(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-05
(45)【発行日】2024-12-13
(54)【発明の名称】空気の再循環が可能な空冷式燃料電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20241206BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20241206BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20241206BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20241206BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/2475
H01M8/04014
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2022570140
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(86)【国際出願番号】 KR2022010462
(87)【国際公開番号】W WO2023158032
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2022-0020632
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522446568
【氏名又は名称】テラリクス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョン リ
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/214086(WO,A1)
【文献】特開2010-086916(JP,A)
【文献】特開2017-094915(JP,A)
【文献】実開昭59-028970(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0280630(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0115111(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料電池セルが積層されて形成されるスタックと、
前記スタックを内部に収容し取り囲むハウジングと、
前記ハウジングの一側に設けられ、外部空気が前記スタックを通過するように循環させる送風ファンと、
前記送風ファンによって前記スタックを通過する空気が前記スタックの入口側へ再循環するようにする空気循環部と、を含
み、
前記空気循環部は、
前記スタックを通過した空気が排出される前記ハウジングの流出口側に設けられ、排出される空気の一部が流入するようにする流入ダクトと、
前記流入ダクトに流入した空気を、前記スタックへ空気が流入する前記ハウジングの流入口側へ循環するようにする循環ダクトと、
前記循環ダクトに接続され、前記流入口上に設けられ、前記循環ダクトを通過する空気が前記スタックへ供給されるようにする排出ダクトと、を含むことを特徴とする、空冷式燃料電池。
【請求項2】
前記流入ダクトは、
前記流入ダクト内から流出口側へ突出する入出部材と、前記入出部材を入出させる作動ギアと、を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の空冷式燃料電池。
【請求項3】
前記空冷式燃料電池は、
燃料電池の作動を調節する作動調節部を含み、
前記作動調節部は、
前記ハウジングの流入口側の温度情報を受信する流入温度受信モジュールと、流入口側の温度に応じて入出部材の突出程度を調節する入出調節モジュールと、を含むことを特徴とする、請求項
2に記載の空冷式燃料電池。
【請求項4】
前記空冷式燃料電池は、
前記入出部材の突出程度と流入口側の温度変化との相関関係を分析する作動分析部を含み、
前記作動分析部は、
流入口側の温度情報を収集する温度情報収集モジュールと、前記入出部材の作動情報を収集する入出情報収集モジュールと、入出部材の作動前後の流入口側の温度変化程度を算定する変化率算定モジュールと、前記入出部材の突出程度と温度変化程度との相関関係を分析する相関分析モジュールと、を含み、
前記入出調節モジュールは、前記相関分析モジュールによって分析された相関関係を用いて、入出部材の突出程度を調節するようにすることを特徴とする、請求項
3に記載の空冷式燃料電池。
【請求項5】
前記排出ダクトは、
流入口の両側に分割されて設けられるようにし、
前記流入ダクトは、
流出口の両側に設けられ、両側に分割された排出ダクトそれぞれと接続されるようにし、
前記作動調節部は、
流入口及び流出口の両側の温度を測定して両側の排出ダクトと接続される流入ダクトの入出部材に対する突出程度を調節するようにすることを特徴とする、請求項
3に記載の空冷式燃料電池。
【請求項6】
前記排出ダクトは、
スタック方向に穿設されて空気の供給が行われるようにし、複数個が一定の間隔で形成される排出孔を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の空冷式燃料電池。
【請求項7】
前記排出ダクトは、
前記スタックの長さ及び面積に応じて複数個に設けられるようにすることを特徴とする、請求項
1に記載の空冷式燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空冷式燃料電池に係り、より詳細には、スタックを通過する空気を再びハウジングの流入口側に循環させてスタックの冷却用空気として用いられるようにすることにより、低い外部空気の温度でもスタックの過冷却を防止し且つ適正温度に維持することができるようにし、ハウジングの両側に沿って空気の循環が行われるようにして、スタックの両端に対する断熱が行われるようにすることにより、スタック全体を均一な温度に維持することができるようにし、スタックを通過する空気の循環程度を調節するようにして、スタックへ供給される空気の温度を正確に調節することができるようにする、空気の再循環が可能な空冷式燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料が持っている化学エネルギーを電気化学的に反応させて電気エネルギーに変換させるエネルギー変換装置であって、産業用、家庭用及び車両用電力を供給するだけでなく、小型の電気/電子製品、携帯機器の電力を供給するのにも用いられることができる。
【0003】
燃料電池は、様々な種類が存在するが、下記特許文献のように高い電力密度を有する高分子電解質膜燃料電池(PEMFC、Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell)が主に使用されており、最も内側に膜電極接合体(MEA、Membrane Electrode Assembly)が位置し、膜電極接合体は、水素イオンを移動させることができる固体高分子電解質膜と、電解質膜の両面に設けられ、水素と酸素とが反応できるように触媒が塗布された電極層であるカソード(Cathode)及びアノード(Anode)から構成される。このとき、アノード(Anode)には水素が供給され、カソード(Cathode)には空気が供給されることにより、空気に含まれている酸素と水素との反応による電気が生産される。
【0004】
また、燃料電池では、反応に応じて多くの熱が発生するので、冷却のための流体が必ず供給されなければならない。
【0005】
燃料電池は、冷却する方式によって水冷式と空冷式に区分されることができ、装置の構成を簡単にし、且つ小型化、軽量化を可能にするためには、空気を用いて冷却する空冷式が主に適用されており、一般に、下記特許文献のように、送風モジュールなどを介して反応のための空気と冷却のための空気とが一緒に燃料電池へ供給されるようにしている。
【0006】
このとき、燃料電池の冷却のために、
図1に示すように、送風ファン100によって外部空気を循環させて燃料電池に供給されるようにするので、燃料電池の冷却性能が外部空気の温度に依存するしかない。
【0007】
したがって、外部空気の温度が20~40度である夏季には、送風ファンの作動のみで燃料電池の作動温度を適正温度である50~60度の間に維持することができるが、外部空気の温度が0度以下に下がる冬季には、燃料電池の作動温度を50~60度の間に維持することが難しくなる。
【0008】
このため、冬季には、0度以下の空気が燃料電池に流入して燃料電池の過冷却が発生し、これにより過度な凝縮水の発生に伴うフラッディング(flooding)現象により燃料電池の性能が減少し、ひどい場合には、冷却空気の氷結により燃料電池に永久的な損傷を引き起こすという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0077897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、スタックを通過する空気を再びハウジングの流入口側に循環させてスタックの冷却用空気として用いられるようにすることにより、低い外部空気の温度でもスタックの過冷却を防止し且つ適正温度に維持させることができるようにする空冷式燃料電池を提供することにある。
【0011】
本発明は、ハウジングの両側に沿って空気の循環が行われるようにして、スタックの両端に対する断熱が行われるようにすることにより、スタック全体を均一な温度に維持することができるようにする空冷式燃料電池を提供することを目的とする。
【0012】
本発明は、スタックを通過する空気の循環程度を調節するようにして、スタックへ供給される空気の温度を正確に調節することができるようにする空冷式燃料電池を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、入出部材の突出程度と流入口側の空気温度変化との相関関係を分析して、適正温度の空気がスタックに供給できるように入出部材の突出程度を調節するようにすることにより、スタックの適正温度の維持に対する精度を高めることができるようにする空冷式燃料電池を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、空気循環部を両側に分割してハウジングの両側にそれぞれ形成されるようにし、両側それぞれのハウジング流入口及び流出口側の温度に応じて各空気循環部の空気循環程度を調節するようにすることにより、スタック全体に対する均一温度の維持を可能にする空冷式燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は、次の構成を持つ実施形態によって実現される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、本発明による空冷式燃料電池は、複数の燃料電池セルが積層されて形成されるスタックと、前記スタックを内部に収容して取り囲むハウジングと、前記ハウジングの一側に設けられ、外部空気がスタックを通過するように循環させる送風ファンと、前記送風ファンによってスタックを通過する空気がスタックの入口側へ再循環するようにする空気循環部と、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、本発明による空冷式燃料電池において、前記空気循環部は、スタックを通過した空気が排出されるハウジングの流出口側に設けられ、排出される空気の一部が流入するようにする流入ダクトと、前記流入ダクトに流入した空気を、スタックへ空気が流入するハウジングの流入口側へ循環するようにする循環ダクトと、前記循環ダクトに接続され、前記流入口上に設けられ、循環ダクトを通過する空気がスタックへ供給されるようにする排出ダクトと、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による空冷式燃料電池において、前記流入ダクトは、流入ダクト内から流出口側へ突出する入出部材と、前記入出部材を入出させる作動ギアと、を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による空冷式燃料電池は、燃料電池の作動を調節する作動調節部を含み、前記作動調節部は、ハウジングの流入口側の温度情報を受信する流入温度受信モジュールと、流入口側の温度に応じて入出部材の突出程度を調節する入出調節モジュールと、を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による空冷式燃料電池は、前記入出部材の突出程度と流入口側の温度変化との相関関係を分析する作動分析部を含み、前記作動分析部は、流入口側の温度情報を収集する温度情報収集モジュールと、前記入出部材の作動情報を収集する入出情報収集モジュールと、入出部材の作動前後の流入口側の温度変化程度を算定する変化率算定モジュールと、前記入出部材の突出程度と温度変化程度との相関関係を分析する相関分析モジュールと、を含み、前記入出調節モジュールは、前記相関分析モジュールによって分析された相関関係を用いて、入出部材の突出程度を調節するようにすることを特徴とする。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による空冷式燃料電池において、前記排出ダクトは、流入口の両側に分割されて設けられるようにし、前記流入ダクトは、流出口の両側に設けられ、両側に分割された排出ダクトそれぞれと接続されるようにし、前記作動調節部は、流入口及び流出口の両側の温度を測定して、両側の排出ダクトと接続される流入ダクトの入出部材に対する突出程度を調節するようにすることを特徴とする。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による空冷式燃料電池において、前記排出ダクトは、スタック方向に穿設されて空気の供給が行われるようにし、複数個が一定の間隔で形成される排出孔を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による空冷式燃料電池において、前記排出ダクトは、スタックの長さ及び面積に応じて複数個に設けられるようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、前述した本実施例と後述する構成、組み合わせ及び使用関係によって次の効果を得ることができる。
【0025】
本発明は、スタックを通過する空気を再びハウジングの流入口側へ循環させてスタックの冷却用空気として用いられるようにすることにより、低い外部空気の温度でもスタックの過冷却を防止し且つ適正温度に維持することができるようにするという効果がある。
【0026】
本発明は、ハウジングの両側に沿って空気の循環が行われるようにして、スタックの両端に対する断熱が行われるようにすることにより、スタック全体を均一な温度に維持することができるようにするという効果がある。
【0027】
本発明は、スタックを通過する空気の循環程度を調節するようにして、スタックへ供給される空気の温度を正確に調節することができるようにするという効果がある。
【0028】
本発明は、入出部材の突出程度と流入口側の空気温度変化との相関関係を分析して、適正温度の空気がスタックへ供給されるように入出部材の突出程度を調節するようにすることにより、スタックの適正温度維持に対する正確性を高めることができるようにするという効果がある。
【0029】
本発明は、空気循環部を両側に分割してハウジングの両側にそれぞれ形成されるようにし、両側それぞれのハウジング流入口及び流出口側の温度に応じて各空気循環部の空気循環程度を調節するようにすることにより、スタック全体に対する均一温度の維持を可能にするという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来の空冷式燃料電池の冷却過程を示す参考図である。
【
図2】本発明の一実施形態による空冷式燃料電池の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による空冷式燃料電池の空気循環過程を示す参考図である。
【
図6】入出部材の様々な実施形態を示す断面図である。
【
図8】排出ダクトの様々な実施形態を示す参考図である。
【
図10】本発明の他の実施形態による空冷式燃料電池の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明による空気の再循環が可能な空冷式燃料電池の好適な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。下記で発明を説明するにあたり、公知の機能又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明を省略する。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書に記載された「・・・部」、「・・・モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実現できる。
【0032】
本発明の一実施形態による空気の再循環が可能な空冷式燃料電池を
図2~
図9を参照して説明すると、前記空冷式燃料電池は、複数の燃料電池セルが積層されて形成されるスタック1と、前記スタック1を内部に収容して取り囲むハウジング2と、前記ハウジング2の一側に設けられ、外部空気がスタック1を通過するように循環させる送風ファン3と、前記送風ファン3によってスタック1を通過する空気がスタック1の入口側へ再循環するようにする空気循環部4と、燃料電池内の温度を測定する温度センシング部5と、燃料電池の作動を制御する制御部6と、を含む。
【0033】
先立って背景技術で考察したように、従来の空冷式燃料電池の場合は、外気温度が低くなることにより、燃料電池の過冷却が発生するという問題があった。したがって、本発明は、燃料電池の冷却を終えて排出される高温の空気を再び循環させて燃料電池の冷却に使用するようにすることにより、外気温度が低くなる場合でも燃料電池の過冷却を防止することができるようにする。また、本発明は、燃料電池から排出される空気が循環する程度を調節することができるようにして、適正温度の空気が燃料電池へ供給されるようにし、これにより外気温度に関係なく燃料電池内の温度を常に適正温度に維持するようにすることができる。
【0034】
前記スタック1は、燃料電池セルが積層されて形成される構成であって、アノード、カソードなどで形成される電極が複数個積層されて電力を生産するようにする。また、各セルの間は、セパレータによって区画されて積層されるようにし、セパレータによる空間に空気が供給されることにより、スタック1から発生した熱の冷却が行われるようにする。
【0035】
前記ハウジング2は、スタック1を収容する構成であって、内部にスタック1が収容される空間を形成しながら、上下側には開放する空間を形成して、ハウジング2内のスタック1に対して外部空気を供給及び排出させることができるようにし、これによりスタック1から発生する熱を冷却させるようにすることができる。したがって、前記ハウジング2は、外部空気が流入する側に開放されるように設けられる流入口21と、スタック1を通過する空気が外部へ排出される側に開放されるように設けられる流出口23と、を含むことができ、好ましくは、流出口23上に送風ファン3が設けられて外部空気をスタック1に対して流入及び排出させるようにすることができる。
【0036】
前記送風ファン3は、スタック1に対して外部空気を流入及び排出させる構成であって、好ましくは、流出口23上に形成されることができる。したがって、前記送風ファン3は、その作動に応じて外部空気が流入口21を介してスタック1へ流入するようにし、スタック1を通過する空気が流出口23を介して外部へ排出されるようにする。
【0037】
前記空気循環部4は、ハウジング2の流出口23から排出される空気を流入口21側へ循環させる構成であって、スタック1を通過する高温の空気が再び流入口21に循環してスタック1へ供給されるようにすることにより、外部空気の温度が低い場合でも、その温度を高めてスタック1に供給されるようにすることができる。したがって、前記空気循環部4は、外部空気の温度が低い場合でもスタック1の過冷却を防止し、適正温度の維持によって最適な性能を発揮するようにすることができる。また、前記空気循環部4は、ハウジング2の両側に沿って空気の循環が行われるようにして、ハウジング2の両端に形成されるスタック1のエンドプレート側に対する断熱が行われるようにし、これにより外部気温が低い場合でもスタック1全体の温度が均一に維持されて最適な性能を確保するようにすることができる。このために、前記空気循環部4は、
図3に示すように、流入ダクト41、循環ダクト43及び排出ダクト45を含む。
【0038】
前記流入ダクト41は、前記流出口23を介して排出される空気が流入するようにする構成であって、流出口23の両側のハウジング2に固定されるように形成されることができる。前記流入ダクト41は、ハウジング2との間に空間を形成して空気が流入できるようにし、循環ダクト43に接続されて流入空気が流入口21側へ循環することができるようにする。特に、前記流入ダクト41は、流出口23から排出される空気を効果的に流入させるために、流出口23側に突出する入出部材411を含むことができ、入出部材411は、作動ギア413によって入出されるようにして空気の循環程度を調節するようにすることができる。
【0039】
前記入出部材411は、流入ダクト41内から流出口23側に対して入出される構成であって、
図4(a)に示すように流入ダクト41内に挿入された状態で、
図4(b)に示すように流出口23側に突出する場合、流出口23を介して排出される空気が入出部材411に遮断されて流入ダクト41内に流入することができる。このとき、前記入出部材411は、流出口23側に突出する程度が調節されて空気の循環程度を調節するようにすることができ、これによりスタック1へ供給される空気の温度を適正に調節するようにすることができる。また、前記入出部材411は、
図6(a)に示すように、流入ダクト41内に挿入された状態でその端部が流入ダクト41の内側と接触するように形成されることで、空気が不要に循環するのを遮断するようにすることができ、或いは、
図6(b)に示すように、流入ダクト41内に挿入された状態でもその端部が一定の間隔離隔するようにして、排出される空気の一部が自然に循環するようにすることもできる。前記入出部材411は、作動ギア413の作動に応じて流入ダクト41に対して入出されるようにすることができ、このために作動ギア413に噛み合うギア歯411aが内側に形成されるようにすることができる。
【0040】
前記作動ギア413は、前記入出部材411を流出口23側に対して入出させる構成であって、前記ギア歯411aと噛み合い、その回転に応じて入出部材411を移動させるようにする。前記作動ギア413は、入出部材411の突出程度を調節して、流出口23から排出される空気が空気循環部4に沿って循環する程度を調節するようにすることができ、これにより、流入口21側の温度に応じて循環程度を調節して、最適な温度を有する空気がスタック1に供給されるようにすることができる。
【0041】
前記循環ダクト43は、前記流入ダクト41に接続され、流入ダクト41を介して流入する空気を流入口21側へ循環させる構成であって、両端が流入ダクト41及び排出ダクト45に接続されるようにする。前記循環ダクト43は、ハウジング2の両側に密着するように固定されて形成されることができ、これにより循環ダクト43を通過する高温の空気でスタック1の両側端に対する断熱効果を持つようにして、外部の低い温度でもスタック1全体が均一な温度を維持するようにすることができる。
【0042】
前記排出ダクト45は、前記流入ダクト41、循環ダクト43を介して循環する空気がハウジング2の流入口21側へ排出されてスタック1へ再び供給され得るようにする構成であって、両側の循環ダクト43にそれぞれ接続されて流入口21上に設けられるようにすることができる。前記排出ダクト45は、
図7に示すように、複数の排出孔451を有することにより、流入口21側へ循環する空気を排出するようにすることができ、排出孔451は、両側に一対が設けられ、排出ダクト45の長手方向に沿って一定の間隔で形成されるようにしてスタック1全体にわたって循環空気を均一に供給し、これによりスタック1全体にわたって均一な温度の冷却空気が供給されるようにすることができる。また、前記排出ダクト45は、
図8に示すように多様な個数で設けられることができ、スタック1の長さ、面積などに合わせて多様な個数と大きさで設けられるようにすることができる。
【0043】
前記温度センシング部5は、燃料電池内の温度を測定する構成であって、ハウジング2の流入口21側の温度を測定する流入側センサー51と、流出口23側の温度を測定する流出側センサー53と、を含むことができる。
【0044】
前記流入側センサー51は、流入口21を介してスタック1へ供給される空気の温度を測定し、測定される温度に応じて、前記入出部材411の流出口23側へ突出する程度を調節することができるようにする。
【0045】
前記流出側センサー53は、流出口23を介してスタック1から排出される空気の温度を測定し、測定される温度に応じて送風ファン3の作動を調節するようにすることができる。
【0046】
前記制御部6は、燃料電池の作動を調節する構成であって、特に燃料電池の冷却に関する作動を調節する作動調節部61と、作動を最適化する作動分析部63と、を含むことができる。
【0047】
前記作動調節部61は、燃料電池の冷却に関する作動を調節する構成であって、まず、スタック1に供給される空気の温度に応じて入出部材411の作動を調節するようにすることができる。前記作動調節部61は、スタック1に流入する空気の温度が設定値より低い場合、入出部材411を流出口23側へ突出させ、流出口23から排出される高温の空気を空気循環部4を介して流入口21側へ循環させるようにすることができ、これによりスタック1に供給される空気の温度を高めることができるようにする。このとき、前記作動調節部61は、流入空気の温度が低いほど、入出部材411が流出口23側へさらに突出するようにして空気の循環程度を高めるようにすることができる。また、前記作動調節部61は、空気の循環を介して、スタック1に流入する空気の温度を上げながら、スタック1から排出される空気の温度も測定して送風ファン3の作動を調節するようにし、送風ファン3の作動調節によって冷却の程度を調節してスタック1内の温度を適正温度に維持するようにすることができる。このために、前記作動制御部61は、流入温度受信モジュール611、入出調節モジュール612、流出温度受信モジュール613、及び送風調節モジュール614を含むことができる。
【0048】
前記流入温度受信モジュール611は、スタック1に流入する空気の温度情報を受信する構成であって、前記流入側センサー51によって測定される温度情報を受信するようにする。
【0049】
前記入出調節モジュール612は、入出部材411の作動を調節する構成であって、前記流入温度受信モジュール611によって受信される温度が設定値以下に下がる場合、作動ギア413を作動させて入出部材411を流出口23側へ突出させるようにする。このとき、前記入出調節モジュール612は、流入口21の空気の温度範囲に応じて入出部材411の突出程度を調節するようにすることができ、温度が低いほど入出部材411の突出程度を高めてさらに多くの空気の循環が行われるようにすることにより、スタック1へ供給される空気の温度を高めることができるようにする。特に、前記入出調節モジュール612による入出部材411の突出程度は、前記作動分析部63によって分析されるようにすることができ、入出部材411の突出程度と流入口21側の温度変化程度との相関関係を分析して、スタック1へ供給される空気の温度を正確に調節するようにすることができる。
【0050】
前記流出温度受信モジュール613は、スタック1から排出される空気の温度情報を受信する構成であって、前記流出側センサー53によって測定される温度情報を受信するようにする。
【0051】
前記送風調節モジュール614は、送風ファン3の作動を調節する構成であって、流出温度受信モジュール613によって受信される温度情報に応じて、送風ファン3の作動程度を調節するようにする。前記送風調節モジュール614は、送風ファン3の回転速度を調節するようにすることができ、スタック1から排出される空気の温度が適正温度を維持することができるように温度が高いほど送風ファン3の回転速度を上げて冷却程度を高めるようにすることができる。
【0052】
前記作動分析部63は、入出部材411の突出程度による流入口21側の温度変化を分析する構成であって、入出部材411の作動に関する情報と温度変化に関する情報を収集して、ビッグデータ分析を介して相関関係を導出することができるようにする。言い換えれば、前記作動分析部63は、入出部材411が流出口23側へ突出する程度と、入出部材411の突出に応じて変わる流入口21側の温度変化との相関関係を分析するようにし、分析された相関関係に応じて流入口21側の温度が適正範囲を維持することができるように入出部材411の突出程度を調節するようにする。したがって、前記作動分析部63は、流入口21を介してスタック1へ供給される空気の温度を正確に調節するようにすることができる。このために、前記作動分析部63は、温度情報収集モジュール631、入出情報収集モジュール632、変化率算定モジュール633、及び相関分析モジュール634を含むことができる。
【0053】
前記温度情報収集モジュール631は、流入口21側の空気の温度情報を収集する構成であって、入出部材411が作動するとき、作動前後に流入側センサー51によって測定される情報を受信して保存するようにする。
【0054】
前記入出情報収集モジュール632は、入出部材411の作動に関する情報を収集する構成であって、入出部材411が流出口23側へ突出する程度に関する情報を収集するようにする。前記入出情報収集モジュール632は、作動ギア413の作動程度に関する情報を収集するようにすることができ、作動ギア413が回転する情報を収集して、入出部材411が突出する程度を把握するようにすることができる。
【0055】
前記変化率算定モジュール633は、入出部材411作動前後の流入口21側の温度変化程度を算定する構成であって、入出部材411の作動前と入出部材411の作動後における一定時間経過後の温度に対する変化率を算定するようにする。
【0056】
前記相関分析モジュール634は、入出部材411の突出程度と流入口21側の温度変化率との相関関係を分析する構成であって、収集された情報を用いた機械的学習方式によって相関関係の分析が行われるようにする。よって、前記相関分析モジュール634は、入出部材411の突出程度に応じて温度が変化する程度を把握することができ、これに基づいて、前記入出調節モジュール612では、流入口21側の温度を考慮して適正温度を合わせることができるように入出部材411の突出程度を調節することができる。
【0057】
本発明の他の実施形態による空気の再循環が可能な空冷式燃料電池を
図10及び
図11を参照して説明すると、前記空冷式燃料電池は、
図10に示すように、排出ダクト45が両側に分割されて設けられるようにすることができる。両側に分割される排出ダクト45の個数と形態は、スタック1の大きさや面積、使用環境などに応じて、
図10に示すように多様に形成されることができる。特に、両側に分割される排出ダクト45は、ハウジング2の両側の空気循環部4それぞれに個別に接続されるようにすることができ、各空気循環部4の流入ダクト41を介して流入して循環する空気が両側の排出ダクト45を介して個別に供給されるようにすることができる。このとき、前記温度センシング部5は、
図11に示すように、流入口21及び流出口23の両側にそれぞれ設けられるようにすることができ、流入側センサー51は、第1流入センサー511と第2流入センサー513で形成され、流出側センサー53は、第1流出センサー531と第2流出センサー533で形成されるようにすることができる。
【0058】
したがって、このような場合、前記作動調節部61は、第1流入センサー511及び第2流入センサー513によって測定される流入口21側の温度に応じて、両側それぞれの入出部材411の突出程度を調節するようにすることができ、これにより両側それぞれの温度に合わせて空気の循環程度を調節するようにすることができる。
【0059】
また、
図11に示すように、水素などの燃料Hが流入する側の温度が、流出する側の温度よりも低く形成されるので、これに合わせて両側それぞれの流入口21側へ供給される空気の温度を異なるように設定することができ、これによる入出部材411の突出程度の調節が行われるようにすることができる。
【0060】
したがって、前記作動調節部61は、第1流出センサー531及び第2流出センサー533によって測定される流出口23側の温度に応じて、流入口21側に流入すべき空気の温度を設定するようにすることができ、設定された両側の流入口21側の温度に合わせて、第1流入センサー511及び第2流入センサー513によって測定される温度に応じて、両側それぞれの入出部材411の突出程度を調節するようにすることができる。これにより、前記作動調節部61は、スタック1内の両側の温度を均一に合わせるようにして最適な性能を発揮するようにすることができる。
【0061】
以上、出願人は、本発明の様々な実施形態を説明したが、これらの実施形態は、本発明の技術的思想を実現する一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を実現する限り、如何なる変更例又は修正例も本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0062】
1 スタック 2 ハウジング
21 流入口 23 流出口
3 送風ファン 4 空気循環部
41 流入ダクト 411 入出部材
411a ギア歯 413 作動ギア
43 循環ダクト 45 排出ダクト
451 排出孔 5 温度センシング部
51 流入側センサー 511 第1流入センサー
513 第2流入センサー 53 流出側センサー
531 第1流出センサー 533 第2流出センサー
6 制御部 61 作動調節部
611 流入温度受信モジュール 612 入出調節モジュール
613 流出温度受信モジュール 614 送風調節モジュール
63 作動分析部 631 温度情報収集モジュール
632 入出情報収集モジュール 633 変化率算定モジュール
634 相関分析モジュール H 燃料