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特許7599075チェーンスプロケットホイール及びチェーン可動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】チェーンスプロケットホイール及びチェーン可動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/30 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
F16H55/30 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020216189
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022101848
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】522334564
【氏名又は名称】ゼクサスチェン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 亮一
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204300294(CN,U)
【文献】特開2020-200918(JP,A)
【文献】米国特許第4043214(US,A)
【文献】実開平2-42882(JP,U)
【文献】米国特許第2230902(US,A)
【文献】米国特許第2862399(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0075065(KR,A)
【文献】特開2005-8084(JP,A)
【文献】特開2014-231895(JP,A)
【文献】特開2013-79698(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109282013(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンを外周に掛け渡すチェーンスプロケットホイールであって、
チェーンが係合する多数の歯を有するホイール部と、前記ホイール部が接合される一面を有する固定盤と、前記ホイール部を前記固定盤の前記一面に接合して固定する複数の固着具と、を備え、
前記ホイール部が周方向に複数の部分ホイールに分割され、各部分ホイールは前記複数の固着具のうち少なくとも一以上の固着具によって単独で着脱可能に前記固定盤の前記一面に取り付けられ、
前記一以上の固着具は、前記部分ホイールの一つのみを前記固定盤に着脱可能に固定するものであり、
前記固定盤及び前記部分ホイールの接合面のうち、いずれか一方に凸部が、他方に凹部が形成されており、
前記凸部及び前記凹部の少なくともいずれかの形状が周方向に沿って形成された形状であり、
前記部分ホイールの接合面は、正面及び背面に設けられるとともに、前記正面及び背面には前記凸部又は前記凹部が形成されており、前記部分ホイールの接合面を背面として前記部分ホイールを前記固定盤の正面から背面方向に向かって移動させて前記凸部と前記凹部とを係合させて前記固定盤の一面に取り付けて使用することも、前記部分ホイールを反転して該部分ホイールの接合面を正面として前記部分ホイールを前記固定盤の正面から背面方向に向かって移動させて前記凸部と前記凹部とを係合させて前記固定盤の一面に取り付けて使用することも可能である
ことを特徴とするチェーンスプロケットホイール。
【請求項2】
前記固着具は複数であって、
一の前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離と、前記一の部分ホイールにおける固着具のうち隣接する他の部分ホイール側に位置する固着具と前記他の部分ホイールにおける固着具のうち前記一の部分ホイール側に位置する固着具との周方向における距離とが同じであることを特徴とする請求項1に記載のチェーンスプロケットホイール。
【請求項3】
隣設された前記部分ホイール間には隙間が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチェーンスプロケットホイール。
【請求項4】
前記ホイール部が前記歯の谷部を通って周方向に分割されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチェーンスプロケットホイール。
【請求項5】
駆動チェーンスプロケットホイールと、従動チェーンスプロケットホイールと、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前駆従動チェーンスプロケットホイールの外周に掛け渡されるチェーンと、を備えるチェーン可動装置であって、
前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前記従動チェーンスプロケットホイールは、それぞれ、チェーンが係合する多数の歯を有するホイール部と、固定盤と、を備え、
前記ホイール部が周方向に複数の部分ホイールに分割され、各部分ホイールが周方向に複数配置された固着具によって着脱可能に前記固定盤に取り付けられ、
前記固定盤及び前記部分ホイールの接合面のうち、いずれか一方に凸部が、他方に凹部が形成されるとともに前記凸部と前記凹部とは係合され、
前記部分ホイールには、前記固定盤との接合面及び該接合面の反対面に前記凸部又は前記凹部が形成され、該部分ホイールを反転させても前記固定盤に取付けることが可能であり、
前記駆動チェーンスプロケットホイールの前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールの前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離とが同じであり、
前記各部分ホイールに配置された前記複数の固着具は、第一固着具と、該第一固着具よりも前記部分ホイールの回転方向後方に配置される第二固着具を有しており、
前記駆動チェーンスプロケットホイールは、前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離が、前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離より長く、
前記従動チェーンスプロケットホイールは、前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離が、前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離より短く、
前記駆動チェーンスプロケットホイールにおける前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールにおける前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離とが同じであり、
前記駆動チェーンスプロケットホイールにおける前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールにおける前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離とが同じであり、
前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前記従動チェーンスプロケットホイールのいずれか一方の前記部分ホイールを互いに反転させて他方の前記固定盤に取付けることが可能である
ことを特徴とするチェーン可動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周に掛け渡されたチェーンを長さ方向に可動させるチェーンスプロケットホイール及びチェーン可動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なチェーン可動装置に用いられるチェーン機構のチェーンスプロケットホイールは、複数配置されてその外周にチェーンが掛け渡され、少なくとも一つのチェーンスプロケットホイールが駆動装置で回転され、その回転力をチェーンに伝達して長さ方向に移動させるようになっている。
チェーンはチェーンスプロケットホイールの歯の一部に係合されるので、この歯に大きな荷重が加わることになり、破損や摩耗が生じやすい。特に、重量物を搬送するチェーンコンベアや、汚泥かき寄せ装置のチェーン機構では、歯の損傷が激しいため、チェーンスプロケットホイールの交換頻度が高くなる。この際、大型のチェーンスプロケットホイール全体を交換すると、多大な労働力及び作業時間を要するだけでなく、コストも非常に高くついた。
また、従動チェーンスプロケットホイールについても同様である。
【0003】
そこで、従来、ホイール本体とこれを取り付け固定する固定盤とからなり、ホイール本体は、取替え可能に分割型に形成してあるチェーンスプロケットホイールが特許文献1に開示されている。
このような分割型のチェーンスプロケットホイールは、歯が部分的に欠損したり、摩耗するなどして使用に耐えられなくなった場合に、チェーンを掛け渡したまま、ホイール本体の分割片の一部を交換するのみで補修することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-356217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載のようなチェーンスプロケットホイールは、ホイール本体の分割片と固定盤がボルト・ナットのみで取り付け固定されているので、歯の一部に大きい力が加わると、分割片が固定盤に対してがたつき、チェーンとの間で力の伝達が十分に行われないおそれがあった。
このため、ボルト・ナットの固定に加えて分割片と固定盤とのいずれか一方に凸部、他方に凹部を設けて、双方を係合させることで、がたつきを防止することも考えられる。
一方、チェーンスプロケットホイールの歯は、回転方向の一方に偏って偏摩耗することもある。
本発明が解決しようとする課題は、チェーンを取り外すことなく、部分ホイールの一部のみを交換することができ、部分ホイールが固定盤に対してがたつきにくく、偏摩耗した場合にも効率的な対応が可能なチェーンスプロケットホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、チェーンを外周に掛け渡すチェーンスプロケットホイールであって、チェーンが係合する多数の歯を有するホイール部と、前記ホイール部が接合される一面を有する固定盤と、前記ホイール部を前記固定盤の前記一面に接合して固定する複数の固着具と、を備え、前記ホイール部が周方向に複数の部分ホイールに分割され、各部分ホイールは前記複数の固着具のうち少なくとも一以上の固着具によって単独で着脱可能に前記固定盤の前記一面に取り付けられ、前記一以上の固着具は、前記部分ホイールの一つのみを前記固定盤に着脱可能に固定するものであり、前記固定盤及び前記部分ホイールの接合面のうち、いずれか一方に凸部が、他方に凹部が形成されており、前記凸部及び前記凹部の少なくともいずれかの形状が周方向に沿って形成された形状であり、前記部分ホイールの接合面は、正面及び背面に設けられるとともに、前記正面及び背面には前記凸部又は前記凹部が形成されており、前記部分ホイールの接合面を背面として前記部分ホイールを前記固定盤の正面から背面方向に向かって移動させて前記凸部と前記凹部とを係合させて前記固定盤の一面に取り付けて使用することも、前記部分ホイールを反転して該部分ホイールの接合面を正面として前記部分ホイールを前記固定盤の正面から背面方向に向かって移動させて前記凸部と前記凹部とを係合させて前記固定盤の一面に取り付けて使用することも可能であることを特徴とするチェーンスプロケットホイールである。
請求項2に係る発明は、前記固着具は複数であって、一の前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離と、前記一の部分ホイールにおける固着具のうち隣接する他の部分ホイール側に位置する固着具と前記他の部分ホイールにおける固着具のうち前記一の部分ホイール側に位置する固着具との周方向における距離とが同じであることを特徴とする請求項1に記載のチェーンスプロケットホイールである。
請求項3に係る発明は、隣設された前記部分ホイール間には隙間が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のチェーンスプロケットホイールである。
請求項4に係る発明は、前記ホイール部が前記歯の谷部を通って周方向に分割されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチェーンスプロケットホイールである。
請求項5に係る発明は、駆動チェーンスプロケットホイールと、従動チェーンスプロケットホイールと、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前駆従動チェーンスプロケットホイールの外周に掛け渡されるチェーンと、を備えるチェーン可動装置であって、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前記従動チェーンスプロケットホイールは、それぞれ、チェーンが係合する多数の歯を有するホイール部と、固定盤と、を備え、前記ホイール部が周方向に複数の部分ホイールに分割され、各部分ホイールが周方向に複数配置された固着具によって着脱可能に前記固定盤に取り付けられ、前記固定盤及び前記部分ホイールの接合面のうち、いずれか一方に凸部が、他方に凹部が形成されるとともに前記凸部と前記凹部とは係合され、前記部分ホイールには、前記固定盤との接合面及び該接合面の反対面に前記凸部又は前記凹部が形成され、該部分ホイールを反転させても前記固定盤に取付けることが可能であり、前記駆動チェーンスプロケットホイールの前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールの前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離とが同じであり、前記各部分ホイールに配置された前記複数の固着具は、第一固着具と、該第一固着具よりも前記部分ホイールの回転方向後方に配置される第二固着具を有しており、前記駆動チェーンスプロケットホイールは、前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離が、前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離より長く、前記従動チェーンスプロケットホイールは、前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離が、前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離より短く、前記駆動チェーンスプロケットホイールにおける前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールにおける前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離とが同じであり、前記駆動チェーンスプロケットホイールにおける前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールにおける前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離とが同じであり、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前記従動チェーンスプロケットホイールのいずれか一方の前記部分ホイールを互いに反転させて他方の前記固定盤に取付けることが可能であることを特徴とするチェーン可動装置である。
また、別発明として、以下のものでもよい。
別発明1は、チェーンを外周に掛け渡すチェーンスプロケットホイールであって、チェーンが係合する多数の歯を有するホイール部と、前記ホイール部が接合される一面を有する固定盤と、前記ホイール部を前記固定盤の前記一面に接合して固定する複数の固着具と、を備え、前記ホイール部が周方向に複数の部分ホイールに分割され、各部分ホイールは前記複数の固着具のうち少なくとも一以上の固着具によって単独で着脱可能に前記固定盤の前記一面に取り付けられ、前記一以上の固着具は、前記部分ホイールの一つのみを前記固定盤に着脱可能に固定するものであり、前記固定盤及び前記部分ホイールの接合面のうち、いずれか一方に凸部が、他方に凹部が形成されており、前記部分ホイールの接合面は、正面及び背面に設けられるとともに、前記正面及び背面には前記凸部又は前記凹部が形成されており、前記部分ホイールの接合面を裏面として前記凸部と前記凹部とを係合させて前記固定盤の一面に取り付けて使用することも、前記部分ホイールを反転して該部分ホイールの接合面を表面として前記凸部と前記凹部とを係合させて前記固定盤の一面に取り付けて使用することも可能であることを特徴とするチェーンスプロケットホイールである。
別発明2は、前記固着具は複数であって、一の前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離と、前記一の部分ホイールにおける固着具のうち隣接する他の部分ホイール側に位置する固着具と前記他の部分ホイールにおける固着具のうち前記一の部分ホイール側に位置する固着具との周方向における距離とが同じであることを特徴とする別発明1に記載のチェーンスプロケットホイールである。
別発明3は、隣設された前記部分ホイール間には隙間が形成されていることを特徴とする別発明1又は別発明2に記載のチェーンスプロケットホイールである。
別発明4は、前記ホイール部が前記歯の谷部を通って周方向に分割されていることを特徴とする別発明1乃至別発明3のいずれかに記載のチェーンスプロケットホイールである。
別発明5は、駆動チェーンスプロケットホイールと、従動チェーンスプロケットホイールと、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前駆従動チェーンスプロケットホイールの外周に掛け渡されるチェーンと、を備えるチェーン可動装置であって、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前記従動チェーンスプロケットホイールは、それぞれ、チェーンが係合する多数の歯を有するホイール部と、固定盤と、を備え、前記ホイール部が周方向に複数の部分ホイールに分割され、各部分ホイールが周方向に複数配置された固着具によって着脱可能に前記固定盤に取り付けられ、前記固定盤及び前記部分ホイールの接合面のうち、いずれか一方に凸部が、他方に凹部が形成されるとともに前記凸部と前記凹部とは係合され、前記部分ホイールには、前記固定盤との接合面及び該接合面の反対面に前記凸部又は前記凹部が形成され、該部分ホイールを反転させても前記固定盤に取付けることが可能であり、前記駆動チェーンスプロケットホイールの前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールの前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離とが同じであり、前記各部分ホイールに配置された前記複数の固着具は、第一固着具と、該第一固着具よりも前記部分ホイールの回転方向後方に配置される第二固着具を有しており、前記駆動チェーンスプロケットホイールは、前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離が、前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離より長く、前記従動チェーンスプロケットホイールは、前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離が、前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離より短く、前記駆動チェーンスプロケットホイールにおける前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールにおける前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離とが同じであり、前記駆動チェーンスプロケットホイールにおける前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールにおける前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離とが同じであり、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前記従動チェーンスプロケットホイールのいずれか一方の前記部分ホイールを互いに反転させて他方の前記固定盤に取付けることが可能であることを特徴とするチェーン可動装置である。
また、さらに別発明として、以下のものでもよい。
手段1は、チェーンを外周に掛け渡すチェーンスプロケットホイールであって、チェーンが係合する多数の歯を有するホイール部と、固定盤と、を備え、前記ホイール部が周方向に複数の部分ホイールに分割され、各部分ホイールが周方向に配置された固着具によって着脱可能に前記固定盤に取り付けられ、前記固定盤及び前記部分ホイールの接合面のうち、いずれか一方に凸部が、他方に凹部が形成されるとともに前記凸部と前記凹部とは係合され、前記部分ホイールには、前記固定盤との接合面及び該接合面の反対面に前記凸部又は前記凹部が形成され、該部分ホイールを反転させても前記固定盤に取付けることが可能であることを特徴とするチェーンスプロケットホイールである。
【0007】
手段2は、前記固着具は複数であって、一の前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離と、前記一の部分ホイールにおける固着具のうち隣接する他の部分ホイール側に位置する固着具と前記他の部分ホイールにおける固着具のうち前記一の部分ホイール側に位置する固着具との周方向における距離とが同じであることを特徴とする手段1に記載のチェーンスプロケットホイールである。
【0008】
手段3は、隣設された前記部分ホイール間には隙間が形成されていることを特徴とする手段1又は手段2に記載のチェーンスプロケットホイールである。
【0009】
手段4は、ホイール部が前記歯の谷部を通って周方向に分割されていることを特徴とする手段1乃至手段3のいずれかに記載のチェーンスプロケットホイールである。
【0010】
手段5は、駆動チェーンスプロケットホイールと、従動チェーンスプロケットホイールと、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前駆従動チェーンスプロケットホイールの外周に掛け渡されるチェーンと、を備えるチェーン可動装置であって、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前記従動チェーンスプロケットホイールはそれぞれ、チェーンが係合する多数の歯を有するホイール部と、固定盤と、を備え、前記ホイール部が周方向に複数の部分ホイールに分割され、各部分ホイールが周方向に複数配置された固着具によって着脱可能に前記固定盤に取り付けられ、前記固定盤及び前記部分ホイールの接合面のうち、いずれか一方に凸部が、他方に凹部が形成されるとともに前記凸部と前記凹部とは係合され、前記部分ホイールには、前記固定盤との接合面及び該接合面の反対面に前記凸部又は前記凹部が形成され、該部分ホイールを反転させても前記固定盤に取付けることが可能であり、前記駆動チェーンスプロケットホイールの前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールの前記部分ホイールにおける固着具間の周方向における距離とが同じであり、前記各部分ホイールに配置された前記複数の固着具は、第一固着具と、該第一固着具よりも前記部分ホイールの回転方向後方に配置される第二固着具を有しており、前記駆動チェーンスプロケットホイールは、前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離が、前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離より長く、前記従動チェーンスプロケットホイールは、前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離が、前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離より短く、前記駆動チェーンスプロケットホイールにおける前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールにおける前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離とが同じであり、前記駆動チェーンスプロケットホイールにおける前記第二固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離と、前記従動チェーンスプロケットホイールにおける前記第一固着具が配置される前記ホイール部の回転中心からの距離とが同じであり、前記駆動チェーンスプロケットホイール及び前記従動チェーンスプロケットホイールのいずれか一方の前記部分ホイールを互いに反転させて他方の前記固定盤に取付けることが可能であることを特徴とするチェーン可動装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、いずれかの部分ホイールに不具合が生じた場合に、その部分ホイールをチェーンと係合しない位置に移動させて、チェーンを取り外すことなく簡単に摩耗や損傷した部分ホイールのみを交換することができ、交換に要する手間やコストを大幅に低減することが可能となる。
また、固着具によって取り付けられた部分ホイールが、固定盤との接合面に形成された凹部と凸部が係合されているので、歯の一部に大きな力が加わっても、部分ホイールが固定盤に対してがたつきを防止することができる。
さらに、部分ホイールは、固定盤との接合面及び該接合面の反対面に凸部又は凹部が形成されており、部分ホイールを反転させても固定盤と凹凸嵌合させて取り付けることが可能となっている。このように構成することで、部分ホイールに偏摩耗(片減り)が生じた場合に部分ホイールを反転させて固定盤に取り付けることが可能となり、ランニングコストを大幅に低減すること可能となる。また、駆動チェーンスプロケットホイールと従動チェーンスプロケットホイールとで、部分ホイールを共用できるようになり、部分ホイールの製造コストを抑えることが可能となる。
【0012】
加えて、一の部分ホイールにおける固着具間の距離と、一の部分ホイールにおける固着具のうち隣接する他の部分ホイール側に位置する固着具と他の部分ホイールにおける固着具のうち一の部分ホイール側に位置する固着具との距離とが同じ距離離にすることにより、チェーンスプロケットホイールを最初に組み付ける際、部分ホイールを固定盤に容易に取り付けることができ、組付け作業を効率的に行うことが可能となる。
【0013】
加えて、隣設して配置された部分ホイール間に隙間を形成することにより、部分ホール同士が競ることを防止し部分ホイールの着脱が容易となる。
【0014】
加えて、ホイール部が歯の谷部を通って周方向に分割されることにより、山部同士の分割に比較して、接触面が少なくなり着脱が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係るチェーンスプロケットホイールの正面図。
図2】本発明の第1の実施形態に係るチェーンスプロケットホイールの断面図。
図3】本発明の第1の実施形態に係る固定盤の正面図。
図4】本発明の第1の実施形態に係る部分ホイールの正面図。
図5】本発明の第2の実施形態に係るチェーン可動装置の正面図。
図6】本発明の第2の実施形態に係る駆動チェーンスプロケットホイールの断面図。
図7】本発明の第2の実施形態に係る固定盤の正面図。
図8】本発明の第2の実施形態に係る部分ホイールの正面図。
図9】本発明の第2の実施形態に係る部分ホイールの着脱を示す説明図。
図10】本発明の第2の実施形態に係る部分ホイールの着脱を示す説明図。
図11】本発明の第2の実施形態に係る部分ホイールの着脱を示す説明図。
図12】本発明の第2の実施形態に係る部分ホイールの着脱を示す説明図。
図13】本発明の第3の実施形態に係るチェーンスプロケットホイールの正面図。
図14】第3の実施形態における効果を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0017】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至図4と共に説明する。
図1は第1の実施形態に係るチェーンスプロケットホイールの正面図であり、図2は第1の実施形態に係るチェーンスプロケットホイールの断面図であり、図3は第1の実施形態に係る固定盤の正面図であり、図4は第1の実施形態に係る部分ホイールの正面図である。
【0018】
第1の実施形態において、チェーンスプロケットホイール1は、駆動チェーンスプロケットホイールであって、外周に掛け渡したチェーン(図示せず)を長さ方向に可動させるものである。
図1及び図2に示すように、チェーンスプロケットホイール1は、ホイール部2と、円盤状の固定盤3とを備える。
ホイール部2は、その外周にチェーンが係合する多数の歯4を有し、歯4は、山部41と谷部42とを備える。
【0019】
ホイール部2は、周方向に等間隔で複数(本実施例では8個)の部分ホイール5に分割されている。この分割数は、チェーンをUターン状に掛け渡した際においても、チェーンが係合しない部分ホイール5が少なくとも一つは存在できるだけの分割数として設定すれば良い。
ホイール部2は、歯4の山部41を通って径方向に伸びる分割線に沿って分割され、すべての部分ホイール5を周方向に組み合わせることにより、全体として円盤状に形成される。また、すべての部分ホイール5を組み合わせると、隣接する部分ホイール5の間には、わずかな隙間7が形成される。
【0020】
部分ホイール5は、固定盤3のボルト孔9(図3参照)及び部分ホイール5のボルト孔10(図4参照)に挿通したボルト8によって、単独で着脱可能に固定盤3の一面に固定される。
ボルト8は、一つの部分ホイール5に対して二つ設けられており、これらのボルトは、第一ボルト8aと、第一ボルト8aよりも部分ホイール5の回転方向後方に配置される第二ボルト8bとで構成されている。ボルト8、第一ボルト8a、第二ボルト8bは、それぞれ本願発明の固着具、第一固着具、第二固着具に相当する。
【0021】
図1等に示されるように、部分ホイール5を固定する第一ボルト8a(第一固着具)及び第二ボルト8b(第二固着具)をホイール部2の回転中心と同心円上にそれぞれ配置している。すなわち、第一ボルト8aが配置されるホイール部2の回転中心からの距離と、第二ボルト8bが配置されるホイール部2の回転中心からの距離とが同じである。
【0022】
図2及び図3に示すように、固定盤3は、図示しないシャフトを通すための筒状部30と、ホイール部2を取り付けるための円形鍔状のホイール固定部31とを備える。
ホイール固定部31の一面(ホイール部2が接合される正面側の面)には、内周縁沿って固定用フランジ32が形成され、固定用フランジ32の内周面が筒状部30の外周面に溶接等により固定されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、ホイール固定部31の一面には、外周縁全てに沿って円形状の凸部11が形成されている。
図2図4に示すように、部分ホイール5の固定盤3に接合される面には、固定盤3の凸部11と係合する凹部12a、12bが周方向に沿って形成される。具体的には、正面側の面には凹部12b、現在凸部11と係合している背面側の面には凹部12aが形成されている。
部分ホイール5の内周面を固定用フランジ32の外周面に当接させると、部分ホイール5と固定盤3とが径方向に位置決めされ、凸部11と凹部12a又は凹部12bを簡単に係合できるとともに、ボルト孔9、10も位置合わせしやすい。
【0024】
ホイール固定部31の外周縁全てに沿って円形状の凸部11が形成するので、凸部11の加工が行いやすい。
チェーンスプロケットホイール1を回転させてチェーンを駆動する際に、部分ホイール5の歯4に不均等な力が加わり、部分ホイール5は固定盤3に対してがたつこうとするが、周方向に延びる固定盤3の凸部11と部分ホイール5の凹部12a又は凹部12bが係合して、がたつきを抑える。
【0025】
部分ホイール5に偏摩耗(片減り)が生じた場合には、ボルト8を緩めて外し部分ホイール5の背面側の凹部12aと凸部11の係合を解除して、反転させて正面側の凹部12bを凸部11に係合させる、すなわち、部分ホイール5の背面を正面側にして取付ける。このようにすることにより、新しい部分ホイールに交換をせずに偏摩耗に対応でき、ランニングコストを大幅に低減すること可能となる。また、チェーンがかけ渡されていない部分に対象の部分ホイール5を位置させてから当該作業を行えば、チェーンを取り外さずに作業を行うことができる。
また、駆動チェーンスプロケットホイールと従動チェーンスプロケットホイールとで、部分ホイール5を共用できるようにしておけば、互いに交換できるとともに、同様にコストを抑えることが可能となる。
【0026】
いずれかの部分ホイール5が摩耗・損傷した場合は、チェーンスプロケットホイール1からチェーンを取り外すことなく、その部分ホイール5がチェーンと係合しない位置まで移動させ、第一ボルト8a及び第二ボルト8bを抜き取り、摩耗・損傷を受けた部分ホイール5を取り外して、新たな部分ホイール5を取り付けるようにすることもできる。
【0027】
隣設して配置された部分ホイール5間には隙間7が形成されている。このように隙間7が形成されているので、部分ホイール5の着脱に際して、隣の部分ホイール5と取り外す部分ホイール5とが競ることなく、隣の部分ホイール5に邪魔されずに、容易に部分ホイール5を取り外しができる。また、取り付けにおいても隣の部分ホイール5に邪魔されずに作業が行うことができる。
【0028】
本実施形態では、一の部分ホイール5内のボルト間の周方向における距離(図1においてaで示される距離)と、該一の部分ホイール5を固定するボルトのうち隣接する他の部分ホイール5側に位置するボルトと該他の部分ホイール5を固定するボルトのうち一の部分ホイール側に位置するボルトとの間の周方向における距離(図1においてbで示される距離)とが異なるので、部分ホイールを図1のaで示されるところに、取付ける必要があった。しかしながら、図1においてaで示される距離とbで示される距離とを同じ距離、すなわちボルト8をすべて円周方向に等間隔で配置されるようにボルト孔9、10を配置するようにしても良い。このような構成とすれば、例えば、チェーンスプロケットホイール1のホイール部2を最初に組み付ける際、部分ホイール5をホイール固定部31上のどの位置からでも容易に取り付けることができ、組付け作業を効率的に行うことが可能となる。
【0029】
〔第2の実施形態〕
以下、本発明に係る第2の実施形態について図5乃至図12と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0030】
図5は第2の実施形態に係るチェーン可動装置の正面図であり、図6は第2の実施形態に係る駆動チェーンスプロケットホイールの断面図であり、図7は第2の実施形態に係る固定盤の正面図であり、図8は第2の実施形態に係る部分ホイールの正面図であり、図9乃至図12は第2の実施形態に係る部分ホイールの着脱を示す説明図である。
【0031】
図5は、チェーン可動装置を示している。上側のチェーンスプロケットホイール1は、駆動チェーンスプロケットホイールであり、下側のチェーンスプロケットホイール1は、従動チェーンスプロケットホイールであり、掛け渡されたチェーンは図示を省略しており、矢印は各チェーンスプロケットホイールの回転方向とチェーンの可動方向を示している。
【0032】
駆動側である上側のチェーンスプロケットホイール1は、第1の実施形態と同様であるが、第一ボルト8aと第二ボルト8bのホイール部2の回転中心からの取り付け位置が異なるものとなっている。すなわち、第一ボルト8aが配置されるホイール部2の回転中心からの距離と、第二ボルト8bが配置されるホイール部2の回転中心からの距離とが異なるものとなっている。
このように配置することで、歯4にチェーンの可動方向に大きな力が加わっても、部分ホイール5が固定盤3に対してがたつきをより防止することができる。
【0033】
具体的には、第一ボルト8aが配置されるホイール部2の回転中心からの距離は、第二ボルト8bが配置されるホイール部2の回転中心からの距離より長くなるように設定されている(図5図6)。また、そのために、固定盤及び部分ホイール5に設けられるボルト孔9、10も合わせて配置されている(図7図8)。
これにより、駆動チェーンスプロケットホイールであるので、チェーンスプロケットホイール1の回転によって生じるチェーンからの部分ホイール5の回転方向反対側に作用する回転モーメントに対する耐力を増すことができ、がたつきを防止することができる。
【0034】
従動側である下側のチェーンスプロケットホイール1は、上側のチェーンスプロケットホイールと同様であるが、第一ボルト8aと第二ボルト8bの取り付け位置が異なるものとなっている。具体的には、第一ボルト8aが配置されるホイール部2の回転中心からの距離を、第一ボルト8aよりホイール部2の回転方向後方に配置される第二ボルト8bのホイール部2の回転中心からの距離より短くして、ボルト8を配置している。
【0035】
従動側である下側のチェーンスプロケットホイール1は、外周に掛け渡された不図示のチェーンの可動に伴って矢印方向に回転するため、当該チェーンスプロケットホイール1の部分ホイール5には、チェーンの可動によって生じるチェーンからの部分ホイールの回転方向の回転モーメントが作用することになる。
これに対応して、上記のように第一ボルト8aと第二ボルト8bを配置することで、チェーンの可動によって生じるチェーンからの部分ホイール5の回転方向に作用する回転モーメントに対する耐力を増すことができる。
【0036】
上側のチェーンスプロケットホイール1における第一ボルト8aが配置されるホイール部2の回転中心からの距離と、下側のチェーンスプロケットホイール1における第二ボルト8bが配置されるホイール部2の回転中心からの距離とが同じであり、上側のチェーンスプロケットホイール1における第二ボルト8bが配置されるホイール部2の回転中心からの距離と、下側のチェーンスプロケットホイール1における第一ボルト8aが配置されるホイール部2の回転中心からの距離とが同じとなっている。
【0037】
上側のチェーンスプロケットホイール1の部分ホイール5内のボルト間の周方向における距離(図5においてaで示される距離)と、下側のチェーンスプロケットホイール1の部分ホイール5内のボルト間の周方向における距離(図5においてaで示される距離)とは同じである。
【0038】
また、上側のチェーンスプロケットホイール1の一の部分ホイール5を固定するボルトのうち隣接する他の部分ホイール5側に位置するボルトと該他の部分ホイール5を固定するボルトのうち一の部分ホイール側に位置するボルトとの間の周方向における距離(図5においてbで示される距離)と、下側のチェーンスプロケットホイール1の一の部分ホイール5を固定するボルトのうち隣接する他の部分ホイール5側に位置するボルトと該他の部分ホイール5を固定するボルトのうち一の部分ホイール側に位置するボルトとの間の周方向における距離(図5においてbで示される距離)とは同じである。
【0039】
部分ホイール5に偏摩耗が生じた場合の対応を図9乃至図12と共に説明する。
図9乃至図12において、上側のチェーンスプロケットホイール1の下側の二つの部分ホイール5a、5b及び下側のチェーンスプロケットホイール1の上側の二つの部分ホイール5c、5dは、チェーン(不図示)が係合されていない位置の部分ホイール5である。
【0040】
図9に示すように、上側のチェーンスプロケットホイール1の下側の二つの部分ホイールのうち左側の部分ホイール5a及び下側のチェーンスプロケットホイール1の上側の二つの部分ホイールのうち右側の部分ホイール5cを固定盤3から取り外す。取り外し方は、第1の実施形態と同様である。
【0041】
次に、図10に示すように、取り外した部分ホイール5a、5cをそれぞれ反転させて、入れ替えて固定盤3に取付ける。具体的には、部分ホイール5a、5cの背面側を正面側にして、正面側に形成された凹部12bを各々入れ替え先の固定盤3の凸部11に係合させて、ボルト孔9、10を合わせてボルト(不図示)で結合する。
このように駆動側である上側のチェーンスプロケットホイール1及び従動側である下側のチェーンスプロケットホイール1の部分ホイール5a、5cを互いに反転させて他方の固定盤3に取付けることができる。
【0042】
次に、図11に示すように、上側のチェーンスプロケットホイール1の下側の二つの部分ホイールのうち右側の部分ホイール5b及び下側のチェーンスプロケットホイール1の上側の二つの部分ホイールのうち左側の部分ホイール5dを固定盤3から取り外す。
【0043】
次に、図12に示すように、取り外した部分ホイール5b、5dをそれぞれ反転させて、入れ替えて固定盤3に取付ける。具体的には、部分ホイール5b、5dの背面側を正面側にして、正面側に形成された凹部12bを各々入れ替え先の固定盤3の凸部11に係合させて、ボルト孔9、10を合わせてボルト(不図示)で結合する。
このように駆動側である上側のチェーンスプロケットホイール1及び従動側である下側のチェーンスプロケットホイール1の部分ホイール5b、5dを互いに反転させて他方の固定盤3に取付けることができる。
【0044】
そして、チェーンスプロケットホイールを回転されて、次に入れ替える部分ホイールをチェーンの係合しない位置に移動させて、上記と同様の作業を行っていく。
【0045】
〔第3の実施形態〕
以下、本発明に係る第3の実施形態について図13及び図14と共に説明する。なお、第1及び第2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。図13は、第3の実施形態に係るチェーンスプロケットホイール1の正面図で、駆動チェーンスプロケットホイール1を示したものである。
【0046】
第3の実施形態において、ホイール部2は、歯4の谷部42を通って径方向に伸びる分割線に沿って、複数の部分ホイール5に分割されている。
このようにホイール部2を歯4の谷部42で分割すると、山部41で分割したものと比べて、強度がやや低くなって部分ホイール5間が開きやすくなるが、着脱に際して、隣設して配置された部分ホイール5と接触し得る部分が少なくなるので、隣設して配置された部分ホイール5が邪魔にならず、着脱が容易になる。また、山部41で分割したものと比べて、着脱に際して、隣設して配置された部分ホイール5と接触し得る部分が少なくなるので、指を挟む可能性も低くなり安全な着脱作業をすることができる。
【0047】
取り付けられた8個の部分ホイール5は、ホイール固定部31の接合面に面一となるように通って設けられるものであるが、着脱する際に隣り合う部分ホイール5同士との間で、段差が生じる場合がある。このような場合であっても、歯4の谷部42を通って径方向に伸びる分割線に沿って、複数の部分ホイール5が分割されていれば、チェーンの可動に対する段差の存在による影響が小さくすることができ、チェーンのスムーズな可動に貢献する。この効果を図14により具体的に説明する。
図14は、この効果を説明するための図で、図14(イ)は、ホイール部2を歯4の山部41で分割した部分を拡大した平面図(図5におけるA方向から見た図)で、図14(ロ)は、第3の実施形態を示すもので、ホイール部2を歯4の谷部42で分割した部分を拡大した平面図(図13におけるB方向から見た図)である。
【0048】
隙間7を介して配置された隣合う部分ホイール5、5が段差Zが生じた場合の段差Zに対する分割された山部41の距離については、図14(イ)のように歯4の山部41で分割されているケースでは、分割された山部41の距離は隙間7のL1である。一方、図14(ロ)のように歯4の谷部42で分割されているケースでは、分割された山部41の距離は隙間7より谷部42、42分だけ大きいL2であり、谷部42で分割されるケースでは、山部41の同じ段差Zが生じる距離が長くなる。
このことから、チェーンに対する山部41の段差の影響は、図14(ロ)の谷部42で分割されるケースの方が相対的に小さくなる。しかも、図14(イ)の山部41で分割されるケースでは、チェーンの一つの穴に係合する山部41間で段差Zが生じるが、図14(ロ)の谷部42で分割されるケースでは、チェーンの二つの穴に係合する山部41間で段差Zが生じることになり、チェーンに対する段差の影響は少なくなる。
【0049】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0050】
本実施形態では、ホイール部を8個の部分ホイールに分割してあるが、チェーンスプロケットホイールの大きさ、チェーンが係合する角度等によって、分割する数は適宜変更できる。
【0051】
本実施形態では、固定盤に凸部を形成し、部分ホイールに凹部を形成してあるが、もちろん、固定盤に凹部を形成し、部分ホイールに凸部を形成してもよい。
【0052】
本実施形態では、ホイール固定部31の外周縁全てに沿って円形状の凸部11が形成したが、これに限られない。外周縁全てに沿ってではなく断続的に設けるようにしても良い。また、外周縁でなく内側の接合面に凸部を形成しても良い。凸部の形状も実施形態に限定されるものではない。本実施形態では、周方向に湾曲するように設けたが、多角形状や径方向に長く設けるようなものでも反転して固定盤に着脱できるようなものであれば良い。
【0053】
本実施形態では、各部分ホイールを第一ボルト及び第二ボルトの2本のボルトで固定盤に取り付けてあるが、これに限られず、1本のボルトで固定盤に取り付けても良い。
【0054】
本実施形態では、各部分ホイールを第一ボルト及び第二ボルトの2本のボルトで固定盤に取り付けてあるが、部分ホイールの大きさに応じて、3本以上のボルトで取り付けても良い。
【0055】
本実施形態では、チェーンを取付けたまま偏摩耗に対応する部分ホイールの着脱作業を行う説明をしたが、チェーンを取り外して行うようにしても良い。この場合は、ホイール部を回転させず、任意の位置の部分ホイールに対して着脱作業をすることができる。
【0056】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 チェーンスプロケットホイール
2 ホイール部
3 固定盤
4 歯
5 部分ホイール
7 隙間
8 ボルト
8a 第一ボルト(第一固着具)
8b 第二ボルト(第二固着具)
9、10 ボルト孔
11 凸部
12a、12b 凹部
30 筒状部
31 ホイール固定部
32 固定用フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14