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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】霧化装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/06 20060101AFI20241206BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B05B17/06
A61L9/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022553520
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 JP2021029586
(87)【国際公開番号】W WO2022070622
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2020165397
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020165416
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】細見 聡彦
(72)【発明者】
【氏名】桐山 竜也
(72)【発明者】
【氏名】南口 勝
(72)【発明者】
【氏名】片山 浩幸
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-130393(JP,A)
【文献】特開2003-038646(JP,A)
【文献】特開昭60-132670(JP,A)
【文献】特開2020-000995(JP,A)
【文献】特開昭54-061309(JP,A)
【文献】実開昭56-107421(JP,U)
【文献】特開昭54-034113(JP,A)
【文献】特開昭59-000354(JP,A)
【文献】特開2013-000679(JP,A)
【文献】特開2008-221134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 17/06
A61L 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の共振点を有する超音波振動子と、
前記超音波振動子を発振動作させる駆動制御部と、
前記超音波振動子が発する音波、及び、当該音波を伝搬する液体が通過し、前記液体を柱状に噴出するための噴出口を有する貫通孔が設けられた部材と、
前記超音波振動子が発した音波が入射され、前記貫通孔を通過させて所定の焦点に集束させるように、入射された音波を出射する集音部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記超音波振動子の1次の共振周波数よりも高次の共振周波数で前記超音波振動子を発振動作させ
前記所定の焦点は、前記集音部から見て前記噴出口よりも遠方に位置する
霧化装置。
【請求項2】
前記集音部は、前記超音波振動子と前記部材との間に位置し、入射された音波を透過して出射する
請求項に記載の霧化装置。
【請求項3】
前記集音部における音波を出射する出射面は、凹状である
請求項に記載の霧化装置。
【請求項4】
前記集音部は、入射された音波を反射することで出射する
請求項に記載の霧化装置。
【請求項5】
前記集音部における入射された音波を反射する反射面は、放物面である
請求項に記載の霧化装置。
【請求項6】
前記噴出口の径は、前記集音部に集束された音波のビーム径よりも大きい
請求項1~5のいずれか1項に記載の霧化装置。
【請求項7】
前記噴出口の径は、前記ビーム径の10倍以下である
請求項に記載の霧化装置。
【請求項8】
前記部材は、前記部材の内壁が、前記集音部における音波を出射する表面から、前記所定の焦点に至るまでに集束する音波の経路外に位置するように配置されている
請求項1~7のいずれか1項に記載の霧化装置。
【請求項9】
前記駆動制御部は、5MHzを超える高次の共振周波数で前記超音波振動子を発振動作させる
請求項1~8のいずれか1項に記載の霧化装置。
【請求項10】
さらに、前記液体が収容される液相部と、前記液体が収容されない気相部と、が設けられた収容体を備え、
前記部材は、前記噴出口の周囲に位置する端部が前記気相部に位置するように配置されている
請求項1~9のいずれか1項に記載の霧化装置。
【請求項11】
前記部材における前記噴出口の周囲に位置する端部は、撥水性を有する
請求項1~10のいずれか1項に記載の霧化装置。
【請求項12】
前記噴出口は、前記噴出口から噴出される柱状の前記液体である液柱の延在方向が鉛直方向と交差するように、前記部材に設けられている
請求項1~11のいずれか1項に記載の霧化装置。
【請求項13】
前記液体に殺菌成分を含む
請求項1~12のいずれか1項に記載の霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、除菌、脱臭等に用いられるミストを発生させる霧化装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、超音波発生器を用いて液体を霧化させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表平6-507836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波振動子から発せられる超音波振動が液体に与えられると、振動エネルギーを受けた液体の水面から液柱が隆起する。液柱の表面にはキャピラリー波と呼ばれる微細な波が発生し、波の振幅が臨界点を超えたときに波の頭頂部が破断してミストが発生すると考えられている。
【0005】
ここで、超音波振動を用いた液体の霧化では、液体に与えられる振動の周波数が高い程、液柱から発生するミストのサイズが小さくなる。
【0006】
例えば、除菌、脱臭等に用いられるミストには、効果の観点から、粒径がナノメートルオーダからマイクロメートルオーダであることが求められる。微細化されたミストであれば、空間に噴霧されることで、ミストの空間に位置する菌及び悪臭ガス等との衝突確率及びミストの拡散性が向上され得る。
【0007】
しかしながら、超音波振動子が動作する固有周波数(基本共振周波数)を高くするためには、超音波振動子の厚みを薄くすることが必要となる。そのため、超音波振動子が動作する基本共振周波数を高くしようとする程、超音波振動子の製造が困難となる。これにより、超音波振動子を用いた液体の霧化では、ミストのサイズを小さくすることが難しい。
【0008】
また、液体に与える振動の周波数を高くした場合、ミストの発生量が著しく低下してしまうことが知られている。
【0009】
本開示は、ミストの粒径を適切なサイズに制御でき、且つ、ミストの発生量の低下を抑制できる霧化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る霧化装置は、複数の共振点を有する超音波振動子と、超音波振動子を発振動作させる駆動制御部と、超音波振動子が発する音波、及び、音波を伝搬する液体が通過し、液体を柱状に噴出するための噴出口を有する貫通孔が設けられた部材と、を備え、駆動制御部は、超音波振動子の1次の共振周波数よりも高次の共振周波数で超音波振動子を発振動作させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ミストの粒径を適切なサイズに制御でき、且つ、ミストの発生量の低下を抑制できる霧化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態1に係る霧化装置の構成を示す概略断面図である。
図2図2は、実施の形態1に係る霧化装置が備える部材を示す斜視図である。
図3図3は、超音波振動子のインピーダンス特性の一例を示す図である。
図4図4は、液体に印加される振動周波数に対するミストの粒径を示す図である。
図5図5は、実施の形態1の変形例に係る霧化装置の構成を示す概略断面図である。
図6図6は、実施の形態2に係る霧化装置の構成を示す概略断面図である。
図7図7は、噴出口の径とビーム径との関係を説明するための図である。
図8図8は、実施の形態3に係る霧化装置の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する趣旨ではない。
【0014】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0015】
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、Z軸方向を鉛直方向とし、Z軸に垂直な方向(XY平面に平行な方向)を水平方向としている。なお、各実施の形態では、Z軸正方向を鉛直上方として説明する。
【0016】
(実施の形態1)
[構成]
図1は、実施の形態1に係る霧化装置100の構成を示す概略断面図である。図2は、実施の形態1に係る霧化装置100が備える部材130を示す斜視図である。なお、図1においては、制御部150を機能的なブロックとして図示している。制御部150は、超音波振動子120及び供給部140と制御線等により制御可能に接続されており、各装置を制御する。制御部150は、例えば、マイコン(マイクロコントローラ)等で実現され、霧化装置100の図示しない外殻筐体の内部に配置されている。制御部150は、例えば、図示しない外郭筐体の外側に取り付けられていてもよい。
【0017】
霧化装置100は、液体200をミスト化(霧化)して、大気中で浮遊する浮遊性を有するミスト220を発生するミスト発生装置である。例えば、霧化装置100は、超音波振動子120が超音波振動することにより超音波振動子120から発せられる音波(以下、ビーム230と呼称する)を用いて、部材130に設けられた(形成された)噴出口132から液体200からなる液柱210を噴出させる。噴出口132から噴出された液柱210の表面からは、無数のミスト220が発せられる。これにより、霧化装置100は、ミスト220を発生させる。
【0018】
ミスト220は、液体200がミスト化された複数の液体粒子のうちの1つである。霧化装置100は、例えば、加湿装置、脱臭装置、又は、殺菌装置等に利用される。
【0019】
液体200は、水であるが、油等の任意の液体が用いられてもよい。また、液体200には、香料成分又は殺菌成分等が含まれていてもよい。例えば、液体200が香料成分を含む場合には、霧化装置100は、香料成分を含むミスト220を発生する香り発生器である。或いは、例えば、液体200が次亜塩素酸等の殺菌成分を含む場合には、霧化装置100は、殺菌装置である。
【0020】
ミスト220は、例えば、マイクロメートルオーダの径の微細な液体粒子であり、大気中で浮遊する浮遊性を有する。例えば、ミスト220の個数平均径は、数μm程度である。例えば、ミスト220の個数平均径は、1.5μm以下である。
【0021】
霧化装置100は、収容体110と、超音波振動子120と、部材130と、供給部140と、制御部150と、を備える。
【0022】
収容体110は、液体200を収容し、上方が開口している容器である。本実施の形態では、収容体110は、超音波振動子120及び部材130を支持している。収容体110に採用される材料は、例えば、樹脂材料であるが、特に限定されない。収容体110には、例えば、液体200が収容される液相部111と、液体200が収容されない気相部112と、が設けられている。
【0023】
超音波振動子120は、液体200に超音波振動を印加するための振動子である。超音波振動子120は、複数の共振点(共振周波数)を有する。具体的には、超音波振動子120は、基本共振周波数(1次の共振周波数)の他に、当該基本共振周波数よりも高次の共振周波数で振動する共振点を有する。
【0024】
超音波振動子120は、制御部150(より具体的には、駆動制御部152)に電圧を印加されることで、超音波振動する。超音波振動子120は、例えば、圧電素子である。本実施の形態では、超音波振動子120は、Z軸方向に振動することで、Z軸正方向にビーム230を発するように収容体110の底部に配置されている。超音波振動子120からビーム230が発せられる向き(本実施の形態では、超音波振動子120のZ軸正方向側)には、部材130が配置されている。
【0025】
部材130は、超音波振動子120が発するビーム230、及び、ビーム230を伝搬する液体200が通過し、液体200を柱状に噴出するための噴出口132を有する貫通孔131が設けられた有孔体である。貫通孔131は、超音波振動子120が発するビーム230が伝搬する方向に延在するように部材130に設けられている。噴出口132は、貫通孔131を通過した、超音波振動子120が発するビーム230を伝搬する液体200からなる液柱210を噴出する。本実施の形態では、部材130は、筒状、より具体的には、中心に貫通孔131及び噴出口132を有する角状(ホーン状)である。
【0026】
貫通孔131は、超音波振動子120がビーム230を発する側(本実施の形態では、Z軸正方向側)に向けて孔径が漸次縮径している。このように、部材130の内壁134(内面又は壁部ともいう)は、例えば、超音波振動子120がビーム230を発する方向(本実施の形態では、Z軸方向)に対して傾斜したテーパ状の面である傾斜部となっている。これにより、ビーム230は、部材130の内面で反射されて噴出口132の近傍で集束(集音)される。
【0027】
噴出口132は、液柱210を形成するように液体200を噴出するための開口である。
【0028】
なお、貫通孔131における下側の孔径(液体200が貫通孔131に導入される側の開口部)と、貫通孔131における上側の孔径(つまり、噴出口132の孔径)との比率は、特に限定されない。噴出口132の孔径が1mm程度の場合、液柱210の幅(液柱210の延在方向に直交する方向の長さ)は、1mm程度となる。
【0029】
また、貫通孔131及び噴出口132の開口の形状は、例えば、円形であるが、正方形、長方形、又は、楕円形等でもよい。
【0030】
部材130の噴出口132が設けられた側の端部133(より具体的には、端面)は、例えば、撥水性となっている。言い換えると、部材130における噴出口132の周囲の端部133は、撥水性となっている。例えば、端部133に撥水性を有する膜等のフッ化物等の材料が設けられてもよいし、部材130の端部133の表面が撥水性を有するように加工されていてもよい。或いは、部材130が撥水性を有するフッ化物等の材料で実現されてもよい。このように、部材130における噴出口132の周囲に位置する端部133は、撥水性を有する。つまり、部材130は、例えば、少なくとも部材130における噴出口132が形成されている側の端部133が撥水性を有する。
【0031】
また、例えば、部材130は、噴出口132の周囲に位置する端部133が気相部112に位置するように配置されている。つまり、部材130における噴出口132が形成されている側の端部133は、収容体110の気相部112に位置する。例えば、後述する供給部140は、端部133が液体200に浸らないように、液体200を収容体110に供給する。或いは、収容体110の上方に位置する開口よりも上部に端部133が位置するように部材130が収容体110に配置されていてもよい。
【0032】
部材130に採用される材料は、特に限定されない。例えば、部材130に採用される材料は、樹脂材料である。なお、部材130に採用される材料として、ビーム230を反射する反射性材料が採用されてもよい。
【0033】
供給部140は、液体200を収容体110に供給する給水部である。供給部140は、例えば、液体200の収容体110への供給/非供給を切り替えるための電磁バルブと、液体200が内部を通過する配管と、を備える。供給部140(より具体的には、供給部140が備える電磁バルブ)は、例えば、制御部150(より具体的には、供給制御部151)に制御されることで、上記した供給/非供給が切り替えられる。供給部140は、例えば、霧化装置100から噴霧されるミスト220の元となる液体200が貯蔵される図示しないタンク等と接続され、当該タンク等から供給される液体200を、供給制御部151に制御されて収容体110に供給/非供給を切り替え可能に供給する。
【0034】
制御部150は、霧化装置100の全体的な動作を制御する制御装置である。具体的には、制御部150は、超音波振動子120及び供給部140の動作を制御する。
【0035】
制御部150は、供給制御部151と、駆動制御部152と、を備える。
【0036】
供給制御部151は、供給部140の動作を制御するための処理部である。例えば、供給制御部151は、供給部140が備える電磁バルブを制御することで、供給部140に液体200を収容体110に供給させる。霧化装置100は、供給部140に液体200に供給させる液体200の供給量を制御するために、時間を計測するためにRTC(Real Time Clock)等の計時部、収容体110に収容されている液体200の量を測定するための水位センサ、又は、供給部140を流れる液体200の液量を測定するための流量計等の計測装置を備えてもよい。供給制御部151は、当該計測装置の計測結果に基づいて、供給部140を制御してもよい。例えば、供給制御部151は、端部133が液体200に浸らないように、供給部140に液体200を収容体110に供給させる。
【0037】
駆動制御部152は、超音波振動子120を発振動作(駆動)させる処理部である。具体的には、駆動制御部152は、超音波振動子120の1次の共振周波数よりも高次の共振周波数で超音波振動子120を発振動作させる。例えば、駆動制御部152は、超音波振動子120に電圧を印加するタイミング、電圧の大きさ、及び、周波数等を制御する。
【0038】
図3は、超音波振動子120のインピーダンス特性の一例を示す図である。例えば、図3に示すグラフの横軸は超音波振動子120に印加される電圧(例えば、交流電圧)の周波数であり、縦軸は印加された電圧の周波数における超音波振動子120のインピーダンスである。
【0039】
図3に示すように、例えば、超音波振動子120の1次の共振周波数は、2.5MHzである。また、例えば、超音波振動子120の3次の共振周波数は、8.2MHzである。また、例えば、超音波振動子120の5次の共振周波数は、13.7MHzである。このように、超音波振動子120は、複数の共振点を有する。
【0040】
図4は、液体200に印加される振動周波数に対するミスト220の粒径を示す図である。
【0041】
一般に、液体200に印加される振動周波数に対するミスト220の粒径は、下記の式(1)に示すLangの式で表される。
【0042】
【数1】
【0043】
なお、上記した式(1)において、dはミスト220の粒径であり、kは実験的に求められる比例係数であり、ρは液体200の密度であり、fは液体200に与えられる振動周波数であり、σは液体200の表面張力である。図4に示すグラフは、液体200が水である場合において、Langの式を用いたときにおける、液体200に与える周波数に対するミスト220の粒径を示す。
【0044】
図4に示すように、例えば、ミスト220の粒径を1.5μm以下とするためには、5MHz程度の周波数の振動を液体200に与える必要がある。そのため、例えば、駆動制御部152は、5MHzを超える高次の共振周波数で超音波振動子120を発振動作させる。
【0045】
これにより、駆動制御部152は、超音波振動子120を制御することで、液柱210を発生させて液柱210から粒径が1.5μm以下のミスト220を発生させることができる。
【0046】
また、例えば、1μmの粒径のミスト220を発生させるには、液体200に8.5MHz程度の周波数の振動を与える必要がある。そこで、駆動制御部152は、超音波振動子120の1次の共振周波数よりも高次(本実施の形態では、3次)の共振周波数で超音波振動子120を発振動作させる。具体的には、駆動制御部152は、超音波振動子120と部材130との並び方向に振動させる高次の共振周波数の電圧を超音波振動子120に印加することで、高次の共振周波数で超音波振動子120を振動させる。
【0047】
このように、駆動制御部152は、超音波振動子120を制御することで、液柱210を発生させて液柱210から粒径が1μm程度のミスト220を発生させる。
【0048】
制御部150は、例えば、マイクロコントローラ等で実現される。具体的には、制御部150は、超音波振動子120及び供給部140と通信するための通信インターフェース、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等で実現される。制御部150は、各動作を実行する専用の電子回路で実現されてもよい。また、制御部150は、例えば、コンバータ等を含む昇圧電源回路を備えてもよい。例えば、駆動制御部152は、商用電源等の図示しない外部電源から受けた電力に基づいて上記した超音波振動子120の高次の共振周波数の電圧を生成して、生成した電圧を超音波振動子120に印加することで、超音波振動子120を高次の共振周波数で振動させる。
【0049】
なお、霧化装置100は、さらに、ミスト220を空間に搬送する送風部を備えてもよい。送風部は、例えば、DC(Direct Current)ファン等の扇風機である。送風部は、収容体110の外方に向けて気流を発生させることで液柱210から発せられるミスト220を収容体110から離れる方向に搬送する。送風部が配置される位置は、収容体110の内部でもよいし収容体110の外部でもよく、特に限定されない。
【0050】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態1に係る霧化装置100は、複数の共振点を有する超音波振動子120と、超音波振動子120を発振動作させる駆動制御部152と、超音波振動子120が発するビーム230、及び、ビーム230を伝搬する液体200が通過し、液体200を柱状に噴出するための噴出口132を有する貫通孔131が設けられた部材130と、を備える。駆動制御部152は、超音波振動子120の1次の共振周波数よりも高次の共振周波数で超音波振動子120を発振動作させる。
【0051】
これによれば、駆動制御部152は、超音波振動子120が有する複数の共振点のうち高次の共振点、つまり、高次の共振周波数で超音波振動子120を発振動作させる。そのため、駆動制御部152は、例えば、ミスト220の粒径を1μm程度にするために要求される周波数で超音波振動子120を振動させることができる。また、部材130によれば、噴出口132のサイズを適切に設定することで、適切な径の液柱210が噴出される。部材130が設けられていないと、径の大きい液柱210が発生される。液柱210の径が大きくなると、液柱210内の単位体積当たりの振動エネルギーが小さくなる。これにより、ミスト220の発生量が著しく低下する、又は、液柱210からミスト220が発せられなくなる。そこで、部材130によって適切な径の液柱210が噴出口132から噴出されるようにすることで、液柱210の表面まで伝わる振動エネルギーを大きくする。これにより、ミスト220の発生量の低下が抑制される。以上のことから、霧化装置100によれば、ミスト220の粒径を適切なサイズに制御でき、且つ、ミスト220の発生量の低下を抑制できる。
【0052】
また、例えば、駆動制御部152は、5MHzを超える高次の共振周波数で超音波振動子120を発振動作させる。
【0053】
これによれば、例えば、液体200が水又は水溶液等であれば、図4に示すように、ミスト220の粒径を1μm程度に微細化できる。そのため、例えば、ミスト220の粒径が10μm以上である場合と比較して、ミスト220の拡散性を向上させることができ、また、空間に位置する菌及び悪臭ガス等との衝突確率を向上させることができる。
【0054】
また、例えば、霧化装置100は、さらに、液体200が収容される液相部111と、液体200が収容されない気相部112と、が設けられた収容体110を備える。例えば、部材130は、噴出口132の周囲に位置する端部133が気相部112に位置するように配置されている。
【0055】
これによれば、噴出口132から噴出された直後に液柱210が収容体110に収容されている液体200と接触することを防ぐことができるため、液柱210の径を適切なサイズにさらに設定しやすくできる。
【0056】
また、例えば、部材130における噴出口132の周囲に位置する端部133は、撥水性を有する。
【0057】
これによれば、霧化装置100がミスト220を発生させ続けても、端部133に液体200が付着することを抑制できる。端部133で液体200の付着(濡れ)が生じると、液柱210の直径が大きくなったり、液柱210の生成が不安定になる虞がある。これでは、ミスト220の発生量が低下する虞がある。そこで、端部133が撥水性を有することで、液柱210の径を安定化させることができるため、ミスト220の発生量が低下することをさらに抑制できる。
【0058】
[変形例]
続いて、実施の形態1に係る霧化装置の変形例について説明する。なお、以下で説明する変形例においては、実施の形態1に係る霧化装置100との差異点を中心に説明する。変形例の説明においては、実施の形態1に係る霧化装置100と実質的に同様の構成については、同様の符号を付し、説明を一部簡略化又は省略する場合がある。
【0059】
図5は、実施の形態1の変形例に係る霧化装置100aの構成を示す概略断面図である。
【0060】
霧化装置100aは、収容体110と、超音波振動子120と、部材130と、供給部140と、制御部150と、を備える。
【0061】
霧化装置100aでは、霧化装置100と異なり、部材130が傾いている。具体的には、部材130は、噴出口132の孔軸(本変形例では、貫通孔131の延在方向であって、貫通孔131の孔軸に平行な軸)が鉛直方向(本実施の形態では、Z軸方向)と交差するように、収容体110に配置されている。これにより、噴出口132から噴出される液柱210の延在方向は、鉛直方向と交差する。つまり、噴出口132は、液柱210の延在方向が鉛直方向と交差するように、部材130に設けられている。言い換えると、噴出口132は、噴出口132から噴出される柱状の液体200である液柱210の延在方向が鉛直方向と交差するように、部材130に設けられている。
【0062】
これによれば、液柱210には、液柱の210の自重がかかりにくくなる。例えば、液柱210の延在方向が鉛直方向に平行な方向であるとすると、液柱210における下側部分には、液柱210における上側部分重みが加わる。そのため、液柱210の延在方向が鉛直方向に平行な方向であるとすると、液柱210の自重によって液柱210が形成されにくくなる。このように、噴出口132から噴出された直後の勢いを失った液柱210が、自重、落下等のために元の噴出口132の付近に返ってくるため、液柱210の径性が不安定となり液柱210における霧化量が低下する。そこで、噴出口132を、液柱210の延在方向が鉛直方向と交差するように、部材130に設けることで、液柱210に液柱210の自重が加わりにくくできる。これにより、液柱210が形成されやすくなる。
【0063】
なお、本変形例では、部材130が実施の形態1に係る霧化装置100に対して傾けられて収容体110に配置されているが、噴出口132が、液柱210の延在方向が鉛直方向と交差するように、部材130に設けられていればよい。例えば、部材は、孔軸が鉛直方向と平行である貫通孔と、当該貫通孔と連通し且つ孔軸が鉛直方向と交差する噴出口と、を有してもよい。具体的には、部材は、実施の形態1に係る部材130の姿勢において、噴出口132の孔軸が貫通孔131の孔軸に対して交差するように形成されていてもよい。
【0064】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2に係る霧化装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態2においては、実施の形態1に係る霧化装置100との差異点を中心に説明する。実施の形態2の説明においては、実施の形態1に係る霧化装置100と実質的に同様の構成については、同様の符号を付し、説明を一部簡略化又は省略する場合がある。
【0065】
[構成]
図6は、実施の形態2に係る霧化装置101の構成を示す概略断面図である。
【0066】
霧化装置101は、収容体110と、超音波振動子120と、部材130と、供給部140と、制御部150と、集音部160と、を備える。このように、霧化装置101は、霧化装置100の構成に加えて、さらに、集音部160を備える。
【0067】
集音部160は、超音波振動子120が発した音波(ビーム230)が入射され、入射されたビーム230を、貫通孔131を通過させて所定の焦点240に集束させる音響レンズである。つまり、所定の焦点240は、集音部160の焦点である。
【0068】
ここで、所定の焦点240は、(i)噴出口132に位置する、又は、(ii)集音部160から見て噴出口132よりも遠方に位置する。
【0069】
本実施の形態では、集音部160は、超音波振動子120と部材130との間に位置し、入射されたビーム230を透過して出射する透過型の音響レンズである。集音部160におけるビーム230を出射する出射面170は、凹状である。出射面170と対向する位置に、部材130が配置されている。
【0070】
本実施の形態では、集音部160においてビーム230が入射される入射面は、超音波振動子120と接触して配置されている。これにより、超音波振動子120と集音部160との間でビーム230の干渉による減衰、及び、キャビテーションによって生じる微細な気泡の発生を抑制できる。
【0071】
集音部160のサイズは、任意でよい。例えば、集音部160は、超音波振動子120から出射されたビーム230の進行方向に沿ってみた場合に、超音波振動子120を覆い、且つ、超音波振動子120と同サイズ又は超音波振動子120より大きい。
【0072】
図7は、噴出口132の径W1とビーム径W2との関係を説明するための図である。
【0073】
噴出口132の径W1は、集音部160に集束されたビーム230のビーム径W2よりも大きい。具体的には、噴出口132の径W1は、集音部160に集束されたビーム230の所定の焦点240におけるビーム径W2よりも大きい。つまり、所定の焦点240では、ビーム230は、噴出口132の径W1よりビーム径W2が小さくなるように集束される。言い換えると、集音部160は、ビーム230の所定の焦点240におけるビーム径W2が噴出口132の径W1よりも小さくなるように形成されている。なお、ビーム径W2は、W2=a×λ/D×Fで算出される。aは任意の数値である比例係数であり、λはビーム230の波長であり、Dは超音波振動子120の直径であり、Fは集音部160の焦点距離である。
【0074】
また、例えば、噴出口132の径W1は、ビーム径W2の10倍以下である。具体的には、例えば、噴出口132の径W1は、ビーム径W2よりも大きく、且つ、ビーム径W2の10倍以下である。より具体的には、噴出口132の径W1は、所定の焦点240において、ビーム径W2よりも大きく、且つ、ビーム径W2の10倍以下である。
【0075】
また、例えば、部材130は、部材130の内壁134が、言い換えると、部材130における貫通孔131を形成する内壁134が、集音部160におけるビーム230を出射する表面(つまり、出射面170)から、所定の焦点240に至るまでに集束するビーム230の経路外に位置するように配置されている。つまり、超音波振動子120、部材130、及び、集音部160は、集音部160におけるビーム230を出射する出射面170から、所定の焦点240に至るまで、ビーム230が部材130に接触しないように、形状及び配置等が設定されている。
【0076】
例えば、駆動制御部152は、超音波振動子120と集音部160との並び方向に振動させる高次の共振周波数の電圧を超音波振動子120に印加することで、高次の共振周波数で超音波振動子120を振動させる。これにより、超音波振動子120からは、集音部160に向けてビーム230が発せられる。超音波振動子120から発せられたビーム230は、所定の焦点240で集束されるように、集音部160を透過して出射される。集音部160から出射されたビーム230は、部材130の内壁134に接触しないように、貫通孔131及び噴出口132を通過する。これにより、液柱210には、部材130の内壁134で反射することによる振動エネルギーの損失が抑制され、且つ、集音部160によって集音されたビーム230が伝達される。
【0077】
集音部160に採用される材料は、ビーム230に対して透過性(例えば、ビーム230を70%以上透過する性質)を有していればよく、特に限定されない。集音部160に採用される材料は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂材料である。
【0078】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態2に係る霧化装置101は、実施の形態1に係る霧化装置100と同様に、超音波振動子120と、駆動制御部152と、噴出口132を有する貫通孔131が設けられた部材130と、を備える。また、霧化装置101は、さらに、超音波振動子120が発したビーム230が入射され、貫通孔131を通過させて所定の焦点240に集束させるように、入射されたビーム230を出射する集音部160を備える。所定の焦点240は、(i)噴出口132に位置する、又は、(ii)集音部160から見て噴出口132よりも遠方に位置する。
【0079】
これによれば、超音波振動子120から発せられたビーム230は、液柱210が形成される位置で集束される。これにより、ビーム230の振動エネルギーを適切に液柱210に伝達できる。そのため、液柱210からミスト220をさらに発生させやすくできる。
【0080】
また、例えば、集音部160は、超音波振動子120と部材130との間に位置し、入射されたビーム230を透過して出射する。
【0081】
このように、集音部160は、ビーム230を透過して集束させる透過型の音響レンズで実現されてもよい。これによれば、集音部160は、簡便な構成でビーム230を集束させることができる。
【0082】
また、例えば、集音部160におけるビーム230を出射する出射面170は、凹状である。
【0083】
これによれば、集音部160における超音波振動子120と対向する面がビーム230の進行方向に対して直交するように、集音部160を配置しても、ビーム230を集束させることができる。本実施の形態では、集音部160は、集音部160における超音波振動子120と対向する面がビーム230の進行方向に対して直交するように、超音波振動子120と接触するように配置されている。これにより、超音波振動子120と集音部160との間でのビーム230の干渉が抑制される。そのため、ビーム230の干渉による気泡の発生等による、ビーム230の振動エネルギーの低下が抑制される。
【0084】
また、例えば、噴出口132の径W1は、集音部160に集束されたビーム230のビーム径W2よりも大きい。
【0085】
これによれば、ビーム230を部材130と接触させずに部材130に設けられた貫通孔131及び噴出口132を通過させることができる。そのため、部材130によってビーム230の振動エネルギーを低下させることなく、ビーム230の振動エネルギーを液柱210に伝達させることができる。
【0086】
また、例えば、噴出口132の径W1は、集音部160に集束されたビーム230のビーム径W2の10倍以下である。
【0087】
液柱210の径は、噴出口132の径W1に依存する。例えば、噴出口132の径W1を大きくすると、液柱210の径も大きくなる。ここで、噴出口132の径W1がビーム径W2よりも大きすぎると、ビーム230の振動エネルギーが液柱210(より具体的には、液柱210の表面)に伝達しにくい。そこで、噴出口132の径W1をビーム径W2の10倍以下にすることで、ビーム230の振動エネルギーを適切に液柱210に伝達させることができる。
【0088】
また、例えば、部材130は、部材130の内壁134が、集音部160におけるビーム230を出射する表面(出射面170)から、所定の焦点240に至るまでに集束するビーム230の経路外に位置するように配置されている。
【0089】
これによれば、ビーム230を部材130と接触させずに部材130に設けられた貫通孔131及び噴出口132を通過させることができる。そのため、部材130によってビーム230の振動エネルギーを低下させることなく、ビーム230の振動エネルギーを液柱210に伝達させることができる。
【0090】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3に係る霧化装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態3においては、実施の形態1に係る霧化装置100又は実施の形態2に係る霧化装置101との差異点を中心に説明する。実施の形態3の説明においては、実施の形態1に係る霧化装置100又は実施の形態2に係る霧化装置101と実質的に同様の構成については、同様の符号を付し、説明を一部簡略化又は省略する場合がある。
【0091】
[構成]
図8は、実施の形態3に係る霧化装置102の構成を示す概略断面図である。
【0092】
霧化装置102は、収容体110と、超音波振動子120と、部材130と、供給部140と、制御部150と、集音部161と、を備える。このように、霧化装置102は、霧化装置100の構成に加えて、さらに、集音部161を備える。
【0093】
集音部161は、超音波振動子120が発した音波(ビーム230)が入射され、入射されたビーム230を、貫通孔131を通過させて所定の焦点240に集束させる音響レンズである。つまり、所定の焦点240は、集音部161の焦点である。
【0094】
ここで、所定の焦点240は、(i)噴出口132に位置する、又は、(ii)集音部161から見て噴出口132よりも遠方に位置する。
【0095】
本実施の形態では、集音部161は、入射されたビーム230を反射することで出射するビーム230に対する反射性を有する部材(つまり、反射型の音響レンズ)である。集音部161におけるビーム230を反射する反射面171は、放物面(放物面状)である。
【0096】
以下、図8とともに図7もあわせて参照しながら、噴出口132の径W1とビーム径W2との関係について説明する。
【0097】
噴出口132の径W1は、集音部161に集束されたビーム230のビーム径W2よりも大きい。具体的には、噴出口132の径W1は、集音部161に集束されたビーム230の所定の焦点240におけるビーム径W2よりも大きい。つまり、所定の焦点240では、ビーム230は、噴出口132の径W1よりビーム径W2が小さくなるように集束される。言い換えると、集音部161は、ビーム230の所定の焦点240におけるビーム径W2が噴出口132の径W1よりも小さくなるように形成されている。なお、ビーム径W2は、W2=a×λ/D×Fで算出される。aは任意の数値である比例係数であり、λはビーム230の波長であり、Dは超音波振動子120の直径であり、Fは集音部161の焦点距離である。
【0098】
また、例えば、噴出口132の径W1は、ビーム径W2の10倍以下である。具体的には、例えば、噴出口132の径W1は、ビーム径W2よりも大きく、且つ、ビーム径W2の10倍以下である。より具体的には、噴出口132の径W1は、所定の焦点240において、ビーム径W2よりも大きく、且つ、ビーム径W2の10倍以下である。
【0099】
また、例えば、部材130は、部材130の内壁134が、言い換えると、部材130における貫通孔131を形成する内壁134が、集音部161におけるビーム230を出射する表面(つまり、反射面171)から、所定の焦点240に至るまでに集束するビーム230の経路外に位置するように配置されている。つまり、超音波振動子120、部材130、及び、集音部161は、集音部161におけるビーム230を反射する反射面171から、所定の焦点240に至るまで、ビーム230が部材130に接触しないように、形状及び配置等が設定されている。
【0100】
例えば、駆動制御部152は、超音波振動子120と集音部161との並び方向に振動させる高次の共振周波数の電圧を超音波振動子120に印加することで、高次の共振周波数で超音波振動子120を振動させる。これにより、超音波振動子120からは、集音部161に向けてビーム230が発せられる。超音波振動子120から発せられたビーム230は、所定の焦点240で集束されるように、集音部161で反射されることで集音部161から出射される。集音部161から出射されたビーム230は、部材130の内壁134に接触しないように、貫通孔131及び噴出口132を通過する。これにより、液柱210には、部材130の内壁134で反射することによる振動エネルギーの損失が抑制され、且つ、集音部161によって集音されたビーム230が伝達される。
【0101】
集音部161に採用される材料は、ビーム230に対して反射性(例えば、ビーム230を90%以上反射する性質)を有していればよく、特に限定されない。集音部161に採用される材料は、例えば、ステンレス鋼(stainless steel/SUS)等の金属材料であるが、特に限定されない。
【0102】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態3に係る霧化装置102は、実施の形態1に係る霧化装置100と同様に、超音波振動子120と、駆動制御部152と、噴出口132を有する貫通孔131が設けられた部材130と、を備える。また、霧化装置102は、さらに、超音波振動子120が発したビーム230が入射され、貫通孔131を通過させて所定の焦点240に集束させるように、入射されたビーム230を出射する集音部161を備える。所定の焦点240は、(i)噴出口132に位置する、又は、(ii)集音部161から見て噴出口132よりも遠方に位置する。
【0103】
これによれば、超音波振動子120から発せられたビーム230は、液柱210が形成される位置で集束される。これにより、ビーム230の振動エネルギーを適切に液柱210に伝達できる。そのため、液柱210からミスト220をさらに発生させやすくできる。
【0104】
また、例えば、集音部161は、入射されたビーム230を反射することで出射する。
【0105】
このように、集音部161は、ビーム230を反射して集束させる反射型の音響レンズで実現されてもよい。これによれば、集音部161は、簡便な構成でビーム230を集束させることができる。
【0106】
また、例えば、集音部161における入射されたビーム230を反射する反射面171は、放物面である。
【0107】
これによれば、集音部161における超音波振動子120と対向する面がビーム230の進行方向に対して直交するように、集音部161を配置しても、ビーム230を集束させることができる。本実施の形態では、集音部161は、集音部161における超音波振動子120と対向する面がビーム230の進行方向に対して直交するように、超音波振動子120と接触するように配置されている。これにより、超音波振動子120と集音部161との間でのビーム230の干渉が抑制される。そのため、ビーム230の干渉による気泡の発生等による、ビーム230の振動エネルギーの低下が抑制される。
【0108】
また、例えば、噴出口132の径W1は、集音部161に集束されたビーム230のビーム径W2よりも大きい。
【0109】
これによれば、ビーム230を部材130と接触させずに部材130に設けられた貫通孔131及び噴出口132を通過させることができる。そのため、部材130によってビーム230の振動エネルギーを低下させることなく、ビーム230の振動エネルギーを液柱210に伝達させることができる。
【0110】
また、例えば、噴出口132の径W1は、集音部161に集束されたビーム230のビーム径W2の10倍以下である。
【0111】
液柱210の径は、噴出口132の径W1に依存する。例えば、噴出口132の径を大きくすると、液柱210の径も大きくなる。ここで、噴出口132の径W1がビーム径W2よりも大きすぎると、ビーム230の振動エネルギーが液柱210(より具体的には、液柱210の表面)に伝達しにくい。そこで、噴出口132の径W1をビーム径W2の10倍以下にすることで、ビーム230の振動エネルギーを適切に液柱210に伝達させることができる。
【0112】
また、例えば、部材130は、部材130の内壁134が、集音部161におけるビーム230を出射する表面(反射面171)から、所定の焦点240に至るまでに集束するビーム230の経路外に位置するように配置されている。
【0113】
これによれば、ビーム230を部材130と接触させずに部材130に設けられた貫通孔131及び噴出口132を通過させることができる。そのため、部材130によってビーム230の振動エネルギーを低下させることなく、ビーム230の振動エネルギーを液柱210に伝達させることができる。
【0114】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る霧化装置について、上記の各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の各実施の形態に限定されるものではない。
【0115】
例えば、上記の各実施の形態では、部材130の外観形状は、筒状であるが、これに限定されない。部材130は、貫通孔131及び噴出口132が設けられていればよく、外観形状が板状等、任意の形状でよい。
【0116】
また、例えば、液体200は、加湿又は冷却するための水道水でもよいし、殺菌等の効果を有する次亜塩素酸を含む水性の液体でもよいし、香料等を含む油性の液体等でもよい。
【0117】
また、例えば、制御部150は、RTC等の時間を計測するための計時部をさらに備えてもよい。例えば、制御部150は、予め任意に定められた時刻に、ミスト220を発生させてもよい。
【0118】
また、例えば、実施の形態2に係る霧化装置101又は実施の形態3に係る霧化装置102の変形例として、実施の形態1の変形例に係る霧化装置100aのように、部材130を傾くようにしてもよい。具体的には、実施の形態2に係る霧化装置101又は実施の形態3に係る霧化装置102の構成において、さらに、部材130を、噴出口132の孔軸が鉛直方向と交差するように、収容体110に配置してもよい。これにより、液柱210が形成されやすくなるという効果をさらに享受することができる。
【0119】
また、上記の各実施の形態において、供給制御部151及び駆動制御部152等の制御部150の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0120】
また、制御部150の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0121】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0122】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。或いは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0123】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
100、100a、101、102 霧化装置
110 収容体
111 液相部
112 気相部
120 超音波振動子
130 部材
131 貫通孔
132 噴出口
133 端部
134 内壁
152 駆動制御部
160、161 集音部
170 出射面
171 反射面
200 液体
210 液柱
220 ミスト
230 ビーム
240 所定の焦点
W1 径
W2 ビーム径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8