(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】永久毛髪成形組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20241205BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/43 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20241205BHJP
A61Q 5/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/39
A61K8/44
A61K8/19
A61K8/41
A61K8/43
A61K8/49
A61Q5/04
(21)【出願番号】P 2023518183
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(86)【国際出願番号】 EP2021076237
(87)【国際公開番号】W WO2022063917
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-05-08
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523044356
【氏名又は名称】ウェラ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エスポージト, ジュゼッペ
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-256258(JP,A)
【文献】特表2009-544605(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01880708(EP,A1)
【文献】特表2015-521650(JP,A)
【文献】特開2003-286141(JP,A)
【文献】特開2016-113436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として許容される担体中に、
(a)メルカプト官能基を含む少なくとも1つの還元剤、
(b)少なくとも1つのアルカリ化剤、
(c)少なくとも1つの脂肪アルコール、
(d)脂肪アルコールとは異なる少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、
少なくとも1つの脂肪アルコールおよび少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が
、10:3.5~10:
1の重量比で存在する、
毛髪の永久変形のための永久成形組成物
であって、
組成物の総重量に対して6.1~12.2%の範囲の総量の脂肪アルコールおよび非イオン性界面活性剤を含み、かつアニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤を含まない、組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの脂肪アルコールおよび少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が10:3~10:1.5の重量比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの脂肪アルコールおよび少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が10:2.5~10:2.0の重量比で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
化粧品として許容される担体が、水性担
体である、請求項1
から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
水性担体が水、水溶性多価アルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
還元剤が、チオグリコール酸、チオ乳酸およびそれらの
塩;システインおよびその
塩;ホモシステイン;システアミンおよびその塩;N-アセチルシステイン;チオグリセロール;エタンジオールモノチオグリコレート;1,2-プロピレングリコールモノチオグリコレート;1,3-プロパンジオールモノチオグリコレートまたはそれから得られる異性体混合物;1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールモノチオグリコレートおよびそれらからのそれらの異性体混合物;ポリエチレングリコールモノチオグリコレー
ト;グリセロールモノチオレート;メルカプトカルボン酸およびそのエステル;N-アルキル-2-メルカプトアセトアミド;ならびにそれらの混合物からなる群か
ら選択される、請求項1
から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
還元剤が、システアミン、システイン、チオグリコール酸、それらの塩およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の総重量に対して
、0.1
~35
%の範囲の総量の還元剤を含む、請求項1から
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の総重量に対して、0.5~20%の範囲の総量の還元剤を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の総重量に対して、1~15%の範囲の総量の還元剤を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
アルカリ化剤が、アンモニア、カルバミン酸アンモニウム、(重)炭酸アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-1-ブタノール、トリス(ヒドロキシルメチル)-アミノメタン、トリス-(2-ヒドロキシプロピル)-アミン、リジン、2,2-イミノビスエタノール、イミノウレア(炭酸グアニジン)、テトラヒドロ-1,4-オキサジン、2-アミノ-5-グアニジン吉草酸、2-アミノエタンスルホン酸、N-メチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、グルカミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、有機塩基および無機塩基の他の水溶性の生理学的に許容可能な塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択さ
れる、請求項1から
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
アルカリ化剤が、アンモニア、モノエタノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物の総重量に対して
、0.1
~10
%の範囲の総量のアルカリ化剤を含む、請求項1から
12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
組成物の総重量に対して、0.2~5%の範囲の総量のアルカリ化剤を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
組成物の総重量に対して、0.25~4%の範囲の総量のアルカリ化剤を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
脂肪アルコールが、直鎖および/または分枝鎖のC
14~C
30脂肪アルコールからなる群か
ら選択さ
れる、請求項1から
15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
脂肪アルコールが、直鎖C
14
~C
30
脂肪アルコールからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
脂肪アルコールが、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
脂肪アルコールが、セテアリルアルコールである、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
組成物の総重量に対して
、0.5
~20
%の範囲の総量の脂肪アルコールを含む、請求項1から
19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
組成物の総重量に対して、2~15%の範囲の総量の脂肪アルコールを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
組成物の総重量に対して、4~12%の範囲の総量の脂肪アルコールを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
組成物の総重量に対して、5~10%の範囲の総量の脂肪アルコールを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンC
8~C
30アルキルエーテルからなる群か
ら選択さ
れる、請求項1から
23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
非イオン性界面活性剤が、少なくとも2個のエチレンオキシド単位または少なくとも5個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンC
8
~C
30
アルキルエーテルからなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
非イオン性界面活性剤が、10~50個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンC
8
~C
30
アルキルエーテルからなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
非イオン性界面活性剤が、15~30個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンC
8
~C
30
アルキルエーテルからなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
非イオン性界面活性剤が、セテアレス-25、ステアレス-20およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
非イオン性界面活性剤が、ステアレス-20である、請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
組成物の総重量に対して
、0.2
~5%の範囲の総量の、脂肪アルコール以外の非イオン性界面活性剤を含む、請求項1から
29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
組成物の総重量に対して、0.5~4%の範囲の総量の、脂肪アルコール以外の非イオン性界面活性剤を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
組成物の総重量に対して、1.1~2.2%の範囲の総量の、脂肪アルコール以外の非イオン性界面活性剤を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
脂肪アルコールおよび非イオン性界面活性剤が、部分的にまたは全部、ゲルネットワーク系に含まれる、請求項1から
32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
増粘剤および/またはレオロジー修飾剤、液体油、固体脂肪、カチオン性ポリマー、シリコーン、膨潤剤、ジスルフィド、およびそれらの混合物を含む、請求項1から
33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
アルコール、糖アルコール、防腐剤、抗酸化剤、封鎖剤、塩、真珠光沢助剤、UVフィルターおよび日焼け止め剤、pH調整剤、乳白剤、可溶化剤、香油、染料、アミノ酸、加水分解タンパク質、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含む、請求項1から
34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
(a)請求項1から
35のいずれか一項に記載の個包装永久成形組成物、
(b)酸化剤を含む個包装固定組成物
を含む、毛髪の永久変形のためのキット。
【請求項37】
(a)請求項1から
35のいずれか一項に記載の永久成形組成物を提供する工程、
(b)毛髪を所望の形状にする前または後に、毛髪に永久成形組成物を塗布する工程、
(c)永久成形組成物を毛髪の永久成形に十分な所定の作用時間にわたって毛髪に作用させる工程、
(d)毛髪を水ですすぐ工程、
(e)毛髪の酸化的後処理を実行するための酸化剤を含む固定組成物を毛髪に塗布する工程、および
(f)毛髪を水ですすぐ工程
を含む、毛髪の永久変形のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の永久変形のための永久成形組成物、そのキット、方法および使用に関する。永久成形組成物は、化粧品として許容される担体中に、メルカプト官能基を含む少なくとも1つの還元剤、少なくとも1つのアルカリ化剤、少なくとも1つの脂肪アルコール、および少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、脂肪アルコールおよび非イオン性界面活性剤は、10:3.5~10:1の重量比で存在する。本発明は、特に臭気制御、塗布(例えば、ポイント塗布(pick-up)および全体塗布性(spreadability))、櫛通りおよびすすぎ性に関して優れた永久成形性能を提供する。特に、本発明は、塗布時のメルカプト官能基を有する化合物の臭いを低減または排除し、優れた永久成形性能を提供する。
【背景技術】
【0002】
永久毛髪成形、すなわち、毛髪の永久的なウェーブ成形およびストレート矯正のための古典的な技術は、2つの処理工程でよく知られている:第1の工程では、毛髪のケラチンのシスチン-ジスルフィド架橋が、還元成分を含む組成物(永久成形組成物)の作用によって開かれる。次いで、毛髪を所望の形状にする。第2の工程では、固定剤、すなわち酸化成分を含む組成物を使用して、シスチン-ジスルフィド結合を再び閉じる。
【0003】
古典的な還元剤として、メルカプト官能基を含む化合物、例えばチオグリコール酸、チオグリコール酸のアンモニウム塩またはモノエタノールアミン塩、2-メルカプトプロピオン酸(チオ乳酸)、3-メルカプトプロピオン酸、システイン、およびこれらの化合物の誘導体、システアミン、メルカプトカルボン酸エステル、ならびにN-アルキル-2-メルカプトアセトアミドが使用される。
【0004】
最初の工程、すなわちシスチン-ジスルフィド開裂反応は、典型的には、アルカリ化剤の存在下、pH7.5~9で行われる。しかしながら、メルカプト官能化還元剤に基づくアルカリ調整永久成形組成物は、不快な臭気を発生させる。還元剤の不快な臭気は、製品の強い香り付けを必要とする。
【0005】
市販の永久毛髪変形製品が長年にわたって利用可能であったという事実にもかかわらず、毛髪成形プロセス中およびその後の悪臭を効果的に低減するかまたは完全に回避し、同時に効果的な永久毛髪成形効果を提供する製品はまだ存在しない。
【0006】
チオ乳酸を使用することにより、悪臭をわずかに低減することが可能である。しかしながら、広く使用されているチオグリコール酸と比較して、チオ乳酸の永久変形効果はかなり弱い。
【0007】
したがって、本発明の目的は、毛髪の成形プロセス中および成形プロセス後の臭気を著しく改善し、効果的な永久毛髪成形性能を提供し、顧客の永久毛髪成形製品の受容を向上させる、毛髪の永久成形のための組成物および方法を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、本発明は、化粧品として許容される担体中に、以下:
(a)メルカプト官能基を含む少なくとも1つの還元剤、
(b)少なくとも1つのアルカリ化剤、
(c)少なくとも1つの脂肪アルコール、
(d)脂肪アルコールとは異なる少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、
少なくとも1つの脂肪アルコールおよび少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、約10:3.5~10:1、好ましくは約10:3~約10:1.5、より好ましくは約10:2.5~10:2.0の重量比で存在する、
毛髪の永久変形のための永久成形組成物に関する。
【0009】
分子的に表現すると、少なくとも1つの脂肪アルコールおよび少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、約10:0.78~10:0.22、好ましくは約10:0.67~約10:0.33、より好ましくは約10:0.56~10:0.45の分子比で存在し得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、化粧品として許容される担体は、水性担体、好ましくは水、水溶性多価アルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、還元剤は、チオグリコール酸、チオ乳酸およびそれらの塩、例えばそれらのアンモニウム塩およびエタノールアミン塩;システインおよびその塩、例えば塩酸システイン;ホモシステイン;システアミンおよびその塩;N-アセチルシステイン;チオグリセロール;エタンジオールモノチオグリコレート;1,2-プロピレングリコールモノチオグリコレート;1,3-プロパンジオールモノチオグリコレートまたはそれから得られる異性体混合物;1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールモノチオグリコレートおよびそれらからのそれらの異性体混合物;ポリエチレングリコールモノチオグリコレート、例えばジ-、トリ-およびテトラエチレングリコールモノチオグリコレート;グリセロールモノチオレート;メルカプトカルボン酸およびそのエステル;N-アルキル-2-メルカプトアセトアミド;ならびにそれらの混合物からなる群から;好ましくはシステアミン、システイン、チオグリコール酸、それらの塩およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、約0.1~約35%、好ましくは約0.5~約20%、より好ましくは約1~約15%の範囲の総量の還元剤を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、アルカリ化剤は、アンモニア、カルバミン酸アンモニウム、(重)炭酸アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-1-ブタノール、トリス(ヒドロキシルメチル)-アミノメタン、トリス-(2-ヒドロキシプロピル)-アミン、リジン、2,2-イミノビスエタノール、イミノウレア(炭酸グアニジン)、テトラヒドロ-1,4-オキサジン、2-アミノ-5-グアニジン吉草酸、2-アミノエタンスルホン酸、N-メチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、グルカミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、有機塩基および無機塩基の他の水溶性の生理学的に許容可能な塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、アルカリ化剤は、アンモニア、モノエタノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、約0.1~約10%、好ましくは約0.2~約5%、より好ましくは0.25~4%の範囲の総量のアルカリ化剤を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、脂肪アルコールは、直鎖および/または分枝鎖のC14~C30脂肪アルコールからなる群から、好ましくは直鎖C14~C30脂肪アルコールからなる群から、より好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択され、さらにより好ましくは、脂肪アルコールはセテアリルアルコールである。
【0016】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、約0.5~約20%、好ましくは約2~約15%、より好ましくは約4~約12%、さらにより好ましくは約5~約10%の範囲の総量の脂肪アルコールを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンC8~C30アルキルエーテルからなる群から、好ましくは、少なくとも2個のエチレンオキシド単位または少なくとも5個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンC8~C30アルキルエーテルからなる群から、より好ましくは、10~50個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンC8~C30アルキルエーテルからなる群から、さらにより好ましくは、15~30個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンC8~C30アルキルエーテルからなる群から、さらにより好ましくは、セテアレス-25、ステアレス-20およびそれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、非イオン性界面活性剤はステアレス-20である。
【0018】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、約0.2~約5%、好ましくは約0.5~約4%、より好ましくは約1.1~約2.2%の範囲の総量の、脂肪アルコール以外の非イオン性界面活性剤を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、約0.7~約25%、好ましくは約2.5~約19%、より好ましくは約6.1~約12.2%の範囲の総量の脂肪アルコールおよび非イオン性界面活性剤を含み、脂肪アルコールおよび非イオン性界面活性剤は、部分的にまたは全部、ゲルネットワーク系に含まれる。
【0020】
いくつかの実施形態では、組成物は、アニオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤を含まない。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、増粘剤および/またはレオロジー修飾剤、液体油、固体脂肪、カチオン性ポリマー、シリコーン、膨潤剤、ジスルフィド、およびそれらの混合物を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、組成物は、アルコール、糖アルコール、防腐剤、抗酸化剤、封鎖剤、塩、真珠光沢助剤、UVフィルターおよび日焼け止め剤、pH調整剤、乳白剤、可溶化剤、香油、染料、アミノ酸、加水分解タンパク質、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含む。
【0023】
第2の態様では、本発明は、
(a)先行請求項のいずれかに記載の個包装永久成形組成物、
(b)酸化剤を含む個包装固定組成物
を含む、毛髪の永久変形のためのキットに関する。
【0024】
第3の実施形態では、本発明は、以下の工程:
(a)先行請求項のいずれかに記載の永久成形組成物を提供する工程、
(b)毛髪を所望の形状にする前または後に、毛髪に永久成形組成物を塗布する工程、
(c)永久成形組成物を毛髪の永久成形に十分な所定の作用時間にわたって毛髪に作用させる工程、
(d)毛髪を水ですすぐ工程、
(e)毛髪の酸化的後処理を実行するための酸化剤を含む固定組成物を毛髪に塗布する工程、および
(f)毛髪を水ですすぐ工程
を含む、毛髪の永久変形のための方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で使用される場合、「毛髪」という用語は、「生きている」、すなわち生体上にあってもよく、または「生きていない」、すなわちウィッグ、ヘアピース、他の生きていないケラチン繊維の集合体にあってもよい。哺乳動物、好ましくはヒトの毛髪が好ましい。しかしながら、ウール、ファーおよび他のケラチン含有繊維は、本発明による組成物のための好適な基材である。
【0026】
「永久成形組成物」とは、毛髪の永久変形の第1の工程、すなわちシスチン-ジスルフィド開裂反応に使用される組成物を意味する。永久成形組成物は、特に明記しない限り、以下では「組成物」と呼ばれる。本発明による永久成形組成物は、永久的なウェーブ成形(すなわち、ヒト毛髪をカールすること)およびストレート矯正(すなわち、ヒト毛髪の平滑化)の両方に使用することができる。
【0027】
「少なくとも1つの化合物」または「化合物」とは、該化合物の定義されたクラスに属する1つの化合物または2つ以上の化合物の混合物を意味する。
【0028】
「脂肪アルコール」とは、14~30個の炭素原子を有する非アルコキシル化飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖アルコールを意味する。
【0029】
すべてのパーセンテージは、特に明記しない限り、永久成形組成物、すなわち毛髪に塗布される組成物であるすぐに使用可能な組成物の重量を基準とする。また、比は、特に明記しない限り、重量比である。
【0030】
永久成形組成物
本発明の第1の態様は、化粧品として許容される担体中に、
(a)メルカプト官能基を含む少なくとも1つの還元剤、
(b)少なくとも1つのアルカリ化剤、
(c)少なくとも1つの脂肪アルコール、
(d)脂肪アルコールとは異なる少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含み、
少なくとも1つの脂肪アルコールおよび少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、約10:3.5~約10:1、好ましくは約10:3~約10:1.5、より好ましくは約10:2.5~10:2.0の重量比で存在する、
毛髪の永久変形のための永久成形組成物である。
【0031】
化粧品として許容される担体
永久成形組成物は、化粧品として許容される担体または溶媒を含む。溶媒は、水性担体、好ましくは水、水溶性多価アルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される水性担体であり得る。
【0032】
水溶性多価アルコールは、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有していてもよい。多価アルコールは、二価アルコール、例えばエチレングリコール、1,2-または1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオールおよびグリセリン;さらに、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール;三価アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオールなど;四価アルコール、例えばペンタエリスリトール;五価アルコール、例えばキシリトールなど;六価アルコール、例えばソルビトール、マンニトール;多価アルコールポリマー、例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン;二価アルコールアルキルエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプラピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル;二価アルコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル;二価アルコールエーテルエステル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジペート、エチレングリコールジスクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート;ならびにそれらの混合物からなる群から選択され得る。特に好ましい実施形態では、水溶性多価アルコールは、プロピレングリコール、グリセリンおよびそれらの混合物である。
【0033】
組成物は、主成分として水を含んでもよく、特に、組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約55%、より好ましくは少なくとも約60%の範囲の総量の水を含み得る。組成物は、組成物の総重量に対して、約50~約90%、好ましくは約55~約85%、より好ましくは約60~約80%の総量の水を含み得る。
【0034】
組成物は、組成物の総重量に対して、約0.1~約10%、好ましくは約0.5~約8%、より好ましくは約2~6%の範囲の総量の水溶性多価アルコールを含み得る。
【0035】
還元剤
永久成形組成物は、少なくとも1つの還元剤を含む。還元剤はメルカプト官能基を含む。一般に、毛髪の永久変形における使用に適した当技術分野で公知のすべての還元剤を使用することができる。
【0036】
還元剤は、チオグリコール酸、チオ乳酸およびそれらの塩、例えばそれらのアンモニウム塩およびエタノールアミン塩;システインおよびその塩、例えば塩酸システイン;ホモシステイン;システアミンおよびその塩;N-アセチルシステイン;チオグリセロール;エタンジオールモノチオグリコレート;1,2-プロピレングリコールモノチオグリコレート;1,3-プロパンジオールモノチオグリコレートまたはそれから得られる異性体混合物;1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールモノチオグリコレートおよびそれらからのそれらの異性体混合物;ポリエチレングリコールモノチオグリコレート、例えばジ-、トリ-およびテトラエチレングリコールモノチオグリコレート;グリセロールモノチオレート;メルカプトカルボン酸およびそのエステル;N-アルキル-2-メルカプトアセトアミド;ならびにそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0037】
亜硫酸水素ナトリウムなどの無機還元性硫黄化合物の使用も基本的に可能である。
【0038】
好ましくは、還元剤は、システアミン、システイン、チオグリコール酸、それらの塩およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
永久成形組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも約0.1%、好ましくは少なくとも約0.5%、より好ましくは少なくとも約1%の範囲の総量の還元剤を含み得る。特に、組成物は、組成物の総重量に対して、約0.1~約35%、好ましくは約0.5~約20%、より好ましくは約1~約15%の範囲の総量の還元剤を含み得る。
【0040】
アルカリ化剤
永久成形組成物は、少なくとも1つのアルカリ化剤を含む。
【0041】
アルカリ化剤は、アンモニア、カルバミン酸アンモニウム、(重)炭酸アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-1-ブタノール、トリス(ヒドロキシルメチル)-アミノメタン、トリス-(2-ヒドロキシプロピル)-アミン、リジン、2,2-イミノビスエタノール、イミノウレア(炭酸グアニジン)、テトラヒドロ-1,4-オキサジン、2-アミノ-5-グアニジン吉草酸、2-アミノエタンスルホン酸、N-メチルエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、グルカミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、有機塩基および無機塩基の他の水溶性の生理学的に許容可能な塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されてもよく、好ましくは、アルカリ化剤は、アンモニア、モノエタノールアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
pH値を変化させることにより、任意選択的にさらに熱を適用して、あらゆる毛髪構造に普遍的に適した永久成形組成物を利用可能にすることができる。組成物は、アレルギー反応または感作反応を誘発することなく、毛髪の根元から端部への弾性、耐久性の均一なウェーブをもたらす。pH値を約5.5~12、好ましくは約6.5~10.5、最も好ましくは約7.5~9.5に調整することが望ましい。したがって、アルカリ化剤の量は、還元剤および組成物の所望のpH値に依存する。
【0043】
永久成形組成物は、組成物の総重量に対して、約0.1~約10%、好ましくは約0.2~約5%、より好ましくは0.25~4%の範囲の総量のアルカリ化剤を含み得る。
【0044】
バッファー
組成物はバッファー塩を含み得る。本発明によれば、バッファーは、重炭酸塩からなる群から少なくとも選択されてもよく、好ましくは、バッファー塩は重炭酸アンモニウムである。
【0045】
脂肪アルコール
組成物は、少なくとも1つの脂肪アルコールを含む。脂肪アルコールは、直鎖および/または分枝鎖のC14~C30脂肪アルコールからなる群から、好ましくは直鎖C14~C30脂肪アルコールからなる群から、より好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。特に好ましい実施形態では、脂肪アルコールはセテアリルアルコールである。
【0046】
組成物は、組成物の総重量に対して、約0.5~約20%、好ましくは約2~約15%、より好ましくは約4~約12%、さらにより好ましくは約5~約10%の範囲の総量の脂肪アルコールを含み得る。前述の脂肪アルコールの量は、組成物中の脂肪アルコールの総量の最大100%(または100%)を占めることができる。
【0047】
非イオン性界面活性剤
組成物は、脂肪アルコール以外の少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤は、以下の化合物を含む1つ以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤から選択され得る:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪アミドならびにそれらのモノエタノールアミンおよびジエタノールアミン誘導体ならびにポリエトキシル化脂肪アミン、ならびにそれらの混合物から選択され得る。非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンC8~C30アルキルエーテルからなる群から、好ましくは、少なくとも2個のエチレンオキシド単位または少なくとも5個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンC8~C30アルキルエーテルからなる群から、より好ましくは、10~50個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンC8~C30アルキルエーテルからなる群から、さらにより好ましくは、15~30個のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンC8~C30アルキルエーテルからなる群から、最も好ましくは、セテアレス-25、ステアレス-20およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。特に好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤はステアレス-20である。
【0048】
組成物は、組成物の総重量に対して、約0.2~約5%、好ましくは約0.5~約4%、より好ましくは約1.1~約2.2%の範囲の総量の、脂肪アルコール以外の非イオン性界面活性剤を含み得る。前述の非イオン性界面活性剤(またはそれらの非イオン性界面活性剤の混合物)の量は、組成物中の非イオン性界面活性剤の総量の最大100%(または100%)を占めることができる。
【0049】
ゲルネットワーク系
組成物は、組成物の総重量に対して、約0.7~約25%、好ましくは約2.5~約19%、より好ましくは約6.1~約12.2%の範囲の総量の、前述の脂肪アルコールおよび非イオン性界面活性剤を含み得る。脂肪アルコール(類)および非イオン性界面活性剤(類)は、組成物中に、部分的または全体的に、ゲルネットワーク系に含まれ得る。
【0050】
ゲルネットワークの形成は、界面活性剤を含む水中の脂肪アルコールの分散体を80℃を超える温度に加熱することを含む。混合プロセス中、脂肪アルコールが融解し、界面活性剤が脂肪アルコール液滴に分配される。界面活性剤は、それと共に水を脂肪アルコールに入れる。これにより、等方性脂肪アルコール液滴が液晶相液滴に変化する。混合物が鎖融解温度未満に冷却されると、液晶相は固体結晶性ゲルネットワークに変換される。ゲルネットワークは、メルカプト官能基を含む化合物の臭気の低減またはさらには除去に特に寄与し得る。
【0051】
組成物中に存在する脂肪アルコールの約50~約100%、好ましくは約70~約100%、より好ましくは約90~約100%、最も好ましくは約100%が、ゲルネットワーク内に含まれ得る。組成物中に存在する非イオン性界面活性剤の約50~約100%、好ましくは約70~約100%、より好ましくは約90~約100%、最も好ましくは約100%が、ゲルネットワーク内に含まれ得る。
【0052】
本発明者らは、驚くべきことに、特定のクラスの化合物を慎重に選択し、組み合わせて使用することによって、毛髪への永久成形組成物の塗布および放置中に特に顕著であるメルカプト官能基を含む化合物の臭気を有意に低減するか、またはさらには排除することができることを見出した。実際、本発明者らは、臭いの低減または除去が、脂肪アルコールおよび非イオン性界面活性剤を用いて達成されることを見出したが、この場合、脂肪アルコールおよび非イオン性界面活性剤は、上記で定義されるような特定の比で組成物中に含まれる。
【0053】
非イオン性界面活性剤以外の界面活性剤
組成物は、非イオン性界面活性剤以外の少なくとも1つの界面活性剤をさらに含んでもよい。適切な界面活性剤は、一般に、8~30個の炭素原子の親油性鎖長を有し、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤およびそれらの混合物から選択され得る。当技術分野で公知の任意の適切な界面活性剤を使用することができる。
【0054】
組成物は、組成物の総重量に対して、約0.5%未満、好ましくは約0.3%未満、より好ましくは約0.1%未満の総量のアニオン性界面活性剤を含む。あるいは、組成物はアニオン性界面活性剤を含まなくてもよい。
【0055】
組成物は、組成物の総重量に対して、約0.5%未満、好ましくは約0.3%未満、より好ましくは約0.1%未満の総量のカチオン性界面活性剤を含む。あるいは、組成物はカチオン性界面活性剤を含まなくてもよい。
【0056】
本発明者らは、驚くべきことに、永久成形組成物がアニオン性および/またはカチオン性界面活性剤を含まない場合、メルカプト官能基を含む化合物の臭気のより大きな低減が達成されることを見出した。実際、アニオン性および/またはカチオン性界面活性剤を組成物に組み込むことは、ゲルネットワーク形成を変化させる可能性があり、該ゲルネットワークの存在は、毛髪への塗布時にメルカプト官能基を含む化合物の臭気低減を達成するために必要であると考えられる。
【0057】
増粘剤および/またはレオロジー修飾剤
組成物は、組成物に粘度を与えるのに十分な量の少なくとも1つの増粘剤および/または少なくとも1つのレオロジー修飾剤をさらに含んでもよく、その結果、毛髪から過度に垂れ落ちて汚れを引き起こすことなく、毛髪に容易に塗布することができる。
【0058】
適切な増粘剤としては、限定されないが、会合性ポリマー、多糖類、非会合性ポリカルボン酸ポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。市販の耐塩性増粘剤としては、限定されないが、キサンタンガム、デュータンガム、タラガム、グアー、ヒドロキシプロピルグアー、スクレログルカン、メチルセルロース、エチルセルロース(Aquacoteとして市販)、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel)、ヒドロキシエチルエチルセルロース、セチルヒドロキシエチルセルロース(Natrosol Plus 330)、N-ビニルピロリドン(Povidone)、アクリレート/セテス-20イタコネート共重合体(Structure 3001)、ヒドロキシプロピルデンプンホスフェート(Structure ZEA)、ポリエトキシル化ウレタンまたはポリカルバミルポリグリコールエステル、例えばPEG-150/デシル/SMDI共重合体(Aculyn 44)、PEG-150/ステアリル/SMDI共重合体(Aculyn 46)、トリヒドロキシステアリン(Thixcin)、アクリレート共重合体(Aculyn 33)または疎水性修飾アクリレート共重合体(例えば、Aculyn 22としてのアクリレート/ステアレス-20メタクリレート共重合体)、アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー(Aculyn 88)、アクリレート/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー(Aculyn 38)、アクリレート/ベヘネス-25メタクリレート共重合体(Aculyn 28)、アクリレート/Clu-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Carbopol ETD 2020)、少なくとも1つの脂肪鎖および少なくとも1つの親水性単位を含む、少なくとも1つの脂肪鎖を含むポリエーテルウレタンから選択される非イオン性両親媒性ポリマー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましい一実施形態では、増粘剤はキサンタンガムである。
【0059】
組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも約0.1%、好ましくは少なくとも約0.2%、好ましくは少なくとも約0.25%、より好ましくは0.25から2%の範囲の総量の増粘剤を含み得る。
【0060】
粘度
本発明によれば、組成物は、100~2000mPas、好ましくは200~1500mPas、より好ましくは500~1000mPasの粘度を有する。粘度は、以下に定義される試験方法に従って決定される。
【0061】
粘度試験方法
粘度測定は、TA Instruments製のAR500、AR1000もしくはAR2000タイプの制御応力レオメーター、または同等の機器で行う。6cmの平らなアクリルクロスハッチング平行プレートジオメトリー(TAアイテム518600.901)およびステンレス鋼クロスハッチングベースプレート(TAアイテム570011.001)を使用する。レオメーターは、標準的な製造業者の手順に従って流れ測定のために調整する。平行プレートジオメトリーのギャップは、1000ミクロンに設定する。流動手順は、以下の条件でレオメーターにプログラムする:線形モードの250個の測定点を含む、25℃で2分間にわたる連続応力勾配0.1~300Pa。製品を、標準的な手順に従ってジオメトリ-にロードする。せん断応力対せん断速度曲線から、10秒-1のせん断速度におけるせん断応力値を得て、得られたせん断応力を10で割ることによって対応する粘度を計算する。
【0062】
液体油
永久成形組成物は、液体油を含んでもよい。液体油は、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、ベニバナ油、綿実油、エゴマ油、大豆油、落花生油、茶油、カヤ油、米ぬか油、中国桐油、日本桐油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、液体ラノリン、ラウリン酸ヘキシル、液体炭化水素エステル、例えば流動パラフィン、鉱油、イソドデカン、脂肪酸油、スクアレン、エステル油、例えばセチルオクタノエート、ミリスチン酸イソプロピルおよびそれらの混合物からなる群から選択されてもよく、好ましくは、液体油は鉱油である。
【0063】
組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも約0%~少なくとも約5%の範囲の総量の液体油を含み得る。
【0064】
固体脂肪およびワックス
永久成形組成物は、固体脂肪を含んでもよい。固体脂肪は、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ脂、パーム油、獣脂、ヒツジ脂、硬化獣脂、パーム核油、ラード、牛骨脂、木蝋核油、硬化ヒマシ油;ラノリン、カポックワックス、ラノリンアセテート、イソプロピルラノリン脂肪酸、還元ラノリン、ハードラノリン、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水添ラノリンアルコールエーテル;炭化水素、不揮発性炭化水素および固体炭化水素エステル、例えば、固体パラフィン、ワセリン、オゾセライト、プリスタン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス;リン脂質、例えばレシチンまたはセラミド、蜜蝋、リンゴワックス、キャンデリラワックス、綿蝋、カルナウバワックス、ベーベリーワックス、虫白蝋、鯨蝋、モンタンワックス、米ぬかワックス、カポックワックス、サトウキビワックス、ホホバワックス、およびセラックワックスからなる群から選択されてもよく、好ましくは、固体脂肪はワセリンである。ワックスは脂肪アルコールではない。
【0065】
組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも約0%~少なくとも約5%の範囲の総量の固体脂肪を含み得る。
【0066】
カチオン性ポリマー
永久成形組成物は、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含んでもよい。カチオン性ポリマーは、カチオン性ホモポリマー、カチオン性共重合体、カチオン性多糖類、例えばクオタニウム-80などの第四級窒素基を含むカチオン性シリコンポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0067】
組成物は、組成物の総重量に対して、約0.05~約15%、好ましくは約0.1~約8%、より好ましくは約0.2~約3%の範囲の総量のカチオン性ポリマーを含み得る。
【0068】
適切なカチオン性ホモポリマーは、第四級窒素基を含むカチオン性モノマーをホモポリマー化することによって作製され、適切なカチオン性共重合体は、第四級窒素基を含むカチオン性モノマーと非カチオン性モノマーとを共重合することによって作製される。適切なカチオン性モノマーは、少なくとも1つのカチオン性基を有する不飽和ラジカル重合性化合物、特にアンモニウム置換ビニルモノマー、例えばトリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム、トリアルキルアクリロキシアルキルアンモニウム、ジアルキルジアリルアンモニウム、および環状カチオン性窒素を含有する基を有する第四級ビニルアンモニウムモノマー、例えばピリジニウム、イミダゾリウム、または第四級の、例えばアルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウムもしくはアルキルビニルピロリドン塩である。
【0069】
これらのモノマーのアルキル基は、好ましくは低級アルキル基、例えばC1~C7アルキル基であり、C1~C3アルキル基が特に好ましい。アンモニウム基含有モノマーは、非カチオン性モノマーと共重合することができる。適切なコモノマーは、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキルおよびジアルキルアクリルアミド、アルキルおよびジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコール、プロピレングリコールまたはエチレングリコールであり、これらのモノマーのアルキル基は、好ましくはC1~C7アルキル基であり、C1~C3アルキル基が特に好ましい。
【0070】
第四級窒素基を含む適切なカチオン性多糖類は、例えば、セルロース、デンプンまたはグアーのカチオン性誘導体、キトサンおよびキトサン誘導体である。
好ましいカチオン性ホモポリマーはポリクオタニウム-6であり、好ましいカチオン性共重合体はポリクオタニウム-11である。
【0071】
シリコーン
シリコーンは、揮発性または不揮発性であってもよく、可溶性または不溶性であってもよく、好ましくは不溶性シリコーンであり得る。「可溶性」とは、シリコーンが、同じ相の一部を形成するように組成物の水性担体と混和性であることを意味する。「不溶性」とは、シリコーンが水性担体とは別個の不連続相を、例えばシリコーンの液滴のエマルジョンまたは懸濁液の形態で形成することを意味する。
【0072】
可溶性シリコーンは、シリコーンコポリオール、例えばジメチコンコポリオール、例えばポリエーテルシロキサン修飾ポリマー、例えばポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド修飾ポリジメチルシロキサンからなる群から選択されてもよく、組成物への溶解性を可能にするのに十分なエチレンおよび/またはプロピレンオキシドのレベルである。
【0073】
不溶性シリコーンは、25℃で約1,000~約2,000,000mPas、好ましくは約10,000~約1,800,000mPas、より好ましくは約100,000~約1,500,000mPasの粘度を有し得る。粘度は、Dow Corning Gorparate Test Method CTM0004,July 20,1970に記載のガラス毛細管粘度計によって測定することができる。
【0074】
不溶性シリコーンは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサン共重合体、末端ヒドロキシル基を含有するジメチルポリシロキサン、末端ヒドロキシル基を含有するメチルフェニルポリシロキサンおよびそれらの混合物、低分子量オリゴマーポリジメチルシロキサンまたは環状ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルシロキサン共重合体からなる群から選択されてもよく、特に好ましいシリコーンコンディショニングポリマーは、CTFA:ジメチコン、アモジメチコン、ジメチコンビスアミノヒドロキシプロピルコポリオール、ビスアミノPEG/PPG-41/3アミノエチルPG-プロピルジメチコン、ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(CTFA:ジメチコノール)である。揮発性シリコーン、例えばCTFA:ジメチコン、ジメチコンコポリオールおよびシクロジメチコンも好ましく、好ましくは、不溶性シリコーンは、ジメチコン、アモジメチコンまたはそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0075】
組成物は、組成物の総重量に対して、約0~約6%の範囲の総量のシリコーンを含み得る。
【0076】
膨潤剤
いわゆる膨潤剤および浸透性物質を毛髪成形組成物に添加してもよく、例としては、尿素、メラミン、エーテル、例えばジプロピレングリコールモノメチルエーテル、2-ピロリドン、イミダゾリジン-2-オン、1-メチル-2-ピロリドン;チオシアン酸アルカリまたはチオシアン酸アンモニウム、多価アルコール、イソプロパノールであり、好ましくは、膨潤剤および浸透性物質は尿素である。
【0077】
組成物は、組成物の総重量に対して、約0%~約5%の範囲の総量の膨潤剤を含み得る。
【0078】
ジスルフィド
永久成形剤が、毛髪を縮れすぎないようにするために、毛髪ケラチン還元性化合物(チオール)のジスルフィド、特にジチオグリコール酸、2,2’ジチオ-ビス[N-(3-ヒドロキシプロピル)-アセトアミド]、2,2’-ジチオ-ビス[N-(プロピル)-アセトアミド]、2,2’ジチオ-ビス[N-(2-ヒドロキシプロピル)-アセトアミド]、ジチオ乳酸およびそれらの塩を含有する場合、有利である。
【0079】
組成物は、組成物の総重量に対して、約0.1~約30%、より好ましくは約0.5~約20%、最も好ましくは約1~約10%の範囲の総量のジスルフィドを含み得る。毛髪ケラチン還元剤とジスルフィドとの比は、好ましくは約20:1~約1:2、より好ましくは10:1~1:1である。
【0080】
好ましい実施形態では、ジスルフィドは、シスタミン、シスチンおよびジチオジグリコール酸、それらの塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0081】
添加剤
組成物は、永久毛髪成形組成物のための通常の公知の添加剤をさらに含んでもよい。適切な添加剤としては、例えば、アルコール、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール;糖アルコール、例えばソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、スクラーゼ、エリスリトール、グルコース、フルクトース、デンプン糖、マルトース、キシリトース、デンプン糖還元アルコール;防腐剤、例えばベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベンおよびイミダゾリジニル尿素;抗酸化剤、例えばトコフェロール;封鎖剤、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸およびその塩;塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム塩および硫酸アンモニウム塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムおよび硫酸アンモニウム;真珠光沢助剤、例えばエチレングリコールジステアレートおよび雲母;UVフィルターおよび日焼け止め剤、例えばp-メトキシ桂皮酸イソアミルエステル、親油性桂皮酸エステル、サリチル酸エステル、ベンゾフェノンまたは3-ベンジリデンカンファーの4-アミノ安息香酸誘導体または親水性スルホン酸誘導体;pH調整剤、例えばクエン酸、ギ酸、グリオキシル酸、酢酸、乳酸、ピルビン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム;乳白剤、例えばカオリンおよび酸化チタン;可溶化剤;香油;染料;アミノ酸および/または加水分解タンパク質;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0082】
添加剤は、好ましくは、このような目的に通常の量で使用される;組成物の総重量に対して、約0.1~約20%のアルコール;それぞれ約0.1~約5%の糖アルコール、塩、真珠光沢助剤ならびにUVフィルターおよび日焼け止め剤;それぞれ約0.01~約1%の抗酸化剤、pH調整剤、封鎖剤、乳白剤、防腐剤、香油、可溶化剤、アミノ酸および加水分解タンパク質ならびに/または染料。
【0083】
毛髪の永久変形のためのキット
第2の態様では、本発明は、
(a)メルカプト官能基を含む少なくとも1つの還元剤、少なくとも1つのアルカリ化剤、少なくとも脂肪アルコール、脂肪アルコールとは異なる少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、少なくとも1つの脂肪アルコールおよび少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、約10:3.5~10:1、好ましくは約10:3~約10:1.5、より好ましくは約10:2.5~10:2.0の重量比で存在する、個包装永久成形組成物、
(b)酸化剤を含む個包装固定組成物
を含む、毛髪の永久変形のためのキットに関する。
【0084】
「個包装」とは、構成要素が互いに接触することなく別個の容器または区画化された容器に包装され得ることを意味する。
【0085】
毛髪の永久変形のためのキットにおいて、担体、還元剤、アルカリ化剤、脂肪アルコール、非イオン性界面活性剤、および任意選択の化合物は、本発明の第1の態様に関して記載された化合物に従う。
【0086】
固定組成物は、酸化剤を含む、毛髪を酸化的に後処理(固定)するための組成物である。
【0087】
固定組成物中に以前に使用されていた任意の公知の酸化剤を固定に使用することができる。そのような酸化剤の例は、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、過酸化尿素、過酸化水素、および水溶液中で過酸化水素を得ることができる無機過酸化物材料である。そのような材料は、例えば、無機アルカリ金属過酸化物(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムおよび過酸化ナトリウム);有機過酸化物(例えば、過酸化尿素および過酸化カルバミド);無機過酸化水素化物塩漂白化合物(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、過硫酸塩などのアルカリ金属塩);ならびにそれらの混合物である。無機過酸化水素化物塩は、例えば、一水和物または四水和物として組み込まれてもよい。アルキル/アリール過酸化物および/またはペルオキシダーゼも使用されてもよい。必要に応じて、2つ以上のこのような酸化剤の混合物を使用することができる。酸化剤は、水溶液中に、または使用前に溶解される粉末として提供されてもよい。過酸化水素が好ましい。
【0088】
酸化剤の濃度は、塗布時間や塗布温度に応じて変動する。一般に、酸化剤は、固定組成物の総重量に対して、約0.5~12%、好ましくは約1~約3%の濃度で使用される。固定組成物は、他の材料、例えば弱酸または過酸化物安定剤を含むことができる。固定組成物はまた、湿潤剤、カチオン性ポリマーなどのヘアケア物質、弱酸、バッファー物質または過酸化物安定剤などの他の物質を含んでもよく、水溶液、エマルジョンまたは増粘水性形態、特にクリーム、ゲルまたはペーストの形態であってもよい。これらの典型的な添加剤は、固定組成物の総重量に対して、約0.1~約10%の量で固定組成物中に含有されてもよい。
【0089】
固定組成物は、水溶液またはエマルジョンの形態で、ならびに水性ベースの増粘形態で、特にクリーム、ゲルまたはペーストとして存在することができる。これらの組成物を加圧下でエアロゾル缶に充填し、エアロゾルフォームとして放出することも可能である。好ましくは、固定組成物は、水溶液またはエマルジョンである。
【0090】
永久成形組成物および固定組成物は、永久成形製品および固定製品を製造するための当技術分野で公知の従来の方法によって、例えば、各組成物の成分を適切な槽内で混合し、続いて適切な個別容器に包装することによって製造することができる。
【0091】
毛髪の永久変形のための方法
第3の態様では、本発明は、以下の工程:
(a)少なくとも1つの還元剤、少なくとも1つのアルカリ化剤、少なくとも1つの脂肪アルコール、および脂肪アルコールとは異なる少なくとも非イオン性界面活性剤を含み、少なくとも1つの脂肪アルコールおよび少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、約10:3.5~10:1、好ましくは約10:3~約10:1.5、より好ましくは約10:2.5~10:2.0の重量比で存在する、永久成形組成物を提供する工程、
(b)毛髪を所望の形状にする前または後に、毛髪に永久成形組成物を塗布する工程、
(c)永久成形組成物を毛髪の永久成形に十分な所定の作用時間にわたって毛髪に作用させる工程、
(d)毛髪を水ですすぐ工程、
(e)毛髪の酸化的後処理を実行するための酸化剤を含む固定組成物を毛髪に塗布する工程、および
(f)毛髪を水ですすぐ工程
を含む、毛髪の永久変形のための方法に関する。
【0092】
本発明による毛髪の永久変形のための方法において、担体、還元剤、アルカリ化剤、脂肪アルコール、非イオン性界面活性剤および任意選択の化合物は、本発明の第1の態様に関して記載された化合物に従う。
【0093】
本方法は、第1の工程として、永久成形組成物を提供することを含む。
【0094】
永久成形組成物を塗布する前または後のいずれかに、毛髪は、好ましくは以下のように、機械的張力下で所望の形状にされる:最初に毛髪(洗浄およびタオルドライされた)を複数の部分に分離し、次いで、これらの部分をカーラに巻く。永久的なウェーブに使用されるカーラは、約5~13mmの直径を有する。カーラは、カーラおよび毛髪を加熱するためのデジタルパーマ機に接続されてもよい。毛髪がカーラに巻かれた後、カーラを、永久成形組成物を使用して完全に湿潤させる。代替として、毛髪を、ローラにカールされる前に永久成形組成物を使用して完全に湿潤させてもよいが、毛髪をカーラに巻く手順は同じである。
【0095】
永久成形組成物を塗布した後、毛髪を水分バリアで覆ってもよい。
【0096】
次いで、永久成形組成物を、毛髪の永久成形に十分な所定の作用時間にわたって毛髪に作用させる。永久成形組成物が毛髪上に留まる時間量は、約2~45分、好ましくは約5~約30分、好ましくは約5~約20分である。この時間は、放熱器またはフードドライヤーを使用して熱を加えることによって短縮することができる。この時間は、毛髪の質、pH値、所望の変化レベル、ならびに塗布温度に依存する。
【0097】
例えば、所定の作用時間の間、毛髪を、好ましくは50~150℃、より好ましくは60~140℃、さらに好ましくは90~120℃に加熱してもよい。加熱工程は、別個の加熱装置、例えば加熱フードを使用して、またはカーラ自体を使用して、それらをデジタルパーマ機に接続することによって行うことができる。
【0098】
作用時間の後、毛髪から張力を解放し、存在する場合、水分バリアを除去する。
【0099】
次いで、毛髪を水ですすぐ。
【0100】
さらなる工程として、本方法は、毛髪の酸化的後処理を実行するための酸化剤を含む固定組成物を塗布することを含む。毛髪の厚さおよび長さに応じて、固定組成物の量、塗布時間および塗布温度は変動し得る。好ましい塗布時間は、約1~約40分、例えば約2~約20分、より好ましくは約3~約10分の範囲である。好ましい塗布温度は、約25~約40℃の範囲である。
【0101】
酸化的後処理の後、毛髪を水ですすぐ。酸化的後処理の後、好ましくは毛髪を水ですすぐ前に、いつでも毛髪からカーラを除去することができる。
【0102】
上記の方法は、毛髪を永久的にウェーブさせることを対象としているが、この方法は、一般に、毛髪をストレート矯正するためにも適用することができる。一般に、本発明の方法を使用して、永久的にウェーブさせた、または自然にカールした毛髪をストレート矯正することができる。毛髪をストレート矯正するために、組成物を乾いた毛髪に塗布し、次いで、十分な結合破壊が生じうるように、最大約20分間、櫛を通すか、または物理的に平滑化するか、他の場合には張力をかけ、続いて中和する。
【0103】
使用
本発明はまた、毛髪の永久変形のための上記組成物の使用に関する。
【実施例】
【0104】
永久成形/ストレート矯正組成物の調製
ゲルネットワークの形成は、界面活性剤を含む水中の脂肪アルコールの分散体を80℃を超える温度に加熱することを含む。混合プロセス中、脂肪アルコールが融解し、界面活性剤が脂肪アルコール液滴に分配される。界面活性剤は、それと共に水を脂肪アルコールに入れる。これにより、等方性脂肪アルコール液滴が液晶相液滴に変化する。混合物が鎖融解温度未満に冷却されると、液晶相は固体結晶性ゲルネットワークに変換される。ゲルネットワークは、メルカプト官能基を含む化合物の臭気の低減またはさらには除去に特に寄与し得る。次いで、得られた混合物に他の材料を添加する。
【0105】
【0106】
永久成形方法
永久成形方法は、以下のように実施される:
(a)毛髪をシャンプーで洗浄し、次いで毛髪をタワードライする、
(b)毛髪を所望の形状にする前に、永久成形組成物を毛髪に塗布する、
(c)永久成形組成物を所定の作用時間にわたって毛髪に作用させる、
(d)毛髪を水ですすぐ、
(e)毛髪が90%乾燥するまでブロードライする、
(f)毛髪を複数の部分に分離し、次いでこれらの部分をカーラに巻く、
(g)カーラを、カーラおよび毛髪を加熱するためのデジタルパーマ機に接続する、
(h)毛髪の酸化的後処理を実行するための酸化剤を含む固定組成物を毛髪に塗布する、および
(i)カーラを除去し、毛髪を水ですすぐ。
【0107】
【0108】
【0109】
永久ストレート矯正方法
(a)毛髪をシャンプーで任意選択的に洗浄し、次いで毛髪をタワードライする、
(b)永久成形組成物を毛髪に塗布する、
(c)永久成形組成物を所定の作用時間にわたって毛髪に作用させる、
(d)毛髪を水ですすぐ、
(e)毛髪をブロードライする、
(f)毛髪を複数の部分に分離し、次いでストレートアイロンでストレート矯正する、
(g)毛髪の酸化的後処理を実行するための酸化剤を含む固定組成物を毛髪に塗布する、および
(h)毛髪を水ですすぐ。
【0110】
結果
永久成形を、1(不良)~5(優良)の評価尺度を使用して、3人のヘアスタイリストによって評価する。以下の評価は、得られたスコアの平均値である。
【0111】
実施例C4および実施例C5は、脂肪アルコール/非イオン性界面活性剤比が10:0.9の組成物を記載する。脂肪アルコール/非イオン性界面活性剤のこの比およびこれより高いすべての比は、相分離の早期兆候が組成物製造後数時間/日で明らかになるので、良好なゲルネットワークを提供しない。
【0112】
本明細書に記載されたものに加えて、本発明およびそのさらなる実施形態の変形および修正は、本明細書の全内容から当業者には明らかになるであろう。本明細書の主題は、その様々な実施形態およびその均等物において本発明の実施に適合させることができる情報、例示およびガイダンスを含む。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような変形、修正、実施形態および均等物を包含することが意図されている。