(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】近視の進行を減少させるための電子コンタクトレンズの光学設計
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20241206BHJP
A61F 9/013 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
G02C7/04
A61F9/013
(21)【出願番号】P 2021504760
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 US2019043692
(87)【国際公開番号】W WO2020028177
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-01
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520501023
【氏名又は名称】アキュセラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヴュース, ベアート
(72)【発明者】
【氏名】フェール, ジャン-ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ノローニャ, グレン
(72)【発明者】
【氏名】ハルード, カリム
(72)【発明者】
【氏名】ソーヴェ, ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト, ハンス
(72)【発明者】
【氏名】オゲンフス, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】グプタ, アミタヴァ
(72)【発明者】
【氏名】窪田 良
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0017814(US,A1)
【文献】特表2011-518355(JP,A)
【文献】特開2006-292883(JP,A)
【文献】特開2017-219847(JP,A)
【文献】特開2017-173847(JP,A)
【文献】国際公開第2014/178221(WO,A1)
【文献】特表2017-510851(JP,A)
【文献】特開2018-092111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0062836(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104678572(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0116897(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00-13/00
A61F 9/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網膜を有する眼の近視を治療するための電子レンズであって、
複数の光源と、
前記網膜の前方に複数の画像を投影することにより、前記眼の近視の進行を減少させるように、前記複数の光源に結合されている複数の投影光学系と、
ユーザ入力を受信するように構成されているセンサと、
前記センサからの前記受信されたユーザ入力に応答して、前記投影された複数の画像の強度を制御するように構成されているプロセッサと
を備え
、
前記複数の投影光学系のそれぞれは、光ガイドを含み、前記光ガイドは、光の集束させ、かつ、光路の長さを増加させ、かつ、画像倍率を減少させ、かつ、前記網膜の前方の前記複数の画像の分解能を増加させるために、前記光ガイドの端部にミラーおよびレンズを含む、電子レンズ。
【請求項2】
前記複数の投影光学系は、前記眼の眼窩に対して15度~30度の範囲内の偏心を伴って前記眼の前記網膜の複数の外側領域において前記複数の光源の前記複数の画像を投影するように配列されている、請求項1に記載の電子レンズ。
【請求項3】
前記複数の投影光学系のそれぞれは、網膜表面に対して近視眼的に焦点ぼけした画像を投影するように配列されており、前記焦点ぼけの量は、2.0D~5.0Dの範囲内である、請求項1に記載の電子レンズ。
【請求項4】
前記複数の投影光学系のそれぞれは、前記電子レンズの中心から1.5mm~5.0mmに位置し、随意に、前記複数の投影光学系は、円の円周に沿って位置する、請求項1に記載の電子レンズ。
【請求項5】
前記複数の投影光学系は、前記網膜の表面の前方に前記複数の画像を投影するように前記複数の光源に光学的に結合されている複数の画像形成光学系を備える、請求項1に記載の電子レンズ。
【請求項6】
前記複数の光源のそれぞれの直径は、26ミクロンを超えず、随意に、10ミクロン以
下である、請求項5に記載の電子レンズ。
【請求項7】
前記複数の画像形成光学系のそれぞれは、1.5mm~200ミクロンの範囲内の直径を有する、請求項
5に記載の電子レンズ。
【請求項8】
前記複数の画像形成光学系のそれぞれは、非球面であり、画像収差に関して補正される、請求項
5に記載の電子レンズ。
【請求項9】
前記複数の画像形成光学系のそれぞれは、窩から15度~30度の範囲内、随意に、前記窩から25度~30度の範囲内の偏心において前記網膜の外側部分の前方に画像を形成する、請求項
8に記載の電子レンズ。
【請求項10】
前記複数の画像形成光学系のそれぞれは、25~100の範囲内の倍率の画像を用いて、前記網膜の前方に画像を作成する、請求項
8に記載の電子レンズ。
【請求項11】
前記複数の投影光学系のそれぞれは、前記網膜の前方に前記画像を形成するように構成されているコリメート光学系を備える画像形成光学系を備える、請求項
5に記載の電子レンズ。
【請求項12】
前記複数の投影光学系のそれぞれは、コリメート光学系および画像形成光学系の両方として機能する単一のレンズを備える、請求項
5に記載の電子レンズ。
【請求項13】
前記複数の投影光学系のそれぞれは、30度以下の偏心を伴って前記網膜の外側部分の前方に前記画像を作成する、請求項
12に記載の電子レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連技術の相互参照)
本願は、その開示が本参照によってそれらの全体として組み込まれる、2018年7月30日に出願され、「ELECTRONIC CONTACT LENS TO DECREASE MYOPIA PROGRESSION」と題された、米国仮特許出願第62/711,909号、および2019年5月4日に出願され、「OPTICAL DESIGNS OF ELECTRONIC CONTACT LENS TO DECREASE MYOPIA PROGRESSION」と題された、米国仮特許出願第62/843,426号の35 U.S.C. § 119(e)の下の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
近視または近眼は、遠方の物体が網膜の前方に合焦される屈折異常である。これは、眼の軸長に関連し得る。一般に、眼の軸長の1.0mmの増加は、2.5ジオプタ(「D」)の近視の増加に対応する。
【0003】
眼鏡のレンズ、コンタクトレンズ、および屈折矯正手術が、近視等の眼の屈折異常を治療するために使用されることができる。これらのアプローチは、近視を治療することに効果的であり得るが、眼は、近視の量が増加し続けるように、軸方向に成長し続け得る。近視の比較的に高い有病率は、軸方向成長の発症機序および軸方向成長を対象とした可能性として考えられる治療の開発を理解するように研究を促してきた。
【0004】
近視は、遺伝的原因を有することが公知であるが、近視の発生率の劇的増加は、遺伝的要因のみによって解説されることができず、むしろ、それらは、単に、改変した環境条件、具体的には、長距離から短距離および開放空間から封入空間への視覚習慣の偏移に適応する視覚系の優れた能力として解釈されなければならない。
【0005】
医薬品治療が、軸長成長と関連付けられる近視を治療するために提案されているが、これらの治療は、少なくともいくつかの事例では、準理想的結果を有し得る。アトロピンおよび他のムスカリン様作用薬が、近視の進行を減速し得るが、治療後のリバウンド効果および長期的治療と関連付けられる短期ならびに長期副作用についての可能性として考えられる懸念が、これらの薬物の広範な使用を妨げている場合がある。
【0006】
いくつかの研究は、近視の進行における網膜の焦点ぼけの役割を示唆している。動物実験は、屈折の発達および軸方向成長が、眼の有効屈折ステータスと関連付けられる視覚フィードバックによって調整され得ることを実証した。本開示に関連する研究は、網膜の周辺における視覚信号が、中心視から独立した様式で眼の形状および軸長に影響を及ぼし得ることを示唆している。
【0007】
本開示に関連する研究は、眼がより近視になるにつれて、網膜の外郭がより非球面になることを示唆している。近視の眼および従来的補正を用いた網膜上の画像シェルの実施例が、Eye & Contact Lens, 2018; 44: pp 231内のCooper, J, “A Review of Current Concepts of the Etiology and Treatment of Myopia”に説明されている。従来的球面レンズを用いると、近視の眼の周辺非球面網膜が、網膜の後ろに集束される光を受光する一方で、光は、網膜の中心において集束され、十分な軸長を伴う眼と同様に、周辺光が網膜の後ろに集束されるため、成長信号をトリガし得る。従来の球面または円環体レンズ(例えば、コンタクトレンズもしくは眼鏡のレンズ)は、概して、さらに近視になる網膜への成長信号を停止するであろう、屈折補正のために要求される最適な形状に合致する、画像シェルを発生させることができない。1つのアプローチは、非球面網膜の周辺領域上に光を集束させる、非球面レンズを提供することになっている。
【0008】
近視の進行を防止するための以前の屈折補正デバイスは、少なくともいくつかの事例では、準理想的結果を生成し得る。周辺網膜において適切な焦点を提供するための屈折補正は、極めて非球面の光学系によって作成され得る、極めて非球面の画像シェルを要求し得る。残念ながら、そのような非球面光学系は、実質的な収差を伴う中心画像を発生させ、少なくともいくつかの事例では、遠方視力を損ない、着用者の視覚の質を低減させ得る。1つのアプローチは、中心視への有意な収差を伴わずに遠視力を提供するために、非球面性の量を約2Dまたはそれ未満に限定することになっているが、非球面性の量への本限定はまた、網膜の周辺部分への補正の量も限定し得、いくつかの事例では、準理想的治療につながり得る。
【0009】
動物モデルにおける研究ならびに臨床研究は、画像のぼやけが遠視または近視であるかどうかに応じて、縦方向色収差の符号が反対であろうため、可能性として、縦方向色収差をガイドとして利用することによって、網膜が、「プラスぼやけ」と「マイナスぼやけ」を、または近視焦点ぼけによって引き起こされる画像のぼやけと遠視焦点ぼけを区別し得ることを示唆した。しかしながら、以前の臨床アプローチは、少なくともいくつかの事例では、近視の進行を減少させるために、色収差に十分に対処している場合とそうではない場合がある。
【0010】
したがって、近視の進行を減少させるために、効果的な周辺遠視焦点ぼけを提供しながら、若年着用者による快適性および性能の期待を満たし得る、新しいアプローチが必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、光源30と、光学系とを備え、適切な分解能、焦点深度、または回折のうちの1つ以上のものを用いて、網膜の前に画像を形成する。網膜の領域の前に形成される画像は、領域における網膜の分解能よりも微細な分解能を備えてもよい。光ビームは、網膜の対応する場所よりも微細な分解能を用いて、網膜の外側部分を照明するように、眼の光軸に対してある角度で網膜の領域に指向されることができる。焦点深度は、網膜上の画像の適切な量のぼやけを伴って網膜を照明するように構成されることができ、スポットの回折は、網膜の分解能よりも微細な網膜の前に形成される画像の分解能を提供するように適切に定寸されることができる。
【0012】
いくつかの実施形態によると、ソフトコンタクトレンズは、コンタクトレンズの中心から離れ、コンタクトレンズの周辺に向かって位置する、マイクロディスプレイを備え、マイクロディスプレイはそれぞれ、マイクロディスプレイの後方に位置するマイクロレンズアレイに結合される。マイクロディスプレイは、OLED(有機発光ダイオード)またはマイクロLEDのアレイを備えてもよい。マイクロレンズアレイは、マイクロディスプレイから光を効率的に収集し、入射瞳の中に光を投影する前に光をコリメートする、および/または光を収束するように、ディスプレイと光学的に結合されることができる。これらのディスプレイによって作成される仮想画像は、近視眼的に焦点ぼけし、4つのセクタ(下鼻、上鼻、下側頭、および上側頭)等の網膜上の複数の領域内に対称に設置されることができる。マイクロディスプレイは、2.5mm~3.5mm等の1.5mm~4.0mmの範囲内の距離だけレンズの光心から離れるように位置することができる。コンタクトレンズの中心光学ゾーン14は、着用者のために正視力を提供するように構成されることができ、3.0~5.0mmの範囲内の直径を有してもよい。各マイクロディスプレイは、円形または弓状等の適切な形状を伴って、窩における約20~60度の角度において、網膜画像を発生させることができる。いくつかの実施形態では、網膜画像は、15度~40度の範囲内、例えば、20~30度の範囲内の偏心において周辺網膜に形成される。コンタクトレンズは、プラスチック等の材料の可撓性透明シートおよび他のコンポーネント上にマイクロディスプレイを伴って搭載される電子制御システムを備えてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイ12は、2.0~10.0ミクロンの範囲内のピッチを伴って、2.0マイクロメートル(ミクロン)~5.0ミクロンの範囲内のピクセルサイズを伴うOLEDを備えてもよい。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズに埋め込まれるマイクロディスプレイは、その前に、かつ眼に向かって設置される薄膜等の物体を照明する、マイクロLEDを備える。マイクロディスプレイは、多色または単色マイクロディスプレイを備えてもよい。多色画像は、RGBディスプレイを形成するようにアレイに編成される、異なる色のOLEDまたはマイクロLED内のRGBピクセルによって形成されることができる。いくつかの実施形態では、軸長の変化の刺激のための波長は、約450nm~約560nmの範囲内であり、眼内の桿体視細胞の刺激のピーク波長である、500nmの近傍であり得るが、他の波長も使用されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、光学構成は、コリメートレンズ、ミラー、光ガイド、導波管、またはホログラフィックミラーのうちの1つ以上のものを備える、光処理構造に結合される、1つ以上の光源を備える。光処理構造は、画像の焦点が網膜表面の前にあるように、周辺網膜の前に光源の画像を投影するように、1つ以上の光源を結像する。いくつかの実施形態では、光学構成は、コンタクトレンズの前面またはその近傍に設置され、マイクロディスプレイからの光線は、コンタクトレンズによって集束される。コンタクトレンズは、屈折補正を着用者に提供するように構成されることができ、ディスプレイ光学系は、付加的焦点を提供し、網膜上にマイクロディスプレイの焦点ぼけした画像を提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、焦点ぼけの量は、約2.00ジオプタ(D)~6.00Dの範囲内であり、約2.0D~4.0Dの範囲内であり得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
網膜を有する眼の近視を治療するための電子コンタクトレンズであって、
複数の光源と、
前記網膜の前方に複数の画像を投影し、前記眼の近視の進行を減少させるように、前記複数の光源に結合される、複数の投影光学系と
を備える、電子コンタクトレンズ。
(項目2)
前記レンズは、近視を逆転させるように構成される、項目1に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目3)
前記複数の投影光学系は、眼窩に対して15度~30度の範囲内の偏心を伴って前記眼の網膜の複数の外側領域において前記複数の光源の複数の画像を投影するように配列される、項目1に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目4)
前記複数の投影光学系はそれぞれ、網膜表面に対して近視眼的に焦点ぼけした画像を投影するように配列され、前記焦点ぼけの量は、2.0D~5.0Dの範囲内である、項目1に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目5)
前記複数の投影光学系はそれぞれ、前記コンタクトレンズの中心から1.5mm~5.0mmに位置し、随意に、前記複数の投影光学系は、円の円周に沿って位置する、項目1に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目6)
前記複数の投影光学系は、前記網膜の表面の前方に前記複数の画像を投影するように前記複数の光源に光学的に結合される、複数の画像形成光学系を備える、項目1に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目7)
前記複数の光源はそれぞれ、26ミクロンを超えない、随意に、10ミクロン以下の横断する最大距離を有し、随意に、前記横断する最大距離は、直径を備える、項目6に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目8)
前記複数の投影光学系はそれぞれ、ミラー、レンズ、または光ガイドのうちの1つ以上のものを備える、項目6に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目9)
前記複数の画像形成光学系はそれぞれ、回折要素、フレネルレンズ、または複合ガボールレンズのうちの1つ以上のものを備える、項目8に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目10)
前記複数の画像形成光学系はそれぞれ、1.5mm~200ミクロンの範囲内の横断する最大距離を有し、随意に、前記横断する最大距離は、直径を備える、項目8に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目11)
前記複数の画像形成光学系はそれぞれ、非球面であり、画像収差に関して補正される、項目8に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目12)
前記複数の画像形成光学系はそれぞれ、凸面および凹面鏡の組み合わせを備える、項目8に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目13)
前記複数の画像形成光学系はそれぞれ、窩から15度~30度の範囲内、随意に、前記窩から25度~30度の範囲内の偏心において前記網膜の外側部分の前方に画像を形成する、項目11に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目14)
前記複数の画像形成光学系はそれぞれ、25~100の範囲内の倍率の画像を用いて、前記網膜の前方に画像を作成する、項目11に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目15)
前記網膜の外側部分の前方の画像は、10lp/mmの空間周波数において0.75以上および50lp/mmの空間周波数において0.40以上の変調伝達関数の大きさを備える、項目1に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目16)
前記複数の投影光学系はそれぞれ、前記網膜の前方に前記画像を形成するように構成されるコリメート光学系を備える画像形成光学系を備える、項目8に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目17)
前記投影光学系は、コリメート光学系および画像形成光学系の両方として機能するための単一のレンズを備える、項目8に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目18)
前記投影光学系は、30度以下の偏心および1.0D以下の焦点深度を伴って前記網膜の外側部分の前方に画像を作成するための画像形成光学系を備える、項目8に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目19)
前記光学系は、30度以下の偏心を伴って前記網膜の外側部分の前方に前記画像を作成し、前記画像の変調伝達関数は、1.0ジオプタの焦点ぼけに関して最低0.1単位だけ減少する、項目17に記載の電子コンタクトレンズ。
(項目20)
ソフトコンタクトレンズであって、
複数の光学要素に結合される複数の光源であって、前記複数の光源および前記複数の光学要素は、ソフトコンタクトレンズ材料に埋め込まれ、前記複数の光学要素はそれぞれ、着用者の周辺網膜の前に合焦される画像を発生させる、複数の光源
を備える、ソフトコンタクトレンズ。
(項目21)
前記複数の光源は、複数のマイクロディスプレイを備える、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目22)
前記複数の光源は、複数の発光ダイオード(LED)を備える、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目23)
前記複数の光学要素はそれぞれ、対応するマイクロディスプレイによって放射される光をコリメートし、結果として生じる光ビームを眼の瞳孔の中に指向する、ミラーアセンブリを備え、前記光ビームは、前記網膜の前に周辺画像を形成するように集束される、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目24)
前記複数の光学要素はそれぞれ、対応するマイクロディスプレイによって放射される光を受光し、結果として生じる光ビームを眼の瞳孔の中に指向するレンズを備え、前記光ビームは、前記網膜の前に画像を形成するように集束される、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目25)
前記複数の光源は、多色照明を発生させ、随意に、前記複数の光源は、多色照明を発生させる複数のマイクロディスプレイを備える、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目26)
前記画像は、前記網膜の前の約0.5mm~2.0mmにある、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目27)
前記画像は、少なくとも30lp/mmの分解能を有する、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目28)
前記画像は、100倍以下の倍率を有する、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目29)
前記画像は、2.5ジオプタ以下の焦点深度を有し、随意に、前記焦点深度は、約0.9mm以下である、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目30)
前記画像は、約15度~約45度の範囲内の偏心において投影される、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目31)
前記範囲は、約25度~約30度である、項目30に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目32)
前記マイクロディスプレイは、約0.1cd/m
2
~10cd/m
2
の範囲内の照度で前記瞳孔を照明する、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目33)
前記画像は、ある場所における前記周辺網膜の前に距離を置いて合焦され、前記画像は、焦点深度と、空間分解能とを備え、前記焦点深度は、前記距離未満であり、前記空間分解能は、前記場所における前記周辺網膜の空間分解能を上回る、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目34)
前記コンタクトレンズが前記着用者の眼の上に設置されたときに、前記着用者から入力を受信するためのセンサをさらに備える、項目20に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目35)
前記複数の光源の照明を制御するように前記複数の光源に結合されるプロセッサをさらに備える、前記項目のいずれか1項に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目36)
前記複数の光源の照明を制御するように前記複数の光源に動作可能に結合される無線通信回路をさらに備える、前記項目のいずれか1項に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目37)
前記着用者が前記複数の光源の照明を制御するために、モバイルデバイスに動作可能に結合される無線通信回路をさらに備える、前記項目のいずれか1項に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目38)
医療提供者が前記複数の光源の照明サイクルおよび強度をプログラムするために、プロセッサに動作可能に結合される無線通信回路をさらに備える、前記項目のいずれか1項に記載のソフトコンタクトレンズ。
(項目39)
少なくとも1つのマイクロディスプレイと埋め込まれるソフトコンタクトレンズであって、前記マイクロディスプレイは、着用者の前記周辺網膜の前に合焦される画像を発生させる、レンズ。
(項目40)
前記レンズは、前記着用者の屈折異常への最良の屈折補正を提供する、項目39に記載のレンズ。
(項目41)
前記マイクロディスプレイは、前記レンズの光心から約2.5mm~約5.0mmだけ変位される、項目39に記載のレンズ。
(項目42)
これは、それぞれ、前記レンズの光心から等しく変位される、前記レンズの円弧に沿って均一に配置される4~8個のマイクロディスプレイのセットを備える、項目39に記載のレンズ。
(項目43)
前記画像は、前記網膜の前の0.5mm~2.5mmで合焦される、項目39に記載のレンズ。
(項目44)
前記画像は、前記着用者の窩における最良焦点に対して近視眼的に1.0D~3.0Dで合焦される、項目39に記載のレンズ。
(項目45)
前記レンズは、少なくとも1つのマイクロディスプレイ、ASIC、電圧ランプ、再充電可能バッテリ、無線受信機および伝送機、フラッシュメモリ、ならびに不揮発性メモリを備える、項目39に記載のレンズ。
(項目46)
前記マイクロディスプレイは、マイクロOLEDである、項目39に記載のレンズ。
(項目47)
前記マイクロディスプレイは、マイクロLEDである、項目39に記載のレンズ。
(項目48)
前記マイクロディスプレイは、マイクロレンズアレイと光学的に結合される、項目39に記載のレンズ。
(項目49)
前記アレイは、1mm
2
~8mm
2
、随意に、1mm
2
~8mm
2
に及ぶ寸法を有する、項目39または45のいずれか1項に記載のレンズ。
(項目50)
項目1に記載の画像の持続時間は、前記レンズが眼の上にあるときにプログラム可能である、項目39に記載のレンズ。
(項目51)
前記画像は、1日あたり約1時間~約12時間にわたって連続的に投影される、項目47に記載のレンズ。
(項目52)
前記画像は、1日あたり1時間~12時間に及ぶ投影の合計持続時間を伴って、1日に数回、偶発的に投影される、項目47に記載のレンズ。
(項目53)
前記画像は、前記着用者が眠っている間に投影される、項目39に記載のレンズ。
(項目54)
前記画像は、好ましくは、500nmにおいて単色である、項目39に記載のレンズ。
(項目55)
前記画像は、好ましくは、可視光への網膜応答に合致する波長分布を伴って多色である、項目39に記載のレンズ。
(項目56)
前記レンズは、1日使い捨てモダリティである、項目39に記載のレンズ。
(項目57)
前記レンズは、計画的交換モダリティである、項目39に記載のレンズ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の特徴、利点、および原理のさらなる理解が、例証的実施形態を記載する発明を実施するための形態、および付随する図面を参照することによって、取得されるであろう。
【0016】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、ソフトコンタクトレンズを示す。
【0017】
【
図2A】
図2Aは、いくつかの実施形態による、着用者の網膜の周辺に近視焦点ぼけを伴って画像を投影するためのマイクロレンズアレイと光学的に結合される、ソフトコンタクトレンズの内面上に搭載されたOLEDマイクロディスプレイを示す。
【0018】
【
図2B】
図2Bは、いくつかの実施形態による、複数の光源および光学系と、関連付けられる回路とを備える、ソフトコンタクトレンズを示す。
【0019】
【
図2C】
図2Cは、
図2Bのようなコンタクトレンズのコンポーネントの機能の機械的統合を示す。
【0020】
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、2つのミラーを使用して光学経路を折り返すことによって、光学経路長が増加される、光学構成を示す。
【0021】
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、Liu Brennan眼モデルが網膜画像を算出するために使用された、
図3に示される光学構成のレイトレーシングシミュレーションを示す。
【0022】
【
図5】
図5Aおよび5Bは、
図3の光学構成によって発生される網膜画像品質の分析を示す。
【0023】
【
図6】
図6は、
図3に示される光学構成の焦点深度の分析を示す。
【0024】
【0025】
【
図8】
図8Aおよび8Bは、いくつかの実施形態による、網膜上に光を集束させるためのレンズを備える、光学構成を示す。
【0026】
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、
図8および8Bに示される光学構成によって発生される網膜画像品質の分析を示す。
【0027】
【0028】
【
図11】
図11Aおよび11Bは、いくつかの実施形態による、光学経路長を増加させるための光パイプを示す。
【0029】
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態による、埋め込まれた光源、光学系、および電子機器を伴うソフトコンタクトレンズを示す。
【0030】
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態による、極小光源およびマイクロ光学系の組み合わせによって形成される周辺網膜画像のレイトレーシングシミュレーションを示す。
【0031】
【
図14】
図14は、いくつかの実施形態による、4つのシミュレートされた物点を備える、光源に関するレイトレーシングを使用して、画質をシミュレートするために使用される、4つの物点を示す。
【0032】
【
図15】
図15は、いくつかの実施形態による、全ての物点の変調伝達関数(MTF)が実質的に一致する、反射光学系によって発生される周辺画像の品質を示す。
【0033】
【
図16】
図16は、いくつかの実施形態による、反射光学系によって形成される周辺画像の焦点深度を示す。
【0034】
【
図17】
図17は、いくつかの実施形態による、反射光学設計に関する近視焦点ぼけの大きさの関数として、単一の空間周波数(20/200または10線対/mm「lp/mm」、または10分)におけるMTFの大きさの変化によって測定されるような、反射光学系によって形成される周辺網膜画像の画像分解能への近視ぼやけの影響を示す。
【0035】
【
図18】
図18は、いくつかの実施形態による、
図14に示される4つの物点に関して屈折光学系によって形成される、網膜画像のMTFプロットを示す。
【0036】
【
図19】
図19は、いくつかの実施形態による、屈折光学系によって形成される画像の焦点深度を示す。
【0037】
【
図20】
図20は、いくつかの実施形態による、近視焦点ぼけの関数として、単一の空間周波数(20/200または10lp/mm、もしくは10分)に関して算出されるMTFを示す。
【0038】
【
図21】
図21は、いくつかの実施形態による、画質の実質的な差異が矢状面と接線面との間に存在し、非対称収差を示す、小型光ガイドを備える実施形態に関して
図14の4つの物点のMTFプロットを示す。
【0039】
【
図22】
図22は、いくつかの実施形態による、光ガイド光学系によって投影される周辺網膜画像の焦点深度を示す。
【0040】
【
図23】
図23は、光ガイドを伴う実施形態に関して、網膜上の周辺画像の近視焦点ぼけの大きさに対してプロットされる、単一の空間周波数(20/200)におけるMTFプロットを示す。
【0041】
【
図24】
図24は、いくつかの実施形態による、屈折光学系と、反射光学系と、光ガイド光学系とを備える、3つの投影システムによって発生される周辺画像の焦点深度の比較を示す。
【0042】
【
図25】
図25は、いくつかの実施形態による、反射光学設計によって発生される網膜画像の焦点深度を示す。
【0043】
【
図26】
図26は、いくつかの実施形態による、
図25の反射光学設計によって作成される周辺画像に関する近視焦点ぼけの大きさに対してプロットされる、単一の空間周波数におけるMTF値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
いくつかの実施形態によると、ソフトコンタクトレンズは、それぞれ、マイクロレンズアレイによって眼側の正面にある、周辺マイクロディスプレイを備える。マイクロディスプレイは、OLED(有機発光ダイオード)またはマイクロLEDのアレイを備えてもよい。これらのディスプレイによって放射される光は、典型的には、ランバートである。マイクロレンズアレイは、マイクロディスプレイから光を効率的に抽出し、光をコリメートし、入射瞳の中に投影する前にそれを集束させ得るように、ディスプレイと光学的に結合される。これらのディスプレイによって作成される仮想画像は、いくつかの実施形態では、近視眼的に焦点ぼけし、4つのセクタ(下鼻、上鼻、下側頭、および上側頭)内に対称に設置されるであろう。マイクロディスプレイは、いくつかの実施形態では、1.5mm~4.0mm、好ましくは、2.5mm~3.5mmの範囲内の距離だけレンズの光心から離れるように位置するであろう。コンタクトレンズの中心光学系は、着用者を可能な限り正視に近づけるように選択されることができ、3.0~5.0mmの範囲内の直径を有してもよい。各マイクロディスプレイは、いくつかの実施形態では、形状が円形、長方形、または弓状となり、それぞれ、0.01mm2~8.0mm2の範囲内、例えば、0.04mm2~8.0mm2の範囲内、例えば、1mm2~8mm2の範囲内、または好ましくは、1.0mm2~4.0mm2の範囲内の面積を有するであろう。いくつかの実施形態では、複数のマイクロディスプレイはそれぞれ、光源と、裏面と、本明細書に説明されるような寸法および形状を伴う関連付けられる電子機器とを備える。コンタクトレンズは、電子制御システム、ならびにプラスチックの可撓性透明シート上に搭載されるマイクロディスプレイを有するであろう。電子システムは、ASICまたはマイクロコントローラ、再充電可能なリチウムイオン固体バッテリ、電圧ランプモジュール、例えば、バックブーストコンバータ、フラッシュメモリおよびEEPROM、無線再充電を提供するためのRFIDモジュール、もしくは好ましくはコンタクトレンズの縁に沿って半径方向に配置されるアンテナ、ならびにそれらの任意の組み合わせを備えてもよい。コンタクトレンズは、軟質ヒドロゲルまたはシリコーンヒドロゲル材料等の生体適合性材料から成り、コンタクトレンズとしての眼の上の持続的着用と互換性があることが証明されている、任意の材料組成を備えてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、仮想画像は、近視焦点ぼけと同等の周辺網膜からの標的距離において合焦される。これらの画像を形成する光線は、外部環境ではなくてマイクロディスプレイ自体に由来するため、マイクロレンズアレイの光学系は、単に、マイクロディスプレイから発する光線を処理するように設計されることができる。それぞれの前のこれらのマイクロディスプレイおよびマイクロレンズアレイのそれぞれの面積は、小さいため、実際の画像の不明瞭化は、
図1および2に示されるように小さい。
【0046】
本明細書に説明されるようなデバイスは、個々の患者のためにそのようなパラメータを設定および試験し、次いで、患者応答の観察に基づいて、治療の好ましいパラメータを精緻化することの実質的な融通性を各介護者に与えることができる。
【0047】
いくつかの実施形態は、1.0mmの縁ゾーンと、その内径が6.0mmであり、外径が12.0mmである、周辺ゾーン16とを伴う、直径14.0mmのコンタクトレンズを備える。レンズの全体的直径は、13.0mm~14.5mm、好ましくは、13.5~14.5mmの範囲内であってもよい。中心光学ゾーン14は、全ての照明条件下で全ての着用者の瞳孔を被覆するように設計され、したがって、5.0mm~8.0mmの範囲内の直径を有するべきである。周辺または混成ゾーンは、主に、良好な集中および最小の分散を含む、角膜への良好な嵌合を提供するように設計される。中心光学ゾーン14は、正視補正を着用者に提供するように設計され、球面および乱視補正(
図1)の両方を具備し得る。本明細書に開示される実施形態による、組み込むために好適なコンタクトレンズ設計は、Douthwaite, D.A., “Contact lens optics and lens design”, 3rd edition, 2006; ISBN 978-0-7506-88-79-6; Butterworth-Heinemannに説明されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの内面は、同一のサイズのマイクロレンズアレイを伴う、眼側に結合される4つのマイクロディスプレイのセットとともに、埋め込まれる。マイクロレンズアレイの機能は、マイクロディスプレイによって放射されている光をコリメートし、それをコリメートし、眼の前にあるように設計される焦点においてそれを集束させ、遠視焦点ぼけを提供することである。マイクロディスプレイは、多くの方法で定寸されることができ、これらのマイクロディスプレイはそれぞれ、いくつかの実施形態では、これらのディスプレイがコンタクトレンズ光学系の1%未満を被覆するように、面積がわずか約0.04mm2~2mm2、例えば、面積が1mm2~2mm2である。ディスプレイはそれぞれ、これらのマイクロディスプレイのそれぞれの焦点において比較的に明るい画像を形成するために極めて十分である、約30~50cd/m2以上の照明を発生させるであろう。合焦画像が、約2.0D~5.0D、例えば、2.0D~4.0D、または好ましくは、例えば、2.5D~3.5Dだけ近視であるように設計されるであろうため、周辺網膜の前の約1.5~2.5mmに出現するであろう。
【0049】
いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイは、2.0~10.0ミクロンの範囲内のピッチを伴って、2.0~5.0ミクロンのピクセルサイズを伴うOLEDであってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるようなコンタクトレンズに埋め込まれるマイクロディスプレイは、その前に、すなわち、眼側に設置される薄膜等の物体を照明する、マイクロLEDから成るであろう。マイクロディスプレイは、多色であり得る、またはそれらは、単色であり得る。多色画像は、RGBディスプレイを形成するようにアレイに編成される、異なる色のOLEDまたはマイクロLED内のRGBピクセルによって形成される。周辺網膜における投影された遠視または近視画像の軸長改変の波長依存性についてのデータが、欠如している。軸長の変化の刺激のための好ましい波長は、眼内の桿体視細胞の刺激のピーク波長である、500nmであるが、他の波長も使用されてもよい。
【0050】
療法的利益を提供するための網膜の外側場所での照明の量および場所は、本明細書に開示される教示によると、必要以上の実験を伴わずに当業者によって決定されることができる。周辺刺激の長さおよび持続時間は、動物モデルにおける利用可能な前臨床データに基づいて、決定される、例えば、最適化されることができる。例えば、いくつかの研究は、動物モデルにおける軸長の変化が、課せられた焦点ぼけの同等の持続時間の単一の持続的周期に優先して、焦点ぼけ刺激の反復印加に応じて取得され得ることを示唆している。本明細書に開示される実施形態による、組み込むために好適な軸長における照明変化についての情報を伴う研究の実施例は、Neuron, 2004; 43: pp 447内のWallman, J., et al, “ Homeostatis of eye growth and the question of myopia”、Benavente-Perez, A, et al, “Axial Eye Growth and Refractive Error Development Can Be Modified by Exposing the Peripheral Retina to Relative Myopic or Hyperopic Defocus” In IOVS 2014; 55: pp 6767、およびOphthalmic Physiol Opt. 2013; 33: pp 215-222内のHammond, D.S., et al, “Dynamics of active emmetropisation in young chicks - influence of sign and magnitude of imposed defocus”を含む。
【0051】
本開示に関連する研究は、周辺近視焦点ぼけの印加の持続時間および分布が、個人の生理学および網膜の精密な形状に依存するであろうことを示唆している。実施形態は、マイクロディスプレイの動作を制御する、再プログラム可能なMCUまたはASICと、治療の全体を通して介護者による治療持続時間および周期性の調節を可能にするであろう、リアルタイムクロックとを備える。本実施形態はまた、介護者が、夜間刺激(短パルスの持続的または反復シーケンス)がある個人にとって有効性を有するかどうかを試験することも可能にする。
【0052】
いくつかの実施形態では、電子コンポーネントは、相互結線または電気バスが蒸着もしくは3D印刷プロセスを用いて堆積される、可撓性薄膜上に装着される。いくつかの実施形態では、電子機器およびマイクロディスプレイはさらに、Neuchatel(Switzerland)に位置する企業である、Coat-Xによって開発された、合計厚さ5~10ミクロンのパリレンCおよびSiOx膜のスタック等の薄い障壁膜の可撓性スタックでコーティングされる。
【0053】
デバイスのいくつかの実施形態は、それぞれ、形状が円形または弓状である、1~8個のマイクロディスプレイのセットを展開し、それらは、全てレンズの光心から同一の距離において、コンタクトレンズの内面上に半径方向に配置される。一実施形態では、それらは、単色であり得る。別の実施形態では、それらは、白色光出力を提供するように設計されてもよい。第3の実施形態では、それらは、網膜の感受性に合致した照明を出力するように設計されてもよい。これらのマイクロディスプレイは、再プログラム可能なマイクロコントローラ(MCU)またはASICによって動作および制御される。
【0054】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、睡眠の間に着用され、マイクロディスプレイは、着用者が眠っているときのみ動作するようにプログラムされる。軸長の縮小のそのようなプログラムされた刺激は、読書およびコンピュータ作業を含む、日常活動に最小限に干渉するであろう。コンタクトレンズは、日中の活動の間に除去さえされてもよいが、就寝する直前に角膜上に嵌合される。他の実施形態は、他のプログラミングアルゴリズム、例えば、日中および夜間刺激の組み合わせを利用してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、レンズを消毒および洗浄し、それを再充電する必要性を除外する、1日使い捨てレンズであってもよい。
別の実施形態は、計画的交換モダリティのコンタクトレンズから成る。
【0056】
いくつかの実施形態では、各マイクロディスプレイ(1mm2~4mm2)は、約10マイクロワットの電気エネルギーを消費するであろう。これらの実施形態では、4つのマイクロディスプレイのセットは、本設計のための合計1日エネルギー消費量が、0.2ミリワット時であることが予期されるであろうように、2時間の動作のために約125マイクロワット時の電気を使用してもよい。いくつかの実施形態では、各マイクロディスプレイは、約0.04mm2~4mm2の範囲内の断面積を備え、約10マイクロワットの電気エネルギーを消費する。いくつかの実施形態では、電力は、再充電可能な固体リチウムイオンバッテリによって供給される。Cymbet Corporationによって市販されている、ベアダイ固体再充電可能リチウムイオンバッテリが、レンズの電子機器と同一のフレキシブル基板上に装着されてもよい。例えば、50μAH再充電可能リチウムイオン固体膜バッテリは、5.7×6.1mm×0.200mmの寸法を有する(Cymbet Corporation CBC050)。いくつかの実施形態では、バッテリは、コンタクトレンズを安定させるために十分な質量を備える。例えば、バッテリは、重力でレンズを安定させるために、レンズの下方位置に位置することができる。下方に位置するバッテリは、着用者が瞬目するときの回転等の回転移動を減少させるために十分な質量を備えてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、電子コンタクトレンズは、中心において優れた視覚を維持しながら、網膜周辺において2.0~5.0D近視眼的に焦点ぼけした画像を投影する。
【0058】
いくつかの実施形態では、電子ソフトコンタクトレンズは、レンズ光学系の周辺に埋め込まれた極小光源およびマイクロスケール光学系を備える。コンタクトレンズ光学系は、外側光源が近視眼的に焦点ぼけした画像を網膜の外側部分において投影している間に、中心網膜において優れた視覚を提供するように設計されることができる。いくつかの実施形態では、光源は、マイクロディスプレイを備える。いくつかの実施形態では、網膜の前方に形成される外側画像は、前方に移動するように網膜を刺激し、軸長を短縮し、硝子体コンパートメントを深くし得る。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、近視の進行を減少させること、近視の進行を実質的に停止すること、またはレンズを着用する眼において近視を逆転させることのうちの1つ以上のものを行うように構成される。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、長期着用のために構成され、例えば、1ヶ月に1回、交換されることができる。コンタクトレンズは、より頻繁に、または低頻度で、例えば、1週間に1回、もしくは3ヶ月毎に1回、交換されることができる。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、他の年齢の人々よりも近視の進行の危険性が高くあり得る、10代の若者および若年成人によって着用されるように設計される。
【0059】
いくつかの実施形態では、周辺画像の近視焦点ぼけの量は、約2.0D~約5.0D、例えば、約2.5D~約5Dの範囲内である。本明細書に開示される教示に基づいて、当業者は、臨床研究等の研究を行い、焦点ぼけの適切な量、照明強度、および照明の時間を決定することができる。いくつかの実施形態では、焦点ぼけの量、網膜照明の網膜場所、または照明の時間のうちの1つ以上のものは、例えば、個々の患者の生理学的特性に応答して、個人にカスタマイズされることができる。治療の持続時間は、1~3年の範囲内、例えば、約2年であり得る。いくつかの実施形態では、治療は、約10枚のレンズ~約40枚のレンズ、例えば、約10枚のレンズ~約30枚のレンズの範囲内のいくつかのレンズを用いて実施される。中心レンズ光学系を備える、光学ゾーン14の処方は、治療の間に時間とともに変化し得、コンタクトレンズの処方は、適宜、変更されることができる。本明細書に開示されるようなコンタクトレンズはまた、例えば、近視の進行が戻る場合に、必要に応じて、続いて着用されてもよい。
【0060】
電子コンタクトレンズは、着用者の屈折異常を補正するように多くの方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズは、コンタクトレンズの光学ゾーン14の周辺の近傍に光を放射する、複数のマイクロディスプレイと、光源から発する光線を収集し、コリメートし、集束させるための複数のマイクロ光学系と、電力を光源に提供するための小型再充電可能固体バッテリ(例えば、リチウムイオン固体バッテリ)と、電力を無線で受電してバッテリを再充電するためのアンテナと、作動および制御機能を制御するためのマイクロコントローラと、データまたはソフトウェア命令を記憶するためのメモリとを備える。
【0061】
いくつかの実施形態では、外側画像は、例えば、約20度~約30度の範囲内で窩に対して偏心している、黄斑の外側に位置する周辺画像を備える。
【0062】
コンタクトレンズは、複数の光源(例えば、顕微鏡光源)から光を収集し、網膜の周辺部分の前方等の網膜の外側部分の前方に画像を形成するように、マイクロ光学系等の複数の光学系を伴って多くの方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、複数の光学系は、光パイプ、およびミラー、例えば、極小ミラー等の反射コンポーネントのうちの1つ以上のものを備える。
【0063】
本明細書に説明されるようなデバイスは、近視等の屈折異常の進展を治療するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、各介護者は、個々の患者のためにそのようなパラメータを設定および試験し、次いで、患者応答の観察に基づいて、治療の好ましいパラメータを精緻化することの実質的な融通性を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、コンタクトレンズの屈折性質の光学設計は、実質的に改変されず、多くの方法で構成されることができる。例えば、コンタクトレンズの中心光学ゾーン14は、屈折異常の進展を減少させるように、コンタクトレンズ光学系の画像シェルの前方にある画像を網膜の周辺において提供しながら、窩における遠方画像の最良の補正のために最適化されることができる。いくつかの実施形態では、光源は、光学表面の2mm2以下の表面積を備えてもよく、屈折異常を補正するための光学表面のサイズは、視覚への光源の影響を減少させ得る、約25mm2~約50mm2の範囲内であり得る。周囲照明のレベルから独立して提供される得る周辺画像の強度、および光源の強度は、適切な電力の光源を選択することによって、数桁にわたって調節されることができる。ソフトコンタクトレンズは、着用者または医療提供者からの入力への適切な量の照明応答を提供するように構成されることができる。
【0065】
図1は、コンタクトレンズ10に埋め込まれたマイクロディスプレイ12を示す。ソフトコンタクトレンズ10は、例えば、20/20またはそれよりも良好な視力を伴って、遠方視力補正を着用者に提供するように構成される、光学ゾーン14を備える。マイクロディスプレイ12は、本明細書に説明されるように、網膜の周辺部分の前に画像を提供するように構成されることができる。本構成は、本明細書に説明されるように、網膜の前に合焦される画像から療法を受容しながら、ユーザが良好な視力を有することを可能にすることができる。
【0066】
マイクロディスプレイ12は、その前に、すなわち、眼側に設置される薄膜等の物体を照明する、マイクロLEDを備えてもよい。これらのマイクロディスプレイ12によって放射される光は、ランバートであり、網膜に向かって光ビームを指向するように、レンズ等の光学要素に指向されることができる。コンタクトレンズ10は、眼の上に設置するために好適な直径を備える。例えば、コンタクトレンズ10は、約10mm~15mmの範囲内、例えば、14.0mmの直径を備えてもよい。コンタクトレンズ10は、複数の埋め込まれたマイクロディスプレイ12を備えてもよい。複数のマイクロディスプレイ12はそれぞれ、マイクロディスプレイ12によって放射される光を収集し、規定偏心において着用者の網膜の上または前に画像を投影する、光学構成に光学的に結合されることができる。ディスプレイ12はそれぞれ、約1cd/m2~約50cd/m2の範囲内の照明を発生させることができる。照明の量は、これらのマイクロディスプレイ12のそれぞれの焦点において比較的に明るい画像を形成するために十分であり得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、照度の量は、明所視および薄明視レベルの照明と桿体視細胞および錐体視細胞の中間レベルの感受性との間の中間である。照明の好ましい量は、瞳孔面において約0.1cd/m2~約10cd/m2、好ましくは、0.5cd/m2~5cd/m2の範囲内であり得る。本照度の量は、例えば、月光と室内照明との間の光の量に対応し得る。いくつかの実施形態では、照明の量は、薄明視に対応する。
【0068】
いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイ12は、異なる波長の光から成る多色光を放射する、光源を備えることができる。他の実施形態では、光源は、単色光を放射する。いくつかの実施形態では、単色照明の波長は、500nm~560nm、好ましくは、500nm~530nm、より好ましくは、500nm~510nmの範囲内であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、多色光源は、色合図を周辺網膜に提供する。
色合図は、負の色収差を備えてもよい。いくつかの実施形態では、多色光ビームが、網膜の前方に集束され、多色光ビームは、負の色収差を伴って網膜を照明するように、画像面35または焦点面に先立った正の色収差と、画像面35または焦点面の後の負の色収差とを備える。
【0070】
多色照明は、多くの方法で構成されることができる一方で、いくつかの実施形態では、多色照明は、赤色照明と、青色照明と、緑色照明とを備えるが、光の他の波長も使用されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、投影された画像は、約2.0D~4.0D、好ましくは、2.5D~3.5Dだけ近視であるように設計されるであろうため、周辺網膜の前の約1.5mm~約2.5mmに出現する。一般に、網膜の前の1mmは、約2.5Dの近視、例えば、約2.7Dの近視に対応する。
【0072】
脈絡膜の肥厚化または菲薄化を通した軸長の変化の周辺刺激の本アプローチは、眼11の軸長の変化を刺激する際に、局所的遠視または近視焦点ぼけの印加の有効性の反復および確認された観察に基づくことができる。周辺刺激の長さおよび持続時間は、当業者に公知であるような動物モデルにおける利用可能な前臨床データに基づくことができる。例えば、軸長の変化率は、課せられた焦点ぼけの同等の持続時間の単一の持続的周期に優先して、焦点ぼけ刺激の反復印加に応じて取得されることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、周辺近視焦点ぼけの印加の持続時間および分布は、個人の生理学および網膜の形状に依存する。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズ10は、マイクロディスプレイ12の動作を制御するためのマイクロコントローラユニット(MCU)または特定用途向け集積回路(ASIC)等のプログラマブルプロセッサを備える。コンタクトレンズ10は、介護者によって治療持続時間および周期性を調節するためのリアルタイムクロックを備えてもよく、治療持続時間および周期的性は、治療の全体を通して提供されてもよい。いくつかの実施形態では、介護者は、夜間刺激(短パルスの持続的または反復シーケンス)がある個人にとって有効性を有するかどうかを試験する。
【0074】
図2Aは、着用者の網膜の周辺に近視焦点ぼけを伴って画像を投影するためのマイクロレンズアレイと光学的に結合される、ソフトコンタクトレンズ10の内面上に搭載されたOLEDマイクロディスプレイ12を示す。
【0075】
図2Bは、いくつかの実施形態による、複数の光源および光学系と、関連付けられる回路とを備える、ソフトコンタクトレンズ10を示す。コンタクトレンズ10は、複数の投影ユニット18を備える。複数の投影ユニット18はそれぞれ、光源と、1つ以上の光学系とを備え、本明細書に説明されるように網膜の前に光を集束させる。光学系はそれぞれ、ミラー、複数のミラー、レンズ、複数のレンズ、回折光学系、フレネルレンズ、光パイプ、または導波管のうちの1つ以上のものを備えてもよい。コンタクトレンズ10は、バッテリ20と、センサ22とを備えてもよい。コンタクトレンズ10は、フレックスプリント回路基板(PCB)24を備えてもよく、プロセッサが、PCB24上に搭載されることができる。プロセッサは、PCB24上に搭載され、センサ22および複数の光源30に結合されることができる。ソフトコンタクトレンズ10はまた、コンタクトレンズ10を誘導的に充電するための無線通信回路およびアンテナを備えてもよい。バッテリ20が参照されるが、コンタクトレンズ10は、任意の好適なエネルギー貯蔵デバイスを備えてもよい。ソフトコンタクトレンズ10は、ヒドロゲル等の任意の好適な材料から成るレンズ本体を備えてもよい。ヒドロゲルは、ソフトコンタクトレンズ10のコンポーネントをカプセル化することができる。
【0076】
プロセッサは、複数の光源30を用いて網膜を照明する命令を伴って構成されることができる。プロセッサは、多くの方法で、例えば、無線通信回路を用いて受信される命令を伴って、プログラムされることができる。プロセッサは、ユーザモバイルデバイスのための命令を受信することができる。
【0077】
センサ22は、ユーザがコンタクトレンズ10を制御することを可能にするように、プロセッサに結合されることができる。例えば、センサ22は、眼瞼からの圧力等の圧力に応答するように構成されることができる。プロセッサは、ユーザコマンドを検出するように、センサ22に結合されることができる。
【0078】
電子制御システムは、ASICまたはマイクロコントローラ等のプロセッサ、再充電可能リチウムイオン固体バッテリ、電圧ランプモジュール、例えば、バックブーストコンバータ、フラッシュメモリおよびEEPROM、無線再充電を提供するためのRFIDモジュール、もしくは好ましくはコンタクトレンズ10の縁の近傍に半径方向に配置されるアンテナ、ならびにそれらの任意の組み合わせを備えてもよい。コンタクトレンズ10は、軟質ヒドロゲルまたはシリコーンヒドロゲル材料等の生体適合性材料から成ってもよく、コンタクトレンズ10としての眼11の上の持続的着用と互換性があることが証明されている、任意の材料組成を備えてもよい。
【0079】
図2Cは、
図2Bのようなコンタクトレンズ10のコンポーネントの機能の機械的統合を示す。これらのコンポーネントは、PCB24を用いて支持されることができる。例えば、バッテリ20等の電源は、PCB24上に搭載され、電源機能21を提供するように他のコンポーネントに結合されることができる。センサ22は、アクティブ化機能23を提供するように構成されることができる。センサ22は、コンタクトレンズ10の制御機能25を提供するようにPCB24上に搭載されるプロセッサに結合されることができる。制御機能25は、光強度設定27と、光スイッチ29とを備えてもよい。プロセッサは、例えば、センサ22からの信号のコード化されたシーケンスを用いて、強度の増加、強度の減少、またはセンサ22からのオン/オフ信号に対応する、センサ22からの信号を検出するように構成されることができる。プロセッサは、光源30と、光学系32とを備え、投影機能31を提供し得る、光投影ユニット18に結合される。例えば、プロセッサは、センサ22へのユーザ入力に応答して、光源30のそれぞれを制御するように、複数の光源30に結合されることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、光学構成32は、マイクロディスプレイ12によって放射される光を収集し、次いで、
図3および4に示されるような偏心網膜画像を形成するために、光ビームを眼11の瞳孔に指向するように構成される、複数のミラーを備える。ミラーは、網膜33上に光ビームを集束させるように、光ビームをコリメートする、または好適な両眼離反運動を伴って網膜33に向かって光ビームを指向してもよい。
【0081】
【0082】
図3に示される光学構成に関するシミュレートされた画像サイズおよび27度偏心における網膜分解能の比較は、本偏心における周辺網膜33が本画像を知覚することができるであろうことを示す。
【0083】
いくつかの実施形態では、光学構成の3つの性能属性は、以下のうちの1つ以上のものを含む。
【0084】
1.画像分解能を制御する、画像倍率
【0085】
2.光学構成の光学経路長によって制御される、焦点深度
【0086】
3.エアリー直径によって測定されるような回折
【0087】
図3に示されるミラーアセンブリは、1D未満である焦点深度を達成し、2.0~4.0Dの印加された焦点ぼけが、規定偏心(20~30度)において周辺網膜33によって明確に知覚されることを可能にする。
【0088】
いくつかの実施形態では、網膜33の前に合焦される画像のスポットサイズは、網膜33の分解能よりも微細な分解能を備える。網膜分解能は、概して、偏心の関数として減少する。例えば、0度の偏心の角度において、網膜分解能は、約10マイクロメートルである。5度の偏心において、網膜分解能は、約30マイクロメートルである。20度の偏心において、分解能は、約100マイクロメートルであり、30度において、網膜分解能は、約150マイクロメートルである。
【0089】
図5Aおよび5Bは、
図3の光学構成によって発生される網膜画像品質の分析を示す。4つの光源30のうちの3つによって形成される画像が、シミュレートされた。側頭の点は、鼻の点と対称であるため省略された。分析は、画質が27度偏心において網膜33の分解能力を超えることを示す。
図3のミラーアセンブリによって作成される網膜画像の変調伝達関数は、回折限定され、本実施形態によると、展開される光学要素の収差が、画質の有意な劣化を引き起こしていないことを示す。さらに、光学系の空間分解能は、好ましい画像場所における網膜33の分解能を超える。
【0090】
図6は、
図3に示される光学構成の焦点深度の分析を示す。網膜33からの各1ミリメートルの距離は、2.7Dの焦点ぼけを表す。本分析は、0.5mm(1.35D)の焦点ぼけが画像の入射点(27度偏心)において網膜33によって知覚可能であるように、焦点深度が十分に小さいことを示す。焦点深度は、刺激ビームの有効経路長に依存する。
【0091】
図7は、光源のそれぞれ(物体)によって作成される画像の焦点深度を示す、焦点ぼけに対するMTF値のプロットを示す。
【0092】
第2の実施形態は、
図8Aおよび8Bに示されるように、光源30と光学結合する収束またはコリメートレンズを備える、光学系32を備える。本構成では、単一のレンズを備え得る、レンズ34が、刺激源から出力される光をコリメートし、コンタクトレンズ10を通してそれを角膜37に指向するために使用される。コリメートレンズ34の有効性は、その屈折率に依存し、レンズ材料と基板として機能するコンタクトレンズ10の材料との間の屈折率の実質的な差異を生成するために、十分に高くなるべきである。本実施例では、埋め込まれたレンズ34の屈折率は、2.02(例えば、ランタンフルオロケイ酸塩ガラスLaSF
5の屈折率)であると仮定されたが、他の材料も使用されてもよい。
【0093】
図8Aおよび8Bの実施形態の光学性能が、
図9および10に示される。4つの光源30のうちの3つによって形成される画像が、シミュレートされた。側頭の点は、鼻の点と対称であるため省略された。網膜33からの各1ミリメートルの距離は、2.7Dの焦点ぼけを表す。本分析は、0.5mm(1.35D)の焦点ぼけによって引き起こされる画像ぼやけが、画像の入射点(27度偏心)において網膜33によって知覚可能ではない場合があるように、焦点深度が1Dよりも実質的に高いことを示す。
【0094】
分析は、画質が27度偏心における網膜33の分解能力を超えることを示す。単一のレンズ設計の光学経路長は、この場合、はるかに短く、したがって、画像倍率は、実質的により高い(反射設計に関する20倍と対照的に100倍)。50%コントラスト(OTFの係数)における空間周波数分解能は、反射設計に関する50線対/ミリメートル(「lp/mm」)と比較して、より低く、約15lp/mmである。焦点深度が、再度、
図10に示されるように、眼球収差を含む、眼球光学系を刺激するために、Liu Brennan眼モデルを使用して、本実施形態に関して推定された。焦点深度は、1.0Dを上回り、特に、主に桿体視細胞に由来する、その偏心(20~30度)における網膜33の分解能力が、本明細書に説明されるように、比較的に不良であるため、焦点ぼけの関数としての画像分解能の変化が、周辺網膜33によって容易に知覚可能ではない場合があることを示す。
【0095】
第3の実施形態は、
図11Aおよび11Bに示されるように、光学経路長を増加させるために、光パイプ36を備える。光パイプ36は、画像倍率および網膜画像サイズを減少させるように、増加した光学経路長を提供することができる。しかしながら、焦点深度は、比較的に大きく、分解能は、比較的に粗い(50%MTFにおいて15lp/mm)。
【0096】
点光源とのマイクロレンズアレイの併用、より薄いレンズを使用するための回折光学系の使用、単一の点光源および光学処理ユニットを使用する複数の網膜画像の発生を含む、多数の他の光学構成が、考慮され得る。全ての場合において、上記に列挙される3つの特性は、特定の設計の好適性を評価するために、メトリックとして使用されてもよい。
【0097】
本明細書に開示される各実施形態は、本明細書に開示される他の実施形態のうちのいずれか1つ以上のものと組み合わせられることができ、当業者は、本開示の範囲内であるものとして、多くのそのような組み合わせを認識するであろう。
【0098】
本開示される方法および装置は、スマートコンタクトレンズ、アンテナおよびセンサを伴うコンタクトレンズ、統合型パルスオキシメータを伴うコンタクトレンズ、位相マップディスプレイを伴うコンタクトレンズ、電気光学コンタクトレンズ、可撓性導体を伴うコンタクトレンズ、自律的視線追跡コンタクトレンズ、エレクトロクロミックコンタクトレンズ、動的回折液晶レンズ、自動遠近調節レンズ、プログラマブル位相マップを伴う画像ディスプレイレンズ、涙液アクティブ化マイクロバッテリを伴うレンズ、涙液膜感知コンタクトレンズ、多色LEDアレイを伴うレンズ、容量感知を伴うコンタクトレンズ、眼瞼による眼科用デバイスの重複を検出するためのレンズ、アクティブ遠近調節を伴うレンズ、電気化学センサを伴うレンズ、酵素およびセンサを伴うレンズ、動的視野変調を含むレンズ、ピルビン酸塩を測定するためのレンズ、尿素を測定するためのレンズ、グルコースを測定するためのレンズ、涙液伝導度センサを伴うレンズ、位相マップを伴う接眼ディスプレイを伴うレンズ、または電気化学センサチップを伴うレンズのうちの1つ以上のもの等の多くのタイプのレンズと組み合わせるために非常に適している。
【0099】
ソフトコンタクトレンズ10が、
図12に示される。本コンタクトレンズ10は、埋め込まれた電子機器および光学系を備える、ベースまたはキャリアコンタクトレンズを備える。ベースソフトコンタクトレンズ10は、持続的着用のために快適であるように設計される、ヒドロゲルまたはシリコーンヒドロゲルポリマー等の生体適合性材料から作製される。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズ10は、6mm~9mmの範囲内、例えば、7.0mm~8.0mmの範囲内の直径の中心光学ゾーン14を有する。中心光学ゾーン14は、2.5mm~3.0mmの範囲内の幅の周辺ゾーン16等の外側環状ゾーンによって外接される。外側環状ゾーンは、0.5mm~1.0mmの範囲内の幅の最外縁ゾーン18によって囲繞される。光学ゾーン14は、屈折補正を提供するように構成され、例えば、設計が球面、円環体、または多焦点であり得る。光学ゾーン14の周辺の外側環状ゾーンは、角膜曲率に適合するように構成され、瞬目に続いて、眼11の上のコンタクトレンズ10の移動を可能にしながら、平行移動および回転安定性のための回転安定化ゾーンを備えてもよい。縁ゾーン18は、0.05mm~0.15mmの範囲内の厚さを備えてもよく、楔形で終端してもよい。ソフトコンタクトレンズ10の全体的直径は、12.5mm~15.0mmの範囲内、例えば、13.5mm~14.8mmの範囲内であり得る。
【0100】
埋め込まれた光源30および電子は、好ましくは、
図12に示されるように、コンタクトレンズ10の外側環状ゾーン内に位置する。中心光学ゾーン14は、好ましくは、いくつかの実施形態によると、中心窩または黄斑視覚の品質を損なわないために、電子機器および光源30を含まない。いくつかの実施形態では、縁ゾーン18は、角膜表面との接触を維持し、快適性を提供するために、回路を備えない。
【0101】
光源は、コンタクトレンズ上に多くの方法で配列されることができる。例えば、光源は、中心光学ゾーンの周囲の略連続リングに配列されることができる。いくつかの実施形態では、複数の光源および複数の光学系(例えば、レンズ、ミラー、または光ガイド)は、照明の連続リングを形成するようにともに結合される。
【0102】
図12のコンタクトレンズ10は、全ての電子および光学コンポーネントを装着された透明膜と埋め込まれる、高酸素透過性を伴う軟質生体適合性ポリマーから成る本体から成る。本透明膜は、透明プリント回路板(「PCB」)基板を備えてもよい。PCBの厚さは、約5ミクロン~50ミクロンの範囲内であり得、電子機器の集合のためのPCB基板の両方の表面を利用するために、膜の複数の層を備えてもよい。PCB基板は、例えば、約7.5mm~約10.0mmの範囲内、例えば、約8.0mm~約9.5mmの範囲内の曲率を伴うベースコンタクトレンズ10の幾何学形状に共形化するように曲線状であり得る。PCB基板は、好適な酸素透過性のために構成されることができる。いくつかの実施形態では、PCBは、それを通した酸素、涙液、栄養素、および二酸化炭素の透過性を改良するように穿孔される。いくつかの実施形態では、PCBは、例えば、約1MPa~約50MPaの範囲内の低引張係数を有するが、例えば、より剛性の膜もまた、使用されてもよい。いくつかの実施形態では、透明フレキシブルPCB基板に関する好ましい材料は、液体または溶液から鋳造されるポリイミドから成り、平坦な基板上に回転鋳造され、続いて、Kapton
TM等のポリイミドを形成するように熱的に硬化されたときに、ポリアミン酸の形態であってもよい。
【0103】
コンタクトレンズ10は、
図12に示される1つ以上のコンポーネントを備えてもよい。
図12に示される電子システムのアーキテクチャは、バス上に搭載される、複数の光源30と、電力およびデータ管理システムを備える、マイクロコントローラ38と、内蔵メモリおよびRFIDモジュールと、物理的または生理学的トリガを検出し、光源30をオンまたはオフにする信号を発行するように設計される、センサと、データおよび電力の伝送のための単一または複数の周波数帯域上で動作する、電力の無線受信機としても機能する、データの無線交換のためのアンテナ41と、再充電可能固体リチウムイオンバッテリ20とを備える。いくつかの実施形態では、マイクロコントローラ38は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)を備える。複数の光源30は、本明細書に説明されるような極小光源30を備えてもよい。
【0104】
光源30は、中心から15.5mm~5.0mmの範囲内の直径の円周に沿って位置付けられることができる。
【0105】
図13は、周辺網膜33等の網膜33の外側領域上に形成される光源30の画像のレイトレーシング分析を示す。本シミュレーションでは、前房深度は、ヒト対象に関して、4.1mm、典型的には、2.9mm~5.0mmであると仮定され、軸長は、25.0mmであると仮定され、コンタクトレンズ10は、角膜上に位置付けられる。極小光源30は、障害物がない直径3.8mmの中心光学ゾーン14を残して、コンタクトレンズ10の中心から1.9mm離れて設置される。
【0106】
図12および13を再び参照すると、光源30およびマイクロレンズ等のレンズの組み合わせが、光を網膜33の外側領域に指向するために使用されることができる。マイクロレンズは、光源30によって放射される光を収集するように構成されることができる。収集された光は、コリメートまたは集束のうちの1つ以上のものを行われ、眼11の瞳孔に指向されることができる。いくつかの実施形態では、投影システムは、マイクロ光源30および画像形成光学系32の組み合わせを備える。
【0107】
光源30は、有機発光ダイオード(OLED)、量子ドット発光ダイオード(QLED)、透明発光ダイオード(TOLED)、無機発光ダイオード(i-LED)、またはCRTディスプレイのうちの1つ以上のものを備えてもよい。光源30は、透明または半透明基板上に装着された1つ以上のピクセルを備えてもよい。光源30は、例えば、パッシブマトリクスまたはアクティブマトリクス等の1つ以上のディスプレイコンポーネントを備えてもよい。いくつかの実施形態では、個々のピクセルのサイズは、1~10ミクロンの範囲内、例えば、2~5ミクロンの範囲内である。オンにされたときの複数のピクセルのそれぞれの輝度は、500ニト(Cd/m2)を上回る、5,000ニトを上回る、または10,000~25,000ニトの範囲内であり得る。
【0108】
網膜33の分解能力は、中心、すなわち、窩において最高である。健康な若者は、スネレン用語では20/12と同等である、0.6分の角分解能が可能である。分解能力は、典型的には、25度偏心において20/200(10分)まで低減される。本偏心には、該当する場合、錐体視細胞が殆どなく、桿体視細胞の集団もまた、減少される。
【0109】
いくつかの実施形態では、画像送達システムは、網膜の画像分解能のレベルに等しい、またはそれを超える画像分解能を提供する。いくつかの実施形態では、投影画像分解能が画像の場所における網膜33の分解能力を超える場合に、いずれの付加的利益も予期され得ない。いくつかの実施形態では、網膜周辺における画像のスポットサイズは、したがって、150ミクロンまたはそれ未満である。
【0110】
光源30によって放射される光の波長は、多くの方法で構成されることができる。光源30によって放射される光の波長は、本開示によると、臨床研究によって決定されることができる。いくつかの実施形態では、光源30の波長は、所望の偏心における網膜の光受容器のピーク感度に対応する、例えば、ピーク感度に実質的に合致する、光を備える。いくつかの実施形態では、光は、桿体視細胞が優勢である、20~30度の偏心において投影され、源からの光は、約420nm~600nm、例えば、約490nm~530nmの範囲内、例えば、約500~520nm、例えば、約502~512nmの範囲内の波長を備える。本明細書に開示される波長シミュレーションのうちのいくつかでは、507nmの光が、入力波長パラメータとして使用される。本明細書に開示される光学設計は、全ての波長に適用可能であるが、最適化された設計パラメータの精密な結果は、投影ユニットを備える材料の色分散に起因して、波長とともに変化し得る。
【0111】
本開示に関連する研究は、2つの設計制約が、以下に続く実施形態のうちのいくつかにおいて設計入力パラメータの選択に影響を及ぼし得ることを示唆している。これらは、以下である。
【0112】
1.レンズ厚さが大きくなりすぎることなく、コンタクトレンズ10に埋め込まれ得るような投影ユニット18の寸法。いくつかの実施形態では、外側環状ゾーン内の最大レンズ厚さは、屈折補正のための現在のソフトコンタクトレンズと一致する、400ミクロンである。
【0113】
2.極小光源30と画像形成システムとの間の光学経路長。これは、エアリーディスク直径として定量化され得る、画像倍率および回折によって引き起こされる画像ぼやけの大きさの制御に関連する。画像倍率は、概して、第1次推定に関して17mmであると仮定される、眼11の焦点距離に対する画像投影ユニットの焦点距離の比によって求められる。いくつかの実施形態では、これは、個々の眼に特有である。いくつかの実施形態では、エアリーディスク直径(2.44×λ(ミクロン単位)×f/≠)は、画像場所における網膜分解能限界以下である。例えば、25度の偏心における最小スポットサイズが、150ミクロンであるため、エアリーディスク直径は、150ミクロンを超えるべきではなく、150ミクロン未満であり得る。眼11の焦点距離が固定されるため、投影光学系の開口は、任意の波長においてエアリーディスク直径を制御する。
【0114】
いくつかの実施形態では、収集光学系および光源30ならびに本明細書に説明されるような関連付けられる画像のエアリーディスクのサイズは、網膜の画像分解能に関連する。例えば、30度、25度、20度、15度、および10度において、エアリーディスクサイズは、それぞれ、約150マイクロメートル(「ミクロン」、「μm」)約125μm、約100μm、約75μm、および約60μm以下であってもよい。
【0115】
画像形成システムは、限定ではないが、回折光学要素、フレネルレンズ、屈折光学系、または反射光学系を含む、多くの方法で構成されることができる。
【0116】
以下のシミュレーションは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態による、光学結果を提供する。
【表2】
【0117】
いくつかの実施形態では、全体的画像によって被覆される面積は、好ましくは、全光源に関して5~10度×30~45度、または150~450度
2、もしくは面積が約3.0~6.0mm
2の弓状区画である。いくつかの実施形態では、コンタクトレンズ10の各四分円における4つのそのような光源30が、最適な神経刺激のための4つのそのような周辺画像を網膜33に送達する。画像送達システムの第2のシミュレーションによる実施形態が、
図3に示される。本実施形態では、凸面26および凹面28マイクロミラーのシステムが、光学経路長、それによって、周辺網膜画像の画像倍率を増加させるために使用される。
図4は、本実施形態に関して眼11を通した周辺画像の光路を示す。例示的光源30は、光源の直径が10μmであり、厚さが100μmであると仮定して、定義されることができる。4つの物点40が、
図14に示されるように、画質をシミュレートするように規定されることができる。
図14を参照すると、シミュレートされた光源30は、10μmの鎖線の円で示され、シミュレートされた物点40は、より小さい円と、より小さい円のそれぞれの中心点とを含む。表2は、シミュレーションの入力パラメータを示す。
【0118】
シミュレーションの出力は、画像倍率およびサイズ、画質、ならびに焦点深度である。同一の入力および出力パラメータが、好ましい実施形態をシミュレートするために使用された。第1の好ましい実施形態の画像サイズは、200ミクロンであることが見出され、画像倍率は、20倍であった。画質のシミュレーションの結果が、本シミュレーションに関して
図15に示される。全てのMTFプロットは、事実上一致する。MTFプロットは、周辺画像の分解能が、本偏心における網膜分解能の限界よりも実質的に良好であることを示す。
【0119】
周辺画像の焦点深度もまた、第2のシミュレーションにおいて反射光学系に関してシミュレートされ、
図16に示される。いくつかの実施形態では、画像は、網膜33の前の2.0mmの距離において最適に形成され、それを網膜33上で近視眼的に焦点ぼけさせる。いくつかの実施形態では、本近視焦点ぼけによって誘発されるぼやけは、網膜33が、前方に移動するための神経刺激をそれが知覚するためにぼやけた画像を知覚し、眼11の軸長を短縮するように、焦点深度の影響を克服する。いくつかの実施形態では、中性刺激が、眼11の軸方向成長を減少させるために十分である。
【0120】
図17は、第2のシミュレーションのための特定の空間周波数(20/200または10分)に関して示されるシミュレートされたMTFプロットのコントラストの損失または係数の形態で、近視焦点ぼけによって引き起こされる画像ぼやけの影響を示す。
図16に示されるスポットサイズの増加は、近視焦点ぼけの大きさの関数として、MTFプロットの大きさの損失に反映され、それと一致する。第2のシミュレーションは、投影ユニットの焦点距離が200ミクロンの画像サイズを伴って0.85mmであり、画像倍率が20倍であることを示す。エアリーディスク直径が、8.9ミクロンであるように算出される一方で、レイリー基準は、10.9ミクロンである。
【0121】
それぞれ、光源30から光を収集し、網膜33に向かって光を指向するためのレンズ、および眼11に沿った光の経路を示す、
図10Aおよび1を再び参照する。いくつかの実施形態では、光源30は、最終的に周辺網膜33の前に投影され、周辺画像の近視焦点ぼけを生成する、光をほぼコリメートする屈折レンズに直面する。屈折レンズが参照されるが、回折光学系および勾配率(GRIN)レンズ等の他のレンズも使用されることができる。表3は、周辺画像の第3のシミュレーションのために使用される屈折レンズの設計パラメータを示す。
【表3】
【0122】
これらのシミュレーションの結果は、画像サイズが110の画像倍率を伴って1,100ミクロンであることを示す。MTFプロットは、
図14に示される4つの物点40に関して
図18に示される。高空間周波数におけるMTFプロットの大きさは、反射光学系に関するものよりも実質的に低い。MTFプロットは、画像分解能が27度の偏心の画像のために十分であることを示す。第2の好ましい実施形態の光学設計は、
図19に示されるように、はるかに大きい焦点深度につながる。これは、いくつかの実施形態では、第1および第2のシミュレーションによると、有効画像ぼやけが、反射光学系に対して、2D~5Dの範囲内の近視焦点ぼけに関してはるかに少ないことを意味する。増加した焦点深度は、
図3および4に示される反射光学構成に対して、近視焦点ぼけの大きさへのより少ない依存性を有し得る、
図20に示されるMTFプロットに反映される。
【0123】
第3の光学シミュレーションは、屈折光学系が、容認可能な画像サイズおよび画像倍率ならびに焦点深度を伴って周辺網膜画像を正常に投影し得ることを示す。但し、画像サイズ、倍率、および焦点深度は、第2のシミュレーションの反射構成に関するものよりも若干大きくあり得る。
【0124】
高空間周波数(50lp/mmおよびそれを上回る)におけるMTF値は、反射設計よりも本屈折光学設計に関して低いが、高空間周波数における画質は、減少した視力に起因して、網膜画像の周辺場所において若干関連性が少なくあり得る。第3のシミュレーションは、投影ユニットの焦点距離が1,100ミクロンの画像サイズを伴って0.15mmであり、画像倍率が110倍であることを示す。エアリーディスク直径が、36.7ミクロンであるように算出される一方で、レイリー基準は、44.8ミクロンである。
【0125】
光ガイドを示す、
図11Aおよび11Bを再び参照すると、第4のシミュレーションが、光ガイドと、ミラーと、レンズとを備える、本構成に関して行われた。シミュレートされた実施形態では、集束レンズが、光パイプの端部(出射開口)に位置する。いくつかの実施形態では、光パイプは、端部上に曲線状レンズ表面を備え、光を集束させる。本光ガイド実施形態では、投影光学系は、ミラーと、レンズとを備える、光ガイドを備える。
【0126】
いくつかの実施形態では、光源30は、例えば、周辺の近傍で、コンタクトレンズ10の外側部分内に設置され、源からの光は、光を収集し、眼11に向かって光を偏向させ、本明細書に説明されるように近視焦点ぼけを伴って周辺網膜33の前に画像を発生させる、ミラーに誘導される。いくつかの実施形態では、光ガイドの機能は、画像倍率を低減させ、網膜33の前方に形成される画像の分解能を増加させるように、光路の長さを増加させることである。
【表4】
【0127】
表4は、光ガイド実施形態によって形成される周辺網膜画像品質の第4のシミュレーションで使用される投影システムの性質を挙げる。画像倍率は、140ミクロンの画像サイズを伴って14であった。これらのシミュレーションは、画像倍率が容認可能であり、焦点深度が屈折光学系ほど大きくないが、反射光学系よりも大きいことを明らかにする。第4のシミュレーションは、投影ユニットの焦点距離が140ミクロンの画像サイズおよび14倍の倍率を伴って1.21mmであることを示す。エアリーディスク直径が、34.8ミクロンであるように算出される一方で、レイリー基準は、42.6ミクロンである。
【0128】
3つの対応する構成に関する第2、第3、および第4のシミュレーションの3つの結果が、それらのサイズ、近視焦点ぼけの大きさの関数として焦点ぼけした画像の鮮明度勾配をそれぞれ定義することによって生成される焦点深度、およびビーム直径の観点から相互と比較された。結果は、反射光学系を備える第2のシミュレーションが、最良の鮮明度勾配を有する一方で、屈折光学系を備える実施形態が、最小の鮮明度勾配を有し、光ガイドベースの投影ユニットが、
図24に示されるように、限定された鮮明度勾配を提供することを示す。これらのアプローチはそれぞれ、本明細書に開示される教示によると、軸長成長を減少させるように構成されることができる。
【0129】
3つの実施形態はまた、表5に示されるように、光学系の直径の観点から著しく異なる。
【表5】
【0130】
反射光学系および光源30は、多くの方法で構成されることができ、付加的シミュレーションが、本明細書に開示される教示による、適切な構成を決定するように行われることができる。例えば、
図14に示される中心物点における明確性は、神経刺激へのその寄与が限定される可能性が高いため、無視され得る。そのようなシミュレーションおよび最適化は、本システムが本明細書に説明されるように高レベルの快適性を着用者に提供するコンタクトレンズ10に埋め込まれるときに役立ち得る、投影ユニットの直径およびその厚さの低減を可能にすることができる。第5のシミュレーションに関する設計入力パラメータが、表6に示される。結果は、画像倍率が25まで増加され得、本明細書に開示される実施形態によると、網膜33の前方の周辺画像に関して容認可能である、10ミクロン源に関する250ミクロンの画像サイズを提供することを示す。これらの第4の画像シミュレーションの出力が、
図25および26に示される。近視焦点ぼけの大きさの関数としての単一の空間周波数における画像スポットサイズまたはMTFの変動である、鮮明度勾配は、投影システムの減少したサイズを提供しながら、依然として、極めて容認可能である。
【0131】
本明細書に詳述されるように、本明細書に説明および/または図示されるコンピューティングデバイスならびにシステムは、広義には、本明細書に説明されるモジュール内に含有されるもの等のコンピュータ可読命令を実行することが可能な任意のタイプまたは形態のコンピューティングデバイスもしくはシステムを表す。それらの最も基本的な構成では、これらのコンピューティングデバイスはそれぞれ、少なくとも1つのメモリデバイスと、少なくとも1つの物理的プロセッサとを備えてもよい。
【0132】
本明細書で使用されるような用語「メモリ」または「メモリデバイス」は、概して、データおよび/またはコンピュータ可読命令を記憶することが可能な任意のタイプまたは形態の揮発性もしくは不揮発性記憶デバイスまたは媒体を表す。一実施例では、メモリデバイスは、本明細書に説明されるモジュールのうちの1つ以上のものを記憶、ロード、および/または維持してもよい。メモリデバイスの実施例は、限定ではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、同一物のうちの1つ以上のものの変形例もしくは組み合わせ、または任意の他の好適な記憶メモリを備える。
【0133】
加えて、本明細書で使用されるような用語「プロセッサ」または「物理的プロセッサ」は、概して、コンピュータ可読命令を解釈および/または実行することが可能な任意のタイプまたは形態のハードウェア実装処理ユニットを指す。一実施例では、物理的プロセッサは、上記に説明されるメモリデバイス内に記憶された1つ以上のモジュールにアクセスする、および/またはそれを修正してもよい。物理的プロセッサの実施例は、限定ではないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニット(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、同一物のうちの1つ以上のものの一部、同一物のうちの1つ以上のものの変形例もしくは組み合わせ、または任意の他の好適な物理的プロセッサを備える。
【0134】
別個の要素として図示されるが、本明細書に説明および/または図示される方法のステップは、単一のアプリケーションの一部を表し得る。加えて、いくつかの実施形態では、これらのステップのうちの1つ以上のものは、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに、方法のステップ等の1つ以上のタスクを実施させ得る、1つ以上のソフトウェアアプリケーションもしくはプログラムを表す、またはそれに対応し得る。
【0135】
加えて、本明細書に説明されるデバイスのうちの1つ以上のものは、データ、物理的デバイス、および/または物理的デバイスの表現を1つの形態から別の形態に変換してもよい。例えば、本明細書に記載されるデバイスのうちの1つ以上のものは、変換されるべきサンプルの画像データを受信し、画像データを変換し、変換の結果を出力して3Dプロセスを決定し、変換の結果を使用して3Dプロセスを実施し、変換の結果を記憶してサンプルの出力画像を生成してもよい。加えて、または代替として、本明細書に記載されるモジュールのうちの1つ以上のものは、コンピューティングデバイス上で実行されること、コンピューティングデバイス上にデータを記憶すること、および/または別様にコンピューティングデバイスと相互作用することによって、物理的コンピューティングデバイスのプロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ならびに/もしくは任意の他の部分を、1つの形態のコンピューティングデバイスから別の形態のコンピューティングデバイスに変換してもよい。
【0136】
本明細書で使用されるような用語「コンピュータ可読媒体」は、概して、コンピュータ可読命令を記憶または搬送することが可能な任意の形態のデバイス、キャリア、または媒体を指す。コンピュータ可読媒体の実施例は、限定ではないが、搬送波等の伝送型媒体、および磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、およびフロッピー(登録商標)ディスク)、光学記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、およびBLU-RAY(登録商標)ディスク)、電子記憶媒体(例えば、ソリッドステートドライブおよびフラッシュメディア)、ならびに他の配布システム等の非一過性型媒体を備える。
【0137】
当業者は、本明細書に開示される任意のプロセスまたは方法が多くの方法で修正され得ることを認識するであろう。本明細書に説明および/または図示されるステップのプロセスパラメータおよびシーケンスは、一例のみとして挙げられ、所望に応じて変動され得る。例えば、本明細書に図示および/または説明されるステップは、特定の順序で示される、または議論され得るが、これらのステップは、必ずしも図示または議論される順序で実施される必要はない。
【0138】
本明細書に説明および/または図示される種々の例示的方法はまた、本明細書に説明または図示されるステップのうちの1つ以上のものを省略する、もしくは開示されるものに加えて、付加的ステップを備えてもよい。さらに、本明細書に開示されるような任意の方法のステップが、本明細書に開示されるような任意の他の方法のいずれか1つ以上のステップと組み合わせられることができる。
【0139】
別様に記述されない限り、本明細書および請求項で使用されるような用語「~に接続される」および「~に結合される」(ならびにそれらの派生語)は、直接および間接的(すなわち、他の要素またはコンポーネントを介した)接続の両方を可能にするものとして解釈されるものである。加えて、本明細書および請求項で使用されるような用語「a」または「an」は、「~のうちの少なくとも1つ」を意味するものとして解釈されるものである。最後に、使用を容易にするために、本明細書および請求項で使用されるような用語「~を含む」および「~を有する」(ならびにそれらの派生語)は、用語「~を備える」と同義的であり、それと同一の意味を有するものとする。
【0140】
本明細書に開示されるようなプロセッサは、本明細書に開示されるような任意の方法のいずれか1つ以上のステップを実施する命令を伴って構成されることができる。
【0141】
用語「第1の」、「第2の」、「第3の」等は、事象のいずれの特定の順序または順番も指すことなく、種々の層、要素、コンポーネント、領域、または区分を説明するために本明細書で使用され得ることを理解されたい。これらの用語は、単に、1つの層、要素、コンポーネント、領域、または区分を、別の層、要素、コンポーネント、領域、または区分と区別するために使用される。本明細書に説明されるような第1の層、要素、コンポーネント、領域、または区分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の層、要素、コンポーネント、領域、または区分と称され得る。
【0142】
本明細書で使用されるように、用語「または」は、代替で、かつ組み合わせて、項目を指すために包含的に使用される。
【0143】
本明細書に開示される各実施形態は、本明細書に開示される他の実施形態のうちのいずれか1つ以上のものと組み合わせられることができ、当業者は、本開示の範囲内に該当するものとして多くのそのような組み合わせを認識するであろう。
【0144】
本開示は、以下の付番された付記を含む。
【0145】
(付記1)
網膜を有する眼の近視を治療するための電子コンタクトレンズであって、
複数の光源と、
網膜の前方に複数の画像を投影し、眼の近視の進行を減少させるように、複数の光源に結合される、複数の投影光学系と、
を備える、電子コンタクトレンズ。
【0146】
(付記2)
該レンズは、近視を逆転させるように構成される、付記1に記載の電子コンタクトレンズ。
【0147】
(付記3)
該複数の投影光学系は、眼窩に対して15度~30度の範囲内の偏心を伴って眼の網膜の複数の外側領域において複数の光源の複数の画像を投影するように配列される、付記1に記載の電子コンタクトレンズ。
【0148】
(付記4)
該複数の投影光学系はそれぞれ、網膜表面に対して近視眼的に焦点ぼけした画像を投影するように配列され、該焦点ぼけの量は、2.0D~5.0Dの範囲内である、付記1に記載の電子コンタクトレンズ。
【0149】
(付記5)
該複数の投影光学系はそれぞれ、該コンタクトレンズの中心から1.5mm~5.0mmに位置し、随意に、複数の投影光学系は、円の円周に沿って位置する、付記1に記載の電子コンタクトレンズ。
【0150】
(付記6)
該複数の投影光学系は、網膜の表面の前方に複数の画像を投影するように該複数の光源に光学的に結合される、複数の画像形成光学系を備える、付記1に記載の電子コンタクトレンズ。
【0151】
(付記7)
該複数の光源はそれぞれ、26ミクロンを超えない、随意に、10ミクロン以下の横断する最大距離を有し、随意に、該横断する最大距離は、直径を備える、付記6に記載の電子コンタクトレンズ。
【0152】
(付記8)
複数の投影光学系はそれぞれ、ミラー、レンズ、または光ガイドのうちの1つ以上のものを備える、付記6に記載の電子コンタクトレンズ。
【0153】
(付記9)
複数の画像形成光学系はそれぞれ、回折要素、フレネルレンズ、または複合ガボールレンズのうちの1つ以上のものを備える、付記8に記載の電子コンタクトレンズ。
【0154】
(付記10)
複数の画像形成光学系はそれぞれ、1.5mm~200ミクロンの範囲内の横断する最大距離を有し、随意に、該横断する最大距離は、直径を備える、付記8に記載の電子コンタクトレンズ。
【0155】
(付記11)
複数の画像形成光学系はそれぞれ、非球面であり、画像収差に関して補正される、付記8に記載の電子コンタクトレンズ。
【0156】
(付記12)
複数の画像形成光学系はそれぞれ、凸面および凹面鏡の組み合わせを備える、付記8に記載の電子コンタクトレンズ。
【0157】
(付記13)
該複数の画像形成光学系はそれぞれ、窩から15度~30度の範囲内、随意に、窩から25度~30度の範囲内の偏心において網膜の外側部分の前方に画像を形成する、付記11に記載の電子コンタクトレンズ。
【0158】
(付記14)
該複数の画像形成光学系はそれぞれ、25~100の範囲内の倍率の画像を用いて、網膜の前方に画像を作成する、付記11に記載の電子コンタクトレンズ。
【0159】
(付記15)
網膜の外側部分の前方の画像は、10lp/mmの空間周波数において0.75以上および50lp/mmの空間周波数において0.40以上の変調伝達関数の大きさを備える、付記1に記載の電子コンタクトレンズ。
【0160】
(付記16)
複数の投影光学系はそれぞれ、網膜の前方に画像を形成するように構成されるコリメート光学系を備える、画像形成光学系を備える、付記8に記載の電子コンタクトレンズ。
【0161】
(付記17)
該投影光学系は、コリメート光学系および画像形成光学系の両方として機能するための単一のレンズを備える、付記8に記載の電子コンタクトレンズ。
【0162】
(付記18)
該投影光学系は、30度以下の偏心および1.0D以下の焦点深度を伴って網膜の外側部分の前方に画像を作成するための画像形成光学系を備える、付記8に記載の電子コンタクトレンズ。
【0163】
(付記19)
該光学系は、30度以下の偏心を伴って網膜の外側部分の前方に画像を作成し、該画像の変調伝達関数は、1.0ジオプタの焦点ぼけに関して最低0.1単位だけ減少する、付記17に記載の電子コンタクトレンズ。
【0164】
(付記20)
ソフトコンタクトレンズであって、
複数の光学要素に結合される、複数の光源であって、複数の光源および複数の光学要素は、ソフトコンタクトレンズ材料に埋め込まれ、該複数の光学要素はそれぞれ、着用者の周辺網膜の前に合焦される画像を発生させる、複数の光源を備える、
ソフトコンタクトレンズ。
【0165】
(付記21)
複数の光源は、複数のマイクロディスプレイを備える、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0166】
(付記22)
複数の光源は、複数の発光ダイオード(LED)を備える、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0167】
(付記23)
該複数の光学要素はそれぞれ、対応するマイクロディスプレイによって放射される光をコリメートし、結果として生じる光ビームを眼の瞳孔の中に指向する、ミラーアセンブリを備え、該光ビームは、網膜の前に周辺画像を形成するように集束される、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0168】
(付記24)
該複数の光学要素はそれぞれ、対応するマイクロディスプレイによって放射される光を受光し、結果として生じる光ビームを眼の瞳孔の中に指向する、レンズを備え、該光ビームは、網膜の前に画像を形成するように集束される、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0169】
(付記25)
該複数の光源は、多色照明を発生させ、随意に、複数の光源は、多色照明を発生させる複数のマイクロディスプレイを備える、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0170】
(付記26)
該画像は、網膜の前の約0.5mm~2.0mmにある、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0171】
(付記27)
該画像は、少なくとも30lp/mmの分解能を有する、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0172】
(付記28)
該画像は、100倍以下の倍率を有する、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0173】
(付記29)
該画像は、2.5ジオプタ以下の焦点深度を有し、随意に、該焦点深度は、約0.9mm以下である、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0174】
(付記30)
該画像は、約15度~約45度の範囲内の偏心において投影される、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0175】
(付記31)
該範囲は、約25度~約30度である、付記30に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0176】
(付記32)
該マイクロディスプレイは、約0.1cd/m2~10cd/m2の範囲内の照度で瞳孔を照明する、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0177】
(付記33)
画像は、ある場所における周辺網膜の前に距離を置いて合焦され、画像は、焦点深度と、空間分解能とを備え、焦点深度は、距離未満であり、空間分解能は、その場所における周辺網膜の空間分解能を上回る、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0178】
(付記34)
コンタクトレンズが着用者の眼の上に設置されたときに、着用者から入力を受信するためのセンサをさらに備える、付記20に記載のソフトコンタクトレンズ。
【0179】
(付記35)
複数の光源の照明を制御するように複数の光源に結合される、プロセッサをさらに備える、前記付記のいずれか1つに記載のソフトコンタクトレンズ。
【0180】
(付記36)
複数の光源の照明を制御するように複数の光源に動作可能に結合される、無線通信回路をさらに備える、前記付記のいずれか1つに記載のソフトコンタクトレンズ。
【0181】
(付記37)
着用者が複数の光源の照明を制御するために、モバイルデバイスに動作可能に結合される、無線通信回路をさらに備える、前記付記のいずれか1つに記載のソフトコンタクトレンズ。
【0182】
(付記38)
医療提供者が複数の光源の照明サイクルおよび強度をプログラムするために、プロセッサに動作可能に結合される、無線通信回路をさらに備える、前記付記のいずれか1つに記載のソフトコンタクトレンズ。
【0183】
(付記39)
少なくとも1つのマイクロディスプレイと埋め込まれるソフトコンタクトレンズであって、該マイクロディスプレイは、着用者の周辺網膜の前に合焦される画像を発生させる、レンズ。
【0184】
(付記40)
該レンズは、着用者の屈折異常への最良の屈折補正を提供する、付記39に記載のレンズ。
【0185】
(付記41)
該マイクロディスプレイは、該レンズの光心から約2.5mm~約5.0mmだけ変位される、付記39に記載のレンズ。
【0186】
(付記42)
これは、それぞれ、該レンズの光心から等しく変位される、該レンズの円弧に沿って均一に配置される4~8個のマイクロディスプレイのセットを備える、付記39に記載のレンズ。
【0187】
(付記43)
該画像は、網膜の前の0.5mm~2.5mmで合焦される、付記39に記載のレンズ。
【0188】
(付記44)
該画像は、着用者の窩における最良焦点に対して近視眼的に1.0D~3.0Dで合焦される、付記39に記載のレンズ。
【0189】
(付記45)
該レンズは、少なくとも1つのマイクロディスプレイ、ASIC、電圧ランプ、再充電可能バッテリ、無線受信機および伝送機、フラッシュメモリ、ならびに不揮発性メモリを備える、付記39に記載のレンズ。
【0190】
(付記46)
該マイクロディスプレイは、マイクロOLEDである、付記39に記載のレンズ。
【0191】
(付記47)
該マイクロディスプレイは、マイクロLEDである、付記39に記載のレンズ。
【0192】
(付記48)
該マイクロディスプレイは、マイクロレンズアレイと光学的に結合される、付記39に記載のレンズ。
【0193】
(付記49)
該アレイは、1mm2~8mm2、随意に、1mm2~8mm2に及ぶ寸法を有する、付記39または45のいずれか1つに記載のレンズ。
【0194】
(付記50)
付記1に記載の該画像の持続時間は、レンズが眼の上にあるときにプログラム可能である、付記39に記載のレンズ。
【0195】
(付記51)
該画像は、1日あたり約1時間~約12時間にわたって連続的に投影される、付記47に記載のレンズ。
【0196】
(付記52)
該画像は、1日あたり1時間~12時間に及ぶ投影の合計持続時間を伴って、1日に数回、偶発的に投影される、付記47に記載のレンズ。
【0197】
(付記53)
該画像は、着用者が眠っている間に投影される、付記39に記載のレンズ。
【0198】
(付記54)
該画像は、好ましくは、500nmにおいて単色である、付記39に記載のレンズ。
【0199】
(付記55)
該画像は、好ましくは、可視光への網膜応答に合致する波長分布を伴って多色である、付記39に記載のレンズ。
【0200】
(付記56)
該レンズは、1日使い捨てモダリティである、付記39に記載のレンズ。
【0201】
(付記57)
該レンズは、計画的交換モダリティである、付記39に記載のレンズ。
【0202】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されたが、そのような実施形態は一例のみとして提供されることが、当業者に明白であろう。本発明が本明細書内に提供される具体的実施例によって限定されることは、意図されない。本発明は、前述の明細書を参照して説明されたが、本明細書の実施形態の説明および説明図は、限定的な意味で解釈されるように意図されていない。多数の変形例、変更、および代用が、本発明から逸脱することなく、ここで当業者に想起されるであろう。さらに、本発明の全ての側面は、種々の条件および変数に依存する、本明細書に記載される具体的描写、構成、または相対的割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に説明される本発明の実施形態の種々の代替物が、本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。したがって、本発明はまた、任意のそのような代替物、修正、変形例、または均等物も網羅するべきであることが検討される。以下の請求項が、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造が、それによって網羅されることが意図される。