IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人理化学研究所の特許一覧 ▶ 公益財団法人実験動物中央研究所の特許一覧

特許7599177非ヒト霊長類アルツハイマー病モデル動物及びその製造方法
<>
  • 特許-非ヒト霊長類アルツハイマー病モデル動物及びその製造方法 図1
  • 特許-非ヒト霊長類アルツハイマー病モデル動物及びその製造方法 図2
  • 特許-非ヒト霊長類アルツハイマー病モデル動物及びその製造方法 図3
  • 特許-非ヒト霊長類アルツハイマー病モデル動物及びその製造方法 図4
  • 特許-非ヒト霊長類アルツハイマー病モデル動物及びその製造方法 図5
  • 特許-非ヒト霊長類アルツハイマー病モデル動物及びその製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】非ヒト霊長類アルツハイマー病モデル動物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/0275 20240101AFI20241206BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20241206BHJP
【FI】
A01K67/0275 ZNA
C12N15/09 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021565696
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2020047548
(87)【国際公開番号】W WO2021125349
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】62/951,498
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度(2019年度)、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明(中核拠点)」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】390016470
【氏名又は名称】公益財団法人実中研
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 えりか
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 賢哉
(72)【発明者】
【氏名】汲田 和歌子
(72)【発明者】
【氏名】笹栗 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】西道 隆臣
(72)【発明者】
【氏名】永田 健一
(72)【発明者】
【氏名】山本 卓
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 哲史
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】Sato K. et al., A non-human primate model of familial Alzheimer’s disease,bioRxiv, [online],2020年08月24日,pp.1-34, [検索日 2024.08.14],Internet, <https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.08.24.264259v1>
【文献】Li H.-W. et al.,Current state of research on non-human primate models of Alzheimer's disease,Animal Model Exp Med.,2019年12月09日,vol.2, no.4,pp.227-238
【文献】Brooks W.S. et al.,Alzheimer's disease with spastic paraparesis and 'cotton wool' plaques: two pedigrees with PS-1 exon 9 deletions,Brain,2003年,126(Pt 4),pp.783-791
【文献】Woodruff G. et al.,The presenilin-1 ΔE9 mutation results in reduced γ-secretase activity, but not total loss of PS1 function, in isogenic human stem cells,Cell Reports,2013年,vol.5, no.4,pp.974-985
【文献】Yang S.-H. et al.,Towards a transgenic model of Huntington's disease in a non-human primate,Nature,2008年,vol.453, no.7197,pp.921-924
【文献】Sun L. et al.,Analysis of 138 pathogenic mutations in presenilin-1 on the in vitro production of Aβ42 and Aβ40 peptides by γ-secretase,Proc Natl Acad Sci U S A.,vol.114, no.4,2017年,pp.E476-E485
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/027ー67/04
C12N 15/09ー15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PSEN1遺伝子のエクソン9の3’スプライス部位の一部又は全部が欠損した結果、エクソン9のみが排除されたPSEN1 mRNAを発現しており、
前記部位の欠損がヘテロ接合状態の部位の欠損である、アルツハイマー病モデル非ヒト霊長類。
【請求項2】
非ヒト霊長類がマーモセットである、請求項1記載の霊長類。
【請求項3】
PSEN1遺伝子のエクソン9の3’スプライス部位の一部又は全部を、ゲノム編集技術を用いて欠損させて、エクソン9のみが排除されたPSEN1 mRNAを発現させる工程を含
前記部位の欠損がヘテロ接合状態の部位の欠損である、
アルツハイマー病モデル非ヒト霊長類の製造方法。
【請求項4】
卵子においてPSEN1遺伝子のエクソン9の3’スプライス部位の一部又は全部を欠損させることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
非ヒト霊長類がマーモセットである、請求項3または4記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ヒト霊長類アルツハイマー病モデル動物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)は、認知症の主な原因疾患であり、患者数は世界的に5000万人にも達するとされているが、有効な予防手段、治療方法が確立されておらず、その原因の一つとして有用な動物モデルが存在しないことが挙げられている。マウスを用いたモデルも複数確立されているが、霊長類との生物学的差異から、ヒトADの病態を反映できていない部分も多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Sasaguri H. et al. APP mouse models for Alzheimer's disease preclinical studies. EMBO J 1;36(17):2473-2487, doi: 10.15252/embj.201797397 (2017).
【文献】Saito T. et al. Single App knock-in mouse models of Alzheimer's disease. Nat Neurosci. 17(5):661-663. doi:10.1038/nn.3697 (2014).
【文献】Oakley H et al. Intraneuronal beta-amyloid aggregates, neurodegeneration, and neuron loss in transgenic mice with five familial Alzheimer's disease mutations: potential factors in amyloid plaque formation. J Neurosci. 26(40):10129-10140. doi:10.1523/JNEUROSCI.1202-06. (2006).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、世界初の非ヒト霊長類ADモデルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、前記課題を解決するため種々検討したところ、マーモセット胚および個体において、Transcription Activator-Like Effector Nuclease (TALEN)を用いて、プレセニリン1(PSEN1)遺伝子のエクソン9の3’-スプライス部位(3’ splice site, acceptor site)を一部または全部欠失させることにより得られた変異PSEN1マーモセット個体がヒトAD患者でみられる病的パターンを再現することを見出し、本発明を完成させた。即ち本発明は、以下の通りである。
【0006】
[1]PSEN1遺伝子のエクソン9の5’または3’スプライス部位を少なくとも含みかつ当該エクソン9のスプライスに関連する部位が欠損した、アルツハイマー病モデル非ヒト霊長類。
【0007】
[2]非ヒト霊長類がマーモセットである、[1]記載の霊長類。
【0008】
[3]PSEN1遺伝子のエクソン9の5’または3’スプライス部位を少なくとも含みかつ当該エクソン9のスプライスに関連する部位を、ゲノム編集技術を用いて欠損させる工程を含む、アルツハイマー病モデル非ヒト霊長類の製造方法。
【0009】
[4]卵子においてPSEN1遺伝子のエクソン9の5’または3’スプライス部位を少なくとも含みかつ当該エクソン9のスプライスに関連する部位を欠損させることを特徴とする、[3]記載の方法。
【0010】
[5]非ヒト霊長類がマーモセットである、[3]または[4]記載の方法。
【0011】
また、別の一態様において、本発明は、以下の通りである。
【0012】
[6]PSEN1遺伝子のエクソン9のアクセプター部位が欠損したアルツハイマー病モデル非ヒト霊長類。
【0013】
[7]非ヒト霊長類がマーモセットである、[6]記載の霊長類。
【0014】
[8]PSEN1遺伝子のエクソン9のアクセプター部位を、ゲノム編集技術を用いて欠損させる工程を含む、アルツハイマー病モデル非ヒト霊長類の製造方法。
【0015】
[9]卵子においてPSEN1遺伝子のエクソン9のアクセプター部位を欠損させることを特徴とする、[8]記載の方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、ヒトADの病態を再現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に利用可能なマーモセットのエクソン9の3’-スプライス部位を標的にする高活性型TALEN(Platinum TALEN)の一例を概念的に示す概略図である。図中、四角枠で囲まれる部分は、TALEN標的サイト及びマーモセットのPSEN1 遺伝子のエクソンであり、数字はエクソンの番号を意味する。またエクソン9の3’-スプライス部位(「AG」)は、エクソン9の上流側に位置する。
図2図2のaは、実施例で行った、TALEN注入後のマーモセット受精卵のサーベイヤーアッセイの結果(左の3列、右の列のPCはポジティブコントロール、NCはネガティブコントロールを示す)であり、図2のbは、実施例で行った、TALEN注入及びその後のPSEN1 mRNA分析の概略を示す模式図であり、図2のcは、実施例で行った、TALEN注入後の受精卵のRT-PCRの結果である。
図3図3のaは、実施例で得られた本発明に係るマーモセットADモデルの新生児の写真であり、図3のbは、前記新生児の臍帯血から抽出されたゲノムDNAを対象にして、サーベイヤーアッセイを実施した結果を示し、図3のcは、前記新生児及び野生型マーモセットの毛根から抽出されたRNAを対象にして実施したPCRの結果を示す。
図4図4は、実施例で得られた変異マーモセット(8ヶ月齢)の耳組織から採取した線維芽細胞中の2種類のアミロイドβタンパク質量を測定した結果を示す。
図5図5のaは、実施例4で得られた本発明に係るマーモセットADモデルの新生児の写真であり、図5のbは、前記新生児の臍帯血から抽出されたゲノムDNAを対象にして、サーベイヤーアッセイを実施した結果を示し、図5のcは、野生型および変異型の新生児ゲノムおけるエクソン9の3’-スプライス部位周辺の配列を示す。
図6図6のaは、PS1タンパク質(左:N末端断片(PS1 NTF)、右:C末端断片(PS1 CTF)に対する抗体を用いた、線維芽細胞溶解物のウェスタンブロット解析の結果を示し、図6のbは、実施例で得られた変異マーモセット(8ヶ月齢)の耳組織から採取した線維芽細胞中の2種類のアミロイドβタンパク質量を測定した結果を示す。線維芽細胞はいずれも、実施例4で得られた変異マーモセット(8ヶ月齢)の耳組織から採取された。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、非ヒト霊長類ADモデルに関する。非ヒト霊長類としては、アルツハイマー病を罹患し得る霊長類であれば特に限定されない。例えば、霊長類としては、曲鼻類(キツネザル類、ロリス類、ガラゴ類等)や直鼻類(メガネザル類、クモザル類、オマキザル類、マーモセット類、オナガザル類、コロブス類、類人猿等)があげられるが、これらに限定されない。好ましい態様において、非ヒト霊長類はオナガザル類(アカゲザル、カニクイザル等)、マーモセット類(コモンマーモセット、クロミミマーモセット等)である。本態様のマーモセットADモデルは、ADの研究に適する。理由としては、遺伝的背景と脳構造がヒトに類似し、前頭前野に関連する人間のような認知行動をし、視覚的および聴覚的コミュニケーションができること、また、小さいボディサイズ(例えば、350-500g)で、比較的短い妊娠期間(145日)で、効果的な生殖(雌1匹あたり40から80の新生児)ができ、比較的長い寿命(飼育下で10~13年)という特徴が挙げられる。また、7齢頃からはじまる老化に伴いアミロイドβタンパク質の蓄積が認められ、アミロイドβタンパク質の配列がヒトと同一であることも適する理由である。
【0019】
本発明に係るマーモセットADモデルは、PSEN1遺伝子のエクソン9のスプライス部位が破壊されていることを特徴とする。破壊は、自体公知のゲノム編集技術を用いて行えばよく、例えば、CRISPR-Cas9システムやTALEN(Transcription Activator-Like Effector Nuclease)を用いて実施することができる。一態様において、高活性型TALEN(Platinum TALEN)を用いるのが好ましい。なお、エクソン9を含む欠失変異またはPSEN1遺伝子のエクソン9のスプライス部位の点変異は、選択的スプライシングによるmRNAのエクソン9の排除を引き起こすことが報告されているが、実際に前記部位の破壊によって、非ヒト霊長類ADモデルの作製に成功したのは本発明者らが初めてである。
【0020】
図1に、マーモセットのPSEN1遺伝子のエクソン9の3’-スプライス部位を標的にする高活性型TALEN(Platinum TALEN)を概念的に示す。図中、左に示すTALEN_AS_L及び右に示すTALEN_AS_Rはそれぞれ、例えば、Platinum Gate TALEN キットを用いて、自体公知の方法で構築できる。TALEN_AS_L及びTALEN_AS_RがTALEN標的サイトであり、四角で囲んだ配列がマーモセットのPSEN1遺伝子のエクソンであり、エクソン9の上流に隣接する太字の「AG」がエクソン9の3’-スプライス部位である。また、5’-スプライス部位はエクソン9の下流に隣接する「GT」(図示せず)である。
【0021】
好ましい実施形態において、図1に示す通り、用語「PSEN1遺伝子のエクソン9の3’-スプライス部位」は、エクソン8およびエクソン9のスプライシングのために、イントロン8の3’末端に存在する2ヌクレオチドを指す。「PSEN1遺伝子のエクソン9の3’-スプライス部位の欠損(deficiency)」は、当該3’-スプライス部位の機能的な不完全性(deficiency)を意味する。上記欠損は、上記2ヌクレオチドのうち、一方または両方(nucleotide Aのみ、nucleotide Gのみ、または両方のnucleotides AG)の欠失(deletion)によって生じる(図2および3を参照)。当該実施形態において、「PSEN1遺伝子のエクソン9の3’-スプライス部位を少なくとも含む(当該エクソン9のスプライスに関連する)部位の欠損」は、上記欠失に必須に起因する。
【0022】
上記欠損は、イントロン8の3’末端(上記nucleotides AGを含む)およびエクソン9の5’末端の部分的な欠失;イントロン8の3’末端(上記nucleotides AGまたはnucleotide Aを含む)の部分的な欠失;ならびにnucleotide Gもしくはnucleotides AG、およびエクソン9の5’末端の部分的な欠失である。上記欠損を生じる欠失の全長は、当該欠失が、上記2ヌクレオチドのうち、一方または両方を含み、かつエクソン9以外のエクソンのスプライシングに影響しない限り、任意である。
【0023】
図1に示されている好ましい実施形態とは別の実施形態において、上記欠損は、PSEN1遺伝子のエクソン9の5’-スプライス部位の欠失によって生じてもよい。当該別の実施形態における上記欠損の意味は、直前の2段落の記載のうち、以下の点を置き換えることによって、理解される。
1.「3’-スプライス部位」を「5’-スプライス部位」に置き換える。
2.「エクソン8およびエクソン9」を「エクソン9およびエクソン10」に置き換える。
3.「イントロン8の3’末端」を「イントロン9の5’末端」に置き換える。
4.「エクソン9の5’末端」を「エクソン9の3’末端」に置き換える。
5.「nucleotide A」を「nucleotide G」に、「nucleotide G」を「nucleotide T」に、「nucleotides AG」を「nucleotides GT」に置き換える。
【0024】
上述した2つの実施形態と異なる実施形態において、「PSEN1遺伝子のエクソン9の5’-スプライス部位または3’-スプライス部位を少なくとも含む(当該エクソン9のスプライスに関連する)部位の欠損」は、イントロンに存在するブランチ部位の欠失によって生じ得る。イントロンは、PSEN1遺伝子のイントロン8、イントロン9、またはイントロン8および9の両方であり得る。ブランチ部位は、イントロン内の3'末端に近傍にあることが多く、当該部位の下流にポリピリミジン塩基領域(Pyの反復)が続くことが知られている。本発明の一態様において、ブランチ部位は、3’-スプライス部位の20~40ヌクレオチド(21~34ヌクレオチドと言われている)上流にあるnucleotide Aを含む部位であり得る。ブランチ部位の欠失は、上記nucleotide Aを少なくとも欠失していることを指す。
【0025】
なお、本発明に係るマーモセットADモデルのゲノムには、上述した異なる3つの欠失が同時に存在し得る、または3つの欠失のうち、任意の2つが同時に存在し得る。
【0026】
本発明に係るマーモセットADモデルの製造方法の一例は、以下の通りである。マーモセットの受精卵の核に、マーモセットのPSEN1 遺伝子のエクソン9の3’-スプライス部位をターゲットにするTALEN mRNAを導入する。サブクローニング後にサーベイヤーアッセイ及びシークエンシング分析を行ってもよいし、3’-スプライス部位を含むターゲットサイトに欠損が生じている胚のみを取り出してもよい。例えば、3個中2個といった高い確率で欠損を生じさせることができる。TALEN導入の後に、RT-PCR及びcDNAシークエンシングを行い、PSEN1の mRNAの中のエクソン9の排除を確認することができる。この方法によれば、4細胞期の受精卵又は単一割球から抽出されるRNAには、野生型のシークエンスは存在せず、3’-スプライス部位の欠損を対立遺伝子中に生じさせることができる。
【0027】
卵子にTALEN mRNAを導入し、受精に導くのが好ましい。受精後、受精卵は6細胞期胚以上まで成長させ、代理母に移植することができる。前記TALEN導入によっては、妊娠またはその後の発達中に明白な副作用は引き起こされない。この様にして、ヘテロ接合状態の3’-スプライス部位を含む、例えば、6 bpの欠損を持つマーモセットを得ることができる。得られたマーモセットADモデルのmRNA(例えば、マーモセットの毛根サンプルから抽出されたmRNA)について、RT-PCR及びそれに続くcDNAの配列決定を実施して、エクソン9の除外を確認できる。
【0028】
本発明のマーモセットADモデルは、後述する実施例に示す通り、アミロイドβタンパク質Aβ42及びAβ40の存在量の比率Aβ42/Aβ40が、野生型マーモセットと比較して高くなっている。例えば、本発明のマーモセットADモデルは、Aβ42/Aβ40の値が、野生型と比較して、1.4倍以上、1.6倍以上、1.8倍以上、又は2倍以上である。
【実施例
【0029】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
以下の動物実験は、いずれも「動物の愛護及び管理に関する法律」「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(文部科学省告示)」に基づいて策定された公益財団法人実験動物中央研究所の「動物実験等に関する規程」に従って行った。
【0031】
[材料および方法]
TALENプラスミドの作製
TALENプラスミドは、Platinum Gate TALEN Kit(Addgene)を用いて、SCIENTIFIC REPORTS 2013, Nov 29; 3: 3379. Doi:10.1038/srep03379に記載されている通りの手法で作製した。簡潔には次の通りである。プラチナムゲートTALEN(Platinum Gate TALEN) キット(Addgene; cat#1000000043) を用いた2工程ゴールデンゲートアッセンブリ法(two-step Golden Gate assembly method)により、ホモダイマー型FokIヌクレアーゼドメインを含むプラチナムTALENを構築した。組み立てられた繰り返しアレイを、最終的なデスティネーションベクター(destination vector)であるptCMV-153/47-VRに引き続き導入した。TALEN mRNAは、「mMESSAGE mMACHINE T7 Ultra Transcription Kit」(Thermo Fisher Scientific, AM1345)を用いて作製した。転写mRNA(Transcribed mRNA)を「MEGAclear Transcription Clean-Up Kit」(Thermo Fisher Scientific, AM1908)を用いて精製した。作製したプラスミドの全長配列を配列表の配列番号1(Left_TALEN)、および配列番号2(Right_TALEN)に示す。
【0032】
[TALENベクター配列]
[配列番号1]
AGAAGGGGCTCCCGCACGCGCCTGCATTGATTAAGCGGACCAACAGAAGGATCCCCGAGAGGACATCACATCGAGTGGCAGGTTCCCAACTCGTGAAGAGTGAACTTGAGGAGAAAAAGTCGGAGCTGCGGCACAAATTGAAATACGTACCGCATGAATACATCGAACTTATCGAAATTGCTAGGAACTCGACTCAAGACAGAATCCTTGAGATGAAGGTAATGGAGTTCTTTATGAAGGTTTATGGATACCGAGGGAAGCATCTCGGTGGATCACGAAAACCCGACGGAGCAATCTATACGGTGGGGAGCCCGATTGATTACGGAGTGATCGTCGACACGAAAGCCTACAGCGGTGGGTACAATCTTCCCATCGGGCAGGCAGATGAGATGCAACGTTATGTCGAAGAAAATCAGACCAGGAACAAACACATCAATCCAAATGAGTGGTGGAAAGTGTATCCTTCATCAGTGACCGAGTTTAAGTTTTTGTTTGTCTCTGGGCATTTCAAAGGCAACTATAAGGCCCAGCTCACACGGTTGAATCACATTACGAACTGCAATGGTGCGGTTTTGTCCGTAGAGGAACTGCTCATTGGTGGAGAAATGATCAAAGCGGGAACTCTGACACTGGAAGAAGTCAGACGCAAGTTTAACAATGGCGAGATCAATTTCCGCTCATAAAAAATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCACAACACTCAACCCTATCTCGGTCTATTCTTTTGATTTATAAGGGATTTTGCCGATTTCGGCCTATTGGTTAAAAAATGAGCTGATTTAACAAAAATTTAACGCGAATTAATTCTGTGGAATGTGTGTCAGTTAGGGTGTGGAAAGTCCCCAGGCTCCCCAGCAGGCAGAAGTATGCAAAGCATGCATCTCAATTAGTCAGCAACCAGGTGTGGAAAGTCCCCAGGCTCCCCAGCAGGCAGAAGTATGCAAAGCATGCATCTCAATTAGTCAGCAACCATAGTCCCGCCCCTAACTCCGCCCATCCCGCCCCTAACTCCGCCCAGTTCCGCCCATTCTCCGCCCCATGGCTGACTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCCTCTGCCTCTGAGCTATTCCAGAAGTAGTGAGGAGGCTTTTTTGGAGGCCTAGGCTTTTGCAAAAAGCTCCCGGGAGCTTGTATATCCATTTTCGGATCTGATCAGCACGTGATGAAAAAGCCTGAACTCACCGCGACGTCTGTCGAGAAGTTTCTGATCGAAAAGTTCGACAGCGTTTCCGACCTGATGCAGCTCTCGGAGGGCGAAGAATCTCGTGCTTTCAGCTTCGATGTAGGAGGGCGTGGATATGTCCTGCGGGTAAATAGCTGCGCCGATGGTTTCTACAAAGATCGTTATGTTTATCGGCACTTTGCATCGGCCGCGCTCCCGATTCCGGAAGTGCTTGACATTGGGGAATTCAGCGAGAGCCTGACCTATTGCATCTCCCGCCGTGCACAGGGTGTCACGTTGCAAGACCTGCCTGAAACCGAACTGCCCGCTGTTCTGCAGCCGGTCGCGGAGGCCATGGATGCGATCGCTGCGGCCGATCTTAGCCAGACGAGCGGGTTCGGCCCATTCGGACCGCAAGGAATCGGTCAATACACTACATGGCGTGATTTCATATGCGCGATTGCTGATCCCCATGTGTATCACTGGCAAACTGTGATGGACGACACCGTCAGTGCGTCCGTCGCGCAGGCTCTCGATGAGCTGATGCTTTGGGCCGAGGACTGCCCCGAAGTCCGGCACCTCGTGCACGCGGATTTCGGCTCCAACAATGTCCTGACGGACAATGGCCGCATAACAGCGGTCATTGACTGGAGCGAGGCGATGTTCGGGGATTCCCAATACGAGGTCGCCAACATCTTCTTCTGGAGGCCGTGGTTGGCTTGTATGGAGCAGCAGACGCGCTACTTCGAGCGGAGGCATCCGGAGCTTGCAGGATCGCCGCGGCTCCGGGCGTATATGCTCCGCATTGGTCTTGACCAACTCTATCAGAGCTTGGTTGACGGCAATTTCGATGATGCAGCTTGGGCGCAGGGTCGATGCGACGCAATCGTCCGATCCGGAGCCGGGACTGTCGGGCGTACACAAATCGCCCGCAGAAGCGCGGCCGTCTGGACCGATGGCTGTGTAGAAGTACTCGCCGATAGTGGAAACCGACGCCCCAGCACTCGTCCGAGGGCAAAGGAATAGCACGTGCTACGAGATTTCGATTCCACCGCCGCCTTCTATGAAAGGTTGGGCTTCGGAATCGTTTTCCGGGACGCCGGCTGGATGATCCTCCAGCGCGGGGATCTCATGCTGGAGTTCTTCGCCCACCCCAACTTGTTTATTGCAGCTTATAATGGTTACAAATAAAGCAATAGCATCACAAATTTCACAAATAAAGCATTTTTTTCACTGCATTCTAGTTGTGGTTTGTCCAAACTCATCAATGTATCTTATCATGTCTGTATACCGTCGACCTCTAGCTAGAGCTTGGCGTAATCATGGTCATTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGACTCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGCGCTGCGATGATACCGCGAGAACCACGCTCACCGGCTCCGGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCATCGCTACAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTTACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGTGTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTGAGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAATACGGGATAATACCGCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCTGTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGTGAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAATAAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATATTCTTCCTTTTTCAATATTATTGAAGCATTTATCAGGGTTATTGTCTCATGAGCGGATACATATTTGAATGTATTTAGAAAAATAAACAAATAGGGGTCAGTGTTACAACCAATTAACCAATTCTGAACATTATCGCGAGCCCATTTATACCTGAATATGGCTCATAACACCCCTTGCTCATGACCAAAATCCCTTAACGTGAGTTACGCGCGCGTCGTTCCACTGAGCGTCAGACCCCGTAGAAAAGATCAAAGGATCTTCTTGAGATCCTTTTTTTCTGCGCGTAATCTGCTGCTTGCAAACAAAAAAACCACCGCTACCAGCGGTGGTTTGTTTGCCGGATCAAGAGCTACCAACTCTTTTTCCGAAGGTAACTGGCTTCAGCAGAGCGCAGATACCAAATACTGTTCTTCTAGTGTAGCCGTAGTTAGCCCACCACTTCAAGAACTCTGTAGCACCGCCTACATACCTCGCTCTGCTAATCCTGTTACCAGTGGCTGCTGCCAGTGGCGATAAGTCGTGTCTTACCGGGTTGGACTCAAGACGATAGTTACCGGATAAGGCGCAGCGGTCGGGCTGAACGGGGGGTTCGTGCACACAGCCCAGCTTGGAGCGAACGACCTACACCGAACTGAGATACCTACAGCGTGAGCTATGAGAAAGCGCCACGCTTCCCGAAGGGAGAAAGGCGGACAGGTATCCGGTAAGCGGCAGGGTCGGAACAGGAGAGCGCACGAGGGAGCTTCCAGGGGGAAACGCCTGGTATCTTTATAGTCCTGTCGGGTTTCGCCACCTCTGACTTGAGCGTCGATTTTTGTGATGCTCGTCAGGGGGGCGGAGCCTATGGAAAAACGCCAGCAACGCGGCCTTTTTACGGTTCCTGGCCTTTTGCTGGCCTTTTGCTCACATGTTCTTTCCTGCGTTATCCCCTGATTCTGTGGATAACCGTATTACCGCCTTTGAGTGAGCTGATACCGCTCGCCGCAGCCGAACGACCGAGCGCAGCGAGTCAGTGAGCGAGGAAGCGGAAGGCGAGAGTAGGGAACTGCCAGGCATCAAACTAAGCAGAAGGCCCCTGACGGATGGCCTTTTTGCGTTTCTACAAACTCTTTCTGTGTTGTAAAACGACGGCCAGTCTTAAGCTCGGGCCCCCTGGGCGGTTCTGATAACGAGTAATCGTTAATCCGCAAATAACGTAAAAACCCGCTTCGGCGGGTTTTTTTATGGGGGGAGTTTAGGGAAAGAGCATTTGTCAGAATATTTAAGGGCGCCTGTCACTTTGCTTGATATATGAGAATTATTTAACCTTATAAATGAGAAAAAAGCAACGCACTTTAAATAAGATACGTTGCTTTTTCGATTGATGAACACCTATAATTAAACTATTCATCTATTATTTATGATTTTTTGTATATACAATATTTCTAGTTTGTTAAAGAGAATTAAGAAAATAAATCTCGAAAATAATAAAGGGAAAATCAGTTTTTGATATCAAAATTATACATGTCAACGATAATACAAAATATAATACAAACTATAAGATGTTATCAGTATTTATTATCATTTAGAATAAATTTTGTGTCGCCCTTAATTGTGAGCGGATAACAATTACGAGCTTCATGCACAGTGGCGTTGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCTCTGGCTAACTAGAGAACCCACTGCTTACTGGCTTATCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGAAGCTTCTTGTTCTTTTTGCAGAAGCTCAGAATAAACGCTCAACTTTGGCCTCGAGGCCACCATGGACTATAAGGACCACGACGGAGACTACAAGGATCATGATATTGATTACAAAGACGATGACGATAAGATGGCCCCAAAGAAGAAGCGGAAGGTCGGTATCCACGGAGTCCCAGCAGCCGTAGATTTGAGAACTTTGGGATATTCACAGCAGCAGCAGGAAAAGATCAAGCCCAAAGTGAGGTCGACAGTCGCGCAGCATCACGAAGCGCTGGTGGGTCATGGGTTTACACATGCCCACATCGTAGCCTTGTCGCAGCACCCTGCAGCCCTTGGCACGGTCGCCGTCAAGTACCAGGACATGATTGCGGCGTTGCCGGAAGCCACACATGAGGCGATCGTCGGTGTGGGGAAACAGTGGAGCGGAGCCCGAGCGCTTGAGGCCCTGTTGACGGTCGCGGGAGAGCTGAGAGGGCCTCCCCTTCAGCTGGACACGGGCCAGTTGCTGAAGATCGCGAAGCGGGGAGGAGTCACGGCGGTCGAGGCGGTGCACGCGTGGCGCAATGCGCTCACGGGAGCACCCCTCAACCTGACCCCAGACCAGGTTGTGGCCATCGCCAGCAACATAGGTGGCAAGCAGGCCCTCGAAACCGTCCAGAGACTGTTACCGGTTCTCTGCCAGGACCACGGCCTGACCCCGGAACAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCGGACCAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCCGCCCAGGTTGTCGCTATTGCTAGTAACGGCGGAGGCAAACAGGCGCTGGAAACAGTTCAGCGCCTCTTGCCGGTCTTGTGTCAGGACCACGGCCTGACCCCAGACCAAGTTGTCGCGATTGCAAGCAACAACGGAGGCAAACAAGCCTTAGAAACAGTCCAGAGATTGTTGCCGGTGCTGTGCCAAGACCACGGCCTGACCCCAGAACAAGTTGTCGCGATTGCAAGCAACAACGGAGGCAAACAAGCCTTAGAAACAGTCCAGAGATTGTTGCCGGTGCTGTGCCAAGCCCACGGCCTGACCCCAGACCAGGTTGTGGCCATCGCCAGCAACATAGGTGGCAAGCAGGCCCTCGAAACCGTCCAGAGACTGTTACCGGTTCTCTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCAGCCCAGGTTGTGGCCATCGCCAGCAACATAGGTGGCAAGCAGGCCCTCGAAACCGTCCAGAGACTGTTACCGGTTCTCTGCCAGGACCACGGCCTGACCCCCGACCAGGTTGTCGCTATTGCTAGTAACGGCGGAGGCAAACAGGCGCTGGAAACAGTTCAGCGCCTCTTGCCGGTCTTGTGTCAGGACCACGGCCTGACCCCCGAACAGGTTGTCGCTATTGCTAGTAACGGCGGAGGCAAACAGGCGCTGGAAACAGTTCAGCGCCTCTTGCCGGTCTTGTGTCAGGCCCACGGCCTGACCCCCGACCAGGTTGTCGCTATTGCTAGTAACGGCGGAGGCAAACAGGCGCTGGAAACAGTTCAGCGCCTCTTGCCGGTCTTGTGTCAGGCCCACGGCCTGACCCCCGCCCAGGTTGTCGCTATTGCTAGTAACGGCGGAGGCAAACAGGCGCTGGAAACAGTTCAGCGCCTCTTGCCGGTCTTGTGTCAGGACCACGGCCTGACCCCAGACCAAGTTGTCGCGATTGCAAGCAACAACGGAGGCAAACAAGCCTTAGAAACAGTCCAGAGATTGTTGCCGGTGCTGTGCCAAGACCACGGCCTGACCCCCGAACAGGTTGTCGCTATTGCTAGTAACGGCGGAGGCAAACAGGCGCTGGAAACAGTTCAGCGCCTCTTGCCGGTCTTGTGTCAGGCCCACGGCCTGACCCCGGACCAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCCGCCCAGGTTGTCGCTATTGCTAGTAACGGCGGAGGCAAACAGGCGCTGGAAACAGTTCAGCGCCTCTTGCCGGTCTTGTGTCAGGACCACGGCCTGACGCCTGAGCAGGTAGTGGCTATTGCATCCAACGGAGGGGGCAGACCCGCACTGGAGTCAATCGTGGCCCAGCTTTCGAGGCCGGACCCCGCGCTGGCCGCACTCACTAATGATCATCTTGTAGCGCTGGCCTGCCTCGGCGGACGACCCGCCTTGGATGCGGTGA。
【0033】
[配列番号2]
AGAAGGGGCTCCCGCACGCGCCTGCATTGATTAAGCGGACCAACAGAAGGATCCCCGAGAGGACATCACATCGAGTGGCAGGTTCCCAACTCGTGAAGAGTGAACTTGAGGAGAAAAAGTCGGAGCTGCGGCACAAATTGAAATACGTACCGCATGAATACATCGAACTTATCGAAATTGCTAGGAACTCGACTCAAGACAGAATCCTTGAGATGAAGGTAATGGAGTTCTTTATGAAGGTTTATGGATACCGAGGGAAGCATCTCGGTGGATCACGAAAACCCGACGGAGCAATCTATACGGTGGGGAGCCCGATTGATTACGGAGTGATCGTCGACACGAAAGCCTACAGCGGTGGGTACAATCTTCCCATCGGGCAGGCAGATGAGATGCAACGTTATGTCGAAGAAAATCAGACCAGGAACAAACACATCAATCCAAATGAGTGGTGGAAAGTGTATCCTTCATCAGTGACCGAGTTTAAGTTTTTGTTTGTCTCTGGGCATTTCAAAGGCAACTATAAGGCCCAGCTCACACGGTTGAATCACATTACGAACTGCAATGGTGCGGTTTTGTCCGTAGAGGAACTGCTCATTGGTGGAGAAATGATCAAAGCGGGAACTCTGACACTGGAAGAAGTCAGACGCAAGTTTAACAATGGCGAGATCAATTTCCGCTCATAAAAAATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCACAACACTCAACCCTATCTCGGTCTATTCTTTTGATTTATAAGGGATTTTGCCGATTTCGGCCTATTGGTTAAAAAATGAGCTGATTTAACAAAAATTTAACGCGAATTAATTCTGTGGAATGTGTGTCAGTTAGGGTGTGGAAAGTCCCCAGGCTCCCCAGCAGGCAGAAGTATGCAAAGCATGCATCTCAATTAGTCAGCAACCAGGTGTGGAAAGTCCCCAGGCTCCCCAGCAGGCAGAAGTATGCAAAGCATGCATCTCAATTAGTCAGCAACCATAGTCCCGCCCCTAACTCCGCCCATCCCGCCCCTAACTCCGCCCAGTTCCGCCCATTCTCCGCCCCATGGCTGACTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCCTCTGCCTCTGAGCTATTCCAGAAGTAGTGAGGAGGCTTTTTTGGAGGCCTAGGCTTTTGCAAAAAGCTCCCGGGAGCTTGTATATCCATTTTCGGATCTGATCAGCACGTGATGAAAAAGCCTGAACTCACCGCGACGTCTGTCGAGAAGTTTCTGATCGAAAAGTTCGACAGCGTTTCCGACCTGATGCAGCTCTCGGAGGGCGAAGAATCTCGTGCTTTCAGCTTCGATGTAGGAGGGCGTGGATATGTCCTGCGGGTAAATAGCTGCGCCGATGGTTTCTACAAAGATCGTTATGTTTATCGGCACTTTGCATCGGCCGCGCTCCCGATTCCGGAAGTGCTTGACATTGGGGAATTCAGCGAGAGCCTGACCTATTGCATCTCCCGCCGTGCACAGGGTGTCACGTTGCAAGACCTGCCTGAAACCGAACTGCCCGCTGTTCTGCAGCCGGTCGCGGAGGCCATGGATGCGATCGCTGCGGCCGATCTTAGCCAGACGAGCGGGTTCGGCCCATTCGGACCGCAAGGAATCGGTCAATACACTACATGGCGTGATTTCATATGCGCGATTGCTGATCCCCATGTGTATCACTGGCAAACTGTGATGGACGACACCGTCAGTGCGTCCGTCGCGCAGGCTCTCGATGAGCTGATGCTTTGGGCCGAGGACTGCCCCGAAGTCCGGCACCTCGTGCACGCGGATTTCGGCTCCAACAATGTCCTGACGGACAATGGCCGCATAACAGCGGTCATTGACTGGAGCGAGGCGATGTTCGGGGATTCCCAATACGAGGTCGCCAACATCTTCTTCTGGAGGCCGTGGTTGGCTTGTATGGAGCAGCAGACGCGCTACTTCGAGCGGAGGCATCCGGAGCTTGCAGGATCGCCGCGGCTCCGGGCGTATATGCTCCGCATTGGTCTTGACCAACTCTATCAGAGCTTGGTTGACGGCAATTTCGATGATGCAGCTTGGGCGCAGGGTCGATGCGACGCAATCGTCCGATCCGGAGCCGGGACTGTCGGGCGTACACAAATCGCCCGCAGAAGCGCGGCCGTCTGGACCGATGGCTGTGTAGAAGTACTCGCCGATAGTGGAAACCGACGCCCCAGCACTCGTCCGAGGGCAAAGGAATAGCACGTGCTACGAGATTTCGATTCCACCGCCGCCTTCTATGAAAGGTTGGGCTTCGGAATCGTTTTCCGGGACGCCGGCTGGATGATCCTCCAGCGCGGGGATCTCATGCTGGAGTTCTTCGCCCACCCCAACTTGTTTATTGCAGCTTATAATGGTTACAAATAAAGCAATAGCATCACAAATTTCACAAATAAAGCATTTTTTTCACTGCATTCTAGTTGTGGTTTGTCCAAACTCATCAATGTATCTTATCATGTCTGTATACCGTCGACCTCTAGCTAGAGCTTGGCGTAATCATGGTCATTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGACTCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGCGCTGCGATGATACCGCGAGAACCACGCTCACCGGCTCCGGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCATCGCTACAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTTACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGTGTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTGAGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAATACGGGATAATACCGCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCTGTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGTGAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAATAAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATATTCTTCCTTTTTCAATATTATTGAAGCATTTATCAGGGTTATTGTCTCATGAGCGGATACATATTTGAATGTATTTAGAAAAATAAACAAATAGGGGTCAGTGTTACAACCAATTAACCAATTCTGAACATTATCGCGAGCCCATTTATACCTGAATATGGCTCATAACACCCCTTGCTCATGACCAAAATCCCTTAACGTGAGTTACGCGCGCGTCGTTCCACTGAGCGTCAGACCCCGTAGAAAAGATCAAAGGATCTTCTTGAGATCCTTTTTTTCTGCGCGTAATCTGCTGCTTGCAAACAAAAAAACCACCGCTACCAGCGGTGGTTTGTTTGCCGGATCAAGAGCTACCAACTCTTTTTCCGAAGGTAACTGGCTTCAGCAGAGCGCAGATACCAAATACTGTTCTTCTAGTGTAGCCGTAGTTAGCCCACCACTTCAAGAACTCTGTAGCACCGCCTACATACCTCGCTCTGCTAATCCTGTTACCAGTGGCTGCTGCCAGTGGCGATAAGTCGTGTCTTACCGGGTTGGACTCAAGACGATAGTTACCGGATAAGGCGCAGCGGTCGGGCTGAACGGGGGGTTCGTGCACACAGCCCAGCTTGGAGCGAACGACCTACACCGAACTGAGATACCTACAGCGTGAGCTATGAGAAAGCGCCACGCTTCCCGAAGGGAGAAAGGCGGACAGGTATCCGGTAAGCGGCAGGGTCGGAACAGGAGAGCGCACGAGGGAGCTTCCAGGGGGAAACGCCTGGTATCTTTATAGTCCTGTCGGGTTTCGCCACCTCTGACTTGAGCGTCGATTTTTGTGATGCTCGTCAGGGGGGCGGAGCCTATGGAAAAACGCCAGCAACGCGGCCTTTTTACGGTTCCTGGCCTTTTGCTGGCCTTTTGCTCACATGTTCTTTCCTGCGTTATCCCCTGATTCTGTGGATAACCGTATTACCGCCTTTGAGTGAGCTGATACCGCTCGCCGCAGCCGAACGACCGAGCGCAGCGAGTCAGTGAGCGAGGAAGCGGAAGGCGAGAGTAGGGAACTGCCAGGCATCAAACTAAGCAGAAGGCCCCTGACGGATGGCCTTTTTGCGTTTCTACAAACTCTTTCTGTGTTGTAAAACGACGGCCAGTCTTAAGCTCGGGCCCCCTGGGCGGTTCTGATAACGAGTAATCGTTAATCCGCAAATAACGTAAAAACCCGCTTCGGCGGGTTTTTTTATGGGGGGAGTTTAGGGAAAGAGCATTTGTCAGAATATTTAAGGGCGCCTGTCACTTTGCTTGATATATGAGAATTATTTAACCTTATAAATGAGAAAAAAGCAACGCACTTTAAATAAGATACGTTGCTTTTTCGATTGATGAACACCTATAATTAAACTATTCATCTATTATTTATGATTTTTTGTATATACAATATTTCTAGTTTGTTAAAGAGAATTAAGAAAATAAATCTCGAAAATAATAAAGGGAAAATCAGTTTTTGATATCAAAATTATACATGTCAACGATAATACAAAATATAATACAAACTATAAGATGTTATCAGTATTTATTATCATTTAGAATAAATTTTGTGTCGCCCTTAATTGTGAGCGGATAACAATTACGAGCTTCATGCACAGTGGCGTTGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCTCTGGCTAACTAGAGAACCCACTGCTTACTGGCTTATCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGAAGCTTCTTGTTCTTTTTGCAGAAGCTCAGAATAAACGCTCAACTTTGGCCTCGAGGCCACCATGGACTATAAGGACCACGACGGAGACTACAAGGATCATGATATTGATTACAAAGACGATGACGATAAGATGGCCCCAAAGAAGAAGCGGAAGGTCGGTATCCACGGAGTCCCAGCAGCCGTAGATTTGAGAACTTTGGGATATTCACAGCAGCAGCAGGAAAAGATCAAGCCCAAAGTGAGGTCGACAGTCGCGCAGCATCACGAAGCGCTGGTGGGTCATGGGTTTACACATGCCCACATCGTAGCCTTGTCGCAGCACCCTGCAGCCCTTGGCACGGTCGCCGTCAAGTACCAGGACATGATTGCGGCGTTGCCGGAAGCCACACATGAGGCGATCGTCGGTGTGGGGAAACAGTGGAGCGGAGCCCGAGCGCTTGAGGCCCTGTTGACGGTCGCGGGAGAGCTGAGAGGGCCTCCCCTTCAGCTGGACACGGGCCAGTTGCTGAAGATCGCGAAGCGGGGAGGAGTCACGGCGGTCGAGGCGGTGCACGCGTGGCACAATGCGCTCACGGGAGCACCCCTCAACCTGACCCCAGACCAGGTTGTGGCCATCGCCAGCAACATAGGTGGCAAGCAGGCCCTCGAAACCGTCCAGAGACTGTTACCGGTTCTCTGCCAGGACCACGGCCTGACCCCCGAACAGGTTGTCGCTATTGCTAGTAACGGCGGAGGCAAACAGGCGCTGGAAACAGTTCAGCGCCTCTTGCCGGTCTTGTGTCAGGCCCACGGCCTGACCCCCGACCAGGTTGTCGCTATTGCTAGTAACGGCGGAGGCAAACAGGCGCTGGAAACAGTTCAGCGCCTCTTGCCGGTCTTGTGTCAGGCCCACGGCCTGACCCCGGCCCAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGACCACGGCCTGACCCCAGACCAGGTTGTGGCCATCGCCAGCAACATAGGTGGCAAGCAGGCCCTCGAAACCGTCCAGAGACTGTTACCGGTTCTCTGCCAGGACCACGGCCTGACCCCGGAACAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCGGACCAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCAGCCCAGGTTGTGGCCATCGCCAGCAACATAGGTGGCAAGCAGGCCCTCGAAACCGTCCAGAGACTGTTACCGGTTCTCTGCCAGGACCACGGCCTGACCCCAGACCAGGTTGTGGCCATCGCCAGCAACATAGGTGGCAAGCAGGCCCTCGAAACCGTCCAGAGACTGTTACCGGTTCTCTGCCAGGACCACGGCCTGACCCCGGAACAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCGGACCAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCAGCCCAGGTTGTGGCCATCGCCAGCAACATAGGTGGCAAGCAGGCCCTCGAAACCGTCCAGAGACTGTTACCGGTTCTCTGCCAGGACCACGGCCTGACCCCGGACCAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGACCACGGCCTGACCCCAGAACAGGTTGTGGCCATCGCCAGCAACATAGGTGGCAAGCAGGCCCTCGAAACCGTCCAGAGACTGTTACCGGTTCTCTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCGGACCAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGCCCACGGCCTGACCCCGGCCCAGGTGGTTGCAATCGCGTCACACGATGGGGGAAAGCAGGCCCTAGAAACCGTTCAGCGACTCCTGCCCGTCCTGTGCCAGGACCACGGCCTGACGCCTGAGCAGGTAGTGGCTATTGCATCCAACATAGGGGGCAGACCCGCACTGGAGTCAATCGTGGCCCAGCTTTCGAGGCCGGACCCCGCGCTGGCCGCACTCACTAATGATCATCTTGTAGCGCTGGCCTGCCTCGGCGGACGACCCGCCTTGGATGCGGTGA。
【0034】
成熟培養および体外受精
TALENを注入した卵子は非働化したFBS(最終濃度5%)、hFSH(Fuji Pharma、最終濃度0.15IU/mL)、hCG(ASKA Pharmaceutical、最終濃度10 IU/mL)を添加したPOM培地(機能性ペプチド研究所/IFP1010P)中で24時間以上成熟培養し、MI(Metaphase I)期以上に成熟した卵子を選抜した。受精のために用いる精子は、野生型の雄のマーモセットより採取し、TYH medium(LSIメディエンス/DR01031)を用いて体外受精(in vitro fertilization: IVF)を行った。翌日(IVF開始からおよそ16 時間後)にIVFを解除し、前核細胞の有無を基準として受精の成否を判定し、獲得された受精卵を選抜した。
【0035】
胚移植と妊娠管理
受精卵はSequencial Cleav. (Origio/83040010A) を用いて初期の体外培養を行い、培養開始から2-3日経過した時点で4細胞期以上へと発生した胚を選抜した。後期の体外培養はSequencial Blast (Origio/83060010A) に非働化したFBS(最終濃度10%)、L-glutamine(最終濃度2mM)を添加したメディウムを用いて行い、TALENの注入から一週間後に仮親の子宮へ非観血式のカテーテル手術を用いて移植した。胚移植後は、仮親の血中P4値の測定や超音波診断装置による子宮の観察によって妊娠判定を行い、妊娠が確定した個体については、週1回の定期健診によって胎子の心拍の状態・形態学的な異常の有無などを観察した。分娩は基本的に自然分娩を採用し、仮親や子の状態を鑑みて自然分娩が困難と判断された場合は帝王切開術によって産子を獲得した。
【0036】
ゲノムDNA解析
産子の体毛または帝王切開を実施した際に得た臍帯血から、QIAamp DNA micro kit (Qiagen/ 56304) を用いてゲノムDNAを回収した。PSEN1遺伝子を解析するためのPCR反応はKOD plus neo (TOYOBO/401)と2つのプライマーPsen1_Ex9_up1 (ACCCGCGACTCCCTATTATT:配列番号3)、Psen1_Ex9_dn1 (TGCCTTGACTGTATTGTTGG:配列番号4) を用いて行い、反応条件は94℃ 2分の加熱後、98℃ 10秒、60℃ 10秒、68℃ 30秒を35サイクル実施し、反応終了後は一部をアガロースゲル上で電気泳動することで増幅の有無を確認した。一部の増幅産物は遺伝子改変を可視的に検出することが可能なサーベイヤーアッセイに供与し、他方はZero Blunt PCR Cloning Kit (Thermo fisher scientific / K275040)を用いてシークエンスベクターにクローニングし、大腸菌(DH5α株)にプラスミドを導入することで形質転換を行った。これにより得られたサブクローンからプラスミドを回収し、シークエンス解析を行った。
【0037】
cDNA解析
産子の体毛または帝王切開を実施した際に得た臍帯血から、Nucleospin RNA plus XS (Takara/ U0990B) を用いてTotal RNAを回収した後、ReverTra Ace -α- (TOYOBO/ FSK-101)を用いてcDNAを合成した。PSEN1遺伝子のエクソン9欠損の確認を行うためのPCR反応はKOD plus neoと、近傍のエクソン上に設計した2つのプライマーセット:Pn1_on_Ex7_up1 (TACCTCCCTGAATGGACTGC:配列番号5)およびPn1_on_Ex11_dn2 (TGGTTGTGTTCCAGTCTCCA:配列番号6);ならびにPn1_on_Ex8_up1 (GGTCCACTTCGTATGCTGGT:配列番号7)およびPn1_on_Ex11_dn1 (GGCTGTTGCTGAGGCTTTAC:配列番号8)のいずれかを用いて行い、反応条件は94℃ 2分の加熱後、98℃ 10秒、60℃ 10秒、68℃ 30秒を35サイクル実施した。反応を終えたサンプルは1.5%アガロースゲルにて電気泳動し、増幅産物のバンドシフトを捉えることでエクソン9の欠損を推定した。一部の増幅産物はZero Blunt PCR Cloning Kitを用いてシークエンスベクターにクローニングし、大腸菌(DH5α株)にプラスミドを導入することで形質転換を行った。これにより得られたサブクローンからプラスミドを回収し、シークエンス解析を行った。
【0038】
初代培養
産子の耳朶組織を少量採取したものを細断した。組織片を細胞培養用ディッシュに貼り付け、10%非働化FBS添加済みのD-MEM (Thermo fisher scientific/ 10566016)を用いて37℃、5%CO2環境下にて培養した。
【0039】
[実施例1]
マーモセットのPSEN1遺伝子のエクソン9の3’-スプライス部位をターゲットとするTALEN mRNAを、マーモセット受精卵の核に導入した後、サブクローニング後に、サーベイヤーアッセイ及びシークエンシングアッセイを実施した。図2のaに示す通り、3つの受精卵のうち2つに、期待通り、3’-スプライス部位のシークエンスを含むターゲットサイトに欠損が認められた。次に、マーモセットの受精卵へのTALEN注入後、RT-PCR及びcDNAシークエンシングを行って、PSEN1 mRNA中のエクソン9の排除を確認した。図2のbに示す通り、TALEN注入後、4細胞期になる受精卵又は単一割球からRNAを抽出した。図2のcに示す通り、エクソン9の完全な排除が、2つの4細胞期受精卵及び2つの単一割球に認められた。これらの3’-スプライス部位が欠損した受精卵及び単一割球のいずれにも、野生型のシークエンスはなかった。このことから、3’-スプライス部位の欠損が、バイアレリック(biallelic)様式で生じていると考えられる。PS1タンパク質は、その基質が、アミロイド前駆体タンパク質(APP)とノッチ(Notch)を含むタイプ1膜貫通タンパク質である、γ-セクレターゼ複合体の触媒サブユニットである。エクソン9によってコードされている領域が、自己切断(endoproteolysis)部位に存在し、γ-セクレターゼの成熟にはこの部位での切断が必要であるため、エクソン9の排除はγ-セクレターゼの機能喪失をもたらす。マーモセットのPSEN1エクソン9のホモ接合性の欠失は、Notchシグナル伝達の破壊による胚致死を引き起こす。
【0040】
[実施例2]
受精卵で得られた結果に基づいて、卵子に上記通りにTALEN mRNAを導入し、受精に導くことを試みた。受精後、受精卵を桑実胚期まで成長させ、代理母に移植した。TALEN注入は、妊娠またはその後の発達中に明白な副作用を引き起こさなかった。この様にして、ヘテロ接合状態の3’-スプライス部位を含む6 bpの欠失を持つF0マーモセット(PSEN1-ΔE9)が得られた(新生児の写真を図3のaに示す)。臍帯血から抽出されたゲノムDNAを対象にして、サーベイヤーアッセイを実施した。結果を図3のbに示す。図3のb中、左の2列は、テンプレートとして、新生児ゲノムDNA(図3のaにおける新生児の臍帯血から抽出されたゲノムDNA)を用いたサーベイヤーアッセイ(レーン1:図3のaにおける新生児のゲノムDNAおよび野生型コントロール血液(CB)サンプルの混合物、レーン2:新生児ゲノムDNAのみ)の結果を示す。右の2列は、実験上のコントロール(+はポジティブコントロール、-はネガティブコントロール)を示す。図3のcに、得られた変異マーモセット及び野生型マーモセットの毛根から抽出されたRNAを対象にして実施したPCRの結果を示す。2つの右の列は、同一RNAサンプルについて、RTを用いずに反応したネガティブPCRデータを示す。図3のcに示す通り、エクソン9が排除されたPCR産物のバンドは315 bpに現れ、野生型のバンドは402 bpに現れた。なお、分析した受精卵ではいずれもシングルバンドのみを示したので、ヘテロ接合変異は生じなかったと考えられる。
【0041】
[実施例3]
野生型およびPSEN1-ΔE9(I774gmF)マーモセットの初代線維芽細胞の培養液中のAβをELISA(Wako, 294-62501, 290-62601)にて測定した。結果を図4に示す。PSEN1-ΔE9マーモセット線維芽細胞において、Aβ40低下、Aβ42増加、Aβ42/Aβ40比増加が認められ、PSEN1-ΔE9変異が病原性を有している(病因をなしている)ことが示された。
【0042】
PSEN1の遺伝子改変が見られた2匹の個体では、ゲノムDNA解析およびcDNAの解析結果における正常型PSEN1とエクソン9欠損型PSEN1の出現割合はおよそ半数ずつとなっていたことから、ヒトの患者において見られるヘテロ型のPSEN1-ΔE9が再現できたことが強く示唆された。また、線維芽細胞培養液中のAβ定量の結果から、Aβ産生プロファイルの異常を再現しており、作出したPSEN1-ΔE9マーモセットはAD病態を再現していると考えられた。また、今回、3’-スプライス部位に変異を導入することでエクソンスキッピングを起こすという方法は、通常のエクソン両端をゲノム編集で切断して欠失させる方法やノックイン手法と比較して、ゲノムDNA上1か所にDNA二本鎖切断を誘導することで達成可能なことから、効率が高く、有用性が高いと思われる。このようなスプライシングに関連する配列に対しゲノム編集による変異導入を行うことで、疾患(アルツハイマー病)の病態を再現する疾患モデルを作製する方法は有用な方法と考えられる。更に、本発明のような、ホモ接合型では胎生致死になる可能性のある遺伝子変異を標的とした場合に、卵子でゲノム編集を行い、その後に受精させる方法は、胎生致死を回避する有用な手段と考えられた。
【0043】
[実施例4]
実施例2と同様の手順にしたがって、2個体のPSEN1-ΔE9新生児(I943gmMおよびI949gmM)を、さらに得た(図5のa)。I774gmFも加えた3個体について、臍帯血から抽出されたゲノムDNAを対象にして、サーベイヤーアッセイを実施した。結果を図5のbに示す。図5のbの下部に示されている記号は、CB:新生児の臍帯血から抽出されたゲノム、HR:新生児の毛根から抽出されたゲノム、M:マーカ、+N:Normal Genomeを添加、+および-:試薬コントロール、をそれぞれ表している。また、図5のcに示す通り、I774gmFおよびI943gmMは、ヘテロ接合状態の3’-スプライス部位を含む6 bpの欠失を、I949gmMは、ヘテロ接合状態の3’-スプライス部位を含む9 bpの欠失を、PSEN1遺伝子に有していた。
【0044】
野生型(I774gmF)およびPSEN1-ΔE9(I943gmMおよびI949gmM)マーモセットの線維芽細胞から得られた膜画分における、PS1タンパク質をウェスタンブロットによって解析した。結果を図6のaに示す。左パネルは、PS1タンパク質のN末端断片(NTF)に対する抗体を用いた結果である。右パネルは、PS1タンパク質のC末端断片(CTF)に対する抗体を用いた結果である。矢頭は、PS1のエンドタンパク質分解によって生成されたNTFおよびCTFを、矢印は全長PS1タンパク質を指している。ナトリウム-カリウムATPaseを膜画分のロード量コントロールとして使用した。
【0045】
また、上記初代線維芽細胞の培養液中のAβを、サンドイッチELISA(Wako, 294-62501, 290-62601)によって定量した。結果を図6のcに示す。図6のcは、平均値±標準誤差(WT:n=15、ΔE9:n=9)を表している。図6のcにおける**P≦0.01、****P≦0.0001は、Student's two-tailed t-testにしたがって有意差があったことを示している。実施例3と同様に、Aβ40低下、Aβ42増加、Aβ42/Aβ40比増加が認められた。なお、Aβ43レベルは検出限界未満であったので、図示していない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の非ヒト霊長類ADモデルは、アルツハイマー病の診断及び治療方法の開発に極めて有用である。
【0047】
[References]
1. Saito, T. et al. Single App knock-in mouse models of Alzheimer's disease. Nat Neurosci 17, 661-663, doi:10.1038/nn.3697 (2014).
2. Sasaguri, H. et al. APP mouse models for Alzheimer's disease preclinical studies. EMBO J 36, 2473-2487, doi:10.15252/embj.201797397 (2017).
3. Sasaki, E. et al. Generation of transgenic non-human primates with germline transmission. Nature 459, 523-527, doi:10.1038/nature08090 (2009).
4. Izpisua Belmonte, J. C. et al. Brains, genes, and primates. Neuron 86, 617-631, doi:10.1016/j.neuron.2015.03.021 (2015).
5. Miller, C. T. et al. Marmosets: A Neuroscientific Model of Human Social Behavior. Neuron 90, 219-233, doi:10.1016/j.neuron.2016.03.018 (2016).
6. Crook, R. et al. A variant of Alzheimer's disease with spastic paraparesis and unusual plaques due to deletion of exon 9 of presenilin 1. Nature medicine 4, 452-455 (1998).
7. Prihar, G. et al. Alzheimer disease PS-1 exon 9 deletion defined. Nature medicine 5, 1090, doi:10.1038/13383 (1999).
8. Smith, M. J. et al. Variable phenotype of Alzheimer's disease with spastic paraparesis. Annals of neurology 49, 125-129 (2001).
9. Le Guennec, K. et al. Deletion of exons 9 and 10 of the Presenilin 1 gene in a patient with Early-onset Alzheimer Disease generates longer amyloid seeds. Neurobiology of disease 104, 97-103, doi:10.1016/j.nbd.2017.04.020 (2017).
10. Blauwendraat, C. et al. Pilot whole-exome sequencing of a German early-onset Alzheimer's disease cohort reveals a substantial frequency of PSEN2 variants. Neurobiology of aging 37, 208.e211-208.e217, doi:10.1016/j.neurobiolaging.2015.09.016 (2016).
11. Hutton, M. et al. Complete analysis of the presenilin 1 gene in early onset Alzheimer's disease. Neuroreport 7, 801-805 (1996).
12. Kwok, J. B. et al. Two novel (M233T and R278T) presenilin-1 mutations in early-onset Alzheimer's disease pedigrees and preliminary evidence for association of presenilin-1 mutations with a novel phenotype. Neuroreport 8, 1537-1542 (1997).
13. Brooks, W. S. et al. Alzheimer's disease with spastic paraparesis and 'cotton wool' plaques: two pedigrees with PS-1 exon 9 deletions. Brain : a journal of neurology 126, 783-791 (2003).
14. Sato, K. et al. Generation of a Nonhuman Primate Model of Severe Combined Immunodeficiency Using Highly Efficient Genome Editing. Cell stem cell 19, 127-138, doi:10.1016/j.stem.2016.06.003 (2016).
15. Tomita, T. & Iwatsubo, T. Structural biology of presenilins and signal peptide peptidases. The Journal of biological chemistry 288, 14673-14680, doi:10.1074/jbc.R113.463281 (2013).
16. Shen, J. et al. Skeletal and CNS defects in Presenilin-1-deficient mice. Cell 89, 629-639 (1997).
17. Kumar-Singh, S. et al. Mean age-of-onset of familial Alzheimer disease caused by presenilin mutations correlates with both increased A beta 42 and decreased A beta 40. Human Mutation 27, 686-695, doi:10.1002/humu.20336 (2006).
18. Sakuma, T. et al. Repeating pattern of non-RVD variations in DNA-binding modules enhances TALEN activity. Scientific reports 3, 3379, doi:10.1038/srep03379 (2013).
19. Geula, C., Nagykery, N. & Wu, C. K. Amyloid-beta deposits in the cerebral cortex of the aged common marmoset (Callithrix jacchus): incidence and chemical composition. Acta neuropathologica 103, 48-58 (2002).
20. Ridley, R. M., Baker, H. F., Windle, C. P. & Cummings, R. M. Very long term studies of the seeding of beta-amyloidosis in primates. Journal of neural transmission (Vienna, Austria : 1996) 113, 1243-1251, doi:10.1007/s00702-005-0385-2 (2006).
21. Rodriguez-Callejas, J. D., Fuchs, E. & Perez-Cruz, C. Evidence of Tau Hyperphosphorylation and Dystrophic Microglia in the Common Marmoset. Frontiers in aging neuroscience 8, 315, doi:10.3389/fnagi.2016.00315 (2016).
22. t Hart, B. A. & Massacesi, L. Clinical, pathological, and immunologic aspects of the multiple sclerosis model in common marmosets (Callithrix jacchus). Journal of neuropathology and experimental neurology 68, 341-355, doi:10.1097/NEN.0b013e31819f1d24 (2009).
23. Tardif, S. D., Mansfield, K. G., Ratnam, R., Ross, C. N. & Ziegler, T. E. The marmoset as a model of aging and age-related diseases. ILAR journal 52, 54-65 (2011).
24. Crofts, H. S. et al. Investigation of the sleep electrocorticogram of the common marmoset (Callithrix jacchus) using radiotelemetry. Clinical neurophysiology : official journal of the International Federation of Clinical Neurophysiology 112, 2265-2273 (2001).
25. Hikishima, K. et al. Atlas of the developing brain of the marmoset monkey constructed using magnetic resonance histology. Neuroscience 230, 102-113, doi:10.1016/j.neuroscience.2012.09.053 (2013).
26. Senoo, A., Tokuno, H. & Watson, C. Mini-atlas of the marmoset brain. Neuroscience research 93, 128-135, doi:10.1016/j.neures.2014.12.014 (2015).
27. Hashikawa, T., Nakatomi, R. & Iriki, A. Current models of the marmoset brain. Neuroscience research 93, 116-127, doi:10.1016/j.neures.2015.01.009 (2015).
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
0007599177000001.app