(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】筐体装置
(51)【国際特許分類】
F16L 41/02 20060101AFI20241206BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
F16L41/02
F16K27/00 Z
(21)【出願番号】P 2021110262
(22)【出願日】2021-07-01
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永森 保行
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-071179(JP,A)
【文献】実開平03-035392(JP,U)
【文献】特開2018-100509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/02
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の流体管を取り囲んで装着され
且つ複数の分割体で構成される外箱と、
前記流体管の管軸方向に直交する第1方向の第1側から第2側に向けて挿入されて前記外箱に収容され、前記流体管の切断部に挿入される挿入体と、
前記外箱と前記挿入体との間を密封する第1パッキンと、
前記複数の分割体の合わせ面に配置され前記複数の分割体の間を密閉する第2パッキンと、
を備え、
前記外箱は、前記流体管に固定される円弧部と、前記円弧部から前記第1方向の前記第1側に向けて延び且つ前記挿入体が挿入可能な開口筒部と、を有し、
前記開口筒部は、前記管軸方向の一方側に配置される第1リブ及び前記管軸方向の他方側に配置される第2リブを有し、
前記第1リブ及び前記第2リブは、前記開口筒部の内周面から前記開口筒部の径方向内側に突出し且つ前記開口筒部の周方向に延びている、筐体装置。
【請求項2】
前記第1リブ及び第2リブは、それぞれ、前記円弧部のうち最も外径が小さい部位の前記第1側の外表面と前記第1方向において重なる位置に配置されている、請求項1に記載の筐体装置。
【請求項3】
前記挿入体は、前記外箱への挿入完了状態において、前記第1方向に沿った視線で見て、前記第1リブ及び第2リブの内周面の内径よりも前記開口筒部の径方向外側に突出する第1部位と、前記第1リブ及び第2リブの内周面の内径よりも径方向内側となる第2部位と、を有し、
前記第1リブ及び前記第2リブは、正しい姿勢で挿入される前記挿入体の前記第1部位を前記第1リブ及び前記第2リブの間の隙間に受け入れる位置に配置されていると共に、誤った姿勢で挿入される前記挿入体の前記第1部位に接触する位置に配置されている、請求項1又は2に記載の筐体装置。
【請求項4】
前記第1リブ及び前記第2リブは、それぞれ、前記開口筒部の周方向に延びる第3部位と、前記第3部位のうち前記挿入体に対面する部位から前記第1方向に延びる第4部位と、を有する、請求項1~3のいずれかに記載の筐体装置。
【請求項5】
前記挿入体は、流路を切替可能または開閉可能な弁体を有する、請求項1~4のいずれかに記載の筐体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水道管などの流体管に取り付けられる筐体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既設の流体管(水道管)に装着される外箱と、その外箱に収容される挿入体と、を備えた筐体装置が開示されている。挿入体は、流路を切替又は遮断する弁体を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外箱は流体管に固定されるため、流体管が管軸方向に沿って離れようとする離脱力が作用した場合に、外箱が引っ張られることで外箱が管軸方向に変形してしまう。かといって、外箱を肉厚にしたり、外箱の外側に補強部材を設けたりすると、外箱が大型化してしまう。
【0005】
本開示は、外力による変形を抑制すると共に小型化を図ることが可能な筐体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の筐体装置は、既設の流体管を取り囲んで装着される外箱と、前記流体管の管軸方向に直交する第1方向の第1側から第2側に向けて挿入されて前記外箱に収容され、前記流体管の切断部に挿入される挿入体と、前記外箱と前記挿入体との間を密封する第1パッキンと、を備え、前記外箱は、前記流体管に固定される円弧部と、前記円弧部から前記第1方向の前記第1側に向けて延び且つ前記挿入体が挿入可能な開口筒部と、を有し、前記開口筒部は、前記管軸方向の一方側に配置される第1リブ及び前記管軸方向の他方側に配置される第2リブを有し、前記第1リブ及び前記第2リブは、前記開口筒部の内周面から前記開口筒部の径方向内側に突出し且つ前記開口筒部の周方向に延びている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る、弁装置を管軸方向に直交する側方から見た第1側面図。
【
図2】弁装置を管軸方向に平行な視点で見る第2側面図。
【
図4】挿入体が外箱に挿入される前の開口筒部の軸に平行な視線で見た弁装置の平面図。
【
図6】挿入体を示す斜視図、第1側面図、第2側面図、及び底面図。
【
図7A】正しい姿勢で挿入される挿入体と第1リブと第2リブの位置関係を示す
図4に対応する図。
【
図7B】誤った姿勢で挿入される挿入体と第1リブと第2リブの位置関係を示す
図4に対応する図。
【
図8】正しい姿勢で挿入される挿入体と外箱と水道管を示す一部破砕斜視図。
【
図9】誤った姿勢で挿入される挿入体と外箱と水道管を示す一部破砕斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態の筐体装置について、図面を参照しながら説明する。第1実施形態の筐体装置は、既設の水道管K(流体管の一例)の流路を遮断する仕切弁を有する弁装置1である。
【0009】
図1は、弁装置1を管軸方向ADに直交する側方から見た第1側面図である。
図2は、弁装置1を管軸方向ADに平行な視点で見る第2側面図である。
図3は、
図2におけるIII-III部位断面図であり、外箱2及び外蓋7のみを切断した様子で示し、挿入体3は切断せずに示している。
図3では、図面上での区別を容易にするために、外観で示した第1パッキン4を着色して描いている。
図4は、水道管Kが切断された状態であり且つ挿入体3が外箱2に挿入される前の開口筒部22の軸C1に平行な視線で見た弁装置1の平面図である。
【0010】
図1~4に示すように、弁装置1は、水道管Kを取り囲んで装着される外箱2と、外箱2に収容される挿入体3と、外箱2と挿入体3との間を密閉する第1パッキン4(内パッキンともいう)と、を有する。挿入体3は、水道管Kの管軸方向ADに直交する第1方向UDの第1側UD1から第2側UD2に向けて挿入され、水道管Kの切断部K1に挿入される。第1実施形態では、第1方向UDは、上下方向であり、第1側UD1は上方であり、第2側UD2は下方である。
【0011】
外箱2は、複数の分割体2A,2Bで構成されている分割構造である。各々の分割体2Aは、水道管Kの外周面を密閉状態で取り囲む円弧部20を有する。各分割体2A,2Bが合わされることで水道管Kが包囲される。複数の円弧部20は、互いに合わせることで水道管Kの外周面を包囲する。第1実施形態において、複数の分割体は、上側部材2Aと下側部材2Bとで構成された上下2つ割り構造である。割数は2に限定されない。外箱2の分割体である円弧部20と水道管Kの間の隙間が第2パッキン5(外パッキンともいう)で密封される。第2パッキン5は、円弧部20に沿って水道管Kの周方向に延びていると共に分割体2A,2Bの合わせ面に沿って延びており分割体2A,2Bの間を密閉する(
図5参照)。第2パッキン5は環状に形成されおり、第1パッキン4とは別個のパッキンである。
図5は、分割体2Aを下方から見上げる一部断面図である。
図5において、第2パッキン5が配置される位置を着色して示している。分割体2A,2Bは、ボルト孔21を通したボルト及びナットによって互いに接合される。
【0012】
図1~4に示すように、円弧部20の先端部は、水道管Kが離脱することを防止する離脱防止機構6によって水道管Kに固定されている。離脱防止機構6は、水道管Kの外周面に係止する爪部60と、爪部60を収容し且つ周方向に延びる爪収容部61と、爪部60を水道管Kに向けて押さえる押ボルト62とを有する。本実施形態では、円弧部20の先端部に離脱防止機構6が一体形成されており、円弧部20の先端に爪収容部61が一体形成されている。離脱防止機構6の形状やその有無については適宜変更可能である。
【0013】
外箱2を構成する上側部材2Aは、離脱防止機構6によって水道管Kに固定される円弧部20と、円弧部20から第1方向UDの第1側UD1に延びる開口筒部22と、を有する。開口筒部22は、挿入体3が挿入可能であり、挿入体3の挿入が完了すると、外蓋7が取り付けられる。外蓋7は、挿入体3を下側部材2Bに向けて押さえつける状態で開口筒部22のフランジにボルトで締結される。
【0014】
図6は、挿入体3を示す斜視図、第1側面図、第2側面図、底面図を示す。斜視図では弁体32を図示していない。第1側面図、第2側面図では、弁体32を挿入した状態を図示している。管軸方向ADは、挿入体3を正しい姿勢で外箱2に挿入した場合の方向を示す。
図6に示す管軸方向ADは、挿入体3に形成された水道管Kと導通する流路孔30の軸方向でもある。
図6に示すように、挿入体3は、水道管K内を流れる流体(すなわち水)の流路を遮断又は切替可能な弁体32を内部に有する。第1実施形態の挿入体3は、内部の弁体32が流路を遮断する位置又は流路を解放する位置に移動可能なに仕切弁である。挿入体3は、弁体挿入孔31を有し、弁体32は弁体挿入孔31を介して挿入体3の挿入方向(上下方向UD)に沿って挿入又は抜脱可能に構成されている。弁体32を弁体挿入孔31から挿入体3の内部に差し込むことで弁体32が流路を閉塞し、弁体32を抜く方向(上方UD1)に移動させることで、弁体32が流路(流路孔30)を解放する。
【0015】
図6に示すように、挿入体3は、全体として上部円盤部33と、下部円盤部34と、上部円盤部33と下部円盤部34を接続する直方体部35と、を結合した形状に形成されている。直方体部35は、弁体32を収容すると共に流路孔30が形成されている。
図6では第1パッキン4を図示せずに一点鎖線で配置場所を示している。第1パッキン4は、
図3及び
図6に示すように、上部円盤部33に開口筒部22の周方向に沿って一周して環状に配置されており、開口筒部22の内周面に接触する。第1パッキン4は、下部円盤部34の底に一対の円弧状に配置されており、下側部材2Bの底面と接触する。第1パッキン4は、直方体部35の側面に第1方向UDに延びており、外箱2の内周面に接触する。第1パッキン4は、底の対の円弧部から上方に向けて延びている。これにより、直方体部35と外箱2の底面との間の第1空間SP1及び直方体部35の側方にある第1パッキン4の間の第2空間SP2とが連通している。また、管軸方向ADの一方側の第3空間SP3と、管軸方向ADの他方側の第4空間SP4とを遮断可能となる。すなわち、第1空間とこれに連通する第2空間SP2と、第3空間SP3と、第4空間SP4と、が第1パッキン4によって遮断される。これにより、弁体32による流路の適切な遮断が可能となる(すなわち、第3空間SP3と第4空間SP4とが遮断されること)。また、外箱2の底の第1空間SP1と第2空間SP2とが連通しているので、挿入体3と外箱2の間の第1パッキン4による密閉が適切であるかを、外箱2の底又は側面のプラグ80から排水することで確認可能となる。
【0016】
図3~5に示すように、開口筒部22は、第1リブ23及び第2リブ24を有する。第1リブ23は、管軸方向ADの一方側に配置される。第2リブ24は、管軸方向ADの他方側に配置される。第1リブ23及び第2リブ24は、それぞれ開口筒部22の内周面22aから開口筒部22の径方向内側RD1に突出し且つ開口筒部22の周方向CD1に延びている。
図4に示すように、開口筒部22の軸C1に平行な視線で見て、第1リブ23及び第2リブ24の軸C1に対する開き角度が少なくとも45度以上、更に好ましくは90度以上となるように、周方向CD1に沿って延びているとしてもよい。本実施形態では、開口筒部22の軸C1に平行な視線で見て、円弧部20を管軸方向ADに投影した範囲Ar1の開口筒部22全てに重なるように、周方向CD1に沿って延びている。水道管Kが離脱方向に離れようとした場合に、円弧部20が管軸方向ADに沿って離脱方向に引っ張られ、円弧部20に接続されている範囲Ar1の開口筒部22が管軸方向ADに引っ張られ、軸C1に平行な視線で見て開口筒部22が真円から楕円形に変形する方向に力が作用するからである。上記範囲Ar1の開口筒部22の内周面に第1リブ23及び第2リブ24が周方向CD1に延びていれば、第1リブ23及び第2リブ24が開口筒部22の変形を抑制可能となる。
また、第1リブ23及び第2リブ24は、外箱2の内周面22aに設けられ且つ挿入体3が配置されず、他の機器に使用されていない空間に配置されているので、外箱2の小型化を図ることが可能となる。
【0017】
図3及び5に示すように、第1リブ23及び第2リブ24は、それぞれ、開口筒部22の周方向CD1に延びる周延在部位23a,24aと、周延在部位23a,24aのうち挿入体3に対面する部位から第1方向UDに延びる軸延在部位23b,24bと、を有する。この構成によれば、開口筒部22の水道管Kの離脱力に対する剛性は周延在部位23a,24aで確保されるが、周延在部位23a,24aに更に軸延在部位23b,24bが設けられることで、第1リブ23及び第2リブ24の剛性が向上可能となる。さらに、軸延在部位23b,24bは、挿入体3に対面する部位に設けられているので、軸延在部位23b,24bで挿入体3を点ではなく線で支持可能となり、挿入体3の動きを抑制可能となる。
【0018】
第1リブ23及び第2リブ24(特に開口筒部22の内周面から突出する部位である周延在部位23a,24a)は、開口筒部22の内周面に設けられていれば、開口筒部22の湾曲変形を抑制する効果がある。その効果を最も高めるためには、
図3に示すように、円弧部20のうち最も外径が小さい部位(円弧部のくびれ部)の第1側UD1(開口筒部22が開口する側)の外表面P1と第1方向UDにおいて重なる位置(
図3にて線L1で示す)に配置されているのが好ましい。水道管Kが離脱しようとする際には、円弧部20の円弧部20の最も外径が小さい部位に離脱力が最も作用する。開口筒部22においては円弧部20の最も外径が小さい部位の外表面と第1方向UDで重なる部位が最も引っ張られ、その重なる部位に大きな力が作用し、当該重なる部位が変形しやすい。よって、当該重なる部位に第1リブ23及び第2リブ24が配置されていることが好ましい。言い換えれば、円弧部20の最も外径が小さい部位の外表面P1と、第1リブ23及び第2リブ24の下面(第2側UD2の面)の高さが同じであるか、第1リブ23及び第2リブ24の下面(第2側UD2の面)が前記外表面P1よりも低くければ、開口筒部22において当該力が強く作用する部位に第1リブ23及び第2リブ24が配置されることになり、開口筒部22を含む外箱2の変形を抑制可能となる。
【0019】
図3に示すように、挿入体3のうち、外箱2への挿入開始状態から挿入完了状態までにおいて第1リブ23及び第2リブ24と干渉する可能性があるのは、下部円盤部34及び直方体部35である。
図4に示すように、挿入体3は、第1リブ23の内周面と第2リブ24の内周面の間に挿入されるため、第1リブ23及び第2リブ24の内周面の内径R1よりも小さい必要がある。
【0020】
図6の底面図に示すように、第1方向UDに沿った視線で見て、挿入体3の下部円盤部34は、第1リブ23及び第2リブ24の内周面の内径R1よりも小さい。それゆえ、挿入体3の外箱2への挿入完了状態において、下部円盤部34は、第1リブ23及び第2リブ24の内周面の径方向内側に位置することになる。一方、第1方向UDに沿った視線で見て、挿入体3の直方体部35は、第1リブ23及び第2リブ24の内周面の内径R1よりも大きい。それゆえ、挿入体3の外箱2への挿入完了状態において、直方体部35は、第1リブ23及び第2リブ24の内周面の径方向外側に位置することになる。第1リブ23及び第2リブ24の内径R1は、カッターの外径すなわち切断部K1以上であり、開口筒部22の内周面22aの内径よりも小さければよい。
【0021】
図7Aは、正しい姿勢(第1所定姿勢)で挿入される挿入体3と第1リブ23と第2リブ24の位置関係を示す
図4に対応する図である。
図8は、正しい姿勢(第1所定姿勢)で挿入される挿入体3と外箱2と水道管Kを示す一部破砕斜視図である。
図7A及び
図8に示すように、挿入体3が第1側UD1(上方)から第2側UD2に向けて挿入される際に、第1リブ23及び第2リブ24は、正しい姿勢で挿入される挿入体3の直方体部35及び下部円盤部34を第1リブ23及び第2リブ24の間の隙間に受け入れる位置に配置されている。
【0022】
図7Bは、正しい姿勢でない誤った姿勢(第2所定姿勢)で挿入される挿入体3と第1リブ23と第2リブ24の位置関係を示す
図4に対応する図である。
図9は、誤った姿勢(第2所定姿勢)で挿入される挿入体3と外箱2と水道管Kを示す一部破砕斜視図である。
図7B及び
図9に示すように、挿入体3が第1側UD1(上方)から第2側UD2に向けて挿入される際に、第1リブ23及び第2リブ24は、誤った姿勢で挿入される挿入体3の直方体部35に接触する位置に配置されている。これにより、誤った姿勢の挿入体3が挿入されることを防止でき、誤挿入された挿入体3の第1パッキン4が水道管Kの鋭利な切断部K1に接触して傷つくことを回避可能となる。
【0023】
挿入体3が正しい姿勢で挿入されれば、
図3に示すように、挿入体3の底部(下部円盤部34の第1パッキン4が外箱2の底面に接触し、直方体部35が第1リブ23及び第2リブ24から第1方向UDに離間した状態で固定される。また、挿入体3は、上方が固定され且つ下方が固定されていない片持ち構造であるため、止水時などに流路の圧力で挿入体3の下部が管軸方向ADに振られる力が作用する。しかし、第1リブ23の軸延在部位23bと第2リブ24の軸延在部位24bに直方体部35が挟まれているため、挿入体3の傾きを防止可能となる。
【0024】
<変形例>
(1)第1実施形態において挿入体3は、流路を遮断可能な弁体32を内部に有する仕切弁であるが、これに限定されない。
図10は、変形例の挿入体103を示し、下側部材を取り外して、上側部材102A及び外箱102を下方(第2側UD2)から見た図である。
図10に示すように、弁体(非図示)が流路を第1経路RT1又は第2経路RT2のいずれかに切替可能とする切替弁を挿入体103としてもよい。外箱102には、既設の水道管K以外に分岐管102Kが接続される。挿入体103の内部の弁体の回転姿勢によって第1経路RT1又は第2経路RT2が切り替えられる。挿入体103は、上部133が外箱102の内周面に第1パッキン4を介して接触し、底部134が外箱102の底面に第1パッキン4を介して接触する。挿入体103は、複数(4つ)の側方突出部135を有し、側方突出部135が第1パッキン4を介して外箱102の内周面に接触する。側方突出部135は、第1リブ23及び第2リブ24の内周面の内径R1よりも開口筒部22の径方向外側に位置している。底部134は、第1リブ23及び第2リブ24の内周面の内径R1よりも開口筒部22の径方向内側に位置している。第1リブ23と第2リブ24の間には、第3リブ25が設けられている。第1リブ23と第3リブ25の間に2箇所の隙間が形成され、第3リブ25と第2リブ24の間に2箇所の隙間が形成されている。挿入体103が正しい姿勢であれば、側方突出部135がそれぞれ計4箇所の隙間に挿入可能となる。挿入体103が誤った姿勢であれば、側方突出部135がいずれかのリブに接触して挿入できない。
側方突出部135は、複数あればよく、例えば3つ以上あればよい。開口筒部22の補強のためだけであれば、第3リブ25を省略可能である。また、誤挿入防止のためであっても第3リブ25を省略できる場合がある。
【0025】
(2)
図4、
図7A及び
図7Bに示すように、離脱防止機構6を円弧部20に別個に設けてもよい。すなわち、円弧部20の先端にフランジを設け、当該フランジに離脱防止機構6のフック爪又はボルト等を引っ掛けるようにしてもよい。
【0026】
(3)第1実施形態では、第1リブ23及び第2リブ24は、開口筒部22の軸C1に沿って見て開口筒部22の範囲Ar1全てと重なるようにしているが、第1リブ23及び第2リブ24は、範囲Ar1の一部に配置されていればよい。第1リブ23及び第2リブ24の補強効果が発現可能である。
【0027】
(4)第1実施形態では、軸延在部位23b,24bが設けられているが、軸延在部位23b,24bは省略可能である。周延在部位23a,24aが開口筒部22の周方向CD1に延びていれば開口筒部22の補強効果が発現する。
【0028】
(5)第1実施形態では、第1リブ23が1つ、第2リブ24が1つ設けられているが、各々のリブが隙間をあけて複数配置されていてもよい。
【0029】
(6)上記実施形態では、筐体装置は、挿入体3(103)が弁体を有する弁装置であるが、これに限定されない。弁体を有さない挿入体が外箱に挿入可能に構成された筐体装置としてもよい。
【0030】
以上のように、特に限定されないが、第1実施形態又は変形例のように、弁装置1(筐体装置)は、既設の水道管K(流体管)を取り囲んで装着される外箱2(102)と、水道管Kの管軸方向ADに直交する第1方向UDの第1側UD1から第2側UD2に向けて挿入されて外箱2(102)に収容され、水道管Kの切断部K1に挿入される挿入体3(103)と、外箱2(102)と挿入体3(103)との間を密封する第1パッキン4と、を備え、外箱2(102)は、水道管Kに固定される円弧部20と、円弧部20から第1方向UDの第1側UD1に向けて延び且つ挿入体3(103)が挿入可能な開口筒部22と、を有し、開口筒部22は、管軸方向ADの一方側に配置される第1リブ23及び管軸方向ADの他方側に配置される第2リブ24を有し、第1リブ23及び第2リブ24は、開口筒部22の内周面22aから開口筒部22の径方向内側RD1に突出し且つ開口筒部22の周方向CD1に延びている、としてもよい。
【0031】
この構成によれば、外箱2の円弧部20は流体管(水道管K)に固定されるため、流体管が管軸方向ADに沿って離れようとする離脱力が外箱2(102)に作用した場合に、円弧部20が管軸方向ADに引っ張られることで開口筒部22も管軸方向ADに引っ張られる。開口筒部22の内周面22aには、内周面22aから径方向内側RD1に突出する第1リブ23及び第2リブ24が設けられている。第1リブ23及び第2リブ24が開口筒部22の周方向CD1に延びているので、開口筒部22を含む外箱2(102)が管軸方向ADに変形することを抑制又は防止可能となる。
【0032】
特に限定されないが、第1実施形態又は変形例のように、第1リブ23及び第2リブ24は、それぞれ、円弧部20のうち最も外径が小さい部位の第1側UD1の外表面P1と第1方向UDにおいて重なる位置に配置されている、としてもよい。
この構成によれば、外箱2(102)のうち最も流体管(水道管K)に引っ張られる箇所は、円弧部20のうち最も外径が小さい部位である。開口筒部22において円弧部20の最も外径が小さい部位の外表面と第1方向UDにおいて重なる部位に力が最も作用する。第1リブ23及び第2リブ24を、当該部位に配置しているので、外箱2(102)の変形を更に抑制又は防止可能となる。
【0033】
特に限定されないが、第1実施形態又は変形例のように、挿入体3(103)は、外箱2(102)への挿入完了状態において、第1方向UDに沿った視線で見て、第1リブ23及び第2リブ24の内周面22aの内径R1よりも開口筒部22の径方向外側に突出する第1部位(直方体部35;側方突出部135)と、第1リブ23及び第2リブ24の内周面22aの内径R1よりも径方向内側RD1となる第2部位(下部円盤部34;底部134)と、を有し、第1リブ23及び第2リブ24は、正しい姿勢で挿入される挿入体3(103)の第1部位を第1リブ23及び第2リブ24の間の隙間に受け入れる位置に配置されていると共に、誤った姿勢で挿入される挿入体3(103)の第1部位に接触する位置に配置されている、としてもよい。
この構成によれば、挿入体3(103)が誤った姿勢であれば、第1リブ23及び第2リブ24に接触してそれ以上の挿入が不可能となり、挿入体3(103)が正しい姿勢であれば、第1リブ23と第2リブ24の間の隙間に受け入れられて挿入体3(103)の更なる挿入が可能となる。したがって、挿入体3(103)を誤った姿勢で挿入することを回避可能となる。特に水道管Kの切断部K1が鋭利になっている場合には、第1パッキン4などを切断部K1に接触させるおそれを抑制又は回避可能となる。
【0034】
特に限定されないが、第1実施形態のように、第1リブ23及び第2リブ24は、それぞれ、開口筒部22の周方向CD1に延びる第3部位(周延在部位23a,24a)と、第3部位のうち挿入体3に対面する部位(周方向端部)から第1方向UDに延びる第4部位(軸延在部位23b,24b)と、を有する、としてもよい。
この構成によれば、第4部位(軸延在部位23b,24b)で挿入体3を面で支持でき、流体による挿入体3の動きを抑制可能となる。また、第1リブ23及び第2リブ24が第3部位(周延在部位23a,24a)だけでなく、第4部位(軸延在部位23b,24b)を有するので、第1リブ23及び第2リブ24の剛性を向上可能となる。
【0035】
特に限定されないが、第1実施形態のように、挿入体3は、流路を開閉可能な弁体32を有する、としてもよい。また、第1実施形態の変形例のように、挿入体103は、流路を切替可能な弁体を有する、としてもよい。
【0036】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0037】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
K…水道管(流体管)
2…外箱
20…円弧部
22…開口筒部
23…第1リブ
23a…周延在部位(第3部位)
23b…軸延在部位(第4部位)
24…第2リブ
24a…周延在部位(第3部位)
24b…軸延在部位(第4部位)
3…挿入体
32…弁体
34…下部円盤部(第2部位)
35…直方体部(第1部位)
4…第1パッキン
102…外箱
103…挿入体
134…底部(第2部位)
135…側方突出部(第1部位)
AD…管軸方向
UD…第1方向
UD1…上方(第1側)
UD2…下方(第2側)