(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】剥離紙保持用治具と、これを用いて粘着テープを内角部に貼る方法。
(51)【国際特許分類】
C09J 5/00 20060101AFI20241205BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20241205BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241205BHJP
C09J 7/40 20180101ALI20241205BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C09J5/00
B65H37/04 B
C09J7/38
C09J7/40
D21H27/00 A
(21)【出願番号】P 2024099574
(22)【出願日】2024-06-20
【審査請求日】2024-06-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】718001399
【氏名又は名称】石倉 一成
(72)【発明者】
【氏名】石倉 一成
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-088520(JP,A)
【文献】特開平10-169148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B65H 37/04
D21H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離性を有する素材よりなり、剥離紙の縁部を保持する保持部を備え、前記保持部において前記剥離紙を二列平行に保持する事を特徴とする剥離紙保持用治具。
【請求項2】
請求項1記載の剥離紙保持用治具に前記剥離紙を二列平行に保持し、前記二列平行に保持した剥離紙をまたぐ巾の粘着テープを前記二列平行の剥離紙にまたがらせつつ貼り付け、前記剥離紙に貼り付けた前記粘着テープを前記剥離紙と共に前記剥離紙
保持用治具から分離し、前記二列平行の剥離紙の間から露出する前記粘着テープの粘着部位を粘着面が外側となる様折り曲げるとともに被着体に貼り付け、前記粘着部位の両外側の前記剥離紙を剥離する事により露出する残りの前記粘着テープの粘着部位を前記被着体に貼り付ける事を特徴とする粘着テープの貼り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばダンボール箱の底角や部屋の入隅など、様々な内角部に対し様々な市販の粘着テープを誰でも簡単に貼る事ができる剥離紙保持用治具と、その使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばダンボール箱やダンボールを用いて工作物を創作する際、市販の粘着テープを外角部に貼る事は容易だが、内角部に貼る事は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-081861
【文献】特開2014-088520
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明と特許文献1の発明は、剥離紙(「ミシン目付き剥離紙2a」または「剥離紙2」)に粘着体(「粘着テープ3」または「粘着フィルム1」)を貼付する工程が含まれているか否かと、これを折り曲げる工程が含まれているか否かの2点において異なっている。そして「内角部に市販の粘着テープを貼る」という進歩的メリットを得るには前記2工程が不可欠であるため、仮に当業者がそれら工程をそれぞれ単なる一事例としてわざわざ示されなかっただけであったとしても、前記進歩的メリットを得る事ができるという事までは着想されてなかったと思料せざるを得ない。
【0005】
特許文献2の発明は粘着テープ自体の発明であり、市販の粘着テープには対応していない。また当業者が仮に特許文献1を参照されたとしても前記進歩的メリットを得るには、前記「剥離紙に粘着体を貼付する工程」が実現できなければならないが、「第1の切れ目28a」「第2の切れ目28b」を備えた「剥離紙26」は「粘着テープ本体22」を介さなければ1枚の剥離紙として実体を維持できないため困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は例えばダンボール箱の底角や、部屋の入隅など、様々な内角部に対し様々な市販の粘着テープを貼る事ができる剥離紙保持用治具と、その使用方法を提供する。
【0007】
本発明は剥離性を有する素材よりなり、剥離紙の縁部を保持する保持部を備え、前記保持部において前記剥離紙を二列平行に保持する事を特徴とする剥離紙保持用治具を提供する。
【0008】
本発明は前記剥離紙保持用治具に前記剥離紙を二列平行に保持し、前記二列平行に保持した剥離紙をまたぐ巾の粘着テープを前記二列平行の剥離紙にまたがらせつつ貼り付け、前記剥離紙に貼り付けた前記粘着テープを前記剥離紙と共に前記剥離紙治具から分離し、前記二列平行の剥離紙の間から露出する前記粘着テープの粘着部位を粘着面が外側となる様折り曲げるとともに被着体に貼り付け、前記粘着部位の両外側の前記剥離紙を剥離する事により露出する残りの前記粘着テープの粘着部位を前記被着体に貼り付ける事を特徴とする粘着テープの貼り付け方法を提供する。
【0009】
本発明は、ほぼ中央にミシン目を二列平行に備えたミシン目付き剥離紙の前記ミシン目上に、前記二列平行のミシン目をまたぐ巾の粘着テープを前記二列平行のミシン目にまたがらせつつ貼り付け、前記二列平行のミシン目の間の剥離紙部位を前記ミシン目に沿って剥離する事により露出する粘着部位を粘着面が外側となる様折り曲げつつ被着体に貼り付けて、前記粘着部位の両外側の剥離紙部位を剥離する事により露出する残りの前記粘着テープの粘着部位を前記被着体に貼り付ける事を特徴とする粘着テープの貼り付け方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば使用する粘着テープに対応した剥離紙でさえあればどの様な粘着テープにでも対応できるので、例えばダンボール箱の底角に貼るガムテープや部屋の入隅に貼る防水テープだけではなく、例えば子供が工作物を創作する際のセロテープ(登録商標)やクリエーターがマスキングテープの新たな使用方法を創出される際など、いろいろな市販の粘着テープを様々な内角部に見栄えよく容易に貼り付ける事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】剥離紙付き粘着テープ4を剥離紙治具1から分離する手順図
【
図8】剥離紙部位2a’を剥がして剥離紙付き粘着テープ4を作成する手順図
【
図10】粘着テープ3-cutを内角部に貼り付ける手順図(1)(2)
【
図11】粘着テープ3-cutを内角部に貼り付ける手順図(3)(4)
【
図12】粘着テープ3-cutを内角部に貼り付ける手順図(5)(6)
【
図13】粘着テープ3-cutが貼られた収納ボックスの事例図
【
図14】粘着テープ3-cutが貼られた部屋入隅の事例図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は剥離性を有する素材として剥離紙を用いた、剥離紙保持用治具1の基本的構造図(一事例)である。具体的には、保持部1bを直線1xと直線1x’上にそれぞれ複数対ずつ連続的に備えた剥離紙の平面図である。
【0013】
図2は剥離紙保持用治具1に剥離紙2を嵌め込んで保持する手順図である。具体的には、直線1xと直線1x’上のそれぞれの保持部1bに剥離紙2を嵌め込んで、剥離紙保持用治具1上に剥離紙2を二列平行に保持する手順を示している(なお説明図は割愛したが、剥離紙2が長い場合は剥離紙保持用治具1を複数枚並べて保持すればよい)。
【0014】
図3は剥離紙2に粘着テープ3を貼付する手順図である。具体的には、二列平行に保持した剥離紙2の間に粘着テープ3をまたがらせつつ貼り付ける手順を示している。
【0015】
図4は剥離紙2と粘着テープ3とを適宜寸法にカットし、剥離紙付き粘着テープ4を形成する手順図である。具体的には、剥離紙2に貼付された粘着テープ3をカットして内角部Uの折れ目線と同寸法に整え、剥離紙保持用治具1上に適宜寸法の剥離紙付き粘着テープ4を形成する手順図である。
【0016】
図5は剥離紙付き粘着テープ4を剥離紙保持用治具1から分離する手順図である。具体的には、剥離紙付き粘着テープ4を保持部1bから外し、剥離紙保持用治具1から分離する手順を示している。
【0017】
図6~
図8は、
図1~
図5で示した手法とはまた別の手法で剥離紙付き粘着テープ4を作成する手順であって、このうち
図6はその手法で用いるミシン目付き剥離紙2aの基本的構造図である(また同時に、これを任意寸法にカットして剥離紙2a-cutを作成する工程図も兼用している)。具体的には、長手方向のほぼ中央にミシン目2amを二列平行に備えたミシン目付き剥離紙2a(または剥離紙2a-cut)であって、二列に配されたミシン目2amの内側には剥離紙部位2a’が、両外側には剥離紙部位2’がそれぞれ配されている事が示されている。
【0018】
図9は剥離紙付き粘着テープ4‘の作成手順図である。具体的には、二列に配されたミシン目2am上に粘着テープ3を貼りつつ両端を適宜カットし、内角部Uの折れ目線と同寸法に整えて剥離紙付き粘着テープ4’とする手順である。
【0019】
図8は剥離紙付き粘着テープ4‘の剥離紙部位2a’をミシン目2amに沿って剥がして粘着部位3aを露出させ、剥離紙付き粘着テープ4を作成する手順図である(なお便宜上、
図7と
図8は表裏逆に描かれている)。
【0020】
図9は剥離紙付き粘着テープ4(内角部Uの折れ目線と同寸法に整えられた、粘着部位3aを露出させつつその両外側に剥離紙2、あるいは剥離紙部位2’をそれぞれ備えた粘着テープ3-cut)の姿図である。
【0021】
図10は粘着テープ3-cutを内角部Uに貼り付ける工程を示した手順図(1)(2)である。具体的には、粘着部位3aが外側となる様剥離紙付き粘着テープ4をV字体に折り曲げる工程を示した手順図(1)と、これを完全に折り曲げて平坦にし、粘着部位3aを内角部Uの折れ目線に沿わせつつ適宜貼り付ける工程を示した手順図(2)である。
【0022】
図11は粘着テープ3-cutを内角部Uに貼り付ける工程を示した手順図(3)(4)である。具体的には、剥離紙付き粘着テープ4の粘着部位3aが内角部Uの折れ目線上に適宜貼付された姿を示した手順図(3)と、これの片側の剥離紙2(または剥離紙部位2’)を剥離している工程を示した手順図(4)である。
【0023】
図12は粘着テープ3-cutを内角部Uに貼り付ける工程を示した手順図(5)(6)である。具体的には、(4)の工程で露出させた粘着テープ3-cutの粘着部位を内角部Uの当該箇所に貼り付けるとともに、もう片側の剥離紙2(または剥離紙部位2’)を剥離する工程を示した手順図(5)と、(5)の工程を経て露出させた粘着テープ3-cutの粘着部位をもう片方の内角部Uの当該箇所に貼り付ける工程を示した手順図(6)である。
【0024】
図13は一事例として、特願2024-11120(本発明者考案)の
図28~
図39に示した収納ボックス300の底角に、見栄えよく粘着テープ3-cut(例えばガムテープ)を貼り付けたところを描いたイメージ図である。
【0025】
図14は一事例として、部屋の入隅に見栄えよく粘着テープ3-cut(例えば防水テープ)を貼り付けたところを描いたイメージ図である。
【符号の説明】
【0026】
・ 剥離紙保持用治具(剥離紙よりなる、剥離紙保持用治具の一事例)
1a 円弧状のスリット(剥離紙2を嵌め込んで保持しうるスリットの一事例)
1b 保持部(例えば頂点が向かい合わせに配置された、一対の円弧状のスリット1a)
・ 剥離紙(帯状の剥離紙)
2’ 剥離紙部位(ミシン目2amの両外側に配置された剥離紙部位)
2a ミシン目付き剥離紙(例えばコイル状の、ミシン目2amを備えた剥離紙)
2a’ 剥離紙部位(ミシン目2amの内側部位)
2a-cat 剥離紙(適宜寸法にカットされたミシン目付き剥離紙2a)
2am ミシン目(剥離紙2aのほぼ中央に二列平行に配されたミシン目)
・ 粘着テープ(例えば市販の粘着テープ)
3a 粘着部位(剥離紙2・剥離紙部位2’の間から露出した粘着テープ3-cutの粘着部位)
3-cut 粘着テープ(内角部Uの折れ目線と同寸法にカットされた粘着テープ3)
・ 剥離紙付き粘着テープ(剥離紙2、または剥離紙部位2’付き粘着テープ3-cut)
4‘ 剥離紙付き粘着テープ(剥離紙2a-cut付き粘着テープ3-cut)
U 内角部(折れ目線が任意寸法の、貼り付け先であるところの内角部)
X 直線(中心線Yと直角をなす、例えば保持部1bの中間点を通る直線)
X’ 直線(直線Xと平行をなす別の直線)
Y 中心線(円弧状のスリット1aの中心を通る、例えば線対称線)
【要約】 (修正有)
【課題】例えばダンボール箱の底角や、部屋の入隅など、様々な内角部に対し様々な市販の粘着テープを誰でも簡単に貼る事ができる剥離紙保持用治具と、その使用方法を提供する。
【解決手段】剥離紙保持用治具1に剥離紙2を二列平行に保持しつつ前記剥離紙上の適宜位置に粘着テープ3を貼り付けたのち、前記粘着テープを前記剥離紙とともに適宜寸法にカットしつつこれを前記剥離紙保持用治具から分離し、前記剥離紙の間から露出する前記粘着テープの粘着部位を粘着面が外側となる様折り曲げて任意内角部に貼り付けて、前記剥離紙を前記粘着テープから剥離する事により露出する前記粘着テープの残りの粘着部位を前記任意内角のそれぞれの内角面に貼り付ける。あるいは、ほぼ中央にミシン目を二列平行に備えたミシン目付き剥離紙を用いてこれとほぼ同工程を実現する。
【選択図】
図5