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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】突起部材、配管部材、配管システム
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
E04D13/08 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023064297
(22)【出願日】2023-04-11
(65)【公開番号】P2024151149
(43)【公開日】2024-10-24
【審査請求日】2024-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】西本 舞
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 英明
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-163684(JP,A)
【文献】特開2023-36894(JP,A)
【文献】特開2016-44466(JP,A)
【文献】特開2015-68103(JP,A)
【文献】特開2013-068062(JP,A)
【文献】特開2013-036235(JP,A)
【文献】特開2003-342984(JP,A)
【文献】実開昭60-185795(JP,U)
【文献】特開平8-209762(JP,A)
【文献】特開2018-094459(JP,A)
【文献】特開2014-024042(JP,A)
【文献】特開2008-132284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/08
E03C 1/00
F16L 9/00
F16L 11/00
F16L 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路の向きを変える屈曲管の下流側に配置される直管内に配置されて前記直管の流路断面積を部分的に減少させる突起部材であって、
上流側に向けられる第1端と下流側に向けられる第2端との間にあって前記直管の流路断面積を最も小さくする頂部と、
前記頂部と前記第2端との間の部位から前記直管の中心軸の方向から見て前記直管の中心側に延びるが、前記頂部よりは突出しない突出部と、
を備える、
突起部材。
【請求項2】
前記突出部は、前記第2端にある、
請求項1の突起部材。
【請求項3】
前記直管の中心軸の方向から見た前記突出部の寸法をa、前記直管の内径をdとすると、
0.01d≦a≦0.05dである、
請求項1の突起部材。
【請求項4】
前記突起部材の幅方向から見た前記突出部の角の曲率半径をrとすると、
r≦aである、
請求項3の突起部材。
【請求項5】
前記直管の中心軸の方向における突出部の寸法をb、前記直管の内径をdとすると、
0.01d≦b≦0.05dである、
請求項1の突起部材。
【請求項6】
前記突起部材の幅方向から見た前記突出部の角の曲率半径をrとすると、
r≦bである、
請求項5の突起部材。
【請求項7】
前記直管の中心軸の方向における前記第1端と前記第2端との間の距離をL、
前記直管の中心軸の方向における前記第1端と前記頂部との間の距離をL1とすると、
0.1L≦L1≦0.5Lである、
請求項1の突起部材。
【請求項8】
前記直管の最大流路断面積をA、
前記頂部での前記突起部材の断面積をA1とすると、
A1/A≦0.4である、
請求項1の突起部材。
【請求項9】
前記突起部材の幅方向から見て、前記第2端は、先細り形状である、
請求項1の突起部材。
【請求項10】
前記直管の内径をd、
前記直管の中心軸の方向における前記第1端と前記第2端との間の距離をLとすると、
0.5d≦L≦5.0dである、
請求項9の突起部材。
【請求項11】
前記第2端に、前記直管の中心軸と交差する端面を備える、
請求項1の突起部材。
【請求項12】
前記頂部での高さをH1、前記第2端での高さをH2とすると、
0.05H1≦H2≦0.90H1である、
請求項11の突起部材。
【請求項13】
前記直管の内径をd、
前記直管の中心軸の方向における前記第1端と前記頂部との間の距離をL1、
前記直管の中心軸の方向における前記頂部と前記第2端との間の距離をL2’とすると、
0.5d≦L1+H1/(H1-H2)×L2’≦5.0dである、
請求項12の突起部材。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一つの突起部材と、
前記直管と、
を備える、
配管部材。
【請求項15】
建物の壁面に固定される竪管と、
前記建物からの雨水の集水口と前記竪管との間にある横管と、
前記横管と前記竪管との間にある第1屈曲管と、
前記集水口と前記横管との間にある第2屈曲管と、
請求項1~13のいずれか一つの1以上の突起部材と、
を備え、
前記1以上の突起部材は、前記横管又は前記竪管の少なくとも一部を前記直管として配置される、
配管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、突起部材、配管部材及び配管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、サイフォン雨樋システムを開示する。特許文献1に開示されたサイフォン雨樋システムは、軒樋と、軒樋の底面に形成された集水口を貫通する筒状部を備え、且つサイフォン現象を発生させるためのサイフォン発生部と、エルボとを備える。エルボは、サイフォン雨樋システムの下流側に設置される。エルボは、曲管部と、曲管部の両端に設けられた受け口とを備える。曲管部の管軸を含む平面における断面で見たときの曲管部において、内周側の内周面の曲率半径が64mmよりも大きく、かつ、100mmよりも小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-120068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、流量の向上が期待できるもののエルボが比較的大きくなる。
【0005】
本開示は、小型化を可能にしながら流量を向上できる、突起部材、配管部材及び配管システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる突起部材は、流路の向きを変える屈曲管の下流側に配置される直管内に配置されて直管の流路断面積を部分的に減少させる突起部材であって、上流側に向けられる第1端と下流側に向けられる第2端との間にあって直管の流路断面積を最も小さくする頂部と、頂部と第2端との間の部位から直管の中心軸の方向から見て直管の中心側に延びるが、頂部よりは突出しない突出部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様にかかる配管部材は、上記の突起部材と、直管と、を備える。
【0008】
本開示の一態様にかかる配管システムは、建物の壁面に固定される竪管と、建物からの雨水の集水口と竪管との間にある横管と、横管と竪管との間にある第1屈曲管と、集水口と横管との間にある第2屈曲管と、上記の1以上の突起部材と、を備える。1以上の突起部材は、横管又は竪管の少なくとも一部を直管として配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様は、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる配管システムの概略図
図2】実施の形態1にかかる配管システムの配管部材の斜視図
図3】実施の形態1にかかる配管部材の分解斜視図
図4】実施の形態1にかかる配管部材の断面図
図5図4のP1の拡大図
図6図4のA-A線断面図
図7】実施の形態1にかかる配管部材の一部を切り欠いた断面図
図8】実施の形態1にかかる配管部材の平面図
図9】実施の形態1にかかる配管部材の底面図
図10図6のIX-IX線断面図
図11図6のX-X線断面図
図12図6のXI-XI線断面図
図13図6のXII-XII線断面図
図14図6のXIII-XIII線断面図
図15】比較例の配管部材における圧力分布のシミュレーションの図
図16】実施の形態2にかかる配管システムの概略図
図17】実施の形態2にかかる配管部材の斜視図
図18】実施の形態2にかかる配管部材の分解斜視図
図19】実施の形態2にかかる配管部材の断面図
図20図19のP2の拡大図
図21図19のB-B線断面図
図22】実施の形態2にかかる配管部材の一部を切り欠いた断面図
図23】実施の形態2にかかる配管部材の平面図
図24】実施の形態2にかかる配管部材の底面図
図25】実施の形態2にかかる突起部材と実施の形態1にかかる突起部材との比較図
図26】実施の形態1にかかる突起部材に対する実施の形態2にかかる突起部材による圧力損失の変化を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.実施の形態]
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施の形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0013】
なお、以下の説明において、複数ある構成要素を互いに区別する必要がある場合には、「第1」、「第2」等の接頭辞を構成要素の名称に付すが、構成要素に付した符号により互いに区別可能である場合には、文章の読みやすさを考慮して、「第1」、「第2」等の接頭辞を省略する場合がある。
【0014】
[1.1 実施の形態1]
[1.1.1 構成]
図1は、実施の形態1にかかる配管システム1の概略図である。配管システム1は、排水システムとして用いられる。配管システム1は、建物11の屋根11aからの雨水を受けて、地面20のます部21に流す雨樋システムである。配管システム1は、雨水の流路を構成する。ます部21に集められた雨水は、ます部21から埋設管22を通って雨水管に流れ出る。建物11は、例えば、店舗、オフィス、工場、ビル、学校、福祉施設又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は戸建住宅若しくは集合住宅の各住戸等の住宅施設の建物である。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含む。
【0015】
配管システム1は、軒樋2と、竪管3と、横管4と、屈曲管5-1,5-2と、突起部材6-1,6-2と、竪管7と、ドレン8と、を備える。
【0016】
軒樋2は、建物11の屋根11aからの雨水を受ける。軒樋2は、建物11の屋根11aの下に設置される。一例として、軒樋2は、屋根11aの軒先に配置される。特に、軒樋2は、屋根11aの軒先に沿って延びるように配置される。軒樋2は、長尺の桶状である。軒樋2は、底壁2aを有する。底壁2aには、配管システム1の全体の設計に応じて、集水口2bが形成される。集水口2bは、例えば、円形の開口である。集水口2bは、排水口又は落とし口ともいわれる。一例として、軒樋2は、樹脂材料の押出成形により形成され得る。軒樋2は、軒樋2全体の強度の補強のための芯材を備えてよい。芯材は、例えば、金属製であり得る。別例として、軒樋2は、金属板、例えば鋼板(コイルとも呼ばれる)により形成されてもよい。
【0017】
ドレン8は、軒樋2の集水口2bに配置される。ドレン8は、集水口2bでの渦の発生及び空気の巻き込みを低減する。ドレン8は、サイフォン現象の発生に寄与し得る。ドレン8は、周知の構成であってよい。
【0018】
竪管3は、鉛直方向の流路を規定する。竪管3は、雨樋システムにおいては、竪樋ともいわれる。竪管3は、集水口2bから雨水を排水するために設置される。竪管3は、集水口2bからの雨水を垂直に流す。竪管3は、直管状である。竪管3の中心軸C3に直交する断面は円形状である。竪管3は、竪管3の中心軸C3の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように配置される。図1では、竪管3は、控金具35a,35b,35cにより建物11の壁面11bに固定される。竪管3は、上流側の端部3aと下流側の端部3bとを有する。上流側の端部3aは、竪管3において集水口2bに接続される端部(図1での上端部)である。下流側の端部3bは、竪管3において、ます部21に挿入される端部(図1での下端部)である。図1では、竪管3とます部21との隙間からます部21内に雨水が流入しないように排水管カバー34が配置される。一例として、竪管3の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。竪管3の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。
【0019】
建物11は、軒が比較的長い。建物11では、集水口2bに竪管3を直接的に接続すると、竪管3と建物11の壁面11bとの距離が大きくなり、竪管3の施工基準を満たさなくなる場合がある。配管システム1では、竪管3は、集水口2bに直接的に接続されておらず、横管4及び屈曲管5-1,5-2を介して、集水口2bに接続される。配管システム1は、どちらかといえば、軒が長い建物11に適した構造を有する。
【0020】
横管4は、鉛直方向に交差する方向の流路を規定する。横管4は、雨樋システムにおいては、呼び樋ともいわれる。横管4は、集水口2bから竪管3に建物11からの雨水を流すための部分である。横管4は、建物11からの雨水の集水口2bと竪管3との間にある。横管4は、直管状である。横管4の中心軸C4に直交する断面は円形状である。横管4は、横管4の中心軸C4の方向が上下方向(鉛直方向)に対して傾斜するように固定される。横管4は、上流側の端部4aと下流側の端部4bとを有する。上流側の端部4aは、横管4において集水口2bに接続される端部(図1での左端部)である。下流側の端部4bは、横管4において竪管3に接続される端部(図1での右端部)である。一例として、横管4の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。横管4の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。
【0021】
屈曲管5-1,5-2は、流路の向きを変える。屈曲管5-1,5-2は、例えば、竪管と横管のように方向が異なる流路を接続する接続継手である。屈曲管5-1,5-2の各々は、上流側及び下流側の配管部材がそれぞれ接続される受け口51,52と、受け口51,52同士をつなぐ屈曲部50とを有する。受け口51,52の中心軸間の角度は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」で規定される91.17°である。一例として、屈曲管5-1,5-2の材料は、例えば、硬質ポリ塩化ビニルである。屈曲管5-1,5-2の寸法は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の規格に沿って設定されてよい。屈曲管5-1,5-2は、JIS K 6739で規定される90°曲がりエルボ(所謂、DL)であってよい。
【0022】
屈曲管5-1は、竪管3と横管4とを接続する第1屈曲管である。屈曲管5-1は、竪管3の上流側の端部3aを横管4の下流側の端部4bに接続する。屈曲管5-1では、横管4の下流側の端部4bが受け口51に接続され、竪管3の上流側の端部3aが受け口52に接続される。屈曲管5-1は、必ずしも竪管3の上流側の端部3aを横管4の下流側の端部4bに直接的に接続する部材ではなく、竪管3の上流側の端部3aを横管4の下流側の端部4bに他の部材を介して間接的に接続する部材であってよい。
【0023】
屈曲管5-2は、集水口2bと横管4とを接続する第2屈曲管である。屈曲管5-2は、横管4の上流側の端部4aを集水口2bに接続する。屈曲管5-2では、集水口2bが受け口51に接続され、横管4の上流側の端部4aが受け口52に接続される。屈曲管5-2は、必ずしも横管4の上流側の端部4aを集水口2bに直接的に接続する部材ではなく、横管4の上流側の端部4aを集水口2bに他の部材を介して間接的に接続する部材であってよい。
【0024】
竪管7は、鉛直方向の流路を規定する。竪管7は、集水口2bから雨水を垂直に流す。竪管7は、ドレン2cに接続されて、集水口2bの下流側に配置される。竪管7は、集水口2bと屈曲管5-2との間にある。竪管7は、直管状である。竪管7の中心軸に直交する断面は円形状である。竪管7は、竪管7の中心軸の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように配置される。竪管7は、上流側の端部7aと下流側の端部7bとを有する。上流側の端部7aは、竪管7において集水口2bに接続される端部(図1での上端部)である。下流側の端部7bは、竪管7において、屈曲管5-2の受け口51に接続される端部(図1での下端部)である。一例として、竪管7の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。竪管7の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。
【0025】
突起部材6-1,6-2は、流路の向きを変える屈曲管の下流側に配置される直管内に配置されて直管の流路断面積を部分的に減少させるために用いられる。配管システム1において、竪管3は、流路の向きを変える屈曲管5-1の下流側に配置される直管であり、横菅4は、流路の向きを変える屈曲管5-2の下流側に配置される直管である。突起部材6-1は、竪管3の少なくとも一部を直管として配置される第1突起部材である。本実施の形態では、竪管3の少なくとも一部は、竪管3全体である。突起部材6-2は、横菅4の少なくとも一部を直管として配置される第2突起部材である。本実施の形態では、横管4の少なくとも一部は、横管4全体である。
【0026】
突起部材6-1,6-2は、突起部材6-1,6-2が配置される直管である竪管3及び横管4とともに配管部材10-1,10-2を、それぞれ構成する。本実施の形態では、突起部材6-1と竪管3とを備える配管部材10-1が第1配管部材であり、突起部材6-2と横管4とを備える配管部材10-2が第2配管部材である。
【0027】
突起部材6-1,6-2は、同じ構成である。そのため、配管部材10-1,10-2は、竪管3と横管4という違いがあるものの、実質的に同じ構成である。以下では、主に配管部材10-1について詳細に説明する。当業者であれば、配管部材10-1についての説明は、竪管3に関連する記載を横管4に関連する記載に読み替えることによって、配管部材10-2についての説明であると容易に理解し得る。
【0028】
図2は、配管部材10-1の構成例の斜視図であり、図3は、配管部材10-1の分解斜視図である。図2及び図3から理解されるように、配管部材10-1は、竪管3と、突起部材6-1と、を備える。
【0029】
図3に示すように、突起部材6-1は、竪管3内に配置可能な大きさ、すなわち、長さ、幅、及び高さ(厚み)を有する。突起部材6-1の材料は、例えば、硬質ポリ塩化ビニルである。
【0030】
突起部材6-1は、第1端6aと、第2端6bと、を有する。第1端6aと第2端6bとは、突起部材6-1の長さ方向の両端である。突起部材6-1の長さ方向は、竪管3の中心軸C3の方向に一致する。第1端6aは、上流側に向けられ、第2端6bは、下流側に向けられる。突起部材6-1では、第1端6aから第2端6bに向かう流体の流れが生じる。
【0031】
図4は、配管部材10-1の断面図である。図5は、図4のP1の拡大図である。図6は、図4のA-A線断面図である。図7は、配管部材10-1の一部を切り欠いた断面図である。図8は、配管部材10-1の平面図である。図9は、配管部材10-1の底面図である。図10は、図6のIX-IX線断面図である。図11は、図6のX-X線断面図である。図12は、図6のXI-XI線断面図である。図13は、図6のXII-XII線断面図である。図14は、図6のXIII-XIII線断面図である。
【0032】
図4に示すように、突起部材6-1は、竪管3の内周面30aに接触する接触面60を有する。図8及び図9に示すように、接触面60は、竪管3の中心軸C3の方向から見て、凸面形状である。接触面60の曲率半径は、接触面60と竪管3の内周面30aとの間に、実質的に隙間が生じないように、内周面30aの曲率半径に基づいて設定される。
【0033】
図4図6図9に示すように、突起部材6-1は、主面61と、第1及び第2側面62,63とを有する。主面61と、第1及び第2側面62,63とは、突起部材6-1において接触面60とは反対側にあり、竪管3内を流れる流体に接触し得る。図4図6図7に示すように、主面61は、第1端6aから第2端6bに向かって延びる。図8及び図9に示すように、主面61は、竪管3の中心軸C3の方向から見て竪管3の中心側を向く。第1側面62及び第2側面63は、竪管3の中心軸C3の方向から見て主面61の両側にある。図8では、第1側面62は、主面61の左側にあり、第2側面63は、主面61の右側にある。
【0034】
突起部材6-1では、主面61と第1及び第2側面62,63とが、竪管3内を流れる流体に接触し得る。図6に示すように、突起部材6-1は、主面61に沿った流れF1と、第1側面62に沿った流れF2と、第2側面63に沿った流れF3とを引き起こす。主面61と第1及び第2側面62,63とは、流体に接触し得るため、主面61と第1及び第2側面62,63の表面粗さは小さいほうが、流量の向上が期待できるため好ましい。
【0035】
突起部材6-1は、流れF1と流れF2との分離を促進するための第1分離壁64を有する。第1分離壁64があることで、流れF1から流れF2が分離しやすくなり得る。第1分離壁64は、主面61と第1側面62との間にある。本実施の形態では、第1分離壁64は、主面61と第1側面62との境界部分である。換言すれば、主面61と第1側面62との境界部分が、主面61を底面とする流路と、第1側面62を底面とする流路との間の壁を構成している。第1分離壁64は、主面61及び第1側面62が共に凹面形状であることで形成され得る。
【0036】
突起部材6-1は、流れF1と流れF3との分離を促進するため、第2分離壁65を有する。第2分離壁65があることで、流れF1から流れF3が分離しやすくなり得る。第2分離壁65は、主面61と第2側面63との間にある。本実施の形態では、第2分離壁65は、主面61と第2側面63との境界部分である。換言すれば、主面61と第2側面63との境界部分が、主面61を底面とする流路と、第2側面63を底面とする流路との間の壁を構成している。第2分離壁65は、主面61及び第2側面63が共に凹面形状であることで形成され得る。
【0037】
図4図6、及び図8図14から理解されるように、竪管3の中心軸C3の方向から見た突起部材6-1の形状(断面形状)は、竪管3の中心軸C3の方向に沿って変化する。
【0038】
図4に示すように、突起部材6-1の高さは、竪管3の中心軸C3の方向に沿って変化する。本実施の形態では、突起部材6-1は、頂部6cと、突出部6hと、を有する。
【0039】
頂部6cは、第1端6aと第2端6bとの間にある。頂部6cは、突起部材6-1において高さが最も高い部分である。頂部6cは、竪管3の流路断面積を最も小さくする。
【0040】
突出部6hは、頂部6cと第2端6bとの間の部位から竪管3の中心軸C3の方向から見て竪管3の中心側に延びる。本実施の形態では、突出部6hは、第2端6bにある。突出部6hは、竪管3の中心軸C3の方向から見て頂部6cよりは突出しない。
【0041】
突起部材6-1の高さは、第1端6aから頂部6cに向かって単調に増加する。突起部材6-1の高さは、頂部6cから第2端6bに向かって単調に減少する。本実施の形態では、突起部材6-1の高さは、頂部6cから突出部6hまで減少し、その後は突出部6hの形状に沿って増減する。突出部6hを除けば、突起部材6-1の幅方向から見て、第2端6bは、先細り形状である。突出部6hを除けば、第2端6bにおいて、突起部材6-1の高さが0になる。
【0042】
図4に示すように、突起部材6-1の幅方向に直交する断面では、主面61は、頂部6cにおいて第2壁面30c側に突出する曲面形状を含む。これによって、流量を向上できる。別の観点から、主面61は、屈曲管5-1の下流側においてコアンダ効果を生じるように第2壁面30cに向かって突出した形状を有していればよい。つまり、主面61は、屈曲管5-1の下流側においてコアンダ効果を生じる形状であればよい。これによって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0043】
図5を参照する。竪管3の中心軸C3の方向から見た突出部6hの寸法をa、竪管3の内径をdとすると、0.01d≦a≦0.05dである。これは、流量の向上を可能にする。竪管3の中心軸C3の方向における突出部6hの寸法をb、竪管3の内径をdとすると、0.01d≦b≦0.05dである。これは、流量の向上を可能にする。
【0044】
図5では、突起部材6-1の高さが頂部6cから第2端6bに向かって単調に減少するとした場合の突起部材6-1の形状(以下、基本形状という)を2点鎖線で示す。突出部6hの寸法a,bは、この基本形状を基準として設定され得る。基本形状において、突起部材6-1の幅方向から見て、第2端6bは、先細り形状である。第2端6bにおいて、突起部材6-1の高さが0になる。寸法aは、基本形状からの突出量の最大値であってよい。寸法bは、基本形状と突出部6hとの上流側の境界と下流側の境界との間の距離であってよい。
【0045】
突起部材6-1の幅方向に直交する断面では、突出部6hは、第2壁面30c側に突出する曲面形状を含む。これによって、流量を向上できる。別の観点から、突出部6hは、コアンダ効果を生じるように第2壁面30cに向かって突出した形状を有してよい。つまり、突出部6hは、頂部6cの下流側においてコアンダ効果を生じる形状であるとよい。これによって、流量を向上できる。ここで、突起部材6-1の幅方向から見た突出部6hの上流側の角6h1及び下流側の角6h2の曲率半径をrとすると、r≦a又はr≦bである。好ましくは、r≦aかつr≦bである。なお、上流側の角6h1及び下流側の角6h2とは異なる曲率半径を有してよい。
【0046】
図6に示すように、突出部6hは、第2端6bにある。突出部6hは、第2端6bの幅の全体にわたって形成される。
【0047】
図9に示すように、竪管3の中心軸C3の方向から見て、突出部6hの少なくとも一部は凸面形状である。これは、突起部材6-1での圧力損失の低減に寄与し得る。
【0048】
図4を参照すると、突起部材6-1は、突起部材6-1に沿った流れ、主に主面61に沿った流れF1を引き起こす。突起部材6-1は、頂部6cと第2端6bとの間の部位に突出部6hを備える。図5を参照すると、流れF1の下流側では、突出部6hに沿った流れF4が生じ得る。結果として、突出部6hが存在しない場合に比べれば、流れF1の経路が延長され得る。これによって、突起部材6-1によるコアンダ効果が促進され、流量を向上でき得る。さらに、突出部6h自体がコアンダ効果を生じることで、流れF4を引き起こしやすくなる。
【0049】
図8図14から理解されるように、竪管3の中心軸C3の方向から見た主面61の形状は、竪管3の中心軸C3の方向に沿って変化する。
【0050】
図8及び図10から、竪管3の中心軸C3の方向から見て、主面61の少なくとも一部は凹面形状である。主面61の少なくとも一部は、主面61における第1端6a側の部分である。つまり、主面61は、第1端6aでは凹面形状である。竪管3の中心軸C3の方向から見て、主面61の少なくとも一部(第1端6a)の曲率半径は、竪管3の内周面30aの曲率半径以下である。これにより、突起部材6-1での圧力損失の低減が図れる。
【0051】
主面61は、図8図12に示すように第1端6aでは凹面形状であるが、第2端6bでは凸面形状である。つまり、竪管3の中心軸C3の方向から見た主面61の形状は、第1端6aから第2端6bに向かって、凹面形状から凸面形状に変化する。これにより、突起部材6-1の主面61に沿った流れが生じやすくなる。本実施の形態では、図12に示すように、竪管3の中心軸C3の方向から見た主面61の形状は、頂部6cにおいては凸面形状である。竪管3の中心軸C3の方向から見た主面61の形状は、頂部6cから第2端6bの範囲では、凸面形状である。本実施の形態では、突起部材6-1は、第1端6aと頂部6cとの間に平坦部6dを有する。図11に示すように、平坦部6dでは、竪管3の中心軸C3の方向から見て、主面61が平面形状である。
【0052】
主面61の凹面形状である範囲において、主面61の凹面形状の中心、つまり、凹面形状において最も低くなる部分は、突起部材6-1の幅方向において端よりも中心側にある。主面61の凸面形状である範囲において、主面61の凸面形状の中心、つまり、凸面形状において最も高くなる部分は、突起部材6-1の幅方向において端よりも中心側にある。本実施の形態では、主面61の凸面形状の中心は、突起部材6-1の幅方向の中心に一致する。
【0053】
図8図14から理解されるように、竪管3の中心軸C3の方向から見た第1側面62及び第2側面63の形状は、竪管3の中心軸C3の方向に沿って変化する。
【0054】
図8及び図10から、竪管3の中心軸C3の方向から見て、第1側面62の少なくとも一部は凹面形状である。第1側面62の少なくとも一部は、第1側面62における第1端6a側の部分である。つまり、第1側面62は、第1端6aでは凹面形状である。これにより、突起部材6-1での圧力損失の低減が図れる。
【0055】
図8及び図10から、竪管3の中心軸C3の方向から見て、第2側面63の少なくとも一部は凹面形状である。第2側面63の少なくとも一部は、第2側面63における第1端6a側の部分である。つまり、第2側面63は、第1端6aでは凹面形状である。これにより、突起部材6-1での圧力損失の低減が図れる。
【0056】
竪管3の中心軸C3の方向から見た第1側面62の形状は、第1端6aから第2端6bに向かって、凹面形状のままである。図12図14から理解されるように、第1側面62は、頂部6cから第2端6bに向かうにつれて、凹面形状の深さが浅くなる。これにより、突起部材6-1の下流側において、第1側面62に沿った流れF2を主面61に沿った流れF1にスムーズに合流させることができる。
【0057】
竪管3の中心軸C3の方向から見た第2側面63の形状は、第1端6aから第2端6bに向かって、凹面形状のままである。図12図14から理解されるように、第2側面63は、頂部6cから第2端6bに向かうにつれて、凹面形状の深さが浅くなる。これにより、突起部材6-1の下流側において、第2側面63に沿った流れF3を主面61に沿った流れF1にスムーズに合流させることができる。
【0058】
図6を参照する。突起部材6-1において、第1側面62及び第2側面63は、竪管3の中心軸C3に沿った突起部材6-1の中心線に対して、対称となる形状である。これによって、流量を向上できる。
【0059】
図6に示すように、突起部材6-1の幅は、竪管3の中心軸C3の方向に沿って変化する。突起部材6-1の幅は、突起部材6-1において最も竪管3の内周面30aに近い部位での幅をいう。本実施の形態では、突起部材6-1の幅は、突起部材6-1の接触面60の幅に対応する。突起部材6-1は、第1端6aと第2端6bとの間に、幅の変化の向きが変わる第1部位6e、第2部位6f、及び、第3部位6gを有する。第1部位6eは、第1端6aと頂部6c、より詳細には、平坦部6dとの間にある。第2部位6fは、頂部6cと第2端6bとの間にある。第3部位6gは、第2部位6fと第2端6bとの間にある。突起部材6-1の幅は、第1端6aから第1部位6eに向かって単調に増加する。突起部材6-1の幅は、第1部位6eから第2部位6fに向かって単調に減少する。突起部材6-1の幅は、第2部位6fから第3部位6gに向かって単調に増加する。突起部材6-1の幅は、第3部位6gから第2端6bに向かって単調に減少する。なお、突起部材6-1の幅は、第1部位6eにおいて、最も大きい。図8に示すように、竪管3の中心軸C3の方向から見た突起部材6-1の幅の最大値(第1部位6eでの幅)をW1とする。竪管3の内径をdとすると、0.5d≦W1≦0.9dである。ここで、竪管3の中心軸C3の方向から見た第1分離壁64及び第2分離壁65間の距離の最大値をW2とすると、0.3d≦W2≦0.7dである。W2≦W1である。
【0060】
主面61は、少なくとも第1端6aから頂部6cまでは、第1端6aから第2端6bに向かうにつれて幅が狭くなる。この構成は、突起部材6-1の下流側において、第1側面62及び第2側面63に沿った流れF2,F3を主面61に沿った流れF1にスムーズに合流させることができる。本実施の形態では、主面61の幅は、第1端6aから第2端6bまで単調に減少する。
【0061】
第1側面62は、第1端6aから第2端6bに向かうにつれて幅が広くなる部位を含む。より詳細には、第1側面62における第1端6a側の部位は、第1端6aから第2端6bに向かうにつれて幅が広くなる。この構成は、圧力損失を低減できる。本実施の形態では、第1側面62における第1端6a側の部位は、第1側面62における第1端6aから平坦部6dまでの部位を含む。
【0062】
第2側面63は、第1端6aから第2端6bに向かうにつれて幅が広くなる部位を含む。より詳細には、第2側面63における第1端6a側の部位は、第1端6aから第2端6bに向かうにつれて幅が広くなる。この構成は、圧力損失を低減できる。本実施の形態では、第2側面63における第1端6a側の部位は、第2側面63における第1端6aから平坦部6dまでの部位を含む。
【0063】
第1分離壁64及び第2分離壁65は、竪管3の中心軸C3の方向において、突起部材6-1の全体ではなく、一部に形成される。より詳細には、第1分離壁64及び第2分離壁65は、第1端6aから、竪管3の中心軸C3の方向に沿った所定範囲に存在する。所定範囲は、第1端6aから平坦部6dまでの範囲である。
【0064】
第1分離壁64及び第2分離壁65間の距離は、第1端6aから第2端6bに向かうにつれて短くなる。この構成は、突起部材6-1の上流側において、主面61に沿った流れF1から第1側面62及び第2側面63に沿った流れF2,F3を分離させ、突起部材6-1の下流側において、第1側面62及び第2側面63に沿った流れF2,F3を主面61に沿った流れF1にスムーズに合流させることができる。
【0065】
第1分離壁64及び第2分離壁65の高さは、第1端6aから第2端6bに向かうにつれて低くなる。この構成は、突起部材6-1の上流側において、主面61に沿った流れF1から第1側面62及び第2側面63に沿った流れF2,F3を分離させ、突起部材6-1の下流側において、第1側面62及び第2側面63に沿った流れF2,F3を主面61に沿った流れF1にスムーズに合流させることができる。
【0066】
図4及び図12を参照する。竪管3の直径をd、竪管3の中心軸C3の方向における第1端6aと第2端6bとの間の距離(すなわち、突起部材6-1の長さ)をLとする。突起部材6-1においては、0.5d≦L≦5.0dであるとよい。これによって、屈曲管5-1から下流側での剥離に起因する圧力損失の発生をより低減し得る。したがって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0067】
図4を参照する。突起部材6-1の頂部6cは、配管部材10-1において流路断面積が最小となる部位である。竪管3の中心軸C3の方向における第1端6aと頂部6cとの間の距離をL1とする。突起部材6-1において、0.1L≦L1≦0.5Lであるとよい。これによって、屈曲管5-1から下流側での剥離に起因する圧力損失の発生をより低減し得る。したがって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0068】
図4を参照する。竪管3の中心軸C3の方向における頂部6cと第2端6bとの間の距離をL2とする。L2は、L2=L-L1である。突起部材6-1において、L2>L1であるとよい。これによって、屈曲管5-1から下流側での剥離に起因する圧力損失の発生をより低減し得る。したがって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0069】
図12を参照する。竪管3の中心軸C3の方向から見て、突起部材6-1の頂部6cにおける第2壁面30cとの距離をD1とする。突起部材6-1において、0.60d≦D1≦0.95dであるとよい。これによって、屈曲管5-1から下流側での剥離に起因する圧力損失の発生をより低減し得る。したがって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0070】
竪管3の中心軸C3の方向から見て、突起部材6-1の頂部6cでの高さをH1とする。H1は、H1=d-D1である。突起部材6-1において、0.05d≦H1≦0.40dであるとよい。これによって、屈曲管5-1から下流側での剥離に起因する圧力損失の発生をより低減し得る。したがって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0071】
竪管3の最大流路断面積をAとする。最大流路断面積Aは、竪管3の内径dから求まる。つまり、A=π(d/2)である。頂部6cでの突起部材の断面積をA1とする。突起部材6-1において、A1/A≦0.4であるとよい。これによって、屈曲管5-1から下流側での剥離に起因する圧力損失の発生をより低減し得る。したがって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。配管部材10-1での流路断面積の最小値をA2とする。A2は、突起部材6-1の頂部6cにおける流路断面積である。A2は、A2=A-A1である。突起部材6-1において、0.6≦A2/A<1であるとよい。これによって、屈曲管5-1から下流側での剥離に起因する圧力損失の発生をより低減し得る。したがって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0072】
図4図7及び図8に示すように、突起部材6-1は、第1端6aに、接触端面66を有する。本実施の形態では、竪管3の内径が、屈曲管5-1の屈曲部50の内径より大きい。接触端面66は、竪管3と屈曲管5-1の屈曲部50との内径の差を埋めるために設けられる。図4に示すように、接触端面66があることで、屈曲管5-1の屈曲部50の内周側の壁面50aと突起部材6-1の主面61との間の段差を低減でき得る。これによって、屈曲管5-1から配管部材10-1への流体の流れが阻害されにくくなる。
【0073】
図8に示すように、突起部材6-1は、突起67を有する。突起67は、竪管3と突起部材6-1との結合又は位置決めに利用される。突起67は、接触面60に配置される。突起67は、竪管3の凹部3cに嵌る形状である。本実施の形態では、竪管3は、上流側の端部3aの縁に一対の凹部3cを有する。凹部3cは切り欠きとして形成されている。突起部材6-1は、一対の凹部3cにそれぞれ嵌る一対の突起67を備える。一対の突起67を一対の凹部3cにそれぞれ嵌めることで、突起部材6-1から竪管3に対して位置決めされる。
【0074】
以上述べた配管部材10-1では、突起部材6-1が竪管3の内周面30aに配置される。これによって、配管部材10-1の流路断面積は一定ではなく、配管部材10-1の流路断面積が竪管3の断面積よりも小さくなる縮小部位が存在する。突起部材6-1は、竪管3の下流側の端部3bよりも竪管3の上流側の端部3a側にある。本実施の形態では、突起部材6-1は、竪管3の上流側の端部3aにある。つまり、突起部材6-1は、屈曲管5-1に繋がる竪管3の上流側の端部3aにおいて流路を小さくする。
【0075】
突起部材6-1は、竪管3の内周側の第1壁面30bから、竪管3の外周側の第2壁面30cに向かって突出するように配置される。第1壁面30bは、竪管3の内周面30aにおける屈曲管5-1の内周側の部位(一例として内周側の半分の部位)である。第2壁面30cは、竪管3の内周面30aにおける屈曲管5-1の外周側の部位(一例として外周側の半部の部位)である。内周面30aは、第1壁面30bと第2壁面30cとで構成される。
【0076】
次に、配管部材10-1における突起部材6-1の作用について説明する。突起部材6-1は、屈曲管5-1の下流側に配置される竪管3内に配置される。屈曲管5-1は、横管4から流入した水を竪管3に流す。屈曲管5-1において水の流れる向きが大きく変わる場合には、剥離による圧力損失が、流量の低下の一因になり得る。
【0077】
図15は、比較例の配管部材100における圧力分布のシミュレーションの図である。比較例の配管部材100は、突起部材6-1を有していない点で、配管部材10-1と異なる。図15において、色が濃いほど、圧力が低いことを示す。特に、図15ではRで示す部位において、圧力損失が大きく、このような圧力損失が大きい部位が存在することは、流量の低下の大きな要因になり得る。図15のRで示す部位での圧力損失は、剥離に起因すると考えられる。この剥離は、屈曲管5-1の内周側の壁面50aより下流側において、水が配管部材100の第1壁面30bから離れることに起因する。つまり、図15に矢印Fで示すように、上流側から流入する水は、最初は、管壁200に沿って流れるが、屈曲管5-1の内周側の壁面50a以降では、配管部材100の第1壁面30bから離れる場合がある。このような剥離は、特に、水の流速が早い場合に顕著に表れやすい。流速が早いほど圧力損失が生じる範囲が広くなりやすい。
【0078】
本実施の形態においては、配管部材10-1は、突起部材6-1を有している。突起部材6-1が存在することで、(1)突起部材6-1がない場合よりも、水が管壁に沿って流れやすくなることが期待でき、(2)圧力損失が生じる可能性がある部位自体を減らすことが期待できる。したがって、突起部材6-1は屈曲管5-1から下流側での剥離に起因する圧力損失の発生を低減し、流量の向上を実現し得る。配管部材10-1は、突起部材6-1を備えるだけで、特許文献1に記載の技術とは異なり屈曲管5-1の内周側の内周面の曲率半径を大きくしなくて済むから、小型化を可能にする。したがって、突起部材6-1は、小型化を可能にしながら流量を向上できる。突起部材6-1は竪管3の内部にあり、配管システム1全体として見たときに突起部材6-1が目立たなくなる。これによって、配管システム1全体としての美観の向上が期待できる。
【0079】
さらに、突起部材6-1は、頂部6cと第2端6bとの間の部位に突出部6hを備える。突出部6hが存在しない場合に比べれば、突起部材6-1に沿った流れ(主に流れF1)の経路が延長され得る。これによって、突起部材6-1によるコアンダ効果が促進され、流量を向上でき得る。さらに、突出部6hが存在することで、突起部材6-1における頂部6cと第2端6bとの間の部位の強度の向上が可能になる。
【0080】
[1.1.2 効果等]
以上述べた突起部材6-1,6-2は、流路の向きを変える屈曲管5-1,5-2の下流側に配置される直管(竪管3,横菅4)内に配置されて直管の流路断面積を部分的に減少させる。突起部材6-1,6-2は、上流側に向けられる第1端6aと下流側に向けられる第2端6bとの間にあって直管(竪管3,横菅4)の流路断面積を最も小さくする頂部6cと、頂部6cと第2端6dとの間の部位から直管(竪管3,横菅4)の中心軸C3,C4の方向から見て直管(竪管3,横菅4)の中心側に延びるが、頂部6cよりは突出しない突出部6hと、を備える。この構成は、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0081】
突起部材6-1,6-2において、突出部6hは、第2端6bにある。この構成は、突起部材6-1,6-2での圧力損失の低減が図れる。この構成は、突起部材6-1,6-2の第2端6bでの破損の可能性を低減でき得る。
【0082】
突起部材6-1,6-2において、直管(竪管3,横菅4)の中心軸C3,C4の方向から見た突出部6hの寸法をa、直管(竪管3,横菅4)の内径をdとすると、0.01d≦a≦0.05dである。この構成は、流量を向上できる。
【0083】
突起部材6-1,6-2において、突起部材6-1,6-2の幅方向から見た突出部6hの角の曲率半径をrとすると、r≦aである。この構成は、流量を向上できる。
【0084】
突起部材6-1,6-2において、直管(竪管3,横菅4)の中心軸C3,C4の方向における突出部6hの寸法をb、直管(竪管3,横菅4)の内径をdとすると、0.01d≦b≦0.05dである。この構成は、流量を向上できる。
【0085】
突起部材6-1,6-2において、突起部材6-1,6-2の幅方向から見た突出部6hの角の曲率半径をrとすると、r≦bである。この構成は、流量を向上できる。
【0086】
突起部材6-1,6-2において、直管(竪管3,横菅4)の中心軸C3,C4の方向における第1端6aと第2端6bとの間の距離をL、直管の中心軸の方向における第1端と頂部との間の距離をL1とすると、0.1L≦L1≦0.5Lである。この構成は、流量を向上できる。
【0087】
突起部材6-1,6-2において、直管(竪管3,横菅4)の最大流路断面積をA、頂部6cでの突起部材6-1,6-2の断面積をA1とすると、A1/A≦0.4である。この構成は、流量を向上できる。
【0088】
突起部材6-1,6-2において、突起部材6-1,6-2の幅方向から見て、第2端6bは、先細り形状である。この構成は、第2端6bと直管(竪管3,横菅4)の内周面30aとの間の圧力損失を低減でき得る。
流量を向上できる。
【0089】
突起部材6-1,6-2において、直管(竪管3,横菅4)の内径をd、直管(竪管3,横菅4)の中心軸C3,C4の方向における第1端6aと第2端6bとの間の距離をLとすると、0.5d≦L≦5.0dである。この構成は、流量を向上できる。
【0090】
以上述べた配管部材10-1,10-2は、突起部材6-1,6-2と、直管(竪管3,横菅4)と、を備える。この構成は、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0091】
以上述べた配管システム1は、建物11の壁面11bに固定される竪管3と、建物11からの雨水の集水口2bと竪管3との間にある横管4と、横管4と竪管3との間にある第1屈曲管5-1と、集水口2bと横管4との間にある第2屈曲管5-2と、突起部材6-1,6-2と、を備える。突起部材6-1は、竪管3の少なくとも一部を直管として配置され、突起部材6-2は、横管4の少なくとも一部を直管として配置される。この構成は、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0092】
[1.2 実施の形態2]
[1.2.1 構成]
図16は、実施の形態2にかかる配管システム1Aの概略図である。配管システム1Aは、軒樋2と、竪管3Aと、横管4Aと、屈曲管5-1,5-2と、突起部材6A-1,6A-2と、竪管7と、ドレン8と、を備える。
【0093】
竪管3Aは、複数の配管部材で構成される。竪管3Aは、直管31,32と、直管31,32同士を接続する接続継手33と、を備える。竪管3Aは、複数の配管部材で構成される。竪菅3Aは、直管31,32と、直管31,32同士を接続する接続継手33と、を備える。直管31は、竪菅Aの下流側の部位であり、直管32は、竪菅3Aの上流側の部位である。本実施の形態では、直管31のほうが直管32より長い。直管32の第1端(図16での上端)が、竪菅3Aの上流側の端部3aを規定し、直管32の第2端(図15での下端)が接続継手33を介して直管31の第1端(図16での上端)に接続され、直管31の第2端(図16での下端)が、竪菅3Aの下流側の端部3bを規定する。一例として、直管31,32及び接続継手33の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。直管31,32の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。接続継手33の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」のソケットの規格に沿って設定されてよい。
【0094】
横管4Aは、複数の配管部材で構成される。横菅4Aは、直管41,42と、直管41,42同士を接続する接続継手43と、を備える。直管41は、横菅4Aの下流側の部位であり、直管42は、横菅Aの上流側の部位である。本実施の形態では、直管41のほうが直管42より長い。直管42の第1端(図16での左端)が、横菅4Aの上流側の端部4aを規定し、直管42の第2端(図16での右端)が接続継手43を介して直管41の第1端(図16での左端)に接続され、直管41の第2端(図16での右端)が、横菅4Aの下流側の端部4bを規定する。一例として、直管41,42及び接続継手43の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。直管41,42の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。接続継手43の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」のソケットの規格に沿って設定されてよい。
【0095】
突起部材6A-1,6A-2は、流路の向きを変える屈曲管の下流側に配置される直管内に配置されて直管の流路断面積を部分的に減少させるために用いられる。配管システム1Aにおいて、竪管3Aの直管32は、流路の向きを変える屈曲管5-1の下流側に配置され、横菅4Aの直管42は、流路の向きを変える屈曲管5-2の下流側に配置される。突起部材6A-1は、竪管3Aの少なくとも一部を直管として配置される第1突起部材である。本実施の形態では、竪管3Aの少なくとも一部は、直管32である。突起部材6A-2は、横菅4Aの少なくとも一部を直管として配置される第2突起部材である。本実施の形態では、横管4Aの少なくとも一部は、直管42である。
【0096】
突起部材6A-1,6A-2は、突起部材6A-1,6A-2が配置される直管32,42とともに配管部材10A-1,10A-2を、それぞれ構成する。本実施の形態では、突起部材6A-1と直管32とを備える配管部材10A-1が第1配管部材である。本実施の形態では、突起部材6A-2と直管42とを備える配管部材10A-2が第2配管部材である。本実施の形態では、配管部材10A-1は、竪管3全体を用いる配管部材10-1とは異なり、竪管3Aの一部(直管32)で構成されているから、配管部材10-1よりも運搬しやすい。
【0097】
突起部材6A-1,6A-2は、同じ構成である。そのため、配管部材10A-1,10A-2は、竪管3Aの直管32と横管4Aの直管42という違いがあるものの、実質的に同じ構成である。以下では、主に配管部材10A-1について詳細に説明する。当業者であれば、配管部材10A-1についての説明は、竪管3Aに関連する記載を横管4Aに関連する記載に読み替えることによって、配管部材10A-2についての説明であると容易に理解し得る。
【0098】
図17は、配管部材10A-1の構成例の斜視図であり、図18は、配管部材10A-1の分解斜視図である。図17及び図18から理解されるように、配管部材10A-1は、竪管3Aの直管32と、突起部材6A-1と、を備える。
【0099】
図18に示すように、突起部材6A-1は、竪管3Aの直管32内に配置可能な大きさ、すなわち、長さ、幅、及び高さ(厚み)を有する。突起部材6A-1の材料は、例えば、硬質ポリ塩化ビニルである。
【0100】
突起部材6A-1は、第1端6aと、第2端6bと、を有する。第1端6aと第2端6bとは、突起部材6A-1の長さ方向の両端である。突起部材6A-1の長さ方向は、竪管3Aの中心軸C3の方向に一致する。第1端6aは、上流側に向けられ、第2端6bは、下流側に向けられる。突起部材6A-1では、第1端6aから第2端6bに向かう流体の流れが生じる。
【0101】
図19は、配管部材10A-1の断面図である。図20は、図19のP2の拡大図である。図21は、図19のB-B線断面図である。図22は、配管部材10A-1の一部を切り欠いた断面図である。図23は、配管部材10A-1の平面図である。図24は、配管部材10A-1の底面図である。
【0102】
図19図24から理解されるように、突起部材6A-1は、第1端6a側においては突起部材6-1と同じ形状である。一方、突起部材6A-1は、突起部材6-1とは異なり、第2端6bに、端面68を有する。端面68は、竪管3Aの中心軸C3と交差する。本実施の形態では、端面68は、竪管3Aの中心軸C3に直交する。
【0103】
突起部材6A-1は、突起部材6-1と同様に、頂部6cと、突出部6hと、を有する。突出部6hは、頂部6cと第2端6bとの間の部位から竪管3の中心軸C3の方向から見て竪管3の中心側に延びる。本実施の形態では、突出部6hは、第2端6bにある。
【0104】
図20を参照する。竪管3の中心軸C3の方向から見た突出部6hの寸法をa、竪管3の内径をdとすると、0.01d≦a≦0.05dである。これは、流量の向上を可能にする。竪管3の中心軸C3の方向における突出部6hの寸法をb、竪管3の内径をdとすると、0.01d≦b≦0.05dである。これは、流量の向上を可能にする。
【0105】
図20では、突起部材6-1Aの高さが頂部6cから第2端6bに向かって単調に減少するとした場合の突起部材6-1Aの形状(以下、基本形状という)を2点鎖線で示す。突出部6hの寸法a,bは、この基本形状を基準として設定され得る。寸法aは、基本形状からの突出量の最大値であってよい。寸法bは、基本形状と突出部6hとの上流側の境界と下流側の境界との間の距離であってよい。
【0106】
図19に示すように、突起部材6A-1は、竪管3Aの中心軸C3の方向において、直管32内に収まる。本実施の形態では、突起部材6A-1の長さ(第1端6aと第2端6bとの間の距離)は、直管32の長さに等しい。つまり、配管部材10A-1では、突起部材6A-1全体が直管32内にある。これによって、突起部材6A-1が部分的に直管32から外部に出ている場合に比べて、突起部材6A-1を直管32で保護することができる。したがって、突起部材6A-1の破損等の可能性を低減できる。
【0107】
図25は、実施の形態2にかかる突起部材6A-1と実施の形態1にかかる突起部材6-1との比較図である。図25から、突起部材6A-1は、突起部材6-1の第2端6b側の部位を、竪管3Aの中心軸C3に直交する方向でカットした形状であるといえる。ただし、突起部材6A-1においても、突出部6hが、頂部6cと第2端6bとの間にある。突起部材6A-1の高さは、頂部6cから突出部6hに向かって単調に減少する。突起部材6A-1の長さを下流側に延長したとすれば、突起部材6A-1は、仮想的に、突起部材6A-1の高さが0になる部位を有する。突起部材6A-1の高さが0になる部位が、突起部材6-1の第2端6bに対応し得る。
【0108】
突起部材6A-1は、突起部材6-1に比べて、竪管3Aの中心軸C3の方向での寸法を小さくできる。特に、突起部材6A-1は、突起部材6-1において直管32から外部に出る第2端6b側の部位をカットした形状である。つまり、突起部材6-1を直管32に配置した場合、突起部材6-1の第2端6b側の部位が、直管32の第2端から外方に突出する。突起部材6-1の第2端6bは厚みが薄いため、破損しやすい。よって、突起部材6-1を直管32に配置した場合、運搬時等に突起部材6-1が破損する可能性がある。これに対して、突起部材6A-1はその全体が直管32内にあるから、突起部材6A-1の破損等の可能性を低減できる。
【0109】
突起部材6A-1は、突起部材6-1に比べて竪管3Aの中心軸C3の方向の寸法を小さくでき、破損を防止できるという利点がある。このような突起部材6A-1と突起部材6-1との間の形状の変化は、圧力損失の変化も引き起こし得る。そこで、突起部材6-1と突起部材6A-1の形状の違いに起因する圧力損失の変化について評価をした。図26は、突起部材6-1に対する突起部材6A-1による圧力損失の変化を示すグラフである。
【0110】
図26のグラフにおいて、縦軸は、配管部材での圧力損失を示す。横軸は、長さの割合[%]を示す。長さの割合[%]は、突起部材6-1における頂部6cから第2端6bまでの距離に対する、突起部材6A-1における頂部6cから第2端6bまでの距離の百分率である。
【0111】
図19及び図25では、竪管3Aの中心軸C3の方向における突起部材6A-1の第1端6aと第2端6bとの間の距離はL’で表される。竪管3Aの中心軸C3の方向における突起部材6A-1の頂部6cと第2端6bとの間の距離はL2’で表される。図25では、竪管3Aの中心軸C3の方向における突起部材6A-1の第2端6bと突起部材6-1の第2端6bとの間の距離は、ΔLで表される。L2=L2’+ΔLであり、L=L’+ΔLである。長さの割合[%]は、L2’/L2×100で求められる。
【0112】
図26において、長さの割合が100%であることは、突起部材6A-1の形状が突起部材6-1の形状と等しいことを示す。長さの割合が0%であることは、突起部材6A-1が第1端6aから頂部6cまでの形状であることを示す。突起部材6A-1の高さは、頂部6cから第2端6bに向かって単調に減少する。よって、長さの割合が減少するほど、第2端6bでの突起部材6A-1の高さは高くなる。図26から、長さの割合が減少するほど、圧力損失の低減の効果が減少していることが理解される。ただし、長さの割合と圧力損失との関係は直線的ではなく、長さの割合の減少に対して圧力損失が指数関数的に増加する。つまり、長さの割合の減少に対する圧力損失の増加は、比較的緩やかである。つまり、長さの割合の減少に対する圧力損失の低減の効果の減少は限定的であるといえる。このような点を考慮し、L2’は、以下の条件を満たすように設定される。すなわち、頂部6cでの突起部材6A-1の高さをH1、第2端6bでの突起部材6A-1の高さをH2とすると、0.05H1≦H2≦0.90H1である。これによって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。特に、突起部材6A-1の長さを、突起部材6-1に比べて短くできる。そのため、突起部材6A-1の小型化が可能になる。さらに、突起部材6A-1は、突起部材6-1に比べて、突起部材6A-1の下流側の部位において厚みが薄い部位が少なくなるから、突起部材6A-1の破損の可能性を低減でき得る。
【0113】
実施の形態1で述べたように、突起部材6-1においては、0.5d≦L≦5.0dであるとよい。これによって、屈曲管5-1から下流側での剥離に起因する圧力損失の発生をより低減し得る。したがって、小型化を可能にしながら流量を向上できる。ここで、上述したように、L=L1+L2’+ΔLである。そして、頂部6cから第2端6bまでの突起部材6-1の高さの単位長さ当たりの減少量が一定であるとすれば、(H1-H2)/L2’=H2/ΔLである。つまり、ΔL=H2/(H1-H2)×L2’である。よって、0.5d≦L≦5.0dの式は、L1,L2’を用いて、0.5d≦L1+H1/(H1-H2)×L2’≦5.0dと書き換えられる。したがって、突起部材6A-1において、直管32の内径をd、直管32の中心軸C3の方向における第1端6aと頂部6cとの間の距離をL1、直管32の中心軸C3の方向における頂部6cと第2端6bとの間の距離をL2’とすると、0.5d≦L1+H1/(H1-H2)×L2’≦5.0dであるとよい。
【0114】
[1.2.2 効果等]
以上述べた突起部材6A-1,6A-2は、第2端6bに、直管32,42の中心軸C3,C4に交差する端面68を有する。この構成は、小型化を可能にしながら流量を向上できる。この構成は、突起部材6A-1,6A-2の第2端6bでの破損の可能性を低減でき得る。
【0115】
突起部材6A-1,6A-2において、頂部6cでの高さをH1、第2端6bでの高さをH2とすると、0.05H1≦H2≦0.90H1である。この構成は、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0116】
突起部材6A-1,6A-2において、直管32,42の内径をd、直管32,42の中心軸C3,C4の方向における第1端6aと頂部6cとの間の距離をL1、直管32,42の中心軸C3,C4の方向における頂部6cと第2端6bとの間の距離をL2’とすると、0.5d≦L1+H1/(H1-H2)×L2’≦5.0dである。この構成は、小型化を可能にしながら流量を向上できる。
【0117】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0118】
なお、以下では、上記の実施の形態1,2のいずれにおいても適用可能であっても、実施の形態1において用いた符号に言及するが、これは、単に記載を簡略化するためであって、実施の形態2への適用を排除する趣旨ではない。
【0119】
一変形例において、突出部6hの位置は、第2端6bに限定されず、頂部6cと第2端6bとの間であってよい。一変形例において、突起部材6-1は、頂部6cと第2端6bとの間に複数の突出部6hを有してよい。突出部6hは、突起部材6-1に一体的に形成されてもよいし、別体に形成されて取り付けられてもよい。
【0120】
一変形例において、突起部材6-1において、第1側面62及び第2側面63は、竪管3の中心軸C3に沿った突起部材6-1の中心線に対して、非対称となる形状であってよい。配管システム1又は配管部材10の設置環境等に応じて、第1側面62及び第2側面63の形状は個別的に設定されてよく、必ずしも、竪管3の中心軸C3に沿った突起部材6-1の中心線に対して、対称となる形状でなくてもよい。
【0121】
一変形例において、突起部材6-1は、必ずしも接触端面66を有している必要はない。
【0122】
一変形例において、突起部材6-1の突起67の形状、数及び配置は、竪管3の凹部3cの形状、数及び配置に応じて適宜変更されてよい。凹部3cは、切り欠きではなく、穴であってよい。凹部3cの位置は、上流側の端部3の縁に限られない。突起67及び凹部3cは、竪管3に対する突起部材6-1の位置決めが容易になるように設けられることが好ましい。ただし、突起部材6-1は、必ずしも突起67を有している必要はない。
【0123】
一変形例において、突起部材6-1は、竪管3とは別の部材ではなく、竪管3に一体的に形成されてよい。これは、竪管3の内周面30aが、突起部材6-1の主面61並びに第1及び第2側面62,63を含むことに等しい。
【0124】
一変形例において、突起部材6-1,6-2は、必ずしも同じ構成又は構造である必要はない。例えば、突起部材6-1,6-2との少なくとも一方において、0.1L≦L1≦0.5L、A1/A≦0.4、又は、0.5d≦L≦5.0dのいずれか一つ以上を満たしてよい。
【0125】
一変形例において、突起部材6-1,6-2は、必ずしも同じ形状及び寸法である必要はなく、異なる形状及び寸法であってよい。つまり、突起部材6-1,6-2の形状及び寸法については、突起部材6-1,6-2が配置される場所等に応じて適宜設定されてよい。
【0126】
一変形例において、突起部材6-1は、全体が竪管3内に収まっている必要はない。特に、突起部材6-1の第2端6bは、竪管3から外部に突出してよい。
【0127】
一変形例において、突起部材6-1の材料は、必ずしも硬質ポリ塩化ビニルでなくてもよい。突起部材6-1の材料は、配管システム1に求められる要件にしたがって決定されてよく、例えば、ポリエチレン等の合成樹脂であってもよい。また、突起部材6-1の材料は、合成樹脂ではなく、金属であってもよい。
【0128】
一変形例において、配管システム1の一部又は全部の形状及び大きさは、上記の実施の形態と異なっていてよい。例えば、上記実施の形態とは異なり、配管システム1において、屈曲管5-1,5-2の形状、竪管3の形状、横管4の形状は、円形状ではなく、多角形状であってよい。
【0129】
一変形例において、屈曲管5-1,5-2は、JIS K 6739で規定される90°曲がりエルボ(所謂、DL)に限定されない。屈曲管5-1,5-2は、JIS K 6739で規定される90°大曲がりエルボ(所謂、LL)、45°エルボ(所謂、45L)であってよい。屈曲管5-1,5-2の寸法は、必ずしも、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の規格に沿って設定される必要はない。
【0130】
一変形例において、配管システム1は、必ずしも軒樋2を備えていなくてもよい。例えば、建物11がバルコニーのような集水口を備える構造を有する場合には、配管システム1の屈曲管5-2が建物11の集水口に接続されてよい。
【0131】
一変形例において、配管システム1は、突起部材6-1,6-2の一方だけを備えてよい。したがって、配管システム1は、建物11の壁面11bに固定される竪管3と、建物11からの雨水の集水口2bと竪管3との間にある横管4と、横管4と竪管3との間にある第1屈曲管5-1と、集水口2bと横管4との間にある第2屈曲管5-2と、1以上の突起部材6-1,6-2と、を備え、1以上の突起部材6-1,6-2は、横管4又は竪管3の少なくとも一部を直管として配置されてよい。
【0132】
一変形例において、ドレン8は、一般的にサイフォン現象の発生又は促進に寄与しないと考えられる構造のドレンであってよい。一変形例において、配管システム1は、必ずしもドレン8を備えていなくてもよい。ドレン8は、配管システム1において必須の構成ではなく、配管システム1の設置環境等を考慮して適宜設けられればよい。
【0133】
一変形例において、配管システム1は、必ずしも竪管7を備えていなくてもよい。竪管7は、配管システム1において必須の構成ではなく、配管システム1の設置環境等を考慮して適宜設けられればよい。
【0134】
一変形例において、配管システム1は、排水システムの一種である雨樋システムに限らず、下水システム等のその他の排水システムであってもよいし、上水システム等の給水システムにも適用され得る。つまり、突起部材又は配管部材は、給水又は排水を行うシステムにおいて利用され得る。
【0135】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。
【0136】
[態様1]
流路の向きを変える屈曲管の下流側に配置される直管内に配置されて前記直管の流路断面積を部分的に減少させる突起部材であって、
上流側に向けられる第1端と下流側に向けられる第2端との間にあって前記直管の流路断面積を最も小さくする頂部と、
前記頂部と前記第2端との間の部位から前記直管の中心軸の方向から見て前記直管の中心側に延びるが、前記頂部よりは突出しない突出部と、
を備える、
突起部材。
【0137】
[態様2]
前記突出部は、前記第2端にある、
態様1の突起部材。
【0138】
[態様3]
前記直管の中心軸の方向から見た前記突出部の寸法をa、前記直管の内径をdとすると、
0.01d≦a≦0.05dである、
態様1の突起部材。
【0139】
[態様4]
前記突起部材の幅方向から見た前記突出部の角の曲率半径をrとすると、
r≦aである、
態様3の突起部材。
【0140】
[態様5]
前記直管の中心軸の方向における突出部の寸法をb、前記直管の内径をdとすると、
0.01d≦b≦0.05dである、
態様1~3のいずれか一つの突起部材。
【0141】
[態様6]
前記突起部材の幅方向から見た前記突出部の角の曲率半径をrとすると、
r≦bである、
態様5の突起部材。
【0142】
[態様7]
前記直管の中心軸の方向における前記第1端と前記第2端との間の距離をL、
前記直管の中心軸の方向における前記第1端と前記頂部との間の距離をL1とすると、
0.1L≦L1≦0.5Lである、
態様1~6のいずれか一つの突起部材。
【0143】
[態様8]
前記直管の最大流路断面積をA、
前記頂部での前記突起部材の断面積をA1とすると、
A1/A≦0.4である、
態様1~7のいずれか一つの突起部材。
【0144】
[態様9]
前記突起部材の幅方向から見て、前記第2端は、先細り形状である、
態様1~8のいずれか一つの突起部材。
【0145】
[態様10]
前記直管の内径をd、
前記直管の中心軸の方向における前記第1端と前記第2端との間の距離をLとすると、
0.5d≦L≦5.0dである、
態様9の突起部材。
【0146】
[態様11]
前記第2端に、前記直管の中心軸と交差する端面を備える、
態様1~8のいずれか一つの突起部材。
【0147】
[態様12]
前記頂部での高さをH1、前記第2端での高さをH2とすると、
0.05H1≦H2≦0.90H1である、
態様11の突起部材。
【0148】
[態様13]
前記直管の内径をd、
前記直管の中心軸の方向における前記第1端と前記頂部との間の距離をL1、
前記直管の中心軸の方向における前記頂部と前記第2端との間の距離をL2’とすると、
0.5d≦L1+H1/(H1-H2)×L2’≦5.0dである、
態様12の突起部材。
【0149】
[態様14]
態様1~13のいずれか一つの突起部材と、
直管と、
を備える、
配管部材。
【0150】
[態様15]
建物の壁面に固定される竪管と、
建物からの雨水の集水口と竪管との間にある横管と、
横管と竪管との間にある第1屈曲管と、
集水口と横管との間にある第2屈曲管と、
態様1~13のいずれか一つの1以上の突起部材と、
を備え、
1以上の突起部材は、横管又は竪管の少なくとも一部を直管として配置される、
配管システム。
【0151】
態様2~13は、任意であり、必須ではない。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本開示は、突起部材、配管部材、及び、配管システムに適用可能である。具体的には、流路断面積を変化させるための突起部材、突起部材を備える配管部材、及び、配管部材を備える配管システムに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0153】
1,1A 配管システム
2b 集水口
3,3A 竪管(直管)
32 直管
4,4A 横菅(直管)
42 直管
5-1 屈曲管(第1屈曲管)
5-2 屈曲管(第2屈曲管)
6-1,6-2,6A-1,6A-2 突起部材
6a 第1端
6b 第2端
6c 頂部
6h 突出部
68 端面
10-1,10-2,10A-1,10A-2 配管部材
C3,C4 中心軸
図1
図2
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図5
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