(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】抗癌活性を有するラクトバチルス・プランタルム微生物、それを含む組成物、及びそれを利用した癌の予防方法または治療方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20241206BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20241206BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241206BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20241206BHJP
【FI】
C12N1/20 A
C12N1/20 E
A61K35/747
A61P35/00
A23L33/135
(21)【出願番号】P 2023513957
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(86)【国際出願番号】 KR2021010524
(87)【国際公開番号】W WO2022045636
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0110598
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCTC KCTC14283BP
(73)【特許権者】
【識別番号】521415859
【氏名又は名称】株式会社 リビオム
【氏名又は名称原語表記】LIVEOME Inc.
【住所又は居所原語表記】7F,114,Central town-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】クォン, ドヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク, グァンソ
(72)【発明者】
【氏名】ドン, ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ヘジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ジユン
【審査官】坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1398249(KR,B1)
【文献】国際公開第2018/222969(WO,A1)
【文献】Microbiology and Immunology,2014年,vol.58,pp.492-502
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-1/38
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗腫瘍活性を有する、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LMT17-31(受託番号KCTC-14283BP)微生物。
【請求項2】
有効成分として、請求項1に記載の微生物
またはその培養
物を含む、癌を予防または治療するための薬剤学的組成物。
【請求項3】
前記癌は、固形癌である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
免疫チェックポイント抑制剤と共に投与するためのものである、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記免疫チェックポイント抑制剤は、CTLA4抑制剤、PD-1抑制剤またはPD-L1抑制剤である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
有効成分として、請求項1に記載の微生物
またはその培養
物を含む、癌を予防または改善するための食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌活性を有するラクトバチルス・プランタルム微生物、それを含む組成物、及びそれを利用した癌予防または治療に関する。
【背景技術】
【0002】
ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)は、ラクトバチルス属に属し、発酵食品製品及び嫌気性植物材料において折々発見される。該ラクトバチルス・プランタルムは、グラム陽性の桿状バクテリアである。該ラクトバチルス・プランタルムは、丸い終端を有し、真っ直ぐであって、一般的に、0.9~1.2μm幅、3~8μm長を有する棒状(rod)である。該ラクトバチルス・プランタルムは、pH3.4ないし8.8において成長し、温度12℃ないし40℃で成長することができる。
【0003】
ラクトバチルス・プランタルムは、抗酸化活性、腸透過性(intestinal permeability)を維持するように一助となる。また、該ラクトバチルス・プランタルムは、過敏性大腸カタル(IBS)を治療するのに効果がある。例えば、韓国特許公開10-2011-0000871は、抗酸化活性を有するラクトバチルス・プランタルムHY7711を開示する。
【0004】
なお、癌治療において、免疫抗癌剤は、免疫活性化を介し、癌細胞を攻撃するメカニズムであるが、対象患者における20ないし30%しか反応いないので、効率的な免疫抗癌剤を求める要求が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一態様は、抗腫瘍活性を有するラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LMT17-31(受託番号KCTC-14283BP)微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を提供する。
【0006】
他の態様は、有効成分として、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を含む癌を予防または治療するための薬剤学的組成物を提供する。
他の態様は、有効成分として、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を含む癌を予防または改善するための食品組成物を提供する。
他の態様は、癌を治療するのに有効な量の前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を個体に投与する段階を含む個体の癌を予防または治療する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、抗腫瘍活性を有するラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LMT17-31(受託番号KCTC-14283BP)微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を提供する。
【0008】
前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物は、腫瘍成長を抑制することができる。本明細書において、用語「癌(cancer)」及び「腫瘍(tumor)」は、相互交換可能に使用される。前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物は、腫瘍内免疫細胞のレベルを上昇させることができる。前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物は、腫瘍内CD8T細胞のレベルを上昇させることができる。前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物は、免疫細胞の腫瘍内への浸潤を増大させることができる。前記免疫細胞は、CD8T細胞、CD4T細胞、NK細胞、B細胞、樹枝状細胞、大食細胞、好中球でもある。前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物は、免疫細胞を活性化させることができる。前記活性化は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物が抗腫瘍活性を有するサイトカインまたは酵素の生産、分泌または生産及び分泌を促進させるものでもある。前記サイトカインまたは酵素は、インターフェロンガンマ及びグランザイムBのうち1以上でもある。前記微生物は、耐酸性、耐胆汁性及び腸内定着性にすぐれている。前記微生物は、マッコリ(makgeolli)から分離された。
【0009】
前記耐酸性は、MRS培地において、pH2.5及び37℃において2時間培養した場合、生存率が、40%以上、45%以上、50%以上、60%以上、80ないし90%、80%ないし95%、85%ないし90%、または90ないし95%でもある。
【0010】
前記耐胆汁酸性は、0.3%胆汁酸含有MRS培地において、37℃において2時間培養した場合、生存率が65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、90%以上、95%以上、75ないし90%、75ないし95%、80ないし90%、80%ないし95%、85%ないし90%、または90ないし95%でもある。
【0011】
前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物は、CD8T細胞の腫瘍への浸潤を促進させることができる。前記促進は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物が存在しない場合に比べ、腫瘍内T細胞数に対するCD8T細胞数の百分率を、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、45%以上、50%以上、55%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、100%以上、5%ないし100%、10%ないし100%、20%ないし100%、30%ないし100%、40%ないし100%、50%ないし100%、60%ないし100%、70%ないし100%、80%ないし100%、または90%ないし100%上昇させるものでもある。
【0012】
前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物は、腫瘍浸潤CD8T細胞のインターフェロンガンマ及びグランザイムBのうち1以上の生産、分泌、または生産及び分泌を促進させることができる。前記促進は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物が存在しない場合に比べ、CD8T細胞において、インターフェロンガンマを生産する細胞の百分率を、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、45%以上、50%以上、55%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、100%以上、5%ないし100%、10%ないし100%、20%ないし100%、30%ないし100%、40%ないし100%、50%ないし100%、60%ないし100%、70%ないし100%、80%ないし100%、または90%ないし100%上昇させるものでもある。また、前記促進は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物が存在しない場合に比べ、CD8T細胞において、グランザイムBを生産する細胞の百分率を、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、45%以上、50%以上、55%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、100%以上、5%ないし100%、10%ないし100%、20%ないし100%、30%ないし100%、40%ないし100%、50%ないし100%、60%ないし100%、70%ないし100%、80%ないし100%、または90%ないし100%上昇させるものでもある。
【0013】
前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物は、CD8T細胞による、腫瘍成長の抑制を行わせることができる/。前記抑制は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物が存在しない場合に比べ、腫瘍の大きさを、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、45%以上、50%以上、55%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、100%以上、5%ないし100%、10%ないし100%、20%ないし100%、30%ないし100%、40%ないし100%、50%ないし100%、60%ないし100%、70%ないし100%、80%ないし100%、または90%ないし100%低減させるものでもある。
【0014】
第2態様は、有効成分として、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を含む癌を予防または治療するための薬剤学的組成物を提供する。
前記薬剤学的組成物において、前記癌は、固形癌でもある。前記癌は、内臓に位置しない固形癌でもある。前記癌は、転移癌でもある。前記癌の非制限的な例は、乳癌、肺癌、頭部癌または頸部癌、大腸癌、食道癌、喉頭癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、骨癌、皮膚癌、皮膚黒色腫または眼球内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門付近癌、結腸癌、乳癌、喇叭管癌腫、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、陰門癌腫、ホジキン病、小腸癌、内分泌腺癌、甲状腺癌、副甲状線癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、リンパ球リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌または輸尿管癌、腎臓細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫、CNS腫瘍、一次CNSリンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫及び脳下垂体腺腫を含むものでもあるが、それらに制限されるものではない。
【0015】
前記薬剤学的組成物において、前記組成物は、癌の成長を抑制するためのものでもある。
前記薬剤学的組成物において、前記組成物は、免疫チェックポイント抑制剤と共に投与するためのものでもある。前記免疫チェックポイント抑制剤は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物の投与前、投与と同時、または投与後に投与するためのものでもある。
【0016】
前記免疫チェックポイント抑制剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗CTLA-4抗体、抗TIM-3抗体、抗LAG3抗体、抗IDO1抗体、抗TIGIT抗体、抗B7H3抗体、抗B7H4抗体、抗BTLA抗体及び抗B7H6抗体、並びにその抗原結合断片によってなる群のうちから選択される1以上でもある。さらに具体的には、免疫チェックポイント抑制剤は、イピリムマブ(Ipilimumab)(ヤーボイ登録商標(BMS/ONO))、トレメリムマブ(Tremelimumab)(アストラゼネカ)、アテゾリズマブ(atezolizumab)(テセントリク登録商標(ロシュ))、ニボルマブ(nivolumab)(オプジーボ登録商標(BMS/ONO))、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)(キトイルーダ登録商標(MSD))、アベルマブ(Avelumab)(バベンチオ登録商標(ファイザー/ドイツ・メルク))、デュルバルマブ(Durvalumab)(インフィンジ登録商標(アストラゼネカ/メディミューン))、及びその抗原結合断片のうちから選択される1以上でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0017】
前記薬剤学的組成物において、前記組成物は、化学治療剤と共に投与するためのものでもある。前記化学治療剤は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物の投与前、投与と同時、または投与後に投与するためのものでもある。
【0018】
前記化学治療剤の非制限的な例は、アルキル化剤、ニトロソウレアーゼ、抗代謝物質、抗癌抗生物質、植物起源アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン薬物、ホルモン拮抗剤、白血球減少症(例:好中球減少症)治療薬物、血小板減少症治療薬物、抗嘔吐剤、アロマターゼ阻害剤、P糖タンパク質阻害剤、白金錯体誘導体、他の免疫治療薬物、及び他の抗癌薬物を含む。併用投与されうる例示的な細胞毒性剤は、抗微細小管作用剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗代謝物質、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、インターカレーティング剤、信号伝達経路を妨害しうる作用剤、アポトーシスを促進させる作用剤、プロテアソーム阻害剤、及び放射線(例:局所または全身への放射線)の照射を含む。さらなる治療剤の非制限的な例は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、核酸分子、小分子、模倣作用剤、合成薬物、無機分子及び有機分子を含むが、それらに制限されるものではない。
【0019】
前記薬剤学的組成物において、前記組成物は、薬剤学的に許容可能な担体を含むものでもある。前記担体は、安定化剤、賦形剤、希釈剤または補助剤でもある。前記担体は、例えば、薬剤学的投与に適し、特に、経口投与に適する任意及び全ての水性及び非水性の溶液、滅菌溶液、溶媒、緩衝剤(例:リン酸塩緩衝食塩水(PBS)溶液)、水、懸濁液、エマルジョン(例:オイル/水エマルジョン)、多様な類型の湿潤剤、リポソーム、分散媒及びコーティング剤でもある。薬剤学的組成物において、そのような媒質及び作用剤の用途は、当該分野に周知されており、そのような担体を含む組成物は、周知の一般的な方法によっても剤形化される。
【0020】
前記組成物は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を、「治療学的有効量」で含むものでもある。前記組成物において、「治療学的有効量」は、1回または2回以上の投与時、治療を必要とする個体に投与される場合、治療効果を示すのに十分な量を意味する。用語「治療」は、個体、例えば、ヒトを含む哺乳類において、癌疾患、または癌の医学的症状を治療することを意味し、それは次を含む:癌疾患、または癌の医学的症状の緩和;癌疾患、または癌の医学的症状の抑制、すなわち、個体において、疾患または医学的症状の進行を遅らせたり、停止させること;あるいは個体において、癌疾患、または癌の医学的症状を軽減させたりすること。前記「有効量」は、当業者が適切に選択することができる。前記「有効量」は、組成物重量につき、0.01ないし50重量%、または0.1ないし20重量%でもある。また、前記組成物は、組成物重量基準で、1x106CFU/g以上、1x107CFU/g以上、1x108CFU/g以上、1x109CFU/g以上に投与することができる。例えば、細菌菌株を、1x1015CFU/g以下、1x1014CFU/g以下、1x1013CFU/g以下、1x1012CFU/g以下に投与することができる。例えば、1x106CFU/gないし1x1015CFU/g、1x107CFU/gないし1x1014CFU/g、1x108CFU/gないし1x1013CFU/g、1x109CFU/gないし1x1012CFU/g、1x1010CFU/gないし1x1012CFU/gの細菌菌株を含むものでもある。
【0021】
前記組成物は、経口投与されうる。従って、前記組成物は、錠剤、カプセル剤、水性液剤、乾燥シロップ剤または懸濁液剤のような多様な形態にも製剤化される。経口用錠剤の場合、ラクトース、とうもろこし澱粉のような賦形剤、及びステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤が通常加えられうる。経口投与用カプセル剤の場合、ラクトース及び/または乾燥とうもろこし澱粉が希釈剤として使用されうる。経口用水性懸濁液剤が必要である場合、活性成分を、乳化剤及び/または懸濁化剤と結合させることができる。必要な場合、特定甘味剤及び/または香味剤を加えることができる。一具体例において、前記組成物は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を、胃液のような酸性で安定化させうる剤形でもある。例えば、前記組成物は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物が、内部に含まれているカプセル剤、または前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物が、被膜にコーティングされた錠剤でもある。
【0022】
第3態様は、有効成分として、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を含む癌を予防または改善するための食品組成物を提供する。
【0023】
前記組成物は、食品学的に許容可能な担体を含むものでもある。前記担体は、安定化剤、賦形剤、希釈剤または補助剤でもある。前記担体は、例えば、薬剤学的投与に適し、特に、経口投与に適する任意及び全ての水性及び非水性の溶液、滅菌溶液、溶媒、緩衝剤(例:リン酸塩緩衝食塩水(PBS)溶液)、水、懸濁液、エマルジョン(例:オイル/水エマルジョン)、多様な類型の湿潤剤、リポソーム、分散媒及びコーティング剤でもある。薬剤学的組成物において、そのような媒質及び作用剤の用途は、当該分野に周知されており、そのような担体を含む組成物は、周知の一般的な方法によっても剤形化される。
【0024】
前記食品は、乳製品、豆製品、野菜及び果実の製品、または食品添加剤でもある。前記乳製品は、発酵乳、バター、チーズまたは粉ミルクでもある。前記食品は、健康機能食品でもある。前記健康機能食品は、癌予防用または癌改善用の健康機能食品でもある。前記食品は、また飲料類、菓子類、ダイエットバー、チョコレート、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類でもある。
前記食品は、食品製造時、一般的に添加される成分を含むものでもあるし、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤及び香味剤を含む。
食品製造に使用される炭水化物は、モノサッカライド(例:ブドウ糖、果糖など);ジサッカライド(例:マルトース、スクロース、オリゴ糖など);及びポリサッカライド(例:デキストリン、シクロデキストリンのような一般的な糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールのような糖アルコールでもある。また、香味剤として、天然香味剤、及びサッカリン及びアスパルテームのような合成香味剤を使用することができる。該天然香味剤は、ソーマチン、レバウジオシドA及びグリシルヒジンのようなステビア抽出物でもある。健康機能食品は、摂取する場合、健康上、特定効果をもたらすものを意味する。
【0025】
前記組成物において、前記微生物は、組成物重量につき、0.01ないし50重量%、または0.1ないし20重量%でもある。また、前記組成物は、組成物重量基準で、1x106CFU/g以上、1x107CFU/g以上、1x108CFU/g以上、1x109CFU/g以上に投与することができる。例えば、細菌菌株を、1x1015CFU/g以下、1x1014CFU/g以下、1x1013CFU/g以下、1x1012CFU/g以下に投与することができる。例えば、1x106CFU/gないし1x1015CFU/g、1x107CFU/gないし1x1014CFU/g、1x108CFU/gないし1x1013CFU/g、1x109CFU/gないし1x1012CFU/g、1x1010CFU/gないし1x1012CFU/gの細菌菌株を含むものでもある。
【0026】
第4態様は、癌を治療するのに有効な量の前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物を個体に投与する段階を含む個体の癌を予防または治療する方法を提供する。
前記個体は、哺乳動物でもある。前記哺乳動物は、ヒト、またはヒトを除いた哺乳動物でもある。前記投与は、経口投与するものでもある。
前記「癌を治療するのに有効な量」は、癌を予防または治療するのに有効な量を示す。前記「癌を治療するのに有効な量」は、体重kg当たり、0.01mgないし200mgの前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物、または体重kg当たり0.1mgないし400mgの微生物、あるいはその培養物またはその抽出物でもある。また、前記「癌を治療するのに有効な量」は、個体当たり、1x106CFU以上、1x107CFU以上、1x108CFU以上、1x109CFU以上に投与することができる。例えば、細菌菌株を、1x1015CFU以下、1x1014CFU以下、1x1013CFU以下、1x1012CFU以下に投与することができる。例えば、細菌菌株を、1x106CFUないし1x1015CFU、1x107CFUないし1x1014CFU、1x108CFUないし1x1013CFU、1x109CFUないし1x1012CFU、1x1010CFUないし1x1012CFUで投与することができる。例えば、有効成分である細菌菌株を、一日2回ないし数回に分けて投与することができる。
【0027】
前記方法は、免疫チェックポイント抑制剤と共に投与する段階を含むものでもある。前記免疫チェックポイント抑制剤は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物の投与前、投与と同時、または投与後に投与するものでもある。
前記免疫チェックポイント抑制剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗CTLA-4抗体、抗TIM-3抗体、抗LAG3抗体、抗IDO1抗体、抗TIGIT抗体、抗B7H3抗体、抗B7H4抗体、抗BTLA抗体及び抗B7H6抗体、並びにその抗原結合断片によってなる群のうちから選択される1以上でもある。さらに具体的には、免疫チェックポイント抑制剤は、イピリムマブ(Ipilimumab)(ヤーボイ登録商標(BMS/ONO))、トレメリムマブ(Tremelimumab)(アストラゼネカ)、アテゾリズマブ(atezolizumab)(テセントリク登録商標(ロシュ))、ニボルマブ(nivolumab)(オプジーボ登録商標(BMS/ONO))、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)(キトイルーダ登録商標(MSD))、アベルマブ(Avelumab)(バベンチオ登録商標(ファイザー/ドイツ・メルク))、デュルバルマブ(Durvalumab)(インフィンジ登録商標(アストラゼネカ/メディミューン))、及びその抗原結合断片のうちから選択される1以上でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0028】
前記方法は、また化学治療剤と共に投与する段階を含むものでもある。前記化学治療剤は、前記微生物、あるいはその培養物またはその抽出物の投与前、投与と同時、または投与後に投与するものでもある。
前記化学治療剤の非制限的な例は、アルキル化剤、ニトロソウレアーゼ、抗代謝物質、抗癌抗生物質、植物起源アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン薬物、ホルモン拮抗剤、白血球減少症(例:好中球減少症)治療薬物、血小板減少症治療薬物、抗嘔吐剤、アロマターゼ阻害剤、P糖タンパク質阻害剤、白金錯体誘導体、他の免疫治療薬物、及び他の抗癌薬物を含む。併用投与されうる例示的な細胞毒性剤は、抗微細小管作用剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗代謝物質、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、インターカレーティング剤、信号伝達経路を妨害しうる作用剤、アポトーシスを促進させる作用剤、プロテアソーム阻害剤、及び放射線(例:局所または全身への放射線)の照射を含む。さらなる治療剤の非制限的な例は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、核酸分子、小分子、模倣作用剤、合成薬物、無機分子及び有機分子を含むが、それらに制限されるものではない。
【発明の効果】
【0029】
一態様による抗腫瘍活性を有するラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LMT17-31(受託番号KCTC-14283BP)微生物、あるいはその培養物またはその抽出物によれば、癌を予防または治療するのに使用されうる。
他の態様による癌を予防または治療するための薬剤学的組成物によれば、癌を予防または治療するのに使用されうる。
他の態様による癌を予防または改善するための食品組成物によれば、癌を予防したり改善させたりすることができる。
他の態様による個体の癌を予防または治療する方法によれば、癌を効率的に予防したり治療したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】選抜されたラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株と、標準菌株であるKCTC3108菌株との代表的光学顕微鏡写真を示した図である。
【
図2A】ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍サイズを測定した結果を示した図である。
【
図2B】ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍サイズを測定した結果を示した図である。
【
図3A】ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍に浸潤されたCD8T細胞、及びそれによるサイトカイン分泌を分析した結果を示した図である。
【
図3B】ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍に浸潤されたCD8T細胞、及びそれによるサイトカイン分泌を分析した結果を示した図である。
【
図3C】ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍に浸潤されたCD8T細胞、及びそれによるサイトカイン分泌を分析した結果を示した図である。
【
図3D】ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍に浸潤されたCD8T細胞、及びそれによるサイトカイン分泌を分析した結果を示した図である。
【
図3E】ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍に浸潤されたCD8T細胞、及びそれによるサイトカイン分泌を分析した結果を示した図である。
【
図3F】ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍に浸潤されたCD8T細胞、及びそれによるサイトカイン分泌を分析した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について、実施例を介してさらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、それら実施例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1:ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)LMT17-31菌株の分離及び同定
1.ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)菌株の分離
マッコリ(makgeolli)試料から、ラクトバチルス・プランタルム菌株を分離した。まず、試料を、MRS培地(Difco(米国))に塗抹し、30℃において、嫌気培養した。試料の前処理方法は、無菌状態で試料を取り、0.85% NaCl溶液180mlで希釈し、ストマッカ(stomacher)で5分間マッコリ原液を均質化させた。均質化された試料を、滅菌された0.85% NaCl溶液9mlが入っているチューブに段階的に希釈し、マッコリ試料を準備した。該試料を、MRS平板培地(Difco(米国))に塗抹し、37℃において2日間ないし3日間培養し、現れたコロニーを、形態別及び色別に区別し、さらに純粋分離した。
【0033】
2.ラクトバチルス・プランタルム菌株の同定
(1)形態学的特性の分析
選抜されたラクトバチルス・プランタルム菌株をMRS平板培地(Difco(米国))で培養し、コロニー形態を観察した。選抜されたラクトバチルス・プランタルム菌株、及びラクトバチルス・プランタルム標準菌株であるKCTC3108のMRS平板培地におけるコロニー形態は、下記表1に示した。
【表1】
【0034】
図1は、選抜されたラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株と、標準菌株であるKCTC3108菌株との代表的光学顕微鏡写真を示したものである。
図1に示されているように、LMT17-31菌株は、棒型棹菌であり、典型的なラクトバチルス属の性状と類似していた。
【0035】
(2)16S rDNA分析
分離されたLMT17-31菌株の16S rRNA遺伝子を増幅し、増幅された16S rRNA遺伝子のヌクレオチド配列を分析した。前記増幅は、LMT17-31菌株ゲノムDNAをテンプレートにし、配列番号1のオリゴヌクレオチド((株)マクロジェン)と、配列番号2のオリゴヌクレオチド((株)マクロジェン)とをプライマーセットにしたPCRを行ってなされた。分離されたLMT17-31菌株の16S rDNAのヌクレオチド配列は、配列番号3に示されている。確認された16S rDNAのヌクレオチド配列を、NCBI blast(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を使用して公知された16S rDNAのヌクレオチド配列と比較した。その結果、LMT17-31の16S rDNAは、ラクトバチルス・プランタルム種と、配列同一性が100%であった。また、系統樹分析結果、LMT17-31は、ラクトバチルス・プランタルム種と同じであった。その結果、LMT17-31菌株は、新たなラクトバチルス・プランタルム種に属する新たな菌株と確認された。
【0036】
本発明者らは、LMT17-31乳酸菌を、「ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31」(寄託番号:KCTC 14283BP)と命名し、それを韓国生命工学研究院所在韓国細胞株銀行(KCTC:KoreanCollection forType Cultures)に2020年8月26日付けで寄託した。
【0037】
実施例2:ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株の生理活性特性の分析
1.ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株の糖発酵特性
選抜されたLMT17-31菌株の糖代謝特性を、API 50 CHL kit(bioMerieuxBioMetrieux(フランス))を、供給会社の実験方法によって使用して確認した。表2は、確認されたLMT17-31菌株の糖発酵特性を示したものである。
【表2】
【0038】
2.ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株の安定性評価
(1)耐酸性の調査
ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株の耐酸性を評価するために、以下の方法で実験を実施した。LMT17-31菌株を、滅菌されたMRS液体培地に接種した後、37℃において16時間培養した。次に、HClでpH2.5に調整し、滅菌されたMRS液体培地に、前記菌株1%を接種し、37℃において2時間培養した。菌株接種直後と、その2時間培養後との試料を回収し、MRS液体培地に希釈し、MRS平板培地に塗抹した後、37℃において24時間培養した後、平板培地上のコロニー数を係数し、菌数を測定した。
表3に示されているように、ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株は、pH2.5の酸性に対し、44.2%耐酸性を示し、標準菌株KCTC3108は、67.1%の耐酸性を有していた。
【表3】
【0039】
(2)耐胆汁性の調査
胆汁酸が、ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株の成長に及ぼす影響を確認するために、以下の方法で実験を実施した。選抜された菌株を、滅菌されたMRS液体培地に接種した後、37℃において24時間培養した。腸管内の胆汁酸塩濃度が0.1%前後であることを勘案し、0.3%の胆汁酸塩(bile salts)(Sigma(米国))が含有されたMRS液体培地に、前記菌株を1%を接種し、37℃において2時間培養した。菌株接種直後と、その2時間培養後との試料を回収し、MRS液体培地に希釈し、MRS平板培地に塗抹した後、37℃において24時間培養した後、平板培地上のコロニー数を係数し、生存菌株細胞数を測定した。対照群として、0.3%の胆汁塩酸が含有されていないMRS液体培地において、同一に培養を進め、生存菌株細胞数を測定した。表4は、耐胆汁酸塩を測定した結果である。
表4に示されているように、LMT17-31菌株は、腸内実際濃度と類似した0.1%よりさらに高い0.3%において、66.4%の生存率を維持したために、LMT17-31菌株は、人体や動物の腸内でも、十分に生存することができる根拠にもなる。
【表4】
【0040】
(3)腸内定着性の調査
ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株の腸内細胞定着力程度を評価するために、韓国細胞株銀行から購入したヒト直腸上皮細胞である腺癌腫細胞(human e pithelialcolorectal adenocarcinomacell)Caco-2細胞株(KCLB 30037.1)を使用した。該Caco-2細胞は、10%牛胎児血清(FBS)(Gibco(米国))が含まれたDMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)(Gibco(米国))において、5% CO2、37℃条件で、7x104cell/100μlになるように分注し、96ウェルプレート(Corning(米国))に、細胞単一層が形成されるように培養した。
【0041】
なお、MRS液体培地において培養されたLMT17-31菌株をPBSで洗浄した後、抗生物質が添加されていないDMEM培地に懸濁し、細胞単一層が構成されたCaco-2細胞に、LMT17-31菌株の量が、1x107CFUになるように添加し、5% CO2、37℃条件で2時間培養した。Caco-2細胞に付着することができていない細胞を除去するために、PBSで5回洗浄し、100μlの0.1%トリトンX-100に付着した細胞を引き離した後、それをMRS固体培地に塗抹した。37℃において24時間培養した後、平板培地の上のコロニー数を係数し、LMT17-31菌株の腸内定着性を調査した。
【0042】
表5は、ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株の腸内上皮細胞に付着した数を示したものである。表5に示されているように、本発明の新規ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株は、約2%、そして比較菌株ラクトバチルス・プランタルムKCTC3108は、約1%の腸上皮皮細胞であるCaco-2に定着力があることを確認した。
【表5】
【0043】
実施例3:ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株の抗腫瘍効能評価
1.マウスの腫瘍モデル誘導、及びラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株の投与
マウス腫瘍誘導モデルに使用されたC57BL/6マウス(雄(20~22g))は、(株)オリエントバイオから購入し、実験開始前の1週間、環境に適応させた。マウスの背皮下組織に、C57BL/6マウスの大腸癌に由来するMC38細胞2.5x10
5個を注入し、腫瘍注入1週間後、腫瘍サイズ(50~70mm
3)を基に、群分離を行った。群分離後2週間、ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、2日に1回、ゾンデ(Sonde)を利用し、マウス当たり1x10
9CFU菌株含有PBSを経口投与し、陽性対照群としては、抗PD1抗体(クローン番号:RMP1-14(製造社:Bioxcell)(製品名:InvivoMAb anti-mouse PD-1)を、週2回マウス重さ1kg当たり10mg腹腔投与した。陰性対照群としては、PBSを経口投与した。実験群構成は、各群当たり8匹ずつ、総4群であり、表6のように構成した。
【表6】
【0044】
マウスにMC38腫瘍細胞株投入後23日まで、腫瘍サイズを測定し、その後、二酸化炭素を利用し、マウスを犠牲にし、腫瘍を摘出し、腫瘍浸潤免疫細胞分析を行った。分析結果は、
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E及び
図3Fに記載されている。
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E及び
図3Fは、ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍に浸潤されたCD8T細胞、及びそれによるサイトカイン分泌を分析した結果を示したものである。MC38腫瘍細胞株は、C57BL/6マウスにジメチルヒドラジンを皮下注射して誘導されたマウス結腸腺癌細胞(mouse colon adenocarcinoma cell)である。本実施例に使用されたマウス腫瘍誘導モデルは、MC38腫瘍細胞が皮下組織に移植されたものであるので、経口投与された菌の効果が、皮下組織の癌成長抑制を示すことができるということを示すものであり、菌の影響が腸と関連する癌だけではなく、多様な固形癌腫にも作用しうるということを示す。
【0045】
2.ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株投与による抗腫瘍効能評価
図2A及び
図2Bは、ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍サイズを測定した結果を示した図面である。前記投与は、セクション1によって行われた。具体的には、腫瘍の大きさは、腫瘍細胞株注入7日後から23日まで、週2回ずつ測定した。正確な腫瘍の大きさを測定するために、バーニアノギスを利用し、腫瘍の長軸と短軸とを測定し、長軸x(短軸)
2/2の公式でもって、腫瘍サイズを計算した。
図2A及び
図2Bにおいて、対照群(control)は、陰性対照群であり、PBSを投与したものであり、aPD1は、陽性対照群であり、抗PD1抗体を投与したものであり、LMT17-31は、実験群であり、LMT17-31を投与したものでありで、LMT17-31+aPD1は、LMT17-31と抗PD1抗体とを投与したものである。
図2Aは、細胞注入後経過日数による腫瘍サイズを示したものであり、
図2Bは、細胞注入後、23日目の腫瘍サイズを示したものである。
図2Aにおいて、横軸は、腫瘍サイズを測定した日であり、腫瘍細胞投与後の経過日を示す。
図2Bにおいて、棒は、細胞注入後23日目の各個体別腫瘍サイズをいずれも表したものである。
図2A及び
図2Bに示されているように、LMT17-31菌株単独投与群と、LMT17-31菌株と抗PD1抗体との併用投与群のいずれもにおいて、統計学的に有意な腫瘍成長阻害(tumor growth inhibition)が観察された。
【0046】
3.腫瘍浸潤免疫細胞分析及び免疫細胞の機能性評価
腫瘍浸潤免疫細胞であるCD8T細胞は、重要な抗癌反応の指標であり、CD8T細胞が分泌するインターフェロンガンマ(Interferon gamma)とグランザイムB(Granzyme B)は、免疫細胞の活性能を示す機能性サイトカインである。
図3は、ラクトバチルス・プランタルムLMT17-31菌株を、腫瘍を有するマウスに投与した後、腫瘍に浸潤されたCD8T細胞、及びそれによるサイトカイン分泌を分析した結果を示したものである。投与は、セクション1によって遂行された。投与23日後、腫瘍を摘出した。摘出された腫瘍は、50μg/mlリベラーゼ(Liberase)と40μg/ml DNase Iとが含まれたRPMI1640培地と細胞ストレーナ(cell strainer)とを利用し、単一細胞に分離した。T細胞のインターフェロンガンマ生成様相を観察するために、分離された細胞は、10% FBSが含まれたRPMI1640培地において、50ng/ml PMA(Phorbol 12-myristate 13-acetate)と500ng/mlイオノマイシン(ionomycin)とで4時間刺激した。PMAとイオノマイシンとの物質は、T細胞が活性化されるように信号的刺激を与える物質であり、実際抗原によるT細胞の活性メカニズムのような役割を行い、免疫反応が起こるような環境を作る。イオノマイシンは、Ca
2+イオノフォア(ionophore)であり、PKC(protein kinase C)を増加させ、PMAの場合は、PKCをリン酸化(phosphorylation)させることにより、CD4T細胞とCD8T細胞とをターゲットすることができるように、相乗作用させる(synergize)役割を行う。刺激後、免疫細胞分析及びインターフェロンガンマ生成確認のために、表7の抗体で細胞を染色し、CANTO II流細胞分析装備を利用して分析した。
【表7】
【0047】
図3A、
図3B及び
図3Cは、それぞれ腫瘍浸潤T細胞におけるCD8T細胞の百分率、CD8T細胞におけるIFNγ発現細胞の百分率、及びCD8T細胞におけるグランザイムB発現細胞の百分率を示し、
図3D、
図3E及び
図3Fは、それぞれ腫瘍浸潤された全体CD8T細胞の数、CD8T細胞におけるIFNγ発現細胞の数、及びCD8T細胞におけるグランザイムB発現細胞の数を示したものである。
図3に示されているように、PBS処理群対比で、LMT17-31投与群と、抗PD1抗体とLMT17-31との併用投与群途において、有意であるように、腫瘍浸潤CD8T細胞の比率と数とが増大した。また、活性因子であるインターフェロンガンマとグランザイムBとを生成するCD8T細胞の比率と数とにおいても、PBS対照群対比で、LMT17-31処理群と、抗PD1抗体とLMT17-31との併用処理群とにおいて、有意に増大した。
【0048】
【配列表】