(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】冷蔵機能付き宅配ロッカー
(51)【国際特許分類】
F25D 13/02 20060101AFI20241206BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20241206BHJP
A47G 29/20 20060101ALI20241206BHJP
A47G 29/124 20060101ALI20241206BHJP
A47F 3/04 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
F25D13/02
F25D23/02 306B
A47G29/20
A47G29/124
A47F3/04 E
(21)【出願番号】P 2023501937
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007259
(87)【国際公開番号】W WO2022180765
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-097120(JP,A)
【文献】特開2019-134902(JP,A)
【文献】特開2020-070959(JP,A)
【文献】特開2017-198360(JP,A)
【文献】特開2019-205793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/04
A47G 29/12 - 29/30
F25D 11/00 - 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口を有するケース本体と、
前記ケース本体の内部を冷却する冷却装置と、
前記ケース本体の内部に設けられ、荷物を収容可能である複数の荷物室と、
前記複数の荷物室の開口を塞ぐように、前記ケース本体に支持された複数のケース扉と、
前記複数のケース扉のそれぞれの外側に配置され、前記複数のケース扉のそれぞれの開放を規制する複数の施錠部付き扉と、
を備え
、
前記複数の施錠部付き扉のそれぞれは、前記ケース本体の前側に立設する支柱の側面に固定された取付部に結合されている、
冷蔵機能付き宅配ロッカー。
【請求項2】
前面に開口を有するケース本体と、
前記ケース本体の内部を冷却する冷却装置と、
前記ケース本体の内部に設けられ、荷物を収容可能である複数の荷物室と、
前記複数の荷物室の開口を塞ぐように、前記ケース本体に支持された複数のケース扉と、
前記複数のケース扉のそれぞれの外側に配置され、前記複数のケース扉のそれぞれの開放を規制する複数の施錠部付き扉と、
を備え、
前記ケース扉は、上下両端及び左右両端に設けられた4つのフレームと、4つのフレームの内周に保持された扉用ガラス板とを含み、
前記施錠部付扉は、前記扉用ガラス板より上下方向の長さが小さい、
冷蔵機能付き宅配ロッカー。
【請求項3】
請求項2に記載の冷蔵機能付き宅配ロッカーにおいて、
前記ケース本体の左右両側の側面には、本体用ガラス板が設けられる、
冷蔵機能付き宅配ロッカー。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷蔵機能付き宅配ロッカーにおいて、
前記複数の施錠部付き扉のそれぞれは、施錠部として電子錠を有する、
冷蔵機能付き宅配ロッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵機能付き宅配ロッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されているように、内部に収容室が形成され、冷却装置により、収容室に冷却された空気を供給する冷蔵宅配ボックス(冷蔵機能付き宅配ロッカー)が知られている。これにより、宅配業者が冷蔵宅配ボックスに、冷蔵を必要とする宅配物を収容可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既存の冷蔵機能がない宅配ロッカーに、宅配物を低温で保管するための冷蔵機能を付加することは、既存の宅配ロッカーからの設備の変更負荷が大きいため、コストの増大につながる可能性がある。また、宅配ロッカーの扉に施錠部を設ける場合に施錠部の種類によっては、内部の冷却性能が阻害される可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、既存の構造を利用して容易に実現可能であり、施錠部の種類にかかわらず荷物室の冷却性能の阻害を防止できる冷却機能付き宅配ロッカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の冷却機能付き宅配ロッカーは、前面に開口を有するケース本体と、ケース本体の内部を冷却する冷却装置と、ケース本体の内部に設けられ、荷物を収容可能である複数の荷物室と、複数の荷物室の開口を塞ぐように、ケース本体に支持された複数のケース扉と、複数のケース扉のそれぞれの外側に配置され、複数のケース扉のそれぞれの開放を規制する複数の施錠部付き扉と、を備える、冷蔵機能付き宅配ロッカーである。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る冷蔵機能付き宅配ロッカーによれば、前面に開口を有するケース本体と、ケース本体の内部を冷却する冷却装置とを備える既存の冷却機能付きボックスを利用して、ケース本体に複数のケース扉と複数の施錠部付き扉とを支持し、複数のケース扉の外側に複数の施錠部付き扉を配置することにより、冷蔵機能付き宅配ロッカーを容易に実現できる。しかも、ケース扉に施錠部を設ける必要がないので、施錠部の種類にかかわらず、ケース扉の設置によってケース本体内の冷却性能が阻害されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の冷蔵機能付き宅配ロッカーの概略斜視図である。
【
図2】
図1の冷蔵機能付き宅配ロッカーの基本構成を説明するための概略A-A断面図である。
【
図3】
図1の冷蔵機能付き宅配ロッカーを実現するために利用する既存の冷却機能付きボックスの斜視図である。
【
図4】
図1の冷蔵機能付き宅配ロッカーを構成する扉ユニットを前側から見た斜視図である。
【
図6】
図4の扉ユニットを後側から見た斜視図である。
【
図11】
図4の扉ユニットの上部を右側から見た図である。
【
図12】
図4の扉ユニットから上側の施錠部付き扉の扉本体を分離させた状態を示す斜視図である。
【
図13】
図12の上部において、ロックプレートホルダを省略した状態を左側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料及び個数は、説明のための例示であって、冷蔵機能付き宅配ロッカーの仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0010】
以下の説明及び図面で、Rは、冷蔵機能付き宅配ロッカーのケース扉を閉じた状態で冷蔵機能付き宅配ロッカーの外側からケース扉がある前面に向かって見た場合の右側であり、Lは、同じく左側であり、Fは、冷蔵機能付き宅配ロッカーの正面側である前側であり、Bは、冷蔵機能付き宅配ロッカーの裏側である後側である。R及びLを結ぶ方向と、F及びBを結ぶ方向とは、互いに直交する。
【0011】
図1は、実施形態の冷蔵機能付き宅配ロッカー12の概略斜視図である。
図2は、冷蔵機能付き宅配ロッカー12の基本構成を説明するための概略A-A断面図である。冷蔵機能付き宅配ロッカー12は、例えばマンションなどの集合住宅のエントランスホール等の共用部や、店舗内、または駅等の公共施設等に設置され、宅配される荷物(図示せず)を無人で受け取り可能である。特に、宅配される荷物が、冷蔵を必要とする食品、薬品等の宅配物である場合に、本例の構造で得られる効果が高い。冷蔵機能付き宅配ロッカー12は、荷物の配達員が荷物を預けるとともに、施錠部付き扉60を施錠することにより、その解錠が可能な荷物の受取人のみが荷物を取り出すことを可能とする。以下では、「冷蔵機能付き宅配ロッカー12」は、「宅配ロッカー12」と記載する。
【0012】
まず、宅配ロッカー12の基本構成を説明する。宅配ロッカー12は、地面、床等に設置される略直方体状の基部ボックス14と、基部ボックス14の上に設置された略直方体状のケース本体18と、基部ボックス14内に設置された冷却装置15とを備える。基部ボックス14の底面には複数の脚部16が固定される。ケース本体18の内部には、上下に分かれた2つの荷物室19,20が設けられる。2つの荷物室19,20は、仕切り部21で仕切られる。仕切り部21は、例えば金属製の網棚である。仕切り部21は、複数の上下方向の貫通孔が形成された板部としてもよい。2つの荷物室19,20は、基部ボックス14内に設置された冷却装置15から供給される冷却風によって冷却する必要があるので、仕切り部21は、2つの荷物室19,20の間での空気の流通を可能とする形状に形成される。
【0013】
ケース本体18は、基部ボックス14の上面四隅に立設する4つの支柱22,23,24,25と、4つの支柱22,23,24,25の上端に固定される天井部50と、隣り合う2つの支柱22,23,24,25の間に結合され、ケース本体18の右側面、左側面及び後側面を形成する3つの透明、または半透明のガラス板51とを含んで構成される。
【0014】
図2に略示するように、各支柱22,23,24,25は、ガラス板51を保持する樹脂製フレーム26と、樹脂製フレーム26に隣接して取り付けられ樹脂製フレーム26を補強する鉄等の金属製フレーム30との組み合わせによって形成される。
【0015】
冷却装置15は、例えば蒸発器、圧縮機、凝縮器、送風機等を有し、冷媒が循環することで蒸発器を通過する空気を冷却する冷凍サイクル装置によって形成されてもよい。冷却装置15で冷却された空気は、送風機により空気を2つの荷物室19,20に循環させ、2つの荷物室19,20を冷却する構成としてもよい。
【0016】
さらに、宅配ロッカー12は、ケース本体18の前面の開口である2つの荷物室19,20の開口18aを塞ぐように、ケース本体18に開閉可能に支持された2つのケース扉40,41と、2つのケース扉40,41のそれぞれの外側に配置されるように、ケース本体18にヒンジ結合で支持された2つの施錠部付き扉60とを備える。各施錠部付き扉60は、閉鎖状態で、対応する内側のケース扉40,41の開放を規制する
【0017】
各ケース扉40,41は、略矩形の4辺をそれぞれ形成する4つの樹脂製のケースフレーム42,43,44,45と、4つのケースフレーム42,43,44,45の内周に保持されたガラス板
52とを含む。各ケース扉40,41の右端部の上端及び下端には、ヒンジ孔47(
図2)が設けられる。ヒンジ孔47には、ケース本体18に直接、または他の部材を介して固定されたヒンジピンP1(
図2)が挿入される。これにより、各ケース扉40,41は、ケース本体18に対し開閉可能に支持される。さらに、各ケース扉40、41において、ケース本体18の前端に設けられた左端の支柱23を形成する金属製フレーム31と対向する部分には、磁石48(
図2)が固定される。これにより、各ケース扉40,41は、荷物室19,20の前端開口を閉鎖した状態で磁石48が金属製フレーム31に磁力で吸着されて、閉鎖状態が維持される。
【0018】
さらに、ケース本体18の前側の右端に立設する支柱22の右側の外側面には、施錠部付き扉60の取付部であるヒンジ70(
図2)の一端が固定される。各施錠部付き扉60において、ケース扉40,41のヒンジ70結合側端部である右端部は、ヒンジ70に結合される。これにより、各施錠部付き扉60は、ケース本体18にヒンジ70を介して支持される。このため、各施錠部付き扉60は、ケース扉40,41の回動軸であるヒンジピンP1よりも後側にある、ヒンジ70の回動軸P2を中心に、ケース扉40,41の開放を制限することなく、約180度等に大きく開くことができる。
【0019】
さらに、各施錠部付き扉60は、鍵穴を有する錠装置、及び無線信号を受信する受信部を有する施錠部としての施錠装置61を有する。施錠装置61は、施錠部付き扉60の電気的な施錠及び解錠を可能とする電子錠であり、施錠部付き扉60の閉鎖状態で、ケース本体18に固定されたロックプレート80の係止孔に進退可能なラッチ62と、ラッチ62の退避を阻止するロック機構(図示せず)とを有する。ロック機構は、錠装置の鍵穴に鍵を挿入し回転させたり、カードキーや、スマートフォン等の携帯端末から、扉の解錠または施錠を表す無線信号を受信部で受信したときに、ロックとアンロックとが切り換えられる。施錠装置61のロック状態では、ラッチ62の係止孔からの退避が阻止されることで、施錠部付き扉60が施錠される。この状態で、施錠部付き扉60は、内側のケース扉40,41の開放を規制する。施錠装置61のアンロック状態では、ラッチ62の係止孔からの退避が許可されることで、施錠部付き扉60が解錠される。これにより、施錠部付き扉60が開放され、その状態で、ケース扉40,41の開放が可能となる。
【0020】
図3は、宅配ロッカー12を実現するために利用する既存の冷却機能付きボックス100の斜視図である。上記の宅配ロッカー12は、
図3に示す既存の冷却機能付きボックス100を利用して容易に実現することができる。冷却機能付きボックス100は、例えば内部に設けられた収容室101の外側が右側面、左側面、及び後側面を形成するガラス板51で囲まれたケース本体18を備え、収容室101の内部に1つ以上の仕切り部21が設けられる既存の冷蔵ショーケースである。冷却機能付きボックス100は、収容室101の内部に複数の仕切り部が設けられていてもよい。
【0021】
このような冷却機能付きボックス100は、広く普及されているので、宅配ロッカー12を実現するために容易に利用できる。冷却機能付きボックス100は、前面に開口を有するケース本体18と、ケース本体18の内部を冷却する冷却装置15とを備える点で、宅配ロッカー12と共通する。一方、冷却機能付きボックス100は、宅配ロッカー12と異なり、ケース本体18の前端の開口を塞ぐように大型のケース扉102が1つのみ、ケース本体18に開閉可能に支持される。ケース扉102は、略矩形の板ガラス103の四辺に枠部材(図示せず)が取り付けられることにより形成され、ケース本体18にヒンジ結合される。ケース扉102の左端で、ケース本体18の金属製フレームと対向する部分には、磁石(図示せず)が固定される。磁石は、ケース扉102の閉鎖状態で金属製フレームに吸着されることにより、ケース扉102の閉鎖状態を維持する。
【0022】
上記の冷却機能付きボックス100を利用して、本実施形態の宅配ロッカー12を実現する場合には、冷却機能付きボックス100の前側からケース扉102と、前端の左右両端に配置された2つの支柱22,23とを取り外す。そして、
図1に示した、前端の2つの支柱22,23と、2つのケース扉40,41と、2つの施錠部付き扉60とを含む構造を扉ユニット13(
図4)として、扉ユニット13を、ケース本体18の前端の2つの支柱22,23がない構造に組み合わせる。これにより、ケース本体18の前側に2つのケース扉40,41が支持され、さらにその前側に2つの施錠部付き扉60が支持された宅配ロッカー12を実現できる。
【0023】
以下、
図4~
図13を用いて、扉ユニット13の構成を、より詳しく説明する。
図4は、扉ユニット13を前側から見た斜視図である。
図5は、扉ユニット13を前側から見た図である。
図6は、扉ユニット13を後側から見た斜視図である。
図7は、
図6の上部の拡大斜視図である。
【0024】
扉ユニット13は、ケース本体18の前端に配置される2つの支柱22,23と、2つのケース扉40,41と、2つの施錠部付き扉60とを含んで構成される。
図7に示すように、2つの支柱22,23は、樹脂製フレーム26,27と、金属製フレーム30,31とを含んで構成される。金属製フレーム30,31は、断面L字形で、上下方向に長尺な部材である。金属製フレーム30,31は、左右方向について、内側に隣接する樹脂製フレーム26,27に接着、またはネジ止めにより結合することができる。
図6において、各支柱22,23は、右側の支柱22で代表して示すように、支柱22を形成する樹脂製フレーム26の左右方向内側面の上下方向複数位置に、仕切り部21(
図1)に設けた係止部(図示せず)を係止するための係止孔26aが形成される。2つの樹脂製フレーム26,27の上下方向中間部には、横長で後端が開口した略箱状の中間ブラケット71の左右両端がネジ結合される。これにより、2つの樹脂製フレーム26,27が連結されるので、2つの支柱22,23の強度向上が図られる。
【0025】
図8は、
図6の上方から見た図である。
図9は、
図8のB部拡大図であり、
図10は、
図8のC部拡大図である。各樹脂製フレーム26,27は、左右方向外側端部に後端が開口した断面略U字形の差し込み部26b、27bが形成される。各差込み部26b、27bには、ケース本体18の左右方向両端に配置されるガラス板51(
図1)が差し込んで固定される。
【0026】
図4、
図5に示すように、各ケース扉40,41は、略矩形の4辺をそれぞれ形成する4つの樹脂製のケースフレーム42,43,44,45と、4つのケースフレーム42,43,44,45の内周に形成された溝(図示せず)に保持されたガラス板52とを含む。2つのケース扉40,41は、上下方向の隙間を介して対向する。
【0027】
一方、2つの樹脂製フレーム26,27の前端において、中間ブラケット71の前側に対向する部分には略矩形板状の中間プレート72がかけ渡されて固定されている。中間プレート72の上端は、上側のケース扉40の下端のケースフレーム45の後側面に近接対向、または接触する。中間プレート72の下端は、下側のケース扉41の上端のケースフレーム42の後側面に近接対向、または接触する。これにより、2つのケース扉40,41の隙間を通じて荷物室19,20(
図1)内の冷気が外部に漏れ出ることが抑制される。
【0028】
上側のケース扉40の上端面と、下側のケース扉41の下端面とに位置する、2つのケースフレーム42,45の右端の上下方向外端には、ヒンジプレート73が固定される。ヒンジプレート73の右端には、上下に貫通する外ヒンジ孔74が形成される。上側のケース扉40の外ヒンジ孔74には、ケース本体18の天井部50(
図1)に固定されたヒンジピンP1(
図2)が挿入される。
【0029】
上側のケース扉40の下端面と、下側のケース扉41の上端面とに位置する、2つのケースフレーム45,42の右端の上下方向内端には、上下に貫通する内ヒンジ孔(図示せず)が形成される。内ヒンジ孔には、右端の金属製フレーム30の前端板部30a(
図9)に固定されたピン支持部75(
図4)に上下方向に突出形成されたヒンジピン(図示せず)が挿入される。内ヒンジ孔と外ヒンジ孔74とは、上下方向に沿う同一軸線上に位置する。これにより、各ケース扉40,41は、ケース本体18に開閉可能に支持される。各ケース扉40,41の左側端部の後側面で左端の金属製フレーム31と対向する部分には、扉閉状態を維持するための磁石48(
図2)が固定される。ケース扉40,41の各ケースフレーム42,43,44,45の後側面には、扉閉鎖時に前端の支柱22,23の前面に押し付けるためのゴムパッキンが装着されることにより、扉閉鎖時の気密性を確保するようにしてもよい。
【0030】
後述の
図13に示すように、左端の金属製フレーム31の左側面には、前側に突出するようにロックプレート80がねじ止め固定される。ロックプレート80の前端部には、後述する施錠装置61のラッチ62の先端を挿入可能な係止孔80aが形成される。
図6、
図7に示すように、ロックプレート80(
図13)の周囲は、左端の金属製フレーム31の左側面に固定されたケース状のロックプレートホルダ76により覆われる。
【0031】
図11は、扉ユニット13の上部を右側から見た図である。
図12は、扉ユニット13から上側の施錠部付き扉60の扉本体63を分離させた状態を示す斜視図である。右端の金属製フレーム30の右側面には、上下2つの固定側ヒンジプレート77を介して、2つのヒンジ70の一端がねじ止め固定される。ヒンジ70の他端には、施錠部付き扉60を構成する扉側ヒンジプレート64がねじ止め固定される。施錠部付き扉60は、扉側ヒンジプレート64と、扉側ヒンジプレート64の前側に固定された扉本体63と、扉本体63に装着された施錠装置61とを含んで構成される。扉側ヒンジプレート64は、施錠部付き扉60の閉鎖状態で、閉鎖状態のケース扉40,41のガラス板52と対向する。扉側ヒンジプレート64の前側には、ブラケット65を介して扉本体63の右側部分が固定される。
【0032】
扉本体63は、後端が開口する略箱状であり、前端の板部63aの左側には略矩形の開口63bが形成される。施錠装置61は、扉本体63の右側部分に収容された状態で固定され、その状態で施錠装置61の前面が、開口63bを通じて扉本体63の前側に露出する。
【0033】
図13に示すように、施錠装置61は、扉本体63に固定されるケーシング61aと、ケーシング61aに回動可能に支持されたラッチハンドル61bと、鍵穴を有する錠装置61cと、無線信号を受信する受信部61dと、ラッチハンドル61bに連動して、ケーシング61aの左端から突出または内側に退避されるラッチ62と、ラッチ62の退避を阻止するロック機構(図示せず)とを有する。ラッチ62は、施錠部付き扉60の閉鎖状態で、ケース本体18に固定されたロックプレート80の係止孔80aに進退可能である。ロック機構は、上記のように錠装置61cまたは受信部61dを用いてラッチ62の退避を阻止し、施錠部付き扉60を閉鎖状態とする。これにより、施錠部付き扉60は、ケース本体18の前側の右端に立設する支柱22の右側の外側面に固定されたヒンジ70に結合される。このため、各施錠部付き扉60は、ケース本体18にヒンジ70を介して支持される。また、施錠部付き扉60は、ケース扉40,41の外側に配置され、閉鎖状態で、内側のケース扉40,41の開放を規制する。
【0034】
さらに、施錠装置61は、図示は省略するが、電池を含む電源部と、電源部から電力を供給される制御装置と、制御装置により駆動される電動アクチュエータとを備える。電動アクチュエータは、ロック機構を構成し、受信部61dに受信される信号に応じてラッチ62のロック状態とアンロック状態とを切り換える。例えば、宅配業者等が、荷物室19,20(
図1)に冷却を必要とする荷物を入れた後、ケース扉40,41と施錠部付き扉60とを閉めて、携帯端末で所定の識別情報を表す信号と、施錠を表す信号とを受信部61dに送信することで、施錠部付き扉60を施錠することができる。荷物の受取側のユーザは、携帯端末で所定の識別情報を表す信号と、解錠を表す信号とを受信部61dに送信することで、施錠部付き扉60を解錠することができる。受信部61dで受信する無線信号は、BLE規格の信号としてもよい。
【0035】
なお、施錠装置61にテンキー入力部を設けて、テンキー入力部で暗証番号を押すことで、施錠部付き扉60の施錠または解錠を可能とする構成としてもよい。また、本例の構成で電子錠を設けず、錠装置61cの鍵穴に挿入された鍵の回転のみにより、施錠部付き扉60の施錠または解錠を可能とする構成としてもよい。また、施錠装置は、ダイヤル錠で施錠部付き扉の施錠または解錠を可能とする構成としてもよい。
【0036】
上記の宅配ロッカー12によれば、前面に開口を有するケース本体18と、ケース本体18の内部を冷却する冷却装置15とを備える既存の冷却機能付きボックス100を利用して、ケース本体18に複数のケース扉40,41と複数の施錠部付き扉60とを支持し、複数のケース扉40,41の外側に複数の施錠部付き扉60を配置することにより、宅配ロッカー12を実現できる。このとき、既存の冷却機能を持たない宅配ロッカーに冷却機能を持たせる場合と異なり、宅配ロッカー12を容易に実現できる。
【0037】
しかも、各ケース扉40,41に施錠部を設ける必要がないので、施錠部の種類、例えば電子錠の有無にかかわらず、各ケース扉40,41の設置によってケース本体18内の冷却性能が阻害されることを防止できる。例えば、施錠部を電子錠とする場合、電子錠の種類によっては通電によって発熱を伴う場合があるので、ケース扉に施錠部を設けた場合に、ケース本体18内の冷却性能が阻害される可能性がある。実施形態では、ケース扉40,41より外側に配置される施錠部付き扉60に施錠装置61が設けられるので、このような不都合を防止できる。
【0038】
なお、施錠部付き扉は、ケース本体18の開口を開閉するものではなく、ケース扉40,41の開放を規制する機能を有していればよい。例えば、施錠部付き扉は、上下方向の高さが、ケース扉40,41に対してかなり小さいバー状の部材であって、ケース扉40、41の開放を規制するものであってもよい。
【0039】
また、上記の実施形態では、扉ユニット13を、既存の冷却機能付きボックス100のケース本体18の前端の2つの支柱がない構造に組み合わせる場合を説明した。一方、既存の冷却機能付きボックス100の前端の2つの支柱22,23はそのまま利用して、2つの支柱22,23にロックプレート80や、ヒンジ70等を固定する等により、冷蔵機能付き宅配ロッカーを実現してもよい。
【0040】
また、本開示の構成において、冷蔵機能付き宅配ロッカーのケース本体及びケース扉は、ガラス板を有する構成に限定せず、ケース本体の側面及びケース扉は、光透過性がない板部材により形成してもよい。
【0041】
また、本開示の冷蔵機能付き宅配ロッカーは、上記の実施形態のように荷物室が2つのみある構成に限定せず、荷物室は3つ以上を有する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0042】
12 冷蔵機能付き宅配ロッカー(宅配ロッカー)、13 扉ユニット、14 基部ボックス、15 冷却装置、18 ケース本体、18a 開口、19,20 荷物室、21 仕切り部、22~25 支柱、26,27 樹脂製フレーム、30,31 金属製フレーム、40,41 ケース扉、42~45 ケースフレーム、46 ガラス板、47 ヒンジ孔、48 磁石、50 天井部、51,52 ガラス板、60 施錠部付き扉、61 施錠装置、61a ケーシング、61b ラッチハンドル、61c 錠装置、61d 受信部、62 ラッチ、63 扉本体、70 ヒンジ、71 中間ブラケット、80 ロックプレート、80a 係止孔、100 冷蔵機能付きボックス、101 収容室、102 ケース扉、103 板ガラス。