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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/064 20140101AFI20241206BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20241206BHJP
   G02F 1/37 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B23K26/064 Z
H01S3/00 B
G02F1/37
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021036865
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137369
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高御堂 哲司
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-001175(JP,A)
【文献】特開2006-116570(JP,A)
【文献】国際公開第2020/153046(WO,A1)
【文献】特開2010-106367(JP,A)
【文献】国際公開第2009/031278(WO,A1)
【文献】特開2019-106512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物を加工するためのレーザ光を出射するレーザ光源が内蔵されるレーザ出射ユニットと、
前記レーザ光を前記加工対象物に導くための光学部材が内蔵されるレーザヘッドと、
前記レーザ光源及び前記レーザヘッドの駆動を制御する制御部と、
を備えたレーザ加工装置であって、
前記光学部材は、前記レーザ光を前記加工対象物に対して走査する走査部を有し、
前記レーザヘッドは、
前記レーザ光を透過する被付着部材と、前記被付着部材における前記レーザ光の照射位置を変更する位置変更部と、を有する集塵部を内蔵し、
前記被付着部材は、前記レーザヘッドの内部において、前記光学部材によって伝達される前記レーザ光の通過経路上、または、反射された前記レーザ光が照射される位置に配置されている、
レーザ加工装置。
【請求項2】
前記被付着部材は、前記レーザ光を透過するガラス板を有する、請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記被付着部材は、表面に形成された反射防止膜を有する、請求項1または請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記反射防止膜は、多層膜により構成され、最表層の膜は酸化チタンを含む、請求項3に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記レーザ光源は、
基本波を生成するレーザ発振器と、
前記基本波よりも高い周波数を有する高調波を生成する波長変換部と、
を有し、
前記高調波を含む前記レーザ光を出射する、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記波長変換部は、
前記基本波よりも高い周波数を有する第2高調波を生成する第1変換素子と、
前記第2高調波よりも高い周波数を有する第3高調波を生成する第2変換素子と、
を含み、
前記レーザ光源は、少なくとも前記第3高調波を含む前記レーザ光を出射する、
請求項5に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記レーザ光源と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光のビーム径を拡大するビームエキスパンダを備え、
前記被付着部材は、前記レーザ光源と前記ビームエキスパンダとの間に配置されている、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記レーザ光源と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光のビーム径を拡大するビームエキスパンダを備え、
前記ビームエキスパンダは、前記レーザ光が入射する第1レンズと、前記第1レンズを透過した前記レーザ光が入射する第2レンズとを備え、
前記被付着部材は、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配置されている、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記レーザ光の一部を反射するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタにより反射された前記レーザ光の一部を集光する集光レンズと、
を備え、
前記被付着部材は、前記集光レンズにより集光された前記レーザ光の焦点位置に配置されている、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記レーザ光の一部を反射するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタにより反射された前記レーザ光の一部を集光する集光レンズと、
を備え、
前記被付着部材は、前記集光レンズにより集光された前記レーザ光の焦点位置と、前記集光レンズとの間、または前記焦点位置に対して前記集光レンズとは反対側に配置されている、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
前記被付着部材を透過した前記レーザ光の一部を受光する受光部を備え、
前記制御部は、前記受光部の受光量に基づいて、前記被付着部材の状態を判定する、
請求項9または請求項10に記載のレーザ加工装置。
【請求項12】
前記レーザ光を反射する反射部材と、
前記反射部材を前記レーザ光が照射される第1位置と、前記レーザ光が照射されない第2位置とに切換えて配置する位置切換部と、
を備え、
前記被付着部材は、前記第1位置に配置された前記反射部材により反射された前記レーザ光の経路上に配置されている、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【請求項13】
波長板と、
前記波長板を透過した前記レーザ光が入射する偏光ビームスプリッタと、
前記波長板を回転する駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、前記レーザ光が前記偏光ビームスプリッタにより反射される第1位置と、前記レーザ光が前記偏光ビームスプリッタを透過する第2位置とに切換えて配置するものであり、
前記被付着部材は、前記偏光ビームスプリッタにより反射された前記レーザ光の経路上に配置されている、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【請求項14】
前記レーザ光源と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光の焦点位置を制御する焦点調整部と、
前記焦点調整部と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光を反射するシャッタと、
前記シャッタにより反射された前記レーザ光を吸収するダンパと、
を備え、
前記被付着部材は、前記シャッタと前記ダンパとの間であって、前記焦点調整部により調整された前記レーザ光の焦点位置に配置されている、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【請求項15】
前記レーザ光源と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光の焦点位置を調整する焦点調整部と、
前記レーザ光を前記加工対象物に向けて出射する開口を閉塞する保護ガラスよりも前記加工対象物の側に取着され、前記保護ガラスを透過した前記レーザ光を反射する反射板と、
前記反射板により反射された後、前記制御部により所定角度に制御された前記走査部により反射された前記レーザ光の経路上に配置され、前記レーザ光を吸収するダンパと、
を備え、
前記被付着部材は、前記反射板と前記ダンパとの間であって、前記焦点調整部により調整された前記レーザ光の焦点位置に配置されている、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【請求項16】
前記レーザ光源は、集光された後に前記光学部材に入射されるように前記レーザ光を出射するように構成され、
前記被付着部材は、前記レーザ光が集光される位置に配置されている、
請求項に記載のレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置は、加工対象物にレーザ光を照射し、加工対象物の表面に文字等のマーキング加工を行う(たとえば、特許文献1参照)。このレーザ加工装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、マーキング加工を行う所望の文字等に基づいてレーザ光源から出射されるレーザ光の方向を変更して加工対象物に対して走査するガルバノミラー等の光学部品とを備える。
【0003】
ところで、塵埃等の空気中に漂う不純物が光学部品に付着すると、加工対象物に照射するレーザ光の出力が低下し、所望の加工状態が得られない場合がある。このため、光学部品に対して不純物の付着を抑制することが求められる。不純物の付着を抑制する1つの方法は、光学部品を収容するケースを気密封止することである(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-61843号公報
【文献】特開2006-54366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この方法は、ハーメチックシール等の封止構造が必要であるため、半導体発光素子(たとえばレーザダイオード)などの小さな光学部品では有効である一方、大型なレーザ加工装置に適用するには技術的に難しい。また、気密封止する方法では、湿気による結露の問題が生じる。結露を防止するためには、光学部品を配置した収容室内に除湿剤を配置したり、除湿剤を交換したりするなどの手間が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるレーザ加工装置は、加工対象物を加工するためのレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を前記加工対象物に対して走査する走査部と、前記レーザ光源および前記走査部を制御する制御部と、前記レーザ光を透過する被付着部材と、前記被付着部材における前記レーザ光の照射位置を変更する位置変更部と、を有する集塵部と、を備え、前記被付着部材は、前記光学部材によって伝達される前記レーザ光の通過経路上、または、反射された前記レーザ光が照射される位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、不純物の付着を抑制可能としたレーザ加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
図2図2は、第2実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
図3図3は、第3実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
図4図4は、第4実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
図5図5は、第5実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
図6図6は、第6実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
図7図7は、第7実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
図8図8は、第8実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
図9図9は、第9実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
図10図10は、第10実施形態のレーザ加工装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を説明する。
図1に示すレーザ加工装置101は、加工対象物Wに対してレーザ光LWを照射し、加工対象物Wを加工する。このレーザ加工装置101は、たとえば加工対象物Wにマーキングを施すレーザマーキング装置である。レーザ光LWによる加工は、加工対象物Wの一部を除去(切削、穴開け、等)する処理、レーザ光LWの熱によって加工対象物Wの一部を変色、変質させる処理、等を含む。
【0010】
図1に示すように、レーザ加工装置101は、レーザ出射ユニット11、レーザヘッド12を備えている。
レーザ出射ユニット11は、制御部21、レーザ光源22を有している。制御部21は、レーザ加工装置101の全体の稼動を制御する。制御部21は、レーザ光源22と電気的に接続され、レーザ光源22の駆動を制御する。また、制御部21は、レーザヘッド12と電気的に接続され、レーザヘッド12の駆動を制御する。
【0011】
レーザ光源22は、所定の波長を含むレーザ光LWを出射する。このレーザ光LWは、加工対象物Wを加工するためのものである。このレーザ光LWに含まれる波長は、たとえば紫外光の波長(たとえば355nm)である。
【0012】
レーザ光源22は、レーザ発振器23、波長変換部24、フィルタ27を有している。
レーザ発振器23は、基本波を生成する。基本波は、上記のレーザ光LWを生成するための基本となる波長のレーザ光である。基本波の周波数は、たとえば1064nmである。レーザ発振器23は、YAGレーザ、COレーザ、ファイバーレーザ、等のレーザ光源である。
【0013】
レーザ光源22は、直接または光ファイバケーブルにより波長変換部24に接続される。波長変換部24は、レーザ光源22にて生成した基本波を波長変換して、基本波よりも高い周波数を有する高調波を生成する。
【0014】
本実施形態の波長変換部24は、第1変換素子25と第2変換素子26とを含む。第1変換素子25は、基本波よりも高い周波数を有する第2高調波(SHG:Second Harmonic Generation)を生成する波長変換素子である。第1変換素子25は、基本波と第2高調波とを含むレーザ光を生成する。第1変換素子25は、非線形光学結晶であり、たとえば、LBO(LiB)である。なお、第1変換素子25は、他の非線形光学結晶を用いてもよい。第2高調波の波長は、たとえば532nmである。
【0015】
第2変換素子26は、第1高調波よりも高い周波数を有する第3高調波(THG:Third Harmonic Generation)を生成する波長変換素子である。第2変換素子26は、基本波と第2高調波と第3高調波とを含むレーザ光を生成する。第2変換素子26は、非線形光学結晶であり、たとえば、LBO(LiB)である。なお、第2変換素子26は、他の非線形光学結晶を用いてもよい。第3高調波の波長は、たとえば355nmである。
【0016】
フィルタ27は、所定波長のレーザ光を透過するものである。本実施形態のフィルタ27は、第3高調波の波長を含む波長帯域のレーザ光を透過するように構成されている。
このような構成により、レーザ光源22は、上記の所定の波長(たとえば355nm)のレーザ光LWを出射する。
【0017】
レーザヘッド12は、集塵部31、ビームエキスパンダ32、焦点調整部33、走査部34、保護ガラス35を備えている。
集塵部31は、被付着部材31a、位置変更部31bを有する。被付着部材31aは、レーザ光LWを透過する。この被付着部材31aは、たとえば、ガラス基板と、ガラス基板の表面の反射防止膜(ARコート)とを有する。ガラス基板は、レーザ光LWの吸収の小さな材質により構成されることが好ましい。ガラス基板は、たとえば溶融石英から構成されている。反射防止膜は、ガラス基板におけるレーザ光の反射量(反射率)を低減し、ガラス基板におけるレーザ光の透過量(透過率)を向上する。反射防止膜は、酸化物、金属、希土類、等の材料の複数の薄膜から構成された多層膜である。反射防止膜は、たとえば、酸化アルミニウム(Al)、五酸化タンタル(Ta)、フッ化マグネシウム(MgF)、等の薄膜から構成される。本実施形態の反射防止膜において、最表層の膜は酸化チタン(TiO)を含む。
【0018】
被付着部材31aは、レーザヘッド12の内部において、レーザ光LWの強度の高い場所に配置されていることが好ましい。レーザ光LWは、レーザ出射ユニット11からたとえば平行光として出射される。このレーザ光LWの強度は、その通過経路に沿って低下する。したがって、レーザ出射ユニット11の出射端、つまりレーザヘッド12におけるレーザ光の入射端が強度の高い場所といえる。
【0019】
後述するビームエキスパンダ32、焦点調整部33、走査部34は、レーザ加工装置101において、レーザ出射ユニット11から出射されたレーザ光LWを加工対象物Wに向けて伝播する光学部材である。これに対し、被付着部材31aは、レーザ加工装置101において、レーザ光LWの伝播に寄与しない光学部材であるといえる。
【0020】
位置変更部31bは、たとえば、モータ等のアクチュエータを含む。位置変更部31bは、被付着部材31aにおいてレーザ光LWが通過(入射)する箇所を変更するように構成されている。たとえば、位置変更部31bは、被付着部材31aを回転させる、または所定方向に移動させることにより、被付着部材31aにおけるレーザ光LWが照射される位置を変更する。
【0021】
ビームエキスパンダ32は、複数のレンズを含む。たとえば、ビームエキスパンダ32は、入射側の凹レンズと出射側の凸レンズとを有する。ビームエキスパンダ32は、入射されるレーザ光LWのビーム径を所定の倍率で拡大し、レーザ光LWを出射する。なお、ビームエキスパンダ32は、入射側と出射側とに凸レンズを有する構成としてもよい。
【0022】
焦点調整部33は、レンズ部33a、駆動部33bを有している。レンズ部33aは、少なくとも2枚のレンズを含む。レンズは、レーザ光LWの通過経路に沿って配置されている。また、レンズ部33aに含まれる少なくとも1枚のレンズは、リニアスライダ等の図示しない支持部材により、通過経路に沿って移動可能に支持されている。駆動部33bは、制御部21からの制御により、移動可能に支持されたレンズを通過経路に沿って移動させる。これにより、焦点調整部33は、レーザ光LWの焦点位置を調整する。
【0023】
走査部34は、ガルバノミラー34X,34Y、駆動部34bを含む。ガルバノミラー34X,34Yは、レーザ光LWを反射する。駆動部34bは、ガルバノミラー34X,34Yを回動する。駆動部34bは、たとえばモータであり、制御部21により制御される。ガルバノミラー34X,34Yおよび駆動部34bは、レーザ光LWを2次元方向に走査するように構成されている。たとえば、ガルバノミラー34Xおよび駆動部34bは、レーザ光LWをX軸方向に走査し、ガルバノミラー34Yおよび駆動部34bは、レーザ光LWをY軸方向に走査する。
【0024】
保護ガラス35は、レーザヘッド12に取着されている。レーザヘッド12は、レーザ光LWが通過する開口部を有する。保護ガラス35は、開口部を閉塞する。保護ガラス35は、レーザヘッド12の開口部からレーザヘッド12の内部へ、塵埃や加工によって生じた物体(たとえば有機物)の侵入を防止する。
【0025】
(作用)
次に、本実施形態のレーザ加工装置101の作用を説明する。
レーザ加工装置101は、レーザ出射ユニット11とレーザヘッド12とを有している。レーザ出射ユニット11は、基本波を生成するレーザ発振器23と、基本波を波長変換して、基本波よりも高い周波数を有する高調波を生成する波長変換部24とを有している。この波長変換部24から出力されるレーザ光LWの波長は、たとえば355nmである。このようなレーザ光LWは、UVレーザ光と呼ばれる。このレーザ光LWにより加工対象物Wを加工できる。
【0026】
レーザヘッド12は、レーザ光LWを加工対象物Wに対して照射するための光学部材として、ビームエキスパンダ32、焦点調整部33、および走査部34を有している。また、レーザヘッド12は、レーザ光LWの伝播に関与しない光学部材として被付着部材31aを有している。この被付着部材31aは、レーザ光LWの強度の高い場所に配置されている。
【0027】
レーザヘッド12の内部の気体には、不純物が含まれる。不純物は、微少な液体や、固体の粒子を含む。不純物は、泳動効果等により、レーザ光やレーザ光が照射された光学部材に向かって移動する性質を有する。この泳動効果は、レーザ光の強度が高いほど泳動力が大きくなる。したがって、レーザヘッド12の内部の不純物は、被付着部材31aにおいて、レーザ光LWが透過する部分に向かって移動し、被付着部材31aに付着する。これにより、他の光学部材、つまりビームエキスパンダ32、焦点調整部33を構成するレンズ、ガルバノミラー34X,34Y、等のレーザ光LWを加工対象物Wに導くための光学部材に対する不純物の付着を抑制できる。そして、レーザヘッド12からレーザ加工装置101に向けて出射するレーザ光LWの強度の低下を抑制できる。
【0028】
被付着部材31aは、ガラス板と、ガラス板の表面に形成された反射防止膜とを有している。したがって、不純物は、被付着部材31aに対するレーザ光LWの入射面と、レーザ光LWの出射面とに付着する。これにより、レーザヘッド12の内部の不純物を効率よく付着させることができる。
【0029】
集塵部31は、被付着部材31aと位置変更部31bとを有している。位置変更部31bは、被付着部材31aにおいて、レーザ光LWが照射される位置を変更するように構成されている。制御部21は、たとえばレーザ加工装置101の稼動時間により、位置変更部31bを制御して、被付着部材31aに対するレーザ光LWの照射位置を変更する。つまり、不純物が付着する部分を変更することで、長期間に亘って不純物を被付着部材31aに付着させる、つまり他の光学部材への不純物の付着を長期間に亘って抑制することができる。これにより、レーザ加工装置101の稼動を長期化することができる。
【0030】
また、レーザ加工装置101は、内蔵する光学部材の清掃や交換等のメンテナンスが必要となる。本実施形態では、光学部材に対する不純物の付着を低減するため、メンテナンス回数の低減や、メンテナンス間隔を長くする、つまり稼動時間を長くすることができる。
【0031】
本実施形態の被付着部材31aは、ガラス基板と、ガラス基板の表面の反射防止膜とを含む。本実施形態の反射防止膜において、最表層の膜は酸化チタン(TiO)を含む。この最表層の膜は、一般的な(通常の)集塵効果に加え、照射されるレーザ光LW(UVレーザ光)により光触媒効果を発揮する。この光触媒効果により、被付着部材31aに付着した有機物は分解される。これにより、被付着部材31aに付着した不純物を低減することができる。このため、メンテナンス回数の低減や、メンテナンス間隔を長くする、つまり稼動時間を長くすることができる。
【0032】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1-1)レーザ加工装置101は、レーザ出射ユニット11とレーザヘッド12とを有している。レーザ出射ユニット11は、基本波を生成するレーザ発振器23と、基本波よりも高い周波数を有する高調波を生成する波長変換部24とを有している。この波長変換部24から出力されるレーザ光LWの波長は、たとえば355nmである。このようなレーザ光LWは、UVレーザ光と呼ばれる。このレーザ光LWにより加工対象物Wを加工できる。
【0033】
(1-2)レーザヘッド12は、レーザ光LWを加工対象物Wに対して照射するための光学部材として、ビームエキスパンダ32、焦点調整部33、および走査部34を有している。また、レーザヘッド12は、レーザ光LWの伝播に関与しない光学部材として被付着部材31aを有している。この被付着部材31aは、レーザ光LWの強度の高い場所に配置されている。レーザヘッド12の内部の不純物は、被付着部材31aにおいて、レーザ光LWが透過する部分に向かって移動し、被付着部材31aに付着する。これにより、他の光学部材、つまりビームエキスパンダ32、焦点調整部33を構成するレンズ、ガルバノミラー34X,34Yに対する不純物の付着を抑制できる。そして、レーザヘッド12からレーザ加工装置101に向けて出射するレーザ光LWの強度の低下を抑制できる。
【0034】
(1-3)被付着部材31aは、ガラス板と、ガラス板の表面に形成された反射防止膜とを有している。したがって、不純物は、被付着部材31aに対するレーザ光LWの入射面と、レーザ光LWの出射面とに付着する。これにより、レーザヘッド12の内部の不純物を効率よく付着させることができる。
【0035】
(1-4)集塵部31は、被付着部材31aと位置変更部31bとを有している。位置変更部31bは、被付着部材31aにおいて、レーザ光LWが照射される位置を変更するように構成されている。制御部21は、たとえばレーザ加工装置101の稼動時間により、位置変更部31bを制御して、被付着部材31aに対するレーザ光LWの照射位置を変更する。つまり、不純物が付着する部分を変更することで、長期間に亘って不純物を被付着部材31aに付着させる、つまり他の光学部材への不純物の付着を長期間に亘って抑制することができる。これにより、レーザ加工装置101の稼動を長期化することができる。
【0036】
(1-5)レーザ加工装置101は、内蔵する光学部材の清掃や交換等のメンテナンスが必要となる。本実施形態では、光学部材に対する不純物の付着を低減するため、メンテナンス回数の低減や、メンテナンス間隔を長くする、つまり稼動時間を長くすることができる。
【0037】
(1-6)被付着部材31aは、ガラス基板と、ガラス基板の表面の反射防止膜とを含む。本実施形態の反射防止膜において、最表層の膜は酸化チタン(TiO)を含む。この最表層は、照射されるレーザ光LW(UVレーザ光)により光触媒効果を発揮する。この光触媒効果により、被付着部材31aに付着した有機物は分解される。これにより、被付着部材31aに付着した不純物を低減することができる。このため、メンテナンス回数の低減や、メンテナンス間隔を長くする、つまり稼動時間を長くすることができる。
【0038】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図2に示すように、本実施形態のレーザ加工装置102は、ビームエキスパンダ41を備えている。本実施形態のビームエキスパンダ41は、第1レンズ41aおよび第2レンズ41bを有する。第1レンズ41aおよび第2レンズ41bは凸レンズである。つまり、本実施形態のビームエキスパンダ41は、ケプラー式のビームエキスパンダである。このビームエキスパンダ41は、入射側の第1レンズ41aと出射側の第2レンズ41bとの間において、レーザ光LWを集光する。つまり、本実施形態のレーザ加工装置102は、ビームエキスパンダ41の内部にレーザ光LWの焦点位置を有している。
【0040】
集塵部31の被付着部材31aは、ビームエキスパンダ41の内部に配置されている。詳しくは、被付着部材31aは、入射側の第1レンズ41aと出射側の第2レンズ41bとの間に配置されている。被付着部材31aは、第1レンズ41aと第2レンズ41bとの間において、レーザ光LWの焦点位置、またはその近傍に配置されている。
【0041】
被付着部材31aの位置としては、不純物によって、「焦点位置」が好ましい場合や、「焦点位置から少しずらす位置」がこの好ましい場合といったように、不純物の種類によって、被付着部材31aを配置するレーザ光路上の最適な位置は変わる場合がある。したがって、「焦点位置または近傍」とは、光の強度を高い箇所として、「焦点位置」や「ほぼ焦点位置(焦点位置とみなせる位置)」以外に、「集光レンズにより集光されたレーザ光の焦点位置と、集光レンズとの間」、「焦点位置に対して集光レンズとは反対側の位置」も含まれている。
【0042】
レーザ光LWを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LWが照射される部分におけるレーザ光LWの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のビームエキスパンダ41を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0043】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)凸レンズである第1レンズ41aおよび第2レンズ41bを用いたビームエキスパンダ41により、第1レンズ41aと第2レンズ41bの間に配置した被付着部材31aにおけるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなり、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0044】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図3に示すように、本実施形態のレーザ加工装置103は、レーザヘッド12にビームスプリッタ42、レンズ43、ダンパ44を備えている。
ビームスプリッタ42は、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間に配置されている。ビームスプリッタ42は、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWの一部を分岐する。ダンパ44は、分岐されたレーザ光LWを吸収する。
【0046】
レンズ43は、ビームスプリッタ42とダンパ44との間に配置されている。レンズ43は、凸レンズであり、レンズ43とダンパ44との間において、レーザ光LWを集光する集光レンズである。つまり、本実施形態のレーザ加工装置103は、レンズ43とダンパ44との間に、レーザ光LWの焦点を有している。
【0047】
集塵部31の被付着部材31aは、レンズ43とダンパ44との間に配置されている。被付着部材31aは、レンズ43とダンパ44との間において、レーザ光LWの焦点位置、またはその近傍に配置されている。
【0048】
レーザ光LWを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LWが照射される部分におけるレーザ光LWの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ43を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0049】
本実施形態のレーザ加工装置103は、ビームスプリッタ42により分岐したレーザ光LWの経路中に被付着部材31aを配置している。したがって、加工対象物Wを加工するレーザ光LWの経路と異なる位置に被付着部材31aを配置することができる。つまり、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0050】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
(3-1)レーザ加工装置103は、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWの一部を分岐するビームスプリッタ42を備える。ダンパ44は、分岐されたレーザ光を吸収する。レンズ43は、ビームスプリッタ42とダンパ44との間に配置され、分岐されたレーザ光を集光する。これにより、レーザヘッド12の内部において、レーザ光LWの強度が高い場所を容易に形成できる。
【0051】
(3-2)集塵部31の被付着部材31aは、レンズ43とダンパ44との間に配置されている。レーザ光LWを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LWが照射される部分におけるレーザ光LWの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ43を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0052】
(3-3)被付着部材31aは、ビームスプリッタ42により分岐したレーザ光LWの経路中に配置されている。これにより、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0053】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図4に示すように、本実施形態のレーザ加工装置104は、レーザ光源22にレンズ28を有している。レンズ28は凸レンズであり、フィルタ27を透過したレーザ光LWを集光する。レーザ光LWは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間で集光される。
【0055】
集塵部31の被付着部材31aは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間に配置されている。被付着部材31aは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間において、レーザ光LWの焦点位置、またはその近傍に配置されている。
【0056】
レーザ光LWを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LWが照射される部分におけるレーザ光LWの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ28を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0057】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
(4-1)レーザ加工装置104は、レーザ光源22にレンズ28を有している。レンズ28は凸レンズであり、フィルタ27を透過したレーザ光LWを集光する。レーザ光LWは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間で集光される。これにより、レーザヘッド12の内部において、レーザ光LWの強度が高い場所を容易に形成できる。
【0058】
(4-2)集塵部31の被付着部材31aは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間に配置されている。被付着部材31aは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間において、レーザ光LWの焦点位置、またはその近傍に配置されている。レーザ光LWを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LWが照射される部分におけるレーザ光LWの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ28を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0059】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図5に示すように、本実施形態のレーザ加工装置105のレーザ光源22は、レーザ発振器23と波長変換部24とを有し、図1等に示すフィルタ27を備えていない。この構成により、レーザ光源22は、基本波と高調波(第2高調波および第3高調波)とを含むレーザ光LAを出射する。
【0061】
上記実施形態のレーザヘッド12は、フィルタ45を備えている。フィルタ45は、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間に配置されている。集塵部31の被付着部材31aは、レーザ光源22とフィルタ45との間に配置されている。したがって、被付着部材31aは、基本波と高調波とを含むレーザ光LAを透過する。フィルタ45は、レーザ光LAのうちの第2高調波を含むレーザ光LWを透過する。
【0062】
このレーザ加工装置105では、被付着部材31aを透過するレーザ光LAは、基本波と高調波(第2高調波および第3高調波)を含む。したがって、本実施形態では、第3高調波に加えて、基本波および第2高調波による不純物(たとえば有機化合物)を被付着部材31aに付着させることができる。
【0063】
以上記述したように、本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
(5-1)レーザ加工装置105のレーザ光源22は、基本波と高調波(第2高調波および第3高調波)とを含むレーザ光LAを出射する。被付着部材31aは、基本波と高調波(第2高調波および第3高調波)とを含むレーザ光LAを透過する。本実施形態では、第3高調波に加えて、基本波および第2高調波による不純物(たとえば有機化合物)を被付着部材31aに付着させることができる。これにより、他の光学部材に対する不純物の付着を低減できる。
【0064】
(第6実施形態)
以下、第6実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図6に示すように、本実施形態のレーザ加工装置106のレーザ光源22は、レーザ発振器23と波長変換部24とレンズ28とを有し、図1等に示すフィルタ27を備えていない。レンズ28は凸レンズであり、波長変換部24により生成したレーザ光LAを集光する。レーザ光LAは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間で集光される。
【0066】
上記実施形態のレーザヘッド12は、フィルタ45を備えている。フィルタ45は、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間に配置されている。集塵部31の被付着部材31aは、レーザ光源22とフィルタ45との間に配置されている。被付着部材31aは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間において、レーザ光LAの焦点位置、またはその近傍に配置されている。
【0067】
レーザ光LAを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LAが照射される部分におけるレーザ光LAの強度は、集光前のレーザ光LAの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ28を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0068】
以上記述したように、本実施形態によれば、第1,第5実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
(6-1)レーザ加工装置106は、レーザ光源22にレンズ28を有している。レンズ28は凸レンズであり、レーザ光LAを集光する。レーザ光LAは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間で集光される。これにより、レーザヘッド12の内部において、レーザ光LAの強度が高い場所を容易に形成できる。
【0069】
(6-2)集塵部31の被付着部材31aは、レーザ光源22とフィルタ45との間に配置されている。被付着部材31aは、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間において、レーザ光LAの焦点位置、またはその近傍に配置されている。レーザ光LAを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LAが照射される部分におけるレーザ光LAの強度は、集光前のレーザ光LAの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ28を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LAの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0070】
(6-3)レーザ加工装置106のレーザ光源22は、基本波と高調波(第2高調波および第3高調波)とを含むレーザ光LAを出射する。被付着部材31aは、基本波と高調波(第2高調波および第3高調波)とを含むレーザ光LAを透過する。本実施形態では、第3高調波に加えて、基本波および第2高調波による不純物(たとえば有機化合物)を被付着部材31aに付着させることができる。これにより、他の光学部材に対する不純物の付着を低減できる。
【0071】
(第7実施形態)
以下、第7実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0072】
図7に示すように、本実施形態のレーザ加工装置107は、レーザヘッド12にミラー(反射部材)46、駆動部47、レンズ43、ダンパ44を備えている。
ミラー46は、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間に配置されている。ミラー46は、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWがミラー46に照射される第1位置(図7において二点鎖線にて示す位置)と、レーザ光LWが照射されない第2位置(図7において実線で示す位置)とに切換え配置可能に支持されている。駆動部47は、ミラー46を第1位置と第2位置とに切換え配置するためのアクチュエータである。制御部21は、駆動部47を制御し、ミラー46を第1位置または第2位置に配置する。制御部21および駆動部47は、位置切換部を構成する。
【0073】
第1位置に配置されたミラー46は、レーザ光LWを反射する。ダンパ44は、ミラー46により反射されたレーザ光LW(二点鎖線にて示す)を吸収する。
レンズ43は、ミラー46とダンパ44との間に配置されている。レンズ43は、凸レンズであり、レンズ43とダンパ44との間において、レーザ光LWを集光する。つまり、本実施形態のレーザ加工装置107は、レンズ43とダンパ44との間に、レーザ光LWの焦点を有している。
【0074】
集塵部31の被付着部材31aは、レンズ43とダンパ44との間に配置されている。被付着部材31aは、レンズ43とダンパ44との間において、レーザ光LWの焦点位置、またはその近傍に配置されている。
【0075】
レーザ光LWを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LWが照射される部分におけるレーザ光LWの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ43を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0076】
本実施形態のレーザ加工装置107は、ミラー46により反射されたレーザ光LWの経路中に被付着部材31aを配置している。したがって、加工対象物Wを加工するレーザ光LWの経路と異なる位置に被付着部材31aを配置することができる。つまり、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0077】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
(7-1)レーザ加工装置107は、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWを反射するミラー46を備える。ダンパ44は、ミラー46により反射されたレーザ光を吸収する。レンズ43は、ミラー46とダンパ44との間に配置され、レーザ光LWを集光する。集塵部31の被付着部材31aは、レンズ43とダンパ44との間に配置されている。
【0078】
レーザ光LWを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LWが照射される部分におけるレーザ光LWの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ43を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0079】
(7-2)被付着部材31aは、ミラー46により反射したレーザ光LWの経路中に配置されている。これにより、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0080】
(7-3)被付着部材31aは、第1位置に配置されたミラー46により反射されたレーザ光LWの経路中に配置されている。これにより、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0081】
(7-4)ミラー46は、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWがミラー46に照射される第1位置(図7において二点鎖線にて示す位置)と、レーザ光LWが照射されない第2位置(図7において実線で示す位置)とに切換え配置可能に支持されている。したがって、レーザ光LWが照射されない第2位置にミラー46を切換配置することで、レーザ光源22にて生成したレーザ光LWを分岐することなく加工対象物Wに向けて照射することができ、効率のよい加工を行うことができる。
【0082】
(第8実施形態)
以下、第8実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0083】
図8に示すように、本実施形態のレーザ加工装置108は、レーザヘッド12に波長板48、駆動部49、偏光ビームスプリッタ50、レンズ43、ダンパ44を備えている。
波長板48は、直線偏光の偏光方向を回転させる1/2波長板である。駆動部49は、波長板48を回転させる。偏光ビームスプリッタ50は、レーザ光源22とビームエキスパンダ32との間に配置されている。偏光ビームスプリッタ50は、第1偏光方向の光を透過し、第1偏光方向と直交する第2偏光方向の光を反射する光学部材である。波長板48と偏光ビームスプリッタ50とを組み合わせることにより、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWを有効に活用できる。
【0084】
波長板48を回転させてレーザ光LWの偏光方向を偏光ビームスプリッタ50の第1偏光方向と一致させることにより、レーザ光源22から出射されたレーザ光LWは、偏光ビームスプリッタ50を透過する。この透過したレーザ光LWにより加工対象物Wを加工できる。
【0085】
波長板48を回転させてレーザ光LWの偏光方向を偏光ビームスプリッタ50の第2偏光方向と一致させることにより、レーザ光源22から出射されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ50により反射される。ダンパ44は、偏光ビームスプリッタ50により反射されたレーザ光LW(2点鎖線にて示す)を吸収する。
【0086】
レンズ43は、偏光ビームスプリッタ50とダンパ44との間に配置されている。レンズ43は、凸レンズであり、レンズ43とダンパ44との間において、レーザ光LWを集光する。つまり、本実施形態のレーザ加工装置108は、レンズ43とダンパ44との間に、レーザ光LWの焦点を有している。
【0087】
集塵部31の被付着部材31aは、レンズ43とダンパ44との間に配置されている。被付着部材31aは、レンズ43とダンパ44との間において、レーザ光LWの焦点位置、またはその近傍に配置されている。
【0088】
レーザ光LWを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LWが照射される部分におけるレーザ光LWの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ43を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0089】
本実施形態のレーザ加工装置108は、偏光ビームスプリッタ50により反射されたレーザ光LWの経路中に被付着部材31aを配置している。したがって、加工対象物Wを加工するレーザ光LWの経路と異なる位置に被付着部材31aを配置することができる。つまり、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0090】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
(8-1)レーザ加工装置108は、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWの一部を分岐する偏光ビームスプリッタ50を備える。ダンパ44は、分岐されたレーザ光を吸収する。レンズ43は、偏光ビームスプリッタ50とダンパ44との間に配置され、分岐されたレーザ光を集光する。これにより、レーザヘッド12の内部において、レーザ光LWの強度が高い場所を容易に形成できる。
【0091】
(8-2)集塵部31の被付着部材31aは、レンズ43とダンパ44との間に配置されている。レーザ光LWを集光することにより、被付着部材31aの表面においてレーザ光LWが照射される部分におけるレーザ光LWの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のレンズ43を用いることで、被付着部材31aに照射されるレーザ光LWの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0092】
(8-3)被付着部材31aは、偏光ビームスプリッタ50により反射されたレーザ光LWの経路中に配置されている。これにより、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0093】
(第9実施形態)
以下、第9実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0094】
図9に示すように、本実施形態のレーザ加工装置109は、レーザヘッド12にシャッタ51、駆動部52、ダンパ44を備えている。
シャッタ51は、焦点調整部33と走査部34との間に配置されている。また、シャッタ51は、レーザ光LWが照射される第1位置(二点鎖線にて示す)と、レーザ光が照射されない第2位置(実線にて示す)とに切換え配置可能に支持されている。駆動部52は、シャッタ51を第1位置と第2位置とに切換え配置するように構成されたアクチュエータ(たとえばモータ)である。シャッタ51は、レーザ光LWを反射するように構成されている。シャッタ51により反射されたレーザ光を反射光LRとする。
【0095】
ダンパ44は、シャッタ51により反射された反射光LR(二点鎖線にて示す)を吸収する。この反射光LRは、焦点調整部33により、シャッタ51とダンパ44との間で集光する。
【0096】
集塵部31の被付着部材31aは、シャッタ51とダンパ44との間に配置されている。被付着部材31aは、シャッタ51とダンパ44との間において、反射光LRの焦点位置、またはその近傍に配置されている。
【0097】
反射光LRを集光することにより、被付着部材31aの表面において反射光LRが照射される部分における反射光LRの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、焦点調整部33を用いることで、被付着部材31aに照射される反射光LRの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0098】
本実施形態のレーザ加工装置109は、シャッタ51により反射された反射光LRの経路中に被付着部材31aを配置している。したがって、加工対象物Wを加工するレーザ光LWの経路と異なる位置に被付着部材31aを配置することができる。つまり、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0099】
また、本実施形態のレーザ加工装置109は、焦点調整部33により調整した反射光LRの焦点位置またはその近傍に集塵部31の被付着部材31aが配置されている。言い換えると、焦点調整部33は、集塵部31の被付着部材31aの位置またはその近傍にて反射光LRの焦点を形成するように制御される。これにより、任意の位置にて反射光LRの強度の高い箇所を容易に形成することができる。
【0100】
以上記述したように、本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
(9-1)レーザ加工装置109は、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWを反射するシャッタ51を備える。ダンパ44は、シャッタ51により反射された反射光LRを吸収する。反射光LRは、焦点調整部33によりシャッタ51とダンパ44との間で集光する。集塵部31の被付着部材31aは、シャッタ51とダンパ44との間に配置されている。
【0101】
反射光LRを集光することにより、被付着部材31aの表面において反射光LRが照射される部分における反射光LRの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のビームエキスパンダ32を用いることで、被付着部材31aに照射される反射光LRの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0102】
(9-2)被付着部材31aは、シャッタ51により反射した反射光LRの経路中に配置されている。これにより、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0103】
(9-3)シャッタ51は、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWがシャッタ51に照射される第1位置(二点鎖線にて示す位置)と、レーザ光LWが照射されない第2位置(実線で示す位置)とに切換え配置可能に支持されている。したがって、レーザ光LWが照射されない第2位置にシャッタ51を切換配置することで、レーザ光源22にて生成したレーザ光LWを分岐することなく加工対象物Wに向けて照射することができ、効率のよい加工を行うことができる。
【0104】
(9-4)レーザ加工装置109は、焦点調整部33により調整した反射光LRの焦点位置またはその近傍に集塵部31の被付着部材31aが配置されている。言い換えると、焦点調整部33は、集塵部31の被付着部材31aの位置またはその近傍にて反射光LRの焦点を形成するように制御される。これにより、任意の位置にて反射光LRの強度の高い箇所を容易に形成することができる。
【0105】
(第10実施形態)
以下、第10実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0106】
図10に示すように、本実施形態のレーザ加工装置110は、レーザヘッド12にダンパ44を備えている。
本実施形態のレーザヘッド12は、反射ミラー(反射板)53を着脱可能に構成されている。レーザヘッド12に取着された反射ミラー53は、レーザ光LWをガルバノミラー34X,34Yに向けて反射する。反射ミラー53により反射されたレーザ光を反射光LRとする。ガルバノミラー34X,34Yは、焦点調整部33以外の方向に向けて反射光LRを反射する。
【0107】
ダンパ44は、反射ミラー53およびガルバノミラー34X,34Yにより反射された反射光LR(二点鎖線にて示す)を吸収する。この反射光LRは、焦点調整部33により、ガルバノミラー34X,34Yとダンパ44との間で集光する。
【0108】
集塵部31の被付着部材31aは、ガルバノミラー34X,34Yとダンパ44との間に配置されている。被付着部材31aは、ガルバノミラー34X,34Yとダンパ44との間において、反射光LRの焦点位置、またはその近傍に配置されている。
【0109】
反射光LRを集光することにより、被付着部材31aの表面において反射光LRが照射される部分における反射光LRの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、焦点調整部33を用いることで、被付着部材31aに照射される反射光LRの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0110】
本実施形態のレーザ加工装置110は、反射ミラー53およびガルバノミラー34X,34Yにより反射された反射光LRの経路中に被付着部材31aを配置している。したがって、加工対象物Wを加工するレーザ光LWの経路と異なる位置に被付着部材31aを配置することができる。つまり、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0111】
また、本実施形態のレーザ加工装置110は、焦点調整部33により調整した反射光LRの焦点位置またはその近傍に集塵部31の被付着部材31aが配置されている。言い換えると、焦点調整部33は、集塵部31の被付着部材31aの位置またはその近傍にて反射光LRの焦点を形成するように制御される。これにより、任意の位置にて反射光LRの強度の高い箇所を容易に形成することができる。
【0112】
以上記述したように、本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
(10-1)レーザ加工装置110は、レーザ光源22から出射されるレーザ光LWを反射する反射ミラー53を備える。ダンパ44は、反射ミラー53およびガルバノミラー34X,34Yにより反射された反射光LRを吸収する。反射光LRは、焦点調整部33によりガルバノミラー34X,34Yとダンパ44との間で集光する。集塵部31の被付着部材31aは、ガルバノミラー34X,34Yとダンパ44との間に配置されている。
【0113】
反射光LRを集光することにより、被付着部材31aの表面において反射光LRが照射される部分における反射光LRの強度は、集光前のレーザ光LWの強度よりも高くなる。したがって、本実施形態のビームエキスパンダ32を用いることで、被付着部材31aに照射される反射光LRの強度をより高くすることができる。これにより、被付着部材31aに対する不純物がより付着し易くなる。言い換えれば、他の光学部材に対する不純物の付着をより低減できる。
【0114】
(10-2)被付着部材31aは、反射ミラー53およびガルバノミラー34X,34Yにより反射した反射光LRの経路中に配置されている。これにより、レーザヘッド12の内部において、任意の位置に被付着部材31aを配置することができる。このため、レーザヘッド12の内部において、不純物が発生する箇所(たとえば接着剤が塗布された箇所)の付近に被付着部材31aを配置することで、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0115】
(10-3)レーザ加工装置110は、焦点調整部33により調整した反射光LRの焦点位置またはその近傍に集塵部31の被付着部材31aが配置されている。言い換えると、焦点調整部33は、集塵部31の被付着部材31aの位置またはその近傍にて反射光LRの焦点を形成するように制御される。これにより、任意の位置にて反射光LRの強度の高い箇所を容易に形成することができる。
【0116】
[変更例]
各実施形態に関する説明は、本開示に関するレーザ加工装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示は各実施形態以外に例えば以下に示される実施形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0117】
・レーザ発振器23における基本波の波長を適宜変更する。
・3つ以上の変換素子を含む波長変換部24とする。たとえば、波長変換部24は、第3高調波よりも高い周波数を有する第4高調波を生成する変換素子を含む。第4高調波の波長は、たとえば266nmである。
【0118】
・被付着部材31aを帯電させるようにしてもよい。この場合、静電泳動効果も加わることで、被付着部材31aに対して不純物が付着し易くなり、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0119】
・被付着部材31aの温度と、被付着部材31aの周囲の温度との少なくとも一方を調整してもよい。たとえば、被付着部材31aに対して、周囲の温度を高くする。また、被付着部材31aの温度を周囲の温度より低くする。これにより、被付着部材31aに対して不純物が付着し易くなり、他の光学部材への不純物の付着をより低減できる。
【0120】
・ダンパ44に替えて受光部(受光素子)を備え、被付着部材31aを透過したレーザ光LWの受光量を検出するようにしてもよい。この場合、制御部21は、受光部の受光量に基づいて、被付着部材31aの状態、つまり付着する不純物の状態を判定する。たとえば、制御部21は、稼動開始時や被付着部材31aの移動直後の受光量を基準受光量として記憶しておき、稼動中の受光量と基準受光量との差(受光量の低下量)が所定値以上となったときに、被付着部材31aを移動させるようにしてもよい。
【0121】
また、稼動中の受光量と基準受光量との差(受光量の低下量)が所定値以上となったときにその旨を制御部21がレーザ加工装置の外部へ通知するようにしてもよい。この場合、手動、または制御部21に対する指示によって被付着部材31aを移動させる。これにより、メンテナンス回数の低減や、メンテナンス間隔を長くする、つまり稼動時間を長くすることができる。
【0122】
・上記実施形態は、波長変換部24を含むレーザ光源22を用いたが、波長変換部24を含まないレーザ光源を有するレーザ加工装置としてもよい。たとえば、レーザ発振器23にて生成した基本波をレーザヘッド12に供給する。ここで、加工対象物Wにおける焦点位置(加工位置、加工焦点)でのレーザ光の強度(レーザパワー)を上げるためには、レーザ光を集光する集光レンズ(たとえば、焦点調整部33の各レンズ)に入射するレーザ光のビーム幅(より具体的には、コリメート光のビーム幅)を大きくするほうがよい。これは、ビーム径が大きいほど、レーザ光の強度が上がるためである。しかしながら、レーザ加工装置としては、装置自体を必要以上に大きくできない、装置自体も小型化を求められる、等の様々な要求事項がある。これにより、ビーム径の大きさに限界があり、ビーム径には制約がでてくることとなる。このため、高出力(高レーザパワー)にしようとすると、ビーム幅を変更できない部分は、レーザ光源自体のパワー(出力)を上げることになる。そして、このレーザ光源のパワー(出力)を高出力化するほど、レンズ等の光学部材の汚染、つまり光学部材に対して不純物が付着する問題がより大きくなる。したがって、例えば基本波にて加工対象物Wを加工するためのレーザ加工装置においても、上記各実施形態と同様に集塵部31を備えることで、光学部材への不純物の付着を低減できる。
(付記1)
加工対象物を加工するためのレーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光を前記加工対象物に対して走査する走査部を有する光学部材と、
前記レーザ光源および前記走査部を制御する制御部と、
前記レーザ光を透過する被付着部材と、前記被付着部材における前記レーザ光の照射位置を変更する位置変更部と、を有する集塵部と、
を備え、
前記被付着部材は、前記光学部材によって伝達される前記レーザ光の通過経路上、または、反射された前記レーザ光が照射される位置に配置されている、
レーザ加工装置。
(付記2)
前記被付着部材は、前記レーザ光を透過するガラス板を有する、付記1に記載のレーザ加工装置。
(付記3)
前記被付着部材は、表面に形成された反射防止膜を有する、付記1または付記2に記載のレーザ加工装置。
(付記4)
前記反射防止膜は、多層膜により構成され、最表層の膜は酸化チタンを含む、付記3に記載のレーザ加工装置。
(付記5)
前記レーザ光源は、
基本波を生成するレーザ発振器と、
前記基本波よりも高い周波数を有する高調波を生成する波長変換部と、
を有し、
前記高調波を含む前記レーザ光を出射する、
付記1から付記4のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
(付記6)
前記波長変換部は、
前記基本波よりも高い周波数を有する第2高調波を生成する第1変換素子と、
前記第2高調波よりも高い周波数を有する第3高調波を生成する第2変換素子と、
を含み、
前記レーザ光源は、少なくとも前記第3高調波を含む前記レーザ光を出射する、
付記5に記載のレーザ加工装置。
(付記7)
前記レーザ光源と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光のビーム径を拡大するビームエキスパンダを備え、
前記被付着部材は、前記レーザ光源と前記ビームエキスパンダとの間に配置されている、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
(付記8)
前記レーザ光源と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光のビーム径を拡大するビームエキスパンダを備え、
前記ビームエキスパンダは、前記レーザ光が入射する第1レンズと、前記第1レンズを透過した前記レーザ光が入射する第2レンズとを備え、
前記被付着部材は、前記第1レンズと前記第2レンズとの間に配置されている、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
(付記9)
前記レーザ光の一部を反射するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタにより反射された前記レーザ光の一部を集光する集光レンズと、
を備え、
前記被付着部材は、前記集光レンズにより集光された前記レーザ光の焦点位置に配置されている、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
(付記10)
前記レーザ光の一部を反射するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタにより反射された前記レーザ光の一部を集光する集光レンズと、
を備え、
前記被付着部材は、前記集光レンズにより集光された前記レーザ光の焦点位置と、前記集光レンズとの間、または前記焦点位置に対して前記集光レンズとは反対側に配置されている、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
(付記11)
前記被付着部材を透過した前記レーザ光の一部を受光する受光部を備え、
前記制御部は、前記受光部の受光量に基づいて、前記被付着部材の状態を判定する、
付記9または付記10に記載のレーザ加工装置。
(付記12)
前記レーザ光を反射する反射部材と、
前記反射部材を前記レーザ光が照射される第1位置と、前記レーザ光が照射されない第2位置とに切換えて配置する位置切換部と、
を備え、
前記被付着部材は、前記第1位置に配置された前記反射部材により反射された前記レーザ光の経路上に配置されている、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
(付記13)
波長板と、
前記波長板を透過した前記レーザ光が入射する偏光ビームスプリッタと、
前記波長板を回転する駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、前記レーザ光が前記偏光ビームスプリッタにより反射される第1位置と、前記レーザ光が前記偏光ビームスプリッタを透過する第2位置とに切換えて配置するものであり、
前記被付着部材は、前記偏光ビームスプリッタにより反射された前記レーザ光の経路上に配置されている、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
(付記14)
前記レーザ光源と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光の焦点位置を制御する焦点調整部と、
前記焦点調整部と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光を反射するシャッタと、
前記シャッタにより反射された前記レーザ光を吸収するダンパと、
を備え、
前記被付着部材は、前記シャッタと前記ダンパとの間であって、前記焦点調整部により調整された前記レーザ光の焦点位置に配置されている、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
(付記15)
前記レーザ光源と前記走査部との間に配置され、前記レーザ光の焦点位置を調整する焦点調整部と、
前記レーザ光を前記加工対象物に向けて出射する開口を閉塞する保護ガラスよりも前記加工対象物の側に取着され、前記保護ガラスを透過した前記レーザ光を反射する反射板と、
前記反射板により反射された後、前記制御部により所定角度に制御された前記走査部により反射された前記レーザ光の経路上に配置され、前記レーザ光を吸収するダンパと、
を備え、
前記被付着部材は、前記反射板と前記ダンパとの間であって、前記焦点調整部により調整された前記レーザ光の焦点位置に配置されている、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
(付記16)
前記レーザ光源は、集光された後に前記光学部材に入射されるように前記レーザ光を出射するように構成され、
前記被付着部材は、前記レーザ光が集光される位置に配置されている、
付記1から付記6のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。
【符号の説明】
【0123】
101~110 レーザ加工装置
11 レーザ出射ユニット
12 レーザヘッド
21 制御部
22 レーザ光源
23 レーザ発振器
24 波長変換部
25 第1変換素子
26 第2変換素子
27 フィルタ
28 レンズ
31 集塵部
31a 被付着部材
31b 位置変更部
32 ビームエキスパンダ
33 焦点調整部
33a レンズ部
33b 駆動部
34 走査部
34b 駆動部
34X ガルバノミラー
34Y ガルバノミラー
35 保護ガラス
41 ビームエキスパンダ
41a 第1レンズ
41b 第2レンズ
42 ビームスプリッタ
43 レンズ
44 ダンパ
45 フィルタ
46 ミラー
47 駆動部
48 波長板
49 駆動部
50 偏光ビームスプリッタ
51 シャッタ
52 駆動部
53 反射ミラー
LA レーザ光
LR 反射光
LW レーザ光
W 加工対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10