(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/14 20060101AFI20241206BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20241206BHJP
H02K 21/24 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
H02K1/18 C
H02K21/24 M
(21)【出願番号】P 2023502115
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2021048129
(87)【国際公開番号】W WO2022181035
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2021027946
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江阪 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健治
(72)【発明者】
【氏名】阿古 裕弥
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-246171(JP,A)
【文献】特表2012-518378(JP,A)
【文献】特開2005-224054(JP,A)
【文献】特開2011-072127(JP,A)
【文献】特開昭57-160357(JP,A)
【文献】特開2009-011086(JP,A)
【文献】特開2010-213508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/14
H02K 1/18
H02K 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
永久磁石を有し、前記ステータと対向して配置され、回転軸を中心に回転するロータと、
を備え、
前記ステータは、前記回転軸の周方向に沿って環状に配置される複数のステータコアと、前記複数のステータコアの周囲にそれぞれ巻かれた複数の電機子コイルと、を有し、
前記複数のステータコアの各々は、複数のコア片を有し、
前記複数のコア片の各々は、前記回転軸の軸方向において非対称の形状を有
し、
前記複数のコア片は、前記回転軸の径方向に沿って見て前記軸方向と直交する方向にそれぞれ延出する複数の延出部を有し、
前記複数のステータコアの各々の前記複数のコア片は、前記周方向において隣り合うステータコアの前記複数の延出部の少なくとも1つが接触して配置される段部を有する、
モータ。
【請求項2】
前記複数のコア片の各々は、さらに、前記回転軸の径方向に沿って見て前記軸方向と直交する方向において非対称の形状を有する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記軸方向における前記複数の延出部の寸法は、互いに異なる、
請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記複数のコア片は、3つのコア片からなる、
請求項1~3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記複数のコア片は、前記回転軸の径方向に沿って並ぶ、
請求項1~4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記ロータとしての第1ロータとは別に、第2ロータを更に備え、
前記第1ロータ及び前記第2ロータは、前記軸方向において前記ステータをそれらの間に介在させる態様で配置される、
請求項1~5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記第2ロータは永久磁石を有さない、
請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記複数のコア片は、前記回転軸の径方向に沿って見て前記軸方向と直交する方向にそれぞれ延出する複数の延出部を有し、
前記複数の延出部は、前記第1ロータ及び前記第2ロータのうち、永久磁石を有さない前記第2ロータの側にのみに、前記第2ロータと対向するように配置される、
請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
天井扇に用いられるモータである、
請求項1~8のいずれか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、モータに関する。より詳細には、本開示は、ロータに永久磁石を設けた永久磁石同期モータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アキシャルギャップ型回転電機が開示されている。この回転電機は、ステータ、ロータ、可変ギャップ機構、及びハウジングを有する。ステータは、軸を中心に周方向に複数配置されたコイル、及び、コイル内部に配置されたステータコアを備え、ハウジングによって保持されている。ロータは、軸を回転軸とし、軸を中心に周方向に複数配置された永久磁石とロータコアを備え、ステータを軸方向から挟み込むように配置される。この回転電機によれば、可変ギャップ機構が、回転電機の回転力とは異なる動力源によってロータを軸方向に移動することで、エアギャップの幅を変更可能としている。
【0003】
ところで、回転電機(モータ)においては、高調波成分の重畳により誘起電圧波形が歪み理想的な正弦波からの乖離が大きくなり、モータ性能が低下する可能性がある。そのため、更なるモータ性能の改善が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、モータ性能の改善を図ることができる、モータを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様のモータは、ステータと、ロータと、を備える。前記ロータは、永久磁石を有し、前記ステータと対向して配置され、回転軸を中心に回転する。前記ステータは、前記回転軸の周方向に沿って環状に配置される複数のステータコアと、前記複数のステータコアの周囲にそれぞれ巻かれた複数の電機子コイルと、を有する。前記複数のステータコアの各々は、複数のコア片を有する。前記複数のコア片の各々は、前記回転軸の軸方向において非対称の形状を有する。前記複数のコア片は、前記回転軸の径方向に沿って見て前記軸方向と直交する方向にそれぞれ延出する複数の延出部を有する。前記複数のステータコアの各々の前記複数のコア片は、前記周方向において隣り合うステータコアの前記複数の延出部の少なくとも1つが接触して配置される段部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1Aは、一実施形態に係るモータの斜視図である。
図1Bは、第2ロータを外した状態の、同上のモータの斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のモータにおける複数のステータコアのうちの1つのステータコアの斜視図である。
【
図4】
図4は、電機子コイルを除く、同上のステータコアの斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のステータコアにおける3つのコア片の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、同上のモータの部分断面斜視図である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、比較例のモータと同上のモータとの磁束密度の違いを説明するための図である。
【
図8】
図8は、同上のモータを備える天井扇の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、一実施形態に係るモータ1について、
図1A~
図8を参照して説明する。
【0009】
(1)概要
本実施形態に係るモータ1は、
図1A、
図1B、及び
図2に示すように、ステータ2と、ロータ(第1ロータR1)と、を備える。
【0010】
第1ロータR1は、永久磁石P1を有し、ステータ2と対向して配置され、回転軸L1を中心に回転する。ここでは、第1ロータR1及びステータ2は、
図2に示すように、回転軸L1の軸方向(以下、「第1方向A1」と呼ぶことがある)において、エアギャップ(第1ギャップG1)を介して、互いに対向する。言い換えると、本実施形態に係るモータ1は、いわゆるアキシャルギャップ型のモータである。ただし、モータ1は、ラジアルギャップ型のモータでもよい。ここでいう回転軸L1は、シャフト6(軸部)の中心軸を通る仮想軸である。
【0011】
ステータ2は、回転軸L1の周方向(以下、「第2方向A2」と呼ぶことがある)に沿って環状に配置される複数のステータコア3と、複数のステータコア3の周囲にそれぞれ巻かれた複数の電機子コイル5と、を有する。複数のステータコア3の各々は、
図3に示すように、複数のコア片4を有する。複数のコア片4の各々は、
図5に示すように、回転軸L1の軸方向(第1方向A1)において非対称の形状を有する。本実施形態では一例として、ステータコア3の数は、12個である。また一例として、複数のコア片4は、3つのコア片4からなる。ステータコア3及びコア片4の数は、上記の個数に限定されない。
【0012】
この構成によれば、複数のコア片4の各々が、回転軸L1の軸方向(第1方向A1)において非対称の形状を有することで、モータ1内のコアの飽和状態を抑制し、その結果、高調波(例えば3次高調波)の割合を低減できる。結果的に、モータ性能の改善を図ることができる。
【0013】
(2)詳細
本実施形態のモータ1は、上述の通り、アキシャルギャップ型のモータである。モータ1は、
図8に示すように、例えば天井扇100に用いられるモータである。アキシャルギャップ型のモータ1は、ラジアルギャップ型のモータに比べて小型化(特に薄型化)を図りやすく、天井扇100のように薄型化による外観上の美観が望まれる装置に適用しやすい。
【0014】
モータ1は、
図1A、
図1B、
図2及び
図6に示すように、ステータ2と、一対のロータ(第1ロータR1及び第2ロータR2)と、シャフト6と、一対のベアリング7,8(軸受け部)とを備える。
【0015】
本実施形態では、第1ロータR1及び第2ロータR2は、軸方向(第1方向A1)においてステータ2をそれらの間に介在させる態様で配置される。つまりここでは、モータ1は、一例として、ダブルロータ型のアキシャルギャップモータである。
【0016】
以下では説明の便宜上、ステータ2よりも第1ロータR1の側を下方、ステータ2よりも第2ロータR2の側を上方と規定して説明することがある。つまり、第1方向A1は、上下方向に相当するものとする。ただし、この上下方向の規定は、モータ1の使用形態を限定する趣旨はない。
【0017】
ステータ2は、回転軸L1の周方向、すなわち、第2方向A2に沿って環状に配置される12個のステータコア3と、12個のステータコア3の周囲に巻かれた12個のコイル(電機子コイル5)と、を有する。またステータ2は、保持部H1と外郭リングJ1とを更に有する。
【0018】
各ステータコア3は、
図3に示すように、複数(ここでは3つ)のコア片4を有する。複数のコア片4は、回転軸L1の径方向(以下、「第3方向A3」(
図1A参照)と呼ぶことがある)に沿って並ぶ。3つのコア片4が、1つのティースT1を構成する(
図3~
図5参照)。以下では、3つのコア片4を互いに区別するために、第1コア片41、第2コア片42、及び第3コア片43とそれぞれ呼ぶことがある。第1コア片41、第2コア片42、及び第3コア片43は、回転軸L1から、その径方向(第3方向A3)において離れる方向(外方)に、第1コア片41、第2コア片42、及び第3コア片43の順で並ぶ。つまり、第1コア片41が、3つのコア片4の中で最も回転軸L1に近く、第3コア片43が、3つのコア片4の中で最も回転軸L1から遠い位置にある。
【0019】
第1コア片41及び第2コア片42は、第3方向A3において互いに接触している。第2コア片42及び第3コア片43は、第3方向A3において互いに接触している。
【0020】
各コア片4は、
図5に示すように、回転軸L1の径方向(第3方向A3)に沿って見て、全体として略H字を略90度回転させたような形状を有する。3つのコア片4の第1方向A1における寸法は、互いに略等しい。ただし、各コア片4は、互いにその形状が異なる。
【0021】
各コア片4は、電磁鋼板等の軟磁性体からなる複数の積層鋼板が一方向に積層されて形成されている。複数の積層鋼板の積層方向は、例えば、第1方向A1(
図5参照)と平行である。
【0022】
更に具体的には、各コア片4は、
図5に示すように、起立部401(第1部位)、先端部402(第2部位)、基端部403(第3部位)を有する。なお、
図5において、第1方向A1及び第3方向A3と直角を成す方向を、「第4方向A4」と呼ぶことがある。
【0023】
起立部401は、
図5に示すように、第1方向A1に沿って延びる四角柱形状である。起立部401は、先端部402及び基端部403が第1方向A1において互いに対向する態様を維持するように、これらを連結する。
【0024】
起立部401は、後述の通り、主に電機子コイル5が巻き付けられる部位である。言い換えると、起立部401の第1方向A1における寸法は、電機子コイル5の第1方向A1における寸法と略等しい。
【0025】
3つのコア片4の起立部401は、第1方向A1における寸法が、3つのコア片4の先端部402の厚みの若干の違いにより、僅かに異なる。また3つのコア片4の起立部401は、第3方向A3における寸法が互いに概ね等しい。また3つのコア片4の起立部401は、第4方向A4における寸法が互いに異なり、第1コア片41、第2コア片42、及び第3コア片43の順でその寸法が大きくなっている(第1コア片41の当該寸法が最も小さい)。
【0026】
3つのコア片4の起立部401は、第3方向A3に沿って並ぶ。3つのコア片4の起立部401の各々は、隣り合う起立部401と接触している。
【0027】
先端部402は、
図3~
図5に示すように、略矩形の板状である。先端部402は、起立部401の上側にある部位である。先端部402は、その厚み方向を第1方向A1に向けて配置される。先端部402は、第2ロータR2と対向する部位である。特に、先端部402は、エアギャップ(第2ギャップG2)を介して、第2ロータR2と対向する。
【0028】
先端部402は、起立部401から、第4方向A4に沿って左右両方に離れるように延びている。3つのコア片4の先端部402は、第3方向A3に沿って並ぶ。3つのコア片4の先端部402の各々は、隣り合う先端部402と接触している。
【0029】
ここで本実施形態の複数のコア片4は、回転軸L1の径方向(第3方向A3)に沿って見て軸方向(第1方向A1)と直交する方向(第4方向A4)にそれぞれ延出する複数の延出部40を有する。ここでは一例として、第3方向A3に沿って見て、先端部402のうち、起立部401よりも右方に延びている部位が、延出部40に相当する。言い換えると、延出部40は、環状に配置される12個のステータコア3を上から見て(
図1B及び
図6参照)、先端部402のうち、起立部401から時計回りに延出する部位である。
【0030】
また本実施形態では、各ステータコア3の、軸方向(第1方向A1)における複数の延出部40の寸法は、互いに異なる(
図5参照)。つまり、3つのコア片4の延出部40の厚みは、互いに異なる。
【0031】
具体的には、第2コア片42の延出部40は、第4方向A4における両端間にわたって概ね一定の厚みである。しかし、第1コア片41の延出部40は、その下面に段差を有しており、第4方向A4における両端間にわたってその厚みは一定でない。すなわち、第1コア片41の延出部40は、第2コア片42の延出部40よりも厚みが大きい箇所が、起立部401の近傍に存在する。また第3コア片43の延出部40は、第2コア片42の延出部40よりも厚みが略二倍程度大きい。
【0032】
このように3つのコア片4の延出部40には厚みの違いが存在するが、3つのコア片4の延出部40の上面は、概ね面一となるように配置される(
図1B、
図3、
図4及び
図6参照)。
【0033】
第1コア片41及び第2コア片42の延出部40の長さ(第4方向A4における寸法)は、概ね等しい。一方、第3コア片43の延出部40の長さは、第1コア片41及び第2コア片42の延出部40の各々の長さよりも短い。
【0034】
3つのコア片4の延出部40の先端は、
図3に示すように、いずれも電機子コイル5よりも外側に突出する。ただし、電機子コイル5に対する延出部40の突出量は、3つのコア片4で異なる。具体的には、第2コア片42の延出部40の先端は、第1コア片41の延出部40の先端よりも突き出た態様で配置される(
図3及び
図4参照)。また第3コア片43の延出部40の先端は、第1コア片41及び第2コア片42の延出部40の各々の先端よりも後ろに下がった態様で配置される(
図3及び
図4参照)。
【0035】
また本実施形態では、複数(ここでは12個)のステータコア3の各々の複数(ここでは3つ)のコア片4は、周方向(第2方向A2)において隣り合うステータコア3の複数の延出部40の少なくとも1つが接触して配置される段部410(
図3~
図5参照)を有する。具体的には、各コア片4の先端部402の、第4方向A4における延出部40とは反対側の表面が、基端部403に近づく方向に凹んでいる。ここでは、3つのコア片4の延出部40のうち、第1コア片41及び第2コア片42の延出部40が、隣にあるステータコアの3つのコア片4の段部410に載るように接触する(
図1B及び
図6参照)。第3コア片43の延出部40は、突出量が小さいため、隣にあるステータコアの3つのコア片4の段部410に載っていない。
【0036】
要するに、環状に配置される12個のステータコア3の各々の2つのコア片4の延出部40は、時計回りの方向の隣にあるステータコア3の段部410に載るように接触することで、12個のステータコア3の延出部40の表面が互いに略面一となっている。そのため、12個のステータコア3の延出部40は、全体として見たときに、あたかも1つの環状コアのように繋がった形状となる。
【0037】
基端部403は、
図3~
図5に示すように、略矩形の板状である。基端部403は、起立部401の下側にある部位である。基端部403は、その厚み方向を第1方向A1に向けて配置される。基端部403は、第1ロータR1と対向する部位である。特に、基端部403は、エアギャップ(第1ギャップG1)を介して、第1ロータR1の永久磁石P1と対向する。
【0038】
基端部403は、起立部401から、第4方向A4に沿って左右両方に離れるように延びている。3つのコア片4の基端部403は、第3方向A3に沿って並ぶ。3つのコア片4の基端部403の各々は、隣り合う基端部403と接触している。
【0039】
3つのコア片4の基端部403は、第4方向A4における寸法(長さ)が互いに異なり、ここでは一例として、第1コア片41、第2コア片42、及び第3コア片43の順でその寸法が大きくなっている(第1コア片41の当該寸法が最も小さい)。なお、3つのコア片4の基端部403は、第1方向A1における寸法(厚み)が互いに略等しく、また第3方向A3における寸法(幅)も互いに略等しい。
【0040】
3つのコア片4の基端部403の下面は、概ね面一となるように配置される。3つのコア片4の基端部403の長手方向における両端は、いずれも電機子コイル5よりも外側に突出する。ただし、電機子コイル5に対する基端部403の突出量は、先端部402の突出量に比べると小さい。
【0041】
各コア片4において、先端部402は、基端部403よりも、第4方向A4における寸法が長い。つまり、各コア片4は、第3方向A3に沿って見たときに、上下方向において非対称の形状を有する。また各コア片4は、段部410等が設けられていることで、第3方向A3に沿って見たときに、左右方向(第4方向A4)において非対称の形状を有する。
【0042】
以上の説明から分かるように、本実施形態の各コア片4は、回転軸L1の軸方向(第1方向A1、つまり上下方向)において非対称の形状を有する。また複数のコア片4の各々は、さらに、回転軸L1の径方向(第3方向A3)に沿って見て軸方向(第1方向A1)と直交する方向において非対称の形状を有する。
【0043】
各ステータコア3は、電気絶縁性を有する絶縁部K1(
図4参照)を更に有する。絶縁部K1は、例えば樹脂製の部材である。第1コア片41、第2コア片42、及び第3コア片43は、隣り合うコア片4と互いに接触する態様で、絶縁部K1によって覆われるように束ねられている。特に、絶縁部K1は、3つのコア片4の起立部401を覆い、先端部402及び基端部403は、絶縁部K1よりも外側に配置される。
【0044】
各電機子コイル5は、対応するステータコア3におけるティースT1に巻き付けられている。ここでは、各電機子コイル5は、絶縁部K1の表面を覆うように、ティースT1に巻き付けられる。つまり、各電機子コイル5は、絶縁部K1を介して起立部401を覆い、先端部402及び基端部403は、電機子コイル5よりも外側に配置される。
【0045】
電機子コイル5の結線は、例えば3相Y結線(スター結線)となっている。インバータ回路等を含む駆動回路によって所定のタイミングで12個の電機子コイル5に対して、三相(U相、V相、W相)に整流された交流電流(駆動電流)が供給されることで、一対のロータ(第1ロータR1及び第2ロータR2)がステータ2に対して回転する。つまり、電機子コイル5が通電されると、対応するステータコア3が励磁し、ステータ2は磁界を発生する。この磁界が、後述する第1ロータR1の永久磁石P1により発生する磁界と吸引又は反発することにより、第1ロータR1が回転軸L1を中心に回転する。また第2ロータR2は、第1ロータR1と、例えばアルミダイキャストで形成された連結部材を介して、物理的に連結されており、第1ロータR1の回転と共に回転軸L1を中心に回転する。なお、第2ロータR2にも永久磁石が設けられていてもよく、その場合、連結部材は省略されてもよい。
【0046】
保持部H1は、シャフト6に対して複数のステータコア3を保持するように構成される。具体的には、保持部H1は、
図1B及び
図6に示すように、中心板H10と、12本のスポークH11とを有する。
【0047】
中心板H10は、円板形状である。中心板H10は、その中心部において、厚み方向に貫通する貫通孔を有し、当該貫通孔には、シャフト6が挿通される。
【0048】
12本のスポークH11は、中心板H10から回転軸L1の径方向(第3方向A3)に沿って放射状に延びる。12本のスポークH11は、それぞれ角柱形状である。12本のスポークH11は、12個のステータコア3に向かって一対一で対応する態様で延びていて、12個のステータコア3を中心板H10に連結するように構成される。各スポークH11の先端部は、例えば対応するステータコア3のティースT1の第1コア片41に固定される。
【0049】
保持部H1は、シャフト6に対して固定されている。言い換えると、ステータ2は、モータ1を収容するハウジングに保持されるシャフト6に対して、固定されている。つまり、本実施形態では一例として、駆動回路から電機子コイル5に駆動電流が供給されても、シャフト6は回転せず、第1ロータR1及び第2ロータR2が、一対のベアリング7,8を介して、ステータ2及びシャフト6に対して回転することになる。
【0050】
外郭リングJ1は、複数のステータコア3を位置決めするように構成される。外郭リングJ1は、全体として回転軸L1の軸方向(第1方向A1)において扁平な格子状である。具体的には、外郭リングJ1は、
図1B及び
図6に示すように、一対の環状部J10と、複数(ここでは4つ)の柱部J11とを有する。
【0051】
各環状部J10は、第1方向A1に沿って見て、12角形状の環状の部位である。一対の環状部J10は、第1方向A1に対向し、それらの間に12個のステータコア3を挟み込む態様で配置される。各環状部J10は、その12角形の辺に対応する12個の小片部J13(
図1B及び
図6参照)が、12個のステータコア3とそれぞれ一対一で対応するように配置される。
【0052】
ここでは一例として、一対の環状部J10のうち上側の環状部J10の各小片部J13が、対応するステータコア3の第3コア片43の先端部402の外側面に固定される。また一対の環状部J10のうち下側の環状部J10の各小片部J13が、対応するステータコア3の第3コア片43の基端部403の外側面に固定される。
【0053】
4つの柱部J11は、第1方向A1に沿って延びる柱状の部位である。4つの柱部J11は、一対の環状部J10を第1方向A1において互いに連結する。各柱部J11の第1方向A1における寸法(長さ)は、電機子コイル5の第1方向A1における寸法よりも僅かに大きい。
【0054】
なお、各電機子コイル5は、各環状部J10によりも僅かに外方へはみ出る態様で配置される(
図1B及び
図6参照)。
【0055】
シャフト6は、上下両端が開放された中空の円柱状である。シャフト6は、その中心軸が回転軸L1に一致する。シャフト6は、ステータ2、第1ロータR1、第2ロータR2、及びベアリング7,8を保持する。
【0056】
第1ロータR1は、
図1A、
図1B、及び
図2に示すように、永久磁石P1と、保持板R10とを有する。第1ロータR1は、ステータ2の下側に配置されるロータである。第1ロータR1は、ステータ2と対向して配置され、回転軸L1を中心に回転する。
【0057】
永久磁石P1は、薄型のドーナツ型である。永久磁石P1は、ステータ2の外郭リングJ1の径と略等しい径を有する。永久磁石P1の中心軸は、ステータ2の中心軸と一致する。永久磁石P1の中央には挿通孔が設けられており、当該挿通孔にシャフト6が挿通される。永久磁石P1は、例えば片面多極着磁タイプである。永久磁石P1の上面には、その周方向に沿って、N極とS極とが交互に着磁されている。永久磁石P1の上面は、第1ギャップG1を介して、ステータ2と対向する。永久磁石P1を有する第1ロータR1は、ステータ2で発生する磁界と吸引又は反発することにより回転する。
【0058】
保持板R10は、その上面に永久磁石P1を保持する。保持板R10は、円盤形状である。保持板R10の中心軸は、回転軸L1と一致する。保持板R10は、ステータ2及び永久磁石P1の各々の径よりも大きい径を有する。保持板R10は、例えば軟磁性体により形成されている。
【0059】
保持板R10は、その中心部において、ベアリング7を収容するための収容部R11(
図2参照)を有する。収容部R11は、保持板R10の中心部が下方に凹むことで形成されている。収容部R11内には、ベアリング7の内輪にシャフト6が挿入固定された状態で、シャフト6の下端部を下方に導出させるための孔を有する。ベアリング7の外輪は、収容部R11内で固定される。したがって、保持板R10及び永久磁石P1は、ベアリング7を介して、シャフト6に対して回転可能である。
【0060】
第2ロータR2は、ステータ2の上側に配置されるロータである。第2ロータR2は、円盤形状である。第2ロータR2の中心軸は、回転軸L1と一致する。第2ロータR2は、ステータ2の径よりも大きい径を有する。第2ロータR2は、例えば軟磁性体により形成されている。第2ロータR2は、第1ロータR1の保持板R10と略同形で略同寸法である。第2ロータR2は、例えば保持板R10と共通部材から構成される。
【0061】
第2ロータR2は、その下面が、第2ギャップG2を介して、ステータ2と対向して配置され、回転軸L1を中心に回転する。第2ロータR2は、第1ロータR1と異なり、永久磁石を有さない。本実施形態では、第2ロータR2は、上述の通り、アルミダイキャスト製の連結部材を介して第1ロータR1と物理的に連結されており、第1ロータR1と一体となって回転する。
【0062】
第2ロータR2は、その中心部において、ベアリング8を収容するための収容部R21(
図2参照)を有する。収容部R21は、第2ロータR2の中心部が上方に凹むことで形成されている。収容部R21内には、ベアリング8の内輪にシャフト6が挿入固定された状態で、シャフト6の上端部を上方に導出させるための孔を有する。ベアリング8の外輪は、収容部R21内で固定される。したがって、第2ロータR2は、ベアリング8を介して、シャフト6に対して回転可能である。
【0063】
なお、天井扇100の複数の羽部101(
図8参照)は、例えば第1ロータR1及び第2ロータR2を連結するアルミダイキャスト製の連結部材に取り付けられ、第1ロータR1及び第2ロータR2の回転に連動して回転する。
【0064】
(3)誘起電圧の高調波
以下、誘起電圧の高調波の観点から、本実施形態のモータ1の利点について説明する。
【0065】
ロータに永久磁石を設けた永久磁石同期モータにおいては、ロータの回転時には、ロータの回転数等に比例した誘起電圧が発生する。特に、例えばU相の誘起電圧には、2次高調波、又は4次以上の高調波の振幅に比べて、顕著に振幅の大きい3次高調波が重畳し得る。
【0066】
このような3次高調波の重畳により、誘起電圧波形が歪み、理想的な正弦波からの乖離が大きくなる。上記のような誘起電圧波形の歪みは、電流波形の歪みを引き起こし、モータ1への駆動電流を供給しにくくなる。また例えばセンサレス制御では相電圧や電流等のパラメータを測定してロータの角度や速度を推定するが、上記のような誘起電圧波形の歪みは、ロータの角度や速度の推定に関する誤差を生む。また誘起電圧波形の歪みは、モータ1の高振動、高騒音の原因にもなり得る。したがって、モータ性能の改善には、誘起電圧波形の歪みを抑制することが望まれる。
【0067】
ここで発明者達は、比較例のモータ1X(
図7A参照)を用意し、本実施形態のモータ1とモータ1Xとの磁束密度の分布に関する検証を行った。モータ1Xの構成は、一部を除いて、モータ1の構成と概ね共通する。以下では、モータ1Xについて、モータ1と実質的に共通する構成要素には、モータ1と同じ参照符号を付けてその説明を適宜省略する場合がある。
【0068】
図7Aは、比較例のモータ1X(
図7Aでは、手前略半分のみ図示)に関する磁束密度の分布を示す。
図7Bは、本実施形態のモータ1に関する磁束密度の分布を示す。
図7A及び
図7Bでは、色の濃い箇所が磁束密度の比較的低い部分であり、色の薄い箇所が磁束密度の比較的高い部分である(グレースケールで示しており、必ずしも白色箇所が最も磁束密度の高い部分ではない)。なお、
図7A及び
図7Bでは、コイル5、第2ロータR2、シャフト6、及びベアリング7,8等の図示を省略している。
【0069】
図7Aに図示される構成のみで説明すると、モータ1Xは、ステータ2Xと、永久磁石P1を有する第1ロータR1と、を備える。ステータ2Xは、複数のステータコア3Xと、環状コアT2X(
図7Aでは半分のみ図示)とを有する。つまり、モータ1Xには、モータ1には存在しない環状コアT2Xが設けられている。
【0070】
環状コアT2Xは、亜鉛メッキ鋼板からなる。環状コアT2Xは、複数のステータコア3Xの上に配置される。すなわち、環状コアT2Xが、第2ギャップG2(
図7Aでは不図示)を介して、第2ロータR2(
図7Aでは不図示)と対向することになる。
【0071】
各ステータコア3Xは、ティースT1Xを構成する3つのコア片4Xを有する。ここで3つのコア片4Xは、全てH字形状で同形の部位である。特に、各コア片4Xは、モータ1のコア片4とは違って、第1方向A1(上下方向)において対称の形状を有し、また第4方向A4においても対称の形状を有する。
【0072】
このように構成の違いのあるモータ1とモータ1Xについて磁束密度の分布は、
図7A及び
図7Bを見比べると分かるように、モータ1Xには、磁束密度が局所的に非常に高い領域X1~X5が存在する。このような領域X1~X5では、コアの飽和状態(磁気飽和)が発生していると考えられる。コアに磁気飽和が発生すると、3次高調波の割合が増加すると考えられる。一方、モータ1について磁束密度の分布を示す
図7Bでは、磁束密度が局所的に非常に高い領域は存在しない。つまり、モータ1は、モータ1Xに比べて、磁気飽和が発生しにくい構造であるといえる。
【0073】
本実施形態のモータ1は、モータ1Xと違って、特有の構造を有している。すなわち、本実施形態のモータ1は、各ステータコア3が、複数のコア片4を有し、各コア片4は、第1方向A1(上下方向)において非対称の形状を有する。そのため、モータ1内のコアの飽和状態が抑制され、その結果、3次高調波の割合を低減できると考える。結果的に、モータ性能の改善を図ることができる。
【0074】
また本実施形態では、各コア片4が、さらに、軸方向(第1方向A1)と直交する方向(第4方向A4)においても非対称の形状を有するため、コアの飽和状態をより抑制し、高調波の割合を低減できる。
【0075】
特に本実施形態では、各コア片4には延出部40が設けられており、各延出部40が隣のステータコア3の段部410に接触し、複数の延出部40が全体として環状に並んで配置される。そのため、複数の延出部40が、比較例のモータ1Xの環状コアT2Xのような、磁気回路を形成する部位として機能し得る。その結果、モータ1では、比較例のモータ1Xの環状コアT2Xを別体で設ける必要がない。つまり、本実施形態のモータ1は、モータ1Xに比べて、部品点数も削減される。また比較例のモータ1Xのように、環状コアT2Xを設ける場合に比べて、環状に並ぶ複数の延出部40の間に僅かな隙間(エアギャップ)が多数存在することにより、コアの飽和状態をより抑制し得る。
【0076】
また本実施形態では、複数の延出部40が、永久磁石P1を有する第1ロータR1とは反対側の、永久磁石の無い第2ロータR2の側にある、つまり基端部403ではなく先端部402にある。言い換えると、複数の延出部40は、第1ロータR1及び第2ロータR2のうち、永久磁石を有さない第2ロータR2の側にのみに、第2ロータR2と対向するように配置される。そのため、コアの飽和状態をより抑制し得る。
【0077】
また本実施形態では、ロータを一対備えるモータ1(ダブルロータ型モータ)であるため、シングルロータ型モータに比べてトルクの改善を図りつつ、高調波の割合を低減できる。
【0078】
(4)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0079】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する各変形例は、上記実施形態又は他の変形例と適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0080】
基本例では、各コア片4の先端部402に延出部40が設けられている。しかし、延出部40は、基端部403に設けられてもよい。この場合、段部410は、基端部403に設けられてもよい。
【0081】
基本例では、延出部40は、環状に配置される12個のステータコア3を上から見て、先端部402のうち、起立部401から時計回りに延出する。しかし、延出部40は、起立部401から反時計回りに延出してもよい。この場合、段部410も、延出部40の反対側に配置される。
【0082】
基本例では、第3コア片43の延出部40は、突出量が小さいため、隣にあるステータコアの段部410に載っていない。しかし、第3コア片43の延出部40も、隣にあるステータコアの段部410に載るように突出量を増加させてもよい。
【0083】
基本例では、モータ1は、ダブルロータ型モータであるが、シングルロータ型モータでもよい。
【0084】
基本例では、モータ1は、天井扇100に用いられている。しかし、モータ1の用途は、特に限定されない。本開示のモータ1は、例えば、換気扇用のモータ、電気自動車等のインホイールモータ又はホイールモータ、電動自転車等のハブモータ、或いは、ハードディスクドライブに内蔵されるモータ等に適用され得る。
【0085】
(5)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係るモータ(1)は、ステータ(2)と、ロータ(第1ロータR1)と、を備える。ロータ(第1ロータR1)は、永久磁石(P1)を有し、ステータ(2)と対向して配置され、回転軸(L1)を中心に回転する。ステータ(2)は、回転軸(L1)の周方向(第2方向A2)に沿って環状に配置される複数のステータコア(3)と、複数のステータコア(3)の周囲にそれぞれ巻かれた複数の電機子コイル(5)と、を有する。複数のステータコア(3)の各々は、複数のコア片(4)を有する。複数のコア片(4)の各々は、回転軸(L1)の軸方向(第1方向A1)において非対称の形状を有する。
【0086】
この態様によれば、複数のコア片(4)の各々が、回転軸(L1)の軸方向(第1方向A1)において非対称の形状を有することで、コアの飽和状態を抑制し、その結果、高調波の割合を低減できる。結果的に、モータ性能の改善を図ることができる。
【0087】
第2の態様に係るモータ(1)に関して、第1の態様において、複数のコア片(4)の各々は、さらに、回転軸(L1)の径方向(第3方向A3)向に沿って見て軸方向(第1方向A1)と直交する方向において非対称の形状を有する。
【0088】
この態様によれば、コアの飽和状態をより抑制し、高調波の割合を低減できる。
【0089】
第3の態様に係るモータ(1)に関して、第1又は第2の態様において、複数のコア片(4)は、回転軸(L1)の径方向(第3方向A3)に沿って見て軸方向(第1方向A1)と直交する方向にそれぞれ延出する複数の延出部(40)を有する。
【0090】
この態様によれば、複数の延出部(40)が磁気回路を形成する部位として機能し得る。
【0091】
第4の態様に係るモータ(1)に関して、第3の態様において、軸方向(第1方向A1)における複数の延出部(40)の寸法は、互いに異なる。
【0092】
この態様によれば、コアの飽和状態をより抑制し、高調波の割合を低減できる。
【0093】
第5の態様に係るモータ(1)に関して、第3又は第4の態様において、複数のステータコア(3)の各々の複数のコア片(4)は、周方向(第2方向A2)において隣り合うステータコア(3)の複数の延出部(40)の少なくとも1つが接触して配置される段部(410)を有する。
【0094】
この態様によれば、複数の延出部(40)が磁気回路を形成するための環状コアとして機能し得て、複数のステータコア(3)とは別体で環状コアを設けることが不要となる。
【0095】
第6の態様に係るモータ(1)に関して、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、複数のコア片(4)は、3つのコア片(4)からなる。
【0096】
この態様によれば、コアの飽和状態をより抑制し、高調波の割合を低減できる。
【0097】
第7の態様に係るモータ(1)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、複数のコア片(4)は、回転軸(L1)の径方向(第3方向A3)に沿って並ぶ。
【0098】
この態様によれば、コアの飽和状態をより抑制し、高調波の割合を低減できる。
【0099】
第8の態様に係るモータ(1)は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、ロータとしての第1ロータ(R1)とは別に、第2ロータ(R2)を更に備える。第1ロータ(R1)及び第2ロータ(R2)は、軸方向(第1方向A1)においてステータ(2)をそれらの間に介在させる態様で配置される。
【0100】
この態様によれば、トルクの改善を図りつつ、高調波の割合を低減できるモータ(1)を提供できる。
【0101】
第9の態様に係るモータ(1)に関して、第8の態様において、第2ロータ(R2)は永久磁石を有さない。
【0102】
この態様によれば、トルクの改善を図りつつ、高調波の割合をより低減できるモータ(1)を提供できる。
【0103】
第10の態様に係るモータ(1)に関して、第9の態様において、複数のコア片(4)は、回転軸(L1)の径方向(第3方向A3)に沿って見て軸方向(第1方向A1)と直交する方向にそれぞれ延出する複数の延出部(40)を有する。複数の延出部(40)は、第1ロータ(R1)及び第2ロータ(R2)のうち、永久磁石を有さない第2ロータ(R2)の側にのみに、第2ロータ(R2)と対向するように配置される。
【0104】
この態様によれば、コアの飽和状態をより抑制し得る。
【0105】
第11の態様に係るモータ(1)は、第1~第10の態様のいずれか1つにおいて、天井扇(100)に用いられるモータである。
【0106】
この態様によれば、モータ性能の改善を図ることができる天井扇(100)用のモータ(1)を提供できる。
【0107】
第2~第11の態様に係る構成については、モータ(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0108】
100 天井扇
1 モータ
2 ステータ
3 ステータコア
4 コア片
40 延出部
410 段部
5 電機子コイル
A1 第1方向(軸方向)
A2 第2方向(周方向)
A3 第3方向(径方向)
L1 回転軸
P1 永久磁石
R1 第1ロータ
R2 第2ロータ