(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】撮像素子
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241206BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20241206BHJP
H10K 39/32 20230101ALI20241206BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20241206BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H01L27/146 A
H01L27/144 K
H10K39/32
H04N25/70
(21)【出願番号】P 2021515991
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2020016233
(87)【国際公開番号】W WO2020218046
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2019086524
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020058610
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】飯島 浩章
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-288404(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173754(WO,A1)
【文献】特開2005-340572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 27/144
H10K 39/32
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
第1画素と、
前記第1画素と隣接する複数の第2画素と、
を備え、
前記第1画素及び前記複数の第2画素のそれぞれは、
第1の波長域に含まれる波長を有する光を第1電荷に変換する第1光電変換層と、
前記第1電荷を収集する第1画素電極と、
前記半導体基板と前記第1画素電極とを電気的に接続する第1プラグと、
前記半導体基板の法線方向において、前記第1光電変換層の上方、又は、前記第1光電変換層と前記半導体基板との間に配置され、第2の波長域に含まれる波長を有する光を第2電荷に変換する第2光電変換層と、
前記第2電荷を収集する第2画素電極と、
前記半導体基板と前記第2画素電極とを電気的に接続する第2プラグと、
を含み、
前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第1画素の前記第1プラグと前記複数の第2画素のそれぞれの前記第1プラグとの距離
の中で最短のものは、前記第1画素の前記第1プラグと前記
第1画素及び前記複数の第2画素のそれぞれの前記第2プラグとの距離
のいずれよりも短い、
撮像素子。
【請求項2】
前記半導体基板の前記法線方向において、前記第2光電変換層が前記第1光電変換層の上方に配置されている、
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記第1の波長域が近赤外光の波長域であり、
前記第2の波長域が可視光の波長域である、
請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記半導体基板の前記法線方向において、前記第1光電変換層と前記半導体基板との間に前記第2光電変換層が配置されている、
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記第1の波長域が可視光の波長域であり、
前記第2の波長域が近赤外光の波長域である、
請求項4に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第1プラグは、前記第2画素電極と重ならない、
請求項4又は5に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第2画素電極の面積は、前記第1画素電極の面積の4倍よりも小さい、
請求項4から6のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項8】
半導体基板と、
第1画素と、
前記第1画素と隣接する複数の第2画素と、
を備え、
前記第1画素及び前記複数の第2画素のそれぞれは、
第1の波長域に含まれる波長を有する光を第1電荷に変換する第1光電変換層と、
前記第1電荷を収集する第1画素電極と、
前記半導体基板と前記第1画素電極とを電気的に接続する第1プラグと、
前記半導体基板の法線方向において、前記第1光電変換層の上方、又は、前記第1光電変換層と前記半導体基板との間に配置され、第2の波長域に含まれる波長を有する光を第2電荷に変換する第2光電変換層と、
前記第2電荷を収集する第2画素電極と、
前記半導体基板と前記第2画素電極とを電気的に接続する第2プラグと、
を含み、
前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第1画素の前記第1プラグと前記複数の第2画素のそれぞれの前記第1プラグとの距離は、前記第1画素の前記第1プラグと前記第1画素及び前記複数の第2画素のそれぞれの前記第2プラグとの距離よりも短く、
前記第1の波長域は、赤色の光の波長域及び青色の光の波長域を含み、
前記第2の波長域は、緑色の光の波長域を含み、
前記第1光電変換層は、前記赤色の光の波長域及び前記青色の光の波長域に感度を有し、
前記第2光電変換層は、前記緑色の光の波長域に感度を有する、
撮像素子。
【請求項9】
前記赤色の波長域の光をカットするカラーフィルタと、
前記青色の波長域の光をカットするカラーフィルタと、
をさらに備える、
請求項8に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記第1画素及び前記複数の第2画素のそれぞれは、
第3の波長域に含まれる波長を有する光を第3電荷に変換する第3光電変換層と、
前記第3電荷を収集する第3画素電極と、
前記半導体基板と前記第3画素電極のそれぞれとを電気的に接続する第3プラグと、
をさらに含み、
前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第1画素の前記第1プラグと前記複数の第2画素のそれぞれの前記第1プラグとの距離は、前記第1画素の前記第1プラグと複数の第2画素のそれぞれの前記第3プラグとの距離よりも短い、
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項11】
半導体基板と、
互いに隣接する2つの第1画素と、
前記2つの第1画素の各々と隣接する第2画素と、
を備え、
前記2つの第1画素の各々は、
第1の波長域に含まれる波長を有する光を第1電荷に変換する第1光電変換層と、
前記第1電荷を収集する第1画素電極と、
前記半導体基板と前記第1画素電極とを電気的に接続する第1プラグと、を含み、
前記第2画素は、
第2の波長域に含まれる波長を有する光を第2電荷に変換する第2光電変換層と、
前記第2電荷を収集する第2画素電極と、
前記半導体基板と前記第2画素電極とを電気的に接続する第2プラグと、を含み、
前記半導体基板の法線方向から見たとき、前記2つの第1画素における前記第1プラグ間の距離は、前記2つの第1画素の一方の前記第1プラグと前記第2画素の前記第2プラグとの距離
のいずれよりも短い、
撮像素子。
【請求項12】
前記2つの第1画素の各々と隣接する第3画素をさらに備え、
前記第3画素は、
第3の波長域に含まれる波長を有する光を第3電荷に変換する第3光電変換層と、
前記第3電荷を収集する第3画素電極と、
前記半導体基板と前記第3画素電極とを電気的に接続する第3プラグと、を含み、
前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記2つの第1画素における前記第1プラグ間の距離は、前記2つの第1画素の一方の前記第1プラグと前記第3画素の前記第3プラグとの距離よりも短い、
請求項11に記載の撮像素子。
【請求項13】
前記2つの第1画素、前記第2画素及び前記第3画素がベイヤー配列で並べられている、
請求項12に記載の撮像素子。
【請求項14】
前記第1の波長域は緑色の光の波長域である、
請求項11から13のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項15】
前記第1画素電極は、前記第1電荷を前記第1光電変換層に蓄積させる第1蓄積電極と、前記第1プラグを介し、前記半導体基板と電気的に接続された第1読み出し電極とを含み、
前記第2画素電極は、前記第2電荷を前記第2光電変換層に蓄積させる第2蓄積電極と、前記第2プラグを介し、前記半導体基板と電気的に接続された第2読み出し電極とを含む、
請求項1から14のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項16】
前記半導体基板の法線方向において、前記第1画素電極は、前記第1光電変換層の下方に設けられ、前記第2画素電極は、前記第2光電変換層の上方に設けられる、
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項17】
前記第1光電変換層は、前記第2光電変換層と同層に設けられる、
請求項11に記載の撮像素子。
【請求項18】
前記第1光電変換層は、前記第2光電変換層及び前記第3光電変換層と同層に設けられる、
請求項13に記載の撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換を利用した撮像素子が広く用いられている。撮像素子は、典型的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応する波長域に感度を持つ。R成分の信号、G成分の信号及びB成分の信号のそれぞれが撮像素子から取り出される。セキュリティカメラ及び車載カメラには、近赤外光の波長域に感度を持つ撮像素子が用いられる場合もある。
【0003】
近年、撮像素子の画素の高密度化に伴って画素のサイズが縮小する傾向にあり、フォトダイオードなどの光電変換部の面積も縮小しつつある。
【0004】
特許文献2は、複数の光電変換膜を有する撮像素子を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-238781号公報
【文献】特開2005-268471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
撮像素子の1つの課題は、画質を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る撮像素子は、
半導体基板と、
第1画素と、
前記第1画素と隣接する複数の第2画素と、
を備える。
前記第1画素及び前記複数の第2画素のそれぞれは、
第1の波長域に含まれる波長を有する光を第1電荷に変換する第1光電変換層と、
前記第1電荷を収集する第1画素電極と、
前記半導体基板と前記第1画素電極とを電気的に接続する第1プラグと、
前記半導体基板の法線方向において、前記第1光電変換層の上方、又は、前記第1光電変換層と前記半導体基板との間に配置され、第2の波長域に含まれる波長を有する光を第2電荷に変換する第2光電変換層と、
前記第2電荷を収集する第2画素電極と、
前記半導体基板と前記第2画素電極とを電気的に接続する第2プラグと、
を含む。
前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第1画素の前記第1プラグと前記複数の第2画素のそれぞれの前記第1プラグとの距離は、前記第1画素の前記第1プラグと前記複数の画素のそれぞれの前記第2プラグとの距離よりも短い。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る撮像装置の構成図である。
【
図3A】
図3Aは、第1実施形態に係る撮像素子を半導体基板の法線方向から見たときの画素電極及びプラグの配置を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、画素電極及びプラグの別の配置を示す図である。
【
図3C】
図3Cは、画素電極及びプラグのさらに別の配置を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第2実施形態に係る撮像素子の断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る撮像素子を半導体基板の法線方向から見たときの画素電極及びプラグの配置を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の第3実施形態に係る撮像素子の断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る撮像素子を半導体基板の法線方向から見たときの画素電極及びプラグの配置を示す図である。
【
図11】
図11は、第2画素電極、第1画素電極及び第1プラグの他の位置関係を示す平面図である。
【
図12A】
図12Aは、2層構造を有する撮像素子の画素の別の構造を示す図である。
【
図13A】
図13Aは、2層構造を有する撮像素子の画素のさらに別の構造を示す図である。
【
図14B】
図14Bは、第4実施形態に係る撮像素子を半導体基板の法線方向から見たときの画素電極、プラグ及びフォトダイオードの配置を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の第6実施形態に係る撮像素子の断面図である。
【
図17】
図17は、第6実施形態に係る撮像素子を半導体基板の法線方向から見たときの画素電極及びプラグの配置を示す図である。
【
図18】
図18は、第6実施形態に係る撮像素子にベイヤー配列を適用したときの画素電極及びプラグの配置を示す図である。
【
図19】
図19は、本開示の第7実施形態に係る撮像素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
撮像素子は、例えば、特許文献1に開示されているように、半導体基板及びその上方に配置された光電変換膜を有する。近年、画素の更なる高密度化を図るべく、複数の光電変換膜の積層構造を有する撮像素子が提案されている(特許文献2)。
【0011】
本発明者らは、撮像素子の画質の向上を阻む原因について、検討を行った。その結果、次の問題があることを突き止めた。
【0012】
撮像素子は、画素電極と半導体基板とを接続するプラグを有する。画素の高密度化に伴って、プラグ間のクロストークが顕在化する。プラグ間のクロストークは、得るべき画像における混色を生じさせる。例えば、RとG、GとB、BとRのように、異なる色に対応するプラグ間でクロストークが起きると、被写体と得られた画像との間の色の違いが顕著となる。プラグ間のクロストークを抑制することは、画質の向上にとって有益である。
【0013】
プラグ間のクロストークは、特許文献2に開示された構造を有する撮像素子において顕在化すると予測される。
【0014】
本開示は、プラグ間のクロストークを抑制するための技術を提供する。
【0015】
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る撮像素子は、
半導体基板と、
第1画素と、
前記第1画素と隣接する複数の第2画素と、
を備える。
前記第1画素及び前記複数の第2画素のそれぞれは、
第1の波長域に含まれる波長を有する光を第1電荷に変換する第1光電変換層と、
前記第1電荷を収集する第1画素電極と、
前記半導体基板と前記第1画素電極とを電気的に接続する第1プラグと、
前記半導体基板の法線方向において、前記第1光電変換層の上方、又は、前記第1光電変換層と前記半導体基板との間に配置され、第2の波長域に含まれる波長を有する光を第2電荷に変換する第2光電変換層と、
前記第2電荷を収集する第2画素電極と、
前記半導体基板と前記第2画素電極とを電気的に接続する第2プラグと、
を含む。
前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第1画素の前記第1プラグと前記複数の第2画素のそれぞれの前記第1プラグとの距離は、前記第1画素の前記第1プラグと前記複数の画素のそれぞれの前記第2プラグとの距離よりも短い。
【0016】
このような構成によれば、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。これにより、画素間の混色を抑制することができる。
【0017】
前記複数の第2画素は、
第1方向において前記第1画素に隣接する画素、
前記第1方向と反対の方向において前記第1画素に隣接する画素、
前記第1方向に垂直な第2方向において前記第1画素に隣接する画素、
前記第2方向と反対の方向において前記第1画素に隣接する画素、
前記第1方向と前記第2方向との間の第3方向において前記第1画素に隣接する画素、
前記第3方向と反対の方向において前記第1画素に隣接する画素、
前記第3方向に垂直な第4方向において前記第1画素に隣接する画素、及び
前記第4方向と反対の方向において前記第1画素に隣接する画素、を含んでいてもよい。
【0018】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る撮像素子では、前記半導体基板の前記法線方向において、前記第2光電変換層が前記第1光電変換層の上方に配置されていてもよい。このような構成によれば、第1プラグを第2プラグよりも短くすることができるため、第1プラグと第2プラグとの間のクロストークを抑制しながら、第1プラグ間のクロストークを抑制することができる。
【0019】
本開示の第3態様において、例えば、第2態様に係る撮像素子では、前記第1の波長域が近赤外光の波長域であってもよく、前記第2の波長域が可視光の波長域であってもよい。このような構成によれば、可視光の情報と近赤外光の情報とが混ざることを抑制できる。
【0020】
本開示の第4態様において、例えば、第1態様に係る撮像素子では、前記半導体基板の前記法線方向において、前記第1光電変換層と前記半導体基板との間に前記第2光電変換層が配置されていてもよい。このような構成によれば、第2プラグを第1プラグよりも短くすることができるため、第1プラグと第2プラグとの間のクロストークを抑制しながら、第2プラグ間のクロストークを抑制できる。
【0021】
本開示の第5態様において、例えば、第4態様に係る撮像素子では、前記第1の波長域が可視光の波長域であってもよく、前記第2の波長域が近赤外光の波長域であってもよい。このような構成によれば、可視光の情報と近赤外光の情報とが混ざることを抑制できる。
【0022】
本開示の第6態様において、例えば、第4又は第5態様に係る撮像素子では、前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第1プラグは、前記第2画素電極と重ならなくてもよい。このような構成によれば、第2光電変換層の厚さのバラつき、第2光電変換層の表面粗さなどが低減されうる。
【0023】
本開示の第7態様において、例えば、第4から第6態様のいずれか1つに係る撮像素子では、前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第2画素電極の面積は、前記第1画素電極の面積の4倍よりも小さくてもよい。このような構成によれば、第1プラグを避けて第2画素電極を形成できる。
【0024】
本開示の第8態様において、例えば、第1態様に係る撮像素子では、前記第1の波長域は、赤色の光の波長域及び青色の光の波長域を含んでもよく、前記第2の波長域は、緑色の光の波長域を含んでもよく、前記第1光電変換層は、前記赤色の光の波長域及び前記青色の光の波長域に感度を有していてもよく、前記第2光電変換層は、前記緑色の光の波長域に感度を有していてもよい。このような構成によれば、多層構造による利益を確保しつつ、視感度の高い緑のサブ画素の面積を増やすことができる。
【0025】
本開示の第9態様において、例えば、第8態様に係る撮像素子は、前記赤色の波長域の光をカットするカラーフィルタと、前記青色の波長域の光をカットするカラーフィルタと、をさらに備えていてもよい。このような構成によれば、多層構造による利益を確保しつつ、青色の光の波長域、赤色の光の波長域及び緑色の光の波長域の感度を撮像素子に付与することができる。これにより、フルカラーの画像を取得することが可能である。
【0026】
本開示の第10態様において、例えば、第1態様に係る撮像素子では、前記第1画素及び前記複数の第2画素のそれぞれは、第3の波長域に含まれる波長を有する光を第3電荷に変換する第3光電変換層と、前記第3電荷を収集する第3画素電極と、前記半導体基板と前記第3画素電極のそれぞれとを電気的に接続する第3プラグと、をさらに含んでいてもよく、前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記第1画素の前記第1プラグと前記複数の第2画素のそれぞれの前記第1プラグとの距離は、前記第1画素の前記第1プラグと複数の第2画素のそれぞれの前記第3プラグとの距離よりも短くてもよい。このような構成によれば、色分離性を高めることができる。
【0027】
本開示の第11態様に係る撮像素子は、
半導体基板と、
互いに隣接する2つの第1画素と、
前記2つの第1画素の各々と隣接する第2画素と、
を備え、
前記2つの第1画素の各々は、
第1の波長域に含まれる波長を有する光を第1電荷に変換する第1光電変換層と、
前記第1電荷を収集する第1画素電極と、
前記半導体基板と前記第1画素電極とを電気的に接続する第1プラグと、を含み、
前記第2画素は、
第2の波長域に含まれる波長を有する光を第2電荷に変換する第2光電変換層と、
前記第2電荷を収集する第2画素電極と、
前記半導体基板と前記第2画素電極とを電気的に接続する第2プラグと、を含み、
前記半導体基板の法線方向から見たとき、前記2つの第1画素における前記第1プラグ間の距離は、前記2つの第1画素の一方の前記第1プラグと前記第2画素の前記第2プラグとの距離よりも短い。
【0028】
このような構成によれば、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。これにより、画素間の混色が抑制されうる。
【0029】
本開示の第12態様において、例えば、第11態様に係る撮像素子は、前記2つの第1画素の各々と隣接する第3画素をさらに備えていてもよく、前記第3画素は、第3の波長域に含まれる波長を有する光を第3電荷に変換する第3光電変換層と、前記第3電荷を収集する第3画素電極と、前記半導体基板と前記第3画素電極とを電気的に接続する第3プラグと、を含んでいてもよく、前記半導体基板の前記法線方向から見たとき、前記2つの第1画素における前記第1プラグ間の距離は、前記2つの第1画素の一方の前記第1プラグと前記第3画素の前記第3プラグとの距離よりも短くてもよい。このような構成によれば、第1画素の第1プラグと第3画素の第3プラグとの間のクロストークが抑制される。
【0030】
本開示の第13態様において、例えば、第12態様に係る撮像素子では、前記2つの第1画素、前記第2画素及び前記第3画素がベイヤー配列で並べられていてもよい。第13態様の撮像素子は、フルカラー画像を取得できる。
【0031】
本開示の第14態様において、例えば、第11から第13態様のいずれか1つに係る撮像素子では、前記第1の波長域は緑色の光の波長域であってもよい。
【0032】
本開示の第15態様に係る撮像素子は、
半導体基板と、
少なくとも1つの光電変換層と、
前記少なくとも1つの光電変換層に電気的に接続され、第1の波長域の光に対応する電荷を収集する第1画素電極と、
前記半導体基板と前記第1画素電極とを電気的に接続する第1プラグと、
前記少なくとも1つの光電変換層に電気的に接続され、第2の波長域の光に対応する電荷を収集する第2画素電極と、
前記半導体基板と前記第2画素電極とを電気的に接続する第2プラグと、
前記少なくとも1つの光電変換層に電気的に接続され、第1の波長域の光に対応する電荷を収集する第3画素電極と、
前記半導体基板と前記第3画素電極とを電気的に接続する第3プラグと、
を備え、
前記半導体基板の法線方向からみたとき、前記第1プラグと前記第3プラグとの距離は、前記第1プラグと前記第2プラグとの距離よりも短い。
【0033】
このような構成によれば、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。これにより、画素間の混色が抑制されうる。
【0034】
本開示の第16態様において、例えば、第1から第15態様のいずれか1つに係る撮像素子では、前記第1画素電極は、前記第1電荷を前記第1光電変換層に蓄積させる第1蓄積電極と、前記第1プラグを介し、前記半導体基板と電気的に接続された第1読み出し電極とを含んでいてもよく、前記第2画素電極は、前記第2電荷を前記第2光電変換層に蓄積させる第2蓄積電極と、前記第2プラグを介し、前記半導体基板と電気的に接続された第2読み出し電極とを含んでいてもよい。
【0035】
本開示の第17態様に係る撮像素子は、
半導体基板と、
複数の画素と、
を備えた撮像素子であって、
前記複数の画素のそれぞれは、
第1光電変換層と、
前記第1光電変換層で生成された、第1の波長域の光に対応する電荷を収集する第1画素電極と、
前記半導体基板と前記第1画素電極とを電気的に接続する第1プラグと、
前記半導体基板の法線方向において、前記第1光電変換層の上方、又は、前記第1光電変換層と前記半導体基板との間に配置された第2光電変換層と、
前記第2光電変換層で生成された、第2の波長域の光に対応する電荷を収集する第2画素電極と、
前記半導体基板と前記第2画素電極とを電気的に接続する第2プラグと、
を有し、
前記半導体基板の前記法線方向から前記撮像素子を見たとき、隣接する前記画素において、前記第1プラグ間の距離は、前記第1プラグと前記第2プラグとの距離よりも短い。
【0036】
このような構成によれば、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。これにより、画素間の混色を抑制することができる。
【0037】
本開示の第18態様に係る撮像素子は、
半導体基板と、
複数の画素と、
を備えた撮像素子であって、
前記複数の画素は、複数の第1画素及び複数の第2画素を有し、
前記複数の第1画素のそれぞれは、第1光電変換層と、前記第1光電変換層で生成された、第1の波長域の光に対応する電荷を収集する第1画素電極と、前記半導体基板と前記第1画素電極とを電気的に接続する第1プラグと、を有し、
前記複数の第2画素のそれぞれは、第2光電変換層と、前記第2光電変換層で生成された、第2の波長域の光に対応する電荷を収集する第2画素電極と、前記半導体基板と前記第2画素電極とを電気的に接続する第2プラグと、を有し、
前記半導体基板の法線方向から見たとき、隣接する前記画素において、前記第1プラグ間の距離は、前記第1プラグと前記第2プラグとの距離よりも短い。
【0038】
このような構成によれば、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。これにより、画素間の混色が抑制されうる。
【0039】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0040】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る撮像装置100Aの構成を示している。撮像装置100Aは、撮像素子100を備えている。撮像素子100は、半導体基板1及び複数の画素10を備えている。複数の画素10は、半導体基板1の上に設けられている。各画素10は、半導体基板1によって支持されている。画素10の一部が半導体基板1によって構成されていてもよい。
【0041】
半導体基板1は、各種の電子回路を含む回路基板でありうる。半導体基板1は、例えば、Si基板によって構成されている。
【0042】
各画素10は、光電変換部12を含む。光電変換部12は、光の入射を受けて正の電荷及び負の電荷、典型的には、正孔-電子対を発生させる。光電変換部12は、半導体基板1の上方に配置された少なくとも1つの光電変換層を含む。
図1では、各画素10の光電変換部12が空間的に互いに分離されて示されている。ただし、これは説明の便宜に過ぎない。複数の画素10の光電変換部12は、互いに間隔を空けずに半導体基板1の上に連続的に配置されうる。換言すると、隣接する画素間において、光電変換部12は互いに電気的に接続されうる。
【0043】
図1において、画素10は、m行n列の複数の行及び複数の列に並べられている。m及びnは、互いに独立して、1以上の整数を表す。画素10は、半導体基板1に例えば2次元に並べられることによって、撮像領域を形成する。撮像装置100Aを平面視したとき、撮像素子100は、光電変換層が存在する領域として規定されうる。
【0044】
m行n列に並べられた画素において、x行y列に存在する画素を(x,y)と表すと、(x,y)に隣接する画素は、(x-1,y-1)、(x,y-1)、(x+1,y-1)、(x-1,y)、(x+1,y)、(x-1,y+1)、(x,y+1)、(x+1,y+1)で表される。ここで、xはm以下の自然数であり、yはn以下の自然数を表す。
【0045】
画素10の数及び配置は、特に限定されない。
図1では、各画素10の中心が正方格子の格子点上に位置している。各画素10の中心が、三角格子、六角格子などの格子点上に位置するように、複数の画素10が配置されていてもよい。画素10を1次元に並べることによって、撮像素子100をラインセンサとして使用しうる。
【0046】
撮像装置100Aは、半導体基板1に形成された周辺回路を有する。
【0047】
周辺回路は、垂直走査回路52及び水平信号読み出し回路54を含む。周辺回路は、付加的に、制御回路56及び電圧供給回路58を含みうる。周辺回路は、信号処理回路、出力回路などをさらに含んでいてもよい。各回路は、半導体基板1の上に設けられている。周辺回路の一部は、画素10が形成された半導体基板1とは異なる他の基板上に配置されることもありうる。
【0048】
垂直走査回路52は、行走査回路とも呼ばれる。複数の画素10の各行に対応してアドレス信号線44が設けられ、アドレス信号線44が垂直走査回路52に接続されている。複数の画素10の各行に対応して設けられた信号線は、アドレス信号線44に限定されず、垂直走査回路52には、複数の画素10の行毎に複数の種類の信号線が接続されうる。水平信号読み出し回路54は、列走査回路とも呼ばれる。複数の画素10の各列に対応して垂直信号線45が設けられ、垂直信号線45が水平信号読み出し回路54に接続されている。
【0049】
制御回路56は、撮像装置100Aの外部から与えられた指令データ、クロックなどを受け取って撮像装置100Aの全体を制御する。典型的には、制御回路56は、タイミングジェネレータを有し、垂直走査回路52、水平信号読み出し回路54、電圧供給回路58などに駆動信号を供給する。制御回路56は、例えば、1以上のプロセッサを含むマイクロコントローラによって実現されうる。制御回路56の機能は、汎用の処理回路とソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよいし、このような処理に特化したハードウェアによって実現されてもよい。
【0050】
電圧供給回路58は、電圧線48を介して、各画素10に所定の電圧を供給する。電圧供給回路58は、特定の電源回路に限定されず、バッテリーなどの電源から供給された電圧を所定の電圧に変換する回路であってもよいし、所定の電圧を生成する回路であってもよい。電圧供給回路58は、上述の垂直走査回路52の一部であってもよい。周辺回路を構成するこれらの回路は、撮像素子100の外側の周辺領域R2に配置されうる。
【0051】
【0052】
各画素10は、複数の光電変換層を有する。複数の光電変換層は、第1光電変換層121、第2光電変換層122及び第3光電変換層123を含む。第1光電変換層121は、複数の画素10に共用された単一の層でありうる。第2光電変換層122は、複数の画素10に共用された単一の層でありうる。第3光電変換層123は、複数の画素10に共用された単一の層でありうる。ただし、第1光電変換層121、第2光電変換層122及び第3光電変換層123のそれぞれは、画素毎に区分けされていてもよい。「複数の画素に共用された」とは、特定の画素と、その特定の画素に隣接する少なくとも1つの画素間において共用されていることを意味する。
【0053】
第1光電変換層121、第2光電変換層122及び第3光電変換層123は、光電変換材料によって構成されている。光電変換材料は、典型的には、有機材料である。
【0054】
第1光電変換層121は、第1の波長域の光に対応する電荷(第1電荷)を収集する。第2光電変換層122は、第2の波長域の光に対応する電荷(第2電荷)を収集する。第3光電変換層123は、第3の波長域の光に対応する電荷(第3電荷)を収集する。第1の波長域は、例えば、青色の光の波長域である。第1光電変換層121は、青色の光に感度を持つ材料によって構成されている。第2の波長域は、例えば、緑色の光の波長域である。第2光電変換層122は、緑色の光に感度を持つ材料によって構成されている。第3の波長域は、例えば、赤色の光の波長域である。第3光電変換層123は、赤色の光に感度を持つ材料によって構成されている。
【0055】
本実施形態において、第1光電変換層121、第2光電変換層122、第3光電変換層123及び半導体基板1がこの順番で並んでいる。半導体基板1の法線方向において、第1光電変換層121と半導体基板1との間に第2光電変換層122が配置されている。半導体基板1の法線方向において、第2光電変換層122と半導体基板1との間に第3光電変換層123が配置されている。第1光電変換層121、第2光電変換層122及び第3光電変換層123の並び順はこの順番に限定されない。
【0056】
各画素10は、さらに、複数の画素電極を有する。複数の画素電極は、第1画素電極13、第2画素電極14及び第3画素電極15を含む。第1画素電極13は、第1光電変換層121に電気的に接続されている。第2画素電極14は、第2光電変換層122に電気的に接続されている。第3画素電極15は、第3光電変換層123に電気的に接続されている。
【0057】
第1画素電極13及び第2画素電極14は、可視光及び/又は近赤外光に対する透光性を有する透明電極である。透明電極は、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電性酸化物で作られている。第3画素電極15は、可視光及び/又は近赤外光に対する透光性を有さない非透明電極である。非透明電極の材料としては、金属、金属酸化物、金属窒化物、導電性ポリシリコンなどが挙げられる。
【0058】
本明細書において、「透光性を有する」とは、特定の波長域の光の透過率が40%以上であることを意味する。可視光の波長域は、例えば、400nmから780nmである。近赤外光の波長域は、例えば、780nmから2000nmである。透過率は、日本産業規格JIS R3106(1998)に規定された方法によって算出されうる。
【0059】
第1画素電極13と第2画素電極14との間には、絶縁層8が設けられている。第3画素電極15と半導体基板1との間には、絶縁層9が設けられている。絶縁層8及び9は、SiO2などの絶縁材料によって構成されている。
【0060】
各画素10は、さらに、複数の対向電極を有する。複数の対向電極は、第1対向電極17及び第2対向電極18を含む。第1対向電極17及び第2対向電極18は、それぞれ、複数の画素10に共用されている。第1対向電極17及び第2対向電極18は、それぞれ、可視光及び/又は近赤外光に対する透光性を有する透明電極である。
【0061】
第1対向電極17は、第1画素電極13に対応して設けられている。第1光電変換層121は、第1対向電極17と第1画素電極13とに挟まれている。第2対向電極18は、第2画素電極14及び第3画素電極15に対応して設けられている。第2光電変換層122は、第2対向電極18と第2画素電極14とに挟まれている。第3光電変換層123は、第2対向電極18と第3画素電極15とに挟まれている。第1対向電極17は、第1光電変換層121に電気的に接続されている。第2対向電極18は、第2光電変換層122に電気的に接続されている。第2対向電極18は、第3光電変換層123に電気的に接続されている。
【0062】
本実施形態では、第2対向電極18によって第2光電変換層122及び第3光電変換層123の両方に電圧が印加される。ただし、第2対向電極18は、第2光電変換層122のみに電圧を印加するように構成されていてもよい。第3光電変換層123に電圧を印加する第3対向電極が設けられていてもよい。
【0063】
各画素10は、マイクロレンズを備えていてもよい。マイクロレンズは、撮像素子100の表面を構成するように配置されうる。マイクロレンズは、1つの画素10につき1つ配置されていてもよく、複数配置されていてもよい。マイクロレンズは、撮像素子100を平面視したときの第1画素電極13と第2画素電極14との重なり領域に集光するように配置されてもよい。
【0064】
各画素10は、さらに、複数のプラグを有する。各プラグは、半導体基板1の法線方向に延びている。複数のプラグは、第1プラグ31、第2プラグ32及び第3プラグ33を含む。第1プラグ31は、半導体基板1と第1画素電極13とを電気的に接続している。第2プラグ32は、半導体基板1と第2画素電極14とを電気的に接続している。第3プラグ33は、半導体基板1と第3画素電極15とを電気的に接続している。
【0065】
第1プラグ31、第2プラグ32及び第3プラグ33は、導電性材料で作られている。導電性材料としては、金属、金属酸化物、金属窒化物、導電性ポリシリコンなどが挙げられる。
【0066】
半導体基板1は、複数の電荷蓄積領域を有する。電荷蓄積領域は、画素10の一部であってもよい。各電荷蓄積領域は、n型又はp型の不純物領域である。複数の電荷蓄積領域は、第1電荷蓄積領域3、第2電荷蓄積領域4及び第3電荷蓄積領域5を含む。第1プラグ31は、第1電荷蓄積領域3と第1画素電極13とを電気的に接続している。第2プラグ32は、第2電荷蓄積領域4と第2画素電極14とを電気的に接続している。第3プラグ33は、第3電荷蓄積領域5と第3画素電極15とを電気的に接続している。
【0067】
半導体基板1は、第1電荷蓄積領域3、第2電荷蓄積領域4及び第3電荷蓄積領域5に蓄積された電荷を読み出したり、蓄積された電荷をリセットしたりするための複数のトランジスタを有していてもよい。
【0068】
画素電極は、半導体基板を貫通するプラグと半導体基板の下方の配線層とを介して、電荷蓄積領域に電気的に接続されていてもよい。
【0069】
本明細書において、「上方」及び「下方」は、光の進行方向を基準に定められる。光の入射面に近づく側が「上方」であり、光の入射面から遠ざかる側が「下方」である。
【0070】
撮像素子10に光が照射されると、各光電変換層において電子-正孔対が生成する。
【0071】
例えば、第1対向電極17の電位が第1画素電極13の電位を上回るように第1対向電極17と第1画素電極13との間に電圧が印加されると、正の電荷である正孔が第1画素電極13に集められ、負の電荷である電子が第1対向電極17に集められる。第1画素電極13に集められた正孔が第1プラグ31及び第1電荷蓄積領域3に蓄積される。
【0072】
第2対向電極18の電位が第2画素電極14の電位を上回るように第2対向電極18と第2画素電極14との間に電圧が印加されると、正の電荷である正孔が第2画素電極14に集められ、負の電荷である電子が第2対向電極18に集められる。第2画素電極14に集められた正孔が第2プラグ32及び第2電荷蓄積領域4に蓄積される。
【0073】
第2対向電極18の電位が第3画素電極15の電位を上回るように第2対向電極18と第3画素電極15との間に電圧が印加されると、正の電荷である正孔が第3画素電極15に集められ、負の電荷である電子が第2対向電極18に集められる。第3画素電極15に集められた正孔が第3プラグ33及び第3電荷蓄積領域5に蓄積される。
【0074】
画素電極と光電変換層との間には、暗時における画素電極への電荷の流れ込みを妨げるブロッキング層が設けられていてもよい。
【0075】
本実施形態の撮像素子100は、多層構造を有する。「多層」とは、半導体基板1の法線方向に複数の光電変換層が存在することを意味する。多層構造によれば、画素電極の面積を十分に確保することができるので、画素の感度を高めるうえで有利である。本実施形態では、3つの光電変換層が存在するので、撮像素子100が3層構造を有すると言える。第1光電変換層121、第2光電変換層122及び第3光電変換層123は、典型的には、互いに異なる光電変換特性を有する。
【0076】
以下、プラグ間のクロストークを抑制するためのプラグの配置について説明する。
【0077】
図3Aは、撮像素子100を半導体基板1の法線方向から見たときの第1画素電極13,第2画素電極14,第3画素電極15及び第1プラグ31,第2プラグ32,第3プラグ33の配置を示している。言い換えれば、
図3Aは、半導体基板1の法線方向に垂直な平面への第1画素電極13,第2画素電極14,第3画素電極15及び第1プラグ31,第2プラグ32,第3プラグ33の投影図である。上層のプラグは、必要に応じて、下層の画素電極を貫通している。あるいは、上層のプラグを避けるように、必要に応じて、下層の画素電極が切り欠かれている。
【0078】
本明細書では、撮像素子100を半導体基板1の法線方向から見ることは、撮像素子100を平面視することと同義である。
【0079】
半導体基板1の法線方向から撮像素子100を見たとき、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2よりも短い。言い換えれば、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2は、第1プラグ31間の距離L1よりも長い。距離L1及びL2は、それぞれ、最短距離L1及びL2を意味する。このような構成によれば、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。これにより、混色を抑制することができる。得られた画像と被写体との間の色の同一性を十分に確保できる。具体的には、青色と緑色との混色を抑制することができる。つまり、色分離性を高めることができる。
【0080】
第1画素電極13が半導体基板1から最も離れているので、第1プラグ31は、最も長いプラグである。そのため、第1プラグ31と他のプラグとの間のクロストークが問題となりやすい。本実施形態によれば、第1プラグ31が他のプラグから十分に離れているので、クロストークを抑制する効果が十分に得られる。
【0081】
また、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第3プラグ33との距離L3よりも短い。言い換えれば、第1プラグ31と第3プラグ33との距離L3は、第1プラグ31間の距離L1よりも長い。距離L3も最短距離L3を意味する。このような構成によれば、青色と緑色との混色に加え、青色と赤色との混色を抑制することができる。つまり、色分離性を高めることができる。
【0082】
互いに隣接する複数の画素10における第1プラグ31間の距離L1は、特定の画素10における第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2’よりも短い。言い換えれば、特定の画素10における第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2’は、互いに隣接する複数の画素10における第1プラグ31間の距離L1よりも長い。互いに隣接する複数の画素10における第1プラグ31間の距離L1は、特定の画素10における第1プラグ31と第3プラグ33との距離L3’よりも短い。距離L2’及びL3’も最短距離L2’及びL3’を意味する。
【0083】
本実施形態によれば、互いに隣接する複数の画素10において、長いプラグ間の距離が短く、長いプラグと短いプラグとの距離が長い。このような構成によれば、クロストークを抑制する効果が高い。
【0084】
本明細書において、「プラグ間の距離」は、プラグの中心とプラグの中心との距離を意味する。平面視でのプラグの形状は円形とは限らない。したがって、「プラグの中心」は、プラグの重心を意味する。
【0085】
半導体基板1と第3光電変換層123との間に配線層が設けられていてもよい。配線層が設けられている場合、第1プラグ31、第2プラグ32及び第3プラグ33は、それぞれ、配線層を介して、第1電荷蓄積領域3、第2電荷蓄積領域4及び第3電荷蓄積領域5に電気的に接続されていてもよい。第1プラグ31、第2プラグ32及び第3プラグ33がそれぞれ配線層を介して第1電荷蓄積領域3,第2電荷蓄積領域4及び第3電荷蓄積領域5に接続されている場合、「プラグ間の距離」は、画素電極と配線層とを接続する部分同士の距離を意味する。
【0086】
本実施形態の撮像素子100において、特定の画素10に隣接する画素10は、撮像素子100の最外周部に存在する画素10が特定の画素10であるときを除き、8個存在する。このことは、他の実施形態にも当てはまる。
【0087】
図3Aに示す例において、第1画素電極13,第2画素電極14及び第3画素電極15は、矩形の形状を有する。第1画素電極13,第2画素電極14及び第3画素電極15の形状は、典型的には正方形である。画素電極の形状は矩形に限定されない。画素電極の形状は、矩形以外の多角形であってもよく、円形であってもよく、それらの一部を切り欠いた形状であってもよい。
【0088】
図3Bは、第1画素電極13,第2画素電極14、第3画素電極15及び第1プラグ31,第2プラグ32,第3プラグ33の別の配置を示している。
図3Bに示す例においても、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2よりも短い。また、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第3プラグ33との距離L3よりも短い。したがって、
図3Bに示す配置においても、
図3Aを参照して説明した効果と同じ効果が得られる。
【0089】
図3Cは、第1画素電極13,第2画素電極14、第3画素電極15及び第1プラグ31,第2プラグ32,第3プラグ33のさらに別の配置を示している。
図3Cに示す例においても、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2よりも短い。また、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第3プラグ33との距離L3よりも短い。したがって、
図3Cに示す配置においても、
図3Aを参照して説明した効果と同じ効果が得られる。
【0090】
図3B及び
図3Cに示す例においても、上層のプラグは、必要に応じて、下層の画素電極を貫通している。あるいは、上層のプラグを避けるように、必要に応じて、下層の画素電極が切り欠かれている。
【0091】
図3B及び
図3Cに示す例では、第1プラグ31と第2プラグ32とが対角に配置されている。第1プラグ31及び第2プラグ32は、第1画素電極13の対角線の近傍に配置されていてもよい。第1プラグ31及び第2プラグは、第1画素電極13の対角線上に配置されていてもよい。このような配置によれば、単一の画素10におけるクロストークも抑制することができる。「プラグが第1画素電極13の対角線上に配置されている」とは、撮像素子を平面視したとき、第1画素電極13を包囲する最小の四角形の対角線に各プラグが重なっていることを意味する。
【0092】
第3光電変換層123は、最も下に位置する光電変換層である。第3プラグ33は、第1プラグ31よりも短く、第2プラグ32よりも短い。第3プラグ33と他のプラグとの間のクロストークの影響は小さい。よって、第3プラグ33は任意の位置に配置されうる。本実施形態では、第3プラグ33は、第3画素電極15の中心領域に配置されている。このような構成によれば、第1電荷蓄積領域3、第2電荷蓄積領域4及び第3電荷蓄積領域5の相互間の距離を十分に確保することができる。これにより、電荷蓄積領域間のクロストークを抑制できるとともに、電荷蓄積領域とプラグとの間のクロストークも抑制できる。第3プラグ33に接続される第3電荷蓄積領域5及びトランジスタの設計自由度も向上する。「画素電極の中心領域」は、画素電極を平面視したときの画素電極の重心を含む一定の広さを持つ領域を意味する。具体的には、画素電極が平面視で概ね矩形の形状を有するとき、分割された領域のそれぞれの面積が互いに等しくなるように画素電極を9個の矩形状の領域に分割する。9個の矩形状の領域の中で画素電極の重心を含む領域が中心領域である。画素電極に切り欠きなどが設けられているとき、画素電極を包囲する最小の四角形が9分割されうる。画素電極の重心は、画素電極を包囲する最小の四角形の重心でありうる。
【0093】
第3プラグ33は、第1プラグ31と第2プラグ32とを結ぶ線分の中点上に配置されていてもよい。第1プラグ31と第2プラグ32とを結ぶ線分は、撮像素子を平面視したときの第1プラグ31の重心と第2プラグ32の重心とを結ぶ線分を意味する。「線分の中点上に第3プラグ33が配置されている」とは、第3プラグ33が中点に重なっていることを意味する。
【0094】
第3画素電極15の中心に第3プラグ33が配置されていてもよい。言い換えれば、撮像素子100を平面視したとき、第3画素電極15の中心が第3プラグ33に重なっていてもよい。「画素電極の中心」は、画素電極を平面視したときの画素電極の重心でありうる。
【0095】
図4Aは、第1画素電極13,第2画素電極14及び第3画素電極15の他の形状を示している。
図4Bは、画素10が
図4Aに示す第1画素電極13,第2画素電極14及び第3画素電極15を有するときの第1プラグ31,第2プラグ32及び第3プラグ33の配置を示している。
図4A及び
図4Bに示す例において、第1画素電極13,第2画素電極14及び第3画素電極15は、平面視で正六角形の形状を有する。撮像素子100の各画素10が平面視で正六角形の領域を占有している。複数の画素10は、ハニカム構造又はハニカム構造が一部欠けた構造を呈している。ハニカム構造の画素によれば、同色のプラグを集めやすい。「平面視」は、半導体基板1の法線方向から撮像素子100を見ることと同義である。ハニカム構造が一部欠けた構造とは、一部が切り欠かれた複数の正六角形が並べられることによって形成される構造を意味する。
【0096】
複数の画素10がハニカム構造を有するとき、特定の画素10に隣接する画素10は、6個存在する。
【0097】
本実施形態において、第1プラグ31,第2プラグ32及び第3プラグ33の配置は周期的であり、画素10は並進対称性を有する。そのため、プラグ間のクロストークを一律に低減できるとともに、画素10間のクロストークのバラつきも低減されうる。
【0098】
以下、他のいくつかの実施形態について説明する。第1実施形態と他の実施形態とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。各実施形態に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、相互に適用されうる。技術的に矛盾しない限り、各実施形態は、相互に組み合わされてもよい。
【0099】
(第2実施形態)
図5は、本開示の第2実施形態に係る撮像素子200の断面を示している。撮像素子200は、2層構造を有する。半導体基板1の法線方向において、第2光電変換層122が第1光電変換層121の上方に配置されている。言い換えれば、第2光電変換層122と半導体基板1との間に第1光電変換層121が配置されている。第1プラグ31は、半導体基板1と第1画素電極13とを電気的に接続している。第2プラグ32は、半導体基板1と第2画素電極14とを電気的に接続している。このような構成によれば、第1プラグ31を第2プラグ32よりも短くすることができるため、第1プラグ31と第2プラグ32との間のクロストークを抑制しながら、第1プラグ31間のクロストークを抑制することができる。
【0100】
第1光電変換層121は、第1の波長域の光に対応する電荷を収集する。第2光電変換層122は、第2の波長域の光に対応する電荷を収集する。第1の波長域及び第2の波長域は、特定の波長域に限定されない。第1の波長域の中心波長と第2の波長域の中心波長とが異なっている限り、第1の波長域と第2の波長域とがオーバーラップしていてもよい。第3の波長域についても同様である。
【0101】
第1の波長域は、例えば、可視光以外の光の波長域である。第1の波長域は、例えば、近赤外光の波長域である。第1光電変換層121は、近赤外光に感度を持つ材料によって構成されうる。第2の波長域は、例えば、可視光の波長域である。第2光電変換層122は、可視光に感度を持つ材料によって構成されうる。このような構成によれば、可視光の情報と近赤外光の情報とが混ざることを抑制できる。
【0102】
撮像素子200は、カラーフィルタ19をさらに備えている。カラーフィルタ19は、第1光電変換層121及び第2光電変換層122の上方に配置されている。第2光電変換層122には、カラーフィルタ19を通過した光が照射される。カラーフィルタ19は、例えば、ベイヤーフィルタである。
【0103】
本実施形態において、画素10は、複数のサブ画素10aからなる。複数のサブ画素10aは、2行2列に配置された、赤のサブ画素10r,緑のサブ画素10g,緑のサブ画素10g及び青のサブ画素10bを含む。赤のサブ画素10r,緑のサブ画素10g,緑のサブ画素10g及び青のサブ画素10bは、ベイヤー配列に従い配置されている。
【0104】
本実施形態によれば、第2光電変換層122によって、フルカラーの画像を取得しつつ、第1光電変換層121によって近赤外光に基づく画像を取得することができる。
【0105】
図6は、撮像素子200を半導体基板1の法線方向から見たときの第1画素電極13,第2画素電極14及び第1プラグ31,第2プラグ32の配置を示す図である。言い換えれば、
図6は、半導体基板1の法線方向に垂直な平面への第1画素電極13,第2画素電極14及び第1プラグ31,第2プラグ32の投影図である。
【0106】
半導体基板1の法線方向から撮像素子200を見たとき、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2よりも短い。言い換えれば、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2は、第1プラグ31間の距離L1よりも長い。このような構成によれば、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。具体的には、近赤外光に対応する第1プラグ31と可視光に対応する第2プラグ32との間のクロストークが抑制されうる。その結果、近赤外光の情報と可視光の情報とが混ざることを抑制できる。カラーフィルタを用いた場合、「可視光の情報」は、3原色の情報である赤色の光の情報、緑色の光の情報及び青色の光の情報を意味する。
【0107】
近赤外光の情報は、可視光の情報の使用目的とは異なる目的で使用される可能性が高い。したがって、第1プラグ31と第2プラグ32との間のクロストークを抑制して近赤外光の情報と可視光の情報とが混ざることを抑制できれば、このことの価値は高いと言える。
【0108】
本実施形態では、互いに隣接する複数の画素10の第1プラグ31が集められている。このことは、第2プラグ32間の距離を十分に確保する観点で有利である。第2プラグ32には可視光に対応する信号が伝送する。第1プラグ31には近赤外光に対応する信号が伝送する。近赤外光に基づく画像と比較して、可視光に基づく画像には高い解像度が要求される。第2プラグ32間の距離を十分に確保することは、この要求に合致する。
【0109】
具体的には、互いに隣接する複数の画素10において、第2プラグ32間の距離L3は、距離L1よりも長く、距離L2よりも長い。このような構成によれば、赤色、緑色及び青色の中での混色が抑制されうる。
【0110】
図7は、第1画素電極13の平面図である。
図7に示すように、第2プラグ32は、第1画素電極13を避けて上下に延びているか、第1画素電極13に設けられた貫通孔の中を通っている。第2プラグ32が画素10の外周部に存在する場合、第1画素電極13の一部を切り欠いたり、第1画素電極13の角部を取り除いたりすることによって、第2プラグ32のためのスペースを確保することができる。第2プラグ32が画素10の中央付近に存在する場合、第2プラグ32を通すための貫通孔が第1画素電極13に設けられる。
【0111】
(第3実施形態)
図8は、本開示の第3実施形態に係る撮像素子300の断面を示している。本実施形態の撮像素子300と第2実施形態の撮像素子200との相違点は、プラグの配置にある。
【0112】
半導体基板1の法線方向において、第1光電変換層121と半導体基板1との間に第2光電変換層122が配置されている。本実施形態では、第1光電変換層121が可視光に基づく画像を形成するための層であり、第2光電変換層122が近赤外光に基づく画像を形成するための層である。つまり、呼称が異なることを除き、本実施形態の構成は、第2実施形態の構成と共通である。可視光に基づく画像を形成するための層が上層であり、近赤外光に基づく画像を形成するための層が下層である。このような構成によっても、第2プラグ32を第1プラグ31よりも短くすることができるため、第1プラグ31と第2プラグ32との間のクロストークを抑制しながら、第2プラグ32間のクロストークを抑制できる。
【0113】
第1光電変換層121は、第1の波長域の光に対応する電荷を収集する。第2光電変換層122は、第2の波長域の光に対応する電荷を収集する。本実施形態では、第1の波長域は、可視光の波長域である。第2の波長域は、近赤外光の波長域である。このような構成によれば、可視光の情報と近赤外光の情報とが混ざることを抑制できる。
【0114】
図9は、撮像素子300を半導体基板1の法線方向から見たときの第1画素電極13,第2画素電極14及び第1プラグ31,第2プラグ32の配置を示す図である。言い換えれば、
図9は、半導体基板1の法線方向に垂直な平面への第1画素電極13,第2画素電極14及び第1プラグ31,第2プラグ32の投影図である。
【0115】
本実施形態においても、複数のサブ画素10aは、2行2列に配置された、赤のサブ画素10r,緑のサブ画素10g,緑のサブ画素10g及び青のサブ画素10bを含む。赤のサブ画素10r,緑のサブ画素10g,緑のサブ画素10g及び青のサブ画素10bは、ベイヤー配列に従い配置されている。
【0116】
半導体基板1の法線方向から撮像素子300を見たとき、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2よりも短い。詳細には、距離L1は、互いに隣接する緑のサブ画素10gの第1プラグ31間の距離である。互いに隣接する複数の画素10において、緑のサブ画素10gの第1プラグ31から赤のサブ画素10rの第1プラグ31までの距離は、上記の距離L1よりも長い。同様に、互いに隣接する複数の画素10において、緑のサブ画素10gの第1プラグ31から青のサブ画素10bの第1プラグ31までの距離は、上記の距離L1よりも長い。
【0117】
本実施形態においても、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。具体的には、可視光に対応する第1プラグ31と近赤外光に対応する第2プラグ32との間のクロストークが抑制されうる。その結果、近赤外光の情報と可視光の情報とが混ざることを抑制できる。
【0118】
図10は、第2画素電極14の平面図である。
図10に示すように、第1プラグ31は、第2画素電極14を避けて上下に延びている。第2プラグ32は、例えば、画素10の中心領域に位置している。本実施形態によれば、上層の第1画素電極13から半導体基板1まで延びる第1プラグ31が下層の第2画素電極14を貫通していない。第1プラグ31は、平面視で第2画素電極14の周囲に配置されている。言い換えれば、半導体基板1の法線方向から撮像素子300を見たとき、第1プラグ31は、第2画素電極14の範囲外に位置している。このような構成によれば、第2光電変換層122の厚さのバラつき、第2光電変換層122の表面粗さなどが低減されうる。その結果、第2光電変換層122から得られる画質が向上する。
【0119】
図11は、第2画素電極14、第1画素電極13及び第1プラグ31の他の位置関係を示す平面図である。
図11に示す例では、下層の第2画素電極14の面積が上層の4つの第1画素電極13の合計面積よりも小さい。詳細には、4つの第1画素電極13を包囲する最小の四角形の面積が、第2画素電極14の面積よりも大きい。このような構成によれば、第1プラグ31を避けて第2画素電極14を形成できるため、下層の光電変換層である第2光電変換層122の厚さのバラつき、第2光電変換層122の表面粗さなどが更に低減されうる。第1画素電極13の面積及び形状は、赤のサブ画素10r,緑のサブ画素10g,緑のサブ画素10g及び青のサブ画素10bのそれぞれで同一であってもよく、赤のサブ画素10r,緑のサブ画素10g,緑のサブ画素10g及び青のサブ画素10bのそれぞれで互いに異なっていてもよい。
【0120】
(変形例1)
図12Aは、2層構造を有する撮像素子300の画素10の別の構造を示している。本変形例において、上層の第1光電変換層121(
図8)は、赤色の光の波長域及び青色の光の波長域に感度を持つ。下層の第2光電変換層122(
図8)は、緑色の光の波長域に感度を持つ。つまり、第1の波長域は、赤色の光の波長域及び青色の光の波長域を含む。第2の波長域は、緑色の光の波長域を含む。第1光電変換層121は、赤色の光の波長域に感度を持つ光電変換材料と、青色の光の波長域に感度を持つ光電変換材料との混合材料を用いて作製されうる。混合材料は、例えば、フラーレン誘導体とフタロシアニンとを含む。第2光電変換層122は、緑色の光の波長域に感度を持つ光電変換材料を用いて作製されうる。赤のサブ画素10rは、1つの画素10の半分の面積に等しい面積を占有しうる。赤のサブ画素10rは、1つの画素10の半分の面積に等しい面積を占有しうる。緑のサブ画素10gは、1つの画素10の半分の面積に等しい面積を占有しうる。緑のサブ画素10gは、1つの画素10に2つ存在する。このような構成によれば、多層構造による利益を確保しつつ、視感度の高い緑のサブ画素10gの面積を増やすことができる。そのため、本変形例によれば、ベイヤー配列を有する撮像素子と遜色ない感度にて画像を取得することが可能である。また、ベイヤー配列を採用した撮像素子における画像処理と同様の画像処理にて、各画素の色を決定することが可能である。
【0121】
詳細には、画素10の正方形の領域において、赤のサブ画素10rを構成する第1画素電極13は、長方形の形状を有する。青のサブ画素10bを構成する第1画素電極13も、長方形の形状を有する。緑のサブ画素10gを構成する第2画素電極14も、長方形の形状を有する。第1画素電極13の長手方向は、第2画素電極14の長手方向と直交している。ただし、第1画素電極13及び第2画素電極14の形状は特に限定されない。
【0122】
カラーフィルタ19は、青色の光をカットするカラーフィルタ191と、赤色の光をカットするカラーフィルタ192とを含む。赤のサブ画素10rを構成する第1画素電極13は、青色の光をカットするカラーフィルタ191で覆われている。赤のサブ画素10rを構成する第1光電変換層121は、赤色の光に感度を持つ。青のサブ画素10bを構成する第1画素電極13は、赤色の光をカットするカラーフィルタ192で覆われている。青のサブ画素10bを構成する第1光電変換層121は、青色の光に感度を持つ。緑色の光は、カラーフィルタ19及び第1光電変換層121を透過し、第2光電変換層122に吸収される。緑のサブ画素10gを構成する第2光電変換層122は、緑色の光に感度を持つ。カラーフィルタ191及び192は、赤色の光、緑色の光、及び青色の光を確実に分離する。赤のサブ画素10r、緑のサブ画素10g及び青のサブ画素10bから、R信号、G信号及びB信号が取り出される。本変形例によれば、多層構造による利益を確保しつつ、ベイヤー配列を有する撮像素子と遜色ない感度にて画像を取得することが可能である。本変形例によれば、青色の光の波長域、赤色の光の波長域及び緑色の光の波長域の感度を撮像素子に付与することができる。これにより、フルカラーの画像を取得することが可能である。ベイヤー配列を採用した撮像素子における画像処理と同様の画像処理にて、各画素の色を決定することが可能である。
【0123】
図12Bは、画素10が
図12Aに示す構造を有するときのプラグ31及び32の配置を示している。互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2よりも短い。詳細には、互いに隣接する複数の画素10において、青のサブ画素10bの第1プラグ31と他の青のサブ画素10bの第1プラグ31との距離L1は、赤のサブ画素10rの第1プラグ31と他の赤のサブ画素10rの第1プラグ31との距離L1に等しい。互いに隣接する複数の画素10において、緑のサブ画素10gの第2プラグ32と他の緑のサブ画素10gの第2プラグ32との距離L3は、例えば、距離L1に等しい。互いに隣接する複数の画素10において、青のサブ画素10bの第1プラグ31と赤のサブ画素10rの第1プラグ31との距離L4は、第1画素電極13の長辺の長さに概ね等しい。距離L4も最短距離L4を意味する。距離L4は、距離L1よりも長い。つまり、互いに隣接する複数の画素10において、2つの赤のサブ画素10rの第1プラグ31が対を形成している。2つの緑のサブ画素10gの第2プラグ32が対を形成している。2つの青のサブ画素10bの第1プラグ31が対を形成している。異なる色のサブ画素のプラグ間距離は、距離L2及び距離L4であり、距離L1及び距離L3と比較して十分に長い。
【0124】
したがって、本変形例においても、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。これにより、混色を抑制することができる。得られた画像と被写体との間の色の同一性を十分に確保できる。
【0125】
本実施形態によれば、上層の第1光電変換層121が赤色の光の波長域及び青色の光の波長域に感度を持ち、下層の第2光電変換層122が緑色の光の波長域に感度を持つ。緑のサブ画素10gの第2プラグ32が赤のサブ画素10rの第1プラグ31及び青のサブ画素10bの第1プラグ31よりも短い。そのため、緑のサブ画素10gの第2プラグ32がクロストークの影響を受けにくい。これにより、視感度の高い緑の色と他の色との混色を抑制することができる。このことは、画質の向上に非常に有益である。
【0126】
なお、上層の第1光電変換層121が緑のサブ画素10gを構成してもよい。下層の第2光電変換層122が赤のサブ画素10r及び青のサブ画素10bを構成してもよい。この場合、カラーフィルタ19は、半導体基板1の法線方向において、第1光電変換層121と第2光電変換層122との間に配置されてもよい。
【0127】
(変形例2)
図13Aは、2層構造を有する撮像素子300の画素10のさらに別の構造を示している。本変形例において、画素10は、第1画素電極13を含むサブ画素10mと、第2画素電極14を含むサブ画素10iとを有する。サブ画素10mは、白黒の光(つまり、明度のみ)に基づく画像を形成するための画素である。サブ画素10iは、近赤外光に基づく画像を形成するための画素である。
【0128】
サブ画素10mは、上層の第1光電変換層121及び第1画素電極13(
図8)を含む。サブ画素10iは、下層の第2光電変換層122及び第2画素電極14(
図8)を含む。上層の第1光電変換層121は、可視光の波長域に感度を持つ。下層の第2光電変換層122は、近赤外光の波長域に感度を持つ。つまり、第1の波長域は、可視光の波長域を含む。第2の波長域は、近赤外光の波長域を含む。第1光電変換層121は、可視光の波長域に感度を持つ光電変換材料を用いて作製されうる。第2光電変換層122は、近赤外光の波長域に感度を持つ光電変換材料を用いて作製されうる。
【0129】
図13Bは、画素10が
図13Aに示す構造を有するときの第1プラグ31及び第2プラグ32の配置を示している。互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2よりも短い。したがって、本変形例においても、異なる色である白黒と近赤外に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。これにより、混色を抑制することができる。得られた画像と被写体との間の色の同一性を十分に確保できる。
【0130】
距離L1を示す1対の第1プラグ31が属する互いに隣接する画素10は、距離L2を示す第1プラグ31及び第2プラグ32が属する互いに隣接する画素10と異なっていてもよい。
【0131】
互いに隣接する複数の画素10において、第2プラグ32間の距離L3は、第1プラグ31間の距離L1に等しくてもよく、短くてもよく、長くてもよい。第1光電変換層121の位置は、第2光電変換層122の位置と入れ替わってもよい。つまり、上層が近赤外光に感度を持つ層であり、下層が可視光に感度を持つ層であってもよい。上層は、紫外光、近赤外光、赤色の光、緑色の光、青色の光又は可視光に感度を持つ層であり、下層は、上層と異なる波長域の光に感度を持つ層でありうる。
【0132】
(第4実施形態)
図14Aは、第4実施形態に係る撮像素子400の断面を示している。撮像素子400も、2層構造を有する。撮像素子400の各画素は、
図2を参照して説明した撮像素子100の第3光電変換層123、第3画素電極15、第3プラグ33及び第3電荷蓄積領域5に代えて、フォトダイオードPDをさらに備えている。
【0133】
フォトダイオードPDは、半導体基板1に設けられている。第1画素電極13及び第2画素電極14のそれぞれが透光性を有する。フォトダイオードPDと第2光電変換層122との間には、カラーフィルタ19r又はカラーフィルタ19bが設けられている。フォトダイオードPDのそれぞれがカラーフィルタ19r又はカラーフィルタ19bによって覆われている。フォトダイオードPDとカラーフィルタ19r及び19bとの間には、絶縁層25が設けられている。絶縁層25は、SiO2などの絶縁材料によって構成されている。第1画素電極13とカラーフィルタ19r及び19bとの間に絶縁層7が存在する。絶縁層7は、平坦化層としても機能し、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの透明な樹脂によって構成されうる。撮像素子400は、集光レンズ21を備えている。集光レンズ21の働きによって、フォトダイオードPDに光を効果的に導くことができる。集光レンズは、前述のマイクロレンズと同意義である。
【0134】
第1光電変換層121は、例えば、近赤外光の波長域に感度を持つ。第1光電変換層121は、近赤外光の波長域に感度を持つ光電変換材料を用いて作製されうる。第2光電変換層122は、例えば、緑色の光の波長域に感度を持つ。第2光電変換層122は、緑色の光の波長域に感度を持つ光電変換材料を用いて作製されうる。フォトダイオードPDは、典型的にはシリコンフォトダイオードである。カラーフィルタ19rは、赤色の光をカットするフィルタである。カラーフィルタ19bは、青色の光をカットするフィルタである。
【0135】
第1光電変換層121が近赤外光の波長域に感度を持ち、第2光電変換層122が緑色の光の波長域に感度を持つので、赤色の光及び青色の光は、カラーフィルタ19r及び19bまで到達する。赤色の光は、カラーフィルタ19rによってカットされ、青色の光のみがフォトダイオードPDに入射する。青色の光は、カラーフィルタ19bによってカットされ、赤色の光のみがフォトダイオードPDに入射する。したがって、撮像素子400は、近赤外光に基づく画像及びフルカラーの画像を形成しうる。
【0136】
図14Bは、撮像素子400を半導体基板1の法線方向から見たときの第1画素電極13、第2画素電極14、第1プラグ31、第2プラグ32及びフォトダイオードPDの配置を示している。本実施形態の撮像素子400における第1プラグ31及び第2プラグ32の配置として、例えば、
図13Bを参照して説明した第1プラグ31及び第2プラグ32の配置と同様の配置が採用されている。すなわち、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ31間の距離L1は、第1プラグ31と第2プラグ32との距離L2よりも短い。したがって、本変形例においても、異なる色の光である近赤外光と緑色の光に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。これにより、混色を抑制することができる。得られた画像と被写体との間の色の同一性を十分に確保できる。
【0137】
距離L1を示す1対の第1プラグ31が属する互いに隣接する画素10は、距離L2を示す第1プラグ31及び第2プラグ32が属する互いに隣接する画素10と異なっていてもよい。
【0138】
互いに隣接する複数の画素10において、第2プラグ32間の距離L3は、第1プラグ31間の距離L1に等しくてもよく、短くてもよく、長くてもよい。第1光電変換層121の位置は、第2光電変換層122の位置と入れ替わってもよい。つまり、上層が緑色の光に感度を持つ層であり、下層が近赤外光に感度を持つ層であってもよい。
【0139】
(第5実施形態)
図15Aは、本開示の第5実施形態に係る撮像素子500の構成を示している。撮像素子500は、4層構造を有する。撮像素子500は、第1実施形態の撮像素子100の構成に加え、第4光電変換層124、第4画素電極16及び第4プラグ34を有する。つまり、撮像素子500の画素10は、サブ画素10iを含む。第4画素電極16によってサブ画素10iが構成される。
【0140】
半導体基板1の法線方向において、第4光電変換層124は、例えば、第3光電変換層123と半導体基板1との間に配置されている。第4画素電極16は、第4光電変換層124に電気的に接続され、第4の波長域の光に対応する電荷を収集する。第4の波長域は、例えば、近赤外光の波長域である。第4光電変換層124は、近赤外光に感度を持つ材料によって構成されている。第4プラグ34は、半導体基板1と第4画素電極16とを電気的に接続している。
【0141】
可視光は、上層の第1光電変換層121、第2光電変換層122及び第3光電変換層123に吸収される。可視光は、近赤外光に感度を持つ第4光電変換層124に届かないので、近赤外光のみに感度を持つサブ画素10iを形成することができる。サブ画素10iによって、近赤外光に基づく画像を得ることができる。
【0142】
図15Bは、画素10が
図15Aに示す構造を有するときの第1プラグ31,第2プラグ32,第3プラグ33及び第4プラグ34の配置を示している。
図15Bにおいて、各プラグは、4つの互いに異なるシンボルで示されている。
【0143】
互いに隣接する複数の画素10において、第4プラグ34と他の第4プラグ34との距離L5は、第4プラグ34と第1プラグ31との距離L6よりも短い。したがって、本実施形態においても、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。同様に、互いに隣接する複数の画素10において、第4プラグ34と他の第4プラグ34との距離L5は、第4プラグ34と第2プラグ32との距離よりも短く、第4プラグ34と第3プラグ33との距離よりも短い。これにより、混色を抑制することができる。
【0144】
本実施形態では、近赤外光に感度を持つ光電変換層が第4光電変換層124であり、青色の光に感度を持つ光電変換層が第1光電変換層121である。しかし、各層の積層順序は任意であるから、近赤外光に感度を持つ光電変換層を「第1光電変換層121」と定義し、青色、緑色又は赤色の光に感度を持つ光電変換層を「第2光電変換層122」と定義することも可能である。この場合、互いに隣接する複数の画素10において、第1プラグ間の距離は、第1プラグと第2プラグとの距離を大きく下回る。
【0145】
以上の第1実施形態から第5実施形態で説明した技術思想は、光電変換層を1層のみ有する撮像素子にも応用可能である。
【0146】
(第6実施形態)
図16は、本開示の第6実施形態に係る撮像素子600の断面を示している。撮像素子600は、光電変換層120を1層のみ有する。本実施形態において、複数の画素10は、例えば、複数の第1画素10iであるサブ画素及び複数の第2画素であるサブ画素10mを含む。第1画素であるサブ画素10iは、近赤外光の波長域に感度を持つ画素である。第1画素10iであるサブ画素は、詳細には、近赤外光に基づく画像を形成するための画素である。第2画素10mであるサブ画素は、可視光の波長域に感度を持つ画素である。第2画素10mであるサブ画素は、詳細には、白黒の光(つまり、明度のみ)に基づく画像を形成するための画素である。光電変換層120は、可視光の波長域に感度を持つ光電変換材料と、近赤外光の波長域に感度を持つ光電変換材料との混合材料を用いて作製されうる。可視光の波長域に感度を持つ光電変換材料で作られた層と近赤外光の波長域に感度を持つ光電変換材料の層とを積層することによって、単一の光電変換層120を形成してもよい。フィルタ19によって、第1画素であるサブ画素10iの光電変換層120への可視光の入射がカットされ、第2画素であるサブ画素10mの光電変換層120への近赤外光の入射がカットされる。
【0147】
光電変換層120は、第1光電変換層120a及び第2光電変換層120bを含む。第1光電変換層120a及び第2光電変換層120bは、それぞれ、連続する単一の光電変換層120の一部を構成している。第1光電変換層120aは、光電変換層120のうち、第1画素であるサブ画素10iを構成している部分である。第2光電変換層120bは、光電変換層120のうち、第2画素であるサブ画素10mを構成している部分である。互いに隣接する画素10間において、光電変換層120が空間的に複数の部分に分離されていてもよい。つまり、第1光電変換層120aと第2光電変換層120bとが分離されていてもよい。
【0148】
第1画素であるサブ画素10iのそれぞれは、第1光電変換層120a、第1画素電極63及び第1プラグ66を有する。第1画素電極63は、第1光電変換層120aに電気的に接続され、第1の波長域の光に対応する電荷を収集する。第1の波長域は、近赤外光の波長域である。第1プラグ66は、半導体基板1と第1画素電極63とを電気的に接続している。第1プラグ66の先端は電荷蓄積領域69に接続されている。
【0149】
第2画素であるサブ画素10mのそれぞれは、第2光電変換層120b、第2画素電極64及び第2プラグ67を有する。第2画素電極64は、第2光電変換層120bに電気的に接続され、第2の波長域の光に対応する電荷を収集する。第2の波長域は、可視光の波長域である。第2プラグ67は、半導体基板1と第2画素電極64とを電気的に接続している。第2プラグ67の先端は電荷蓄積領域70に接続されている。
【0150】
図17は、撮像素子600を半導体基板1の法線方向から見たときの第1画素電極63,第2画素電極64及び第1プラグ66,第2プラグ67の配置を示している。本実施形態において、第1画素であるサブ画素10i及び第2画素であるサブ画素10mは、2色の市松模様のパターンで並べられている。互いに隣接するサブ画素10iにおける第1プラグ66間の距離Laは、隣接する第1画素であるサブ画素10i及び第2画素であるサブ画素10mにおける第1プラグ66と第2プラグ67との距離Lcよりも短い。互いに隣接する第1画素であるサブ画素10iにおける第1プラグ66間の距離Laは、例えば、互いに隣接する第2画素であるサブ画素10mにおける第2プラグ67間の距離Lbに等しい。本実施形態においても、異なる色に対応するプラグ間のクロストークを抑制することができる。
【0151】
(変形例3)
図16に示す撮像素子600にベイヤー配列を適用することも可能である。具体的には、カラーフィルタ19がベイヤーフィルタであり、光電変換層120が可視光に感度を持つ光電変換材料で構成されうる。この場合、撮像素子600の複数の画素10は、第1画素としての複数のG画素10gg、第2画素としての複数のB画素10bb、及び、第3画素としての複数のR画素10rrを含む。第1画素電極63は、第1の波長域の光に対応する電荷を収集する。第1の波長域は、緑色の光の波長域である。第2画素電極64は、第2の波長域の光に対応する電荷を収集する。第2の波長域は、青色の光の波長域である。
【0152】
図18は、撮像素子600にベイヤー配列を適用したときの第1画素電極63,第2画素電極64,第3画素電極65及び第1プラグ66,第2プラグ67,第3プラグ68の配置を示している。第1画素としての複数のG画素10gg、第2画素としての複数のB画素10bb、及び、第3画素としての複数のR画素10rrがベイヤー配列で並べられている。撮像素子600は、フルカラー画像を取得できる。
【0153】
第3画素としてのR画素10rrは、光電変換層12、第3画素電極65及び第3プラグ68を有する。第3画素電極65は、光電変換層12に電気的に接続され、第3の波長域の光に対応する電荷を収集する。第3の波長域は、赤色の光の波長域である。第3プラグ68は、半導体基板1と第3画素電極65とを電気的に接続している。
【0154】
隣接するG画素10ggにおける第1プラグ66間の距離LAは、隣接するG画素10gg及びB画素10bbにおける第1プラグ66と第2プラグ67との距離LBよりも短い。このような構成によれば、第1画素であるG画素10ggの第1プラグ66と第2画素であるB画素10bbの第2プラグ67との間のクロストークが抑制される。この結果、青色と緑色との混色を抑制することができる。つまり、色分離性を高めることができる。
【0155】
また、第1プラグ66間の距離LAは、隣接するG画素10gg及びR画素10rrにおける第1プラグ66と第3プラグ68との距離LCよりも短い。このような構成によれば、第1画素であるG画素10ggの第1プラグ66と第3画素であるR画素10rrの第3プラグ68との間のクロストークが抑制される。この結果、赤色と緑色との混色を抑制することができる。つまり、色分離性を高めることができる。
【0156】
また、第1プラグ66間の距離LAは、隣接するB画素10bb及びR画素10rrにおける第2プラグ67と第3プラグ68との距離LDよりも短い。このような構成によれば、G画素10ggの第1プラグ66と他の画素のプラグとの間のクロストークが特に抑制される。
【0157】
以上の構成によって、赤色、緑色及び青色の異なる色の間での混色が抑制されうる。本実施形態では、G画素10rrにおいて、クロストークの抑制効果が最も高い。G画素10ggは、B画素10bb及びR画素10rrの合計面積に等しい面積を占有するので、G画素10ggの第1プラグ66でのクロストークを抑制することによって、最も効果的に混色を抑制する効果が得られる。
【0158】
また、視感度の高いG画素の第1プラグと他の色の画素のプラグとのクロストークを抑制することによって、異なる色間の混色を効果的に抑制することができる。
【0159】
(第7実施形態)
図19は、本開示の第7実施形態に係る撮像素子700の断面を示している。撮像素子700と先の実施形態の撮像素子との違いは、電極の構造にある。撮像素子700において、第1画素電極13は、第1蓄積電極13a、第1読み出し電極13b及び第1転送電極13cを有する。第2画素電極14は、第2蓄積電極14a、第2読み出し電極14b及び第2転送電極14cを有する。第3画素電極15は、第3蓄積電極15a、第3読み出し電極15b及び第3転送電極15cを有する。第1転送電極13c,第2転送電極14c及び第3転送電極15cは、省略されていてもよい。
【0160】
第1画素電極13と第1光電変換層121との間には、第1半導体層27が設けられている。第1半導体層27と第1画素電極13との間には、絶縁層8の一部が存在している。第2画素電極14と第2光電変換層122との間には、第2半導体層28が設けられている。第2半導体層28と第2画素電極14との間には、絶縁層8の一部が存在している。第3画素電極15と第3光電変換層123との間には、第3半導体層29が設けられている。第3半導体層29と第3画素電極15との間には、絶縁層9の一部が存在している。第1半導体層27,第2半導体層28及び第3半導体層29は、電荷の蓄積をより効率的に行うために設けられ、透光性を有する半導体材料で作られている。
【0161】
第1蓄積電極13a及び第1転送電極13cは、絶縁層8の一部を介して、又は、絶縁層8の一部及び第1半導体層27を介して、第1光電変換層121に向かい合っている。第1読み出し電極13bの少なくとも一部が直接又は第1半導体層27を介して第1光電変換層121に接している。第1読み出し電極13bには、第1プラグ31が接続されている。第1蓄積電極13a、第1読み出し電極13b及び第1転送電極13cは、それぞれ、図示しない配線に電気的に接続されている。第1蓄積電極13a、第1読み出し電極13b及び第1転送電極13cのそれぞれに所望の電圧が印加されうる。第1蓄積電極13aは、印加電圧に応じて、第1光電変換膜121で発生した電荷を引き寄せて、電荷を第1光電変換層121に蓄積させるための電荷蓄積用電極として機能しうる。撮像素子700を平面視したとき、第1転送電極13cは、第1蓄積電極13aと第1読み出し電極13bとの間に配置されている。第1転送電極13cは、蓄積された電荷を塞き止めたり、電荷の転送を制御したりする役割を担う。第1蓄積電極13a、第1読み出し電極13b及び第1転送電極13cへの印加電圧を制御することによって、第1光電変換層121で発生した電荷を第1光電変換層121の内部又は第1光電変換層121の界面に蓄積したり、発生した電荷を第1電荷蓄積領域3に取り出したりすることができる。第1画素電極13に関するこれらの説明は、「第1」を「第2」又は「第3」と読み替えることによって、第2画素電極14及び第3画素電極15にも適用されうる。
【0162】
本実施形態の電極の構造によれば、光電変換層で発生した電荷を効率的に収集及び転送することができ、感度の向上につながる。本実施形態の電極の構造は、先に説明した全ての実施形態に適用されうる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本明細書に開示された技術は、撮像素子に有用である。撮像素子は、撮像装置、光センサなどに応用されうる。
【符号の説明】
【0164】
1 半導体基板
3 第1電荷蓄積領域
4 第2電荷蓄積領域
5 第3電荷蓄積領域
10 画素
10a,10m,10i サブ画素
10r 赤のサブ画素
10g 緑のサブ画素
10b 青のサブ画素
10rr R画素
10gg G画素
10bb B画素
12 光電変換部
13,63 第1画素電極
14,64 第2画素電極
15,65 第3画素電極
16 第4画素電極
17 第1対向電極
18 第2対向電極
19,191,192 カラーフィルタ
31,66 第1プラグ
32,67 第2プラグ
33,68 第3プラグ
34 第4プラグ
100,200,300,400,500,600,700 撮像素子
100A 撮像装置
120 光電変換層
121,120a 第1光電変換層
122,120b 第2光電変換層
123 第3光電変換層
124 第4光電変換層
PD フォトダイオード