(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】無線補助機器
(51)【国際特許分類】
H04B 7/155 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H04B7/155
(21)【出願番号】P 2023527818
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 CN2021129298
(87)【国際公開番号】W WO2022100545
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】202011248809.8
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、クン
(72)【発明者】
【氏名】チアン、タチエ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、シュイション
(72)【発明者】
【氏名】ツイ、シエン
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0149957(US,A1)
【文献】特開2007-143044(JP,A)
【文献】特開2011-211515(JP,A)
【文献】特開2010-118845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/14-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線補助機器であって、信号制御モジュールとフィルタリングモジュールを含
み、
前記信号制御モジュールの電磁特性は調節可能であり、前記信号制御モジュールの電磁特性を調節することにより作動周波数バンドの信号の電磁応答特性を制御し、
前記フィルタリングモジュールは、前記無線補助機器の非作動周波数バンドの信号に対する電磁応答特性が前記信号制御モジュールによって制御されないようにするためのものであり、
前記フィルタリングモジュールの一端は、前記信号制御モジュールに接続され、前記フィルタリングモジュールの他端は、グランドに接続され、又は電源モジュールに接続され、
前記作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュールは、遮断特性を満たし、前記非作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュールは、通過特性を満たし、
前記作動周波数バンドの信号と前記非作動周波数バンドの信号は基地局又は端末によって発射される無線信号である、無線補助機器。
【請求項2】
前記無線補助機器が制御する、
前記作動周波数バンドの信号の電磁応答特性は、位相と、振幅と、偏波方向とのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の無線補助機器。
【請求項3】
前記非作動周波数バンドの信号が前記無線補助機器によって転送された後の信号強度は、転送される前の信号強度よりも小さく、又は
前記非作動周波数バンドの信号が前記信号制御モジュールの異なる電磁特性に対応する前記無線補助機器によって転送された後の信号電磁特性は、変化しない、請求項1に記載の無線補助機器。
【請求項4】
前記作動周波数バンドと前記非作動周波数バンドとの間には周波数バンド遷移区間が存在し、前記周波数バンド遷移区間の帯域幅は、予め設定される帯域幅閾値よりも小さい、請求項1に記載の無線補助機器。
【請求項5】
前記無線補助機器は、誘電体層と底板をさらに含み、
前記誘電体層の第一の側は、前記底板と貼り合わせられ、前記信号制御モジュールは、前記誘電体層の第二の側と貼り合わせられ、
前記信号制御モジュールは複数であり、複数の前記信号制御モジュールは、前記誘電体層にアレイ状に設置される、
請求項1に記載の無線補助機器。
【請求項6】
前記信号制御モジュールは、スイッチデバイスを含み、前記スイッチデバイスは、オン状態とオフ状態の二つの作動状態を有し、前記スイッチデバイスは、前記信号制御モジュールの電磁特性を調節するためのものであり、前記スイッチデバイスは、前記フィルタリングモジュールに並列接続され、前記フィルタリングモジュールは、バンドエリミネーションフィルタリング特性を有し、
前記作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュールは、遮断特性を満たし、前記遮断特性は、前記フィルタリングモジュールの前記作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータが第一の閾値よりも小さいことを含み、
前記非作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュールは、通過特性を満たし、前記通過特性は、前記フィルタリングモジュールの前記非作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータが第二の閾値よりも大きいことを含み、
前記第二の閾値は、前記第一の閾値よりも大きい、
請求項1に記載の無線補助機器。
【請求項7】
前記フィルタリングモジュールは、スイッチデバイスを含み、前記スイッチデバイスは、オン状態とオフ状態の二つの作動状態を有し、前記スイッチデバイスは、前記信号制御モジュールの電磁特性を調節するためのものであり、
前記作動周波数バンドでは、前記スイッチデバイスは、第一の特性を満たし、前記第一の特性は、異なる制御信号が前記スイッチデバイスにロードされる時、前記スイッチデバイスの前記作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータの差が第五の閾値よりも大きいことを含み、
前記非作動周波数バンドでは、前記スイッチデバイスは、第二の特性を満たし、前記第二の特性は、異なる制御信号が前記スイッチデバイスにロードされる時、前記スイッチデバイスの前記非作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータの差が第六の閾値よりも小さいことを含み、
前記異なる制御信号は、それぞれ前記スイッチデバイスの二つの作動状態を制御するためのものであり、前記第五の閾値は、前記第六の閾値よりも大きい、
請求項1に記載の無線補助機器。
【請求項8】
前記フィルタリングモジュールは、前記信号制御モジュールの表面に覆われる、請求項1に記載の無線補助機器。
【請求項9】
前記非作動周波数バンドの信号が前記フィルタリングモジュールによって吸収
され、
前記作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュールのパラメータs12とパラメータs21は、第七の閾値よりも大きく、パラメータs11とパラメータs22は、第八の閾値よりも小さく、
前記非作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュールのパラメータs11、パラメータs12、パラメータs21とパラメータs22は、いずれも第九の閾値よりも小さく、
前記第七の閾値は、前記第八の閾値及び前記第九の閾値よりも大きく、前記フィルタリングモジュールの前記信号制御モジュールと反対する側の表面はポート1であり、前記フィルタリングモジュールの前記信号制御モジュールに向く表面はポート2である、請求項
8に記載の無線補助機器。
【請求項10】
前記非作動周波数バンドの信号が前記フィルタリングモジュールによって反射さ
れ、
前記作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュールのパラメータs12とパラメータs21は、第十の閾値よりも大きく、パラメータs11とパラメータs22は、第十一の閾値よりも小さく、
前記非作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュールのパラメータs12とパラメータs21は、第十二の閾値よりも小さく、パラメータs11とパラメータs22は、第十三の閾値よりも大きく、
前記第十の閾値は、前記第十一の閾値よりも大きく、前記第十三の閾値は、前記第十二の閾値よりも大きく、前記フィルタリングモジュールの前記信号制御モジュールと反対する側の表面はポート1であり、前記フィルタリングモジュールの前記信号制御モジュールに向く表面はポート2である、請求項
8に記載の無線補助機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、通信技術分野に属し、具体的には無線補助機器に関する。
【背景技術】
【0002】
セルカバレッジ範囲内の遮蔽物は、一般的にはカバレッジホールをもたらし、カバレッジホール領域内の無線信号の強度が比較的弱いため、通信品質が影響され、このような現象は、高周波数バンド/ミリ波バンドによくみられる。
【0003】
通信品質を向上させるために、関連技術には一般的にいくつかの無線補助機器(例えば、インテリジェントサーフェス)が導入されており、これらの無線補助機器は、基地局/端末の信号を転送/反射することによりカバレッジホール領域に通信サービスを提供する。合理的な配備により、上記無線補助機器は、良好的な信号カバレッジを保証できる。
図1に示すように、
図1における無線補助機器は、基地局の信号を反射することによりカバレッジホール領域のユーザに通信サービスを提供する。
【0004】
しかしながら、関連技術における無線補助機器は、作動周波数バンドの信号に対する正確な制御を実現すると同時に、非作動周波数バンドの信号に影響を与える可能性があり、無線補助機器のこの特性は、隣接周波数バンドの他の通信システムの作動性能に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例は、無線補助機器が非作動周波数バンドの信号に影響を与えるという関連技術における問題を解決できる無線補助機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
無線補助機器であって、信号制御モジュールとフィルタリングモジュールを含み、ここで、前記信号制御モジュールの電磁特性は調節可能であり、前記信号制御モジュールの電磁特性を調節することにより作動周波数バンドの信号の電磁応答特性を制御し、前記フィルタリングモジュールは、前記無線補助機器の非作動周波数バンドの信号に対する電磁応答特性が前記信号制御モジュールによって制御されないようにするためのものであり、前記作動周波数バンドの信号と前記非作動周波数バンドの信号は基地局又は端末によって発射される無線信号である。
【発明の効果】
【0007】
本出願の実施例による無線補助機器は、信号制御モジュールとフィルタリングモジュールを含み、信号制御モジュールの電磁特性を調節することにより作動周波数バンドの信号の電磁応答特性を制御することができ、同時に、上記フィルタリングモジュールは、無線補助機器の非作動周波数バンドの信号に対する電磁応答特性が信号制御モジュールによって制御されないようにし、これにより、この無線補助機器は、非作動周波数バンドの信号に影響を与えず、隣接周波数の通信システムに対する通信干渉を減少させるのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本出願の一つの実施例による無線補助機器の部分構造概略図である。
【
図4】本出願の一つの実施例におけるスイッチデバイスがバンドパスフィルタに並列接続される構造概略図である。
【
図5】本出願の一つの実施例におけるスイッチデバイスがバンドエリミネーションフィルタに直列接続される構造概略図である。
【
図6】本出願の別の実施例による無線補助機器の部分構造概略図である。
【
図7】本出願のさらなる実施例による無線補助機器の部分構造概略図である。
【
図8】本出願の一つの実施例によるスイッチデバイスの伝送パラメータの概略図である。
【
図9】本出願のさらなる実施例による無線補助機器の部分構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願の追加的な態様及び利点は、以下の記述において部分的に与えられ、一部は、以下の記述から明らかになり、又は本出願の実践によって分かる。
【0010】
本出願の上述した及び/又は追加的な態様及び利点は、以下の図面を結び付けた実施例の記述から明らかになり、且つ容易に理解される。
【0011】
以下は、本出願の実施例を詳細に記述するが、前記実施例の例は、図面において示されており、ここで、同様又は類似の番号は、常に同様又は類似の素子又は同様又は類似の機能を有する素子を表す。図面を参照して記述される以下の実施例は例示的なものであり、本出願を解釈するためのものだけであり、本出願を制限するものとして理解してはいけない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0012】
本出願の明細書及び特許請求の範囲における用語である「第一」、「第二」の特徴は、一つ又は複数のこの特徴を明示的又は非明示的に含んでもよい。本出願の記述では、特に説明されていない限り、「複数」の意味は、二つ又は二つ以上である。なお、明細書及び特許請求の範囲における「及び/又は」は、接続される対象のうちの少なくとも一つを表し、文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」という関係であることを表す。
【0013】
本出願の記述において、理解すべきこととして、用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などにより指示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本出願の記述の便宜上及び記述の簡略化のためのものに過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願に対する制限と理解されるべきではない。
【0014】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0015】
本出願の実施例は、無線補助機器を提供し、基地局又は端末からの作動周波数バンドの信号を受信するとともに、作動周波数バンドの信号を通信システムに必要なパラメータに従って転送し、基地局がカバレッジホール領域の端末にサービスを提供することを補助すると同時に、周波数選択性モジュール(フィルタリングモジュール)を導入することにより、無線補助機器が非作動周波数バンドの信号に影響を与えるという関連技術における問題を解決できる。前記無線補助機器は、物理層と上位層プロトコルスタックの機能を有さず、従来の無線周波数信号処理機能を有さない可能性もあるため、従来の複雑な信号処理機能を実現できない。
【0016】
本出願の各実施例による無線補助機器の特徴は、無線信号を自律的に生成しないことであり、この無線補助機器は、基地局又は端末からの無線信号を受信してから、事前に配置される電磁応答パラメータに応じて、受信された無線信号を転送することができる。前記無線補助機器の実現方式は、メタマテリアルに基づく反射型再構成可能インテリジェントサーフェスと透過型再構成可能インテリジェントサーフェス、マルチアンテナを備えたリピーターなどであってもよい。
【0017】
図2と
図3に示すように、本出願の一つの実施例は、無線補助機器を提供し、主に信号制御モジュール10、フィルタリングモジュール(番号付けされず又は表示されず)、誘電体層20及び底板30を含む。
【0018】
この実施例では、誘電体層20の第一の側(
図3における下側)は、底板30に貼り合わせて接続され、信号制御モジュール10は、誘電体層20の第二の側(
図3における上側)に貼り合わせて接続される。底板30は、一般的には連続的な金属面であり、反射型無線補助機器に対して、この底板30は、良好的な信号反射効率を保証するためのものであり、誘電体層20は、底板30上に位置し、一般的には絶縁特性を保証するものである。実際には、誘電体層20と底板30との両者は、一体構造として設計されてもよい。ここで、誘電体層20と底板30は、選択的な構造であり、前記無線補助機器の具体的な実現原理に応じて省略又は変形される可能性がある。
【0019】
上記信号制御モジュール10は、一般的には複数(
図2に示す4つ)であり、複数の前記信号制御モジュール10は、前記誘電体層20の表面にアレイ状に設置される。
【0020】
具体的には
図2と
図3に示すように、
図2における4つの信号制御モジュール10は一組となり、この4つの信号制御モジュール10は、誘電体層20の表面に(行列)アレイ状に設置される。実際の応用において、無線補助機器の面積などの要求に応じて、複数組の信号制御モジュール10を前記誘電体層20の表面に(行列)アレイ状に設置してもよい。上記統一された構造設計により、統一した加工方式を保証し、製造の複雑さを低下させ、コストを節約する。理解すべきこととして、図により与えられる信号制御モジュール10は、このモジュールを実現する一つの特別な例であり、制御原理とターゲットによってパターンが異なってもよい。
【0021】
この実施例では、信号制御モジュール10の電磁特性は調節可能であり、信号制御モジュール10の電磁特性を調節することにより、作動周波数バンドの信号の電磁応答特性を制御することができ、例えば、作動周波数バンドの信号の位相と、振幅と、偏波方向とのうちの少なくとも一つを制御する。即ち、この実施例による無線補助機器が制御する作動周波数バンドの信号の電磁応答特性は、位相と、振幅と、偏波方向とのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0022】
本明細書の各実施例で言及された作動周波数バンドの信号と非作動周波数バンドの信号は、基地局又は端末によって発射される無線信号であってもよい。
【0023】
この実施例におけるフィルタリングモジュールは、無線補助機器の非作動周波数バンドの信号に対する電磁応答特性が前記信号制御モジュール10によって制御されないようにするためのものである。例えば、非作動周波数バンドの信号が前記無線補助機器によって転送された後の信号強度は、転送される前の信号強度よりも小さく、即ち、非作動周波数バンドの信号が前記無線補助機器によって転送された後の減衰は、予め設定される減衰閾値よりも大きく、又は前記非作動周波数バンドの信号が前記信号制御モジュール10の異なる電磁特性に対応する無線補助機器によって転送された後の信号電磁特性はほぼ変化せず、即ち、非作動周波数バンドの転送された後の信号の電磁特性の差は、差閾値よりも小さい。ここで言及された異なる電磁特性に対応する無線補助機器について、例えば、
図2に示す4つのスイッチデバイス101がいずれもオフされた場合は第一の電磁特性であり、4つのスイッチデバイス101がいずれもオンされた場合は第二の電磁特性であり、第一の電磁特性は、第二の電磁特性と異なる。理解すべきこととして、ここで二つの状態のスイッチデバイスのみを記述したが、実際の機器において、スイッチデバイスには二つよりも多い状態が存在してもよい。この実施例におけるフィルタリングモジュールは、無線補助機器の非作動周波数バンドの信号に対する電磁応答特性が前記信号制御モジュール10によって制御されないようにするためのものであり、それにより、非作動周波数バンドで作動する他の通信システムのチャネル情報は、前記無線補助機器からの影響を受けず、前記他の通信システムの通信性能に対して影響しない。
【0024】
選択的に、上記作動周波数バンドと前記非作動周波数バンドとの間には周波数バンド遷移区間が存在し、前記周波数バンド遷移区間の帯域幅は、予め設定される帯域幅閾値よりも小さく、例えば作動帯域幅の20%を超えないものである。
【0025】
本明細書の各実施例で言及された非作動周波数バンドは、作動周波数バンドの隣接周波数バンドであってもよく、例えば、作動周波数バンドは5~6GHzであり、非作動周波数バンドは4~5GHzである。
【0026】
一つの実施例では、フィルタリングモジュールは、
図2と
図3に示すスイッチデバイス101であってもよく、このスイッチデバイス101は、PINダイオード、無線周波数スイッチなどであってもよく、特定の周波数応答特性を有し、この周波数応答特性については、具体的には後の実施例で詳細に紹介する。
【0027】
別の実施例では、このフィルタリングモジュールは、
図4に示すバンドパスフィルタ102であってもよく、このバンドパスフィルタ102は、スイッチデバイス101に直列接続され、バンドパスフィルタ102のスイッチデバイス101に直列接続された後の両端は、二つの信号制御モジュール10にそれぞれ接続され、具体的には、
図2におけるスイッチデバイス101の位置を参照すればよい。又は、このフィルタリングモジュールは、
図5に示すバンドエリミネーションフィルタ102であってもよく、このバンドエリミネーションフィルタ102は、スイッチデバイス101に並列接続され、バンドエリミネーションフィルタ102がスイッチデバイス101に並列接続された後に構成された構造の両端は、二つの信号制御モジュール10にそれぞれ接続され、具体的には、
図2におけるスイッチデバイス101の位置を参照すればよい。理解すべきこととして、バンドパスフィルタ102は、実際に実現する時に複数の物理デバイスで構成されたフィルタであってもよく、複数のフィルタをカスケード接続/並列接続して得られたフィルタモジュールであってもよく、複数のパスバンドを有するフィルタモジュールであってもよい。
【0028】
さらなる実施例では、
図6に示すように、フィルタリングモジュール102は、前記信号制御モジュール10の外面に覆われ、非作動周波数バンドの信号は、フィルタリングモジュール102によって反射(
図6の破線の矢印で示すように)又は吸収され、作動周波数バンドの信号は、フィルタリングモジュール102を通過して信号制御モジュール10上に放射されてもよい(
図6の実線の矢印で示すように)。選択的に、このフィルタリングモジュール102は周波数選択性表面(Frequency Selected Surface、FSS)であってもよい。理解すべきこととして、フィルタリングモジュール102は、実際に実現する時に複数のフィルタリング層を重ね合わせて構成されたフィルタリングモジュールであってもよく、各フィルタリング層のフィルタリング特性は、同じであってもよく、又は異なってもよい。
図6に示すプリント回路基板(Printed Circuit Board、PCB)は、他の実施例における誘電体層20と底板30の組み合わせに対応する。
【0029】
さらなる実施例では、
図7に示すように、フィルタリングモジュール102の一端は、信号制御モジュール10に接続され、フィルタリングモジュール102の他端は、グランドに接続される。他の実施例では、フィルタリングモジュール102の一端は、信号制御モジュール10に接続され、フィルタリングモジュール102の他端は、無線補助機器の電源モジュール(図示せず)に接続される。この実施例では、各信号制御モジュール10は、いずれも一つのフィルタリングモジュール102に接続されてもよく、作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュール102は、遮断特性を満たし、非作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュール102は、通過特性を満たす。選択的に、この実施例におけるフィルタリングモジュール102は、表面音響波(Surface Acoustic Wave、SAW)フィルタ、BAWフィルタなどであってもよい。
【0030】
本出願の実施例による無線補助機器は、信号制御モジュールとフィルタリングモジュールを含み、信号制御モジュールの電磁特性を調節することにより作動周波数バンドの信号の電磁応答特性を制御することができ、同時に、上記フィルタリングモジュールは、無線補助機器の非作動周波数バンドの信号に対する電磁応答特性が信号制御モジュールによって制御されないようにし、これにより、この無線補助機器は、非作動周波数バンドの信号に影響を与えず、隣接周波数の通信システムに対する通信干渉を減少させるのに役立つ。
【0031】
本出願の実施例による無線補助機器を詳細に説明するために、以下は、いくつかの具体的な実施例を結び付けて紹介する。
【0032】
実施例1
この実施例では、信号制御モジュール10の制御素子/モジュール(例えばスイッチデバイス101)は、特定の周波数選択特性を有することにより、隣接周波数のシステムに影響を与えないというターゲットを達成する。
【0033】
ここで言及された特定の周波数選択特性は、異なる制御信号が制御素子/モジュールにロードされる時、制御素子/モジュールの作動周波数バンドでの周波数応答特性(振幅周波数、位相周波数応答特性)の差が必要な第一の指定閾値よりも大きく、隣接周波数での周波数応答特性の差が必要な第二の指定閾値よりも小さく、第一の指定閾値と第二の指定閾値が一般的には異なることであってもよい。
【0034】
ここで言及された異なる制御信号は、例えば、
図2におけるスイッチデバイス101をオンにするように制御する制御信号と、スイッチデバイス101をオフにするように制御する制御信号とを含む。無論、他の実施例では、制御信号の種類はより多くなってもよい。
【0035】
上記制御素子/モジュールの実現方式は、制御可能なデバイス(スイッチモジュール、状態が変更可能なデバイス、例えば電圧制御バリキャップ)をフィルタに並列接続又は直列接続すること、又は上記要求を満たす制御可能なデバイスをカスタマイズすること、又は複数のアナログデバイスを用いて上記特性を有するモジュールを構成することであってもよい。
【0036】
図2を参照すると、この実施例で言及された無線補助機器は、少なくとも、信号受信/放射ユニットとも呼ばれる信号制御モジュール10と、上記の制御可能なデバイス及び対応する制御回路モジュールを含むが、追加的なフィルタリングデバイスも含む可能性があるスイッチデバイス101と、
図2に示す実施例における誘電体層20と底板30の組み合わせに対応する底層基板とを含む。
【0037】
以下は、三つの実施の形態に分けて実施例1を紹介する。
【0038】
実施の形態1
【0039】
図2と
図5を結び付けると、この実施例では、
図2におけるスイッチデバイス101を
図5に示すスイッチデバイス101とフィルタリングモジュール102(即ち、バンドエリミネーションフィルタ)の並列接続構造に置き換えてもよい。この実施例では、スイッチデバイス101とフィルタリングモジュール102の並列接続構造の全体的な電磁/回路特性は、期待される周波数選択特性を満たす。
【0040】
この実施例における信号制御モジュール10は、スイッチデバイス101を含み、前記スイッチデバイス101は、オン状態とオフ状態の二つの作動状態を有し、前記スイッチデバイス101は、前記信号制御モジュール10の電磁特性を調節するためのものであり、前記スイッチデバイス101は、前記フィルタリングモジュール102に並列接続され、前記フィルタリングモジュール102は、バンドエリミネーションフィルタリング特性を有し、又は、スイッチデバイス101がフィルタリングモジュール102に並列接続された後の全体は、後の実施の形態3で紹介された第一の特性及び第二の特性を満たす。
【0041】
一つの例では、作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュール102は、遮断特性を満たし、前記遮断特性は、前記フィルタリングモジュール102の前記作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータ(例えばパラメータS21)が第一の閾値よりも小さく、第一の閾値が0に近い数値であってもよいことを含み、非作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュール102は、通過特性を満たし、前記通過特性は、前記フィルタリングモジュール102の前記非作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータ(例えばパラメータS21)が第二の閾値よりも大きく、第二の閾値が1に近い数値であってもよいことを含み、前記第二の閾値は、前記第一の閾値よりも大きい。
【0042】
他の実施例では、前記フィルタリングモジュール102の伝送特性に対してスイッチデバイス101の周波数応答特性に従って補償設計を行うことにより、スイッチデバイス101とフィルタリングモジュール102が並列接続された後の周波数応答特性は、遮断/通過のデバイス設計要求を満たす。具体的には
図8に示すように、
図8における横座標は周波数を表し、単位がGHzであってもよく、縦座標はパラメータ(又はレベル)S21であり、ここで、
図8における上側の曲線は、スイッチデバイスがオンされた時の伝送パラメータ曲線であり、
図8における下側の曲線は、スイッチデバイスがオフされた時の伝送パラメータ曲線であり、
図8に示す例における作動周波数バンドは5.8GHzぐらいであってもよく、
図8における下側の曲線の5.5GHzよりも小さい部分を補償することにより、補償された部分の曲線はできるだけ、スイッチデバイスがオンされた時の伝送パラメータ曲線と重なる。
【0043】
選択的に、上記作動周波数バンドと前記非作動周波数バンドとの間には周波数バンド遷移区間が存在し、周波数バンド遷移区間では、前記フィルタリングモジュール102は、上記遮断特性と通過特性との間に介在する。前記周波数バンド遷移区間の帯域幅は、予め設定される帯域幅閾値よりも小さく、例えば作動帯域幅の20%を超えないものである。
【0044】
実施の形態2
【0045】
図2と
図4を結び付けると、この実施例では、
図2におけるスイッチデバイス101を、
図4に示すスイッチデバイス101とフィルタリングモジュール102(即ち、バンドパスフィルタ)の直列接続構造に置き換えてもよい。この実施例では、スイッチデバイス101とフィルタリングモジュール102の直列接続構造の全体的な電磁/回路特性は、期待される周波数選択特性を満たす。
【0046】
この実施例における信号制御モジュール10は、スイッチデバイス101を含み、前記スイッチデバイス101は、オン状態とオフ状態の二つの作動状態を有し、前記スイッチデバイス101は、前記信号制御モジュール10の電磁特性を調節するためのものであり、前記スイッチデバイス101は、前記フィルタリングモジュール102に直列接続され、前記フィルタリングモジュール102は、バンドパスフィルタリング特性を有し、又は、スイッチデバイス101がフィルタリングモジュール102に直列接続された後の全体は、後の実施の形態3で紹介された第一の特性及び第二の特性を満たす。
【0047】
一つの例では、作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュール102は、通過特性を満たし、前記通過特性は、前記フィルタリングモジュール102の前記作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータ(例えばパラメータS21)が第三の閾値よりも大きく、第三の閾値が1に近い数値であってもよいことを含み、非作動周波数バンドでは、前記フィルタリングモジュール102は、遮断特性を満たし、前記遮断特性は、前記フィルタリングモジュール102の前記非作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータ(例えばパラメータS21)が第四の閾値よりも小さく、第四の閾値が0に近い数値であってもよいことを含み、前記第三の閾値は、前記第四の閾値よりも大きい。
【0048】
他の実施例では、前記フィルタリングモジュール102の伝送特性に対してスイッチデバイス101の周波数応答特性に従って補償設計を行うことにより、スイッチデバイス101とフィルタリングモジュール102が並列接続された後の周波数応答特性は、遮断/通過のデバイス設計要求を満たし、具体的には実施の形態1における紹介を参照すればよい。
【0049】
選択的に、上記作動周波数バンドと前記非作動周波数バンドとの間には周波数バンド遷移区間が存在し、周波数バンド遷移区間では、前記フィルタリングモジュール102は、上記遮断特性と通過特性との間に介在する。前記周波数バンド遷移区間の帯域幅は、予め設定される帯域幅閾値よりも小さく、例えば作動帯域幅の20%を超えないものである。
【0050】
実施の形態3
【0051】
この実施例は、
図2を参照すればよく、この実施例におけるフィルタリングモジュールはスイッチデバイス101であり、特定の指標のスイッチデバイス101をカスタマイズすることにより、前記スイッチデバイス101は、PINダイオード、無線周波数スイッチなどであってもよく、特定の周波数応答特性を有する。選択的に、前記スイッチデバイス101は、オン状態とオフ状態の二つの作動状態を有し、前記スイッチデバイス101は、前記信号制御モジュールの電磁特性を調節するためのものである。
【0052】
この実施例において、作動周波数バンドでは、前記スイッチデバイス101は、第一の特性を満たし、前記第一の特性は、異なる制御信号が前記スイッチデバイス101にロードされる時、前記スイッチデバイス101の前記作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータ(例えばパラメータS21)の差が第五の閾値よりも大きいことを含み、非作動周波数バンドでは、前記スイッチデバイス101は、第二の特性を満たし、前記第二の特性は、異なる制御信号が前記スイッチデバイス101にロードされる時、前記スイッチデバイス101の前記非作動周波数バンドの信号に対する伝送パラメータ(例えばパラメータS21)の差が第六の閾値よりも小さいことを含み、前記異なる制御信号は、それぞれ前記スイッチデバイスの二つの作動状態を制御するためのものであり、前記第五の閾値は、前記第六の閾値よりも大きい。
【0053】
ここで言及された異なる制御信号は、例えば、
図2におけるスイッチデバイス101をオンにするように制御する制御信号と、スイッチデバイス101をオフにするように制御する制御信号とを含む。無論、他の実施例では、制御信号の種類はより多くなってもよい。
【0054】
選択的に、上記作動周波数バンドと前記非作動周波数バンドとの間には周波数バンド遷移区間が存在し、周波数バンド遷移区間では、前記フィルタリングモジュール102は、上記遮断特性と通過特性との間に介在する。前記周波数バンド遷移区間の帯域幅は、予め設定される帯域幅閾値よりも小さく、例えば作動帯域幅の20%を超えないものである。
【0055】
実施例2
図6に示すように、この実施例では、無線補助機器に一層の周波数選択性表面(Frequency Selected Surface、FSS)が覆われ、作動周波数バンド外の信号は、FSSによってシールド又は吸収され、作動周波数バンドの信号のみは、FSSを通過して信号制御モジュール10上に放射されてもよい。
【0056】
FSSは、数多くの規則的に分布したFSSユニットで構成される。選択的に、FSSユニットは、サイズが無線補助機器の信号制御モジュール10のサイズと同じであり、信号制御モジュール10の上に一対一に対応して重ね合わせられる。
【0057】
この実施例では、FSSデバイスを二つのポートを備えたデバイスに等価させてもよく、ここで外部空間に対面する平面がポート1であり、デバイスの下層の信号制御モジュール10に対面する面がポート2であると仮定する。
図6を参照すると、前記フィルタリングモジュール102の前記信号制御モジュール10と反対する側の表面はポート1であり、前記フィルタリングモジュール102の前記信号制御モジュール10に向く表面はポート2である。上記仮定に基づき、パラメータs11、s12、s21、s22を伝送することによりFSSデバイスの特徴を決定することができる。
【0058】
実施の形態1
【0059】
作動周波数バンド外の信号は、FSSモジュールによって吸収され、作動周波数バンドの信号は、非常に低い損失でFSSを通過して信号制御モジュール10上に放射されてもよい。伝送パラメータから見ると、作動周波数バンドに対して、FSSモジュールのs12とs21は、第七の閾値よりも大きく、1に近いものであるべきであり、作動周波数バンドの損失が十分に小さいことを表し、s11とs22は、第八の閾値よりも小さく、0に近いものであるべきであり、作動周波数バンド外の周波数に対して、FSSモジュールのs11、s12、s21、s22は、いずれも第九の閾値よりも小さく、0に近いものであるべきであり、信号がFSSによって吸収されることを表す。
【0060】
実施の形態2
【0061】
作動周波数バンド外の信号は、FSSモジュールによって反射され、作動周波数バンドの信号は、非常に低い損失でFSSを通過してインテリジェントサーフェス上に放射されてもよい。伝送パラメータから見ると、作動周波数バンドに対して、FSSモジュールのs12とs21は、第十の閾値よりも大きく、1に近いものであるべきであり、作動周波数バンドの損失が十分に小さいことを表し、s11とs22は、第十一の閾値よりも小さく、0に近いものであるべきであり、非作動周波数バンドでは、FSSモジュールのs21、s12は、第十二の閾値よりも小さく、0に近いものであるべきであり、s11とs22は、第十三の閾値よりも大きく、信号がFSSによって直接反射されることを表す。
【0062】
透過型無線補助機器に対して、FSSモジュールの集積方式はより多様であり、例えば、入射前にFSSを取り付け、又は出射前にFSSを取り付け、又は両者を両立させる。
【0063】
実施例3
図7に示すように、この実施例では、無線補助機器の電源/接地モジュール上にフィルタリングモジュール102を増設することにより、作動周波数バンド外の信号の放射は、有効な電磁応答を形成できず、フィルタリングモジュール102は、バンドエリミネーションフィルタであってもよい。
【0064】
この実施例では、フィルタリングモジュール102の一端は、前記信号制御モジュール10に接続され、前記フィルタリングモジュール102の他端は、グランドに接続され、又は電源モジュールに接続される。選択的に、各信号制御モジュール10は、単独で接地され、又は電源モジュールに接続され、それにより、ユニット間の結合を回避し、フィルタリングモジュール102のフィルタリング効率を向上させることができる。
【0065】
特定の周波数の信号が信号制御モジュール10に放射された時、電磁信号は、信号制御モジュール10上に対応する周波数の電磁誘導信号を発生させる。各信号制御モジュール10上にはフィルタリングモジュール102デバイスと接地又は電源回路が増設される。このフィルタリングモジュール102は、バンド遮断特性を有し、作動周波数バンドでは優れたバンド遮断特性を有し、非作動周波数バンドではバンド通過特性を有することにより、作動周波数バンド外の誘導信号はほぼ接地され、それにより、有効な出射信号を形成することができない。
【0066】
本明細書の各実施例については、主に反射型無線補助機器を例にして説明するが、
図9は、透過型無線補助機器の構造示意図を示す。主に信号制御モジュール10、フィルタリングモジュール102及びプリント回路基板(Printed Circuit Board、PCB)を含み、このPCBは、他の実施例における誘電体層20と底板30の組み合わせに対応する。
【0067】
この実施例におけるフィルタリングモジュール102は、周波数選択性表面(Frequency Selected Surface、FSS)であってもよく、無線補助機器の二つの表面にはいずれも一層のFSSが覆われ、作動周波数バンド外の信号は、FSSによって部分的に反射され、又は部分的に吸収され、作動周波数バンドの信号は、FSSを通過して信号制御モジュール10上に放射され、且つ無線補助機器を経て外部へ透過してもよい。
【0068】
説明すべきこととして、本明細書の各実施例で言及された無線補助機器は、大型インテリジェントサーフェス(Large Intelligent Surfaces、LIS)であってもよく、このLISは、自体の電磁特性を動的/半静的に調整することができ、LISの信号制御モジュールの電磁特性を調節することにより、作動周波数バンドの信号の電磁応答特性を制御し、具体的に例えば、このLISは、作動周波数バンドの信号の反射波/屈折信号を制御し、ビームスキャニング/ビームフォーミングなどの機能を実現することができる。
【0069】
本明細書の各実施例で言及された無線補助機器の作動原理に対して、反射信号の位相を制御する無線補助機器を例にすると、
図2に示す一組の信号制御モジュールには4つの方形金属ユニット(即ち、信号制御モジュール)が含まれる。前記4つの方形金属ユニットが相互に切断された場合、(即ち、
図2に示す4つのスイッチデバイスがいずれもオフされた場合)、39GHz信号についての反射信号と入射信号の位相差は約-50度であり、4つの方形金属ユニットがいずれも導通された場合(即ち、
図2に示す4つのスイッチデバイスがいずれもオンされた場合)、39GHz信号についての反射信号と入射信号の位相差は約130度である。前記4つの方形金属ユニット間の切断と導通の状態は、無線補助機器の二つの作動状態に対応し、スイッチデバイス、例えばPINダイオードのオンオフ状態によって制御されてもよい。即ち、前記無線補助機器の信号制御モジュールの二つのPINダイオード状態(オン状態とオフ状態)に対応する位相周波数応答特性は異なり、39GHzの周波数バンドでは、二つのPINダイオード状態の位相周波数応答差は180度である。この位相周波数差を利用することにより、無線補助機器は、作動周波数バンド(例えば39GHz)の電磁信号への制御を実現することができ、例えば各信号制御モジュールの反射信号の状態を意図的に制御することにより、前記信号制御モジュールの反射信号は、ある方向又はある位置で信号の位相が同方向である場合に重ね合わせ、又は位相が反方向である場合に相互に相殺することを実現する。
【0070】
他のタイプの無線補助機器、例えば透過型無線補助機器、振幅制御型無線補助機器などに対して、信号制御の原則と信号制御モジュールの原理は、反射型無線補助機器とはわずかに異なり、いずれも制御可能なデバイス(例えばスイッチデバイス)によって信号制御モジュールの状態の切り替えを実現することができる。
【0071】
本明細書の記述において、「一つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な示例」、又は「いくつかの例」などの用語を参照した記述は、この実施例又は例を結び付けて記述した具体的な特徴、構造、材料又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。そして、記述された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか一つ又は複数の実施例又は例に適切な方式で組み合わせられてもよい。
【0072】
本出願の実施例を示しており、且つ記述したが、当業者であれば理解できるように、本出願の原理と趣旨から逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変化、修正、置換及び変形を行うことができ、本出願の範囲は、請求項及びその同等物によって限定される。
【0073】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2020年11月10日に中国で提出された、出願番号が202011248809.8であり、発明名称が「無線補助機器」である中国特許出願の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、本出願に参照として取り込まれる。