動車産業などの他の産業に適用してもよい。
【0107】
本明細書において具現化される装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法200における、1つ又は複数のどの段階において採用してもよい。例えば、部品及び小組立品の製造206において製造される部品及び小組立品を、航空機216の使用212中に製造される部品及び小組立品と同様に製造してもよい。また、1つ又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、部品及び小組立品製造工程206及びシステムインテグレーション工程208で用いることによって、例えば、実質的に航空機216の組み立て速度を速めたりコストを削減したりすることができる。同様に、1つ又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又は、それらの組み合わせを、航空機216の使用期間212中、例えば、限定するものではないが、整備及び保守214に用いてもよい。
【0108】
前縁システム10(図1~6C、7A~7B参照)、10a(図1~3C、7A参照)、10b(図4~6C、7B参照)、及び、方法100(図9参照)によれば、前縁14(図1、4参照)の着脱可能モジュール40(図2A、5A参照)における損傷した部分を、容易且つ迅速に交換及び修理することが可能となり、前縁14(図1、4参照)の着脱可能モジュール40(図2A、5A参照)の容易且つ迅速な整備が可能となる。航空宇宙ビークル、例えば宇宙船や航空機など、の前縁の損傷部分の修理又は交換、ならびにこのような前縁の整備のための、既知のシステム及び方法に比べて、本開示の前縁システム10(図1~6C、7A~7B参照)、10a(図1~3C、7A参照)、10b(図4~6C、7B参照)、及び、方法100(図9参照)によれば、修理及び整備が行いやすくなるととともに、修理又は整備による航空宇宙ビークル12(図1、4、8参照)のダウンタイムを減らすことができる。また、本開示による前縁システム10(図1~6C、7A~7B参照)、10a(図1~3C、7A参照)、10b(図4~6C、7B参照)の着脱可能モジュール40(図2A、5A参照)及び方法100(図9参照)は、修理又は整備が行われる航空宇宙ビークル12(図1、4、8参照)の駐機時間に対する影響を最小限に抑えつつ、実現することができる。これによって、航空宇宙ビークル12(図1、4、8参照)を修理、保守、整備、及び、稼働するための全体的なコストを減らし、ミッション又はフライトのための航空宇宙ビークル12(図1、4、8参照)の利用可能性を増やすことができる。
【0109】
加えて、前縁システム10(図1~6C、7A~7B参照)、10a(図1~3C、7A参照)、10b(図4~6C、7B参照)および方法100(図9参照)に関して開示された実施形態は、着脱可能モジュール40(図2B、5B参照)とともに、短時間での対応を可能とする設計を採用している。このため、前縁14(図1、4参照)の部品の組み立て及び解体が容易となり、部品のモジュール化が可能となるので、既知のシステム及び方法では数週間もしくは数か月以上を要するこれらの部品の交換を、数日で行うことができる。前縁システム10(図1~6C、7A~7B参照)、10a(図1~3C、7A参照)、10b(図4~6C、7B参照)および方法100(図9参照)に関して開示された実施形態は、低速及び低高度(すなわち、150,000フィート以下の高度)で飛行する航空宇宙ビークル12(図1参照)の前縁14(図1参照)に使用することもでき、また、非常に高速(すなわち約マッハ5以上の速度で飛行する極超音速ビークル)及び高高度(すなわち150,000フィート以上の高度、例えば極超音速ビークルの場合の
約295,276フィート(90キロメートル))で飛行する航空宇宙ビークル12(図4)の前縁14(図4)に使用することもできる。
【0110】
また、宇宙空間を飛行するように構成された航空宇宙ビークル12(図4、8参照)のための開示の前縁システム10b(図4~6C、7B参照)の着脱可能モジュール40(図5A参照)は、軌道宇宙ステーションなどの宇宙空間内で交換することができ、修理又は交換された着脱可能モジュール40(図5A参照)を備えた航空宇宙ビークル12(図4、8参照)は、その後安全に地球に戻ることができる。特に、高温及び高速の航空宇宙ビークル12b(図4、8参照)用の、着脱可能モジュール40(図5B参照)を備えた前縁システム10b(図4~6C、7B参照)及び方法100(図9参照)の開示の実施形態によれば、そのような航空宇宙ビークル上の断熱性タイル80(図5A、7B、8参照)を含む熱保護システム(TPS)を、容易に修理又は交換することができる。
【0111】
本開示に関連する当業者が、上述の記載及び関連図面の教示による利点を念頭におけば、本開示についての多くの変形及び他の実施形態が予測可能であろう。本明細書に記載の実施形態は、例示を意図したものであり、限定的又は網羅的であることを意図したものではない。本明細書では特定的な用語を用いているが、これらは概括的且つ説明的な意味で用いているだけであり、限定を目的としたものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11