(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】TGF-β合成抑制剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20241206BHJP
A61K 36/537 20060101ALI20241206BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20241206BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20241206BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241206BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20241206BHJP
A61Q 5/02 20060101ALN20241206BHJP
A61Q 5/06 20060101ALN20241206BHJP
A61Q 5/12 20060101ALN20241206BHJP
A61Q 19/00 20060101ALN20241206BHJP
A61Q 19/10 20060101ALN20241206BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K36/537
A61P17/02
A61P17/14
A61P43/00 107
A61P43/00 111
A61Q7/00
A61Q5/02
A61Q5/06
A61Q5/12
A61Q19/00
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2017139905
(22)【出願日】2017-07-19
【審査請求日】2020-07-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
(72)【発明者】
【氏名】小椋 将岐
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】冨永 保
【審判官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222680(JP,A)
【文献】特開2009-24023(JP,A)
【文献】特開平10-265347(JP,A)
【文献】特開平5-310537(JP,A)
【文献】特開2013-67605(JP,A)
【文献】特開2002-87938(JP,A)
【文献】特開2005-237348(JP,A)
【文献】特開2005-343889(JP,A)
【文献】Journal of Pharmacological Sciences、(2016)、132、pp.131~137
【文献】AROMA RESEARCH、(2010)、Vol.11、No.2、pp.28~31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シソ科(Lamiaceae)シソ属(Perilla)の植物であるシソ
の葉の水
による低温(0℃~10℃)抽出物を有効成分として含有するTGF-β合成抑制剤。
【請求項2】
請求項1に記載のTGF-β合成抑制剤を含む脱毛抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シソ科シソ属の植物由来の生体安全性にすぐれた有効成分を含むTGF-β合成抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細胞増殖・分化を制御し、細胞死を促すことが知られているサイトカイン(細胞の働きを調節する分泌性蛋白の一種)の研究が行われており、例えば、TGF-β(Transforming Growth Factor)スーパーファミリーに属するサイトカインが、細胞外マトリックスの異常蓄積、皮膚のケロイド、肥厚性瘢痕又は毛髪の成長(毛髪の成長期から退行期への移行誘導因子)等に関与することが知られている。
【0003】
上記細胞内でのTGF-βの作用を考慮して、このTGF-βの合成を制御する様々な成分の開発が検討されているが、より安全性及び有効性の高い有効成分の開発が求められている。
【0004】
【文献】特開昭60-146829号公報
【文献】特開平10-067674号公報
【文献】特開2007-84446号公報
【文献】特開2015-172074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑みて、皮膚安全性の観点から天然物由来の新たなTGF-βの合成抑制効果を有する成分を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、シソ科シソ属のシソの抽出物がTGF-β1の抑制効果を有することを新たに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シソ科シソ属の植物であるシソの抽出物を有効成分として含有するTGF-β1合成抑制剤である。
本発明は、シソ科シソ属の植物であるシソの抽出物を有効成分として含有する脱毛抑制剤である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、シソ科シソ属の植物であるシソの抽出物を有効成分とするTGF-β1合成抑制剤であって、本発明によれば、細胞外マトリックスの異常蓄積の抑制、皮膚のケロイド及び肥厚性瘢痕の予防・改善、並びに毛髪の成長維持に伴う脱毛抑制及びハリ、コシを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明に係る抽出物のTGF-β1合成抑制効果を示す図である。
【0009】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
本発明で用いる抽出素材は、シソ科(Lamiaceae)シソ属(Perilla)のシソであって、一般的に、学名として、Perilla frutescensvar. Crispa、又はPerilla frutescensvar. Brittonで表記されるものを含み、例えば、アオジソ、チリメンジソ、アカジソ、マダラジソ、カタメンジソ、チリメンアオジソ又はこれらの変種もしくは亜種、或いは交配種が挙げられるが、本発明はこれに限るものではない。
【0010】
本発明に用いる素材は、シソ科シソ属のシソの全草、葉、花部、茎、種子、実、根等、いずれを用いても良いが、全草、或いは葉、花部、茎及び/又は実の使用が好ましく、特に葉及び/又は花部の使用が好ましい。また、シソの使用部位の採取時期及び大きさ等は特に限定されるものではなく、いずれの大きさ、採取時期のものを使用しても良い。
【0011】
抽出物の調製は、まず、シソ科シソ属のシソの部位(例えば、全草、或いは葉、花部、茎及び/又は実)を、必要ならば予め水洗して異物を除いた後、そのまま又は乾燥した上、必要に応じて細切又は粉砕し、抽出溶媒と接触させて抽出を行う。抽出は、浸漬法等の常法に従って抽出溶媒と接触させることで行うことが可能であるが、超臨界抽出法や水蒸気蒸留法を用いることも可能である。
【0012】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;n-ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、それらは単独で又は二種以上混合して用いられる。
【0013】
それら抽出溶媒のうちでも、得られる抽出物の有効性及び皮膚刺激性の観点から、更に、皮膚外用剤等の製品への幅広い適用が可能であるという点からも、本発明においては、水、或いは水と低級アルコール類又は多価アルコール類などの混合溶媒が好適である。この親水性溶媒を用いる場合の好ましい例としては、例えば、水、低級アルコール類(特にエタノール)、又は多価アルコール(特に、1,3-ブチレングリコール)の単独使用、或いは、水と低級アルコール類(特にエタノール)との混合溶媒、又は水と多価アルコール類(特に1,3-ブチレングリコール,グリセリン)との混合溶媒の使用等が挙げられるが、なかでも水単独、又は水と1,3-ブチレングリコールの混合溶媒が特に好ましい。
【0014】
混合溶媒を用いる場合の混合比は、例えば水と1,3-ブチレングリコールとの混合溶媒であれば、容量比(以下同じ)で1:1~20:1、水とエタノールとの混合溶媒であれば、1:1~25:1、水とグリセリンとの混合溶媒であれば1:1~20:1の範囲とすることが好ましい。
【0015】
また、シソ科シソ属のシソの乾燥部位(例えば、全草、或いは葉、花部、茎及び/又は実)と抽出溶媒との重量比は好ましくは1:1~1:50の範囲であり、より好ましくは、1:5~1:20の範囲である。
【0016】
抽出物の調製に際して、そのpHに特に限定はないが、一般には4~9の範囲とすることが好ましい。かかる意味で、必要であれば、前記抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性調整剤、又はクエン酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性調整剤を配合し、所望のpHとなるように調整してもよい。
【0017】
抽出温度、抽出時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpHによっても異なるが、例えば、水、又は水と1,3-ブチレングリコール若しくはエタノールとの混液を溶媒とする場合であれば、抽出温度は好ましくは0℃~80℃の範囲であり、抽出時間は好ましくは1時間~3日間である。
【0018】
上述のように調製した抽出物は、一般にはpHを4~8に調製した上で、これをそのままの状態で化粧料配合剤として使用しても良く、又減圧濃縮等により所望の濃度として使用しても良い。また、抽出物はスプレードライ法等の常法により乾燥物としても良い。
【0019】
また、上述のように調製した抽出物は、保存安定性等を高めるために、一定時間冷蔵保存した上で、使用しても良い。また、上述のように調製した抽出物は、防腐や安定性の向上等の目的で、エタノール等の低級アルコール又は多価アルコール(1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール等)を添加した上で、使用してもよい。
【0020】
本発明のシソ抽出物は、化粧料、医薬部外品又は医薬品に使用することはできる。例えば、軟膏、クリーム、ローション、エッセンス、乳液、パック、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉などのメイクアップ化粧料、洗顔料、ボディシャンプー、石けん、浴剤等に使用可能であるが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0021】
本発明を、例えば、化粧料又は医薬部外品に配合する場合は、抽出物の固形分として、基礎化粧料の場合は、一般に0.002~1.0重量%、好ましくは0.02~0.2重量%の範囲、メイクアップ用剤の場合は、一般に0.002~1.0重量%、好ましくは0.02~0.2重量%の範囲、又清浄用化粧料の場合は、一般に0.002~10.0重量%、好ましくは0.02~7.0重量%の範囲である。また、本発明に係る抽出物を毛髪化粧料(医薬部外品も含む)に配合する場合は、例えば、育毛・養毛用化粧料であれば、一般的には0.00001~5.0重量%(固形分重量%、以下同じ)であり、好ましくは、0.001~3.0重量%である。また、シャンプー等の洗髪用化粧料であれば、一般的には0.00001~5.0重量%(固形分重量%、以下同じ)であり、好ましくは、0.0001~1.0重量%である。また、リンスやコンディショナーであれば、一般的には0.00001~5.0重量%(固形分重量%、以下同じ)であり、好ましくは、0.001~1.0重量%である。
【0022】
本発明を化粧料、医薬部外品又は外用医薬品に配合する場合、通常、それらの製剤に用いられる成分、例えば、油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、抗酸化剤、キレート剤、pH調整剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。また、有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分と組み合わせで使用することも何ら差し支えない。
【0023】
ここで、油性成分としては、例えば、ハス油、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米糠油、米胚芽油、ヤシ油、カミツレ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、ローズヒップ油、ランベンダー油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0024】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′,N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0025】
乳化剤又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)、サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0026】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、シラン根(白及)抽出物、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0027】
増粘剤としては、例えば、アルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;シラン根(白及)抽出物;ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体、アルカリゲネス産生多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0028】
防腐・殺菌剤としては、例えば、尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、ポリリン酸、プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ等の植物由来のエタノール又は1,3-ブチレングリコール等がある。
【0029】
粉体成分としては、例えば、セリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、小豆等)のパウダー等がある。
【0030】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0031】
抗酸化剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ムラサキシキブの抽出物、シラン根の抽出物、シャクヤク抽出物、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)等がある。
【0032】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、エデト酸又はその塩類、グルコン酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム等がある。
【0033】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、グリコール酸、コハク酸、塩酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等がある。
【0034】
美白剤としては、例えば、t-シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)が挙げられ、これらを単独で配合しても、複数を組み合わせて配合しても良い。
【0035】
上記のコウジ酸誘導体としては、例えば、コウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレート等のコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシド等のコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド、L-アスコルビン酸-5-グルコシド、アスコルビルトコフェリルマレイン酸、アスコルビルトコフェリルリン酸K、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基等)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステル等のL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム、グリセリルアスコルビン酸又はそのアシル化誘導体、ビスグリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸グルセリン誘導体、L-アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、L-アスコルビン酸のヒアルロン酸誘導体、3-O-Dラクトース-L-アスコルビン酸、イソステアリルアスコルビルリン酸塩等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル(例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ヘキサデシルエステル、トラネキサム酸セチルエステル又はその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トラネキサム酸メチルアミド)等が挙げられ、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0036】
生理活性成分としては、例えば、胎盤抽出液、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、米糠抽出物又はその加水分解物、白芥子抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物、シャクヤク抽出物又はその加水分解物、乳酸菌醗酵米、ムラサキシキブ抽出物、ハスの花の抽出物、ハトムギ加水分解物、ハトムギ種子発酵物、ローヤルゼリー発酵物、酒粕抽出物又はそれに含まれるセラミド、酒粕発酵物、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)抽出物、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)抽出物、カミツレ抽出物等が挙げられる。また、ナス(ハス、長ナス、賀茂ナス、米ナス等)抽出物又はその加水分解物、アンズ果実の抽出物、カタメンキリンサイ等の海藻の抽出物、アマモ等の海産顕花植物の抽出物、豆乳発酵物、クラゲ水、米抽出物又はその加水分解物、米醗酵エキス、発芽米抽出物又はその加水分解物、発芽米発酵物、黒豆抽出物又はその加水分解物、ダマスクバラの花の抽出物、タケノコの皮の抽出物、リノール酸及びその誘導体若しくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸等)、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t-シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナ抽出物、甘草抽出物、ニンジン抽出物、オタネニンジン抽出物又はその発酵物、紅参抽出物、ミツイシコンブ抽出物、ヘチマ抽出物、アナアオサ抽出物、モモ抽出物、桃仁抽出物、キウイ抽出物、ヒマワリ抽出物、ジュアゼイロ(Zizyphus joazeiro)抽出物、パウダルコ樹皮抽出物、ハイビスカスの花抽出物または発酵物、ハゴロモグサ抽出物、チェリモヤ抽出物、マンゴー抽出物、マンゴスチン抽出物、フノリ抽出物、烏龍茶抽出物、紅富貴抽出物、シラン抽出物、山椒果皮又は種皮の抽出物または加水分解物、ベニバナ花抽出物、カサブランカ抽出物、甘藷抽出物又はその発酵物、グアバ葉抽出物、ドクダミ抽出物、晩白柚抽出物、アロエ抽出物、イチジク抽出物、リンゴ抽出物、ホワイトアスパラガス抽出物等がある。
【0037】
また、本発明を脱毛抑制用の製剤に使用する場合は、育毛・養毛効果の相乗効果が期待できる成分と併用してもよい。例えば、当該成分として、ミノキシジル、シプロテロンアセテート、ペンタデカン酸グリセリド、6-アミノベンジルプリン(サイトプリン)、アデノシン、トランス-3,4'-ジメチル3-ヒドロキシフラバノン(t-フラバノン)、センブリエキス、ヒノキチオール、感光素、パントテン酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、ニコチン酸誘導体(ニコチン酸アミド等)、塩化カルプロニウム、女性ホルモン類(エチニルエストラジオール、エストロン等)、サリチル酸、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、l-メントール、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、チオキソロン、カンファー、レゾルシン、タマサキツヅラフジ根の抽出物、タマサキツヅラフジから得られるビス型アルカロイド、甘草エキス、センブリエキス、マイマイ花エキス、カミツレエキス、ローヤルゼリー発酵物、ハスの種子発酵物、イチョウエキス、パルダルコ樹皮エキス、ゲンチアナエキス、オタネニンジンエキス、豆乳発酵液、黒大豆加水分解エキス、アッケシソウエキス、タケノコエキス、葛根エキス、ミツイシコンブエキス、チョウジエキス、コラーゲン、アミノ酸類、及びビタミン類等が挙げられ、それらのいずれか1種又は2種以上を配合してもよい。
【0038】
特に、頭皮の炎症を抑える「グリチルリチン酸ジカリウム、甘草エキス、パルダルコ樹皮エキス又はゲンチアナエキス」、頭皮の炎症を抑える効果及び殺菌効果を有する「イソプロピルメチルフェノール」、血流促進効果を有する「タマサキツヅラフジ根エキス又はそれから得られるビス型アルカロイド」、血流促進効果及び皮脂分泌抑制効果を有する「オタネニンジンエキス」、血行促進効果を有する「センブリエキス」、皮脂の酸化抑制効果を有する「豆乳発酵液」、頭皮のバリア機能を回復させる「アッケシソウエキス」、毛髪の成長期への移行を促進する「タケノコエキス又は葛根エキス」、脱毛を抑制する「ミツイシコンブエキス」及び頭皮の乾燥を抑制する「コラーゲン」の少なくとも1以上と併用することが好ましい。
【0039】
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0040】
製造例1.シソの葉の抽出物の調製(1)
乾燥したシソの葉40gに精製水400gを加えて、10℃で18時間抽出した。これをろ過して、褐色の抽出物(固形分2.3%)337gを得た。
【0041】
製造例2.シソの全草の抽出物の調製(2)
乾燥したシソの全草40gに精製水400gを加えて、冷蔵(2~10℃)で一晩(18時間)抽出した。これをろ過して、褐色の抽出物(固形分2.0%)300gを得た。
【0042】
処方例1.化粧水
[成分] 部
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
ブチルパラベン 0.1
製造例1の抽出物 5.0
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
香料 適量
【0043】
処方例2.化粧水
処方例1に含まれる製造例1の抽出物に代えて、製造例2の抽出物5.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
【0044】
処方例3.乳液
[成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ハス精油 0.025
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 1.0
親油型ステアリン酸グリセリル 1.0
水添大豆レシチン 1.5
製造例1の抽出物 3.0
L-アスコルビン酸 2-グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
水溶性コラーゲン 0.1
精製水 全量が100部となる量
香料 適量
【0045】
処方例4.ローション
[成分] 部
製造例1の抽出物 10.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1、3-ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
キサンタンガム 0.1
グアーガム 0.1
香料 適量
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
【0046】
処方例5.ローション
処方例4の成分中製造例1の抽出物に代えて製造例2の抽出物10.0部を用いるほかは処方例4と同様にしてローションを得た。
【0047】
処方例6.エッセンス
[成分] 部
エタノール 2.0
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
ヒアルロン酸 0.1
加水分解ヒアルロン酸液 0.1
製造例1の抽出物 5.0
クエン酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.6
精製水 全量が100部となる量
【0048】
処方例7.ボディシャンプー
[成分] 部
N-ラウロイルメチルアラニンナトリウム 25.0
ヤシ油脂肪酸カリウム液(40%) 26.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の抽出物 5.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0049】
処方例8.育毛料
[成分] 部
l-メントール 0.8
アデノシン 1.0
製造例1の抽出物 2.0
1,3-ブチレングリコール 10.0
フェノキシエタノール 0.2
エタノール 20.0
精製水 全量が100部となる量
【0050】
処方例9.育毛料
処方例8の成分中、アデノシンに代えて、ミノキシジルを用いるほかは処方例8と同様にして育毛料を得た。
【0051】
処方例10.育毛料
処方例8の成分中、アデノシンに代えて6-ベンジルアミノプリンを用いるほかは処方例9と同様にして育毛料を得た。
【0052】
処方例11.育毛料
[成分] 部
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
l-メントール 0.1
製造例1の抽出物 1.0
大豆レシチン 0.2
1,3-ブチレングリコール 10.0
エタノール 20.0
タケノコ皮エキス 3.0
褐藻エキス 3.0
アッケシソウエキス 3.0
ゲンチアナエキス 3.0
アマモエキス 3.0
精製水 全量が100部となる量
【0053】
処方例12.育毛料
処方例11において、タケノコエキスに代えて葛根エキスを用い、ゲンチアナエキスに代えてパウダルコ樹皮エキスを用いる他は、処方例11と同様にして育毛料を得た。
【0054】
処方例13.育毛料
処方例11において、アマモエキスに代えて黒大豆加水分解エキスを用い、アッケシソウエキスに代えて豆乳発酵液を用いる他は、処方例11と同様にして育毛料を得た。
【0055】
処方例14.ヘアークリーム
[成分] 部
流動パラフィン 15.0
ワセリン 15.0
サラシミツロウ 2.0
製造例1の抽出物 1.0
褐藻エキス 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
キサンタンガム 0.1
グリセリン 5.0
1、3-ブチレングリコール 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
キレート剤 0.1
防腐剤 0.1
香料 0.1
色素 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0056】
処方例15.ヘアシャンプー
[成分] 部
N-ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
メチルパラベン 0.1
クエン酸 0.1
製造例1の抽出物 2.0
コラーゲン 5.0
アマモエキス 5.0
黒大豆加水分解液 5.0
アッケシソウエキス 5.0
パウダルコ樹皮エキス 5.0
葛根エキス 5.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0057】
処方例16.ヘアシャンプー
処方例15の成分中、製造例1の抽出物に代えて製造例2の抽出物を用いるほかは処方例15と同様にしてヘアシャンプーを得た。
【0058】
実施例17.ヘアリンス
[成分] 部
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
セタノール 3.2
ステアリルアルコール 1.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の抽出物 2.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
精製水 全量が100部となる量
【0059】
試験例1.TGF-β1合成抑制効果試験
ウサギ角膜由来細胞(SIRC)を、10%FBS含有イーグル最少必須培地(日水製薬株式会社)に5×104個/mLに調製し、96穴マイクロプレートに100μLを播種して、5%炭酸ガス、飽和水蒸気下、37℃で培養した。3日間培養後、終濃度が2%となるように製造例1の抽出物を含んだ10%FBS含有イーグル最少必須培地に交換して培養した。また、終濃度が2%となるようにPBS(-)を含んだ10%FBS含有イーグル最少必須培地を追添加した試験区をコントロールとして設定した。試料添加翌日に、培養器底面からUV-Bランプ(Philips社製TL20W/12RS)を用いて約100mJ/cm2の紫外線照射を行い48時間後に上清を回収した。上清に分泌されたサイトカイン(TGF-β1)は、抗体アレイキット(RayBiotech社製)を用いて測定した。結果は化学発光で得られる為、得られた画像を解析、輝度から数値を算出した。
【0060】
試験例1の結果を
図1に示す。
図1に示すように、本発明に係る抽出物は格段にすぐれたTGF-β1合成促成効果を有することが確認された。これにより、本発明に係る抽出物は、細胞外マトリックスの異常蓄積、皮膚のケロイド及び肥厚性瘢痕の予防、改善効果が示唆される。また、毛包細胞における毛髪の成長期から退行期への移行を抑制し、脱毛抑制及び毛髪のハリ、コシの改善効果を発揮することも示唆される。