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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】部品圧着装置および部品移送方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20241206BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H01L21/60 311T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020217925
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102892
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】足立 聡
(72)【発明者】
【氏名】辻 慎治郎
(72)【発明者】
【氏名】浜田 隆二
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-120054(JP,A)
【文献】特開2019-165059(JP,A)
【文献】特開2002-165118(JP,A)
【文献】特開2006-040978(JP,A)
【文献】特開2010-212394(JP,A)
【文献】国際公開第2009/041003(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0110026(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記基板に第1部品または第2部品を圧着する圧着ヘッド部と、
所定の受け渡し領域から前記圧着ヘッド部に前記第1部品または前記第2部品を移送する移送部と、
前記受け渡し領域の上方に配置され、前記受け渡し領域に供給された前記第1部品または前記第2部品を撮像する撮像部と、
前記受け渡し領域に供給された前記第2部品に対して下側から光を照射する下側の光源と、
前記下側の光源を移動可能な移動装置と、
を備え、
前記移送部は、前記第1部品を移送する第1モードにおいて、前記受け渡し領域に供給された前記第1部品を、前記第1部品の上面側から保持して、前記第1部品を上下反転させ、かつ、前記圧着ヘッド部に移送し、前記第2部品を移送する第2モードにおいて、前記受け渡し領域に供給された前記第2部品を、前記第2部品の下面側から保持して前記圧着ヘッド部に移送し、
前記移動装置は、前記第2モードにおいて、前記下側の光源を前記受け渡し領域の下方の位置に配置し、前記第1モードにおいて、前記下側の光源を前記位置と異なる他の位置に退避させる、
部品圧着装置。
【請求項2】
前記移動装置は、
第1取出部から取り出された前記第1部品を支持するステージと、
前記ステージを前記第1取出部から前記受け渡し領域に移動させる移動機構と、を有し、
前記下側の光源は、前記ステージに設けられている、
請求項1に記載の部品圧着装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前記第1モードにおいて、前記ステージを水平方向に移動させることで、前記下側の光源を前記他の位置に退避させる、
請求項2に記載の部品圧着装置。
【請求項4】
前記他の位置は、前記ステージの移動範囲の外側にある、
請求項3に記載の部品圧着装置。
【請求項5】
さらに、
前記受け渡し領域において、前記ステージに支持された前記第1部品に対して上側から光を照射する上側の光源を備え、
前記撮像部は、前記上側の光源から出射された光を用いて、前記受け渡し領域の前記ステージに支持された前記第1部品を撮像する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の部品圧着装置。
【請求項6】
前記第1部品は、IC(Integrated Circuit)部品であり、
前記第2部品は、TCP(Tape Carrier Package)部品である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の部品圧着装置。
【請求項7】
基板に第1部品または第2部品を圧着する圧着ヘッド部と、所定の受け渡し領域から前記圧着ヘッド部に前記第1部品または前記第2部品を移送する移送部と、前記受け渡し領域の上方に配置され、前記受け渡し領域に供給された前記第1部品または前記第2部品を撮像する撮像部と、前記受け渡し領域に供給された前記第2部品に対して下側から光を照射する下側の光源と、前記下側の光源を移動可能な移動装置と、を備える部品圧着装置の部品移送方法であって、
前記移送部は、第1モードにおいて、前記受け渡し領域に供給された前記第1部品を、前記第1部品の上面側から保持して、前記第1部品を上下反転させ、かつ、前記圧着ヘッド部に移送し、第2モードにおいて、前記受け渡し領域に供給された前記第2部品を、前記第2部品の下面側から保持して前記圧着ヘッド部に移送し、
前記移動装置は、前記第2モードにおいて、前記下側の光源を前記受け渡し領域の下方の位置に配置し、前記第1モードにおいて、前記下側の光源を前記位置と異なる他の位置に退避させる、
部品移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を圧着する部品圧着装置、および、この部品圧着装置にて部品を移送する部品移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルの側縁部にICチップ等の電子部品を圧着する部品圧着装置が知られている。この種の部品圧着装置を用いた実装方法の一例として、特許文献1には、COG(Chip on Glass)方式によりチップ状の電子部品の実装を行う方法、および、FOG(Film on Glass)方式によりフィルム状の電子部品の実装を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-317784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、1台の部品圧着装置でチップ状の電子部品の実装およびフィルム状の電子部品の実装を行う場合、2つの電子部品のそれぞれを撮像部および光源を用いて撮像し、各電子部品の位置を認識する必要がある。しかしながら、光源の配置のしかたによっては、一方の電子部品を供給する移動装置と他方の電子部品を撮像するための光源とが干渉するという問題がある。
【0005】
本発明は、一方の電子部品を供給する移動装置と他方の電子部品を撮像するための光源とが干渉することを防止する部品圧着装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る部品圧着装置は、基板が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記基板に第1部品または第2部品を圧着する圧着ヘッド部と、所定の受け渡し領域から前記圧着ヘッド部に前記第1部品または前記第2部品を移送する移送部と、前記受け渡し領域の上方に配置され、前記受け渡し領域に供給された前記第1部品または前記第2部品を撮像する撮像部と、前記受け渡し領域に供給された前記第2部品に対して下側から光を照射する下側の光源と、前記下側の光源を移動可能な移動装置と、を備え、前記移送部は、前記第1部品を移送する第1モードにおいて、前記受け渡し領域に供給された前記第1部品を、前記第1部品の上面側から保持して、前記第1部品を上下反転させ、かつ、前記圧着ヘッド部に移送し、前記第2部品を移送する第2モードにおいて、前記受け渡し領域に供給された前記第2部品を、前記第2部品の下面側から保持して前記圧着ヘッド部に移送し、前記移動装置は、前記第2モードにおいて、前記下側の光源を前記受け渡し領域の下方の位置に配置し、前記第1モードにおいて、前記下側の光源を前記位置と異なる他の位置に退避させる。
【0007】
本発明の一態様に係る部品移送方法は、基板に第1部品または第2部品を圧着する圧着ヘッド部と、所定の受け渡し領域から前記圧着ヘッド部に前記第1部品または前記第2部品を移送する移送部と、前記受け渡し領域の上方に配置され、前記受け渡し領域に供給された前記第1部品または前記第2部品を撮像する撮像部と、前記受け渡し領域に供給された前記第2部品に対して下側から光を照射する下側の光源と、前記下側の光源を移動可能な移動装置と、を備える部品圧着装置の部品移送方法であって、前記移送部は、第1モードにおいて、前記受け渡し領域に供給された前記第1部品を、前記第1部品の上面側から保持して、前記第1部品を上下反転させ、かつ、前記圧着ヘッド部に移送し、第2モードにおいて、前記受け渡し領域に供給された前記第2部品を、前記第2部品の下面側から保持して前記圧着ヘッド部に移送し、前記移動装置は、前記第2モードにおいて、前記下側の光源を前記受け渡し領域の下方の位置に配置し、前記第1モードにおいて、前記下側の光源を前記位置と異なる他の位置に退避させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の部品圧着装置等によれば、一方の電子部品を供給する移動装置と他方の電子部品を撮像するための光源とが干渉することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る部品圧着装置を示す平面図である。
図2図2は、実施の形態に係る部品圧着装置を、図1のI-I線に示す矢印方向から見た図である。
図3図3は、実施の形態に係る部品圧着装置を、図1のII-II線に示す矢印方向から見た図である。
図4図4は、部品圧着装置の第1モードにおいて第1部品を移送する際の第1経路および光源を示す図である。
図5図5は、部品圧着装置の第1モードにおいて第1部品を移送する際の共通経路を示す図である。
図6図6は、部品圧着装置の第2モードにおいて第2部品を移送する際の第2経路および光源を示す図である。
図7図7は、部品圧着装置の第2モードにおいて第2部品を移送する際の共通経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップおよびステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0012】
また、以下の実施の形態では、部品圧着装置における基板の搬送方向を第1方向D1とし、第1方向D1に直交する部品圧着装置の奥行き方向を第2方向D2として記載する場合がある。また、鉛直方向を第3方向D3とし、第3方向D3の正方向を上方とし、第3方向D3の負方向を下方として記載する場合がある。なお、第1方向D1および第2方向のそれぞれは、水平方向に含まれる方向である。
【0013】
(実施の形態)
[1.部品圧着装置の概略構成]
実施の形態に係る部品圧着装置1の概略構成について、図1を参照しながら説明する。部品圧着装置1は、基板80に電子部品を実装する装置であり、例えば液晶パネルや有機EL(Electroluminescence)パネル等のディスプレイパネル等を生産するために用いられる。基板80に実装される電子部品としては、後述する第1部品91および第2部品92が挙げられる。
【0014】
図1は、実施の形態に係る部品圧着装置1を示す平面図である。
【0015】
図1に示すように、部品圧着装置1は、基板搬入部110と、貼り付け部120と、仮圧着部130と、本圧着部140と、基板搬出部150と、搬送部160と、制御部170と、を備えている。また、部品圧着装置1は、仮圧着部130の背面側に設けられ、かつ、仮圧着部130に連結された部品供給部5を備えている。制御部170は、貼り付け部120、仮圧着部130、本圧着部140、部品供給部5等の各装置と、無線通信可能に、または、制御線等により有線通信可能に接続されており、各装置を制御する。
【0016】
基板搬入部110、貼り付け部120、仮圧着部130、本圧着部140、および、基板搬出部150は、第1方向D1に沿ってこの順で連結されている。
【0017】
部品圧着装置1では、まず、基板搬入部110に基板80が搬入される。基板搬入部110に搬入された基板80は、搬送部160によって貼り付け部120に搬送される。貼り付け部120では、基板80の電極部が形成された領域に、異方性導電部材であるACF(Anisotropic Conductive Film)が貼り付けられる。ACFが貼り付けられた基板80は、搬送部160によって仮圧着部130に搬送される。仮圧着部130では、部品供給部5から供給された電子部品(第1部品91または第2部品92)が、撮像部50および光源51、52(図2および図3参照)を用いて撮像された後、ACFを介して基板80に仮圧着される。電子部品が仮圧着された基板80は、搬送部160によって本圧着部140に搬送される。本圧着部140では、電子部品がACFを介して基板80に本圧着される。この本圧着により、電子部品が基板80の電極部に電気的に接続される。電子部品が接続された基板80は、搬送部160によって基板搬出部150に搬送された後、基板搬出部150から搬出される。
【0018】
本実施の形態の部品圧着装置1は、第1部品91を供給する移動装置と第2部品92を撮像するための光源とが干渉することを防止するため、仮圧着部130および部品供給部5が以下に示す構成を有している。
【0019】
[2.仮圧着部および部品供給部の構成]
図2は、部品圧着装置1を、図1のI-I線に示す矢印方向から見た図である。図3は、部品圧着装置1を、図1のII-II線に示す矢印方向から見た図である。
【0020】
部品圧着装置1の仮圧着部130では、部品供給部5から、COG方式の実装に必要な第1部品91、および、FOG方式の実装に必要な第2部品92が供給される。第1部品91は、チップ状の電子部品であり、例えば、IC(Integrated Circuit)部品である。第2部品92は、フィルム状の電子部品であり、例えば、TCP(Tape Carrier Package)部品である。
【0021】
図2および図3に示すように、仮圧着部130は、基板80が載置される載置部70と、載置部70の上方に設けられた圧着ヘッド部75と、を備えている。載置部70は、第1方向D1および第2方向D2に移動可能な可動ステージを備え、圧着ヘッド部75は、第3方向D3に移動可能である。圧着ヘッド部75は、部品供給部5から移送された第1部品91または第2部品92を受け取って保持し、基板80に仮圧着する。
【0022】
なお、載置部70は、可動ステージとは別に、圧着ヘッド部75の下方に配置され、圧着ヘッド部75による仮圧着が行われる時に、基板80の側縁部に設けられた圧着部位を基板80の下方から支持するバックアップ部を備えても良い。この場合、可動ステージには圧着部位である基板80の側縁部がはみ出た状態で基板80が載置され、可動ステージは基板80の側縁部がバックアップ部に支持される位置に移動し、圧着ヘッド部75は基板80の圧着部位がバックアップ部に支持された状態で仮圧着を行う。
【0023】
部品圧着装置1は、第1部品91を仮圧着部130に供給する第1モードm1、および、第2部品92を仮圧着部130に供給する第2モードm2を有している。制御部170は、例えば、COG方式による実装を実行する場合に第1モードm1を選択し、FOG方式による実装を実行する場合に第2モードm2を選択する。
【0024】
第1モードm1では、図1および図2に示す第1経路r1および共通経路rcを介して第1部品91が移送される。第2モードm2では、図1および図3に示す第2経路r2および共通経路rcを介して第2部品92が移送される。共通経路rcでは、モードの違いによって異なる部品が移送される。
【0025】
第1経路r1は、第1方向D1に沿って延びる経路である。第2経路r2は、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って延びる経路である。具体的には、第2方向D2は、第1方向D1に対して直交している。共通経路rcは、第2経路r2と同様に、第2方向D2に沿って延びる経路である。
【0026】
本実施の形態では、第1経路r1において第1部品91が第1方向D1に移送され、第2経路r2において第2部品92が第2方向D2に移送される。第2方向D2は、部品圧着装置1の奥行に延びる方向であるが、第1方向D1は、長方形状をした部品圧着装置1の長手方向に沿っている。このように第1部品91を移送する第1方向D1と、第2部品92を移送する第2方向D2とが交差するように構成されているため、部品圧着装置1では、部品圧着装置1の背面側におけるスペースを有効活用することが可能である。
【0027】
以下、部品供給部5の具体的な構成について、図2図7を参照しながら説明する。
【0028】
図2および図3に示すように、部品供給部5は、第1経路r1に設けられた第1取出部61および第1移送部30と、第2経路r2に設けられた第2取出部62および第2移送部40と、共通経路rcに設けられた共通移送部10と、を備えている。また、部品供給部5は、後述する受け渡し領域RAに設けられた撮像部50と、複数の光源51および52と、を備えている。なお、光源52は、第1モードm1のとき、受け渡し領域RAとは異なる他の位置P1に配置される。光源51、52については後で詳しく説明する。
【0029】
まず、第1経路r1について、図4を参照しながら説明する。
【0030】
図4は、部品圧着装置1の第1モードm1において第1部品91を移送する際の第1経路r1および光源51、52を示す図である。図4の(a)~(c)に示すように、第1経路r1には、第1取出部61および第1移送部30が設けられている。
【0031】
第1取出部61は、第1部品91を収納部から取り出して、第1移送部30に供給するトレイ供給装置である。図4の(a)に示すように、第1取出部61は、マガジンラックに入れられた複数のトレイ96から、所定のトレイ96を取り出して供給する。トレイ96上には、複数の第1部品91が行列状に配置されている。第1取出部61は、複数の第1部品91を有するトレイ96を第1移送部30に供給する。
【0032】
第1移送部30は、「移動装置」の一例である。第1移送部30は、第1部品91を支持する第1のステージ31と、第1のステージ31を移動させる第1移動機構32と、を備えている。第1のステージ31は、例えば、吸引等によりトレイ96を保持する。これにより、第1部品91は、下側から間接的に第1のステージ31に支持される。第1移動機構32は、例えば、直動一軸ロボットであり、第1のステージ31を第1方向D1に移動可能である。第1移動機構32は、「移動機構」の一例である。
【0033】
具体的には、図4の(b)に示すように、第1移動機構32は、第1のステージ31を第1方向D1に沿って受け渡し領域RAに移動させる。このように、第1移送部30は、第1部品91を第1方向D1に移送して受け渡し領域RAに供給する。
【0034】
受け渡し領域RAは、図2および図3に示すように、第1経路r1および共通経路rcの間で第1部品91の受け渡しを行う領域であり、かつ、第2経路r2および共通経路rcの間で第2部品92の受け渡しを行う領域である。
【0035】
受け渡し領域RAの上方には、撮像部50および上側の光源51が設けられている。
【0036】
上側の光源51は、例えば同軸照明であり、受け渡し領域RAにおいて、第1のステージ31に支持された第1部品91に対して上側から光を照射する。
【0037】
撮像部50は、例えばカメラであり、図4の(c)に示すように、上側の光源51から出射された光を用いて、受け渡し領域RAの第1のステージ31に支持された第1部品91を撮像する。これにより、第1部品91の位置座標を認識した状態で、第1部品91を共通移送部10に供給することができる。
【0038】
次に、共通経路rcについて、図2図3および図5を参照しながら説明する。
【0039】
図2および図3に示すように、共通経路rcには、共通移送部10が設けられている。共通移送部10は、第1部品91および第2部品92を移送するために共用される移送部であり、第1部品91および第2部品92のいずれか一方をハンドリングして圧着ヘッド部75へ移送する。共通移送部10は、「移送部」の一例である。
【0040】
共通移送部10は、ヘッド支持部15と、共通移動機構16とを有している。
【0041】
ヘッド支持部15は、第1部品91を保持するための第1保持ヘッド11、および、第2部品92を保持するための第2保持ヘッド12を、交換可能に支持する。すなわち、第1保持ヘッド11および第2保持ヘッド12は、ヘッド支持部15に対して着脱可能である。具体的には、ヘッド支持部15には、第1モードm1のときに第1保持ヘッド11が取り付けられ、第2モードm2のときに第2保持ヘッド12が取り付けられる。ヘッド支持部15への第1保持ヘッド11および第2保持ヘッド12の取り付けは、例えば、共通移送部10に設けられたツールチェンジャー(図示省略)によって自動で行われてもよい。
【0042】
共通移動機構16は、第1部品91を保持した第1保持ヘッド11、および、第2部品92を保持した第2保持ヘッド12のいずれか一方を支持した状態のヘッド支持部15を、圧着ヘッド部75に移動させる。共通移動機構16は、例えば三軸ロボットであり、第2方向D2および第3方向D3にヘッド支持部15を移動させ、かつ、第1方向D1に沿う軸を中心にヘッド支持部15を回転させる。このように共通移動機構16は、第1保持ヘッド11または第2保持ヘッド12に保持された部品を、移送することもできるし、上下反転させることもできる。
【0043】
図5は、部品圧着装置1の第1モードm1において第1部品91を移送する際の共通経路rcを示す図である。
【0044】
図5の(a)に示すように、第1保持ヘッド11は、第1方向D1から受け渡し領域RAに供給された第1部品91を、共通移動機構16による駆動によって第1部品91の上面側から保持する。そして、第1保持ヘッド11は、共通移動機構16による駆動によって、第1部品91を上下反転させ(図5の(b)参照)、かつ、圧着ヘッド部75へ移送する(図5の(c)参照)。
【0045】
圧着ヘッド部75は、図5の(d)に示すように、第1保持ヘッド11から移送された第1部品91を受け取って保持し、基板80に仮圧着する。
【0046】
次に、第2経路r2について、図6を参照しながら説明する。
【0047】
図6は、部品圧着装置1の第2モードm2において第2部品92を移送する際の第2経路r2および光源51、52を示す図である。第2経路r2には、第2取出部62および第2移送部40が配置されている。なお、品種交換およびロット交換を効率よく行うため、第2取出部62は2つ並んで設置されている。以下では、いずれか一方の第2取出部62を用いて第2部品92を供給する例について説明する。
【0048】
第2取出部62は、第2部品92を収納部から取り出して、第2移送部40に供給する部品テープ供給装置である。図6の(a)に示すように、第2取出部62は、複数の第2部品92を含む帯状の部品テープ97から、第2部品92を打ち抜いて取り出す。第2取出部62は、取り出した第2部品92を第2移送部40に供給する。
【0049】
第2移送部40は、第2部品92を支持する第2のステージ41と、第2移動機構42と、移動ヘッド43とを備えている。第2のステージ41は、例えば、吸引等により第2部品92を下側から直接保持する。第2移動機構42は、例えば直交二軸ロボットであり、第2のステージ41を第1方向D1(図1参照)に移動可能である。移動ヘッド43は、例えば、吸引等により第2部品92を上側から直接保持する。移動ヘッド43は、例えば、直交二軸ロボットであり、保持した第2部品92を第2方向D2に移送可能である。
【0050】
具体的には、第2移動機構42は、第2のステージ41を第1方向D1に沿って移動させ、第2部品92を2つの第2取出部62の中間位置まで移動させる。移動ヘッド43は、上記中間位置まで移動した第2のステージ41上の第2部品92を上側から保持し、第2方向D2に沿って受け渡し領域RAに移送する。
【0051】
図6の(b)に示すように、受け渡し領域RAには第2保持ヘッド12が待機しており、移動ヘッド43は、第2部品92を受け渡し領域RAの第2保持ヘッド12に受け渡す。このように、第2移送部40は、第2部品92を第2方向D2に移送して、受け渡し領域RAに供給する。
【0052】
図3に示すように、受け渡し領域RAの上方には、撮像部50が設けられている。また、受け渡し領域RAの下方には、下側の光源52が設けられている。
【0053】
下側の光源52は、第3方向D3に沿う軸を光軸とし、受け渡し領域RAにおいて、第2保持ヘッド12に保持された第2部品92に対して下側から光を照射する。第2保持ヘッド12は、光を透過する透光材によって形成されている。
【0054】
図6の(c)に示すように、撮像部50は、下側の光源52から出射された光を用いて、第2部品92のシルエットを撮像する。これにより、フィルム状の電子部品である第2部品92に撓みや反りがあっても、撓みや反りに起因する乱反射等の影響を受けずに第2部品92の外形を撮像できるため、第2保持ヘッド12に保持された第2部品92の位置座標を精度良く認識することができる。
【0055】
本実施の形態において、下側の光源52は、第1部品91が第1移送部30によって受け渡し領域RAに供給される場合に、受け渡し領域RAから退避可能に設けられている。例えば、下側の光源52は、第2モードm2のときに、受け渡し領域RAに供給された第2部品92から見て、撮像部50とは反対側の位置P2(図3参照)に配置され、第1モードm1のときに、位置P2と異なる他の位置P1に配置される(図2参照)。位置P2は、例えば、受け渡し領域RAの範囲内にあり、他の位置P1は、例えば、第1のステージ31の移動範囲の外側にある。なお、光源52の位置とは、第1方向D1および第2方向D2における光源52の光軸の位置である。
【0056】
また、下側の光源52は、第1のステージ31の側面に設けられている。より具体的には、下側の光源52は、第1のステージ31の中心から見て、第1方向D1の正方向に位置する側面に設けられている。そのため、第1のステージ31の水平方向の移動とともに、下側の光源52も移動することとなる。これにより、下側の光源52は、第1移送部30の動きを妨げない構成となっている。
【0057】
図7は、部品圧着装置1の第2モードm2において第2部品92を移送する際の共通経路rcを示す図である。
【0058】
図7の(a)に示すように、第2保持ヘッド12は、第2方向D2から受け渡し領域RAに供給された第2部品92を、共通移動機構16による駆動によって第2部品92の下面側から保持し、圧着ヘッド部75へ移送する。
【0059】
圧着ヘッド部75は、図7の(b)に示すように、第2保持ヘッド12から移送された第2部品92を受け取って保持し、基板80に仮圧着する。このように、部品圧着装置1では、部品供給部5において互いに交差する2つの方向から第1部品91または第2部品92を供給し、仮圧着部130において第1部品91または第2部品92を受け取って、基板80に仮圧着する。
【0060】
(まとめ)
本実施の形態に係る部品圧着装置1は、基板80が載置される載置部70と、載置部70に載置された基板80に第1部品91または第2部品92を圧着する圧着ヘッド部75と、所定の受け渡し領域RAから圧着ヘッド部75に第1部品91または第2部品92を移送する共通移送部(移送部の一例)10と、受け渡し領域RAの上方に配置され、受け渡し領域RAに供給された第1部品91または第2部品92を撮像する撮像部50と、受け渡し領域RAに供給された第2部品92に対して下側から光を照射する下側の光源52と、下側の光源52を移動可能な第1移送部(移動装置の一例)30と、を備える。共通移送部10は、第1部品91を移送する第1モードm1において、受け渡し領域RAに供給された第1部品91を、第1部品91の上面側から保持して圧着ヘッド部75に移送し、第2部品92を移送する第2モードm2において、受け渡し領域RAに供給された第2部品92を、第2部品92の下面側から保持して圧着ヘッド部75に移送する。第1移送部30は、第2モードm2において、下側の光源52を受け渡し領域RAの下方の位置P2に配置し、第1モードm1において、下側の光源52を位置P2と異なる他の位置P1に退避させる。
【0061】
このように、下側の光源52を他の位置P1に退避させることで、第1モードm1において第1部品91が受け渡し領域RAに供給される際に、第1部品91を移送する手段と、第2部品92を撮像するための下側の光源52とが干渉することを防ぐことができる。すなわち、一方の電子部品(第1部品91)を供給する移動装置と他方の電子部品(第2部品92)を撮像するための光源52とが干渉することを防止することができる。
【0062】
また、第1移送部30は、第1取出部61から取り出された第1部品91を支持するステージ31と、ステージ31を第1取出部61から受け渡し領域RAに移動させる第1移動機構(移動機構の一例)32と、を有し、下側の光源52は、ステージ31に設けられていてもよい。
【0063】
このように、下側の光源52がステージ31に設けられていることで、第1部品91が受け渡し領域RAに供給される際に、第1部品91を移送する第1移送部30と、第2部品92を撮像するための下側の光源52とが干渉することを確実に防ぐことができる。
【0064】
また、第1移送部30は、第1モードm1において、ステージ31を水平方向に移動させることで、下側の光源52を他の位置P1に退避させてもよい。
【0065】
このように、第1モードm1において、ステージ31を水平方向に移動して退避させることで、第1移送部30と下側の光源52とが干渉することを簡易に防ぐことができる。
【0066】
また、他の位置P1は、ステージ31の移動範囲の外側にあってもよい。
【0067】
このように、他の位置P1がステージ31の移動範囲の外側にあることで、第1部品91が受け渡し領域RAに供給される際に、第1移送部30と下側の光源52とが干渉することを確実に防ぐことができる。
【0068】
また、部品圧着装置1は、さらに、受け渡し領域RAにおいて、ステージ31に支持された第1部品91に対して上側から光を照射する上側の光源51を備え、撮像部50は、上側の光源51から出射された光を用いて、受け渡し領域RAのステージ31に支持された第1部品91を撮像してもよい。
【0069】
これによれば、1つの撮像部50を用いて第1部品91および第2部品92のそれぞれを撮像することができる。また、撮像部50によって、第1部品91および第2部品92の位置座標を認識し、第1部品91または第2部品92を供給することができる。
【0070】
また、第1部品91は、IC(Integrated Circuit)部品であり、第2部品92は、TCP(Tape Carrier Package)部品であってもよい。
【0071】
これによれば、IC部品およびTCP部品を基板80に圧着するための部品圧着装置1において、第1部品91を移送する手段と下側の光源52とが干渉することを防ぐことができる。
【0072】
本実施の形態に係る部品移送方法は、基板80に第1部品91または第2部品92を圧着する圧着ヘッド部75と、所定の受け渡し領域RAから圧着ヘッド部75に第1部品91または第2部品92を移送する共通移送部(移送部の一例)10と、受け渡し領域RAの上方に配置され、受け渡し領域RAに供給された第1部品91または第2部品92を撮像する撮像部50と、受け渡し領域RAに供給された第2部品92に対して下側から光を照射する下側の光源52と、下側の光源52を移動可能な第1移送部(移動装置の一例)30と、を備える部品圧着装置1の部品移送方法である。共通移送部10は、第1モードm1において、受け渡し領域RAに供給された第1部品91を、第1部品91の上面側から保持して圧着ヘッド部75に移送し、第2モードm2において、受け渡し領域RAに供給された第2部品92を、第2部品92の下面側から保持して圧着ヘッド部75に移送する。第1移送部30は、第2モードm2において、下側の光源52を受け渡し領域RAの下方の位置P2に配置し、第1モードm1において、下側の光源52を位置P2と異なる他の位置P1に退避させる。
【0073】
このように、下側の光源52を他の位置P1に退避させることで、第1モードm1において第1部品91が受け渡し領域RAに供給される際に、第1部品91を移送する手段と、第2部品92を撮像するための下側の光源52とが干渉することを防ぐことができる。
【0074】
(その他の実施の形態)
以上、本実施の形態に係る部品圧着装置等について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0075】
上記実施の形態では、第1移送部30が第1部品91を第1方向D1に移送し、第2移送部40が第2部品92を第2方向D2に移送する例を示したが、直交方向の配置は逆であってもよい。例えば、第1移送部30が第1部品91を第2方向D2に移送して受け渡し領域RAに供給し、第2移送部40が第2部品92を第1方向D1に移送して受け渡し領域RAに供給してもよい。
【0076】
上記実施の形態では、下側の光源52を第1のステージ31の側面に設けた例を示したが、下側の光源52を退避させる手段はそれに限られない。例えば、下側の光源52が、他の移動機構に取り付けられ、第2モードm2のときに位置P2に移動し、第1モードm1のときに位置P1に移動するように構成されていてもよい。
【0077】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、液晶パネルや有機EL(Electroluminescence)パネル等のディスプレイパネルを生産する部品圧着装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 部品圧着装置
5 部品供給部
10 共通移送部(移送部の一例)
11 第1保持ヘッド
12 第2保持ヘッド
15 ヘッド支持部
16 共通移動機構
30 第1移送部(移動装置の一例)
31 第1のステージ
32 第1移動機構(移動機構の一例)
40 第2移送部
41 第2のステージ
42 第2移動機構
43 移動ヘッド
50 撮像部
51 上側の光源
52 下側の光源
61 第1取出部
62 第2取出部
70 載置部
75 圧着ヘッド部
80 基板
91 第1部品
92 第2部品
96 トレイ
97 部品テープ
110 基板搬入部
120 貼り付け部
130 仮圧着部
140 本圧着部
150 基板搬出部
160 搬送部
170 制御部
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
m1 第1モード
m2 第2モード
P1、P2 位置
RA 受け渡し領域
rc 共通経路
r1 第1経路
r2 第2経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7