(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241206BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2024100517
(22)【出願日】2024-06-21
【審査請求日】2024-06-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522487055
【氏名又は名称】株式会社ZISEDAI
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】角谷 亘
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第7283829(JP,B1)
【文献】特開2023-072911(JP,A)
【文献】特開2019-078155(JP,A)
【文献】特開2022-115566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が建物のプランを生成する方法であって、
建築の規制には、
常に適用される通常規制と、
所定の条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる特殊規制と
が含まれており、
前記特殊規制には、
前記建物に含まれる住戸の面積と戸数に関連する住戸規制と、
前記建物に含まれる共用部分に関連する共用部分規制と
が含まれており、
前記共用部分には、
個々の前記住戸に対応した面積を持つ第1共用部分と、
個々の前記住戸から独立した面積を持つ第2共用部分と
が含まれており、
1階に配置される特定の前記第2共用部分を、1階共用部分と呼び、
前記住戸規制において前記建物内の戸数が規定された前記住戸であって、第1面積未満の専有部分を持つ前記住戸を、基本住戸と呼び、
前記住戸規制において前記建物内の戸数が規定された前記住戸であって、前記第1面積と等しいか前記第1面積より大きい第2面積以上の専有部分を持つ前記住戸を、特定住戸と呼び、
敷地に前記建物を建築可能な3次元の範囲であって、前記敷地の所在地において適用される前記規制の要件を満たした3次元の範囲を、建築範囲と呼び、
前記建物の階数と前記建物の各階の床面積とに関するプランであって、前記建物が前記建築範囲内に収まり、かつ、前記建物の各階が所定の階高を持つ条件の下で、前記建物の総戸数が最大へ近づくように作成されたプランを、第1建物プランと呼び、
前記建物の
1階を含む各階の前記床面積に占める各前記住戸の前記専有部分の面積と、前記建物の
1階を含む各階の前記床面積に占める前記共用部分の面積とに関するプランであって、前記建物の各階の前記床面積が前記第1建物プランによって定められ、前記規制における容積率の要件を満たし、前記特定住戸の戸数が前記住戸規制の要件を満たし、前記特定住戸以外の前記住戸が、設定された最小面積以上の前記専有部分を持つ前記基本住戸であり、かつ、前記建物の総戸数が最大へ近づくように作成されたプランを、第2建物プランと呼び、
与えられた前記建築範囲及び前記第1建物プランに基づいて前記第2建物プランを生成する第2建物プラン生成工程を有し、
前記第2建物プラン生成工程が、
与えられた前記第1建物プランに基づいて、全ての前記住戸が前記基本住戸であると仮定した場合の前記第2建物プランである仮第2建物プランを生成する第1生成工程と、
前記仮第2建物プランにおける前記建物の総戸数を第1仮総戸数と呼び、前記仮第2建物プランにおいて前記容積率の要件の対象となる延べ床面積を第1仮延べ床面積と呼び、生成した前記仮第2建物プランにより算出される前記第1仮総戸数と前記第1仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記建物内の前記特定住戸の戸数が前記住戸規制の要件を満たす最小の戸数となり、かつ、前記延べ床面積が前記第1仮延べ床面積に近づくように、前記建物内の前記基本住戸の戸数と前記特定住戸の戸数との組み合わせである住戸数セットを決定する住戸数セット決定工程と、
決定した前記住戸数セットに基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす前記1階共用部分の面積を決定する1階共用部分面積決定工程と、
与えられた前記第1建物プランと、決定した前記1階共用部分の面積とに基づいて、前記建物内の前記特定住戸の戸数が前記決定した前記住戸数セットにおいて定める前記特定住戸の戸数となるように、前記1階共用部分の面積が含まれた前記第2建物プランを生成する第2生成工程とを含む、
方法。
【請求項2】
前記第2生成工程は、前記建物の各階へ前記特定住戸を配分するパターンが異なる複数の前記第2建物プランを生成することを含み、
前記第2建物プラン生成工程は、前記第2生成工程において生成した複数の前記第2建物プランの中から、前記建物の総戸数が最も多くなる前記第2建物プランを選択するプラン選択工程を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2生成工程は、決定した前記住戸数セットが定める前記建物内の前記特定住戸の戸数に基づいて、前記建物の各階における前記特定住戸の戸数のばらつきが1以下となるように、各階における前記特定住戸の戸数を決定し、前記ばらつきが1の場合、最上階に比べて1階の方が前記特定住戸の戸数が多くなる前記パターン、及び、1階に比べて最上階の方が前記特定住戸の戸数が多くなる前記パターンをそれぞれ決定し、決定した各前記パターンについて前記第2建物プランを生成することを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記最小面積である前記規格住戸を、基本規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記第2面積である前記規格住戸を、特定規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第2生成工程は、
決定した前記住戸数セットが定める前記建物内の前記特定住戸の戸数に基づいて、前記建物の各階における前記特定住戸の戸数を決定する特定住戸配分工程と、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットであって、決定した前記特定住戸の戸数に対応する前記特定規格住戸の前記専有部分の面積を含んだ前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第1面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第1面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第1共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第1面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第1専有部分面積決定工程とを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記住戸規制において前記建物内に1以上の前記特定住戸を含むことが必要になる条件を、特定住戸必要条件と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記基本住戸の前記専有部分の面積に関する条件に当てはまらない最小の前記専有部分の面積を、条件外専有面積と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記建物の総戸数の条件に当てはまらない最大の総戸数を、条件外総戸数と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記建物の階数の条件に当てはまらない最大の階数を、条件外階数と呼び、
全住戸の前記専有部分の面積が前記条件外専有面積以上である第1条件、前記建物内の前記住戸の総戸数が前記条件外総戸数である第2条件、及び、前記建物の階数が前記条件外階数である第3条件、のいずれか1つ若しくは2以上の組み合わせを、特定住戸回避条件と呼び、
前記第2建物プラン生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める階数及び前記床面積の範囲内において、1以上の前記特定住戸回避条件をそれぞれ満たすように1以上の前記第2建物プランを生成する第3生成工程と、
前記第2生成工程及び前記第3生成工程において生成した複数の前記第2建物プランの中から、前記建物の総戸数が最も多くなる前記第2建物プランを選択するプラン選択工程とを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記条件外専有面積である前記規格住戸を、条件外規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
全ての前記住戸が前記条件外規格住戸である1つの階の前記規格床面積を、条件外規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第3生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第2面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第2共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第2専有部分面積決定工程とを含み、
前記特定住戸回避条件に前記第1条件が含まれる場合、前記第2面積セット決定工程は、前記建物の各階について前記条件外規格床面積を示す前記面積セットを決定することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記最小面積である前記規格住戸を、基本規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
全ての前記住戸が前記基本規格住戸である1つの階の前記規格床面積を、基本規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第3生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第2面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第2共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第2専有部分面積決定工程とを含み、
前記特定住戸回避条件に前記第2条件が含まれる場合、
前記第2面積セット決定工程は、与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記基本規格床面積を示す前記面積セットを、前記建物の総戸数が前記条件外総戸数に達するまで、前記建物の1階から上階に向かって順に決定し、前記建物の1つの階において前記建物の総戸数が前記条件外総戸数に達するならば、前記建物の総戸数が前記条件外総戸数と等しくなるように、当該1つの階について前記面積セットを決定することを含み、
前記第2共用部分面積決定工程は、前記第2面積セット決定工程において前記面積セットを決定した最も上の階よりも上の階における住戸数及び前記専有部分の面積をゼロとみなして算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記面積セットを決定した各階の前記共用部分の面積を決定することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記最小面積である前記規格住戸を、基本規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
全ての前記住戸が前記基本規格住戸である1つの階の前記規格床面積を、基本規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第3生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第2面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第2共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第2専有部分面積決定工程とを含み、
前記特定住戸回避条件に前記第3条件が含まれる場合、
前記第2面積セット決定工程は、前記条件外階数の最上階までの各階について前記面積セットを決定することを含み、
前記第2共用部分面積決定工程は、前記条件外階数の最上階よりも上の階における住戸数及び前記専有部分の面積をゼロとみなして算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記条件外階数の最上階までの各階における前記共用部分の面積を決定することを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記建物における最大の前記床面積がそれぞれ定められた複数の前記建築範囲と、当該複数の前記建築範囲に基づく複数の前記第1建物プランとが与えられており、
前記最大の床面積は、1つの階に設けられる前記住戸の数であって、前記最小面積以上の所定の面積の前記専有部分を持った前記住戸の数に基づいて定められており、
与えられた複数の前記建築範囲は、前記最大の床面積がそれぞれ異なっており、
前記第1生成工程は、与えられた複数の前記第1建物プランの各々について前記仮第2建物プランを生成することを含み、
前記住戸数セット決定工程は、複数の前記第1建物プランについて生成した複数の前記仮第2建物プランに基づいて、複数の前記第1建物プランに対応した複数の前記住戸数セットを決定することを含み、
前記1階共用部分面積決定工程は、複数の前記第1建物プランについて決定した複数の前記住戸数セットに基づいて、複数の前記第1建物プランに対応した複数の前記1階共用部分の面積を決定することを含み、
前記第2生成工程は、複数の前記第1建物プランについて決定した複数の前記1階共用部分の面積に基づいて、複数の前記第1建物プランに対応した複数の前記第2建物プランを生成することを含み、
前記第2建物プラン生成工程は、複数の前記第1建物プランについて生成した複数の前記第2建物プランの中から、前記建物の総戸数が最も多くなる前記第2建物プランを選択するプラン選択工程を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2生成工程は、複数の前記第1建物プランの各々について、前記建物の各階へ前記特定住戸を配分するパターンが異なる複数の前記第2建物プランを生成することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記住戸規制において前記建物内に1以上の前記特定住戸を含むことが必要になる条件を、特定住戸必要条件と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記基本住戸の前記専有部分の面積に関する条件に当てはまらない最小の前記専有部分の面積を、条件外専有面積と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記建物の総戸数の条件に当てはまらない最大の総戸数を、条件外総戸数と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記建物の階数の条件に当てはまらない最大の階数を、条件外階数と呼び、
全住戸の前記専有部分の面積が前記条件外専有面積以上である要件、前記建物内の前記住戸の総戸数が前記条件外総戸数である要件、及び、前記建物の階数が前記条件外階数である要件、のいずれか1つ若しくは2以上の組み合わせを、特定住戸回避条件と呼び、
前記第2建物プラン生成工程は、与えられた前記第1建物プランが定める階数及び前記床面積の範囲内において、1以上の前記特定住戸回避条件をそれぞれ満たすように1以上の前記第2建物プランを生成する第3生成工程を含み、
前記プラン選択工程は、前記第2生成工程及び前記第3生成工程において生成した複数の前記第2建物プランの中から、前記建物の総戸数が最も多くなる前記第2建物プランを選択することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
建物のプランを生成する処理を情報処理装置に行わせる命令を含んだプログラムであって、
前記命令に従って前記情報処理装置が行う処理は、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載された方法の各工程を含む、
プログラム。
【請求項13】
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、
処理部と、
前記処理部において実行される命令を記憶した記憶部とを有し、
前記処理部が前記命令に従って行う処理は、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載された方法の各工程を含む、
情報処理装置。
【請求項14】
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載された方法の各工程を行う手段を備えた
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献には、敷地に建築する建物のプランを自動的に生成する方法の発明が記載される。この発明では、敷地の所在地における建築の規制(斜線制限、高さ制限、建蔽率等)の要件を満たし、かつ、収益性を高めるために住戸の数がなるべく多くなるように建物のプランが決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築の規制には、建物のプランに依存せず常に適用される規制(容積率、建蔽率の規制等)と、建物のプランに依存して適用の有無が変わる規制(ワンルーム住戸の規制等)がある。上述した特許文献に記載される方法では、後者の規制(特殊規制)の要件を満たしつつ、住戸の数がなるべく多くなるように、建物のプラン(住戸の数等)の変更を繰り返すループ処理が行われる。
【0005】
ところで特殊規制には、建物の1階に設けられる共用部分(管理人室、駐輪場等)についての規制もあり、建物の総戸数等が変更されると、この規制において1階の共用部分に必要とされる面積が大きく変化する場合がある。共用部分の面積が大きく変化すると、住戸として利用可能な面積も大きく変化するため、これに合わせて住戸数や住戸の面積を変更した場合、建物の総住戸数や延べ床面積が大きく変化することになる。総住戸数や延べ床面積が大きく変化すると、特殊規制の適用の有無が変化し易くなり、建物のプランの更なる変更が必要になる可能性がある。上述した特許文献に記載されるようなループ処理の内部で1階のプラン(住戸の面積、共用部分の面積)を決定しようとした場合、総住戸数や延べ床面積が大きく変化することにより、特殊規制の適用の有無と建物のプランの変更とが交互に繰り替えされてしまい、ループ処理を終了できなくなる可能性がある。これを回避するため、上述した特許文献に記載される方法では、ループ処理を行った後で1階のプランを決定している。しかしながら、この方法では、総戸数がなるべく多くなるように1階の住戸の戸数と面積を決定できないため、総戸数の少ないプランが生成され易くなる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、建築の規制の要件を満たしつつ、住戸の数がなるべく多くなるように1階から最上階までの住戸の戸数と面積が決定された建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、情報処理装置が建物のプランを生成する方法であって、建築の規制には、常に適用される通常規制と、所定の条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる特殊規制とが含まれており、特殊規制には、建物に含まれる住戸の面積と戸数に関連する住戸規制と、建物に含まれる共用部分に関連する共用部分規制とが含まれており、共用部分には、個々の住戸に対応した面積を持つ第1共用部分と、個々の住戸から独立した面積を持つ第2共用部分とが含まれており、1階に配置される特定の第2共用部分を、1階共用部分と呼び、住戸規制において建物内の戸数が規定された住戸であって、第1面積未満の専有部分を持つ住戸を、基本住戸と呼び、住戸規制において建物内の戸数が規定された住戸であって、第1面積と等しいか第1面積より大きい第2面積以上の専有部分を持つ住戸を、特定住戸と呼び、敷地に建物を建築可能な3次元の範囲であって、敷地の所在地において適用される規制の要件を満たした3次元の範囲を、建築範囲と呼び、建物の階数と建物の各階の床面積とに関するプランであって、建物が建築範囲内に収まり、かつ、建物の各階が所定の階高を持つ条件の下で、建物の総戸数が最大へ近づくように作成されたプランを、第1建物プランと呼び、建物の1階を含む各階の床面積に占める各住戸の専有部分の面積と、建物の1階を含む各階の床面積に占める共用部分の面積とに関するプランであって、建物の各階の床面積が第1建物プランによって定められ、規制における容積率の要件を満たし、特定住戸の戸数が住戸規制の要件を満たし、特定住戸以外の住戸が、設定された最小面積以上の専有部分を持つ基本住戸であり、かつ、建物の総戸数が最大へ近づくように作成されたプランを、第2建物プランと呼び、与えられた建築範囲及び第1建物プランに基づいて第2建物プランを生成する第2建物プラン生成工程を有し、第2建物プラン生成工程が、与えられた第1建物プランに基づいて、全ての住戸が基本住戸であると仮定した場合の第2建物プランである仮第2建物プランを生成する第1生成工程と、仮第2建物プランにおける建物の総戸数を第1仮総戸数と呼び、仮第2建物プランにおいて容積率の要件の対象となる延べ床面積を第1仮延べ床面積と呼び、生成した仮第2建物プランにより算出される第1仮総戸数と第1仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、建物内の特定住戸の戸数が住戸規制の要件を満たす最小の戸数となり、かつ、延べ床面積が第1仮延べ床面積に近づくように、建物内の基本住戸の戸数と特定住戸の戸数との組み合わせである住戸数セットを決定する住戸数セット決定工程と、決定した住戸数セットに基づいて、共用部分規制の要件を満たす1階共用部分の面積を決定する1階共用部分面積決定工程と、与えられた第1建物プランと、決定した1階共用部分の面積とに基づいて、建物内の特定住戸の戸数が決定した住戸数セットにおいて定める特定住戸の戸数となるように、1階共用部分の面積が含まれた第2建物プランを生成する第2生成工程とを含む、方法である。
【0008】
本発明の第2の態様は、建物のプランを生成する処理を情報処理装置に行わせる命令を含んだプログラムであって、命令に従って情報処理装置が行う処理は、上記第1の態様に係る方法の各工程を含む、プログラムである。
【0009】
本発明の第3の態様は、建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、処理部と、処理部において実行される命令を記憶した記憶部とを有し、処理部が命令に従って行う処理は、上記第1の態様に係る方法の各工程を含む、情報処理装置である。
【0010】
本発明の第4の態様は、建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、上記第1の態様に係る方法の各工程を行う手段を備えた、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、建築の規制の要件を満たしつつ、住戸の数がなるべく多くなるように1階から最上階までの住戸の戸数と面積が決定された建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、面積情報に含まれる情報の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4A~
図4Cは、建築範囲を決定する方法の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、第1建物プランを生成する方法の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6A~
図6Cは、天空率の要件を満たした建物の外形を決める方法の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る第2建物プランの生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、住戸数セットを決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、住戸数セットを決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、特定住戸の配分のパターンが異なる複数の第2建物プランを生成する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る第2建物プランの生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、特定住戸回避条件を満たした第2建物プランを生成する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、特定住戸回避条件を満たした第2建物プランを生成する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図14は、特定住戸回避条件を満たした第2建物プランを生成する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図16】
図16は、第3の実施形態に係る第2建物プランの生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図17】
図17は、特定住戸の配分のパターンが異なる複数の第2建物プランを生成する処理の一変形例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図1の例に示すシステムは、インターネットなどの通信ネットワーク9を介して通信可能な情報処理装置1及び端末装置3を有する。
情報処理装置1は、本発明の情報処理装置の一例である。
【0014】
図1に示すシステムでは、情報処理装置1にアクセスした端末装置3に対して建物プランに関する情報を提供する処理が行われる。ユーザが操作する端末装置3において特定の敷地が指定されると、その敷地の所在地における建築の規制(斜線制限、高さ制限、建蔽率、容積率など)を満たすとともに、出来るだけ大きい収益が得られるように住戸の数が最大化された建物のプランが生成され、この建物のプランが端末装置3において表示される。
【0015】
まず、本明細書で使用される一部の用語について説明する。
【0016】
「通常規制」:
通常規制は、建築に関する規制のうち、建物のプランに依存することなく常に適用される規制である。例えば建蔽率に関する規制、容積率に関する規制等が通常規制に該当する。
【0017】
「特殊規制」:
特殊規制は、建築に関する規制のうち、所定の条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる規制である。特殊規制は、建物のプランに依存して適用の有無が変化する。例えば、ワンルーム住戸に関する規制、駐輪場に関する規制、管理人室に関する規制、防災備蓄倉庫に関する規制、廊下幅に関する規制、階段に関する規制などが特殊規制に該当する。
【0018】
「住戸規制」:
住戸規制は、建物に含まれる住戸の面積と戸数に関連する特殊規制であり、例えばワンルーム住戸に関する特殊規制がこれに該当する。
【0019】
「第1共用部分」:
第1共用部分は、個々の住戸に対応した面積を持つ共用部分であり、例えば廊下、バルコニーなどがこれに該当する。
【0020】
「第2共用部分」:
第2共用部分は、個々の住戸から独立した面積を持つ共用部分であり、例えば階段、エレベータ、管理人室、駐輪場などがこれに該当する。
【0021】
「1階共用部分」:
1階共用部分は、1階に配置される特定の第2共用部分であり、例えば駐輪場、バイク置場、メールコーナー、エントランス、避難通路、管理人室、ごみ置場などがこれに該当する。
【0022】
「基本住戸」:
基本住戸は、住戸規制において建物内の戸数が規定された住戸であって、所定の面積(第1面積)より小さい専有部分を持つ住戸である。基本住戸はワンルーム住戸とも呼ばれる。
【0023】
「特定住戸」:
特定住戸は、住戸規制において建物内の戸数が規定された住戸であって、基本住戸の基準となる第1面積と等しいか第1面積より大きい所定の面積(第2面積)以上の専有部分を持つ住戸である。特定住戸はファミリー住戸とも呼ばれる。
【0024】
「規格住戸」:
規格住戸は、所定の面積の専有部分を持つ住戸である。
【0025】
「基本規格住戸」:
基本規格住戸は、基本住戸の基準となる第1面積より小さい所定の最小面積の専有部分を持つ規格住戸である。最小面積は、例えばユーザによって設定される。
【0026】
「特定規格住戸」:
特定規格住戸は、特定住戸の基準となる第2面積と等しい面積の専有部分を持つ規格住戸である。
【0027】
「規格床面積」:
規格床面積は、全ての住戸が規格住戸である1つの階の床面積である。
【0028】
「面積セット」:
面積セットは、規格床面積に含まれる各規格住戸の専有部分の面積と共用部分の面積との組み合わせである。面積セットは、規格住戸の戸数に応じた第1共用部分の面積と、第2共用部分の面積とを含む。
【0029】
「建築範囲」:
建築範囲は、敷地に建物を建築可能な3次元の範囲である。建築範囲は、敷地の所在地において適用される規制の要件を満たすように決定される。例えば建築範囲は、建物の高さの制限、斜線制限(道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限)、敷地境界からのセットバック、建蔽率などの要件を満たす。
【0030】
「第1建物プラン」:
第1建物プランは、建物の階数と建物の各階の床面積とに関するプランである。第1建物プランは、建物が建築範囲内に収まり、かつ、建物の各階が所定の階高を持つ条件の下で、建物の総戸数が最大へ近づくように作成される。
【0031】
「第2建物プラン」:
第2建物プランは、建物の各階の床面積に占める各住戸の専有部分の面積と、建物の各階の床面積に占める共用部分の面積とに関するプランである。第2建物プランは、少なくとも以下の要件を満たしつつ、建物の総戸数が最大へ近づくように作成される。
・建物の各階が、第1建物プランによって定められた床面積を持つ。
・建物の延べ床面積が、容積率の要件を満たす。
・特定住戸の戸数が、住戸規制の要件を満たす。
・特定住戸以外の住戸が、設定された最小面積以上の専有部分を持つ基本住戸である。
【0032】
次に、
図1に示すシステムの各装置について説明する。
【0033】
[情報処理装置1]
情報処理装置1は、指定された敷地における建物のプランを自動的に生成する処理を行う。例えば情報処理装置1は、通信ネットワーク9に接続された1台若しくは複数台のコンピュータを含んで構成される。
図1の例に示す情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、処理部13を有する。
【0034】
通信部11は、通信ネットワーク9を介して他の装置(端末装置3など)と通信を行う。通信部11は、例えばイーサネット(登録商標)や無線LANなどの所定の通信規格に準拠して通信を行う装置(ネットワークインターフェースカードなど)を含む。
【0035】
記憶部12は、処理部13において実行可能な命令を含む1以上のプログラム121や、処理部13による処理の過程で一時的に保存されるデータ、処理部13の処理に利用されるデータ、処理部13の処理の結果として得られたデータ等を記憶する。記憶部12は、例えば、主記憶装置(RAM、ROM等)と補助記憶装置(フラッシュメモリ、SSD、ハードディスク、メモリカード、光ディスク等)を含んでよい。記憶部12は、1つの記憶装置から構成されてもよいし、複数の記憶装置から構成されてもよい。記憶部12が複数の記憶装置から構成される場合、各記憶装置は、コンピュータのバスや他の任意のデータ伝送手段を介して処理部13に接続される。
【0036】
処理部13は、情報処理装置1の全体的な動作を統括的に司り、所定の情報処理を実行する。処理部13は、例えば、記憶部12に格納された1以上のプログラム121の命令に応じて処理を実行する1以上のプロセッサ(CPU(central processing unit)、MPU(micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、NPU(neural network processing unit)等)を含む。処理部13は、記憶部12に記憶される1以上のプログラム121の命令を1以上のプロセッサが実行することにより、1以上のコンピュータとして動作する。情報処理装置1は、複数のコンピュータを有していてもよく、本実施形態に係る処理の少なくとも一部を複数のコンピュータが連携して実行してもよい。
【0037】
処理部13は、特定の機能を実現するように構成された1以上の専用のハードウェア(ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)等)を含んでもよい。処理部13は、本実施形態において説明する全ての処理を1以上のコンピュータにおいて実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェアにおいて実行してもよい。
【0038】
プログラム121は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体(光ディスク、メモリカード、USBメモリ、その他の非一時的な有形の媒体)に記録されていてもよい。処理部13は、そのような記録媒体に記録された1以上のプログラム121の少なくとも一部を不図示の記録媒体読み取り装置(光ディスク装置等)やインターフェース装置(USBインターフェース等)により読み込んで、記憶部12に書き込んでもよい。あるいは処理部13は、通信ネットワーク9に接続される他の装置から通信部11により1以上のプログラム121の少なくとも一部をダウンロードして、記憶部12に書き込んでもよい。1以上のプログラム121は、後述する本実施形態に係る処理の少なくとも一部を処理部13において実行させる命令を含んでよい。
【0039】
記憶装置2は、情報処理装置1の処理において使用される種々の情報を記憶する。情報処理装置1と記憶装置2は、任意の通信手段(LAN、専用回線網、インターネット等)介して通信可能である。例えば記憶装置2は、複数の装置からのアクセスを受け付けるファイルサーバやデータベースサーバ等に含まれていてもよいし、情報処理装置1のみアクセス可能な専用の記憶装置でもよい。
図1の例において、記憶装置2は、規制データベース21と、地図データベース22と、面積情報データベース23とを記憶する。以下の説明では、データベースを「DB」と省略して記載する場合がある。
【0040】
規制DB21は、敷地の所在地に応じて定められた建築の規制に関する規制情報を含む。規制情報は、例えば、敷地の所在地に関する情報と、その所在地において適用される規制(斜線制限、高さ制限、建蔽率、容積率、ワンルーム条例など)に関する情報を含む。
【0041】
地
図DB22は、地図を構成する各種の情報を含む。例えば地
図DB22は、土地の境界に関する情報、土地の属性(敷地、道路、河川など)に関する情報、所在地(住所)に関する情報などを含む。
【0042】
面積情報DB23は、建物の1つの階に含まれる建物要素(住戸、共用部分など)の面積に関する面積情報を含む。
図2は、1つの面積情報に含まれる情報の例を示す。
図2の例において、1つの面積情報は、専有部分情報と、第1共用部分情報と、第2共用部分情報と、特殊規制情報を含む。
【0043】
専有部分情報は、1つの階に含まれる規格住戸の専有部分の面積に関する情報を含む。例えば専有部分情報は、基本住戸の基準となる第1面積の情報と、特定住戸の基準となる第2面積の情報を含む。住戸規制において複数の第2面積が規定されている場合、専有部分情報は当該複数の第2面積を含む。
【0044】
第1共用部分情報は、個々の規格住戸に対応した面積を持つ第1共用部分の面積に関する情報を含む。種々の規則(特殊規制等)に従って第1共用部分の面積が変化する場合、第1共用部分情報は、第1共用部分の面積を算出するための計算式や計算手順に関する情報を含んでもよい。例えば第1共用部分情報は、対応する規格住戸の面積、建物の総戸数、延べ床面積、対象のフロアの階数、建物全体の階数、建物の高さ、敷地面積、建築面積等のパラメータに基づいて第1共用部分の面積を算出する計算式等を含んでもよい。
【0045】
第2共用部分情報は、個々の規格住戸から独立した面積を持つ第2共用部分の面積に関する情報を含む。種々の規則(特殊規制等)に従って第2共用部分の面積が変化する場合、第2共用部分情報は、第2共用部分の面積を算出するための計算式や計算手順に関する情報を含んでもよい。例えば第2共用部分情報は、建物の総戸数、延べ床面積、対象のフロアの階数、建物全体の階数、建物の高さ、敷地面積、建築面積等のパラメータに基づいて第2共用部分の面積を算出する計算式等を含んでもよい。
【0046】
特殊規制情報は、専有部分や共用部分の面積に関係する特殊規制の情報を含む。建物を建築する敷地において適用される特殊規制の情報が規制DB21において得られると、この特殊規制の情報と適合する特殊規制情報が含まれた面積情報を面積情報DB23から取得することが可能となる。
【0047】
情報処理装置1は、面積情報の上述した専有部分情報、第1共用部分情報、第2共用部分情報を用いて、規格床面積の面積セットに含まれる各住戸の専有部分の面積と共用部分の面積を取得する。
【0048】
[端末装置3]
端末装置3は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの情報通信機能を備えた装置であり、建物のプランに関する情報を閲覧するユーザによって操作される。
図1の例において端末装置3は1つであるが、端末装置3は複数であってもよい。端末装置3は、情報処理装置1の通信部11、記憶部12、処理部13と同様な処理部、記憶部、通信部を備える。また端末装置3は、ユーザの指示を処理部に入力する入力部(タッチパネル、マウス、キーボード等)、情報を表示する表示部(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクタ等)を備える。
【0049】
ここで、上述した構成を有する情報処理装置1において行われる建物のプランの生成に関する処理について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップST100は、本発明の規制情報取得工程の一例である。
ステップST105は、本発明の建築範囲決定工程の一例である。
ステップST110は、本発明の第1建物プラン生成工程の一例である。
ステップST115は、本発明の第2建物プラン生成工程の一例である。
【0050】
ST100:
端末装置3は、ディスプレイに表示された地図上で特定の敷地を指定するユーザの操作や、特定の敷地の住所を入力するユーザの操作などにより、特定の敷地において建築可能な建物のプランの表示を求めるユーザの指示を入力すると、入力したユーザの指示に応じた建物のプランの生成要求を情報処理装置1へ送信する。情報処理装置1は、建物のプランの生成要求を端末装置3から受信すると、要求された建物のプランの生成に必要な情報を取得する。例えば情報処理装置1は、建物が建築される敷地の境界線に関する情報、敷地の境界線に接した隣地若しくは道路に関する情報、敷地の所在地において適用され得る建築の規制に関する情報を、規制DB21や地
図DB22から取得する。この場合、情報処理装置1は、ユーザが希望する建物の仕様に関する情報として、建物の階高(1階あたりの高さ)に関する情報、住戸の専有部分の最小面積に関する情報、建物の間口に関する情報、バルコニーの有無を指定する情報などを端末装置3から取得してもよい。
【0051】
ST105:
次に情報処理装置1は、ステップST100において取得された情報に基づいて、敷地における建物の3次元の建築範囲を決定する。すなわち、情報処理装置1は、建築の規制として適用される建築範囲に関連する規制(以下、「建築範囲規制」と呼ぶ。)の要件と建蔽率の要件とをそれぞれ満たすように建築範囲を決定する。建築範囲規制には、例えば、建物の高さの制限、斜線制限(道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限)、敷地境界からのセットバックなどが含まれる。例えば情報処理装置1は、建築範囲規制の要件を満たすとともに建蔽率の要件を満たした最も範囲の広い建築範囲を決定する。
【0052】
情報処理装置1は、建築範囲を決定する場合、敷地の各境界線を敷地の内側へ後退させることにより形成される2次元の領域(以下、「敷地内領域」と呼ぶ。)を設定する。例えば情報処理装置1は、敷地の各境界線を所定の距離だけ内側へ後退させることにより、初期状態の敷地内領域を形成する。
【0053】
敷地内領域の少なくとも1つの領域境界線が、建築範囲規制における敷地の境界線からの後退距離に関する規制(セットバック)の要件に反している場合、情報処理装置1は、この規制の要件を満たすように、当該少なくとも1つの領域境界線を敷地の境界線に対して後退させた敷地内領域を形成する。
【0054】
高さ制限や斜線制限に関する建築範囲規制が適用される場合、情報処理装置1は、これらの規制の要件を満たすように、建築範囲の上方の境界面を設定する。また情報処理装置1は、敷地内領域の領域境界線上に、鉛直方向へ伸びた建築範囲の側方の境界面を設定する。
【0055】
敷地内領域の面積に対応する建物の建築面積が建蔽率の要件を満たしていない場合、情報処理装置1は、この建蔽率の要件を満たすように、建築範囲の上方の境界面と最も低い位置で接した側方の境界面に対応する敷地内領域の領域境界線を敷地の境界線に対して後退させる。なお情報処理装置1は、敷地内領域の領域境界線を敷地の境界線に対して後退させているとき、建築範囲の上方の境界面と最も低い位置で接した側方の境界面が変化した場合は、変化後の側方の境界面に対応する敷地内領域の領域境界線を敷地の境界線に対して後退させる。
【0056】
図4A~
図4Cは、それぞれ建築範囲の例を示す。
図4A~
図4Cにおける左側の図は、敷地4の上方から鉛直方向に沿って見た建築範囲6の領域である敷地内領域5を示す。
図4A~
図4Cにおける右側の図は、斜め上方から見た建築範囲6を示す。
【0057】
図4Aは、初期状態の建築範囲6を示す。
図4Aの例において、敷地4は4つの境界線41~44を有する。初期状態の敷地内領域5は、境界線41~44をそれぞれ所定の距離だけ内側へ後退させた位置に領域境界線51~54を持つ。初期状態における領域境界線51~54の少なくとも1つが建築範囲規制における敷地の境界線からの後退距離に関する規制(セットバック)の要件に反している場合、情報処理装置1は、要件に反している領域境界線(51~54)を敷地4の境界線(41~44)に対して更に後退させる。
【0058】
図4Aの右側に示す建築範囲6は、2つの上方の境界面65及び66と、4つの側方の境界面61~64を有する。水平な上方の境界面65は、建築範囲規制における高さ制限の限界に対応し、水平に対して傾いた上方の境界面66は、建築範囲規制における斜線制限の限界に対応する。4つの側方の境界面61~64は、それぞれ敷地内領域5の領域境界線51~54上に位置し、鉛直方向へ伸びている。
【0059】
図4Bは、建蔽率の要件を満たすように、敷地内領域5の領域境界線54を敷地4の境界線44に対して後退させた状態の建築範囲6を示す。
図4A、
図4Bに示すように、建築範囲6の上方の境界面66と最も低い位置で接しているのは、側方の境界面64である。従って、情報処理装置1は、側方の境界面64に対応する敷地内領域5の領域境界線54を、敷地4の境界線44に対して後退させる。情報処理装置1は、敷地内領域5の面積に対応する建物の建築面積が、建蔽率の要件を満たす最大の面積になる位置まで、敷地内領域5の領域境界線54を後退させる。
【0060】
図4Cは、建蔽率の要件を満たす状態よりも更に境界線44に対して後退させた状態の建築範囲6を示す。
図4Cに示すように、上方の境界面66と最も低い位置で接している側方の境界面64に対応した敷地内領域5の領域境界線54を後退させることにより、斜線制限による境界面66が小さくなり、建築範囲6の形状が角柱に近くなる。
【0061】
ST110:
図3に戻る。
情報処理装置1は、ステップST105において決定された建築範囲と、建物の各階に設定された階高とに基づいて、建物の階数と建物の各階の床面積とに関する第1建物プランを生成する。情報処理装置1は、建物における住戸の数(総戸数)が最も多くなるように第1建物プランを生成する。
【0062】
情報処理装置1は、1つの階の床面積を算出する場合、当該1つの階の床面と当該1つの階に対して1つ上の階の床面との間の所定の位置を通る水平面において建築範囲の側方の境界面により囲まれた領域に基づいて、当該1つの階における床の形状を決定し、この決定した床の形状に基づいて床面積を算出する。
【0063】
図5Aは、ステップST105において決定された建築範囲の一例を示す。
図5Aに示す建築範囲6は、6階以上7階未満の高さを有する。領域606は、7階の床面の位置を通る水平面において建築範囲6の側方の境界面61~64により囲まれた領域である。
図5Bは、
図5Aに示す敷地内領域5に基づいて決定される建物7の一例を示す。
図5Bに示す建物7における6階の床面706の形状は、
図5Aに示す領域606に基づいて決定される。同様に、建物7における1~5階の床面701~705の形状は、それぞれ
図5Aに示す領域601~605に基づいて決定される。第1建物プランにおける各階の床面積は、それぞれ床面701~706の形状に基づいて算出される。
また、
図5Aに示す建築範囲6は6階以上7階未満の高さを有するため、建築範囲6に基づく第1建物プランにおける建物7の階数は6に決定される。
【0064】
なお、斜線制限には天空率に基づく緩和の条件が定められている。すなわち、建物の敷地に面した所定の測定ポイントで測定した天空率が、斜線制限の適用を受けた建物の天空率と同等以上である場合、この建物には斜線制限が適用されないことが定められている。そこで、情報処理装置1は、ステップST105において決定された建築範囲に基づいて第1建物プラン(建物の階数、各階の床面積)を決定する場合、建築範囲規制における斜線制限の適用を受けない天空率の条件を満たすように建物の外形を決定し、その外形に基づいて第1建物プランを生成してもよい。
【0065】
例えば情報処理装置1は、建築範囲の敷地内領域に対応する底面を持つ角柱状の建物であって、高さの制限に関する建築範囲規制の要件を満たすとともに最上階が所定の階高(ユーザにより設定された階高)を持つ角柱状の建物を想定した場合に、この角柱状の建物から、水平面に対して垂直な面で一部の角を切り取ることにより、斜線制限の適用を受けない建物の天空率の条件を満たすように(斜線制限の適用を受けた建物の天空率と同等の天空率となるように)、角柱状の建物の形状を決定する。そして情報処理装置1は、決定した角柱状の建物に基づいて、第1建物プラン(建物の階数、各階の床面積)を決定する。
【0066】
図6A~
図6Cは、それぞれ建物の外形の例を示す。
図6A~
図6Cにおける左側の図は、敷地4の上方から鉛直方向に沿って見た敷地内領域5を示す。
図6A~
図6Cにおける右側の図は、斜め上方から見た建物7を示す。
【0067】
図6Aは、ステップST105において決定された建築範囲6(
図4C)において、斜線制限がないものとみなした場合に得られる角柱状の建物7を示す。
図6Aに示す建物7では、上側の一部が斜線制限による境界面66からはみ出している。
図6Aに示す建物7において、6階より上の部分は所定の階高を有していない。
図6Bは、
図6Aに示す建物7における6階より上の部分を切り取った状態を示す。
図6Bに示す建物7は、高さの制限に関する建築範囲規制の要件を満たすとともに、最上階(6階)が所定の階高を有する最も高い角柱状の建物となっている。
図6Cは、この
図6Bに示す建物7における領域境界線54側の角の一部が水平面に対して垂直な面で切り取られた状態を示す。角を切り取られた部分には、水平面に対して垂直な境界面71、72が形成されている。
図6Cに示すように、角柱状の建物7における角の一部を切り取ることにより、斜線制限の適用を受けない建物の天空率の条件を満たした建物7の外形を決定することができる。
【0068】
ST115:
再び
図3に戻る。
ステップST110において第1建物プラン(建物の階数、各階の床面積)が決定されると、情報処理装置1は、この決定された第1建物プランと、住戸の専有部分の最小面積とに基づいて、建物各階の床面積に占める各住戸の専有部分の面積と、建物の各階の床面積に占める共用部分の面積とに関する第2建物プランを生成する。
【0069】
情報処理装置1は、ステップST110及びST115で得られた第1建物プラン及び第2建物プランの情報を端末装置3に提供し、端末装置3のディスプレイにおいて表示させる。
【0070】
次に、第2建物プランを生成するステップST115(
図3)の処理について詳しく説明する。
図7は、第2建物プランを生成する処理(ST115:
図3)の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップST205は、本発明の第1生成工程の一例である。
ステップST210は、本発明の住戸数セット決定工程の一例である。
ステップST215は、本発明の1階共用部分面積決定工程の一例である。
ステップST220は、本発明の第2生成工程の一例である。
ステップST235は、本発明のプラン選択工程の一例である。
【0071】
ST205:
情報処理装置1は、ステップST105において生成した第1建物プランに基づいて、全ての住戸が基本住戸(専有部分の面積が最小面積以上かつ第1面積未満の住戸)であると仮定した場合の第2建物プラン(以下、「仮第2建物プラン」と呼ぶ。)を生成する。
【0072】
具体的には、情報処理装置1は、建物の各階について、第1建物プランで定められた床面積を超えない最大の規格床面積を示す面積セットを決定する。この場合、情報処理装置1は、各住戸の専有部分面積として基本規格住戸の面積(ユーザにより設定された最小面積)を含むように各階の面積セットを決定する。情報処理装置1は、ステップST100において取得した特殊規制の情報に適合する特殊規制情報が含まれた面積情報(
図2)を面積情報DB23から読み出し、この面積情報を用いて、基本規格住戸の専有部分面積が含まれた面積セットを生成する。例えば情報処理装置1は、基本規格住戸の戸数が異なる複数の面積セットを生成し、生成した複数の面積セットの規格床面積と、第1建物プランで定められた床面積とをそれぞれ比較することにより、第1建物プランで定められた床面積を超えない最大の規格床面積を示す面積セットを特定する。
【0073】
なお情報処理装置1は、面積情報(
図2)の第1共用部分情報及び第2共用部分情報を用いて面積セットの共用部分の面積を取得する場合、この段階では面積計算用のパラメータ(総戸数、延べ床面積等)が分からないため、比較的小さい面積が得られる仮のパラメータを計算式等に設定して共用部分の面積を取得してもよい。また情報処理装置1は、1階の面積における1階共用部分面積については、暫定的にゼロとしてもよい。各階の面積セットにおいて共用部分の面積を小さくすることにより、仮第2建物プランにおける建物の総戸数が想定上の最大値と見なされ易くなる。
【0074】
情報処理装置1は、1つの階について面積セットを決定すると、当該1つの階の面積セットが示す規格床面積と当該1つの階について第1建物プランが定める床面積との差(以下、「差分面積」と呼ぶ。)を算出する。情報処理装置1は、この算出した差分面積を、当該1つの階における住戸の専有部分の面積に組み入れる。例えば情報処理装置1は、当該1つの階の面積セットにおける各基本規格住戸の専有部分の面積に対して、差分面積を均等に配分し加算する。情報処理装置1は、建物の各階において上述した差分面積の配分と加算を行うことにより、仮第2建物プランにおける各階の各基本住戸の専有部分面積を決定する。また情報処理装置1、各階の面積セットにおける共用部分面積により、仮第2建物プランにおける各階の共用部分面積を決定する。
【0075】
ST210:
情報処理装置1は、ステップST205において生成した仮第2建物プランに基づいて、建物内の基本住戸の戸数と特定住戸の戸数との組み合わせである住戸数セットを決定する。
【0076】
以下では、仮第2建物プランにおける建物の総戸数を「第1仮総戸数」と呼び、仮第2建物プランにおいて容積率の要件の対象となる延べ床面積を「第1仮延べ床面積」と呼ぶ。情報処理装置1は、ステップST205において生成した仮第2建物プランにより算出される第1仮総戸数と第1仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、建物内の特定住戸の戸数が住戸規制の要件を満たす最小の戸数となり、かつ、建物の延べ床面積が第1仮延べ床面積に近づくように、住戸数セット(基本住戸の戸数と特定住戸の戸数との組み合わせ)を決定する。
【0077】
図8は、住戸数セットを決定する処理(ST210)の一例を説明するためのフローチャートである。この例は、建物の総戸数に応じて特定住戸の最小の戸数が決まる住戸規制に対して住戸数セットを決定する処理を示す。
【0078】
ここでは、以下の用語を用いて処理の内容を説明する。
「特定住戸数」:
住戸規制の要件を満たす特定規格住戸(専有部分=第2面積)の最小の戸数
「基本住戸数」:
建物における基本規格住戸(専有部分=最小面積)の戸数
「特定住戸面積」:
容積率の規制において延べ床面積の対象となる1以上の特定規格住戸の面積
「基本住戸面積」:
容積率の規制において延べ床面積の対象となる1以上の基本規格住戸の面積
【0079】
特定住戸面積及び基本住戸面積は、専有部分の面積の他に、延べ床面積の対象となる所定の建物要素(メータボックス、パイプスペース等)の面積も含む。
【0080】
まず情報処理装置1は、仮第2建物プランが示す建物の総戸数t0(第1仮総戸数)から、住戸規制の要件を満たす特定住戸数a1を算出する(ST300)。総戸数t0は、想定上の最大の総戸数と見なせるため、特定住戸数a1は特定住戸数の最大値と見なせる。
【0081】
次いで情報処理装置1は、特定住戸数a1に対応した特定住戸面積Sa1を算出し(ST305)、仮第2建物プランが示す延べ床面積St0(第1仮延べ床面積)から特定住戸面積Sa1を引いた差を基本住戸面積Sb1として算出する(ST310)。情報処理装置1は、この基本住戸面積Sb1を1戸分の基本住戸面積で割ることにより、基本住戸数b1(1未満の端数を切り捨てた値)を算出する(ST315)。
【0082】
特定住戸数a1は特定住戸数の最大値と見なせるため、特定住戸数a1と基本住戸数b1との和として得られる総戸数t1は、仮第2建物プランが示す延べ床面積St0において得られる総戸数の最小値と見なせる。
【0083】
情報処理装置1は、総戸数t1(=a1+b1)から、住戸規制の要件を満たす特定住戸数a2を算出する(ST320)。総戸数t1は延べ床面積St0における最小値と見なせるため、特定住戸数a2は特定住戸数の最小値に近い値と見なせる。
【0084】
情報処理装置1は、特定住戸数a2に対応した特定住戸面積Sa2を算出し(ST325)、仮第2建物プランが示す延べ床面積St0から特定住戸面積Sa2を引いた差を基本住戸面積Sb2として算出する(ST330)。情報処理装置1は、この基本住戸面積Sb2を1戸分の基本住戸面積で割ることにより、基本住戸数b2(1未満の端数を切り捨てた値)を算出する(ST335)。特定住戸数a2は特定住戸数の最小値に近い値と見なせるため、基本住戸数b2は、仮第2建物プランが示す延べ床面積St0において得られる基本住戸数の最大値に近い値と見なせる。
【0085】
情報処理装置1は、総戸数t2(=a2+b2)から、住戸規制の要件を満たす特定住戸数a3を算出する(ST340)。総戸数t2は、延べ床面積St0において特定住戸数が最小かつ基本住戸数が最大となる場合の理想的な総戸数に近い値と見なせるため、特定住戸数a3は、この理想的な総戸数において得られる特定住戸数となる。
【0086】
情報処理装置1は、理想的な総戸数t2から特定住戸数a3を引いた差を、基本住戸数b3として算出する(ST345)。情報処理装置1は、特定住戸数a3と基本住戸数b3の組み合わせとして住戸数セットを取得する。
【0087】
図9は、住戸数セットを決定する処理(ST210)の他の一例を説明するためのフローチャートである。この例は、延べ床面積に応じて特定住戸の最小の戸数が決まる住戸規制に対して住戸数セットを決定する処理を示す。
【0088】
この例において、情報処理装置1は、仮第2建物プランが示す建物の延べ床面積St0(第1仮延べ床面積)から、住戸規制の要件を満たす最大の特定住戸面積Sa0を算出する(ST400)。情報処理装置1は、この特定住戸面積Sa0を1戸分の特定住戸面積で割ることにより、特定住戸数a1(1未満の端数を切り捨てた値)を算出する。また情報処理装置1は、延べ床面積St0から特定住戸面積Sa0を引いた値として基本住戸面積Sb0を算出し、この基本住戸面積Sb0を1戸分の基本住戸面積で割ることにより、基本住戸数b1(1未満の端数を切り捨てた値)を算出する(ST405)。特定住戸数a1と基本住戸数b1との組み合わせ(a1,b1)が、1つの住戸数セットを構成する。
【0089】
情報処理装置1は、1戸分の特定住戸面積と特定住戸数a1との積により、特定住戸面積Sa1を算出する(ST410)。情報処理装置1は、仮第2建物プランが示す延べ床面積St0に対する特定住戸面積Sa1の割合(Sa1/St0)を、住戸数セット(a1,b1)に関する特定住戸の面積割合Ra1として算出する(ST415)。
【0090】
次に情報処理装置1は、特定住戸数a1に対して特定規格住戸の数を1つ増やした特定住戸数a2(=a1+1)について住戸数セットを求める。情報処理装置1は、1戸分の特定住戸面積と特定住戸数a2(=a1+1)との積により、特定住戸面積Sa2を算出し、延べ床面積St0から特定住戸面積Sa2を引いた値として基本住戸面積Sb2を算出する。情報処理装置1は、この基本住戸面積Sb2を1戸分の基本住戸面積で割ることにより、基本住戸数b2(1未満の端数を切り捨てた値)を算出する(ST420)。特定住戸数a2と基本住戸数b2との組み合わせ(a2,b2)が、1つの住戸数セットを構成する。
【0091】
情報処理装置1は、仮第2建物プランが示す延べ床面積St0に対する特定住戸面積Sa2の割合(Sa2/St0)を、住戸数セット(a2,b2)に関する特定住戸の面積割合Ra2として算出する(ST425)。
【0092】
更に情報処理装置1は、特定住戸数a1に対して特定規格住戸の数を1つ減らした特定住戸数a3(=a1-1)について住戸数セットを求める。情報処理装置1は、1戸分の特定住戸面積と特定住戸数a3(=a1-1)との積により、特定住戸面積Sa3を算出し、延べ床面積St0から特定住戸面積Sa3を引いた値として基本住戸面積Sb3を算出する。情報処理装置1は、この基本住戸面積Sb3を1戸分の基本住戸面積で割ることにより、基本住戸数b3(1未満の端数を切り捨てた値)を算出する(ST430)。特定住戸数a3と基本住戸数b3との組み合わせ(a3,b3)が、1つの住戸数セットを構成する。
【0093】
情報処理装置1は、仮第2建物プランが示す延べ床面積St0に対する特定住戸面積Sa3の割合(Sa3/St0)を、住戸数セット(a3,b3)に関する特定住戸の面積割合Ra3として算出する(ST435)。
【0094】
情報処理装置1は、以上のように取得した3つの住戸数セット(a1,b1)、(a2,b2)、(a3,b3)の中から、住戸規制の要件を満たした最小の面積割合が得られる住戸数セットを特定する(ST440)。ここで特定した住戸数セットは、住戸規制の要件を満たしつつ、特定規格住戸の戸数が最小となり、基本規格住戸の戸数が最大となる。
【0095】
ST215:
図7に戻る
情報処理装置1は、ステップST220において決定した住戸数セットに基づいて、共用部分規制の要件を満たす1階共用部分(管理人室、駐輪場等)の面積を決定する。例えば情報処理装置1は、住戸数セットが示す建物の総戸数(基本住戸の戸数+特定住戸の戸数)に基づいて共用部分規制の要件を満たす最小の1階共用部分面積を決定する。
【0096】
ST220:
情報処理装置1は、ステップST110(
図3)で生成した第1建物プランと、ステップST215で決定した1階共用部分の面積とに基づいて、建物内の特定住戸の戸数が当該住戸数セットにおいて定める特定住戸の戸数となるように、1階共用部分の面積が含まれた第2建物プランを生成する。情報処理装置1は、このステップST220において、建物の各階へ特定住戸を配分するパターンが異なる複数の第2建物プランを生成する。
【0097】
ST240:
情報処理装置1は、ステップST220において生成した複数の第2建物プランの中から、建物の総戸数が最も多くなる第2建物プランを選択する。
【0098】
なお、建物の総戸数が最も多くなる第2建物プランが2以上存在する場合、情報処理装置1は、当該2以上の第2建物プランの中から延べ床面積が最も大きくなる第2建物プランを選択してもよい。これにより、総戸数が同じ場合には、より住戸の面積が大きくなるように建物のプランを生成できる。
【0099】
また、建物の総戸数が最も多くなる2以上の第2建物プランの中に延べ床面積の最も大きい第2建物プランが複数存在する場合、情報処理装置1は、当該複数の第2建物プランの中から階数の最も小さい第2建物プランを選択してもよい。これにより、建物の階数を抑えて建築コストがより低くなる建物のプランを生成することができる。
【0100】
このように、本実施形態によれば、第1建物プランに基づいて、全ての住戸が基本住戸であると仮定した場合の仮第2建物プランが生成され、この仮第2建物プランにより算出される第1仮総戸数及び第1仮延べ床面積の少なくとも一方に基づいて、建物内の特定住戸の戸数が住戸規制の要件を満たす最小の戸数となり、かつ、延べ床面積が第1仮延べ床面積に近づくように、住戸数セット(特定住戸の戸数と基本住戸の戸数との組み合わせ)が決定される。住戸数セットが決定されると、共用部分規制の要件を満たす1階共用部分の面積が住戸数セットに基づいて決定される。更に、この住戸数セットと1階共用部分面積とに基づいて、建物内の特定住戸の戸数が当該住戸数セットにおいて定める特定住戸の戸数となるように、1階共用部分の面積が含まれた第2建物プランが生成される。すなわち、建物内における特定住戸の戸数の目安、及び、1階共用部分の面積の目安を得た上で、これらの目安に基づいて、第1建物プランに応じた第2建物プランを生成すること可能となる。そのため、特殊規制の適用の有無と建物のプランの変更とが交互に繰り替えされてループ処理を終了できなくなる状況を回避しつつ、総戸数の多い第2建物プランを生成できる。従って、建築の規制の要件を満たしつつ、住戸の数がなるべく多くなるように1階から最上階までの住戸の戸数と面積が決定された建物のプランを生成できる。
【0101】
また、本実施形態によれば、建物の各階へ特定住戸を配分するパターンが異なる複数の第2建物プランの中から、建物の総戸数が最も多くなる第2建物プランが選択されるため、より住戸の数が多く収益性の高い建物のプランを生成できる。
【0102】
次に、住戸数セット及び1階共用部分面積に基づいて複数の第2建物プランを生成するステップST220(
図7)の処理について、
図10のフローチャートを参照して説明する。
ステップST505は、本発明の特定住戸配分工程の一例である。
ステップST510は、本発明の第1面積セット決定工程の一例である。
ステップST530は、本発明の第1共用部分面積決定工程の一例である。
ステップST535は、本発明の第1専有部分面積決定工程の一例である。
【0103】
ST500:
情報処理装置1は、建物の各階に特定住戸を配分する所定の複数の配分パターンから、1つの配分パターンを選択する。この配分パターンとしては、建物の各階における特定住戸の戸数のばらつきが1以下となるように、概ね均等に特定住戸を配分するパターンが望ましい。これにより、建物の各階に類似した構造を持たせ易くなるため、建築のコストを低減できる。
【0104】
また、上述した特定住戸の戸数のばらつきが1の場合、1つの配分パターンは、最上階に比べて1階の方が特定住戸の戸数が多くなるパターン(以下「第1パターン」と呼ぶ。)であり、他の1つの配分パターンは、1階に比べて最上階の方が特定住戸の戸数が多くなるパターン(以下「第2パターン」と呼ぶ)であってもよい。建物の1階と最上階は、中間の階に比べて住戸を配置可能なスペースが小さくなることが多いため、1階と最上階とで特定住戸の戸数を異ならせることにより、総戸数の異なる第2建物プランが得られ易くなり、総戸数の多い第2建物プランを生成し易くすることができる。なお第1パターンでは、建物の下側の階において特定住戸を多く配置し、第2パターンでは、建物の上側の階において特定住戸を多く配置してもよい。これにより、配分パターンを単純化できる。
【0105】
特定住戸の戸数のばらつきが1の場合、複数の配分パターンには、上述した第1パターン及び第2パターンの他に、1階及び最上階における特定住戸の戸数を多くする第3パターン、及び、1階及び最上階における特定住戸の戸数を少なくする第4パターンを含めてもよい。これにより、取得される第2建物プランのバリエーションが増えるため、総戸数の多い第2建物プランを更に生成し易くすることができる。
【0106】
ST505:
情報処理装置1は、ステップST210(
図7)で決定した住戸数セットが定める建物内の特定住戸の戸数と、ステップST500(又は後述するステップST555)において選択した特定住戸の配分パターンとに基づいて、建物の各階における特定住戸の戸数を決定する。
【0107】
ST510:
情報処理装置1は、ステップST110(
図3)で生成した第1建物プランが定める床面積を超えない最大の規格床面積を示す面積セットを、建物の各階について決定する。ここで情報処理装置1は、1つの階について面積セットを決定する場合、当該1つの階についてステップST505で決定した特定住戸の戸数に対応する特定規格住戸の専有部分の面積が含まれた面積セットを決定する。
【0108】
情報処理装置1は、ステップST100において取得した特殊規制の情報に適合する特殊規制情報が含まれた面積情報(
図2)を面積情報DB23から読み出し、この面積情報を用いて、面積セットを生成する。情報処理装置1は、1つの階について面積セットを決定する場合、当該1つの階についてステップST505で決定した特定住戸の戸数に対応する特定規格住戸の専有部分の面積と、基本規格住戸の専有部分の面積とが含まれた面積セットを生成する。例えば情報処理装置1は、ステップST505で決定した特定住戸の戸数に対応する専有部分の面積を含みつつ、基本規格住戸の戸数が異なる複数の面積セットを生成し、生成した複数の面積セットの規格床面積と、第1建物プランで定められた当該1つの階の床面積とをそれぞれ比較することにより、第1建物プランで定められた床面積を超えない最大の規格床面積を示す面積セットを特定する。
【0109】
なお情報処理装置1は、面積情報(
図2)の第1共用部分情報及び第2共用部分情報を用いて面積セットの共用部分の面積を取得する場合、ステップST205(
図7)において生成した仮第2建物プランが示す第1仮総戸数及び第1仮延べ床面積を用いて共用部分の面積を算出してもよい。すなわち情報処理装置1は、第1共用部分情報及び第2共用部分情報(
図2)に含まれる面積の計算式のパラメータとして、仮第2建物プランが示す第1仮総戸数及び第1仮延べ床面積を用いることにより、第1共用部分及び第2共用部分の面積を算出してもよい。
【0110】
また情報処理装置1は、建物の1階については、ステップST215(
図7)で決定した1階共用部分の面積を含むように面積セットを決定する。すなわち情報処理装置1は、建物の1階については、ステップST505で決定した1階の特定住戸の戸数に対応する特定規格住戸の専有部分の面積を含み、ステップST215(
図7)で決定した1階共用部分の面積を含み、かつ、第1建物プランで定められた1階の床面積を超えない最大の規格床面積を示すように基本規格住戸の戸数が調整された面積セットを決定する。
【0111】
ST515:
情報処理装置1は、建物の各階について差分面積を算出する。すなわち情報処理装置1は、1つの階についてステップST510で決定した面積セットが示す規格床面積と、ステップST110(
図3)で生成した第1建物プランが定める当該1つの階の床面積との差を、当該1つの階の差分面積として算出する。
【0112】
ST520:
情報処理装置1は、ステップST515で算出した各階の差分面積が住戸の専有部分の面積であるとみなした場合における建物の延べ床面積(以下、「第2仮延べ床面積」と呼ぶ。)を算出する。すなわち情報処理装置1は、ステップST510で決定した各階の面積セットから求められる建物の延べ床面積と、ステップST515で算出した各階の差分面積との和を、第2仮延べ床面積として算出する。
【0113】
ST525:
情報処理装置1は、建物の各階について決定した面積セットが示す各階の住戸数に基づいて、建物の総戸数(以下、「第2仮総戸数」と呼ぶ。)を算出する。
【0114】
ST530:
情報処理装置1は、ステップST520で算出した第2仮延べ床面積と、ステップST525で算出した第2仮総戸数との少なくとも一方に基づいて、共用部分規制の要件を満たす各階の共用部分の面積を決定する。例えば、情報処理装置1は、面積情報(
図2)の第1共用部分情報及び第2共用部分情報に含まれる面積の計算式のパラメータとして、第2仮延べ床面積及び第2仮総戸数を用いることにより、第1共用部分及び第2共用部分の面積を再計算する。特に情報処理装置1は、建物の1階については、面積情報の第2共用部分情報に含まれる1階共用部分の計算式のパラメータとして第2仮総戸数を用いることにより、1階共用部分の面積を再計算する。
【0115】
ST535:
情報処理装置1は、ステップST530で決定した各階の共用部分の面積と、ステップST110で生成した第1建物プランが定める各階の床面積と、ステップST510で決定した各階の面積セットとに基づいて、建物の各住戸における専有部分の面積を決定する。すなわち情報処理装置1は、ステップST530で決定した1つの階における共用部分の面積を含むように、ステップST510で決定した当該1つの階の面積セットを更新し、更新した面積セットが示す当該1つの階の規格床面積と、第1建物プランが定める当該1つの階の床面積との差を、当該1つの階の差分面積として算出する。情報処理装置1は、当該1つの階について算出した差分面積を、当該1つの階における住戸の専有部分の面積に組み入れる。例えば情報処理装置1は、当該1つの階の面積セットにおける各規格住戸の専有部分の面積に対して、差分面積を均等に配分し加算する。情報処理装置1は、建物の各階において上述した差分面積の配分と加算を行うことにより、第2建物プランにおける各階の各基本住戸の専有部分面積を決定する。
【0116】
情報処理装置1は、ステップST530において決定した各階の共用部分の面積と、ステップST535において決定した各住戸の専有部分の面積とにより、目的とする第2建物プランを取得する。
【0117】
ST550、ST555:
情報処理装置1は、1つの配分パターンについて第2建物プランを取得すると、他に選択していない配分パターンがあれば(ST550のYes)、その配分パターンを選択して(ST555)、上述したステップST505~ST535の処理により第2建物プランを取得する。全ての配分パターンについて第2建物プランを取得した場合(ST550のNo)、情報処理装置1は第2建物プランの生成処理を終了する。
【0118】
このように、第2建物プランを生成する上述した処理によれば、仮第2建物プランにより求められる住戸数セットと1階共用部分の面積とに基づいて、各階の面積セット(1階については1階共用部分の面積を含む面積セット)が決定される。各階の面積セットが決定されると、これらの面積セットにより算出される第2仮総戸数と第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、各階の共用部分の面積が再決定される。そして、再決定された共用部分の面積に基づいて、各住戸の専有面積が決定される。これにより、主として延べ床面積と総戸数が変化することに起因して共用部分規制の要件が変化しても、この要件を満たしつつ総戸数が多くなるように第2建物プランを生成することができる。
【0119】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る建物のプランの生成処理について説明する。本実施形態に係るシステムは、
図1に示すものと同じである。本実施形態では、上述した第1の実施形態に係る建物のプランの生成処理に対して、住戸規制の適用が回避されるように第2建物プランを生成する処理が追加される。
【0120】
図11は、第2の実施形態における第2建物プランの生成処理(ST115:
図3)の一例を説明するためのフローチャートである。
図11に示すフローチャートは、
図7に示すフローチャートにステップST225を追加したものであり、他のステップは
図7に示すフローチャートと同じである。
【0121】
ここでは、以下の用語を用いて処理の内容を説明する。
「特定住戸必要条件」:
住戸規制において建物内に1以上の特定住戸を含むことが必要になる条件
「条件外専有面積」:
特定住戸必要条件における基本住戸の専有部分の面積に関する条件に当てはまらない最小の専有部分の面積
「条件外総戸数」:
特定住戸必要条件における建物の総戸数の条件に当てはまらない最大の総戸数
「条件外階数」:
特定住戸必要条件における建物の階数の条件に当てはまらない最大の階数
「特定住戸回避条件」:
住戸規制により建物内に特定住戸を含むことが必要になることを回避できる条件
「条件外規格住戸」:
専有部分の面積が条件外専有面積である規格住戸
「条件外規格床面積」:
全ての住戸が条件外規格住戸である1つの階の規格床面積
「基本規格床面積」:
全ての住戸が基本規格住戸である1つの階の規格床面積
【0122】
情報処理装置1は、ステップST225において、第1建物プランが定める階数及び床面積の範囲内において、1以上の特定住戸回避条件をそれぞれ満たすように1以上の第2建物プランを生成する。
【0123】
第2建物プランが満たす特定住戸回避条件は、例えば、以下の第1条件~第3条件のいずれか1つ若しくは2以上の組み合わせであってよい。
第1条件:全住戸の専有部分の面積が条件外専有面積以上であること
第2条件:建物内の住戸の総戸数が条件外総戸数であること
第3条件:建物の階数が条件外階数であること
【0124】
情報処理装置1は、ステップST220及びST225においてそれぞれ第2建物プランが生成されると、生成された複数の第2建物プランの中から建物の総戸数が最も多くなる第2建物プランを選択する(ST240)。
【0125】
ステップST225における第2建物プランの生成処理の例について、
図12~
図15のフローチャートを参照して説明する。
【0126】
図12は、特定住戸回避条件を満たした第2建物プランを生成する処理の一例を説明するためのフローチャートであり、特定住戸回避条件が第1条件(条件外専有面積)の場合の例を示す。
ステップST600は、本発明の第2面積セット決定工程の一例である。
ステップST620は、本発明の第2共用部分面積決定工程の一例である。
ステップST625は、本発明の第2専有部分面積決定工程の一例である。
【0127】
ST600:
情報処理装置1は、ステップST110(
図3)で生成した第1建物プランが定める床面積を超えない最大の条件外規格床面積を示す面積セットを、建物の各階について決定する。条件外規格床面積は、全住戸が条件外規格住戸(専有部分の面積=条件外専有面積)である1つの階の規格床面積である。住戸規制において第1面積未満の住戸が基本住戸と定義されているものとすると、条件外規格住戸の専有部分の面積は第1面積に等しい。この場合、条件外規格床面積を示す面積セットは、各規格住戸の専有部分の面積として第1面積を含む。
【0128】
情報処理装置1は、ステップST100において取得した特殊規制の情報に適合する特殊規制情報が含まれた面積情報(
図2)を面積情報DB23から読み出し、この面積情報を用いて、各規格住戸の専有部分の面積が第1面積である面積セットを生成する。例えば情報処理装置1は、条件外規格住戸の戸数が異なる複数の面積セットを生成し、生成した複数の面積セットの条件外規格床面積と、第1建物プランで定められた床面積とをそれぞれ比較することにより、第1建物プランで定められた床面積を超えない最大の条件外規格床面積を示す面積セットを特定する。
【0129】
なお情報処理装置1は、面積情報(
図2)の第1共用部分情報及び第2共用部分情報を用いて面積セットの共用部分の面積を取得する場合、仮第2建物プラン(ST205)が示す第1仮総戸数及び第1仮延べ床面積を用いて共用部分の面積を算出してもよい。すなわち情報処理装置1は、第1共用部分情報及び第2共用部分情報に含まれる面積の計算式のパラメータとして、仮第2建物プランが示す第1仮総戸数及び第1仮延べ床面積を用いることにより、第1共用部分及び第2共用部分の面積を算出してもよい。
【0130】
また情報処理装置1は、建物の1階については、ステップST215(
図7)で決定した1階共用部分の面積を含むように面積セットを決定する。すなわち情報処理装置1は、建物の1階については、ステップST215(
図7)で決定した1階共用部分の面積を含み、かつ、第1建物プランで定められた1階の床面積を超えない最大の条件外規格床面積を示すように条件外規格住戸の戸数が調整された面積セットを決定する。
【0131】
ST605:
情報処理装置1は、建物の各階について、第1建物プランの床面積と面積セットの条件外規格床面積との差を差分面積として算出する。
【0132】
ST610:
情報処理装置1は、ステップST605で算出した各階の差分面積が住戸の専有部分の面積であるとみなした場合における建物の延べ床面積を第2仮延べ床面積として算出する。すなわち情報処理装置1は、ステップST600で決定した各階の面積セットから求められる建物の延べ床面積と、ステップST605で算出した各階の差分面積との和を、第2仮延べ床面積として算出する。
【0133】
ST615:
情報処理装置1は、建物の各階について決定した面積セットが示す各階の住戸数に基づいて、建物の第2仮総戸数を算出する。
【0134】
ST620:
情報処理装置1は、ステップST610で算出した第2仮延べ床面積と、ステップST615で算出した第2仮総戸数との少なくとも一方に基づいて、共用部分規制の要件を満たす各階の共用部分の面積を決定する。例えば、情報処理装置1は、面積情報(
図2)の第1共用部分情報及び第2共用部分情報に含まれる面積の計算式のパラメータとして、第2仮延べ床面積及び第2仮総戸数を用いることにより、第1共用部分及び第2共用部分の面積を再計算する。特に情報処理装置1は、建物の1階については、面積情報の第2共用部分情報に含まれる1階共用部分の計算式のパラメータとして第2仮総戸数を用いることにより、1階共用部分の面積を再計算する。
【0135】
ST625:
情報処理装置1は、ステップST620で決定した各階の共用部分の面積と、ステップST110で生成した第1建物プランが定める各階の床面積と、ステップST600で決定した各階の面積セットとに基づいて、建物の各住戸における専有部分の面積を決定する。すなわち情報処理装置1は、ステップST620で決定した1つの階における共用部分の面積を含むように、ステップST600で決定した当該1つの階の面積セットを更新し、更新した面積セットが示す当該1つの階の規格床面積と、第1建物プランが定める当該1つの階の床面積との差を、当該1つの階の差分面積として算出する。情報処理装置1は、当該1つの階について算出した差分面積を、当該1つの階における住戸の専有部分の面積に組み入れる。例えば情報処理装置1は、当該1つの階の面積セットにおける各条件外規格住戸の専有部分の面積に対して、差分面積を均等に配分し加算する。情報処理装置1は、建物の各階において上述した差分面積の配分と加算を行うことにより、第2建物プランにおける各階の各住戸の専有部分面積を決定する。
【0136】
情報処理装置1は、ステップST620において決定した各階の共用部分の面積と、ステップST625において決定した各住戸の専有部分の面積とにより、目的とする第2建物プランを取得する。
【0137】
図13は、特定住戸回避条件を満たす第2建物プランを生成する処理の一例を説明するためのフローチャートであり、特定住戸回避条件が第2条件(条件外総戸数)の場合の例を示す。
ステップST700~ST725は、本発明の第2面積セット決定工程の一例である。
ステップST745は、本発明の第2共用部分面積決定工程の一例である。
ステップST750は、本発明の第2専有部分面積決定工程の一例である。
【0138】
ST700~ST725:
情報処理装置1は、ステップST110(
図3)で生成した第1建物プランが定める床面積を超えない最大の基本規格床面積(全住戸が基本規格住戸の規格床面積)を示す面積セットを、建物の総戸数が条件外総戸数に達するまで、建物の1階から上階に向かって順に決定する。情報処理装置1は、建物の1つの階において建物の総戸数が条件外総戸数に達すると、建物の総戸数が条件外総戸数と等しくなるように、当該1つの階について面積セットを決定し、当該1つの階より上の階については面積セットを決定しない。
【0139】
情報処理装置1は、まず建物の1階(n=1)を選択し(ST700)、この選択した階について、第1建物プランが定める床面積を超えない最大の基本規格床面積を示す面積セットを決定する(ST705)。基本規格床面は、全住戸が基本規格住戸(専有部分の面積=ユーザが設定した最小面積)である1つの階の規格床面積であり、基本規格床面を示す面積セットは、各規格住戸の専有部分の面積として最小面積を含む。
【0140】
情報処理装置1は、ステップST100において取得した特殊規制の情報に適合する特殊規制情報が含まれた面積情報(
図2)を面積情報DB23から読み出し、この面積情報を用いて、各規格住戸の専有部分の面積が最小面積である面積セットを生成する。例えば情報処理装置1は、基本規格住戸の戸数が異なる複数の面積セットを生成し、生成した複数の面積セットの基本規格床面積と、第1建物プランで定められた床面積とをそれぞれ比較することにより、第1建物プランで定められた床面積を超えない最大の基本規格床面積を示す面積セットを特定する。
【0141】
なお情報処理装置1は、面積情報(
図2)の第1共用部分情報及び第2共用部分情報を用いて面積セットの共用部分の面積を取得する場合、ステップST600と同様に、仮第2建物プラン(ST205)が示す第1仮総戸数及び第1仮延べ床面積を用いて共用部分の面積を算出してもよい。
【0142】
また情報処理装置1は、建物の1階については、ステップST215(
図7)で決定した1階共用部分の面積を含むように面積セットを決定する。すなわち情報処理装置1は、建物の1階については、ステップST215(
図7)で決定した1階共用部分の面積を含み、かつ、第1建物プランで定められた1階の床面積を超えない最大の基本規格床面積を示すように基本規格住戸の戸数が調整された面積セットを決定する。
【0143】
ステップST705で面積セットを決定すると、情報処理装置1は、これまで面積セットを決定した全ての階の総戸数を算出し、条件外総戸数と比較する(ST710、ST715)。算出した総戸数が条件外総戸数と一致する場合(ST710のYes)、情報処理装置1はステップST730に移行する。また情報処理装置1は、現在の階が第1建物プランで定める最上階の場合にも、ステップST730に移行する。
【0144】
他方、これまで面積セットを決定した全ての階の総戸数が条件外総戸数に達していない場合(ST710のNo、かつ、ST715のNo)、情報処理装置1は現在の階より1つ上の階を選択し(ST720)、この選択した階について上述したステップST705の処理(面積セットの決定)を行う。
【0145】
これまで面積セットを決定した全ての階の総戸数が条件外総戸数より大きい場合(ST715のYes)、情報処理装置1は、建物の総戸数が条件外総戸数と等しくなるように、面積セットを決定する(ST725)。すなわち情報処理装置1は、これまで面積セットを決定した全ての階の総戸数が条件外総戸数と一致するように、ステップST705で決定した面積セットにおける基本規格住戸の専有部分の面積を減らす(基本規格住戸の戸数を減らす)。これにより、各階について決定した各面積セットが示す基本規格住戸の戸数の和が、条件外総戸数と等しくなる。
【0146】
ST730:
情報処理装置1は、ステップST700~ST725で面積セットを決定した建物の各階について、第1建物プランの床面積と面積セットの基本規格床面積との差を差分面積として算出する。
【0147】
ST735:
情報処理装置1は、ステップST730で算出した各階の差分面積が住戸の専有部分の面積であるとみなした場合における建物の延べ床面積を第2仮延べ床面積として算出する。すなわち情報処理装置1は、ステップST700~ST725で決定した各階の面積セットから求められる建物の延べ床面積と、ステップST730で算出した各階の差分面積との和を、第2仮延べ床面積として算出する。ステップST700~ST725において面積セットを決定した階よりも上の階における住戸の専有部分の面積は、この第2仮延べ床面積においてゼロと見なされている。
【0148】
ST740:
情報処理装置1は、ステップST700~ST725において決定した面積セットが示す各階の住戸数に基づいて、建物の第2仮総戸数を算出する。ステップST700~ST725において面積セットを決定した階よりも上の階の住戸数は、この第2仮総戸数においてゼロと見なされている。
【0149】
ST745:
情報処理装置1は、ステップST735で算出した第2仮延べ床面積と、ステップST740で算出した第2仮総戸数との少なくとも一方に基づいて、ステップST620と同様に、共用部分規制の要件を満たす各階の共用部分の面積を決定する。
【0150】
ST750:
情報処理装置1は、ステップST745で決定した各階の共用部分の面積と、ステップST110で生成した第1建物プランが定める各階の床面積と、ST700~ST725で決定した各階の面積セットとに基づいて、建物の各住戸における専有部分の面積を決定する。すなわち情報処理装置1は、ステップST745で決定した1つの階における共用部分の面積を含むように、ステップST700~ST725で決定した当該1つの階の面積セットを更新し、更新した面積セットが示す当該1つの階の基本規格床面積と、第1建物プランが定める当該1つの階の床面積との差を、当該1つの階の差分面積として算出する。情報処理装置1は、当該1つの階について算出した差分面積を、当該1つの階における住戸の専有部分の面積に組み入れる。例えば情報処理装置1は、当該1つの階の面積セットにおける各基本規格住戸の専有部分の面積に対して、差分面積を均等に配分し加算する。情報処理装置1は、建物の各階において上述した差分面積の配分と加算を行うことにより、第2建物プランにおける各階の各住戸の専有部分面積を決定する。
【0151】
情報処理装置1は、ステップST745において決定した各階の共用部分の面積と、ステップST750において決定した各住戸の専有部分の面積とにより、目的とする第2建物プランを取得する。
【0152】
図14は、特定住戸回避条件を満たす第2建物プランを生成する処理の一例を説明するためのフローチャートであり、特定住戸回避条件が第3条件(条件外階数)の場合の例を示す。
ステップST800~ST815は、本発明の第2面積セット決定工程の一例である。
ステップST835は、本発明の第2共用部分面積決定工程の一例である。
ステップST840は、本発明の第2専有部分面積決定工程の一例である。
【0153】
ST800~ST815:
情報処理装置1は、ステップST110(
図3)で生成した第1建物プランが定める床面積を超えない最大の基本規格床面積(全住戸が基本規格住戸の規格床面積)を示す面積セットを、条件外階数の最上階までの各階について決定する。情報処理装置1は、条件外階数の最上階より上の階については、面積セットを決定しない。
【0154】
情報処理装置1は、まず建物の1階(n=1)を選択し(ST800)、この選択した階について、ステップST705と同様に、第1建物プランが定める床面積を超えない最大の基本規格床面積を示す面積セットを決定する(ST805)。
【0155】
ステップST805で面積セットを決定すると、情報処理装置1は、選択中の階が条件外階数の最上階であるか判定する(ST810)。選択中の階が条件外階数の最上階に達していない場合(ST810のNo)、情報処理装置1は現在の階より1つ上の階を選択し(ST815)、この選択した階について上述したステップST805の処理(面積セットの決定)を行う。選択中の階が条件外階数の最上階と一致する場合(ST810のYes)、情報処理装置1は次のステップST820に移行する。また、選択中の階が建物の最上階である場合も、情報処理装置1は次のステップST820に移行する。
【0156】
ST820:
情報処理装置1は、ステップST800~ST815で面積セットを決定した建物の各階について、第1建物プランの床面積と面積セットの基本規格床面積との差を差分面積として算出する。
【0157】
ST825:
情報処理装置1は、ステップST820で算出した各階の差分面積が住戸の専有部分の面積であるとみなした場合における建物の延べ床面積を第2仮延べ床面積として算出する。すなわち情報処理装置1は、ステップST800~ST815で決定した各階の面積セットから求められる建物の延べ床面積と、ステップST820で算出した各階の差分面積との和を、第2仮延べ床面積として算出する。ステップST800~ST815において面積セットを決定した階よりも上の階(条件外階数の最上階より上の階)における住戸の専有部分の面積は、この第2仮延べ床面積においてゼロと見なされている。
【0158】
ST830:
情報処理装置1は、ステップST800~ST815において決定した面積セットが示す各階の住戸数に基づいて、建物の第2仮総戸数を算出する。ステップST800~ST815において面積セットを決定した階よりも上の階(条件外階数の最上階より上の階)の住戸数は、この第2仮総戸数においてゼロと見なされている。
【0159】
ST835:
情報処理装置1は、ステップST825で算出した第2仮延べ床面積と、ステップST830で算出した第2仮総戸数との少なくとも一方に基づいて、ステップST620(ST745)と同様に、共用部分規制の要件を満たす各階の共用部分の面積を決定する。
【0160】
ST840:
情報処理装置1は、ステップST835で決定した各階の共用部分の面積と、ステップST110で生成した第1建物プランが定める各階の床面積と、ST800~ST815で決定した各階の面積セットとに基づいて、建物の各住戸における専有部分の面積を決定する。すなわち情報処理装置1は、ステップST835で決定した1つの階における共用部分の面積を含むように、ステップST800~ST815で決定した当該1つの階の面積セットを更新し、更新した面積セットが示す当該1つの階の基本規格床面積と、第1建物プランが定める当該1つの階の床面積との差を、当該1つの階の差分面積として算出する。情報処理装置1は、当該1つの階について算出した差分面積を、当該1つの階における住戸の専有部分の面積に組み入れる。例えば情報処理装置1は、当該1つの階の面積セットにおける各基本規格住戸の専有部分の面積に対して、差分面積を均等に配分し加算する。情報処理装置1は、建物の各階において上述した差分面積の配分と加算を行うことにより、第2建物プランにおける各階の各住戸の専有部分面積を決定する。
【0161】
情報処理装置1は、ステップST835において決定した各階の共用部分の面積と、ステップST840において決定した各住戸の専有部分の面積とにより、目的とする第2建物プランを取得する。
【0162】
以上説明したように、本実施形態によれば、住戸規制の適用が回避される第2建物プランを生成することにより、第2建物プランのバリエーションが更に豊富となるため、総戸数の多い第2建物プランを更に生成し易くすることができる。
【0163】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る建物のプランの生成処理について説明する。本実施形態に係るシステムは、
図1に示すものと同じである。本実施形態では、所定の面積を持つ住戸の数に基づいて定められた固定の建築面積を持つ複数パターンの建物のプランから、総戸数の大きい建物のプランが選択される。
【0164】
図15は、第3の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図15に示すフローチャートは、
図3に示すフローチャートにおけるステップST105、ST110、ST115をそれぞれステップST105A、ST110A、ST115Aに置き換えたものであり、他のステップは
図3に示すフローチャートと同じである。以下では、
図3に示すフローチャートから変更された処理を中心に説明する。
【0165】
ST105A:
情報処理装置1は、ステップST100で取得された情報に基づいて、1以上の建築範囲を決定する。すなわち、情報処理装置1は、建築範囲規制の要件と建蔽率の要件とをそれぞれ満たしており、かつ、最大の床面積がそれぞれ定められた1以上の建築範囲を決定する。各建築範囲における最大の床面積は、1つの階に設けられる住戸(最小面積以上の所定の面積の専有部分を持った住戸)の数に基づいて定められている。情報処理装置1が決定する1以上の建築範囲は、最大の床面積がそれぞれ異なっている(すなわち、最大の床面積の階における住戸の数が異なっている)。
【0166】
情報処理装置1は、例えば
図4Cに示すように敷地内領域の領域境界線を後退させることで、最大の床面積に対応した敷地内領域の面積が所定の床面積となるように建築範囲を決定することができる。
【0167】
ST110A:
情報処理装置1は、ステップST105Aにおいて1以上の建築範囲を決定すると、当該1以上の建築範囲の各々について、建物における住戸の数が最も多くなる1つの第1建物プラン(建物の階数、各階の床面積)を決定する。建築範囲に基づく第1建物プランの決定方法は、既に説明したステップST110(
図3)と同じである。
【0168】
ST115A:
情報処理装置1は、ステップST110Aにおいて1以上の第1建物プランを生成すると、当該1以上の第1建物プランの各々について第2建物プランを生成する。
【0169】
図16は、第3の実施形態に係る第2建物プランの生成処理(ST115A)の一例を説明するためのフローチャートである。
図16に示すフローチャートは、
図11に示すフローチャートにステップST200、ST230、ST235を追加したものであり、他のステップは
図11に示すフローチャートと同じである。
【0170】
情報処理装置1は、ステップST110Aにおいて生成した1つの第1建物プランを選択し(ST200)、この選択した第1建物プランに基づいて、既に説明したステップST205~ST225の処理を行う。その後、情報処理装置1は、まだ未選択の第1建物プランがあればその第1建物プランを選択し、ステップST205~ST225の処理を繰り返す(ST230、ST235)。ステップST110Aにおいて生成した全ての第1建物プランについてステップST205~ST225の処理を行うと、情報処理装置1は、これらの処理で得られた複数の第2建物プランの中から、建物の総戸数が最も多くなる第2建物プランを選択する(ST240)。
【0171】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の建築範囲について複数の第2建物プランを生成することにより、第2建物プランのバリエーションが更に豊富となるため、総戸数の多い第2建物プランを更に生成し易くすることができる。
【0172】
次に、上述した実施形態における第2建物プランの生成処理の一変形例について説明する。
【0173】
図17は、特定住戸の配分のパターンが異なる複数の第2建物プランを生成する処理(ST220:
図7)の一変形例を説明するためのフローチャートである。
図17に示すフローチャートは、
図10に示すフローチャートにステップST540及びST545を追加したものであり、他のステップは
図10に示すフローチャートと同じである。
【0174】
情報処理装置1は、ステップST505~ST535の処理によって1つの第2建物プランを生成した場合、この第2建物プランが建築の規制の要件を満たしているか判定する(ST540)。情報処理装置1は、生成した第2建物プランが建築の規制の要件を満たしていないと判定した場合(ST540のNo)、ステップST110で生成した第1建物プランにおける最上階の床面積が、基本規格住戸の1戸分の専有面積(=ユーザが設定した最小面積)だけ減るように第1建物プランを修正し(ST545)、この修正した第1建物プランに基づいてステップST505~ST535の処理を再度行う。これにより、ステップST505~ST535の処理で生成される第2建物プランにおいて建物の総住戸数及び延べ床面積が小さくなるため、第2建物プランが建築の規制の要件を満たし易くすることができる。
【0175】
なお情報処理装置1は、複数の配分パターンについてステップST505~ST535の処理を行う過程で、1つの配分パターンについて第1建物プランの修正(ST545)を行った場合、この第1建物プランの修正は当該1つの配分パターンでのみ有効とする。これにより、個々の配分パターンについて、建築の規制の要件を満たし易くする適切な第1建物プランの修正を行うことができる。
【0176】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0177】
上述した実施形態では情報処理装置1が端末装置3からの要求に応じて建物のプランの情報を端末装置3に提供しているが、本発明の他の実施形態では、情報処理装置1に設けられたディスプレイ等においてユーザが建物のプランを閲覧できるようにしてもよい。
【0178】
上述した情報処理装置1により実行される処理の一部は、他の装置(端末装置3等)により実行されてもよい。この場合、情報処理装置1の処理部13と他の装置の処理部とを含む複数のコンピュータによって本実施形態に係る情報処理装置としての処理が実行されていると言える。
【0179】
以下、本実施形態に関連する付記を記す。
[1]
情報処理装置が建物のプランを生成する方法であって、
建築の規制には、
常に適用される通常規制と、
所定の条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる特殊規制と
が含まれており、
前記特殊規制には、
前記建物に含まれる住戸の面積と戸数に関連する住戸規制と、
前記建物に含まれる共用部分に関連する共用部分規制と
が含まれており、
前記共用部分には、
個々の前記住戸に対応した面積を持つ第1共用部分と、
個々の前記住戸から独立した面積を持つ第2共用部分と
が含まれており、
1階に配置される特定の前記第2共用部分を、1階共用部分と呼び、
前記住戸規制において前記建物内の戸数が規定された前記住戸であって、第1面積未満の専有部分を持つ前記住戸を、基本住戸と呼び、
前記住戸規制において前記建物内の戸数が規定された前記住戸であって、前記第1面積と等しいか前記第1面積より大きい第2面積以上の専有部分を持つ前記住戸を、特定住戸と呼び、
敷地に前記建物を建築可能な3次元の範囲であって、前記敷地の所在地において適用される前記規制の要件を満たした3次元の範囲を、建築範囲と呼び、
前記建物の階数と前記建物の各階の床面積とに関するプランであって、前記建物が前記建築範囲内に収まり、かつ、前記建物の各階が所定の階高を持つ条件の下で、前記建物の総戸数が最大へ近づくように作成されたプランを、第1建物プランと呼び、
前記建物の各階の前記床面積に占める各前記住戸の前記専有部分の面積と、前記建物の各階の前記床面積に占める前記共用部分の面積とに関するプランであって、前記建物の各階の前記床面積が前記第1建物プランによって定められ、前記規制における容積率の要件を満たし、前記特定住戸の戸数が前記住戸規制の要件を満たし、前記特定住戸以外の前記住戸が、設定された最小面積以上の前記専有部分を持つ前記基本住戸であり、かつ、前記建物の総戸数が最大へ近づくように作成されたプランを、第2建物プランと呼び、
与えられた前記建築範囲及び前記第1建物プランに基づいて前記第2建物プランを生成する第2建物プラン生成工程を有し、
前記第2建物プラン生成工程が、
与えられた前記第1建物プランに基づいて、全ての前記住戸が前記基本住戸であると仮定した場合の前記第2建物プランである仮第2建物プランを生成する第1生成工程と、
前記仮第2建物プランにおける前記建物の総戸数を第1仮総戸数と呼び、前記仮第2建物プランにおいて前記容積率の要件の対象となる延べ床面積を第1仮延べ床面積と呼び、生成した前記仮第2建物プランにより算出される前記第1仮総戸数と前記第1仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記建物内の前記特定住戸の戸数が前記住戸規制の要件を満たす最小の戸数となり、かつ、前記延べ床面積が前記第1仮延べ床面積に近づくように、前記建物内の前記基本住戸の戸数と前記特定住戸の戸数との組み合わせである住戸数セットを決定する住戸数セット決定工程と、
決定した前記住戸数セットに基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす前記1階共用部分の面積を決定する1階共用部分面積決定工程と、
与えられた前記第1建物プランと、決定した前記1階共用部分の面積とに基づいて、前記建物内の前記特定住戸の戸数が前記決定した前記住戸数セットにおいて定める前記特定住戸の戸数となるように、前記1階共用部分の面積が含まれた前記第2建物プランを生成する第2生成工程とを含む、
方法。
[2]
前記第2生成工程は、前記建物の各階へ前記特定住戸を配分するパターンが異なる複数の前記第2建物プランを生成することを含み、
前記第2建物プラン生成工程は、前記第2生成工程において生成した複数の前記第2建物プランの中から、前記建物の総戸数が最も多くなる前記第2建物プランを選択するプラン選択工程を含む、
[1]に記載の方法。
[3]
前記第2生成工程は、決定した前記住戸数セットが定める前記建物内の前記特定住戸の戸数に基づいて、前記建物の各階における前記特定住戸の戸数のばらつきが1以下となるように、各階における前記特定住戸の戸数を決定し、前記ばらつきが1の場合、最上階に比べて1階の方が前記特定住戸の戸数が多くなる前記パターン、及び、1階に比べて最上階の方が前記特定住戸の戸数が多くなる前記パターンをそれぞれ決定し、決定した各前記パターンについて前記第2建物プランを生成することを含む、
[2]に記載の方法。
[4]
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記最小面積である前記規格住戸を、基本規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記第2面積である前記規格住戸を、特定規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第2生成工程は、
決定した前記住戸数セットが定める前記建物内の前記特定住戸の戸数に基づいて、前記建物の各階における前記特定住戸の戸数を決定する特定住戸配分工程と、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットであって、決定した前記特定住戸の戸数に対応する前記特定規格住戸の前記専有部分の面積を含んだ前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第1面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第1面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第1共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第1面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第1専有部分面積決定工程とを含む、
[1]に記載の方法。
[5]
前記住戸規制において前記建物内に1以上の前記特定住戸を含むことが必要になる条件を、特定住戸必要条件と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記基本住戸の前記専有部分の面積に関する条件に当てはまらない最小の前記専有部分の面積を、条件外専有面積と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記建物の総戸数の条件に当てはまらない最大の総戸数を、条件外総戸数と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記建物の階数の条件に当てはまらない最大の階数を、条件外階数と呼び、
全住戸の前記専有部分の面積が前記条件外専有面積以上である第1条件、前記建物内の前記住戸の総戸数が前記条件外総戸数である第2条件、及び、前記建物の階数が前記条件外階数である第3条件、のいずれか1つ若しくは2以上の組み合わせを、特定住戸回避条件と呼び、
前記第2建物プラン生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める階数及び前記床面積の範囲内において、1以上の前記特定住戸回避条件をそれぞれ満たすように1以上の前記第2建物プランを生成する第3生成工程と、
前記第2生成工程及び前記第3生成工程において生成した複数の前記第2建物プランの中から、前記建物の総戸数が最も多くなる前記第2建物プランを選択するプラン選択工程とを含む、
[1]に記載の方法。
[6]
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記条件外専有面積である前記規格住戸を、条件外規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
全ての前記住戸が前記条件外規格住戸である1つの階の前記規格床面積を、条件外規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第3生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第2面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第2共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第2専有部分面積決定工程とを含み、
前記特定住戸回避条件に前記第1条件が含まれる場合、前記第2面積セット決定工程は、前記建物の各階について前記条件外規格床面積を示す前記面積セットを決定することを含む、
[5]に記載の方法。
[7]
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記最小面積である前記規格住戸を、基本規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
全ての前記住戸が前記基本規格住戸である1つの階の前記規格床面積を、基本規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第3生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第2面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第2共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第2専有部分面積決定工程とを含み、
前記特定住戸回避条件に前記第2条件が含まれる場合、
前記第2面積セット決定工程は、与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記基本規格床面積を示す前記面積セットを、前記建物の総戸数が前記条件外総戸数に達するまで、前記建物の1階から上階に向かって順に決定し、前記建物の1つの階において前記建物の総戸数が前記条件外総戸数に達するならば、前記建物の総戸数が前記条件外総戸数と等しくなるように、当該1つの階について前記面積セットを決定することを含み、
前記第2共用部分面積決定工程は、前記第2面積セット決定工程において前記面積セットを決定した最も上の階よりも上の階における住戸数及び前記専有部分の面積をゼロとみなして算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記面積セットを決定した各階の前記共用部分の面積を決定することを含む、
[5]に記載の方法。
[8]
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記最小面積である前記規格住戸を、基本規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
全ての前記住戸が前記基本規格住戸である1つの階の前記規格床面積を、基本規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第3生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第2面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第2共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第2専有部分面積決定工程とを含み、
前記特定住戸回避条件に前記第3条件が含まれる場合、
前記第2面積セット決定工程は、前記条件外階数の最上階までの各階について前記面積セットを決定することを含み、
前記第2共用部分面積決定工程は、前記条件外階数の最上階よりも上の階における住戸数及び前記専有部分の面積をゼロとみなして算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記条件外階数の最上階までの各階における前記共用部分の面積を決定することを含む、
[5]に記載の方法。
[9]
前記建物における最大の前記床面積がそれぞれ定められた複数の前記建築範囲と、当該複数の前記建築範囲に基づく複数の前記第1建物プランとが与えられており、
前記最大の床面積は、1つの階に設けられる前記住戸の数であって、前記最小面積以上の所定の面積の前記専有部分を持った前記住戸の数に基づいて定められており、
与えられた複数の前記建築範囲は、前記最大の床面積がそれぞれ異なっており、
前記第1生成工程は、与えられた複数の前記第1建物プランの各々について前記仮第2建物プランを生成することを含み、
前記住戸数セット決定工程は、複数の前記第1建物プランについて生成した複数の前記仮第2建物プランに基づいて、複数の前記第1建物プランに対応した複数の前記住戸数セットを決定することを含み、
前記1階共用部分面積決定工程は、複数の前記第1建物プランについて決定した複数の前記住戸数セットに基づいて、複数の前記第1建物プランに対応した複数の前記1階共用部分の面積を決定することを含み、
前記第2生成工程は、複数の前記第1建物プランについて決定した複数の前記1階共用部分の面積に基づいて、複数の前記第1建物プランに対応した複数の前記第2建物プランを生成することを含み、
前記第2建物プラン生成工程は、複数の前記第1建物プランについて生成した複数の前記第2建物プランの中から、前記建物の総戸数が最も多くなる前記第2建物プランを選択するプラン選択工程を含む、
[1]に記載の方法。
[10]
前記第2生成工程は、複数の前記第1建物プランの各々について、前記建物の各階へ前記特定住戸を配分するパターンが異なる複数の前記第2建物プランを生成することを含む、
[9]に記載の方法。
[11]
前記第2生成工程は、決定した前記住戸数セットが定める前記建物内の前記特定住戸の戸数に基づいて、前記建物の各階における前記特定住戸の戸数のばらつきが1以下となるように、各階における前記特定住戸の戸数を決定し、前記ばらつきが1の場合、最上階に比べて1階の方が前記特定住戸の戸数が多くなる前記パターン、及び、1階に比べて最上階の方が前記特定住戸の戸数が多くなる前記パターンをそれぞれ決定し、決定した各前記パターンについて前記第2建物プランを生成することを含む、
[10]に記載の方法。
[12]
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記最小面積である前記規格住戸を、基本規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記第2面積である前記規格住戸を、特定規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第2生成工程は、
決定した前記住戸数セットが定める前記建物内の前記特定住戸の戸数に基づいて、前記建物の各階における前記特定住戸の戸数を決定する特定住戸配分工程と、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットであって、決定した前記特定住戸の戸数に対応する前記特定規格住戸の前記専有部分の面積を含んだ前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第1面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第1面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第1共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第1面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第1専有部分面積決定工程とを含む、
[9]に記載の方法。
[13]
前記住戸規制において前記建物内に1以上の前記特定住戸を含むことが必要になる条件を、特定住戸必要条件と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記基本住戸の前記専有部分の面積に関する条件に当てはまらない最小の前記専有部分の面積を、条件外専有面積と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記建物の総戸数の条件に当てはまらない最大の総戸数を、条件外総戸数と呼び、
前記特定住戸必要条件における前記建物の階数の条件に当てはまらない最大の階数を、条件外階数と呼び、
全住戸の前記専有部分の面積が前記条件外専有面積以上である第1条件、前記建物内の前記住戸の総戸数が前記条件外総戸数である第2条件、及び、前記建物の階数が前記条件外階数である第3条件、のいずれか1つ若しくは2以上の組み合わせを、特定住戸回避条件と呼び、
前記第2建物プラン生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める階数及び前記床面積の範囲内において、1以上の前記特定住戸回避条件をそれぞれ満たすように1以上の前記第2建物プランを生成する第3生成工程と、
前記第2生成工程及び前記第3生成工程において生成した複数の前記第2建物プランの中から、前記建物の総戸数が最も多くなる前記第2建物プランを選択するプラン選択工程とを含む、
[9]に記載の方法。
[14]
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記条件外専有面積である前記規格住戸を、条件外規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
全ての前記住戸が前記条件外規格住戸である1つの階の前記規格床面積を、条件外規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第3生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第2面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第2共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第2専有部分面積決定工程とを含み、
前記特定住戸回避条件に前記第1条件が含まれる場合、前記第2面積セット決定工程は、前記建物の各階について前記条件外規格床面積を示す前記面積セットを決定することを含む、
[13]に記載の方法。
[15]
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記最小面積である前記規格住戸を、基本規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
全ての前記住戸が前記基本規格住戸である1つの階の前記規格床面積を、基本規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第3生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第2面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第2共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第2専有部分面積決定工程とを含み、
前記特定住戸回避条件に前記第2条件が含まれる場合、
前記第2面積セット決定工程は、与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記基本規格床面積を示す前記面積セットを、前記建物の総戸数が前記条件外総戸数に達するまで、前記建物の1階から上階に向かって順に決定し、前記建物の1つの階において前記建物の総戸数が前記条件外総戸数に達するならば、前記建物の総戸数が前記条件外総戸数と等しくなるように、当該1つの階について前記面積セットを決定することを含み、
前記第2共用部分面積決定工程は、前記第2面積セット決定工程において前記面積セットを決定した最も上の階よりも上の階における住戸数及び前記専有部分の面積をゼロとみなして算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記面積セットを決定した各階の前記共用部分の面積を決定することを含む、
[13]に記載の方法。
[16]
前記専有部分が所定の面積を持つ前記住戸を、規格住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記最小面積である前記規格住戸を、基本規格住戸と呼び、
全ての前記住戸が前記規格住戸である1つの階の前記床面積を、規格床面積と呼び、
全ての前記住戸が前記基本規格住戸である1つの階の前記規格床面積を、基本規格床面積と呼び、
前記規格床面積に含まれる各前記規格住戸の前記専有部分の面積と前記共用部分の面積との組み合わせを、面積セットと呼び、
前記面積セットは、前記規格住戸の戸数に応じた前記第1共用部分の面積と、前記第2共用部分の面積とを含み、
前記第3生成工程は、
与えられた前記第1建物プランが定める前記床面積を超えない最大の前記規格床面積を示す前記面積セットを前記建物の各階について決定し、前記建物の1階については、決定した前記1階共用部分の面積を更に含むように前記面積セットを決定する、第2面積セット決定工程と、
1つの階について決定した前記面積セットが示す前記規格床面積と前記第1建物プランが定める当該1つの階の前記床面積との差を差分面積と呼び、各階の前記差分面積が前記住戸の前記専有部分の面積であるとみなした場合における前記建物の前記延べ床面積を第2仮延べ床面積と呼び、前記建物の各階について決定した前記面積セットに基づく前記建物の総戸数を第2仮総戸数と呼び、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットにより算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記共用部分規制の要件を満たす各階の前記共用部分の面積を決定する第2共用部分面積決定工程と、
決定した各階の前記共用部分の面積と、与えられた前記第1建物プランが定める各階の前記床面積と、前記第2面積セット決定工程において決定した各階の前記面積セットとに基づいて、前記建物の各住戸における前記専有部分の面積を決定する第2専有部分面積決定工程とを含み、
前記特定住戸回避条件に前記第3条件が含まれる場合、
前記第2面積セット決定工程は、前記条件外階数の最上階までの各階について前記面積セットを決定することを含み、
前記第2共用部分面積決定工程は、前記条件外階数の最上階よりも上の階における住戸数及び前記専有部分の面積をゼロとみなして算出される前記第2仮総戸数と前記第2仮延べ床面積との少なくとも一方に基づいて、前記条件外階数の最上階までの各階における前記共用部分の面積を決定することを含む、
[13]に記載の方法。
[17]
前記建物が建築される敷地の境界線に関する情報、前記境界線に接した隣地若しくは道路に関する情報、及び、前記敷地の所在地において適用され得る建築の規制に関する情報を取得する規制情報取得工程と、
前記規制情報取得工程において取得された情報に基づいて前記建築範囲を決定する建築範囲決定工程と、
前記建築範囲決定工程において決定した前記建築範囲と、前記建物の各階に設定された階高とに基づいて、前記第1建物プランを生成する第1建物プラン生成工程とを有する、
[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[18]
前記建物が建築される敷地の境界線に関する情報、前記境界線に接した隣地若しくは道路に関する情報、及び、前記敷地の所在地において適用され得る建築の規制に関する情報を取得する規制情報取得工程と、
前記規制情報取得工程において取得された情報に基づいて、前記最大の床面積がそれぞれ異なる複数の前記建築範囲を決定する建築範囲決定工程と、
前記建築範囲決定工程において決定した前記建築範囲と、前記建物の各階に設定された階高とに基づいて、複数の前記建築範囲に対応した複数の前記第1建物プランを生成する第1建物プラン生成工程とを有する、
[9]~[16]のいずれか1つに記載の方法。
[19]
前記プラン選択工程は、前記建物の総戸数が最も多くなる前記第2建物プランが2以上存在する場合、当該2以上の前記第2建物プランの中から前記延べ床面積が最も大きい前記第2建物プランを選択することを含む、
[2]~[3]及び[5]~[16]のいずれか1つに記載の方法。
[20]
前記プラン選択工程は、前記建物の総戸数が最も多くなる2以上の前記第2建物プランの中に前記延べ床面積が最も大きい前記第2建物プランが複数存在する場合、当該複数の前記第2建物プランの中から階数の最も小さい前記第2建物プランを選択することを含む、
[19]に記載の方法。
[21]
建物のプランを生成する処理を情報処理装置に行わせる命令を含んだプログラムであって、
前記命令に従って前記情報処理装置が行う処理は、[1]~[20]のいずれか1つに記載された方法の各工程を含む、
プログラム。
[22]
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、
処理部と、
前記処理部において実行される命令を記憶した記憶部とを有し、
前記処理部が前記命令に従って行う処理は、[1]~[20]のいずれか1つに記載された方法の各工程を含む、
情報処理装置。
[23]
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、
[1]~[20]のいずれか1つに記載された方法の各工程を行う手段を備えた
情報処理装置。
【符号の説明】
【0180】
1…情報処理装置、11…通信部、12…記憶部、121…プログラム、13…処理部、2…記憶装置、21…規制DB、22…地
図DB、23…面積情報DB、3…端末装置、4…敷地、5…敷地内領域、6…建築範囲、7…建物
【要約】
【課題】建築の規制の要件を満たしつつ、総戸数が多くなるように1階を含む各階の住戸の戸数と面積が決定された建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】各階の床面積に関する第1建物プランに基づいて、各階の専有部分及び共用部分の面積に関する第2建物プランが生成される。第2建物プランの生成する場合、全住戸が第1面積未満の基本住戸であると仮定した仮第2建物プランが決定され、仮第2建物プランから算出される仮の総戸数と仮の延べ床面積とに基づいて、総戸数が多くなるように、第2面積(≧第1面積)以上の特定住戸の戸数と基本住戸の戸数との組み合わせ(住戸数セット)が決定される。この住戸数セットに基づいて、1階共用部分面積が決定され、住戸数セットと1階共用部分面積とに基づいて、第2建物プランが生成される。
【選択図】
図7