(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】プレートフィン積層型熱交換器およびそれを用いた冷凍システム
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20241206BHJP
F28F 3/04 20060101ALI20241206BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20241206BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20241206BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
F28F9/02 301J
F28F3/04 A
F28F3/08 311
F28D9/00
F25B39/00 F
(21)【出願番号】P 2021014067
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】名越 健二
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 寛
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-027486(JP,A)
【文献】国際公開第2020/262666(WO,A1)
【文献】特開2016-118335(JP,A)
【文献】米国特許第05697429(US,A)
【文献】米国特許第05634519(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0158388(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02336697(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2004/0244955(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102483307(CN,A)
【文献】中国実用新案第2605549(CN,Y)
【文献】米国特許出願公開第2022/0120479(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第114041033(CN,A)
【文献】特開2000-121280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28F 3/04
F28F 3/08
F28F 3/12
F28D 1/03
F28D 9/00
F25B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダ流路間に伝熱流路を有するプレートフィンを複数積層して構成した熱交換器であって、前記プレートフィンは、ヘッダ流路を有するヘッダ領域部と、前記ヘッダ流路を繋ぐ伝熱流路を有する流路領域部と、からなり、前記ヘッダ領域部はヘッダ流路用開口を有する二枚のプレートを接合して構成するとともに、前記流路領域部は伝熱流路を一体成型した一枚のプレートで構成し、前記ヘッダ領域部と流路領域部とを一体に接合してプレートフィンとし
、前記ヘッダ流路用開口を二つ有し、このうち一方のヘッダ流路用開口から他方のヘッダ流路用開口までを接続する流路は、前記プレートフィン内で単一であるプレートフィン積層型熱交換器。
【請求項2】
ヘッダ流路間に伝熱流路を有するプレートフィンを複数積層して構成した熱交換器であって、前記プレートフィンは、一対のヘッダ流路を纏めて設けたヘッダ領域部と、前記一対のヘッダ流路を繋ぐ伝熱流路を備えた流路領域部と、伝熱流路同士間を繋ぐ連絡通路を備えた補助流路領域部とを備え、前記ヘッダ領域部を流路領域部の一端部側に接合一体化するとともに、流路領域部の他端側に前記補助流路領域部を接合一体化してプレートフィンとし
、前記一対のヘッダ流路のうち一方のヘッダ流路から他方のヘッダ流路までを接続する流路は、前記プレートフィン内で単一であるプレートフィン積層型熱交換器。
【請求項3】
流路領域部は両端部に伝熱流路形成部の端部分を突出させ、前記端部分をヘッダ領域部またはヘッダ領域と補助流路領域部の二つのプレートで挟み込んで接合一体化した請求項1または2記載のプレートフィン積層型熱交換器。
【請求項4】
熱交換器を
前記請求項1~3のいずれか1項に記載のプレートフィン積層型熱交換器とした冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプレートフィン積層型熱交換器とそれを用いた冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プレートフィン積層型熱交換器を開示する。このプレートフィン積層型熱交換器は、ヘッダ流路と伝熱流路とを有するプレートフィンを複数積層することにより構成してある。そして、上記プレートフィンは一対のプレートを向かい合わせにロウ付けして構成してあり、一方のヘッダ流路から伝熱流路に流入した冷媒等の第1流体を出口となる他方のヘッダ流路へと流し、前記伝熱流路を流れる第1流体と前記プレートフィン間の間隙を流れる空気等の第2流体との間で熱交換させる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記従来のプレートフィン構成に起因して生じる課題を解決して軽量且つ信頼性の高い高性能なプレートフィン積層型熱交換器およびそれを用いた冷凍システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示におけるプレートフィン積層型熱交換器は、ヘッダ流路間に伝熱流路を有するプレートフィンを複数積層して構成した熱交換器であって、前記プレートフィンはヘッダ流路を有するヘッダ領域部と伝熱流路を有する流路領域部とからなり、前記ヘッダ領域部はヘッダ流路用開口を有する二枚のプレートを接合して構成するとともに、前記流路領域部は伝熱流路を一体成型した一枚の流路用プレートで構成し、前記ヘッダ領域部と流路領域部とを一体に接合してプレートフィンとした構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本開示におけるプレートフィン積層型熱交換器は、上記構成により、流路領域部はプレートに伝熱流路を一体成型して形成しているので、接合箇所はヘッダ領域部のみとなって最小限に抑えることができ、信頼性が向上するとともに、二枚のプレートを接合して構成する場合に比べ重量を軽減し、且つ、薄型化しているのでプレートフィン間を流れる第2流体の通流抵抗を減少させることもでき、信頼性が高く軽量且つ高性能なプレートフィン積層型熱交換機とそれを用いた冷凍システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1におけるプレートフィン積層型熱交換器の外観を示す分解斜視図
【
図2】同プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィン積層体の一部を示す斜視図
【
図3】同プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィンの全体構成を示す斜視図
【
図4】同プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィンのヘッダ領域を展開して示す斜視図
【
図5】同プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィンの要部拡大斜視図
【
図9】他の実施形態におけるプレートフィンの展開状態、完成状態、積層状態を示す斜視図
【
図10】同プレートフィン積層型熱交換器を用いた冷凍システムの一例として示す空気調和機の冷凍サイクル図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、プレートフィン積層型熱交換器のプレートフィンは、特許文献1に示すように、ヘッダ流路用開口と伝熱流路用凹溝を備えた二枚のプレートを向かい合わせにロウ付け接合して構成してあり、接合箇所の多さと流路構成の複雑さから接合不良が発生しやすい。そのため、接合不良を低減して信頼性を向上させる必要がある、という課題があった。また、二枚のプレートを接合して構成しているので、その分厚肉構成となってプレートフィン間を流れる流体の通流抵抗が増加し熱交換性能が低下するとともに、熱交換器全体の重量も重いものとなる、という課題もあった。
【0009】
本発明者らはこのような課題を発見し当該課題を解決するため本開示の主題を構成するに至った。
【0010】
そこで本開示は、信頼性が高く軽量且つ高性能なプレートフィン積層型熱交換器およびそれを用いた冷凍システムを提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図8を用いて、実施の形態1を説明する。
【0014】
[1-1.構成]
図1に示すように、本実施形態の熱交換器1は、短冊状のプレートフィン2aを積層したプレートフィン積層体2の両側に平面視が略同一形状のエンドプレート3a、3bを接合一体化して構成してある。そして、その一端部側に、凝縮器として用いる場合には入口となり蒸発器として用いる場合は出口となる管A4及びその逆となる管B5とを有している。
【0015】
上記プレートフィン積層体2の両側のエンドプレート3a、3bは、プレートフィン積層体2を挟持した形でロウ付けにより接合され、締結手段7によりその長手方向両端部を連結固定し、熱交換器としての剛性を保持している。
【0016】
また、プレートフィン2aは、
図2、
図3に示すように、冷媒等の第1流体(以下、冷媒と称する)が流れる伝熱流路8を有し、多数積層して各プレートフィン2a同士の間に空気等の第2流体(以下、空気と称する)が流れる積層間隔を形成している。そして、上記プレートフィン2aに設けた前記伝熱流路8を流れる冷媒と各プレートフィン2aの間の積層間隙を流れる空気との間で熱交換する。
【0017】
上記プレートフィン2aは、
図4に示すように、管A4に繋がるヘッダ流路A9及び管B5に繋がるヘッダ流路B10を有する左右のヘッダ領域部11,11と、上記ヘッダ流路A9,B10同士間をつなぐ伝熱流路8を有する流路領域部12とを備え、これらヘッダ領域部11,11と流路領域部12を一体に連結接合して構成してある。
【0018】
上記左右のヘッダ領域部11,11は、略同様の形状をなし、
図5に示すように、ヘッダ流路用開口A9a(B10a)とその外周に形成したリング状凹溝13及びリング状凹溝13から導出した連絡通路用凹溝14、当該連絡通路用凹溝14に繋がる流路覆い部15を設けた第1プレート16aと、ヘッダ流路用開口A9a(B10a)とその外周に形成したリング状凹溝13とを有する第2プレート16bとを向かい合わせにロウ付け接合して構成してある。そして、この例では、第1プレート16aと第2プレート16bの一片側に連結片部17を設け、当該連結片部17を折り曲げて向かい合わせに接合するようにしてある。
【0019】
一方、流路領域部12は、一枚の流路用プレート18に伝熱流路8を一体成型、この例では押し出し成型して形成し、その端部を左右各ヘッダ領域部11,11の第1プレート16aと第2プレート16bとの間に挟み込んでロウ付け接合することによりヘッダ領域部11,11と一体化してある。
【0020】
上記左右の各ヘッダ領域部11,11と流路領域部12との連結接合構成は基本的に同じ構成なので、ヘッダ流路用開口A9aを設けたヘッダ領域部11と流路領域部12との連結接合構成を例にして
図5により更に詳しく説明すると、上記流路領域部12の端部には伝熱流路形成部12aの端部分12abをフィン部12bよりもヘッダ領域部11側へ突出するように形成している。そして、上記伝熱流路形成部12aの端部分12abをヘッダ領域部11の第1プレート16aに設けた流路覆い部15と第2プレート16bの平坦面部とで挟み込み、ロウ付けして連結接合している。これにより、第1プレート16aの流路覆い部15と流路用プレート18の伝熱流路8の端部分12abとでヘッダ流路A9,B10の間を繋ぐ一連の通路が形成されることになる。
【0021】
ここで、上記ヘッダ領域部11,11の平坦面部には凸条リブ22が設けてあり、この凸条リブ22が、
図7に示すように、プレートフィン2aを積層した際、隣接するプレートフィン2aの流路覆い部15と背中合わせに当接してこれを伝熱流路形成部12aの端部分12abに押し付ける構成となっている。
【0022】
また、上記流路領域部12の伝熱流路8は、
図5に示すように、この例では二列一組として押し出し成型されており、当該伝熱流路形成部12aの間のフィン部12b裏面側には、
図5に示すように、プレートフィン積層間隔を流れる空気を蛇行させるための凸条部12cが設けられている。
【0023】
さらに、前記複数の並設した伝熱流路8はヘッダ領域部11,11に凹設してある補助連絡用流路部19によって連結され、ヘッダ流路A9,B10間でターンする構成としている。
【0024】
なお、エンドプレート3a,3b、プレートフィン2aはアルミニュウム若しくはアルミ合金で形成している。
【0025】
[1-2.動作]
次に上記のように構成したプレートフィン積層型熱交換器について、これを空気調和機の熱交換器として用いた場合を例にしてその作用効果を説明する。
【0026】
本実施の形態の熱交換器1は、例えば凝縮条件で使用されている時、管A4から気相状態の冷媒がプレートフィン積層体2の入り口側のヘッダ流路A9内に流入する。ヘッダ流路A9内に流入した気相冷媒は、各プレートフィン2aの伝熱流路8をターンしながら流れ、出口側のヘッダ流路B10を介して管B5より冷凍システムの冷媒回路へと流出する。そして、上記伝熱流路8を流れる間にプレートフィン積層体2のプレートフィン積層間隔を通り抜ける空気と熱交換し、気相冷媒は順次液相化してヘッダ流路B10から流出していく。
【0027】
ここで、上記冷媒が流れるプレートフィン2aのヘッダ領域部11,11は、第1・第2プレート16a,16bの二枚をロウ付け接合して構成しているが、伝熱流路8を有する流路領域部12は伝熱流路8を押し出し成型した流路用プレート18一枚で形成している。したがって、この熱交換器1はロウ付けによる接合箇所をヘッダ領域部11のみの最小限に抑えることができ、信頼性を大幅に向上させることができる。
【0028】
一方、プレートフィン2aの流路領域部12は、伝熱流路8を押し出し成型した流路用プレート18一枚で形成しているから、流路領域部12のフィン部12bの板厚がヘッダ領域部11の第1・第2プレート16a,16b二枚をロウ付けした合計板厚よりも薄くなる。そして、
図7に示すように流路領域部12の伝熱流路形成部12aにおける厚み幅tも第1・第2プレート16a,16bを接合して形成したヘッダ領域部11の連絡通路用凹溝14、つまり従来の二枚プレートを接合して形成した伝熱流路を有する部分に相当する厚み幅Tに比べ薄くなる。
【0029】
したがってその分だけ
図8に示す空気の通り道となる流路領域部12の積層間隔Lを広くすることができ、空気の通流抵抗を減少させ、高性能化させることができる。加えて、上記流路領域部12の積層間隔Lには凸条部12cが突出する形となって空気を破線矢印Yで示すように蛇行させるので、更に高性能化することができる。
【0030】
また、上記プレートフィン2aは流路領域部12が薄型化することにより重量も軽くなる。したがって、熱交換器1全体の重量を大幅に軽減し、軽量化することができる。
【0031】
また、上記プレートフィン2aのヘッダ領域部11,11と流路領域部12とは、
図5に示すように、流路領域部12のフィン部12bから突出した伝熱流路形成部12aの端部分12abをヘッダ領域部11,11の第1プレート16aに設けた流路覆い部15と第2プレート16bの平坦面部とで挟み込んで接合する構成としているので、容易に接合でき、且つ、接合不良も抑制してロウ付け接合を確実なものとすることができる。
【0032】
そして、本実施の形態では、上記第2プレート16bの平坦面部に凸条リブ22を設けて、プレートフィン2aを積層した際、隣接するプレートフィン2aの流路覆い部15を押さえつけるように構成しているので、流路覆い部15と伝熱流路形成部12aの端部分12abとの接合部に加わる冷媒からプレート剥がし圧力に抗してプレート接合を強固に保持することができ、第1流体が流れる流路覆い部15と伝熱流路形成部12aの端部分12abとで形成される流路接合部分の気密性を高いものとして信頼性をより向上させることができる。
【0033】
さらに、前記ヘッダ領域部11,11を構成する第1プレート16aと第2プレート16bは連結片部17により連結しているので、第1プレート16aと第2プレート16bを一つの部品として管理することができ、部品点数の削減と同時に部品管理も容易化することができる。
【0034】
なお、本実施の形態では、ヘッダ流路A9,B10を有するヘッダ領域部11,11をプレートフィン2aの両端に分けて設けた場合を例示したが、
図9に示すようにヘッダ流路A9,B10を纏めて設けたヘッダ領域部11と、伝熱流路8を繋ぐ連絡通路20のみを設けた補助流路領域部21を、流路領域部12の左右それぞれの端部に接合一体化し、プレートフィン2aの一端部側にヘッダ流路A9,B10を纏めて設ける構成としてもよい。
【0035】
このように、ヘッダ流路A9,B10をプレートフィン2aの一端側に纏めて設ける構成としても前記と同様の効果が得られるものである。加えて上記構成とすることにより、熱交換器1のプレートフィン2aの一端部側にヘッダ流路A9,B10が纏まる形となるので、各ヘッダ流路A9,B10への冷凍システム側からの配管の接続作業が一箇所で行えるようになる。
【0036】
[1-3.効果等]
以上のように、本開示のプレートフィン積層型熱交換器は、ヘッダ流路A9,B10間に伝熱流路8を有するプレートフィン2aを複数積層して構成した熱交換器であって、前記プレートフィン2aはヘッダ流路を有するヘッダ領域部11と伝熱流路8を有する流路領域部12とからなり、前記ヘッダ領域部11はヘッダ流路用開口を有する二枚のプレート16a,16bを接合して構成するとともに、前記流路領域部12は伝熱流路8を一体成型した一枚の流路用プレート18で構成し、前記ヘッダ領域部11と流路領域部12とを一体に接合してプレートフィン2aとした構成としている。
【0037】
これにより、流路領域部12は伝熱流路8を一体形成した一枚の流路用プレート18であるから、接合箇所はヘッダ領域部11のみとなってロウ付け等の接合箇所を最小限に抑えることができ、信頼性を向上させることができるとともに、二枚のプレート16a,16bを接合して構成する場合に比べ重量の軽減と薄型化による第2流体の通流抵抗の減少を図ることができ、軽量で高性能かつ信頼性の高いプレートフィン積層型熱交換機とすることができる。
【0038】
また、本開示のプレートフィン積層型熱交換器は、ヘッダ流路A9,B10間に伝熱流路8を有するプレートフィン2aを複数積層して構成した熱交換器であって、前記プレートフィン2aは、一対のヘッダ流路A9,B10を纏めて設けたヘッダ領域部11と、前記一対のヘッダ流路A9,B10を繋ぐ伝熱流路8を備えた流路領域部12と、伝熱流路同士間を繋ぐ連絡通路20を備えた補助流路領域部21とを備え、前記ヘッダ領域部11を流路領域部12の一端部側に接合一体化するとともに、流路領域部12の他端側に前記補助流路領域部21を接合一体化してプレートフィン2aとした構成としている。
【0039】
これにより、熱交換器1のプレートフィン一端部側にヘッダ流路A9,B10が纏まる形となって、上記と同様熱交換器の軽量化を図り、信頼性及び性能を向上させると同時に、各ヘッダ流路A9,B10への冷凍システム側からの配管接続の作業性も向上させることができる。
【0040】
また、本開示のプレートフィン積層型熱交換器は、前記流路領域部12に設けた伝熱流路形成部12aの両端部分12abを突出させ、前記伝熱流路形成部12aの両端部分12abをヘッダ領域部11,11またはヘッダ領域部11,11と補助流路領域部21の二つのプレート16a,16bで挟み込んで接合一体化した構成としている。
【0041】
これにより、ヘッダ領域部11,11と流路領域部12を容易にロウ付け接合でき、かつ、そのロウ付けも堅牢で確実なものとすることができる。
【0042】
(実施の形態2)
以下、
図10、
図11を用いて、実施の形態2を説明する。
【0043】
[2-1.構成]
図10は実施の形態1におけるプレートフィン積層型熱交換器を用いて構成した空気調和機の冷凍サイクル図、
図11は同空気調和機の室内機を示す概略断面図である。
【0044】
図10、
図11において、この空気調和機は、室外機51と、室外機51に接続された室内機52から構成されている。室外機51には、冷媒を圧縮する圧縮機53、冷房暖房運転時の冷媒回路を切り替える四方弁54、冷媒と外気の熱を交換する室外熱交換器55、冷媒を減圧する減圧器56、室外送風機59が配設されている。また、室内機52には、冷媒と室内空気の熱を交換する室内熱交換器57と、室内送風機58とが配設されている。そして、前記室内熱交換器57に実施の形態1で例示したプレートフィン積層型熱交換器を用い、圧縮機53、四方弁54、室内熱交換器57、減圧器56、室外熱交換器55を冷媒回路で連結してヒートポンプ式冷凍サイクルを形成している。
【0045】
[2-2.動作]
上記構成からなる空気調和機は、冷房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室外熱交換器55とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の気相冷媒となって四方弁54を通って室外熱交換器55に送られる。そして、外気と熱交換して放熱し、高圧の液相冷媒となり、減圧器56に送られる。減圧器56では減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室内機52に送られる。室内機52では、冷媒は室内熱交換器57に入り室内空気と熱交換して吸熱し、蒸発気化して低温のガス冷媒となる。この時室内空気は冷却されて室内を冷房する。さらに冷媒は室外機51に戻り、四方弁54を経由して圧縮機53に戻される。
【0046】
暖房運転時には、四方弁54を圧縮機53の吐出側と室内機52とが連通するように切り換える。これにより、圧縮機53によって圧縮された冷媒は高温高圧の冷媒となって四方弁54を通り、室内機52に送られる。高温高圧の冷媒は室内熱交換器57に入り、室内空気と熱交換して放熱し、冷却され高圧の液冷媒となる。この時、室内空気は加熱されて室内を暖房する。その後、冷媒は減圧器56に送られ、減圧器56において減圧されて低温低圧の二相冷媒となり、室外熱交換器55に送られて外気と熱交換して蒸発気化し、四方弁54を経由して圧縮機53へ戻される。
【0047】
[2-3.効果等]
本開示の冷凍システムは、室内熱交換器57に前記実施の形態1で示した熱交換器を使用しているので、軽量で高性能かつ高い信頼性を持つ冷凍システムとすることができる。
【0048】
[他の実施形態]
以上、本発明に係るプレートフィン積層型熱交換器及びそれを用いた冷凍システムについて、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。例えば、第1流体は冷媒、第2流体は空気とした場合を例示したが、これに限定されるものではない。また、冷凍システムとして空気調和機を例示したが、冷蔵庫や冷凍ケース等であってもよいし、第2流体を水としたヒートポンプ給湯器であってもよいものである。つまり、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、上記したように、軽量且つ信頼性の高い高性能なプレートフィン積層型熱交換器とそれを用いた冷凍システムを提供することができる。よって、家庭用及び業務用エアコン等に用いる熱交換器や各種冷凍機器に幅広く利用でき、その産業的価値は大なるものがある。
【符号の説明】
【0050】
1 熱交換器
2 プレートフィン積層体
2a プレートフィン
3a、3b エンドプレート
4 管A
5 管B
7 締結手段(ボルト・ナット)
8 伝熱流路
9 ヘッダ流路A
10 ヘッダ流路B
11 ヘッダ領域部
12 流路領域部
12a 伝熱流路形成部
12ab 端部分
12b フィン部
12c 凸条部
13 リング状凹溝
14 連絡通路用凹溝
15 流路覆い部
16a 第1プレート
16b 第2プレート
17 連結片部
18 流路用プレート
19 補助連絡用流路部
20 連絡通路
21 補助流路領域部
22 凸条リブ
51 室外機
52 室内機
53 圧縮機
54 四方弁
55 室外熱交換器
56 減圧器
57 室内熱交換器
58 室内送風機
59 室外送風機