(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241205BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241205BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20241205BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
A24F40/40
A24F40/50
H02J1/00 307G
H02J7/00 B
(21)【出願番号】P 2024155105
(22)【出願日】2024-09-09
(62)【分割の表示】P 2023520807の分割
【原出願日】2022-02-25
【審査請求日】2024-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2021079912
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 達也
(72)【発明者】
【氏名】川中子 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】長浜 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-526240(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141359(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/141979(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
H02J 7/00
A24F 40/00 -47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源
を含む細長い略円柱状のロッドを加熱するヒータが接続されるヒータコネクタと、
前記ロッドを挿入可能な開口と、
前記開口を閉じる位置と前記開口を開放する位置との間を、移動可能なスライダと、
操作スイッチと、
前記電源から前記ヒータへの電力の供給を制御可能に構成されるコントローラと、
前記電源から生成される第1アクセサリ電圧により動作可能であり、且つ、前記コントローラとは別体の第1電子部品と、
を備え、且つ、スリープモード
を含む複数のモードで動作可能に構成されるエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記コントローラは、前記スライダ及び前記操作スイッチの少なくともいずれかに対する操作を検出可能であって、前記操作を検出した場合に、前記電源ユニットのモードを変更するように構成され、
前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時に、前記第1アクセサリ電圧は、前記第1電子部品へ供給され
ず、
前記電源ユニットが前記スリープモードへ動作している時に、前記コントローラは吸気を検出せず、且つ、前記操作を検出可能である、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
オンの時のみ、前記第1電子部品へ前記第1アクセサリ電圧を供給するアクセサリスイッチを更に備え、
前記コントローラは、前記アクセサリスイッチを制御可能に構成され、前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時に前記アクセサリスイッチをオフにする、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1電子部品は、サーミスタを含む、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
非反転入力端子と反転入力端子と正電源端子とを含んで構成され、且つ、前記非反転入力端子と前記反転入力端子の一方が前記サーミスタへ接続されるオペアンプを更に備え、
前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時にも、前記オペアンプの正電源端子へ電力が供給される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記コントローラは、前記電源から生成されるシステム電圧によって動作可能に構成され、
前記システム電圧は、前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時にも生成される一方、前記第1アクセサリ電圧は、前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時には生成されず、
前記システム電圧により動作する電子部品の数は、前記第1アクセサリ電圧により動作する電子部品の数より多い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記コントローラは、前記電源から生成されるシステム電圧によって動作可能に構成され、
前記第1アクセサリ電圧は、前記システム電圧から生成される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1アクセサリ電圧の電圧値は、前記システム電圧の電圧値と等しい、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
オンの時のみ、前記第1電子部品へ前記第1アクセサリ電圧を供給するアクセサリスイッチと、
前記コントローラへ前記システム電圧を供給するシステム電圧ラインと、
を更に備え、
前記アクセサリスイッチは、前記システム電圧ラインへ接続される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源から生成され且つ前記第1アクセサリ電圧とは異なる第2アクセサリ電圧により動作可能であり、且つ、前記コントローラ及び前記第1電子部品とは別体の第2電子部品を更に備え、
前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時に、前記第2アクセサリ電圧は、前記第2電子部品へ供給されない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項10】
請求項9に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1アクセサリ電圧の電圧値は、前記第2アクセサリ電圧の電圧値とは異なる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記コントローラは、前記電源から生成されるシステム電圧によって動作可能に構成され、
前記第1アクセサリ電圧の電圧値は、前記システム電圧の電圧値と等しく、
前記第1アクセサリ電圧は、前記システム電圧から生成され、
前記第2アクセサリ電圧は、前記システム電圧から生成されない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
外部電源へ電気的に接続可能なレセプタクルを更に備え、
前記第2アクセサリ電圧は、前記レセプタクルから供給される電圧から生成可能である、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スリープモードでは加熱要素に電源からの出力を送達することができないようにパッケージングした喫煙具が記載されている。また、特許文献2には、スリープモードでは流量センサ20が低頻度の周期で駆動されるようにしたシステムが記載されている。そして、特許文献3には、ライトスリープモードでは、プロセッサのクロックを低下させ、且つ必ずしも必要ではない周辺の電子装置及び任意の他のプロセス(例えばLED)をオフにするようにした電子喫煙デバイス(eシガレット)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-193649号公報
【文献】特開2019-071897号公報
【文献】特表2019-526240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの利便性向上の観点から、エアロゾル生成装置の電源ユニットにおいてスリープモード時に消費される電力の削減が望まれているが、従来技術では、スリープモード時に消費される電力の削減に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、スリープモード時に消費される電力の削減を図ることが可能なエアロゾル生成装置の電源ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を含む細長い略円柱状のロッドを加熱するヒータが接続されるヒータコネクタと、
前記ロッドを挿入可能な開口と、
前記開口を閉じる位置と前記開口を開放する位置との間を、移動可能なスライダと、
操作スイッチと、
前記電源から前記ヒータへの電力の供給を制御可能に構成されるコントローラと、
前記電源から生成される第1アクセサリ電圧により動作可能であり、且つ、前記コントローラとは別体の第1電子部品と、
を備え、且つ、スリープモードを含む複数のモードで動作可能に構成されるエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記コントローラは、前記スライダ及び前記操作スイッチの少なくともいずれかに対する操作を検出可能であって、前記操作を検出した場合に、前記電源ユニットのモードを変更するように構成され、
前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時に、前記第1アクセサリ電圧は、前記第1電子部品へ供給されず、
前記電源ユニットが前記スリープモードへ動作している時に、前記コントローラは吸気を検出せず、且つ、前記操作を検出可能である、
エアロゾル生成装置の電源ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スリープモード時に消費される電力の削減を図ることが可能なエアロゾル生成装置の電源ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】ロッドを装着した状態を示す非燃焼式吸引器の斜視図である。
【
図5】非燃焼式吸引器の内部ユニットの斜視図である。
【
図7】電源及びシャーシを取り除いた内部ユニットの斜視図である。
【
図8】電源及びシャーシを取り除いた内部ユニットの他の斜視図である。
【
図9】吸引器の動作モードを説明するための模式図である。
【
図10】内部ユニットの電気回路の概略構成を示す図である。
【
図11】内部ユニットの電気回路の概略構成を示す図である。
【
図12】内部ユニットの電気回路の概略構成を示す図である。
【
図13】スリープモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図14】アクティブモードにおける電気回路の動作を説明するための図である
【
図15】加熱初期設定モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図16】加熱モードにおけるヒータの加熱時の電気回路の動作を説明するための図である。
【
図17】加熱モードにおけるヒータの温度検出時の電気回路の動作を説明するための図である。
【
図18】充電モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図19】MCUのリセット(再起動)時の電気回路の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明におけるエアロゾル生成装置の一実施形態である吸引システムについて図面を参照しながら説明する。この吸引システムは、本発明の電源ユニットの一実施形態である非燃焼式吸引器100(以下、単に、「吸引器100」ともいう)と、吸引器100によって加熱されるロッド500と、を備える。以下の説明では、吸引器100が、加熱部を着脱不能に収容した構成を例に説明する。しかし、吸引器100に対し加熱部が着脱自在に構成されていてもよい。例えば、ロッド500と加熱部が一体化されたものを、吸引器100に着脱自在に構成したものであってもよい。つまり、エアロゾル生成装置の電源ユニットは、構成要素として加熱部を含まない構成であってもよい。なお、着脱不能とは、想定される用途の限りにおいて、取外しが行えないような態様を指すものとする。または、吸引器100に設けられる誘導加熱用コイルと、ロッド500に内蔵されるサセプタが協働して加熱部を構成してもよい。
【0010】
図1は、吸引器100の全体構成を示す斜視図である。
図2は、ロッド500を装着した状態を示す吸引器100の斜視図である。
図3は、吸引器100の他の斜視図である。
図4は、吸引器100の分解斜視図である。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を、便宜上、前後方向、左右方向、上下方向とした、3次元空間の直交座標系を用いて説明する。図中、前方をFr、後方をRr、右側をR、左側をL、上方をU、下方をD、として示す。
【0011】
吸引器100は、エアロゾル源及び香味源を含む充填物などを有する香味成分生成基材の一例としての細長い略円柱状のロッド500(
図2参照)を加熱することによって、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0012】
<香味成分生成基材(ロッド)>
ロッド500は、所定温度で加熱されてエアロゾルを生成するエアロゾル源を含有する充填物を含む。
【0013】
エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源は、固体であってもよいし、例えば、グリセリン、プロピレングリコールといった多価アルコールや、水などの液体であってもよい。エアロゾル源は、加熱することによって香味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物等の香味源を含んでいてもよい。香味成分が付加される気体はエアロゾルに限定されず、例えば不可視の蒸気が生成されてもよい。
【0014】
ロッド500の充填物は、香味源としてたばこ刻みを含有し得る。たばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知の材料を用いることができる。充填物は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。香味源は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、又はハーブ等)を含有し得る。用途によっては、ロッド500は香味源を含まなくてもよい。
【0015】
<非燃焼式吸引器の全体構成>
続いて、吸引器100の全体構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
吸引器100は、前面、後面、左面、右面、上面、及び下面を備える略直方体形状のケース110を備える。ケース110は、前面、後面、上面、下面、及び右面が一体に形成された有底筒状のケース本体112と、ケース本体112の開口部114(
図4参照)を封止し左面を構成するアウターパネル115及びインナーパネル118と、スライダ119と、を備える。
【0016】
インナーパネル118は、ケース本体112にボルト120で固定される。アウターパネル115は、ケース本体112に収容された後述するシャーシ150(
図5参照)に保持されたマグネット124によって、インナーパネル118の外面を覆うようにケース本体112に固定される。アウターパネル115が、マグネット124によって固定されることで、ユーザは好みに合わせてアウターパネル115を取り替えることが可能となっている。
【0017】
インナーパネル118には、マグネット124が貫通するように形成された2つの貫通孔126が設けられる。インナーパネル118には、上下に配置された2つの貫通孔126の間に、さらに縦長の長孔127及び円形の丸孔128が設けられる。この長孔127は、ケース本体112に内蔵された8つのLED(Light Emitting Diode) L1~L8から出射される光を透過させるためのものである。丸孔128には、ケース本体112に内蔵されたボタン式の操作スイッチOPSが貫通する。これにより、ユーザは、アウターパネル115のLED窓116を介して8つのLED L1~L8から出射される光を検知することができる。また、ユーザは、アウターパネル115の押圧部117を介して操作スイッチOPSを押し下げることができる。
【0018】
図2に示すように、ケース本体112の上面には、ロッド500を挿入可能な開口132が設けられる。スライダ119は、開口132を閉じる位置(
図1参照)と開口132を開放する位置(
図2参照)との間を、前後方向に移動可能にケース本体112に結合される。
【0019】
操作スイッチOPSは、吸引器100の各種操作を行うために使用される。例えば、ユーザは、
図2に示すようにロッド500を開口132に挿入して装着した状態で、押圧部117を介して操作スイッチOPSを操作する。これにより、加熱部170(
図5参照)によって、ロッド500を燃焼させずに加熱する。ロッド500が加熱されると、ロッド500に含まれるエアロゾル源からエアロゾルが生成され、ロッド500に含まれる香味源の香味が当該エアロゾルに付加される。ユーザは、開口132から突出したロッド500の吸口502を咥えて吸引することにより、香味を含むエアロゾルを吸引することができる。
【0020】
ケース本体112の下面には、
図3に示すように、コンセントやモバイルバッテリ等の外部電源と電気的に接続して電力供給を受けるための充電端子134が設けられている。本実施形態において、充電端子134は、USB(Universal Serial Bus) Type-C形状のレセプタクルとしているが、これに限定されるものではない。充電端子134を、以下では、レセプタクルRCPとも記載する。
【0021】
なお、充電端子134は、例えば、受電コイルを備え、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能に構成されてもよい。この場合の電力伝送(Wireless Power Transfer
)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよいし、電磁誘導型と磁気共鳴型を組み合わせたものでもよい。別の一例として、充電端子134は、各種USB端子等が接続可能であり、且つ上述した受電コイルを有していてもよい。
【0022】
図1~
図4に示される吸引器100の構成は一例にすぎない。吸引器100は、ロッド500を保持して例えば加熱等の作用を加えることで、ロッド500から香味成分が付与された気体を生成させ、生成された気体をユーザが吸引することができるような、様々な形態で構成することができる。
【0023】
<非燃焼式吸引器の内部構成>
吸引器100の内部ユニット140について
図5~
図8を参照しながら説明する。
図5は、吸引器100の内部ユニット140の斜視図である。
図6は、
図5の内部ユニット140の分解斜視図である。
図7は、電源BAT及びシャーシ150を取り除いた内部ユニット140の斜視図である。
図8は、電源BAT及びシャーシ150を取り除いた内部ユニット140の他の斜視図である。
【0024】
ケース110の内部空間に収容される内部ユニット140は、シャーシ150と、電源BATと、回路部160と、加熱部170と、通知部180と、各種センサと、を備える。
【0025】
シャーシ150は、前後方向においてケース110の内部空間の略中央に配置され上下方向且つ前後方向に延設された板状のシャーシ本体151と、前後方向においてケース110の内部空間の略中央に配置され上下方向且つ左右方向に延びる板状の前後分割壁152と、上下方向において前後分割壁152の略中央から前方に延びる板状の上下分割壁153と、前後分割壁152及びシャーシ本体151の上縁部から後方に延びる板状のシャーシ上壁154と、前後分割壁152及びシャーシ本体151の下縁部から後方に延びる板状のシャーシ下壁155と、を備える。シャーシ本体151の左面は、前述したケース110のインナーパネル118及びアウターパネル115に覆われる。
【0026】
ケース110の内部空間は、シャーシ150により前方上部に加熱部収容領域142が区画形成され、前方下部に基板収容領域144が区画形成され、後方に上下方向に亘って電源収容空間146が区画形成されている。
【0027】
加熱部収容領域142に収容される加熱部170は、複数の筒状の部材から構成され、これらが同心円状に配置されることで、全体として筒状体をなしている。加熱部170は、その内部にロッド500の一部を収納可能なロッド収容部172と、ロッド500を外周または中心から加熱するヒータHTR(
図10~
図19参照)と、を有する。ロッド収容部172が断熱材で構成される、又は、ロッド収容部172の内部に断熱材が設けられることで、ロッド収容部172の表面とヒータHTRは断熱されることが好ましい。ヒータHTRは、ロッド500を加熱可能な素子であればよい。ヒータHTRは、例えば、発熱素子である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。ヒータHTRとしては、例えば、温度の増加に伴って抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが好ましく用いられる。これに代えて、温度の増加に伴って抵抗値が低下するNTC(Negative Temperature
Coefficient)特性を有するヒータHTRを用いてもよい。加熱部170は、ロッド500へ供給する空気の流路を画定する機能、及びロッド500を加熱する機能を有する。ケース110には、空気を流入させるための通気口(不図示)が形成され、加熱部170に空気が流入できるように構成される。
【0028】
電源収容空間146に収容される電源BATは、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。電源BATの電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組合せで構成されていてもよい。
【0029】
通知部180は、電源BATの充電状態を示すSOC(State Of Charge)、吸引時の
予熱時間、吸引可能期間等の各種情報を通知する。本実施形態の通知部180は、8つのLED L1~L8と、振動モータMと、を含む。通知部180は、LED L1~L8のような発光素子によって構成されていてもよく、振動モータMのような振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。通知部180は、発光素子、振動素子、及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。
【0030】
各種センサは、ユーザのパフ動作(吸引動作)を検出する吸気センサ、電源BATの温度を検出する電源温度センサ、ヒータHTRの温度を検出するヒータ温度センサ、ケース110の温度を検出するケース温度センサ、スライダ119の位置を検出するカバー位置センサ、及びアウターパネル115の着脱を検出するパネル検出センサ等を含む。
【0031】
吸気センサは、例えば、開口132の近傍に配置されたサーミスタT2を主体に構成される。電源温度センサは、例えば、電源BATの近傍に配置されたサーミスタT1を主体に構成される。ヒータ温度センサは、例えば、ヒータHTRの近傍に配置されたサーミスタT3を主体に構成される。上述した通り、ロッド収容部172はヒータHTRから断熱されることが好ましい。この場合において、サーミスタT3は、ロッド収容部172の内部において、ヒータHTRと接する又は近接することが好ましい。ヒータHTRがPTC特性やNTC特性を有する場合、ヒータHTRそのものをヒータ温度センサに用いてもよい。ケース温度センサは、例えば、ケース110の左面の近傍に配置されたサーミスタT4を主体に構成される。カバー位置センサは、スライダ119の近傍に配置されたホール素子を含むホールIC14を主体に構成される。パネル検出センサは、インナーパネル118の内側の面の近傍に配置されたホール素子を含むホールIC13を主体に構成される。
【0032】
回路部160は、4つの回路基板と、複数のIC(Integrate Circuit)と、複数の素
子と、を備える。4つの回路基板は、主に後述のMCU(Micro Controller Unit)1及び
充電IC2が配置されたMCU搭載基板161と、主に充電端子134が配置されたレセプタクル搭載基板162と、操作スイッチOPS、LED L1~L8、及び後述の通信IC15が配置されたLED搭載基板163と、カバー位置センサを構成するホール素子を含む後述のホールIC14が配置されたホールIC搭載基板164と、を備える。
【0033】
MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、基板収容領域144において互いに平行に配置される。具体的に説明すると、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、それぞれの素子配置面が左右方向及び上下方向に沿って配置され、MCU搭載基板161がレセプタクル搭載基板162よりも前方に配置される。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162には、それぞれ開口部が設けられる。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、これら開口部の周縁部同士の間に円筒状のスペーサ173を介在させた状態で前後分割壁152の基板固定部156にボルト136で締結される。即ち、スペーサ173は、ケース110の内部におけるMCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162の位置を固定し、且つ、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162とを機械的に接続する。これにより、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162が接触し、これらの間で短絡電流が生じることを抑制できる。
【0034】
便宜上、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162の前方を向く面を、それぞれの主面161a、162aとし、主面161a、162aの反対面をそれぞれの副面161b、162bとすると、MCU搭載基板161の副面161bと、レセプタクル搭載基板162の主面162aとが、所定の隙間を介して対向する。MCU搭載基板161の主面161aはケース110の前面と対向し、レセプタクル搭載基板162の副面162bは、シャーシ150の前後分割壁152と対向する。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162に搭載される素子及びICについては後述する。
【0035】
LED搭載基板163は、シャーシ本体151の左側面、且つ上下に配置された2つのマグネット124の間に配置される。LED搭載基板163の素子配置面は、上下方向及び前後方向に沿って配置されている。換言すると、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162それぞれの素子配置面と、LED搭載基板163の素子配置面とは、直交している。このように、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162それぞれの素子配置面と、LED搭載基板163の素子配置面とは、直交に限らず、交差している(非平行である)ことが好ましい。なお、LED L1~L8とともに通知部180を構成する振動モータMは、シャーシ下壁155の下面に固定され、MCU搭載基板161に電気的に接続される。
【0036】
ホールIC搭載基板164は、シャーシ上壁154の上面に配置される。
【0037】
<吸引器の動作モード>
図9は、吸引器100の動作モードを説明するための模式図である。
図9に示すように、吸引器100の動作モードには、充電モード、スリープモード、アクティブモード、加熱初期設定モード、加熱モード、及び加熱終了モードが含まれる。
【0038】
スリープモードは、主にヒータHTRの加熱制御に必要な電子部品への電力供給を停止して省電力化を図るモードである。
【0039】
アクティブモードは、ヒータHTRの加熱制御を除くほとんどの機能が有効になるモードである。吸引器100は、スリープモードにて動作している状態にて、スライダ119が開かれると、動作モードをアクティブモードに切り替える。吸引器100は、アクティブモードにて動作している状態にて、スライダ119が閉じられたり、操作スイッチOPSの無操作時間が所定時間に達したりすると、動作モードをスリープモードに切り替える。
【0040】
加熱初期設定モードは、ヒータHTRの加熱制御を開始するための制御パラメータ等の初期設定を行うモードである。吸引器100は、アクティブモードにて動作している状態にて、操作スイッチOPSの操作を検出すると、動作モードを加熱初期設定モードに切り替え、初期設定が終了すると、動作モードを加熱モードに切り替える。
【0041】
加熱モードは、ヒータHTRの加熱制御(エアロゾル生成のための加熱制御と、温度検出のための加熱制御)を実行するモードである。吸引器100は、動作モードが加熱モードに切り替わると、ヒータHTRの加熱制御を開始する。
【0042】
加熱終了モードは、ヒータHTRの加熱制御の終了処理(加熱履歴の記憶処理等)を実行するモードである。吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、ヒータHTRへの通電時間又はユーザの吸引回数が上限に達したり、スライダ119が閉じられたりすると、動作モードを加熱終了モードに切り替え、終了処理が終了すると、動作モードをアクティブモードに切り替える。吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、USB接続がなされると、動作モードを加熱終了モードに切り替え、終了処理が終了すると、動作モードを充電モードに切り替える。
図9に示したように、この場合において、動作モードを充電モードに切り替える前に、動作モードをアクティブモードへ切り替えてもよい。換言すれば、吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、USB接続がなされると、動作モードを加熱終了モード、アクティブモード、充電モードの順に切り替えてもよい。
【0043】
充電モードは、レセプタクルRCPに接続された外部電源から供給される電力により、電源BATの充電を行うモードである。吸引器100は、スリープモード又はアクティブモードにて動作している状態にて、レセプタクルRCPに外部電源が接続(USB接続)されると、動作モードを充電モードに切り替える。吸引器100は、充電モードにて動作している状態にて、電源BATの充電が完了したり、レセプタクルRCPと外部電源との接続が解除されたりすると、動作モードをスリープモードに切り替える。
【0044】
<内部ユニットの回路の概略>
図10、
図11、及び
図12は、内部ユニット140の電気回路の概略構成を示す図である。
図11は、
図10に示す電気回路のうち、MCU搭載基板161に搭載される範囲161A(太い破線で囲まれた範囲)と、LED搭載基板163に搭載される範囲163A(太い実線で囲まれた範囲)とを追加した点を除いては、
図10と同じである。
図12は、
図10に示す電気回路のうち、レセプタクル搭載基板162に搭載される範囲162Aと、ホールIC搭載基板164に搭載される範囲164Aとを追加した点を除いては、
図10と同じである。
【0045】
図10において太い実線で示した配線は、内部ユニット140の基準となる電位(グランド電位)と同電位となる配線(内部ユニット140に設けられたグランドに接続される配線)であり、この配線を以下ではグランドラインと記載する。
図10では、複数の回路素子をチップ化した電子部品を矩形で示しており、この矩形の内側に各種端子の符号を記載している。チップに搭載される電源端子VCC及び電源端子VDDは、それぞれ、高電位側の電源端子を示す。チップに搭載される電源端子VSS及びグランド端子GNDは、それぞれ、低電位側(基準電位側)の電源端子を示す。チップ化された電子部品における高電位側の電源端子の電位と低電位側の電源端子の電位の差分が、当該電子部品に供給される電源電圧となる。チップ化された電子部品は、この電源電圧を用いて、各種機能を実行する。
【0046】
図11に示すように、MCU搭載基板161(範囲161A)には、主要な電子部品として、吸引器100の全体を統括制御するMCU1と、電源BATの充電制御を行う充電IC2と、コンデンサ、抵抗器、及びトランジスタ等を組み合わせて構成されたロードスイッチ(以下、LSW)3,4,5と、ROM(Read Only Memory)6と、スイッチドライバ7と、昇降圧DC/DCコンバータ8(図では、昇降圧DC/DC8と記載)と、オペアンプOP2と、オペアンプOP3と、フリップフロップ(以下、FF)16,17と、吸気センサを構成するサーミスタT2と電気的に接続されるコネクタCn(t2)(図では、このコネクタに接続されたサーミスタT2を記載)と、ヒータ温度センサを構成するサーミスタT3と電気的に接続されるコネクタCn(t3)(図では、このコネクタに接続されたサーミスタT3を記載)と、ケース温度センサを構成するサーミスタT4と電気的に接続されるコネクタCn(t4)(図では、このコネクタに接続されたサーミスタT4を記載)と、USB接続検出用の分圧回路Pcと、が設けられている。
【0047】
充電IC2、LSW3、LSW4、LSW5、スイッチドライバ7、昇降圧DC/DCコンバータ8、FF16、及びFF17の各々のグランド端子GNDは、グランドラインに接続されている。ROM6の電源端子VSSは、グランドラインに接続されている。オペアンプOP2及びオペアンプOP3の各々の負電源端子は、グランドラインに接続されている。
【0048】
図11に示すように、LED搭載基板163(範囲163A)には、主要な電子部品として、パネル検出センサを構成するホール素子を含むホールIC13と、LED L1~L8と、操作スイッチOPSと、通信IC15と、が設けられている。通信IC15は、スマートフォン等の電子機器との通信を行うための通信モジュールである。ホールIC13の電源端子VSS及び通信IC15のグランド端子GNDの各々は、グランドラインに接続されている。通信IC15とMCU1は、通信線LNによって通信可能に構成されている。操作スイッチOPSの一端はグランドラインに接続され、操作スイッチOPSの他端はMCU1の端子P4に接続されている。
【0049】
図12に示すように、レセプタクル搭載基板162(範囲162A)には、主要な電子部品として、電源BATと電気的に接続される電源コネクタ(図では、この電源コネクタに接続された電源BATを記載)と、電源温度センサを構成するサーミスタT1と電気的に接続されるコネクタ(図では、このコネクタに接続されたサーミスタT1を記載)と、昇圧DC/DCコンバータ9(図では、昇圧DC/DC9と記載)と、保護IC10と、過電圧保護IC11と、残量計IC12と、レセプタクルRCPと、MOSFETで構成されたスイッチS3~スイッチS6と、オペアンプOP1と、ヒータHTRと電気的に接続される一対(正極側と負極側)のヒータコネクタCnと、が設けられている。
【0050】
レセプタクルRCPの2つのグランド端子GNDと、昇圧DC/DCコンバータ9のグランド端子GNDと、保護IC10の電源端子VSSと、残量計IC12の電源端子VSSと、過電圧保護IC11のグランド端子GNDと、オペアンプOP1の負電源端子は、それぞれ、グランドラインに接続されている。
【0051】
図12に示すように、ホールIC搭載基板164(範囲164A)には、カバー位置センサを構成するホール素子を含むホールIC14が設けられている。ホールIC14の電源端子VSSは、グランドラインに接続されている。ホールIC14の出力端子OUTは、MCU1の端子P8に接続されている。MCU1は、端子P8に入力される信号により、スライダ119の開閉を検出する。
【0052】
図11に示すように、振動モータMと電気的に接続されるコネクタは、MCU搭載基板161に設けられている。
【0053】
<内部ユニットの回路の詳細>
以下、
図10を参照しながら各電子部品の接続関係等について説明する。
【0054】
レセプタクルRCPの2つの電源入力端子VBUSは、それぞれ、ヒューズFsを介して、過電圧保護IC11の入力端子INに接続されている。レセプタクルRCPにUSBプラグが接続され、このUSBプラグを含むUSBケーブルが外部電源に接続されると、レセプタクルRCPの2つの電源入力端子VBUSにUSB電圧VUSBが供給される。
【0055】
過電圧保護IC11の入力端子INには、2つの抵抗器の直列回路からなる分圧回路Paの一端が接続されている。分圧回路Paの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Paを構成する2つの抵抗器の接続点は、過電圧保護IC11の電圧検出端子OVLoに接続されている。過電圧保護IC11は、電圧検出端子OVLoに入力される電圧が閾値未満の状態では、入力端子INに入力された電圧を出力端子OUTから出力する。過電圧保護IC11は、電圧検出端子OVLoに入力される電圧が閾値以上(過電圧)となった場合には、出力端子OUTからの電圧出力を停止(LSW3とレセプタクルRCPとの電気的な接続を遮断)することで、過電圧保護IC11よりも下流の電子部品の保護を図る。過電圧保護IC11の出力端子OUTは、LSW3の入力端子VINと、MCU1に接続された分圧回路Pc(2つの抵抗器の直列回路)の一端と、に接続されている。分圧回路Pcの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Pcを構成する2つの抵抗器の接続点は、MCU1の端子P17に接続されている。
【0056】
LSW3の入力端子VINには、2つの抵抗器の直列回路からなる分圧回路Pfの一端が接続されている。分圧回路Pfの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Pfを構成する2つの抵抗器の接続点は、LSW3の制御端子ONに接続されている。LSW3の制御端子ONには、バイポーラトランジスタS2のコレクタ端子が接続されている。バイポーラトランジスタS2のエミッタ端子はグランドラインに接続されている。バイポーラトランジスタS2のベース端子は、MCU1の端子P19に接続されている。LSW3は、制御端子ONに入力される信号がハイレベルになると、入力端子VINに入力された電圧を出力端子VOUTから出力する。LSW3の出力端子VOUTは、充電IC2の入力端子VBUSに接続されている。
MCU1は、USB接続がなされていない間は、バイポーラトランジスタS2をオンにする。これにより、LSW3の制御端子ONはバイポーラトランジスタS2を介してグランドラインへ接続されるため、LSW3の制御端子ONにはローレベルの信号が入力される。
LSW3に接続されたバイポーラトランジスタS2は、USB接続がなされると、MCU1によってオフされる。バイポーラトランジスタS2がオフすることで、分圧回路Pfによって分圧されたUSB電圧VUSBがLSW3の制御端子ONに入力される。このため、USB接続がなされ且つバイポーラトランジスタS2がオフされると、LSW3の制御端子ONには、ハイレベルの信号が入力される。これにより、LSW3は、USBケーブルから供給されるUSB電圧VUSBを出力端子VOUTから出力する。なお、バイポーラトランジスタS2がオフされていない状態でUSB接続がなされても、LSW3の制御端子ONは、バイポーラトランジスタS2を介してグランドラインへ接続されている。このため、MCU1がバイポーラトランジスタS2をオフしない限り、LSW3の制御端子ONにはローレベルの信号が入力され続ける点に留意されたい。
【0057】
電源BATの正極端子は、保護IC10の電源端子VDDと、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINと、充電IC2の充電端子batと、に接続されている。したがって、電源BATの電源電圧VBATは、保護IC10と、充電IC2と、昇圧DC/DCコンバータ9とに供給される。電源BATの負極端子には、抵抗器Raと、MOSFETで構成されたスイッチSaと、MOSFETで構成されたスイッチSbと、抵抗器Rbと、がこの順に直列接続されている。抵抗器RaとスイッチSaの接続点には、保護IC10の電流検出端子CSが接続されている。スイッチSaとスイッチSbの各々の制御端子は、保護IC10に接続されている。抵抗器Rbの両端は、残量計IC12に接続されている。
【0058】
保護IC10は、電流検出端子CSに入力される電圧から、電源BATの充放電時において抵抗器Raに流れる電流値を取得し、この電流値が過大になった場合(過電流)に、スイッチSaとスイッチSbの開閉制御を行って、電源BATの充電又は放電を停止させることで、電源BATの保護を図る。より具体的には、保護IC10は、電源BATの充電時に過大な電流値を取得した場合には、スイッチSbをオフすることで、電源BATの充電を停止させる。保護IC10は、電源BATの放電時に過大な電流値を取得した場合には、スイッチSaをオフすることで、電源BATの放電を停止させる。また、保護IC10は、電源端子VDDに入力される電圧から、電源BATの電圧値が異常になった場合(過充電又は過電圧の場合)に、スイッチSaとスイッチSbの開閉制御を行って、電源BATの充電又は放電を停止させることで、電源BATの保護を図る。より具体的には、保護IC10は、電源BATの過充電を検知した場合には、スイッチSbをオフすることで、電源BATの充電を停止させる。保護IC10は、電源BATの過放電を検知した場合には、スイッチSaをオフすることで、電源BATの放電を停止させる。
【0059】
電源BATの近傍に配置されたサーミスタT1と接続されるコネクタには抵抗器Rt1が接続されている。抵抗器Rt1とサーミスタT1の直列回路は、グランドラインと、残量計IC12のレギュレータ端子TREGとに接続されている。サーミスタT1と抵抗器Rt1の接続点は、残量計IC12のサーミスタ端子THMに接続されている。サーミスタT1は、温度の増加に従い抵抗値が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタであってもよいし、温度の増加に従い抵抗値が減少するNTC(Negative
Temperature Coefficient)サーミスタでもよい。
【0060】
残量計IC12は、抵抗器Rbに流れる電流を検出し、検出した電流値に基づいて、電源BATの残容量、充電状態を示すSOC(State Of Charge)、及び健全状態を示すS
OH(State Of Health)等のバッテリ情報を導出する。残量計IC12は、レギュレー
タ端子TREGに接続される内蔵レギュレータから、サーミスタT1と抵抗器Rt1の分圧回路に電圧を供給する。残量計IC12は、この分圧回路によって分圧された電圧をサーミスタ端子THMから取得し、この電圧に基づいて、電源BATの温度に関する温度情報を取得する。残量計IC12は、シリアル通信を行うための通信線LNによってMCU1と接続されており、MCU1と通信可能に構成されている。残量計IC12は、導出したバッテリ情報と、取得した電源BATの温度情報を、MCU1からの要求に応じて、MCU1に送信する。なお、シリアル通信を行うためには、データ送信用のデータラインや同期用のクロックラインなどの複数の信号線が必要になる。
図10-
図19では、簡略化のため、1本の信号線のみが図示されている点に留意されたい。
【0061】
残量計IC12は、通知端子12aを備えている。通知端子12aは、MCU1の端子P6と、後述するダイオードD2のカソードと、に接続されている。残量計IC12は、電源BATの温度が過大になった等の異常を検出すると、通知端子12aからローレベルの信号を出力することで、その異常発生をMCU1に通知する。このローレベルの信号は、ダイオードD2を経由して、FF17のCLR( ̄)端子にも入力される。
【0062】
昇圧DC/DCコンバータ9のスイッチング端子SWには、リアクトルLcの一端が接続されている。このリアクトルLcの他端は昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINに接続されている。昇圧DC/DCコンバータ9は、スイッチング端子SWに接続された内蔵トランジスタのオンオフ制御を行うことで、入力された電圧を昇圧して、出力端子VOUTから出力する。なお、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINは、昇圧DC/DCコンバータ9の高電位側の電源端子を構成している。昇圧DC/DCコンバータ9は、イネーブル端子ENに入力される信号がハイレベルとなっている場合に、昇圧動作を行う。USB接続されている状態においては、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENに入力される信号は、MCU1によってローレベルに制御されてもよい。若しくは、USB接続されている状態においては、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENに入力される信号をMCU1が制御しないことで、イネーブル端子ENの電位を不定にしてもよい。
【0063】
昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTには、Pチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS4のソース端子が接続されている。スイッチS4のゲート端子は、MCU1の端子P15と接続されている。スイッチS4のドレイン端子には、抵抗器Rsの一端が接続されている。抵抗器Rsの他端は、ヒータHTRの一端と接続される正極側のヒータコネクタCnに接続されている。スイッチS4と抵抗器Rsの接続点には、2つの抵抗器からなる分圧回路Pbが接続されている。分圧回路Pbを構成する2つの抵抗器の接続点は、MCU1の端子P18と接続されている。スイッチS4と抵抗器Rsの接続点は、更に、オペアンプOP1の正電源端子と接続されている。
【0064】
昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとスイッチS4のソース端子との接続ラインには、Pチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS3のソース端子が接続されている。スイッチS3のゲート端子は、MCU1の端子P16と接続されている。スイッチS3のドレイン端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。このように、昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとヒータコネクタCnの正極側との間には、スイッチS3を含む回路と、スイッチS4及び抵抗器Rsを含む回路とが並列接続されている。スイッチS3を含む回路は、抵抗器を有さないため、スイッチS4及び抵抗器Rsを含む回路よりも低抵抗の回路である。
【0065】
オペアンプOP1の非反転入力端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。オペアンプOP1の反転入力端子は、ヒータHTRの他端と接続される負極側のヒータコネクタCnと、Nチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS6のドレイン端子と、に接続されている。スイッチS6のソース端子はグランドラインに接続されている。スイッチS6のゲート端子は、MCU1の端子P14と、ダイオードD4のアノードと、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENと、に接続されている。ダイオードD4のカソードは、FF17のQ端子と接続されている。オペアンプOP1の出力端子には抵抗器R4の一端が接続されている。抵抗器R4の他端は、MCU1の端子P9と、Nチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS5のドレイン端子と、に接続されている。スイッチS5のソース端子は、グランドラインに接続されている。スイッチS5のゲート端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。
【0066】
充電IC2の入力端子VBUSは、LED L1~L8の各々のアノードに接続されている。LED L1~L8の各々のカソードは、電流制限ための抵抗器を介して、MCU1の制御端子PD1~PD8に接続されている。すなわち、入力端子VBUSには、LED L1~L8が並列接続されている。LED L1~L8は、レセプタクルRCPに接続されたUSBケーブルから供給されるUSB電圧VUSBと、電源BATから充電IC2を経由して供給される電圧と、のそれぞれによって動作可能に構成されている。MCU1には、制御端子PD1~制御端子PD8の各々とグランド端子GNDとに接続されたトランジスタ(スイッチング素子)が内蔵されている。MCU1は、制御端子PD1と接続されたトランジスタをオンすることでLED L1に通電してこれを点灯させ、制御端子PD1と接続されたトランジスタをオフすることでLED L1を消灯させる。制御端子PD1と接続されたトランジスタのオンとオフを高速で切り替えることで、LED L1の輝度や発光パターンを動的に制御できる。LED L2~L8についても同様にMCU1によって点灯制御される。
【0067】
充電IC2は、入力端子VBUSに入力されるUSB電圧VUSBに基づいて電源BATを充電する充電機能を備える。充電IC2は、不図示の端子や配線から、電源BATの充電電流や充電電圧を取得し、これらに基づいて、電源BATの充電制御(充電端子batから電源BATへの電力供給制御)を行う。また、充電IC2は、残量計IC12からMCU1に送信された電源BATの温度情報を、通信線LNを利用したシリアル通信によってMCU1から取得し、充電制御に利用してもよい。
【0068】
充電IC2は、更に、VBATパワーパス機能と、OTG機能とを備える。VBATパワーパス機能は、充電端子batに入力される電源電圧VBATと略一致するシステム電源電圧Vcc0を、出力端子SYSから出力する機能である。OTG機能は、充電端子batに入力される電源電圧VBATを昇圧して得られるシステム電源電圧Vcc4を、入力端子VBUSから出力する機能である。充電IC2のOTG機能のオンオフは、通信線LNを利用したシリアル通信によって、MCU1により制御される。なお、OTG機能においては、充電端子batに入力される電源電圧VBATを、入力端子VBUSからそのまま出力してもよい。この場合において、電源電圧VBATとシステム電源電圧Vcc4は略一致する。
【0069】
充電IC2の出力端子SYSは、昇降圧DC/DCコンバータ8の入力端子VINに接続されている。充電IC2のスイッチング端子SWにはリアクトルLaの一端が接続されている。リアクトルLaの他端は、充電IC2の出力端子SYSに接続されている。充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)は、抵抗器を介して、MCU1の端子P22に接続されている。更に、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)には、バイポーラトランジスタS1のコレクタ端子が接続されている。バイポーラトランジスタS1のエミッタ端子は、後述のLSW4の出力端子VOUTに接続されている。バイポーラトランジスタS1のベース端子は、FF17のQ端子に接続されている。更に、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)には、抵抗器Rcの一端が接続されている。抵抗器Rcの他端は、LSW4の出力端子VOUTに接続されている。
【0070】
昇降圧DC/DCコンバータ8の入力端子VINとイネーブル端子ENには抵抗器が接続されている。充電IC2の出力端子SYSから、昇降圧DC/DCコンバータ8の入力端子VINにシステム電源電圧Vcc0が入力されることで、昇降圧DC/DCコンバータ8のイネーブル端子ENに入力される信号はハイレベルとなり、昇降圧DC/DCコンバータ8は昇圧動作又は降圧動作を開始する。昇降圧DC/DCコンバータ8は、リアクトルLbに接続された内蔵トランジスタのスイッチング制御により、入力端子VINに入力されたシステム電源電圧Vcc0を昇圧又は降圧してシステム電源電圧Vcc1を生成し、出力端子VOUTから出力する。昇降圧DC/DCコンバータ8の出力端子VOUTは、昇降圧DC/DCコンバータ8のフィードバック端子FBと、LSW4の入力端子VINと、スイッチドライバ7の入力端子VINと、FF16の電源端子VCC及びD端子と、に接続されている。昇降圧DC/DCコンバータ8の出力端子VOUTから出力されるシステム電源電圧Vcc1が供給される配線を電源ラインPL1と記載する。
【0071】
LSW4は、制御端子ONに入力される信号がハイレベルになると、入力端子VINに入力されているシステム電源電圧Vcc1を出力端子VOUTから出力する。LSW4の制御端子ONと電源ラインPL1は、抵抗器を介して接続されている。このため、電源ラインPL1にシステム電源電圧Vcc1が供給されることで、LSW4の制御端子ONにはハイレベルの信号が入力される。LSW4が出力する電圧は、配線抵抗等を無視すればシステム電源電圧Vcc1と同一であるが、システム電源電圧Vcc1と区別するために、LSW4の出力端子VOUTから出力される電圧を、以下ではシステム電源電圧Vcc2と記載する。
【0072】
LSW4の出力端子VOUTは、MCU1の電源端子VDDと、LSW5の入力端子VINと、残量計IC12の電源端子VDDと、ROM6の電源端子VCCと、バイポーラトランジスタS1のエミッタ端子と、抵抗器Rcと、FF17の電源端子VCCと、に接続されている。LSW4の出力端子VOUTから出力されるシステム電源電圧Vcc2が供給される配線を電源ラインPL2と記載する。
【0073】
LSW5は、制御端子ONに入力される信号がハイレベルになると、入力端子VINに入力されているシステム電源電圧Vcc2を出力端子VOUTから出力する。LSW5の制御端子ONは、MCU1の端子P23と接続されている。LSW5が出力する電圧は、配線抵抗等を無視すればシステム電源電圧Vcc2と同一であるが、システム電源電圧Vcc2と区別するために、LSW5の出力端子VOUTから出力される電圧を、以下ではシステム電源電圧Vcc3と記載する。LSW5の出力端子VOUTから出力されるシステム電源電圧Vcc3が供給される配線を電源ラインPL3と記載する。
【0074】
電源ラインPL3には、サーミスタT2と抵抗器Rt2の直列回路が接続され、抵抗器Rt2はグランドラインに接続されている。サーミスタT2と抵抗器Rt2は分圧回路を構成しており、これらの接続点は、MCU1の端子P21と接続されている。MCU1は、端子P21に入力される電圧に基づいて、サーミスタT2の温度変動(抵抗値変動)を検出し、その温度変動量によって、パフ動作の有無を判定する。
【0075】
電源ラインPL3には、サーミスタT3と抵抗器Rt3の直列回路が接続され、抵抗器Rt3はグランドラインに接続されている。サーミスタT3と抵抗器Rt3は分圧回路を構成しており、これらの接続点は、MCU1の端子P13と、オペアンプOP2の反転入力端子と、に接続されている。MCU1は、端子P13に入力される電圧に基づいて、サーミスタT3の温度(ヒータHTRの温度に相当)を検出する。
【0076】
電源ラインPL3には、サーミスタT4と抵抗器Rt4の直列回路が接続され、抵抗器Rt4はグランドラインに接続されている。サーミスタT4と抵抗器Rt4は分圧回路を構成しており、これらの接続点は、MCU1の端子P12と、オペアンプOP3の反転入力端子と、に接続されている。MCU1は、端子P12に入力される電圧に基づいて、サーミスタT4の温度(ケース110の温度に相当)を検出する。
【0077】
電源ラインPL2には、MOSFETにより構成されたスイッチS7のソース端子が接続されている。スイッチS7のゲート端子は、MCU1の端子P20に接続されている。スイッチS7のドレイン端子は、振動モータMが接続される一対のコネクタの一方に接続されている。この一対のコネクタの他方はグランドラインに接続されている。MCU1は、端子P20の電位を操作することでスイッチS7の開閉を制御し、振動モータMを特定のパターンで振動させることができる。スイッチS7に代えて、専用のドライバICを用いてもよい。
【0078】
電源ラインPL2には、オペアンプOP2の正電源端子と、オペアンプOP2の非反転入力端子に接続されている分圧回路Pd(2つの抵抗器の直列回路)と、が接続されている。分圧回路Pdを構成する2つの抵抗器の接続点は、オペアンプOP2の非反転入力端子に接続されている。オペアンプOP2は、ヒータHTRの温度に応じた信号(サーミスタT3の抵抗値に応じた信号)を出力する。本実施形態では、サーミスタT3としてNTC特性を持つものを用いているため、ヒータHTRの温度(サーミスタT3の温度)が高いほど、オペアンプOP2の出力電圧は低くなる。これは、オペアンプOP2の負電源端子はグランドラインへ接続されており、オペアンプOP2の反転入力端子に入力される電圧値(サーミスタT3と抵抗器Rt3による分圧値)が、オペアンプOP2の非反転入力端子に入力される電圧値(分圧回路Pdによる分圧値)より高くなると、オペアンプOP2の出力電圧の値は、グランド電位の値と略等しくなるためである。つまり、ヒータHTRの温度(サーミスタT3の温度)が高温になると、オペアンプOP2の出力電圧はローレベルになる。
なお、サーミスタT3としてPTC特性を持つものを用いる場合には、オペアンプOP2の非反転入力端子に、サーミスタT3及び抵抗器Rt3の分圧回路の出力を接続し、オペアンプOP2の反転入力端子に、分圧回路Pdの出力を接続すればよい。
【0079】
電源ラインPL2には、オペアンプOP3の正電源端子と、オペアンプOP3の非反転入力端子に接続されている分圧回路Pe(2つの抵抗器の直列回路)と、が接続されている。分圧回路Peを構成する2つの抵抗器の接続点は、オペアンプOP3の非反転入力端子に接続されている。オペアンプOP3は、ケース110の温度に応じた信号(サーミスタT4の抵抗値に応じた信号)を出力する。本実施形態では、サーミスタT4としてNTC特性を持つものを用いているため、ケース110の温度が高いほど、オペアンプOP3の出力電圧は低くなる。これは、オペアンプOP3の負電源端子はグランドラインへ接続されており、オペアンプOP3の反転入力端子に入力される電圧値(サーミスタT4と抵抗器Rt4による分圧値)が、オペアンプOP3の非反転入力端子に入力される電圧値(分圧回路Peによる分圧値)より高くなると、オペアンプOP3の出力電圧の値は、グランド電位の値と略等しくなるためである。つまり、サーミスタT4の温度が高温になると、オペアンプOP3の出力電圧が、ローレベルになる。
なお、サーミスタT4としてPTC特性を持つものを用いる場合には、オペアンプOP3の非反転入力端子に、サーミスタT4及び抵抗器Rt4の分圧回路の出力を接続し、オペアンプOP3の反転入力端子に、分圧回路Peの出力を接続すればよい。
【0080】
オペアンプOP2の出力端子には抵抗器R1が接続されている。抵抗器R1には、ダイオードD1のカソードが接続されている。ダイオードD1のアノードは、オペアンプOP3の出力端子と、FF17のD端子と、FF17のCLR( ̄)端子と、に接続されている。抵抗器R1とダイオードD1との接続ラインには、電源ラインPL1に接続された抵抗器R2が接続されている。また、この接続ラインには、FF16のCLR( ̄)端子が接続されている。
【0081】
ダイオードD1のアノード及びオペアンプOP3の出力端子の接続点と、FF17のD端子との接続ラインには、抵抗器R3の一端が接続されている。抵抗器R3の他端は電源ラインPL2に接続されている。更に、この接続ラインには、残量計IC12の通知端子12aと接続されているダイオードD2のアノードと、ダイオードD3のアノードと、FF17のCLR( ̄)端子と、が接続されている。ダイオードD3のカソードは、MCU1の端子P5に接続されている。
【0082】
FF16は、ヒータHTRの温度が過大となり、オペアンプOP2から出力される信号が小さくなって、CLR( ̄)端子に入力される信号がローレベルになると、Q( ̄)端子からハイレベルの信号をMCU1の端子P11に入力する。FF16のD端子には電源ラインPL1からハイレベルのシステム電源電圧Vcc1が供給されている。このため、FF16では、負論理で動作するCLR( ̄)端子に入力される信号がローレベルにならない限り、Q( ̄)端子からはローレベルの信号が出力され続ける。
【0083】
FF17のCLR( ̄)端子に入力される信号は、ヒータHTRの温度が過大となった場合と、ケース110の温度が過大となった場合と、残量計IC12の通知端子12aから異常検出を示すローレベルの信号が出力された場合のいずれかの場合に、ローレベルとなる。FF17は、CLR( ̄)端子に入力される信号がローレベルになると、Q端子からローレベルの信号を出力する。このローレベルの信号は、MCU1の端子P10と、スイッチS6のゲート端子と、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENと、充電IC2に接続されたバイポーラトランジスタS1のベース端子と、にそれぞれ入力される。スイッチS6のゲート端子にローレベルの信号が入力されると、スイッチS6を構成するNチャネル型MOSFETのゲート-ソース間電圧が閾値電圧未満となるため、スイッチS6がオフになる。昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENにローレベルの信号が入力されると、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENは正論理であるため、昇圧動作が停止する。バイポーラトランジスタS1のベース端子にローレベルの信号が入力されると、バイポーラトランジスタS1がオンになる(コレクタ端子から増幅された電流が出力される)。バイポーラトランジスタS1がオンになると、充電IC2のCE( ̄)端子にバイポーラトランジスタS1を介してハイレベルのシステム電源電圧Vcc2が入力される。充電IC2のCE( ̄)端子は負論理であるため、電源BATの充電が停止される。これらにより、ヒータHTRの加熱と電源BATの充電が停止される。なお、MCU1が端子P22から充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に対してローレベルのイネーブル信号を出力しようとしても、バイポーラトランジスタS1がオンされると、増幅された電流が、コレクタ端子からMCU1の端子P22および充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に入力される。これにより、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)にはハイレベルの信号が入力される点に留意されたい。
【0084】
FF17のD端子には電源ラインPL2からハイレベルのシステム電源電圧Vcc2が供給されている。このため、FF17では、負論理で動作するCLR( ̄)端子に入力される信号がローレベルにならない限り、Q端子からハイレベルの信号が出力され続ける。オペアンプOP3の出力端子からローレベルの信号が出力されると、オペアンプOP2の出力端子から出力される信号のレベルに拠らず、FF17のCLR( ̄)端子にはローレベルの信号が入力される。オペアンプOP2の出力端子からハイレベルの信号が出力される場合には、オペアンプOP3の出力端子から出力されるローレベルの信号は、ダイオードD1によってこのハイレベルの信号の影響を受けない点に留意されたい。また、オペアンプOP2の出力端子からローレベルの信号が出力される場合には、オペアンプOP3の出力端子からハイレベルの信号が出力されたとしても、ダイオードD1を介してこのハイレベルの信号はローレベルの信号に置き換わる。
【0085】
電源ラインPL2は、MCU搭載基板161からLED搭載基板163及びホールIC搭載基板164側に向けて更に分岐している。この分岐した電源ラインPL2には、ホールIC13の電源端子VDDと、通信IC15の電源端子VCCと、ホールIC14の電源端子VDDと、が接続されている。
【0086】
ホールIC13の出力端子OUTは、MCU1の端子P3と、スイッチドライバ7の端子SW2と、に接続されている。アウターパネル115が外れると、ホールIC13の出力端子OUTからローレベルの信号が出力される。MCU1は、端子P3に入力される信号により、アウターパネル115の装着有無を判定する。
【0087】
LED搭載基板163には、操作スイッチOPSと接続された直列回路(抵抗器とコンデンサの直列回路)が設けられている。この直列回路は、電源ラインPL2に接続されている。この直列回路の抵抗器とコンデンサの接続点は、MCU1の端子P4と、操作スイッチOPSと、スイッチドライバ7の端子SW1と、に接続されている。操作スイッチOPSが押下されていない状態では、操作スイッチOPSは導通せず、MCU1の端子P4とスイッチドライバ7の端子SW1にそれぞれ入力される信号は、システム電源電圧Vcc2によりハイレベルとなる。操作スイッチOPSが押下されて操作スイッチOPSが導通状態になると、MCU1の端子P4とスイッチドライバ7の端子SW1にそれぞれ入力される信号は、グランドラインへ接続されるためローレベルとなる。MCU1は、端子P4に入力される信号により、操作スイッチOPSの操作を検出する。
【0088】
スイッチドライバ7には、リセット入力端子RSTBが設けられている。リセット入力端子RSTBは、LSW4の制御端子ONに接続されている。スイッチドライバ7は、端子SW1と端子SW2に入力される信号のレベルがいずれもローレベルとなった場合(アウターパネル115が外されており、且つ、操作スイッチOPSが押下された状態)には、リセット入力端子RSTBからローレベルの信号を出力することで、LSW4の出力動作を停止させる。つまり、本来はアウターパネル115の押圧部117を介して押し下げられる操作スイッチOPSが、アウターパネル115が外れた状態でユーザによって直接押し下げられると、スイッチドライバ7の端子SW1と端子SW2に入力される信号のレベルがいずれもローレベルになる。
【0089】
<吸引器の動作モード毎の動作>
以下、
図13~
図19を参照して、
図10に示す電気回路の動作を説明する。
図13は、スリープモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図14は、アクティブモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図15は、加熱初期設定モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図16は、加熱モードにおけるヒータHTRの加熱時の電気回路の動作を説明するための図である。
図17は、加熱モードにおけるヒータHTRの温度検出時の電気回路の動作を説明するための図である。
図18は、充電モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図19は、MCU1のリセット(再起動)時の電気回路の動作を説明するための図である。
図13~
図19の各々において、チップ化された電子部品の端子のうち、破線の楕円で囲まれた端子は、電源電圧V
BAT、USB電圧V
USB、及びシステム電源電圧等の入力又は出力がなされている端子を示している。
【0090】
いずれの動作モードにおいても、電源電圧VBATは、保護IC10の電源端子VDDと、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINと、充電IC2の充電端子batに入力されている。
【0091】
<スリープモード:
図13>
MCU1は、充電IC2のV
BATパワーパス機能を有効とし、OTG機能と充電機能を無効とする。充電IC2の入力端子VBUSにUSB電圧V
USBが入力されないことで、充電IC2のV
BATパワーパス機能は有効になる。通信線LNからOTG機能を有効にするための信号がMCU1から充電IC2へ出力されないため、OTG機能は無効になる。このため、充電IC2は、充電端子batに入力された電源電圧V
BATからシステム電源電圧Vcc0を生成して、出力端子SYSから出力する。出力端子SYSから出力されたシステム電源電圧Vcc0は、昇降圧DC/DCコンバータ8の入力端子VIN及びイネーブル端子ENに入力される。昇降圧DC/DCコンバータ8は、正論理であるイネーブル端子ENにハイレベルのシステム電源電圧Vcc0が入力されることでイネーブルとなり、システム電源電圧Vcc0からシステム電源電圧Vcc1を生成して、出力端子VOUTから出力する。昇降圧DC/DCコンバータ8の出力端子VOUTから出力されたシステム電源電圧Vcc1は、LSW4の入力端子VINと、LSW4の制御端子ONと、スイッチドライバ7の入力端子VINと、FF16の電源端子VCC及びD端子と、にそれぞれ供給される。
【0092】
LSW4は、システム電源電圧Vcc1に基づく電圧が制御端子ONに入力されることで、入力端子VINに入力されたシステム電源電圧Vcc1を、出力端子VOUTからシステム電源電圧Vcc2として出力する。LSW4から出力されたシステム電源電圧Vcc2は、MCU1の電源端子VDDと、LSW5の入力端子VINと、ホールIC13の電源端子VDDと、通信IC15の電源端子VCCと、ホールIC14の電源端子VDDと、に入力される。更に、システム電源電圧Vcc2は、残量計IC12の電源端子VDDと、ROM6の電源端子VCCと、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に接続された抵抗器Rc及びバイポーラトランジスタS1と、FF17の電源端子VCCと、オペアンプOP3の正電源端子と、分圧回路Peと、オペアンプOP2の正電源端子と、分圧回路Pdと、にそれぞれ供給される。充電IC2に接続されているバイポーラトランジスタS1は、FF17のQ端子からローレベルの信号が出力されない限りはオフとなっている。そのため、LSW4で生成されたシステム電源電圧Vcc2は、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)にも入力される。充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)は負論理のため、この状態では、充電IC2による充電機能はオフとなる。
【0093】
このように、スリープモードにおいては、LSW5はシステム電源電圧Vcc3の出力を停止しているため、電源ラインPL3に接続される電子部品への電力供給は停止される。また、スリープモードにおいては、充電IC2のOTG機能は停止しているため、LED L1~L8への電力供給は停止される。
【0094】
<アクティブモード:
図14>
MCU1は、
図13のスリープモードの状態から、端子P8に入力される信号がハイレベルとなり、スライダ119が開いたことを検出すると、端子P23からLSW5の制御端子ONにハイレベルの信号を入力する。これにより、LSW5は入力端子VINに入力されているシステム電源電圧Vcc2を、システム電源電圧Vcc3として、出力端子VOUTから出力する。LSW5の出力端子VOUTから出力されたシステム電源電圧Vcc3は、サーミスタT2と、サーミスタT3と、サーミスタT4と、に供給される。
【0095】
更に、MCU1は、スライダ119が開いたことを検出すると、通信線LNを介して、充電IC2のOTG機能を有効化する。これにより、充電IC2は、充電端子batから入力された電源電圧VBATを昇圧して得られるシステム電源電圧Vcc4を、入力端子VBUSから出力する。入力端子VBUSから出力されたシステム電源電圧Vcc4は、LED L1~L8に供給される。
【0096】
<加熱初期設定モード:
図15>
図14の状態から、端子P4に入力される信号がローレベルになる(操作スイッチOPSの押下がなされる)と、MCU1は、加熱に必要な各種の設定を行った後、端子P14から、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENにハイレベルのイネーブル信号を入力する。これにより、昇圧DC/DCコンバータ9は、入力された電源電圧V
BATを昇圧して得られる駆動電圧V
bstを出力端子VOUTから出力する。駆動電圧V
bstは、スイッチS3とスイッチS4に供給される。この状態では、スイッチS3とスイッチS4はオフとなっている。また、端子P14から出力されたハイレベルのイネーブル信号によってスイッチS6はオンされる。これにより、ヒータHTRの負極側端子がグランドラインに接続されて、スイッチS3をONにすればヒータHTRを加熱可能な状態になる。MCU1の端子P14からハイレベルの信号のイネーブル信号が出力された後、加熱モードに移行する。
【0097】
<加熱モード時のヒータ加熱:
図16>
図15の状態において、MCU1は、端子P16に接続されたスイッチS3のスイッチング制御と、端子P15に接続されたスイッチS4のスイッチング制御を開始する。これらスイッチング制御は、上述した加熱初期設定モードが完了すれば自動的に開始されてもよいし、さらなる操作スイッチOPSの押下によって開始されてもよい。具体的には、MCU1は、
図16のように、スイッチS3をオンし、スイッチS4をオフして、駆動電圧V
bstをヒータHTRに供給し、エアロゾル生成のためのヒータHTRの加熱を行う加熱制御と、
図17のように、スイッチS3をオフし、スイッチS4をオンして、ヒータHTRの温度を検出する温度検出制御と、を行う。
【0098】
図16に示すように、加熱制御時においては、駆動電圧V
bstは、スイッチS5のゲートにも供給されて、スイッチS5がオンとなる。また、加熱制御時には、スイッチS3を通過した駆動電圧V
bstが、抵抗器Rsを介して、オペアンプOP1の正電源端子にも入力される。抵抗器Rsの抵抗値は、オペアンプOP1の内部抵抗値と比べると無視できるほど小さい。そのため、加熱制御時において、オペアンプOP1の正電源端子に入力される電圧は、駆動電圧V
bstとほぼ同等になる。
【0099】
なお、抵抗器R4の抵抗値は、スイッチS5のオン抵抗値よりも大きくなっている。加熱制御時にもオペアンプOP1は動作するが、加熱制御時にはスイッチS5がオンになる。スイッチS5がオンの状態では、オペアンプOP1の出力電圧が、抵抗器R4とスイッチS5の分圧回路によって分圧されて、MCU1の端子P9に入力される。抵抗器R4の抵抗値がスイッチS5のオン抵抗値よりも大きくなっていることで、MCU1の端子P9に入力される電圧は十分に小さくなる。これにより、オペアンプOP1からMCU1に対して大きな電圧が入力されるのを防ぐことができる。
【0100】
<加熱モード時のヒータ温度検出:
図17>
図17に示すように、温度検出制御時には、駆動電圧V
bstがオペアンプOP1の正電源端子に入力されると共に、分圧回路Pbに入力される。分圧回路Pbによって分圧された電圧は、MCU1の端子P18に入力される。MCU1は、端子P18に入力される電圧に基づいて、温度検出制御時における抵抗器RsとヒータHTRの直列回路に印加される基準電圧V
tempを取得する。
【0101】
また、温度検出制御時には、駆動電圧Vbst(基準電圧Vtemp)が、抵抗器RsとヒータHTRの直列回路に供給される。そして、この駆動電圧Vbst(基準電圧Vtemp)を抵抗器RsとヒータHTRによって分圧した電圧Vheatが、オペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。抵抗器Rsの抵抗値はヒータHTRの抵抗値よりも十分に大きいため、電圧Vheatは、駆動電圧Vbstよりも十分に低い値である。温度検出制御時には、この低い電圧VheatがスイッチS5のゲート端子にも供給されることで、スイッチS5はオフされる。オペアンプOP1は、反転入力端子に入力される電圧と非反転入力端子に入力される電圧Vheatの差を増幅して出力する。
【0102】
オペアンプOP1の出力信号は、MCU1の端子P9に入力される。MCU1は、端子P9に入力された信号と、端子P18の入力電圧に基づいて取得した基準電圧Vtempと、既知の抵抗器Rsの電気抵抗値と、に基づいて、ヒータHTRの温度を取得する。MCU1は、取得したヒータHTRの温度に基づいて、ヒータHTRの加熱制御(例えばヒータHTRの温度が目標温度となるような制御)を行う。
【0103】
なお、MCU1は、スイッチS3とスイッチS4をそれぞれオフにしている期間(ヒータHTRへの通電を行っていない期間)においても、ヒータHTRの温度を取得することができる。具体的には、MCU1は、端子P13に入力される電圧(サーミスタT3と抵抗器Rt3から構成される分圧回路の出力電圧)に基づいて、ヒータHTRの温度を取得する。
【0104】
また、MCU1は、任意のタイミングにて、ケース110の温度の取得も可能である。具体的には、MCU1は、端子P12に入力される電圧(サーミスタT4と抵抗器Rt4から構成される分圧回路の出力電圧)に基づいて、ケース110の温度を取得する。
【0105】
<充電モード:
図18>
図18は、スリープモードの状態でUSB接続がなされた場合を例示している。USB接続がなされると、USB電圧V
USBが過電圧保護IC11を介してLSW3の入力端子VINに入力される。USB電圧V
USBは、LSW3の入力端子VINに接続された分圧回路Pfにも供給される。USB接続がなされた直後の時点では、バイポーラトランジスタS2がオンとなっているため、LSW3の制御端子ONに入力される信号はローレベルのままとなる。USB電圧V
USBは、MCU1の端子P17に接続された分圧回路Pcにも供給され、この分圧回路Pcで分圧された電圧が端子P17に入力される。MCU1は、端子P17に入力された電圧に基づいて、USB接続がなされたことを検出する。
【0106】
MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、端子P19に接続されたバイポーラトランジスタS2をオフする。バイポーラトランジスタS2のゲート端子にローレベルの信号を入力すると、分圧回路Pfによって分圧されたUSB電圧VUSBがLSW3の制御端子ONに入力される。これにより、LSW3の制御端子ONにハイレベルの信号が入力されて、LSW3は、USB電圧VUSBを出力端子VOUTから出力する。LSW3から出力されたUSB電圧VUSBは、充電IC2の入力端子VBUSに入力される。また、LSW3から出力されたUSB電圧VUSBは、そのままシステム電源電圧Vcc4として、LED L1~L8に供給される。
【0107】
MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、更に、端子P22から、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に対してローレベルのイネーブル信号を出力する。これにより、充電IC2は、電源BATの充電機能を有効化し、入力端子VBUSに入力されるUSB電圧VUSBによる電源BATの充電を開始する。
【0108】
なお、アクティブモードの状態でUSB接続がなされた場合には、MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、端子P19に接続されたバイポーラトランジスタS2をオフし、更に、端子P22から、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に対してローレベルのイネーブル信号を出力し、更に、通信線LNを利用したシリアル通信によって、充電IC2のOTG機能をオフする。これにより、LED L1~L8に供給されるシステム電源電圧Vcc4は、充電IC2のOTG機能で生成されていた電圧(電源電圧VBATに基づく電圧)から、LSW3から出力されたUSB電圧VUSBに切り替わる。LED L1~L8は、MCU1によって内蔵トランジスタのオン制御がなされない限りは作動しない。このため、OTG機能のオンからオフへの過渡期における不安定な電圧がLED L1~L8に供給されるのは防がれる。
【0109】
<MCUのリセット:
図19>
アウターパネル115が外されてホールIC13の出力がローレベルとなり、操作スイッチOPSのオン操作がなされてMCU1の端子P4に入力される信号がローレベルになると、スイッチドライバ7の端子SW1と端子SW2が共にローレベルとなる。これにより、スイッチドライバ7は、リセット入力端子RSTBからローレベルの信号を出力する。リセット入力端子RSTBから出力されたローレベルの信号はLSW4の制御端子ONに入力される。これにより、LSW4は、出力端子VOUTからのシステム電源電圧Vcc2の出力を停止する。システム電源電圧Vcc2の出力が停止されることで、MCU1の電源端子VDDにシステム電源電圧Vcc2が入力されなくなるため、MCU1は停止する。
【0110】
スイッチドライバ7は、リセット入力端子RSTBからローレベルの信号を出力している時間が既定時間に達するか、端子SW1と端子SW2のいずれかに入力される信号がハイレベルになると、リセット入力端子RSTBから出力する信号をハイレベルに戻す。これにより、LSW4の制御端子ONがハイレベルとなり、システム電源電圧Vcc2が各部に供給される状態に復帰する。
【0111】
<電気回路の消費電力>
吸引器100を含む吸引システムでは、システムに含まれる全ての負荷のうち最も多くの電力を消費する負荷がヒータHTRとなっている。例えば、ヒータHTRの消費電力PHTRは、LED L1~L8それぞれの消費電力PLEDよりも大きくなっている。また、ヒータHTRの消費電力は、充電IC2の出力端子SYSに接続される全ての電子部品の消費電力の合計値よりも大きくなっている。そのため、ヒータHTRに接続された昇圧DC/DCコンバータ9が電源BATから供給を受けることのできる電流値は、充電IC2の出力端子SYSが出力可能な最大電流値よりも大きくすることが好ましい。
【0112】
<昇降圧DC/DCコンバータ8の好ましい形態>
昇降圧DC/DCコンバータ8のコストやサイズを小さくする観点から、昇降圧DC/DCコンバータ8の最大入力電流と最大出力電流の少なくとも一方は、充電IC2の出力端子SYSが出力可能な最大電流より小さくすることが好ましい。このような構成とすると、充電IC2の出力端子SYSが最大電流を出力した場合、昇降圧DC/DCコンバータ8には過大な電流が入力される虞がある。しかし、最も多くの電力を消費するヒータHTRが昇降圧DC/DCコンバータ8の出力端子VOUTに接続されていないため、昇降圧DC/DCコンバータ8に過大な電流が入力されることはない。従って、このような構成としても、昇降圧DC/DCコンバータ8に不具合を生じさせることなく、コストやサイズを小さくすることができる。
【0113】
<昇圧DC/DCコンバータ9の好ましい形態>
昇圧DC/DCコンバータ9は、スイッチングレギュレータであることが好ましい。
図20の例では、昇圧DC/DCコンバータ9が、PFM(Pulse Frequency Modulation)制御を行うPFMモードと、PWM(Pulse Width Modulation)制御を行うPWMモードとのいずれかで動作することで、昇圧を行うものとなっている。具体的には、昇圧DC/DCコンバータ9には、モード切替用のモード端子MODEが搭載されており、モード端子MODEの電位に応じて、動作モードの切り替えが可能に構成されている。なお、昇圧DC/DCコンバータ9がPFMモードで動作する場合の昇圧DC/DCコンバータ9のスイッチング端子SWへ入力可能な最大電流は、昇圧DC/DCコンバータ9がPWMモードで動作する場合の昇圧DC/DCコンバータ9のスイッチング端子SWへ入力可能な最大電流よりも大きいことが好ましい。
【0114】
ヒータHTRに印加される電圧は、加熱制御時と温度検出制御時とで大きく異なる。つまり、昇圧DC/DCコンバータ9の負荷は、重負荷と軽負荷で変動することになる。PWMモードは、負荷に関らずスイッチング周波数が一定なことから、軽負荷時にはスイッチング損失が支配的になり効率が低下する。一方、PFMモードは、軽負荷時には電力の追加はそれ程いらないので、スイッチング周波数が低くなってスイッチング損失が減少する。このため、軽負荷時でも高効率を維持することができる。軽負荷から重負荷へ負荷の程度が増加すると、この効率の関係は逆転し、PWMモードの方がPFMモードより高効率である。このPWMモードの方が高効率である負荷の程度は、限られた範囲である。従って、重負荷と軽負荷で昇圧DC/DCコンバータ9の負荷が変動する場合、昇圧DC/DCコンバータ9は、PFMモードで動作することが好ましい。
【0115】
PWMモードとPFMモードのどちらで動作する場合でも、昇圧DC/DCコンバータ9へ入力可能な最大電流又は昇圧DC/DCコンバータ9が出力可能な最大電流の近傍では、昇圧DC/DCコンバータ9の効率は低下する傾向にある。特に、PFMモードで動作する場合、上記のような重負荷時には効率が低下する特性を持っているため、最大電流近傍では二重の要因により、DC/DCコンバータの効率が低下する。従って、前述したように、PFMモードで動作する場合の昇圧DC/DCコンバータ9のスイッチング端子SWへ入力可能な最大電流が、PWMモードで動作する場合の昇圧DC/DCコンバータ9のスイッチング端子SWへ入力可能な最大電流よりも大きい昇圧DC/DCコンバータ9を用いる。これにより、PFMモードで昇圧DC/DCコンバータ9を動作させても、重負荷時における効率の低下を抑制できる。
【0116】
上述した効率の観点から、モード端子MODEの電位は、PFMモードが選択される電位に維持されていることが好ましい。
図20の例では、モード端子MODEがどこにも接続されない状態となっていることで、昇圧DC/DCコンバータ9の動作モードはPFMモードに固定されている。これにより、昇圧DC/DCコンバータ9のスイッチング端子SWには、より大きな電流を入力できるようになり、ヒータHTRへより大きな電流を流すことが可能になる。なお、このようなモード端子MODEの電位を不定にする構成は、具体的一例に過ぎない点に留意されたい。昇圧DC/DCコンバータ9の仕様に拠っては、モード端子MODEの電位をハイレベル又はローレベルにすることで、PFMモードが選択される場合がある。このような場合においては、PFMモードが選択されるように、モード端子MODEの電位が適切な電位に維持されればよい。
【0117】
<吸引器の効果>
以上に説明したように、吸引器100は、電源BATと、電源BATから供給される電力を消費してエアロゾル源(ロッド500)を加熱するヒータHTRが接続されるヒータコネクタCnと、電源BATからヒータHTRへの電力の供給を制御可能に構成されるMCU1と、システム電源電圧Vcc3により動作可能、且つ、MCU1とは別体の電子部品であるサーミスタT2~T4と、を備え、且つ、スリープモードで動作可能に構成される。そして、吸引器100がスリープモードで動作している時に、システム電源電圧Vcc3は、サーミスタT2~T4へ供給されないようになっている。これにより、スリープモード時にサーミスタT2~T4によって消費される電力を削減する(例えば略0(ゼロ)とする)ことができ、スリープモード時に吸引器100において消費される電力の削減を図れる。したがって、吸引器100が備える電源BATの持ちをよくすることが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができるので、吸引器100(吸引システム)に対するユーザの満足度の向上を図ることができる。なお、MCU1はコントローラの一例であり、サーミスタT2~T4は第1電子部品の一例であり、システム電源電圧Vcc3は第1アクセサリ電圧の一例である。
【0118】
また、吸引器100は、オンの時のみ、サーミスタT2~T4へシステム電源電圧Vcc3を供給するLSW5を備える。そして、MCU1は、端子P23を介してLSW5を制御可能に構成され、吸引器100がスリープモードで動作している時に、LSW5をオフする。より具体的には、上述した通り、LSW5は、LSW5の制御端子ONに対してMCU1の端子P23からハイレベルの信号が入力されることにより、LSW5の出力端子VOUTからシステム電源電圧Vcc3を出力するオンの状態となる。また、LSW5は、LSW5の制御端子ONに対してハイレベルの信号が入力されない(例えばローレベルの信号が入力される)ことにより、LSW5の出力端子VOUTからシステム電源電圧Vcc3を出力しないオフの状態となる。そして、MCU1は、吸引器100がスリープモードで動作している時には、LSW5の制御端子ONに対してMCU1の端子P23からハイレベルの信号を入力しないようにすることで、LSW5をオフに制御する。換言すれば、LSW5の制御端子ONに対してMCU1の端子P23からローレベルの信号が入力される。これにより、LSW5を介したサーミスタT2~T4へのシステム電源電圧Vcc3の供給が、スリープモード時には行われないようにすることができる。したがって、スリープモード時にサーミスタT2~T4によって消費される電力を削減することができ、スリープモード時に吸引器100において消費される電力の削減を図れる。なお、LSW5はアクセサリスイッチの一例である。
【0119】
また、吸引器100において、スリープモード時にシステム電源電圧Vcc3が供給されなくなる電子部品には、能動素子を含まないようにした。ここで、能動素子は、能動動作(例えば増幅や整流)を行う素子であり、例えば継電器やトランジスタ等である。このような能動素子は、オン(動作用電圧が供給された状態)からオフ(動作用電圧が供給されていない状態)となる過渡期、あるいはオフからオンとなる過渡期にノイズを発生させる傾向がある。
【0120】
そこで、スリープモード時にシステム電源電圧Vcc3が供給されなくなる電子部品には能動素子が含まれないようにすることで、スリープモードへの移行時やスリープモードからの復帰時に能動素子がオン/オフされること(オンからオフへの切り替え、またはオフからオンへの切り替えが行われること。以下においても同様である)を回避できる。これにより、能動素子のオン/オフに起因して発生するノイズを抑制して、このノイズにより吸引器100の動作が不安定になることを回避できる。したがって、スリープモード時に吸引器100において消費される電力の削減を図りつつ、スリープモードへの移行時やスリープモードからの復帰時における吸引器100の動作の安定化を図ることができる。
【0121】
また、吸引器100において、スリープモード時にシステム電源電圧Vcc3が供給されなくなる電子部品をサーミスタT2~T4とした。すなわち、サーミスタT2~T4のような能動動作を行わない受動素子は、能動素子に比べて、オン/オフされてもノイズを発生させにくい。このため、スリープモード時にシステム電源電圧Vcc3が供給されなくなる電子部品をサーミスタT2~T4とすることで、スリープモード時に吸引器100において消費される電力の削減を図りつつ、スリープモードへの移行時やスリープモードからの復帰時における吸引器100の動作の安定化を図ることができる。なお、スリープモード時にシステム電源電圧Vcc3が供給されなくなる電子部品は、サーミスタT2~T4のようなサーミスタのみに限らず、受動素子であれば他の電子部品(例えば抵抗器Rt2~Rt4)を含んでもよい。
【0122】
また、吸引器100は、オペアンプOP2を備える。上述した通り、オペアンプOP2は、非反転入力端子と反転入力端子と正電源端子とを含んで構成され、且つ、非反転入力端子と反転入力端子の一方(本実施形態の例では反転入力端子)がサーミスタT3へ接続される。そして、吸引器100がスリープモードで動作している時(すなわちシステム電源電圧Vcc3がサーミスタT2~T4へ供給されていない時)にも、オペアンプOP2の正電源端子へ電力が供給されるようになっている。仮に、スリープモード時にオペアンプOP2への電力供給が行われないようにすると、スリープモードから他の動作モード(例えばアクティブモード)への復帰に伴ってオペアンプOP2への電力供給が開始され、オペアンプOP2がオフの状態からオンの状態とされることになる。このようなオフからオンとなる過渡状態である時に、オペアンプOP2は、入力端子への入力によらず、出力が不安定になることがある。
【0123】
そこで、スリープモード時にもオペアンプOP2への電力供給(オペアンプOP2の正電源端子への電力供給)が行われるようにすることで、スリープモードから他の動作モード(例えばアクティブモード)への復帰に伴ってオペアンプOP2の入力端子に対してサーミスタT3の値(例えば抵抗値)に応じた電圧が印加される前に、オペアンプOP2の過渡状態を解消しておくことができる。これにより、オペアンプOP2の入力端子に対してサーミスタT3の値に応じた電圧が印加される時のオペアンプOP2の出力を安定させ、オペアンプOP2の出力に基づき吸引器100で実行される制御の精度向上を図ることができる。
【0124】
また、非反転入力端子と反転入力端子の一方(本実施形態の例では反転入力端子)がサーミスタT4へ接続されるオペアンプOP3に対しても、スリープモード時に電力供給(オペアンプOP3の正電源端子への電力供給)が行われるようになっている。これにより、スリープモードから他の動作モード(例えばアクティブモード)への復帰に伴ってオペアンプOP3の入力端子に対してサーミスタT4の値(例えば抵抗値)に応じた電圧が印加される前に、オペアンプOP3の過渡状態を解消しておくことができる。したがって、オペアンプOP3の入力端子に対してサーミスタT4の値に応じた電圧が印加される時のオペアンプOP3の出力を安定させ、オペアンプOP3の出力に基づき吸引器100で実行される制御の精度向上を図ることができる。
【0125】
また、吸引器100において、MCU1は、電源BATから生成されるシステム電源電圧Vcc2により動作可能に構成される。上述した通り、システム電源電圧Vcc2は、吸引器100がスリープモードで動作している時にもLSW4によって生成(出力)される。これに対して、上述した通り、システム電源電圧Vcc3は、吸引器100がスリープモードで動作している時にはLSW5によって生成(出力)されない。そして、吸引器100において、スリープモード時にも生成されるシステム電源電圧Vcc2により動作する電子部品の数は、スリープモード時には生成されないシステム電源電圧Vcc3により動作する電子部品の数よりも多くなっている。より具体的には、吸引器100において、システム電源電圧Vcc2により動作する電子部品には、MCU1、LSW5、ホールIC13、通信IC15、ホールIC14、残量計IC12、ROM6等がある。これに対して、システム電源電圧Vcc3により動作する電子部品は、サーミスタT2~T4の3つである。なお、上記のシステム電源電圧Vcc2により動作する電子部品の数と、システム電源電圧Vcc3により動作する電子部品の数との比較に当たっては、MCU1やホールIC13や通信IC15やホールIC14や残量計IC12やROM6といった集積回路を、1個の電子部品として扱っている点に留意されたい。
【0126】
すなわち、使用時には高温になる吸引システムの吸引器100では、安全性を担保する観点から、吸引器100の主だった電子部品に対してはスリープモード時においても電力(すなわち動作用電圧)を供給するようにすることで、吸引器100の状態を監視したり、吸引器100が意図しない振舞いをしないようにしたりすることが好ましい。その一方で、スリープモード時においても、吸引器100の全ての電子部品に対して電力が供給されるようにすると、スリープモード時に吸引器100において消費される電力を削減することができなくなる。
【0127】
そこで、スリープモード時にも生成されるシステム電源電圧Vcc2により動作する電子部品の数を、スリープモード時には生成されないシステム電源電圧Vcc3により動作する電子部品の数よりも多くする。換言すると、スリープモード時に動作する電子部品の数を通常時(スリープモード以外の時)よりも少なくする。これにより、スリープモード時に動作する電子部品の数を適切な数に制限することができる。併せて、スリープモード時に吸引器100において消費される電力を削減しつつ、吸引器100の安全性を担保することが可能となる。なお、システム電源電圧Vcc2はシステム電圧の一例である。
【0128】
また、吸引器100において、システム電源電圧Vcc3は、MCU1を動作させるために用いられるシステム電源電圧Vcc2から生成される。これにより、システム電源電圧Vcc2とシステム電源電圧Vcc3とを簡易な回路構成で実現することができる。したがって、吸引器100の回路構成が煩雑となって、吸引器100が大型化したり、吸引器100の製造コストが増大したりしてしまうことを回避できる。
【0129】
また、吸引器100において、システム電源電圧Vcc3の電圧値は、システム電源電圧Vcc2の電圧値と等しい。具体的一例として、システム電源電圧Vcc3の電圧値とシステム電源電圧Vcc2の電圧値は、3.3Vである。これにより、システム電源電圧Vcc2とシステム電源電圧Vcc3とを簡易な回路構成で実現することができる。したがって、吸引器100回路構成が煩雑となって、吸引器100が大型化したり、吸引器100の製造コストが増大したりしてしまうことを回避できる。
【0130】
また、吸引器100において、アクセサリスイッチの一例であるLSW5は、MCU1へシステム電源電圧Vcc2を供給する電源ラインPL2へ接続されており、電源ラインPL2を介して受け付けたシステム電源電圧Vcc2と等しい電圧値のシステム電源電圧Vcc3を出力するように構成される。仮に、システム電源電圧Vcc2とシステム電源電圧Vcc3との電圧値が異なるようにした場合、システム電源電圧Vcc2からシステム電源電圧Vcc3を生成するためには、昇降圧DC/DCコンバータのような電圧変換素子が必要となる。これに対して、吸引器100では、システム電源電圧Vcc2とシステム電源電圧Vcc3との電圧値が等しいため、電圧変換素子でないLSW5により、システム電源電圧Vcc2からシステム電源電圧Vcc3を生成することができる。したがって、システム電源電圧Vcc2とシステム電源電圧Vcc3とを簡易な回路構成で実現することができ、吸引器100の回路構成が煩雑となって吸引器100が大型化したり吸引器100の製造コストが増大したりしてしまうことを回避できる。
【0131】
また、吸引器100は、システム電源電圧Vcc3とは異なるシステム電源電圧Vcc4により動作可能、且つ、MCU1及びサーミスタT2~T4とは別体の電子部品であるLED L1~L8を備える。そして、吸引器100がスリープモードで動作している時に、システム電源電圧Vcc4は、LED L1~L8へ供給されないようになっている。これにより、システム電源電圧Vcc3とは異なるシステム電源電圧Vcc4により動作する電子部品であるLED L1~L8を設けても、これらがスリープモード時に動作する(すなわち電力を消費する)ことを制限できる。したがって、スリープモード時に吸引器100において消費される電力の削減を図りつつ、スリープモード以外の時におけるLED L1~L8による吸引器100の高機能化を実現することができる。なお、LED L1~L8は第2電子部品の一例であり、システム電源電圧Vcc4は第2アクセサリ電圧の一例である。
【0132】
また、吸引器100において、システム電源電圧Vcc3の電圧値は、システム電源電圧Vcc4の電圧値と異なる。具体的一例として、システム電源電圧Vcc4の電圧値は、5.0Vである。これにより、サーミスタT2~T4とLED L1~L8とのそれぞれの電子部品に対して、当該電子部品を動作させるのに適した電圧を供給することができる。したがって、サーミスタT2~T4とLED L1~L8とのそれぞれの電子部品を適切に動作させて、吸引器100の高機能化を図ることが可能となる。
【0133】
また、吸引器100において、サーミスタT2~T4へ供給されるシステム電源電圧Vcc3は、MCU1を動作させるために用いられるシステム電源電圧Vcc2から生成されるようになっている。一方、LED L1~L8へ供給されるシステム電源電圧Vcc4は、システム電源電圧Vcc2からは生成されないようになっている。なお、上述した通り、システム電源電圧Vcc3の電圧値は、システム電源電圧Vcc2の電圧値と等しく、システム電源電圧Vcc4の電圧値とは異なる。換言すると、システム電源電圧Vcc4の電圧値は、システム電源電圧Vcc2の電圧値と異なる。このように、電圧値がシステム電源電圧Vcc2と等しいシステム電源電圧Vcc3はシステム電源電圧Vcc2から生成する一方、電圧値がシステム電源電圧Vcc2とは異なるシステム電源電圧Vcc4はシステム電源電圧Vcc2から生成しないようにすることで、システム電源電圧Vcc2、システム電源電圧Vcc3、及びシステム電源電圧Vcc4を簡易な回路構成で実現することができる。したがって、吸引器100の回路構成が煩雑となって、吸引器100が大型化したり吸引器100の製造コストが増大したりしてしまうことを回避できる。
【0134】
また、吸引器100において、LED L1~L8へ供給されるシステム電源電圧Vcc4は、LSW3から出力されるUSB電圧VUSBや充電IC2のOTG機能で生成される電圧(電源電圧VBATに基づく電圧)から生成される。換言すると、システム電源電圧Vcc4は、レセプタクルRCPから供給される電圧からも生成可能である。したがって、過放電時など電源BATが利用できない時でも、LED L1~L8を動作させ、LED L1~L8により実現される吸引器100の機能をユーザが利用できるようにすることができる。
【0135】
また、吸引器100によれば、通知部としてのLED L1~L8に対し、電源BATから直接に電圧を供給するのではなく、充電IC2を経由して電圧が供給される。電源BATの電圧は変動するものであるが、この変動する電圧がLED L1~L8に直接供給されないことで、LED L1~L8を安定して動作させることができる。LEDの輝度は供給される電圧に依存するため、安定な電圧をLED L1~L8に供給することができれば、LED L1~L8の輝度を安定させることができる。また、電源BATの充電制御を主な機能とする充電IC2が、システム電源電圧Vcc4を生成してLED L1~L8に供給しているため、システム電源電圧Vcc4を生成するための専用のICが不要となる。このため、吸引器100の小型化や低コスト化が可能になる。また、充電IC2は、電源電圧VBATを昇圧してシステム電源電圧Vcc4を生成するため、LED L1~L8に高圧電力を供給することができる。これにより、LED L1~L8を高輝度で点灯させることができ、良好なユーザインタフェースを実現できる。
【0136】
また、吸引器100によれば、MCU1に対し、電源BATから直接に電力を供給するのではなく、充電IC2を経由して電力が供給される。電源BATの充電制御を主な機能とする充電IC2が、システム電源電圧Vcc0を生成してMCU1に供給しているため、システム電源電圧Vcc0を生成するための専用のICが不要となる。このため、吸引器100の小型化や低コスト化が可能になる。また、充電IC2とMCU1の間には、昇降圧DC/DCコンバータ8が設けられるため、一定電力をMCU1に供給できる。これにより、MCU1の動作を安定させることができる。
【0137】
また、吸引器100によれば、USB接続がなされてLSW3が閉じた状態では、OTG機能は実行不能となる。このため、USB接続中における電源BATの電力消費を抑制でき、使用可能な電源BATの電力量を多くできる。また、USB接続がなされた直後の時点では、LSW3は開いているため、USB接続直後のノイズや突入電流がLED L1~L8へ供給されなくなり、LED L1~L8が故障する可能性を低減できる。また、USB接続直後の時点では、OTG機能が実行可能である。このため、USB接続された直後の外部電源からの電力をLED L1~L8に供給できない過渡期であっても、OTG機能によって電源BATからLED L1~L8に電力を供給できる。したがって、LED L1~L8を動作させる機会を増やすことができ、吸引器100の商品性を向上できる。
【0138】
また、吸引器100によれば、充電IC2が電源BATの電力をMCU1等の負荷にも供給可能なため、これら負荷に電力を供給するための専用のICが不要となり、吸引器100のコストを低減できる。
【0139】
なお、充電IC2の入力端子VBUSには、LED L1~L8とは別の通知部が更に接続されていてもよい。例えば、充電IC2の入力端子VBUSと振動モータMとを接続して、システム電源電圧Vcc4やUSB電圧V
USBが振動モータMに供給されるようにしたり、充電IC2の入力端子VBUSと不図示のスピーカとを接続して、システム電源電圧Vcc4やUSB電圧V
USBがスピーカに供給されるようにしたりする構成であってもよい。また、充電IC2の入力端子VBUSには、通知部以外のIC(
図10に示されているICとは別体のIC)が接続される構成であってもよい。充電IC2の入力端子VBUSには、負荷として、通知部とこの別体のICの少なくとも一方のみが接続されていることが好ましい。
【0140】
また、吸引器100は、電源BATから充電IC2を経由してMCU1に電力を供給する第一放電経路と、電源BATから充電IC2を経由せずにヒータHTRに電力を供給する第二放電経路と、を有する。このため、第一放電経路に流すべき電流値(充電IC2の出力端子SYSが出力可能な最大電流)は、第二放電経路に流すべき電流値よりも小さくて済む。したがって、大電流に耐えうるような高価かつ大規模な充電IC2が不要になり、吸引器100の小型化や低コスト化が可能になる。MCU1とヒータHTRは同時に動作し得るが、これらが同時に動作した場合でも、第一放電経路と第二放電経路が存在することで、充電IC2に過度な負担をかけることなく、これらに十分な電力を供給できる。
【0141】
また、吸引器100によれば、大電流が流れる第二放電経路が、第一放電経路とは別の基板に設けられる。具体的には、第一放電経路はMCU搭載基板161に設けられ、第二放電経路はレセプタクル搭載基板162に設けられる。このため、1つの基板への熱集中を回避でき、吸引器100の耐久性を向上できる。
【0142】
また、吸引器100によれば、充電IC2を経由せずに電源BATから電力供給を受ける電子部品が全て同一の基板(レセプタクル搭載基板162)に設けられる。このため、電気回路が複雑化するのを防ぐことができる。
【0143】
また、吸引器100によれば、電源BATからヒータHTRへ放電する放電経路に、昇圧DC/DCコンバータ9が設けられる。このため、充電IC2の出力端子SYSの最大電流を気にせずに、昇圧DC/DCコンバータ9によって大電力をヒータHTRへ供給できる。したがって、吸引器100の低コスト化や小型化を実現しつつ、ヒータHTRによるロッド500の加熱を効率よく行うことができる。
【0144】
また、吸引器100は、USB接続時においては、充電IC2を経由せずにLED L1~L8へ放電する放電経路(レセプタクルRCPからLED L1~L8に至る経路)を有する。これにより、外部電源から充電IC2を経由してLED L1~L8に放電する経路を設ける場合と比べて、大電流に耐えうるような高価かつ大規模な充電IC2が不要になる。このため、吸引器100の低コスト化や小型化を実現できる。
【0145】
また、吸引器100では、充電IC2の入力端子VBUSに接続される電子部品が、LED L1~L8等の通知部、又は、図示されているICとは別体のICである。したがって、ノイズや突入電流が混入やすい外部電源からの電力が、MCU1、昇降圧DC/DCコンバータ8、ROM6、残量計IC12、保護IC10、昇圧DC/DCコンバータ9等の精密な電子部品に供給されるのを防ぐことができ、耐久性を高めることができる。
【0146】
また、吸引器100では、LSW3とレセプタクルRCPの間に過電圧保護IC11が設けられる。過電圧保護IC11が存在することで、USB接続された瞬間に生じ得るノイズや突入電流を、LSW3だけでなく、過電圧保護IC11によってもブロックできる。これにより、吸引器100の耐久性を高めることができる。
【0147】
また、吸引器100では、LED L1~L8のそれぞれが、MCU1の内蔵スイッチをオンしない限りは、動作しない構成である。このため、USB接続直後のノイズや突入電流がLED L1~L8へ供給されるのを防ぐことができ、LED L1~L8が故障する可能性を低減できる。また、スイッチがMCU1に内蔵されるため、MCU1の外部にスイッチが設けられる場合に比べ、スイッチの耐久性を向上できる。
【0148】
吸引器100が負荷に供給する電圧のうち大きなものとしては、システム電源電圧Vcc4と駆動電圧Vbstがある。システム電源電圧Vcc4は、外部電源からの電力と電源BATからの電力のそれぞれから生成される。一方、駆動電圧Vbstは、電源BATからの電力のみで生成される。このように、駆動電圧Vbstに関しては、外部電源の電力から生成されない構成とすることで、高電圧の電力が流れるラインが複雑化せずにすむ。これにより、回路の複雑化が回避されるので、吸引器100のコストを低減できる。また、システム電源電圧Vcc4を含む電力が供給される給電路と、駆動電圧Vbstを含む電力が供給される給電路とは別の基板上に存在する。具体的には、システム電源電圧Vcc4を含む電力が供給される給電路は、MCU搭載基板161とLED搭載基板163に設けられる。駆動電圧Vbstを含む電力が供給される給電路は、レセプタクル搭載基板162に設けられる。このように、高電圧の印加される2つの給電路が別の基板に設けられることで、これら給電路のノイズが重畳してより対処が難しいノイズになることが抑制される。このため、吸引器100を安定して動作させることができる。
【0149】
また、吸引器100では、電源BATに接続される電源コネクタと、外部電源に接続されるレセプタクルRCPと、ヒータHTRに接続されるヒータコネクタCnとが、同一の基板(レセプタクル搭載基板162)に設けられる。これにより、吸引器100内の様々な箇所における熱の発生が抑制されるので、吸引器100の耐久性が向上する。
【0150】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0151】
例えば、昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとグランドラインの間に、ヒータHTRとは別のヒータ(加熱対象がヒータHTRとは異なるもの)やその他の負荷を接続するためのコネクタが接続される構成としてもよい。
【0152】
また、
図10では、昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとヒータコネクタCnの正極側との間に、スイッチS3を含む回路と、スイッチS4及び抵抗器Rsを含む回路の並列回路が接続されるものとしているが、この並列回路を、ヒータコネクタCnの負極側とスイッチS6の間に接続し、昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとヒータコネクタCnの正極側とを直接接続する構成としてもよい。
【0153】
また、吸引器100がスリープモードにて動作している時に、MCU1自体も所定のスリープモードにて動作するようにしてもよい。MCU1自体のスリープモードでは、例えば、MCU1が備えるプロセッサのクロック周波数を通常時よりも低下させたり、MCU1が有する各種機能のうち所定の機能をオフにしたりすることが考えられる。このように、吸引器100のスリープモードに合わせてMCU1自体もスリープモードにて動作するようにすることで、吸引器100のスリープモード時にMCU1により消費される電力を削減することが可能となる。そして、MCU1がスリープモードにて動作している時に(すなわちMCU1がスリープモードにて動作していることを条件に)、システム電源電圧Vcc3がサーミスタT2~T4へ供給されないようにしたり、LSW5がオフにされる(すなわちシステム電源電圧Vcc3が生成されない)ようにしたりしてもよい。
【0154】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0155】
(1) 電源(電源BAT)と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータ(ヒータHTR)が接続されるヒータコネクタ(ヒータコネクタCn)と、
前記電源から前記ヒータへの電力の供給を制御可能に構成されるコントローラ(MCU1)と、
前記電源から生成される第1アクセサリ電圧(システム電源電圧Vcc3)により動作可能であり、且つ、前記コントローラとは別体の第1電子部品(サーミスタT2,T3,T4)と、
を備え、且つ、スリープモードで動作可能に構成されるエアロゾル生成装置の電源ユニット(吸引器100)であって、
前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時に、前記第1アクセサリ電圧は、前記第1電子部品へ供給されない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0156】
(1)によれば、電源ユニットがスリープモードで動作している時には、第1アクセサリ電圧が第1電子部品へ供給されないので、スリープモード時に第1電子部品によって消費される電力を削減することができ、スリープモード時に電源ユニットにおいて消費される電力の削減を図ることを可能にする。
【0157】
(2) (1)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
オンの時のみ、前記第1電子部品へ前記第1アクセサリ電圧を供給するアクセサリスイッチ(LSW5)を更に備え、
前記コントローラは、前記アクセサリスイッチを制御可能に構成され、前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時に前記アクセサリスイッチをオフにする、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0158】
(2)によれば、電源ユニットがスリープモードで動作している時には、第1電子部品へ第1アクセサリ電圧を供給するアクセサリスイッチをコントローラがオフにする。これにより、アクセサリスイッチを介した第1電子部品への第1アクセサリ電圧の供給が、スリープモード時には行われないようにすることができる。したがって、スリープモード時に第1電子部品によって消費される電力を削減することができ、スリープモード時に電源ユニットにおいて消費される電力の削減を図ることを可能にする。
【0159】
(3) (1)又は(2)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1電子部品は、能動素子を含まない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0160】
(3)によれば、スリープモード時に第1アクセサリ電圧が供給されなくなる電子部品に能動素子が含まれないようにすることで、スリープモードへの移行時やスリープモードからの復帰時に能動素子がオン/オフされることを回避できる。これにより、能動素子がオン/オフされることに起因して発生するノイズを抑制して、このノイズによって電源ユニットの動作が不安定になることを回避できる。したがって、スリープモード時に電源ユニットにおいて消費される電力の削減を図りつつ、スリープモードへの移行時やスリープモードからの復帰時における電源ユニットの動作の安定化を図ることができる。
【0161】
(4) (3)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1電子部品は、サーミスタ(サーミスタT2,T3,T4)を含む、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0162】
(4)によれば、スリープモード時に第1アクセサリ電圧が供給されなくなる電子部品に、オン/オフされてもノイズを発生しにくいサーミスタ(すなわち受動素子)が含まれるようにすることで、スリープモード時に電源ユニットにおいて消費される電力の削減を図りつつ、スリープモードへの移行時やスリープモードからの復帰時における電源ユニットの動作の安定化を図ることができる。
【0163】
(5) (4)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
非反転入力端子と反転入力端子と正電源端子とを含んで構成され、且つ、前記非反転入力端子と前記反転入力端子の一方が前記サーミスタへ接続されるオペアンプ(オペアンプOP2,OP3)を更に備え、
前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時にも、前記オペアンプの正電源端子へ電力が供給される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0164】
(5)によれば、電源ユニットがスリープモードで動作している時にも、サーミスタへ接続されるオペアンプへの電力供給が行われる。これにより、スリープモードからの復帰に伴ってオペアンプの入力端子に対してサーミスタの値(例えば抵抗値)に応じた電圧が印加される前に、オペアンプがオフ(動作用電圧が供給されていない状態)からオン(動作用電圧が供給された状態)となる過渡状態を解消しておくことができる。したがって、オペアンプの入力端子に対してサーミスタの値に応じた電圧が印加される時のオペアンプの出力を安定させ、オペアンプの出力に基づき電源ユニットで実行される制御の精度向上を図ることができる。
【0165】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記コントローラは、前記電源から生成されるシステム電圧によって動作可能に構成され、
前記システム電圧は、前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時にも生成される一方、前記第1アクセサリ電圧は、前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時には生成されず、
前記システム電圧により動作する電子部品の数は、前記第1アクセサリ電圧により動作する電子部品の数より多い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0166】
スリープモード時に動作する電子部品を大幅に制限すると、電源ユニットのスリープモードにおける安全性が十分に担保できなかったり、電源ユニットがスリープモードから他のモードへ遷移する際の挙動が不安定になったりする虞がある。(6)によれば、スリープモード時に動作する電子部品の数を適切な数に制限することができ、電源ユニットのスリープモードにおける安全性や、電源ユニットが動作するモードがスリープモードから他のモードへ遷移する際の挙動が向上する。
【0167】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記コントローラは、前記電源から生成されるシステム電圧によって動作可能に構成され、
前記第1アクセサリ電圧は、前記システム電圧から生成される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0168】
(7)によれば、第1アクセサリ電圧が、コントローラを動作させるために用いられるシステム電圧から生成されるので、システム電圧と第1アクセサリ電圧とを簡易な回路構成で実現することができる。したがって、電源ユニットの回路構成が煩雑となって、電源ユニットが大型化したり、電源ユニットの製造コストが増大したりしてしまうことを回避できる。
【0169】
(8) (7)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1アクセサリ電圧の電圧値は、前記システム電圧の電圧値と等しい、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0170】
(8)によれば、第1アクセサリ電圧の電圧値がシステム電圧の電圧値と等しいので、システム電圧と第1アクセサリ電圧とを簡易な回路構成で実現することができる。したがって、電源ユニットの回路構成が煩雑となって、電源ユニットが大型化したり、電源ユニットの製造コストが増大したりしてしまうことを回避できる。
【0171】
(9) (8)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
オンの時のみ、前記第1電子部品へ前記第1アクセサリ電圧を供給するアクセサリスイッチと、
前記コントローラへ前記システム電圧を供給するシステム電圧ラインと、
を更に備え、
前記アクセサリスイッチは、前記システム電圧ラインへ接続される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0172】
(9)によれば、アクセサリスイッチが、コントローラへシステム電圧を供給するシステム電圧ラインへ接続されており、第1アクセサリ電圧の電圧値がシステム電圧の電圧値と等しいので、システム電圧と第1アクセサリ電圧とを簡易な回路構成で実現することができる。したがって、電源ユニットの回路構成が煩雑となって、電源ユニットが大型化したり、電源ユニットの製造コストが増大したりしてしまうことを回避できる。
【0173】
(10) (1)から(9)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源から生成され且つ前記第1アクセサリ電圧とは異なる第2アクセサリ電圧により動作可能であり、且つ、前記コントローラ及び前記第1電子部品とは別体の第2電子部品を更に備え、
前記電源ユニットが前記スリープモードで動作している時に、前記第2アクセサリ電圧は、前記第2電子部品へ供給されない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0174】
(10)によれば、第2アクセサリ電圧により動作する第2電子部品を設けても、当該第2電子部品がスリープモード時に動作する(すなわち電力を消費する)ことを制限できる。したがって、スリープモード時に電源ユニットにおいて消費される電力の削減を図りつつ、スリープモード以外の時における第2電子部品による電源ユニットの高機能化を実現することができる。
【0175】
(11) (10)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1アクセサリ電圧の電圧値は、前記第2アクセサリ電圧の電圧値とは異なる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0176】
(11)によれば、第1アクセサリ電圧の電圧値と第2アクセサリ電圧の電圧値とが異なるので、第1電子部品と第2電子部品とのそれぞれに対して、当該電子部品を動作させるのに適した電圧を供給することができる。
【0177】
(12) (10)又は(11)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記コントローラは、前記電源から生成されるシステム電圧によって動作可能に構成され、
前記第1アクセサリ電圧の電圧値は、前記システム電圧の電圧値と等しく、
前記第1アクセサリ電圧は、前記システム電圧から生成され、
前記第2アクセサリ電圧は、前記システム電圧から生成されない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0178】
(12)によれば、電圧値がシステム電圧と等しい第1アクセサリ電圧はシステム電圧から生成されるようにし、電圧値が第1アクセサリ電圧(すなわちシステム電圧)と異なる第2アクセサリ電圧はシステム電圧から生成されないようにすることで、システム電圧、第1アクセサリ電圧、及び第2アクセサリ電圧を簡易な回路構成で実現することができる。これにより、電源ユニットの回路構成が煩雑となって、電源ユニットが大型化したり、電源ユニットの製造コストが増大したりしてしまうことを回避できる。
【0179】
(13) (10)から(12)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
外部電源へ電気的に接続可能なレセプタクル(充電端子134、レセプタクルRCP)を更に備え、
前記第2アクセサリ電圧は、前記レセプタクルから供給される電圧から生成可能である、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0180】
(13)によれば、第2アクセサリ電圧が、レセプタクルから供給される電圧から生成可能であるので、過放電時など電源が利用できない時であっても第2電子部品を動作させて、当該第2電子部品により実現される電源ユニットの機能をユーザが利用できるようにすることができる。
【符号の説明】
【0181】
100 吸引器
HTR ヒータ
BAT 電源
Cn ヒータコネクタ
RCP レセプタクル
2 充電IC
L1~L8 LED