(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】技能評価装置及び技能評価方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20241206BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2022505976
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2021008210
(87)【国際公開番号】W WO2021182245
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2020042472
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】嶺岸 瞳
(72)【発明者】
【氏名】島崎 悠太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 幸紀
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-181574(JP,A)
【文献】国際公開第2019/013225(WO,A1)
【文献】特許第7296548(JP,B1)
【文献】特開2003-288476(JP,A)
【文献】特開2006-039603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1期間に生産された複数の第1製品の品種と、前記複数の第1製品の生産に使用された複数の設備と、前記複数の第1製品の生産に携わった複数の作業者の技能指標とを示す第1情報を取得する取得部と、
前記第1情報を用いて、前記第1期間における標準的な技能指標の確率分布を推定する推定モデルを生成するモデル生成部と、
第2期間における特定の作業者の生産実績を集計することで、前記特定の作業者の技能指標を算出する集計部と、
前記特定の作業者が前記第2期間に生産に携わった複数の第2製品の品種と、前記特定の作業者が前記第2期間に使用した1以上の設備とを示す第2情報を、入力データとして前記推定モデルに入力することで、前記特定の作業者の技能指標の確率分布を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された確率分布と、前記集計部によって算出された技能指標との乖離度を算出する算出部と、
前記乖離度に基づく情報を出力する出力部とを備える、
技能評価装置。
【請求項2】
前記技能指標は、作業者の生産性を示す指標である、
請求項1に記載の技能評価装置。
【請求項3】
前記技能指標は、停止した設備を作業者が再稼働させるのに要した停止時間である、
請求項1に記載の技能評価装置。
【請求項4】
前記集計部は、前記第2期間における前記特定の作業者の生産実績を設備の停止要因毎に集計することで、前記停止要因毎の停止時間を算出し、
前記算出部は、前記乖離度を前記停止要因毎に算出する、
請求項3に記載の技能評価装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記停止要因毎の前記乖離度に基づいて、前記特定の作業者に不足している技能を特定する
請求項4に記載の技能評価装置。
【請求項6】
前記特定の作業者は複数であり、
前記集計部は、前記特定の作業者毎に前記技能指標を算出し、
前記推定部は、前記特定の作業者毎に前記技能指標の確率分布を算出し、
前記算出部は、前記特定の作業者毎に前記乖離度を算出する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の技能評価装置。
【請求項7】
さらに、
前記第2期間と1以上の前記特定の作業者との入力を受け付ける入力部を備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の技能評価装置。
【請求項8】
第1期間に生産された複数の第1製品の品種と、前記複数の第1製品の生産に使用された複数の設備と、前記複数の第1製品の生産に携わった複数の作業者の技能指標とを示す第1情報を取得するステップと、
前記第1情報を用いて、前記第1期間における標準的な技能指標の確率分布を推定する推定モデルを生成するステップと、
第2期間における特定の作業者の生産実績を集計することで、前記特定の作業者の技能指標を算出するステップと、
前記特定の作業者が前記第2期間に生産に携わった複数の第2製品の品種と、前記特定の作業者が前記第2期間に使用した1以上の設備とを示す第2情報を、入力データとして前記推定モデルに入力することで、前記特定の作業者の技能指標の確率分布を推定するステップと、
前記推定するステップにおいて推定された確率分布と、前記算出するステップにおいて算出された技能指標との乖離度を算出するステップと、
前記乖離度に基づく情報を出力するステップとを含む
技能評価方法。
【請求項9】
請求項8に記載の技能評価方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、技能評価装置及び技能評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者のタクトに基づいて作業者の習熟度を評価する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の品種の製品を生産する生産システムでは、作業者が取り扱う設備及び製品の品種が作業者毎に異なる。設備及び品種が異なれば、作業者に必要な技能も異なる。このため、上記従来の評価方法を適用したとしても、作業者の技能を平等に評価することができない。
【0005】
そこで、本開示は、作業者の技能を平等に評価することができる技能評価装置及び技能評価方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る技能評価装置は、第1期間に生産された複数の第1製品の品種と、前記複数の第1製品の生産に使用された複数の設備と、前記複数の第1製品の生産に携わった複数の作業者の技能指標とを示す第1情報を取得する取得部と、前記第1情報を用いて、前記第1期間における標準的な技能指標の確率分布を推定する推定モデルを生成するモデル生成部と、第2期間における特定の作業者の生産実績を集計することで、前記特定の作業者の技能指標を算出する集計部と、前記特定の作業者が前記第2期間に生産に携わった複数の第2製品の品種と、前記特定の作業者が前記第2期間に使用した1以上の設備とを示す第2情報を、入力データとして前記推定モデルに入力することで、前記特定の作業者の技能指標の確率分布を推定する推定部と、前記推定部によって推定された確率分布と、前記集計部によって算出された技能指標との乖離度を算出する算出部と、前記乖離度に基づく情報を出力する出力部とを備える。
【0007】
本開示の一態様に係る技能評価方法は、第1期間に生産された複数の第1製品の品種と、前記複数の第1製品の生産に使用された複数の設備と、前記複数の第1製品の生産に携わった複数の作業者の技能指標とを示す第1情報を取得するステップと、前記第1情報を用いて、前記第1期間における標準的な技能指標の確率分布を推定する推定モデルを生成するステップと、第2期間における特定の作業者の生産実績を集計することで、前記特定の作業者の技能指標を算出するステップと、前記特定の作業者が前記第2期間に生産に携わった複数の第2製品の品種と、前記特定の作業者が前記第2期間に使用した1以上の設備とを示す第2情報を、入力データとして前記推定モデルに入力することで、前記特定の作業者の技能指標の確率分布を推定するステップと、前記推定するステップにおいて推定された確率分布と、前記算出するステップにおいて算出された技能指標との乖離度を算出するステップと、前記乖離度に基づく情報を出力するステップとを含む。
【0008】
また、本開示の一態様は、上記技能評価方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現することができる。あるいは、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、作業者の技能を平等に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る生産システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される生産システムにおける品種と設備との関係を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る記憶装置に蓄積される生産実績データの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る技能評価装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、標準生産性指標分布と作業者の生産性指標との乖離度を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る技能評価装置の動作のうち、標準生産モデルを生成する処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る技能評価装置の動作のうち、作業者の生産性を評価する処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る技能評価装置の動作のうち、作業者の生産性を作業者毎に評価する処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る技能評価装置によるスコアの表示例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係る記憶装置に蓄積される停止履歴データの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る技能評価装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2に係る技能評価装置の動作のうち、標準停止時間モデルを生成する処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施の形態2に係る技能評価装置の動作のうち、作業者の停止時間を評価する処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施の形態2に係る技能評価装置によるスコアの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の概要)
本開示の一態様に係る技能評価装置は、第1期間に生産された複数の第1製品の品種と、前記複数の第1製品の生産に使用された複数の設備と、前記複数の第1製品の生産に携わった複数の作業者の技能指標とを示す第1情報を取得する取得部と、前記第1情報を用いて、前記第1期間における標準的な技能指標の確率分布を推定する推定モデルを生成するモデル生成部と、第2期間における特定の作業者の生産実績を集計することで、前記特定の作業者の技能指標を算出する集計部と、前記特定の作業者が前記第2期間に生産に携わった複数の第2製品の品種と、前記特定の作業者が前記第2期間に使用した1以上の設備とを示す第2情報を、入力データとして前記推定モデルに入力することで、前記特定の作業者の技能指標の確率分布を推定する推定部と、前記推定部によって推定された確率分布と、前記集計部によって算出された技能指標との乖離度を算出する算出部と、前記乖離度に基づく情報を出力する出力部とを備える。
【0012】
これにより、推定部によって推定される特定の作業者の技能指標の確率分布は、標準的な技能指標の確率分布を推定する推定モデルに、特定の作業者が扱った製品の品種及び設備の情報を入力することで得られたものであるので、特定の作業者の生産条件のもとでの標準的な技能指標の確率分布を表す。したがって、この推定された技能指標の確率分布と、特定の作業者の生産実績の集計結果から得られる技能指標とを比較することで、特定の作業者の技能の高低を判断することができる。具体的には、算出される乖離度が、特定の作業者の技能の高低を定量化した数値である。このように、本態様に係る技能評価装置によれば、標準的な技能指標の確率分布に基づいて技能の高低を判定することができるので、作業者の技能を平等に評価することができる。
【0013】
また、例えば、前記技能指標は、作業者の生産性を示す指標であってもよい。
【0014】
これにより、作業者の生産性を平等に評価することができる。
【0015】
また、例えば、前記技能指標は、停止した設備を作業者が再稼働させるのに要した停止時間であってもよい。
【0016】
これにより、作業者による設備の再稼働能力(復旧能力又はメンテナンス能力)を平等に評価することができる。
【0017】
また、例えば、前記集計部は、前記第2期間における前記特定の作業者の生産実績を設備の停止要因毎に集計することで、前記停止要因毎の停止時間を算出し、前記算出部は、前記乖離度を前記停止要因毎に算出してもよい。
【0018】
これにより、停止要因毎に再稼働能力を評価することができるので、作業者が得意な技能、及び、作業者に不足している技能を特定することができる。
【0019】
また、例えば、前記算出部は、前記停止要因毎の前記乖離度に基づいて、前記特定の作業者に不足している技能を特定してもよい。
【0020】
これにより、作業者に不足している技能が特定されるので、不足している技能を補うために必要な訓練内容の決定を支援することができる。
【0021】
また、例えば、前記特定の作業者は複数であり、前記集計部は、前記特定の作業者毎に前記技能指標を算出し、前記推定部は、前記特定の作業者毎に前記技能指標の確率分布を算出し、前記算出部は、前記特定の作業者毎に前記乖離度を算出してもよい。
【0022】
これにより、作業者間での技能の比較を容易に行うことができる。
【0023】
また、例えば、本開示の一態様に係る技能評価装置は、さらに、前記第2期間と1以上の前記特定の作業者との入力を受け付ける入力部を備えてもよい。
【0024】
これにより、技能の評価を行う対象となる期間及び作業者を指定することができる。
【0025】
また、本開示の一態様に係る技能評価方法は、第1期間に生産された複数の第1製品の品種と、前記複数の第1製品の生産に使用された複数の設備と、前記複数の第1製品の生産に携わった複数の作業者の技能指標とを示す第1情報を取得するステップと、前記第1情報を用いて、前記第1期間における標準的な技能指標の確率分布を推定する推定モデルを生成するステップと、第2期間における特定の作業者の生産実績を集計することで、前記特定の作業者の技能指標を算出するステップと、前記特定の作業者が前記第2期間に生産に携わった複数の第2製品の品種と、前記特定の作業者が前記第2期間に使用した1以上の設備とを示す第2情報を、入力データとして前記推定モデルに入力することで、前記特定の作業者の技能指標の確率分布を推定するステップと、前記推定するステップにおいて推定された確率分布と、前記算出するステップにおいて算出された技能指標との乖離度を算出するステップと、前記乖離度に基づく情報を出力するステップとを含む。
【0026】
これにより、上記技能評価装置と同様に、作業者の技能を平等に評価することができる。
【0027】
また、本開示の一態様に係るプログラムは、上記技能評価方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0028】
これにより、上記技能評価装置と同様に、作業者の技能を平等に評価することができる。
【0029】
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0030】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0031】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0032】
(実施の形態1)
[1-1.生産システム]
まず、実施の形態1に係る技能評価装置が適用される生産システムの概要について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る生産システムの構成を示す図である。
【0033】
図1に示される生産システム1では、3つの工程A~工程Cを順に経ることにより、製品が生産される。工程A~工程Cはそれぞれ、例えば、組立工程、溶接工程、パッケージ(包装)工程である。なお、工程数及び工程の具体例は一例に過ぎず、これらに限定されない。生産システム1が生産する製品は、例えば、電化製品であるが、複数の回路部品が実装された実装基板であってもよく、回路部品であってもよい。
【0034】
本実施の形態に係る生産システム1は、複数の設備を備え、複数の品種の複数の製品を生産するシステムである。生産システム1は、工程毎に複数の設備を備える。
図1に示されるように、工程毎に2人の作業者が割り当てられている。作業者U1~U6はそれぞれ、1人当たり4つの設備が割り当てられている。各作業者は、担当する設備の操作を行うことで製品の生産を行う。また、各作業者は、担当する設備が停止した場合に、当該設備のメンテナンスを行い、設備を再稼働させる。
【0035】
作業者U1~U6が扱う設備の種類及び製品の品種は、作業者毎に異なっている。
図1では、設備の種類と製品の品種との組み合わせを、設備を模式的に表す図形の形状及び網掛けの差異によって表している。
【0036】
図2は、
図1に示される生産システムにおける品種と設備との関係を示す図である。
図2に示されるように、製品の品種は、品種Aと品種Bとの2種類である。設備は、新設備と旧設備との2種類である。したがって、品種と設備との組み合わせには、品種Aを新設備で処理する場合、品種Aを旧設備で処理する場合、品種Bを新設備で処理する場合、及び、品種Bを旧設備で処理する場合の4パターンが含まれる。これらの4パターンを区別するため、品種Aを処理する新設備を設備11a、品種Aを処理する旧設備を設備12a、品種Bを処理する新設備を設備11b、品種Bを処理する旧設備を設備12bとする。
【0037】
作業者毎に品種及び設備が異なるので、単純に作業者の生産性を表す指標(例えば、製品1つ当たりに要する生産時間、すなわち、タクトタイム)を作業者間で比較したとしても、作業者の技能の高低を決めることができない。例えば、品種Aの方が品種Bよりも生産が容易であれば、
図1に示される例では、品種Aを多く扱う作業者U3及びU6が有利である。また、新設備が旧設備よりも生産性が高い場合は、新設備を多く使用する作業者U1及びU6が有利である。このように、タクトタイムなどの生産性を示す指標は、作業者間で平等に技能を評価する指標としては使用できない。
【0038】
また、作業者U1~U6は、常に同じ設備で同じ品種の製品の生産に携わるとは限らない。日又は時間帯によって、担当する設備及び品種が変更されることが起こりうる。作業者U1~U6が携わる設備及び品種の組み合わせは多岐にわたるので、作業者間で均一な条件を定めて技能を比較することも難しい。
【0039】
これに対して、本実施の形態に係る技能評価装置は、複数の作業者の生産実績に基づいて標準的な技能指標の確率分布を推定する推定モデルを生成する。当該推定モデルを利用することにより、特定の作業者の生産条件のもとでの標準的な技能指標の確率分布を得ることができる。標準的な技能指標の確率分布に基づいて技能の高低を判定することができるので、作業者の技能を平等に評価することができる。本実施の形態では、技能指標の一例として、作業者の生産性を示す指標である生産性指標を用いる。
【0040】
[1-2.生産実績データ]
次に、本実施の形態に係る技能評価装置が利用する生産実績データについて、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る記憶装置に蓄積される生産実績データの一例を示す図である。
【0041】
図3に示されるように、生産実績データでは、製品毎に、当該製品の識別番号(製品ID)と、当該製品が生産された時刻と、生産性指標情報191と、品種情報192と、設備情報193と、環境情報194と、作業者情報195とが対応付けられている。設備情報193と、作業者情報195と、生産性指標情報191とは、工程毎に対応付けられている。
【0042】
生産性指標情報191は、対応する製品(第1製品)の生産に携わった作業者の生産性指標を示す情報である。生産性指標は、例えばタクトタイムである。タクトタイムが短い程、短期間で多くの製品を生産することができるので、生産性が高い。あるいは、生産性指標は、単位時間当たりの製品の生産数であってもよい。単位時間当たりの生産数が多い程、生産性が高い。
【0043】
品種情報192は、対応する製品の品種を示す情報である。なお、品種情報192が示す品種は、品種毎のカテゴリを意味してもよい。つまり、品種情報192は、製品の品種を更に細かく分類したカテゴリを示す分類情報であってもよい。
【0044】
設備情報193は、対応する製品の生産に使用された設備を示す情報である。
【0045】
環境情報194は、対応する製品の生産中の環境値を示す情報である。環境値は、製品を生産する空間の室温及び湿度などである。あるいは、環境値は、製品又は設備の温度であってもよい。
【0046】
作業者情報195は、対応する製品の生産に携わった作業者を示す情報である。
【0047】
生産実績データは、生産システム1の生産ログ情報などに基づいて生成される。生産実績データのデータ形式は、特に限定されない。例えば、生産実績データは、設備毎に各情報が対応付けられていてもよい。あるいは、生産実績データは、作業者毎に各情報が対応付けられていてもよい。また、生産実績データには、環境情報194が含まれていなくてもよい。
【0048】
[1-3.技能評価装置]
次に、本実施の形態に係る技能評価装置の機能構成について
図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態に係る技能評価装置の機能構成を示すブロック図である。
【0049】
図4に示されるように、技能評価装置100は、第1抽出部110と、モデル生成部120と、入力部130と、第2抽出部140と、指標推定部150と、集計部160と、評価部170と、表示部180とを備える。なお、技能評価装置100は、記憶装置190に蓄積された情報を用いて作業者の技能を評価する。記憶装置190には、例えば
図3に示される生産実績データが蓄積されている。つまり、記憶装置190は、生産性指標情報191と、品種情報192と、設備情報193と、環境情報194と、作業者情報195とを記憶している。なお、記憶装置190は、HDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリなどの不揮発性記憶素子である。
【0050】
第1抽出部110は、第1情報を取得する取得部の一例である。第1情報は、モデル化期間に生産された複数の第1製品の品種と、複数の第1製品の生産に使用された複数の設備と、複数の第1製品の生産に携わった複数の作業者の生産性指標とを示す情報である。具体的には、第1情報は、生産性指標情報191と、品種情報192と、設備情報193とを含んでいる。本実施の形態では、第1情報は、さらに環境情報194を含んでいる。第1抽出部110は、記憶装置190に蓄積された生産実績データから、モデル化期間に含まれる時刻に対応付けられた生産性指標情報191と、品種情報192と、設備情報193と、環境情報194とを抽出する。
【0051】
モデル化期間は、第1期間の一例であり、推定モデルの生成に使用される生産実績データを得るための生産が行われた期間である。モデル化期間は、作業者の技能を評価する時点及び推定モデルを生成する時点よりも過去の期間である。具体的には、モデル化期間は、1日、1週間、1ヶ月又は1年などの一定期間である。モデル化期間は、例えば、現在生産中の製品の品種と同じ品種の製品を、現在使用している設備と同じ設備を使用して生産していた過去の期間である。モデル化期間は、生産システム1が構築されてから現在に至るまでの全期間であってもよい。
【0052】
モデル生成部120は、第1抽出部110が取得した第1情報を用いて、モデル化期間における標準的な生産性指標の確率分布を推定する推定モデルを生成する。モデル生成部120は、例えば、ベイズ推定に基づいて推定モデルを生成する。具体的には、モデル生成部120は、第1情報を用いて、推定モデルを定義する複数のパラメータを算出する。より具体的には、モデル生成部120は、モデル化期間の情報を用いて、階層ベイズモデルのパラメータを算出する。本実施の形態に係る階層ベイズモデルは、品種情報と設備情報とを説明変数とし、生産条件毎の生産性指標及びその頻度を推定し、さらに、全体の生産性指標を推定するモデルである。全体の生産性指標は、生産性指標と頻度との積和を頻度で割った値(平均)である。
【0053】
本実施の形態では、推定モデルは、標準生産モデルであり、所定の生産条件のもとでの標準的な生産性指標の確率分布を推定するモデルである。モデル生成部120は、過去の生産実績データのうち、モデル化期間の生産実績データの全てを利用することで、標準生産モデルを生成する。なお、モデル化期間の生産実績データの全てとは、具体的には、生産性指標情報191、品種情報192、設備情報193及び環境情報194である。このとき、環境情報194は含まれていなくてもよい。標準生産モデルは、入力データとして、特定の作業者の生産条件を入力した場合に、出力データとして、当該特定の作業者の生産条件のもとでの標準的な生産性指標の確率分布(以下、標準生産性指標分布と記載)を出力する。なお、生産条件は、品種、設備及び環境値の組み合わせで定義される。生産条件は、環境値を除いた、品種及び設備の組み合わせで定義されてもよい。
【0054】
入力部130は、評価期間と特定の作業者の入力とを受け付ける。特定の作業者は、技能評価の対象となる作業者である。評価期間は、第2期間の一例であり、技能評価の対象となる期間である。例えば、評価期間は、モデル化期間とは異なる期間である。評価期間は、モデル化期間の一部であってもよく、モデル化期間の一部を含む期間であってもよい。
【0055】
入力部130は、例えば、タッチパネルディスプレイ、キーボード又はマウスなどの入力装置で実現される。例えば、入力部130は、評価期間を入力するためのテキストボックス、及び、特定の作業者を選択させるためのリスト情報などをディスプレイに表示する。リスト情報は、例えば、生産実績データに含まれる全ての作業者を示す情報である。
【0056】
これにより、技能評価装置100のユーザ(例えば、生産システム1の管理者)などに評価期間及び特定の作業者を入力させることができ、入力部130は、入力された期間及び作業者を評価期間及び特定の作業者として受け付ける。なお、入力部130は、マイクロフォンで実現され、音声入力を受け付けてもよい。評価期間及び特定の作業者の入力形式は、特に限定されない。
【0057】
評価期間は、例えば1時間、1日、1週間、1ヶ月などの所定の期間であり、特に限定されない。また、入力部130は、評価期間の入力を受け付けずに、特定の作業者の入力のみを受け付けてもよい。なお、入力部130は、複数の特定の作業者の入力を受け付けてもよい。
【0058】
第2抽出部140は、入力部130によって受け付けられた評価期間及び特定の作業者に関する生産実績データを記憶装置190から抽出する。具体的には、第2抽出部140は、評価期間内に生産された製品(第2製品)で、かつ、当該製品の生産に特定の作業者が携わった製品に関する生産実績データを抽出する。例えば、
図3に示される例において、評価期間が2020/2/26の1日であり、かつ、特定の作業者が作業者U4である場合、第2抽出部140は、製品ID「00002」及び「00003」の各々についての、品種情報192と、工程Bに関する設備情報193及び生産性指標情報191と、環境情報194とを抽出する。
【0059】
指標推定部150は、特定の作業者が評価期間に生産に携わった複数の製品(第2製品)の品種と、特定の作業者が評価期間に使用した1以上の設備とを示す第2情報を、入力データとして推定モデルに入力することで、特定の作業者の生産性指標の確率分布を推定する。本実施の形態では、第2情報は、さらに、評価期間における特定の作業者に関する環境値(例えば、室温)を示す。つまり、指標推定部150は、評価期間における特定の作業者に関連する品種情報192、設備情報193及び環境情報194を入力データとして推定モデルに入力する。
【0060】
推定された確率分布は、評価期間における特定の作業者の生産条件のもとでの標準的な生産性指標の確率分布である。推定された確率分布を比較対象として、特定の作業者の実績値を比較することにより、特定の作業者の生産性の高低を判断することができる。
【0061】
集計部160は、評価期間における特定の作業者の生産実績を集計することで、特定の作業者の生産性指標を算出する。具体的には、集計部160は、評価期間における特定の作業者の生産性指標の平均又は分散などの統計値を、特定の作業者の生産性指標として算出する。例えば、評価期間中に特定の作業者が複数の品種及び複数の設備を扱っている場合、集計部160は、品種及び設備の組み合わせ毎に、生産性指標の平均又は分散を算出する。
【0062】
評価部170は、指標推定部150によって推定された確率分布(すなわち、標準生産性指標分布)と、集計部160によって算出された生産性指標との乖離度を算出する算出部の一例である。例えば、評価部170は、標準生産性指標分布の平均(以下、標準平均と記載)と、集計部160によって算出された平均(以下、実績平均と記載)とを比較する。あるいは、評価部170は、標準生産性指標分布の分散と、集計部160によって算出された分散とを比較してもよい。
図5は、標準生産性指標分布と作業者の生産性指標との乖離度を説明するための図である。
図5に示されるように、評価部170は、標準平均と実績平均との差を乖離度として算出することができる。なお、乖離度は、この2つの分散の差であってもよい。あるいは、乖離度は、平均又は分散の比であってもよい。
【0063】
本実施の形態では、評価部170は、乖離度をスコアに変換する。スコアは、技能の高さを示す評価値である。スコアは、例えば0点から10点の範囲で表され、数値が高い程、技能が高いことを表している。
【0064】
例えば、スコアは、乖離度の一次関数で表すことができる。例えば、乖離度が実績平均から標準平均を引いた値である場合、乖離度が0のとき、作業者の技能が標準であることを意味する。このため、例えば、評価部170は、乖離度が0である場合、スコアを中間値の5点とする。また、乖離度が正の値である場合には、作業者の技能が標準より高いことを意味するので、評価部170は、5点より大きく10点以下の値にスコアを決定する。乖離度が負の値である場合には、作業者の技能が標準より低いことを意味するので、評価部170は、0点以上5点未満の値にスコアを決定する。
【0065】
なお、評価期間中に特定の作業者が複数の品種及び複数の設備を扱っている場合、評価部170は、標準生産性指標分布と、品種及び設備の組み合わせ毎の、集計部160によって算出された生産性指標とに基づいて、品種及び設備の組み合わせ毎に乖離度を算出する。さらに、評価部170は、品種及び設備の組み合わせ毎に、算出した乖離度をスコアに変換する。評価部170は、組み合わせ毎のスコアに対して、特定の作業者が品種及び設備の組み合わせを扱った期間の評価期間に占める割合、及び、当該組み合わせによって生産された製品の個数による重み付けを行うことで、総合スコアを算出する。算出された総合スコアが、特定の作業者の評価期間におけるスコアである。
【0066】
表示部180は、乖離度に基づく情報を出力する出力部の一例である。本実施の形態では、表示部180は、特定の作業者のスコアを表示する。表示部180による表示例については、後で説明する。
【0067】
表示部180は、例えば、液晶ディスプレイ装置であるが、これに限らない。表示部180は、有機EL(Electroluminescence)表示装置であってもよい。
【0068】
なお、技能評価装置100は、表示部180の代わりに、又は、表示部180に加えて、スピーカーなどの音声出力部、又は、通信部を備えてもよい。音声出力部は、乖離度に基づく情報を音声として出力する。通信部は、乖離度に基づく情報を含む信号を他の機器に送信してもよい。通信部による通信は、有線及び無線のいずれであってもよい。
【0069】
本実施の形態に係る技能評価装置100は、例えばコンピュータ機器である。技能評価装置100は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、及び、プログラムを実行するプロセッサなどで実現される。
【0070】
本実施の形態では、入力部130及び表示部180を除く各処理部は、例えば、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)によって実現される。集積回路は、LSIに限られず、専用回路又は汎用プロセッサであってもよい。例えば、各処理部は、マイクロコントローラであってもよい。また、各処理部は、プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内の回路セルの接続及び設定が再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサであってもよい。各処理部が実行する機能は、ソフトウェアで実現されてもよく、ハードウェアで実現されてもよい。各処理部は、メモリ及びプロセッサなどのハードウェア資源を共用していてもよい。
【0071】
[1-4.動作]
続いて、本実施の形態に係る技能評価装置100の動作について説明する。
【0072】
[1-4-1.標準生産モデルの生成]
まず、本実施の形態に係る技能評価装置100の動作のうち、標準生産モデルの生成処理について
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る技能評価装置の動作のうち、標準生産モデルを生成する処理を示すフローチャートである。
【0073】
図6に示されるように、まず、第1抽出部110がモデル化期間の情報を抽出する(S10)。具体的には、第1抽出部110は、記憶装置190に記憶された過去の生産実績データから、作業者情報195を除く、モデル化期間の生産実績データを全て抽出する。つまり、第1抽出部110は、作業者、設備、品種及び環境値などでフィルタリングすることなく、全ての生産性指標情報191、品種情報192、設備情報193及び環境情報194を抽出する。
【0074】
次に、モデル生成部120は、抽出された情報に基づいて標準生産モデルを生成する(S12)。具体的には、モデル生成部120は、ベイズ推定に基づいて、標準生産モデルを定義する複数のパラメータを算出する。
【0075】
以上に示される標準生産モデルの生成処理は、特定の作業者の生産性の評価の前処理として行われる。標準生産モデルの生成処理は、生産実績データが蓄積される度に、繰り返し行われてもよい。例えば、1日又は1週間毎に標準生産モデルの生成処理が行われてもよい。
【0076】
[1-4-2.生産性の評価]
次に、本実施の形態に係る技能評価装置100の動作のうち、作業者の生産性の評価処理について
図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態に係る技能評価装置の動作のうち、作業者の生産性を評価する処理を示すフローチャートである。
【0077】
図7に示されるように、まず、第2抽出部140は、特定の作業者の評価期間の情報を抽出する(S20)。なお、特定の作業者及び評価期間は、入力部130によって受け付けられた作業者及び期間である。第2抽出部140は、作業者情報195を参考に、評価期間内に特定の作業者が生産に携わった製品の生産性指標情報191、品種情報192、設備情報193及び環境情報194を抽出する。
【0078】
次に、集計部160は、特定の作業者の生産性指標を算出する(S22)。具体的には、集計部160は、特定の作業者の生産実績を集計することで、生産性指標の平均を算出する。
【0079】
次に、指標推定部150は、
図6に示される処理によって生成された標準生産モデルに基づいて、特定の作業者の標準生産性指標分布を推定する(S24)。具体的には、指標推定部150は、標準生産モデルに、入力データとして、第2抽出部140が抽出した品種情報192、設備情報193及び環境情報194を入力することで、標準生産性指標分布を推定する。
【0080】
なお、集計部160による処理と指標推定部150による処理とは、いずれが先に行われてもよく、並列して行われてもよい。
【0081】
次に、評価部170は、標準生産性指標分布と生産性指標との乖離度を算出する(S26)。さらに、評価部170は、算出した乖離度をスコアに変換する(S28)。次に、表示部180は、評価部170によって変換されたスコアを表示する(S30)。
【0082】
以上のように、本実施の形態に係る技能評価装置100によれば、推定モデルに基づいて標準生産性指標分布を得ることができるので、設備及び品種などの影響を抑えて作業者の生産性を平等に評価することができる。また、作業者毎に生産性指標を定量的に算出することができるので、生産性の高低を作業者間で比較することができる。
【0083】
[1-4-3.作業者間の生産性の比較]
次に、作業者間の生産性の比較処理について、
図8を用いて説明する。
図8は、本実施の形態に係る技能評価装置の動作のうち、作業者の生産性を作業者毎に評価する処理を示すフローチャートである。
【0084】
図8に示されるように、まず、第2抽出部140は、生産性指標の算出対象である特定の作業者として、1人の作業者を選択する(S19)。例えば、入力部130によって複数の作業者が入力された場合、第2抽出部140は、入力された複数の作業者の中から、乖離度及びスコアが未算出の作業者、すなわち、生産性の評価がまだ行われていない未評価の作業者を特定の作業者として選択する。
【0085】
以降、
図7に示される処理と同様に、選択された特定の作業者に対して、評価期間の実績データの抽出(S20)、生産性指標の算出(S22)、標準生産性指標分布の推定(S24)、乖離度の算出(S26)及びスコアへの変換(S28)を行う。
【0086】
次に、第2抽出部140は、未評価の作業者が存在するか否かを判定する(S29)。未評価の作業者が存在する場合(S29でYes)、第2抽出部140は、未評価の作業者の1人を特定の作業者として選択し(S19)、ステップS20~S29の処理を繰り返す。未評価の作業者が存在しない場合(S29でNo)、すなわち、評価対象となった全ての作業者の評価が終了した場合、表示部180は、作業者毎にスコアを表示する(S30)。
【0087】
なお、
図8では、複数の作業者を対象として、作業者毎に生産性を評価する例を示したが、複数の評価期間を対象として、1人又は複数の作業者の生産性を評価してもよい。例えば、入力部130は、複数の期間の入力を受け付ける。この場合、
図8に示されるステップS19~S29の処理が、評価期間毎に行われる。
【0088】
図9は、本実施の形態に係る技能評価装置によるスコアの表示例を示す図である。
図9に示されるように、表示部180は、評価期間毎に、複数の作業者の各々のスコアを表形式で表示する。このように、表示部180が作業者毎のスコアを同一画面で表示することにより、作業者間の技能の差を容易に判別することができる。このため、例えば、技能が不足しておりトレーニングが必要な作業者を容易に特定することができる。
【0089】
なお、表示部180による表示例は、特に限定されない。例えば、表示部180は、スコアの高い順に作業者を並べて表示してもよい。この場合、表示部180は、スコアの数値のそのものを表示しなくてもよい。また、評価対象の作業者が1人のみの場合、表示部180は、1人の作業者の1つ又は複数の期間のスコアを表示すればよい。
【0090】
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
【0091】
実施の形態2では、作業者の技能指標として、生産性指標の代わりに設備の停止時間を利用する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0092】
[2-1.停止履歴データ]
まず、本実施の形態に係る技能評価装置が利用する停止履歴データについて、
図10を用いて説明する。
図10は、本実施の形態に係る記憶装置に蓄積される停止履歴データの一例を示す図である。停止履歴データは、生産システム1による生産実績データの一例である。
【0093】
図10に示されるように、停止履歴データでは、設備情報193に対して、当該設備の停止が発生した時刻と、品種情報192と、環境情報194と、作業者情報195と、停止情報296とが対応付けられている。
【0094】
品種情報192は、対応する設備が停止したときに処理していた製品の品種を示す情報である。
【0095】
設備情報193は、例えば、設備毎に割り当てられた固有の識別子(設備ID)を示す情報である。
【0096】
環境情報194は、対応する設備が停止したときの環境値を示す情報である。
【0097】
作業者情報195は、対応する設備を取り扱う作業者であり、当該設備を再稼働させた作業者を示す情報である。
【0098】
停止情報296は、停止時間と停止要因とを含んでいる。停止時間は、対応する停止した設備を再稼働させるのに要した時間である。停止要因は、対応する設備が停止した要因である。
【0099】
停止履歴データは、生産システム1の生産ログ情報などに基づいて生成される。停止履歴データのデータ形式は、特に限定されない。例えば、停止履歴データは、
図3に示される生産実績データと同様に、製品ID毎に各情報が対応付けられていてもよい。あるいは、停止履歴データは、作業者毎に各情報が対応付けられていてもよい。また、停止履歴データには、環境情報194が含まれていなくてもよい。また、停止履歴データには、生産性指標情報191が含まれていてもよい。
【0100】
[2-2.技能評価装置]
次に、本実施の形態に係る技能評価装置の機能構成について
図11を用いて説明する。
図11は、本実施の形態に係る技能評価装置の機能構成を示すブロック図である。
【0101】
図11に示されるように、技能評価装置200は、第1抽出部210と、モデル生成部220と、入力部130と、第2抽出部240と、指標推定部250と、集計部260と、評価部270と、表示部280とを備える。入力部130は、実施の形態1と同様である。
【0102】
なお、技能評価装置200は、記憶装置290に蓄積された情報を用いて作業者の技能を評価する。記憶装置290には、例えば
図10に示される停止履歴データが蓄積されている。つまり、記憶装置290は、品種情報192と、設備情報193と、環境情報194と、作業者情報195と、停止情報296とを記憶している。記憶装置290は、生産性指標情報191を記憶していてもよい。なお、記憶装置290は、HDD又はフラッシュメモリなどの不揮発性記憶素子である。
【0103】
第1抽出部210は、第1情報を取得する取得部の一例である。第1情報は、モデル化期間に生産された複数の第1製品の品種と、複数の第1製品の生産に使用された複数の設備と、複数の第1製品の生産に携わった複数の作業者の各々が、停止した設備を再稼働させるのに要した停止時間とを示す情報である。具体的には、第1情報は、品種情報192と、設備情報193と、停止情報296とを含んでいる。本実施の形態では、第1情報は、さらに、環境情報194を含んでいる。本実施の形態では、第1抽出部210は、記憶装置290に蓄積された停止履歴データから、モデル化期間に含まれる時刻に対応付けられた停止情報296と、品種情報192と、設備情報193と、環境情報194とを抽出する。
【0104】
モデル化期間は、実施の形態1と同様に、第1期間の一例であり、推定モデルの生成に使用される停止履歴データを得るための生産が行われた期間である。
【0105】
モデル生成部220は、第1抽出部210が取得した第1情報を用いて、モデル化期間における標準的な停止時間の確率分布を推定する推定モデルを生成する。モデル生成部220は、例えば、ベイズ推定に基づいて推定モデルを生成する。具体的には、モデル生成部220は、第1情報を用いて、推定モデルを定義する複数のパラメータを算出する。より具体的には、モデル生成部220は、モデル化期間の情報を用いて、階層ベイズモデルのパラメータを算出する。本実施の形態に係る階層ベイズモデルは、品種情報と設備情報とを説明変数とし、停止要因毎の停止時間及びその頻度を推定し、さらに、総停止時間を推定するモデルである。総停止時間は、停止要因毎の停止時間と頻度との積和に相当する。
【0106】
本実施の形態では、推定モデルは、標準停止時間モデルであり、所定の生産条件のもとでの標準的な停止時間の確率分布を推定するモデルである。モデル生成部220は、過去の停止履歴データのうち、モデル化期間の停止履歴データの全てを利用することで、標準停止時間モデルを生成する。なお、モデル化期間の停止履歴データの全てとは、具体的には、停止情報296、品種情報192、設備情報193及び環境情報194である。このとき、環境情報194は含まれていなくてもよい。標準停止時間モデルは、入力データとして、特定の作業者の生産条件を入力した場合に、出力データとして、当該特定の作業者の生産条件のもとでの標準的な停止時間の確率分布(以下、標準停止時間分布と記載)を出力する。
【0107】
第2抽出部240は、入力部130によって受け付けられた評価期間及び特定の作業者に関する停止履歴データを記憶装置290から抽出する。具体的には、第2抽出部240は、評価期間内に生産された製品(第2製品)で、かつ、当該製品の生産に特定の作業者が携わった製品に関する停止履歴データを抽出する。例えば、
図10に示される例において、評価期間が2020/2/26の1日であり、かつ、特定の作業者が作業者U4である場合、第2抽出部240は、設備ID「M013」についての、停止情報296と、品種情報192と、環境情報194と、作業者情報195とを抽出する。
【0108】
指標推定部250は、特定の作業者が評価期間に生産に携わった複数の製品(第2製品)の品種と、特定の作業者が評価期間に使用した1以上の設備とを示す第2情報を、入力データとして推定モデルに入力することで、特定の作業者の停止時間の確率分布を推定する。本実施の形態では、第2情報は、さらに、評価期間における特定の作業者に関する環境値(例えば、室温)を示す。つまり、指標推定部250は、評価期間における特定の作業者に関連する品種情報192、設備情報193及び環境情報194を入力データとして推定モデルに入力する。
【0109】
推定された確率分布は、評価期間における特定の作業者の生産条件のもとでの標準的な停止時間の確率分布である。推定された確率分布を比較対象として、特定の作業者の実績値を比較することにより、特定の作業者の停止時間の長短を判断することができる。本実施の形態では、指標推定部250は、停止要因毎に停止時間の確率分布を推定する。
【0110】
集計部260は、評価期間における特定の作業者の生産実績を集計することで、特定の作業者の停止時間を算出する。具体的には、集計部260は、評価期間における特定の作業者の停止時間の平均又は分散などの統計値を、特定の作業者の停止時間として算出する。集計部260は、設備の停止要因毎に生産実績を集計することで、停止要因毎の停止時間を算出してもよい。例えば、評価期間中に特定の作業者が複数の品種及び複数の設備を扱っている場合、集計部260は、各設備の停止要因毎、かつ、品種毎に、停止時間の平均又は分散を算出する。
【0111】
評価部270は、指標推定部250によって推定された確率分布(すなわち、標準停止時間分布)と、集計部260によって算出された停止時間との乖離度を算出する算出部の一例である。例えば、評価部270は、標準停止時間分布の平均(以下、標準平均と記載)と、集計部260によって算出された平均(以下、実績平均と記載)とを比較する。あるいは、評価部270は、標準停止時間分布の分散と、集計部260によって算出された分散とを比較してもよい。
【0112】
本実施の形態では、評価部270は、乖離度をスコアに変換する。スコアは、実施の形態1と同様であり、例えば、乖離度の一次関数で表すことができる。例えば、乖離度が実績平均から標準平均を引いた値である場合、乖離度が0のとき、作業者の停止時間が標準であることを意味する。このため、例えば、評価部270は、乖離度が0である場合、スコアを中間値の5点とする。また、乖離度が負の値である場合には、作業者による停止時間が標準よりも短いことを意味するので、評価部270は、乖離度が負の値である場合に、5点より大きく10点以下の値にスコアを決定する。乖離度が正の値である場合には、作業者による停止時間が標準よりも長いことを意味するので、評価部270は、0点以上5点未満の値にスコアを決定する。また、集計部260によって設備の停止要因毎に停止時間が算出された場合、評価部270は、停止要因毎に乖離度を算出し、スコアに変換してもよい。
【0113】
なお、評価期間中に特定の作業者が複数の品種及び複数の設備を扱っている場合、評価部270は、停止要因毎に、標準停止時間分布と、集計部260によって算出された品種毎の停止時間とに基づいて、品種毎の乖離度を算出し、算出した乖離度をスコアに変換する。評価部270は、品種毎のスコアに対して、特定の作業者が品種を扱った期間の評価期間に占める割合、及び、生産された製品の個数による重み付けを行うことで、総合スコアを停止要因毎に算出する。算出された総合スコアが、特定の作業者の評価期間における停止要因毎のスコアである。
【0114】
また、評価部270は、停止要因毎の乖離度に基づいて、特定の作業者に不足している技能を特定する。具体的には、評価部270は、停止要因毎のスコアと閾値とを比較し、閾値を下回っているスコアを特定する。評価部270は、特定したスコアに対応する停止要因によって停止した設備を再稼働させる技能を、特定の作業者に不足している技能として特定する。
【0115】
表示部280は、乖離度に基づく情報を出力する出力部の一例である。本実施の形態では、表示部280は、特定の作業者のスコアを表示する。スコアが停止要因毎に算出された場合、表示部280は、停止要因毎のスコアを表示する。表示部280による表示例については、後で説明する。
【0116】
[2-3.動作]
続いて、本実施の形態に係る技能評価装置200の動作について説明する。
【0117】
[2-3-1.標準停止時間モデルの生成]
まず、本実施の形態に係る技能評価装置200の動作のうち、標準停止時間モデルの生成処理について
図12を用いて説明する。
図12は、本実施の形態に係る技能評価装置の動作のうち、標準停止時間モデルを生成する処理を示すフローチャートである。
【0118】
図12に示されるように、まず、第1抽出部210がモデル化期間の情報を抽出する(S40)。具体的には、第1抽出部210は、記憶装置290に記憶された過去の停止履歴データから、作業者情報195を除く、モデル化期間の停止履歴データを全て抽出する。つまり、第1抽出部210は、作業者、設備、品種、停止要因及び環境値などでフィルタリングすることなく、全ての停止情報296、品種情報192、設備情報193及び環境情報194を抽出する。
【0119】
次に、モデル生成部220は、抽出された情報に基づいて標準停止時間モデルを生成する(S42)。具体的には、モデル生成部220は、ベイズ推定に基づいて、標準停止時間モデルを定義する複数のパラメータを算出する。
【0120】
以上に示される標準停止時間モデルの生成処理は、特定の作業者の停止時間の評価の前処理として行われる。標準停止時間モデルの生成処理は、停止履歴データが蓄積される度に、繰り返し行われてもよい。例えば、1日又は1週間毎に標準停止時間モデルの生成処理が行われてもよい。
【0121】
[2-3-2.停止時間の評価]
次に、本実施の形態に係る技能評価装置200の動作のうち、作業者の停止時間の評価処理について
図13を用いて説明する。
図13は、本実施の形態に係る技能評価装置の動作のうち、作業者の停止時間を評価する処理を示すフローチャートである。
【0122】
図13に示されるように、まず、第2抽出部240は、複数の停止要因の中から1つの停止要因を選択する(S49)。例えば、第2抽出部240は、停止時間の評価がまだ行われていない未評価の停止要因を選択する。
【0123】
次に、第2抽出部240は、特定の作業者の評価期間の情報を抽出する(S50)。なお、特定の作業者及び評価期間は、入力部130によって受け付けられた作業者及び期間である。第2抽出部240は、作業者情報195を参考に、評価期間内に特定の作業者が生産に携わった製品の停止情報296、品種情報192、設備情報193及び環境情報194を抽出する。
【0124】
次に、集計部260は、特定の作業者についての、選択された停止要因に基づく停止時間を算出する(S52)。具体的には、集計部260は、特定の作業者の生産実績を集計することで、停止時間の平均を算出する。
【0125】
次に、指標推定部250は、
図11に示される処理によって生成された標準停止時間モデルに基づいて、特定の作業者の標準停止時間分布を推定する(S54)。具体的には、指標推定部250は、標準停止時間モデルに、入力データとして、第2抽出部240が抽出した品種情報192、設備情報193及び環境情報194を入力することで、標準停止時間分布を推定する。
【0126】
なお、集計部260による処理と指標推定部250による処理とは、いずれが先に行われてもよく、並列して行われてもよい。
【0127】
次に、評価部270は、標準停止時間分布と特定に作業者の停止時間との乖離度を算出する(S56)。さらに、評価部270は、算出した乖離度をスコアに変換する(S58)。算出したスコアは、特定の作業者の停止要因に基づく停止時間の短さを評価した評価値である。スコアが高い程、特定の作業者の停止時間が短く、設備の復旧能力が高いことを意味する。
【0128】
次に、第2抽出部240は、未評価の停止要因が存在するか否かを判定する(S59)。未評価の停止要因が存在する場合(S59でYes)、第2抽出部240は、未評価の停止要因を選択し(S49)、ステップS50~S59の処理を繰り返す。未評価の停止要因が存在しない場合(S59でNo)、すなわち、評価対象となった全ての停止要因の評価が終了した場合、表示部280は、作業者毎にスコアを表示する(S60)。
【0129】
図14は、本実施の形態に係る技能評価装置によるスコアの表示例を示す図である。
図14に示されるように、表示部280は、特定の作業者について、停止要因毎にスコアを表形式で表示する。このように、表示部280が停止要因毎のスコアを同一画面で表示することにより、停止要因間の復旧能力の差を容易に判別することができる。つまり、特定の作業者にとって優れている技能、及び、劣っている技能を判別することができる。劣っている技能が判別することにより、当該作業者のトレーニング内容を適切に定めることができ、技能の向上を支援することができる。
【0130】
なお、表示部280による表示例は、特に限定されない。例えば、表示部280は、スコアの高い順に停止要因を並べて表示してもよい。この場合、表示部280は、スコアの数値のそのものを表示しなくてもよい。
【0131】
以上のように、本実施の形態に係る技能評価装置200によれば、推定モデルに基づいて標準停止時間分布を得ることができるので、設備及び品種などの影響を抑えて作業者による設備の復旧能力の高さを平等に評価することができる。
【0132】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に、複数の特定の作業者の各々に対して、停止要因毎のスコアを算出してもよい。あるいは、停止要因によらず、作業者毎にスコアを算出してもよい。
【0133】
(他の実施の形態)
以上、1つ又は複数の態様に係る技能評価装置及び技能評価方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0134】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間で無線通信が行われる場合、無線通信の方式(通信規格)は、例えば、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は、無線LAN(Local Area Network)などの近距離無線通信である。あるいは、無線通信の方式(通信規格)は、インターネットなどの広域通信ネットワークを介した通信でもよい。また、装置間においては、無線通信に代えて、有線通信が行われてもよい。有線通信は、具体的には、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)又は有線LANを用いた通信などである。
【0135】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、技能評価装置が備える構成要素の複数の装置への振り分けは、一例である。例えば、一の装置が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。
【0136】
例えば、上記実施の形態において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、又は、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するプロセッサは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
【0137】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0138】
また、制御部などの構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0139】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC又はLSIなどが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGAも同じ目的で使うことができる。
【0140】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0141】
また、上記の各実施の形態は、請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本開示は、作業者の技能を平等に評価することができる技能評価装置などとして利用でき、例えば、工場の生産システムなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0143】
1 生産システム
11a、11b、12a、12b 設備
100、200 技能評価装置
110、210 第1抽出部
120、220 モデル生成部
130 入力部
140、240 第2抽出部
150、250 指標推定部
160、260 集計部
170、270 評価部
180、280 表示部
190、290 記憶装置
191 生産性指標情報
192 品種情報
193 設備情報
194 環境情報
195 作業者情報
296 停止情報
U1、U2、U3、U4、U5、U6 作業者