(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-04
(45)【発行日】2024-12-12
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20241205BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20241205BHJP
H01L 29/866 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L29/78 656A
H01L29/78 652S
H01L29/78 652F
H01L29/78 657Z
H01L29/78 652Q
H01L29/78 653C
H01L29/90 S
(21)【出願番号】P 2024552326
(86)(22)【出願日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 JP2024014542
【審査請求日】2024-09-02
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】勝田 浩人
(72)【発明者】
【氏名】平子 正明
(72)【発明者】
【氏名】今村 武司
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-161977(JP,A)
【文献】特開2012-119577(JP,A)
【文献】国際公開第2020/129786(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0166740(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0202470(US,A1)
【文献】特開2013-65759(JP,A)
【文献】特開2023-83120(JP,A)
【文献】特許第7323735(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/866
H01L 21/329
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、
半導体基板を含む半導体層と、
前記半導体層の上面側で、前記半導体層の第1の領域内に、その全体が形成された第1の縦型MOSトランジスタと、
前記半導体層の平面視において、前記第1の領域に隣接した第2の領域内に、その全体が形成された第2の縦型MOSトランジスタと、
前記半導体層の下面側で、前記半導体基板に接触接続して形成された金属層と、を備え、
前記半導体基板は、前記第1の縦型MOSトランジスタおよび前記第2の縦型MOSトランジスタの共通ドレイン領域であり、
前記平面視において、前記半導体層は正方形状であり、
前記平面視において、前記第1の領域と前記第2の領域とは第1の方向に並び、
前記平面視において、前記第1の領域と前記第2の領域との境界線は、前記第1の方向に直交し、前記半導体層を面積で二等分し、前記半導体層の中心を通る一直線状であり、
前記平面視で、前記第1の領域に備わるパッドは、前記第1の縦型MOSトランジスタの第1のソース電極に接続された1つの第1のソースパッドと、前記第1の縦型MOSトランジスタの第1のゲート電極に接続された1つの第1のゲートパッドとのみであり、
前記第1の縦型MOSトランジスタは、
前記第1のゲート電極に接続された第1のゲート抵抗素子と、
前記平面視で前記第1のゲートパッドを内包する矩形状の領域であって、前記第1のソース電極と前記第1のゲート抵抗素子とを共に含まない範囲で面積が最大となる第1のゲート電極領域と、
前記平面視で前記第1のゲート抵抗素子を内包する矩形状の領域であって、前記第1のソース電極と前記第1のゲート電極領域とを共に含まない範囲で面積が最大となる第1の抵抗素子領域と、を有し、
前記平面視において、前記第1のゲート電極領域の外周辺のうちの1辺の全長、および、前記第1の抵抗素子領域の外周辺のうちの1辺の全長は、前記半導体層の外周辺のうち、前記境界線と直交し、前記第1のゲートパッドとの間の距離が最短となる辺の一部と一致し、
前記平面視において、前記第1の抵抗素子領域の外周辺には、前記第1のゲート電極領域の外周における4つの角部のうち、前記境界線との間の距離が最短であり、かつ前記半導体層の外周辺のうち、前記境界線と直交する辺との間の距離が最短となる1つの角部のみが含まれる
半導体装置。
【請求項2】
前記平面視で、前記第2の領域に備わるパッドは、前記第2の縦型MOSトランジスタの第2のソース電極に接続された1つの第2のソースパッドと、前記第2の縦型MOSトランジスタの第2のゲート電極に接続された1つの第2のゲートパッドとのみであり、
前記第2の縦型MOSトランジスタは、
前記第2のゲート電極に接続された第2のゲート抵抗素子と、
前記平面視で前記第2のゲートパッドを内包する矩形状の領域であって、前記第2のソース電極と前記第2のゲート抵抗素子とを共に含まない範囲で面積が最大となる第2のゲート電極領域と、
前記平面視で前記第2のゲート抵抗素子を内包する矩形状の領域であって、前記第2のソース電極と前記第2のゲート電極領域とを共に含まない範囲で面積が最大となる第2の抵抗素子領域と、を有し、
前記平面視において、前記第2のゲート電極領域の外周辺のうちの1辺の全長、および、前記第2の抵抗素子領域の外周辺のうちの1辺の全長は、前記半導体層の外周辺のうち、前記境界線と直交し、前記第2のゲートパッドとの間の距離が最短となる辺の一部と一致し、
前記平面視において、前記第2の抵抗素子領域の外周辺には、前記第2のゲート電極領域の外周における4つの角部のうち、前記境界線との間の距離が最短であり、かつ前記半導体層の外周辺のうち、前記境界線と直交する辺との間の距離が最短となる1つの角部のみが含まれ、
前記平面視において、前記第2のソースパッド、前記第2のゲートパッド、前記第2のゲート電極領域、および、前記第2の抵抗素子領域は、それぞれ前記第1のソースパッド、前記第1のゲートパッド、前記第1のゲート電極領域、および、前記第1の抵抗素子領域と、前記境界線を対称の軸とした線対称の関係にあるように配置された
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記平面視において、前記第1の抵抗素子領域の外周辺のうちの1辺の全長は、前記境界線の一部と一致する
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記平面視において、前記第1のゲート電極領域の外周辺のうちの1辺の全長は、前記半導体層の外周辺のうち、前記境界線と平行する辺の一部と一致する
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記平面視において、前記第1のゲート電極領域と前記第1の抵抗素子領域とを合わせて第1の制御領域とし 、
前記平面視において、前記半導体層の外周辺のうち、前記境界線と平行する2辺で、前記第1のゲートパッドとの間の距離が最短となる一方の辺を第1辺とし、前記第1辺と対向する他方の辺を第2辺とし、
前記平面視において、前記半導体層の外周辺のうち、前記境界線と直交する2辺で、前記第1のゲートパッドとの間の距離が最短となる一方の辺を第3辺とし、前記第3辺と対向する他方の辺を第4辺とすると、
前記平面視において、前記第1の制御領域の外周辺と前記第3辺とが一致する部分の長さは、前記第3辺の長さの半分であり、
前記平面視において、前記第1の制御領域の外周辺と前記半導体層の外周辺とが一致する部分の長さは、前記第1の制御領域の外周辺と前記第3辺とが一致する部分の長さが最も長い
請求項3または請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記平面視において、前記第1のソース電極の外周辺は、前記境界線に最近接する部分において最も長い
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記平面視において、前記第1の領域には、前記半導体層の上面から前記半導体層の一部までの深さに形成された第1のゲートトレンチと、前記第1のゲート電極に接続された第1のゲート配線と、が形成され、
前記平面視において、前記第1のゲートトレンチは前記境界線と直交する方向に延伸し、
前記平面視において、前記第1のゲート配線は、前記第4辺に最近接する部分を除いて、前記第1のソース電極を取り囲むように設置されている
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記平面視において、前記第1の領域には、前記半導体層の上面から前記半導体層の一部までの深さに形成された第1のゲートトレンチと、前記第1のゲート電極に接続された第1のゲート配線と、が形成され、
前記平面視において、前記第1のゲートトレンチは前記境界線と平行する方向に延伸し、
前記平面視において、前記第1のゲート配線は、前記第1辺に最近接する部分を除いて、前記第1のソース電極を取り囲むように設置されている
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記平面視において、前記第1の領域には、前記半導体層の上面から前記半導体層の一部までの深さに形成された第1のゲートトレンチと、前記第1のゲート電極と前記第1のソース電極とに接続された第1のツェナーダイオードと、が形成され、
前記平面視において、前記第1のツェナーダイオードと前記第1のソース電極とを接続する第1の接続領域は、前記第1のゲート電極領域の外周辺のうち、前記第1のソース電極と対向し、さらに前記第1のゲートトレンチが延伸する方向と平行な辺のみと重複する
請求項5に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関し、特にはチップサイズパッケージ型の半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1チップで双方向の導通を制御できるデュアル構成の縦型MOSトランジスタでは導通抵抗の低減や小型化が求められている。デュアル構成の縦型MOSトランジスタでは、必要最小限のパッド数だけを備えた4パッド構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
縦型MOSトランジスタが形成された半導体装置においてESD(Electro Static Discharge)の耐性を向上させるために、半導体装置に抵抗素子を設置する場合がある。しかし抵抗素子が備わることで、縦型MOSトランジスタの導通に寄与する領域の面積が減少してしまい、導通抵抗の低減が困難となることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る半導体装置は、フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、半導体基板を含む半導体層と、前記半導体層の上面側で、前記半導体層の第1の領域内に、その全体が形成された第1の縦型MOSトランジスタと、前記半導体層の平面視において、前記第1の領域に隣接した第2の領域内に、その全体が形成された第2の縦型MOSトランジスタと、前記半導体層の下面側で、前記半導体基板に接触接続して形成された金属層と、を備え、前記半導体基板は、前記第1の縦型MOSトランジスタおよび前記第2の縦型MOSトランジスタの共通ドレイン領域であり、前記平面視において、前記半導体層は正方形状であり、前記平面視において、前記第1の領域と前記第2の領域とは第1の方向に並び、前記平面視において、前記第1の領域と前記第2の領域との境界線は、前記第1の方向に直交し、前記半導体層を面積で二等分し、前記半導体層の中心を通る一直線状であり、前記平面視で、前記第1の領域に備わるパッドは、前記第1の縦型MOSトランジスタの第1のソース電極に接続された1つの第1のソースパッドと、前記第1の縦型MOSトランジスタの第1のゲート電極に接続された1つの第1のゲートパッドとのみであり、前記第1の縦型MOSトランジスタは、前記第1のゲート電極に接続された第1のゲート抵抗素子と、前記平面視で前記第1のゲートパッドを内包する矩形状の領域であって、前記第1のソース電極と前記第1のゲート抵抗素子とを共に含まない範囲で面積が最大となる第1のゲート電極領域と、前記平面視で前記第1のゲート抵抗素子を内包する矩形状の領域であって、前記第1のソース電極と前記第1のゲート電極領域とを共に含まない範囲で面積が最大となる第1の抵抗素子領域と、を有し、前記平面視において、前記第1のゲート電極領域の外周辺のうちの1辺の全長、および、前記第1の抵抗素子領域の外周辺のうちの1辺の全長は、前記半導体層の外周辺のうち、前記境界線と直交し、前記第1のゲートパッドとの間の距離が最短となる辺の一部と一致し、前記平面視において、前記第1の抵抗素子領域の外周辺には、前記第1のゲート電極領域の外周における4つの角部のうち、前記境界線との間の距離が最短であり、かつ前記半導体層の外周辺のうち、前記境界線と直交する辺との間の距離が最短となる1つの角部のみが含まれる。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様に係る半導体装置によれば、小型のデュアル構成の縦型MOSトランジスタで、ESD耐性を向上させながら、導通抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る半導体装置の構造の一例を示す断面模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る半導体装置のパッドの配置の一例を示す平面模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る半導体装置の構成要素の形状と配置の一例を示す平面模式図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る半導体装置の等価回路を示す回路図である。
【
図5A】
図5Aは、実施の形態に係る第1のトランジスタの略単位構成の平面模式図である。
【
図5B】
図5Bは、実施の形態に係る第1のトランジスタの略単位構成の斜視模式図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る半導体装置の構成要素の形状と配置の一例を示す平面図である。
【
図7A】
図7Aは、比較例1に係る半導体装置の構成要素の形状と配置を示す平面模式図である。
【
図7B】
図7Bは、比較例1に係る半導体装置の構成要素の形状と配置を示す平面模式図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る半導体装置の構成要素の形状と配置の一例を示す平面模式図である。
【
図9A】
図9Aは、比較例2に係る半導体装置の構成要素の配置を示す平面模式図である。
【
図9B】
図9Bは、比較例3に係る半導体装置の構成要素の配置を示す平面模式図である。
【
図9C】
図9Cは、比較例4に係る半導体装置の構成要素の配置を示す平面模式図である。
【
図9D】
図9Dは、比較例5に係る半導体装置の構成要素の配置を示す平面模式図である。
【
図9E】
図9Eは、比較例6に係る半導体装置の構成要素の配置を示す平面模式図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る半導体装置の構成要素の形状と配置の一例を示す平面模式図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る半導体装置の構成要素の形状と配置の一例を示す平面模式図である。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る半導体装置の構成要素の形状と配置の一例を示す平面模式図である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係る半導体装置の構成要素の形状と配置の一例を示す平面模式図である。
【
図14】
図14は、実施の形態に係る半導体装置の構成要素の形状と配置の一例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。
【0009】
本開示において、「AとBとが電気的に接続される」とは、AとBとが配線を介して直接的に接続される場合と、AとBとが配線を介さず直接的に接続される場合と、AとBとが抵抗成分(抵抗素子、抵抗配線)を介して間接的に接続される場合と、を含む。
【0010】
(実施の形態)
[1.半導体装置の構造]
以下、実施の形態に係る半導体装置の構造について説明する。
【0011】
実施の形態に係る半導体装置は、半導体基板に2つの縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを形成した、フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ(Chip Size Package:CSP)型の半導体デバイスである。上記2つの縦型MOSトランジスタは、パワートランジスタであり、いわゆる、トレンチMOS型FET(Field Effect Transistor)である。
【0012】
図1は、実施の形態に係る半導体装置1の構造の一例を示す断面模式図である。
図2は半導体装置1のパッドの配置の一例を示す平面模式図である。
図1は、
図2のI―Iにおける断面である。
【0013】
図1および
図2に示すように、半導体装置1は、半導体層40と、金属層30と、半導体層40の第1の領域A1内にその全体が形成された第1の縦型MOSトランジスタ10(以下、トランジスタ10とも称する)と、半導体層40の第2の領域A2内にその全体が形成された第2の縦型MOSトランジスタ20(以下、トランジスタ20とも称する)と、を有する。
【0014】
第1の領域A1内にその全体が形成されたトランジスタ10とは、平面視で、トランジスタ10を構成する要素のすべてが第1の領域A1の内部に含まれていて、第2の領域A2内には含まれないことを意味する。同様に、第2の領域A2内にその全体が形成されたトランジスタ20とは、平面視で、トランジスタ20を構成する要素のすべてが第2の領域A2の内部に含まれていて、第1の領域A1内には含まれないことを意味する。
【0015】
本開示では、半導体基板32と低濃度不純物層33とを合わせて半導体層40とよぶ。半導体基板32は、半導体層40の下面側(裏面側ともいう)に配置され、第1導電型の不純物を含むシリコンからなる。
【0016】
低濃度不純物層33は、半導体層40の上面側(表面側ともいう)に配置され、半導体基板32に接触して形成され、半導体基板32の第1導電型の不純物の濃度より低い濃度の第1導電型の不純物を含む、第1導電型の不純物層である。低濃度不純物層33は、例えば、エピタキシャル成長により半導体基板32上に形成されてもよい。
【0017】
金属層30は、半導体層40の裏面側、すなわち半導体基板32の裏面側に接触接続して形成され、銀(Ag)もしくは銅(Cu)からなる。なお、金属層30には、金属材料の製造工程において不純物として混入する金属以外の元素が微量に含まれていてもよい。また、金属層30は半導体層40の裏面側の全面に形成されていなくてもよい。
【0018】
図1に示すように、低濃度不純物層33の第1の領域A1には、第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第2導電型の第1のボディ領域18が形成されている。第1のボディ領域18には、第1導電型の不純物を含む第1導電型の第1のソース領域14が形成されている。
【0019】
また、第1の領域A1には、半導体層40の上面から第1のソース領域14および第1のボディ領域18を貫通して低濃度不純物層33の一部までの深さに形成された複数の第1のゲートトレンチ17が形成されており、さらに第1のゲート導体15が、第1のゲートトレンチ17の内部で第1のゲート絶縁膜16上に形成されている。第1のゲート導体15は、半導体層40の内部に埋め込まれた、埋め込みゲート電極であり、第1のゲートパッド119に電気的に接続される。
【0020】
第1のソース電極11は部分12と部分13とからなり、部分12は、部分13を介して第1のソース領域14および第1のボディ領域18に接続されている。
【0021】
第1のソース電極11の部分12は、フェイスダウン実装におけるリフロー時にはんだと接合される層であり、限定されない一例として、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウムのうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。部分12の表面には、金などのめっきが施されてもよい。
【0022】
第1のソース電極11の部分13は、部分12と半導体層40とを接続する層であり、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0023】
低濃度不純物層33の第2の領域A2には、第2導電型の不純物を含む第2導電型の第2のボディ領域28が形成されている。第2のボディ領域28には、第1導電型の不純物を含む第1導電型の第2のソース領域24が形成されている。
【0024】
また、第2の領域A2には、半導体層40の上面から第2のソース領域24および第2のボディ領域28を貫通して低濃度不純物層33の一部までの深さに形成された複数の第2のゲートトレンチ27が形成されており、さらに第2のゲート導体25が、第2のゲートトレンチ27の内部で第2のゲート絶縁膜26上に形成されている。第2のゲート導体25は、半導体層40の内部に埋め込まれた、埋め込みゲート電極であり、第2のゲートパッド129に電気的に接続される。
【0025】
第2のソース電極21は部分22と部分23とからなり、部分22は、部分23を介して第2のソース領域24および第2のボディ領域28に接続されている。
【0026】
第2のソース電極21の部分22は、フェイスダウン実装におけるリフロー時にはんだと接合される層であり、限定されない一例として、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウムのうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。部分22の表面には、金などのめっきが施されてもよい。
【0027】
第2のソース電極21の部分23は、部分22と半導体層40とを接続する層であり、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0028】
トランジスタ10およびトランジスタ20の上記の構成により、半導体基板32と、低濃度不純物層33のうち半導体基板32の直上近傍の範囲は、トランジスタ10の第1のドレイン領域およびトランジスタ20の第2のドレイン領域が共通化された、共通ドレイン領域である。そして、金属層30はトランジスタ10の第1のドレイン電極およびトランジスタ20の第2のドレイン電極が共通化された、共通ドレイン電極である。
【0029】
図1に示すように、第1のボディ領域18は、開口を有する層間絶縁層34で覆われ、層間絶縁層34の開口を通して、第1のソース領域14に接続される第1のソース電極11の部分13が設けられている。層間絶縁層34および第1のソース電極11の部分13は、開口を有するパッシベーション層35で覆われ、パッシベーション層35の開口を通して第1のソース電極11の部分13に接続される部分12が設けられている。
【0030】
第2のボディ領域28は、開口を有する層間絶縁層34で覆われ、層間絶縁層34の開口を通して、第2のソース領域24に接続される第2のソース電極21の部分23が設けられている。層間絶縁層34および第2のソース電極21の部分23は、開口を有するパッシベーション層35で覆われ、パッシベーション層35の開口を通して第2のソース電極21の部分23に接続される部分22が設けられている。
【0031】
したがって、第1のソースパッド111および第2のソースパッド121は、それぞれ、第1のソース電極11および第2のソース電極21が半導体装置1の表面に部分的に露出した領域、いわゆる端子の部分を指す。同様に、第1のゲートパッド119および第2のゲートパッド129は、それぞれ、第1のゲート電極19(
図1、
図2には不図示)および第2のゲート電極29(
図1、
図2には不図示)が半導体装置1の表面に部分的に露出した領域、いわゆる端子の部分を指す。
【0032】
第1のゲート電極19および第2のゲート電極29を構成する材料は、第1のソース電極11および第2のソース電極21を構成する材料と同じであってもよい。
【0033】
半導体装置1における各構造体の厚さは一例として、半導体層40の厚さが10-90μmであり、金属層30の厚さが10-90μmであり、層間絶縁層34とパッシベーション層35の厚さの和が3-13μmである。
【0034】
図1および
図2に示すように、トランジスタ10は、半導体層40の表面に、フェイスダウン実装時に実装基板に接合材を介して接合される、第1のソースパッド111と、第1のゲートパッド119とを有する。また、トランジスタ20は、半導体層40の表面にフェイスダウン実装時に実装基板に接合材を介して接合される、第2のソースパッド121と、第2のゲートパッド129とを有する。
【0035】
図2に示すように、平面視において半導体層40は正方形状である。
【0036】
図2では、半導体層40の第1の領域A1と第2の領域A2とをそれぞれ区別する、仮想的な境界線90を破線で示している。第1の領域A1と第2の領域A2との境界線90は、第1のソース電極11の部分13と、第2のソース電極21の部分23との間隔の中央位置をたどる仮想線と捉えてよい。また、有限の幅となるが当該間隔そのものと捉えてもよい。当該間隔の場合であっても、肉眼あるいは低倍率での外観では線として認識することができる。
【0037】
平面視において、境界線90は、第1の方向と直交し、半導体層40の面積を第1の方向に二等分し、半導体層40の中心を通る一直線状の仮想線である。半導体層40の中心とは、平面視において、半導体層40の2つの対角線の交点である。
【0038】
第1の方向とは、平面視において、半導体装置1の外周辺と平行する方向のうち、第1の領域A1と第2の領域A2とが並ぶ方向である。
【0039】
図2に示すように、平面視において第1の領域A1と第2の領域A2とは、互いに隣接し、半導体層40の面積を二等分する一方と他方であり、それぞれ矩形状の領域である。平面視において、半導体層40であって、第1の領域A1にも第2の領域A2にも当たらないところはない。
【0040】
ところで外周辺とはその形状の輪郭を成す辺のことであり、半導体層40のような正方形状または第1の領域A1のような矩形状の場合では、それぞれの形状を成す4つの辺のことである。また、矩形状でない場合では、その形状の外周を成す複数の辺のことである。
【0041】
図2に示すように、本開示では平面視において、半導体層40の外周辺のうち、境界線90と平行する2辺で、第1のゲートパッド119との間の距離が最短である一方の辺を第1辺S1とし、第2のゲートパッド129との間の距離が最短であり、第1辺S1と対向する他方の辺を第2辺S2とする。
【0042】
同じように、平面視において、半導体層40の外周辺のうち、境界線90と直交する2辺で、第1のゲートパッド119との間の距離が最短である一方の辺を第3辺S3とし、第1のソースパッド111との間の距離が最短であり、第3辺S3と対向する他方の辺を第4辺S4とする。
【0043】
なお、平面視において、半導体層40は正方形状であるため、第1辺S1の長さと、第2辺S2の長さと、第3辺S3の長さと、第4辺S4の長さとは、同一の長さである。
【0044】
トランジスタ10の第1のソースパッド111の数、および、トランジスタ20の第2のソースパッド121の数は、それぞれ、
図2に示されたように1つである。また、トランジスタ10の第1のゲートパッド119の数、および、トランジスタ20の第2のゲートパッド129の数は、それぞれ、
図2に示されたように1つである。
【0045】
すなわち本開示における半導体装置1は、共通ドレイン電極を有し、2つの縦型MOSトランジスタを1つの半導体装置に備えるデュアル構成の縦型MOSトランジスタであり、それぞれの縦型MOSトランジスタのソース電極およびゲート電極に対して、対応するパッドを1つずつ備えた4パッド構成の半導体装置である。
【0046】
図2に示した、平面視でのパッドの形状、大きさ、配置は一例であるが、4つのパッド(第1のソースパッド111、第1のゲートパッド119、第2のソースパッド121、第2のゲートパッド129)の形状、大きさは統一されていることが好ましく、さらには同一径の円形状であることが望ましい。
【0047】
図3は、平面視における、半導体装置1の構成要素の形状と配置の一例を示した平面模式図である。
図3では、実際には視認することができない、半導体層40の上面の構造を分かりやすく示せるように、パッシベーション層35、層間絶縁層34があたかも透明であるかの如く省略して示している。点線で示した各パッドは、
図2との対応関係の分かりやすさのために示している。
【0048】
図3に示すように、平面視において、第1の領域A1に備わる構成要素の形状および配置と、当該構成要素に1:1で対応する、第2の領域A2に備わる構成要素の形状および配置とは、境界線90を対称の軸とした線対称の関係にあるように設置される。1:1で対応する構成要素とは、例えば、第1のゲート電極19と第2のゲート電極29のことであり、第1のソースパッド111と第2のソースパッド121のことであり、後述する第1のゲート抵抗素子41と第2のゲート抵抗素子51のことなどである。後述する、第1の制御領域C1と第2の制御領域C2も同様である。これらは平面視で、境界線90を対称の軸とした線対称の関係で配置されている。
【0049】
図3に示すように、半導体装置1の第1の領域A1には、第1のゲート電極19と接続する第1のゲート抵抗素子41が形成され、半導体装置1の第2の領域A2には、第2のゲート電極29と接続する第2のゲート抵抗素子51が形成される。
【0050】
第1のゲート抵抗素子41および第2のゲート抵抗素子51は、限定されない一例として第1導電型あるいは第2導電型の不純物を注入したポリシリコンから構成されており、それぞれのゲート抵抗素子はソース電極などを構成する金属材料と比べて、抵抗値が大きい材料で構成される。
【0051】
第1のゲート抵抗素子41および第2のゲート抵抗素子51とは、ゲート電極に過剰な電圧が印加されたりサージ電流が流れる際に、トランジスタ10とトランジスタ20とが破壊されることを防止する目的でそれぞれ設置される。つまりは、第1のゲート抵抗素子41と、第2のゲート抵抗素子51とは、半導体装置1のESD耐性を高めるために設置する素子である。
【0052】
また
図3に示すように、半導体装置1の第1の領域A1には、第1のゲート抵抗素子41を介して第1のゲート電極19と接続し、第1のソース電極11を取り囲むように設置された第1のゲート配線42が備わる。同様に、半導体装置1の第2の領域A2には、第2のゲート抵抗素子51を介して第2のゲート電極29と接続し、第2のソース電極21を取り囲むように設置された第2のゲート配線52が備わる。
【0053】
第1のゲート配線42および第2のゲート配線52は、限定されない一例として第1導電型あるいは第2導電型の不純物を注入したポリシリコンもしくは第1のゲート電極19および第2のゲート電極29と同じ金属種で形成され、第1のゲート配線42および第2のゲート配線52は、それぞれ第1のゲート導体15および第2のゲート導体25と接続される。
【0054】
また
図3に示すように、平面視において、第1の領域A1には、第1のソース電極11と第1のゲート電極19とに接続し、第1のゲート電極19の周辺に設置される第1のツェナーダイオード43が備わる。同様に、第2の領域A2には、第2のソース電極21と第2のゲート電極29とに接続し、第2のゲート電極29の周辺に設置される第2のツェナーダイオード53が備わる。
【0055】
第1のツェナーダイオード43および第2のツェナーダイオード53は、限定されない一例として、第1導電型あるいは第2導電型の不純物を注入したポリシリコンで構成された、1以上のPN接合を有する双方向のツェナーダイオードであってもよい。
【0056】
第1のツェナーダイオード43および第2のツェナーダイオード53は、ゲート電極またはソース電極に過剰な電圧が印加されたりサージ電流が流れる際に、それぞれトランジスタ10とトランジスタ20とが破壊されることを防止する目的で設置される。つまりは、第1のツェナーダイオード43および第2のツェナーダイオード53とは、半導体装置1のESD耐性を高めるために設置する素子である。
【0057】
また
図3には示していないが、第1の領域A1には、第1のツェナーダイオード43と第1のソース電極11とが接続する第1の接続領域が備わり、第2の領域A2には、第2のツェナーダイオード53と第2のソース電極21とが接続する第2の接続領域が備わる(
図14参照)。
【0058】
なお、第1の接続領域および第2の接続領域は、第1のソース電極11の部分13および第2のソース電極21の部分23と同じ金属種で構成され、平面視において、その直下に、第1のゲートトレンチ17および第2のゲートトレンチ27が設置されていない。
【0059】
また
図3に示すように、平面視において、第1の領域A1の外周には、共通ドレイン領域である半導体基板32と電気的に接続される第1のEQR(EQui potential Ring)44が設置されていてもよい。同様に平面視において、第2の領域A2の外周には、共通ドレイン領域である半導体基板32と電気的に接続される第2のEQR54が設置されていてもよい。第1のEQR44と第2のEQR54は、平面視でトランジスタ10とトランジスタ20とが隣接し対向する部分においては共通化されていてもよい。
【0060】
なお、第1のEQR44と第2のEQR54とが共通化され、第1の方向と直交する部分を境界線90と捉えてもよい。
【0061】
第1のEQR44はトランジスタ10に対して、外部と第1のボディ領域18との間にリーク電流が流れるのを防ぐことを期待して設置される。また第2のEQR54はトランジスタ20に対して、外部と第2のボディ領域28との間にリーク電流が流れるのを防ぐことを期待して設置される。
【0062】
第1のEQR44および第2のEQR54は、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。また第1のEQR44および第2のEQR54は、共通ドレイン領域である半導体基板32を経由して金属層30と電気的に接続されていてもよい。
【0063】
図3に示すように、平面視で、第1の領域A1において、第1のゲートパッド119を内包する矩形状の領域であって、第1のソース電極11と第1のゲート抵抗素子41とを共に含まない範囲で面積が最大となる領域を、第1のゲート電極領域G1とよぶ。
【0064】
同様に、
図3に示すように、平面視で、第2の領域A2において、第2のゲートパッド129を内包する矩形状の領域であって、第2のソース電極21と第2のゲート抵抗素子51とを共に含まない範囲で面積が最大となる領域を、第2のゲート電極領域G2とよぶ。
【0065】
また、
図3に示すように、平面視で、第1の領域A1において、第1のゲート抵抗素子41を内包する矩形状の領域であって、第1のソース電極11と第1のゲート電極領域G1とを共に含まない範囲で面積が最大となる領域を、第1の抵抗素子領域R1とよぶ。
【0066】
同様に、
図3に示すように、平面視で、第2の領域A2において、第2のゲート抵抗素子51を内包する矩形状の領域であって、第2のソース電極21と第2のゲート電極領域G2とを共に含まない範囲で面積が最大となる領域を、第2の抵抗素子領域R2とよぶ。
【0067】
平面視において、第1のゲート電極領域G1と、第1の抵抗素子領域R1とは各領域の範囲を決める定義に起因して重複することはない。ただし平面視において、各領域の外周辺同士は一致する部分があってもよい。
【0068】
同様に、平面視において、第2のゲート電極領域G2と、第2の抵抗素子領域R2とは各領域の範囲を決める定義に起因して重複することはない。ただし平面視において、各領域の外周辺同士は一致する部分があってもよい。
【0069】
なお本開示において、平面視で、ある領域の外周辺と別の領域の外周辺とが一致すると表現する場合、それぞれの外周辺が重なっている、または共通している、ということであると捉えてよい。
【0070】
図3に示すように、平面視において、第1のゲート電極領域G1の外周辺のうち少なくとも1辺、および第1の抵抗素子領域R1の外周辺のうち少なくとも1辺は、共に半導体層40の第3辺S3の一部と一致する。
【0071】
同様に、
図3に示すように、平面視において、第2のゲート電極領域G2の外周辺のうち少なくとも1辺、および第2の抵抗素子領域R2の外周辺のうち少なくとも1辺は、共に半導体層40の第3辺S3の一部と一致する。
【0072】
また
図3に示すように、平面視において、第1の抵抗素子領域R1の外周辺には、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の第3辺S3との間の距離が最短である1つの角部(第1の角部P1ともいう)のみが含まれ、他の角部は含まれない。
【0073】
同様に、
図3に示すように、平面視において、第2の抵抗素子領域R2の外周辺には、第2のゲート電極領域G2の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の第3辺S3との間の距離が最短である1つの角部(第2の角部P2ともいう)のみが含まれ、他の角部は含まれない。
【0074】
図3に示すように、平面視で、第1の領域A1において、第1のゲート電極領域G1と、第1の抵抗素子領域R1とを合わせた領域を、第1の制御領域C1とよぶ。同様に、平面視で、第2の領域A2において、第2のゲート電極領域G2と、第2の抵抗素子領域R2とを合わせた領域を、第2の制御領域C2とよぶ。
【0075】
図3に示すように、半導体装置1は平面視において、第1の制御領域C1の外周辺のうち少なくとも1辺、および第2の制御領域C2の外周辺のうち少なくとも1辺は、共に半導体層40の第3辺S3の一部と一致し、第1の制御領域C1の外周辺および第2の制御領域C2の外周辺は、半導体層40の第4辺S4とは一致する部分を有さない。
【0076】
また、
図3に示すように平面視において、第1の制御領域C1の外周辺と半導体層40の外周辺とが一致する部分の長さは、第1の制御領域C1の外周辺と半導体層40の第3辺S3とが一致する部分の長さが最も長い。
【0077】
同様に、
図3に示すように、平面視において、第2の制御領域C2の外周辺と半導体層40の外周辺とが一致する部分の長さは、第2の制御領域C2の外周辺と半導体層40の第3辺S3とが一致する部分の長さが最も長い。
【0078】
図3では、平面視において、第1の制御領域C1の外周辺と、第2の制御領域C2の外周辺とが、それぞれ半導体層40の第1辺S1の一部および第2辺S2の一部と一致する例を示している。しかし本実施の形態に係る半導体装置1は、平面視において、第1の制御領域C1の外周辺と、第2の制御領域C2の外周辺とは、それぞれ半導体層40の第1辺S1の一部および第2辺S2の一部と一致する部分を有さなくてもよい。
【0079】
また
図3では、平面視において、第1の制御領域C1の外周辺と、第2の制御領域C2の外周辺とが、それぞれ境界線90の一部と一致する例を示している。しかし本実施の形態に係る半導体装置1は、平面視において、第1の制御領域C1の外周辺と、第2の制御領域C2の外周辺とは、それぞれ境界線90の一部と一致する部分を有さなくてもよい。
【0080】
図4は、本実施の形態に係る半導体装置1の等価回路を示す回路図である。
【0081】
図4に示すように、トランジスタ10において、第1のゲート抵抗素子41と第1のツェナーダイオード43とは、それぞれ第1のゲートパッド119と第1のソースパッド111との間に、並列に接続されている。
【0082】
このうち第1のツェナーダイオード43を経由して、第1のゲートパッド119と第1のソースパッド111との間に電流が流れる経路は、第1のツェナーダイオード43の機能に起因して、第1のゲートパッド119または第1のソースパッド111に過剰な電圧が印加されたりサージ電流が流れる場合において導通する。
【0083】
一般的に、過剰な電圧の印加やサージ電流が流れることによる縦型MOSトランジスタの破壊モードとして、ゲート絶縁膜の破壊がある。トランジスタ10では第1のツェナーダイオード43を備えることで、サージ電流を分流し、第1のゲート絶縁膜16にかかる負荷を低減することができる。これにより、第1のゲート絶縁膜16が破壊することを防止できるため、トランジスタ10のESD耐性を高めることができる。
【0084】
また、第1のツェナーダイオード43と並列に第1のゲート抵抗素子41を備えることで、第1のゲート絶縁膜16に流れるサージ電流をさらに大幅に低減することできるため、トランジスタ10のESD耐性をさらに高めることができる。
【0085】
以上の説明では、トランジスタ10の第1のゲートパッド119もしくは第1のソースパッド111に過剰な電圧が印加されたりサージ電流が流れる場合を例として説明した。これはトランジスタ20の第2のゲートパッド129もしくは第2のソースパッド121に過剰な電圧が印加されたりサージ電流が流れる場合も同様である。トランジスタ20に第2のツェナーダイオード53と第2のゲート抵抗素子51とを備えることで、第2のゲート絶縁膜26が破壊することを防止できるため、トランジスタ20のESD耐性を高めることができる。
【0086】
[2.半導体装置の動作]
図5Aおよび
図5Bは、それぞれ、半導体装置1のX方向およびY方向に繰り返し形成される、トランジスタ10またはトランジスタ20の略単位構成の、平面模式図および斜視模式図である。
図5Aおよび
図5Bでは、分かりやすさのために半導体基板32と金属層30、さらにパッシベーション層35と第1のソース電極11または第2のソース電極21、層間絶縁層34は図示していない。
【0087】
なおY方向とは、半導体層40の上面と平行し、第1のゲートトレンチ17が延伸する方向である。またX方向とは、半導体層40の上面と平行し、Y方向に直交する方向のことをいう。Z方向とはX方向にもY方向にも直交し、半導体装置1の高さ方向を示す方向のことをいう。
【0088】
図5Aおよび
図5Bに示すように、トランジスタ10には、第1のボディ領域18と第1のソース電極11とを電気的に接続する第1の接続部18aが備わる。第1の接続部18aは、第1のボディ領域18のうち、第1のソース領域14が形成されていない領域であり、第1のボディ領域18と同じ第2導電型の不純物を含む。第1のソース領域14と第1の接続部18aとは、Y方向に沿って交互に、かつ周期的に繰り返し配置される。トランジスタ20についても同様である。
【0089】
半導体装置1において、例えば、第1導電型をN型、第2導電型をP型として、第1のソース領域14、第2のソース領域24、半導体基板32、および、低濃度不純物層33はN型半導体であり、かつ、第1のボディ領域18、第1の接続部18a、第2のボディ領域28および第2の接続部28aはP型半導体であってもよい。
【0090】
また、半導体装置1において、例えば、第1導電型をP型、第2導電型をN型として、第1のソース領域14、第2のソース領域24、半導体基板32、および、低濃度不純物層33はP型半導体であり、かつ、第1のボディ領域18、第1の接続部18a、第2のボディ領域28および第2の接続部28aはN型半導体であってもよい。
【0091】
以下の説明では、トランジスタ10とトランジスタ20とが、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした、いわゆるNチャネル型トランジスタの場合として、半導体装置1の双方向の導通経路について説明する。
【0092】
半導体装置1において、第1のソース電極11に高電圧および第2のソース電極21に低電圧を印加し、第2のソース電極21を基準として第2のゲート電極29(第2のゲート導体25)にしきい値以上の電圧を印加すると、第2のボディ領域28中の第2のゲート絶縁膜26の近傍に導通チャネルが形成される。その結果、第1のソース電極11-第1の接続部18a-第1のボディ領域18-低濃度不純物層33-半導体基板32-金属層30-半導体基板32-低濃度不純物層33-第2のボディ領域28に形成された導通チャネル-第2のソース領域24-第2のソース電極21という経路で電流が流れて半導体装置1が導通状態となる。この導通経路における、第1のボディ領域18と低濃度不純物層33との接触面にはPN接合があり、ボディダイオードとして機能している。
【0093】
同様に、半導体装置1において、第2のソース電極21に高電圧および第1のソース電極11に低電圧を印加し、第1のソース電極11を基準として第1のゲート電極19(第1のゲート導体15)にしきい値以上の電圧を印加すると、第1のボディ領域18中の第1のゲート絶縁膜16の近傍に導通チャネルが形成される。その結果、第2のソース電極21-第2の接続部28a-第2のボディ領域28-低濃度不純物層33-半導体基板32-金属層30-半導体基板32-低濃度不純物層33-第1のボディ領域18に形成された導通チャネル-第1のソース領域14-第1のソース電極11という経路で電流が流れて半導体装置1が導通状態となる。この導通経路における、第2のボディ領域28と低濃度不純物層33との接触面にはPN接合があり、ボディダイオードとして機能している。
【0094】
また、半導体装置1において、第1のゲート電極19にしきい値以上の電圧を印加して第1のボディ領域18中の第1のゲート絶縁膜16の近傍に導通チャネルを形成し、同時に、第2のゲート電極29にしきい値以上の電圧を印加して第2のボディ領域28中の第2のゲート絶縁膜26の近傍に導通チャネルを形成してもよい。その結果、第1のソース電極11-第1のソース領域14-第1のボディ領域18に形成された導通チャネル-低濃度不純物層33-半導体基板32-金属層30-半導体基板32-低濃度不純物層33-第2のボディ領域28に形成された導通チャネル―第2のソース領域24-第2のソース電極21という経路で、あるいはその逆の経路で電流が流れて、半導体装置1を導通させてもよい。
【0095】
図6は、半導体装置1の構成要素のうち、第1のボディ領域18と第2のボディ領域28と、第1の活性領域112と第2の活性領域122の、平面視における形状と配置の一例を示す平面模式図である。
図6では、実際には視認することができない、半導体層40の上面の構造を分かりやすく示せるように、パッシベーション層35、第1のソース電極11、第1のゲート電極19、第2のソース電極21、第2のゲート電極29、層間絶縁層34があたかも透明であるように省略して示している。また第1のソース領域14および第2のソース領域24の図示も省略している。点線で示した各パッドは、
図2および
図3との対応関係の分かりやすさのために示している。
【0096】
第1の活性領域112とは、トランジスタ10の第1のゲート電極19(第1のゲート導体15)にしきい値以上の電圧を印加したときに導通チャネルが形成される部分すべてを内包する最小範囲を指す。導通チャネルが形成される部分とは、複数の第1のゲートトレンチ17の各々が、第1のソース領域14と隣接する部分である。
図6に示すように、半導体層40の平面視で、第1の活性領域112は第1のボディ領域18に内包される。
【0097】
第2の活性領域122とはトランジスタ20の第2のゲート電極29(第2のゲート導体25)にしきい値以上の電圧を印加したときに導通チャネルが形成される部分すべてを内包する最小範囲を指す。導通チャネルが形成される部分とは、複数の第2のゲートトレンチ27の各々が、第2のソース領域24と隣接する部分である。
図6に示すように、半導体層40の平面視で、第2の活性領域122は第2のボディ領域28に内包される。
【0098】
半導体装置1の導通抵抗を低減するためには、第1の活性領域112および第2の活性領域122をなるべく広く確保することが求められる。第1の活性領域112の面積および第2の活性領域122の面積が広ければ、半導体装置1の導通経路が拡大するため半導体装置1の導通抵抗が低減する。
【0099】
図3に示すような、第1の制御領域C1および第2の制御領域C2は、第1の活性領域112および第2の活性領域122が形成されない領域であり、半導体装置1の導通には寄与しない領域である。つまり第1の制御領域C1および第2の制御領域C2は、半導体装置1が機能するうえで必要な領域である反面、限られた装置面積の中で、半導体装置1の導通抵抗を低減するためには、なるべく縮小することが望ましい領域である。
【0100】
[3.考察]
以上、説明した本開示における半導体装置1の特徴は次のようなものになる。
【0101】
本開示の一態様に係る半導体装置1は、フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置1であって、半導体基板32を含む半導体層40と、半導体層40の上面側で、半導体層40の第1の領域A1内に、その全体が形成された第1の縦型MOSトランジスタ10と、半導体層40の平面視において、第1の領域A1に隣接した第2の領域A2内に、その全体が形成された第2の縦型MOSトランジスタ20と、半導体層40の下面側で、半導体基板32に接触接続して形成された金属層30と、を備え、半導体基板32は、第1の縦型MOSトランジスタ10および第2の縦型MOSトランジスタ20の共通ドレイン領域であり、平面視において、半導体層40は正方形状であり、平面視において、第1の領域A1と第2の領域A2とは第1の方向に並び、平面視において、第1の領域A1と第2の領域A2との境界線90は、第1の方向に直交し、半導体層40を面積で二等分し、半導体層40の中心を通る一直線状であり、平面視で、第1の領域A1に備わるパッドは、第1の縦型MOSトランジスタ10の第1のソース電極11に接続された1つの第1のソースパッド111と、第1の縦型MOSトランジスタ10の第1のゲート電極19に接続された1つの第1のゲートパッド119とのみであり、第1の縦型MOSトランジスタ10は、第1のゲート電極19に接続された第1のゲート抵抗素子41と、平面視で第1のゲートパッド119を内包する矩形状の領域であって、第1のソース電極11と第1のゲート抵抗素子41とを共に含まない範囲で面積が最大となる第1のゲート電極領域G1と、平面視で第1のゲート抵抗素子41を内包する矩形状の領域であって、第1のソース電極11と第1のゲート電極領域G1とを共に含まない範囲で面積が最大となる第1の抵抗素子領域R1と、を有し、平面視において、第1のゲート電極領域G1の外周辺のうちの1辺の全長、および、第1の抵抗素子領域R1の外周辺のうちの1辺の全長は、半導体層40の外周辺のうち、境界線90と直交し、第1のゲートパッド119との間の距離が最短となる辺の一部と一致し、平面視において、第1の抵抗素子領域R1の外周辺には、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の外周辺のうち、境界線90と直交する辺との間の距離が最短となる1つの角部(第1の角部P1)のみが含まれる半導体装置1である。
【0102】
図8、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14は、上記の条件を満たす、本実施の形態に係る半導体装置1の構成要素の形状と配置の例を示す平面模式図である。
図8、
図10、
図11、
図12、
図13、
図14では、実際には視認することができない、半導体層40の上面の構造の分かりやすさのため、パッシベーション層35、層間絶縁層34があたかも透明であるかのように省略して示している。点線で示した各パッドは、本来、パッシベーション層35を省略すると見えなくなるが、分かりやすさのために残して示している。
【0103】
図8以降で示す、構成要素の形状と配置における特徴と効果を説明する前に、まず
図7A、
図7Bを用いて本実施の形態の比較例1に係る半導体装置2について説明する。比較例1に係る半導体装置2について、本実施の形態に係る半導体装置1と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、半導体装置1との相違点を中心に説明する。
【0104】
半導体装置にゲート抵抗素子を備えることで、半導体装置のESD耐性が向上することを説明したが、半導体層の平面視において、ゲート電極とゲート抵抗素子を配置する位置によっては、活性領域であるにもかかわらず導通への寄与が低いところが生じてしまう場合があることを、比較例1に係る半導体装置2を用いて説明する。
【0105】
図7Aは、半導体層40の平面視における、半導体装置2の構成要素の形状と配置を示した平面模式図である。
図7Aでは、実際には視認することができない、半導体層40の上面の構造の分かりやすさのため、パッシベーション層35、層間絶縁層34があたかも透明であるかのように省略して示している。点線で示した各パッドは、本来、パッシベーション層35を省略すると見えなくなるが、分かりやすさのために残して示している。
【0106】
図7Bは、平面視において、半導体装置2の構成要素のうち、第1のボディ領域18と第2のボディ領域28と、第1の活性領域112と第2の活性領域122の、平面視における形状と配置を示す平面模式図である。
図7Bでは、
図7Aでの省略に加えて、第1のソース電極11、第1のゲート電極19、第2のソース電極21、第2のゲート電極29を省略して示している。また第1のソース領域14および第2のソース領域24の図示も省略している。
【0107】
比較例1に係る半導体装置2の半導体層40は、平面視で、実施の形態に係る半導体装置1の半導体層40と同じ形状および同じ面積である。
【0108】
図7Aに示すように、平面視において、半導体装置2の第1の領域A1に、第1のゲート電極領域G1と第1の抵抗素子領域R1とを合わせた第1の制御領域C1が形成される。また、第2の領域A2に、第2のゲート電極領域G2と第2の抵抗素子領域R2とを合わせた第2の制御領域C2が形成される。平面視で、第1の制御領域C1の面積および第2の制御領域C2の面積は、実施の形態に係る半導体装置1と比較例1に係る半導体装置2とで同じである(
図3参照)。
【0109】
図7Aに示すように、平面視において、第1の抵抗素子領域R1の外周辺のうち1辺は半導体層40の第3辺S3の一部と一致する。しかし第1のゲート電極領域G1の外周辺は、半導体層40の外周辺と一致する部分を有さない。また第1の抵抗素子領域R1の外周辺には、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち第1の角部P1が含まれない。なお第1の角部P1とは、実施の形態に係る半導体装置1での定義と同様、平面視で、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の外周辺のうち、境界線90と直交する辺との間の距離が最短となる角部である。
【0110】
同様に、平面視において、第2の抵抗素子領域R2の外周辺のうち1辺は半導体層40の第3辺S3の一部と一致する。しかし第2のゲート電極領域G2の外周辺は、半導体層40の外周辺と一致する部分を有さない。また第2の抵抗素子領域R2の外周辺には、第2のゲート電極領域G2の外周における4つの角部のうち第2の角部P2が含まれない。なお第2の角部P2とは、実施の形態に係る半導体装置1での定義と同様、平面視で、第2のゲート電極領域G2の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の外周辺のうち、境界線90と直交する辺との間の距離が最短となる角部である。
【0111】
図7Bに示した、半導体装置2の平面視における第1の活性領域112の面積および第2の活性領域122の面積は、それぞれ、実施の形態に係る半導体装置1の平面視における第1の活性領域112の面積および第2の活性領域122の面積と同じである(
図6参照)。
【0112】
しかしながら
図7Bに示すように、平面視において、半導体装置2の第1の活性領域112には、第1のゲート電極領域G1と境界線90との間の領域、もしくは第1のゲート電極領域G1と半導体層40の第1辺S1との間の領域に、相対的に幅が狭い領域が生じている。第1のゲート電極領域G1と境界線90との間、もしくは第1のゲート電極領域G1と半導体層40の第1辺S1との間の、相対的に幅が狭い領域を、第1の狭窄(ナローパス)領域N1とよぶ。
【0113】
同様に、平面視において、半導体装置2の第2の活性領域122には、第2のゲート電極領域G2と境界線90との間の領域、もしくは第2のゲート電極領域G2と半導体層40の第2辺S2との間の領域に、相対的に幅が狭い領域が生じている。第2のゲート電極領域G2と境界線90との間、もしくは第2のゲート電極領域G2と半導体層40の第2辺S2との間の、相対的に幅が狭い領域を、第2の狭窄(ナローパス)領域N2とよぶ。
【0114】
また
図7Bに示すように、平面視において、半導体装置2の第1の活性領域112には、第1のソースパッド111から見て、第1の狭窄領域N1を経由しないと到達できない領域がある。これを第1の袋小路(デッドエンド)領域D1とよぶ。
【0115】
同様に、平面視において、半導体装置2の第2の活性領域122には、第2のソースパッド121から見て、第2の狭窄領域N2を経由しないと到達できない領域がある。これを第2の袋小路(デッドエンド)領域D2とよぶ。
【0116】
第1のソースパッド111から電流が流入する場合、第1のソースパッド111の近傍に形成されている第1のソース電極11の部分は、十分な広さを有するため導通抵抗が低く、導通に対して有効に活用できる領域である。
【0117】
これに対して、第1の袋小路領域D1に形成される第1のソース電極11の部分へは、第1のソースパッド111から見て、第1の狭窄領域N1を経由しないと電流は到達できない。しかし第1の狭窄領域N1に形成される第1のソース電極11の部分は、平面視において、幅が狭いため電流がここを通過する際の導通抵抗が相対的に高くなってしまう。このため第1の狭窄領域N1に形成される第1のソース電極11の部分には電流が流れにくく、さらには第1の狭窄領域N1の先にある第1の袋小路領域D1に形成される第1のソース電極11の部分にも電流は至りにくくなる。
【0118】
つまり第1の狭窄領域N1および第1の袋小路領域D1は、共に第1の活性領域112の一部であって導通に寄与できる機構を備えながらも、電流密度が高まらず、相対的に導通に寄与しにくい領域にとどまってしまう。これは第2の狭窄領域N2および第2の袋小路領域D2についても同様である。
【0119】
したがって比較例1に係る半導体装置2は、平面視で、第1の制御領域C1および第2の制御領域C2を設置したうえでの、残りの限られた面積を、導通抵抗を低減するために、十分有効に活用できる配置といえるものではない。導通抵抗を低減するためには、相対的に導通への寄与が低下する、第1の狭窄領域N1と第2の狭窄領域N2、および第1の袋小路領域D1と第2の袋小路領域D2とができるだけ生じない配置とすることが好ましい。
【0120】
図3に示すように、本開示に係る半導体装置1では、平面視において、第1のゲート電極領域G1と第1の抵抗素子領域R1とを、それぞれ第1のゲート電極領域G1、および第1の抵抗素子領域R1の、外周辺のうち1辺の全長が、共に半導体層40の第3辺S3の一部と一致するように配置するため、第1の袋小路領域D1が生じることがない。
【0121】
同様に、本開示に係る半導体装置1では、平面視において、第2のゲート電極領域G2と第2の抵抗素子領域R2とを、それぞれ第2のゲート電極領域G2、および第2の抵抗素子領域R2の、外周辺のうち1辺の全長が、共に半導体層40の第3辺S3の一部と一致するように配置するため、第2の袋小路領域D2が生じることがない。
【0122】
そのため半導体装置1では、同じ活性領域の面積を有しながらも、比較例1に係る半導体装置2と比べて、導通の寄与が相対的に高い面積を拡大できる。すなわち半導体装置1の限られた面積を有効に活用することができる配置であり、導通抵抗を低減することができる。
【0123】
ところで半導体装置1を実装基板にフェイスダウン実装する際に、平面視において、半導体装置1に備わるパッド同士の間の距離が短いと、半導体装置1と実装基板とを接合するはんだ同士が接触するおそれがある。このため半導体装置1に備わるパッド同士の間の距離は、一定の距離を保つ必要がある。限定されない一例として、一定の距離とは、半導体装置1に備わるパッドの直径と同一の距離である。
【0124】
上記の理由に鑑み、
図8に示すように半導体装置1は、半導体層40の平面視において、第1の抵抗素子領域R1を、第1のゲート電極領域G1の外周辺のうち境界線90との間の距離が最短である辺と、境界線90との間に配置することが望ましい。より好ましくは、第1の抵抗素子領域R1の外周辺のうち1辺の全長が、第1のゲート電極領域G1の外周辺のうち境界線90との間の距離が最短である辺の一部と一致するように配置することが望ましい。
【0125】
同様に、第2の抵抗素子領域R2を、第2のゲート電極領域G2の外周辺のうち境界線90との間の距離が最短である辺と、境界線90との間に配置することが望ましい。より好ましくは、第2の抵抗素子領域R2の外周辺のうち1辺の全長が、第2のゲート電極領域G2の外周辺のうち境界線90との間の距離が最短である辺の一部と一致するように配置することが望ましい。
【0126】
このような配置とすることで、はんだ同士が接触することによる実装不具合を防止するために設ける、第1のゲートパッド119と第2のゲートパッド129との間の領域を、無駄なく、第1のゲート抵抗素子41および第2のゲート抵抗素子51を配置する領域として活用できる。
【0127】
上記の利点をもう少し詳しく述べておく。
【0128】
図8に示した半導体装置1では、X方向の両側に面積削減可能領域を示している。これは仮に半導体装置1の小型化がさらに要求された場合に、無理なく面積を削減できる領域である。上記説明したように、第1のゲートパッド119と第2のゲートパッド129との間の領域ははんだ同士が接触することを防ぐために一定の幅を確保せねばならず、過剰に削減することは得策ではない。
【0129】
したがって
図8において、平面視で第1の活性領域112(あるいは第1のソース電極11)のX方向における半導体装置1の端部が、面積を削減しやすいところとなる。平面視で第1の領域A1においては、第1のゲート電極領域G1の外周辺のうち半導体層40の第1辺S1との間の距離が最短となる辺と、半導体層40の第1辺S1との間にある、Y方向に帯状の領域である。
【0130】
同様に、平面視で第2の活性領域122(あるいは第2のソース電極21)のX方向における半導体装置1の端部が、面積を削減しやすいところとなる。平面視で第2の領域A2においては、第2のゲート電極領域G2の外周辺のうち半導体層40の第2辺S2との間の距離が最短となる辺と、半導体層40の第2辺S2との間にある、Y方向に帯状の領域である。
【0131】
すなわち
図8に示す、本実施の形態に係る半導体装置1では、第1の抵抗素子領域R1および第2の抵抗素子領域R2が、第1のゲート電極領域G1と第2のゲート電極領域G2との間の領域に挟まれるように設置されていることで、さらなる半導体層40の面積削減、すなわち半導体装置1の小型化の要求にも対応することが可能となる。
【0132】
次に
図9A~
図9Eを用いて本実施の形態の比較例2~比較例6に係る半導体装置3~半導体装置7について説明する。比較例2~比較例6に係る半導体装置3~半導体装置7について、半導体装置1と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、半導体装置1との相違点を中心に説明する。
【0133】
図9A~
図9Eの比較例2~比較例6を示すことで、本実施の形態に係る半導体装置1では、第1の抵抗素子領域R1の外周辺および第2の抵抗素子領域R2の外周辺が、それぞれ第1のゲート電極領域G1の外周における第1の角部P1、および第2のゲート電極領域G2の外周における第2の角部P2のみを、それぞれ含むことの利点を説明する。
【0134】
図9A~
図9Eは、半導体層40の平面視において、半導体装置3~半導体装置7の構成要素の形状と配置をそれぞれ示した平面模式図である。また
図9A~
図9Eは、分かりやすさのため、半導体装置3~半導体装置7の構成要素のうち、半導体層40の第1の領域A1のみを区切って抽出し、さらに第1のソース電極11、第1のソースパッド111、第1のゲートパッド119、第1のゲート電極領域G1、第1の抵抗素子領域R1のみを示し、それら以外の構成要素を省略して示している。半導体層40の第2の領域A2における各構成要素の平面視での形状および配置については、第1の領域A1にてそれぞれ1:1で対応する各構成要素の平面視での形状および配置と、境界線90を対称の軸とした線対称の関係にあると捉えて差し支えない。
【0135】
比較例2~比較例6に係る半導体装置3~半導体装置7において、半導体層40の第1の領域A1は、平面視で、実施の形態に係る半導体装置1の半導体層40の第1の領域A1と同じ形状および面積である。また第1のゲート電極領域G1、第1の抵抗素子領域R1、第1の活性領域112、第1のソースパッド111等も同じ面積である。
【0136】
図9A~9Eに示すように、比較例2~比較例6に係る半導体装置3~半導体装置7において、第1のゲート電極領域G1の外周辺のうちの1辺の全長は、半導体層40の第3辺S3の一部と一致することが共通している。
【0137】
図9Aは、比較例2に係る半導体装置3の平面模式図である。平面視において半導体装置3では、第1の抵抗素子領域R1の外周辺に含まれるのは、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離は最短であるが、半導体層40の第3辺S3との間の距離は最短でない(つまり半導体層40の第4辺S4との間の距離が最短である)1つの角部のみである。さらに半導体装置3では、平面視において、第1の抵抗素子領域R1が、第1のゲート電極領域G1と境界線90との間の領域に配置される。
【0138】
したがって
図9Aに示す配置では、半導体装置3に、第1の袋小路領域D1が生じてしまう。このため実施の形態に係る半導体装置1(
図8)と比べて、第1の活性領域112の面積が同じであっても、導通抵抗を低減しにくい配置であるといえる。
【0139】
図9Bは、比較例3に係る半導体装置4の平面模式図である。平面視において半導体装置4では、第1の抵抗素子領域R1の外周辺に含まれるのは、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離は最短であるが、半導体層40の第3辺S3との間の距離は最短でない(つまり半導体層40の第4辺S4との間の距離が最短である)1つの角部のみである。
【0140】
また
図9Cは、比較例4に係る半導体装置5の平面模式図である。平面視において半導体装置5では、第1の抵抗素子領域R1の外周辺に含まれるのは、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち、半導体層40の第1辺S1との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の第4辺S4との間の距離が最短である1つの角部のみである。
【0141】
さらに半導体装置4および半導体装置5では、平面視において、第1の抵抗素子領域R1は、第1のゲート電極領域G1と第1のソースパッド111との間の領域に配置される。
【0142】
したがって
図9Bに示す半導体装置4の配置、および
図9Cに示す半導体装置5の配置では、導通の寄与が相対的に大きい第1のソースパッド111の近傍の領域の一部を、わざわざ導通に寄与しない第1の抵抗素子領域R1に代替して配置している。このため実施の形態に係る半導体装置1(
図8)と比べて、第1の活性領域112の面積が同じであっても、導通抵抗を低減しにくい配置であるといえる。
【0143】
図9Dは、比較例5に係る半導体装置6の平面模式図である。平面視において半導体装置6では、第1の抵抗素子領域R1の外周辺に含まれるのは、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち、半導体層40の第1辺S1との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の第4辺S4との間の距離が最短である1つの角部のみである。
【0144】
また
図9Eは、比較例6に係る半導体装置7の平面模式図である。平面視において半導体装置7では、第1の抵抗素子領域R1の外周辺に含まれるのは、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち、半導体層40の第3辺S3との間の距離は最短であるが、境界線90との間の距離は最短ではない(つまり半導体層40の第1辺S1との間の距離が最短である)1つの角部のみである。
【0145】
さらに半導体装置6および半導体装置7では、平面視において、第1の抵抗素子領域R1は、第1のゲート電極領域G1と半導体層40の第1辺S1との間の領域に配置される。
【0146】
したがって
図9Dに示す半導体装置6の配置、および
図9Eに示す半導体装置7の配置では、
図8を用いて上記説明したように、半導体層40の面積縮小(半導体装置1の小型化)の要求がある場合に対応することができない。
【0147】
また
図9Dに示す配置では、半導体装置6に第1の袋小路領域D1が生じてしまう。このため実施の形態に係る半導体装置1(
図8)と比べて、第1の活性領域112の面積が同じであっても、導通抵抗を低減しにくい配置であるといえる。
【0148】
以上のように、
図3あるいは
図8に示した本実施の形態に係る半導体装置1のように、平面視で、第1の抵抗素子領域R1の外周辺には、第1のゲート電極領域G1の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の第3辺S3との間の距離が最短となる1つの角部(第1の角部P1)のみが含まれることが最も望ましい。
【0149】
同様に、平面視で、第2の抵抗素子領域R2の外周辺には、第2のゲート電極領域G2の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の第3辺S3との間の距離が最短となる1つの角部(第2の角部P2)のみが含まれることが最も望ましい。
【0150】
上記のような配置とすることで、本実施の形態に係る半導体装置1では、ゲート抵抗素子を備えることでESD耐性を確保しながら、限られた面積の活性領域を最大限有効に活用できる割合を高め、導通抵抗を低減することができる。さらに半導体装置1の小型化の要求にも対応する余地を持たせることができる。
【0151】
さて
図8に示すように、本実施の形態に係る半導体装置1は、半導体層40の平面視において、トランジスタ10とトランジスタ20とが、境界線90を対称の軸とした線対称の配置で形成される。したがってトランジスタ10とトランジスタ20との間における、双方向導通の電気特性および放熱性に偏りが生じることがほとんどない。
【0152】
したがって半導体装置1では、上記の構成のように、トランジスタ10とトランジスタ20とが、境界線90を対称の軸とする線対称とする配置であることが好ましい。これにより、電流方向の違いにおける電気特性および放熱性の偏りが生じにくくなる。例えばスマートフォン、タブレット等のリチウムイオン電池パックで、半導体装置1を利用した保護回路を構成するならば、充電、放電のいずれにおいても、何ら特別に半導体装置1における導通の方向に関しての差異を設ける必要がなくなる。
【0153】
すなわち、平面視で、第2の領域A2に備わるパッドは、第2の縦型MOSトランジスタ20の第2のソース電極21に接続された1つの第2のソースパッド121と、第2の縦型MOSトランジスタ20の第2のゲート電極29に接続された1つの第2のゲートパッド129とのみであり、第2の縦型MOSトランジスタ20は、第2のゲート電極29に接続された第2のゲート抵抗素子51と、平面視で第2のゲートパッド129を内包する矩形状の領域であって、第2のソース電極21と第2のゲート抵抗素子51とを共に含まない範囲で面積が最大となる第2のゲート電極領域G2と、平面視で第2のゲート抵抗素子51を内包する矩形状の領域であって、第2のソース電極21と第2のゲート電極領域G2とを共に含まない範囲で面積が最大となる第2の抵抗素子領域R2と、を有し、平面視において、第2のゲート電極領域G2の外周辺のうちの1辺の全長、および、第2の抵抗素子領域R2の外周辺のうちの1辺の全長は、半導体層40の外周辺のうち、境界線90と直交し、第2のゲートパッド129との間の距離が最短となる辺の一部と一致し、平面視において、第2の抵抗素子領域R2の外周辺には、第2のゲート電極領域G2の外周における4つの角部のうち、境界線90との間の距離が最短であり、かつ半導体層40の外周辺のうち、境界線90と直交する辺との間の距離が最短となる1つの角部(第1の角部P1)のみが含まれ、平面視において、第2のソースパッド121、第2のゲートパッド129、第2のゲート電極領域G2、および、第2の抵抗素子領域R2は、それぞれ第1のソースパッド111、第1のゲートパッド119、第1のゲート電極領域G1、および、第1の抵抗素子領域R1と、境界線90を対称の軸とした線対称の関係にあるように配置されることが望ましい。
【0154】
図10に示すように、半導体層40の平面視において、第1の抵抗素子領域R1の外周辺のうちの1辺の全長は、境界線90の一部と一致するように配置され、第2の抵抗素子領域R2の外周辺のうちの1辺の全長は、境界線90の一部と一致するように配置されていてもよい。
【0155】
上記の構成によれば、
図7Aに示した比較例1に係る半導体装置2と比べて、半導体装置1は、第1の袋小路領域D1および第2の袋小路領域D2を生じさせず、かつ第1の狭窄領域N1の面積および第2の狭窄領域N2の面積を縮小することができる。そのため半導体装置1の導通に有効に寄与できる領域が拡大するため、半導体装置1の導通抵抗を低減できる。
【0156】
また
図11に示すように、半導体層40の平面視において、第1のゲート電極領域G1の外周辺のうちの1辺の全長は、半導体層40の外周辺のうち、境界線90と平行する第1辺S1の一部と一致するように配置され、第2のゲート電極領域G2の外周辺のうちの1辺の全長は、半導体層40の外周辺のうち、境界線90と平行する第2辺S2の一部と一致するように配置されていてもよい。
【0157】
上記の構成によれば、
図7Aに示した比較例1に係る半導体装置2と比べて、半導体装置1は、第1の袋小路領域D1および第2の袋小路領域D2を生じさせず、かつ第1の狭窄領域N1の面積および第2の狭窄領域N2の面積を縮小することができる。そのため半導体装置1の導通に有効に寄与できる領域が拡大するため、半導体装置1の導通抵抗を低減できる。
【0158】
なお
図11に示す配置を
図10に示す配置と比べると、平面視で、
図11では第1の活性領域112(または第1のソース電極11)および第2の活性領域122(または第2のソース電極21)のいずれも、境界線90に近接する側のX方向の幅が拡大している。さらに設置マージンを除いて、Y方向における境界線90の全長を、第1の活性領域112(または第1のソース電極11)および第2の活性領域122(または第2のソース電極21)が占有している。
【0159】
境界線90を挟んで第1の領域A1と第2の領域A2とが対向する対向領域は、最も電流密度が高まるため、Y方向に沿って全長を導通に使用できるとよい。すなわち対向領域は、第1の活性領域112(または第1のソース電極11)および第2の活性領域122(または第2のソース電極21)で占有されていることが望ましい。
図11に示す配置では、対向領域のY方向に沿った全長を有効に導通に活用できるため、特に導通抵抗を低減できる効果を享受できる。
【0160】
Y方向に沿った全長でなくとも、対向領域のY方向に沿ったなるべく長い領域を有効に活用することが望ましい。このため平面視において、第1のソース電極11の外周辺は、境界線90に最近接する部分において最も長くすることが望ましい。少なくとも、平面視において、第1のソース電極11の外周辺で境界線90に最近接する部分の長さを、第1のソース電極11の外周辺で半導体層40の第1辺S1に最近接する部分の長さよりも長くすることが望ましい。
【0161】
同様に平面視において、第2のソース電極21の外周辺は、境界線90に最近接する部分において最も長くすることが望ましい。少なくとも、平面視において、第2のソース電極21の外周辺で境界線90に最近接する部分の長さを、第2のソース電極21の外周辺で半導体層40の第2辺S2に最近接する部分の長さよりも長くすることが望ましい。
【0162】
上記のような構成は、
図3または
図11のような配置で実現できる。特に
図11に示す配置では、設置マージンを除いて、境界線90に沿ったY方向の全長を、それぞれ第1のソース電極11と第2のソース電極21とが占有しているため、特に導通抵抗を低減できる効果を享受できる。
【0163】
また
図3に示すように、第1の制御領域C1の外周辺のうちの1辺の全長と、半導体層40の第3辺S3の半分とが一致するように配置され、第2の制御領域C2の外周辺のうちの1辺の全長と、半導体層40の第3辺S3の半分とが一致するように配置されていてもよい。
【0164】
なお上記の構成を言い換えると、第1の制御領域C1の外周辺と半導体層40の第3辺S3の一部とが一致する長さと、第2の制御領域C2の外周辺と半導体層40の第3辺S3の一部とが一致する長さとを合わせた長さは、半導体層40の外周辺の1辺の長さ(第3辺S3の長さ)と同じ、ということになる。
【0165】
さらに言えば、平面視において、第1の制御領域C1の外周辺と半導体層40の外周辺とが一致する部分の長さは、第1の制御領域C1の外周辺と半導体層40の第3辺S3とが一致する部分の長さが最も長く、第2の制御領域C2の外周辺と半導体層40の外周辺とが一致する部分の長さは、第2の制御領域C2の外周辺と半導体層40の第3辺S3とが一致する部分の長さが最も長い。
【0166】
上記の構成によれば、
図7A、
図7Bに示す比較例1に係る半導体装置2と比べて、半導体装置1は、第1の袋小路領域D1および第2の袋小路領域D2を形成せず、かつ、
図8、
図10の実施例と比べて、第1の狭窄領域N1の面積および第2の狭窄領域N2の面積を、最大限に縮小することができる。このため半導体装置1の導通の寄与が高い領域が最大限に拡大し、半導体装置1の導通抵抗を大幅に低減できる。
【0167】
ところで
図12、
図13、
図14に示す半導体装置1では、第1のゲートトレンチ17の一部および第2のゲートトレンチ27の一部を、直線とその両端の丸印で模式的に示している。直線はゲートトレンチであり、直線の延伸方向がゲートトレンチの延伸方向である。両端の丸印はそれぞれのトレンチの内部に埋め込まれるゲート導体が、ゲート配線へ接続されている箇所を表すものとする。
【0168】
さて
図12に示す半導体装置1では、平面視で、第1のゲートトレンチ17および第2のゲートトレンチ27が境界線90と直交する方向に延伸する。この場合では、第1のゲート配線42および第2のゲート配線52が、半導体層40の第4辺S4に最近接する部分を除いて、第1のソース電極11および第2のソース電極21をそれぞれ取り囲むように設置されてもよい。
【0169】
平面視において、第1のゲート電極19と第1のゲート導体15とが接続するには、第1のゲートトレンチ17が延伸する延長線上に、第1のゲート配線42が設置されればよい。同様に第2のゲート電極29と第2のゲート導体25とが接続するには、第2のゲートトレンチ27が延伸する延長線上に、第2のゲート配線52が設置されればよい。したがって第1のゲートトレンチ17および第2のゲートトレンチ27が境界線90と直交する方向に延伸する場合には、半導体層40の第4辺S4に最近接する部分には、それぞれ第1のゲート配線42および第2のゲート配線52が設置されなくても不都合が生じない。
【0170】
上記の構成によれば、第1のゲート配線42および第2のゲート配線52が、半導体層40の第4辺S4に最近接する部分には設置されない分、第1の活性領域112および第2の活性領域122を拡大できるため、半導体装置1の導通抵抗を低減することができる。
【0171】
図13に示す半導体装置1では、平面視で、第1のゲートトレンチ17が境界線90と平行する方向に延伸する。この場合には、第1のゲート配線42が、半導体層40の第1辺S1に最近接する部分を除いて、第1のソース電極11を取り囲むように設置されてもよい。同じように
図13に示す配置では、平面視において、第2のゲートトレンチ27が境界線90と平行する方向に延伸する。この場合には、第2のゲート配線52が、半導体層40の第2辺S2に最近接する部分を除いて、第2のソース電極21を取り囲むように設置されてもよい。
【0172】
上記の構成によれば、第1のゲート配線42および第2のゲート配線52が、それぞれ半導体層40の第1辺S1に最近接する部分、および半導体層40の第2辺S2に最近接する部分には設置されない分、第1の活性領域112および第2の活性領域122を拡大できるため、半導体装置1の導通抵抗を低減することができる。
【0173】
さて半導体装置1は、
図14が示すように、平面視において、第1のツェナーダイオード43と第1のソース電極11とを接続する第1の接続領域は、第1のゲート電極領域G1の外周辺のうち、第1のゲート電極領域G1と第1のソース電極11とが対向し、さらに第1のゲートトレンチ17が延伸する方向と平行な辺のみと重複する部分を有するように設置されてもよい。
【0174】
同様に、平面視において、第2のツェナーダイオード53と第2のソース電極21とを接続する第2の接続領域は、第2のゲート電極領域G2の外周辺のうち、第2のゲート電極領域G2と第2のソース電極21とが対向し、さらに第2のゲートトレンチ27が延伸する方向と平行な辺のみと重複する部分を有するように設置さてもよい。
【0175】
上記の構成によれば、半導体層40の平面視において、第1のゲート配線42と第1のゲート導体15とが接続する領域を阻害することなく、第1のツェナーダイオード43と第1のソース電極11とを接続することができる。同様に、第2のゲート配線52と第2のゲート導体25とが接続する領域を阻害することなく、第2のツェナーダイオード53と第2のソース電極21とを接続することができる。
【0176】
そのため平面視において、第1の活性領域112の面積および第2の活性領域122の面積を削減することを防ぐことができるため、半導体装置1の導通抵抗を低減することができる。
【0177】
以上、本開示の一態様に係る半導体装置について、実施の形態および比較例1~6に基づいて説明したが、本開示は実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形をこれら実施の形態に施したものや、異なる実施の形態および変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本願発明に係る縦型MOSトランジスタを備える半導体装置は、電流経路の導通状態を制御する装置として広く利用できる。
【符号の説明】
【0179】
1、2、3、4、5、6、7 半導体装置
10 トランジスタ(第1の縦型MOSトランジスタ)
11 第1のソース電極
12、13、22、23 部分
14 第1のソース領域
15 第1のゲート導体
16 第1のゲート絶縁膜
17 第1のゲートトレンチ
18 第1のボディ領域
18a 第1の接続部
19 第1のゲート電極
20 トランジスタ(第2の縦型MOSトランジスタ)
21 第2のソース電極
24 第2のソース領域
25 第2のゲート導体
26 第2のゲート絶縁膜
27 第2のゲートトレンチ
28 第2のボディ領域
28a 第2の接続部
29 第2のゲート電極
30 金属層
32 半導体基板
33 低濃度不純物層
34 層間絶縁層
35 パッシベーション層
40 半導体層
41 第1のゲート抵抗素子
42 第1のゲート配線
43 第1のツェナーダイオード
44 第1のEQR
51 第2のゲート抵抗素子
52 第2のゲート配線
53 第2のツェナーダイオード
54 第2のEQR
90 境界線
111 第1のソースパッド
112 第1の活性領域
119 第1のゲートパッド
121 第2のソースパッド
122 第2の活性領域
129 第2のゲートパッド
A1 第1の領域
A2 第2の領域
C1 第1の制御領域
C2 第2の制御領域
G1 第1のゲート電極領域
G2 第2のゲート電極領域
R1 第1の抵抗素子領域
R2 第2の抵抗素子領域
P1 第1の角部
P2 第2の角部
N1 第1の狭窄領域
N2 第2の狭窄領域
D1 第1の袋小路領域
D2 第2の袋小路領域
S1 第1辺
S2 第2辺
S3 第3辺
S4 第4辺
【要約】
半導体装置(1)は、半導体層(40)と、半導体層(40)に形成された第1の縦型MOSトランジスタ(10)および第2の縦型MOSトランジスタ(20)とを備え、半導体層(40)の平面視において、第1のゲート電極領域(G1)の外周辺のうちの1辺の全長、および、第1の抵抗素子領域(R1)の外周辺のうちの1辺の全長は、半導体層(40)の外周辺のうち、境界線(90)と直交し、第1のゲートパッド(119)との間の距離が最短となる辺の一部と一致し、半導体層(40)の平面視において、第1の抵抗素子領域(R1)の外周辺には、第1のゲート電極領域(G1)の外周における4つの角部のうち、境界線(90)との間の距離が最短であり、かつ半導体層(40)の外周辺のうち、境界線(90)と直交する辺との間の距離が最短となる1つの角部のみが含まれる。