(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241205BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20241205BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20241205BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20241205BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
H10K50/844
H10K59/12
H10K59/131
H10K77/10
(21)【出願番号】P 2024500754
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2022006090
(87)【国際公開番号】W WO2023157110
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 保
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/214855(WO,A1)
【文献】特開2015-60996(JP,A)
【文献】特開2018-170324(JP,A)
【文献】特開2020-205388(JP,A)
【文献】特開2022-106457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0104558(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0083309(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L21/336
29/786
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
上記ベース基板上に設けられ、ポリシリコンからなる第1半導体膜、第1無機絶縁膜、第1金属膜、第2無機絶縁膜、第2金属膜、第3無機絶縁膜、酸化物半導体からなる第2半導体膜、第4無機絶縁膜及び第3金属膜が順に積層された薄膜トランジスタ層とを備え、
上記薄膜トランジスタ層には、上記第1半導体膜により形成された第1半導体層を有する第1薄膜トランジスタ、上記第2半導体膜により形成された第2半導体層を有する第2薄膜トランジスタ、及び上記第2半導体膜により形成された第3半導体層を有する第3薄膜トランジスタが表示領域を構成するサブ画素毎に設けられた表示装置であって、
上記第1薄膜トランジスタは、
互いに離間するように規定された第1導体領域及び第2導体領域、
並びに上記第1導体領域及び上記第2導体領域の間に規定された第1チャネル領域を含む上記第1半導体層と、
上記第1半導体層上に上記第1チャネル領域と重なるように上記第1無機絶縁膜を介して設けられ、上記第1金属膜により形成された第1ゲート電極とを備え、
上記第2薄膜トランジスタは、
互いに離間するように規定された第3導体領域及び第4導体領域、
並びに上記第3導体領域及び上記第4導体領域の間に規定された第2チャネル領域を含む上記第2半導体層と、
上記第2半導体層上に上記第2チャネル領域と重なるように上記第4無機絶縁膜を介して設けられ、上記第3金属膜により形成された第2ゲート電極と、
上記第2半導体層の上記ベース基板側に上記第2チャネル領域と重なるように上記第3無機絶縁膜を介して設けられ、上記第2金属膜により形成された第3ゲート電極とを備え、
上記第3薄膜トランジスタは、
互いに離間するように規定された第5導体領域及び第6導体領域、
並びに上記第5導体領域及び上記第6導体領域の間に規定された第3チャネル領域を含む上記第3半導体層と、
上記第3半導体層上に上記第3チャネル領域と重なるように上記第4無機絶縁膜を介して設けられ、上記第3金属膜により形成された第4ゲート電極と、
上記第3半導体層の上記ベース基板側に上記第3チャネル領域と重なるように上記第2無機絶縁膜及び上記第3無機絶縁膜を介して設けられ、上記第1金属膜により形成された第5ゲート電極とを備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
上記第1薄膜トランジスタは、書込制御薄膜トランジスタ、駆動薄膜トランジスタ、電源供給制御薄膜トランジスタ、又は発光制御薄膜トランジスタを構成するように設けられ、
上記第2薄膜トランジスタは、キャパシタに蓄積した電荷をリセットするための第1初期化薄膜トランジスタ、又は閾値電圧補償薄膜トランジスタを構成するように設けられ、
上記第3薄膜トランジスタは、陽極に蓄積した電荷をリセットするための第2初期化薄膜トランジスタを構成するように設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された表示装置において、
上記表示領域には、複数の発光制御線が互いに並行に延びるように設けられ、
上記各発光制御線は、上記第1金属膜及び上記第3金属膜により形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載された表示装置において、
上記ベース基板は、樹脂基板であり、
上記樹脂基板上には、ベースコート膜が設けられ、
上記第1半導体膜は、ベースコート膜上に設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1つに記載された表示装置において、
上記薄膜トランジスタ層上に設けられ、複数の発光素子が配列された発光素子層と、
上記発光素子層を覆うように設けられた封止膜とを備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載された表示装置において、
上記各発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に代わる表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence、以下、「EL」とも称する)素子を用いた自発光型の有機EL表示装置が注目されている。ここで、有機EL素子は、例えば、薄膜トランジスタ(thin film transistor、以下「TFT」とも称する)が配列されたTFT層の平坦化膜上に設けられた第1電極(陽極)と、第1電極上に設けられた有機EL層と、その有機EL層上に設けられた第2電極(陰極)とを備えている。この有機EL表示装置では、画像の最小単位であるサブ画素毎に複数のTFTが設けられている。ここで、TFTを構成する半導体層としては、例えば、移動度が高いポリシリコンからなる半導体層、リーク電流が小さいIn-Ga-Zn-O等の酸化物半導体からなる半導体層等がよく知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリシリコン半導体を用いた第1のTFT、及び酸化物半導体を用いた第2のTFTが基板上にそれぞれ形成されたハイブリッド構造を有する表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、第1初期化TFT、閾値電圧補償TFT、書込制御TFT、駆動TFT、電源供給制御TFT、発光制御TFT及び第2初期化TFTの7つのTFTがサブ画素毎に設けられた有機EL表示装置において、第1初期化TFT、閾値電圧補償TFT及び第2初期化TFTに酸化物半導体を用い、書込制御TFT、駆動TFT、電源供給制御TFT及び発光制御TFTにポリシリコンを用いることが提案されている。ここで、酸化物半導体を用いたTFTは、そのオン/オフ特性を向上させると共に、遮光するために、例えば、酸化物半導体からなる半導体層と、その半導体層の下側にゲート絶縁膜を介して設けられた下側ゲート電極と、その半導体層の上側に他のゲート絶縁膜を介して設けられた上側ゲート電極とを備えたダブルゲート構造を取ることが多い。そして、第1初期化TFT、閾値電圧補償TFT及び第2初期化TFTの各下側ゲート電極を同一材料により同一層に形成しようとすると、陽極に蓄積した電荷をリセットするための第2初期化TFTでは、配線のレイアウト的に、下側ゲート電極が複雑な構成になってしまう。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、酸化物半導体を用いたダブルゲート構造のTFTを可及的に簡単な構成で形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、
ベース基板と、
上記ベース基板上に設けられ、ポリシリコンからなる第1半導体膜、第1無機絶縁膜、第1金属膜、第2無機絶縁膜、第2金属膜、第3無機絶縁膜、酸化物半導体からなる第2半導体膜、第4無機絶縁膜及び第3金属膜が順に積層された薄膜トランジスタ層とを備え、
上記薄膜トランジスタ層には、上記第1半導体膜により形成された第1半導体層を有する第1薄膜トランジスタ、上記第2半導体膜により形成された第2半導体層を有する第2薄膜トランジスタ、及び上記第2半導体膜により形成された第3半導体層を有する第3薄膜トランジスタが表示領域を構成するサブ画素毎に設けられた表示装置であって、
上記第1薄膜トランジスタは、
互いに離間するように規定された第1導体領域及び第2導体領域、
並びに上記第1導体領域及び上記第2導体領域の間に規定された第1チャネル領域を含む上記第1半導体層と、
上記第1半導体層上に上記第1チャネル領域と重なるように上記第1無機絶縁膜を介して設けられ、上記第1金属膜により形成された第1ゲート電極とを備え、
上記第2薄膜トランジスタは、
互いに離間するように規定された第3導体領域及び第4導体領域、
並びに上記第3導体領域及び上記第4導体領域の間に規定された第2チャネル領域を含む上記第2半導体層と、
上記第2半導体層上に上記第2チャネル領域と重なるように上記第4無機絶縁膜を介して設けられ、上記第3金属膜により形成された第2ゲート電極と、
上記第2半導体層の上記ベース基板側に上記第2チャネル領域と重なるように上記第3無機絶縁膜を介して設けられ、上記第2金属膜により形成された第3ゲート電極とを備え、
上記第3薄膜トランジスタは、
互いに離間するように規定された第5導体領域及び第6導体領域、
並びに上記第5導体領域及び上記第6導体領域の間に規定された第3チャネル領域を含む上記第3半導体層と、
上記第3半導体層上に上記第3チャネル領域と重なるように上記第4無機絶縁膜を介して設けられ、上記第3金属膜により形成された第4ゲート電極と、
上記第3半導体層の上記ベース基板側に上記第3チャネル領域と重なるように上記第2無機絶縁膜及び上記第3無機絶縁膜を介して設けられ、上記第1金属膜により形成された第5ゲート電極とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、酸化物半導体を用いたダブルゲート構造のTFTを可及的に簡単な構成で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の全体構成のブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の画素回路の等価回路図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置を構成するTFT層の平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置を構成するTFT層の積層構造を概略的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の画素回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0011】
《第1の実施形態》
図1~
図6は、本発明に係る表示装置の第1の実施形態を示している。なお、以下の実施形態では、発光素子層を備えた表示装置として、有機EL素子層を備えた有機EL表示装置を例示する。ここで、
図1は、本実施形態の有機EL表示装置100の全体構成のブロック図である。また、
図2は、有機EL表示装置100を構成するTFT層30の画素回路の等価回路図である。また、
図3は、有機EL表示装置100を構成するTFT層30の平面図である。また、
図4は、有機EL表示装置100の断面図である。また、
図5は、TFT層30の積層構造を概略的に示す断面図である。
図6は、有機EL表示装置100の画素回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、
図4及び
図5の断面図では、
図3の平面図内の構成要素に対応するものについて、
図3の平面図でのハッチングと同じハッチングを用いている。
【0012】
有機EL表示装置100は、
図1に示すように、複数のサブ画素Pがマトリクス状に設けられた表示領域50と、表示領域50の周囲の額縁領域に設けられたゲートドライバ60、エミッションドライバ70及びソースドライバ80とを備えている。なお、有機EL表示装置100の外部には、
図1に示すように、ゲートドライバ60、エミッションドライバ70及びソースドライバ80に電気的に接続された表示制御回路150が設けられている。
【0013】
また、有機EL表示装置100は、
図4に示すように、ベース基板として設けられた樹脂基板10と、樹脂基板10上に設けられたTFT層30と、TFT層30上に発光素子層として設けられた有機EL素子層40と、有機EL素子層40を覆うように設けられた封止膜45とを備えている。
【0014】
樹脂基板10は、例えば、ポリイミド樹脂等により構成されている。
【0015】
TFT層30は、
図4に示すように、樹脂基板10上に設けられたベースコート膜11と、ベースコート膜11上にサブ画素P毎に設けられたPチャネル型の4つの第1TFT9A、Nチャネル型の2つの第2TFT9B、Nチャネル型の1つの第3TFT9C及び1つのキャパシタ9h(
図2参照)と、各第1TFT9A、各第2TFT9B、各第3TFT9C及び各キャパシタ9h上に設けられた平坦化膜23とを備えている。また、TFT層30では、
図5に示すように、ベースコート膜11、第1半導体膜12、第1ゲート絶縁膜13、第1金属膜14、第2ゲート絶縁膜15、第2金属膜16、第3ゲート絶縁膜17、第2半導体膜18、第4ゲート絶縁膜19、第3金属膜20、層間絶縁膜21、第4金属膜22及び平坦化膜23が樹脂基板10上に順に積層されている。ここで、ベースコート膜11、第1無機絶縁膜として設けられた第1ゲート絶縁膜13、第2無機絶縁膜として設けられた第2ゲート絶縁膜15、第3無機絶縁膜として設けられた第3ゲート絶縁膜17、第4無機絶縁膜として設けられた第4ゲート絶縁膜19、及び層間絶縁膜21は、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の単層膜又は積層膜により構成されている。なお、少なくとも第3ゲート絶縁膜17及び第4ゲート絶縁膜19の後述する第2半導体層18a及び第3半導体層18b側は、酸化シリコン膜により構成されている。また、第1半導体膜12は、ポリシリコンからなり、例えば、後述する第1半導体層12a等を形成するための膜である。また、第1金属膜14は、例えば、後述する第1ゲート電極14a、第5ゲート電極14b等を形成するための膜である。また、第2金属膜16は、例えば、後述する第3ゲート電極16a等を形成するための膜である。また、第2半導体膜18は、酸化物半導体からなり、例えば、後述する第2半導体層18a、第3半導体層18b等を形成するための膜である。また、第3金属膜20は、例えば、後述する第2ゲート電極20a、第4ゲート電極20b等を形成するための膜である。また、第4金属膜22は、例えば、後述するデータ信号線D、ハイレベル電源線、ローレベル電源線等を形成するための膜である。
【0016】
TFT層30の表示領域50には、
図1に示すように、i本の第1走査信号線PS(1)~PS(i)、(i+1)本の第2走査信号線NS(0)~NS(i)、i本の発光制御線EM(1)~EM(i)、及びj本のデータ信号線D(1)~D(j)が設けられている。なお、i及びjは、2以上の整数であり、nは、1以上i以下の整数であり、mは、1以上j以下の整数である。また、
図1では、表示領域50内において、第1走査信号線PS、第2走査信号線NS及びデータ信号線Dの図示を省略している。ここで、第1走査信号線PS(1)~PS(i)は、Pチャネル型のTFT用の制御信号である第1走査信号を伝達するための信号線である。また、第2走査信号線NS(0)~NS(i)は、Nチャネル型のTFT用の制御信号である第2走査信号を伝達するための信号線である。また、発光制御線EM(1)~EM(i)は、発光制御信号を伝達するための信号線である。なお、第1走査信号線PS(1)~PS(i)と、第2走査信号線NS(0)~NS(i)と、発光制御線EM(1)~EM(i)とは、
図3に示すように、互いに平行(並行)に設けられている。また、第1走査信号線PS(1)~PS(i)と、データ信号線D(1)~D(j)とは、
図3に示すように、互いに直交するように設けられている。また、後述する
図6の等価回路図では、第1走査信号線PS(1)~PS(i)にそれぞれ与えられる第1走査信号にも符号PS(1)~PS(i)を付し、第2走査信号線NS(0)~NS(i)にそれぞれ与えられる第2走査信号にも符号NS(0)~NS(i)を付し、発光制御線EM(1)~EM(i)にそれぞれ与えられる発光制御信号にも符号EM(1)~EM(i)を付し、データ信号線D(1)~D(j)にそれぞれ与えられるデータ信号(データ電圧)にも符号D(1)~D(j)を付している。
【0017】
さらに、TFT層30の表示領域50には、後述する有機EL素子35を駆動するためのハイレベル電源電圧ELVDDを供給する電源線(以下、「ハイレベル電源線」という。)、有機EL素子35を駆動するためのローレベル電源電圧ELVSSを供給する電源線(以下、「ローレベル電源線」という。)、および初期化電圧Viniを供給する電源線(以下、「初期化電源線」という。)が設けられている。なお、本実施形態では、必要に応じて、ハイレベル電源線にも符号ELVDDを付し、ローレベル電源線にも符号ELVSSを付し、初期化電源線にも符号Viniを付している。また、ハイレベル電源電圧ELVDD、ローレベル電源電圧ELVSS、及び初期化電圧Viniは、図示しない電源回路から供給される。
【0018】
第1TFT9Aは、
図4に示すように、ベースコート膜11上に設けられた第1半導体層12aと、第1半導体層12a上に第1ゲート絶縁膜13を介して設けられた第1ゲート電極14aとを備えている。
【0019】
第1半導体層12aは、例えば、LTPS(low temperature polysilicon)等のポリシリコンにより形成され、
図4に示すように、互いに離間するように規定された第1導体領域12aa及び第2導体領域12abと、第1導体領域12aa及び第2導体領域12abの間に規定された第1チャネル領域12acとを備えている。
【0020】
第1ゲート電極14aは、
図4に示すように、第1半導体層12aの第1チャネル領域12acに重なるように設けられ、第1半導体層12aの第1導体領域12aa及び第2導体領域12abの間の導通を制御するように構成されている。
【0021】
なお、第1TFT9Aには、必要に応じて、第1ゲート絶縁膜13、第2ゲート絶縁膜15、第3ゲート絶縁膜17、第4ゲート絶縁膜19及び層間絶縁膜21の積層膜に形成された2つのコンタクトホールを介して、第1半導体層12aの第1導体領域12aa及び第2導体領域12abに電気的にそれぞれ接続され、層間絶縁膜21上に形成された第1端子電極及び第2端子電極が設けられている。
【0022】
第2TFT9Bは、
図4に示すように、第3ゲート絶縁膜17上に設けられた第2半導体層18aと、第2半導体層18a上に第4ゲート絶縁膜19を介して設けられた第2ゲート電極20aと、第2半導体層18aの樹脂基板10側に第3ゲート絶縁膜17を介して設けられた第3ゲート電極16aとを備えている。
【0023】
第2半導体層18aは、例えば、In-Ga-Zn-O系等の酸化物半導体により形成され、
図4に示すように、互いに離間するように規定された第3導体領域18aa及び第4導体領域18abと、第3導体領域18aa及び第4導体領域18abの間に規定された第2チャネル領域18acとを備えている。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、Ga及びZnの割合(組成比)は特に限定されない。また、In-Ga-Zn-O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。また、In-Ga-Zn-O系の半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。他の酸化物半導体としては、例えば、In-Sn-Zn-O系半導体(例えば、In2O3-SnO2-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。ここで、In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)及びZn(亜鉛)の三元系酸化物である。また、他の酸化物半導体としては、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体、InGaO3(ZnO)5、酸化マグネシウム亜鉛(MgxZn1-xO)、酸化カドミウム亜鉛(CdxZn1-xO)等を含んでいてもよい。なお、Zn-O系半導体としては、1族元素、13族元素、14族元素、15族元素、17族元素等のうち1種又は複数種の不純物元素が添加されたZnOの非晶質(アモルファス)状態のもの、多結晶状態のもの、非晶質状態と多結晶状態が混在する微結晶状態のもの、又は何も不純物元素が添加されていないものを用いることができる。
【0024】
第2ゲート電極20aは、
図4に示すように、第2半導体層18aの第2チャネル領域18acに重なるように設けられ、第2半導体層18aの第3導体領域18aa及び第4導体領域18abの間の導通を制御するように構成されている。
【0025】
第3ゲート電極16aは、
図4に示すように、第2半導体層18aの第2チャネル領域18acに重なるように設けられ、第2半導体層18aの第3導体領域18aa及び第4導体領域18abの間の導通を制御するように構成されている。ここで、第3ゲート電極16aは、第2ゲート電極20aと同じ信号(第2走査信号)が入力されると共に、第2半導体層18aの第2チャネル領域18acを遮光するように設けられている。
【0026】
なお、第2TFT9Bには、必要に応じて、第4ゲート絶縁膜19及び層間絶縁膜21の積層膜に形成された2つのコンタクトホールを介して、第2半導体層18aの第3導体領域18aa及び第4導体領域18abに電気的にそれぞれ接続され、層間絶縁膜21上に形成された第3端子電極及び第4端子電極が設けられている。
【0027】
第3TFT9Cは、
図4に示すように、第3ゲート絶縁膜17上に設けられた第3半導体層18bと、第3半導体層18b上に第4ゲート絶縁膜19を介して設けられた第4ゲート電極20bと、第3半導体層18bの樹脂基板10側に第2ゲート絶縁膜15及び第3ゲート絶縁膜17を介して設けられた第5ゲート電極14bとを備えている。ここで、第3TFT9Cでは、半導体層(第3半導体層18b)と下側ゲート電極(第5ゲート電極14b)との間に第2ゲート絶縁膜15及び第3ゲート絶縁膜17が配置され、第2TFT9Bでは、半導体層(第2半導体層18a)と下側ゲート電極(第3ゲート電極16a)との間に第3ゲート絶縁膜17が配置されていることにより、半導体層と下側ゲート電極との間に配置する無機絶縁膜の厚さは、第2TFT9Bよりも第3TFT9Cで厚くなっている。そのため、第3TFT9Cは、第2TFT9Bよりも駆動能力が低くなってしまう。しかしながら、第3TFT9Cは、後述する(高速でリセットする必要がない)第2初期化TFT9gを構成するので、駆動能力が低くても特に問題がない。また、第2初期化TFT9gの近傍に配置する発光制御線EMは、後述するように、第1金属膜14により形成された配線層と、第3金属膜20により形成された配線層とにより構成され、、第2金属膜16により形成された配線層を含まない構成になるので、発光制御線EMの電気容量を減らすことができ、その結果、エミッションドライバ70の駆動能力を低く設定することができる。
【0028】
第3半導体層18bは、第2半導体層18aと同様に、例えば、In-Ga-Zn-O系等の酸化物半導体により形成され、
図4に示すように、互いに離間するように規定された第5導体領域18ba及び第6導体領域18bbと、第5導体領域18ba及び第6導体領域18bbの間に規定された第3チャネル領域18bcとを備えている。
【0029】
第4ゲート電極20bは、
図4に示すように、第3半導体層18bの第3チャネル領域18bcに重なるように設けられ、第3半導体層18bの第5導体領域18ba及び第6導体領域18bbの間の導通を制御するように構成されている。
【0030】
第5ゲート電極14bは、
図4に示すように、第3半導体層18bの第3チャネル領域18bcに重なるように設けられ、第3半導体層18bの第5導体領域18ba及び第6導体領域18bbの間の導通を制御するように構成されている。ここで、第5ゲート電極14bは、第4ゲート電極20bと同じ信号(第2走査信号)が入力されると共に、第3半導体層18bの第3チャネル領域18bcを遮光するように設けられている。
【0031】
なお、第3TFT9Cには、必要に応じて、第4ゲート絶縁膜19及び層間絶縁膜21の積層膜に形成された2つのコンタクトホールを介して、第3半導体層18bの第5導体領域18ba及び第6導体領域18bbに電気的にそれぞれ接続され、層間絶縁膜21上に形成された第5端子電極及び第6端子電極が設けられている。
【0032】
本実施形態では、ポリシリコンにより形成された第1半導体層12aを有するPチャネル型の4つの第1TFT9Aとして、後述する書込制御TFT9c、駆動TFT9d、電源供給制御TFT9e及び発光制御TFT9fを例示し、酸化物半導体により形成された第2半導体層18aを有するNチャネル型の2つの第2TFT9Bとして、後述する第1初期化TFT9a及び閾値電圧補償TFT9bを例示し、酸化物半導体により形成された第3半導体層18bを有するNチャネル型の1つの第3TFT9Cとして、第2初期化TFT9gを例示する(
図2参照)。なお、
図2の等価回路図では、各TFT9c、9d、9e、9fの第1端子電極及び第2端子電極を丸数字の1及び2で示し、各TFT9a、9bの第3端子電極及び第4端子電極を丸数字の3及び4で示し、TFT9gの第5端子電極及び第6端子電極を丸数字の5及び6で示し、後述するキャパシタ9hの第1容量電極及び第2容量電極を丸数字の7及び8で示している。
【0033】
第1初期化TFT9aは、
図2及び
図3に示すように、(n-1)行目の第2走査信号線NS(n-1)の第3金属膜20により形成された配線層が第2ゲート電極(20a)として機能し、(n-1)行目の第2走査信号線NS(n-1)の第2金属膜16により形成された配線層が第3ゲート電極(16a)として機能し、その第3端子電極が初期化電源線Viniに電気的に接続され、その第4端子電極が閾値電圧補償TFT9bの第4端子電極、駆動TFT9dの第1ゲート電極(14a)、及びキャパシタ9hの第2容量電極に接続されている。
【0034】
閾値電圧補償TFT9bは、
図2及び
図3に示すように、n行目の第2走査信号線NS(n)の第3金属膜20により形成された配線層が第2ゲート電極(20a)として機能し、n行目の第2走査信号線NS(n)の第2金属膜16により形成された配線層が第3ゲート電極(16a)として機能し、その第3端子電極が駆動TFT9dの第2端子電極、及び発光制御TFT9fの第1端子電極に電気的に接続され、その第4端子電極が第1初期化TFT9aの第4端子電極、駆動TFT9dの第1ゲート電極(14a)、及びキャパシタ9hの第2容量電極に電気的に接続されている。
【0035】
書込制御TFT9cは、
図2及び
図3に示すように、n行目の第1走査信号線PS(n)が第1ゲート電極(14a)として機能し、その第1端子電極がm列目のデータ信号線D(m)に電気的に接続され、その第2端子電極が駆動TFT9dの第1端子電極、及び電源供給制御TFT9eの第2端子電極に電気的に接続されている。
【0036】
駆動TFT9dは、
図2及び
図3に示すように、その第1ゲート電極(14a)が第1初期化TFT9aの第4端子電極、閾値電圧補償TFT9bの第4端子電極、及びキャパシタ9hの第2容量電極に電気的に接続され、その第1端子電極が書込制御TFT9cの第2端子電極、電源供給制御TFT9eの第2端子電極に電気的に接続され、その第2端子電極が閾値電圧補償TFT9bの第3端子電極、及び発光制御TFT9fの第1端子電極に電気的に接続されている。なお、駆動TFT9dの第1端子電極には、有機EL素子35を発光させる期間にハイレベル電源電圧ELVDDが入力され、キャパシタ9hへの書き込みを行う期間にデータ信号D(m)が入力される。
【0037】
電源供給制御TFT9eは、
図2及び
図3に示すように、n行目の発光制御線EM(n)が第1ゲート電極(14a)として機能し、その第1端子電極がハイレベル電源線ELVDD、及びキャパシタ9hの第1容量電極に電気的に接続され、その第2端子電極が書込制御TFT9cの第2端子電極、及び駆動TFT9dの第1端子電極に電気的に接続されている。なお、発光制御線EMは、
図3に示すように、第1金属膜14により形成された配線層と、第3金属膜20により形成された配線層とを備えている。
【0038】
発光制御TFT9fは、
図2及び
図3に示すように、n行目の発光制御線EM(n)が第1ゲート電極(14a)として機能し、その第1端子電極が閾値電圧補償TFT9bの第3端子電極、及び駆動TFT9dの第2端子電極に電気的に接続され、その第2端子電極が第2初期化TFT9gの第6端子電極、及び有機EL素子35の後述する第1電極31に電気的に接続されている。
【0039】
第2初期化TFT9gは、
図2及び
図3に示すように、n行目の発光制御線EM(n)の第3金属膜20により形成された配線層が第4ゲート電極(20b)として機能し、n行目の発光制御線EM(n)の第1金属膜14により形成された配線層が第5ゲート電極(14b)として機能し、その第5端子電極が初期化電源線Viniに電気的に接続され、その第6端子電極が発光制御TFT9fの第2端子電極、及び有機EL素子35の第1電極31に電気的に接続されている。
【0040】
キャパシタ9hは、例えば、第2金属膜16により形成された第1容量電極と、第1金属膜14により形成された第2容量電極と、それらの第1容量電極及び第2容量電極の間に設けられた第2ゲート絶縁膜15とを備えている。ここで、キャパシタ9hは、その第1容量電極がハイレベル電源線ELVDD、電源供給制御TFT9eの第1端子電極に電気的に接続され、その第2容量電極が第1初期化TFT9aの第4端子電極、閾値電圧補償TFT9bの第4端子電極、及び駆動TFT9dの第1ゲート電極(14a)に電気的に接続されている。なお、キャパシタ9hは、上述した第2金属膜16により形成された第1容量電極と、第1金属膜14により形成された第2容量電極と、それらの第1容量電極及び第2容量電極の間に設けられた第2ゲート絶縁膜15とを備えた第1のキャパシタに加えて、第2金属膜16により形成された第3容量電極と、第3金属膜20により形成された第4容量電極と、それらの第3容量電極及び第4容量電極の間に設けられた第3ゲート絶縁膜17とを備えた第2のキャパシタが設けられていてもよい。
【0041】
平坦化膜23は、表示領域50において、平坦な表面を有し、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等の有機樹脂材料、又はポリシロキサン系のSOG(spin on glass)材料等により構成されている。
【0042】
有機EL素子層40は、
図4に示すように、複数のサブ画素Pに対応して、マトリクス状に配列するように複数の発光素子として設けられた複数の有機EL素子35と、各有機EL素子35の後述する第1電極31の周端部を覆うように全てのサブ画素Pに共通して格子状に設けられたエッジカバー32とを備えている。
【0043】
有機EL素子35は、
図4に示すように、各サブ画素Pにおいて、TFT層30の平坦化膜23上に設けられた第1電極(陽極)31と、第1電極31上に設けられた有機EL層33と、有機EL層33上に設けられた第2電極(陰極)34とを備えている。
【0044】
第1電極31は、平坦化膜23に形成されたコンタクトホールを介して、各サブ画素Pの発光制御用TFT9fの第4端子電極に電気的に接続されている。また、第1電極31は、有機EL層33にホール(正孔)を注入する機能を有している。また、第1電極31は、有機EL層33への正孔注入効率を向上させるために、仕事関数の大きな材料で形成するのがより好ましい。ここで、第1電極31を構成する材料としては、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、金(Au)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、マンガン(Mn)、インジウム(In)、イッテルビウム(Yb)、フッ化リチウム(LiF)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、スズ(Sn)等の金属材料が挙げられる。また、第1電極31を構成する材料は、例えば、アスタチン(At)/酸化アスタチン(AtO2)等の合金であっても構わない。さらに、第1電極31を構成する材料は、例えば、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような導電性酸化物等であってもよい。また、第1電極31は、上記材料からなる層を複数積層して形成されていてもよい。なお、仕事関数の大きな化合物材料としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等が挙げられる。
【0045】
有機EL層33は、第1電極31上に順に設けられた正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を備えている。ここで、正孔注入層は、陽極バッファ層とも呼ばれ、第1電極31と有機EL層33とのエネルギーレベルを近づけ、第1電極31から有機EL層33への正孔注入効率を改善する機能を有している。なお、正孔注入層を構成する材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体等が挙げられる。また、正孔輸送層は、第1電極31から有機EL層33への正孔の輸送効率を向上させる機能を有している。なお、正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、ポルフィリン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリ-p-フェニレンビニレン、ポリシラン、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミン置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、水素化アモルファスシリコン、水素化アモルファス炭化シリコン、硫化亜鉛、セレン化亜鉛等が挙げられる。また、発光層は、第1電極31及び第2電極34による電圧印加の際に、第1電極31及び第2電極34から正孔及び電子がそれぞれ注入されると共に、正孔及び電子が再結合する領域である。なお、発光層を構成する材料としては、例えば、金属オキシノイド化合物[8-ヒドロキシキノリン金属錯体]、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ジフェニルエチレン誘導体、ビニルアセトン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ブタジエン誘導体、クマリン誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリル誘導体、スチリルアミン誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、トリススチリルベンゼン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、アミノピレン誘導体、ピリジン誘導体、ローダミン誘導体、アクイジン誘導体、フェノキサゾン、キナクリドン誘導体、ルブレン、ポリ-p-フェニレンビニレン、ポリシラン等が挙げられる。また、電子輸送層は、電子を発光層まで効率良く移動させる機能を有している。なお、電子輸送層を構成する材料としては、例えば、有機化合物として、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、シロール誘導体、金属オキシノイド化合物等が挙げられる。また、電子注入層は、第2電極34と有機EL層33とのエネルギーレベルを近づけ、第2電極34から有機EL層33へ電子が注入される効率を向上させる機能を有し、この機能により、有機EL素子35の駆動電圧を下げることができる。なお、電子注入層を構成する材料としては、例えば、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、フッ化バリウム(BaF2)のような無機アルカリ化合物、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ストロンチウム(SrO)等が挙げられる。
【0046】
第2電極34は、
図4に示すように、各有機EL層33及びエッジカバー32を覆うように全てのサブ画素Pに共通して設けられている。また、第2電極34は、有機EL層33に電子を注入する機能を有している。また、第2電極34は、有機EL層33への電子注入効率を向上させるために、仕事関数の小さな材料で構成するのがより好ましい。また、第2電極34は、
図2に示すように、ローレベル電源線ELVSSに電気的に接続されている。ここで、第2電極34を構成する材料としては、例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、バナジウム(V)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、ナトリウム(Na)、マンガン(Mn)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、イッテルビウム(Yb)、フッ化リチウム(LiF)等が挙げられる。また、第2電極34は、例えば、マグネシウム(Mg)/銅(Cu)、マグネシウム(Mg)/銀(Ag)、ナトリウム(Na)/カリウム(K)、アスタチン(At)/酸化アスタチン(AtO2)、リチウム(Li)/アルミニウム(Al)、リチウム(Li)/カルシウム(Ca)/アルミニウム(Al)、フッ化リチウム(LiF)/カルシウム(Ca)/アルミニウム(Al)等の合金により形成されていてもよい。また、第2電極34は、例えば、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の導電性酸化物により形成されていてもよい。また、第2電極34は、上記材料からなる層を複数積層して形成されていてもよい。なお、仕事関数が小さい材料としては、例えば、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、フッ化リチウム(LiF)、マグネシウム(Mg)/銅(Cu)、マグネシウム(Mg)/銀(Ag)、ナトリウム(Na)/カリウム(K)、リチウム(Li)/アルミニウム(Al)、リチウム(Li)/カルシウム(Ca)/アルミニウム(Al)、フッ化リチウム(LiF)/カルシウム(Ca)/アルミニウム(Al)等が挙げられる。
【0047】
エッジカバー32は、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等の有機樹脂材料、又はポリシロキサン系のSOG材料等により構成されている。
【0048】
封止膜45は、
図4に示すように、第2電極34を覆うように設けられ、第2電極34上に順に積層された第1無機封止膜41、有機封止膜42及び第2無機封止膜43を備え、有機EL素子層35の有機EL層33を水分や酸素から保護する機能を有している。
【0049】
第1無機封止膜41及び第2無機封止膜43は、例えば、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜等の無機絶縁膜により構成されている。
【0050】
有機封止膜42は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリ尿素樹脂、パリレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の有機樹脂材料により構成されている。
【0051】
次に、上記構成の有機EL表示装置100の動作について説明する。
【0052】
<周辺回路の動作>
表示制御回路150は、
図1に示すように、外部から送られる入力画像信号DIN及びタイミング信号群(水平同期信号、垂直同期信号等)TGを受け取り、デジタル映像信号DV、ゲートドライバ60の動作を制御するゲート制御信号GCTL、エミッションドライバ70の動作を制御するエミッションドライバ制御信号EMCTL、及びソースドライバ80の動作を制御するソース制御信号SCTLを出力する。ここで、ゲート制御信号GCTLには、ゲートスタートパルス信号、ゲートクロック信号等が含まれる。また、エミッションドライバ制御信号EMCTLには、エミッションスタートパルス信号、エミッションクロック信号等が含まれる。また、ソース制御信号SCTLには、ソーススタートパルス信号、ソースクロック信号、ラッチストローブ信号等が含まれる。
【0053】
ゲートドライバ60は、第1走査信号線PS(1)~PS(i)及び2走査信号線NS(0)~NS(i)に電気的に接続されている。そして、ゲートドライバ60は、表示制御回路150から出力されたゲート制御信号GCTLに基づいて、第1走査信号線PS(1)~PS(i)に第1走査信号を印加し、第2走査信号線NS(0)~NS(i)に第2走査信号を印加する。
【0054】
エミッションドライバ70は、発光制御線EM(1)~EM(i)に電気的に接続されている。そして、エミッションドライバ70は、表示制御回路150から出力されたエミッションドライバ制御信号EMCTLに基づいて、発光制御線EM(1)~EM(i)に発光制御信号を印加する。
【0055】
ソースドライバ80は、図示しないjビットのシフトレジスタ、サンプリング回路、ラッチ回路、及びj個のD/Aコンバータ等を含んでいる。ここで、シフトレジスタは、縦続接続されたj個のレジスタを有し、ソースクロック信号に基づき、初段のレジスタに供給されるソーススタートパルス信号のパルスを入力端から出力端へと順次に転送し、そのパルスの転送に応じて、各段のレジスタからサンプリングパルスが出力される。そして、サンプリング回路は、そのサンプリングパルスに基づいて、デジタル映像信号DVを記憶する。そして、ラッチ回路は、サンプリング回路に記憶された1行分のデジタル映像信号DVをラッチストローブ信号に従って取り込んで保持する。そして、D/Aコンバータは、各データ信号線D(1)~D(j)に対応するように設けられ、ラッチ回路に保持されたデジタル映像信号DVをアナログ電圧に変換し、その変換されたアナログ電圧を、データ信号(データ電圧)として全てのデータ信号線D(1)~D(j)に一斉に印加する。
【0056】
以上のようにして、データ信号線D(1)~D(j)にデータ信号が印加され、第1走査信号線PS(1)~PS(i)に第1走査信号が印加され、第2走査信号線NS(0)~NS(i)に第2走査信号が印加され、発光制御線EM(1)~EM(i)に発光制御信号が印加されることによって、入力画像信号DINに基づく画像が表示領域50に表示される。
【0057】
<表示領域の画素回路の動作>
以下に、
図6のタイミングチャートを用いて、本実施形態の有機EL表示装置100の画素回路の動作について説明する。なお、この画素回路の動作は、1例であって、これには限定されない。
【0058】
まず、時刻t01以前には、第1走査信号PS(n)は、ハイレベルとなっており、第2走査信号NS(n-1)、第2走査信号NS(n)、及び発光制御信号EM(n)は、ローレベルとなっている。このとき、電源供給制御TFT9e及び発光制御TFT9fは、オン状態となっていて、第2初期化TFT9gは、オフ状態となっている。したがって、時刻t01以前では、キャパシタ9hの充電電圧に応じた駆動電流が有機EL素子35に供給され、その駆動電流の大きさに応じて有機EL素子35が発光している。
【0059】
時刻t01になると、発光制御信号EM(n)がローレベルからハイレベルに変化することにより、電源供給制御TFT9e及び発光制御TFT9fがオフ状態となる。その結果、有機EL素子35への駆動電流の供給が遮断され、有機EL素子35は、消灯状態となる。また、発光制御信号EM(n)がローレベルからハイレベルに変化することによって、第2初期化TFT9gは、オン状態となる。これにより、有機EL素子35の第1電極31の電圧が初期化電圧Viniに基づいて初期化される。
【0060】
時刻t02になると、第2走査信号NS(n-1)がローレベルからハイレベルに変化することにより、第1初期化TFT9aがオン状態となる。その結果、駆動TFT9dのゲート電圧が初期化される。すなわち、駆動TFT9dのゲート電圧が初期化電圧Viniに等しくなる。
【0061】
時刻t03になると、第2走査信号NS(n-1)がハイレベルからローレベルに変化することにより、第1初期化TFT9aがオフ状態となる。また、時刻t03には、第2走査信号NS(n)がローレベルからハイレベルに変化する。これにより、閾値電圧補償TFT9bは、オン状態となる。
【0062】
時刻t04になると、第1走査信号PS(n)がハイレベルからローレベルに変化することにより、書込制御TFT9cがオン状態となる。ここで、閾値電圧補償TFT9bが時刻t03にオン状態となっているので、時刻t04に書込制御TFT9cがオン状態となることにより、書込制御TFT9c、駆動TFT9d及び閾値電圧補償TFT9bを介して、データ信号D(m)がキャパシタ9hの第2容量電極に入力される。これにより、キャパシタ9hは、充電される。
【0063】
時刻t05になると、第1走査信号PS(n)がローレベルからハイレベルに変化することにより、書込制御TFT9cがオフ状態となる。
【0064】
時刻t06になると、第2走査信号NS(n)がハイレベルからローレベルに変化することにより、閾値電圧補償TFT9bがオフ状態となる。
【0065】
時刻t07になると、発光制御信号EM(n)がハイレベルからローレベルに変化することにより、第2初期化TFT9gがオフ状態となると共に電源供給制御TFT9e及び発光制御TFT9fがオン状態となる。これにより、キャパシタ9hの充電電圧に応じた駆動電流が有機EL素子35に供給され、その結果、その駆動電流の大きさに応じて有機EL素子35が発光する。
【0066】
このようにして、有機EL表示装置100では、各サブ画素Pにおいて、有機EL素子35が駆動電流に応じた輝度で発光して、画像表示が行われる。
【0067】
次に、本実施形態の有機EL表示装置100の製造方法について説明する。なお、有機EL表示装置100の製造方法は、TFT層形成工程、有機EL素子層形成工程及び封止膜形成工程を備える。
【0068】
<TFT層形成工程>
まず、例えば、ガラス基板上に形成した樹脂基板10上に、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、酸化シリコン膜(厚さ100nm程度)を成膜することにより、ベースコート膜11を形成する。
【0069】
続いて、ベースコート膜11が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、アモルファスシリコン膜(厚さ50nm程度)を成膜し、そのアモルファスシリコン膜をレーザーアニール等により結晶化してポリシリコンからなる第1半導体膜12を形成した後に、第1半導体膜12をパターニングして、第1半導体層12a等を形成する。
【0070】
その後、第1半導体層12a等が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、酸化シリコン膜(厚さ100nm程度)を成膜することにより、第1ゲート絶縁膜13を形成する。
【0071】
さらに、第1ゲート絶縁膜13が形成された基板表面に、例えば、スパッタリング法により、モリブデン膜(厚さ250nm程度)等を成膜して第1金属膜14を形成した後に、第1金属膜14をパターニングして、第1ゲート電極14a及び第5ゲート電極14b等を形成する。
【0072】
続いて、第1ゲート電極14aをマスクとして、不純物イオンをドーピングすることにより、第1半導体層12aの一部を導体化して、第1半導体層12aに第1導体領域12aa、第2導体領域12ab及び第1チャネル領域12acを形成する。
【0073】
その後、第1半導体層12aの一部が導体化された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、窒化シリコン膜(厚さ100nm程度)を成膜することにより、第2ゲート絶縁膜15を形成する。
【0074】
さらに、第2ゲート絶縁膜15が形成された基板表面に、例えば、スパッタリング法により、モリブデン膜(厚さ250nm程度)等を成膜して第2金属膜16を形成した後に、第2金属膜16をパターニングして、第3ゲート電極16a等を形成する。
【0075】
続いて、第3ゲート電極16a等が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、窒化シリコン膜(厚さ150nm程度)及び酸化シリコン膜(厚さ50nm程度)を順に成膜して第3ゲート絶縁膜17を形成し、さらに、スパッタリング法により、InGaZnO4(厚さ30nm程度)等を成膜して酸化物半導体からなる第2半導体膜18を形成した後に、第2半導体膜18をパターニングすることにより、第2半導体層18a及び第3半導体膜18bを形成する。
【0076】
その後、第2半導体層18a等が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、酸化シリコン膜(厚さ100nm程度)を成膜することにより、第4ゲート絶縁膜19を形成する。
【0077】
さらに、第4ゲート絶縁膜19が形成された基板表面に、例えば、スパッタリング法により、モリブデン膜(厚さ250nm程度)等を成膜して第3金属膜20を形成した後に、第3金属膜20をパターニングして、第2ゲート電極20a及び第4ゲート電極20b等を形成する。
【0078】
続いて、第2ゲート電極20a等が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、酸化シリコン膜(厚さ300nm程度)及び窒化シリコン膜(厚さ150nm程度)を順に成膜することにより、層間絶縁膜21を形成する。なお、層間絶縁膜21を形成した後の熱処理により、第2半導体層18aの一部、及び第3半導体膜18bの一部を導体化して、第2半導体層18aに第3導体領域18aa、第4導体領域18ab及び第2チャネル領域18acが形成され、第3半導体膜18bに第5導体領域18ba、第6導体領域18bb及び第3チャネル領域18bcが形成される。
【0079】
その後、層間絶縁膜21が形成された基板表面において、第1ゲート絶縁膜13、第2ゲート絶縁膜15、第3ゲート絶縁膜17、第4ゲート絶縁膜19及び層間絶縁膜21を適宜パターニングすることにより、コンタクトホールを形成する。
【0080】
さらに、コンタクトホールが形成された基板表面に、例えば、スパッタリング法により、チタン膜(厚さ50nm程度)、アルミニウム膜(厚さ400nm程度)及びチタン膜(厚さ50nm程度)等を順に成膜して第4金属膜22を形成した後に、その第4金属膜22をパターニングして、第1端子電極、第2端子電極、第3端子電極、第4端子電極、第5端子電極及び第6端子電極を形成する。
【0081】
最後に、第1端子電極等が形成された基板表面に、例えば、スピンコート法やスリットコート法により、ポリイミド系の感光性樹脂膜(厚さ2μm程度)を塗布した後に、その塗布膜に対して、プリベーク、露光、現像及びポストベークを行うことにより、平坦化膜23を形成する。
【0082】
以上のようにして、TFT層30を形成することができる。
【0083】
<有機EL素子層形成工程>
上記TFT層形成工程で形成されたTFT層30の平坦化膜23上に、周知の方法を用いて、第1電極31、エッジカバー32、有機EL層33及び第2電極34を形成して、有機EL素子層40を形成する。
【0084】
<封止膜形成工程>
まず、上記有機EL素子層形成工程で形成された有機EL素子層40が形成された基板表面に、マスクを用いて、例えば、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜等の無機絶縁膜をプラズマCVD法により成膜して、第1無機封止膜41を形成する。
【0085】
続いて、第1無機封止膜41が形成された基板表面に、例えば、インクジェット法により、アクリル樹脂等の有機樹脂材料を成膜して、有機封止膜42を形成する。
【0086】
その後、有機封止膜42が形成された基板表面に、マスクを用いて、例えば、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜等の無機絶縁膜をプラズマCVD法により成膜して、第2無機封止膜43を形成することにより、封止膜45を形成する。
【0087】
最後に、封止膜45が形成された基板表面に保護シート(不図示)を貼付した後に、樹脂基板10のガラス基板側からレーザー光を照射することにより、樹脂基板10の下面からガラス基板を剥離させ、ガラス基板を剥離させた樹脂基板10の下面に保護シート(不図示)を貼付する。
【0088】
以上のようにして、本実施形態の有機EL表示装置100を製造することができる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の有機EL表示装置100によれば、第1電極31に蓄積した電荷をリセットするための第2初期化TFT9gを構成する第3TFT9Cは、酸化物半導体からなる第2半導体膜18により形成された第3半導体層18b上に第4ゲート絶縁膜19を介して設けられた第4ゲート電極20bと、第3半導体層18bの樹脂基板10側に第2ゲート絶縁膜15及び第3ゲート絶縁膜17を介して設けられた第5ゲート電極14bとを備えている。これに対して、キャパシタ9hに蓄積した電荷をリセットするための第1初期化TFT9a及び閾値電圧補償TFT9bを構成する第2TFT9Bは、第2半導体膜18により形成された第2半導体層18a上に第4ゲート絶縁膜19を介して設けられた第2ゲート電極20aと、第2半導体層18aの樹脂基板10側に第3ゲート絶縁膜17を介して設けられた第3ゲート電極16aとを備えている。そのため、第3TFT9cでは、第3半導体層18bと第5ゲート電極14bとの間の無機絶縁膜が第2TFT9Bにおける第2半導体層18aと第3ゲート電極16aとの間の無機絶縁膜よりも第2ゲート絶縁膜15の厚さの分だけ厚くなっている。ここで、第2初期化TFT9gでは、第1初期化TFT9aと比較して高速でリセットする必要がないので、第3半導体層18bと第5ゲート電極14bとの間の無機絶縁膜を厚くすることにより、第2初期化TFT9g(第3TFT9C)の駆動能力を敢えて低下させる。これにより、初期化電圧Viniの電位の変動を抑制することができるので、第1初期化TFT9aのリセット電位を安定化させることができる。また、第2初期化TFT9g(第3TFT9C)の近傍に配置する発光制御線EMを第1金属膜14により形成された配線層と、第3金属膜20により形成されて配線層との2層構造とすることができるので、発光制御線EMの電気容量を減らすことができる。これにより、発光制御線EMに発光制御信号を印加するエミッションドライバ70の駆動能力を低下させることができるので、額縁領域の幅を狭くする狭額縁化を実現することができる。したがって、酸化物半導体を用いたダブルゲート構造の第2TFT9B及び第3TFT9Cを可及的に簡単な構成で形成することができる。
【0090】
また、本実施形態の有機EL表示装置100によれば、酸化物半導体からなる第2半導体膜18により形成された第2半導体層18a及び第3半導体層18bを備えた第2TFT9B及び第3TFT9Cにおいて、バックゲートとして、第3ゲート電極16a及び第5ゲート電極14bがそれぞれ設けられているので、第2半導体層18aの第2チャネル領域18ac、及び第3半導体層18bの第3チャネル領域18bcを遮光することができる。
【0091】
また、本実施形態の有機EL表示装置100によれば、酸化物半導体からなる第2半導体膜18により形成された第2半導体層18a及び第3半導体層18bを備えた第2TFT9B及び第3TFT9Cがダブルゲート構造を有しているので、そのオン/オフ特性を向上させることができる。
【0092】
また、本実施形態の有機EL表示装置100によれば、樹脂基板10と第1半導体層12aとの間に無機絶縁膜からなるベースコート膜11が設けられているので、第1半導体層12aの膜剥がれを抑制することができる。
【0093】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層の5層積層構造の有機EL層を例示したが、有機EL層は、例えば、正孔注入層兼正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層兼電子注入層の3層積層構造であってもよい。
【0094】
また、上記各実施形態では、第1電極を陽極とし、第2電極を陰極とした有機EL表示装置を例示したが、本発明は、有機EL層の積層構造を反転させ、第1電極を陰極とし、第2電極を陽極とした有機EL表示装置にも適用することができる。
【0095】
また、上記各実施形態では、表示装置として有機EL表示装置を例に挙げて説明したが、本発明は、電流によって駆動される複数の発光素子を備えた表示装置に適用することができ、例えば、量子ドット含有層を用いた発光素子であるQLED(Quantum-dot light emitting diode)を備えた表示装置に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように、本発明は、フレキシブルな表示装置について有用である。
【符号の説明】
【0097】
EM 発光制御線
P サブ画素
9A 第1TFT(第1薄膜トランジスタ)
9B 第2TFT(第2薄膜トランジスタ)
9C 第3TFT(第3薄膜トランジスタ)
9a 第1初期化TFT(第1初期化薄膜トランジスタ、第2薄膜トランジスタ)
9b 閾値電圧補償TFT(閾値電圧補償薄膜トランジスタ、第2薄膜トランジスタ)
9c 書込制御TFT(書込制御薄膜トランジスタ、第1薄膜トランジスタ)
9d 駆動TFT(駆動薄膜トランジスタ、第1薄膜トランジスタ)
9e 電源供給制御TFT(電源供給制御薄膜トランジスタ、第1薄膜トランジスタ)
9f 発光制御TFT(発光制御薄膜トランジスタ、第1薄膜トランジスタ)
9g 第2初期化TFT(第3薄膜トランジスタ)
10 樹脂基板(ベース基板)
11 ベースコート膜
12 第1半導体膜
13 第1ゲート絶縁膜(第1無機絶縁膜)
14 第1金属膜
15 第2ゲート絶縁膜(第2無機絶縁膜)
16 第2金属膜
17 第3ゲート絶縁膜(第3無機絶縁膜)
18 第2半導体膜
19 第3ゲート絶縁膜(第4無機絶縁膜)
20 第3金属膜
30 TFT層(薄膜トランジスタ層)
31 第1電極(陽極)
35 有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子、発光素子)
40 有機EL素子層(発光素子層)
45 封止膜
50 表示領域
100 有機EL表示装置