IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラジオロジー イノベーションズ エヌビー20シー ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7599078検査トンネルを備えた断層撮影装置のための洗浄装置、及び断層撮影装置
<>
  • 特許-検査トンネルを備えた断層撮影装置のための洗浄装置、及び断層撮影装置 図1
  • 特許-検査トンネルを備えた断層撮影装置のための洗浄装置、及び断層撮影装置 図2
  • 特許-検査トンネルを備えた断層撮影装置のための洗浄装置、及び断層撮影装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】検査トンネルを備えた断層撮影装置のための洗浄装置、及び断層撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
A61B5/055 390
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022581388
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2021064387
(87)【国際公開番号】W WO2021259590
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】102020207984.6
(32)【優先日】2020-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】524414530
【氏名又は名称】ラジオロジー イノベーションズ エヌビー20シー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルミン ミヒャエル ナーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ビッケルハウプト
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202013100769(DE,U1)
【文献】米国特許第06093255(US,A)
【文献】特開2006-088002(JP,A)
【文献】特開2006-149560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査トンネル(4)を備えた断層撮影装置(1)、特にMRTのための洗浄装置(10)であって、
トンネル軸に面するトンネル内面(8)に液体洗浄剤を塗布するためのノズルアセンブリ(12)と、
前記ノズルアセンブリ(12)を、前記トンネル軸に平行に且つ前記検査トンネル(4)に沿って変位可能に、前記断層撮影装置(1)の構成ユニット(6)に保持するように構成されている保持装置と、を備え、
前記保持装置は、前記ノズルアセンブリ(12)を、意図した使用状態において、前記断層撮影装置(1)の患者ベッド(6)に保持し、それによって、前記ノズルアセンブリ(12)は、前記患者ベッド(6)の移動に伴って移動し、
又は
前記保持装置はレールガイドを有し、そのレールガイドによって、前記ノズルアセンブリ(12)は、前記患者ベッド(6)とは別に前記検査トンネル(4)内において変位可能にガイドされる
洗浄装置(10)。
【請求項2】
意図した洗浄動作において、前記ノズルアセンブリ(12)の移動に依存して前記液体洗浄剤の前記塗布を設定するように構成されている制御装置(18)を備えた、
請求項1に記載の洗浄装置(10)。
【請求項3】
前記保持装置は、意図した使用状態において、前記患者ベッド(6)のガイドレールと結合するレールスライダを有する、
請求項1に記載の洗浄装置(10)。
【請求項4】
前記ノズルアセンブリ(12)は、ノズルヘッドの移動軸に対して異なる半径方向に向けられている複数のノズル開口を有する前記ノズルヘッドによって形成されている、
請求項1に記載の洗浄装置(10)。
【請求項5】
前記ノズルアセンブリ(12)は保持部材(14)を含み、その保持部材において、複数の個別ノズル(16)が、異なる半径方向に向けられ、意図した使用状態において、前記トンネル内面(8)に対して所定距離内に配置される、請求項1に記載の洗浄装置(10)。
【請求項6】
前記保持部材(14)は、円形の一部分、又は円弧の一部分として形成されている、請求項5に記載の洗浄装置(10)。
【請求項7】
前記保持部材(14)は、多角形に形成されている、請求項5に記載の洗浄装置(10)。
【請求項8】
前記ノズルアセンブリ(12)の意図した送り方向において、前記ノズルアセンブリの後方に配置されたワイパーアセンブリ(22)であって、前記液体洗浄剤の作用の下において前記トンネル軸に面するトンネル内面(8)を機械的に洗浄するように、及び/又は、前記液体洗浄剤を取り込むように構成されているワイパーアセンブリ(22)と、
前記ワイパーアセンブリ(22)を、前記トンネル軸に平行に且つ前記検査トンネル(4)に沿って変位可能に、前記断層撮影装置(1)の構成ユニット(6)に保持するように構成されている保持装置と、を備えた、請求項1に記載の洗浄装置(10)。
【請求項9】
前記ワイパーアセンブリ(22)は、前記トンネル内面(8)に機械的に作用する洗浄要素(28)を、前記ノズルアセンブリ(12)から切り離されて移動させるための駆動装置を有する、請求項に記載の洗浄装置(10)。
【請求項10】
洗浄剤用の、貯蔵容器(20)及び必要に応じて収集容器(30)が、意図した洗浄動作において、前記検査トンネル(4)の外部に残存している、請求項1に記載の洗浄装置(10)。
【請求項11】
検査トンネル(4)を備えた断層撮影装置(1)、特にMRTのための洗浄装置(10)であって、
液体洗浄剤の作用の下において、トンネル軸に面するトンネル内面(8)に対して、機械的に洗浄するように構成されているワイパーアセンブリ(22)と、
前記ワイパーアセンブリ(22)を、前記トンネル軸に平行に且つ前記検査トンネル(4)に沿って変位可能に、断層撮影装置(1)の構成ユニット(6)に保持するように構成されている保持装置と、を備え、
前記保持装置は、前記ワイパーアセンブリ(22)を、意図した使用状態において、前記断層撮影装置(1)の患者ベッド(6)に保持し、それによって、前記ワイパーアセンブリ(22)は、前記患者ベッド(6)の移動に伴って移動し、
又は
前記保持装置はレールガイドを有し、そのレールガイドによって、前記ワイパーアセンブリ(22)は、前記患者ベッド(6)とは別に前記検査トンネル(4)内において変位可能にガイドされる
洗浄装置(10)。
【請求項12】
前記保持装置は、意図した使用状態において、前記患者ベッド(6)のガイドレールと結合するレールスライダを有する、請求項11に記載の洗浄装置(10)。
【請求項13】
前記トンネル内面(8)に機械的に作用する洗浄要素(28)を移動させるための駆動装置を備える、請求項11に記載の洗浄装置(10)。
【請求項14】
意図した洗浄動作において、前記検査トンネル(4)に入る、前記洗浄装置(10)の
要素(12,20,22,30)は、強磁性材料の除外又は少なくとも削減の下に形成されている、請求項1又は11に記載の洗浄装置(10)。
【請求項15】
前記トンネル内面(8)に紫外線を照射するための紫外線照射アセンブリを備えた、請求項1又は11に記載の洗浄装置(10)。
【請求項16】
検査トンネルと、
請求項1又は11に記載の洗浄装置(10)と、を備えた、断層撮影装置(1)、特にMRT。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査トンネルを備えた断層撮影装置のための洗浄装置に関する。さらに、本発明は、そのような断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
断層撮影装置は、その名の通り、特に患者などの検査対象の断面画像を作成するために使用される。断面画像を作成するための1つのバリエーションは、例えば、コンピュータ断層撮影装置(略して、CT)においての、X線の使用である。更なるバリエーションは、磁気共鳴断層撮影装置(略して、MRT)において使用される、いわゆる磁気共鳴断層撮影法(核スピン断層撮影法とも呼ばれる)である。さらに、例えば、陽電子放出MRT(略して、PET-MRT)、PET-CT等の複合装置も知られている。通常、断層撮影装置は、被検体が押し込まれる検査トンネルを有する。コンピュータ断層撮影装置においては、この検査トンネルはいわゆるガントリによって形成され、そのガントリは、回転するリングに取り付けられたX線源と、通常はその反対側にX線検出器とを搭載している。磁気共鳴断層撮影法(略して、MR)に基づく装置においては、その検査トンネルは、リング状に配置された磁気コイルによって形成されている。
【0003】
特に、患者の検査の場合には、患者が触れた際の不潔な手指による感染を避けるために、断層撮影装置の表面の洗浄が重要である。しかしながら、特にMRTの場合、検査トンネルは、(直径に関して)通常60~70cm程度と比較的小さく、また、比較的長いものが多い。そのため、MR法に基づく断層撮影装置(特に全身検査用)においては、トンネルの長さは1m以上が一般的であり、1.6m以上~3m近い長さのものも知られている。このトンネルの長さと比較的小さい直径とによって、認識されるように、検査トンネルの内側である「トンネル内面」へのアクセスが比較的悪い。
【0004】
さらに、最近のMRTは、すでに2テスラ以上、部分的には7テスラ程度の磁場強度を有している。この磁場強度は、通常、超電導磁気コイルによって発生される。しかしながら、その超電導磁気コイルは、エネルギー供給を切断した場合においても通電状態にあり、それによって磁気を帯びている。労働保護規則に基づいて、人を、2テスラ以上の磁場強度に、又は、磁束密度の時間的変化(例えば、浮遊磁場中における移動の際)に起因する同等のばく露に、さらさないことが必要である。
【0005】
そのために、MRTの洗浄には比較的長い時間的な間隔、及び多大な(とりわけ時間的な)労力がかかることが多い。それは、例えば、衛生面の要求、及び/又は、検査予約のタイミングに基づき、臨床業務において不都合となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、検査トンネルを備えた断層撮影装置の洗浄性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有する洗浄装置によって本発明によって解決される。同様に、この課題は、請求項13の特徴を有する洗浄装置によって本発明によって解決される。さらに、この課題は、請求項20の特徴を有する断層撮影装置によって本発明によって解決される。部分的にそれ自体が発明的である、本発明の有利な実施形態及び更なる本発明の形態は、従属請求項及び以下の説明において記載されている。
【0008】
本発明による洗浄装置は、検査トンネルを備えた断層撮影装置、特にMRTのために形成され、提供される。そのために、洗浄装置は、トンネル軸に面するトンネル内面に液体洗浄剤を塗布するためのノズルアセンブリを備える。さらに、洗浄装置は、ノズルアセンブリを、トンネル軸(すなわち検査トンネルが延びる軸)に平行に且つ検査トンネルに沿って変位可能に、断層撮影装置の構成ユニットに保持するように構成されている保持装置を備える。
【0009】
このため、洗浄装置は、人手による液体洗浄剤の塗布を必要としないという趣旨において、自立的に形成されている。好ましくは、洗浄装置は、完全に自立的であり、そのため、特に、洗浄装置によって自立して(好適には制御装置によって監視又は制御されて)実行される洗浄プロセスのトリガーのみが要求される。
【0010】
「構成ユニット」という用語は、ここ及び以下において、特に、好ましくは断層撮影装置の外部からもアクセス可能な構造部品と解される。例えば、その構成ユニットは、断層撮影装置の意図した動作において、患者がその上において検査トンネル内を移動する患者ベッド、又はこの患者ベッドのための支持構造である。
【0011】
「MRT」とは、ここ及び以下において、特に、「純粋な」磁気共鳴撮像装置とともに、磁気共鳴を利用した複合装置、例えばPET-MRT又はMR-LINAC(後者は放射線治療用のライナックを含む)とも解される。
【0012】
本発明は、検査トンネルに洗浄員が入る必要がないという、並びに、特にノズルアセンブリによって、面全体に(手動塗布と比較して)高い反復正確性を有する洗浄剤塗布を可能にするという利点を提供する。
【0013】
好ましくは、液体洗浄剤として、消毒剤が、又は、「典型的な」洗浄剤(通常、洗浄活性物質、例えばテンシドを含む)と「典型的な」消毒剤(通常、大部分はアルコール等から形成される)との組み合わせが、使用される。
【0014】
好適な一実施形態において、保持装置は、意図した使用状態において、ノズルアセンブリを、好ましくは、ノズルアセンブリが患者ベッドの移動に伴って移動するように、断層撮影装置の患者ベッドに保持する。言い換えれば、ノズルアセンブリは、この実施形態においては、保持装置によって患者ベッドに固定されている。
【0015】
代替的な一実施形態において、保持装置はレールガイドを有する。このレールガイドによって、ノズルアセンブリは、検査トンネル内において患者ベッドとは別に変位可能にガイドされる。
【0016】
好適な更なる一形態において、保持装置は、意図する使用状態において、患者ベッドのガイドレールと結合するレールスライダを有している。この場合において、洗浄装置、特にノズルアセンブリは、そのため、意図した使用状態において、患者ベッドのガイドレール上において変位可能にガイドされる。これによって、ノズルアセンブリを患者ベッドから独立して移動させることができる。
【0017】
独自のレールガイドの場合においては、洗浄装置は、好ましくは、ノズルアセンブリをレールガイドに沿って、及び、ひいては検査トンネル内を、移動させる駆動装置も有する。
【0018】
オプションの一実施形態において、ノズルアセンブリは、複数のノズル開口部を有するノズルヘッドによって形成されている。これらのノズル開口部は、ノズルヘッドの移動軸に対して異なる半径方向に向けられている。それによるスプレー形状は、洗浄すべきトンネル内面が広い面積において(すなわち、少なくとも半径方向面において線状に)スプレーされ得るように、形成されている。ノズルヘッドは、その際、例えば、トンネル軸上に配置される。例えば、ノズルヘッドの直径は、約10センチメートルである。
【0019】
好ましい一実施形態において、ノズルアセンブリは、複数の個別ノズルが配置された保持部材(又は、保持フレーム)を有する。これらの個別ノズルは、ノズルヘッドと同様に、特に保持部材に沿って分布し、好ましくは異なる半径方向に向けられている。これによって、上記のスプレー形状が同様に形成される。意図した使用状態において、好適には、複数の個別ノズルはトンネル内面から比較的近距離に配置される。
【0020】
好適な一変形例において、保持部材は円形の一部分、又は円弧の一部分として形成されている。保持部材は、円弧の一部として、特に、検査トンネルが下側において平坦であり、且つ患者ベッドのために一体化されたガイド構造を有する場合のために、形成されている。この場合、好ましくは、意図した動作において、患者ベッドによって覆われておらず、患者が接触可能な、検査トンネルの表面領域のみが洗浄剤にさらされる。この場合、保持部材は、そのため、好ましくは、検査トンネルの内側輪郭(の少なくとも患者が接触可能な領域)に合わせて形成される。これによって、有利にも、複数の個別ノズルをそれぞれ少なくともトンネル内面に対してほぼ等距離に配置することが可能となる。
【0021】
代替的な一変形例において、保持部材は多角形に、例えば長方形として形成されている。
【0022】
更なる好適な、又はそれ自体が発明を構成する一実施形態において、洗浄装置は、(ノズルアセンブリに代えて又はオプションとして追加して)ワイパーアセンブリを備える。ワイパーアセンブリは、(液体)洗浄剤の作用によってトンネル内面を機械的に洗浄するため、及び/又は、(特にノズルアセンブリとの組み合わせの場合)再び洗浄剤を取り込むように構成されている。このために、ワイパーアセンブリは、好ましくは、所定数の機械的な洗浄要素を携えている。ノズルアセンブリとの組み合わせの場合、ワイパーアセンブリは、有利には、ノズルアセンブリの意図した送り方向において、ノズルアセンブリの後方に配置されている。言い換えれば、ワイパーアセンブリは、ノズルアセンブリに追従するように配置され、そのため、好ましくは、塗布された液体洗浄剤を、分散させること、すり込むこと、及び/又は、再び取り込むことができる。これは、通常、純粋なスプレー消毒よりも拭き取り消毒の方が効果的であるという点において有利である。
【0023】
また、それ自体が発明である上記の一実施形態においては、ノズルアセンブリは洗浄装置に存在しなくてもよい。この場合、保持装置は、ワイパーアセンブリを、トンネル軸に平行に且つ検査トンネルに沿って変位可能に断層撮影装置に保持するように、構成されている。
【0024】
ノズルアセンブリに関して上記した保持装置の特徴は、好ましくは、ワイパーアセンブリのみが存在する実施形態においても対応して適用される。
【0025】
好ましくは、洗浄装置は、また、制御装置(特に上記の)を備え、その制御装置は、意図した洗浄動作において、検査トンネルを通るノズルアセンブリ及び/又はワイパーアセンブリの移動(例えば、送り速度)を設定し、それによって洗浄プロセスを制御するように構成されている。代替的に又は追加的に、制御装置は、(断層撮影装置に対する)ノズルアセンブリの移動及び/又はワイパーアセンブリの移動に依存して、洗浄剤の塗布を設定するように構成されている。「洗浄剤の塗布」は、その際、特に、ノズルアセンブリによるスプレーと、例えばワイパーアセンブリの、浸された洗浄要素による機械的塗布の両方によって行われ得ると解される。
【0026】
「ノズルアセンブリの移動に依存して」とは、特に、洗浄剤の塗布が、検査トンネル内のノズルアセンブリの位置に依存して、及び/又は、検査トンネルを通る移動の際のノズルアセンブリの送り速度に依存して設定されることであると、ここ及び以下において解される。位置依存性は、例えば、トンネル内面が不規則な表面の場合に有利であり、それによって、多くの場所においては、より多くの洗浄剤を塗布する必要がある。速度依存性は、特に、単位面積当たりの塗布量が(洗浄剤の量に関して)常にできる限り一定となるように、例えば、速い送り速度においては遅い送り速度よりも比較的多い洗浄剤流量を設定することによって実現される。
【0027】
好適な一実施形態において、(特に別個の)ノズルアセンブリが存在しない場合に、特に、ワイパーアセンブリの洗浄要素、好ましくは、必要に応じていくつかの洗浄要素の各々が、洗浄剤供給路と、例えば、対応する洗浄要素に通じる配管(特にホース等)と結合されている。これによって、この場合、好ましくはスポンジ、ブラシ、布等の対応する洗浄要素に、洗浄剤の塗布のために、洗浄剤を(特に自動的に)染み込ますことができる。しかしながら、意図した動作において、好ましくはワイパーアセンブリが検査トンネルに入る前に、対応する洗浄剤を手動によって染み込ますことも、基本的には可能であり、オプションとして実施することもできる。
【0028】
対応する洗浄要素が、これに通ずる配管によって染み込まされる上記の場合、配管の開口部は、トンネル内面への洗浄剤の連続塗布を可能にするために洗浄要素を十分に湿らせて保ち得るように、一種のノズルの形態に好適に形成されている。その際、洗浄剤をできるだけ広い面積において、及び/又は、できるだけ完全に染み込ませる又は湿らせるために、広いスリットのノズルのタイプ、又はエアレータ(Perlator)のタイプを選択することが可能である。
【0029】
制御装置は、好ましくは、少なくともその中核に、プロセッサとデータメモリとを有するマイクロコントローラによって形成される。このマイクロコントローラには、洗浄プロセスを実行するための機能が、動作ソフトウェア(ファームウェア)の形態においてプログラム的に実装されている。マイクロコントローラ内の動作ソフトウェアの実施の際には、洗浄プロセスは、(必要に応じて、オペレータとの対話において)自動的に実行される。オプションとして、この動作ソフトウェアは、より上位の(例えば断層撮影装置の)制御装置に統合され、それによって、洗浄装置の制御装置は、断層撮影装置の制御装置によって形成される。本発明の範囲内において、制御装置を、洗浄プロセスを実行するための機能が回路手段によって実装される非プログラマブル電子部品、例えばASICによって形成することも可能である。代替的には、本発明の範囲内において、制御装置が機械式、油圧式又は空気圧式に実施される実施形態も考えられ、提供される。この場合、ノズルアセンブリ又はワイパーアセンブリの(特に送りの)移動による洗浄剤の塗布は、例えば、移動取り込み装置(Bewegungsaufnehmer)(例えば、摩擦車、押し棒、擦り具等)によって好適に行われる。その移動取り込み装置は、意図した使用状態において、断層撮影装置とコンタクトし、洗浄剤の塗布に、及び/又は、ワイパーアセンブリの移動に作用する。オプションとして、ノズルアセンブリ及び/又はワイパーアセンブリの移動は、手動によって(特に、検査トンネル内におけるノズル及び/又はワイパーアセンブリの押し移動によって)オペレータによって行うこともできる。
【0030】
好適な一実施形態において、特に、保持装置が、ノズルアセンブリ又はワイパーアセンブリを、意図した使用状態において、断層撮影装置の患者ベッドに保持する場合には、制御装置は、断層撮影装置の(特に上位の)制御装置に統合される。
【0031】
さらに、オプションとして存在する、洗浄装置に付属するレールガイドの駆動装置は、好適には、制御技術的に制御装置と結合されている。
【0032】
オプションとして、ノズルアセンブリとワイパーアセンブリとの間の(送り方向の)距離は、所定の送り速度において、液体洗浄剤の十分に長い作用時間が与えられるように選択される。追加的に又は代替的に、制御装置は、距離及び推奨作用時間(多くの場合、使用する洗浄剤の種類に依存する)に依存して異なる送り速度を設定するように設計及び構成されている。
【0033】
好ましくは、ワイパーアセンブリは、特にノズルアセンブリと共にガイドされる、第2の(例えば円形又は多角形の)保持部材である。洗浄剤の分散又は取り込み、特に拭き取り消毒のために適したスポンジ、布、ブラシ、及び/又は拭き取りリップ(日常的に「ゴムリップ」とも呼ばれる)が、洗浄要素として保持部材に配置される。オプションの一変形例において、スポンジ、布、又はブラシ(要求に応じて上記の洗浄剤供給路と結合される)を、送り(又は挿入)方向において、拭き取りリップ(又はオプションとして、トンネル内面の輪郭に沿った形状の1個の拭き取りリップのみ)の前方に配置する。
【0034】
ノズルアセンブリの更なるオプションの一実施形態において(そのノズルアセンブリは、ワイパーアセンブリがある場合に使用することもできるが)、これは、上記のような洗浄剤のスプレー塗布用に形成されているのではなく、上記のワイパーアセンブリの変形例と同様に、「機械的」な塗布用に形成されている。このために、ノズルアセンブリは、ノズルアセンブリのノズルとトンネル内面との間に介在される塗布要素、又はオプションとして複数の塗布要素を含む。それぞれの塗布要素は、例えば、スポンジ体等である。そのスポンジ体に、意図した動作において、それぞれのノズルによって「後方から」洗浄剤を染み込ませ、そのスポンジ体がトンネル内面に触れることによって、洗浄剤を前方からトンネル内面に塗布することが可能である。この場合、ノズルアセンブリのそれぞれのノズルは、こうして洗浄剤を塗布要素に渡すように構成されている。それに対して、上記のスプレー塗布の場合には、それぞれのノズルは、トンネル内面に上記のスプレー形状が達成されるように形成されている。
【0035】
好適な更なる一形態において、ワイパーアセンブリは、トンネル内面に機械的に作用する洗浄要素を、ノズルアセンブリから切り離されて移動させるための駆動装置を有する。この駆動装置は、例えば電動モータを含む。代替的には、駆動装置は、歯車、連結リンクガイド等によって形成される。その歯車又は連結リンクガイドは、例えば、送り移動の際に、洗浄要素が送り移動に対して横方向に移動するように、上記のレールガイドと(又は、例えば摩擦車によって洗浄トンネルの部分表面と)相互作用する。
【0036】
有利な一実施形態において、洗浄装置は、洗浄剤用の、貯蔵容器、及び必要に応じて収集容器を含む。意図した洗浄動作において、これ又はこれらは、好ましくは検査トンネルの外部に配置される。そのために、洗浄装置は、例えば貯蔵容器をノズルアセンブリに接続するために、対応する接続手段、特に関連するホースを含む。
【0037】
収集容器が存在する場合、ワイパーアセンブリに収集路などが好適に配置され、その収集路に、特に抜き取りリップから流れ出る洗浄剤が流れ込み、そこから収集容器に流れることができる。オプションとして、この場合、洗浄剤を「吸い込む」ことができる吸引装置も存在し得る。
【0038】
特に好ましい一実施形態において、意図した洗浄動作において、検査トンネルに入る洗浄装置の要素は、磁性材料、特に強磁性材料の除外又は少なくとも削減の下に形成されている。特に、そのような要素として、ノズルアセンブリ、必要に応じて存在するワイパーアセンブリ、保持装置、必要に応じて存在する洗浄剤用の配管が挙げられる。これによって、洗浄装置をMRTにおいて使用する際に、これらの要素が磁気コイルに引き寄せられるのを防ぐことができる。その結果、MRTの洗浄は、安全規則を守りながら、MRTの近傍に人がいなくても実行することができる。
【0039】
オプションの一実施形態において、洗浄装置は、ワイパーアセンブリに加えて、又は代替として、トンネル内面に紫外線照射(消毒目的)を行うための紫外線照射アセンブリを備えている。
【0040】
本発明による断層撮影装置は、好ましくはMRTとして形成されている。断層撮影装置は、検査用トンネル、並びに上記の洗浄装置を備えている。それによって、断層撮影装置は、洗浄装置と同等の特徴を有し、その結果、それと同等の利点も有する。
【0041】
接続詞「及び/又は」は、特に、この接続詞によって結ばれた特徴が、共に形成されることも、互いの代替物として形成されることも可能であるというように、ここ及び以下において解される。
【0042】
以下において、本発明の実施例を、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】洗浄装置を備えた断層撮影装置の概略図である。
図2】洗浄装置の更なる実施例を示す、図1による図である。
図3】洗浄装置の更なる実施例を有する患者ベッドの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
対応する部品には、すべての図において常に同じ参照符号が付される。
【0045】
図1には、断層撮影装置、具体的には磁気共鳴断層撮影装置、略して「MRT1」が概略的に示される。MRT1は、リング状の磁気コイルが配置されたハウジング2を備え、それによって、その中心部に検査用トンネル、略して「トンネル4」が形成されている。意図した検査動作において、患者は、ハウジング2にガイドされた患者ベッド6によってこのトンネル4内を移動する。
【0046】
その際、患者ベッド6に横たわる患者は、トンネル4を囲むトンネル内面8の一部に接触可能である。このため、トンネル内面8のその部分を、定期的に洗浄、特に消毒することが適切である。その際、問題となるのは(特に図3から分かるように)、MRTにおいてはトンネル4が通常、比較的長く、往々にして1.5メートルよりも長く、トンネル直径が約60~70センチメートルであることである。それによって、すでに洗浄のための接近は難しくなっている。また、最近のMRTにおいては、磁場強度は(超伝導材料による不活性状態にあっても)、通常、職場の許容負荷である2テスラ以上であり、そのため、洗浄員による洗浄は容易にはできない。
【0047】
このため、MRT1には、洗浄装置10が付属している。これはノズルアセンブリ12を有し、そのノズルアセンブリは、トンネル内面8に液体洗浄剤、特に具体的には消毒剤を塗布するように構成されている。このために、ノズルアセンブリ12は、スプレーされるトンネル内面8を、具体的には消毒される部分を面的に閉じた状態においてスプレーできるように、複数のスプレーノズル(「複数の個別ノズル)」とも呼ぶ)16が配置されている保持部材14を含む。そのために、スプレーノズル16は、トンネル4のトンネル軸、又は、患者ベッド6の変位軸に対して異なる半径方向にそれぞれ向けられている。保持部材14は、本実施例においては、円弧の一部分として形成されており、それによって、全てのスプレーノズル16がトンネル内面8から(少なくともほぼ)等距離にある。洗浄装置10は、また、より詳細には示されていない保持装置を有し、この保持装置によって、ノズルアセンブリ12の保持部材14は、患者ベッド6に、具体的にはその端部に固定されている(図3参照)。それによって、洗浄装置10を、少なくともノズルアセンブリ12を、患者ベッド6の移動によってトンネル4を貫いて移動させることができる。そのため、追加の駆動装置は必要とされない。
【0048】
さらに、洗浄装置10は制御装置18を備えており、その制御装置は、図示の実施例においては患者ベッド6上に「ブラックボックス」として示されている。しかしながら、好ましくは、制御装置18は、MRT1の制御装置内にソフトウェアの構成要素として統合されている。また、図示の「ブラックボックス」内には、洗浄剤用の貯蔵容器20が含まれている。制御装置18は、患者ベッド6の、したがってノズルアセンブリ12の、軸方向の位置に依存して、及び/又は、患者ベッド6の送り速度に依存して、洗浄剤の塗布を制御するように構成されている。
【0049】
より詳細には示されていない実施形態においては、貯蔵容器20、並びに、好適には付属するポンプは、トンネル4の外部、例えばハウジング2の隣に配置され、接続配管によってスプレーノズル16に結合されている。
【0050】
洗浄装置10の簡易的な一実施形態においては、トンネル内面8のスプレー消毒のみが実行される。
【0051】
洗浄装置10の部品が磁気コイルの磁界によって引き寄せられない(より一般的には変位する)ために、洗浄装置10の部品、具体的には洗浄プロセスの際にトンネル4内に入る要素は、非強磁性の材料によって形成されている。
【0052】
図2には、洗浄装置10の代替的な一実施例が示される。この場合、保持部材14は、ほぼ長方形状に形成されている。それ以外の洗浄装置10の構成は、図1に対応する。
【0053】
図3には、洗浄装置10の更なる一実施例が概略的に示される。この装置は、ノズルアセンブリ12に加え、ワイパーアセンブリ22を含む。このワイパーアセンブリは、送り方向24において、ノズルアセンブリ12の後方に配置されている。言い換えれば、患者ベッド6がトンネル4内に入った際に、最初にノズルアセンブリ12がトンネルに導入される。保持部材26に加えて、ワイパーアセンブリ22は、その保持部材に取り付けられた、本実施例においてはスポンジ28の形態の、複数の洗浄要素を有する。これらの洗浄要素は、トンネル内面8の洗浄すべき部分に隙間のない接触線又は接触面が形成されるように配置されている。代替的には、スポンジは、トンネル内面8のこの部分の面的に隙間のない拭き取りが可能であるように、より詳細に図示しない駆動装置によって移動(例えば、回転)される。
【0054】
トンネル4に入る際に、トンネル内面8は、したがって最初に、スプレーノズル16によって、送り方向24に対して横方向に直線的に、ひいては、送りによって面的にスプレーされる。洗浄剤の十分な作用時間の後に、次いで、スポンジ28によってその洗浄剤が拭き取られる。その作用時間は、患者ベッド6の送り速度と、ノズルアセンブリ12とワイパーアセンブリ22との間の距離とから生じる。
【0055】
貯蔵容器20に加えて、スポンジ28によって拭き取られた洗浄剤が収容される収集容器30が設けられている。そのために、例えば、スポンジ28は吸引装置に接続される。
【0056】
より詳細に示されていない代替的な一実施例においては、ノズルアセンブリ12に代えて、ワイパーアセンブリ22のみが存在する。この場合、スポンジ28に洗浄剤が供給され、それによって、そのスポンジの使用によって洗浄剤の塗布が行われる。この場合、吸引装置を省略し、空気中においての乾燥も可能である。その他、図1及び図2において説明した特徴は、対応して転用して、ワイパーアセンブリ22にも適用される。
【0057】
なお、本発明の対象は、上述した実施例に限定されるものではない。むしろ、本発明の更なる実施形態は、当業者によって上記の説明から導き出すことができる。特に、様々な実施例及びその実施形態の変形例に基づいて説明した本発明の個々の特徴は、他の方法において互いに組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 MRT
2 ハウジング
4 トンネル
6 患者ベッド
8 トンネル内面
10 洗浄装置
12 ノズルアセンブリ
14 保持部材
16 スプレーノズル
18 制御装置
20 貯蔵容器
22 ワイパーアセンブリ
24 送り方向
26 保持部材
28 スポンジ
30 収集容器
図1
図2
図3