(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】水素タンクの残量予測方法、水素タンクの残量予測装置および発電システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20241206BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20241206BHJP
F17C 13/02 20060101ALN20241206BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04313
F17C13/02 301A
(21)【出願番号】P 2024559491
(86)(22)【出願日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2024027071
【審査請求日】2024-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2023148250
(32)【優先日】2023-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊瀬 豪彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 泰
(72)【発明者】
【氏名】田口 良文
(72)【発明者】
【氏名】田中 良和
(72)【発明者】
【氏名】吉原 康通
(72)【発明者】
【氏名】藤井 努
(72)【発明者】
【氏名】阿部 美妃
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-102929(JP,A)
【文献】特開2020-128807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04- 8/0668
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置で使用される水素タンクの残量予測方法であって、
複数日に亘る第1の期間において使用された前記水素タンクの水素量に基づき前記水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測するステップと、
前記時期を表示装置に通知するステップと、を備え、
前記第1の期間内の複数日に亘る第2の期間において使用された前記水素タンクの水素量が第2の閾値以下であるとき、前記第1の期間のうち前記第2の期間を除く期間において使用された水素タンクの水素量に基づき前記時期を予測する、水素タンクの残量予測方法。
【請求項2】
前記第1の期間と前記第2の期間が同じであるとき、前記時期の更新を行わない、請求項1に記載の水素タンクの残量予測方法。
【請求項3】
前記水素タンクの水素残量と第1の閾値との差分を前記第1の期間のうち前記第2の期間を除く期間において使用された水素量の1日当たりの平均値で除した値に基づき前記時期を予測する、請求項
1に記載の水素タンクの残量予測方法。
【請求項4】
前記第1の期間が1週間または複数週間であり、前記第2の期間が前記第1の期間以下の週間である、請求項
1に記載の水素タンクの残量予測方法。
【請求項5】
少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置で使用される水素タンクの残量予測装置であって、
複数日に亘る第1の期間において使用された前記水素タンクの水素量に基づき前記水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測する制御器と、
前記制御器に制御されて、前記時期を表示装置に通知する通信器と、を備え、
前記制御器は、前記第1の期間内の複数日に亘る第2の期間において使用された前記水素タンクの水素量が第2の閾値以下であるとき、前記第1の期間のうち前記第2の期間を除く期間において使用された水素タンクの水素量に基づき前記時期を予測する、水素タンクの残量予測装置。
【請求項6】
少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置と、
請求項5に記載の水素タンクの残量予測装置と、を備える、発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素タンクの残量予測方法、水素タンクの残量予測装置および発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水素発生装置を備える水素製造システムの稼働計画を生成する装置であって、稼働計画の対象期間における、生成の環境負荷が異なる複数種類の水素のそれぞれについての予測需要量を生成する需要予測部と、複数種類の水素のそれぞれの予測水素需要量に基づいて生成の環境負荷が異なる複数種類の水素を水素発生装置により生成する稼働計画を生成する稼働計画部と、を備える装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、一例として、燃料電池装置で使用される水素タンクの水素残量が所定量以下となる時期を従来よりも正確に予測し得る、水素タンクの残量予測方法、水素タンクの残量予測装置および発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本開示の一態様(aspect)は、少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置で使用される水素タンクの残量予測方法であって、複数日に亘る第1の期間において使用された前記水素タンクの水素量に基づき前記水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測するステップと、前記時期を表示装置に通知するステップと、を備え、前記第1の期間内の複数日に亘る第2の期間において使用された前記水素タンクの水素量が第2の閾値以下であるとき、前記第1の期間のうち前記第2の期間を除く期間において使用された水素タンクの水素量に基づき前記時期を予測する。
【0006】
また、本開示の一態様は、少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置で使用される水素タンクの残量予測装置であって、複数日に亘る第1の期間において使用された前記水素タンクの水素量に基づき前記水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測する制御器と、前記制御器に制御されて、前記時期を表示装置に通知する通信器と、を備え、前記制御器は、前記第1の期間内の複数日に亘る第2の期間において使用された前記水素タンクの水素量が第2の閾値以下であるとき、前記第1の期間のうち前記第2の期間を除く期間において使用された水素タンクの水素量に基づき前記時期を予測する。
【0007】
また、本開示の一態様の発電システムは、少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置と、上記の水素タンクの残量予測装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様の水素タンクの残量予測方法、水素タンクの残量予測装置および発電システムは、燃料電池装置で使用される水素タンクの水素残量が所定量以下となる時期を従来よりも正確に予測し得る、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の発電システムの一例を示す図である。
【
図2A】
図2Aは水素タンクの水素残量を算出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図2B】
図2Bは水素タンクの水素残量を算出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図2C】
図2Cは水素タンクの水素残量を算出するためのセンサの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における水素タンクの残量予測装置の動作(水素タンクの残量予測方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1実施形態の第1実施例における水素タンクの残量予測装置の動作(水素タンクの残量予測方法)の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2実施形態の発電システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示者らは、燃料電池装置で使用される水素タンクの水素残量が所定の閾値以下となる時期の予測について鋭意検討を行った結果、水素タンクの水素使用量が通常の水素使用量に対して複数日に亘りイレギュラー的に少なくなる期間におけるデータを水素タンクの水素使用量の算出において除外する方が、そうしない場合に比べて、水素使用量の算出を適切に行い得ることを見出して、以下の本開示の一態様に想到した。
【0011】
すなわち、本開示の第1態様は、少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置で使用される水素タンクの残量予測方法であって、複数日に亘る第1の期間において使用された水素タンクの水素量に基づき水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測するステップと、当該時期を表示装置に通知するステップと、を備え、第1の期間内の複数日に亘る第2の期間において使用された水素タンクの水素量が第2の閾値以下であるとき、第1の期間のうち第2の期間を除く期間において使用された水素タンクの水素量に基づき上記時期を予測する。
【0012】
上記によると、本態様の水素タンクの残量予測方法は、燃料電池装置で使用される水素タンクの水素残量が第1の閾値以下となる時期を従来よりも正確に予測し得る。
【0013】
具体的には、水素タンクの水素使用量が通常の水素使用量に対して複数日に亘りイレギュラー的に少なくなる第2の期間におけるデータを水素使用量の算出において除外する方が、そうしない場合に比べて水素使用量の算出を適切に行い得る。そこで、本態様の水素タンクの残量予測方法は、第1の期間のうち第2の期間を除く期間において使用された水素タンクの水素量に基づき水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測することで、このような水素使用量算出における除外期間を設けない場合に比べて、当該予測の精度を改善することができる。これにより、ユーザが、水素タンクに水素を補充すること、または、使用中の水素タンクを新品の水素タンクに交換することなどを、適時に行うことができる。
【0014】
また、本態様の水素タンクの残量予測方法は、第1の期間および第2の期間のそれぞれを複数日に亘って設定することで、水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期の予測が、日常の活動で使用される水素使用量の変動に影響されにくくなる。例えば、休日などの特定日に使用される水素使用量は、一般的に、平日に比べて少なくなるが、本態様の水素タンクの残量予測方法は、第1の期間および第2の期間を上記の如く設定することで、水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期の予測において、日々の日常的な水素使用量の変動の影響が軽減される。
【0015】
本開示の第2態様の水素タンクの残量予測方法は、第1態様の水素タンクの残量予測方法において、第1の期間と第2の期間が同じであるとき、水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期の更新を行わなくてもよい。
【0016】
ここで、「第1の期間と第2の期間が同じである」とは、第1の期間中の全期間において、水素タンクの水素使用量が通常の水素使用量に対してイレギュラー的に少なくなることを意味する。よって、本態様の水素タンクの残量予測方法は、第1の期間と第2の期間が同じであるとき、燃料電池装置で使用される水素タンクの水素残量が第1の閾値以下となる時期の更新を実施しないことで、当該時期の予測動作を効率化することができる。
【0017】
本開示の第3態様の水素タンクの残量予測方法は、第1態様または第2態様の水素タンクの残量予測方法において、水素タンクの水素残量と第1の閾値との差分を第1の期間のうち第2の期間を除く期間において使用された水素量の1日当たりの平均値で除した値に基づき水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測してもよい。
【0018】
上記によると、本態様の水素タンクの残量予測方法は、水素タンクの水素残量と第1の閾値との差分を、第1の期間のうち第2の期間を除く期間において使用された水素量の1日当たりの平均値で除した値に基づき水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測することで、このような水素使用量算出における除外期間を設けない場合に比べて、当該予測の精度を改善することができる。
【0019】
本開示の第4態様の水素タンクの残量予測方法は、第1態様から第3態様のいずれか一つの水素タンクの残量予測方法において、第1の期間が1週間または複数週間であってもよく、第2の期間が第1の期間以下の週間であってもよい。
【0020】
上記によると、本態様の水素タンクの残量予測方法は、第1の期間および第2の期間をそれぞれ、1週間または複数週間、および、第1の期間以下の週間のそれぞれと設定することで、水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期の予測が、日常の活動で使用される水素使用量の変動に影響されにくくなる。例えば、週間における特定期間(例えば、週末などの土日)に使用される水素量は、一般的に、平日の期間に比べて少なくなるが、本態様の水素タンクの残量予測方法は、第1の期間および第2の期間を上記の如く設定することで、水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期の予測において、週間で繰り返される日常的な水素使用量の変動の影響が軽減される。
【0021】
本開示の第5態様は、少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置で使用される水素タンクの残量予測装置であって、複数日に亘る第1の期間において使用された水素タンクの水素量に基づき水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測する制御器と、制御器に制御されて、当該時期を表示装置に通知する通信器と、を備え、制御器は、第1の期間内の複数日に亘る第2の期間において使用された水素タンクの水素量が第2の閾値以下であるとき、第1の期間のうち第2の期間を除く期間において使用された水素タンクの水素量に基づき上記時期を予測する。
【0022】
上記によると、本態様の水素タンクの残量予測装置は、燃料電池装置で使用される水素タンクの水素残量が第1の閾値以下となる時期を従来よりも正確に予測し得る。なお、本態様の水素タンクの残量予測装置が奏する作用効果の詳細は、第1態様の水素タンクの残量予測方法が奏する作用効果と同様であるので説明を省略する。
【0023】
本開示の第6態様の発電システムは、少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置と、第5態様の水素タンクの残量予測装置と、を備える。
【0024】
上記によると、本態様の発電システムは、燃料電池装置で使用される水素タンクの水素残量が第1の閾値以下となる時期を従来よりも正確に予測し得る。なお、本態様の発電システムが奏する作用効果の詳細は、第1態様の水素タンクの残量予測方法が奏する作用効果と同様であるので説明を省略する。
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の上記態様の具体例を説明する。以下で説明する具体例は、いずれも本開示の上記態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、数値、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、請求項に記載されていない限り、請求項の範囲を限定するものではない。
【0026】
また、以下に説明する構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
【0027】
さらに、装置の動作においては、必要に応じて、工程の順番を入れ替えてもよいし、公知の工程を追加してもよい。
【0028】
(第1実施形態)
[装置構成]
図1は、第1実施形態の発電システムの一例を示す図である。
【0029】
図1に示すように、発電システム10は、燃料電池装置15と、燃料電池装置15で使用される水素タンク40の残量予測装置20と、を備える。
【0030】
燃料電池装置15は、水素タンク40からの水素を用いて発電する少なくとも一つの燃料電池ユニットを備える。よって、燃料電池装置15は、単一の燃料電池ユニットを備えてもよいし、複数の燃料電池ユニットを備えてもよい。ここで、後者の場合、発電システム10は、例えば、電力系統に大電力を供給するシステムであってもよい。つまり、後者の場合、発電システム10は、燃料電池スタックを含む複数の燃料電池ユニットからなる燃料電池ユニット群を備え、燃料電池装置15は、燃料電池ユニット群を分割した各グループに対応する。このような発電システム10の詳細な構成は、第2実施形態で説明する。
【0031】
図1に示すように、水素タンク40の残量予測装置20は、通信器21と、制御器23と、を備える。
【0032】
制御器23は、複数日に亘る期間Aにおいて使用された水素タンク40の水素量に基づき水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を予測する。また、制御器23は、期間A内の複数日に亘る期間Bにおいて使用された水素タンクの水素量が閾値SB以下であるとき、期間Aのうち期間Bを除く期間において使用された水素タンクの水素量に基づき水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を予測する。なお、「水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期」の算出方法の具体例は第1実施例で説明する。
【0033】
ここで、「期間A」の「複数日」は、数日程度であってもよいが、これより多い1週間(7日間)から数か月間の中から選ばれる適宜の日数であってもよい。例えば、「期間A」は、約2週間程度から約1ヵ月間(4週間)の中から選ばれた週間であってもよい。
【0034】
「期間B」の「複数日」は、数日程度であってもよいが、これより多い1週間(7日間)から1ヵ月間の中から選ばれる適宜の日数であってもよい。例えば、「期間B」は、1週間(7日間)であってもよいが、少なくとも「期間A」以下の期間である。
【0035】
「閾値SA」は、ユーザによって予め設定される、適宜の水素量であって、水素タンク40の水素残量が少なくなることで、水素タンク40に水素を補充することをユーザに促すための基準値、使用中の水素タンク40を新品の水素タンクに交換することをユーザに促すための基準値に相当する。「閾値SA」は、例えば、水素タンク40の満蓄状態の水素量に対して約20%程度の水素量に設定されてもよいが、これに限定されない。
【0036】
「閾値SB」は、ユーザによって予め設定される、適宜の水素量であって、期間Bにおいて使用される水素タンク40の水素使用量が通常の水素使用量に対してイレギュラー的に少量である状況を想定した基準値に相当する。「閾値SB」は、例えば、水素タンク40の満蓄状態の水素量に対して約10%程度の水素量に設定されてもよいが、これに限定されない。
【0037】
なお、「期間Bにおいて使用される水素タンクの水素使用量が通常の水素使用量に対してイレギュラー的に少量である状況」は、様々な要因によって発生する。例えば、ユーザの何等かの非日常的な対応によって、上記状況が発生する場合がある。また、例えば、水素タンク40の水素使用量が正常に計測できないことによっても、上記状況が発生する場合がある。また、例えば、発電システム10によって電力を正常に発電できないことによっても、上記状況が発生する場合がある。
【0038】
なお、上記状況は、上述の通り、通常の水素使用量に対しイレギュラー的に少量である状況であるため、発電システム10の運転に定期的に複数日に亘る休止期間が設けられているようなケースは含まれない。例えば、発電システム10の運転が、毎週、土曜日及び日曜日が休止期間となっているようなケースは、上記状況に含まれず、このようなケースでは、期間Bは、休止期間を含み、かつ当該休止期間よりも長い期間(例えば、1週間)が設定され、この期間Bについて、上記状況に該当するか否かを判定するための閾値SBが設定される。
【0039】
制御器23は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と制御プログラムを記憶する記憶部と、を備える。演算処理部が、記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、制御器23において、所定の制御が行われる。演算処理部として、例えば、マイクロプロセッサが例示される。記憶部としては、例えば、メモリが例示される。なお、制御器23は、燃料電池装置15内の燃料電池ユニットの出力を含む動作を直接制御してもよい。また、燃料電池ユニット内に自身の動作を制御する、図示されない制御装置が設けられている場合は、制御器23は、この制御装置を介して、燃料電池装置15内の燃料電池ユニットの出力を含む動作を間接的に制御してもよい。
【0040】
通信器21は、制御器23に制御されて、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を示す情報を表示装置50に通知する送信器である。表示装置50として、例えば、発電システム10で発電する電力供給のサービスを受けているユーザの情報端末などを挙げることができるが、これに限定されない。
【0041】
ここで、水素タンク40の水素残量は、例えば、適宜のセンサで計測されてもよい。なお、かかるセンサの計測は、制御器23の演算処理部によって所定時間毎に行われ、センサの計測データは、制御器23の記憶部に逐次、保存される。この「所定時間」は、例えば、約30秒程度であってもよいが、これに限定されない。
【0042】
例えば、
図2Aに示す如く、燃料電池装置15の水素供給源として、水素補充用の液体水素タンク40Aと、液体水素タンク40A内の液体水素を低圧水素ガスとして保存する水素ガスタンク41と、が設けられる場合がある。この場合、液体水素タンク40Aが、本開示の「水素タンク」に相当するので、液体水素タンク40Aの水素残量は、例えば、液体水素タンク40Aに設けられた液面レベルセンサ42の計測データから制御器23が算出してもよい。また、液体水素タンク40Aの水素残量は、水素ガスタンク41から燃料電池装置15に水素ガスを供給するための水素ガス経路に設けられた流量計43の計測データから制御器23が算出してもよい。なお、液面レベルセンサ42または流量計43の計測データは、燃料電池装置15に設けられた図示されない制御器を介して制御器23に送信されてもよいし、直接、制御器23に送信されてもよい。燃料電池装置15に設けられた図示されない制御器は、後述する制御装置30A等に対応する。
【0043】
また、
図2Bに示す如く、燃料電池装置15の水素供給源として、水素補充用の高圧水素ガスを保存する水素ガスタンク40Bと、水素ガスタンク40B内の高圧水素ガスを低圧水素ガスとして保存する水素ガスタンク41と、が設けられる場合がある。この場合、水素ガスタンク40Bが、本開示の「水素タンク」に相当するので、水素ガスタンク40Bの水素残量は、例えば、水素ガスタンク40Bに設けられた圧力計44の計測データから制御器23が算出してもよい。また、水素ガスタンク40Bの水素残量は、水素ガスタンク41から燃料電池装置15に水素ガスを供給するための水素ガス経路に設けられた流量計43の計測データから制御器23が算出してもよい。なお、圧力計44または流量計43の計測データは、燃料電池装置15に設けられた図示されない制御器を介して制御器23に送信されてもよいし、直接、制御器23に送信されてもよい。燃料電池装置15に設けられた図示されない制御器は、後述する制御装置30A等に対応する。
【0044】
また、
図2Cに示す如く、燃料電池装置15の水素供給源として、水素補充用の低圧水素ガスを保存する水素ガスタンク40Cが設けられる場合がある。この場合、水素ガスタンク40Cが、本開示の「水素タンク」に相当するので、水素ガスタンク40Cの水素残量は、例えば、水素ガスタンク40Cに設けられた圧力計44の計測データから制御器23が算出してもよい。また、水素ガスタンク40Cの水素残量は、水素ガスタンク40Cから燃料電池装置15に水素ガスを供給するための水素ガス経路に設けられた流量計43の計測データから制御器23が算出してもよい。なお、圧力計44または流量計43の計測データは、燃料電池装置15に設けられた図示されない制御器を介して制御器23に送信されてもよいし、直接、制御器23に送信されてもよい。燃料電池装置15に設けられた図示されない制御器は、後述する制御装置30A等に対応する。
【0045】
以上の燃料電池装置15の水素供給源の構成は例示であって、本例に限定されない。水素供給源は、例えば、水素残量が少なくなった水素ガスタンクと新品の水素ガスタンクとを適時に交換するように構成されていてもよい。
【0046】
[動作]
図3は、第1実施形態における水素タンクの残量予測装置の動作(水素タンクの残量予測方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0047】
まず、所定タイミングで、制御器23の記憶部に予め保存された設定ファイルが制御器23の演算処理部に読み込まれる。「所定タイミング」は、例えば、少なくとも1週間に1回程度を目安に設定されてもよいが、これに限定されない。「設定ファイル」には、例えば、ユーザによって予め設定された期間Aおよび期間B、および、水素タンク40の種別(例えば、水素ガスタンク、液体水素タンク)などが保存されている。そして、期間Aおよび期間Bのそれぞれにおいて使用された水素タンク40の水素量などのデータが、制御器23の記憶部から取得される。
【0048】
以上のような動作が行われると、ステップS1で、複数日に亘る期間A内の複数日に亘る期間Bにおいて使用された水素タンク40の水素量が閾値SB以下であるか否かが判定される。
【0049】
ステップS1における「期間Bにおいて使用された水素タンク40の水素量が閾値SB以下であるか否か」の判定は、水素タンク40の期間Bにおけるトータルの水素使用量と閾値SBとを比較することで行われる形態には限定されない。例えば、ステップS1における「判定」は、水素タンク40の期間Bにおける水素使用量の平均値(例えば、1日当たりの平均水素使用量)と、期間Bにおける水素タンク40の水素使用量の平均値に対して設定された閾値SBとを比較することで行われる形態であってもよい。また、ステップS1における「判定」は、水素タンク40の期間Bにおける水素使用量に間接的に相関する燃料電池ユニットの平均発電出力と、期間Bにおける燃料電池ユニットの平均発電電力に対して設定された閾値SBとを比較することで行われる形態であってもよい。
【0050】
ここで、期間A内の期間Bにおいて使用された水素タンク40の水素量が閾値SB以下である場合(ステップS1で「Yes」の場合)、ステップS2で、期間Aのうち期間Bを除く期間において使用された水素タンク40の水素量に基づき、水素タンクの水素残量が閾値SA以下になる時期が予測される。
【0051】
次に、ステップS3において、ステップS2で予測された、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を示す情報が通信器21によって表示装置50に通知される。水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期は、例えば、表示装置50に表示されたカレンダー上の年月日の情報としてユーザに提供されてもよい。また、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期が、制御器23の記憶部に保存されている場合、記憶中の当該時期が新たなデータに更新されてもよい。その後、次回の所定タイミングで、ステップS1以降の動作が再実行される。
【0052】
一方、期間A内の期間Bにおいて使用された水素タンク40の水素量が閾値SBを上回る場合(ステップS1で「No」の場合)、ステップS4で、期間Aにおいて使用された水素タンクの水素量に基づき、水素タンクの水素残量が閾値SA以下になる時期が予測される。
【0053】
次に、ステップS5において、ステップS4で予測された、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を示す情報が通信器21によって表示装置50に通知される。水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期は、例えば、表示装置50に表示されたカレンダー上の年月日の情報としてユーザに提供されてもよい。また、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期が、制御器23の記憶部に保存されている場合、記憶中の当該時期が新たなデータに更新されてもよい。その後、次回の所定タイミングで、ステップS1以降の動作が再実行される。
【0054】
以上に説明した本実施形態によれば、燃料電池装置15で使用される水素タンク40の水素残量が閾値SA以下となる時期を従来よりも正確に予測し得る。
【0055】
具体的には、水素タンク40の水素使用量が通常の水素使用量に対して複数日に亘りイレギュラー的に少なくなる期間Bにおけるデータを水素使用量の算出において除外する方が、そうしない場合に比べて水素使用量の算出を適切に行い得る。そこで、本実施形態は、期間Aのうち期間Bを除く期間において使用された水素タンク40の水素量に基づき水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を予測することで、このような水素使用量算出における除外期間を設けない場合に比べて、当該予測の精度を改善することができる。これにより、ユーザが、水素タンク40に水素を補充すること、または、使用中の水素タンク40を新品の水素タンクに交換することなどを、適時に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、期間Aおよび期間Bのそれぞれを複数日に亘って設定することで、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期の予測が、日常の活動で使用される水素使用量の変動に影響されにくくなる。例えば、休日などの特定日に使用される水素量は、一般的に、平日に比べて少なくなるが、本実施形態は、期間Aおよび期間Bを上記の如く設定することで、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期の予測において、日々の日常的な水素使用量の変動の影響が軽減される。
【0057】
(第1実施例)
図4は、第1実施形態の第1実施例における水素タンクの残量予測装置の動作(水素タンクの残量予測方法)の一例を示すフローチャートである。以下の動作は、例えば、制御器23の演算処理部が、制御器23の記憶部から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器23で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。以下の例では、制御器23により動作を制御する場合について、説明する。
【0058】
なお、
図4のステップS1は、
図3のステップS1と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0059】
期間A内の期間Bにおいて使用された水素タンク40の水素量が閾値SB以下である場合(ステップS1で「Yes」の場合)、ステップS2Aで、水素タンク40の水素残量と閾値SAとの差分を期間Aのうち期間Bを除く期間において使用された水素量の1日当たりの平均値で除した値に基づき、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期が予測される。
【0060】
例えば、期間Aのうち期間Bを除く期間において使用された水素量の1日当たりの平均値q1(以下、平均水素使用量q1)は、以下の式(1)で算出される。
q1[Nm3(ノルマルリューベ)/日]=(期間Aのうち期間Bを除く期間において使用されたトータルの水素量)/(期間Aの日数-期間Bの日数)・・・(1)
【0061】
また、水素タンク40内に存在する水素量と閾値SAに対応する水素量との差分Q1は、圧力計44の計測データから算出する場合で例示すると、以下の式(2)により得られる。
Q1[Nm3]=(圧力計44の現在の計測データ[MPa]-閾値SA[MPa])×「所定の係数」・・・(2)
【0062】
ここで、「所定の係数」とは、ユーザによって予め設定される、水素タンク40の大きさ(容積)に比例する数値であって、センサの計数データを水素タンク40の水素残量(ノルマルリューベ)に変換するための適宜の値である。
【0063】
すると、水素タンク40の水素残量が閾値SAに到達すると予測される日数T1は、以下の式(3)より得られる。
T1[日]=Q1/q1・・・(3)
【0064】
以上により、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期は、上記日数T1から予測することができる。
【0065】
次に、ステップS3Aにおいて、ステップS2Aで予測された、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を示す情報が通信器21によって表示装置50に通知される。水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期は、例えば、表示装置50に表示されたカレンダー上の年月日の情報としてユーザに提供されてもよい。また、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期が、制御器23の記憶部に保存されている場合、記憶中の当該時期が新たなデータに更新されてもよい。その後、次回の所定タイミングで、ステップS1以降の動作が再実行される。
【0066】
一方、期間A内の期間Bにおいて使用された水素タンク40の水素量が閾値SBを上回る場合(ステップS1で「No」の場合)、ステップS4Aで、水素タンク40の水素残量と閾値SAとの差分を期間Aにおいて使用された水素量の1日当たりの平均値で除した値に基づき、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期が予測される。
【0067】
例えば、期間Aにおいて使用された水素量の1日当たりの平均値q2(以下、平均水素使用量q2)は、以下の式(4)で算出される。
q2[Nm3(ノルマルリューベ)/日]=(期間Aにおいて使用されたトータルの水素量)/(期間Aの日数)・・・(4)
【0068】
また、水素タンク40内に存在する水素量と閾値SAに対応する水素量との差分Q2は、圧力計44の計測データから算出する場合で例示すると、以下の式(5)により得られる。
Q2[Nm3]=(圧力計44の現在の計測データ[MPa]-閾値SA[MPa])×「所定の係数」・・・(5)
【0069】
ここで、「所定の係数」とは、ユーザによって予め設定される、水素タンク40の大きさ(容積)に比例する数値であって、センサの計数データを水素タンク40の水素残量(ノルマルリューベ)に変換するための適宜の値である。
【0070】
すると、水素タンク40の水素残量が閾値SAに到達すると予測される日数T2は、以下の式(6)より得られる。
T2[日]=Q2/q2・・・(6)
【0071】
以上により、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期は、上記日数T2から予測することができる。
【0072】
次に、ステップS5Aにおいて、ステップS4Aで予測された、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を示す情報が通信器21によって表示装置50に通知される。水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期は、例えば、表示装置50に表示されたカレンダー上の年月日の情報としてユーザに提供されてもよい。また、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期が、制御器23の記憶部に保存されている場合、記憶中の当該時期が新たなデータに更新されてもよい。その後、次回の所定タイミングで、ステップS1以降の動作が再実行される。
【0073】
以上に説明した本実施例によれば、水素タンク40の水素残量と閾値SAとの差分を、期間Aのうち期間Bを除く期間において使用された水素量の1日当たりの平均値で除した値に基づき水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を予測することで、このような水素使用量算出における除外期間を設けない場合に比べて、当該予測の精度を改善することができる。
【0074】
本実施例の水素タンク40の残量予測方法、水素タンク40の残量予測装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態と同様であってもよい。
【0075】
(第2実施例)
第1実施形態の第2実施例における水素タンク40の残量予測方法は、期間Aが1週間または複数週間であり、期間Bが期間A以下の週間であること以外は、第1実施形態の水素タンク40の残量予測方法と同様である。
【0076】
以上に説明した本実施例によれば、期間Aおよび期間Bをそれぞれ、1週間または複数週間、および、第1の期間以下の週間のそれぞれと設定することで、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期の予測が、日常の活動で使用される水素使用量の変動に影響されにくくなる。例えば、週間における特定期間(例えば、週末などの土日)に使用される水素量は、一般的に、平日の期間に比べて少なくなるが、本実施例によれば、期間Aおよび期間Bを上記の如く設定することで、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期の予測において、週間で繰り返される日常的な水素使用量の変動の影響が軽減される。
【0077】
本実施例の水素タンク40の残量予測方法、水素タンク40の残量予測装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態または第1実施形態の第1実施例と同様であってもよい。
【0078】
(変形例)
第1実施形態の変形例における水素タンク40の残量予測方法は、期間Aと期間Bが同じであるとき、水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期の更新を行わないこと以外は、第1実施形態の水素タンク40の残量予測方法と同様である。
【0079】
ここで、「期間Aと期間Bが同じである」とは、期間A中の全期間において、水素タンク40の水素使用量が通常の水素使用量に対してイレギュラー的に少なくなることを意味する。よって、以上に説明した本変形例によれば、期間Aと期間Bが同じであるとき、燃料電池装置15で使用される水素タンク40の水素残量が閾値SA以下となる時期の更新を実施しないことで、当該時期の予測動作を効率化することができる。
【0080】
本変形例の水素タンク40の残量予測方法、水素タンク40の残量予測装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態および第1実施形態の第1実施例-第2実施例のいずれかと同様であってもよい。
【0081】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の発電システムの一例を示す図である。
図5には、便宜上、第1実施形態(
図1)における水素タンク40および表示装置50の図示が省略されている。また、水素タンク40の残量予測装置20内の構成は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施形態の発電システム10は、
図5に示す如く、燃料電池装置15(
図1参照)に相当する燃料電池ユニット群を分割した各グループ15A~15Eと、水素タンク40の残量予測装置20と、制御装置30A~30Eと、を備える。つまり、発電システム10は、複数の燃料電池ユニットからなる燃料電池ユニット群を備える。
【0083】
なお、図示を省略するが、これらの燃料電池ユニットはそれぞれ、燃料電池スタック、燃料電池スタックで発電された直流電力を交流電力に変換して電力系統に出力するための直交変換装置、および、これらの機器の動作を制御する制御装置などで構成されている。
【0084】
図5に示す例では、燃料電池ユニット群は、グループ15Aに属する燃料電池ユニットa1~an、グループ15Bに属する燃料電池ユニットb1~bn、グループ15Cに属する燃料電池ユニットc1~cn、グループ15Dに属する燃料電池ユニットd1~dn、および、グループ15Eに属する燃料電池ユニットe1~enのそれぞれにグループ化されている。一つのグループに属する全ての燃料電池ユニットを、単に「グループ内の燃料電池ユニット」ともいう。
【0085】
但し、以上の燃料電池ユニット群の構成は例示であって、本例に限定されない。例えば、燃料電池ユニット群は、単一クループの燃料電池ユニットによってグループ化されていてもよい。また、グループ内の燃料電池ユニットの個数は、1個であってもよい。
【0086】
制御装置30A~30Eはそれぞれ、グループ15Aの燃料電池ユニットa1~an、グループ15Bの燃料電池ユニットb1~bn、グループ15Cの燃料電池ユニットc1~cn、グループ15Dの燃料電池ユニットd1~dn、および、グループ15Eの燃料電池ユニットe1~enのそれぞれに対して設けられており、グループ内の燃料電池ユニットのそれぞれの動作を制御する。
【0087】
例えば、制御装置30Aは、通信ネットワークを介して、グループ15Aに属する燃料電池ユニットa1~anの効率的な動作(例えば、寿命の最適化)が可能になるように、これら燃料電池ユニットa1~anのそれぞれの出力を制御する。
【0088】
制御装置30A~30Eは、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と制御プログラムを記憶する記憶部と、通信器と、を備える。演算処理部が、記憶部に記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、制御装置30A~30Eにおいて、所定の制御が行われる。演算処理部として、例えば、マイクロプロセッサが例示される。記憶部としては、例えば、メモリが例示される。
【0089】
以上の発電システム10の構成は例示であって、本例に限定されない。
【0090】
例えば、燃料電池ユニットに、制御装置は設けられずに、制御装置30A~30Eにより、各グループに属する燃料電池ユニットの動作が直接制御されてもよい。
【0091】
また、水素タンク40の残量予測装置20の制御器23(
図1参照)が、水素タンク40の水素量に基づき水素タンク40の水素残量が閾値SA以下になる時期を予測する動作を実行するが、これに限定されない。制御器23以外の制御装置(例えば、制御装置30A~30E)が、かかる動作を実行してもよい。
【0092】
さらに、水素タンク40の残量予測装置20が、制御装置30A~30Eと一体となって、換言すれば、制御装置30A~30Eの制御機能を搭載して、直接、グループ内の燃料電池ユニットのそれぞれの動作を制御してもよい。
【0093】
本実施形態の水素タンク40の残量予測方法、水素タンク40の残量予測装置20および発電システム10は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第2実施例および第1実施形態の変形例のいずれかと同様であってもよい。
【0094】
第1実施形態、第1実施形態の第1実施例-第2実施例、第1実施形態の変形例および第2実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示の一態様は、燃料電池装置で使用される水素タンクの水素残量が所定量以下となる時期を従来よりも正確に予測し得る、水素タンクの残量予測方法、水素タンクの残量予測装置および発電システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
10 :発電システム
15 :燃料電池装置
20 :残量予測装置
21 :通信器
23 :制御器
30A :制御装置
30B :制御装置
30C :制御装置
30D :制御装置
30E :制御装置
40 :水素タンク
40A :液体水素タンク
40B :水素ガスタンク
40C :水素ガスタンク
41 :水素ガスタンク
42 :液面レベルセンサ
43 :流量計
44 :圧力計
50 :表示装置
SA :閾値
SB :閾値
a1~an:燃料電池ユニット
b1~bn:燃料電池ユニット
c1~cn:燃料電池ユニット
d1~dn:燃料電池ユニット
e1~en:燃料電池ユニット
【要約】
本開示の水素タンクの残量予測方法は、少なくとも1つの燃料電池ユニットを含む燃料電池装置で使用される水素タンクの残量予測方法であって、複数日に亘る第1の期間において使用された前記水素タンクの水素量に基づき前記水素タンクの水素残量が第1の閾値以下になる時期を予測するステップと、前記時期を表示装置に通知するステップと、を備え、前記第1の期間内の複数日に亘る第2の期間において使用された前記水素タンクの水素量が第2の閾値以下であるとき、前記第1の期間のうち前記第2の期間を除く期間において使用された水素タンクの水素量に基づき前記時期を予測する。