(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】マシンビジョンシステムにおける欠陥を検出する装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/01 20060101AFI20241205BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01N21/01 A
G01N21/17 A
(21)【出願番号】P 2023547186
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022014992
(87)【国際公開番号】W WO2022169910
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-11-20
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ラヤル・ラジュ・プラサド・ナラム・ヴェンカット
(72)【発明者】
【氏名】イャオ-ジェン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・エス・ポラック
(72)【発明者】
【氏名】アンカー・カプール
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-014768(JP,A)
【文献】特開2000-241345(JP,A)
【文献】特開2003-259358(JP,A)
【文献】特表2015-509202(JP,A)
【文献】国際公開第2020/061365(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00-G01N21/01
G01N21/17-G01N21/61
G01N21/84-G01N21/958
G01N35/00-G01N37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシンビジョンシステムにおける欠陥を識別する方法であって:
第1の視野を有する第1の撮像デバイスを提供することと;
第1の視野を通して反射ツールを動かすことと;
第1の撮像デバイスを用いて第1の視野における様々な位置で反射ツールの複数の画像を取り込むことと;
複数の画像のうちの少なくとも1つを解析してマシンビジョンシステムにおける1つまたはそれ以上の欠陥を識別することと
を含
み、
反射ツールを動かすことは、第1の視野を通して、反射面を有するチューブを動かすことを含み、
反射ツールは、均一の反射率を有し、反射面を有するチューブである、
前記方法。
【請求項2】
取り込む間に反射ツールを照明することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反射ツールを動かすことは、第1の視野を通してチューブを動かすことを含み、チューブにはラベルが取り付けられており、ラベルは均一の反射率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
反射ツールを動かすことは、第1の視野を通してチューブを動かすことを含み、チューブは反射性の対象領域を有し、
反射ツールの複数の画像を取り込むことは、対象領域の複数の画像を取り込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
対象領域は白い、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
反射ツールの複数の画像のうちの2つ以上を互いにつなぎ合わせて合成背景を生成することを含み、ここで、複数の画像のうちの少なくとも1つを解析することは、合成背景を
解析することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
解析することは、対象領域を解析することを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
複数の画像は画素値を含み、つなぎ合わせることは、複数の画像のうちの2つ以上を互いにつなぎ合わせて、画素値の90%が互いの10%以内にある光の強度を有する合成背景を生成することを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
解析することは複数の画像のうちの1つまたはそれ以上を解析して第1の撮像デバイスのレンズに粒子が存在するかどうかを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
解析することは、複数の画像のうちの1つまたはそれ以上を解析して第1の撮像デバイスの1つまたはそれ以上の画素に欠陥があるかどうかを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
取り込むことは、第1の視野における10以上の様々な位置で反射ツールの10以上の画像を取り込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の画像を取り込むことは、反射ツールの複数の重なった画像を取り込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
複数の画像は少なくとも75%互いに重なる、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
第2の視野を有する第2の撮像デバイスを提供することと;
第2の視野を通して反射ツールを動かすことと;
第2の視野における様々な位置で反射ツールの複数の第2の画像を取り込むことと;
複数の第2の画像のうちの少なくとも1つを解析してマシンビジョンシステムにおける1つまたはそれ以上の欠陥を識別することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
光学検査ステーションにおける欠陥を識別する方法であって:
視野を有する撮像デバイスを提供することと;
視野を通して検体容器を動かすように構成された輸送システムを提供することと;
視野を通して反射ツールを動かすことと;
撮像デバイスを用いて視野における様々な位置で反射ツールの複数の画像を取り込むことと;
複数の画像のうちの少なくとも1つを解析して光学検査ステーションにおける1つまたはそれ以上の欠陥を識別することと
を含
み、
反射ツールはチューブの形状を有し、
反射ツールは、均一の反射率を有し、反射面を有するチューブである、
前記方法。
【請求項16】
複数の画像を取り込むことは、互いに重なる反射ツールの複数の画像を取り込むことを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
反射ツールの複数の画像のうちの2つ以上を互いにつなぎ合わせて合成背景を生成することを含み、ここで、複数の画像のうちの少なくとも1つを解析することは、合成背景を解析することを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
マシンビジョンシステムであって:
視野を有し、視野における様々な位置で反射ツールの複数の画像を取り込むように構成された、撮像デバイスと;
視野を通して検体容器および反射ツールを動かすように構成された、輸送システムと;
複数の画像のうちの少なくとも1つを解析し、マシンビジョンシステムの光学チェーンに欠陥が存在するかどうかを判定するように構成された、コンピュータと
を含
み、
反射ツールを動かすことは、第1の視野を通して、反射面を有するチューブを動かすことを含み、
反射ツールは、均一の反射率を有し、反射面を有するチューブである、
前記マシンビジョンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年2月4日出願の「APPARATUS AND METHODS OF DETECTING DEFECTS IN MACHINE VISION SYSTEMS」という名称の米国特許仮出願第63/145,953号の利益を主張するものであり、その開示の全体をあらゆる目的で参照によって組み入れる。
【0002】
本開示の実施形態は、マシンビジョンシステムにおける欠陥を検出する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動試験システムは、マシンビジョンシステムを用いた臨床化学分析および/またはアッセイを実行することができる。マシンビジョンシステムは、検体および/または検体が含まれた検体容器を解析することができる。たとえば、マシンビジョンシステムは、検体容器および/またはそこに配置された検体の画像を取り込み、取り込まれた画像を表す画像データを生成することができる。マシンビジョンシステムまたはそれに連結されたデバイスは、画像データを解析することができる。
【0004】
検体容器を表す画像データを解析して、検体容器のサイズを判定し、検体容器に取り付けられたラベルを読み取り、キャップの存在を検出し、かつ/またはキャップの色および/もしくは形状を判定することができる。検体を表す画像データを解析して、溶血、黄疸、および/もしくは脂肪血などの妨害因子の存在、ならびに/または血塊、気泡、もしくは泡沫など、検体中のアーチファクトの存在を判定することもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、マシンビジョンシステムにおける欠陥を識別する方法が提供される。本方法は、第1の視野を有する第1の撮像デバイスを提供することと;第1の視野を通して反射ツールを動かすことと;第1の撮像デバイスを用いて第1の視野における様々な位置で反射ツールの複数の画像を取り込むことと;複数の画像のうちの少なくとも1つを解析してマシンビジョンシステムにおける1つまたはそれ以上の欠陥を識別することとを含む。
【0006】
さらなる態様において、光学検査ステーションの欠陥を識別する方法が提供される。本方法は、視野を有する撮像デバイスを提供することと;視野を通して検体容器を動かすように構成された輸送システムを提供することと;視野を通して反射ツールを動かすことと;撮像デバイスを用いて視野における様々な位置で反射ツールの複数の画像を取り込むことと;複数の画像のうちの少なくとも1つを解析して光学検査ステーションにおける1つまたはそれ以上の欠陥を識別することとを含む。
【0007】
別の態様において、マシンビジョンシステムが提供される。本システムは、視野を有し、視野における様々な位置で反射ツールの複数の画像を取り込むように構成された、撮像デバイスと;視野を通して検体容器および反射ツールを動かすように構成された、輸送システムと;複数の画像のうちの少なくとも1つを解析し、マシンビジョンシステムの光学チェーンに欠陥が存在するかどうかを判定するように構成された、コンピュータとを含む。
【0008】
本開示のさらなる他の態様、構成、および利点は、本開示を実行するために企図される最良の形態を含むいくつかの例示的な実施形態の以下の説明および図から容易に明らかになる。本開示は、他の様々な実施形態も可能であり、そのいくつかの詳細は、本開示の範囲からまったく逸脱することなく様々な点で修正できる。本開示は、請求項およびそれらの均等物の範囲内にあるすべての修正例、均等物、および代替例を含むことが意図されている。
【0009】
以下で説明される図面は、例示が目的であり、必ずしも原寸に比例して示されていない。したがって、図面および説明は、本質的に例示であり、限定的でないと見なすべきである。図面は、決して本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】1つまたはそれ以上の実施形態による、マシンビジョンシステムを含む光学検査ステーションの上面等角図を示す。
【
図2】検体を保持する検体容器の側面図を示し、検体容器は、1つまたはそれ以上の実施形態による輸送システム上で可動のキャリア内で直立の向きに配置されている。
【
図3】1つまたはそれ以上の実施形態による、マシンビジョンシステムを含む光学検査ステーション(図示の目的で上部を取り除いた)の部分断面上面図を示す。
【
図4A】1つまたはそれ以上の実施形態による、検体容器を撮像する光学検査ステーションの撮像デバイスの側面図を示す。
【
図4B】1つまたはそれ以上の実施形態による撮像デバイスの視野内で検体容器が様々な長手方向位置に配置された、
図4Aの撮像デバイスの上面図を示す。
【
図4C】1つまたはそれ以上の実施形態による、イメージャに配置された複数の画素を示す撮像デバイスのイメージャの概略正面図を示す。
【
図5A】光学検査ステーションの撮像デバイスによって取り込まれた検体容器の画像を示し、検体容器は撮像デバイスの視野内のある位置に配置されており、1つまたはそれ以上の実施形態による光学検査ステーションの光学チェーンに欠陥が存在している。
【
図5B】撮像デバイスの視野内の別の位置に配置された、
図5Aの検体容器の画像を示し、1つまたはそれ以上の実施形態による光学検査ステーションの光学チェーンに欠陥が存在している。
【
図6A】1つまたはそれ以上の実施形態によるマシンビジョンシステムの光学チェーンをチェックするために使用される反射ツールの側面図を示す。
【
図6B】マシンビジョンシステムの光学チェーンをチェックするために使用される反射ツールの側面図を示し、反射ツールは、1つまたはそれ以上の実施形態によるビジョンベースの検査ステーション内で、反射ツールを輸送するために使用されるキャリアに直立の向きに配置されている。
【
図7A】1つまたはそれ以上の実施形態による撮像デバイスの視野の第1の位置にある反射ツールの側面図を示す。
【
図7B】1つまたはそれ以上の実施形態による撮像デバイスの視野の複数の様々な位置にある、反射ツールの複数の画像を示す。
【
図8A】1つまたはそれ以上の実施形態による光学検査ステーションのマシンビジョンシステムによって、ある位置で取り込まれた反射ツールの画像を示す。
【
図8B】1つまたはそれ以上の実施形態による反射ツールの連続した画像を互いに電子的につなぎ合わせることによって生成された合成背景の画像を示す。
【
図9】反射ツールの連続した画像から生成された合成背景を示し、その合成背景は、1つまたはそれ以上の実施形態による光学チェーンにおける欠陥を示す。
【
図10】1つまたはそれ以上の実施形態によるマシンビジョンシステムにおける欠陥を識別する方法を示すフローチャートを示す。
【
図11】1つまたはそれ以上の実施形態による光学検査ステーションにおける欠陥を識別する方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実施形態において、画像の解析を用いて、検体容器および/またはそこに配置された検体の質をチェックして、検体容器および/またはそこに配置された検体の妥当性を保証することができる。たとえば、キャップの色および/またはキャップの形状が実行予定の試験に対応していない場合、オペレータ/技術者にエラーを警告することができる。たとえば、フレボトミストが、依頼された試験に対して不適切な検体容器タイプを使用した可能性がある。たとえば、特定の試験に対して抗凝血剤を含む検体容器が要求されているときに、凝固剤を含む検体容器が使用された可能性がある。キャップタイプおよび/またはキャップ形状の改善された特徴付けが、それらの不適正なシナリオを検出することを助ける。
【0012】
他の実施形態において、検体は、たとえば、溶血、黄疸、脂肪血、および/もしくは規定度(N)の存在ならびに/または検体中のアーチファクト(たとえば、血塊、泡沫、および/または気泡)の存在に関して、事前に光学的にスクリーニングすることができる。試料容器および/または検体の正確な分析を行うために、マシンビジョンシステムは非常に詳細かつ正確な画像を必要とする。
【0013】
マシンビジョンシステムは、マシンビジョンシステム内の光学チェーンに汚れまたは他の粒子が存在する場合、誤った画像および/または画像データを生成することがある。1つまたはそれ以上の光学的構成要素に欠陥がある場合にも、誤った画像および/または画像データが生成されることがある。したがって、マシンビジョンシステムの光学チェーンおよび/または構成要素を解析する方法および装置が本明細書で提供される。
【0014】
マシンビジョンシステムは、検体容器および/または検体を照明する照明構成要素(たとえば、発光ダイオード(LED)パネル)を含むことができる。イメージャ(たとえば、電荷結合素子(CCD)または相補形金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサ)が、検体容器および/または検体の画像を、ソフトウェアによって処理および/または解析できる画像データに変換する。マシンビジョンシステム内のレンズが、検体容器および/または検体から反射された光などの光をイメージャに集束させる。
【0015】
マシンビジョンシステム内の光学チェーンは、マシンビジョンシステムによって撮像される物体の画像データを生成するために使用される光学デバイスおよび光路を含む。光学チェーンは、照明デバイス、撮像デバイス、およびデバイス間を延びる光路を含むことができる。レンズまたはイメージャの傷または汚れ粒子など、光学チェーンに欠陥(たとえば、異常)があると、光学解析の正確さに影響を及ぼす可能性がある。いくつかの実施形態において、欠陥は、照明デバイス上の粒子および/または欠陥照明デバイスの場合がある。欠陥によって、マシンビジョンシステムが検体容器および/もしくは検体の分類を誤るか、または検体の分析を間違える場合がある。マシンビジョンシステムの光学チェーンに欠陥が存在するかどうかを判定する方法および装置が本明細書に記載されている。
【0016】
本明細書に開示されているマシンビジョンシステムの実施形態は、撮像デバイスの視野を通して反射ツールを動かし、視野内の様々な位置で反射ツールの画像を取り込む。反射ツールの画像を解析して、光学チェーンに欠陥が存在するかどうかを判定する。いくつかの実施形態において、それらの画像が互いにつなぎ合わせられて、合成キャンバスまたは合成背景と称されることがある単一の画像が形成される。その合成背景を解析して、光学チェーンに欠陥が存在するかどうかを判定することができる。これらのおよび他の方法、装置、およびシステムを本明細書で
図1~
図11を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0017】
ここで
図1を参照すると、図は、本明細書で光学検査ステーション100と称されることがある、ビジョンベースの検査ステーション100の上面等角図を示している。
図1に示されているように、光学検査ステーション100は、たとえばクオリティチェックモジュールの一部として実装される。しかし、光学検査ステーションは他のモジュール内に実装可能である。光学検査ステーション100は、検体容器および/またはそこに配置された検体を光学的に分析するように構成されている。光学検査ステーション100は、図示の目的で開放した上部を有するように示されている。しかし、光学検査ステーション100は、無関係の光が光学検査ステーション100に入ることを防ぐように閉じることができる。
【0018】
光学検査ステーション100は、検体を分析する診断検査室システムにおいて多数のモジュールの1つとすることができる。光学検査ステーション100は、検査室情報サーバ(LIS:laboratory information server)104と通信できるコンピュータ102を含むことができる。コンピュータ102は、プロセッサ102Aおよびメモリ102Bを含むことができ、メモリ102Bは、プロセッサ102Aによって実行されるプログラムを格納する。
【0019】
いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上のプログラムは、画像データを処理し、画像または画像の一部分を電子的につなぎ合わせるように構成されている。本明細書に記載されているように、1つまたはそれ以上のプログラムは、画像データを解析して光学チェーンにおける欠陥を検出するように構成することもできる。LIS104は、診断検査室システムの光学検査ステーション100および他のモジュールを使用して、検体に行う予定の分析(たとえば、試験)に関する一定の情報を、病院情報システムから受信することができる。同様に、LISは、光学チェーンに欠陥が存在するかどうかに関する情報を受信することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ102およびLIS104は、単一のデバイスとして実装することができる。
【0020】
光学検査ステーション100は、マシンビジョンシステム106を含むことができる。マシンビジョンシステム106および/またはその構成要素はコンピュータ102と通信して(たとえば、電気的に連結されて)いてよい。マシンビジョンシステム106は、検体容器および/またはそこに配置された検体の画像を取り込み、その画像を表す画像データを生成する。
図1の実施形態において、光学検査ステーション100は、そこに配置された検体容器108を有する。コンピュータ102は、本明細書に記載されているように、検体容器108の画像データを処理することができる。
【0021】
マシンビジョンシステム106は、撮像デバイス110を1つまたはそれ以上含む。
図1の実施形態において、マシンビジョンシステム106は、撮像デバイス110を3つ含み、個別に第1の撮像デバイス110A、第2の撮像デバイス110B、および第3の撮像デバイス110Cと称される。
【0022】
マシンビジョンシステム106は、検体容器108を照明する照明光源を1つまたはそれ以上含むことができる。照明光源は前部照明光源を含むことができ、その前部照明光源は、撮像デバイスに対する検体容器108の前部を照明する。照明光源は後部照明光源を含むこともでき、その後部照明光源は、撮像デバイスに対する検体容器108の後部に照明を供給する。
図1の実施形態において、マシンビジョンシステム106は、第1の撮像デバイス110Aに対する検体容器108の後部に照明を供給する光パネル112として構成された、単一の後部照明光源を含む。光パネル112はコンピュータ102に連結可能であり、コンピュータ102は、光パネル112の電源をオフおよびオンにするように構成されている。光パネル112は、検体容器108の後部に照明を供給するために、第1の撮像デバイス110Aと位置合わせされている。光パネル112がオン(たとえば、照明している)のときに、第1の撮像デバイス110Aは、光パネル112の画像、または検体容器108など光パネル112と第1の撮像デバイス110Aとの間に配置されたものの画像を、取り込むことができる。マシンビジョンシステム106のいくつかの実施形態は、どの光パネルアセンブリも含まない。
【0023】
先に説明したように、マシンビジョンシステム106は、前部照明光源を1つまたはそれ以上含むことができ、前部照明光源は、撮像デバイス110のうちの1つまたはそれ以上に対する検体容器108の前部を照明する。いくつかの実施形態において、撮像デバイス110のうちの1つまたはそれ以上は、照明光源を1つまたはそれ以上含むことができる。
図1の実施形態において、マシンビジョンシステム106は、第3の撮像デバイス110Cの近傍に配置された照明光源113を含むことができる。いくつかの実施形態において、マシンビジョンシステム106は、第2の撮像デバイス110Bと関連付けられた照明光源313(
図3)を含むことができる。
【0024】
照明光源113は、発光ダイオードを1つまたはそれ以上含むことができる。照明光源113は、第3の撮像デバイス110Cに貼付されるなど、様々な位置にあってよい。いくつかの実施形態において、照明光源113は、第3の撮像デバイス110Cの近傍など、光学検査ステーション100の壁に貼付可能である。照明光源113は、入射光を用いて検体容器108を照明するように構成することができる。検体容器から反射される光は、第3の撮像デバイス110Cに入射し、その反射光を使用して検体容器108の画像を取り込むことができる。
【0025】
光学検査ステーション100は、光学検査ステーション100を通して検体容器108を動かすように構成された輸送システム116を含むことができる。輸送システム116はトラック118を含むことができ、トラック118上でキャリア120が動くことができる。キャリア120は、図示のような直立の向きに検体容器108を担持または保持するように構成することができる。トラック118は、レール付きトラック(たとえば、モノレールまたはマルチレール)、コンベヤベルトの集まり、コンベヤチェーン、可動プラットフォーム、磁気輸送システム、または任意の他の適切なタイプの搬送機構でよい。いくつかの実施形態において、キャリア120は、トラック118上を自己推進でき、プログラムされた位置においてトラック118に沿って止まるように構成することができる。輸送システム116は、検体容器108が光学検査ステーション100を通って動く速度を制御でき、マシンビジョンシステム106内の検体容器108の動きを止めることができる。
【0026】
光学検査ステーション100は、進入トンネル122Aおよび退出トンネル122Bを含むことができ、検体容器108は、進入トンネル122Aを介して光学検査ステーション100に進入し、退出トンネル122Bを介して光学検査ステーション100を退出する。進入トンネル122Aおよび退出トンネル122Bは、外部の光が光学検査ステーション100に進入することを可能にすることなく、検体容器108が光学検査ステーション100に出入りすることを可能にする。
【0027】
追加的に
図2を参照すると、図は、キャリア220における検体容器108の側面図を示している。検体容器108は、チューブ224を含み、キャップ226をかぶせることができる。チューブ224には検体228が配置可能である。検体228は診断検査室分析器によって分析予定のいずれの液体でもよく、その分析器は、光学検査ステーション100(
図1)が内部にあるかまたはそれと関連付けられている。チューブ224には、ラベル230が取り付けられていてよい。ラベル230は、バーコード232など、検体228に関係する情報を含むことができる。いくつかの実施形態において、その情報は、検体228を識別する数字および/または文字を含むことができる。バーコード232の画像は、撮像デバイス110のうちの1つまたはそれ以上によって取り込むことができる。いくつかの実施形態において、検体228の画像は、撮像デバイス110によって取り込むことができる。他の実施形態において、キャップ226の画像は、撮像デバイス110によって取り込むことができる。いくつかの実施形態において、チューブ224、キャップ226、および/または検体228の画像は、撮像デバイス110によって取り込むことができる。
【0028】
追加的に
図3を参照すると、図は、光学検査ステーション100の部分断面図を示している。
図1および
図3の実施形態において、マシンビジョンシステム106は撮像デバイス110を3つ、つまり、第1の撮像デバイス110A、第2の撮像デバイス110B、および第3の撮像デバイス110Cを含むことができる。それに対応して撮像光路が3つあり、撮像デバイス110の各々に撮像光路が1つ関連付けられている。第1の撮像デバイス110Aは、第1の撮像光路328Aおよびそれと関連付けられた第1の視野330Aを有する。第2の撮像デバイス110Bは、第2の撮像光路328Bおよびそれと関連付けられた第2の視野330Bを有する。第3の撮像デバイス110Cは、第3の撮像光路328Cおよびそれと関連付けられた第3の視野330Cを有する。
【0029】
視野330A~330C内での検体容器108の照明は、様々な照明光源によって供給可能である。
図3の実施形態において、光パネル112は、第1の視野330Aのために後部に照明を供給することができる。検体容器108が第2の視野330Bにある間に、照明光源313が検体容器108の前部に照明を供給することができる。検体容器108が第3の視野330Cにある間に、照明光源113は、検体容器108の前部に照明を供給することができる。撮像デバイス110は、検体容器108がそれぞれの撮像デバイス110の視野330A~330C内のどこにあるときでも、検体容器108の画像を取り込むことができる。
【0030】
ここで
図4Aを参照すると、図は、検体容器108の画像を取り込む第2の撮像デバイス110Bの側面図を示している。
図4Bも参照すると、図は、検体容器108が第2の視野330B内の様々な位置にある第2の撮像デバイス110Bの上面図を示している。図示されているように、照明光源113は、照明パターン438を有する光路436を介して検体容器108を照明する。照明パターン438は、検体容器108が第2の視野330B内で様々な位置を通って動くときに、検体容器108を照明することができる。
図4Aの側面図に示されているように、照明パターン438は、検体容器108全体に照明を供給することができる。
図4Bの上面図に示されているように、照明パターン438は、検体容器108が第2の視野330B内で様々な位置を通って動くときに、検体容器108を照明することができる。
【0031】
図4Bの実施形態において、検体容器108は、検体容器が第2の視野330Bを通って動くときの、第2の撮像デバイス110Bの第2の視野330B内の複数の位置に示されている。7つの複数の位置が、位置1から位置7として示されている。検体容器108が位置1および位置7にあるときは、検体容器108は、照明光源313によって全体的には照明されないことがあり、第2の撮像デバイス110Bの第2の視野330B内に全体的にはないことがある。
【0032】
検体容器108から反射された光は、第2の撮像デバイス110Bに受け入れられ、画像データに変換される。いくつかの実施形態において、反射光はレンズ440を透過でき、そのレンズ440は反射光をイメージャ442に集束させる。追加的に
図4Cを参照すると、図は、イメージャ442の一実施形態の概略正面図である。イメージャは、たとえば、電荷結合素子(CCD)または相補形金属酸化膜半導体(CMOS)でよい。イメージャ442は、2次元配列など、ある配列の画像素子または画素444を含む。画素444は画像の個々の部分を電気信号に変換し、その電気信号は本明細書では画素値と称され、画素444上で受けられる光の強度に依存する。したがって、高強度の光を受けるイメージャ442の位置にある画素444は、高い画素値を生成することができ、低強度の光を受けるイメージャ442の位置にある画素444は、低い画素値を生成することができる。いくつかの実施形態において、画素値は0と255との間の画素値などにデジタル化され、画素値0はその画素で光が受けられなかったことを示すことができ、画素値255は画素が飽和していることを示すことができる。
【0033】
光学検査ステーション100(
図1および
図3)の動作中に、輸送システム116は、検体容器108を光学検査ステーション100に動かすことができる。輸送システム116は、検体容器108を光学検査ステーション100内の撮像位置に動かす。その撮像位置とは、それぞれの撮像デバイスの少なくとも1つの視野にある光学検査ステーション100内の位置である。本明細書に記載されているように、撮像デバイス110のうちの1つまたはそれ以上は、検体容器108がそれぞれの視野を通って動くときに検体容器108の連続画像を取り込むことができる。いくつかの実施形態において、撮像デバイス110は、検体容器が1mmから3mmインクリメント動くにつれて画像を取り込むことができる。それらのインクリメントは、本明細書に記載されているように光学チェーンにおける欠陥を検出するのに十分な撮像を行うように選択可能である。
【0034】
検体容器108が撮像位置にあるときに、1つまたはそれ以上の照明光源は検体容器108を照明することができる。
図1および
図3の実施形態において、光パネル112は、第1の撮像デバイス110Aに対する検体容器108の後部に照明を供給することができる。先に説明したように、そのときに、後部が照明されている検体容器108の画像を第1の撮像デバイス110Aによって取り込むことができる。照明光源313は、第2の撮像デバイス110Bに対して検体容器108の前部を照明することができる。第2の撮像デバイス110Bは、そのときに、検体容器108の画像を取り込むことができる。照明光源113は、第3の撮像デバイス110Cに対して検体容器108の前部を照明することができる。第3の撮像デバイス110Cは、そのときに、検体容器108の画像を取り込むことができる。
【0035】
図4Bを参照すると、検体容器108は、第2の撮像デバイス110Bの第2の視野330Bにおける位置1~7に配置することができる。第2の撮像デバイス110Bは、検体容器が位置1と位置7との間など、第2の視野330Bを通って動くときに、検体容器108の画像または連続画像を取り込む。
図5A~
図5Bを参照すると、図は、視野内の様々な位置にある検体容器108を示している。
図5A~
図5Bの実施形態において、視野は、第2の撮像デバイス110Bと関連付けられた第2の視野330Bであるが、他の撮像デバイスと関連付けられた他の視野と同一または同様でよい。
【0036】
図5Aは、
図4Bに示されている位置5にある検体容器108を示す。
図5Bは、
図4Bに示されている位置6にある検体容器108を示す。視野330Bは様々なサイズを有することができ、そのサイズは、
図5Aおよび
図5Bに示されており、検体容器108の様々な部分の画像データを生成することができる。本明細書に記載されている実施形態において、光学検査ステーション100(
図1および
図3)において、検体容器108の後ろに光パネルも反射デバイスもない。それに応じて、検体容器108の画像以外の画像の背景は暗い。
【0037】
「光学チェーン(optical chain)」という用語は、本明細書で用いられているように、光路および光を処理するデバイスを指す。光学チェーンは、照明光源(たとえば、照明光源113および照明光源313)および撮像デバイス110を含むことができる。光学チェーンは、レンズ440およびイメージャ442など、撮像デバイス110の構成要素を含むことができる。光学チェーンは、照明光源と検体容器108との間および検体容器108と撮像デバイス110と間の光路を含むことができる。光学チェーンにおける欠陥(たとえば、異常または不具合)を本明細書で説明する。
【0038】
図5Aおよび
図5Bの実施形態において、光学チェーンは欠陥を有し、その欠陥は暗点546および輝点548として示される。
図5A~
図5Bに示されている暗点546および輝点548のサイズは、図示の目的で拡大されている場合がある。輝点548は、図示の目的で、破線で囲まれた状態で示されている。実際には、輝点548は破線によって囲まれてはいない。暗点546は、平均画素値未満の所定量の画素値でよい。たとえば、暗点546は、すべての画素値の平均よりも10%小さい画素値として識別可能である。輝点548は、平均画素値よりも大きい所定量の画素値でよい。たとえば、輝点548は、すべての画素値の平均よりも10%大きい画素値として識別可能である。
【0039】
暗点546は、デッドピクセルおよび/または光学チェーンにおける粒子を含むいくつかのタイプの欠陥によって引き起こされることがある。デッドピクセルは、デッドピクセルに入射する光の強度に関係なく、低い電圧を生成するかまたは電圧を生成しない、イメージャ442内の画素である。イメージャ442にデッドピクセルを有するイメージャ442(
図4C)を用いて取り込まれる取得画像は、
図5Aおよび
図5Bに示されているように、取得画像に暗点を含む。輝点548は、飽和画素に入射する光の強度に関係なく高い電圧または最大電圧を生成する欠陥画素(たとえば、飽和画素)によって引き起こされることがある。いくつかの状況において、光学チェーンにおける粒子は、画素のいくつかへの過剰な光を屈折させ、画素を飽和させることがある。
【0040】
暗点546および輝点548は、検体容器108および/またはそこに配置された検体228(
図2)を表す画像の解析に干渉する。たとえば、画像データは、輝点548を表す高すぎる画素値および暗点546を表す低すぎる画素値を含む。
図5Aに示されているように、暗点546は、検体228における点として解釈されることがある。
図5Aの輝点548は、バーコード232の画像に干渉する可能性がある。
図5Bに示されているように、暗点546および輝点548は両方とも、検体228の画像に干渉する可能性がある。
【0041】
本明細書に記載されている装置および方法は、光学チェーンの状態をチェックし光学チェーンにおける欠陥を見つけるために、本明細書に記載されている反射ツールの画像を取り込む。ここで
図6Aを参照すると、図は、反射ツール650の一実施形態を示している。反射ツール650は、反射性の外部652を有する、検体容器108のチューブ224(
図2)などのチューブ624として構成することができる。反射性の外部652は、照明光源113(
図3)および/または照明光源313(
図3)によって放射される光を反射する色でよい。いくつかの実施形態において、反射性の外部652は、チューブ624に貼付された白いラベルまたはスリーブでよい。反射ツール650は、断面を見ると丸くなっているように示されている。他の実施形態において、反射ツール650は、断面を見たときに長円形または多角形など、他の形状を有することができる。
図6Bは、キャリア220に受け入れられる反射ツール650を示し、キャリア220は、反射ツール650が輸送システム116(
図3)などによって光学検査ステーション100(
図3)を通して輸送されることを可能にする。
【0042】
反射ツール650は、均一の反射率を有することができる。たとえば、反射ツール650の反射率は5%を超えてばらつかない可能性がある。他の実施形態において、反射ツール650の反射率は10%を超えてばらつかない可能性がある。したがって、反射ツール650は、反射ツール650を照明する照明光源113、313(
図3)に応答して均一に光を反射する。いくつかの実施形態において、反射ツール650がラベルまたはそれに取り付けられた他の反射面を有する場合は、ラベルまたは他の反射面は均一の反射率を有することができる。
【0043】
視野内の様々な位置にある反射ツール650の1つまたはそれ以上の画像(たとえば、連続画像)を撮像および解析することによって、光学チェーンの状態をチェックすることができる。連続画像を用いて合成カーテンまたは合成背景を生成することができ、その合成カーテンまたは合成背景は、理想的な状況下では暗点546および輝点548などのない均一の強度を有するはずである。いくつかの実施形態において、反射ツール650の個々の画像が解析される。いくつかの実施形態において、均一の合成背景は、画素値の90%が互いの10%以内にある光の強度を有することができる。他の実施形態において、均一の合成背景は、画素値の95%が互いの5%以内にある光の強度を有することができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、連続した画像は、互いに電子的につなぎ合わせられて合成背景を形成する。光学チェーンにおける欠陥によって、暗点546および/または輝点548などのアーチファクトが連続した画像のうちの1つまたはそれ以上に現れる。
図7Aを参照すると、図は、反射ツール650が第2の視野330B内に配置されている間の反射ツール650を示している。たとえば、
図7Aに示されている反射ツール650は、
図4Bに示されているように、位置1または位置7にあってよい。反射ツール650が
図7Aに示された位置にあるときは、反射ツール650のうちの第2の視野330B内に配置された部分だけ(
図4B)が、第2の撮像デバイス110Bによって取り込まれることが留意される。本明細書に記載されているプロセスは他の視野にも当てはめることができる。
【0045】
図7Aの実施形態において、反射ツール650は近傍位置1(
図4B)にあり、反射ツール650の一部分だけが、第2の視野330Bにあり、したがって、反射ツール650の一部分だけが、第2の撮像デバイス110Bによって取り込まれる。いくつかの実施形態において、反射性の外部652の画像の一部分だけが処理されて、合成背景を生成する。
図7Aの実施形態において、反射性の外部652の前方部分756を解析して、合成背景を生成することができる。前方部分756は、反射性の外部652のうちの第2の撮像デバイス110Bを向く部分である。前方部分756のサイズは、反射性の外部652の反射率、反射性の外部652に入射する照明、および/または合成背景の所望の均一性に関係する場合がある。たとえば、前方部分756が小さいときは、反射性の外部652のうちの第2の撮像光路328Bに直角のより多くの部分を処理でき、そのことが、合成背景の高い均一性を生み出す。
【0046】
ここで
図7Bを参照すると、図は、反射ツール650が第2の視野330Bを通して輸送されるときの反射ツール650を示している。
図7Bに示されているように、反射ツール650の前方部分756の画像は、連続画像において重なっている。いくつかの実施形態において、反射ツール650の連続画像は、少なくとも75%互いに重なっていてよい。他の実施形態において、前方部分756の連続画像は、少なくとも85%互いに重なっていてよい。前方部分756の画像は、本明細書に記載されているように、実質的に均一の合成背景を形成するように処理することができる。
【0047】
追加的に
図8Aを参照すると、図は、第2の撮像デバイス110B(
図3)によって取り込まれた反射ツール650の画像860を示している。
図8Aに示されているように、画像860では反射性の外部652だけを見ることができる。光学検査ステーション100(
図3)の内部は暗く、したがって、反射性の外部652だけが、照明光源113(
図3)によって生成される光を反射する。
図7Bを参照しながら説明されているように、反射ツール650の連続画像は、反射ツール650が第2の視野330Bを通して動かされるときに、第2の撮像デバイス110Bおよび/またはマシンビジョンシステム106の他の撮像デバイスによって取り込まれる。たとえば、反射ツール650は、反射ツール650の個々の画像が取り込まれている間に、第2の視野330Bの様々な位置で停止可能である。いくつかの実施形態において、反射ツール650は各連続画像について1mmから3mm動かされる。このような反射ツールのインクリメンタルな動きは、均一の合成背景をもたらすことができる。
【0048】
本明細書に記載されているように、反射性の外部652の前方部分756の連続画像は、処理および解析することができる。追加的に
図8Bを参照すると、処理することで前方部分756の連続画像を重ねて、合成背景864の画像を生成することができる。理想的な状況下では、均一の合成背景864を示す、合成背景864の画像の画素値の強度は同じである。いくつかの実施形態において、画素値の過半数または所定数は、先に説明したように所定の範囲内にあってよく、このことは均一の合成背景864を構成する。
【0049】
図8Bの実施形態において、合成背景864は、前方部分756の連続画像を互いに電子的につなぎ合わせて合成背景864を形成するスティッチングソフトウェアによって形成することができる。スティッチングソフトウェアは、連続して取り込まれた個々の画像からパノラマ画像を生成するために使用される画像処理ソフトウェアと同一または同様でよい。他のソフトウェアまたはプロセスを使用して前方部分756の画像から合成背景864を生成することができる。
図8Bの実施形態において、対象領域866は、解析される合成背景864の一部分である。対象領域866は、それぞれ前方部分756の上側縁部および下側縁部でよい、上側縁部866Aおよび下側縁部866Bによって境界が定められている。対象領域866は、それぞれ第2の視野330Bの左側縁部および右側縁部でよい、左側縁部866Cおよび右側縁部866Dを含むことができる。
【0050】
ここで
図9を参照すると、図は合成背景864の画像を示しており、合成背景864は、アーチファクトまたは光学チェーンにおける欠陥を示す画像を示す。光学チェーンにおける欠陥がないときは、画素値はすべて所定の値の範囲内にあるはずである。いくつかの実施形態において、理想的な対象領域866の画素値は、たとえば、最大値255のうちの値250など、飽和画素値に近くてよい。他の実施形態において、理想的な対象領域866の画素値は、飽和画素値に近い値よりも小さくてよい。
図9の実施形態において、合成背景864の画像はスポット970を含み、スポット970を構成する画素値は、理想的な対象領域の画素値とは異なっている(たとえば、それよりも小さい)。スポット970は、レンズ440および/またはイメージャ442(
図4C)上の粒子(たとえば、汚れ)を示すことがある。スポット970は、不具合のある照明光源313(
図3)および/または照明光源313上の粒子を示すこともある。粒子によって、イメージャ442に入射する光が少なくなることがあり、そのことによって、対応する画素の画素値が理想的な対象領域866の画素値よりも小さくなる。スポット970は、隣接する画素の所定数の画素値が所定値未満の値を有することによって識別可能である。
【0051】
対象領域866は、1つもしくはそれ以上の暗点972Aおよび/または1つもしくはそれ以上の輝点972Bを含むこともある。暗点972Aは、イメージャ442におけるデッドピクセルを示すことがあり、デッドピクセルは、暗い画素に入射する光の強度に関係なく電圧をまったく発生しない。暗点972Aは、レンズ440(
図4B)および/または照明光源313(
図3)上など、光学チェーンにおける粒子を示すこともある。輝点972Bは飽和画素を示すことがあり、飽和画素は、飽和画素に入射する光の強度に関係なく高い電圧を発生する。輝点972Bは、光学チェーンにおける、透明の粒子などの粒子を示すこともあり、その粒子は、鏡面反射を引き起こすかまたは一定の画素に光を集束させる。
【0052】
対象領域866において輝点および/または暗点を検出したときに、技術者らは光学チェーンにおけるアイテムを清掃することができる。たとえば、技術者らはレンズ440(
図4B)を清掃することができる。光学チェーンのアイテムが清掃された後に、スポット、輝点および/または暗点のうちの1つまたはそれ以上が対象領域866に残る場合、技術者はイメージャ442の1つまたはそれ以上の画素に欠陥があると判定することができる。その後の画像解析において、欠陥画素によって生成された画素値を無視することができる。所定の数の画素に欠陥がある場合は、技術者はイメージャ442またはそれぞれの撮像デバイスを交換することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、コンピュータ102(
図3)は、撮像デバイス110(
図3)から画像データを受信することができる。コンピュータ102は、画像データに基づいて合成背景864を生成するソフトウェアを実行することができる。コンピュータ102は、対象領域866を解析するソフトウェアを実行することもできる。たとえば、ソフトウェアは、画像データを解析して、対象領域が輝点および/または暗点を含むかどうかを判定することができる。ソフトウェアは、その解析に応答して光学経路を清掃するように技術者に指示することができる。光学経路が清掃された後に輝点および/または暗点が残る場合、ソフトウェアは、輝点および/または暗点と関連付けられたそれらの画素を欠陥があるものとして指定することができる。ソフトウェアはさらに、検体容器108(
図2)の画像など、画像を解析するときに、欠陥画素によって生成される画素値を無視することができる。いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、欠陥の通知を生成することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、合成背景を生成する代わりに、反射性の外部652の連続画像を解析することができる。たとえば、先に説明した解析は、撮像デバイスの視野内の様々な位置にある反射ツール650(
図4B)を用いて行うことができる。
図4Bを参照すると、反射ツール650の画像は、反射ツール650が位置1にあるときに取り込むことができる。次いで、反射性の外部652の画像が解析されて、光学チェーンにいずれかの欠陥が存在するかどうかを判定することができる。解析は、光学チェーンに粒子が存在するかどうかまたは位置1に対応するいずれかの画素444に欠陥があるかどうかを判定することができる。次いで、反射ツール650は、位置2まで動かされることが可能であり、そこで、反射性の外部652の画像が撮像および解析される。解析は、光学チェーンに粒子が存在するかどうかまたは位置2に対応するいずれかの画素444に欠陥があるかどうかを判定することができる。反射ツール650が視野における様々な位置に位置するときにこのプロセスを繰り返すことができる。
【0055】
ここで
図10を参照すると、図は、マシンビジョンシステム(たとえば、光学検査ステーション100)における欠陥を識別する方法1000を示すフローチャートを示している。方法1000は、1002で、第1の視野(たとえば、視野330B)を有する第1の撮像デバイス(たとえば、撮像デバイス110B)を提供することを含む。方法1000は、1004で、第1の視野を通して反射ツール(たとえば、反射ツール650)を動かすことを含む。方法1000は、1006で、第1の撮像デバイスを用いて第1の視野における様々な位置で反射ツールの複数の画像を取り込むことを含む。方法1000は、1008で、複数の画像のうちの少なくとも1つを解析してマシンビジョンシステムにおける1つまたはそれ以上の欠陥を識別することを含む。
【0056】
図11を参照すると、図は、光学検査ステーション(たとえば、マシンビジョンシステム106)における欠陥を識別する方法1100を示すフローチャートを示している。方法1100は、1102で、視野(たとえば、視野330B)を有する撮像デバイス(たとえば、撮像デバイス110B)を提供することを含む。方法1100は、1104で、視野を通して反射ツール(たとえば、反射ツール650)を動かすことを含む。方法1100は、1106で、撮像デバイスを用いて視野における様々な位置で反射ツールの複数の画像を取り込むことを含む。方法1100は、1108で、複数の画像のうちの少なくとも1つを解析して光学検査ステーションにおける1つまたはそれ以上の欠陥を識別することを含む。
【0057】
本開示は様々な修正例および代替例が可能であり、特定の方法および装置の実施形態が、図面に一例として示されており、本明細書に詳細に説明されている。しかし、本明細書に開示されている特定の方法および装置は本開示を限定するものではなく、それとは反対に、請求項の範囲内にあるすべての修正例、均等物、および代替例を含むと理解されたい。