(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】機器制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/185 20200101AFI20241206BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241206BHJP
H04L 12/10 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H05B47/185
H02J1/00 304C
H04L12/10
(21)【出願番号】P 2021025969
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】和田 学
(72)【発明者】
【氏名】中城 明
(72)【発明者】
【氏名】松田 勇介
(72)【発明者】
【氏名】吉本 裕司
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231440(JP,A)
【文献】特開2019-216403(JP,A)
【文献】特開2004-147063(JP,A)
【文献】特開2016-054583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/185
H02J 1/00
H04L 12/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PoE(Power
over Ethernet(登録商標))をベースとした機器制御システムであって、
PoEにおけるPSE(Power Sourcing Equipment)に相当する給電機器であって、複数の接続ポートを有する給電機器と、
前記複数の接続ポートの1つに第一ケーブルを介して接続され、前記給電機器から前記第一ケーブルを介して電力供給を受けるアダプタとを備え、
前記アダプタは、機器へ電力を供給するための接続構造を有し、前記接続構造に接続された機器を受電機器として動作させ
、
前記アダプタは、前記アダプタが前記給電機器から前記第一ケーブルを介して受信した第一制御信号を第二制御信号に変換する信号変換回路をさらに有し、
前記接続構造は、前記第二制御信号を前記機器へ出力するためのものであり、
第一制御信号は、Ethernet(登録商標)に準拠した制御信号であり、
第二制御信号は、PWM信号、または、DALI(登録商標)(Digital Addressable Lighting Interface)に準拠した制御信号である
機器制御システム。
【請求項2】
前記アダプタは、前記給電機器から前記第一ケーブルを介して供給される電力を変換する電力変換回路をさらに有し、
前記接続構造は、前記変換によって得られる電力を前記機器へ供給するためのものである
請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記接続構造は、第二ケーブルが挿入される速結端子であり、
前記接続構造には、前記第二ケーブルを介して前記機器が接続される
請求項
1または2に記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記アダプタは、器具本体と前記器具本体に着脱される光源ユニットとを有する照明システムの前記器具本体であり、
前記機器は、前記光源ユニットであり、
前記接続構造は、前記光源ユニットが有する口金に対応する端子構造を有する
請求項
1または2に記載の機器制御システム。
【請求項5】
前記接続構造は、配線ダクトである
請求項
1または2に記載の機器制御システム。
【請求項6】
前記接続構造は、配線ダクトに接続されるプラグである
請求項
1または2に記載の機器制御システム。
【請求項7】
前記アダプタは、
前記第一ケーブルが接続され、前記給電機器から前記第一ケーブルを介して直流電力が入力される第一入力部と、
交流電源から交流電力が入力される第二入力部とを有し、
前記接続構造は、前記接続構造に接続された前記機器に、前記直流電力に基づく電力、及び、前記交流電力に基づく電力の両方を供給可能である
請求項1~
6のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項8】
前記機器は、照明機器である
請求項1~
7のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PoE(Power over Ethernet(登録商標))をベースとした機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
PoEは、イーサネット(登録商標)の規格に準拠した標準ケーブルを通じて、給電機器が受電機器に対してデータの送受信と電力供給とを並行して行うことができる技術である。PoEを利用すれば、電源の確保が困難な場所へも受電機器を設置することができ、また、電源配線に関するコストの削減が可能である。近年PoEにおいて供給可能な電力が増強されており、受電機器として使用できる機器の幅は拡大している。特許文献1には、PoEに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、給電機器に接続できない機器を制御することができる機器制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る機器制御システムは、複数の接続ポートを有する給電機器と、前記複数の接続ポートの1つに第一ケーブルを介して接続され、前記給電機器から前記第一ケーブルを介して電力供給を受けるアダプタとを備え、前記アダプタは、機器へ電力を供給するための接続構造を有し、前記接続構造に接続された機器を受電機器として動作させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の機器制御システムは、給電機器に接続できない機器を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る機器制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、アダプタ及び照明機器の具体例1を示す図である。
【
図3】
図3は、アダプタ及び照明機器の具体例2を示す図である。
【
図5】
図5は、アダプタ及び照明機器の具体例3を示す図である。
【
図6】
図6は、入力部の配置の変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、アダプタ本体の配置の変形例を示す図である。
【
図8】
図8は、アダプタ及び照明機器の具体例4を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例1に係るアダプタの機能構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、変形例2に係るアダプタの機能構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、変形例3に係るアダプタの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0009】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0010】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る機器制御システムの概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る機器制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【0011】
実施の形態1に係る機器制御システム10は、PoEの仕組みを利用して対象の機器を制御するPoEシステム(PoEをベースとしたシステム)である。機器制御システム10は、給電機器20(PSE:Power Sourcing Equipment)と、照明機器30と、アダプタ40と、照明機器50とを備える。照明機器30、及び、アダプタ40は、PoEシステムにおける受電機器(PD:Powered Device)である。なお、受電機器は、空調機器、カメラ、音響機器(スピーカ)、映像機器、防災機器、センサ、または、ユーザインターフェース機器などであってもよい。
【0012】
給電機器20は、複数の接続ポート21と、給電制御部22と、記憶部23とを備える。複数の接続ポート21は、イーサネット(登録商標)の規格に準拠した標準ケーブル70が接続される接続構造であり、具体的には、RJ-45型のコネクタである。標準ケーブル70は、具体的には、いわゆるLAN(Local Area Network)ケーブルなどである。接続ポート21には、標準ケーブル70を介して受電機器が電気的に接続される。受電機器(照明機器30、及び、アダプタ40)は、標準ケーブル70を介して給電機器20から電力の供給を受けるとともに、標準ケーブル70を介して給電機器20と通信を行うことができる。
【0013】
給電制御部22は、接続ポート21に接続された受電機器への電力供給を行う。また、給電制御部22は、接続ポート21に接続された受電機器へ標準ケーブル70を介して第一制御信号を送信することにより、当該受電機器を制御する。給電制御部22は、具体的には、マイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現され、給電機器20に内蔵される。給電制御部22の機能は、例えば、給電制御部22を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサが記憶部23に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0014】
記憶部23は、上記コンピュータプログラム、及び、受電機器へ電力供給を行うために必要な各種情報などが記憶される記憶装置である。記憶部23は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0015】
照明機器30は、複数の接続ポート21の1つに標準ケーブル70を介して接続され、給電機器20から標準ケーブル70を介して電力供給を受けることによって動作する。照明機器30は、例えば、室内空間を照明する照明機器であり、より具体的には、ベースライト、システム天井用照明、ダウンライト、または、スポットライトなどである。照明機器30の具体的態様は特に限定されない。照明機器30の光源には、例えば、LED(Light Emitting Diode)または有機EL(Electro Luminescence)などの発光素子が用いられる。
【0016】
アダプタ40は、標準ケーブル70が接続できない(つまり、給電機器20に接続できない)機器を、受電機器として動作させるための機器である。アダプタ40は、複数の接続ポート21の1つに標準ケーブル70を介して接続され、給電機器20から標準ケーブル70を介して電力供給を受けることができる。アダプタ40は、具体的には、入力部41と、PDインターフェース42と、電力変換回路43と、信号変換回路44と、接続構造45とを有する。
【0017】
入力部41は、標準ケーブル70が接続される接続構造であり、具体的には、RJ-45型のコネクタである。アダプタ40は、入力部41を有することにより、複数の接続ポート21の1つに標準ケーブル70を介して接続される。
【0018】
PDインターフェース42は、電力クラス分類処理などの電力に関する処理を行うためのインターフェース部である。PDインターフェース42は、例えば、マイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現される。PDインターフェース42の機能は、マイクロコンピュータまたはプロセッサが、内蔵または外付けメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0019】
電力変換回路43は、給電機器20から標準ケーブル70を介して供給される電力を、照明機器50(接続構造45に接続される機器)に適した電力に変換して出力する。給電機器20から供給される電力は直流電力であり、照明機器50に適した電力は、直流電力である場合もあるし、交流電力である場合もある。電力変換回路43は、DC-DCコンバータ回路、及び、インバータ回路などによって実現される。なお、アダプタ40が電力変換回路43を有することは必須ではなく、給電機器20から供給される電力を照明機器50にそのまま供給できる場合には、アダプタ40は電力変換回路43を備えていなくてもよい。
【0020】
信号変換回路44は、アダプタ40が給電機器20から標準ケーブル70を介して受信した第一制御信号を、照明機器50に適した形式の第二制御信号に変換する。第一制御信号は、例えば、Ethernet(登録商標)に準拠した制御信号であり、第二制御信号は、例えば、PWM信号、または、DALI(登録商標)(Digital Addressable Lighting Interface)に準拠した制御信号などである。なお、アダプタ40が信号変換回路44を有することは必須ではなく、照明機器50が給電機器20から供給される電力に応じて点灯及び消灯のみを行うような場合には、アダプタ40は信号変換回路44を備えていなくてもよい。
【0021】
接続構造45は、照明機器50が接続される接続構造であり、入力部41とは異なる形状及び大きさの構造である。接続構造45には、照明機器50が直接的に接続される場合と、照明機器50が間接的に接続される場合とがある。照明機器50が間接的に接続される場合とは、例えば、照明機器50用の電源装置、または、照明機器50用のケーブルなどが接続構造45に接続される場合である。接続構造45の具体例については後述する。
【0022】
照明機器50は、PDインターフェースを有していない機器であり、標準ケーブル70が接続できない(つまり、給電機器20に直接接続できない)機器である。照明機器50は、例えば、室内空間を照明する照明機器であり、より具体的には、ベースライト、システム天井用照明、ダウンライト、または、スポットライトなどである。照明機器50の具体的態様は特に限定されない。照明機器50の光源には、例えば、LEDまたは有機ELなどの発光素子が用いられる。
【0023】
なお、アダプタ40(接続構造45)に接続される機器は、照明機器50に限定されない。アダプタ40に接続される機器は、空調機器、カメラ、音響機器(スピーカ)、映像機器、防災機器、または、センサなどであってもよい。
【0024】
以上説明したように、機器制御システム10は、アダプタ40を備えることにより、給電機器20に接続できない(標準ケーブル70の差込口がない)照明機器50を制御することができる。
【0025】
[アダプタ及び照明機器の具体例1]
次に、アダプタ40及び照明機器50の具体例1について説明する。
図2は、アダプタ40及び照明機器50の具体例1を示す図である。
【0026】
図2に示される照明機器50aは、電源装置51aと、照明機器本体52aとを備える。電源装置51aは、速結端子51a1を有し、速結端子51a1には、通常は商用電源から電力供給を受けるための電源ケーブルが挿入される。電源装置51aは、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して出力する。照明機器本体52aは、ダウンライトであり、電源装置51aとケーブル72によって接続される。照明機器本体52aは、電源装置51aから出力される直流電力によって動作する。
【0027】
図2に示されるアダプタ40aは、このような照明機器50aを機器制御システム10に組み込むために、入力部41と、接続構造45としての速結端子45aとを有する。ケーブル71の一端は、速結端子45aに挿入され、ケーブル71の他端は、速結端子51a1に挿入される。アダプタ40aが備える電力変換回路43(
図2に図示せず)は、商用電源と実質的に同一の交流電力を出力し、この交流電力は、速結端子45a及びケーブル71を介して電源装置51aに供給される。これにより、アダプタ40aは、通常は商用電源からの電力供給によって動作する照明機器50aを、給電機器20からの給電により動作させることができる。
【0028】
なお、速結端子45a及び速結端子51a1に第二制御信号を伝送するための制御端子が含まれる場合には、信号変換回路44によって出力される第二制御信号により、照明機器50aを制御することもできる。
【0029】
[アダプタ及び照明機器の具体例2]
次に、アダプタ40及び照明機器50の具体例2について説明する。
図3は、アダプタ40及び照明機器50の具体例2を示す図である。
【0030】
図3に示される照明機器50bは、器具本体と、器具本体に着脱される光源ユニットによって構成されるダウンライト(照明システムの一例)の光源ユニットに相当する。照明機器50bは、口金51bを有する。なお、照明機器50bは、回動されることによってアダプタ40bに装着されるが、押し入れられるだけでアダプタ40bに装着されてもよく、照明機器50bのアダプタ40bへの装着方法(着脱方法)は特に限定されない。
【0031】
図3に示されるアダプタ40bは、器具本体と、器具本体に着脱される光源ユニットによって構成されるダウンライトの器具本体に相当し、器具本体と同様の構造を有する。照明機器50bを機器制御システム10に組み込むために、アダプタ40bは、入力部41と、接続構造45としての端子構造45bを有する。端子構造45bは、口金51bに対応する構造を有する。
【0032】
なお、口金51bは、具体的には、GH76p型の口金であり、
図4に示されるように、一対の電源端子51b1と、一対の制御端子51b2と、アース端子51b3と、放熱プレート51b4とを含む。
図4は、口金51bの具体的構造を示す図である。
【0033】
端子構造45bは、このようなGH76p型の口金に対応する構造を有する。アダプタ40bが備える電力変換回路43(
図3に図示せず)は、照明機器50bに適した電力を出力し、信号変換回路44(
図3に図示せず)は、照明機器50bに適した第二制御信号を出力する。出力された電力及び出力された第二制御信号は、端子構造45bを介して照明機器50bに供給される。これにより、アダプタ40bは、照明機器50bを、給電機器20からの給電により動作させることができる。
【0034】
なお、照明機器50bは、一般ユーザによってアダプタ40bに着脱されるが、照明機器50b自体に入力部41が設けられていないことにより、一般ユーザは、標準ケーブル70を照明機器50bに挿入する必要はない。つまり、一般ユーザは、照明機器50bをアダプタ40bに簡単に着脱できる。また、照明機器50b自体に入力部41が設けられていないことにより、放熱プレート51b4の全面を放熱に用いることができる利点もある。
【0035】
[アダプタ及び照明機器の具体例3]
次に、アダプタ40及び照明機器50の具体例3について説明する。
図5は、アダプタ40及び照明機器50の具体例3を示す図である。
【0036】
図5に示される照明機器50cは、スポットライトであり、商用電源に接続された配線ダクト(ダクトレールなどと呼ばれる場合もある)に接続され、当該配線ダクトから電力の供給を受けて動作する。
【0037】
図5に示されるアダプタ40cは、このような照明機器50cを機器制御システム10に組み込むために、アダプタ本体46cと、接続構造45としての配線ダクト45cとを有する。アダプタ本体46cは、入力部41、PDインターフェース42、電力変換回路43、及び、信号変換回路44(いずれも
図5に図示せず)が筐体に収容されることによって構成される。
【0038】
アダプタ本体46cが備える電力変換回路43は、配線ダクト45cを介して照明機器50cへ商用電源と同等の電力を供給することができる。これにより、アダプタ40cは、商用電源に接続された配線ダクトからの電力供給によって動作する照明機器50cを、給電機器20からの給電により動作させることができる。配線ダクト45cに第二制御信号を伝送するための制御端子が含まれる場合には、信号変換回路44によって出力される第二制御信号により、照明機器50cを制御することもできる。
【0039】
図5では、入力部41は、アダプタ本体46cの端面(長手方向の端部)に設けられているが、
図6に示されるように、アダプタ本体46cの上面に設けられてもよい。
図6は、入力部41の配置の変形例を示す図である。このように、入力部41の配置については特に限定されない。
【0040】
また、
図5では、アダプタ本体46cは、配線ダクト45cの端面(長手方向の端部)に接続されているが、
図7に示されるように、配線ダクト45cの上面に設けられてもよい。
図7は、アダプタ本体46cの配置の変形例を示す図である。このように、アダプタ本体46cの配置については特に限定されない。
【0041】
なお、アダプタ40cは、配線ダクト45cに接続できる照明機器50c以外の他の機器を、給電機器20からの給電により動作させることもできる。配線ダクト45cに接続できる他の機器は、例えば、カメラ、音響機器(スピーカ)、映像機器、防災機器、センサ、無線LANルータ、または、Bluetooth(登録商標)モジュールなどである。
【0042】
[アダプタの具体例4]
次に、アダプタ40の具体例4について説明する。
図8は、アダプタ40及び照明機器50の具体例4を示す図である。
【0043】
図8に示されるアダプタ40dは、接続構造45として、アダプタ40dとは別体の配線ダクト80に接続されるプラグ45d(ソケットなどと呼ばれる場合もある)を有する。配線ダクト80は、商用電源などの他の電源には接続されていない。プラグ45dが配線ダクト80に接続されれば、アダプタ40dが備える電力変換回路43は、配線ダクト80を介して、配線ダクト80に接続可能な機器(上述した照明機器50cなど)に電力を供給することができる。つまり、アダプタ40dは、配線ダクト80に接続可能な機器を、給電機器20からの給電により動作させることができる。プラグ45d及び配線ダクト80に第二制御信号を伝送するための制御端子が含まれる場合には、信号変換回路44によって出力される第二制御信号により、配線ダクト80に接続可能な機器を制御することもできる。
【0044】
[アダプタの変形例1]
なお、アダプタ40には、給電機器20が出力する第一制御信号及び電力だけでなく、商用電源が出力する交流電力、及び、外部装置が出力する制御信号などが入力されてもよい。
図9は、このような変形例1に係るアダプタの機能構成を示すブロック図である。
【0045】
変形例1に係るアダプタ40eは、第一入力部41eと、第二入力部42eと、内部回路43eと、接続構造45eとを備える。
【0046】
第一入力部41eは、標準ケーブル70が接続される接続構造であり、具体的には、RJ-45型のコネクタである。第一入力部41eには、給電機器20から36-57Vの直流電力と、第一制御信号が入力される。
【0047】
第二入力部42eは、第一入力部41eとは異なる任意の接続構造である。第二入力部42eには、100-242Vの交流電力が入力されるAC端子、外部装置が出力する制御信号が入力される制御端子、及び、アース端子が含まれる。
【0048】
内部回路43eは、PoE変換回路、信号変換回路、PDインターフェース、及び、電力変換回路を含む。
【0049】
接続構造45eは、第一入力部41eとは異なる任意の接続構造である。接続構造45eには、内部回路43eによって処理された電力が出力される電源端子、内部回路43eによって処理された第二制御信号が出力される制御端子、及び、アース端子が含まれる。接続構造45eの具体的な構造(機構的な構造)としては、例えば、上記実施の形態で説明したアダプタ40a~40dが備える接続構造のいずれかが採用される。
【0050】
まず、第一入力部41eに給電機器20が接続される場合の内部回路43eの処理について説明する。PoE変換回路は、第一制御信号を信号変換回路に出力し、36-57Vの直流電力をPDインターフェースに出力する。信号変換回路は、第一制御信号を第二制御信号に変換し、接続構造45eの制御端子に出力する。PDインターフェースは、36-57Vの直流電力をそのまま接続構造45eの電源端子に出力する。
【0051】
この結果、第一入力部41eに給電機器20が接続されている場合には、接続構造45eの電源端子には36-57Vの直流電力が出力され、接続構造45eの制御端子には、第二制御信号(PWM信号、または、DALI(登録商標)に準拠した制御信号など)が出力される。
【0052】
次に、第二入力部42eに商用電源及び外部装置が接続される場合の内部回路43eの処理について説明する。電力変換回路は、例えば、AC/DCバックコンバータであり、第二入力部42eのAC端子に入力された100-242Vの交流電力を36-57Vの直流電力に変換し、接続構造45eの電源端子に出力する。第二入力部42eの制御端子には、外部装置から第二制御信号が入力され、第二制御信号はそのまま接続構造45eの制御端子に出力される。
【0053】
このように、アダプタ40eは、第一入力部41eに給電機器20が接続される場合、及び、第二入力部42eに商用電源及び外部装置が接続される場合のいずれも、36-57Vの直流電力と、第二制御信号とを出力することができる。つまり、接続構造45eは、接続構造45eに接続された機器に、直流電力に基づく電力、及び、交流電力に基づく電力の両方を供給可能である。
【0054】
[アダプタの変形例2]
図10は、変形例2に係るアダプタの機能構成を示すブロック図である。変形例2に係るアダプタ40fは、第一入力部41eと、第二入力部42eと、内部回路43fと、接続構造45eとを備える。
【0055】
内部回路43fは、PoE変換回路、第一信号変換回路、PDインターフェース、電力変換回路、及び、第二信号変換回路を含む。
【0056】
まず、第一入力部41eに給電機器20が接続される場合の内部回路43fの処理について説明する。PoE変換回路は、第一制御信号を第一信号変換回路に出力し、36-57Vの直流電力をPDインターフェースに出力する。第一信号変換回路は、第一制御信号を第二制御信号に変換し、接続構造45eの制御端子に出力する。PDインターフェースは、36-57Vの直流電力をそのまま電力変換回路に出力する。電力変換回路は、例えば、DC/DCブーストコンバータであり、36-57Vの直流電力を141-342Vの直流電力に変換し、接続構造45eの電源端子に出力する。
【0057】
この結果、第一入力部41eに給電機器20が接続されている場合には、接続構造45eの電源端子には141-342Vの直流電力が出力され、接続構造45eの制御端子には、第二制御信号が出力される。
【0058】
次に、第二入力部42eに商用電源及び外部装置が接続される場合の内部回路43fの処理について説明する。第二入力部42eのAC端子には、商用電源から100-242Vの交流電力が入力され、100-242Vの交流電力はそのまま接続構造45eの電源端子に出力される。第二信号変換回路は、第二入力部42eの制御端子に入力された任意の制御信号を第二制御信号に変換し、接続構造45eの制御端子に出力する。
【0059】
このように、アダプタ40fは、第一入力部41eに給電機器20が接続される場合に、接続構造45eの電源端子に141-342Vの直流電力を出力し、第二入力部42eに商用電源が接続される場合に、接続構造45eの電源端子に100-242Vの交流電力を出力することができる。つまり、接続構造45eは、接続構造45eに接続された機器に、直流電力に基づく電力、及び、交流電力に基づく電力の両方を供給可能である。
【0060】
また、アダプタ40fは、第一入力部41eに給電機器20が接続される場合、及び、第二入力部42eに商用電源及び外部装置が接続される場合のいずれも、接続構造45eの制御端子に第二制御信号を出力することができる。
【0061】
[アダプタの変形例3]
図11は、変形例3に係るアダプタの機能構成を示すブロック図である。変形例3に係るアダプタ40gは、第一入力部41eと、第二入力部42eと、内部回路43gと、接続構造45eとを備える。
【0062】
内部回路43gは、PoE変換回路、第一信号変換回路、PDインターフェース、電力変換回路、及び、第二信号変換回路を含む。
【0063】
まず、第一入力部41eに給電機器20が接続される場合の内部回路43gの処理について説明する。PoE変換回路は、第一制御信号を第一信号変換回路に出力し、36-57Vの直流電力をPDインターフェースに出力する。第一信号変換回路は、第一制御信号を第二制御信号に変換し、接続構造45eの制御端子に出力する。PDインターフェースは、36-57Vの直流電力をそのまま電力変換回路に出力する。電力変換回路は、36-57Vの直流電力を36-342Vの直流電力に変換し、接続構造45eの電源端子に出力する。
【0064】
この結果、第一入力部41eに給電機器20が接続されている場合には、接続構造45eの電源端子には36-342Vの直流電力が出力され、接続構造45eの制御端子には、第二制御信号が出力される。
【0065】
次に、第二入力部42eに商用電源及び外部装置が接続される場合の内部回路43gの処理について説明する。電力変換回路は、第二入力部42eのAC端子に入力される100-242Vの交流電力を36-342Vの直流電力に変換し、接続構造45eの電源端子に出力する。第二信号変換回路は、第二入力部42eの制御端子に入力された任意の制御信号を第二制御信号に変換し、接続構造45eの制御端子に出力する。
【0066】
このように、アダプタ40gは、第一入力部41eに給電機器20が接続される場合、及び、第二入力部42eに商用電源及び外部装置が接続される場合のいずれも、36-342Vの直流電力と、第二制御信号とを出力することができる。つまり、接続構造45eは、接続構造45eに接続された機器に、直流電力に基づく電力、及び、交流電力に基づく電力の両方を供給可能である。
【0067】
[効果等]
以上説明したように、機器制御システム10は、複数の接続ポート21を有する給電機器20と、複数の接続ポート21の1つに標準ケーブル70を介して接続され、給電機器20から標準ケーブル70を介して電力供給を受けるアダプタ40とを備える。アダプタ40は、機器へ電力を供給するための接続構造45を有し、接続構造45に接続された機器を受電機器として動作させる。標準ケーブル70は、第一ケーブルの一例である。
【0068】
このような機器制御システム10は、アダプタ40を備えることにより、給電機器20に接続できない機器を制御することができる。
【0069】
また、例えば、アダプタ40は、給電機器20から標準ケーブル70を介して供給される電力を変換する電力変換回路43をさらに有する。接続構造45は、上記変換によって得られる電力を機器へ供給するためのものである。
【0070】
このような機器制御システム10は、アダプタ40を備えることにより、給電機器20によって供給される電力を用いて制御することができない機器を制御することができる。
【0071】
また、例えば、アダプタ40は、アダプタ40が給電機器20から標準ケーブル70を介して受信した第一制御信号を第二制御信号に変換する信号変換回路44をさらに有する。接続構造45は、第二制御信号を機器へ出力するためのものである。
【0072】
このような機器制御システム10は、アダプタ40を備えることにより、給電機器20によって出力される第一制御信号に基づいて制御することができない機器を制御することができる。
【0073】
また、例えば、接続構造45は、ケーブル71が挿入される速結端子45aであり、接続構造45(速結端子45a)には、ケーブル71を介して機器(照明機器50a)が接続される。ケーブル71は、第二ケーブルの一例である。
【0074】
このような機器制御システム10は、速結端子45aにケーブル71を介して接続できる機器を制御することができる。
【0075】
また、例えば、アダプタ40bは、器具本体と上記器具本体に着脱される光源ユニットとを有する照明システムの上記器具本体であり、機器は、光源ユニットであり、接続構造45は、光源ユニットが有する口金に対応する端子構造45bを有する。
【0076】
このような機器制御システム10は、光源ユニットを制御することができる。
【0077】
また、例えば、接続構造45は、配線ダクト45cである。
【0078】
このような機器制御システム10は、配線ダクト45cに接続できる機器を制御することができる。
【0079】
また、例えば、接続構造45は、配線ダクト80に接続されるプラグ45dである。
【0080】
このような機器制御システム10は、配線ダクト80に接続できる機器を制御することができる。
【0081】
また、例えば、アダプタ40eは、標準ケーブル70が接続され、給電機器20から標準ケーブル70を介して直流電力が入力される第一入力部41eと、交流電源から交流電力が入力される第二入力部42eとを有する。接続構造45eは、接続構造45eに接続された機器に、直流電力に基づく電力、及び、交流電力に基づく電力の両方を供給可能である。
【0082】
このような機器制御システム10は、交流電力を入力として機器を制御することができる。
【0083】
また、例えば、上記機器は、照明機器50である。
【0084】
このような機器制御システム10は、照明機器50を制御することができる。
【0085】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0086】
例えば、上記実施の形態では、機器制御システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。例えば、機器制御システムは、アダプタに相当する単一の装置として実現されてもよい。機器制御システムが複数の装置によって実現される場合、上記実施の形態で説明された機器制御システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0087】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0089】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0090】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0091】
例えば、本発明は、上記実施の形態のアダプタとして実現されてもよい。また、本発明は、上記実施の形態の機器制御システムの制御方法として実現されてもよい。本発明は、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0092】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10 機器制御システム
20 給電機器
30、50、50a、50b、50c 照明機器
40、40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g アダプタ
41e 第一入力部
42e 第二入力部
43 電力変換回路
44 信号変換回路
45、45e 接続構造
45a 速結端子
45b 端子構造
45c、80 配線ダクト
45d プラグ
51b 口金
52a 照明機器本体
70 標準ケーブル(第一ケーブル)
71、72 ケーブル(第二ケーブル)